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特開2024-141768農作物の状態を推定する方法、装置、およびコンピュータープログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141768
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】農作物の状態を推定する方法、装置、およびコンピュータープログラム
(51)【国際特許分類】
   G06V 10/82 20220101AFI20241003BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241003BHJP
   G06V 10/46 20220101ALI20241003BHJP
   G06Q 50/02 20240101ALI20241003BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20241003BHJP
【FI】
G06V10/82
G06T7/00 350C
G06V10/46
G06Q50/02
G06N20/00 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053588
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】望月 隆史
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
5L096
【Fターム(参考)】
5L049CC01
5L050CC01
5L096CA02
5L096GA19
5L096HA11
5L096KA04
5L096KA15
5L096MA07
(57)【要約】
【課題】農作物の状態を推定する技術を提供する。
【解決手段】農作物の状態を推定する方法は、農作物が第1状態を示す第1時期に農作物を撮像した第1農作物画像と、同一の農作物が第2状態を示す第1時期よりも後の第2時期で同一の農作物を撮像した第2農作物画像と、を取得する学習画像取得工程と、第1状態を示す第1ラベルを関連付けた第1農作物画像と、第2状態を示す第2ラベルを関連付けた第2農作物画像とをそれぞれ教師データとして、機械学習モデルの学習を実行して学習済み機械学習モデルを生成するモデル生成工程と、農作物と同種の評価農作物を撮像した第3農作物画像を取得する評価画像取得工程と、第3農作物画像を学習済み機械学習モデルに入力してクラス判別を行い、クラス判別の結果に応じて評価農作物の状態を推定する推定工程とを備える。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作物の状態を推定する方法であって、
前記農作物が第1状態を示す第1時期に前記農作物を撮像した第1農作物画像と、同一の前記農作物が第2状態を示す前記第1時期よりも後の第2時期で前記同一の前記農作物を撮像した第2農作物画像と、を取得する学習画像取得工程と、
前記第1状態を示す第1ラベルを関連付けた前記第1農作物画像と、前記第2状態を示す第2ラベルを関連付けた前記第2農作物画像とをそれぞれ教師データとして、機械学習モデルの学習を実行して学習済み機械学習モデルを生成するモデル生成工程と、
前記農作物と同種の評価農作物を撮像した第3農作物画像を取得する評価画像取得工程と、
前記第3農作物画像を前記学習済み機械学習モデルに入力してクラス判別を行い、前記クラス判別の結果に応じて前記評価農作物の状態を推定する推定工程と、を備える、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1状態は、前記農作物が収穫できる状態よりも前の状態である成長前状態を示し、
前記第2状態は、前記農作物が収穫できる状態である成長後状態を示し、
前記推定工程は、前記クラス判別の結果が前記第1ラベルである場合には、前記評価農作物の状態を生育に異常が生じている生育異常状態であると推定する、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記評価画像取得工程は、時系列に複数の前記第3農作物画像を取得する工程を含み、
前記第1状態は、前記農作物が収穫できる状態よりも前の状態である成長前状態を示し、
前記第2状態は、前記農作物が収穫できる状態である成長後状態を示し、
前記推定工程は、前記複数の第3農作物画像をそれぞれ前記学習済み機械学習モデルに入力してクラス判別を行い、少なくとも時系列に2以上並んだ前記第3農作物画像のそれぞれの前記クラス判別の結果が前記第1ラベルである場合には、前記評価農作物の状態を生育に異常が生じている生育異常状態であると推定する、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記評価画像取得工程は、時系列に複数の前記第3農作物画像を取得する工程を含み、
前記推定工程は、前記複数の第3農作物画像をそれぞれ前記学習済み機械学習モデルに入力してクラス判別を行い、前記複数の第3農作物画像に応じた前記クラス判別の結果を用いて、予め定めた状態が発生した時期を推定する、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記予め定めた状態は、前記第2状態に関連した状態であり、
前記推定工程は、前記複数の第3農作物画像に応じた前記クラス判別の結果において、前記第2ラベルであると前記クラス判別が成された前記第3農作物画像のうちで、最も早い時期に撮像された特定時期を特定し、前記特定時期を用いて前記予め定めた状態が発生した時期を推定する、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記推定工程は、前記特定時期を前記予め定めた状態が発生した時期であると推定する、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記学習画像取得工程は、
前記第1農作物画像および前記第2農作物画像のそれぞれに対応した撮像領域よりも広い主領域であって、前記農作物が位置する主領域の前記農作物を撮像して第1主農作物画像および第2主農作物画像を取得する工程と、
前記第1主農作物画像と前記第2主農作物画像のそれぞれを予め定めたパッチサイズで分割して、複数の前記第1農作物画像および複数の前記第2農作物画像を生成する工程と、を備える、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記推定工程は、
前記クラス判別の寄与の程度を示すヒートマップを生成する工程と、
前記ヒートマップを前記第3農作物画像に重畳することで推定画像を生成する工程と、を有する、方法。
【請求項9】
農作物の状態を推定する装置であって、
前記農作物が第1状態を示す第1時期に前記農作物を撮像した第1農作物画像と、同一の前記農作物が第2状態を示す前記第1時期よりも後の第2時期で前記同一の前記農作物を撮像した第2農作物画像と、を取得する学習画像取得部と、
前記第1状態を示す第1ラベルを関連付けた前記第1農作物画像と、前記第2状態を示す第2ラベルを関連付けた前記第2農作物画像とをそれぞれ教師データとして、機械学習モデルの学習を実行して学習済み機械学習モデルを生成するモデル生成部と、
前記農作物と同種の評価農作物を撮像した第3農作物画像を取得する評価画像取得部と、
前記第3農作物画像を前記学習済み機械学習モデルに入力してクラス判別を行い、前記クラス判別の結果に応じて前記評価農作物の状態を推定する推定部と、を備える、装置。
【請求項10】
農作物の状態をコンピューターに推定させるためのコンピュータープログラムであって、
前記農作物が第1状態を示す第1時期に前記農作物を撮像した第1農作物画像と、同一の前記農作物が第2状態を示す前記第1時期よりも後の第2時期で前記同一の前記農作物を撮像した第2農作物画像と、を取得する学習画像取得機能と、
前記第1状態を示す第1ラベルを関連付けた前記第1農作物画像と、前記第2状態を示す第2ラベルを関連付けた前記第2農作物画像とをそれぞれ教師データとして、機械学習モデルの学習を実行して学習済み機械学習モデルを生成するモデル生成機能と、
前記農作物と同種の評価農作物を撮像した第3農作物画像を取得する評価画像取得機能と、
前記第3農作物画像を前記学習済み機械学習モデルに入力してクラス判別を行い、前記クラス判別の結果に応じて前記評価農作物の状態を推定する推定機能と、をコンピューターに実行させる、コンピュータープログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、農作物の状態を推定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機械学習モデルに苗の画像を入力することで、育苗する苗の育成の良否を判別する技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-87055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、機械学習モデルを学習させるために、育成が良い苗の画像と、育成が悪い苗の画像とをそれぞれ教師データとして大量に準備する必要がある。これにより、教師データを準備する時間が長時間となるので、学習済み機械学習モデルを生成するまでの時間が長くなる場合が生じ得る。なお、上記の課題は、苗の育成を判別するための技術に関わらず、農作物の状態を推定する技術に共通する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1形態によれば、農作物の状態を推定する方法が提供される。この方法は、前記農作物が第1状態を示す第1時期に前記農作物を撮像した第1農作物画像と、同一の前記農作物が第2状態を示す前記第1時期よりも後の第2時期で前記同一の前記農作物を撮像した第2農作物画像と、を取得する学習画像取得工程と、前記第1状態を示す第1ラベルを関連付けた前記第1農作物画像と、前記第2状態を示す第2ラベルを関連付けた前記第2農作物画像とをそれぞれ教師データとして、機械学習モデルの学習を実行して学習済み機械学習モデルを生成するモデル生成工程と、前記農作物と同種の評価農作物を撮像した第3農作物画像を取得する評価画像取得工程と、前記第3農作物画像を前記学習済み機械学習モデルに入力してクラス判別を行い、前記クラス判別の結果に応じて前記評価農作物の状態を推定する推定工程と、を備える。
【0006】
本開示の第2形態によれば、農作物の状態を推定する装置が提供される。この装置は、前記農作物が第1状態を示す第1時期に前記農作物を撮像した第1農作物画像と、同一の前記農作物が第2状態を示す前記第1時期よりも後の第2時期で前記同一の前記農作物を撮像した第2農作物画像と、を取得する学習画像取得部と、前記第1状態を示す第1ラベルを関連付けた前記第1農作物画像と、前記第2状態を示す第2ラベルを関連付けた前記第2農作物画像とをそれぞれ教師データとして、機械学習モデルの学習を実行して学習済み機械学習モデルを生成するモデル生成部と、前記農作物と同種の評価農作物を撮像した第3農作物画像を取得する評価画像取得部と、前記第3農作物画像を前記学習済み機械学習モデルに入力してクラス判別を行い、前記クラス判別の結果に応じて前記評価農作物の状態を推定する推定部と、を備える。
【0007】
本開示の第3形態によれば、農作物の状態をコンピューターに推定させるためのコンピュータープログラムであって、前記農作物が第1状態を示す第1時期に前記農作物を撮像した第1農作物画像と、同一の前記農作物が第2状態を示す前記第1時期よりも後の第2時期で前記同一の前記農作物を撮像した第2農作物画像と、を取得する学習画像取得機能と、前記第1状態を示す第1ラベルを関連付けた前記第1農作物画像と、前記第2状態を示す第2ラベルを関連付けた前記第2農作物画像とをそれぞれ教師データとして、機械学習モデルの学習を実行して学習済み機械学習モデルを生成するモデル生成機能と、前記農作物と同種の評価農作物を撮像した第3農作物画像を取得する評価画像取得機能と、前記第3農作物画像を前記学習済み機械学習モデルに入力してクラス判別を行い、前記クラス判別の結果に応じて前記評価農作物の状態を推定する推定機能と、をコンピューターに実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の農作物の状態を推定する推定システムを示す図。
図2】記憶装置を説明するための図。
図3】機械学習モデルを説明するための図。
図4】推定装置が実行する推定方法のフローチャートを示す図。
図5】ステップS10の詳細フローチャートを示す図。
図6】第1主農作物画像を示す図。
図7】第2主農作物画像を示す図。
図8】ステップS114を説明するための図。
図9図4に示すステップS20を説明するための図。
図10図4に示すステップS50を説明するための図。
図11図4に示すステップS70の詳細フローチャートを示す図。
図12】推定画像を示す図。
図13】第2実施形態の推定方法を示すフローチャートを示す図。
図14図13のステップS70aの詳細フローチャートを示す図。
図15図14のステップ76aの具体例を説明するための図。
図16】第3実施形態の教師データ群を示す図。
図17】第3実施形態における推定工程のフローチャートを示す図。
図18図17のステップS76bとステップS77を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態の農作物の状態を推定する推定システム100を示す図である。図2は、記憶装置50を説明するための図である。図3は、機械学習モデル52を説明するための図である。農作物は、実などの収穫対象物と、葉や枝などの収穫対象物に関連する関連物とを含む。
【0010】
図1に示す推定システム100は、農作物の状態を推定する推定装置20と、撮像装置90とを備える。推定装置20と撮像装置90とは、有線や無線によるデータ送受信や、外部記憶装置を介してデータ送受信が可能である。撮像装置90は、可視光領域の波長の光を検出して画像を形成するカメラである。カメラによって取得された画像は、モノクロ画像であってもよいしカラー画像であってもよい。なお、撮像装置90は上記のカメラに限定されるものではなく、例えば、NDVI(正規化植生指数:Normalized Difference Vegetation Index)を示す画像を取得できるカメラや、可視光以外の波長の光を検出して画像を形成するカメラであってもよい。
【0011】
推定装置20は、パーソナルコンピューターなどの電子計算機である。推定装置20は、農作物であるブドウの葉の状態について、後述する学習済み機械学習モデルを用いてクラス判別して、クラス判別の結果に応じてブドウの葉の状態を推定する。具体的には、推定装置20は、ブドウの葉の状態をクラス判別し、クラス判別の結果に応じて、ブドウの葉の生育に異常が生じている生育異常状態と、ブドウの葉の生育に異常が生じていない生育正常状態とのいずれかの状態を推定する。例えば、ブドウの葉の生育に異常が生じている場合は、ブドウの果実に栄養が行きわたらず、ブドウの果実の品質に悪影響を及ぼす可能性が高い。よって、本実施形態では、ブドウの葉の生育の状態を推定することで、ブドウの果実の品質を評価できる。
【0012】
推定装置20は、プロセッサー30と、記憶装置50と、入力部60と、表示部70とを備える。プロセッサー30は、記憶装置50に記憶された各種プログラムを実行することで、推定装置20の動作を制御する。プロセッサー30の詳細な機能は後述する。入力部60は、ユーザーからの入力を受け付ける。入力部60は、例えば、キーボードであったりマウスであったりタッチパネル式モニターであったりする。表示部160は、各種情報を表示する。表示部160は、例えば、液晶モニターである。
【0013】
記憶装置50は、RAMやROMなどのメモリーにより構成されている。図2に示すように、記憶装置50は、農作物の状態を推定するために用いる機械学習モデル52と、機械学習モデル52の学習に用いる教師データ群LIMGと、評価対象画像群EIMGと、プロセッサー30によって実行される各種プログラム58とを記憶する。評価対象画像群EIMGは、学習された後の学習済み機械学習モデル52に入力されることで農作物の状態を推定する対象となる複数の評価対象画像によって構成されている。
【0014】
図3に示すように、本実施形態の機械学習モデル52は、アルゴリズムとして畳み込みニューラルネットワークを用いている。機械学習モデル52は、入力された画像IMをクラス判別する。機械学習モデル52は、入力層Ly1と、中間層Ly2と、出力層Ly3とを備える。入力層Ly1は、推定対象の画像IMが入力される層である。中間層Ly2は、入力層Ly1から伝達されるデータに基づいて画像IMの特徴量を抽出して後段の層へ出力する層である。出力層Ly3は、クラス判別の結果を出力する層である。中間層Ly2は、1つであってもよいし、複数であってもよい。また、他の実施形態では、機械学習モデル52は、クラス判別を行うことができれば他のアルゴリズムを用いてもよく、例えばランダムフォレストであってもよい。
【0015】
図2に示す教師データ群LIMGは、機械学習モデル52の学習に用いられる。教師データ群LIMGは、学習画像と学習画像に関連付けられたラベルとを有する教師データLIMを複数有する。教師データ群LIMGの詳細は後述する。評価対象画像群EIMGは、学習済み機械学習モデル52によってクラス判別される対象となるデータの集合である。評価対象画像群EIMGが有する評価対象画像は、撮像装置90によって農作物を撮像した画像を元に生成された画像であり、本実施形態ではブドウの葉が撮像されている。教師データ群LIMGの詳細については後述する。
【0016】
図1に示すように、プロセッサー30は、記憶装置50に記憶された各種プログラム58を実行することで、画像取得部32と、画像処理部40と、モデル生成部41と、推定部42と、ヒートマップ生成部44と、表示制御部46として機能する。
【0017】
画像取得部32は、撮像装置90によって撮像された画像を取得する。取得した画像は記憶装置50に記憶される。画像取得部32は、学習画像取得部34と評価画像取得部36とを有する。学習画像取得部34は、機械学習モデル52の学習に用いられる学習画像の元となる学習原画像を取得する。評価画像取得部36は、学習済み機械学習モデル52に入力されてクラス判別される評価対象画像の元となる評価原画像を取得する。
【0018】
画像処理部40は、画像の一部を抽出する抽出処理や、2つの画像を重ね合わせる重畳処理などの画像処理を行う。画像処理部40は、例えば、学習原画像を画像処理して複数の学習画像を生成したり、評価原画像を画像処理して複数の評価対象画像を生成したりする。複数の学習画像はそれぞれラベルが関連付けられて教師データを構成する。
【0019】
モデル生成部41は、学習前の機械学習モデル52に教師データ群LIMGの複数の教師データLIMを入力して機械学習モデル52の学習を実行する。
【0020】
推定部42は、学習済み機械学習モデル52に評価対象画像群EIMGが有する評価対象画像を入力して出力層Ly3から出力されたクラス判別の結果に応じて評価農作物であるブドウの葉の状態を推定する。本実施形態では、推定部42は、評価農作物であるブドウの葉について、生育に異常が生じていない生育良好状態と、生育に異常が生じている生育異常状態とのいずれかの状態であると推定する。
【0021】
ヒートマップ生成部44は、学習済み機械学習モデル52でクラス判別を実行した場合において、クラス判別の寄与の程度を示すヒートマップを生成する。ヒートマップ生成部44は、例えば、Grad-CAMによる手法を用いてヒートマップを生成する。
【0022】
表示制御部46は、表示部70の動作を制御する。表示制御部46は、例えば、評価対象画像や、学習済み機械学習モデル52によるクラス判別の結果や、推定部42による推定結果を表示する。
【0023】
図4は、推定装置20が実行する推定方法のフローチャートを示す図である。まず、プロセッサー30は、ステップS10において、学習画像を取得する工程を実行する。次いでプロセッサー10はステップS20において、取得された学習画像にラベルを関連付けて教師データLIMを生成する。なお、学習画像にラベルを関連付ける作業は、ユーザーが行ってもよい。この場合、プロセッサー10は、ユーザーによって学習画像にラベルが関連付けられて生成された複数の教師データLIMの入力を受け付けて、記憶装置50に教師データ群LIMGとして記憶させることでステップS20を実行する。
【0024】
次いで、ステップS30において、プロセッサー30は教師データ群LIMGの教師データLIMを順次、機械学習モデル52に入力することで機械学習モデル52の学習を実行する。次いでプロセッサー10は、ステップS50において、評価対象画像を取得する評価対象取得工程を実行する。評価対象画像は、学習済み機械学習モデル52によってクラス判別することで評価する対象となる画像であり、学習画像として撮像された農作物の葉と同種の評価農作物の葉の画像である。同種の農作物とは、種類が同じ農作物であれば、品種が同じであっても異なっていてもよい。同種の評価農作物とは、例えば、同じ農園で育成されている次シーズンの同じ品種や異なる品種のブドウであったり、異なる農園で育成されている同じ品種や異なる品種のブドウであったりする。ステップS50の次に、プロセッサー30は、農作物であるブドウの状態を推定する推定工程を実行する。
【0025】
図5は、ステップS10の詳細フローチャートを示す図である。図6は、第1主農作物画像を示す図である。図7は、第2主農作物画像を示す図である。図8は、ステップS114を説明するための図である。図9は、図4に示すステップS20を説明するための図である。なお、図8以上における農作物の画像は簡略化するためにハッチングを付して模式的に表している。
【0026】
図5に示すように、学習画像取得部34および画像処理部40は、ステップS112において撮像装置90によって撮像された第1主農作物画像IMp1を取得する。第1主農作物画像IMp1は、農作物であるブドウの葉が第1状態を示す第1時期にブドウの葉を撮像した画像である。第1状態は、ブドウを収穫できる状態よりも前の状態である成長前状態である。例えば、第1状態は、芽が出始めて葉の成長途中の状態である。例えば、第1状態は、5月~7月のいずれかの時期におけるブドウの葉の状態である。第1主農作物画像IMp1に対応する主領域MRは、学習画像である後述する第1農作物画像に対応する領域よりも広い。図6に示すように、第1主農作物画像IMp1は、所定位置に設置された撮像装置90によって複数のブドウの葉を含む農園を撮像した全体画像IMWから、ブドウの葉が主に撮像された主領域MRを抽出した画像である。第1主農作物画像IMp1には、ブドウの葉の画像が複数、すなわち大量に存在する。農園を撮像した学習原画像としての全体画像IMWには、ブドウ以外の画像である風景や建物などの他オブジェクトが含まれる場合がある。この場合、画像処理部40は、学習画像取得部34によって取得された全体画像IMWから所定の主領域MRを抽出し、主領域の画像を第1主農作物画像IMp1として生成することで取得する。取得された第1主農作物画像IMp1は、記憶装置50に記憶される。
【0027】
ステップS112の次に、学習画像取得部34および画像処理部40は、ステップS114において撮像装置90によって撮像された第2主農作物画像IMp2を取得する。図7に示すように第2主農作物画像IMp2は、第1主農作物画像IMp1と同じブドウの葉であって第2状態を示すブドウの葉を撮像した画像である。第2状態は、第1状態とは異なる状態であり、第1時期よりも後の第2時期のブドウの葉の状態である。本実施形態では、第2状態は、農作物であるブドウが収穫できる状態である成長後状態を示す。例えば、第2状態は、8月~10月のいずれかの時期におけるブドウの状態である。なお、第2主農作物画像IMp2は、第1主農作物画像IMp1と同じように所定位置に設置された撮像装置90によって撮像した学習原画像である全体画像IMWから、所定の主領域MRを抽出することで生成される。第2主農作物画像IMp2には、ブドウの葉の画像が複数、すなわち大量に存在する。なお、第1主農作物画像IMp1と第2主農作物画像IMp2とを区別することなく用いる場合には、主農作物画像IMpと呼ぶ。また、本実施形態では、第1主農作物画像IMp1と第2主農作物画像IMp2のそれぞれのサイズは、1240×104画素である。
【0028】
図5に示すように、ステップS114の次にステップS116において、画像処理部40は、ステップS112によって取得した第1主農作物画像IMp1を分割して複数の第1農作物画像を生成する。またステップS116において、画像処理部40は、ステップS114によって取得した第2主農作物画像IMp2を分割して複数の第2農作物画像を生成する。画像処理部40は、生成した複数の第1農作物画像および複数の第2農作物画像を記憶装置50に記憶する。
【0029】
図8に示すように、ステップS116において、画像処理部40は、主農作物画像IMpを予め定めたパッチサイズで分割して、複数のパッチ画像としての複数の農作物画像PIMを切り出すことで、農作物画像PIMを生成する。切り出された複数の農作物画像PIMは記憶装置50に記憶される。本実施形態において、切り出す領域PRのパッチサイズPSは32×32画素である。また画像処理部40は切り出す領域PRを4画素ずつずらしながら、画像を切り出す。なお、パッチサイズPSの大きさは上記に限定されるものではないが、切り出した画像のそれぞれに、機械学習モデル52の学習対象となるブドウの葉の画像が少なくとも1つ以上含んでいる程度の大きさであることが好ましい。農作物画像PIMのうちで、第1主農作物画像IMp1を用いて生成された画像を第1農作物画像PIMaと呼び、第2主農作物画像IMp2を用いて生成された画像を第2農作物画像PIMbと呼ぶ。また、複数の第1農作物画像PIMaのそれぞれや、複数の第2農作物画像PIMbのそれぞれを区別する場合には、末尾に数字を付す。以上のように、図5に示すステップS116は、第1主農作物画像IMp1と第2主農作物画像IMp2のそれぞれを予め定められたパッチサイズPSで分割して、複数の第1農作物画像PIMaおよび複数の第2農作物画像PIMbを生成する工程である。複数の第1農作物画像PIMaおよび複数の第2農作物画像PIMbは、機械学習モデル52を学習するための学習画像として用いられる。第1主農作物画像IMp1および第2主農作物画像IMp2は、上述のごとく同じブドウの葉についての成長前後の画像である。また上述のごとく、第1農作物画像PIMaと第2農作物画像PIMbとはそれぞれ、同一のブドウの葉を撮像した画像である。
【0030】
以上から理解できるように、図5に示すステップS112およびステップS114は、後述する第1農作物画像PIMaおよび第2農作物画像PIMbのそれぞれに対応した撮像領域であるパッチサイズPSよりも広い主領域MRであって、農作物であるブドウの葉が位置する主領域MRのブドウの葉を撮像して第1主農作物画像IMp1および第2主農作物画像IMp2を取得する工程である。
【0031】
図9に示すように、教師データ群LIMGについて、学習画像としての第1農作物画像PIMaおよび第2農作物画像PIMbは、ラベルLBを関連付けることで教師データLIMを構成する。ラベルの関連付けは、予め定めたラベルアルゴリズムによってプロセッサー30が行ってもよい。プロセッサー30は、第1時期に撮像された第1主農作物画像IMp1を切り出して生成した第1農作物画像PIMaに対して第1状態を示す第1ラベルL1を関連付ける。またプロセッサー30は、第2時期に撮像された第2主農作物画像IMp2を切り出して生成した第2農作物画像PIMbに対して第2状態を示す第2ラベルL2を関連付ける。なお、ラベルL1,L2を関連付ける作業は、プロセッサー30に代えてユーザーが行ってもよい。
【0032】
モデル生成部41は、図4に示すステップS30において、教師データ群LIMGが有する複数の教師データLIMを機械学習モデル52に入力して、出力層Ly3のクラス判別結果がラベルL1,L2を再現するように、機械学習モデル52のパラメーターを調整する。これにより、モデル生成部41は、ステップS30において機械学習モデル52の学習を実行する。すなわち、モデル生成部41は、第1状態を示す第1ラベルL1を関連付けた第1農作物画像PIMaと、第2状態を示す第2ラベルL2を関連付けた第2農作物画像PIMbとをそれぞれ教師データLIMとして、機械学習モデル52の学習を実行して学習済み機械学習モデル52を生成する。
【0033】
図10は、図4に示すステップS50を説明するための図である。ステップS50において取得される評価対象画像としての第3農作物画像EIMは、図8に示すような第1農作物画像PIMaや第2農作物画像PIMbと同様の方法で取得される。つまり、まず評価画像取得部36は、農作物画像PIMが表す農作物と同種の評価農作物であるブドウの葉を含む農園を撮像した全体画像IMWを取得する。そして、画像処理部40は、全体画像IMWから、ブドウの葉が主に撮像された主領域MRを抽出した画像である第3主農作物画像EIMpを生成する。次に画像処理部40は、第3主農作物画像EIMpを予め定めたパッチサイズPSで分割して、複数のパッチ画像としての複数の第3農作物画像EIMを切り出すことで、第3農作物画像EIMを生成する。切り出された複数の第3農作物画像EIMは記憶装置50に記憶される。第3農作物画像EIMに関連する主領域MRの大きさやパッチサイズPSやパッチサイズPSに応じた切り出し領域PRは、第1農作物画像PIMaおよび第2農作物画像PIMbに関連する主領域MRやパッチサイズPSと同じである。本実施形態では、第3主農作物画像EIMpのサイズは、1240×104画素である。また、第3農作物画像EIMについて、切り出す領域PRのパッチサイズPSは32×32画素である。また第3農作物画像EIMについて、画像処理部40は切り出す領域PRを4画素ずつずらしながら、画像を切り出す。複数の第3農作物画像EIMを区別して用いる場合には末尾に数字を付す。
【0034】
ステップS50において、画像処理部40は、生成した複数の第3農作物画像EIMに対して付加情報AIを関連付ける。付加情報は、例えば、第3主農作物画像EIMp中における位置を特定するための位置情報である。位置情報は、例えば、32×32画素のうちの特定の画素における座標位置である。この位置情報は、第3農作物画像EIMを元に生成されたヒートマップを、第3主農作物画像EIMpに重畳させる場合に利用される。以上のように、ステップS50は、第1農作物画像PIMaおよび第2農作物画像PIMbの撮像元である農作物と同種の評価農作物を撮像した第3農作物画像EIMを取得する工程である。
【0035】
図11は、図4に示すステップS70の詳細フローチャートを示す図である。図12は、推定画像HIMを示す図である。図11に示すように、まず推定部42は、ステップS72において、複数の第3農作物画像EIMの1つを選択して、選択した第3農作物画像EIMを学習済み機械学習モデル52に入力する。これにより、学習済み機械学習モデル52の出力層Ly3よりクラス判別の結果が出力される。クラス判別の結果は、対象となる第3農作物画像EIMに関連付けて記憶装置50に記憶される。
【0036】
次に推定部42は、ステップS74において、1つの第3主農作物画像EIMpから生成した全ての第3農作物画像EIMを学習済み機械学習モデル52に入力したか否かを判定する。ステップS74において「No」の判定が成された場合には、推定部42は再びステップS72の処理を実行して、前回までのルーチンによって選択されなかった第3農作物画像EIMを選択する。
【0037】
一方で、ステップS74において「Yes」の判定が成された場合には、ステップS76において、推定部42は、クラス判別の結果に応じて評価農作物、詳細には評価農作物の葉の状態を推定する。具体的には、推定部42は、クラス判別の結果が第1ラベルを示す結果である場合には、第3農作物画像EIMに写った、すなわち第3農作物画像EIMの撮像領域内の評価農作物の状態を、生育に異常が生じている生育異常状態であると推定する。一方で、推定部42は、クラス判別の結果が第2ラベルを示す結果である場合には、第3農作物画像EIMに写った評価農作物の状態を、生育に異常が生じていない生育正常状態であると推定する。なお、ステップS74とステップS76の順番は逆であってもよい。
【0038】
また、上記のステップS76では、推定部42は、第3主農作物画像EIMpの一部を切り出して生成した第3農作物画像EIMごとに評価農作物の状態を推定していたが、互いに隣接する所定区画領域の画像である複数の第3農作物画像EIMをまとめて評価することで評価農作物の状態を推定してもよい。例えば、推定部42は、所定区画領域の複数の第3農作物画像EIMのクラス判別結果について、第1ラベルL1を示す数が所定区画領域の複数の第3農作物画像EIMの総数に対して一定割合以上である場合には、所定区画領域にある評価農作物の状態を、生育異常状態であると判定してもよい。
【0039】
ステップS76の次にステップS78において、ヒートマップ生成部44は、複数の第3農作物画像EIMのそれぞれについて、中間層Ly2で生成された特徴量マップに基づいて、クラス判別の寄与の程度に応じて強調表示されたヒートマップを生成する。本実施形態では、ヒートマップは、ラベルL1にクラス判別された第3農作物画像EIMについて、クラス判別の寄与した程度に応じて各画素を色分け表示する。具体的には、ヒートマップ生成部44は、ラベルL1のクラス判別の寄与した程度が低い画素は青色で表示し、寄与した程度が高いほど赤色に近づくように表示する。つまり、ヒートマップは、ラベルL1のクラス判別の寄与の程度を示す。
【0040】
ステップS78の次にステップS80において、ヒートマップ生成部44は複数の第3農作物画像EIMにヒートマップを重畳することで推定画像を生成する。本実施形態では、ステップS80において、ヒートマップ生成部44は、複数の第3農作物画像EIMのそれぞれのヒートマップと、第3農作物画像EIMに関連付けられた位置情報とをもとに、各ヒートマップを第3農作物画像EIMの生成元である図11に示す第3主農作物画像EIMpに重畳させることで推定画像HIMを生成する。
【0041】
図12では、第3主農作物画像EIMpをシングルハッチングで模式的に示し、ヒートマップHPによって色分けにより強調表示された領域をクロスハッチングで模式的に示している。クロスハッチングはヒートマップHPで強調表示された領域を示す。またクロスハッチングのハッチングが細かいほど、ラベルL1に対する寄与の程度が高く赤色表示されていることを示す。図12に示す推定画像HIMでは、領域R1と領域R2に位置するブドウの葉が生育異常状態の可能性が最も高いことを示す。
【0042】
図11に示すように、ステップS80の次に、表示制御部46は、推定画像HIMを表示部70に表示する。なお、表示制御部46は、推定画像HIMに加えて、推定画像HIMを説明する説明情報を表示部70に表示させてもよい。説明情報は、例えば、生育異常状態が発生していると推定された領域の位置情報と、生育異常であることを説明する文字情報などがある。
【0043】
上記第1実施形態によれば、図5および図9に示すように、第1時期に撮像した第1農作物画像PIMaに第1ラベルL1を関連付け、第2時期に撮像した第2農作物画像PIMbに第2ラベルL2を関連付けて機械学習モデル52の学習に用いる教師データLIMとしている。これにより、実際に生育に異常が生じているか否かを判断する必要がなく、撮像時期に応じてラベル付けを容易に行うことができる。よって、機械学習モデル52の教師データを準備する時間が長くなることを抑制できるので、学習済み機械学習モデル52を生成するまでの時間を短縮できる。
【0044】
また上記第1実施形態によれば、農作物の成長前後の状態の画像を教師データLIMとし、農作物の成長前の状態である第1状態を第1ラベルL1として、クラス判別の結果が第1ラベルL1である場合には生育異常状態であると推定できる。つまり、農作物が生育異常状態である場合には、生育が進んであらず、農作物の状態は成長後状態よりも成長前状態に近い状態であると推定できる。よって、教師データLIMのために、生育が異常である農作物画像と、生育が良好である農作物画像とを準備することに代えて、農作物の成長前後である第1時期および第2時期における撮像画像を教師データLIMにできる。よって、生育異常状態を推定するための学習済み機械学習モデル52を容易に生成できる。
【0045】
また上記第1実施形態によれば、図5および図8に示すように、主領域MRに位置する農作物の画像を第1主農作物画像IMp1および第2主農作物画像IMp2とし、第1主農作物画像IMp1および第2主農作物画像IMp2を用いて複数の第1農作物画像PIMaおよび複数の第2農作物画像PIMbを生成している。これにより、複数の第1農作物画像PIMaおよび複数の第2農作物画像PIMbのそれぞれの画像を撮像して教師データLIMを生成する場合よりも、教師データLIMを容易に生成できる。また上記第1実施形態によれば、図11のステップS80,S82および図12に示すように、ヒートマップHPと複数の第3農作物画像EIMの生成元である第3主農作物画像EIMpとを重畳することで生成した推定画像HIMを生成して出力している。これにより、ユーザーは推定画像HIMによってクラス判別、詳細には生育異常状態に対応した第1ラベルL1のクラス判別に寄与した領域を容易に判別できる。よって、ユーザーは、生育異常状態が発生している位置を容易に特定して、農作物の生育状態の確認および対処を円滑に行うことができる。
【0046】
B.第2実施形態:
図13は、第2実施形態の推定方法を示すフローチャートを示す図である。図14は、図13のステップS70aの詳細フローチャートを示す図である。第2実施形態は、第1実施形態の図4および図11に示すステップS50およびステップS70に代えて、図13および図14に示すステップS50aおよびステップS70aを実行する点で異なる。その他の構成およびステップについては第1実施形態と第2実施形態において同一であるので、同一の構成およびステップについては同一符号を付すと共に説明を適宜省略する。
【0047】
図13に示すように、プロセッサー30はステップS50aにおいて、評価対象画像を取得する評価対象取得工程を実行する。評価対象画像は、学習済み機械学習モデル52によってクラス判別することで評価する対象となる画像であり、学習画像として撮像された農作物の葉と同種の評価農作物の葉の画像である。本実施形態では、ステップS50aにおいて、プロセッサー30は、評価農作物であるブドウの葉を含む農園を撮像した全体画像IMWを時系列に複数取得する。本実施形態では、プロセッサー30は、ブドウの葉の成長過程である時系列に並ぶ第1時期t1~第5時期t5における全体画像IMWを取得する。第1時期t1から第5時期に向かうに従い、時期が後になる。そして、画像処理部40は、第1時期t1~第5時期t5における全体画像IMWのそれぞれについて、上記第1実施形態と同様に、ブドウの葉が主に撮像された主領域MRを抽出した画像である第3主農作物画像EIMpを生成する。また、画像処理部40は、第1実施形態の図10に示す処理と同様に、各第3主農作物画像EIMpを予め定めたパッチサイズPSで分割して、複数のパッチ画像としての複数の第3農作物画像EIMを切り出すことで、第3農作物画像EIMを生成する。つまり、ステップS50aは、時系列に複数の第3農作物画像EIMを取得する工程である。
【0048】
図14に示すように、プロセッサー30は、ステップS71において、複数の時期t1~t5の中から1つの時期に応じた複数の第3農作物画像EIMを選択する。次にプロセッサー30は、ステップS72aにおいて、ステップS71において選択した1つの時期に応じた複数の第3農作物画像EIMの中から1つを選択して、選択した第3農作物画像EIMを学習済み機械学習モデル52に入力する。これにより、学習済み機械学習モデル52の出力層Ly3よりクラス判別の結果が出力される。クラス判別の結果は、対象となる第3農作物画像EIMに関連付けて記憶装置50に記憶される。
【0049】
次に推定部42は、ステップS74aにおいて、1つの第3主農作物画像EIMp、すなわち同じ時期tに撮像した第3主農作物画像EIMpから生成した全ての第3農作物画像EIMを学習済み機械学習モデル52に入力したか否かを判定する。ステップS74aにおいて「No」の判定が成された場合には、推定部42は再びステップS72aの処理を実行する。
【0050】
一方で、ステップS74aにおいて「Yes」の判定が成された場合には、ステップS75において、プロセッサー30は、全ての時期t1~t5の第3農作物画像EIMを学習済み機械学習モデル52に入力したか否かを判定する。ステップS75において「No」の判定が成された場合には、プロセッサー30は、再びステップS71の処理を実行し、前回までのルーチンによって選択されなかった時期に応じた複数の第3農作物画像EIMを選択する。
【0051】
一方で、ステップS75において「Yes」の判定が成された場合には、ステップS76aにおいて、推定部42は、クラス判別の結果に応じて評価農作物、詳細には評価農作物の葉の状態を推定する。具体的には、推定部42は、同じ領域、すなわち同じ位置情報が関連付けられた時系列に並ぶ複数の第3農作物画像EIMに対して、クラス判別の結果がN回連続で第1ラベルを示す場合には、第3農作物画像EIMに写った評価農作物の状態を、生育に異常が生じている生育異常状態であると推定する。ここで、「N」の下限値は2以上の整数であり、上限値は時期t1~t5の撮影回数である。本実施形態では、「N」は「3」に設定されている。
【0052】
図15は、図14のステップ76aの具体例を説明するための図である。図15では、位置が異なる2つの第3農作物画像EIM20,EIM28を対象にステップS76aが実行された場合を例に示している。第3農作物画像EIM20について、時期t1,t2ではラベルL1の判別結果であったが、その後の時期t3~t5ではラベルL2の判別結果であった。よって、推定部42は、時系列に3回連続でラベルL1の判別結果ではないため、第3農作物画像EIM20の領域にあるブドウの葉の状態は、生育良好状態であると推定する。一方で、第3農作物画像EIM28について、時期t1~t5の全ての時期においてラベルL1の判別結果であった。よって、推定部42は、時系列に3回連続でラベルL1の判別結果であるため、第3農作物画像EIM28の領域にあるブドウの葉の状態は、生育異常状態であると推定する。
【0053】
上記のように、第2実施形態では、推定装置20は、同じ領域を異なる時期において撮像した複数の第3農作物画像EIMをそれぞれ学習済み機械学習モデル52に入力してクラス判別を行う。そして推定装置20は、少なくとも時系列に2以上並んだ第3農作物画像EIMのそれぞれのクラス判別の結果が第1ラベルである場合には、評価農作物の状態を生育に異常が生じている生育異常状態であると推定する。なお、ステップS76aは、ステップS74aおよびステップS75の前に行ってもよい。すなわち、1つの第3農作物画像EIMが学習済み機械学習モデル52に入力されるごとにステップS76aを実行してもよい。こうすることで、ユーザーは、よりリアルタイムで評価農作物の状態の推定結果を知ることができる。
【0054】
図14に示す第2実施形態におけるステップS78~ステップS82の処理は、処理対象が複数の時期t1~t5に撮像して生成された第3農作物画像EIMごとに実行される点でのみ異なるため、詳細な説明は省略する。例えば、ステップS80において生成される推定画像HIMは、撮像時期t1~t5の第3主農作物画像EIMpごとに生成される。
【0055】
上記第2実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の構成およびステップを有する点において第1実施形態と同様の効果を有する。例えば、撮像時期に応じてラベル付けを容易に行うことができ、機械学習モデル52の教師データLIMを準備する時間が長くなることを抑制できるので、学習済み機械学習モデル52を生成するまでの時間を短縮できる。
【0056】
また上記第2実施形態によれば、推定部42は、図15に示すように、少なくとも時系列に2以上並んだ第3農作物画像EIM28のそれぞれのクラス判別の結果が第1ラベルL1である場合に生育異常状態であると推定している。ここで、撮像時間帯や天候などの外乱によって第3農作物画像EIM28が本来予定している画像ではないために、学習済み機械学習モデル52のクラス判別が誤って行われる場合が生じ得る。しかしながら、本実施形態では、推定部42は、2回以上連続で第1ラベルL1とクラス判別されない限り、生育異常状態であるとは推定しない。よって、1つの時期に撮像された第3農作物画像EIM28を用いて状態を推定する場合よりも推定精度をより向上できる。
【0057】
C.第3実施形態:
図16は、第3実施形態の教師データ群LIMGaを示す図である。第1実施形態および第2実施形態との主な違いは、農作物画像PIMに関連付けられる状態、すなわちラベルL1a,L2bの内容と、推定部42が実行する推定工程の内容である。第3実施形態において、第1実施形態および第2実施形態と同様の構成およびステップについては適宜説明を省略する。第3実施形態では、推定部42は、撮像された時期が異なる複数の第3農作物画像EIMに応じたクラス判別の結果を用いて、予め定めた状態が発生した時期を推定する。
【0058】
図16に示すように、複数の第1農作物画像PIMAは、第1状態を示す第1時期に撮像されたブドウの葉を含む画像である。複数の第2農作物画像PIMAは、第1農作物画像PIMAの撮像対象と同一のブドウの葉を含む画像である。複数の第2農作物画像PIMBは、第2状態を示す第2時期に撮像されたブドウの葉を含む画像である。複数の第1農作物画像PIMAおよび複数の第2農作物画像PIMBの生成方法は、図8に示す上記第1実施形態と同様に、ブドウ農園の大きな領域PRを撮像した主農作物画像を予め定めたパッチサイズPSで分割して、複数のパッチ画像としての複数の農作物画像PIMを切り出す方法が用いられる。
【0059】
本実施形態において、第1状態は、ブドウの葉がある程度成長した状態であって、かつ、ブドウの葉に異常がほとんど発生していない状態である。本実施形態では、べと病が生じている場合に、ブドウの葉に異常が発生しているとする。つまり、複数の第1農作物画像PIMAは、べと病が発生していない第1時期にブドウの葉を撮像した画像である。本実施形態において、第2状態は、予め定めた状態と関連した状態であり、ブドウの葉がある程度成長した状態であって、かつ、ブドウの葉に異常が発生した状態である。つまり、複数の第2農作物画像PIMBは、べと病が発生した第2に時期にブドウの葉を撮像した画像である。本実施形態において、第1時期は第2時期よりも前の時期であり、例えば第1時期は8月上旬であり、第2時期は8月中旬である。ブドウの葉に異常が発生したかどうかは、例えば目視によって判定している。
【0060】
複数の第1農作物画像PIMAにはそれぞれ、第1状態を示す第1ラベルL1aが関連付けられている。複数の第2農作物画像PIMBにはそれぞれ、第2状態を示す第2ラベルL2aが関連付けられている。ラベルの関連付けは、ユーザーが行ってもよいし、推定装置20が撮像時期に応じて自動で行ってもよい。
【0061】
第1農作物画像PIMAと第1ラベルL1aとのセットや、第2農作物画像PIMBと第2ラベルL2aとのセットはそれぞれ、教師データLIMaを構成する。複数の教師データLIMaは、教師データ群LIMGaとして記憶装置50に記憶される。教師データ群LIMGaの各教師データLIMaは、上記第1実施形態と第2実施形態と同様に、機械学習モデル52の学習に用いられる。
【0062】
図17は、第3実施形態における推定工程のフローチャートを示す図である。図18は、図17のステップS76bとステップS77を説明するための図である。図17に示すステップS70bの推定方法は、図14に示すステップS70aに対してステップS76bとステップS77とが異なる。よって、第3実施形態のステップS70bについては、第2実施形態のステップS70aに対いて異なる点を主に説明する。なお、第3実施形態は、第2実施形態の図13に示すステップS50aと同様の方法によって、撮像時期t1~t5が異なる複数の第3農作物画像EIMが生成される。
【0063】
図17に示すステップS75において「Yes」の判定が成された場合には、ステップS76bにおいて、推定部42は、クラス判別の結果に応じて評価農作物、詳細には評価農作物の葉の状態を推定する。具体的には、推定部42は、同じ領域、すなわち同じ位置情報を有する撮像時期が異なる複数の第3農作物画像EIMについて、学習済み機械学習モデル52によって第2ラベルL2aであるとクラス判別が成された第3農作物画像EIMを選択する。そして推定部42は選択した第3農作物画像EIMのうちで、最も撮像時期が早い時期を特定時期として特定する。例えば、図18に示すように、第3農作物画像EIM20において、時期t3~時期t5に撮像された画像に対して第2ラベルLa2のクラス判別が学習済み機械学習モデル52で成されている場合、推定部42は、時期t3を特定時期として特定する。また例えば、第3農作物画像EIM28において、時期t4,t5に撮像された画像に対して第2ラベルLa2のクラス判別が学習済み機械学習モデル52で成されている場合、推定部42は、時期t4を特定時期として特定する。
【0064】
図17に示すように、ステップS76bの次にステップS77において、推定部42は、特定時期を用いて第3農作物であるブドウの葉について予め定めた状態が発生した時期を特定する。予め定めた状態は、第2ラベルL2aで表された第2状態に関連した状態であり、本実施形態ではブドウの葉に異常が発生した状態を示す。また、本実施形態では、図18に示すように、推定部42は、特定時期を予め定めた状態が発生した時期であると推定する。つまり、推定部42は、第3農作物画像EIM20に写った評価農作物の状態について、時期t3に異常状態であるべと病が発生したと推定する。また推定部42は、第3農作物画像EIM28に写った評価農作物の状態について、時期t4に異常状態であるべと病が発生したと推定する。なお、本実施形態では、推定部42は特定時期を異常状態が発生した時期としていたがこれに限定されるものではない。例えば、推定部42は、第1ラベルL1aとクラス判別されたうちで最も時期が遅い時期と、特定時期との間の時期を異常状態が発生した時期として推定してもよい。例えば、図18に示す第3農作物画像EIM28について、推定部42は、第1ラベルL1aとクラス判別されたうちで最も時期が遅い時期t3と、特定時期t4との間の時期を異常状態が発生した時期として推定してもよい。
【0065】
また、本実施形態において、プロセッサー30の表示制御部46は、推定部42が推定した推定結果を表示部70に表示してもよい。例えば、表示制御部46は、予め定めた状態としてのべと病が発生した時期と、評価農作物のうちでべと病が発生している領域とを示す情報を表示部70に表示させてもよい。
【0066】
上記のように第3実施形態によれば、推定部42は、同じ領域の撮像時期が異なる複数の第3農作物画像EIMをそれぞれ学習済み機械学習モデル52に入力してクラス判別を行い、複数の第3農作物画像EIMに応じたクラス判別の結果を用いて、予め定めた状態が発生した時期を推定する。
【0067】
上記第3実施形態によれば、上記第1実施形態または第2実施形態と同様の構成およびステップを有する点において第1実施形態または第2実施形態と同様の効果を有する。例えば、撮像時期に応じてラベル付けを容易に行うことができ、機械学習モデル52の教師データを準備する時間が長くなることを抑制できるので、学習済み機械学習モデル52を生成するまでの時間を短縮できる。
【0068】
また上記第3実施形態によれば、図17のステップS76bおよびステップS77、図18に示すように、時系列に取得された複数の第3農作物画像EIM20,EIM28のクラス判別の結果を用いて、予め定めた状態である異常状態が発生した時期を容易に推定できる。また上記第3実施形態によれば、特定時期を予め定めた状態が発生した時期であるとしているので、予め発生した時期の推定をより容易に行うことができる。
【0069】
D.他の実施形態:
D-1.他の実施形態1:
上記各実施形態では、状態を推定する農作物はブドウであったが、これに限定されるものではない。例えば、状態を推定する農作物は、りんごや苺などの他の農作物であってもよい。
【0070】
E.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態(aspect)によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0071】
(1)本開示の第1形態によれば、農作物の状態を推定する方法が提供される。この方法は、前記農作物が第1状態を示す第1時期に前記農作物を撮像した第1農作物画像と、同一の前記農作物が第2状態を示す前記第1時期よりも後の第2時期で前記同一の前記農作物を撮像した第2農作物画像と、を取得する学習画像取得工程と、前記第1状態を示す第1ラベルを関連付けた前記第1農作物画像と、前記第2状態を示す第2ラベルを関連付けた前記第2農作物画像とをそれぞれ教師データとして、機械学習モデルの学習を実行して学習済み機械学習モデルを生成するモデル生成工程と、前記農作物と同種の評価農作物を撮像した第3農作物画像を取得する評価画像取得工程と、前記第3農作物画像を前記学習済み機械学習モデルに入力してクラス判別を行い、前記クラス判別の結果に応じて前記評価農作物の状態を推定する推定工程と、を備える。この形態によれば、第1時期に撮像した第1農作物画像に第1ラベルを関連付け、第2時期に撮像した第2農作物画像に第2ラベルを関連付けて機械学習モデルの学習に用いる教師データとしている。これにより撮像時期に応じてラベル付けを容易に行うことができるので、機械学習モデルの教師データを準備する時間が長くなることを抑制できるので、学習済み機械学習モデルを生成するまでの時間を短縮できる。
【0072】
(2)上記形態において、前記第1状態は、前記農作物が収穫できる状態よりも前の状態である成長前状態を示し、前記第2状態は、前記農作物が収穫できる状態である成長後状態を示し、前記推定工程は、前記クラス判別の結果が前記第1ラベルである場合には、前記評価農作物の状態を生育に異常が生じている生育異常状態であると推定してもよい。この形態によれば、農作物の成長前後の状態の画像を教師データとし、農作物の成長前の状態を第1ラベルとして、クラス判別の結果が第1ラベルである場合には生育異常状態であると推定できる。つまり、農作物が生育異常状態である場合には、農作物の状態は成長後状態よりも成長前状態に近い状態であると推定できる。よって、教師データのために、生育が異常である農作物画像と、生育が良好である農作物画像をわざわざ準備することに代えて、農作物の成長前後の画像を教師データとすることで、生育異常状態を推定するための学習済み機械学習モデルを容易に生成できる。
【0073】
(3)上記形態において、前記評価画像取得工程は、時系列に複数の前記第3農作物画像を取得する工程を含み、前記第1状態は、前記農作物が収穫できる状態よりも前の状態である成長前状態を示し、前記第2状態は、前記農作物が収穫できる状態である成長後状態を示し、前記推定工程は、前記複数の第3農作物画像をそれぞれ前記学習済み機械学習モデルに入力してクラス判別を行い、少なくとも時系列に2以上並んだ前記第3農作物画像のそれぞれの前記クラス判別の結果が前記第1ラベルである場合には、前記評価農作物の状態を生育に異常が生じている生育異常状態であると推定してもよい。この形態によれば、少なくとも時系列に2以上並んだ第3農作物画像のそれぞれのクラス判別の結果が第1ラベルである場合に生育異常状態であると推定することで、1つの時期に撮像された第3農作物画像を用いて状態を推定する場合よりも推定精度をより向上できる。
【0074】
(4)上記形態において、前記評価画像取得工程は、時系列に複数の前記第3農作物画像を取得する工程を含み、前記推定工程は、前記複数の第3農作物画像をそれぞれ前記学習済み機械学習モデルに入力してクラス判別を行い、前記複数の第3農作物画像に応じた前記クラス判別の結果を用いて、予め定めた状態が発生した時期を推定してもよい。この形態によれば、時系列に取得された複数の第3農作物画像のクラス判別の結果を用いて、予め定めた状態が発生した時期を容易に推定できる。
【0075】
(5)上記形態において、前記予め定めた状態は、前記第2状態に関連した状態であり、前記推定工程は、前記複数の第3農作物画像に応じた前記クラス判別の結果において、前記第2ラベルであると前記クラス判別が成された前記第3農作物画像のうちで、最も早い時期に撮像された特定時期を特定し、前記特定時期を用いて前記予め定めた状態が発生した時期を推定してもよい。この形態によれば、特定時期を用いて予め定めた状態が発生した時期を容易に推定できる。
【0076】
(6)上記形態において、前記推定工程は、前記特定時期を前記予め定めた状態が発生した時期であると推定してもよい。この形態によれば、予め定めた状態が発生した時期の推定をより容易に行うことができる。
【0077】
(7)上記形態において、
この形態によれば、主領域に位置する農作物の画像を用いて複数の農作物画像を生成できるので、教師データを容易に生成できる。
【0078】
(8)上記形態において、前記学習画像取得工程は、前記第1農作物画像および前記第2農作物画像のそれぞれに対応した撮像領域よりも広い主領域であって、前記農作物が位置する主領域の前記農作物を撮像して第1主農作物画像および第2主農作物画像を取得する工程と、前記第1主農作物画像と前記第2主農作物画像のそれぞれを予め定めたパッチサイズで分割して、複数の前記第1農作物画像および複数の前記第2農作物画像を生成する工程と、を備える。この形態によれば、推定画像によってユーザーがクラス判別に寄与した領域を容易に判別できる。
【0079】
(9)本開示の第2形態によれば、農作物の状態を推定する装置が提供される。この装置は、前記農作物が第1状態を示す第1時期に前記農作物を撮像した第1農作物画像と、同一の前記農作物が第2状態を示す前記第1時期よりも後の第2時期で前記同一の前記農作物を撮像した第2農作物画像と、を取得する学習画像取得部と、前記第1状態を示す第1ラベルを関連付けた前記第1農作物画像と、前記第2状態を示す第2ラベルを関連付けた前記第2農作物画像とをそれぞれ教師データとして、機械学習モデルの学習を実行して学習済み機械学習モデルを生成するモデル生成部と、前記農作物と同種の評価農作物を撮像した第3農作物画像を取得する評価画像取得部と、前記第3農作物画像を前記学習済み機械学習モデルに入力してクラス判別を行い、前記クラス判別の結果に応じて前記評価農作物の状態を推定する推定部と、を備える。この形態によれば、第1時期に撮像した第1農作物画像に第1ラベルを関連付け、第2時期に撮像した第2農作物画像に第2ラベルを関連付けて機械学習モデルの学習に用いる教師データとしている。これにより撮像時期に応じてラベル付けを容易に行うことができるので、機械学習モデルの教師データを準備する時間が長くなることを抑制できるので、学習済み機械学習モデルを生成するまでの時間を短縮できる。
【0080】
(10)本開示の第3形態によれば、農作物の状態をコンピューターに推定させるためのコンピュータープログラムであって、前記農作物が第1状態を示す第1時期に前記農作物を撮像した第1農作物画像と、同一の前記農作物が第2状態を示す前記第1時期よりも後の第2時期で前記同一の前記農作物を撮像した第2農作物画像と、を取得する学習画像取得機能と、前記第1状態を示す第1ラベルを関連付けた前記第1農作物画像と、前記第2状態を示す第2ラベルを関連付けた前記第2農作物画像とをそれぞれ教師データとして、機械学習モデルの学習を実行して学習済み機械学習モデルを生成するモデル生成機能と、前記農作物と同種の評価農作物を撮像した第3農作物画像を取得する評価画像取得機能と、前記第3農作物画像を前記学習済み機械学習モデルに入力してクラス判別を行い、前記クラス判別の結果に応じて前記評価農作物の状態を推定する推定機能と、をコンピューターに実行させる。この形態によれば、第1時期に撮像した第1農作物画像に第1ラベルを関連付け、第2時期に撮像した第2農作物画像に第2ラベルを関連付けて機械学習モデルの学習に用いる教師データとしている。これにより撮像時期に応じてラベル付けを容易に行うことができるので、機械学習モデルの教師データを準備する時間が長くなることを抑制できるので、学習済み機械学習モデルを生成するまでの時間を短縮できる。
【0081】
本開示は、上記以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、コンピュータープログラムを記録した一時的でない記録媒体(non-transitory storage medium)の形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0082】
10…プロセッサー、20…推定装置、30…プロセッサー、32…画像取得部、34…学習画像取得部、36…評価画像取得部、40…画像処理部、41…モデル生成部、42…推定部、44…ヒートマップ生成部、46…表示制御部、50…記憶装置、52…機械学習モデル、58…各種プログラム、60…入力部、70…表示部、90…撮像装置、100…推定システム、160…表示部、AI…付加情報、EIM,EIM20,EIM28…第3農作物画像、EIMG…評価対象画像群、EIMp…第3主農作物画像、HIM…推定画像、HP…ヒートマップ、IM…画像、IMW…全体画像、IMp…主農作物画像、IMp1…第1主農作物画像、IMp2…第2主農作物画像、L1,L1a…第1ラベル、L2,L2a…第2ラベル、LB…ラベル、LIM…教師データ、LIMG…教師データ群、LIMGa…教師データ群、Ly1…入力層、Ly2…中間層、Ly3…出力層、MR…主領域、PIM…農作物画像、PIMA,PIMa…第1農作物画像、PIMB,PIMb…第2農作物画像、PR…領域、PS…パッチサイズ、R1,R2…領域
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