(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141824
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】情報処理プログラム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20241003BHJP
G06T 11/20 20060101ALI20241003BHJP
A63F 13/60 20140101ALI20241003BHJP
【FI】
G06T19/00 A
G06T11/20 300
A63F13/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053669
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】308033283
【氏名又は名称】株式会社スクウェア・エニックス
(74)【代理人】
【識別番号】100188662
【弁理士】
【氏名又は名称】浅見 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100177895
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 一範
(72)【発明者】
【氏名】浅野 智也
(72)【発明者】
【氏名】新井 靖明
(72)【発明者】
【氏名】徳地 一平
【テーマコード(参考)】
5B050
5B080
【Fターム(参考)】
5B050BA09
5B050EA09
5B050EA27
5B050FA05
5B080AA18
5B080BA08
5B080DA01
5B080DA06
5B080FA02
5B080FA08
(57)【要約】
【課題】ドット絵を自動生成することが可能な情報処理プログラムを提供すること。
【解決手段】3次元仮想空間に配置された3次元モデルの中から対象オブジェクトを決定し、対象オブジェクトのみを仮想カメラの視点にてレンダリングして2次元画像データに変換し、対象オブジェクトに関する2次元画像データを、近傍の複数画素をまとめて1ドットとし、各ドットの内部を所定規則に基づいて均一な色情報としてドット絵を生成し、3次元仮想空間における対象オブジェクトの配置されている位置に対して、3次元仮想空間の中で常に仮想カメラに正対する1枚の画像貼付可能領域としてのビルボードを設定し、当該ビルボードに対してドット絵を貼り付けることで、3次元仮想空間上において対象オブジェクトの3次元モデルの替わりに当該対象オブジェクトから生成したドット絵を表示させるようにした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1以上の3次元モデルを配置した3次元仮想空間を仮想カメラの視点にてレンダリングして表示画像を生成する処理をサーバに実現させるための情報処理プログラムであって、
前記サーバに、
3次元仮想空間に配置された3次元モデルの中から対象オブジェクトを決定する対象決定機能と、
前記対象オブジェクトのみを前記仮想カメラの視点にてレンダリングして2次元画像データに変換する2次元画像化機能と、
前記対象オブジェクトに関する前記2次元画像データを、近傍の複数画素をまとめて1ドットとし、各ドットの内部を所定規則に基づいて均一な色情報としてドット絵を生成するドット絵生成機能と、
前記3次元仮想空間における前記対象オブジェクトの配置されている位置に対して、3次元仮想空間の中で常に仮想カメラに正対する1枚の画像貼付可能領域としてのビルボードを設定し、当該ビルボードに対して前記ドット絵を貼り付けることで、3次元仮想空間上において前記対象オブジェクトの3次元モデルの替わりに当該対象オブジェクトから生成したドット絵を表示させるドット絵表示機能と
を実現させる情報処理プログラム。
【請求項2】
前記サーバに、
前記対象オブジェクトから生成した前記ドット絵を予め設定した所定の複数方向にそれぞれ所定ドット分だけ移動させた方向別移動ドット絵を複数方向分生成し、各方向別移動ドット絵と元にした前記ドット絵との差分を演算し、全ての方向分の差分を統合することでアウトライン用の領域を生成するアウトライン生成機能を更に実現させる
請求項1記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
少なくとも1以上の3次元モデルを配置した3次元仮想空間を仮想カメラの視点にてレンダリングして表示画像を生成するための情報処理装置であって、
3次元仮想空間に配置された3次元モデルの中から対象オブジェクトを決定する対象決定部と、
前記対象オブジェクトのみを前記仮想カメラの視点にてレンダリングして2次元画像データに変換する2次元画像化部と、
前記対象オブジェクトに関する前記2次元画像データを、近傍の複数画素をまとめて1ドットとし、各ドットの内部を所定規則に基づいて均一な色情報としてドット絵を生成するドット絵生成部と、
前記3次元仮想空間における前記対象オブジェクトの配置されている位置に対して、3次元仮想空間の中で常に仮想カメラに正対する1枚の画像貼付可能領域としてのビルボードを設定し、当該ビルボードに対して前記ドット絵を貼り付けることで、3次元仮想空間上において前記対象オブジェクトの3次元モデルの替わりに当該対象オブジェクトから生成したドット絵を表示させるドット絵表示部と
を備える情報処理装置。
【請求項4】
少なくとも1以上の3次元モデルを配置した3次元仮想空間を仮想カメラの視点にてレンダリングして表示画像を生成する処理をユーザ端末に実現させるための情報処理プログラムであって、
前記ユーザ端末に、
3次元仮想空間に配置された3次元モデルの中から対象オブジェクトを決定する対象決定機能と、
前記対象オブジェクトのみを前記仮想カメラの視点にてレンダリングして2次元画像データに変換する2次元画像化機能と、
前記対象オブジェクトに関する前記2次元画像データを、近傍の複数画素をまとめて1ドットとし、各ドットの内部を所定規則に基づいて均一な色情報としてドット絵を生成するドット絵生成機能と、
前記3次元仮想空間における前記対象オブジェクトの配置されている位置に対して、3次元仮想空間の中で常に仮想カメラに正対する1枚の画像貼付可能領域としてのビルボードを設定し、当該ビルボードに対して前記ドット絵を貼り付けることで、3次元仮想空間上において前記対象オブジェクトの3次元モデルの替わりに当該対象オブジェクトから生成したドット絵を表示させるドット絵表示機能と
を実現させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態の少なくとも1つは、ドット絵を自動生成する機能を実現させるための情報処理プログラム及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオゲームにおいて、キャラクタやフィールド空間をどのようにデザインするかはゲームの世界観を表現するための重要な要素となっている。
【0003】
例えば、非特許文献1には、意図的にドット絵を採用することで、どこか懐かしさを感じる世界観を表現したビデオゲームが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】https://www.jp.square-enix.com/octopathtraveler/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、非特許文献1のようなドット絵でキャラクタを表現する場合、キャラクタ毎、かつ姿勢毎にドット絵を1枚ずつ製作者が手作業で作成していた。このような手作業によるドット絵の作成は、ゲームのボリュームが大きくなったりキャラクタの数が多くなったりすることに比例して作業量が膨大となり、製作者の負担となっていた。
【0006】
本発明の少なくとも1つの実施形態の目的は、ドット絵を自動生成することが可能な情報処理プログラム及び情報処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
非限定的な観点によると、本発明の一実施形態に係る情報処理プログラムは、少なくとも1以上の3次元モデルを配置した3次元仮想空間を仮想カメラの視点にてレンダリングして表示画像を生成する処理をサーバに実現させるための情報処理プログラムであって、前記サーバに、3次元仮想空間に配置された3次元モデルの中から対象オブジェクトを決定する対象決定機能と、前記対象オブジェクトのみを前記仮想カメラの視点にてレンダリングして2次元画像データに変換する2次元画像化機能と、前記対象オブジェクトに関する前記2次元画像データを、近傍の複数画素をまとめて1ドットとし、各ドットの内部を所定規則に基づいて均一な色情報としてドット絵を生成するドット絵生成機能と、前記3次元仮想空間における前記対象オブジェクトの配置されている位置に対して、3次元仮想空間の中で常に仮想カメラに正対する1枚の画像貼付可能領域としてのビルボードを設定し、当該ビルボードに対して前記ドット絵を貼り付けることで、3次元仮想空間上において前記対象オブジェクトの3次元モデルの替わりに当該対象オブジェクトから生成したドット絵を表示させるドット絵表示機能とを実現させることを特徴とする。
【0008】
非限定的な観点によると、本発明の一実施形態に係る情報処理装置は、少なくとも1以上の3次元モデルを配置した3次元仮想空間を仮想カメラの視点にてレンダリングして表示画像を生成するための情報処理装置であって、3次元仮想空間に配置された3次元モデルの中から対象オブジェクトを決定する対象決定部と、前記対象オブジェクトのみを前記仮想カメラの視点にてレンダリングして2次元画像データに変換する2次元画像化部と、前記対象オブジェクトに関する前記2次元画像データを、近傍の複数画素をまとめて1ドットとし、各ドットの内部を所定規則に基づいて均一な色情報としてドット絵を生成するドット絵生成部と、前記3次元仮想空間における前記対象オブジェクトの配置されている位置に対して、3次元仮想空間の中で常に仮想カメラに正対する1枚の画像貼付可能領域としてのビルボードを設定し、当該ビルボードに対して前記ドット絵を貼り付けることで、3次元仮想空間上において前記対象オブジェクトの3次元モデルの替わりに当該対象オブジェクトから生成したドット絵を表示させるドット絵表示部とを備えることを特徴とする。
【0009】
非限定的な観点によると、本発明の一実施形態に係る情報処理プログラムは、少なくとも1以上の3次元モデルを配置した3次元仮想空間を仮想カメラの視点にてレンダリングして表示画像を生成する処理をユーザ端末に実現させるための情報処理プログラムであって、前記ユーザ端末に、3次元仮想空間に配置された3次元モデルの中から対象オブジェクトを決定する対象決定機能と、前記対象オブジェクトのみを前記仮想カメラの視点にてレンダリングして2次元画像データに変換する2次元画像化機能と、前記対象オブジェクトに関する前記2次元画像データを、近傍の複数画素をまとめて1ドットとし、各ドットの内部を所定規則に基づいて均一な色情報としてドット絵を生成するドット絵生成機能と、前記3次元仮想空間における前記対象オブジェクトの配置されている位置に対して、3次元仮想空間の中で常に仮想カメラに正対する1枚の画像貼付可能領域としてのビルボードを設定し、当該ビルボードに対して前記ドット絵を貼り付けることで、3次元仮想空間上において前記対象オブジェクトの3次元モデルの替わりに当該対象オブジェクトから生成したドット絵を表示させるドット絵表示機能とを実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本願の各実施形態により1または2以上の不足が解決される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する情報処理システムの構成の例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するサーバの構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する情報処理の例を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する情報処理におけるサーバ側の動作の例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する情報処理における端末側の動作の例を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するサーバの構成を示すブロック図である。
【
図7】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する情報処理の例を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するサーバの構成を示すブロック図である。
【
図9】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する情報処理の例を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する情報処理におけるサーバ側の動作の例を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する情報処理における端末側の動作の例を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する情報処理に基づいてドット絵を生成する例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の例について図面を参照して説明する。なお、以下で説明する各実施形態の例における各種構成要素は、矛盾等が生じない範囲で適宜組み合わせ可能である。また、ある実施形態の例として説明した内容については、他の実施形態においてその説明を省略している場合がある。また、各実施形態の特徴部分に関係しない動作や処理については、その内容を省略している場合がある。さらに、以下で説明する各種フローを構成する各種処理の順序は、処理内容に矛盾等が生じない範囲で順不同である。
【0013】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する情報処理システム100の構成の例を示すブロック図である。
図1に示すように、情報処理システム100は、サーバ10と、情報処理システム100のユーザが使用するユーザ端末20,201~20N(Nは任意の整数)とを含む。なお、情報処理システム100の構成はこれに限定されず、単一のユーザ端末を複数のユーザが使用する構成としてもよいし、複数のサーバを備える構成としてもよい。
【0014】
サーバ10と複数のユーザ端末20,201~20Nは、それぞれインターネットなどの通信ネットワーク30に接続されている。なお、図示しないが、複数のユーザ端末20,201~20Nは、通信業者によって管理される基地局と無線通信回線によるデータ通信を行うことによって、通信ネットワーク30と接続する。
【0015】
情報処理システム100は、サーバ10と複数のユーザ端末20,201~20Nとを備えることにより、各種処理を実行するための各種機能を実現する。
【0016】
サーバ10は、情報処理システム100の管理者によって管理され、複数のユーザ端末20,201~20Nに対して各種処理に関する情報を提供するための各種機能を有する。本例において、サーバ10は、WWWサーバなどの情報処理システムによって構成され、各種情報を格納する記憶媒体を備える。サーバ10の構成は、制御部や通信部などコンピュータとして各種処理を行うための一般的な構成を備えていれば特に限定されない。以下、サーバ10のハードウェア構成の例について簡単に説明する。
【0017】
図1に示すように、サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)101と、メモリ102と、記憶装置103とを少なくとも備える。
【0018】
CPU101は、各種の演算および制御を行う中央処理装置である。また、サーバ10がGPU(Graphics Processing Unit)を備える場合には、各種の演算および制御の一部をGPUによって行うようにしてもよい。サーバ10は、適宜メモリ102に読み出したデータを用いて各種の情報処理をCPU101にて実行し、得られた処理結果を必要に応じて記憶装置103に記憶させる。
【0019】
記憶装置103は、各種情報を格納する記憶媒体としての機能を有する。記憶装置103の構成は特に限定されないが、複数のユーザ端末20,201~20Nそれぞれにかかる処理負荷を軽減させるといった観点から、必要な各種情報を全て記憶可能な構成であることが好ましい。このような例には、HDDやSSDがある。ただし、各種情報を記憶する記憶部は、サーバ10がアクセス可能な状態で記憶領域を備えていればよく、例えば専用の記憶領域をサーバ10の外部に有する構成とされていてもよい。
【0020】
図2は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するサーバ10の例であるサーバ10Aの構成を示すブロック図である。
図2に示すように、サーバ10Aは、対象決定部11と、2次元画像化部12と、ドット絵生成部13と、ドット絵表示部14とを少なくとも備える。
【0021】
対象決定部11は、3次元仮想空間に配置された3次元モデルの中から対象オブジェクトを決定する機能を有する。3次元仮想空間とは、3次元のコンピュータグラフィックスで表現された3次元の座標情報を備えた仮想の空間のことをいう。3次元モデルとは、3次元のコンピュータグラフィックスで表現されたモデルのことをいう。この対象決定部11では、ドット絵化する対象オブジェクトを決定する。対象オブジェクトは、静止したオブジェクトであってもよいし、移動するオブジェクトであってもよい。また、対象オブジェクトは1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0022】
2次元画像化部12は、対象オブジェクトのみを仮想カメラの視点にてレンダリングして2次元画像データに変換する機能を有する。仮想カメラとは、3次元仮想空間を表示画面に表示させるためのレンダリングを行う際の基準となる視点位置のことをいう。この2次元画像化部12では、対象オブジェクトが配置された3次元仮想空間についてはレンダリングせずに、対象オブジェクトのみをレンダリングして2次元画像データに変換する。
【0023】
ドット絵生成部13は、対象オブジェクトに関する2次元画像データを、近傍の複数画素をまとめて1ドットとし、各ドットの内部を所定規則に基づいて均一な色情報としてドット絵を生成する機能を有する。ドット絵の特徴の一つとしてユーザが視認できる程度にドットサイズが大きいことが挙げられる。そのため、画質のいい2次元画像データの複数画素をまとめて所定サイズの1ドットとなるように変換を実行する。例えば、縦3画素×横3画素の9画素で1ドットとすることが考えられる。また、各ドットの内部は均一な色情報に書き換える。色情報の決定方法は様々な手法が考えられるが、ドットを構成する複数画素の色情報の平均を求めるようにしてもよいし、ドットを構成する複数画素のうち中央の画素の色情報を採用するようにしてもよい。2次元画像データを構成する全ての画素についてドット変換処理を行うことでドット絵を生成することができる。
【0024】
ドット絵表示部14は、3次元仮想空間における対象オブジェクトの配置されている位置に対して、3次元仮想空間の中で常に仮想カメラに正対する1枚の画像貼付可能領域としてのビルボードを設定し、当該ビルボードに対してドット絵を貼り付けることで、3次元仮想空間上において対象オブジェクトの3次元モデルの替わりに当該対象オブジェクトから生成したドット絵を表示させる機能を有する。ビルボードとは、3次元仮想空間の中で常に仮想カメラに正対する1枚の画像貼付可能領域のことをいう。このビルボードは常に仮想カメラに正対するので、3次元仮想空間上に配置したとしても2次元であるドット絵は情報が損なわれることなく描画され得る状態となる。
【0025】
複数のユーザ端末20,201~20Nは、それぞれ、ユーザによって管理され、例えばパーソナルコンピュータ、携帯電話端末やPDA(Personal Digital Assistants)によって構成される。なお、情報処理システム100が含み得るユーザ端末の構成は上述した例に限定されない。
【0026】
また、複数のユーザ端末20,201~20Nは、それぞれ、通信ネットワーク30に接続し、サーバ10との通信を行うことにより各種処理を実行するためのハードウェア(例えば、ドット絵を含む表示画面を表示する表示装置など)及びソフトウェアを備える。なお、複数のユーザ端末20,201~20Nそれぞれは、サーバ10Aを介さずに互いに直接通信を行うこともできる構成とされていてもよい。
【0027】
次に、本例の情報処理システム100の動作について説明する。
【0028】
図3は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する情報処理の例を示すフローチャートである。以下、サーバ10Aとユーザ端末20とが、情報処理を実行する場合を例にして説明する。
【0029】
情報処理は、サーバ10Aにおいて、ドット絵に変換する対象オブジェクトを決定することによって開始される(ステップS11)。次に、サーバ10Aは、対象オブジェクトのみをレンダリングして対象オブジェクトについての2次元画像データを生成する(ステップS12)。次に、サーバ10Aは、所定のドットサイズにて複数画素をまとめて1ドットに変換する処理を実行することでドット絵を生成する(ステップS13)。そして、サーバ10Aは、3次元仮想空間に設定したビルボードに対してドット絵を貼り付ける(ステップS14)。
【0030】
ユーザ端末20は、サーバ10Aからの出力情報を受信すると、所定の表示手段を用いてドット絵を表示させる(ステップS15)。
【0031】
図4は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する情報処理におけるサーバ側の動作の例を示すフローチャートである。ここでは、情報処理システム100におけるサーバ10Aの動作について改めて説明する。
【0032】
情報処理は、サーバ10Aにおいて、ドット絵に変換する対象オブジェクトを決定することによって開始される(ステップS101)。次に、サーバ10Aは、対象オブジェクトのみをレンダリングして対象オブジェクトについての2次元画像データを生成する(ステップS102)。次に、サーバ10Aは、所定のドットサイズにて複数画素をまとめて1ドットに変換する処理を実行することでドット絵を生成する(ステップS103)。そして、サーバ10Aは、3次元仮想空間に設定したビルボードに対してドット絵を貼り付けて(ステップS104)、情報処理を終了する。
【0033】
図5は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する情報処理における端末側の動作の例を示すフローチャートである。以下、ユーザ端末20が、単体で情報処理を実行する場合を例にして説明する。なお、端末20の構成については、サーバ10Aから各種情報を受信することを除きサーバ10Aの構成と同様の機能を備えるものであるため、重複説明を避ける観点から記載を省略する。
【0034】
情報処理は、ユーザ端末20において、ドット絵に変換する対象オブジェクトを決定することによって開始される(ステップS201)。次に、ユーザ端末20は、対象オブジェクトのみをレンダリングして対象オブジェクトについての2次元画像データを生成する(ステップS202)。次に、ユーザ端末20は、所定のドットサイズにて複数画素をまとめて1ドットに変換する処理を実行することでドット絵を生成する(ステップS203)。そして、ユーザ端末20は、3次元仮想空間に設定したビルボードに対してドット絵を貼り付けて(ステップS204)、情報処理を終了する。
【0035】
以上に説明したように、第1の実施形態の一側面として、サーバ10Aが、対象決定部11と、2次元画像化部12と、ドット絵生成部13と、ドット絵表示部14とを備え、3次元仮想空間に配置された3次元モデルの中から対象オブジェクトを決定し、対象オブジェクトのみを仮想カメラの視点にてレンダリングして2次元画像データに変換し、対象オブジェクトに関する2次元画像データを、近傍の複数画素をまとめて1ドットとし、各ドットの内部を所定規則に基づいて均一な色情報としてドット絵を生成し、3次元仮想空間における対象オブジェクトの配置されている位置に対して、3次元仮想空間の中で常に仮想カメラに正対する1枚の画像貼付可能領域としてのビルボードを設定し、当該ビルボードに対してドット絵を貼り付けることで、3次元仮想空間上において対象オブジェクトの3次元モデルの替わりに当該対象オブジェクトから生成したドット絵を表示させるようにしたので、3次元仮想空間における任意の対象オブジェクトを自動でドット絵化して表示することが可能となる。
【0036】
すなわち、一度3次元モデルによって3次元仮想空間を構築してしまえば、その中の任意の対象オブジェクトを自動でドット絵化して表示することが可能となるので、キャラクタ毎、かつ姿勢毎にドット絵を1枚ずつ製作者が手描きで作成していた従来に比較して、ドット絵作成の時間とコストを省略することが可能となる。
【0037】
[第2の実施形態]
図6は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するサーバ10の例であるサーバ10Bの構成を示すブロック図である。本例において、サーバ10Bは、対象決定部11と、2次元画像化部12と、ドット絵生成部13と、アウトライン生成部15と、ドット絵表示部14と少なくとも備える。なお、第1の実施形態と同一符号を付した構成について、第1の実施形態と同様に機能する構成については説明を省略する。
【0038】
アウトライン生成部15は、対象オブジェクトから生成したドット絵を予め設定した所定の複数方向にそれぞれ所定ドット分だけ移動させた方向別移動ドット絵を複数方向分生成し、各方向別移動ドット絵と元にしたドット絵との差分を演算し、全ての方向分の差分を統合することでアウトライン用の領域を生成する機能を有する。ここで、アウトラインとは、ドット絵の輪郭や形状を分かり易く示すための線分のことをいう。対象オブジェクトを2次元画像データに変換し、2次元画像データをそのままドット絵化しただけだと、ドット絵の輪郭線が表現できずに特徴が表現しきれないドット絵となってしまうおそれがある。そこで、このアウトライン生成部15では、生成したドット絵を利用してアウトラインとなる領域を生成する。具体的には、生成したドット絵を予め設定した所定の複数方向、例えば上下左右の4方向にそれぞれ所定ドット分(例えば、1ドット)だけ移動させた方向別移動ドット絵を生成する。4方向にそれぞれ移動させた場合には、4つの方向別移動ドット絵が生成される。次に、各方向別移動ドット絵と元にしたドット絵との差分を演算し、全ての方向分の差分を統合する。輪郭部分などでは移動先の個所と輝度情報が異なるため差分が生じる。そして、例えば上下左右の4方向に移動させて差分を求めて統合すると、アウトラインとなる領域のみを抽出することができる。このようにして生成したアウトライン領域は、元となったドット絵と結合し、かつ、アウトライン領域を暗めの輝度値に設定することで、ドット絵にアウトラインを生成することが可能となる。なお、方向別移動ドット絵は、上下左右の4方向について生成してもよいし、上下左右の4方向にさらに4つの斜め方向も加えた8方向について生成してもよい。
【0039】
ドット絵表示部14では、アウトライン領域を結合したドット絵をビルボードに貼り付けるようにする。
【0040】
図7は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する情報処理の例を示すフローチャートである。以下、サーバ10Bと、ユーザ端末20の動作を例にして説明する。なお、サーバ10Bとユーザ端末20それぞれの動作を示すフローチャートについては、重複説明を避ける観点から記載を省略する。
【0041】
情報処理は、サーバ10Bにおいて、ドット絵に変換する対象オブジェクトを決定することによって開始される(ステップS21)。次に、サーバ10Bは、対象オブジェクトのみをレンダリングして対象オブジェクトについての2次元画像データを生成する(ステップS22)。次に、サーバ10Bは、所定のドットサイズにて複数画素をまとめて1ドットに変換する処理を実行することでドット絵を生成する(ステップS23)。次に、サーバ10Bは、ドット絵を複数方向に移動させた方向別移動ドット絵との差分を演算して差分を統合することでアウトライン用の領域を生成して、アウトラインを設けたドット絵を生成する(ステップS24)。そして、サーバ10Bは、3次元仮想空間に設定したビルボードに対してアウトラインを設けたドット絵を貼り付ける(ステップS25)。
【0042】
ユーザ端末20は、サーバ10Bからの出力情報を受信すると、所定の表示手段を用いてアウトラインを設けたドット絵を表示させる(ステップS26)。
【0043】
以上に説明したように、第2の実施形態の一側面として、サーバ10Bが、対象決定部11と、2次元画像化部12と、ドット絵生成部13と、アウトライン生成部15と、ドット絵表示部14とを備え、このうちのアウトライン生成部15において、対象オブジェクトから生成したドット絵を予め設定した所定の複数方向にそれぞれ所定ドット分だけ移動させた方向別移動ドット絵を複数方向分生成し、各方向別移動ドット絵と元にしたドット絵との差分を演算し、全ての方向分の差分を統合することでアウトライン用の領域を生成するようにしたので、ドット絵に対して安定したアウトラインを生成することが可能となる。
【0044】
[第3の実施形態]
図8は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するサーバ10の例であるサーバ10Zの構成を示すブロック図である。本例において、サーバ10Zは、対象決定部11Zと、2次元画像化部12Zと、ドット絵生成部13Zと、アウトライン生成部15Zと、ドット絵表示部14Zと、全体レンダリング部16Zとを少なくとも備える。
【0045】
対象決定部11Zは、3次元仮想空間に配置された3次元モデルの中から対象オブジェクトを決定する機能を有する。3次元仮想空間とは、3次元のコンピュータグラフィックスで表現された3次元の座標情報を備えた仮想の空間のことをいう。3次元モデルとは、3次元のコンピュータグラフィックスで表現されたモデルのことをいう。この対象決定部11Zでは、ドット絵化する対象オブジェクトを決定する。対象オブジェクトは、静止したオブジェクトであってもよいし、移動するオブジェクトであってもよい。また、対象オブジェクトは1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0046】
2次元画像化部12Zは、対象オブジェクトのみを仮想カメラの視点にてレンダリングして2次元画像データに変換する機能を有する。仮想カメラとは、3次元仮想空間を表示画面に表示させるためのレンダリングを行う際の基準となる視点位置のことをいう。この2次元画像化部12Zでは、対象オブジェクトが配置された3次元仮想空間についてはレンダリングせずに、対象オブジェクトのみをレンダリングして2次元画像データに変換する。
【0047】
ドット絵生成部13Zは、対象オブジェクトに関する2次元画像データを、近傍の複数画素をまとめて1ドットとし、各ドットの内部を所定規則に基づいて均一な色情報としてドット絵を生成する機能を有する。ドット絵の特徴の一つとしてユーザが視認できる程度にドットサイズが大きいことが挙げられる。そのため、画質のいい2次元画像データの複数画素をまとめて所定サイズの1ドットとなるように変換を実行する。例えば、縦3画素×横3画素の9画素で1ドットとすることが考えられる。また、各ドットの内部は均一な色情報に書き換える。色情報の決定方法は様々な手法が考えられるが、ドットを構成する複数画素の色情報の平均を求めるようにしてもよいし、ドットを構成する複数画素のうち中央の画素の色情報を採用するようにしてもよい。2次元画像データを構成する全ての画素についてドット変換処理を行うことでドット絵を生成することができる。
【0048】
なお、ドット絵生成部13Zにおいてドット絵を生成する際のドットサイズについては、対象オブジェクト毎に、及び/又は、ドット絵を生成する時点における環境条件毎に、1ドットを構成するための画素数を変更してドット絵を生成するようにしてもよい。すなわち、対象オブジェクト毎にドットサイズを大きくしたり小さくしたりを個別に設定することも可能であり、または、同じ対象オブジェクトであっても、ドット絵を生成する状況、例えば、ビデオゲームにおける異なるシーン毎にドットサイズを変更することも可能である。例えば、元となる対象オブジェクトの3次元モデルが細かい点まで作り込まれているものである場合などに大きいドットサイズでドット絵にしてしまうと細かい個所がドット絵に反映されないおそれがあるので、そのような細かい個所を備える対象オブジェクトについてはドットサイズを小さめに設定する対応が考えられる。
【0049】
アウトライン生成部15Zは、対象オブジェクトから生成したドット絵を予め設定した所定の複数方向にそれぞれ所定ドット分だけ移動させた方向別移動ドット絵を複数方向分生成し、各方向別移動ドット絵と元にしたドット絵との差分を演算し、全ての方向分の差分を統合することでアウトライン用の領域を生成する機能を有する。ここで、アウトラインとは、ドット絵の輪郭や形状を分かり易く示すための線分のことをいう。対象オブジェクトを2次元画像データに変換し、2次元画像データをそのままドット絵化しただけだと、ドット絵の輪郭線が表現できずに特徴が表現しきれないドット絵となってしまうおそれがある。そこで、このアウトライン生成部15Zでは、生成したドット絵を利用してアウトラインとなる領域を生成する。具体的には、生成したドット絵を予め設定した所定の複数方向、例えば上下左右の4方向にそれぞれ所定ドット分(例えば、1ドット)だけ移動させた方向別移動ドット絵を生成する。4方向にそれぞれ移動させた場合には、4つの方向別移動ドット絵が生成される。次に、各方向別移動ドット絵と元にしたドット絵との差分を演算し、全ての方向分の差分を統合する。輪郭部分などでは移動先の個所と輝度情報が異なるため差分が生じる。そして、例えば上下左右の4方向に移動させて差分を求めて統合すると、アウトラインとなる領域のみを抽出することができる。このようにして生成したアウトライン領域は、元となったドット絵と結合し、かつ、アウトライン領域を暗めの輝度値に設定することで、ドット絵にアウトラインを生成することが可能となる。なお、方向別移動ドット絵は、上下左右の4方向について生成してもよいし、上下左右の4方向にさらに4つの斜め方向も加えた8方向について生成してもよい。
【0050】
ドット絵表示部14Zは、3次元仮想空間における対象オブジェクトの配置されている位置に対して、3次元仮想空間の中で常に仮想カメラに正対する1枚の画像貼付可能領域としてのビルボードを設定し、当該ビルボードに対してドット絵を貼り付けることで、3次元仮想空間上において対象オブジェクトの3次元モデルの替わりに当該対象オブジェクトから生成したドット絵を表示させる機能を有する。ビルボードとは、3次元仮想空間の中で常に仮想カメラに正対する1枚の画像貼付可能領域のことをいう。このビルボードは常に仮想カメラに正対するので、3次元仮想空間上に配置したとしても2次元であるドット絵は情報が損なわれることなく描画され得る状態となる。このドット絵表示部14Zにおいてビルボードに貼り付けるドット絵は、アウトライン生成部15Zにおいてアウトラインを結合したドット絵である。
【0051】
全体レンダリング部16Zは、対象オブジェクトの3次元モデルはレンダリング対象から除外しつつ、対象オブジェクトの3次元モデルに起因する3次元仮想空間への影響についてはレンダリングに反映させるようにして、ドット絵が貼り付けられたビルボードを含む3次元仮想空間を仮想カメラの視点にてレンダリングして表示画像を生成する機能を有する。ドット絵が貼り付けられたビルボードを含む3次元仮想空間をレンダリングすると、ドット絵化された対象オブジェクトとドット化していない3次元仮想空間がレンダリングされることになる。このレンダリングの際に、対象オブジェクトの3次元モデルはレンダリング対象から除外するので対象オブジェクトが3次元モデルとして描画されることはないが、対象オブジェクトの3次元モデルに起因する3次元仮想空間への影響についてはレンダリングに反映させるようにするので、例えば、光源からの光が対象オブジェクトによって遮られることによって生じる影についてはレンダリングの対象とすることができる。このような処理を行うことにより、対象オブジェクトをドット絵として表示しつつも、元となった対象オブジェクトが周辺の3次元仮想空間に対して及ぼす影響はそのまま反映されたリアルなレンダリングを実現することができる。
【0052】
次に、本例の情報処理システム100の動作について説明する。
【0053】
図9は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する情報処理の例を示すフローチャートである。以下、サーバ10Zとユーザ端末20とが、情報処理を実行する場合を例にして説明する。
【0054】
情報処理は、サーバ10Zにおいて、ドット絵に変換する対象オブジェクトを決定することによって開始される(ステップS31)。次に、サーバ10Zは、対象オブジェクトのみをレンダリングして対象オブジェクトについての2次元画像データを生成する(ステップS32)。次に、サーバ10Zは、所定のドットサイズにて複数画素をまとめて1ドットに変換する処理を実行することでドット絵を生成する(ステップS33)。次に、サーバ10Zは、ドット絵を複数方向に移動させた方向別移動ドット絵との差分を演算して差分を統合することでアウトライン用の領域を生成して、アウトラインを設けたドット絵を生成する(ステップS34)。次に、サーバ10Zは、3次元仮想空間に設定したビルボードに対してアウトラインを設けたドット絵を貼り付ける(ステップS35)。そして、サーバ10Zは、ドット絵が貼り付けられたビルボードを含む3次元仮想空間を仮想カメラの視点にてレンダリングして表示画像を生成して出力する(ステップS36)。
【0055】
ユーザ端末20は、サーバ10Zからの表示画面を受信すると、所定の表示手段を用いて表示画面を表示させる(ステップS37)。
【0056】
図10は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する情報処理におけるサーバ側の動作の例を示すフローチャートである。ここでは、情報処理システム100におけるサーバ10Zの動作について改めて説明する。
【0057】
情報処理は、サーバ10Zにおいて、ドット絵に変換する対象オブジェクトを決定することによって開始される(ステップS301)。次に、サーバ10Zは、対象オブジェクトのみをレンダリングして対象オブジェクトについての2次元画像データを生成する(ステップS302)。次に、サーバ10Zは、所定のドットサイズにて複数画素をまとめて1ドットに変換する処理を実行することでドット絵を生成する(ステップS303)。次に、サーバ10Zは、ドット絵を複数方向に移動させた方向別移動ドット絵との差分を演算して差分を統合することでアウトライン用の領域を生成して、アウトラインを設けたドット絵を生成する(ステップS304)。次に、サーバ10Zは、3次元仮想空間に設定したビルボードに対してアウトラインを設けたドット絵を貼り付ける(ステップS305)。そして、サーバ10Zは、ドット絵が貼り付けられたビルボードを含む3次元仮想空間を仮想カメラの視点にてレンダリングして表示画像を生成して出力して(ステップS306)、情報処理を終了する。
【0058】
図11は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する情報処理における端末側の動作の例を示すフローチャートである。以下、ユーザ端末20が、単体で情報処理を実行する場合を例にして説明する。なお、ユーザ端末20の構成については、サーバ10Zから各種情報を受信することを除きサーバ10Zの構成と同様の機能を備えるものであるため、重複説明を避ける観点から記載を省略する。
【0059】
情報処理は、ユーザ端末20において、ドット絵に変換する対象オブジェクトを決定することによって開始される(ステップS401)。次に、ユーザ端末20は、対象オブジェクトのみをレンダリングして対象オブジェクトについての2次元画像データを生成する(ステップS402)。次に、ユーザ端末20は、所定のドットサイズにて複数画素をまとめて1ドットに変換する処理を実行することでドット絵を生成する(ステップS403)。次に、ユーザ端末20は、ドット絵を複数方向に移動させた方向別移動ドット絵との差分を演算して差分を統合することでアウトライン用の領域を生成して、アウトラインを設けたドット絵を生成する(ステップS404)。次に、ユーザ端末20は、3次元仮想空間に設定したビルボードに対してアウトラインを設けたドット絵を貼り付ける(ステップS405)。そして、ユーザ端末20は、ドット絵が貼り付けられたビルボードを含む3次元仮想空間を仮想カメラの視点にてレンダリングして表示画像を生成して出力して(ステップS406)、情報処理を終了する。
【0060】
以上に説明したように、第3の実施形態の一側面として、サーバ10Zが、対象決定部11Zと、2次元画像化部12Zと、ドット絵生成部13Zと、ドット絵表示部14Zとを備え、3次元仮想空間に配置された3次元モデルの中から対象オブジェクトを決定し、対象オブジェクトのみを仮想カメラの視点にてレンダリングして2次元画像データに変換し、対象オブジェクトに関する2次元画像データを、近傍の複数画素をまとめて1ドットとし、各ドットの内部を所定規則に基づいて均一な色情報としてドット絵を生成し、3次元仮想空間における対象オブジェクトの配置されている位置に対して、3次元仮想空間の中で常に仮想カメラに正対する1枚の画像貼付可能領域としてのビルボードを設定し、当該ビルボードに対してドット絵を貼り付けることで、3次元仮想空間上において対象オブジェクトの3次元モデルの替わりに当該対象オブジェクトから生成したドット絵を表示させるようにしたので、3次元仮想空間における任意の対象オブジェクトを自動でドット絵化して表示することが可能となる。
【0061】
また、第3の実施形態の一側面として、サーバ10Zが、アウトライン生成部15Zを備え、対象オブジェクトから生成したドット絵を予め設定した所定の複数方向にそれぞれ所定ドット分だけ移動させた方向別移動ドット絵を複数方向分生成し、各方向別移動ドット絵と元にしたドット絵との差分を演算し、全ての方向分の差分を統合することでアウトライン用の領域を生成するようにしたので、ドット絵に対して安定したアウトラインを生成することが可能となる。
【0062】
また、第3の実施形態の一側面として、サーバ10Zが、全体レンダリング部16Zを備え、対象オブジェクトの3次元モデルはレンダリング対象から除外しつつ、対象オブジェクトの3次元モデルに起因する3次元仮想空間への影響についてはレンダリングに反映させるようにして、ドット絵が貼り付けられたビルボードを含む3次元仮想空間を仮想カメラの視点にてレンダリングして表示画像を生成するようにしたので、対象オブジェクトをドット絵として表示しつつも、元となった対象オブジェクトが周辺の3次元仮想空間に対して及ぼす影響はそのまま反映されたリアルなレンダリングを実現することができる。
【0063】
なお、アウトライン生成部15Zにおいては、所定ドット数だけ複数方向にそれぞれ移動させた方向別移動ドット絵との差分に基づいてアウトラインを生成していたが、これに加えて、3次元モデルの段階で背面法を用いることでアウトラインを生成する手法を併用するようにしてもよい。背面法は、3次元モデルを構成する各メッシュの法線を反転させて表裏が逆転した3次元モデルを生成してそこに元の3次元モデルを重ねることでアウトラインを生成することができる。背面法でアウトラインを生成した状態にてレンダリングを行って2次元画像化することで、アウトラインを含む2次元画像データを生成できる。
【0064】
図12は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する情報処理に基づいてドット絵を生成する例を説明するための説明図である。本例では、
図12に示すように、先ず、3次元モデルをドット絵化する対象オブジェクトとして選択する。次に、3次元モデルのみをレンダリングして2次元画像データ化し、その2次元画像データを所定の複数画素をまとめて均一な色情報を持つ1ドットに変換する処理を全画素に対して実行することで、ドット絵を生成する。そして、ドット絵からアウトラインを生成して、アウトラインを結合したドット絵をビルボードに貼り付けることで、対象オブジェクトをドット絵化する処理が完了する。
【0065】
上記のようなドット絵化の情報処理を常にリアルタイムで実行することも可能である。すなわち、リアルタイムレンダリングによってゲーム画面を生成するビデオゲームにおいて、ドット絵をリアルタイムに生成することが可能となる。ビデオゲームにおいてキャラクタの3次元モデルやフィールドや背景の3次元モデルも事前に作成して3次元仮想空間を生成しておけば、3次元仮想空間内で操作されるキャラクタやNPCとして自動制御されるキャラクタなど、ビデオゲームに登場するキャラクタをドット絵化する処理については都度リアルタイムにドット絵を生成して対応することができるため、製作者の負担が大幅に低減される。なお、ビデオゲームにおけるキャラクタのみをドット化するのみならず、3次元仮想空間に配置された全てのオブジェクトをドット化することも可能である。
【0066】
また、3次元オブジェクトを配置した3次元仮想空間を備える環境であれば、ビデオゲームに限らず、同様にドット絵化することが可能である。例えば、VRなどのメタバース空間においてユーザに対応するアバターの3次元モデルをリアルタイムにドット絵に変換することも可能となる。
【0067】
以上に説明したように、本願の各実施形態により1または2以上の不足が解決される。なお、夫々の実施形態による効果は、非限定的な効果または効果の一例である。
【0068】
なお、上述した各実施形態では、複数のユーザ端末20,201~20Nとサーバ10は、自己が備える記憶装置に記憶されている各種制御プログラム(例えば、情報処理プログラム)に従って、上述した各種の処理を実行する。
【0069】
また、情報処理システム100の構成は上述した各実施形態の例として説明した構成に限定されず、例えばユーザ端末20が実行する処理として説明した処理の一部または全部をサーバ10が実行する構成としてもよいし、サーバ10が実行する処理として説明した処理の一部または全部を複数のユーザ端末20,201~20Nの何れか(例えば、ユーザ端末20)が実行する構成としてもよい。また、サーバ10が備える記憶部の一部または全部を複数のユーザ端末20,201~20Nの何れかが備える構成としてもよい。すなわち、システム100におけるユーザ端末20とサーバ10のどちらか一方が備える機能の一部または全部を、他の一方が備える構成とされていてもよい。
【0070】
また、プログラムが、上述した各実施形態の例として説明した機能の一部または全部を、通信ネットワークを含まない装置単体に実現させる構成としてもよい。
【0071】
[付記]
上述した実施形態の説明は、少なくとも下記発明を、当該発明の属する分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができるように記載した。
[1]
少なくとも1以上の3次元モデルを配置した3次元仮想空間を仮想カメラの視点にてレンダリングして表示画像を生成する処理をサーバに実現させるための情報処理プログラムであって、
前記サーバに、
3次元仮想空間に配置された3次元モデルの中から対象オブジェクトを決定する対象決定機能と、
前記対象オブジェクトのみを前記仮想カメラの視点にてレンダリングして2次元画像データに変換する2次元画像化機能と、
前記対象オブジェクトに関する前記2次元画像データを、近傍の複数画素をまとめて1ドットとし、各ドットの内部を所定規則に基づいて均一な色情報としてドット絵を生成するドット絵生成機能と、
前記3次元仮想空間における前記対象オブジェクトの配置されている位置に対して、3次元仮想空間の中で常に仮想カメラに正対する1枚の画像貼付可能領域としてのビルボードを設定し、当該ビルボードに対して前記ドット絵を貼り付けることで、3次元仮想空間上において前記対象オブジェクトの3次元モデルの替わりに当該対象オブジェクトから生成したドット絵を表示させるドット絵表示機能と
を実現させる情報処理プログラム。
[2]
前記サーバに、
前記対象オブジェクトから生成した前記ドット絵を予め設定した所定の複数方向にそれぞれ所定ドット分だけ移動させた方向別移動ドット絵を複数方向分生成し、各方向別移動ドット絵と元にした前記ドット絵との差分を演算し、全ての方向分の差分を統合することでアウトライン用の領域を生成するアウトライン生成機能を
更に実現させるための[1]記載の情報処理プログラム。
[3]
前記ドット絵生成機能は、前記対象オブジェクト毎に、及び/又は、ドット絵を生成する時点における環境条件毎に、1ドットを構成するための画素数を変更してドット絵を生成する
実現させるための[1]又は[2]記載の情報処理プログラム。
[4]
前記サーバに、
前記対象オブジェクトの3次元モデルはレンダリング対象から除外しつつ、前記対象オブジェクトの3次元モデルに起因する3次元仮想空間への影響についてはレンダリングに反映させるようにして、前記ドット絵が貼り付けられた前記ビルボードを含む前記3次元仮想空間を仮想カメラの視点にてレンダリングして表示画像を生成する全体レンダリング機能を
更に実現させるための[1]から[3]の何れか1つに記載の情報処理プログラム。
[5]
[1]から[4]のうち何れかに記載の情報処理プログラムが前記サーバに実現させる機能のうち少なくとも1つの機能を、当該サーバと通信可能なユーザ端末に実現させる情報処理プログラム。
[6]
通信ネットワークと、サーバと、ユーザ端末とを備え、少なくとも1以上の3次元モデルを配置した3次元仮想空間を仮想カメラの視点にてレンダリングして表示画像を生成する処理を行うための情報処理システムであって、
3次元仮想空間に配置された3次元モデルの中から対象オブジェクトを決定する対象決定手段と、
前記対象オブジェクトのみを前記仮想カメラの視点にてレンダリングして2次元画像データに変換する2次元画像化手段と、
前記対象オブジェクトに関する前記2次元画像データを、近傍の複数画素をまとめて1ドットとし、各ドットの内部を所定規則に基づいて均一な色情報としてドット絵を生成するドット絵生成手段と、
前記3次元仮想空間における前記対象オブジェクトの配置されている位置に対して、3次元仮想空間の中で常に仮想カメラに正対する1枚の画像貼付可能領域としてのビルボードを設定し、当該ビルボードに対して前記ドット絵を貼り付けることで、3次元仮想空間上において前記対象オブジェクトの3次元モデルの替わりに当該対象オブジェクトから生成したドット絵を表示させるドット絵表示手段と
を含む情報処理システム。
[7]
前記サーバが、前記対象決定手段と、前記2次元画像化手段と、前記ドット絵生成手段と、前記ドット絵表示手段とを含み、
前記ユーザ端末が、前記ドット絵表示手段により出力されたドット絵を表示させる表示手段を含む
[6]記載の情報処理システム。
[8]
少なくとも1以上の3次元モデルを配置した3次元仮想空間を仮想カメラの視点にてレンダリングして表示画像を生成するための情報処理装置であって、
3次元仮想空間に配置された3次元モデルの中から対象オブジェクトを決定する対象決定部と、
前記対象オブジェクトのみを前記仮想カメラの視点にてレンダリングして2次元画像データに変換する2次元画像化部と、
前記対象オブジェクトに関する前記2次元画像データを、近傍の複数画素をまとめて1ドットとし、各ドットの内部を所定規則に基づいて均一な色情報としてドット絵を生成するドット絵生成部と、
前記3次元仮想空間における前記対象オブジェクトの配置されている位置に対して、3次元仮想空間の中で常に仮想カメラに正対する1枚の画像貼付可能領域としてのビルボードを設定し、当該ビルボードに対して前記ドット絵を貼り付けることで、3次元仮想空間上において前記対象オブジェクトの3次元モデルの替わりに当該対象オブジェクトから生成したドット絵を表示させるドット絵表示部と
を備える情報処理装置。
[9]
少なくとも1以上の3次元モデルを配置した3次元仮想空間を仮想カメラの視点にてレンダリングして表示画像を生成する処理をユーザ端末に実現させるための情報処理プログラムであって、
前記ユーザ端末に、
3次元仮想空間に配置された3次元モデルの中から対象オブジェクトを決定する対象決定機能と、
前記対象オブジェクトのみを前記仮想カメラの視点にてレンダリングして2次元画像データに変換する2次元画像化機能と、
前記対象オブジェクトに関する前記2次元画像データを、近傍の複数画素をまとめて1ドットとし、各ドットの内部を所定規則に基づいて均一な色情報としてドット絵を生成するドット絵生成機能と、
前記3次元仮想空間における前記対象オブジェクトの配置されている位置に対して、3次元仮想空間の中で常に仮想カメラに正対する1枚の画像貼付可能領域としてのビルボードを設定し、当該ビルボードに対して前記ドット絵を貼り付けることで、3次元仮想空間上において前記対象オブジェクトの3次元モデルの替わりに当該対象オブジェクトから生成したドット絵を表示させるドット絵表示機能と
を実現させる情報処理プログラム。
[10]
少なくとも1以上の3次元モデルを配置した3次元仮想空間を仮想カメラの視点にてレンダリングして表示画像を生成する処理を行うための情報処理方法であって、
3次元仮想空間に配置された3次元モデルの中から対象オブジェクトを決定する対象決定処理と、
前記対象オブジェクトのみを前記仮想カメラの視点にてレンダリングして2次元画像データに変換する2次元画像化処理と、
前記対象オブジェクトに関する前記2次元画像データを、近傍の複数画素をまとめて1ドットとし、各ドットの内部を所定規則に基づいて均一な色情報としてドット絵を生成するドット絵生成処理と、
前記3次元仮想空間における前記対象オブジェクトの配置されている位置に対して、3次元仮想空間の中で常に仮想カメラに正対する1枚の画像貼付可能領域としてのビルボードを設定し、当該ビルボードに対して前記ドット絵を貼り付けることで、3次元仮想空間上において前記対象オブジェクトの3次元モデルの替わりに当該対象オブジェクトから生成したドット絵を表示させるドット絵表示処理と
を含む情報処理方法。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の実施形態の一つによれば、メタバース空間におけるオブジェクトをドット絵で表現するために有用である。
【符号の説明】
【0073】
10 サーバ
11 対象決定部
12 2次元画像化部
13 ドット絵生成部
14 ドット絵表示部
15 アウトライン生成部
16 全体レンダリング部
20,201~20N ユーザ端末
30 通信ネットワーク
100 情報処理システム