(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141809
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】回転電機および回転電機の製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 3/12 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H02K3/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053651
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】白土 英治
【テーマコード(参考)】
5H603
【Fターム(参考)】
5H603AA01
5H603BB05
5H603BB12
5H603CA01
5H603CA05
5H603CB02
5H603CC05
5H603CC17
5H603CD02
5H603CD05
5H603CD22
5H603CE05
(57)【要約】
【課題】棒状コイルのコイル渦損を良好に抑制でき、延いてはエネルギーの効率化に寄与できる回転電機および製造方法を提供する。
【解決手段】回転電機10は、ステータ11と、ロータ12と、を備える。ステータは、ねじれた状態にスリットが形成された板状導体31A,31Bを含んだ棒状コイル25が、ステータコア21のスロット23内に配置されている。ロータは、ステータコアに隣接して回転する。棒状コイルは、連続してステータコアに巻きかけられている。棒状コイルは、ロータ側に配置された板状導体31Aのスリット数がロータから離反する側に配置された板状導体31Bのスリット数よりも多い。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部に軸線方向の一端側から他端側に向けてねじれた状態にスリットが形成された板状導体を含んだ棒状コイルが、ステータコアのスロット内に配置されたステータと、
前記ステータに隣接して回転するロータと、を備えた回転電機において、
前記棒状コイルが連続して前記ステータコアに巻きかけられ、
前記ロータ側に配置された板状導体のスリット数を、前記ロータから離反する側に配置された板状導体のスリット数よりも多くした、
ことを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記ロータ側に配置された板状導体は、
前記ステータコアの径方向における厚みが前記ロータから離反する側に配置された板状導体の厚みより大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記ロータ側に配置された板状導体には、
該ロータ側に配置された板状導体を前記径方向へ複数層に分割する分割スリットが前記ステータコアの周方向に延びるように形成され、
前記複数層に分割されたそれぞれの層に前記スリットがねじれ状態に形成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記ロータ側と前記ロータから離反する側との間に配置されて前記棒状コイルを形成する全ての板状導体は、断面積が同一に形成されている、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の回転電機。
【請求項5】
前記板状導体のスリットにより形成された1区画が、隣り合う他の区画と、または斜め隣の他の区画と周期的に入れ替わる区画パターンとした、
ことを特徴とする請求項4に記載の回転電機。
【請求項6】
前記板状導体は、
前記スリットの始点から始まるそれぞれの区画の入れ替わりが、前記スリットの終点において前記始点の区画パターンに一致するように形成されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の回転電機。
【請求項7】
請求項1の回転電機を製造する製造方法であって、
前記ねじれた状態に形成されたスリットを有する板状導体を金属積層成形により成型する、
ことを特徴とする回転電機の製造方法。
【請求項8】
前記板状導体を含む前記棒状コイルが螺旋状に連続しており、前記棒状コイルの全体を金属積層成形により一体で成型する、
ことを特徴とする請求項7に記載の回転電機の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機および回転電機の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機のなかには、例えば、ステータコアのスロットに板状導体を含んだ棒状コイルを備え、ステータコアの軸線方向にスリットがねじれた状態に形成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。板状導体にスリットをねじれた状態に形成することにより、板状導体に発生する渦電流による損失(すなわち、コイル渦損)を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、棒状コイルの板状導体は、例えばステータコアに螺旋状に連続して巻きかけられることにより、ステータコアの外周側からロータ側に積み重なるように配置(配列)される。このように配置された板状導体において、ロータに近い側の板状導体に発生する鎖交磁束量が多くなり、ロータに近い側の板状導体のコイル渦損が増すことが知られている。そこで、ロータ側に配列された板状導体に発生するコイル渦損を一層良好に抑えることにより、棒状コイルのコイル渦損を良好に抑制でき、延いてはエネルギーの効率化に貢献できる技術の実用化が望まれている。
【0005】
本発明は、棒状コイルのコイル渦損を良好に抑制でき、延いてはエネルギーの効率化に寄与できる回転電機および回転電機の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明に係る回転電機は、少なくとも一部に軸線方向の一端(例えば、実施形態の一端31Aa,31Ba,100a,124a)側から他端(例えば、実施形態の他端31Ab,31Bb,100b,124b)側に向けてねじれた状態にスリット(例えば、実施形態のスリット42,56,140)が形成された板状導体(例えば、実施形態の板状導体31,31A,31B,100,124,205)を含んだ棒状コイル(例えば、実施形態の棒状コイル25,120)が、ステータコア(例えば、実施形態のステータコア21)のスロット(例えば、実施形態のスロット23)内に配置されたステータ(例えば、実施形態のステータ11,201)と、
前記ステータに隣接して回転するロータ(例えば、実施形態のロータ12)と、を備えた回転電機(例えば、実施形態の回転電機10)において、
前記棒状コイルが連続して前記ステータコアに巻きかけられ、
前記ロータ側に配置された板状導体(例えば、実施形態の板状導体31A,100,124)のスリット数を、前記ロータから離反する側に配置された板状導体(例えば、実施形態の板状導体31B)のスリット数よりも多くする。
【0007】
ここで、ロータ側に配置された板状導体は、コイル渦損による影響を多く受ける。そこで、この構成において、ロータ側に配置された板状導体のスリット数を、ロータから離反する側に配置された板状導体のスリット数より多くした。よって、ロータ側に配置された板状導体において、大きな渦電流をスリットにより小さな渦電流に分断できる。これにより、ロータ側に配置された板状導体においてコイル渦損の発生を良好に抑制できる。したがって、ステータコアに螺旋状に巻きかけられた棒状コイルのコイル渦損を良好に抑制できる。延いてはエネルギーの効率化に寄与できる。
【0008】
また、ステータの軸線方向において、板状導体の一端から他端までスリットをねじれた状態に形成することにより、板状導体の誘起電圧差を小さくできる。これにより、板状導体に流れる循環電流による損失(すなわち、循環損)をねじれ状態のスリットにより切り分けて減少させることができる。
【0009】
(2)上記態様において、前記ロータ側に配置された板状導体は、前記ステータコアの径方向における厚み(例えば、実施形態の厚みT1)が前記ロータから離反する側に配置された板状導体の厚み(例えば、実施形態の厚みT2)より大きくてもよい。
【0010】
この構成によれば、ロータ側に配置された板状導体の厚みを、ロータから離反する側の板状導体の厚みより大きくした。よって、ロータ側に配置された板状導体の断面積を大きくできる。これにより、ロータ側に配置された板状導体に多くのスリットをねじれ状態に形成する範囲を確保できる。
【0011】
(3)上記態様において、前記ロータ側に配置された板状導体には、該ロータ側に配置された板状導体を前記径方向へ複数層に分割する分割スリット(例えば、実施形態の分割スリット62,66,105,145,146)が前記ステータコアの周方向に延びるように形成され、前記複数層に分割されたそれぞれの層に前記スリットがねじれ状態に形成されていてもよい。
【0012】
この構成によれば、ロータ側に配置された板状導体を分割スリットで複数層に分割することにより、それぞれの層に独立したスリットをねじれ状態に形成できる。これにより、ロータ側に配置された板状導体に多くのスリットをねじれ状態に形成する範囲を確保できる。
【0013】
(4)上記態様において、前記ロータ側と前記ロータから離反する側との間に配置されて前記棒状コイルを形成する全ての板状導体は、断面積が同一に形成されていてもよい。
【0014】
この構成によれば、ロータ側とロータから離反する側との間に配置されて棒状コイルを形成する全ての板状導体の断面積を同一にすることにより、棒状コイルの電流抵抗を一定にできる。よって、棒状コイルを流れる電流を一定にすることができる。これにより、棒状コイルにより発生する磁力を一定にして回転電機の性能を確保できる。
【0015】
(5)上記態様において、前記板状導体のスリットにより形成された1区画が、隣り合う他の区画と、または斜め隣の他の区画と周期的に入れ替わる区画パターンとしてもよい。
【0016】
この構成によれば、板状導体のスリットにより形成された1区画を、隣り合う他の区画と、または斜め隣の区画と周期的に入れ替える区画パターンとすることにより、板状導体を分割することが可能になる。これにより、分割した導体に形成するねじれ状態のスリット長さを短くできる。したがって、板状導体においてスリットをねじれ状態に比較的容易に形成できる。
【0017】
(6)上記態様において、前記板状導体は、前記スリットの始点から始まるそれぞれの区画の入れ替わりが、前記スリットの終点において前記始点の区画パターンに一致するように形成されていてもよい。
【0018】
この構成によれば、ねじれ状態のスリットの始点から始まるそれぞれの区画の入れ替わりを終点で一致するようにした。よって、それぞれの区画の移動を一循環させることにより、ねじれ状態のスリットを板状導体に均等に配分できる。これにより、棒状コイルの全体にわたって、コイル渦損を偏りなく良好に抑制でき、かつ循環損も抑制することができる。
【0019】
(7)本発明に係る回転電機の製造方法は、(1)の回転電機を製造する製造方法であって、前記ねじれた状態に形成されたスリットを有する板状導体を金属積層成形により成型する。
【0020】
ここで、板状導体に形成するねじれた状態のスリットの数が増えることにより板状導体の構造が複雑化することが考えられる。そこで、この製造方法において、板状導体を金属積層成形で製造することにした。よって、ねじれた状態のスリットの数が増えて板状導体の構造が複雑化しても、従来の放電加工や機械加工に比べて加工工程を削減できる。これにより、板状導体を低コストで製造することができる。
【0021】
(8)上記態様において、前記板状導体を含む前記棒状コイルが螺旋状に連続しており、前記棒状コイルの全体を金属積層成形により一体で成型してもよい。
【0022】
この製造方法によれば、板状導体を含む棒状コイルの全体を金属積層成形により一体で成型することにより、複雑化した板状導体を含んだ棒状コイルの成形工程を、従来の放電加工や機械加工に比べて削減できる。これにより、棒状コイルの生産性を高めることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、棒状コイルのコイル渦損を良好に抑制でき、延いてはエネルギーの効率化に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係る第1実施形態の回転電機を分解した斜視図である。
【
図2】第1実施形態における回転電機のステータコア組立体とロータとを分解した斜視図である。
【
図3】第1実施形態における棒状コイルの斜視図である。
【
図4】第1実施形態の回転電機を径方向に沿って破断した断面図である。
【
図5】
図3のV部を拡大した斜視図であり、棒状コイルのロータ側に配置された部位を示す。
【
図6】第1実施形態における棒状コイルのロータから離反する側に配置された部位を示す斜視図である。
【
図7】第1実施形態におけるロータから離反する側に配置された板状導体を示す斜視図である。
【
図8】(a)は、第1実施形態のロータから離反する側に配置された板状導体における第1パーツの斜視図である。(b)は、第1実施形態のロータから離反する側に配置された板状導体における第2パーツの斜視図である。(c)は、第1実施形態のロータから離反する側に配置された板状導体における第1導体の斜視図である。(d)は、第1実施形態のロータから離反する側に配置された板状導体における第2導体の斜視図である。
【
図9】
図7の板状導体における下端部を破断した断面図である。
【
図10】
図7の板状導体におけるX(A)-X(A)線からX(I)-X(I)線に沿って破断した断面図である。
【
図11】第1実施形態におけるロータ側に配置された板状導体を示す斜視図である。
【
図12】(a)は、第1実施形態のロータ側に配置された板状導体における第1パーツの斜視図である。(b)は、第1実施形態のロータ側に配置された板状導体における第2パーツの斜視図である。(c)は、第1実施形態のロータ側に配置された板状導体における第1導体の斜視図である。(d)は、第1実施形態のロータ側に配置された板状導体における第2導体の斜視図である。
【
図13】
図11の板状導体における下端部を破断した断面図である。
【
図14】
図11の板状導体におけるXIV(A)-XIV(A)線からXIV(M)-XIV(M)線に沿って破断した断面図である。
【
図15】変形例におけるロータ側に配置された板状導体を示す斜視図である。
【
図16】
図15の板状導体におけるXVI(A)-XVI(A)線からXVI(O)-XIV(O)線に沿って破断した断面図である。
【
図17】
図16における第2導体のXVI(A)-XVI(A)線で破断した区画パターンを拡大した断面図である。
【
図18】本発明に係る第2実施形態の棒状コイルを示す斜視図である。
【
図19】
図18の棒状コイルを矢視XIX方向からみた平面図である。
【
図20】
図18の棒状コイルをXX-XX線に沿って破断した断面図である。
【
図21】第2実施形態におけるロータ側に配置された板状導体を示す斜視図である。
【
図22】(a)は、第2実施形態のロータ側に配置された板状導体における第1パーツの斜視図である。(b)は、第2実施形態のロータ側に配置された板状導体における第2パーツの斜視図である。(c)は、第2実施形態のロータ側に配置された板状導体における第3パーツの斜視図である。(d)は、第2実施形態のロータ側に配置された板状導体における第3導体の斜視図である。(e)は、第2実施形態のロータ側に配置された板状導体における第4導体の斜視図である。(f)は、第2実施形態のロータ側に配置された板状導体における第5導体の斜視図である。
図22(g)は、第2実施形態のロータ側に配置された板状導体における第1導体の斜視図である。(h)は、第2実施形態のロータ側に配置された板状導体における第2導体の斜視図である。
【
図23】
図21の板状導体におけるXXIII(A)-XXIII(A)線からXXIII(I)-XXIII(I)線に沿って破断した断面図である。
【
図24】本発明に係る変形例の回転電機を分解した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態に係る回転電機および回転電機の製造方法を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
<回転電機>
図1は、第1実施形態の回転電機を分解した斜視図である。
図1に示すように、回転電機10は、ステータ11と、ロータ12(
図2参照)とを備えている。ステータ11は、ステータコア組立体14と、ベースプレート組立体15とを備えている。ステータコア組立体14の片側にベースプレート組立体15が絶縁シート(図示せず)を介して組み付けられている。ステータコア組立体14は、環状のステータコア21と、複数の棒状コイル25とを備える。
【0026】
ステータコア21は、例えば、プレス抜きされた複数枚の珪素鋼板が積層されて構成されている。ステータコア21は、径方向内側に複数のティース22と、隣接するティース22間に形成される複数のスロット23とが形成されている。スロット23は、ステータコア21の軸線方向に貫通して形成され、ステータコア21の内周面に開口部24が開口されている。
ロータ12は、ステータコア21の中央空間に配置され、ステータコア21の内周面に隣接して回転可能に設けられている。
以下、ステータコア21の軸線方向を単に「軸線方向」、ステータコア21の径方向を単に「径方向」ということがある。また、ステータコア21の周方向を単に「周方向」ということがある。
【0027】
<棒状コイル>
図2は、第1実施形態における回転電機のステータコア組立体とロータとを分解した斜視図である。
図3は、第1実施形態における棒状コイルの斜視図である。
図2、
図3に示すように、スロット23内に棒状コイル25が配置(収納)されている。棒状コイル25は、ベースプレート組立体15(
図1参照)に備える不図示の接続コイルで接続されている。
棒状コイル25は、例えばステータコア21のティース22に螺旋状に連続して巻きかけられている。棒状コイル25は、断面の外形が矩形状に形成されている。棒状コイル25は、複数の板状導体31と、複数の第1わたり部32と、複数の第2わたり部33と、を含む。
【0028】
複数の板状導体31は、周方向においてティース22の両側に形成されたスロット23内に配置されている。両側のスロット23内に配置された板状導体31の一端は、第1わたり部32により接続されている。両側のスロット23内に配置された板状導体31の他端は、第2わたり部32により接続されている。複数の板状導体31が複数の第1わたり部32と複数の第2わたり部33とにより接続されることにより、棒状コイル25が螺旋状に連続した状態に形成されている。
【0029】
<板状導体>
図4は、第1実施形態の回転電機を径方向に沿って破断した断面図である。
図4に示すように、複数の板状導体31は、スロット23内においてステータコア21の外周側からロータ12側に積み重なるように配列(配置)されている。また、ステータコア21の外周側を「ロータ12から離反する側」ということがある。複数の板状導体31は、断面の外形が矩形状に形成されている。よって、スロット23内の無駄な空間を減らして板状導体31による占積率を増すことができる。
ここで、板状導体31による占積率を増すことにより、棒状コイル25のコイル渦損が大きくなることが考えられる。そこで、板状導体31にスリットをねじれた状態(ねじられた状態)に形成することによりコイル渦損を抑えるようにした。板状導体31のスリットについては後で詳しく説明する。
【0030】
また、コイル渦損は、ロータ12から離反する側に配置された板状導体31に比べて、ロータ12側に配置された板状導体31において大きく発生する。そこで、ロータ12側に配置された板状導体31のスリット数を、ロータ12から離反する側に配置された板状導体31のスリット数よりも多くして、ロータ12側に配置された板状導体31に発生するコイル渦損を抑えるようにした。
以下、ロータ12側に配置された板状導体31を「板状導体31A」ということがある。また、ロータ12から離反する側に配置された板状導体31を「板状導体31B」ということがある。
【0031】
図5は、
図3のV部を拡大した斜視図であり、棒状コイルのロータ側に配置された部位を示す。
図6は、第1実施形態における棒状コイルのロータから離反する側に配置された部位を示す斜視図である。
図4から
図6に示すように、ロータ12側に配置された板状導体31Aは、断面の外形が矩形状に形成されている。板状導体31Aは、周方向における幅がW1、径方向における厚みがT1に形成されている。ロータ12から離反する側に配置された板状導体31Bは、断面の外形が矩形状に形成されている。板状導体31Bは、周方向における幅がW2、径方向における厚みがT2に形成されている。板状導体31Aの幅W1は、例えば、板状導体31Bの幅W2より小さい。板状導体31Aの厚みT1は、板状導体31Bの厚みT2より大きい。
【0032】
また、ロータ12側とロータ12から離反する側との間に配置されて棒状コイル25を形成する全ての板状導体31は、断面積が同一に形成されている。すなわち、板状導体31Aおよび板状導体31Bは、断面積が同一に形成されている。よって、棒状コイル25の電流抵抗を一定にできる。これにより、棒状コイル25に流れる電流を一定にできる。
以下、ロータ12側に配置された板状導体31Aと、ロータ12から離反する側に配置された板状導体31Bと、について詳しく説明する。
【0033】
<ロータから離反する側に配置された板状導体>
図7は、第1実施形態におけるロータから離反する側に配置された板状導体を示す斜視図である。
図6、
図7に示すように、ロータ12(
図4参照)から離反する側に配置された板状導体31Bは、軸線方向において、例えば板状導体31Bの一端31Ba側から他端31Bb側まで8個の導体により形成されている。具体的には、8個の導体は、4個の第1導体36と、4個の第2導体37と、を有する。
板状導体31Bは、他端31Bbから一端31Baに向けて、第2導体37、第1導体36、第2導体37、第1導体36、第2導体37、第1導体36、第2導体37、第1導体36が軸線方向に順次連続して形成されている。なお、板状導体31Bを軸線方向に分割する個数は、8個に限らないで任意に設定が可能である。
【0034】
図8(a)は、第1実施形態のロータから離反する側に配置された板状導体における第1パーツの斜視図である。
図8(b)は、第1実施形態のロータから離反する側に配置された板状導体における第2パーツの斜視図である。
図8(c)は、第1実施形態のロータから離反する側に配置された板状導体における第1導体の斜視図である。
図8(d)は、第1実施形態のロータから離反する側に配置された板状導体における第2導体の斜視図である。
【0035】
図8(a)~
図8(d)に示すように、第1導体36は、2つの第1パーツ38と、1つの第2パーツ39と、を有する。具体的には、第1導体36は、周方向において、2つの第1パーツ38の間に第2パーツ39が配置されている。
第1パーツ38は、例えば、断面の外形が正方形に形成されて、軸線方向に延びている。第1パーツ38と第2パーツ39との間には、第1スリット43が第1導体36の一端36aから他端36bまで軸線方向に沿って直線に形成されている。第1パーツ38は、第1スリット43により第2パーツ39に対して1つの区画に分割されている。
【0036】
第2パーツ39は、例えば、断面の外形が周方向に長い長方形に形成されて、軸線方向に延びている。第2パーツ39には、第2スリット44が一端39aから他端39bに向けてねじれた状態に形成されている。第2パーツ39は、周方向において、ねじれ状態の第2スリット44により2つの区画に分割されている。第2パーツ39における2つの区画は、第1パーツ38の区画と同様に、例えば、断面の外形が正方形に形成されている。
すなわち、第1導体36は、第1スリット43および第2スリット44により、断面の外形が正方形の4つの区画に周方向へ1列に分割されている。
【0037】
第2導体37は、2つの第2パーツ39を有する。第2パーツ39は、周方向において、ねじれ状態の第2スリット44により2つの区画に分割されている。よって、第2導体37は、第2スリット44により、断面の外形が正方形の4つの区画に周方向へ1列に分割されている。
なお、第1導体36および第2導体37に形成する4つの区画の形状は正方形に限らない。また、第1導体36および第2導体37を周方向に分割する区画パターンは4つに限らない。
【0038】
図7、
図8(c)、
図8(d)に示すように、板状導体31Bは、板状導体31Bの他端31Bbから一端31Baまで第2導体37と第1導体36とが交互に連続して形成されている。この状態において、第1スリット43および第2スリット44は、板状導体31Bの他端31Bbから一端31Baまで連続する。連続する第1スリット43および第2スリット44によりスリット42が形成される。スリット42は、板状導体31Bの一端31Baから他端31Bbに向けてねじれた状態に形成されている。
ここで、板状導体31Bは、第2導体37と第1導体36とが交互に連続して組み合わされることにより形成されている。これにより、板状導体31Bの一端31Baから他端31Bbまでの範囲において、スリット42のねじれ回数を好適に調整できる。
【0039】
図9は、
図7の板状導体における下端部を破断した断面図である。
図7から
図9に示すように、第2導体37は、4つの区画として第1区画 、第2区画 、第3区画 、および第4区画 を有する。
図9において、第1区画を「1」、第2区画を「2」、第3区画を「3」、および第4区画を「4」で示す。
第2導体37の第1区画、第2区画、第3区画、および第4区画は、紙面右側から紙面左側に向けて周方向へ順に1列に延びる区画パターンで配置される。
ここで、スリット42は、板状導体31Bの一端31Baから他端31Bbに向けてねじれた状態に形成されている。よって、第1区画、第2区画、第3区画、および第4区画が配置される区画パターンは、板状導体31Bの他端31Bbから一端31Baに向けて周方向へ周期的に入れ替わる。
【0040】
つぎに、板状導体31Bの区画パターンが板状導体31Bの他端31Bbから一端31Baに向けて周期的に入れ替わる例を
図7、
図10に基づいて説明する。
図10は、
図7の板状導体におけるX(A)-X(A)線からX(I)-X(I)線に沿って破断した断面図である。なお、
図10の板状導体におけるX(A)-X(A)線に沿って破断した断面図は、
図9の断面図と同じである。
図10において、
図9と同様に、第1区画を「1」、第2区画を「2」、第3区画を「3」、および第4区画を「4」で示す。
【0041】
図7、
図10に示すように、板状導体31BのX(A)-X(A)線からX(I)-X(I)線に沿って破断した第2導体37および第1導体36の区画パターンは、隣り合う区画が周方向において矢印Aの如く周期的に入れ替わる。
以下、板状導体31BのX(A)-X(A)線からX(I)-X(I)線に沿って破断した区画パターンについて詳しく説明する。
【0042】
板状導体31BのX(A)-X(A)線で破断した第2導体37の区画パターンは、紙面右側から紙面左側に向けて第1区画、第2区画、第3区画、および第4区画の順に配置される。
第1区画、第2区画、第3区画、および第4区画は、板状導体31BのX(B)-X(B)線における破断箇所において隣り合う区画が周方向において矢印Aの如く周期的に入れ替わる。
【0043】
板状導体31BのX(B)-X(B)線で破断した第1導体36の区画パターンは、第2区画、第1区画、第4区画、および第3区画が紙面右側から紙面左側に向けて周方向へ順に配置される。
隣り合う第1区画および第4区画は、板状導体31BのX(C)-X(C)線における破断箇所において周方向において矢印Aの如く周期的に入れ替わる。
【0044】
板状導体31BのX(C)-X(C)線で破断した第2導体37の区画パターンは、第2区画、第4区画、第1区画、および第3区画が紙面右側から紙面左側に向けて周方向へ順に配置される。
第2区画、第4区画、第1区画、および第3区画は、板状導体31BのX(D)-X(D)線における破断箇所において隣り合う区画が周方向において矢印Aの如く周期的に入れ替わる。
【0045】
板状導体31BのX(D)-X(D)線で破断した第1導体36の区画パターンは、第4区画、第2区画、第3区画、および第1区画が紙面右側から紙面左側に向けて周方向へ順に配置される。
隣り合う第2区画および第3区画は、板状導体31BのX(E)-X(E)線における破断箇所において周方向において矢印Aの如く周期的に入れ替わる。
【0046】
板状導体31BのX(E)-X(E)線で破断した第2導体37の区画パターンは、第4区画、第3区画、第2区画、および第1区画が紙面右側から紙面左側に向けて周方向へ順に配置される。
第4区画、第3区画、第2区画、および第1区画は、板状導体31BのX(F)-X(F)線における破断箇所において隣り合う区画が周方向において矢印Aの如く周期的に入れ替わる。
【0047】
板状導体31BのX(F)-X(F)線で破断した第1導体36の区画パターンは、第3区画、第4区画、第1区画、および第2区画が紙面右側から紙面左側に向けて周方向へ順に配置される。
隣り合う第4区画および第1区画は、板状導体31BのX(G)-X(G)線における破断箇所において周方向において矢印Aの如く周期的に入れ替わる。
【0048】
板状導体31BのX(G)-X(G)線で破断した第2導体37の区画パターンは、第3区画、第1区画、第4区画、および第2区画が紙面右側から紙面左側に向けて周方向へ順に配置される。
第3区画、第1区画、第4区画、および第2区画は、板状導体31BのX(H)-X(H)線における破断箇所において隣り合う区画が周方向において矢印Aの如く周期的に入れ替わる。
【0049】
板状導体31BのX(H)-X(H)線で破断した第1導体36の区画パターンは、第1区画、第3区画、第2区画、および第4区画が紙面右側から紙面左側に向けて周方向へ順に配置される。
隣り合う第3区画および第2区画は、板状導体31BのX(I)-X(I)線における破断箇所において周方向において矢印Aの如く周期的に入れ替わる。
【0050】
板状導体31BのX(I)-X(I)線で破断した第1導体36の区画パターンは、第1区画、第2区画、第3区画、および第4区画が紙面右側から紙面左側に向けて周方向へ順に配置される。
【0051】
このように、第1区画、第2区画、第3区画、および第4区画の区画パターンは、板状導体31Bの他端31Bbから一端31Baに向かうに従って隣り合う区画が周方向において周期的に入れ替わる。すなわち、区画パターンにおいて、1区画が、隣り合う他の区画と周期的に入れ替わる。よって、第1区画、第2区画、第3区画、および第4区画は、板状導体31Bの他端31Bbから一端31Baまで移動する間に元の位置に戻る。よって、板状導体31Bのスリット42は、始点(すなわち、他端31Bb)から始まる入れ替わりが終点(すなわち、一端31Ba)において始点の区画パターンに一致する。
【0052】
図7、
図10において、ロータ12(
図4参照)側から周期的に入れ替わる第1区画、第2区画、第3区画、および第4区画を通過する電流経路のうち、第1区画を通過する電流経路CP1を矢印で示す。
第1区画を通過する電流経路CP1は、まず、板状導体31Bの他端31Bbにおいて紙面右側を通過する。他端31Bbを通過した電流経路CP1は、板状導体31Bの中央31Bcにおいて紙面左側を通過する。中央31Bcを通過した電流経路CP1は、板状導体31Bの一端31Baにおいて紙面右側を通過する。すなわち、電流経路CP1は、板状導体31Bの他端31Bbから一端31Baまで1周期のねじれで第1区画を通過する。
第2区画、第3区画、および第4区画を通過する電流経路も、第1区画を通過する電流経路CP1と同様に、板状導体31Bの他端31Bbから一端31Baまで1周期のねじれでそれぞれの区画を通過する。
【0053】
このように、板状導体31Bの一端31Baから他端31Bbまでスリット42をねじれた状態に形成することで、この区画パターンの周期的な循環移動により棒状コイル25(
図6参照)の全体にわたって区画間の鎖交磁束を同じにできる。この結果、区画間の誘起電圧差を小さくできて、誘導電圧差に起因する循環電流による損失(すなわち、循環損)を抑制することができる。
さらに、このねじれ状態のスリット42により棒状導体31A(後述する)、31Bを分割して細分化することで、渦電流の発生に起因するコイル渦損も抑制することができる。
【0054】
<ロータ側に配置された板状導体>
図11は、第1実施形態におけるロータ側に配置された板状導体を示す斜視図である。
図4、
図5、
図11に示すように、ロータ12側に配置された板状導体31Aは、軸線方向において、例えば板状導体31Aの一端31Aa側から他端31Ab側まで12個の導体により形成されている。具体的には、12個の導体は、6個の第1導体52と、6個の第2導体53と、を有する。
板状導体31Aは、他端31Abから一端31Aaに向けて、第2導体53、第1導体52、第2導体53、第1導体52、第2導体53、第1導体52、第2導体53、第1導体52、第2導体53、第1導体52、第2導体53、第1導体52が軸線方向に順次連続して形成されている。なお、板状導体31Aを軸線方向に分割する個数は、12個に限らないで任意に設定が可能である。
【0055】
図12(a)は、第1実施形態のロータ側に配置された板状導体における第1パーツの斜視図である。
図12(b)は、第1実施形態のロータ側に配置された板状導体における第2パーツの斜視図である。
図12(c)は、第1実施形態のロータ側に配置された板状導体における第1導体の斜視図である。
図12(d)は、第1実施形態のロータ側に配置された板状導体における第2導体の斜視図である。
【0056】
図12(a)~
図12(d)に示すように、第1導体52は、2つの第1パーツ54と、4つの第2パーツ55と、を有する。具体的には、第1導体52は、周方向において、2つの第1パーツ54の間に4つの第2パーツ55が配置されている。
第1パーツ54は、例えば、断面の外形が径方向に長い長方形に形成されて、軸線方向に延びている。第1パーツ54には、第1スリット57が一端54aから他端54bに向けてねじれた状態に形成されている。また、第1パーツ54と第2パーツ55との間には、第2スリット58が第1導体52の一端52aから他端52bまで軸線方向に沿って直線に形成されている。第1パーツ54は、ねじれ状態の第1スリット57と、直線状態の第2スリット58とにより、径方向において2つの区画に分割されている。第1パーツ54における2つの区画は、例えば、断面の外形が正方形に形成されている。
【0057】
第2パーツ55は、例えば、断面の外形が周方向に長い長方形に形成されて、軸線方向に延びている。第2パーツ55には、第3スリット59が一端55aから他端55bに向けてねじれた状態に形成されている。第2パーツ55は、ねじれ状態の第3スリット59により、周方向において2つの区画に分割されている。第2パーツ55における2つの区画は、第1パーツ54の区画と同様に、例えば、断面の外形が正方形に形成されている。
【0058】
第1導体52は、周方向に間隔をあけて2つの第1パーツ54が配置され、2つの第1パーツ54の間に4つの第2パーツ55が配置されている。4つの第2パーツ55は、2つが径方向の内側に配置され、他の2つが径方向の外側に配置されている。
径方向の内側に配置された2つの第2パーツ55は、周方向において、第1パーツ54のうちの径方向内側の区画に並ぶように配置されている。径方向の内側に配置された第2パーツ55と第2パーツ55との間には、第4スリット61が第1導体52の一端52aから他端52bまで軸線方向に沿って直線に形成されている。
径方向の外側に配置された他の2つの第2パーツ55は、周方向において、第1パーツ54のうちの径方向外側の区画に並ぶように配置されている。径方向の外側に配置された第2パーツ55と第2パーツ55との間には、第4スリット61が第1導体52の一端52aから他端52bまで軸線方向に沿って直線に形成されている。
【0059】
第1導体52は、径方向へ複数層(第1実施形態では、2層)に分割する分割スリット62が周方向に延びるように形成されている。すなわち、第1導体52は、分割スリット62により径方向内側と外側とに2層に分割されている。第1導体52は、2層に限らないで3層以上の層に分割してもよい。
第1導体52は、2層に分割されたそれぞれの層にねじれ状態の第1スリット57および第3スリット59と、直線状態の第2スリット58および第4スリット61と、を有する。第1導体52は、第1スリット57、第2スリット58、第3スリット59、および第4スリット61により、分割された2層が周方向において6つの区画にそれぞれ分割されている。
すなわち、第1導体52は、分割スリット62、第1スリット57、第2スリット58、第3スリット59、および第4スリット61により、断面の外形が正方形の12の区画に分割されている。
【0060】
第2導体53は、6つの第2パーツ55を有する。第2パーツ55は、周方向において、ねじれ状態の第3スリット59により2つの区画に分割されている。6つの第2パーツ55は、3つが径方向の内側に配置され、他の3つが径方向の外側に配置されている。径方向の内側に配置された3つの第2パーツ55の間には、第5スリット64が第2導体53の一端53aから他端53bまで軸線方向に沿って直線に形成されている。また、径方向の外側に配置された3つの第2パーツ55の間には、第5スリット64が第2導体53の一端53aから他端53bまで軸線方向に沿って直線に形成されている。
【0061】
第2導体53は、径方向へ複数層(第1実施形態では、2層)に分割する分割スリット66が周方向に延びるように形成されている。すなわち、第2導体53は、分割スリット66により径方向内側と外側とに2層に分割されている。第2導体53は、2層に限らないで3層以上の層に分割してもよい。
第2導体53は、2層に分割されたそれぞれの層にねじれ状態の第3スリット59と、直線状態の第5スリット64と、を有する。第2導体53は、第3スリット59および第5スリット64により、分割された2層が周方向において6つの区画にそれぞれ分割されている。
すなわち、第2導体53は、分割スリット66、第3スリット59、および第5スリット64により、断面の外形が正方形の12の区画に分割されている。
なお、第1導体52および第2導体53に形成する12の区画の形状は正方形に限らない。また、第1導体52および第2導体53を分割する区画パターンは12に限らない。
【0062】
図11、
図12(c)、
図12(d)に示すように、板状導体31Aは、第2導体53と第1導体52とが交互に連続して形成されている。この状態において、第1スリット57、第2スリット58、第3スリット59、第4スリット61、第5スリット64、および分割スリット62,66は、板状導体31Aの一端31Aaから他端31Abまで連続する。連続した第1スリット57、第2スリット58、第3スリット59、第4スリット61、第5スリット64、および分割スリット62,66によりスリット56が形成される。スリット56は、板状導体31Aの一端31Aaから他端31Abに向けてねじれた状態に形成されている。
スリット56は、板状導体31Aが第2導体53と第1導体52とを交互に連続して組み合わされることにより、板状導体31Aの一端31Aaから他端31Abまでのねじれの回数を好適に調整できる。
【0063】
ここで、板状導体31Aは、分割スリット62,66により2層に分割されることにより、それぞれの層に独立したスリット56をねじれ状態に形成できる。スリット56は、第1スリット57、第2スリット58、第3スリット59、第4スリット61、第5スリット64、および分割スリット62,66による多くのスリットで形成される。これにより、板状導体31Aのスリット56は、板状導体31Bのスリット42(
図7参照)に比べてスリット数が多く確保されている。
【0064】
図13は、
図11の板状導体における下端部を破断した断面図である。
図11から
図13に示すように、第2導体53は、12の区画として、第1区画、第2区画、第3区画、第4区画、第5区画、第6区画、第7区画、第8区画、第9区画、第10区画、第11区画、および第12区画を有する。
図13において、第1区画を「1」、第2区画を「2」、第3区画を「3」、第4区画を「4」、第5区画を「5」、第6区画を「6」で示す。また、第7区画を「7」、第8区画を「8」、第9区画を「9」、第10区画を「10」、第11区画を「11」、第12区画を「12」で示す。
【0065】
第1区画、第3区画、第5区画、第7区画、第9区画、および第11区画は、分割スリット66に対して径方向内側に配置されている。第1区画、第3区画、第5区画、第7区画、第9区画、および第11区画は、紙面右側から紙面左側に向けて周方向へ順に1列に延びる区画パターンで配置される。
第2区画、第4区画、第6区画、第8区画、第10区画、および第12区画は、分割スリット66に対して径方向外側に配置されている。第2区画、第4区画、第6区画、第8区画、第10区画、および第12区画は、紙面右側から紙面左側に向けて周方向へ順に1列に延びる区画パターンで配置される。
【0066】
ここで、板状導体31Aのスリット56は、板状導体31Aの一端31Aaから他端31Abに向けてねじれた状態に形成されている。よって、第1区画、第2区画、第3区画、第4区画、第5区画、第6区画、第7区画、第8区画、第9区画、第10区画、第11区画、および第12区画が配置される区画パターンは、板状導体31Aの他端31Abから一端31Aaに向けて周方向へ周期的に入れ替わる。
【0067】
つぎに、板状導体31Aの区画パターンが板状導体31Aの他端31Abから一端31Aaに向けて周期的に入れ替わる例を
図11、
図14に基づいて説明する。
図14は、
図11の板状導体におけるXIV(A)-XIV(A)線からXIV(M)-XIV(M)線に沿って破断した断面図である。なお、
図14の板状導体におけるXIV(A)-XIV(A)線に沿って破断した断面図は、
図13の断面図と同じである。
図14において、第1区画を「1」、第2区画を「2」、第3区画を「3」、第4区画を「4」、第5区画を「5」、第6区画を「6」で示す。また、第7区画を「7」、第8区画を「8」、第9区画を「9」、第10区画を「10」、第11区画を「11」、第12区画を「12」で示す。
【0068】
図11、
図14に示すように、板状導体31AのXIV(A)-XIV(A)線からXIV(M)-XIV(M)線に沿って破断した第2導体53および第1導体52の区画パターンは周期的に入れ替わる。具体的には、区画パターンは、隣り合う区画が周方向において矢印Bの如く周期的に入れ替わり、また、隣り合う区画が径方向において矢印Cの如く周期的に入れ替わる。
以下、板状導体31AのXIV(A)-XIV(A)線からXIV(M)-XIV(M)線に沿って破断した区画パターンの入れ替わりを、第1区画、第2区画、第11区画、および第12区画を代表例として詳しく説明する。
【0069】
板状導体31AのXIV(A)-XIV(A)線で破断した第2導体53の区画パターンは、第1区画、第3区画、第5区画、第7区画、第9区画、および第11区画が、径方向内側において紙面右側から紙面左側に向けて1列に配置される。また、第2導体53の区画パターンは、第2区画、第4区画、第6区画、第8区画、第10区画、および第12区画が、径方向外側において紙面右側から紙面左側に向けて1列に配置される。
第1区画、第2区画、第11区画、および第12区画は、板状導体31AのXIV(B)-XIV(B)線における破断箇所において隣り合う区画が周方向において矢印Bの如く周期的に入れ替わる。
【0070】
板状導体31AのXIV(B)-XIV(B)線で破断した第1導体52の区画パターンは、第1区画および第11区画が互いに近づいた位置に配置され、第2区画および第12区画が互いに近づいた位置に配置される。
第1区画、第2区画、第11区画、および第12区画は、板状導体31AのXIV(C)-XIV(C)線における破断箇所において隣り合う区画が周方向において矢印Bの如く周期的に入れ替わる。
【0071】
板状導体31AのXIV(C)-XIV(C)線で破断した第2導体53の区画パターンは、第1区画および第11区画が互いに隣り合う位置に配置され、第2区画および第12区画が互いに隣り合う位置に配置される。
第1区画、第2区画、第11区画、および第12区画は、板状導体31AのXIV(D)-XIV(D)線における破断箇所において隣り合う区画が周方向において矢印Bの如く周期的に入れ替わる。
【0072】
板状導体31AのXIV(D)-XIV(D)線で破断した第1導体52の区画パターンは、第1区画および第11区画が互いに入れ替わる位置に配置され、第2区画および第12区画が互いに入れ替わる位置に配置される。
第1区画、第2区画、第11区画、および第12区画は、板状導体31AのXIV(E)-XIV(E)線における破断箇所において隣り合う区画が周方向において矢印Bの如く周期的に入れ替わる。
【0073】
板状導体31BのXIV(E)-XIV(E)線で破断した第2導体53の区画パターンは、第1区画および第11区画が互いに離れた位置に配置され、第2区画および第12区画が互いに離れた位置に配置される。
第1区画、第2区画、第11区画、および第12区画は、板状導体31AのXIV(F)-XIV(F)線における破断箇所において隣り合う区画が周方向において矢印Bの如く周期的に入れ替わる。
【0074】
板状導体31AのXIV(F)-XIV(F)線で破断した第1導体52の区画パターンは、第1区画および第11区画が互いに一層離れた位置に配置され、第2区画および第12区画が互いに一層離れた位置に配置される。
第1区画、第2区画、第11区画、および第12区画は、板状導体31AのXIV(G)-XIV(G)線における破断箇所において隣り合う区画が径方向において矢印Cの如く周期的に入れ替わる。
【0075】
板状導体31AのXIV(G)-XIV(G)線で破断した第2導体53の区画パターンは、第1区画および第2区画が径方向において入れ替わる位置に配置され、第11区画および第12区画が径方向において入れ替わる位置に配置される。
第1区画、第2区画、第11区画、および第12区画は、板状導体31AのXIV(H)-XIV(H)線における破断箇所において隣り合う区画が周方向において矢印Bの如く周期的に入れ替わる。
【0076】
板状導体31BのXIV(H)-XIV(H)線で破断した第1導体52の区画パターンは、第2区画および第12区画が互いに近づいた位置に配置され、第1区画および第11区画が互いに近づいた位置に配置される。
第1区画、第2区画、第11区画、および第12区画は、板状導体31AのXIV(I)-XIV(I)線における破断箇所において隣り合う区画が周方向において矢印Bの如く周期的に入れ替わる。
【0077】
板状導体31AのXIV(I)-XIV(I)線で破断した第2導体53の区画パターンは、第2区画および第12区画が互いに隣り合う位置に配置され、第1区画および第11区画が互いに隣り合う位置に配置される。
第1区画、第2区画、第11区画、および第12区画は、板状導体31AのXIV(J)-XIV(J)線における破断箇所において隣り合う区画が周方向において矢印Bの如く周期的に入れ替わる。
【0078】
板状導体31AのXIV(J)-XIV(J)線で破断した第1導体52の区画パターンは、第2区画および第12区画が互いに入れ替わる位置に配置され、第1区画および第11区画が互いに入れ替わる位置に配置される。
第1区画、第2区画、第11区画、および第12区画は、板状導体31AのXIV(K)-XIV(K)線における破断箇所において隣り合う区画が周方向において矢印Bの如く周期的に入れ替わる。
【0079】
板状導体31AのXIV(K)-XIV(K)線で破断した第2導体53の区画パターンは、第2区画および第12区画が互いに離れた位置に配置され、第1区画 および第11区画 が互いに離れた位置に配置される。
第1区画、第2区画、第11区画、および第12区画は、板状導体31AのXIV(L)-XIV(L)線における破断箇所において隣り合う区画が周方向において矢印Bの如く周期的に入れ替わる。
【0080】
板状導体31AのXIV(L)-XIV(L)線で破断した第1導体52の区画パターンは、第2区画および第12区画が互いに一層離れた位置に配置され、第1区画および第11区画が互いに一層離れた位置に配置される。
第1区画、第2区画、第11区画、および第12区画は、板状導体31AのXIV(M)-XIV(M)線における破断箇所において隣り合う区画が径方向において矢印Cの如く周期的に入れ替わる。
【0081】
板状導体31AのXIV(M)-XIV(M)線で破断した第1導体52の区画パターンは、第1区画および第2区画が径方向において入れ替わる位置に配置され、第11区画および第12区画が径方向において入れ替わる位置に配置される。
【0082】
図11、
図14において、ロータ12(
図4参照)側から周期的に入れ替わる第1区画、第2区画、第11区画、および第12区画などを通過する電流経路のうち、第1区画を通過する電流経路CP2を矢印で示す。
第1区画を通過する電流経路CP2は、まず、板状導体31Aの他端31Abにおいて紙面右側を通過する。他端31Abを通過した電流経路CP2は、板状導体31Aの中央31Acにおいて紙面左側を通過する。中央31Acを通過した電流経路CP2は、板状導体31Aの一端31Aaにおいて紙面右側を通過する。すなわち、電流経路CP2は、板状導体31Aの他端31Abから一端31Aaまで1周期のねじれで第1区画を通過する。
第2区画、第11区画、および第12区画などを通過する電流経路も、第1区画を通過する電流経路CP2と同様に、板状導体31Aの他端31Abから一端31Aaまで1周期のねじれでそれぞれの区画を通過する。
【0083】
このように、板状導体31Aの一端31Aaから他端31Abまでスリット56をねじれた状態に形成することで、この区画パターンの周期的な循環移動により棒状コイル25(
図5参照)の全体にわたって区画間の鎖交磁束を同じにできる。この結果、区画間の誘起電圧差を小さくできて、誘導電圧差に起因する循環電流による損失(すなわち、循環損)を抑制することができる。
さらに、このねじれ状態のスリット56により棒状導体31A、31B(
図7に示す棒状導体31Bはスリット42により分割)を分割して細分化することで、渦電流の発生に起因するコイル渦損も抑制することができる。
【0084】
ここで、ロータ12側に配置された板状導体31Aにおいて、ロータ12から離反する側に配置された板状導体31Bに比べて大きなコイル渦損が発生する。そこで、板状導体31Aに有するスリット56のスリット数を、板状導体31Bに有するスリット42(
図7参照)のスリット数よりも多くした。よって、板状導体31Aに発生するコイル渦損を好適に抑えることができる。
【0085】
つぎに、
図3に示す棒状コイル25を回転電機10の製造方法により製造する例について説明する。
図3に示すように、板状導体31を含む棒状コイル25は、金属積層成形方法により成型することにより製造される。金属積層成形方法は、例えば、金属3Dプリンタ(金属3次元プリンタ)を使用して棒状コイル25を金属で成型することにより製造する。金属3Dプリンタは、例えば、棒状コイル25の3Dデータ(3次元データ)をパソコンなどで設計し、設計した3Dデータに基づいて金属材料を一層ずつ積み重ねる工程を繰り返すことにより棒状コイル25を一体に成型する。
金属3Dプリンタによれば、ねじれた状態に形成されたスリット42(
図7参照)およびスリット56(
図11参照)を有する板状導体31を、設計した3Dデータに基づいて金属材料を一層ずつ積み重ねる工程を繰り返すことにより一体に成型する。
【0086】
以上説明したように、第1実施形態の回転電機10によれば、
図4、
図7、
図11に示すように、ロータ12から離反する側に配置された板状導体31Bに一端31Ba側から他端31Bb側に向けてスリット42をねじれた状態に形成した。よって、板状導体31Bに発生する渦電流をスリット42により分断できる。これにより、板状導体31Bにおいてコイル渦損の発生を一層良好に抑制できる。
【0087】
ここで、ロータ12側に配置された板状導体31Aは、コイル渦損による影響を多く受ける。そこで、板状導体31Aに有するスリット56のスリット数を、板状導体31Bに有するスリット42(
図7参照)のスリット数よりも多くした。よって、板状導体31Aにおいて、大きな渦電流をスリット56により小さな渦電流に分断できる。これにより、板状導体31Aにおいてコイル渦損の発生を良好に抑制できる。
したがって、板状導体31Aや板状導体31Bを含む棒状コイル25がステータコア21のティース22に螺旋状に巻きかけられた状態において、棒状コイル25に発生するコイル渦損を良好に抑制できる。延いてはエネルギーの効率化に寄与できる。
【0088】
また、軸線方向において、板状導体31Bの一端31Baから他端31Bbまでスリット42をねじれた状態に形成することにより、板状導体31Bの区画間の誘起電圧差を小さくすることが可能である。これにより、板状導体31Bに流れる循環電流による損失(循環損)をねじれ状態のスリット42により切り分けて減少させることができる。
さらに、軸線方向において、板状導体31Aの一端31Aaから他端31Abまでスリット56をねじれた状態に形成することにより、板状導体31Aの区画間の誘起電圧差を小さくすることが可能である。これにより、板状導体31Aに流れる循環電流による損失(循環損)をねじれ状態のスリット56により切り分けて減少させることができる。
【0089】
また、板状導体31Aの厚みT1を板状導体31Bの厚みT2より大きくした。よって、板状導体31Aの断面積を大きくできる。これにより、ロータ12側に配置された板状導体31Aに多くのスリット56をねじれ状態に形成する範囲を確保できる。
【0090】
さらに、板状導体31Aを分割スリット62,66(
図12参照)で2層に分割することにより、それぞれの層に独立したスリット56をねじれ状態に形成できる。これにより、板状導体31Aに多くのスリット56をねじれ状態に形成する範囲を確保できる。
【0091】
加えて、
図3、
図4に示すように、ロータ12側とロータ12から離反する側との間に配置されて棒状コイル25を形成する全ての板状導体31の断面積を同一にした。よって、棒状コイル25の電流抵抗を一定にでき、棒状コイル25を流れる電流を一定にできる。これにより、棒状コイル25により発生する磁力を一定にして回転電機10の性能を確保できる。
【0092】
また、
図11、
図14に示すように、板状導体31Aのスリット56により形成された1区画を、隣り合う他の区画と周期的に入れ替える区画パターンとした。よって、例えば、板状導体31Aを第1導体52および第2導体53の組み合わせにより形成できる。これにより、第1導体52および第2導体53に形成するねじれ状態のスリット長さを短くできる。したがって、板状導体31Aにおいてスリット56をねじれ状態に比較的容易に形成できる。
【0093】
さらに、
図7、
図10に示すように、板状導体31Bのスリット42により形成された1区画を、隣り合う他の区画と周期的に入れ替える区画パターンとした。よって、例えば、板状導体31Bを第1導体36および第2導体37の組み合わせにより形成できる。これにより、第1導体36および第2導体37に形成するねじれ状態のスリット長さを短くできる。これにより、板状導体31Bにおいてスリット42をねじれ状態に比較的容易に形成できる。
【0094】
また、
図7、
図11に示すように、板状導体31Aは、ねじれ状態のスリット56の始点から始まるそれぞれの区画の入れ替わりを終点で一致するようにした。よって、それぞれの区画の移動を一循環させることにより、ねじれ状態のスリット56を板状導体31Aに均等に配分できる。このねじれ状態のスリット56により棒状導体31Aを分割して細分化することで、渦電流の発生に起因するコイル渦損を抑制できる。
さらに、板状導体31Bは、ねじれ状態のスリット42の始点から始まるそれぞれの区画の入れ替わりを終点で一致するようにした。よって、それぞれの区画の移動を一循環させることにより、ねじれ状態のスリット42を均等に配分できる。このねじれ状態のスリット42により棒状導体31Bを分割して細分化することで、渦電流の発生に起因するコイル渦損を抑制できる。
これにより、区画間の鎖交磁束を同じにすることが区画間の誘起電圧の差を無くすことになり、誘導電圧に起因する循環電流を無くすことができる。この区画パターンの循環移動により棒状コイル25の全体にわたって区画間の鎖交磁束を同じにすることで区画間の誘起電圧差を小さくできて、誘導電圧差に起因する循環電流による損失(すなわち、循環損)を抑制することができる。
【0095】
以上説明したように、第1実施形態の回転電機10の製造方法によれば、
図3、
図7、
図11に示すように、以下の作用、効果が得られる。
ここで、板状導体31Aに形成するねじれた状態のスリット56や、板状導体31Bに形成するねじれた状態のスリット42のスリット数が増えることにより、板状導体31Aや板状導体31Bの構造が複雑化することが考えられる。そこで、回転電機10の製造方法において、板状導体31Aおよび板状導体31Bを、金属3Dプリンタを使用して金属積層成形方法で製造することにした。
【0096】
よって、ねじれた状態のスリット56のスロット数が増えた板状導体31Aや、ねじれた状態のスリット42のスロット数が増えた板状導体31Bの構造が複雑化しても、従来の放電加工や機械加工に比べて加工工程を削減できる。これにより、板状導体31Aおよび板状導体31Bを低コストで製造することができる。
【0097】
また、板状導体31Aおよび板状導体31Bを含む棒状コイル25の全体を、金属3Dプリンタを使用して金属積層成形方法で製造することにした。これにより、複雑化した板状導体31Aおよび板状導体31Bを含んだ棒状コイル25の成形工程を、従来の放電加工や機械加工に比べて削減できる。これにより、棒状コイル25の生産性を高めることができる。
【0098】
(変形例)
つぎに、第1実施形態における板状導体31Aの変形例を
図15から
図17に基づいて説明する。なお、変形例の板状導体100において第1実施形態と同一、類似部材については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
図15は、変形例におけるロータ側に配置された板状導体を示す斜視図である。
図15に示すように、変形例の板状導体100は、ロータ12(
図4参照)側に配置される。板状導体100は、軸線方向において、例えば板状導体100の一端100a側から他端100b側まで14個の導体により形成されている。具体的には、14個の導体は、7個の第1導体102と、7個の第2導体103と、を有する。
【0099】
板状導体100は、第1実施形態の板状導体31Aと同様に、他端100bから一端100aに向けて、第2導体103および第1導体102が軸線方向へ順次交互に連続して形成されている。第1導体102および第2導体103は、径方向へ複数層(変形例では、2層)に分割する分割スリット105が周方向に延びるように形成されている。第1導体102および第2導体103は、例えば、周方向において7つの区画に分割されている。第1導体102および第2導体103は、2層に限らないで3層以上の層に分割してもよい。
【0100】
つぎに、板状導体100の区画パターンが板状導体100の他端100bから一端100aに向けて周期的に入れ替わる例を
図15から
図17に基づいて説明する。
図16は、
図15の板状導体におけるXVI(A)-XVI(A)線からXVI(O)-XIV(O)線に沿って破断した断面図である。
図17は、
図16における第2導体のXVI(A)-XVI(A)線で破断した区画パターンを拡大した断面図である。
図16、
図17において、第1区画を「1」、第2区画を「2」、第3区画を「3」、第4区画を「4」、第5区画を「5」、第6区画を「6」、第7区画を「7」で示す。また、第8区画を「8」、第9区画を「9」、第10区画を「10」、第11区画を「11」、第12区画を「12」、第13区画を「13」、第14区画を「14」、で示す。
【0101】
図15から
図17に示すように、板状導体100のXVI(A)-XVI(A)線からXVI(O)-XVI(O)線に沿って破断した第2導体103および第1導体102の区画パターンは、1区画が斜め隣の他の区画と矢印Dの如く周期的に入れ替わる。
以下、板状導体100のXVI(A)-XVI(A)線に沿って破断した区画パターンを代表例として、この区画パターンの入れ替わりを詳しく説明する。
【0102】
板状導体100のXVI(A)-XVI(A)線で破断した第2導体103の区画パターンは、第1区画、第3区画、第5区画、第7区画、第9区画、第11区画、および第13区画が、径方向内側において紙面右側から紙面左側に向けて1列に配置される。また、第2導体103の区画パターンは、第2区画、第4区画、第6区画、第8区画、第10区画、第12区画、および第14区画が、径方向外側において紙面右側から紙面左側に向けて1列に配置される。
【0103】
斜め隣の第1区画および第4区画は、矢印Dの如く周期的に入れ替わる。斜め隣の第2区画および第3区画は、矢印Dの如く周期的に入れ替わる。斜め隣の第5区画および第8区画は、矢印Dの如く周期的に入れ替わる。斜め隣の第6区画および第7区画は、矢印Dの如く周期的に入れ替わる。斜め隣の第9区画および第12区画は、矢印Dの如く周期的に入れ替わる。斜め隣の第10区画および第11区画は、矢印Dの如く周期的に入れ替わる。
すなわち、第2導体103の区画パターンは、1区画が斜め隣の他の区画と矢印Dの如く周期的に入れ替わる。
【0104】
板状導体100のXVI(B)-XVI(B)線からXVI(O)-XVI(O)線に沿って破断した第2導体103および第1導体102の区画パターンも、1区画が斜め隣の他の区画と矢印Dの如く周期的に入れ替わる。
これにより、第1区画から第14区画は、板状導体100のスリットは、始点(すなわち、他端100b)から始まる入れ替わりが終点(すなわち、一端100a)において始点の区画パターンに一致する。これにより、電流経路は、板状導体100の他端100bから一端100aまで1周期のねじれで第1区画を通過する。
【0105】
以上説明したように、変形例の板状導体100によれば、第1実施形態の板状導体31Aと同様の効果を得ることができる。
【0106】
[第2実施形態]
つぎに、第1実施形態における棒状コイル25の第2実施形態を
図18から
図23に基づいて説明する。なお、第2実施形態の棒状コイル120において第1実施形態と同一、類似構成や方法については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0107】
図18は、第2実施形態における棒状コイルを示す斜視図である。
図19は、
図18の棒状コイルを矢視XIX方向からみた平面図である。
図20は、
図18の棒状コイルをXX-XX線に沿って破断した断面図である。
図18から
図20に示すように、第2実施形態の棒状コイル120は、例えば、第1実施形態の棒状コイル25(
図3参照)に第2棒状コイル122を連続して加えたものである。第2棒状コイル122は、ロータ12(
図4参照)側に配置されている。第2棒状コイル122は、複数の板状導体124を含む。すなわち、棒状コイル120は、複数の板状導体124と、複数の板状導体31Aと、複数の板状導体31Bと、を含む。
【0108】
複数の板状導体124は、ロータ12側に配置されている。複数の板状導体31Aは、複数の板状導体124に対してロータ12から離反する側に配置されている。複数の板状導体31Bは、複数の板状導体31Aに対してロータ12から離反する側に配置されている。板状導体31Aおよび板状導体31Bは、第1実施形態の板状導体と同じである。以下、板状導体124について詳しく説明する。
【0109】
図21は、第2実施形態におけるロータ側に配置された板状導体を示す斜視図である。
図21に示すように、板状導体124は、軸線方向において、例えば、一端124a側から他端124b側まで8個の導体により形成されている。具体的には、8個の導体は、4個の第1導体126と、4個の第2導体127と、を有する。
板状導体124は、他端31Abから一端31Aaに向けて、第2導体127、第1導体126、第2導体127、第1導体126、第2導体127、第1導体126、第2導体127、第1導体126が軸線方向に順次連続して形成されている。なお、板状導体124を軸線方向に分割する個数は、8個に限らないで任意に設定が可能である。
【0110】
図22(a)は、第2実施形態のロータ側に配置された板状導体における第1パーツの斜視図である。
図22(b)は、第2実施形態のロータ側に配置された板状導体における第2パーツの斜視図である。
図22(c)は、第2実施形態のロータ側に配置された板状導体における第3パーツの斜視図である。
図22(d)は、第2実施形態のロータ側に配置された板状導体における第3導体の斜視図である。
図22(e)は、第2実施形態のロータ側に配置された板状導体における第4導体の斜視図である。
図22(f)は、第2実施形態のロータ側に配置された板状導体における第5導体の斜視図である。
図22(g)は、第2実施形態のロータ側に配置された板状導体における第1導体の斜視図である。
図22(h)は、第2実施形態のロータ側に配置された板状導体における第2導体の斜視図である。
【0111】
図22(a)~
図22(h)に示すように、第3導体131は、8つの第1パーツ135を有する。第1パーツ135は、例えば、断面の外形が矩形状に形成されて、軸線方向に延びている。第1パーツ135には、例えば、第1スリット141が一端135aから他端135bに向けて螺旋状に1回転した状態に形成されている。第3導体131は、径方向内側において周方向に4つの第1パーツ135が配置されている。また、第3導体131は、径方向外側において周方向に4つの第1パーツ135が配置されている。
【0112】
第4導体132は、2つの第2パーツ136と、2つの第3パーツ137と、を有する。第2パーツ136は、例えば、断面の外形が径方向に長い長方形に形成されて、軸線方向に延びている。第2パーツ136には、第2スリット142が一端136aから他端136bに向けてねじれた状態に形成されている。第3パーツ137は、例えば、断面の外形が周方向に長い長方形に形成されて、軸線方向に延びている。第3パーツ137には、第3スリット143が一端137aから他端137bに向けてねじれた状態に形成されている。
【0113】
第4導体132は、2つの第2パーツ136が周方向に間隔をあけて配置され、2つの第2パーツ136の間において径方向内側と径方向外側とに2つの第3パーツ137が配置されている。第4導体132は、径方向へ複数層(第2実施形態では、2層)に分割する分割スリット145が周方向に延びるように形成されている。第4導体132は、2層に限らないで3層以上の層に分割してもよい。
第5導体133は、4つの第3パーツ137を有する。第5導体133は、径方向内側に2つの第3パーツ137が配置され、径方向外側に2つの第3パーツ137が配置されている。第5導体133は、径方向へ複数層(第2実施形態では、2層)に分割する分割スリット146が周方向に延びるように形成されている。第5導体133は、2層に限らないで3層以上の層に分割してもよい。
【0114】
第1導体126は、第3導体131の一端に131aに第4導体132が接続されている。第1導体126は、第1スリット141、第2スリット142、第3スリット143、および分割スリット145などのスリットが連続されている。第1導体126は、第1実施形態の第1導体52(
図12(c)参照)に比べてスリット数が多く形成されている。第1導体126は、第3導体131と第4導体132とを組み合わせることにより、スリットのねじれ回数を好適に調整できる。
【0115】
第2導体127は、第3導体131の一端に131aに第5導体133が接続されている。第2導体127は、第1スリット141、第3スリット143、および分割スリット146などのスリットが連続されている。第2導体127は、第1実施形態の第2導体53(
図12(d)参照)に比べてスリット数が多く形成されている。第2導体127は、第3導体131と第5導体133とを組み合わせることにより、スリットのねじれ回数を好適に調整できる。
【0116】
図21、
図22(g)、
図22(h)に示すように、板状導体124は、第2導体127と第1導体126とが交互に連続して形成されている。この状態において、第1スリット141、第2スリット142、第3スリット143、および分割スリット145,146などのスリットは、板状導体124の一端124aから他端124bまで連続する。連続した第1スリット141、第2スリット142、第3スリット143、および分割スリット145,146などのスリットによりスリット140が形成される。スリット140は、板状導体124の一端124aから他端124bに向けてねじれた状態に形成されている。
【0117】
スリット140は、板状導体124が第2導体127と第1導体126とを交互に連続して組み合わされることにより、板状導体124の一端124aから他端124bまでのねじれの回数を好適に調整できる。
ここで、板状導体124は、分割スリット145,146により2層に分割されることにより、それぞれの層に独立したスリット140をねじれ状態に形成できる。スリット140は、板状導体31Aのスリット56(
図11参照)に比べてスリット数が多く確保されている。
【0118】
つぎに、板状導体124の区画パターンが板状導体124の他端124bから一端124aに向けて周期的に入れ替わる例を
図21、
図23に基づいて説明する。
図23は、
図21の板状導体におけるXXIII(A)-XXIII(A)線からXXIII(I)-XXIII(I)線に沿って破断した断面図である。
図23において、第1区画を「1」、第2区画を「2」、第3区画を「3」、および第4区画を「4」で示す。また、第5区画を「5」、第6区画を「6」、第7区画を「7」、第8区画を「8」で示す。
【0119】
図21、
図23に示すように、板状導体124のXXIII(A)-XXIII(A)線からXXIII(I)-XXIII(I)線に沿って破断した第2導体127および第1導体126の区画パターンは、周期的に入れ替わる。具体的には、区画パターンは、隣り合う区画が周方向において矢印Eの如く周期的に入れ替わり、また、隣り合う区画が径方向において矢印Fの如く周期的に入れ替わる。
以下、板状導体124のXXIII(A)-XXIII(A)線からXXIII(I)-XXIII(I)線に沿って破断した区画パターンの入れ替わりを、第1区画、第2区画、第7区画、および第8区画を代表例として詳しく説明する。
【0120】
板状導体124のXXIII(A)-XXIII(A)線で破断した第2導体127の区画パターンは、第1区画、第3区画、第5区画、および第7区画が、径方向内側において紙面右側から紙面左側に向けて1列に配置される。また、第2導体127の区画パターンは、第2区画、第4区画、第6区画、および第8区画が、径方向外側において紙面右側から紙面左側に向けて1列に配置される。
第1区画、第2区画、第7区画、および第8区画は、板状導体124のXXIII(B)-XXIII(B)線における破断箇所において隣り合う区画が周方向において矢印Eの如く周期的に入れ替わる。
【0121】
板状導体124のXXIII(B)-XXIII(B)線で破断した第1導体126の区画パターンは、第1区画および第7区画が互いに隣り合う位置に配置され、第2区画および第8区画が互いに隣り合う位置に配置される。
第1区画、第2区画、第7区画、および第8区画は、板状導体124のXXIII(C)-XXIII(C)線における破断箇所において隣り合う区画が周方向において矢印Eの如く周期的に入れ替わる。
【0122】
板状導体124のXXIII(C)-XXIII(C)線で破断した第2導体127の区画パターンは、第1区画および第7区画が互いに入れ替わる位置に配置され、第2区画および第8区画が互いに入れ替わる位置に配置される。
第1区画、第2区画、第7区画、および第8区画は、板状導体124のXXIII(D)-XXIII(D)線における破断箇所において隣り合う区画が周方向において矢印Eの如く周期的に入れ替わる。
【0123】
板状導体124のXXIII(D)-XXIII(D)線で破断した第1導体126の区画パターンは、第1区画および第7区画が互いに離れた位置に配置され、第2区画および第8区画が互いに離れた位置に配置される。
第1区画、第2区画、第7区画、および第8区画は、板状導体124のXXIII(E)-XXIII(E)線における破断箇所において隣り合う区画が径方向において矢印Fの如く周期的に入れ替わる。
【0124】
板状導体124のXXIII(E)-XXIII(E)線で破断した第2導体127の区画パターンは、第1区画および第2区画が径方向において入れ替わる位置に配置され、第7区画および第8区画が径方向において入れ替わる位置に配置される。
第1区画、第2区画、第7区画、および第8区画は、板状導体124のXXIII(F)-XXIII(F)線における破断箇所において隣り合う区画が周方向において矢印Eの如く周期的に入れ替わる。
【0125】
板状導体124のXXIII(F)-XXIII(F)線で破断した第1導体126の区画パターンは、第1区画および第7区画が互いに隣り合う位置に配置され、第2区画および第8区画が互いに隣り合う位置に配置される。
第1区画、第2区画、第7区画、および第8区画は、板状導体124のXXIII(G)-XXIII(G)線における破断箇所において隣り合う区画が周方向において矢印Eの如く周期的に入れ替わる。
【0126】
板状導体124のXXIII(G)-XXIII(G)線で破断した第2導体127の区画パターンは、第1区画および第7区画が互いに入れ替わる位置に配置され、第2区画および第8区画が互いに入れ替わる位置に配置される。
第1区画、第2区画、第7区画、および第8区画は、板状導体124のXXIII(H)-XXIII(H)線における破断箇所において隣り合う区画が周方向において矢印Eの如く周期的に入れ替わる。
【0127】
板状導体124のXXIII(H)-XXIII(H)線で破断した第1導体126の区画パターンは、第1区画および第7区画が互いに離れた位置に配置され、第2区画および第8区画が互いに離れた位置に配置される。
第1区画、第2区画、第7区画、および第8区画は、板状導体124のXXIII(I)-XXIII(I)線における破断箇所において隣り合う区画が径方向において矢印Fの如く周期的に入れ替わる。
【0128】
板状導体124のXXIII(I)-XXIII(I)線で破断した第1導体126の区画パターンは、第1区画および第2区画が径方向において入れ替わる位置に配置され、第7区画および第8区画が径方向において入れ替わる位置に配置される。
【0129】
図21、
図23において、ロータ12(
図4参照)側から周期的に入れ替わる第1区画、第2区画、第7区画、および第8区画などを通過する電流経路のうち、第1区画を通過する電流経路CP3を矢印で示す。第1区画を通過する電流経路CP3は、まず、板状導体124の他端124bにおいて紙面右側を通過する。他端124bを通過した電流経路CP3は、板状導体124の中央124cにおいて紙面左側を通過する。中央124cを通過した電流経路CP3は、板状導体124の一端124aにおいて紙面右側を通過する。すなわち、電流経路CP3は、板状導体124の他端124bから一端124aまで1周期のねじれで第1区画を通過する。
第2区画、第7区画、および第8区画などを通過する電流経路も、第1区画を通過する電流経路CP3と同様に、板状導体124の他端124bから一端124aまで1周期のねじれでそれぞれの区画を通過する。
【0130】
このように、板状導体124の一端124aから他端124bまでスリット140をねじれた状態に形成することで、この区画パターンの周期的な循環移動により棒状コイル120(
図18参照)の全体にわたって区画間の鎖交磁束を同じにできる。この結果、区画間の誘起電圧差を小さくできて、誘導電圧差に起因する循環電流による損失(すなわち、循環損)を抑制することができる。
さらに、このねじれ状態のスリット140により棒状導体124を分割して細分化することで、渦電流の発生に起因するコイル渦損も抑制することができる。
【0131】
ここで、ロータ12側に配置された板状導体124において、ロータ12から離反する側に配置された板状導体31Aおよび板状導体31Bに比べて大きなコイル渦損が発生する。そこで、板状導体124に有するスリット140のスリット数を、板状導体31Aに有するスリット56(
図11参照)と、板状導体31Bに有するスリット42(
図7参照)とのスリット数よりも多くした。よって、板状導体124に発生するコイル渦損を好適に抑えることができる。
【0132】
以上説明したように、第2実施形態の板状導体124によれば、第1実施形態の板状導体31Aと同様の効果を得ることができる。
さらに、第2実施形態の棒状コイル120によれば、第1実施形態の棒状コイル25に第2棒状コイル122を連続して加えることにより、棒状コイル120の適用範囲を広げることができる。
【0133】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、棒状コイル25,120などに含む板状導体の全てにスリットを形成する例について説明したが、棒状コイル25,120などに含む板状導体の少なくとも一部にスリットを形成してもよい。棒状コイル25,120などに含む板状導体の一部にスリットを形成することにより、棒状コイルの形状を簡素化できる。
【0134】
[変形実施形態]
図24は、第1実施形態に係る変形例の回転電機を分解した斜視図である。
図24の変形例において、
図1に示す第1実施形態の回転電機10と同一、類似部材については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
変形例の回転電機200において、第1実施形態の回転電機10との違いは、ステータ201が、一対のベースプレート組立体202,203を備えている。ステータコア組立体204の両側にベースプレート組立体202およびベースプレート組立体203を配置し、これらの間に複数の直線状の板状導体205が挟まれて配置される。この場合の板状導体205についても、第1実施形態の板状導体31のようなスリット形状や金属積層成形方法を採用することができる。
【0135】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
例えば、実施例ではインナーロータ型の回転電機のステータに用いているが、アウターロータ型の回転電機のステータに用いることも可能である。また、板状導体の一端から他端までの電流経路のねじれは1周期に限らず、2周期以上であってもよい。さらに、板状導体を含む棒状コイルの全体を、金属3Dプリンタを使用して金属積層成形方法で製造することを説明しているが、金属積層成形で製造する部位を板状導体のみとしてもよく、あるいは棒状コイルを環状に並べた回転電機の一台分の棒状コイル集合体として金属積層成形してもよく、さらにこれにはベースプレート組立体を含めて一体成形してもよい。
【符号の説明】
【0136】
10 回転電機
11,201 ステータ
12 ロータ
21 ステータコア
23 スロット
25,120 棒状コイル
31,31A,31B,100,124,205 板状導体
31Aa,31Ba,100a,124a 板状導体の一端
31Ab,31Bb,100b,124b 板状導体の他端
42,56,140 スリット
62,66,105,145,146 分割スリット
T1,T2 板状導体の厚み