IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ノエビアの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141799
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】免疫賦活用組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20241003BHJP
   A61K 36/07 20060101ALI20241003BHJP
   A61K 36/8998 20060101ALI20241003BHJP
   A61K 36/428 20060101ALI20241003BHJP
   A61K 36/60 20060101ALI20241003BHJP
   A61K 36/38 20060101ALI20241003BHJP
   A61K 36/537 20060101ALI20241003BHJP
   A61K 36/53 20060101ALI20241003BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20241003BHJP
   A61K 36/06 20060101ALI20241003BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20241003BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A23L33/10
A61K36/07
A61K36/8998
A61K36/428
A61K36/60
A61K36/38
A61K36/537
A61K36/53
A61P37/04
A61K36/06
A23L33/105
A23L2/52
A23L2/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053638
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】尾嶋 満里子
【テーマコード(参考)】
4B018
4B117
4C087
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018MD49
4B018MD52
4B018MD61
4B018MD66
4B018MD82
4B018MD91
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF13
4B117LC04
4B117LG01
4B117LG15
4B117LG18
4B117LG23
4B117LG24
4B117LK06
4B117LK08
4B117LK11
4B117LK16
4B117LL01
4B117LP05
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC11
4C087NA14
4C087ZB09
4C088AA07
4C088AB12
4C088AB19
4C088AB34
4C088AB38
4C088AB73
4C088BA08
4C088MA07
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZB09
(57)【要約】
【課題】
本発明はマクロファージを活性化することを特徴とする免疫賦活用組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】
下記(A)~(C)を含有する免疫賦活用組成物を提供する。
(A)アガリクス茸(Agaricus blazei Murill)及び/又はその抽出物
(B)米糠発酵抽出物
(C)ラカンカ、ボダイジュ、オトギリソウ、セージ、エンメイソウから選択される1種又は2種以上
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)~(C)を含有する免疫賦活用組成物。
(A)アガリクス茸(Agaricus blazei Murill)及び/又はその抽出物
(B)米糠発酵抽出物
(C)ラカンカ、ボダイジュ、オトギリソウ、セージ、エンメイソウから選択される1種又は2種以上
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マクロファージを活性化することを特徴とする免疫賦活用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生活習慣病や高齢化に伴う病気の予防・治療のため、個人が生活習慣を改善し、病気を予防するヘルスケア(健康管理)が求められている。生体における免疫機能を高める医薬品や食品等はヘルスケアに貢献できるとともに、健康改善や健康維持にも有用である。
【0003】
マクロファージが産生する一酸化窒素(NO)は、ヘルパーT細胞の賦活化やサイトカインの合成促進などの作用を介して免疫力を高めることから、免疫賦活の指標の一つとされ、これまでに、マクロファージのNO産生促進作用を指標として、ラクトバチルス・サケイ HS1株に由来する乳酸菌からなる免疫賦活剤(特許文献1)、マタタビの果実の30質量%エタノール抽出物を含有することを特徴とするNO産生促進剤(特許文献2)、スタフィロコッカス属に属する非病原性細菌又は枯草菌を有効成分とする、免疫賦活剤(特許文献3)等が開示されているが、いずれも効果は十分ではなかった。
【0004】
アガリクス茸は、ハラタケ科ハラタケ属(Agaricus)に属するキノコであり、免疫増強作用(特許文献4)、ヒアルロン酸産生促進活性および分解抑制活性を有する(特許文献5)などが知られている。一方でアガリクス茸とその他の成分を組み合わせるなどにより、その効果をさらに向上させるための検討がなされているが、単に併用すれば効果が向上するものではなく、効果を相殺するもの等その併用による効果は予測不可能な効果である。有意に効果が向上する、アガリクス茸との組み合わせについての十分な知見は得られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-265184号公報
【特許文献2】特開2009-46420号公報
【特許文献3】特開2022-111073号公報
【特許文献4】特開2014-005249号公報
【特許文献5】特開2013-35835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はマクロファージを活性化することを特徴とする免疫賦活用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記(A)~(C)を含有する免疫賦活用組成物を提供する。
(A)アガリクス茸(Agaricus blazei Murill)及び/又はその抽出物
(B)米糠発酵抽出物
(C)ラカンカ、ボダイジュ、オトギリソウ、セージ、エンメイソウから選択される1種又は2種以上
【発明の効果】
【0008】
本発明の免疫賦活用組成物はマクロファージを活性化する効果を有し、優れた免疫賦活効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0010】
本発明の免疫賦活用組成物は、単独で用いる他、食品、健康食品、医薬品、医薬部外品、化粧品等へ配合して用いることができる。
【0011】
[アガリクス茸及び/又はその抽出物]
本発明において、アガリクス茸とはハラタケ科ハラタケ属(Agaricus)に属するキノコをいい、具体例としてハラタケ(A.campestris)、カワリハラタケ(ブラジル原産のA.blazei、A.blasiliensis、北米原産のA.subrufescens、欧州原産のA.rufotegulis等)、マッシュルーム(A.bisporus)、シロオオハラタケ又はホースマッシュルーム(A.arvensis)、シロモリノカサ(A.silvicola)、ザラエノハラタケ(A.subrutilescens)等を挙げることができる。本発明ではアガリクス ブラゼイ ムリル(A.blazei Murill)を使用することが好ましい。
【0012】
本発明において、アガリクス茸をそのまま、あるいはその抽出物を単独、あるいは併用して用いることができる。
【0013】
アガリクス茸抽出物を用いる場合は、アガリクス茸の子実体抽出物、菌糸体抽出物、並びに菌糸体培養濾液のいずれも区別なく使用可能であるが、子実体及び/又は菌糸体の抽出物を用いることが好ましい。
【0014】
アガリクス茸の子実体から抽出物を得る場合、生の子実体或いは乾燥した子実体のいずれを用いても良い。取り扱い上、保存性及び抽出効率等の点から乾燥物が好ましい。またアガリクス茸子実体の抽出物を得る抽出溶媒としては、水、エタノール,メタノール,イソプロパノール,イソブタノール,n-ヘキサノール,メチルアミルアルコール,2-エチルブタノール,n-オクチルアルコールなどのアルコール類、グリセリン,エチレングリコール,エチレングリコールモノメチルエーテル,エチレングリコールモノエチルエーテル,プロピレングリコール,プロピレングリコールモノメチルエーテル,プロピレングリコールモノエチルエーテル,トリエチレングリコール,1,3-ブチレングリコール,ヘキシレングリコール等の多価アルコール又はその誘導体、アセトン,メチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン,メチル-n-プロピルケトンなどのケトン類、酢酸エチル,酢酸イソプロピルなどのエステル類、エチルエーテル,イソプロピルエーテル,n-ブチルエーテル等のエーテル類などの極性溶媒から選択される1種又は2種以上の混合溶媒が好適に使用できる。また、リン酸緩衝生理食塩水等の無機塩類を添加した極性溶媒、界面活性剤を添加した極性溶媒を用いることもでき、特に限定はされない。上記の抽出溶媒の中でも、エタノール,メタノール,1,3-ブチレングリコール,水から選択される1種の溶媒又は2種以上の混合溶媒、及びこれらの溶媒に無機塩,界面活性剤を添加した溶媒が好ましく用いられる。
【0015】
抽出方法としては、室温,冷却又は加温した状態で含浸させて抽出する方法、水蒸気蒸留等の蒸留法を用いて抽出する方法、生のアガリクス茸を直接圧搾して抽出物を得る圧搾法等が例示され、これらの方法を単独で又は2種以上を組み合わせて抽出を行う。
【0016】
抽出の際のアガリクス茸子実体と溶媒との比率は特に限定されるものではないが、アガリクス茸子実体1に対して溶媒0.5~1000質量倍、特に抽出操作、効率の点で0.5~100質量倍が好ましい。また、抽出温度は、常圧下で室温から溶剤の沸点以下の範囲とするのが便利であり、抽出時間は抽出温度などによって異なるが、2時間~2週間の範囲とするのが好ましい。
【0017】
また、このようにして得られたアガリクス茸子実体抽出物は、抽出物をそのまま用いることもできるが、効果を失わない範囲内で脱臭,脱色,濃縮等の精製操作を加えたり、さらにはカラムクロマトグラフィー等を用いて分画物として用いたりしてもよい。これらの抽出物や精製物、分画物は、これらから溶媒を除去することによって乾固物とすることもでき、さらにアルコールなどの溶媒に可溶化した形態、或いは乳剤の形態で用いることができる。また、リポソーム等のベシクルやマイクロカプセル等に内包させて用いることもできる。
【0018】
得られた抽出物は公知の安定剤、賦形剤、結合剤等の添加物質とともに含有し、本発明のオートファジー活性化剤とすることができる。添加物質としては本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されないが、デンプン、デキストリン、粉末セルロース、結晶セルロース、セルロース誘導体、ショ糖脂肪酸エステル、乳糖、アラビアガム、マンニトール、トレハロース、グルコース、ゼラチン、二酸化ケイ素等を単独で又は組み合わせて利用することが可能である。中でもデキストリンを用いることが好ましい。
【0019】
アガリクス茸菌糸体を得るためのアガリクス茸菌株の培養法としては、担子菌の培養に通常用いられる固体培養法及び液体培養法のいずれを採用しても良いが、後者の方法が生産性の点から好ましく用いられる。アガリクス茸の培養に用いる培地としては、菌の発育に必要な諸栄養が含まれていれば良く、通常の培地処方でよい。すなわち炭素源としては、例えばグルコース,シュークロース,マルトース,でんぷん等資化し得る炭素源であれば利用できる。窒素源としては、例えば硫酸アンモニウム塩,硝酸アンモニウム塩,尿素等、天然の複合栄養源としては、例えばじゃがいもエキス,ニンジンエキス,麦芽エキス,ペプトン,コウジエキス,酵母エキス,酵母末等を用いることができ、その他成長に必要な微量元素無機塩類,ビタミン類などを適宜添加して用いる。
【0020】
培養は、通常好気的条件下で行い、例えば振とう培養法或いは通気撹拌培養法が用いられる。培養中の撹拌は、24時間毎に数分間往復振とう又は回転振とうすればよいが、連続振とうしても良い。培養温度は15℃~40℃、好ましくは20℃~30℃前後である。培地のpHは3.0~9.0の範囲が適切で、4.5~7.0で生育が良好である。また、培養中は照光しないほうが好ましいが、1日11~14時間程度の照光は可能である。
【0021】
培養日数は物理的環境,培地組成などの培養条件によって異なるが、菌糸体の生育が十分認められる期間であれば良く、通常は2~120日間、特に好ましくは5~90日で、最大の菌糸体の生産される時期がよい。
【0022】
培養終了後培養液を遠心分離或いは濾過することにより菌糸体と培養濾液を分離する。遠心分離は100~5000G、好ましくは800~3000Gの重力加速度を与える遠心操作により行うことができる。また、濾過は、3.5~200メッシュ、特に好ましくは4~16メッシュのメンブランフィルターなどを用いて濾別する。
【0023】
アガリクス茸の菌糸体から抽出物を得る場合、上記の通り培養した培養液から得られた生の菌糸体をそのまま、或いは乾燥して用いることができる。取り扱い上、保存性及び抽出効率等の点から乾燥物が好ましい。菌糸体からの抽出溶媒としては、極性溶媒が好ましく用いられる。例えば、水、エタノール,メタノール,イソプロパノール,イソブタノール,n-ヘキサノール,メチルアミルアルコール,2-エチルブタノール,n-オクチルアルコール等のアルコール類、グリセリン,エチレングリコール,エチレングリコールモノメチルエーテル,エチレングリコールモノエチルエーテル,プロピレングリコール,プロピレングリコールモノメチルエーテル,プロピレングリコールモノエチルエーテル,トリエチレングリコール,1,3-ブチレングリコール,ヘキシレングリコール等の多価アルコール又はその誘導体等から選択される1種の溶媒又は2種以上の混合溶媒が使用できる。また、極性溶媒に無機塩類,界面活性剤などを添加して用いても良い。これらの極性溶媒の中でも、エタノール,メタノール,1,3-ブチレングリコール,水から選択される1種の溶媒又は2種以上の混合溶媒、及びこれらの溶媒に無機塩,界面活性剤を添加した溶媒が好ましく用いられる。
【0024】
さらに抽出方法としては、室温下,冷却又は加温した状態で含浸させて抽出する方法、水蒸気蒸留等の蒸留法を用いて抽出する方法、生のアガリクス茸菌糸体を直接圧搾して抽出物を得る圧搾法等が例示され、これらの方法を単独で又は2種以上を組み合わせて抽出を行う。
【0025】
抽出の際のアガリクス茸菌糸体と溶媒との比率は特に限定されるものではないが、アガリクス茸菌糸体1に対して溶媒0.5~1000質量倍、特に抽出操作,効率の点で0.5~100質量倍が好ましい。また抽出温度は、常圧下で5℃から溶剤の沸点以下の範囲とするのが便利であり、抽出時間は抽出温度などによって異なるが、2時間~2週間の範囲とするのが好ましい。
【0026】
また、このようにして得られたアガリクス茸菌糸体抽出物及び濾別した菌糸体培養濾液は、抽出物及び濾液をそのまま用いることもできるが、本発明の効果を失わない範囲内で分画、脱臭,脱色,濃縮等の精製操作を加えて用いることもできる。これらの抽出物および濾液のその精製物、分画物は、これらから溶媒を除去することによって乾固物とすることもでき、さらに精製水などの溶媒に可溶化又は懸濁化した形態、或いは乳剤の形態で皮膚外用剤に添加することができる。また、リポソーム等のベシクルやマイクロカプセル等に内包させて用いることもできる。
【0027】
[米糠発酵抽出物]
本発明で用いられる米糠発酵抽出物を得るための米糠発酵物とはイネ(学名:Rryza sativa L.)の種子から得た玄米を精米するときに得られる果皮、種皮、胚及び糊粉層の混合物を発酵させたものである。発酵の方法としては特に限定されない。発酵としては、例えば、乳酸発酵、アルコール発酵、酢酸発酵等が挙げられる。発酵に用いられる生物としては、例えば、酵母菌、乳酸菌、酢酸菌、納豆菌、グルコン酸菌、パントエア菌、キサントモナス菌、エンテロバクター菌等が挙げられる。
【0028】
本発明で用いられる米糠発酵抽出物は、一般的に医薬品、化粧料、食品等に用いられているものであれば特に限定されない。
【0029】
本発明の免疫賦活用組成物には(C)ラカンカ、ボダイジュ、オトギリソウ、セージ、エンメイソウから選択される1種又は2種以上を含有する。本発明においてこれらの植物は1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができるが、4種を併用して用いることが本発明の効果の点から好ましい。またこれらの植物は植物体をそのまま用いても、抽出物を用いてもよい。各植物について説明する。
【0030】
[ラカンカ]
本発明で用いられるラカンカ(学名:Momordicae Grosvenori Swingle)は、ウリ科ラカンカ属の多年生つる植物である。
【0031】
本発明でラカンカ抽出物を用いる場合は、植物から直接抽出したものを用いても、市販のラカンカ抽出物を用いてもよい。抽出に使用し得るラカンカの構成部位としては、特に限定されないが、果実が最も好ましい。
【0032】
[ボダイジュ]
本発明で用いられるボダイジュ(学名:Tilia miqueliana)は、アオイ科シナノキ属の落葉高木の植物である。
【0033】
本発明でボダイジュ抽出物を用いる場合は、植物から直接抽出したものを用いても、市販のラカンカ抽出物を用いてもよい。抽出に使用し得るボダイジュの構成部位としては、特に限定されないが、葉、花、実、根、幹、樹皮、根皮、新芽から選択される1種又は2種以上を用いることが好ましく、新芽若しくは花を用いることがさらに好ましく、花を用いることが最も好ましい。
【0034】
[オトギリソウ]
本発明で用いられるオトギリソウ(学名:Hypericumerectum)は、オトギリソウ科オトギリソウ属に属する多年草の植物である。
【0035】
本発明でオトギリソウ抽出物を用いる場合は、植物から直接抽出したものを用いても、市販のオトギリソウ抽出物を用いてもよい。抽出に使用し得るオトギリソウの構成部位としては、特に限定されないが、例えば、葉、茎、花、地上全草等が挙げられるが、好ましくは地上全草である。
【0036】
[セージ]
本発明で用いられるセージ(学名:Salvia officinalis L.)は、シソ科アキギリ属の多年草または常緑低木の植物である。
【0037】
本発明でセージ抽出物を用いる場合は、植物から直接抽出したものを用いても、市販のセージ抽出物を用いてもよい。抽出に使用し得るセージの構成部位としては、特に限定されないが、例えば、葉、茎、根、花、地上全草等が挙げられるが、葉を用いることが好ましい。
【0038】
[ヒキオコシ]
本発明で用いられるヒキオコシ(学名:Isodon japonicus)は、別名エンメイソウとも呼ばれ、シソ科ヤマハッカ属に属する多年草の植物である。
【0039】
本発明でヒキオコシ抽出物を用いる場合は、植物から直接抽出したものを用いても、市販のヒキオコシ抽出物を用いてもよい。抽出物に使用し得るヒキオコシの構成部位としては特に限定されないが、葉、茎、花、根等の各部位および地上全草を用いることができるが、好ましくは地上全草である。
【0040】
[抽出]
上記の抽出物を調製する際には、生のものをそのまま、若しくは乾燥させて用いる。細切、乾燥、粉砕等の処理を行った後に抽出を行うことが抽出効率の観点から好ましい。
抽出溶媒としては、水、メタノール,エタノール,プロパノール,イソプロパノール等の低級アルコール、1,3-ブチレングリコール,プロピレングリコール,ジプロピレングリコール,グリセリン等の多価アルコール、エチルエーテル,プロピルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル,酢酸ブチル等のエステル類、アセトン,エチルメチルケトン等のケトン類などの極性有機溶媒を用いることができ、これらより1種又は2種以上を選択して用いる。また、生理食塩水,リン酸緩衝液,リン酸緩衝生理食塩水等を用いてもよい。
上記溶媒による抽出物は、そのままでも用いることができるが、濃縮、乾固したものを水や極性溶媒に再度溶解したり、或いはそれらの皮膚生理機能向上作用を損なわない範囲で脱色、脱臭、脱塩等の精製処理を行ったり、カラムクロマトグラフィーによる分画処理を行った後に用いてもよい。また、抽出物を酸、アルカリ、酵素などを用いて加水分解したものを用いてもよい。また保存のため、精製処理の後凍結乾燥し、用時に溶媒に溶解して用いることもできる。また、リポソーム等のベシクルやマイクロカプセル等に内包させて用いることもできる 。
抽出処理は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定はされず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出原料の5~30倍量(質量比)の抽出溶媒に、抽出原料を浸漬し、常温または還流加熱下で可溶性成分を抽出させた後、濾過して抽出残渣を除去することにより抽出液を得ることができる。得られた抽出液から溶媒を留去するとペースト状の濃縮物が得られ、この濃縮物をさらに乾燥すると乾燥物が得られる。
【0041】
本発明にかかる免疫賦活用組成物には、上記以外にも本発明の効果を損ねない範囲で食品、健康食品、医薬品、医薬部外品、化粧品等に用いられる各種成分を適宜配合することができ、組成物の剤型についても特に制限されない。例えば、具体的には、乳液、クリーム、ローション、化粧水、パック、美容液、洗浄料、メイクアップ化粧料等の各種化粧料; 液剤、軟膏、粉末、顆粒、エアゾール剤、貼付剤、パップ剤等の様々な形態の化粧料、医薬部外品や外用医薬品などが例示できる。さらに、ドリンク剤等の液状の形態や、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、飴剤等の固形剤、あるいはゼリー、グミ、ガムなどの様々な形態に加工することができる。
【0042】
本発明にかかる免疫賦活用組成物は飲料に配合することが好ましい。
【0043】
本発明の免疫賦活用組成物を配合した飲料には、ビタミン類を配合することができる。かかるビタミン類としては、飲料に配合し得るビタミンであれば特に限定されない。例えばアスコルビン酸若しくはその誘導体並びにそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上のビタミンC類、チアミン若しくはその誘導体並びにそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上のビタミンB1類、リボフラビン若しくはその誘導体並びにそれらの塩類から選ばれる1種又は2種以上のビタミンB2類、ナイアシン、パントテン酸、ピリドキシン若しくはその誘導体並びにそれらの塩から選ばれる1種または2種以上のビタミンB6類などが例示される。
【0044】
本発明の免疫賦活用組成物を配合した飲料には、アルギニン以外のアミノ酸、ペプチド、タンパク質を配合することができる。かかるアミノ酸、ペプチド、タンパク質としては保健機能食品、食品、医薬品および医薬部外品の分野に利用し得るものであれば特に限定されない。例えばアミノ酸としては、バリン、ロイシン、イソロイシン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、システイン、リジン、スレオニン、アスパラギン、フェニルアラニン、セリン、メチオニン、グリシン、チロシン、ヒスチジン、トリプトファン、シスチン、テアニンなどが例示される。ペプチド、タンパク質としては、例えばコラーゲン及びその加水分解物、エラスチン及びその加水分解物、大豆タンパク質及びその加水分解物などが例示される。
【0045】
本発明の免疫賦活用組成物を配合した飲料には、甘味料を配合することができる。かかる甘味料としては保健機能食品、食品、医薬品および医薬部外品の分野に利用し得る甘味料で、還元性を有さないものであれば特に限定されない。たとえば、甘草抽出物、ステビア抽出物及び/又はその精製物、羅漢果抽出物、ソーマチン、モネリン、ミラクリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン及び/又はその塩、ズルチン、ネオテームなどが挙げられる。これらの甘味料は、1種を単独で若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
本発明の免疫賦活用組成物を配合した飲料には、通常保健機能食品、食品、医薬品および医薬部外品の分野の飲料に用いることが可能な成分、例えば、上記以外のビタミン類、有機酸類、無機酸類、生薬、着色料、香料、保存剤、増粘剤、オリゴ糖類、多糖類、などの他、キトサン化合物、栄養強化成分、滋養強壮成分などを適時選択して配合することができ、飲料製造の常法により製造することができる。
【実施例0047】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。なお、配合量は特に断りのない限り質量%である。
【0048】
まず、実施例に用いた抽出物の調製方法を示す。
【0049】
[アガリクス茸抽出物]
アガリクスブラゼイムリル(A.blazei Murill)の子実体・菌糸体混合抽出物にデキストリンを添加したものをアガリクス茸抽出物として使用した。
【0050】
[米糠発酵抽出物]
イネ(学名:Rryza sativa L.)の種子から得た糠をパントエア菌(Pantoea)により発酵させ得られた抽出物をろ過して得られたものを米糠発酵抽出物として使用した。
【0051】
[マクロファージ活性化作用]
ラットの肺胞マクロファージ細胞株NR8383を用いてマクロファージから分泌されたNOの産生量を計測し、マクロファージ活性化能を評価した。被験物質の溶解に用いた培養液を陰性対照物質とした。NR8383細胞を96穴平底プレートに8×10個/ウェルになるように播種し、37℃5%COインキュベーターにて7時間培養し細胞を接着させた。続いて、被験物質を表1に示す量になるように培地に添加し、37℃5%COインキュベーターにて24時間培養を行った。培養終了後、各ウェルの培養上清中の亜硝酸(Nitrite)濃度をグリース試薬を用いて測定した(吸光度540nm)。陰性対照物質の測定値を0とした相対値で示した。結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
表1に示した通り、比較例1~3の各成分単独の場合のNO産生量と比較して、本発明の免疫賦活用組成物は各成分を併用することにより、NO産生量を効果的に上昇させ、マクロファージを活性化する効果を発揮することが明らかとなった。従って、本発明の免疫賦活用組成物はマクロファージを活性化させ、顕著な免疫賦活効果を発揮する。
【0054】
[実施例2] ドリンク剤
(1)アミノエチルスルホン酸 1000mg
(2)硝酸チアミン 10mg
(3)リン酸リボフラビンナトリウム 5mg
(4)塩酸ピリドキシン 10mg
(5)無水カフェイン 50mg
(6)クエン酸 250mg
(7)D-ソルビトール液 8mg
(8)アガリクス茸抽出物 5mg
(9)米糠発酵抽出物 1mg
(10)植物エキス(注1) 5mg
(11)香料 微量
(12)精製水 100mLとする残部
製法:(1)~(11)を順次(12)に添加し、均一化する。
【0055】
[実施例3] 錠剤
(1)コーンスターチ 44.0(質量%)
(2)結晶セルロース 100とする残部
(3)カルボキシメチルセルロースカルシウム 5.0
(4)無水ケイ酸 0.5
(5)ステアリン酸マグネシウム 0.5
(6)アガリクス茸抽出物 0.001
(7)米糠発酵抽出物 0.0005
(8)植物エキス(注1) 1.0
製法:(1)~(8)を均一に混合し、打錠機にて圧縮成型して、1錠200mgの錠剤を得る。