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特開2024-141795搬送システム、自走式ロボット、制御装置、及び制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141795
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】搬送システム、自走式ロボット、制御装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20241003BHJP
【FI】
G05D1/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053633
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】319007240
【氏名又は名称】株式会社日立インダストリアルプロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】宮本 省吾
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 久
(72)【発明者】
【氏名】萩原 高行
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301AA10
5H301BB05
5H301BB10
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD06
5H301DD07
5H301FF11
5H301GG09
5H301GG11
5H301HH01
5H301KK02
5H301KK03
5H301KK04
5H301KK08
5H301KK09
5H301KK10
5H301KK18
5H301KK19
5H301LL03
5H301LL12
(57)【要約】
【課題】搬送エリアを柔軟に点検可能とする。
【解決手段】床面を走行して搬送対象物を搬送する搬送装置と、前記床面を走行し、マーカ移動モードと自由走行モードの二つの移動モードを切り替えて、いずれかのモードで走行する自走式ロボットと、を備え、前記床面は、複数のグリッドに区画され、前記複数のグリッドの各々の位置を示すマーカが当該グリッドの基準点に設置されており、前記搬送装置は、前記マーカから取得した位置情報に基づいて前記グリッド間を移動可能であり、前記自走式ロボットは、前記マーカ移動モードでは、前記マーカから取得した位置情報に基づいて前記グリッド間を移動し、前記自由走行モードでは、当該自由走行モードを開始した第一のグリッドの基準点からの走行経路から推定される当該基準点からの相対位置に基づいて、自由走行が許可されたエリアを移動する。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面を走行して搬送対象物を搬送する搬送装置と、
前記床面を走行し、マーカ移動モードと自由走行モードの二つの移動モードを切り替えて、いずれかのモードで走行する自走式ロボットと、を備え、
前記床面は、複数のグリッドに区画され、
前記複数のグリッドの各々の位置を示すマーカが当該グリッドの基準点に設置されており、
前記搬送装置は、前記マーカから取得した位置情報に基づいて前記グリッド間を移動可能であり、
前記自走式ロボットは、
前記マーカ移動モードでは、前記マーカから取得した位置情報に基づいて前記グリッド間を移動し、
前記自由走行モードでは、当該自由走行モードを開始した第一のグリッドの基準点からの走行経路から推定される当該基準点からの相対位置に基づいて、自由走行が許可されたエリアを移動することを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送システムであって、
前記自走式ロボットは、
前記自由走行モードから前記マーカ移動モードに移行する場合、前記相対位置から最寄りのグリッドを推定し、
前記推定された最寄りのグリッドに移動することを特徴とする搬送システム。
【請求項3】
請求項1に記載の搬送システムであって、
前記搬送装置と前記自走式ロボットの走行を制御する制御装置を備え、
前記自走式ロボットは、前記制御装置からの指令に従って、前記床面を点検するために走行することを特徴とする搬送システム。
【請求項4】
請求項3に記載の搬送システムであって、
前記自走式ロボットは、前記搬送装置が走行する軌道データに沿って走行して前記床面を点検することを特徴とする搬送システム。
【請求項5】
請求項1に記載の搬送システムであって、
前記グリッドは、複数のメッシュに区画されており、
前記自走式ロボットは、前記自由走行モードにおける移動先を前記メッシュの位置で指定されることを特徴とする搬送システム。
【請求項6】
請求項5に記載の搬送システムであって、
前記搬送装置と前記自走式ロボットの走行を制御する制御装置を備え、
前記自走式ロボットは、前進方向を撮影可能なカメラを有し、
前記制御装置は、前記カメラが撮影した映像を表示し、前記自走式ロボットの移動先を指定可能なインターフェースを提供することを特徴とする搬送システム。
【請求項7】
請求項1に記載の搬送システムであって、
前記自走式ロボットは、前進方向に排障器を有し、前記排障器で前記床面の落下物を保持して、所定の場所まで走行することを特徴とする搬送システム。
【請求項8】
請求項1に記載の搬送システムであって、
前記自走式ロボットは、前記自由走行モードにおいて、指定される複数のグリッド内で走行することを特徴とする搬送システム。
【請求項9】
請求項8に記載の搬送システムであって、
前記自走式ロボットが前記自由走行モードで指定される走行可能な複数のグリッドでは、前記搬送装置の走行が禁止されることを特徴とする搬送システム。
【請求項10】
倉庫内で床面を走行する自走式ロボットであって、
前記床面は、複数のグリッドに区画され、
前記複数のグリッドの各々の位置を示すマーカが当該グリッドの基準点に設置されており、
前記自走式ロボットは、
マーカ移動モードと自由走行モードの二つの移動モードを切り替えて、いずれかのモードで前記床面を走行可能であって、
前記マーカ移動モードでは、前記マーカから取得した位置情報に基づいて前記グリッド間を移動し、
前記自由走行モードでは、当該自由走行モードを開始した第一のグリッドの基準点からの走行経路から推定される当該基準点からの相対位置に基づいて、自由走行が許可されたエリアを移動することを特徴とする自走式ロボット。
【請求項11】
倉庫内で床面を走行する自走式ロボットの制御装置であって、
前記床面は、複数のグリッドに区画され、
前記複数のグリッドの各々の位置を示すマーカが当該グリッドの基準点に設置されており、
前記制御装置は、
マーカ移動モードと自由走行モードの二つの移動モードを切り替えて、いずれかのモードで前記自走式ロボットを走行させ、
前記マーカ移動モードでは、前記マーカから取得した位置情報に基づいて、前記グリッド間で前記自走式ロボットを移動させ、
前記自由走行モードでは、当該自由走行モードを開始した第一のグリッドの基準点からの走行経路から推定される当該基準点からの相対位置に基づいて、自由走行が許可されたエリアで前記自走式ロボットを移動させることを特徴とする制御装置。
【請求項12】
倉庫内で床面を走行する自走式ロボットの制御方法であって、
前記自走式ロボットは、走行を制御する制御装置を有し、
前記床面は、複数のグリッドに区画され、
前記複数のグリッドの各々の位置を示すマーカが当該グリッドの基準点に設置されており、
前記制御方法は、
前記制御装置が、マーカ移動モードと自由走行モードの二つの移動モードを切り替えて、いずれかのモードで前記自走式ロボットを走行させ、
前記制御装置が、前記マーカ移動モードでは、前記マーカから取得した位置情報に基づいて前記グリッド間で前記自走式ロボットを移動させ、
前記制御装置が、前記自由走行モードでは、当該自由走行モードを開始した第一のグリッドの基準点からの走行経路から推定される当該基準点からの相対位置に基づいて、自由走行が許可されたエリアで前記自走式ロボットを移動させることを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システム、自走式ロボット、制御装置、及び自走式ロボットの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、複数のグリッドに区画された保管スペースにおいて、搬送ロボットを制御する技術がある。
【0003】
本技術分野の背景技術として、以下の先行技術がある。特許文献1(特開2020-46696号公報)には、筐体に装着され床面を走行するための走行部と、前記床面を複数のグリッドに区切り、前記床面における障害物の位置を規定する環境地図データを記憶する記憶部と、前記走行部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、自機が現在属している一の前記グリッドである所属グリッドを特定する所属グリッド特定機能と、所定のスタート指令を受信すると、前記筐体の所定の基準点が、前記所属グリッドの所定の基準点に近づくように、前記走行部を駆動する位置補正機能と、を有することを特徴とする搬送装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-46696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
床面のマーカを用いて搬送装置を誘導する搬送システムにおいて、搬送システムの保全のために走行路の障害物、床面、搬送装置など、搬送エリア内の点検が必要な場合がある。その場合、人手による点検を行う場合は、搬送システムの一定の区画の使用を停止する必要があり、搬送システム全体の効率に影響を与える可能性がある。そのため、点検用ロボットによる搬送エリアの点検が実施される。
【0006】
このような点検用ロボットが、搬送装置用に設けられたマーカ間を結ぶ線による走行経路のみを移動可能であると、搬送エリア内で点検対象を点検する角度や移動経路が制約を受ける。
【0007】
一方、点検用ロボットが、既存の搬送装置用に設けられたマーカ間を結ぶ線から逸脱した経路を自由に移動可能とすると、搬送エリア内の棚や搬送装置と干渉する可能性があり、搬送システムの効率に影響し、搬送制御が複雑化する可能性がある。
【0008】
また、点検用ロボットのために、搬送装置とは異なる誘導方式を導入する、又は点検用ロボットのための別のマーカを設置する場合、設備コストが増大し、システム構成が複雑になるという課題がある。前述の特許文献1では、この課題は考慮されていない。
【0009】
そこで、点検用ロボットが搬送システムを点検する場合、既存の搬送システムの構成を複雑化させずに、点検用ロボットと搬送装置との干渉を抑制して、搬送エリアを柔軟に点検可能なシステムが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、床面を走行して搬送対象物を搬送する搬送装置と、前記床面を走行し、マーカ移動モードと自由走行モードの二つの移動モードを切り替えて、いずれかのモードで走行する自走式ロボットと、を備え、前記床面は、複数のグリッドに区画され、前記複数のグリッドの各々の位置を示すマーカが当該グリッドの基準点に設置されており、前記搬送装置は、前記マーカから取得した位置情報に基づいて前記グリッド間を移動可能であり、前記自走式ロボットは、前記マーカ移動モードでは、前記マーカから取得した位置情報に基づいて前記グリッド間を移動し、前記自由走行モードでは、当該自由走行モードを開始した第一のグリッドの基準点からの走行経路から推定される当該基準点からの相対位置に基づいて、自由走行が許可されたエリアを移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、点検用ロボットによって的確な点検が可能な搬送システムを提供する。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例の搬送システムの物流センタにおけるレイアウトの一例を示す図である。
図2A】本実施例の搬送システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2B】本実施例の倉庫制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3】本実施例の自走式ロボットの構成例を示す斜視図である。
図4】本実施例の地図情報の一例を示す概念図である。
図5A】本実施例の装置情報の一例を示す図である。
図5B】本実施例の装置情報の一例を示す図である。
図6】本実施例の異常情報の一例を示す図である。
図7A】本実施例の自走式ロボットがマーカ移動モードで移動する一例を示す平面図である。
図7B】本実施例の自走式ロボットが自由走行モードで移動する一例を示す平面図である。
図8】本実施例の自走式ロボットが自由走行モードにて点検を実施する際の動作パターンの一例を示す図である。
図9A】本実施例の自走式ロボットが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図9B】本実施例の自走式ロボットが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図9C】本実施例の自走式ロボットが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図10】本実施例の監視・操作画面の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。実施例は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0014】
各種情報の例として、「テーブル」、「リスト」、「キュー」等の表現にて説明することがあるが、各種情報はこれら以外のデータ構造で表現されてもよい。例えば、「XXテーブル」、「XXリスト」、「XXキュー」等の各種情報は、「XX情報」としてもよい。識別情報について説明する際に、「識別情報」、「識別子」、「名」、「ID」、「番号」等の表現を用いるが、これらについてはお互いに置換が可能である。
【0015】
同一又は同様の機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。また、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0016】
実施例において、プログラムを実行して行う処理について説明する場合がある。ここで、計算機は、プロセッサ(例えばCPU、GPU)によりプログラムを実行し、記憶資源(例えばメモリ)やインターフェースデバイス(例えば通信ポート)等を用いながら、プログラムで定められた処理を行う。そのため、プログラムを実行して行う処理の主体を、プロセッサとしてもよい。同様に、プログラムを実行して行う処理の主体が、プロセッサを有するコントローラ、装置、システム、計算機、ノードであってもよい。プログラムを実行して行う処理の主体は、演算部であれば良く、特定の処理を行う専用回路を含んでいてもよい。ここで、専用回路とは、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)等である。
【0017】
プログラムは、プログラムソースから計算機にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバ又は計算機が読み取り可能な記憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバの場合、プログラム配布サーバはプロセッサと配布対象のプログラムを記憶する記憶資源を含み、プログラム配布サーバのプロセッサが配布対象のプログラムを他の計算機に配布してもよい。また、実施例において、2以上のプログラムが一つのプログラムとして実現されてもよいし、一つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0018】
図1は、本発明の実施例の搬送システムの物流センタにおけるレイアウトの一例を示す図である。
【0019】
本実施例の搬送システムでは搬送装置2が棚51をピッキングステーションまで搬送し、作業者又はピッキングロボットが棚51から該当の商品を取出し、棚51に商品を収容する。
【0020】
物流センタは、保管スペース52を有する。保管スペース52内には、複数の棚51が縦横方向に格子状に配置されている。棚51は、所定数(例えば2×6個又は1×6個)の棚51からなる「島」を形成する。
【0021】
保管スペース52内には、複数の搬送装置2及び複数の自走式ロボット3が配置される。搬送装置2は、棚51の下部に入り込んで棚51を持ち上げて移動する。保管スペース52の周辺の所定の箇所には、搬送装置2を充電するための複数の充電ステーションが配置される。
【0022】
保管スペース52の外縁部には、複数の作業ステーションが配置される。作業ステーションでは、作業員が物品の入庫作業及び出庫作業を行い、ロボットステーションでは、ロボットが物品の入庫作業及び出庫作業を行う。
【0023】
保管スペース52に隣接する作業ステーションには、作業員の保管スペース52への侵入を検出するセーフティライトカーテンが設置される。セーフティライトカーテンの間は棚51を配置してピッキング作業を行う間口80となる。
【0024】
なお、搬送装置2によって棚51が間口80に配置されると、セーフティライトカーテンはオフとなって、作業員がピッキング作業を行うことができる。一方、ピッキング作業が完了して、搬送装置2が棚51を間口80から移動するとセーフティライトカーテンはオンとなって、間口80から作業員等が侵入した場合に警報等を出力する。
【0025】
作業員が作業を行う作業ステーションには、間口80の近傍にステーション端末が配置される。また、作業ステーションの周縁の所定の位置には、仕分けや梱包を行う作業スペースが設置される。
【0026】
自走式ロボット3は、点検スタート指令を受けると、指定の座標に移動し、床面の損傷53や搬送装置2の走行轍の点検など、保管スペース52を整備する。
【0027】
図2Aは、本実施例の搬送システムの構成の一例を示すブロック図であり、図2Bは、倉庫制御装置1の構成の一例を示すブロック図である。
【0028】
本実施例の搬送システムは、倉庫制御装置1と、複数の搬送装置2と、1以上の自走式ロボット3を有する。複数の搬送装置2と1以上の自走式ロボット3は、ネットワーク4を介して倉庫制御装置1に接続される。倉庫制御装置1には、前述したステーション端末も接続されるが、図2Aには図示を省略する。
【0029】
倉庫制御装置1は、演算装置11と、メモリ12と、入力装置13と、出力装置14と、記憶装置15と、通信インターフェース17を含む計算機である。なお、倉庫制御装置1は図2Bに示す構成に限らない。倉庫制御装置1は、一つの計算機でもよいし、複数の計算機から構成されてもよい。また、倉庫制御装置1が有する各装置は、一つの計算機に配置されてもよいし、複数の装置に分散して配置されてもよい。記憶装置15に格納されるプログラムや情報は、一つの記憶装置に格納されてもよいし、複数の記憶装置に分散して格納されてもよい。
【0030】
記憶装置15は、不揮発性の記憶媒体を有し、演算装置11が実行するプログラムと、プログラムが使用するデータを格納する。記憶装置15が格納するプログラムの一例は、経路作成プログラム151と、データ分析プログラム152と、自由走行グリッド決定プログラム153と、点検経路作成プログラム154と、データ入出力プログラム155と、搬送装置制御プログラム156と、点検指令プログラム157である。演算装置11は必要なプログラムをメモリ12にロードして実行する。
【0031】
また、記憶装置15が格納するデータの一例は、点検データ160と、オーダー情報161と、在庫情報162と、棚情報163と、床情報164、地図情報165、装置情報166と、経路データ167と、計測データ168と、異常情報169である。
【0032】
経路作成プログラム151は、地図情報165に基づいて、搬送装置2の移動経路を計算する。例えば、経路作成プログラム151は、ピッキング対象の物品(又は商品)の位置と行き先の作業ステーションの位置等から、搬送装置2の移動経路を計算する。
【0033】
データ分析プログラム152は、ステーションログ(図示省略)を参照して、ステーション毎、作業員毎、搬送装置2毎の実績データを格納する。例えば、センサデータが床の画像や映像である場合、データ分析プログラム152は、搬送装置2が移動した経路の床の状態を分析して、床情報164の更新などを実施する。
【0034】
自由走行グリッド決定プログラム153は、自走式ロボット3が保管スペース52内を点検する際に自由走行を行うグリッドを、地図情報165と異常情報169に基づいて算出する。なお、自走式ロボット3が保管スペース52内を点検する際に自由走行を行うグリッドは、管理者であるユーザによって手動で設定又は修正が行えるように構成されてもよい。また、自走式ロボット3が自由走行を行うグリッドは、単一のグリッドであってもよいし、複数の隣接するグリッドに跨って設定されてもよい。複数の隣接するグリッドが自由走行を行うグリッドとして設定されている場合、当該設定された範囲において、自走式ロボット3はグリッドを跨って自由走行を行うことができる。また、自走式ロボット3が自由走行を行うグリッドとして設定された範囲は、少なくとも自走式ロボット3が当該範囲を自由走行モードで点検を行っている間、搬送装置2が走行することが禁止される。これにより、搬送装置2の搬送作業と自走式ロボット3の点検作業との干渉を低減しつつ、搬送装置2の搬送作業を行っている間も搬送システムの点検作業を行うことができる。点検経路作成プログラム154は、点検実施位置まで自走式ロボット3が移動する経路を算出する。
【0035】
データ入出力プログラム155は、オーダー情報161の受け付けや、作業員が操作するステーション端末からの入力の受け付けや、搬送装置2からセンサデータの受け付け等を実行し、オーダー情報161やログ(図示省略)に蓄積する。また、データ入出力プログラム155は、ステーション端末から搬送装置2の発車の指令を受け付けると、搬送装置制御プログラム156で生成した指令を搬送装置2に送信する。また、データ入出力プログラム155は、ピッキング対象の物品の情報を出力する。
【0036】
搬送装置制御プログラム156は、経路作成プログラム151が計算した経路と、床情報164や装置情報166(例えば搬送装置2の状態)等を参照して、棚51を搬送する搬送装置2を決定し、搬送する棚51と搬送先の作業ステーションの情報を含む搬送指示を搬送装置2に送信する。
【0037】
点検指令プログラム157は、点検経路作成プログラム154が算出した経路と、床情報164や自走式ロボット3の状態等に基づいて、利用可能な自走式ロボット3に点検を指令する。
【0038】
点検データ160は、自走式ロボット3が行った点検の結果である。
【0039】
オーダー情報161は、物品の出荷を要求するオーダーの情報で、ピッキングされるべき物品の情報を格納する。在庫情報162は、物品の在庫に関し、物品が配置された棚51の情報、及び棚51内の物品の配置位置や数量や重量等の情報を格納する。
【0040】
棚情報163は、棚51の位置や重さ等の情報を格納する。床情報164は、床のエリア毎に、床の状態を示す情報を格納する。地図情報165は、倉庫内の地図情報を格納する。装置情報166は、搬送装置2の位置や稼働状態などを格納する。装置情報166は、搬送装置2の識別情報、位置、及び稼働状態等を格納する。経路データ167は、倉庫内における搬送装置2毎の経路の情報を格納する。計測データ168は、各搬送装置2から受信したセンサデータや位置情報等を格納する。
【0041】
入力装置13は、キーボード、マウス、又はタッチパネル等で構成される。出力装置14は、ディスプレイ等で構成される。例えば、出力装置14は、自走式ロボット3の設定情報を出力するとよい(図10参照)。通信インターフェース17は、無線等によるネットワーク4を介して搬送装置2や他の計算機と通信を行う。
【0042】
搬送装置2は、倉庫制御装置1からの搬送指示に応じて物品を搭載した棚51を自動搬送する自律的な移動体である。搬送装置2は、カメラ21と、記憶部22と、走行輪23と、通信インターフェース24と、制御部25を有する自律搬送装置である。搬送装置2は、図示を省略するセンサ(例えば、振動センサ、加速度センサ)を有する。搬送装置2は、少なくとも直進移動及び回転移動(旋回、とも呼ぶ。)の二つの移動形態を切り替え可能に行うことができる。ここで、直進移動とは、ある地点から異なる地点まで方向性をもって移動することを指す。直進移動の軌跡は、直線状の軌跡でもよいし、曲線状の軌跡でもよい。ここで、回転移動とは、搬送装置2がその場で進行方向を変更するために回転(旋回)する移動である。
【0043】
制御部25は、演算装置と、メモリを含む。メモリには、自己位置推定プログラムと、走行制御プログラムと、計測プログラムと、通信プログラムが記憶される、メモリに記憶されたプログラムは、演算装置によって実行される。演算装置は、マイクロコンピュータやプロセッサで構成される。
【0044】
記憶部22は、不揮発性の記憶媒体で構成されて、プログラムやプログラムが使用するデータを格納する。データは、一例として、地図情報221と、移動距離情報222がある。地図情報221は、倉庫制御装置1から受信した地図情報である。移動距離情報222は、搬送装置2が所属グリッドの基準点から移動した距離を、オドメトリを用いて算出したデータである。
【0045】
走行輪23は、駆動輪と、補助輪(キャスター)を含む。駆動輪には、動力源であるモータが連結され、該モータにはバッテリから電力が供給される。
【0046】
自走式ロボット3は、通信インターフェース31と、カメラ32と、記憶部33と、走行輪34と、制御部35を含む自律走行ロボットである。
【0047】
記憶部33は、不揮発性の記憶媒体を有し、制御部35が実行するプログラムと、プログラムが使用するデータを格納する。記憶部33が格納するプログラムの一例は、所属グリッド特定機能351と、自由移動機能352と、相対位置推定機能353と、最寄りグリッド推定機能354と、基準位置復帰機能355の各々を提供するプログラムである。データの一例は、地図情報331と、移動距離情報332である。地図情報331は、倉庫制御装置1から受信した地図情報である。移動距離情報332は、自走式ロボット3が所属グリッドの基準点から移動した距離を、オドメトリを用いて算出したデータである。
【0048】
制御部35は、記憶部33が格納するプログラムの実行によって、所属グリッド特定機能351と、自由移動機能352と、相対位置推定機能353と、最寄りグリッド推定機能354と、基準位置復帰機能355を提供する。
【0049】
所属グリッド特定機能351は、自走式ロボット3が所属するグリッドを地図情報331と移動距離情報332に基づいて算出する。自由移動機能352は、倉庫制御装置1が自由走行グリッド決定プログラム153によって算出した、自走式ロボット3が点検のために自由走行可能な1又は複数のグリッドを決定し、自由走行可能エリアとして決定されたグリッド内を点検内容に基づいて自律的に走行する経路を算出する。搬送装置2の走行経路として設定されているグリッドは自由走行可能エリアに設定できない。搬送装置2の走行経路は、自由走行可能エリアとして決定されたグリッドを含まないように決定される。
【0050】
自走式ロボット3は、「マーカ移動モード」と「自由走行モード」を切り替えて移動する。「マーカ移動モード」は、各グリッドの基準点に配置されたマーカ間を移動するモードであり、「自由走行モード」は自由走行グリッド決定プログラム153によって算出された範囲(自由走行グリッド)内を自由に移動するモードである。
【0051】
相対位置推定機能353は、地図情報331と移動距離情報332に基づいて、所属グリッドの基準点と自走式ロボット3の相対位置を算出する。最寄りグリッド推定機能354は、相対位置推定機能353が算出した相対位置と地図情報331から、ある時点の自走式ロボット3の最寄りグリッドを算出する。基準位置復帰機能355は自走式ロボット3が最寄りグリッドまで移動する経路を算出する。
【0052】
図3は、本実施例の自走式ロボット3の構成例を示す斜視図である。
【0053】
自走式ロボット3は、直進及び旋回走行が可能に車輪を有する直方体の台車54と、台車54の下面及び前面に配置されるカメラ32と、台車54の前面に配置される排障器55を含む自律走行装置である。排障器55は、保管スペース52に存在する落下物を保持するために使用され、図示するように、搬送する落下物が排障器55から外れないように、左右端部に突出部を有するとよい。
【0054】
図4は、本実施例の地図情報165の一例を示す概念図である。
【0055】
地図情報165は、行大番号61と列大番号63によって指定される「グリッド」と、行小番号62と列小番号64によって指定される「メッシュ」の位置を示す情報である。図示するように、「グリッド」は複数の「メッシュ」に区画される。各グリッドは矩形領域で上述した床情報164に応じて、「通路グリッド」、「棚保管グリッド」、「走行禁止グリッド」のいずれかに設定される。また、図4に示されるように一部のグリッドを「旋回用グリッド」に設定してもよい。この「旋回用グリッド」は、搬送装置2が、直進移動及び回転移動を切り替えながら棚51を目的地まで搬送する際に、回転移動による方向転換ができるグリッドとして設定されるものである。この場合、搬送装置2が通路エリアと棚保管エリアとを行き来する場合などを除き、搬送装置2が「旋回用グリッド」において回転移動による方向転換を行い、それ以外のグリッドではできるだけ直進移動を行うように搬送装置2の搬送経路が作成される。搬送装置2の搬送経路を作成する際に、自由な場所やタイミングで方向転換可能とすると、搬送装置2の動線が入り乱れて互いの搬送作業が干渉し合い、搬送効率が低減する可能性がある。そのため、搬送装置2が走行エリアにおいて回転移動を行うグリッドをできるだけ限定することで、複数の搬送装置2が同時に稼働する搬送システムにおいても、搬送装置2の搬送作業の効率低減を抑制できる。
【0056】
自走式ロボット3は、「自由走行モード」において、グリッド内を複数の区画に分割したメッシュ単位で移動する。
【0057】
図5A図5Bは、本実施例の装置情報166の一例を示す図である。
【0058】
装置情報166は、自走式ロボット3の装置情報166-1(図5A)と、搬送装置2の装置情報166-2(図5B)を含む。装置情報166-1は、シリアル番号71と、装置ID72と、装置の状態73と、作業ID74と、第一グリッド75と、メッシュ位置76と、第一グリッドからの移動量77と、バッテリ残量78を一つのレコードに含む。
【0059】
シリアル番号71は、レコードに一意に割り当てられた識別情報である。装置ID72は、自走式ロボット3を一意に識別するための識別情報である。装置の状態73は、自走式ロボット3の状態に関する情報を格納する。状態としては、例えば、「待機」、「マーカ移動モード」、「自由走行モード」、「充電中」、「異常」等である。作業ID74は、点検指令プログラム157によって各自走式ロボット3に割り当てられた作業の識別情報である。第一グリッド75は、自走式ロボット3が自由走行モードに切り替わる直前に位置したグリッドの座標である。メッシュ位置76は、自走式ロボット3が現在位置しているメッシュの座標である。第一グリッドからの移動量77は、自走式ロボット3が自由走行モードにて第一グリッド75のマーカの位置(例えば中心点)から移動した距離である。バッテリ残量78は、当該自走式ロボット3のバッテリの残量である。
【0060】
装置情報166-2は、シリアル番号81と、装置ID82と、装置の状態83と、現在の所属グリッド84と、停止位置と基準位置のズレ85と、バッテリ残量85を一つのレコードに含む。
【0061】
シリアル番号81は、レコードに一意に割り当てられた識別情報である。装置ID82は、搬送装置2を一意に識別するための識別情報である。装置の状態83は、搬送装置2の状態に関する情報を格納する。状態としては、例えば、「待機」、「搬送中」、「作業中」、「充電中」、「異常」等である。現在の所属グリッド84は、搬送装置2が位置するグリッドの座標である。バッテリ残量85は、当該自走式ロボット3のバッテリの残量である。
【0062】
図6は、本実施例の異常情報169の一例を示す図である。異常情報169は、作業ID74と、点検位置92と、点検項目93と、点検車両94と、作業モード95と、自由走行可能エリア96と、状態97を一つのレコードに含む。
【0063】
作業ID74は、点検指令プログラム157によって各自走式ロボット3に割り当てられた作業の識別情報であり、装置情報166-1と同じ値を使用するとよい。点検位置92は、自走式ロボット3が点検作業する位置である。点検項目93は、自走式ロボット3による点検作業の内容であり、例えば「床面点検」、「走行轍点検」、「落下物除去」等である。点検車両94は、点検指令プログラム157から点検の指令を受けた自走式ロボット3の装置ID72である。作業モード95は、点検指令プログラム157が決定した各点検項目における作業のモードであり、例えば「自動点検」、「マニュアル操縦」等である。自由走行可能エリア96は、自由走行グリッド決定プログラム153によって算出した、自走式ロボット3が自動点検において自由走行可能なグリッドの範囲であり、通常は複数のグリッドが指定される。状態97は、当該異常に対する作業の状態であり、作業待ち、作業中、終了などが記録される。
【0064】
点検項目93の「走行轍点検」とは、搬送装置2の走行によって駆動輪やキャスターが床を削って発生した走行轍の点検である。作業モード95は「自動点検モード」、「マニュアル操縦モード」があり、点検項目93の内容によって自動的に割り当て可能である。例えば、点検項目93の「走行轍点検」は、自走式ロボット3が、搬送装置2が走行した軌道データを取得して、自動的に走行轍を点検する「自動点検」で実施できる。この床面の自動点検は、取得した軌道データに沿って走行して、保管スペース52の床面を撮影したり、撮影した床面の映像から床面の凹凸を測定する。また「マニュアル操縦モード」は、自走式ロボット3の下面とは異なる方向に取付けられた前面カメラ32が撮影した映像を操縦者が視認しながら、自走式ロボット3を操縦するモードである。
【0065】
「落下物除去」では、自走式ロボット3が、落下物が検出された場所まで自動的に移動し、障害物検知センサ(例えば前面カメラ32)によって落下物を検知し、排障器55で落下物を保持し、保管スペース52の所定箇所に設けられる落下物集積所まで走行して、落下物を搬送する。
【0066】
図7Aは、本実施例の自走式ロボット3がマーカ移動モードで移動する一例を示す平面図であり、図7Bは、本実施例の自走式ロボット3が自由走行モードで移動する一例を示す平面図である。
【0067】
図7Aに示すように、マーカ移動モードにおいて、自走式ロボット3は、直進と旋回を組み合わせて、マーカに従ってグリッド間を移動する。自由走行可能エリア間は、マーカ移動モードによって、マーカに従って走行する。
【0068】
図7Bに示すように、自由走行モードにおいて、自走式ロボット3は、マーカを辿ってグリッド間を移動するのではなく、グリッド内でマーカの位置からメッシュの基準点まで移動する。メッシュの基準点は点検対象68まで自走式ロボット3を接近させるために倉庫制御装置1(点検経路作成プログラム154)が算出する。
【0069】
図8は、本実施例の自走式ロボット3が自由走行モードにて点検を実施する際の動作パターンの一例を示す図である。
【0070】
自走式ロボット3は自由走行可能エリア65、66の範囲内で、マーカを経由せずに走行できる。自走式ロボット3は点検指令を受けると、最寄りグリッド推定機能354で最寄りグリッド(b,D)を推定し、基準位置復帰機能355で最寄りグリッド(b,D)まで移動する。最寄りグリッド(b,D)に到着後、目的地の付近にある第二のグリッド(b,A)までマーカ移動モードで移動する。第二のグリッド(b,A)に到着後、自由移動機能352で、故障した搬送装置2の近傍の目的地まで移動する。
【0071】
図9A図9B図9Cは、本実施例の自走式ロボット3が実行する処理の一例を示すフローチャートである。図9に示す処理では、倉庫制御装置1が点検指令プログラム157を実行して、自走式ロボット3が点検を実施する。
【0072】
S100において、点検の処理を開始すると、自走式ロボット3は、倉庫制御装置1から点検スタート指令を受信する(S101)。点検スタート指令は、目的地、点検内容を含む。自走式ロボット3は、現在地がマーカ基準線上にあるか否かを判定する(S102)。現在地がマーカ基準線上である場合(S102でYES)はステップS105に進み、現在地がマーカ基準線上でない場合(S102でNO)はステップS103に進む。
【0073】
ステップS103では、自走式ロボット3は、オドメトリの情報を取得して、自由移動を開始した第一グリッド位置に相対位置を加算する。ステップS104では、自走式ロボット3は、地図情報221を参照して、ステップS103で算出した相対位置に基づいて周辺のグリッドの基準点(マーカ位置)との距離を計算し、距離が最も小さい最寄りグリッドを推定する。ステップS105では、自走式ロボット3は、ステップS104で推定した最寄りグリッドの基準点(マーカ位置)に移動する。
【0074】
自走式ロボット3は、目的地が基準点上にあるか否かを判定する(S106)。目的地が基準点上にある場合(S106でYES)場合はステップS110に進み、目的地が基準点上にない(S106でNO)場合はステップS107に進む。
【0075】
ステップS107では、自走式ロボット3は、次の目的値を含む自由走行可能なグリッド範囲を倉庫制御装置1から取得する。ステップS108で、自走式ロボット3は、目的地の最寄りグリッドである第二のグリッドまで移動する。ステップS109で、自走式ロボット3は、第二グリッドからグリッド内の目的地に移動する。
【0076】
ステップS110では、自走式ロボット3は、マーカ移動モードにより、床面上のマーカの情報に従って、最寄グリッドから第二グリッドに移動する。ステップS111では、自走式ロボット3は、第二グリッドへの到着をトリガに倉庫制御装置1から点検モード信号を取得する。点検モード信号は、点検の開始指令と、作業モードの指示(マニュアル操作モード、自動点検モード)を含む。ステップS112で、自走式ロボット3は、点検内容がマニュアル操縦モードか否かを判定する。点検内容がマニュアル操縦モードである(S112がYES)場合はステップS115に進み、点検内容がマニュアル操縦モードでない(S112でNO)場合はステップS113に進む。
【0077】
ステップS113では、自走式ロボット3は、自動点検モードで自動的に点検を行う。ステップS114では、自走式ロボット3は、点検情報を倉庫制御装置1に送信する。ステップS115ではマニュアル操縦モードに切り替えを行い、人が操縦によって以降の点検を実施する。S116において、点検の処理を終了する。
【0078】
ステップS113における自動点検モードにおける点検内容の一例として、床面上における搬送装置2の走行輪の軌跡の点検がある。図9Cは、自走式ロボット3が搬送装置2の走行輪の軌跡の点検を実施する場合の制御の一例を示すフローチャートである。
【0079】
ステップS117では、自走式ロボット3は轍の点検を実行するために、倉庫制御装置1から搬送装置2の走行軌道データを取得する。走行軌道データは、地図情報165に含まれる走行エリアのレイアウトの情報と搬送装置2の走行輪間距離と旋回半径の情報とから特定される搬送装置2の走行輪が通過する軌道の座標データである。ここで、走行軌道データは、搬送装置2の実際の走行実績データと車体スペックの情報とから特定される搬送装置2の走行輪が実際に通過した軌跡の情報であっても良い。走行エリアの各グリッドの特性に応じて、使用する走行輪の軌道データを決定してもよい。搬送装置2は、直進移動と回転移動の二つの移動形態を各グリッドで行うことができる場合がある。そのため、各グリッドの走行軌道データは、搬送装置2が直進移動を行う場合の走行軌道と、回転移動を行う場合の回転軌道と、を含んでもよい。その場合、例えば、図4において示されるように、搬送システムにおける走行エリアの各グリッドのうち、旋回用のグリッドが設定されている場合、旋回用のグリッドにおける軌道データは、搬送装置が当該グリッド内で回転移動を行う際の走行輪の軌跡を利用しても良い。また、その際、図4における通路エリアに設定されたグリッドでは、複数のグリッドに跨って搬送装置2が直進移動を行う際の走行輪の軌跡を利用してもよい。また、走行軌道データとして、走行エリアの各グリッドの特性に応じて、走行輪の軌道データを作成してもよい。そのため、ステップS118以下では、点検を行うセルが旋回用に設定されたグリッドか否かを判定する。
【0080】
ステップS118では、点検を行うセルが旋回用に設定されたグリッドか否かを判定する。点検対象のグリッドが旋回用に設定されたグリッドである(S118がYES)場合はステップS119に進み、点検対象のグリッドが旋回用に設定されたグリッドでない(S118がNO)場合はステップS120に進む。
【0081】
ステップS119では、自走式ロボット3は点検対象のグリッドの旋回用の軌道データに基づいて作成された点検ルートに沿って点検を行う。ステップS120では、自走式ロボット3は点検対象のグリッドの直進用の軌道データに基づいて作成された点検ルートに沿って点検を行う。ステップS121において、轍の点検の処理を終了する。また、各グリッドに関連する情報に基づいて、各グリッドを点検する頻度を決定しても良い。例えば、搬送装置2が通過した回数または頻度の情報に応じて、グリッドを点検するスケジュールを決定してもよい。また、直進移動よりも回転移動によって生じる床面の摩耗の方が大きいため、旋回用のグリッドの点検はその他のグリッドの点検よりも高頻度に行ってもよい。
【0082】
なお、自走式ロボット3がマーカ移動モードを行う際に利用する床面上のマーカは、搬送装置2がグリッド間を移動する際に利用する床面上のマーカと同じものを利用できる。それにより、既存の搬送システムの構成を複雑化せずに、自走式ロボット3によって倉庫内を詳細に点検できるようになる。さらに、自走式ロボット3と搬送装置2との干渉を抑制して、倉庫内を柔軟に点検できる。
【0083】
図10は、本実施例の監視・操作画面の構成の一例を示す図である。
【0084】
操作・監視画面W1は、倉庫制御装置1が提供するが、自走式ロボット3が提供するように構成してもよい。操作・監視画面W1は、車両ID領域W11と、点検車両切り替えボタンW12と、マニュアル操縦モード切替ボタンW13と、マップ領域W14と、カメラ映像領域W15と、ステータス領域W16とを含む。操作者は、操作・監視画面W1内でマウスカーソルW17を移動し、自走式ロボット3を操作する。
【0085】
操作・監視画面W1では、車両ID領域W11に入力された識別情報の自走式ロボット3の状態をステータス領域W16に表示する。操作者は、車両ID領域W11に任意のIDを入力し、点検車両切り替えボタンW12を操作することで、監視画面W1に表示される点検を実施する自走式ロボット3を切り替える。操作者は、マニュアル操縦モード切替ボタンW13を操作することで、監視画面W1に表示されている自走式ロボット3の作業モードを自動点検モード又はマニュアル操縦モードに切り替える。
【0086】
マップ領域W14は、自走式ロボット3の現在位置W141と、点検位置92が表示される。作業モードがマニュアル操縦モードの場合は、マウスカーソルW17でスタート地点と目的地を指定して経路を生成すると、自走式ロボット3は生成された経路に従って移動する。自走式ロボット3の現在位置W141は三角形で表示され、自走式ロボット3の現在の前進方向を示す。点検位置92は、自走式ロボット3に割り当てられた点検作業の目的地である。
【0087】
カメラ映像領域W15は、自走式ロボット3の前面カメラ32で撮影された映像をリアルタイムで表示する。
【0088】
ステータス領域W16は、装置の状態73と、作業ID74と、点検項目93と、作業モード95と、自走式ロボット3の現在位置W141を表示する。
【0089】
以上に説明したように、本発明の実施例によると、自走式ロボット3によって倉庫内の点検が的確に実施できる。また、既存の搬送システムの構成を複雑化せずに、自走式ロボット3によって倉庫内を詳細に点検できるようになる。さらに、自走式ロボット3と搬送装置2との干渉を抑制して、倉庫内を柔軟に点検できる。
【0090】
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をしてもよい。
【0091】
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0092】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。
【0093】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0094】
1 倉庫制御装置
11 演算装置
12 メモリ
13 入力装置
14 出力装置
15 記憶装置
151 経路作成プログラム
152 データ分析プログラム
153 自由走行グリッド決定プログラム
154 点検経路作成プログラム
155 データ入出力プログラム
156 搬送装置制御プログラム
157 点検指令プログラム
160 点検データ
161 オーダー情報
162 在庫情報
163 棚情報
164 床情報
165 地図情報
166 装置情報
167 経路データ
168 計測データ
169 異常情報
17 通信インターフェース
2 搬送装置
21 カメラ
22 記憶部
221 地図情報
222 移動距離情報
23 走行輪
24 通信インターフェース
25 制御部
3 自走式ロボット
31 通信インターフェース
32 カメラ
33 記憶部
331 地図情報
332 移動距離情報
34 走行輪
35 制御部
351 所属グリッド特定機能
352 自由移動機能
353 相対位置推定機能
354 グリッド推定機能
355 基準位置復帰機能
4 ネットワーク
51 棚
52 保管スペース
53 損傷
54 台車
55 排障器
61 行大番号
62 行小番号
63 列大番号
64 列小番号
65 自由走行可能エリア
66 自由走行可能エリア
68 点検対象
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図10