(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141759
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】火災報知設備用機器
(51)【国際特許分類】
H05K 5/03 20060101AFI20241003BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H05K5/03 C
G08B17/00 L
G08B17/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053579
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】後▲藤▼ 大祐
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 健
【テーマコード(参考)】
4E360
5G405
【Fターム(参考)】
4E360AB04
4E360AB05
4E360BA06
4E360BB02
4E360BB17
4E360BB22
4E360BB23
4E360BD02
4E360BD05
4E360EA12
4E360EA18
4E360EC05
4E360EC11
4E360EC14
4E360ED03
4E360GA51
4E360GB99
4E360GC02
5G405AA06
5G405FA01
(57)【要約】
【課題】意匠性を向上した火災報知設備用機器を得る。
【解決手段】開口が形成されたパネルを有し、当該パネルによって外表面の少なくとも一部が形成されている筐体と、筐体内に設けられ、開口を介して視認される操作部と、回動可能に軸支され、操作部を筐体の外側から開閉可能に覆うカバーとを備え、カバーは、全閉位置と全開位置との間の開き角度が、180度であり、全閉位置にあるカバーの表面と、全開位置にあるカバーが重ねられるパネルの表面とが、面一に配置されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が形成されたパネルを有し、当該パネルによって外表面の少なくとも一部が形成されている筐体と、
前記筐体内に設けられ、前記開口を介して視認される操作部と、
回動可能に軸支され、前記操作部を前記筐体の外側から開閉可能に覆うカバーとを備え、
前記カバーは、全閉位置と全開位置との間の開き角度が、180度であり、
前記全閉位置にある前記カバーの表面と、前記全開位置にある前記カバーが重ねられる前記パネルの表面とが、面一に配置されている
火災報知設備用機器。
【請求項2】
前記カバーは、当該カバーの一辺に沿って延びる支軸を受ける軸受部を備え、
前記軸受部は、
当該カバーの前記表面から突出した位置にあり、前記一辺に沿った頂部と、
前記頂部から当該カバーの前記表面に向かって延び、当該カバーの前記表面に対して傾斜した軸受第1壁と、
前記軸受第1壁との間に前記頂部を挟んで配置された軸受第2壁とを備え、
前記軸受第1壁、前記頂部及び前記軸受第2壁によって山形の断面形状が形成され、
前記カバーが前記全閉位置にあるとき、前記軸受第2壁と前記開口の縁部との間に隙間が形成され、前記カバーの開放に伴って、前記隙間に前記軸受第1壁の少なくとも一部及び前記頂部が収容される
請求項1記載の火災報知設備用機器。
【請求項3】
前記開口に嵌め込まれ、前記操作部を支持する枠体を備え、
前記枠体は、
前記開口の前記縁部に配置され、前記パネルの前記表面に対して傾斜した縁部傾斜壁と、
前記縁部傾斜壁に連なり、前記縁部傾斜壁との間に角を形成する枠体支持壁と、
前記縁部傾斜壁と前記枠体支持壁とによって形成される前記角に設けられ、前記開口の前記縁部に載置されて前記枠体支持壁を支持する係止部とを備えた
請求項2記載の火災報知設備用機器。
【請求項4】
前記枠体支持壁は、前記開口の前記縁部の上に配置された平板面を有し、前記枠体支持壁の上に前記操作部が載置される
請求項3記載の火災報知設備用機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部と操作部を覆うカバーとを備えた火災報知設備用機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体の前面パネルに設けられた操作表示部の一部を覆い、一辺が軸支されて開閉自在に取り付けられた子扉を備えた防災監視制御盤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の子扉は、軸支された一辺に対向する他辺が前面パネル位置に至る全開位置まで開くことができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の
図1~3に開示された防災監視制御盤の前面パネルには、全開状態の子扉全体が収容される凹部が形成されている。子扉が閉じられた状態においては、この凹部は単なるへこみとして存在し、また子扉と同サイズの大きな凹部は目立つため、防災監視制御盤の意匠性の低下を招いてしまう。
【0005】
本発明は、上記のような課題を背景としたものであり、意匠性を向上した火災報知設備用機器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る火災報知設備用機器は、開口が形成されたパネルを有し、当該パネルによって外表面の少なくとも一部が形成されている筐体と、前記筐体内に設けられ、前記開口を介して視認される操作部と、回動可能に軸支され、前記操作部を前記筐体の外側から開閉可能に覆うカバーとを備え、前記カバーは、全閉位置と全開位置との間の開き角度が、180度であり、前記全閉位置にある前記カバーの表面と、前記全開位置にある前記カバーが重ねられる前記パネルの表面とが、面一に配置されているものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の火災報知設備用機器によれば、カバーは180度の開き角度で開くとともに、全閉位置にあるカバーの表面と、全開位置にあるカバーが重ねられるパネルの表面とが、面一に配置されている。このため、カバーが全閉状態のときには、カバーの表面とパネルの表面とで、フラットな面が形成される。したがって、火災報知設備用機器の意匠性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係る火災受信機100の外観の一例を示す図である。
【
図2】実施の形態に係るカバー20の斜視図である。
【
図3】実施の形態に係るカバー20が開く工程を示した斜視図である。
【
図4】実施の形態に係るカバー20の断面模式図である。
【
図5】実施の形態に係るカバー20の開き角度θを説明する側面図である。
【
図6】実施の形態に係る操作部10及びカバー20の部分断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、以下の実施の形態及び図示された態様に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本発明は、以下の実施の形態に示す構成のうち、組合せ可能な構成のあらゆる組合せを含む。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又は相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。また、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本発明を限定するものではない。方向を表す用語としては、例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、「前」又は「後」等が挙げられ、いずれも
図1に示す火災受信機100の設置状態を基準とした方向をいうものとする。
【0010】
実施の形態.
図1は、実施の形態に係る火災受信機100の外観の一例を示す図である。火災受信機100は、概ね直方体である筐体1と、操作部10と、表示部11と、カバー20とを備える。筐体1の前後左右の外表面は金属板であるパネルで構成され、このパネルのうち前面に設けられたパネルをパネル2と称する。本実施の形態では、パネル2は、筐体1内に設けられた機器又は基板等の収容部を開閉する扉である。パネル2には開口3が形成されている。
【0011】
操作部10は、火災受信機100に対するユーザからの操作を受け付ける装置であり、押しボタン又はスイッチ等のハードウェア入力装置、タッチパネル、又はこれらの組み合わせである。本実施の形態の操作部10は、ハードウェア入力装置であり、パネル2の表面よりも筐体1の内部側に設けられている。操作部10は、開口3から露出可能な位置に設けられており、ユーザは開口3を介して露出した操作部10を操作可能である。操作部10の一部又は全部は、カバー20によって開閉可能に覆われている。
【0012】
カバー20は、操作部10の一部又は全部を開閉可能に覆い、全閉状態において操作部10へのユーザ又は物の接触を防ぐとともに、全開状態においては操作部10へのユーザの操作を可能とする。
図1では、全閉状態のカバー20を図示しており、本実施の形態のカバー20は操作部10の下半分を覆う。
【0013】
表示部11は、電球、放電灯又は発光ダイオード等の表示灯、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、又は電子ペーパー等のディスプレイ、若しくはこれらの組み合わせである。表示部11は、火災受信機100に接続された火災感知器が発報した場合に、火災を示す表示を行うほか、ユーザに対する各種表示を行う。
【0014】
図2は、実施の形態に係るカバー20の斜視図である。
図2では、全閉位置にあるときの向きでカバー20を示している。
図3は、実施の形態に係るカバー20が開く工程を示した斜視図である。
図3(A)及び(B)は、カバー20が開く途中の状態を順に示し、
図3(C)はカバー20が全開位置にある状態を示している。
図4は、実施の形態に係るカバー20の断面模式図である。
図4は、上下及び前後方向に沿った縦断面であり、
図4(A)は全閉位置にあるカバー20を示し、
図4(B)は開く途中のカバー20を示している。
【0015】
図3に示すように、パネル2に設けられた開口3の内側には、操作部10の少なくとも一部が配置されている。開口3には、枠体5が嵌め込まれている。枠体5は、開口3の縁を保護するとともに、カバー20とパネル2との間に介在してカバー20をパネル2に対して支持する。枠体5の下部には、
図3(C)及び
図4に示すように概ね水平に延びる支軸9が設けられている。
図3(C)では図示されていないが、支軸9は枠体5の紙面右端部にも設けられており、左右一対の支軸9によって、カバー20が枠体5に対して保持される。なお、支軸9は、枠体5の左右の端部に渡って設けられていてもよい。また、カバー20を保持する支軸9は、パネル2に設けられていてもよいし、パネル2に取り付けられる他の部材に設けられていてもよい。
【0016】
図2及び
図3に示すように、カバー20は、カバー本体21と、爪部22と、軸受部23とを有する。カバー本体21は、操作部10(
図1参照)を前側から開閉可能に覆う板状の部材である。カバー本体21は、左右の端部に、前後方向に延びる側壁28を有しており、カバー20が全閉位置にあるときにこの側壁28は枠体5の内側に挿入される。爪部22は、ユーザの指が掛けられる凹状又は凸状の部位であり、ユーザは爪部22に指を掛けてカバー20を開閉することができる。軸受部23は、支軸9を受ける部材であり、本実施の形態ではカバー20の下部に設けられている。カバー20は、軸受部23によって支軸9に対して回動可能に支持されている。
【0017】
図2及び
図4に示すように、軸受部23は、頂部24と、軸受第1壁25と、軸受第2壁26と、軸受穴27とを備える。
図2に示す向きにおいて、軸受部23は、全体としてカバー本体21の表面から前に向かって突出した形状を有する。カバー20の左右方向に延びる一辺に沿って頂部24が延びており、頂部24の上に軸受第1壁25が設けられ、頂部24の下に軸受第2壁26が設けられている。軸受第1壁25は、上から下に向かってカバー本体21の表面から離れるように、すなわち前へ突出するように傾斜している。軸受第2壁26は、頂部24から後ろへ向かって延びている。頂部24、軸受第1壁25及び軸受第2壁26によって、頂部24を頂点とする山形の断面形状が形成されている。軸受穴27は、側壁28に形成されており、支軸9が挿通される。軸受部23は、カバー20の表面から突出した位置で支軸9を受ける。
【0018】
図4に示すように、枠体5には、軸受部23と対向する位置に、縁部傾斜壁6が設けられている。縁部傾斜壁6は、パネル2の表面と平行な面、すなわち全閉位置及び全開位置にあるカバー20の表面と平行な面に対して、傾斜している。具体的には、縁部傾斜壁6は、上から下に向かって、前方へ突出するように傾斜した壁である。
図4(A)に示されるように、全閉位置にあるカバー20の軸受部23の軸受第2壁26と、縁部傾斜壁6との間には、隙間Xが形成されている。縁部傾斜壁6は、後ろから前に向かって下降しているため、隙間Xは、前から後ろに向かって断面積が小さくなっており、概ね三角形の断面形状を有している。
【0019】
図3及び
図4を参照して、全閉位置にあるカバー20の開閉放動作を説明する。ユーザが全閉位置にあるカバー20の爪部22に手を掛けて手前に引くと、支軸9に支持された軸受部23が支軸9を中心に回動して、カバー20の上端が下へ移動する(
図3(A)、(B)参照)。そうすると、
図3(A)に示す隙間Xに、頂部24及び軸受第1壁25が徐々に侵入する。開口3の縁に設けられた縁部傾斜壁6は、後ろから前に向かって下降しており、頂部24及び軸受第1壁25は、縁部傾斜壁6に衝突しない。このように、軸受部23の回転軌跡と干渉しない位置に、枠体5の縁部傾斜壁6が設けられている。カバー20が全開位置になると、
図3(C)に示すように、カバー本体21とパネル2とが重ねられる。また、全開位置にあるカバー20をユーザが持ち上げると、軸受部23が支軸9を中心に回動して、カバー20は全閉位置に移動する。このように、カバー20は、軸受部23において支軸9に軸支されて、上下に回動することで操作部10を開閉する。
【0020】
カバー20の表面から突出した位置で支軸9を受ける軸受部23を備え、カバー20の開放に伴って軸受部23の少なくとも一部が隙間Xに収容されるので、カバー20の表面がパネル2の表面に重ねられる位置までカバー20を開くことができる。
【0021】
図5は、実施の形態に係るカバー20の開き角度θを説明する側面図である。
図5では、全閉位置にあるカバー20を破線で示し、全開位置にあるカバー20を実線で示している。カバー20は、全閉位置と全開位置との間の角度である開き角度θが、180度である。全閉位置にあるカバー20の前側の表面と、全開位置にあるときのカバー20が重ねられるパネル2の表面とは、面一に配置されている。カバー20が全開位置にあるとき、カバー20の表面は、パネル2の平らな表面に重ねられている。
【0022】
以上のように本実施の形態では、全閉位置にあるカバー20の表面と、全開位置にあるカバー20が重ねられるパネル2の表面とが、面一に配置されている。このため、カバー20が全閉状態のときには、カバー20の表面とパネル2の表面とで、フラットな面が形成される。特許文献1に開示されたようなカバー20を収容する大きな凹部がパネル2にはなく、すっきりとした外観とすることができ、火災受信機100の意匠性を向上させることができる。
【0023】
図6は、実施の形態に係る操作部10及びカバー20の部分断面斜視図である。
図6は、操作部10及び開いた状態のカバー20を斜め後下方から見た状態を、一部縦断面とともに示している。
図6に示す縁部3aは、四角形の開口3(
図1、3参照)を形成する縁のうち支軸9(
図3~5参照)と平行な縁であり、本実施の形態では開口3の下側の縁である。枠体5は、縁部3aの上方に、縁部傾斜壁6に連なる枠体支持壁7を備える。枠体支持壁7は、縁部傾斜壁6との間に角Cを形成する。
図6に示すように、枠体支持壁7は、縁部傾斜壁6の上端から後ろに延びており、その上面は概ね水平な平板面である。枠体5の枠体支持壁7の上には操作部10を構成するスイッチ等が実装された操作基板が載置されており、枠体支持壁7はこの基板を下から支える。
【0024】
枠体5はさらに、縁部傾斜壁6と枠体支持壁7との間の角Cに、係止部8を備えている。係止部8は、縁部傾斜壁6の後方及び枠体支持壁7の下方に突出したリブ状の部材である。
図4及び
図6に示すように、係止部8の下端は、縁部3aの厚み方向(すなわちパネル2の厚み方向)である前後方向に延びる部分を有し、縁部3aの上に載置されて、枠体支持壁7を下から支持する。このように、縁部3aと、縁部傾斜壁6及び枠体支持壁7との空間である角Cを、少なくとも部分的に係止部8で埋めることで、縁部3aに対して枠体5の姿勢を維持させることができる。これにより、枠体支持壁7に載置された操作部10を安定的に支持することができる。
【0025】
なお、本実施の形態では、複数の係止部8が、枠体5の左右方向に沿って間隔をあけて配置されている例を示したが、係止部8の数及び配置はこれに限定されない。例えば係止部8は1つでもよく、この場合には縁部3aの左右方向の中心付近に、縁部3aの左右方向の長さの半分以上の長さを有する係止部8が設けられることで、枠体支持壁7が安定的に支持される。
【0026】
また、実施の形態では、火災報知設備用機器の一例として火災受信機100を説明したが、火災報知設備用機器は火災受信機100に限定されない。本実施の形態のカバー20及びこの開閉に係る構成は、筐体の開口を介して操作又は視認される部材を筐体内に備えた他の火災報知設備用機器にも適用されうる。例えば、感知器回線と接続されて発報した感知器回線を表示する表示機に、実施の形態で説明したカバー20に係る構成を適用することもできる。また、実施の形態では、カバー20の下部に軸受部23が設けられてカバー20が上下に開く例を示したが、カバー20の開く方向は実施の形態に限定されない。例えば、軸受部23がカバー20の上部に設けられていてもよいし、軸受部23がカバー20の左又は右に設けられてカバー20が左右に開く構成であってもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 筐体、2 パネル、3 開口、3a 縁部、5 枠体、6 縁部傾斜壁、7 枠体支持壁、8 係止部、9 支軸、10 操作部、11 表示部、20 カバー、21 カバー本体、22 爪部、23 軸受部、24 頂部、25 軸受第1壁、26 軸受第2壁、27 軸受穴、28 側壁、100 火災受信機。