(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141839
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】インシュレータ
(51)【国際特許分類】
F01N 13/14 20100101AFI20241003BHJP
【FI】
F01N13/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053687
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】泉川 大輔
(72)【発明者】
【氏名】竹渕 正一
【テーマコード(参考)】
3G004
【Fターム(参考)】
3G004AA02
3G004BA09
3G004DA14
3G004DA15
3G004EA05
3G004FA04
3G004GA02
3G004GA06
(57)【要約】
【課題】インシュレータにおいて、断面形状が円弧状の部位である第1カバー部及び第2カバー部を互いに固定する場合に、第1カバー部に対する第2カバー部の位置をずれにくくするための技術を提供する。
【解決手段】流路形成部材の外面の少なくとも一部を覆うためのインシュレータである。インシュレータは、第1カバー部と、第2カバー部と、を備える。第1カバー部は、断面形状が円弧状の部位である。第2カバー部は、断面形状が円弧状の部位であって、第1カバー部の延び方向に連なるように配置された部位である。第1カバー部は、平板状の部分である少なくとも1つの内平板部を有する。少なくとも1つの内平板部は、第2カバー部は、平板状の部分である少なくとも1つの外平板部を有する。少なくとも1つの内平板部と少なくとも1つの外平板部とが重なった状態において、第2カバー部が第1カバー部に対して固定されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路形成部材の外面の少なくとも一部を覆うためのインシュレータであって、
断面形状が円弧状の部位である第1カバー部と、
断面形状が円弧状の部位であって、前記第1カバー部の延び方向に連なるように配置された部位である第2カバー部と、
を備え、
前記第1カバー部は、平板状の部分である少なくとも1つの内平板部を有し、
前記第2カバー部は、平板状の部分である少なくとも1つの外平板部を有し、
前記少なくとも1つの内平板部と前記少なくとも1つの外平板部とが重なった状態において、前記第2カバー部が前記第1カバー部に対して固定されている、インシュレータ。
【請求項2】
請求項1に記載のインシュレータであって、
前記第1カバー部は、前記第1カバー部の断面視において、前記少なくとも1つの内平板部と隣り合う円弧状の部分である少なくとも1つの内弧状部を更に有し、
前記第2カバー部は、前記第2カバー部の断面視において、前記少なくとも1つの外平板部と隣り合う円弧状の部分である少なくとも1つの外弧状部を更に有し、
前記少なくとも1つの内弧状部と前記少なくとも1つの外弧状部との間には、隙間が設けられている、インシュレータ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のインシュレータであって、
前記少なくとも1つの内平板部は、第1内平板部と、第2内平板部と、を含み、
前記少なくとも1つの外平板部は、第1外平板部と、第2外平板部と、を含み、
前記第1内平板部と前記第1外平板部とが重なり、前記第2内平板部と前記第2外平板部とが重なった状態において、前記第2カバー部が前記第1カバー部に対して固定されている、インシュレータ。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のインシュレータであって、
断面形状が円弧状の部位であって、前記第1カバー部と共に前記流路形成部材を囲む円筒体を構成する部位である第3カバー部と、
断面形状が円弧状の部位であって、前記第2カバー部と共に前記流路形成部材を囲む円筒体を構成する部位である第4カバー部と、
を更に備える、インシュレータ。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のインシュレータであって、
前記第1カバー部及び前記第2カバー部の少なくとも一方は、自身の延び方向において湾曲する部分である湾曲部を有する、インシュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インシュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、排気管の外面の少なくとも一部を覆うインシュレータが記載されている。特許文献1に記載のインシュレータは、断面形状が円弧状の部位である第1カバー部及び第2カバー部を備える。第2カバー部は、第1カバー部の延び方向に連なるように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のインシュレータでは、例えば溶接や固定具により、第2カバー部が第1カバー部に対して固定される場合がある。しかしながら、第1カバー部及び第2カバー部は断面形状が円弧状であるために、これらを互いに固定するにあたり、第1カバー部に対する第2カバー部の位置がずれやすいという課題があった。
【0005】
なお、このような課題は、排気管のような排ガスの流路を形成する部材に適用されるインシュレータだけでなく、例えば排ガス以外の高温のガスや熱水など、他の流体の流路を形成する部材に適用されるインシュレータにおいても同様に生じ得る。
【0006】
本開示の一局面は、インシュレータにおいて、断面形状が円弧状の部位である第1カバー部及び第2カバー部を互いに固定する場合に、第1カバー部に対する第2カバー部の位置をずれにくくするための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、流路形成部材の外面の少なくとも一部を覆うためのインシュレータである。インシュレータは、第1カバー部と、第2カバー部と、を備える。第1カバー部は、断面形状が円弧状の部位である。第2カバー部は、断面形状が円弧状の部位であって、第1カバー部の延び方向に連なるように配置された部位である。第1カバー部は、平板状の部分である少なくとも1つの内平板部を有する。第2カバー部は、平板状の部分である少なくとも1つの外平板部を有する。少なくとも1つの内平板部と少なくとも1つの外平板部とが重なった状態において、第2カバー部が第1カバー部に対して固定されている。
【0008】
このような構成によれば、第1カバー部及び第2カバー部を互いに固定する場合に、第1カバー部に対する第2カバー部の位置をずれにくくすることができる。
【0009】
本開示の一態様では、第1カバー部は、少なくとも1つの内弧状部を更に有してもよい。少なくとも1つの内弧状部は、第1カバー部の断面視において、少なくとも1つの内平板部と隣り合う円弧状の部分である。第2カバー部は、少なくとも1つの外弧状部を更に有してもよい。少なくとも1つの外弧状部は、第2カバー部の断面視において、少なくとも1つの外平板部と隣り合う円弧状の部分である。少なくとも1つの内弧状部と少なくとも1つの外弧状部との間には、隙間が設けられていてもよい。
【0010】
このような構成によれば、第1カバー部及び第2カバー部の少なくとも一方に寸法の誤差が生じたとしても、第1カバー部及び第2カバー部を互いに固定する場合に、第1カバー部に対する第2カバー部の位置をずれにくくすることができる。
【0011】
本開示の一態様では、少なくとも1つの内平板部は、第1内平板部と、第2内平板部と、を含んでもよい。少なくとも1つの外平板部は、第1外平板部と、第2外平板部と、を含んでもよい。第1内平板部と第1外平板部とが重なり、第2内平板部と第2外平板部とが重なった状態において、第2カバー部が第1カバー部に対して固定されていてもよい。
【0012】
このような構成によれば、第1カバー部及び第2カバー部を互いに固定する場合に、第1カバー部に対する第2カバー部の位置を一層ずれにくくすることができる。
【0013】
本開示の一態様では、インシュレータは、第3カバー部と、第4カバー部と、を更に備えてもよい。第3カバー部は、断面形状が円弧状の部位であって、第1カバー部と共に流路形成部材を囲む円筒体を構成する部位である。第4カバー部は、断面形状が円弧状の部位であって、第2カバー部と共に流路形成部材を囲む円筒体を構成する部位である。
【0014】
このような構成では、各カバー部の組み付けの精度が求められやすい。このため、少なくとも1つの内平板部及び少なくとも1つの外平板部による第1カバー部及び第2カバー部の位置ずれの抑制が一層有効である。
【0015】
本開示の一態様では、第1カバー部及び第2カバー部の少なくとも一方は、自身の延び方向において湾曲する部分である湾曲部を有してもよい。
【0016】
このような構成では、第1カバー部及び第2カバー部を互いに固定する際の位置ずれが生じやすい。このため、少なくとも1つの内平板部及び少なくとも1つの外平板部による第1カバー部及び第2カバー部の位置ずれの抑制が一層有効である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図10】内平板部及び外平板部の変形例を示す模式的な断面図である。
【
図11】インシュレータの変形例を示す模式図である。
【
図12】インシュレータの別の変形例を示す模式図である。
【
図13】第1,第3カバー部の変形例を示す模式的な断面図である。
【
図14】流路形成部材へのインシュレータの接合箇所の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
[1.流路部品の構成]
図1に示す流路部品1は、自動車等の車両に搭載されて用いられる。流路部品1は、車両の排気系を構成する排気系部品の一種である。
図2に示すように、流路部品1は、流路形成部材2と、ブラケット3と、インシュレータ4と、少なくとも1つの緩衝部材5と、を備える。
【0020】
<流路形成部材>
流路形成部材2は、車両の内燃機関からの排ガスの流路を形成する部材である。本実施形態の流路形成部材2は、いわゆる排気管である。流路形成部材2は、管状、より詳細には円管状である。
図3及び
図4に示すように、流路形成部材2の軸方向と垂直な断面形状は、真円状である。ここでいう真円状とは、厳密な真円状を意味するものではなく、楕円状と区別する意味である。以下同様である。流路形成部材2の径は、軸方向において一定である。流路形成部材2は、金属製である。
【0021】
図2に示すように、流路形成部材2は、少なくとも1つの湾曲部21を有する。湾曲部21は、流路形成部材2の軸方向において湾曲する部分である。すなわち、流路形成部材2の中心軸Lは、湾曲部21において湾曲している。湾曲部21は、流路形成部材2の軸方向において、2次元的に湾曲していてもよいし、3次元的に湾曲していてもよい。湾曲部21が流路形成部材2の軸方向において2次元的に湾曲している場合、湾曲部21の湾曲している中心軸Lは1つの平面上に収まる。湾曲部21が流路形成部材2の軸方向において3次元的に湾曲している場合、湾曲部21の湾曲している中心軸Lは1つの平面上には収まらない。
【0022】
後に詳述するように、流路形成部材2の外側にはインシュレータ4が配置されるところ、
図2に示す例では、流路形成部材2は、インシュレータ4が配置される範囲に2つの湾曲部21を有する。
【0023】
<ブラケット>
ブラケット3は、インシュレータ4を流路形成部材2に対して固定するための部材である。ブラケット3は、板材により形成されている。ブラケット3は、金属製である。ブラケット3は、被接合部31と、2つの側壁部32と、2つのフランジ部33と、を有する。
【0024】
被接合部31は、平板状の部分である。被接合部31の両面のうちの一方が、インシュレータ4を接合するための被接合面311を構成する。
【0025】
2つの側壁部32は、被接合部31における対向する2つの端面から、それぞれ延出する板状の部分である。各側壁部32は、被接合面311側と反対側へ延出している。
【0026】
2つのフランジ部33は、2つの側壁部32の延出方向における各先端面から、それぞれ延出する板状の部分である。各フランジ部33は、対応する側壁部32を挟んで被接合部31側と反対側へ延出している。各フランジ部33は、流路形成部材2の外面22に溶接等により接合されている。
【0027】
<インシュレータ>
インシュレータ4は、流路形成部材2の外面22の少なくとも一部を覆うための部材である。インシュレータ4は、例えば、流路形成部材2内を流れる排ガスの熱による流路形成部材2の周囲の部材への熱害の抑制や、流路形成部材2の保温、流路形成部材2の保護などを目的として、流路形成部材2に取り付けられる。
【0028】
本実施形態では、インシュレータ4は、流路形成部材2の外面22を囲むように構成されている。インシュレータ4は、軸方向における大部分において、円筒状である。インシュレータ4の軸方向と垂直な断面形状は、軸方向における大部分において、
図3及び
図4に示すように真円状である。インシュレータ4の径は、流路形成部材2の径よりも大きい。インシュレータ4は、金属製である。
【0029】
図1に示すように、インシュレータ4は、2つの湾曲部41と、接合部42と、を有する。
【0030】
湾曲部41は、インシュレータ4の軸方向において湾曲する部分である。本実施形態のインシュレータ4は、流路形成部材2における2つの湾曲部21を含む範囲を囲むように構成されている。このため、本実施形態のインシュレータ4には、流路形成部材2の2つの湾曲部21に対応して、2つの湾曲部41が形成されている。すなわち、インシュレータ4は、流路形成部材2の湾曲に対応して湾曲している。例えば、流路形成部材2が3次元的に湾曲している場合、インシュレータ4も3次元的に湾曲していてもよい。また例えば、インシュレータ4が後述するように複数の部位により構成される場合、当該複数の部位が連結されることにより、3次元的に湾曲したインシュレータ4が構成されてもよい。
【0031】
接合部42は、
図2に示すブラケット3の被接合部31に接合するための部分である。接合部42は、平板状である。接合部42は、平面視において、被接合部31の被接合面311を包含する大きさを有する。
【0032】
インシュレータ4は、周方向に2つ、更に軸方向に2つに分割された、計4つの部位により構成されている。つまり、インシュレータ4は、第1~第4カバー部60,70,80,90を有する。
図2~
図4に示すように、第1~第4カバー部60,70,80,90は、断面形状が円弧状の板状の部位である。言い換えれば、第1~第4カバー部60,70,80,90は、円弧状断面が所定の方向に連続した形状の部位である。本実施形態の第1~第4カバー部60,70,80,90の断面形状は、概ね半円弧状である。第1~第4カバー部60,70,80,90は、例えばプレス成形により形成される。
【0033】
第1~第4カバー部60,70,80,90は、流路形成部材2の外面22の一部を覆うための第1~第4溝61,71,81,91を形成する。第1~第4溝61,71,81,91は、流路形成部材2の外面22における周方向の一部(本実施形態では周方向の概ね半分)を覆うように構成されている。以下では、第1~第4カバー部60,70,80,90における第1~第4溝61,71,81,91の延び方向を、第1~第4カバー部60,70,80,90の延び方向という。第1~第4カバー部60,70,80,90の延び方向は、第1~第4カバー部60,70,80,90の円弧状断面が連続する方向とも言い換えられる。また、本実施形態では、第1~第4カバー部60,70,80,90の延び方向は、第1~第4カバー部60,70,80,90の長手方向と一致している。
【0034】
以下、第1~第4カバー部60,70,80,90について更に詳述する。
【0035】
(第1カバー部)
図2に示すように、第1カバー部60は、前端部62と、後端部63と、2つの縁部64と、2つの湾曲部65と、前述した接合部42と、を有する。
【0036】
前端部62及び後端部63は、第1カバー部60の延び方向における両端部を構成する部分である。
【0037】
図2及び
図3に示すように、2つの縁部64は、第1カバー部60における円弧状断面の両端部を構成する部分である。2つの縁部64は、平板状である。2つの縁部64は、前端部62から後端部63まで延びている。
【0038】
図5に示すように、後端部63は、第1~第3内平板部631a~631cと、第1~第4内弧状部632a~632dと、を有する。
【0039】
第1~第3内平板部631a~631cは、平板状の部分である。第1内平板部631aは、後端部63における円弧状断面の頂点を含む範囲に形成されている。後端部63における円弧状断面の頂点を含む範囲とは、後端部63における第1溝61の底を含む範囲とも言い換えられる。
【0040】
第2,第3内平板部631b,631cは、後端部63の断面視において、第1内平板部631aを挟んで対称の位置に形成されている。第2内平板部631bは、第1内平板部631aと一方の縁部64との間に形成されている。第3内平板部631cは、第1内平板部631aと他方の縁部64との間に形成されている。
【0041】
第1~第4内弧状部632a~632dは、後端部63の断面視において円弧状の部分である。つまり、第1~第4内弧状部632a~632dの断面形状は、円弧状である。
【0042】
第1内弧状部632aは、第1内平板部631aと第2内平板部631bとを繋ぐ部分である。第1内弧状部632aは、後端部63の断面視において、第1,第2内平板部631a,631bの双方と隣り合っている。
【0043】
第2内弧状部632bは、第1内平板部631aと第3内平板部631cとを繋ぐ部分である。第2内弧状部632bは、後端部63の断面視において、第1,第3内平板部631a,631cの双方と隣り合っている。
【0044】
第3内弧状部632cは、第2内平板部631bと一方の縁部64とを繋ぐ部分である。第3内弧状部632cは、後端部63の断面視において、第2内平板部631b及び当該一方の縁部64の双方と隣り合っている。
【0045】
第4内弧状部632dは、第3内平板部631cと他方の縁部64とを繋ぐ部分である。後端部63の断面視において、第4内弧状部632dは、第3内平板部631c及び当該他方の縁部64の双方と隣り合っている。
【0046】
図2に戻り、2つの湾曲部65は、第1カバー部60の延び方向において湾曲する部分である。2つの湾曲部65は、第3カバー部80の後述する2つの湾曲部85と共に、インシュレータ4の2つの湾曲部41を構成する。
【0047】
(第2カバー部)
図2に示すように、第2カバー部70は、前端部72と、後端部73と、2つの縁部74と、を有する。
【0048】
前端部72及び後端部73は、第2カバー部70の延び方向における両端部を構成する部分である。第2カバー部70の延び方向における前端部72の長さは、第1カバー部60の延び方向における後端部63の長さと概ね同一である。第2カバー部70の前端部72は、第1カバー部60の後端部63と比較して、円弧状断面を含む仮想円の径が大きい。第2カバー部70は、その前端部72の内側、つまり第2溝71に、第1カバー部60の後端部63が嵌まるように構成されている。
【0049】
図2及び
図4に示すように、2つの縁部74は、第2カバー部70における円弧状断面の両端部を構成する部分である。2つの縁部74は、平板状である。2つの縁部74は、前端部72から後端部73まで延びている。
【0050】
図5に示すように、前端部72は、第1~第3外平板部721a~721cと、第1~第4外弧状部722a~722dと、を有する。
【0051】
第1~第3外平板部721a~721cは、平板状の部分である。前端部72の断面視における第1外平板部721aの幅は、第1カバー部60の後端部63の断面視における第1内平板部631aの幅よりも大きい。前端部72の断面視における第2外平板部721bの幅は、第1カバー部60の後端部63の断面視における第2内平板部631bの幅よりも大きい。前端部72の断面視における第3外平板部721cの幅は、第1カバー部60の後端部63の断面視における第3内平板部631cの幅よりも大きい。
【0052】
第1外平板部721aは、前端部72における円弧状断面の頂点を含む範囲に形成されている。前端部72における円弧状断面の頂点を含む範囲とは、前端部72における第2溝71の底を含む範囲とも言い換えられる。第2,第3外平板部721b,721cは、前端部72の断面視において、第1外平板部721aを挟んで対称の位置に形成されている。第2外平板部721bは、第1外平板部721aと一方の縁部74との間に形成されている。第3外平板部721cは、第1外平板部721aと他方の縁部74との間に形成されている。すなわち、第1~第3外平板部721a~721cは、第2カバー部70の前端部72の内側に第1カバー部60の後端部63が配置された場合における、第1カバー部60の第1~第3内平板部631a~631cと対向する位置に形成されている。
【0053】
第1~第4外弧状部722a~722dは、前端部72の断面視において円弧状の部分である。つまり、第1~第4外弧状部722a~722dの断面形状は、円弧状である。
【0054】
第1外弧状部722aは、第1外平板部721aと第2外平板部721bとを繋ぐ部分である。第1外弧状部722aは、前端部72の断面視において、第1,第2外平板部721a,721bの双方と隣り合っている。
【0055】
第2外弧状部722bは、第1外平板部721aと第3外平板部721cとを繋ぐ部分である。第2外弧状部722bは、前端部72の断面視において、第1,第3外平板部721a,721cの双方と隣り合っている。
【0056】
第3外弧状部722cは、第2外平板部721bと一方の縁部74とを繋ぐ部分である。第3外弧状部722cは、前端部72の断面視において、第2外平板部721b及び当該一方の縁部74の双方と隣り合っている。
【0057】
第4外弧状部722dは、第3外平板部721cと他方の縁部74とを繋ぐ部分である。第4外弧状部722dは、前端部72の断面視において、第3外平板部721c及び当該他方の縁部74の双方と隣り合っている。
【0058】
(第3カバー部)
図1~
図3に示すように、第3カバー部80は、第1カバー部60と共に流路形成部材2を囲む円筒体を構成する。すなわち、第3溝81は、流路形成部材2の外面22の周方向における、第1カバー部60により覆われた部分の残りの部分を覆うように構成されている。
図2に示すように、第3カバー部80は、前端部82と、後端部83と、2つの縁部84と、2つの湾曲部85と、を有する。
【0059】
前端部82及び後端部83は、第3カバー部80の延び方向における両端部を構成する部分である。
【0060】
2つの縁部84は、第3カバー部80における円弧状断面の両端部を構成する部分である。2つの縁部84は、平板状である。2つの縁部84は、前端部82から後端部83まで延びている。
図3に示すように、2つの縁部84は、第3溝81の外側に膨出している。第3カバー部80における2つの縁部84の間隔は、第1カバー部60における2つの縁部64の間隔よりも広い。第3カバー部80は、その2つの縁部84の内側に、第1カバー部60の2つの縁部64が嵌まるように構成されている。
【0061】
図5に示すように、後端部83は、第1~第3内平板部831a~831cと、第1,第2内弧状部832a,832bと、を有する。
【0062】
第1~第3内平板部831a~831cは、平板状の部分である。第1内平板部831aは、後端部83における円弧状断面の頂点を含む範囲に形成されている。後端部83における円弧状断面の頂点を含む範囲とは、後端部83における第3溝81の底を含む範囲とも言い換えられる。第2,第3内平板部831b,831cは、後端部83の断面視において、第1内平板部831aを挟んで対称の位置に形成されている。第2内平板部831bは、第1内平板部831aと一方の縁部84との間に形成されている。第3内平板部831cは、第1内平板部831aと他方の縁部84との間に形成されている。
【0063】
第1,第2内弧状部832a,832bは、後端部83の断面視において円弧状の部分である。つまり、第1,第2内弧状部832a,832bの断面形状は、円弧状である。
【0064】
第1内弧状部832aは、第1内平板部831aと第2内平板部831bとを繋ぐ部分である。第1内弧状部832aは、後端部83の断面視において、第1,第2内平板部831a,831bの双方と隣り合っている。
【0065】
第2内弧状部832bは、第1内平板部831aと第3内平板部831cとを繋ぐ部分である。第2内弧状部832bは、後端部83の断面視において、第1,第3内平板部831a,831cの双方と隣り合っている。
【0066】
図2に戻り、2つの湾曲部85は、第3カバー部80の延び方向において湾曲する部分である。第3カバー部80が第1カバー部60と共に円筒体を構成している状態において、第3カバー部80の2つの湾曲部85は、第1カバー部60の2つの湾曲部65と共に、インシュレータ4の2つの湾曲部41を構成する。
【0067】
(第4カバー部)
図1、
図2及び
図4に示すように、第4カバー部90は、第2カバー部70と共に流路形成部材2を囲む円筒体を構成する。すなわち、第4溝91は、流路形成部材2の外面22の周方向における、第2カバー部70により覆われた部分の残りの部分を覆うように構成されている。
図2に示すように、第4カバー部90は、前端部92と、後端部93と、2つの縁部94と、を有する。
【0068】
前端部92及び後端部93は、第4カバー部90の延び方向における両端部を構成する部分である。第4カバー部90の延び方向における前端部92の長さは、第3カバー部80の延び方向における後端部83の長さと概ね同一である。第4カバー部90の前端部92は、第3カバー部80の後端部83と比較して、円弧状断面を含む仮想円の径が大きい。第4カバー部90は、その前端部92の内側、つまり第4溝91に、第3カバー部80の後端部83が嵌まるように構成されている。
【0069】
2つの縁部94は、第4カバー部90における円弧状断面の両端部を構成する部分である。2つの縁部94は、平板状である。2つの縁部94は、前端部92から後端部93まで延びている。
図4に示すように、2つの縁部94は、第4溝91の外側に膨出している。第4カバー部90における2つの縁部94の間隔は、第2カバー部70における2つの縁部74の間隔よりも広い。第4カバー部90は、その2つの縁部94の内側に、第2カバー部70の2つの縁部74が嵌まるように構成されている。
【0070】
図5に示すように、前端部92は、第1~第3外平板部921a~921cと、第1,第2外弧状部922a,922bと、を有する。
【0071】
第1~第3外平板部921a~921cは、平板状の部分である。前端部92の断面視における第1外平板部921aの幅は、第3カバー部80の後端部83の断面視における第1内平板部831aの幅よりも大きい。前端部92の断面視における第2外平板部921bの幅は、第3カバー部80の後端部83の断面視における第2内平板部831bの幅よりも大きい。前端部92の断面視における第3外平板部921cの幅は、第3カバー部80の後端部83の断面視における第3内平板部831cの幅よりも大きい。
【0072】
第1外平板部921aは、前端部92における円弧状断面の頂点を含む範囲に形成されている。前端部92における円弧状断面の頂点を含む範囲とは、前端部92における第4溝91の底を含む範囲とも言い換えられる。第2,第3外平板部921b,921cは、前端部92の断面視において、第1外平板部921aを挟んで対称の位置に形成されている。第2外平板部921bは、第1外平板部921aと一方の縁部94との間に形成されている。第3外平板部921cは、第1外平板部921aと他方の縁部94との間に形成されている。すなわち、第1~第3外平板部921a~921cは、第4カバー部90の前端部92の内側に第3カバー部80の後端部83が配置された場合における、第3カバー部80の第1~第3内平板部831a~831cと対向する位置に形成されている。
【0073】
第1,第2外弧状部922a,922bは、前端部92の断面視において円弧状の部分である。つまり、第1,第2外弧状部922a,922bの断面形状は、円弧状である。
【0074】
第1外弧状部922aは、第1外平板部921aと第2外平板部921bとを繋ぐ部分である。第1外弧状部922aは、前端部92の断面視において、第1,第2外平板部921a,921bの双方と隣り合っている。
【0075】
第2外弧状部922bは、第1外平板部921aと第3外平板部921cとを繋ぐ部分である。第2外弧状部922bは、前端部92の断面視において、第1,第3外平板部921a,921cの双方と隣り合っている。
【0076】
(各カバー部の配置)
図1及び
図2に示すように、流路部品1において、第1~第4カバー部60,70,80,90は、これらが一体となって流路形成部材2の外面22を囲むように配置されている。
【0077】
第1,第2カバー部60,70は、流路形成部材2の軸方向において、互いに連なるように配置されている。言い換えれば、第2カバー部70が第1カバー部60の延び方向に連なるように配置されている。更に言い換えれば、第1溝61と第2溝71とが連続するように、第1,第2カバー部60,70が配置されている。本実施形態では、第2カバー部70の前端部72の内側に、第1カバー部60の後端部63が配置されることにより、第1溝61と第2溝71とが連続した状態になっている。
図5に示すように、第1カバー部60の後端部63と第2カバー部70の前端部72とは、板厚方向に互いに重なっている。第1カバー部60の第1~第3内平板部631a~631cは、第2カバー部70の第1~第3外平板部721a~721cに当接している。第1カバー部60の第1~第4内弧状部632a~632dは、第2カバー部70の第1~第4外弧状部722a~722dと間隔を空けて対向している。すなわち、第1~第4内弧状部632a~632dと第1~第4外弧状部722a~722dとの間には、隙間が設けられている。
【0078】
第1,第2カバー部60,70は、第1~第3内平板部631a~631cと第1~第3外平板部721a~721cとの重なり部分において、溶接等により互いに接合されている。これにより、第1,第2カバー部60,70が互いに固定されている。
【0079】
図1及び
図2に示すように、第3,第4カバー部80,90は、流路形成部材2の軸方向において、互いに連なるように配置されている。言い換えれば、第4カバー部90が第3カバー部80の延び方向に連なるように配置されている。更に言い換えれば、第3溝81と第4溝91とが連続するように、第3,第4カバー部80,90が配置されている。本実施形態では、第4カバー部90の前端部92の内側に、第3カバー部80の後端部83が配置されることにより、第3溝81と第4溝91とが連続した状態になっている。
図5に示すように、第3カバー部80の後端部83と第4カバー部90の前端部92とは、板厚方向に互いに重なっている。第3カバー部80の第1~第3内平板部831a~831cは、第4カバー部90の第1~第3外平板部921a~921cに当接している。第3カバー部80の第1,第2内弧状部832a,832bは、第4カバー部90の第1,第2外弧状部922a,922bと間隔を空けて対向している。すなわち、第1,第2内弧状部832a,832bと第1,第2外弧状部922a,922bとの間には、隙間が設けられている。
【0080】
第3,第4カバー部80,90は、第1~第3内平板部831a~831cと第1~第3外平板部921a~921cとの重なり部分において、溶接等により互いに接合されている。これにより、第3,第4カバー部80,90が互いに固定されている。
【0081】
また、
図1及び
図2に示すように、第3,第4カバー部80,90は、流路形成部材2を挟んで第1,第2カバー部60,70と反対側に配置されている。
【0082】
図3に示すように、第3カバー部80は、流路形成部材2を挟んで第1カバー部60と対向している。第1,第3溝61,81が互い対向した状態において、第3カバー部80の2つの縁部84の内側に第1カバー部60の2つの縁部64が差し込まれている。第3カバー部80の2つの縁部84は、第1カバー部60の2つの縁部64と板厚方向に重なっている。そして、第1,第3カバー部60,80は、縁部64,84同士の重なり部分において溶接等により互いに接合されることにより、円筒体を構成している。
【0083】
図4に示すように、第4カバー部90は、流路形成部材2を挟んで第2カバー部70と対向している。第2,第4溝71,91が互いに対向した状態において、第4カバー部90の2つの縁部94の内側に第2カバー部70の2つの縁部74が差し込まれている。第4カバー部90の2つの縁部94は、第2カバー部70の2つの縁部74と板厚方向に重なっている。そして、第2,第4カバー部70,90は、縁部74,94同士の重なり部分において溶接等により互いに接合されることにより、円筒体を構成している。
【0084】
図3及び
図4に示すように、インシュレータ4は、流路形成部材2の外面22との間に全周にわたって隙間を空けた状態で配置されている。インシュレータ4の接合部42は、例えば溶接により、ブラケット3の被接合部31に接合されている。なお、インシュレータ4とブラケット3との固定方法は接合に限定されず、例えば、インシュレータ4とブラケット3は、ボルト等の固定具により互いに固定されてもよい。
【0085】
<緩衝部材>
図2に示す緩衝部材5は、弾性を有する部材である。緩衝部材5は、流路形成部材2とインシュレータ4との間に配置されている。図示は省略しているが、本実施形態の緩衝部材5は、
図2に示される第3カバー部80の内側だけでなく、第1カバー部60の内側における対向する位置にも設けられており、流路形成部材2の周囲を囲んでいる。緩衝部材5の具体例としては、ワイヤメッシュが挙げられる。
【0086】
緩衝部材5は、流路形成部材2とインシュレータ4との接触を抑制するためのスペーサとして機能する。流路形成部材2とインシュレータ4との接触が抑制されることにより、これらの干渉による異音の発生や、流路形成部材2からインシュレータ4への伝熱が低減される。緩衝部材5が設けられることによって流路形成部材2とインシュレータ4との間に空間が形成されることにより、断熱効果が得られる。また、緩衝部材5は、流路形成部材2及びインシュレータ4の振動を抑制したり、これらの熱膨張を吸収したりする機能も発揮する。
【0087】
[2.流路部品の製造方法]
次に、流路部品1の製造方法について、
図6A~
図9を用いて説明する。具体的には、流路部品1の製造方法の少なくとも一部を構成する、流路形成部材2へのインシュレータ4の組付方法について説明する。なお、
図6A~
図9では、第1~第4カバー部60,70,80,90における一部の構成の図示が省略されている。
【0088】
流路部品1の製造方法は、第1配置工程と、第1固定工程と、第2配置工程と、第2固定工程と、第3固定工程と、を備える。
【0089】
<第1配置工程>
第1配置工程は、第2カバー部70を第1カバー部60に対して配置し、第4カバー部90を第3カバー部80に対して配置する工程である。
【0090】
図6A及び
図6Bに示すように、第2カバー部70は、第1カバー部60の延び方向に連なるように配置される。より詳細には、第1~第3外平板部721a~721cが第1~第3内平板部631a~631cに当接するように、第2カバー部70の前端部72が、第1カバー部60における第1溝61側と反対側から後端部63に重ねられる。これにより、
図7A及び
図7Bに示すように、第1溝61と第2溝71とが連続した状態になる。また、第1~第3内平板部631a~631cと第1~第3外平板部721a~721cとが互いに当接している一方、第1~第4内弧状部632a~632dと第1~第4外弧状部722a~722dとの間には隙間が空いた状態になる。
【0091】
図示は省略しているが、同様にして、第4カバー部90が第3カバー部80の延び方向に連なるように配置される。これにより、
図8に示すように、第3溝81と第4溝91とが連続した状態になる。また、第1~第3内平板部831a~831cと第1~第3外平板部921a~921cとが互いに当接している一方、第1,第2内弧状部832a,832bと第1,第2外弧状部922a,922bとの間には隙間が空いた状態になる。
【0092】
<第1固定工程>
第1固定工程は、第2カバー部70を第1カバー部60に対して固定し、第4カバー部90を第3カバー部80に対して固定する工程である。
【0093】
図7A及び
図7Bに示すように、第2カバー部70は、第1~第3内平板部631a~631cと第1~第3外平板部721a~721cとの重なり部分において、溶接により第1カバー部60に接合される。本実施形態では、
図7Bにおいて記号Xで示すように、第1内平板部631aと第1外平板部721a、第2内平板部631bと第2外平板部721b、第3内平板部631cと第3外平板部721cの3つの重なり部分の全てにおいて、第1,第2カバー部60,70が互いに接合される。
【0094】
図示は省略しているが、同様にして、第4カバー部90が、第1~第3内平板部831a~831cと第1~第3外平板部921a~921cとの重なり部分において、溶接により第3カバー部80に接合される。
【0095】
溶接方法としては、例えば、スポット溶接、TIG溶接、MIG溶接等が挙げられる。
【0096】
<第2配置工程>
図8に示すように、第2配置工程は、流路形成部材2に対して第1~第4カバー部60,70,80,90を配置する工程である。
【0097】
第1,第2カバー部60,70と第3,第4カバー部80,90とは、流路形成部材2の中心軸Lを挟んだ両側から、流路形成部材2の外面22を覆うように配置される。具体的には、第1,第2カバー部60,70は、互いに固定された状態において、第1,第2溝61,71が流路形成部材2に対向しつつ流路形成部材2の軸方向に沿って延びる向きで、流路形成部材2の外面22を覆うように配置される。第3,第4カバー部80,90は、互いに固定された状態において、第3,第4溝81,91が流路形成部材2に対向しつつ流路形成部材2の軸方向に沿って延びる向きで、流路形成部材2の外面22を覆うように配置される。
【0098】
また、流路形成部材2を挟んで、第1,第3カバー部60,80が互いに対向し、第2,第4カバー部70,90が互いに対向するように配置される。
図3に示すように、第1カバー部60の2つの縁部64が、第3カバー部80の2つの縁部84の内側に差し込まれる。これにより、第1,第3カバー部60,80により、流路形成部材2を囲む円筒体が形成される。
図4に示すように、第2カバー部70の2つの縁部74が、第4カバー部90の2つの縁部94の内側に差し込まれる。これにより、第2,第4カバー部70,90により、流路形成部材2を囲む円筒体が形成される。
【0099】
第2配置工程により、
図9に示すように、流路形成部材2が第1~第4カバー部60,70,80,90により囲われた状態になる。
【0100】
<第2固定工程>
図9に示すように、第2固定工程は、第3カバー部80を第1カバー部60に対して固定し、第4カバー部90を第2カバー部70に対して固定する工程である。
【0101】
第1,第3カバー部60,80は、縁部64,84同士の重なり部分において、溶接により互いに固定される。第2,第4カバー部70,90は、縁部74,94同士の重なり部分において、溶接により互いに固定される。溶接方法としては、例えば、アーク溶接等が挙げられる。
【0102】
第2固定工程により、第1~第4カバー部60,70,80,90によってインシュレータ4が構成され、当該インシュレータ4が流路形成部材2の周囲に配置された状態になる。
【0103】
<第3固定工程>
第3固定工程は、インシュレータ4を流路形成部材2に対して固定する工程である。本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、インシュレータ4の接合部42が、流路形成部材2の外面22に接合されたブラケット3の被接合部31に溶接により接合される。これにより、流路部品1が得られる。
【0104】
[3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
【0105】
(3a)インシュレータ4は、第1,第2カバー部60,70を備える。第2カバー部70は、第1カバー部60の延び方向に連なるように配置され、第1カバー部60に対して固定されている。
【0106】
ここで、第1,第2カバー部60,70のような断面形状が円弧状の2つの部位が、互いに連なるように配置された状態で固定される場合、その過程において、両者の相対位置がずれやすいことが考えられる。例えば、一方の部位が他方の部位に対し、円弧状断面の円周方向に回転して、両部位の相対位置がずれてしまうことが考えられる。両部位の相対位置がずれた場合、組み付け不良が生じやすくなる。
【0107】
これに対して、第1カバー部60には、少なくとも1つ(本実施形態では3つ)の内平板部631a~631cが形成されている。第2カバー部70には、少なくとも1つ(本実施形態では3つ)の外平板部721a~721cが形成されている。そして、内平板部631a~631cと外平板部721a~721cとが重なった状態において、第2カバー部70が第1カバー部60に対して固定されている。
【0108】
このような構成によれば、第1,第2カバー部60,70を互いに固定する過程において、第2カバー部70が第1カバー部60に対し、円弧状断面の円周方向に回転してしまうことを抑制することができる。したがって、第1カバー部60に対する第2カバー部70の位置をずれにくくすることができる。ひいては、第1,第2カバー部60,70の組み付け不良の発生を抑制することができる。
【0109】
(3b)第1カバー部60は、少なくとも1つ(本実施形態では4つ)の内弧状部632a~632dを有する。第2カバー部70は、少なくとも1つ(本実施形態では4つ)の外弧状部722a~722dを有する。第1,第2カバー部60,70が互いに固定された状態において、内弧状部632a~632dと外弧状部722a~722dとの間には隙間が設けられている。
【0110】
例えば、第1,第2カバー部60,70がプレス成形により形成される場合、第1,第2カバー部60,70は、断面形状が円弧状であるためにバックリングが生じやすく、寸法の誤差が大きくなりやすい。また例えば、第1,第2カバー部60,70が大型である場合にも、寸法の誤差が大きくなりやすい。第1,第2カバー部60,70の寸法の誤差が大きい場合、組み付け不良が生じやすくなる。
【0111】
しかしながら、上記のような構成によれば、仮に第1,第2カバー部60,70の寸法に誤差が生じたとしても、内弧状部632a~632dと外弧状部722a~722dとの間の隙間により当該誤差を吸収することができる。したがって、仮に第1,第2カバー部60,70の寸法に誤差が生じたとしても、第1,第2カバー部60,70を固定する過程において、内平板部631a~631cと外平板部721a~721cとが重なった状態を維持しやすくすることができる。結果として、第1カバー部60に対する第2カバー部70の位置をずれにくくすることができる。
【0112】
加えて、内弧状部632a~632dと外弧状部722a~722dとの間の隙間により、第1,第2カバー部60,70を固定する過程において、内平板部631a~631cと外平板部721a~721cとを当接させやすくすることができる。したがって、本実施形態のように第1,第2カバー部60,70が溶接により接合される場合に、溶接不良や溶接による変形の発生を抑制することができる。
【0113】
(3c)第1カバー部60は、複数の内弧状部632a~632dを有する。第2カバー部70は、複数の外弧状部722a~722dを有する。
【0114】
このような構成によれば、第1,第2カバー部60,70を固定する過程において、第2カバー部70が第1カバー部60に対し、円弧状断面の円周方向に回転してしまうことを一層抑制することができる。したがって、第1カバー部60に対する第2カバー部70の位置を一層ずれにくくすることができる。
【0115】
(3d)インシュレータ4は、第3,第4カバー部80,90を更に有する。第3カバー部80は、第1カバー部60と共に円筒体を構成する。第4カバー部90は、第2カバー部70と共に円筒体を構成する。
【0116】
このような構成では、第1~第4カバー部60,70,80,90の組み付けの精度が求められやすい。このため、上記(3a)で述べたような、内平板部631a~631c及び外平板部721a~721cにより第1,第2カバー部60,70の相対位置をずれにくくすることが、一層有効である。
【0117】
(3e)本実施形態では、第3カバー部80は、第1カバー部60と同様に、複数の内平板部831a~831cと、複数の内弧状部832a,832bと、を有する。第4カバー部90は、第2カバー部70と同様に、複数の外平板部921a~921cと、複数の外弧状部922a,922bと、を有する。そして、内平板部831a~831cと外平板部921a~921cとが重なり、内弧状部832a,832bと外弧状部922a,922bとの間に間隔が設けられた状態において、第4カバー部90が第3カバー部80に対して固定されている。
【0118】
このような構成によれば、第3,第4カバー部80,90においても、上記(3a)~(3c)と同様の効果が得られる。
【0119】
(3f)例えば、インシュレータ4がプレス成形により形成される場合、プレス型の大きさの制約や、成形性、精度の観点から、本実施形態のようにインシュレータ4が複数のカバー部60,70,80,90に分割して形成されることがある。特に、インシュレータ4が湾曲部41を備える場合、言い換えればインシュレータ4が適用される流路形成部材2が湾曲部21を備える場合には、インシュレータ4は複数のカバー部60,70,80,90に分割して形成されやすく、これらカバー部60,70,80,90を固定する際の位置ずれが生じやすい。加えて、複数のカバー部60,70,80,90のうちの少なくとも1つ(本実施形態では第1,第3カバー部60,80)が、インシュレータ4の湾曲部41を構成する湾曲部65,85を有するように形成されるため、寸法の誤差が大きくなりやすい。
【0120】
このような構成においても、第1カバー部60が内平板部631a~631cを有し、第2カバー部70が外平板部721a~721cを有することにより、第1,第2カバー部60,70を固定する過程において、これらの相対位置をずれにくくすることができる。なお、本実施形態では、第3,第4カバー部80,90においても同様の効果が得られる。
【0121】
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0122】
(4a)上記実施形態では、第1カバー部60は、3つの内平板部631a~631cを有し、第2カバー部70は、3つの外平板部721a~721cを有する。しかし、カバー部が有する内平板部又は外平板部の数は、特に限定されず、1つであってもよいし、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。例えば、
図10に示すインシュレータ4Aでは、第1カバー部60Aが2つの内平板部631を有し、第2カバー部70Aが2つの外平板部721を有する。
【0123】
(4b)同様に、カバー部が有する内弧状部又は外弧状部の数も特に限定されず、単数であってもよいし、複数であってもよい。
【0124】
(4c)上記実施形態では、第1~第3内平板部631a~631cは、第1カバー部60の後端部63の円弧状断面における縁部64同士の間に形成されている。また、第1~第3外平板部721a~721cは、第2カバー部70の前端部72の円弧状断面における縁部74同士の間に形成されている。
【0125】
しかし、カバー部における内平板部又は外平板部の位置は、特に限定されない。例えば、内平板部又は外平板部は、カバー部の円弧状断面における縁部に形成されてもよい。また例えば、内平板部又は外平板部は、カバー部の端部以外に形成されてもよい。
【0126】
(4d)上記実施形態では、第1内平板部631aと第1外平板部721a、第2内平板部631bと第2外平板部721b、第3内平板部631cと第3外平板部721cの3つの重なり部分の全てにおいて、第1,第2カバー部60,70が互いに接合される。しかし、これら3つの重なり部分のうち、例えば、第2内平板部631bと第2外平板部721bの重なり部分と、第3内平板部631cと第3外平板部721cの重なり部分との2つにおいてのみ、第1,第2カバー部60,70が互いに接合されてもよい。すなわち、上記実施形態のように内平板部と外平板部との重なり部分が複数ある場合に、これら重なり部分の全てにおいて、カバー部同士が互いに接合されなくてもよい。
【0127】
(4e)上記実施形態のインシュレータ4では、第1,第2カバー部60,70が互いに連なるように配置されている。しかし、互いに連なるように配置されるカバー部の数は、特に限定されない。例えば、
図11に示すインシュレータ4Bのように3つのカバー部100A~100Cが互いに連なるように配置されてもよいし、4つ以上のカバー部が互いに連なるように配置されてもよい。この場合、隣り合うカバー部同士の重なり部分のそれぞれに、内平板部及び外平板部が形成されてもよい。
【0128】
(4f)上記実施形態では、インシュレータ4は、流路形成部材2の周方向を囲むように構成されている。しかし、
図12に示すように、インシュレータ4Cは、流路形成部材2の周方向の一部のみを覆うように構成されてもよい。すなわち、インシュレータ4Cは、第3,第4カバー部80,90を備えなくてもよい。
【0129】
(4g)上記実施形態では、第1,第3カバー部60,80は、縁部64,84同士が接合されている。しかし、
図13に示すように、第1,第3カバー部60,80の縁部64,84は、必ずしも互いに接合されなくてもよい。例えば、第1,第3カバー部60,80がそれぞれ流路形成部材2に接合される場合に、
図13に示すような縁部64,84が互いに接合されない構成が採用され得る。
【0130】
(4h)上記実施形態では、インシュレータ4は、ブラケット3を介して流路形成部材2に接合されている。しかし、
図14に示すように、インシュレータ4Eは、流路形成部材2に直接接合されてもよい。すなわち、インシュレータ4Eは、ブラケット3を備えなくてもよい。この場合、インシュレータ4Eを構成する部材の数を低減することができるため、インシュレータ4Eの製造コストを低減することができる。
【0131】
(4i)上記実施形態では、第1カバー部60と第2カバー部70、第3カバー部80と第4カバー部90は、溶接により互いに固定されている。しかし、互いに連なるように配置されたカバー部同士の固定方法は、溶接に限定されない。例えば、カバー部同士は、バンドやクランプ等の固定具により互いに固定されてもよい。
【0132】
(4j)上記実施形態では、流路形成部材2は、2つの湾曲部21を有するが、流路形成部材における湾曲部の数は特に限定されない。流路形成部材は、例えば、1つの湾曲部を有してもよいし、3つ以上の湾曲部を有してもよい。また例えば、流路形成部材は、必ずしも湾曲部を有しなくてもよい。
【0133】
(4k)上記実施形態では、流路形成部材2は、いわゆる排気管である。しかし、流路形成部材は、例えば、触媒コンバータや消音器等、排気管以外の排気系部品であってもよい。また例えば、流路形成部材は、排気系部品に限定されず、排ガス以外の高温のガスや熱水など、他の流体の流路を形成する部材であってもよい。
【0134】
(4l)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0135】
(4m)本開示は、前述したインシュレータ4の他、当該インシュレータ4を構成要素とする流路部品1、インシュレータ4の製造方法など、種々の形態で実現することができる。
【0136】
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
流路形成部材の外面の少なくとも一部を覆うためのインシュレータであって、
断面形状が円弧状の部位である第1カバー部と、
断面形状が円弧状の部位であって、前記第1カバー部の延び方向に連なるように配置された部位である第2カバー部と、
を備え、
前記第1カバー部は、平板状の部分である少なくとも1つの内平板部を有し、
前記第2カバー部は、平板状の部分である少なくとも1つの外平板部を有し、
前記少なくとも1つの内平板部と前記少なくとも1つの外平板部とが重なった状態において、前記第2カバー部が前記第1カバー部に対して固定されている、インシュレータ。
【0137】
[項目2]
項目1に記載のインシュレータであって、
前記第1カバー部は、前記第1カバー部の断面視において、前記少なくとも1つの内平板部と隣り合う円弧状の部分である少なくとも1つの内弧状部を更に有し、
前記第2カバー部は、前記第2カバー部の断面視において、前記少なくとも1つの外平板部と隣り合う円弧状の部分である少なくとも1つの外弧状部を更に有し、
前記少なくとも1つの内弧状部と前記少なくとも1つの外弧状部との間には、隙間が設けられている、インシュレータ。
【0138】
[項目3]
項目1又は項目2に記載のインシュレータであって、
前記少なくとも1つの内平板部は、第1内平板部と、第2内平板部と、を含み、
前記少なくとも1つの外平板部は、第1外平板部と、第2外平板部と、を含み、
前記第1内平板部と前記第1外平板部とが重なり、前記第2内平板部と前記第2外平板部とが重なった状態において、前記第2カバー部が前記第1カバー部に対して固定されている、インシュレータ。
【0139】
[項目4]
項目1から項目3までのいずれか1項に記載のインシュレータであって、
断面形状が円弧状の部位であって、前記第1カバー部と共に前記流路形成部材を囲む円筒体を構成する部位である第3カバー部と、
断面形状が円弧状の部位であって、前記第2カバー部と共に前記流路形成部材を囲む円筒体を構成する部位である第4カバー部と、
を更に備える、インシュレータ。
【0140】
[項目5]
項目1から項目4までのいずれか1項に記載のインシュレータであって、
前記第1カバー部及び前記第2カバー部の少なくとも一方は、自身の延び方向において湾曲する部分である湾曲部を有する、インシュレータ。
【符号の説明】
【0141】
1…流路部品、2…流路形成部材、22…外面、3…ブラケット、4…インシュレータ、5…緩衝部材、21,41,65,85…湾曲部、60,70,80,90…カバー部、61,71,81,91…溝、631a~631c,831a~831c…内平板部、632a~632d,832a,832b…内弧状部、721a~721c,921a~921c…外平板部、722a~722d,922a,922b…外弧状部。