(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141806
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】座席用ヒータ装置、および座席
(51)【国際特許分類】
A47C 7/74 20060101AFI20241003BHJP
B60N 2/56 20060101ALI20241003BHJP
A47C 7/50 20060101ALI20241003BHJP
A47C 7/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A47C7/74 B
B60N2/56
A47C7/50 A
A47C7/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053646
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】林 芳和
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084JF04
3B087DE03
3B087DE09
(57)【要約】
【課題】着座者に異物感を与えることなく測温センサ150を配置する。
【解決手段】座席に配置されるシート状の基材110と、座席に着座する着座者の体の一部に重なる基材110の部分である加熱領域101に配線されるヒータ線120と、基材110の加熱領域101に配置される測温センサ150と、を備え、測温センサ150は、基材110を厚さ方向に刺し通された状態で基材110に取り付けられる座席用ヒータ装置100。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の座席に配置されるシート状の基材と、
前記座席に着座する着座者の体の一部に重なる前記基材の部分である加熱領域に配線されるヒータ線と、
前記基材の前記加熱領域に配置される測温センサと、を備え、
前記測温センサは、
前記基材を厚さ方向に刺し通された状態で前記基材に取り付けられる
座席用ヒータ装置。
【請求項2】
前記ヒータ線は、前記基材の前記着座者に対向する側の面に配線され、
前記基材に対する前記測温センサの突出量は、前記ヒータ線の前記基材に対する突出量と同等以下である
請求項1に記載の座席用ヒータ装置。
【請求項3】
前記ヒータ線は、前記基材の前記着座者とは反対側の面に配線され、
前記測温センサは、前記基材の前記着座者に対向する側の面から突出しないように、前記基材に取り付けられる
請求項1に記載の座席用ヒータ装置。
【請求項4】
前記測温センサは、
長手方向が前記基材の厚さ方向に沿って前記基材に取り付けられる
請求項1~3のいずれか1項に記載の座席用ヒータ装置。
【請求項5】
前記測温センサから延出する信号線は、
前記基材に対し前記ヒータ線の反対側において配線される
請求項1または2に記載の座席用ヒータ装置。
【請求項6】
前記座席用ヒータ装置が前記座席の背もたれ部材に配置される場合、
前記測温センサは、
前記着座者の肩に対向する部分に配置される
請求項1~3のいずれか1項に記載の座席用ヒータ装置。
【請求項7】
前記座席用ヒータ装置が前記移動体のアームレストに配置される場合、
前記測温センサは、
前記アームレストの、前記アームレストが使用位置にある場合の前記移動体の後方側に配置される
請求項1~3のいずれか1項に記載の座席用ヒータ装置。
【請求項8】
前記測温センサは、
前記着座者の肘に対向する部分に配置される
請求項7に記載の座席用ヒータ装置。
【請求項9】
前記座席用ヒータ装置が前記座席の着座部材に配置される場合、
前記測温センサは、
前記着座部材の前方側中央部に配置される
請求項1~3のいずれか1項に記載の座席用ヒータ装置。
【請求項10】
前記測温センサは、
前記着座者の二つの大腿部の間に配置される
請求項9に記載の座席用ヒータ装置。
【請求項11】
前記座席用ヒータ装置が前記座席のオットマンに配置される場合、
前記測温センサは、
前記オットマンの付け根側に配置される
請求項1~3のいずれか1項に記載の座席用ヒータ装置。
【請求項12】
前記測温センサは、
前記着座者の膝裏に対向する部分に配置される
請求項11に記載の座席用ヒータ装置。
【請求項13】
座席に配置されるシート状の基材と、
前記座席に着座する着座者の体の一部に重なる前記基材の部分である加熱領域に配線されるヒータ線と、
前記基材の前記加熱領域に配置される測温センサと、
前記基材に対し前記着座者の反対側に配置されるクッション部材と、を備え、
前記測温センサは、
前記基材を厚さ方向に刺し通された状態で前記基材に取り付けられ、
前記クッション部材は、
前記基材から突出する前記測温センサの部分を収容するセンサ用凹部を備える
座席。
【請求項14】
前記クッション部材は、
前記測温センサから延出する信号線が配線される孔、または凹部である信号線配線部を備える
請求項13に記載の座席。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば車両に装備されている座席を温めるヒータ線を備える座席用ヒータ装置、およびヒータ装置を備える座席に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のように、車両用の座席などに搭載されるシート状のヒータであって、ヒータによる加熱温度を測定するサーミスタのような測温センサが取り付けられたヒータが存在している。このような測温センサは、ヒータ線やヒータ線を保持するシート状の基材などに比べて硬質で厚いため、座席に座る着座者が触れる部分に配置されると着座者に異物感を与える可能性がある。従って、従来測温センサは、着座者と接触しない背もたれ部材と着座部の間などに配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、着座者から離れた位置に測温センサが配置される構成では、着座者が接触している部分近傍の温度を予測により判断している。さらに、着座者の衣服や、車内環境により、着座者が感じる温度と測温センサから得られる情報との関係性が変わるため、予測が困難であった。
【0005】
そこで、本開示は、着座者に異物感を与えることなくヒータにより加熱された着座者近傍の温度を適切に測定することができる座席用ヒータ装置、および座席用ヒータ装置を備えた座席を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る座席用ヒータ装置は、座席に配置されるシート状の基材と、前記座席に着座する着座者の体の一部に重なる前記基材の部分である加熱領域に配線されるヒータ線と、前記基材の前記加熱領域に配置される測温センサと、を備え、前記測温センサは、前記基材を厚さ方向に刺し通された状態で前記基材に取り付けられる。
【0007】
本開示の一態様に係る座席は、座席に配置されるシート状の基材と、前記座席に着座する着座者の体の一部に重なる前記基材の部分である加熱領域に配線されるヒータ線と、前記基材の前記加熱領域に配置される測温センサと、前記基材に対し前記着座者の反対側に配置されるクッション部材と、を備え、前記測温センサは、前記基材を厚さ方向に刺し通された状態で前記基材に取り付けられ、前記クッション部材は、前記基材から突出する前記測温センサの部分を収容するセンサ用凹部を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の座席用ヒータ装置、および座席は、着座者に異物感を与えることなく測温センサを配置することができ、適切な測温環境を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】座席用ヒータ装置を備える座席の概要を示す図である。
【
図2】座席用ヒータ装置を備えた座席200の断面図である。
【
図5】座席用ヒータ装置の取り付け態様のバリエーションを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る座席用ヒータ装置、および座席の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本開示を説明するために一例を挙示するものであり、本開示を限定する主旨ではない。例えば、以下の実施の形態において示される形状、構造、材料、構成要素、相対的位置関係、接続状態、数値、数式、方法における各段階の内容、各段階の順序などは、一例であり、以下に記載されていない内容を含む場合がある。また、平行、直交などの幾何学的な表現を用いる場合があるが、これらの表現は、数学的な厳密さを示すものではなく、実質的に許容される誤差、ずれなどが含まれる。また、同時、同一などの表現も、実質的に許容される範囲を含んでいる。
【0011】
また、図面は、本開示を説明するために適宜強調、省略、または比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状、位置関係、および比率とは異なる。また、図中に示す場合があるX軸、Y軸、Z軸は、図の説明のために任意に設定した直交座標を示している。つまりZ軸は、鉛直方向に沿う軸とは限らず、X軸、Y軸は、水平面内に存在するとは限らない。
【0012】
また、以下では複数の開示を一つの実施の形態として包括的に説明する場合がある。また、以下に記載する内容の一部は、本開示に関する任意の構成要素として説明している。
【0013】
図1は、座席用ヒータ装置100を備える座席200の概要を示す図である。
図2は、座席用ヒータ装置100を備えた座席200の断面図である。座席200は、人が着座する椅子であって、例えば移動体に座席として備えられる椅子、マッサージチェアなどを例示することができる。移動体とは、自動車、列車などを含む車両、飛行機、船舶等である。本実施の形態では、座席200として、自動車の運転席を例示して説明する。なお、座席200は、助手席、後部座席であってもよい。
【0014】
本実施の形態の場合、座席200は、着座部材210と、背もたれ部材220と、枕部材230と、を備えている。着座部材210は、座席200に着座するユーザの臀部及び大腿部を支持する座席200の構成部材の一つである。背もたれ部材220は、座席200に着座するユーザの背部を支持する座席200の構成部材の一つである。枕部材230は、座席200に着座する着座者の頭部を衝撃発生時などに拘束する座席200の構成部材の1つである。着座部材210、背もたれ部材220、枕部材230は、皮(合成皮革含む)、樹脂、布帛などで形成された表皮部材211と、表皮部材211で覆われたクッション部材212と、を備えている。
【0015】
本実施の形態の場合、クッション部材212は、座席用ヒータ装置100が備える測温センサ150を収容するセンサ用凹部215が設けられている(詳細は後述)。これにより、測温センサ150がクッション部材212の弾性により押し出されて着座者に測温センサ150による異物感を与えることを抑制することができる。また、クッション部材212は、測温センサ150から延出する信号線151が配線される孔、または凹部(本実施の形態の場合、孔)である信号線配線部216が設けられている。これにより、信号線151を着座者から遠い位置に配線することができ、信号線151による着座者の異物感を抑制することができる。
【0016】
図3は、座席用ヒータ装置100を示す平面図である。座席用ヒータ装置100は、座席200に着座した着座者の身体の一部を温める機能を有する。本実施の形態の場合、座席用ヒータ装置100は、着座部材210の着座面213に沿って配置されるシート状の装置であり、着座部材210のクッション部材212の上面と、表皮部材211との間に配置されている。座席用ヒータ装置100は、基材110と、ヒータ線120と、制御基板130と、測温センサ150と、を備えている。
【0017】
基材110は、座席200の着座面213など着座者が接触する部分の近傍において座席200の表面に沿って広がって配置され、ヒータ線120を所定の配線形状で保持するシート状の部材である。基材110を構成する材料は、特に限定されるものではなく、ポリエステルなど化学繊維や天然繊維からなる布、ポリエステルなど化学繊維や天然繊維からなる不織布、発泡樹脂(例えば発泡ウレタン)製のシートなど、柔軟性を備えたシートを例示することができる。
【0018】
本実施の形態の場合、座席200の着座面213は、着座部材210の後方(座席200が取り付けられる車両の後方、図中Y-側)に配置される背もたれ部材220の下方にまで延在している。
【0019】
制御基板130は、接続されたヒータ線120による熱の発生状態を制御する。制御基板130が配置される基材110上の位置は限定されるものではない。また、制御基板130は基材110上に配置される構成に限定されず、基材110とは別体であってもよい。本実施の形態の場合、制御基板130は、基材110の加熱領域101の外の領域である非加熱領域102に配置されている。制御基板130は、背もたれ部材220の下方に配置されるため、着座した着座者の圧力が直接的に付与されない。従って、制御基板130は着座者に硬さを感じさせず、また着座した着座者の重さによって撓みにくい。
【0020】
制御基板130による制御方法は、限定されるものではない。例えば制御基板130は、ヒータ線120による発熱のON・OFFを制御するものでもよい。また、制御基板130は、加熱領域101に取り付けられたサーミスタなどの測温センサ150から温度情報を取得し、ヒータ線120の発熱により昇温する着座部材210の温度を所定の範囲内に維持するよう制御してもかまわない。つまり制御基板130は、ヒータ線120に投入する電力の制御などを所定の制御をプログラムに基づき実現することができるプロセッサなどを含む電子回路を備えてもかまわない。なお、制御基板130は、デジタル回路、およびアナログ回路の少なくとも一方を備えてもかまわない。
【0021】
本実施の形態の場合、制御基板130は、基材110に対しヒータ線120が配線される面と同じ面に取り付けられている。なお、制御基板130は、基材110に対しヒータ線120が配線される面と逆の面に取り付けられてもかまわない。また、制御基板130は、電力が投入される入力端子131を備えている。
【0022】
ヒータ線120は、基材110の少なくとも加熱領域101に配線され、電流(または電圧)を印加することにより着座部材210に着座した着座者と重なる座席200の部分を温めるための熱を発生させる線状の部材である。なお、ヒータ線120は、制御基板130と接続するため非加熱領域102にも配線される。ヒータ線120の種類は、限定されるものではなく、例えば銀及び銅等を含む合金により形成される撚り線、カーボン繊維などを例示することができる。ヒータ線120を基材110の表面に取り付け、所定のパターンに配線する方法は、限定されるものではないが、縫い付ける方法、接着剤による接着などを例示することができる。ヒータ線120の配線態様は、限定されるものではない。例えば、
図3に示すように蛇行状に配線してもかまわない。
【0023】
図4は、測温センサ150近傍を示す断面図である。測温センサ150は、ヒータ線120によって加熱される部分の温度を測温する素子である。測温センサ150の種類は、限定されるものではないが、本実施の形態の場合、サーミスタが採用されている。測温センサ150は、基材110の加熱領域101内に配置され、基材110を厚さ方向(図中Z軸方向)に刺し通された状態で基材110に取り付けられている。測温センサ150の取り付け方法は、限定されるものではなく、例えば接着剤による基材110への固定を例示することができる。なお、
図4において、基材110のZ軸方向の厚さはヒータ線120の直径よりも4倍程度大きく図示されているが、このような構成に限定されるものではなく、基材110の厚さはヒータ線120の直径と同程度から2倍程度であってもよい。
【0024】
本実施の形態の場合、測温センサ150は、着座部材210の前方側中央部に配置されている。これにより測温センサ150は、着座者の二つの大腿部の間に配置されることになり、着座者に異物感を与えることなく着座者が接触している部分近傍のヒータ線120による温度を測温することが可能となる。
【0025】
基材110に対する測温センサ150の突出量h1は、基材110に対するヒータ線120の突出量h2と同等、またはそれ以下である。本実施の形態の場合、ヒータ線120の突出量h2は、ヒータ線120の直径と同等である。これにより、ヒータ線120よりも柔軟性の低い測温センサ150が着座者の触れる場所に存在していても、着座者に与える異物感を抑制することができる。なお、
図4では基材110の上面(図中Z+側)にヒータ線120が配置されているが、この構成に限定されるものではなく、基材110の下面(図中Z-側)であって、基材110とクッション部材212との間にヒータ線120が配置される構成としてもよい。この場合は、基材110に対する測温センサ150の突出量h1は、略0、つまり、基材110の表面と略面一であればよい。これにより、着座者に与える測温センサ150の異物感を抑制することができる。
【0026】
また、測温センサ150は、測温センサ150の長手方向が基材110の厚さ方向に沿って基材110に取り付けられている。ここで、測温センサ150の長手方向とは、測温センサ150を収容しうる(信号線151除く)最小の直方体の最も長い辺が延在する方向である。これによれば、測温センサ150が着座者に対向する面積を小さくすることができ、測温センサ150による着座者への異物感を抑制することが可能となる。
【0027】
本実施の形態の場合、長手方向が基材110の厚さ方向に沿って配置される測温センサ150は、基材110から表皮部材211に向かって突出する突出長さよりクッション部材212に向かって突出する突出長さが長い。基材110からクッション部材212に向かって突出する測温センサ150の部分は、クッション部材212に設けられたセンサ用凹部215に収容される。これにより、測温センサ150がクッション部材212の弾性により表皮部材211に向かって押し出されることはなく、着座者に異物感を与えることを抑制している。なお、センサ用凹部215は、クッション部材212の表皮部材211側表面から下に向かって設けられた一文字、十字などの切込みでもかまわない。この場合、測温センサ150が切込みに挿入されることでセンサ用凹部215が形成される。
【0028】
測温センサ150から延出する信号線151は、基材110に対しヒータ線120の反対側において配線されている。これにより、信号線151が着座者に与える異物感を抑制することができる。本実施の形態の場合、信号線151は、クッション部材212に設けられた信号線配線部216に刺し通された状態で配線されている。信号線配線部216は、センサ用凹部215と連通し、制御基板130に達するまでクッション部材212の内部に延在配置されている。これにより、信号線151を着座者から遠い位置に配線することができ、信号線151による着座者の異物感をより抑制することができる。
【0029】
なお、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本開示の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本開示の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本開示に含まれる。
【0030】
例えば、
図5に示すように、座席用ヒータ装置100が座席の背もたれ部材220に配置されてもかまわない。この場合、測温センサ150は、着座者の肩に対向する部分に配置されることが好ましい。着座者の肩は、背もたれ部材220に常時密着するため、着座者が接触している部分近傍のヒータ線120による温度を安定して測温することが可能となる。
【0031】
また、座席用ヒータ装置100が座席200に設けられたアームレスト240や座席200の近傍に設けられた座席用のアームレスト240に配置されてもかまわない。アームレスト240は、使用位置と未使用位置との間で回転可能に構成されてもよい。使用位置は、座席に着座した着座者の腕の一部(肘)をアームレスト240が支持可能な位置である。未使用位置は、使用位置以外の位置である。具体的には、アームレスト240の使用位置は、
図5に示すように、アームレスト240の支持面241が着座部材210の着座面213と略平行になるまで回動した位置であって、着座者の腕の一部(肘)を支持可能な位置である。一方、アームレスト240の未使用位置は、アームレスト240の支持面241が着座部材210の着座面213と略垂直になるまで回動した位置であって、着座者が腕の一部を載せ置くことができない位置である。
【0032】
座席用ヒータ装置100が座席のアームレスト240に配置される場合、測温センサ150は、アームレスト240の、アームレスト240が使用位置にある場合の移動体の後方側(図中Y-側)、つまり、アームレスト240の付け根側に配置されてもかまわない。この場合、測温センサ150は、着座者の肘に対向する部分に配置されることが好ましい。着座者の肘は、アームレスト240に密着する場合が多く、着座者が接触している部分近傍のヒータ線120による温度を安定して測温することが可能となる。
【0033】
なお、座席用ヒータ装置100は、座席200近傍のドアのアームレスト等、回転しないアームレストに配置されてもかまわない。この場合、アームレストは使用位置に固定されていることとなり、測温センサ150は、アームレストの、アームレストが使用位置にある場合の移動体の後方側に配置されてもかまわない。なお、ドアのアームレストに配置されるヒータ装置も、座席に着座した着座者が使用するものであるから、座席用ヒータ装置100に含まれ得る。
【0034】
また、座席用ヒータ装置100が座席のオットマン250に配置される場合、測温センサ150は、オットマン250の付け根側(図中Y-側)、つまり着座部材210に近い側に配置されてもかまわない。特に、測温センサ150は、着座者の膝裏に対向する部分に配置されることが好ましい。着座者の膝の部分は、オットマン250に対してほとんど動かない部分であり、着座者が接触している部分近傍のヒータ線120による温度を適切に測温することが可能となる。
【0035】
(まとめ)
以上述べたように、第一の態様に係る座席用ヒータ装置100は、座席に配置されるシート状の基材110と、座席に着座する着座者の体の一部に重なる基材110の部分である加熱領域101に配線されるヒータ線120と、基材110の加熱領域101に配置される測温センサ150と、を備え、測温センサ150は、基材110を厚さ方向に刺し通された状態で基材110に取り付けられる。
【0036】
これによれば、着座者に与える異物感を抑制しながら、着座者が接触している部分近傍の温度を測温センサ150により適切に測定することが可能となる。
【0037】
また、第二の態様に係る座席用ヒータ装置100は、第一の態様を含み、ヒータ線120は、基材110の着座者に対向する側の面に配線され、基材110に対する測温センサ150の突出量が測温センサ150の基材110に対する突出量と同等以下である。
【0038】
これによれば、着座者に与える異物感をより抑制することができる。
【0039】
また、第三の態様に係る座席用ヒータ装置100は、第一の態様を含み、ヒータ線120は、基材110の着座者とは反対側の面に配線され、測温センサ150は、基材110の着座者に対向する側の面から突出しないように、基材110に取り付けられる。
【0040】
これによれば、測温センサ150により着座者に与える異物感を抑制し、またヒータ線120による異物感も軽減することができる。
【0041】
また、第四の態様に係る座席用ヒータ装置100は、第一から第三のいずれかの態様を含み、測温センサ150は、長手方向が基材110の厚さ方向に沿って基材110に取り付けられる。
【0042】
これによれば、測温センサ150の形状や大きさにかかわらず着座者に与える異物感を効果的に抑制することができる。
【0043】
また、第五の態様に係る座席用ヒータ装置100は、第一、第二または第四の態様を含み、測温センサ150から延出する信号線151は、基材110に対しヒータ線120の反対側において配線される。
【0044】
これによれば、測温センサ150から延出される信号線151により着座者に与える異物感を抑制することができる。
【0045】
また、第六の態様に係る座席用ヒータ装置100は、第一から第五のいずれかの態様を含み、座席の背もたれ部材220に配置される場合、測温センサ150は、着座者の肩に対向する部分に配置される。
【0046】
これによれば、背もたれ部材220に対し着座者の肩の部分はあまり動かないため、着座者に異物感を与えることなく適切に測温することができる。
【0047】
また、第七の態様に係る座席用ヒータ装置100は、第一から第六のいずれかの態様を含み、座席のアームレスト240に配置される場合、測温センサ150は、アームレスト240の、アームレスト240が使用位置にある場合の移動体の後方側に配置される。特に、測温センサ150は、着座者の肘に対向する部分に配置される。
【0048】
これによれば、アームレスト240に対し着座者の肘の部分はあまり動かないため、着座者に異物感を与えることなく適切に測温することができる。
【0049】
また、第八の態様に係る座席用ヒータ装置100は、第一から第七のいずれかの態様を含み、座席の着座部材に配置される場合、測温センサ150は、着座部材の前方側中央部に配置される。特に、測温センサ150は、着座者の二つの大腿部の間に配置される。
【0050】
これによれば、測温センサ150による異物感を着座者にほとんど感じさせることなく、着座者が接触している部分近傍の温度を適切に測温することができる。
【0051】
また、第九の態様に係る座席用ヒータ装置100は、第一から第八のいずれかの態様を含み、座席のオットマン250に配置される場合、測温センサ150は、オットマン250の付け根側に配置される。特に、測温センサ150は、着座者の膝裏に対向する部分に配置される。
【0052】
これによれば、測温センサ150による異物感を着座者に感じさせることなく、着座者が接触している部分近傍の温度を適切に測温することができる。
【0053】
また、第十の態様に係る座席200は、第一から第九のいずれかの態様の座席用ヒータ装置100と、基材110に対し着座者の反対側に配置されるクッション部材212と、を備え、クッション部材212は、基材110から突出する測温センサ150の部分を収容するセンサ用凹部215を備える。
【0054】
これによれば、クッション部材212の弾性により測温センサ150を着座者側に押しつけることがなく、着座者に与える異物感を抑制することができる。
【0055】
また、第十一の態様に係る座席200は、第十の態様を含み、クッション部材212は、測温センサ150から延出する信号線151が配線される孔、または凹部である信号線配線部216を備える。
【0056】
これにより、信号線151による異物感も着座者に感じさせることを抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本開示は、着座者が着座する着座部を備えた座席を温める座席用ヒータ装置100に利用可能である。
【符号の説明】
【0058】
100 座席用ヒータ装置
101 加熱領域
102 非加熱領域
110 基材
120 ヒータ線
130 制御基板
131 入力端子
150 測温センサ
151 信号線
200 座席
210 着座部材
211 表皮部材
212 クッション部材
213 着座面
215 センサ用凹部
216 信号線配線部
220 部材
230 枕部材
240 アームレスト
241 支持面
250 オットマン