(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141791
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】シート処理装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/08 20060101AFI20241003BHJP
B65G 47/34 20060101ALI20241003BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20241003BHJP
B26D 7/02 20060101ALI20241003BHJP
B26D 7/20 20060101ALI20241003BHJP
B26D 7/06 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B65H5/08 A
B65H5/08 B
B65G47/34
H01L21/68 N
B26D7/02 B
B26D7/20
B26D7/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053629
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100130638
【弁理士】
【氏名又は名称】野末 貴弘
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西澤 均
(72)【発明者】
【氏名】西村 孝士
(72)【発明者】
【氏名】藤分 浩一郎
【テーマコード(参考)】
3C021
3F015
3F101
5F131
【Fターム(参考)】
3C021CA01
3C021GA03
3F015AA20
3F015BA03
3F015CA02
3F015CA03
3F101CA05
3F101CC05
3F101CC11
3F101CC22
3F101CC29
3F101CE04
3F101LA16
3F101LB10
5F131AA13
5F131AA21
5F131AA23
5F131BA31
5F131BA53
5F131CA07
5F131DA33
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5F131DB22
5F131DB62
5F131DB72
5F131EA05
5F131EA07
5F131EB01
5F131EB62
5F131EB64
(57)【要約】
【課題】長尺状のシートに反りが生じている場合でも、反りを抑制した処理を行うことができるシート処理装置を提供する。
【解決手段】シート処理装置100は、長尺状のシート1を挟んで把持する把持部11と、吸引によってシート1を吸着する吸引部12とを備える搬送部10と、吸引によってシート1を吸着する吸引ステージ21と、吸引ステージ21によって吸着された状態のシート1に対して処理を行う処理部22とを備える。搬送部10は、把持部11がシート1を把持し、かつ、吸引部12がシート1を吸着した状態で、シート1を吸引ステージ21へと搬送する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状のシートを挟んで把持する把持部と、吸引によって前記シートを吸着する吸引部とを備える搬送部と、
吸引によって前記シートを吸着する吸引ステージと、
前記吸引ステージによって吸着された状態の前記シートに対して処理を行う処理部と、
を備え、
前記搬送部は、前記把持部が前記シートを把持し、かつ、前記吸引部が前記シートを吸着した状態で、前記シートを前記吸引ステージへと搬送することを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
前記搬送部は、前記シートの長さ方向、および、前記シートの表面と直交する方向に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記搬送部は、前記シートを前記吸引ステージへと搬送する際、前記シートの表面と直交する方向に移動した後、前記シートの長さ方向に移動することを特徴とする請求項2に記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記搬送部は、前記シートを前記吸引ステージへと搬送する際、前記シートの表面と直交する方向への移動中に、前記シートの長さ方向に移動することを特徴とする請求項2に記載のシート処理装置。
【請求項5】
前記搬送部が前記シートを前記吸引ステージへと搬送した際、前記吸引部は、少なくとも前記吸引ステージによる前記シートの吸引の開始以後に前記シートの吸引を解除することを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項6】
前記吸引部は、前記シートを上方から吸引することによって吸着することを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項7】
前記処理部は、前記シートの切断、前記シートに対する印刷、前記シートに対する吐出物の吐出、前記シートに対する熱処理、前記シートの測定、前記シートの検査、前記シートに対するレーザ加工、前記シートの組立加工、前記シートの積層、および、前記シートの搬送のうちの少なくとも1つの処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項8】
前記吸引部は、前記把持部よりも前記シートの搬送方向の前側に位置することを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項9】
前記把持部は、前記吸引部よりも前記シートの搬送方向の前側に位置することを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項10】
前記吸引部は、前記把持部に対して前記シートの幅方向に並んで設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項11】
前記搬送部は、前記シートの幅方向に並んで2つ設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項12】
前記把持部が前記シートを把持する際に前記シートと接する部分には、弾性体が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項13】
前記搬送部が前記シートを前記吸引ステージへと搬送する際、前記シートには、長さ方向に張力が加えられていることを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項14】
前記シートは、前記シートの長さ方向および幅方向のうちの少なくとも一方の方向に反りが生じていることを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺状のシートに対して処理を行うシート処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
長尺状のシートを搬送して処理を行うシート処理装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、シート状の電極材を把持して、電極材を切断する切断位置まで搬送するハンドを備えた電極製造装置が開示されている。
図12は、特許文献1に記載の電極製造装置200の構成を模式的に示す平面図である。
図13は、特許文献1に記載の電極製造装置200の構成を模式的に示す側面図である。
【0004】
電極製造装置200は、ハンド210と、第1吸着コンベア220と、第2吸着コンベア230と、前端金型240と、後端金型250とを備える。ハンド210は、シート状の電極材260を把持した状態で上方に移動することによって、電極材260を第1吸着コンベア220から浮かした状態で、前端金型240へと搬送する。前端金型240および後端金型250はそれぞれ、長尺状の電極材260を切断する。電極材260の切断時に、電極材260は第1吸着コンベア220によって吸着されて保持される。切断された電極材260は、第2吸着コンベア230によって、前端金型240よりもさらに先へと搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、シート状の電極材260は、幅方向および長さ方向の少なくとも一方の方向に反りが生じている場合がある。特許文献1に記載の電極製造装置200では、ハンド210が電極材260を把持して、切断処理を行う前端金型240まで空中搬送するが、
図12および
図13に示すように、電極材260の前方部分は把持されていない。このため、電極材260に反りが生じている場合には、反りが生じたまま前端金型240へと搬送され、反りが生じた状態の電極材260に対して前端金型240で切断処理が行われることになる。このため、反りに起因して、電極材260が適切に切断されない可能性がある。これは、電極材260に対する処理が切断以外の処理の場合も同様であり、また、処理対象であるシートが電極材260以外の場合も同様である。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するものであり、長尺状のシートに反りが生じている場合でも、反りを抑制した状態で処理を行うことができるシート処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のシート処理装置は、
長尺状のシートを挟んで把持する把持部と、吸引によって前記シートを吸着する吸引部とを備える搬送部と、
吸引によって前記シートを吸着する吸引ステージと、
前記吸引ステージによって吸着された状態の前記シートに対して処理を行う処理部と、
を備え、
前記搬送部は、前記把持部が前記シートを把持し、かつ、前記吸引部が前記シートを吸着した状態で、前記シートを前記吸引ステージへと搬送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のシート処理装置によれば、搬送部は、把持部がシートを把持し、かつ、吸引部がシートを吸着した状態でシートを吸引ステージへと搬送し、吸引ステージでシートを吸着した状態で、処理部によってシートに対して処理を行うので、シートに反りが生じている場合でも、反りを抑制した状態で処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態におけるシート処理装置の全体の構成を模式的に示す側面図である。
【
図2】一実施形態におけるシート処理装置のうち、搬送部の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図3】シート処理装置のうちの搬送部を、吸着面側から見たときの構成を模式的に示す斜視図である。
【
図4】(a)~(c)はそれぞれ、反りが生じているシートの形状を模式的に示す斜視図である。
【
図5】把持部が吸引部よりもシートの搬送方向の前側に位置する場合のシート処理装置の構成を模式的に示す側面図である。
【
図6】(a)は、把持部と吸引部がシートの幅方向に並んで配置されている場合の構成を模式的に示す平面図であり、(b)は、(a)に示す搬送部を矢印Y1の方向に見たときの構成を模式的に示す図である。
【
図7】(a)は、搬送部がシートの幅方向に並んで2つ設けられている場合の構成を模式的に示す平面図であり、(b)は、(a)に示す搬送部を矢印Y2の方向に見たときの構成を模式的に示す図である。
【
図8】(a)~(c)は、一実施形態におけるシート処理装置の動作を説明するための図である。
【
図9】(a)~(c)は、
図8に続いて、一実施形態におけるシート処理装置の動作を説明するための図である。
【
図10】(a)は、シートの搬送方向が斜め方向である場合のシート処理装置の構成を模式的に示す側面図であり、(b)は、シートの搬送方向が鉛直方向である場合のシート処理装置の構成を模式的に示す側面図である。
【
図11】シートに対して第2の平板部が上方に位置し、第1の平板部が下方に位置している場合のシート処理装置の構成を模式的に示す側面図である。
【
図12】特許文献1に記載の電極製造装置の構成を模式的に示す平面図である。
【
図13】特許文献1に記載の電極製造装置の構成を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施形態を示して、本発明の特徴を具体的に説明する。
【0012】
図1は、一実施形態におけるシート処理装置100の全体の構成を模式的に示す側面図である。
図2は、一実施形態におけるシート処理装置100のうち、後述する搬送部10の構成を模式的に示す斜視図である。
図3は、シート処理装置100のうちの搬送部10を、後述する吸着面12a側から見たときの構成を模式的に示す斜視図である。
【0013】
一実施形態におけるシート処理装置100は、搬送部10と、吸引ステージ21と、処理部22とを備える。
【0014】
搬送部10は、長尺状のシート1を挟んで把持する把持部11と、吸引によってシート1を吸着する吸引部12とを備える。
【0015】
長尺状のシート1は、例えば、
図1に示すように、巻き出しローラ2から巻き出されて、搬送部10が配置されている位置へと供給される。シート1の幅は、例えば、50mm以上200mm以下であり、厚みは、例えば、0.05mm以上0.1mm以下である。シート1は、任意の材質からなり、例えば、金属、樹脂およびセラミックのうちの少なくとも1つを含む。シート1は、収縮率の異なる複数種類の材料がシート1の表面と直交する方向に重ねて配置されたものや、外力を解放すると一定の変形を保持し続けるものであってもよい。例えば、シート1は、セラミックグリーンシート、セラミックと樹脂との2層構造からなるシート、金属箔と樹脂との2層構造からなるシート、金属箔とセラミックとの2層構造からなるシート、金属箔と電極活物質層との2層構造からなるシート、印刷後の乾燥済みシートのうちのいずれか一つであってもよい。
【0016】
上述したような、収縮率の異なる複数種類の材料がシート1の表面と直交する方向に重ねて配置された構成のシート1では、反りが生じることがある。
図4(a)~(c)は、反りが生じているシート1の形状を模式的に示す斜視図である。
【0017】
図4(a)は、上側に膨らむように反りが生じている状態のシート1の形状の一例を示す図である。より具体的には、シート1の幅方向における中央部が上側に膨らむように反りが生じている。
図4(b)は、下側に膨らむように反りが生じている状態のシート1の形状の一例を示す図である。より具体的には、シート1の幅方向における中央部が下側に膨らむように反りが生じている。なお、上側および下側は、反りが生じていないシート1を水平面に載置した状態を基準としている。
図4(c)は、シート1の長さ方向において反りが生じている状態のシート1の形状の一例を示す図である。
【0018】
一実施形態におけるシート処理装置100は、反りが生じているシート1に対して特に好ましく用いることができる。反りが生じているシート1は、
図4(a)~(c)に示すように、シート1の長さ方向および幅方向のうちの少なくとも一方の方向に反りが生じている。一実施形態におけるシート処理装置100によれば、後述するように、シート1が上側に膨らむように反りが生じている場合、下側に膨らむように反りが生じている場合、シート1の長さ方向に反りが生じている場合、および、シート1の幅方向に反りが生じている場合のいずれの場合でも、反りを抑制した状態で処理を行うことができる。
【0019】
搬送部10の把持部11は、シート1の表面と直交する方向に対向する位置に配置されている第1の平板部11aと第2の平板部11bとを備えており、第1の平板部11aと第2の平板部11bでシート1を挟み込んで把持する。把持部11がシート1と接する部分、具体的には、第1の平板部11aがシート1と接する部分、および、第2の平板部11bがシート1と接する部分には、弾性体が設けられていてもよい。把持部11がシート1と接する部分に弾性体が設けられた構成とすることにより、シート1との間の摩擦抵抗を大きくすることができ、シート1をより確実に把持することができる。弾性体は、例えば、ゴムまたは樹脂である。
【0020】
また、把持部11がシート1と接する部分に弾性体が設けられる代わりに、滑り止め剤が塗布されていてもよいし、凹凸が設けられていてもよい。滑り止め剤は、公知のものを用いることが可能である。把持部11がシート1と接する部分に滑り止め剤が塗布された構成とすることにより、シート1をより確実に把持することができる。また、把持部11がシート1と接する部分に凹凸が設けられた構成とすることにより、シート1をより確実に把持することができる。
【0021】
搬送部10の吸引部12は、シート1を吸着する吸着面12aを有する。吸着面12aには、
図3に示すように、複数の吸引孔12bが設けられている。吸引孔12bの形状、サイズおよび数は任意である。例えば、吸引孔12bの形状は円形であり、吸着面12aのうち、シート1の縁部に対応する位置に設けられる吸引孔12bの形状は、溝状の形状としてもよい。シート1の縁部に対応する位置に設けられる吸引孔12bの形状を溝状の形状とすることにより、シート1をより確実に吸着することができる。
【0022】
吸引孔12bは、図示しない吸引装置と接続されており、吸引装置による吸引によって吸着面12aに吸引力が生じる。ただし、吸引力を生じさせる構成が上述した構成に限定されることはなく、例えば、吸着面12aに真空パッドが埋め込まれた構成とすることによって、吸引力を発生させるようにしてもよい。
【0023】
なお、吸着面12aには、シート1の搬送先の形状に応じて、孔や凹みが存在していてもよい。
【0024】
幅方向における吸着面12aの寸法は、幅方向におけるシート1の寸法より大きいことが好ましい。吸着面12aの幅方向とシート1の幅方向は、同じ方向である。幅方向における吸着面12aの寸法が幅方向におけるシート1の寸法より大きいことにより、吸着面12aでシート1をより確実に吸着し、反りを効果的に抑制した状態でシート1を搬送することができる。ただし、幅方向における吸着面12aの寸法が幅方向におけるシート1の寸法以下であってもよい。
【0025】
図1に示す構成例では、吸引部12は、シート1を上方から吸引するように構成されている。すなわち、吸引部12の吸着面12aは、シート1の上方に位置する。ただし、後述するように、吸引部12は、シート1を下方から吸引するように構成されていてもよい。
【0026】
搬送部10は、把持部11がシート1を把持し、かつ、吸引部12がシート1を吸着した状態で、シート1を吸引ステージ21へと搬送可能に構成されている。搬送部10によってシート1を搬送する際、搬送方向におけるシート1の先端部は、吸着面12aから飛び出していないことが好ましい。搬送方向におけるシート1の先端部が吸着面12aから飛び出していないことにより、シート1の搬送時に、吸着面12aでシート1をより確実に吸着し、反りを効果的に抑制した状態でシート1を搬送することができる。ただし、シート1の搬送時に、搬送方向におけるシート1の先端部が吸着面12aから飛び出していてもよい。その場合でも、シート1をより確実に吸着するためには、吸着面12aからシート1の先端部が飛び出している量は、少ないことが好ましい。
【0027】
本実施形態において、吸引部12は、把持部11の第1の平板部11aと一体的に設けられている。具体的には、第2の平板部11bと、第1の平板部11aのうちの第2の平板部11bと対向する部分とが把持部11を構成する。また、第1の平板部11aのうち、第2の平板部11bと対向する部分以外の部分に吸引部12が設けられている。ただし、吸引部12は、把持部11を構成する第1の平板部11aとは別に設けられていてもよい。
【0028】
図1に示すように、本実施形態において、吸引部12は、把持部11よりもシート1の搬送方向の前側に位置する。すなわち、吸引部12は、シート1の搬送方向における前側に位置し、把持部11は、後ろ側に位置する。
【0029】
ただし、
図5に示すように、把持部11が吸引部12よりもシート1の搬送方向の前側に位置していてもよい。ただし、この場合、搬送部10によってシート1を吸引ステージ21へと搬送する際、第2の平板部11bが吸引ステージ21より高い位置となるまで搬送部10を上昇させる必要がある。このため、搬送部10の上昇量が少なく済むという観点からは、吸引部12が把持部11よりもシート1の搬送方向の前側に位置することが好ましい。
【0030】
また、
図6(a)、(b)に示すように、把持部11と吸引部12がシート1の幅方向に並んで配置されていてもよい。
図6(a)は、把持部11と吸引部12がシート1の幅方向に並んで配置されている場合の搬送部10の構成を模式的に示す平面図であり、(b)は、(a)に示す搬送部10を矢印Y1の方向に見たときの構成を模式的に示す図である。把持部11と吸引部12がシート1の幅方向に並んで配置された構成によれば、シート1の長さ方向における搬送部10の配置スペースを小さくすることができる。
【0031】
さらに、
図7(a)、(b)に示すように、搬送部10がシート1の幅方向に並んで2つ設けられていてもよい。
図7(a)は、搬送部10がシートの幅方向に並んで2つ設けられている場合の構成を模式的に示す平面図であり、(b)は、(a)に示す搬送部10を矢印Y2の方向に見たときの構成を模式的に示す図である。
図7に示す構成例によれば、把持部11および吸引部12がそれぞれ、シート1の幅方向に並んで2つずつ配置されている。
図7に示す構成例では、吸引部12が把持部11よりもシート1の搬送方向の前側に位置しているが、後ろ側に位置していてもよいし、シート1の幅方向において把持部11と並んで配置されていてもよい。
【0032】
搬送部10は、長尺状のシート1の長さ方向、および、シート1の表面と直交する方向に移動可能に構成されている。後述するように、搬送部10は、シート1を吸引ステージ21に搬送する際、シート1の表面と直交する方向に移動した後、シート1の長さ方向に移動する。
【0033】
吸引ステージ21は、吸引によってシート1を吸着する。例えば、吸引ステージ21には、複数の吸引孔が設けられており、吸引孔を介した吸引によってシート1を吸着する。吸引ステージ21は、処理部22の一部として構成されていてもよい。
【0034】
処理部22は、吸引ステージ21によって吸着された状態のシート1に対して処理を行う。処理部22がシート1に対して行う処理は、例えば、シート1の切断、シート1に対する印刷、シート1に対する液体等の吐出物の吐出、シート1に対する熱処理、シート1の測定、シート1の検査、シート1に対するレーザ加工、シート1の組立加工、シート1の積層、および、シート1の搬送のうちの少なくとも1つである。ただし、処理部22がシート1に対して行う処理が上述した処理に限定されることはない。
【0035】
以下では、
図8および
図9を参照しながら、本実施形態におけるシート処理装置100の動作について説明する。ここでは、シート処理装置100が受台30をさらに備えた構成であるものとして説明する。受台30は、シート1の搬送方向において、処理部22の手前に設けられている。受台30は、その上に載置されるシート1を吸引することによって吸着可能に構成されている。また、処理部22は、シート1の切断を行うものとして説明する。
【0036】
図8(a)は、処理部22で切断されたシート片1sが処理部22から取り出された状態を示す図である。
図8(a)では省略しているが、切断されたシート片1sは、例えば、吸着ヘッドによって吸着されて処理部22から取り出される。切断されたシート片1sが処理部22から取り出される際、長尺状のシート1は、搬送部10の把持部11によって把持されるとともに、吸引部12によって吸着されており、かつ、受台30によって吸着されている。ここでは、長尺状のシート1のうち、少なくとも把持部11によって把持されている部分は、水平方向に延伸している。
図8(a)に示すように、受台30は、シート1の搬送方向において、搬送部10の第2の平板部11bと、吸引ステージ21との間に配置されている。
【0037】
図8(a)に示す状態から受台30の吸引を解除した後、搬送部10をシート1の表面と直交する方向に移動させた後、シート1の長さ方向に移動させることによって、シート1を吸引ステージ21へと搬送する(
図8(b))。ここでは、搬送部10を上方向に移動させた後、吸引ステージ21へと向かう水平方向に移動させることによって、シート1を吸引ステージ21へと搬送する。搬送部10がシート1を吸引ステージ21に搬送する際、シート1の表面と直交する方向に移動した後にシート1の長さ方向へと移動することにより、シート1が吸引ステージ21と接触することを抑制することができる。
【0038】
シート1を吸引ステージ21へと搬送する際、搬送部10は、把持部11がシート1を把持し、かつ、吸引部12がシート1を吸着した状態でシート1を搬送する。把持部11がシート1を把持し、かつ、吸引部12がシート1を吸着した状態でシート1を搬送することにより、シート1に反りが生じている場合でも、反りを抑制した状態でシート1を搬送することができる。
【0039】
ここで、搬送部10は、シート1を吸引ステージ21へと搬送する際、シート1の表面と直交する方向への移動中に、シート1の長さ方向に移動してもよい。例えば、搬送部10は、シート1の表面と直交する方向への移動と、シート1の長さ方向への移動を同時に開始してもよいし、シート1の表面と直交する方向への移動中に、シート1の長さ方向への移動を開始してもよい。搬送部10がシート1の表面と直交する方向への移動中に、シート1の長さ方向に移動することにより、シート1をより早く吸引ステージ21へと搬送することができる。
【0040】
搬送部10がシート1を吸引ステージ21へと搬送する際、シート1には、長さ方向に張力が加えられている。シート1に張力を加える方法は、任意の方法で行うことができる。例えば、テンション制御用ローラ40が移動することによって、シート1の長さ方向に張力が加わり続けるようにすることができる。なお、
図8(a)~
図9(c)に示す過程において、シート1の長さ方向には常に張力が加わり続けていることが好ましい。
【0041】
続いて、搬送部10を吸引ステージ21に向かって移動させることによって、シート1を吸引ステージ21上に載置する(
図8(c))。ここでは、搬送部10を下方に移動させることによって、シート1を吸引ステージ21上に載置する。吸引ステージ21は、載置されたシート1を吸引することによって吸着する。また、受台30もシート1を吸引することによって吸着する。このとき、搬送部10の第2の平板部11bは、処理部22の外部に位置している。
【0042】
搬送部10がシート1を吸引ステージ21へと搬送した際、吸引部12は、少なくとも吸引ステージ21によるシート1の吸引の開始以後にシート1の吸引を解除する。具体的には、吸引部12は、吸引ステージ21による吸引の開始と同時か、または、吸引の開始より少し後のタイミングで、吸引を解除する。したがって、搬送部10の吸引部12によって吸着されていたシート1が吸引ステージ21によって吸着されるまでの間、シート1は、吸引部12および吸引ステージ21の少なくとも一方に吸引されている。これにより、シート1が吸引ステージ21に載置される際の位置ずれを抑制することができる。
【0043】
続いて、搬送部10の把持部11によるシート1の把持を解除する(
図9(a))。この状態では、シート1は、吸引ステージ21および受台30によって吸引されて吸着されている。
【0044】
このように、吸引部12がシート1を上方から吸引して、吸引ステージ21の上にシート1を載置することにより、処理部22によって、シート1の上面から処理を行うことができる。
【0045】
続いて、搬送部10が処理部22の外部へと出て、移動前の位置に戻るように、搬送部10をシート1の長さ方向に移動させる(
図9(b))。ここでは、処理部22から遠ざかるように搬送部10を水平方向に移動させる。
【0046】
続いて、搬送部10の把持部11がシート1を把持し、その後に吸引部12がシート1を吸引することによって吸着する(
図9(c))。処理部22は、シート1を切断する処理を行う。
【0047】
以後、
図8(a)~
図9(c)を用いて説明した工程を繰り返し行う。
【0048】
このように、一実施形態におけるシート処理装置100によれば、搬送部10は、把持部11がシート1を把持し、かつ、吸引部12がシート1を吸着した状態でシート1を吸引ステージ21へと搬送し、吸引ステージ21でシート1を吸着した状態で、処理部22によってシート1に対して処理を行うので、シート1に反りが生じている場合でも、反りを抑制した処理を行うことができる。すなわち、シート1に反りが生じている場合でも、搬送部10において把持部11と吸引部12が近傍に位置することにより、シート1を把持部11で把持することである程度反りが矯正された状態で吸引部12によって吸着することができるので、シート1を安定して吸着することができる。搬送部10は、シート1が伸ばされて、反りが抑制された状態でシート1を吸引ステージ21へと搬送し、吸引ステージ21は、搬送されてくるシート1を、反りが抑制された状態で吸着する。したがって、処理部22は、反りが抑制された状態のシート1に対して処理を行うことができる。
【0049】
なお、搬送部10が吸引部12を備えているので、把持部11を使用せずに吸引部12だけでシート1を吸着した状態で搬送することも可能である。しかしながら、シート1に反りが生じている場合や、シート1に張力が加えられている場合、シート1が薄くて破損しやすい場合などでは、吸着だけで搬送することが困難である。本実施形態におけるシート処理装置100によれば、そのような場合でも、把持部11がシート1を把持することにより、シート1を安定して搬送することができる。
【0050】
ここで、シート1の搬送方向が水平方向に限定されることはない。例えば、シート1の搬送方向は、
図10(a)に示すように、斜め方向でもよいし、
図10(b)に示すように、鉛直方向でもよい。
【0051】
また、
図1に示す構成では、シート1に対して第1の平板部11aが上方に位置し、第2の平板部11bが下方に位置しているが、
図11に示すように、シート1に対して第2の平板部11bが上方に位置し、第1の平板部11aが下方に位置していてもよい。
図11に示す構成では、吸引部12の吸着面12aは、シート1の下方に位置する。また、吸引ステージ21は、シート1を上方から吸引して吸着する。
【0052】
<変形例>
上述した一実施形態におけるシート処理装置100において、シート1に反りが生じている場合の反り量によっては、搬送部10の第1の平板部11aおよび第2の平板部11bがシート1の長さ方向に移動する際に、シート1と干渉する可能性がある。例えば、搬送部10が処理部22の外部へと出て、移動前の位置に戻るように移動する際に(
図9(b))、第1の平板部11aおよび第2の平板部11bのうちの少なくとも一方が、反りの生じているシート1と接触する可能性がある。このため、シート1に反りが生じている場合の反り量を検出し、検出した反り量に基づいて、搬送部10がシート1から離れるようにシート1の表面と直交する方向に移動させてから、シート1の長さ方向に移動させてもよい。
図9(b)に示す例では、例えば、シートの反り量が大きい場合に、搬送部10の第1の平板部11aをさらに上方に移動、および、第2の平板部11bをさらに下方に移動のうちの少なくとも一方の移動を行ってから、シート1の長さ方向に移動させる。
【0053】
その場合、シート処理装置100は、シート1に反りが生じている場合の反り量を検出するための反り量検出センサをさらに備えていてもよい。反り量検出センサは、例えば、レーザ光を送受信するレーザセンサ、または、超音波を送受信する超音波センサである。そのような構成によれば、シート1に生じている反り量が大きい場合でも、搬送部10がシート1の長さ方向に移動する際にシート1と接触することを抑制することができる。
【0054】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0055】
本出願におけるシート処理装置は、以下の通りである。
<1>.長尺状のシートを挟んで把持する把持部と、吸引によって前記シートを吸着する吸引部とを備える搬送部と、
吸引によって前記シートを吸着する吸引ステージと、
前記吸引ステージによって吸着された状態の前記シートに対して処理を行う処理部と、
を備え、
前記搬送部は、前記把持部が前記シートを把持し、かつ、前記吸引部が前記シートを吸着した状態で、前記シートを前記吸引ステージへと搬送することを特徴とするシート処理装置。
<2>.前記搬送部は、前記シートの長さ方向、および、前記シートの表面と直交する方向に移動可能に構成されていることを特徴とする<1>に記載のシート処理装置。
<3>.前記搬送部は、前記シートを前記吸引ステージへと搬送する際、前記シートの表面と直交する方向に移動した後、前記シートの長さ方向に移動することを特徴とする<2>に記載のシート処理装置。
<4>.前記搬送部は、前記シートを前記吸引ステージへと搬送する際、前記シートの表面と直交する方向への移動中に、前記シートの長さ方向に移動することを特徴とする<2>に記載のシート処理装置。
<5>.前記吸引部は、少なくとも前記吸引ステージによる前記シートの吸引の開始より後に前記シートの吸引を解除することを特徴とする<1>~<4>のいずれか一つに記載のシート処理装置。
<6>.前記吸引部は、前記シートを上方から吸引することによって吸着することを特徴とする<1>~<5>のいずれか一つに記載のシート処理装置。
<7>.前記処理部は、前記シートの切断、前記シートに対する印刷、前記シートに対する吐出物の吐出、前記シートに対する熱処理、前記シートの測定、前記シートの検査、前記シートに対するレーザ加工、前記シートの組立加工、前記シートの積層、および、前記シートの搬送のうちの少なくとも1つの処理を行うことを特徴とする<1>~<6>のいずれか一つに記載のシート処理装置。
<8>.前記吸引部は、前記把持部よりも前記シートの搬送方向の前側に位置することを特徴とする<1>~<7>のいずれか一つに記載のシート処理装置。
<9>.前記把持部は、前記吸引部よりも前記シートの搬送方向の前側に位置することを特徴とする<1>~<7>のいずれか一つに記載のシート処理装置。
<10>.前記吸引部は、前記把持部に対して前記シートの幅方向に並んで設けられていることを特徴とする<1>~<7>のいずれか一つに記載のシート処理装置。
<11>.前記搬送部は、前記シートの幅方向に並んで2つ設けられていることを特徴とする<1>~<10>のいずれか一つに記載のシート処理装置。
<12>.前記把持部が前記シートを把持する際に前記シートと接する部分には、弾性体が設けられていることを特徴とする<1>~<11>のいずれか一つに記載のシート処理装置。
<13>.前記搬送部が前記シートを前記吸引ステージへと搬送する際、前記シートには、長さ方向に張力が加えられていることを特徴とする<1>~<12>のいずれか一つに記載のシート処理装置。
<14>.前記シートは、前記シートの長さ方向および幅方向のうちの少なくとも一方の方向に反りが生じていることを特徴とする<1>~<13>のいずれか一つに記載のシート処理装置。
【符号の説明】
【0056】
1 シート
2 巻き出しローラ
10 搬送部
11 把持部
11a 第1の平板部
11b 第2の平板部
12 吸引部
12a 吸引部の吸着面
12b 吸引孔
21 吸引ステージ
22 処理部
30 受台
40 テンション制御用ローラ
100 シート処理装置