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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141836
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】加湿装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/00 20060101AFI20241003BHJP
   F24F 6/06 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F24F6/00 A
F24F6/06
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053684
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 タケル
(72)【発明者】
【氏名】中島 篤朗
(72)【発明者】
【氏名】飯野 峻也
【テーマコード(参考)】
3L055
【Fターム(参考)】
3L055AA07
3L055BA04
3L055DA01
(57)【要約】
【課題】加湿装置における異音の抑制を図る。
【解決手段】回転枠(45)と、吸水部材(70)と、水を貯留する貯水部(33)とを設ける。回転枠(45)は、貯水部(33)内の水を吸水部材(70)に供給するための水供給部材(80)を有する。水供給部材(80)は、回転枠(45)の周縁に配置され、水を溜める水溜領域(S)が形成され、回転枠(45)の所定回転位置において水溜領域(S)内の水を吸水部材(70)に供給する。回転枠(45)が回転して当該水供給部材(80)が最下端位置となった場合に、水溜領域(S)の少なくとも一部が、貯水部(33)内の水面よりも上に位置する。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動機構(41)によって回転する回転枠(45)と、前記回転枠(45)に保持される吸水部材(70)と、前記吸水部材(70)に供給する水を貯留する貯水部(33)と、を備え、
前記回転枠(45)は、前記貯水部(33)内の水を前記吸水部材(70)に供給するための水供給部材(80)を有し、
前記水供給部材(80)は、
前記回転枠(45)の周縁に配置され、
水を溜める水溜領域(S)が形成され、
前記回転枠(45)の所定回転位置において前記水溜領域(S)内の水を前記吸水部材(70)に供給し、
前記回転枠(45)が回転して当該水供給部材(80)が最下端位置となった場合に、前記水溜領域(S)の少なくとも一部が、前記貯水部(33)内の水面よりも上に位置する
加湿装置。
【請求項2】
請求項1の加湿装置において、
前記水面は、前記貯水部(33)で最も水位が高い場合における水面である
加湿装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2の加湿装置において、
前記回転枠(45)の所定回転位置において前記貯水部(33)内の水に浸漬する吸水口(57)が設けられ、
前記吸水口(57)は、前記水供給部材(80)が前記最下端位置から更に所定量だけ回転しても、前記貯水部(33)内の水を前記水溜領域(S)に導入する
加湿装置。
【請求項4】
請求項3の加湿装置において、
前記回転枠(45)は、その回転軸(X)に直交乃至は交差する側面(52b)を有し、
前記吸水口(57)は、前記側面(52b)に形成されている
加湿装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2の加湿装置において、
前記水溜領域(S)は、前記回転枠(45)の回転方向に伸びた空間である
加湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、空気を加湿する加湿装置を開示する。加湿装置は、貯水部と、回転枠を有する加湿機構とを備える。加湿機構は、回転枠と、回転枠の内部に保持される吸水部材とを有する。駆動機構が回転枠を回転させると、回転枠の水汲上部が、回転枠の下側において貯水部内の水中を移動する。その結果、水汲上部の内部に水が入る。この水汲上部が、回転枠の上側に移動すると、水汲上部の内部の水が注ぎ口を通じて吸水部材に供給される。空気が吸水部材を回転枠の軸方向に通過することで、吸水部材の水が空気に付与される。以上のようにして加湿された空気は、対象空間に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-20627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の加湿機構は、水汲上部が水を取り入れる際に、その内部に空気を巻き込む可能性が考えられる。そのような空気の巻き込みが起これば、回転枠の回転にともなって、水汲上部内の空気が水中に排出される音(以下、説明の便宜のため異音という)が発生する可能性がある。
【0005】
本開示では、加湿装置における異音の抑制を図る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、駆動機構(41)によって回転する回転枠(45)と、前記回転枠(45)に保持される吸水部材(70)と、前記吸水部材(70)に供給する水を貯留する貯水部(33)と、を備え、
前記回転枠(45)は、前記貯水部(33)内の水を前記吸水部材(70)に供給するための水供給部材(80)を有し、
前記水供給部材(80)は、
前記回転枠(45)の周縁に配置され、
水を溜める水溜領域(S)が形成され、
前記回転枠(45)の所定回転位置において前記水溜領域(S)内の水を前記吸水部材(70)に供給し、
前記回転枠(45)が回転して当該水供給部材(80)が最下端位置となった場合に、前記水溜領域(S)の少なくとも一部が、前記貯水部(33)内の水面よりも上に位置する
加湿装置である。
【0007】
第1の態様では、水の汲み上げ中に、水溜領域(S)内に独立した気泡ができにくくい。本態様では、加湿装置における異音の抑制が可能になる。
【0008】
本開示の第2の態様は、第1の態様の加湿装置において、
前記水面は、前記貯水部(33)で最も水位が高い場合における水面である
加湿装置である。
【0009】
第2の態様では、加湿装置の使用中におけるどのような水位であっても、水溜領域(S)内に気泡ができにくい。本態様では、加湿装置の使用中は常に異音の抑制効果が担保される。
【0010】
本開示の第3の態様は、第1または第2の態様の加湿装置において、
前記回転枠(45)の所定回転位置において前記貯水部(33)内の水に浸漬する吸水口(57)が設けられ、
前記吸水口(57)は、前記水供給部材(80)が前記最下端位置から更に所定量だけ回転しても、前記貯水部(33)内の水を前記水溜領域(S)に導入する
加湿装置である。
【0011】
第3の態様では、水溜領域(S)内に水を確実に導入できる。
【0012】
本開示の第4の態様は、第3の態様の加湿装置において、
前記回転枠(45)は、その回転軸(X)に直交乃至は交差する側面(52b)を有し、
前記吸水口(57)は、前記側面(52b)に形成されている
加湿装置である。
【0013】
第4の態様では、回転枠(45)の外周面に、例えば吸水のための穴を設けないようにできる。本態様では、回転枠(45)の外周面からの空気の漏れ出しを抑制できる。換言すると、本態様では、加湿の効率が向上する。
【0014】
本開示の第5の態様は、第1から第4の態様の何れかひとつの加湿装置において、
前記水溜領域(S)は、前記回転枠(45)の回転方向に伸びた空間である
加湿装置である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態に係る空気清浄機の外観を示す斜視図である。
図2図2は、空気清浄機の内部を示す概略の構成図である。
図3図3は、加湿ユニットの全体構成を示す斜視図である。
図4図4は、加湿ロータの分解斜視図である。
図5図5は、第1枠の分解斜視図である。
図6図6は、加湿ロータを第1枠側からみた側面図である。
図7図7は、図6のVII-VII線の断面図である。
図8図8は、第1枠を吸水部材側からみた側面図である。
図9図9は、図8のB2の一点鎖線で囲んだ部分を拡大した斜視図である。
図10図10は、図8のB2の一点鎖線で囲んだ部分を拡大した側面図である。
図11図11は、図6のXI-XI線の断面図である。
図12図12は、図7のB3の一点鎖線で囲んだ部分を拡大した断面図である。
図13図13は、図4のB1で囲んだ部分を拡大し、吸水部材側からみた斜視図である。
図14図14は、バケットと、水トレーにおける水面との位置関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
《実施形態》
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表す場合がある。
【0017】
(1)加湿装置の全体構成
加湿装置の全体構成について図1および図2を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、「上」、「下」、「前」、「後」、「右」、および「左」に関する用語は、原則として、図1の矢印で示す方向を基準とする。
【0018】
本実施形態の加湿装置は、空気を清浄する空気清浄機(10)を構成する。空気清浄機(10)は、対象空間の空気を加湿する。加えて、空気清浄機(10)は、対象空間の空気を清浄する。空気清浄機(10)は、ケーシング(11)と、該ケーシング(11)の内部の空気通路(P)に収容される複数の要素部品を有する。複数の要素部品は、空気流れに向かって順に、プレフィルタ(21)、ファン(22)、放電ユニット(23)、UV照射ユニット(24)、HEPAフィルタ(25)、脱臭フィルタ(26)、および加湿ユニット(30)を含む。
【0019】
(1-1)ケーシング
図1に示すように、ケーシング(11)は、中空の箱状に形成される。ケーシング(11)は、縦長の直方体状に形成される。ケーシング(11)は、天板(11a)、底板(11b)、前板(11c)、後板(11d)、右側板(11e)、および左側板(11f)を有する。
【0020】
天板(11a)には、吹出口(12)が形成される。吹出口(12)は矩形状に形成され、天板(11a)のやや後方寄りに形成される。吹出口(12)には、2つのフラップ(13)が設けられる。フラップ(13)は、吹出口(12)の左右両端に亘る板状に形成される。フラップ(13)は、吹出口(12)を開閉したり、吹出空気の風向を調節したりする。
【0021】
天板(11a)には、操作パネル(14)が設けられる。操作パネル(14)は、天板(11a)の前寄りに位置する。ユーザは、操作パネル(14)を操作することにより、空気清浄機(10)の運転モードや各種の設定を入力できる。
【0022】
前板(11c)の下端部には、第1吸込口(15)が形成される。第1吸込口(15)は、ケーシング(11)の左右両端に亘って水平方向に延びている。
【0023】
右側板(11e)には、第2吸込口(16)が形成される。第2吸込口(16)は、矩形状に形成され、右側板(11e)の下部に形成される。右側板(11e)の上部には、開閉蓋(17)が設けられる。開閉蓋(17)は、加湿ユニット(30)の水タンク(32)のアクセス口(18)を開閉する。開閉蓋(17)は、その下部を支点として右側に傾くように構成される。開閉蓋(17)の上部には、引出開口(19)が形成される。ユーザは、引出開口(19)に手をかけて開閉蓋(17)の上部を右側(手前側)に引き出す。これにより、開閉蓋(17)の上部が右側に傾き、アクセス口(18)が開放されるこれにより、ユーザは、アクセス口(18)を通じて水タンク(32)をケーシング(11)の外部に取り出すことができる。
【0024】
左側板(11f)には、第3吸込口(20)が形成される。第3吸込口(20)は、矩形状に形成され、左側板(11f)の下部に形成される。
【0025】
ケーシング(11)の内部には、空気通路(P)が形成される。第1吸込口(15)、第2吸込口(16)、および第3吸込口(20)は、空気通路(P)の流入端を構成する。吹出口(12)は、空気通路(P)の流出端を構成する。
【0026】
(1-2)プレフィルタ
図2に示すように、ケーシング(11)の内部には、2つのプレフィルタ(21)が設けられる。これらの一方のプレフィルタ(21)は、第2吸込口(16)の奥側に配置され、他方のプレフィルタ(21)は、第3吸込口(20)の奥側に配置される。プレフィルタ(21)は、空気中の比較的な塵埃を捕集する。
【0027】
(1-3)ファン
ファン(22)は、空気通路(P)の下部に配置される。ファン(22)は、空気通路(P)の空気を搬送する。ファン(22)は、遠心式のファンであり、具体的にはシロッコファンで構成される。ファン(22)は、その駆動軸の軸心方向の両端にそれぞれ吸込部が形成される、両吸込式である。ファン(22)の吹出部は、上方を向く。ファン(22)は、羽根車を駆動するファンモータ(22a)を有する。ファンモータ(22a)は、左側板(11f)寄りに配置される。ファン(22)が運転されると、対象空間の空気が第1吸込口(15)、第2吸込口(16)、および第3吸込口(20)から空気通路(P)に吸い込まれる。空気通路(P)を流れた空気は、吹出口(12)から対象空間に吹き出される。
【0028】
(1-4)放電ユニット
放電ユニット(23)は、ファン(22)とHEPAフィルタ(25)との間に配置される。放電ユニット(23)は、空気通路(P)における左側板(11f)寄りに配置される。放電ユニット(23)は、放電に伴って、空気を酸化分解するための活性種を生成する。放電ユニット(23)は、線状の放電電極の先端と、板状の対向電極の平面との間で放電を行う。放電ユニット(23)は、放電電極の先端から対向電極に向かって略円錐状の放電領域を形成する、ストリーマ放電を行う。
【0029】
(1-5)UV照射ユニット
UV照射ユニット(24)は、ファン(22)とHEPAフィルタ(25)との間に配置される。UV照射ユニット(24)は、空気通路(P)における左側板(11f)寄りに配置される。UV照射ユニット(24)は、紫外線を照射することで、空気中、あるいは対象部品の表面のウィルスや細菌を殺菌する。UV照射ユニット(24)は、紫外線を発するLEDと、LEDを制御する制御回路とを有する(図示省略)。LEDが照射する紫外線のピーク波長は、255nm以上275nm以下である。LEDは、HEPAフィルタ(25)に向かって紫外線を照射する。このため、紫外線により、HEPAフィルタ(25)を殺菌できる。
【0030】
(1-6)HEPAフィルタ
HEPAフィルタ(25)(High Efficiency Particulate Air Filter)は、UV照射ユニット(24)と脱臭フィルタ(26)との間に配置される。HEPAフィルタ(25)は、その厚さ方向が鉛直方向に対応する板状に形成される。HEPAフィルタ(25)は、静電気力によって粒子を捕集する静電機能を有する。HEPAフィルタ(25)には、抗菌剤が添加される。HEPAフィルタ(25)は、2つ以上のフィルタ材が空気の通過方向に積層される積層構造であってもよい。
【0031】
(1-7)脱臭フィルタ
脱臭フィルタ(26)は、HEPAフィルタ(25)と加湿ユニット(30)との間に配置される。脱臭フィルタ(26)は、その厚さ方向が鉛直方向に対応する板状に形成される。脱臭フィルタ(26)は、空気中の有害物質や臭気物質を吸着する吸着部である。脱臭フィルタ(26)は、空気が通過可能な基材と、基材に担持された活性炭などの吸着材を有する。
【0032】
(1-8)加湿ユニット
加湿ユニット(30)は、脱臭フィルタ(26)と吹出口(12)との間に配置される。加湿ユニット(30)は、空気通路(P)の上部に位置する加湿空間(31)に配置される。加湿ユニット(30)は、空気通路(P)を流れる空気に水を付与する。加湿ユニット(30)は、タンク(32)と、水トレー(33)と、加湿機構(40)とを有する。
【0033】
タンク(32)は、加湿用の水を溜める容器である。タンク(32)は、その内部の水を水トレー(33)に適宜供給する。タンク(32)は、上述したアクセス口(18)を通じてケーシング(11)に出し入れ可能に構成される。
【0034】
水トレー(33)は、タンク(32)から供給された水を貯留する。水トレー(33)は、加湿機構(40)の吸水部材(70)に水を供給するための貯水部を構成する。水トレー(33)は、上側が開放された容器である。
【0035】
(2)加湿機構の全体構成
加湿機構(40)は、空気通路(P)を流れる空気を加湿する。加湿機構(40)は、駆動機構(41)と、駆動機構(41)によって駆動される駆動軸(42)と、駆動軸(42)を支持する軸支持部(43)と、駆動軸(42)と連結する加湿ロータ(44)とを有する。加湿ロータ(44)は、加湿空間(31)を一次空間(31a)と二次空間(31b)とに区画する。一次空間(31a)は、加湿ロータ(44)の上流側に形成される。二次空間(31b)は、加湿ロータ(44)の下流側に形成される。
【0036】
図2に示すように、駆動機構(41)は、一次空間(31a)に配置される。本実施形態の駆動機構(41)は、モータによって構成される。駆動軸(42)は、駆動機構(41)から右側に向かって水平に延びる。駆動軸(42)には、加湿ロータ(44)の回転枠(45)の軸心部が連結する。
【0037】
本実施形態の加湿機構(40)には、2つの軸支持部(43)が設けられる。これらの軸支持部(43)のうちの一方は一次空間(31a)に位置し、他方は二次空間(31b)に位置する。各軸支持部(43)は、その上端部において駆動軸(42)を回転可能に支持する。本実施形態の軸支持部(43)は水トレー(33)と一体的に形成される。
【0038】
(3)加湿ロータ
加湿ロータ(44)の構成について、図2から図13を参照しながら説明する。なお、以下の説明でいう「軸方向」、「径方向」、「周方向」は、原則として、回転枠(45)の軸方向、径方向、および周方向をそれぞれ意味する。また、「軸方向」は、図3に示す回転枠(45)の回転中心である回転軸(X)の延びる方向である。
【0039】
加湿ロータ(44)は、吸水部材(70)に含まれた水を加湿空間(31)の空気に付与する。加湿ロータ(44)は、駆動機構(41)によって回転される回転枠(45)と、回転枠(45)に保持される吸水部材(70)とを有する。回転枠(45)は樹脂材料で構成される。図3および図4に示すように、回転枠(45)は、第1枠(50)と、第2枠(60)とを有する。吸水部材(70)は、第1枠(50)と第2枠(60)との間に挟み込まれることで、回転枠(45)の内部に保持される。
【0040】
回転枠(45)には、水トレー(33)の水を汲み上げるバケット(80)と、バケット(80)の水を吸水部材(70)に供給するための注ぎ口(92)とが設けられる。バケット(80)は、回転枠(45)の回転に伴い水トレー(33)の内部の水に浸かる第1位置と、バケット(80)内の水を注ぎ口(92)を通じて吸水部材(70)に供給する第2位置とを交互に移動するように構成される。
【0041】
(3-1)第1枠
第1枠(50)は、回転枠(45)における空気通路(P)の上流側に位置する。第1枠(50)は、一次空間(31a)側に位置する。第1枠(50)は、駆動軸(42)が固定される第1ボス部(51)と、環状の第1枠本体(52)と、第1ボス部(51)と第1枠本体(52)とを連結する複数の第1リブ(53)とを有する。
【0042】
第1ボス部(51)は、回転枠(45)の中心部に位置する。複数の第1リブ(53)は、第1ボス部(51)から第1枠本体(52)に向かって径方向外方に延びる。複数の第1リブ(53)は、互いに等間隔を置いて周方向に配列される。
【0043】
第1枠本体(52)は、回転枠(45)の回転軸(X)と同軸の円環状に形成される。第1枠(50)には、複数のバケット(80)と、各バケット(80)にそれぞれ対応するガイド部(90)とが設けられる。ガイド部(90)には、注ぎ口(92)が形成される。第1枠本体(52)は、円環の板状の基部(52a)を有する。基部(52a)の厚さ方向は、軸方向に対応する。
【0044】
図5に示すように、第1枠本体(52)は、第1部品(C1)と、第1部品(C1)と別体に構成される複数の第2部品(C2)とで構成される。第1部品(C1)および各第2部品(C2)は、それぞれ異なる部品からなる樹脂成型品である。第1部品(C1)および各第2部品(C2)は、金型内においてそれぞれ射出成形によって製造される。第1部品(C1)は、第1枠本体(52)のうち、第2部品(C2)を除いた部分である。第1部品(C1)に各第2部品(C2)が取り付けられることで、第1枠本体(52)が構成される。
【0045】
複数のバケット(80)は、第1部品(C1)に設けられる第1バケット(80A)と、第2部品(C2)によってそれぞれ構成される第2バケット(80B)とを含む。本実施形態の回転枠(45)には、6つの第1バケット(80A)と、6つの第2バケット(80B)が設けられる。これらの数は単なる例示であるが、第1バケット(80A)と第2バケット(80B)の数は同じであるのが好ましい。回転枠(45)では、第1バケット(80A)と第2バケット(80B)とが周方向に交互に配置されるのが好ましい。
【0046】
第2バケット(80B)における第1部品(C1)側の面には、第1爪(56)が設けられる。図6に示すように、基部(52a)には、各第1爪(56)が係合する第1穴(54)が形成される。第1爪(56)が、第1穴(54)に引っ掛かることで、各第2バケット(80B)が第1部品(C1)に固定される。
【0047】
基部(52a)には、複数の第2穴(55)が形成される。第2穴(55)は、複数の第1穴(54)のうちの一部に連通する。言い換えると、第1枠本体(52)には、第1穴(54)と第2穴(55)とが一体に形成される。第2穴(55)には、第2枠(60)の第2爪(65)が引っ掛かる。
【0048】
(3-2)第2枠
第2枠(60)は、回転枠(45)における空気通路(P)の下流側に位置する。第2枠(60)は二次空間(31b)側に位置する。第2枠(60)は、駆動軸(42)が固定される第2ボス部(61)と、環状の第2枠本体(62)と、第2ボス部(61)と第2枠本体(62)とを連結する複数の第2リブ(63)とを有する。
【0049】
第2ボス部(61)は、回転枠(45)の中心部に位置する。複数の第2リブ(63)は、第2ボス部(61)から第2枠本体(62)に向かって径方向外方に延びる。複数の第2リブ(63)は、互いに等間隔を置いて周方向に配列される。
【0050】
第2枠本体(62)は、回転枠(45)の回転軸(X)と同軸の円環状に形成される。
【0051】
図4に示すように、第2枠(60)には、複数の押さえ板(64)が設けられる。本実施形態の第2枠(60)には、12の押さえ板(64)が設けられるが、この数は単なる一例である。複数の押さえ板(64)は、第2枠本体(62)から第1枠(50)側に向かって突出する板状に形成される。複数の押さえ板(64)は、周方向に等間隔を置いて配列される。複数の押さえ板(64)は、第2爪(65)が設けられる第1押さえ板(64A)と、第2爪(65)を有さない第2押さえ板(64B)とを含む。第1押さえ板(64A)と第2押さえ板(64B)は、周方向に交互に配置される。第1押さえ板(64A)の第2爪(65)は、第1枠本体(52)に形成された第1穴(54)に引っ掛かる。これにより、第1枠(50)と第2枠(60)とが互いに固定される。
【0052】
第2枠(60)には、複数の保持部(66)が設けられる。本実施形態の第2枠(60)には、12の保持部(66)が設けられるが、この数は単なる一例である。複数の保持部(66)は、第2枠本体(62)の内縁に設けられる。複数の保持部(66)は、周方向に等間隔を置いて配列される。保持部(66)は、回転枠(45)の内部に吸水部材(70)を固定するための部材を構成する。
【0053】
(3-3)吸水部材
吸水部材(70)は、回転枠(45)の回転軸(X)と同軸の円板状に形成される。吸水部材(70)の厚さ方向は、軸方向、あるいは空気流れ方向に対応する。吸水部材(70)は、吸水性を有する樹脂材料で構成される。吸水部材(70)は、円板部(71)と、円板部(71)の外周面から径方向外方に延出するフランジ部(72)とを有する。円板部(71)の中心には、駆動軸(42)が貫通する軸開口(73)が形成される。
【0054】
図7に示すように、吸水部材(70)の軸方向の一端側には、第1通風面(74)が形成され、吸水部材(70)の軸方向の他端側には、第2通風面(75)が形成される。第1通風面(74)は、吸水部材(70)における空気流れの上流側の面に対応する。第2通風面(75)は、吸水部材(70)における空気流れの下流側の面に対応する。
【0055】
吸水部材(70)の円板部(71)の外周面には、溶着部(76)が形成される。溶着部(76)は、吸水部材(70)の外周面の全周に亘って形成される。溶着部(76)は、吸水材料を溶融させた後、この材料を固化することで成形される。一方、吸水部材(70)の第1通風面(74)や第2通風面(75)には、溶着部(76)が形成されてない。このため、吸水部材(70)の第1通風面(74)や第2通風面(75)は、吸水部材(70)の外周面と比べると、空気や水の透過性が高くなっている。
【0056】
図4および図7に示すように、吸水部材(70)の円板部(71)の外縁には、フランジ部(72)を挟むようにして一対の溝(77,78)が形成される。言い換えると、一対の溝(77,78)は、第1通風面(74)側の第1溝(77)と第2通風面(75)側の第2溝(78)とで構成される。一対の溝(77,78)は、円板部(71)の外縁から径方向内方に凹んだ凹状に形成される。円板部(71)には、周方向に等間隔を置いて6組の一対の溝(77,78)が設けられる。一対の溝(77,78)の組数は単なる一例である。円板部(71)には、一対の溝(77,78)を連通するように軸方向に延びる挿通穴(79)が形成される。挿通穴(79)は、一対の溝(77,78)の組毎に1つずつ設けられる。一対の溝(77,78)は、溶着部(76)よりも径方向内方に位置する。
【0057】
(3-4)バケットの詳細な構成
図8図12に示すバケット(80)は、開口(80a)を有する水容器を構成する。バケット(80)の内部には、バケット(80)の内部に水を溜める空間となる水溜領域(S)が形成される。バケット(80)の開口(80a)は、回転枠(45)の回転方向側を向いている。水溜領域(S)は、回転方向以外の部分がバケット(80)によって閉塞される。言い換えると、バケット(80)は、回転方向側の一端が開放され、回転方向と逆側の他端が閉塞された有底筒状に形成される。本実施形態のバケット(80)は、回転枠(45)の周方向に延びている。
【0058】
バケット(80)は、第1板部(81)、第2板部(82)、第3板部(83)、および第4板部(84)を有する。第1板部(81)は、バケット(80)の径方向外方に位置する。第2板部(82)は、バケット(80)の径方向内方に位置する。第3板部(83)は、軸方向における吸水部材(70)側に位置する。第4板部(84)は、軸方向における吸水部材(70)と反対側に位置する。第4板部(84)は、第1枠本体(52)の基部(52a)の一部によって構成される。
【0059】
第3板部(83)は、第1壁(83a)、第2壁(83b)、および第3壁(83c)を有する。第1壁(83a)は、第3板部(83)の径方向外方側に形成され、第2壁(83b)は、第3板部(83)の径方向内方側に形成される。第1壁(83a)は、第3壁(83c)よりも軸方向において第4板部(84)から遠い位置にある。第3壁(83c)は、第2壁(83b)の径方向内方の端部と、第1壁(83a)の径方向内方の端部とに連続する。
【0060】
回転軸(X)を通る断面でみる場合に、第1板部(81)および第2板部(82)は軸方向に延び、第4板部(84)は径方向に延びる。回転軸(X)を通る断面でみる場合に、第1壁(83a)および第2壁(83b)は径方向に延びる。回転軸(X)を通る断面でみる場合に、第3壁(83c)は、吸水部材(70)と反対側に向かうにつれて回転軸(X)に近づくように傾斜している。「回転軸(X)と通る断面」とは、厳密には、回転軸(X)を通り且つ回転軸(X)と同一方向に延びる仮想平面上の断面を意味する。
【0061】
水溜領域(S)は、第1板部(81)、第2板部(82)、第3板部(83)、および第4板部(84)の内側に形成される。水溜領域(S)は、第1空間(S1)と、第2空間(S2)とを含んでいる。第1空間(S1)および第2空間(S2)はバケット(80)の回転方向の両端に亘って形成される。言い換えると、第1空間(S1)および第2空間(S2)は、バケット(80)の回転方向の反対側の閉塞部から開口(80a)に亘って形成される。第1空間(S1)は、図11の境界線(B)の左側に形成される。第1空間(S1)は、第1板部(81)と第2板部(82)との間に形成される。第2空間(S2)は境界線(B)を右側に形成される。第2空間(S2)は、第1板部(81)と第3壁(83c)の間に形成される。
【0062】
第2空間(S2)は、第1空間(S1)から軸方向に突き出ている。言い換えると、第2空間(S2)は、水溜領域(S)における軸方向の幅を拡大させる。具体的には、第2空間(S2)は、第1空間(S1)の径方向外方の部分から軸方向における吸水部材(70)側に向かって突き出ている。吸水部材(70)は、第2空間(S2)の径方向内側に配置される。第2空間(S2)は、吸水部材(70)と径方向に重なる。第1空間(S1)は、吸水部材(70)と軸方向に重なる。この構成により、水溜領域(S)の容積を拡大できる。加えて、回転枠(45)が径方向に大型化すること抑制できる。加えて、回転枠(45)が軸方向に大型化することを抑制できる。
【0063】
図10に示すように、第2板部(82)は、回転方向に向かうにつれて回転軸(X)に近づくように傾斜している。厳密には、第2板部(82)における第1空間(S1)側の内面は、回転方向に向かうにつれて回転軸(X)に近づくように傾斜している。このため、バケット(80)が回転枠(45)の上側に移動する際、水溜領域(S)の水をバケット(80)の開口(80a)に導き易くなる。
【0064】
図11に示すように、第3壁(83c)は、第1空間(S1)に向かうにつれて回転軸(X)に近づくように傾斜している。厳密には、第3壁(83c)における第2空間(S2)側の第1面(85)は、第1空間(S1)に向かうにつれて回転軸(X)に近づくように傾斜している。第1面(85)は、バケット(80)における第2空間(S2)を形成する内面のうち、第2空間(S2)の径方向内側の面を構成する。このため、バケット(80)が回転枠(45)の上側に移動する際、第2空間(S2)の水を第1空間(S1)に導き易くなる。
【0065】
(3-5)ガイド部の詳細な構成
図9図10、および図12に示すガイド部(90)は、バケット(80)の開口(80a)から流出した水を、吸水部材(70)に案内する部分である。ガイド部(90)は、バケット(80)の開口(80a)と回転方向側に隣り合うように回転枠(45)に設けられる。ガイド部(90)は、バケット(80)の開口(80a)よりも径方向内方寄りに位置する。
【0066】
ガイド部(90)は、径方向内方に凹んだ凹部(91)を有する。凹部(91)の内側には、注ぎ口(92)が形成される。図12に示すように、注ぎ口(92)は、吸水部材(70)に向かって開口する。具体的には、注ぎ口(92)は、吸水部材(70)の第1通風面(74)に向かって開口する。第1通風面(74)は、吸水部材(70)における軸方向の端部側の面である。
【0067】
注ぎ口(92)を吸水部材(70)の第1通風面(74)に向かって開口させることで、バケット(80)の水が、吸水部材(70)を通過する空気と接触しやすくなる。このため、吸水部材(70)の加湿能力を向上できる。
【0068】
特に、本実施形態の吸水部材(70)では、その本体である円板部(71)の外周面に溶着部(76)が形成される。仮に注ぎ口(92)が吸水部材(70)の外周面に向かって開口する場合、注ぎ口(92)から流出した水が吸水部材(70)の内部に移動することが、溶着部(76)によって阻害されてしまう。これに対し、注ぎ口(92)を第1通風面(74)に向かって開口させることで、水の吸水部材(70)への移動が溶着部(76)によって阻害されてしまうことを抑制できる。
【0069】
さらに、本実施形態の注ぎ口(92)は、吸水部材(70)の第1通風面(74)側の第1溝(77)に向かって開口する。注ぎ口(92)と、第1溝(77)とは、軸方向に対向する。これにより、注ぎ口(92)を通過した水の一部が、第1溝(77)を通じて吸水部材(70)の内部に入り込みやすくなる。
【0070】
凹部(91)は、第1側壁(93)と、第2側壁(94)と、底壁(95)とを有する。第1側壁(93)は、バケット(80)の開口(80a)の内縁と連続する。第2壁(83b)は、第1側壁(93)と対向する。第1壁(83a)と第2壁(83b)とは、軸方向からみる場合に、径方向に延びる。底壁(95)は、第1側壁(93)の径方向内方の端部と、第2側壁(94)の径方向内方の端部とに亘って周方向に延びる。
【0071】
図10に示すように、凹部(91)の内面は、回転枠(45)の周方向に互いに対向する一対の側面(96)と、径方向内側に形成される底面(97)と、該底面(97)と各側面(96)との間にそれぞれ形成される円弧状の円弧面(98)とを含んでいる。一対の側面(96)の一方は、第1側壁(93)の内面であり、他方は第2側壁(94)の内面である。底面(97)は、底壁(95)の内面に形成される。さらに、一対の側面(96)は、本開示の第4面に対応する。底面(97)は、本開示の第5面および案内面に対応する。円弧面(98)は、本開示の第6面に対応する。
【0072】
各第1側壁(93)と底壁(95)との間の各隅部では、表面張力により水が残りやすい。これに対し、各隅部にそれぞれ円弧面(98)を形成することで、表面張力を低減できる。その結果、各第1側壁(93)と底壁(95)との間の各隅部に水が残ってしまうことを抑制できる。
【0073】
円弧面(98)の曲率半径R1は、凹部(91)を形成する壁の厚みよりも大きいのが好ましい。具体的には、曲率半径R1は、第1側壁(93)、第2側壁(94)、および底壁(95)のそれぞれの厚みよりも大きいのが好ましい。これにより、各隅部に水が残ってしまうことをさらに抑制できる。
【0074】
図12に示すように、凹部(91)の案内面である底面(97)は、第2面(97a)と第3面(97b)とを有する。第2面(97a)は、注ぎ口(92)の奥側に位置する。第3面(97b)は、第2面(97a)の軸方向の端部から注ぎ口(92)までに亘って形成される。第2面(97a)は、注ぎ口(92)に向かうにつれて回転軸(X)に近づくように傾斜する。第3面(97b)は、注ぎ口(92)に向かって軸方向に延びる。
【0075】
第2面(97a)は傾斜しているので、注ぎ口(92)の奥側に水が残ることを抑制できる。第3面(97b)は、軸方向に延びるので、第2面(97a)を滑り落ちた水が、下方に流れ落ちることを抑制できる。言い換えると、水は第3面(97b)に案内されて吸水部材(70)の第1通風面(74)と直交するように、吸水部材(70)に供給される。これにより、吸水部材(70)の内部まで水が届きやすくなる。
【0076】
回転軸(X)を通る断面からみる場合に、第2面(97a)の長さをL2とし、第3面(97b)の長さをL3とする。この場合、L3は、L2よりも小さいが好ましい。L3が長すぎると、第3面(97b)における表面張力により底面(97)に水が残る可能性があるからである。L3は、L2の1/2以下であることが好ましく、さらには、1/3以下であることが好ましい。これにより、ガイド部(90)の底面(97)に水が残ってしまうことをさらに抑制できる。
【0077】
図9および図10に示すように、ガイド部(90)は、案内板(99)を有する。案内板(99)は、注ぎ口(92)を挟んでバケット(80)の開口(80a)と径方向の反対側に配置される。案内板(99)には、バケット(80)の開口(80a)と対向する平面(99a)が形成される。案内板(99)の平面(99a)は、回転方向と逆側を向いている。案内板(99)の平面は、第2壁(83b)よりも径方向外側且つ回転方向の奥側に位置する。案内板(99)の平面(99a)には、バケット(80)の開口(80a)から流出した水が衝突する。衝突した水は、径方向から軸方向へと向きを変え、注ぎ口(92)に案内される。
【0078】
(3-6)保持部の詳細な構成
図12および図13に示すように、第2枠(60)には保持部(66)が設けられる。保持部(66)は、各注ぎ口(92)に対応して設けられる。保持部(66)は、遮水壁(66a)と、遮水壁(66a)から吸水部材(70)側に突出する固定ピン(66b)と、固定ピン(66b)を囲む固定壁(66c)とを有する。
【0079】
遮水壁(66a)は、吸水部材(70)を挟んで、注ぎ口(92)と軸方向の反対側に位置する。遮水壁(66a)は、吸水部材(70)を介して注ぎ口(92)と対向する。遮水壁(66a)と吸水部材(70)とは軸方向に重なる。遮水壁(66a)における注ぎ口(92)側の面の面積は、注ぎ口(92)の開口面積よりも大きい。遮水壁(66a)は、注ぎ口(92)から吸水部材(70)に向かって供給された水が、吸水部材(70)を通過することを抑制する。これにより、吸水部材(70)の内部に保持される水の量を増大できる。
【0080】
固定ピン(66b)は、遮水壁(66a)における吸水部材(70)側の面の中央に位置する。固定ピン(66b)は、吸水部材(70)側に向かうにつれて外径が小さくなる台形円錐状に形成される。固定ピン(66b)は、吸水部材(70)の挿通穴(79)に挿通される。挿通穴(79)に固定ピン(66b)が嵌合することで、吸水部材(70)が第2枠(60)に固定される。
【0081】
固定壁(66c)は、軸方向に直角な断面でみる場合に、径方向外方が開放されたU字状に形成される。第2枠本体(62)における吸水部材(70)側の面には、軸方向に突出する環状の鍔部(67)が形成される。固定壁(66c)の径方向外方側の2つの端部は、鍔部(67)の内周面に連続する。固定壁(66c)は、吸水部材(70)の第2溝(78)に嵌まる。固定壁(66c)が、吸水部材(70)に嵌合することで、吸水部材(70)が第2枠(60)に固定される。
【0082】
以上のように、遮水壁(66a)には、固定部としての、固定ピン(66b)および固定壁(66c)が設けられる。遮水壁(66a)は、吸水部材(70)の水の通過を抑制する部材だけでなく、吸水部材(70)を固定するための部材を兼用する。
【0083】
(3-7)吸水口
図8に示すように、第1枠本体(52)の基部(52a)には、複数の第2穴(55)と、複数の第3穴(57)が形成される。第2穴(55)および第3穴(57)は、バケット(80)に水を供給するための吸水穴を構成する。第3穴(57)は、第1バケット(80A)に対応する。第2穴(55)は、第2バケット(80B)に対応する。第2穴(55)は、吸水穴と、第2バケット(80B)を基部(52a)に固定するための係合穴とを兼用する。
【0084】
第2穴(55)は、軸方向からみる場合に、矩形状に形成される。第3穴(57)は、軸方向からみる場合に、円形状に形成される。第2穴(55)は、第2バケット(80B)の開口(80a)よりも回転方向の前側に位置する。図9および図10に示すように、第3穴(57)は、第1バケット(80A)の開口(80a)よりも回転方向の前側に位置する。第2穴(55)が水トレー(33)内の水中に浸かると、この水が第2穴(55)を通じて第2バケット(80B)の内部に入る。第3穴(57)が水トレー(33)内の水中に浸かると、この水が第3穴(57)を通じて第1バケット(80A)の内部に入る。
【0085】
(4)バケットと水トレーの位置関係
空気清浄機(10)では、バケット(80)と水トレー(33)との位置関係に特徴がある。既述の通り、バケット(80)は、回転枠(45)の周縁に配置され、水を溜める水溜領域(S)が形成されている。水溜領域(S)は、回転枠(45)の回転方向に伸びた空間である。バケット(80)は、回転枠(45)の所定回転位置において水溜領域(S)内の水を吸水部材(70)に供給する。水溜領域(S)は、回転枠(45)が回転することで水トレー(33)から汲み上げられた水を溜めることが可能な領域である。例えば、水溜領域(S)は、第1板部(81)、第2板部(82)、第3板部(83)、および第4板部(84)で囲まれた内側に空間である。すなわち、水溜領域(S)は、バケット(80)の内部空間である。また、水溜領域(S)は、バケット(80)の開口(80a)から流出した水が注ぎ口(92)に到達するまでの空間を含んでもよい。
【0086】
図14は、バケット(80)と、水トレー(33)における水面との位置関係を説明する図である。図14に示すように、空気清浄機(10)では、回転枠(45)が回転してバケット(80)が最下端位置となった場合に、水溜領域(S)の少なくとも一部が、水トレー(33)内の水面よりも上に位置する。
【0087】
ここで「最下端位置」は、例えば、水トレー(33)の開口(図14における一点鎖線の部位)が最も下となる位置である。「水面」とは、水トレー(33)で最も水位が高い場合における水面である。このようなバケット(80)と水面の位置関係は、回転枠(45)の直径や回転軸(X)の位置(高さ)を調整することによって実現できる。
【0088】
(5)吸水口の位置
回転枠(45)の基部(52a)は、回転軸(X)に直交する面(以下、側面(52b))を有している(図14参照)。吸水口(57)は、その側面(52b)に形成されている。換言すると、吸水口(57)は、回転枠(45)の外周面(円筒面)上には存在しない。
【0089】
吸水口(57)は、バケット(80)が最下端位置から更に所定量だけ回転しても、水トレー(33)内の水を水溜領域(S)に導入するように位置が定められている。具体的に、回転枠(45)が回転して吸水口(57)が最下端位置となった場合に、吸水口(57)は、水トレー(33)における水の下限水位よりも下方に位置している。
【0090】
(6)運転動作
空気清浄機(10)の運転動作について説明する。
【0091】
(5-1)空気清浄機の基本動作
空気清浄機(10)の運転時には、ファン(22)、放電ユニット(23)、UV照射ユニット(24)、および加湿ユニット(30)が駆動する。図2に示すように、対象空間の空気は、第1吸込口(15)、第2吸込口(16)、および第3吸込口(20)のそれぞれから空気通路(P)に吸い込まれる。第2吸込口(16)および第3吸込口(20)から吸い込まれた空気は、各プレフィルタ(21)をそれぞれ通過する。プレフィルタ(21)は、空気中の比較的大きな塵埃を捕集する。
【0092】
プレフィルタ(21)を通過した空気は、放電ユニット(23)およびUV照射ユニット(24)の周辺を通過する。放電ユニット(23)が発生した活性種により、空気中の臭気成分や有害成分が酸化分解される。UV照射ユニット(24)が照射した紫外線により、空気中のウィルスや細菌が殺菌される。
【0093】
その後、空気はHEPAフィルタ(25)、脱臭フィルタ(26)を順に通過した後、加湿空間(31)を流れる。加湿空間(31)の空気は、加湿ロータ(44)を軸方向に通過する。この際、吸水部材(70)の水が空気中に付与される。加湿ロータ(44)で加湿された空気は、吹出口(12)から対象空間へ供給される。
【0094】
(4-2)加湿ユニットの動作
上述した空気清浄機(10)の運転時には、加湿ユニット(30)が次の動作を行う。
【0095】
駆動機構(41)は、駆動軸(42)を回転させる。これにより、加湿ロータ(44)が回転軸(X)を中心として回転する。回転枠(45)が回転すると、バケット(80)は回転軸(X)の軸周りを旋回する。バケット(80)が回転枠(45)の下側に移動し、水トレー(33)が水中に入ると、バケット(80)の水溜領域(S)に水が入り込む。バケット(80)が上方に移動して水トレー(33)の水中から出ると、バケット(80)の水溜領域(S)に水が汲み上げられる。
【0096】
水溜領域(S)に水が汲み上げられる際には、水溜領域(S)内の空気が水溜領域(S)の外に抜ける。その過程において、水溜領域(S)には、水が入っていない部分(空気が残っている空間)ができる。図14では、空間(S3)が、空気が残っている空間である。
【0097】
空気清浄機(10)では、空気が残っている空間(S3)は、大気に連通する(図14参照)。換言すると、水溜領域(S)内の空気は、独立した気泡にはなりにくい。これは、バケット(80)が最下端位置となった場合に、水溜領域(S)の少なくとも一部が、水トレー(33)内の水面よりも上に位置するからである。
【0098】
バケット(80)がさらに上方に移動して回転枠(45)の上端よりも手前側の所定の第1角度位置に至ると、水溜領域(S)の水が開口(80a)に向かって流れ落ち始める。
【0099】
回転枠(45)がさらに回転すると、バケット(80)の開口(80a)を通過した水が、ガイド部(90)により注ぎ口(92)に案内される。具体的には、ガイド部(90)では、開口(80a)を通過した水が底面(97)に沿って注ぎ口(92)に送られる。注ぎ口(92)を通過した水は、吸水部材(70)の第1通風面(74)から吸水部材(70)の内部に供給される。吸水部材(70)の水は、加湿空間(31)を流れる空気に付与される。
【0100】
回転枠(45)がさらに回転すると、バケット(80)が回転枠(45)の下側に移動し、水トレー(33)の水中に再び入る。以上のような動作が連続的に繰り返される。
【0101】
(7)本実施形態における効果
本実施形態では、バケット(80)に水を汲み上げる場合に、水溜領域(S)の少なくとも一部が、貯水部(33)内の水面よりも上に位置するので、空気が残っている空間(S3)が大気に連通して、水溜領域(S)内に気泡ができにくい。そのため、本実施形態では、気泡が水中に放出されにくくなる。換言すると、空気清浄機(10)では、異音の発生を抑制できる。
【0102】
空気清浄機(10)では、バケット(80)が最下端位置から更に所定量だけ回転しても、水トレー(33)内の水が吸水口(57)から水溜領域(S)に導入される。そのため、空気清浄機(10)では、確実に水を水溜領域(S)内に導入できる。
【0103】
吸水口(57)は、回転枠(45)の側面(52b)に形成されている。換言すると、回転枠(45)の外周面に吸水口(57)等の開口がない。そのため、回転枠(45)の外周面からの空気の漏れ出しを抑制できる。空気清浄機(10)では、加湿の効率が向上する。
【0104】
《その他の実施形態》
加湿装置は、空気清浄機(10)以外の装置であってもよい。加湿装置は、対象空間の空気の温度を調節する空気調和装置、対象空間の空気の湿度を調節する調湿装置、対象空間を換気する換気装置であってもよい。
【0105】
駆動機構(41)は、加湿ロータ(44)の外周面に形成したギアに歯合する歯車と、歯車を回転させる駆動軸とを有する構成であってもよい。
【0106】
水汲上部(80)は、貯水部(33)の水を汲み上げることができる皿、容器、あるいは回転枠(45)に形成された凹部であってもよい。
【0107】
貯水部(33)は、水を溜めることができればよく、タンクや容器であってもよい。
【0108】
注ぎ口(92)は、バケット(80)に形成されてもよい。言い換えると、バケット(80)の開口(80a)が注ぎ口(92)を兼用していてもよい。
【0109】
第1枠(50)において、第1バケット(80A)と第2バケット(80B)とを同じ部品として一体に成形してもよい。
【0110】
側面(52b)は、必ずしも回転軸(X)と直交する必要はない。側面(52b)は、回転軸(X)に対して傾斜していてもよい(換言すると回転軸(X)と交差してもよい)。
【0111】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。以上の実施形態、変形例、その他の実施形態に係る要素を適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0112】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0113】
以上説明したように、本開示は、加湿装置について有用である。
【符号の説明】
【0114】
33 水トレー(貯水部)
41 駆動機構
45 回転枠
52b 側面
57 第3穴(吸水口)
70 吸水部材
80 バケット(水供給部材)
S 水溜領域
S3 空間
X 回転軸
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