(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014184
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】包装用容器及び包装用容器の使用方法
(51)【国際特許分類】
B65D 1/34 20060101AFI20240125BHJP
B65D 43/08 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B65D1/34
B65D43/08 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116823
(22)【出願日】2022-07-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)展示会名:スーパーマーケット・トレードショー2022内 中央化学展示商談会2022 開催日 :令和4年2月16日 (2)刊行物名:CHUO NewCollection 中央化学株式会社 新製品シリーズ特別号2022 発行日 :令和4年2月16日 (3)展示会名:中央化学常設展示 開催日 :令和4年3月14日 (4)サイト名:SMTS2022出展報告動画 ダイジェスト版 公開日 :令和4年3月18日 (5)サイト名:中央化学展示商談会2022 出展報告書 公開日 :令和4年5月16日 (6)刊行物名:製品説明書 公開日 :令和4年5月25日 (7)サイト名:chuo_kagaku_topics 公開日 :令和4年6月3日
(71)【出願人】
【識別番号】391011825
【氏名又は名称】中央化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003498
【氏名又は名称】弁理士法人アイピールーム
(74)【代理人】
【識別番号】100167117
【弁理士】
【氏名又は名称】打越 佑介
(72)【発明者】
【氏名】守田 藍子
(72)【発明者】
【氏名】関田 奈緒
【テーマコード(参考)】
3E033
3E084
【Fターム(参考)】
3E033AA10
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA17
3E033BA18
3E033BA22
3E033CA07
3E033CA09
3E033CA20
3E033DD01
3E033FA04
3E033GA03
3E084AA05
3E084AA14
3E084AA24
3E084AA25
3E084AA26
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA03
3E084CC03
3E084CC04
3E084CC05
3E084DA03
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3E084DC03
3E084DC04
3E084DC05
3E084FA09
3E084FC04
3E084GA08
3E084GB17
3E084KB10
3E084LA17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】容器本体を引っ張る動作のみで蓋体の外嵌合を解除して蓋体を開放しやすくすること。
【解決手段】蓋体2が外嵌合して容器本体1の開口1bを閉じる包装用容器であって、容器本体1は、開口1bの周方向かつ平面視略矩形状に形成された本体フランジ部13と、本体フランジ部13に形成されて対角関係にある一対の本体摘み部14、14とを備え、本体摘み部14、14の各々が反対方向に引っ張られて本体フランジ部13が歪んだ状態で蓋体の嵌合が解除される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋体が外嵌合して容器本体の開口を閉じる包装用容器であって、
容器本体は、
前記開口の周方向に形成された本体フランジ部と、
本体フランジ部に形成されて前記開口の中心又は本体フランジ部の周形状の中心を通る同一線上に位置する一対の本体摘み部とを備え、
本体摘み部の各々が反対方向に引っ張られて本体フランジ部が歪んだ状態で蓋体の嵌合が解除される
ことを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
蓋体が外嵌合して容器本体の開口を閉じる包装用容器であって、
容器本体は、
前記開口の周方向かつ平面視略矩形状に形成された本体フランジ部と、
本体フランジ部に形成されて対角関係にある一対の本体摘み部とを備え、
本体摘み部の各々が反対方向に引っ張られて本体フランジ部が歪んだ状態で蓋体の嵌合が解除される
ことを特徴とする包装用容器。
【請求項3】
蓋体の嵌合が解除される前記状態における容器本体の引っ張り強度が5~15Nである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用容器。
【請求項4】
本体フランジ部は、
本体摘み部が形成された一対の本体フランジ第1角部と、
本体摘み部が形成されない一対の本体フランジ第2角部とを有し、
蓋体は、
本体フランジ第2角部の少なくとも一方に嵌合する蓋体嵌合部を有し、
蓋体嵌合部は、
本体フランジ第2角部の一端から他端に渡って所定の間隔で嵌合するように形成された
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用容器。
【請求項5】
蓋体が外嵌合して容器本体の開口を閉じる包装用容器の使用方法であって、
容器本体は、
前記開口の周方向に形成された本体フランジ部と、
本体フランジ部に形成されて前記開口の中心又は本体フランジ部の周形状の中心を通る同一線上に位置する一対の本体摘み部とを備え、
本体摘み部の各々を反対方向に引っ張り本体フランジ部を歪ませて蓋体の嵌合を解除する
ことを特徴とする包装用容器の使用方法。
【請求項6】
蓋体が外嵌合して容器本体の開口を閉じる包装用容器の使用方法であって、
容器本体は、
前記開口の周方向かつ平面視略矩形状に形成された本体フランジ部と、
本体フランジ部に形成されて対角関係にある一対の本体摘み部とを備え、
本体摘み部の各々を反対方向に引っ張り本体フランジ部を歪ませて蓋体の嵌合を解除する
ことを特徴とする包装用容器の使用方法。
【請求項7】
本体フランジ部は、
本体摘み部が形成された一対の本体フランジ第1角部と、
本体摘み部が形成されない一対の本体フランジ第2角部とを有し、
蓋体は、
本体フランジ第1角部に嵌合する蓋体第1嵌合部と、
本体フランジ第2角部の少なくとも一方に嵌合する蓋体第2嵌合部を有し、
蓋体第2嵌合部は、
本体フランジ第2角部の一端から他端に渡って所定の間隔で嵌合するように形成され、
本体フランジ第1角部に対する蓋体第1嵌合部の嵌合を解除し、
本体フランジ第2角部に対する蓋体第2嵌合部の嵌合を解除しない
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の包装用容器の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体が外嵌合して容器本体の開口を閉じる包装用容器及び包装用容器の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストアで販売される惣菜や弁当といった食品用の包装用容器は、食品を収容する容器本体と、容器本体の開口を閉じる蓋体とを備えおり、容器本体の外側で蓋体が嵌合する構造(以下「外嵌合」ともいう。)もあれば、容器本体の内側で蓋体が嵌合する構造(以下「内嵌合」ともいう。)もあり、外嵌合の場合、容器本体の中身の見やすさ、蓋体の嵌めやすさや開けやすさといった利点を得やすい。
【0003】
食品用に限らず包装用容器にとって蓋体の開けやすさに関する課題は、従来から存在する。例えば、特許文献1では、容器本体に対してヒンジを介して蓋部が連結すると共に、蓋体が容器本体の開口部の外側に設けられた係止部に係止される第1の被係止部を有し、容器本体に外力を加えることで容器本体の上端部を変形させ、第1の被係止部から蓋部全体に伝播して蓋部を歪ませることによって、係止部による第1の被係止部に対する係止が解除されると共に、蓋部が開口部の内側に押し上げられることにより開口部が開放される、という技術が開示されている(請求項1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の包装容器はハンディサイズであり、把持した親指と人差し指等とを近づけて容器本体を撓ませる方法を採用している(段落「0058」参照)。そして、容器本体の上端部が変形すると、これに追従して蓋部が歪む。すなわち、蓋部を開放するには容器本体の上端部の変形と蓋部の変形との連動を要する(段落「0059」参照)。そのため、蓋を開放する機構が複雑になりやすい。
【0006】
惣菜や弁当といった食品用の包装用容器がハンディサイズだと、容量が小さ過ぎてしまうばかりでなく、食品がこぼれてしまうおそれがあるため、特許文献1のような蓋の開放機構を採用しにくい。一方、特許文献1とは逆に、容器本体の所定の部位同士を各々反対方向に引っ張るように外力を与えて容器本体を変形させることで外嵌合を解除できれば、サイズに限らずワンアクションで蓋体を開放しやすくなることに、発明者らは辿り着いた。
【0007】
そこで、本発明の目的は、容器本体を引っ張る動作のみで蓋体の外嵌合を解除して蓋体を開放しやすくする包装用容器及び包装用容器の使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、蓋体が外嵌合して容器本体の開口を閉じる包装用容器であって、容器本体は、上記開口の周方向に形成された本体フランジ部と、本体フランジ部に形成されて上記開口の中心又は本体フランジ部の周形状の中心を通る同一線上に位置する一対の本体摘み部とを備え、本体摘み部の各々が反対方向に引っ張られて本体フランジ部が歪んだ状態で蓋体の嵌合が解除されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、蓋体が外嵌合して容器本体の開口を閉じる包装用容器であって、容器本体は、上記開口の周方向かつ平面視略矩形状に形成された本体フランジ部と、本体フランジ部に形成されて対角関係にある一対の本体摘み部とを備え、本体摘み部の各々が反対方向に引っ張られて本体フランジ部が歪んだ状態で蓋体の嵌合が解除されることを特徴とする。
【0010】
また本発明においては、蓋体の嵌合が解除される上記状態における容器本体の引っ張り強度が5~15Nであることが望ましい。
【0011】
上記本体フランジ部は、本体摘み部が形成された一対の本体フランジ第1角部と、本体摘み部が形成されない一対の本体フランジ第2角部とを有し、蓋体は、本体フランジ第2角部の少なくとも一方に嵌合する蓋体嵌合部を有し、蓋体嵌合部は、本体フランジ第2角部の一端から他端に渡って所定の間隔で嵌合するように形成されたことが望ましい。
【0012】
また、本発明は、蓋体が外嵌合して容器本体の開口を閉じる包装用容器の使用方法であって、容器本体は、上記開口の周方向に形成された本体フランジ部と、本体フランジ部に形成されて上記開口の中心又は本体フランジ部の周形状の中心を通る同一線上に位置する一対の本体摘み部とを備え、本体摘み部の各々を反対方向に引っ張り本体フランジ部を歪ませて蓋体の嵌合を解除することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、蓋体が外嵌合して容器本体の開口を閉じる包装用容器の使用方法であって、容器本体は、上記開口の周方向かつ平面視略矩形状に形成された本体フランジ部と、本体フランジ部に形成されて対角関係にある一対の本体摘み部とを備え、本体摘み部の各々を反対方向に引っ張り本体フランジ部を歪ませて蓋体の嵌合を解除することを特徴とする。
【0014】
上記本体フランジ部は、本体摘み部が形成された一対の本体フランジ第1角部と、本体摘み部が形成されない一対の本体フランジ第2角部とを有し、蓋体は、本体フランジ第1角部に嵌合する蓋体第1嵌合部と、本体フランジ第2角部の少なくとも一方に嵌合する蓋体第2嵌合部を有し、蓋体第2嵌合部は、本体フランジ第2角部の一端から他端に渡って所定の間隔で嵌合するように形成され、本体フランジ第1角部に対する蓋体第1嵌合部の嵌合を解除し、本体フランジ第2角部に対する蓋体第2嵌合部の嵌合を解除しないことが望ましい。
【0015】
なお、本発明において、「成形」とは、製法を限定せず単に形作ること又は形作られたこと、「成型」とは、所定の型に嵌めて形作ること又は形作られたことを意味し、換言すると、「成形」は「成型」を含む表現とする。「R状」とは、2つ以上の辺や面の組み合わせで表れる直角・鋭角・鈍角といった角部分の先端が曲線や曲面に面取られた状態を意味し、曲面の度合いを曲率半径で数値化されてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、容器本体を引っ張る動作のみで蓋体の外嵌合を解除して蓋体を開放しやすくする効果を期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態における包装用容器の容器本体及び蓋体の装着前の状態を示す斜視図。
【
図7】上記蓋体が上記容器本体に外嵌合していない状態における垂直部分拡大断面図(A)、外嵌合している状態における垂直部分拡大断面図(B)。
【
図8】上記蓋体が上記容器本体に外嵌合している状態を示す正面図(A)、上記蓋体の開放の過程における上記容器本体の状態を示す正面図(B)、上記蓋体が上記容器本体から開放される前の状態(C)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、
図1~
図7を参照しつつ、本発明の一実施形態における包装用容器(以下「本包装用容器」もという。)及び本包装容器の使用方法について説明する。これらの図において、複数個存在する同一の部位については、一つの部位のみに付番した部分もある。説明の便宜上、所定の部位やこの引き出し線をかくれ線(破線)で示し、断面部分をハッチングで示した部分もある。説明において、上方、下方、外方、内方、垂直方向、水平方向等の方向を示す用語は、基本的に通常使用する向きで包装用容器を置いた状態を基準にし、これ以外を基準とする場合は適宜説明する。
【0019】
<本包装用容器の基本構成>
図1に示すように、本包装用容器は、内容物としてスーパーマーケット等の小売店内で販売される惣菜や弁当といった食品を包装するものであり、容器本体1と、容器本体1に装着される蓋体2とを備えている。容器本体1及び蓋体2は、平面視で略長方形状だが、正方形でも円形でも楕円形でもよく、また、小売店内の陳列棚に載置できる程度のサイズであればよく、縦・横・高さといった寸法を限定しない。
【0020】
<容器本体1>
容器本体1は、食品を載置する底部11と、底部11の周端縁から連続して上方に拡がりながら立ち上がる本体側部12とで形成される収容部1aと、収容部1aの上端縁でもある側部12の上端縁から連続して外方に延出する本体フランジ部13と、本体フランジ部13の先端から連続して外方に延出する本体摘み部14とを備えている。本体側部12の上端縁が、容器本体1の開口1bに相当する。換言すると、容器本体1は、開口1bの周方向に形成された本体フランジ部13と、本体フランジ部13に形成されて対角関係にある一対の本体摘み部14とを備えている。
【0021】
開口1b及び本体フランジ部13の周形状は平面視で略長方形状だが、正方形でも円形でも楕円形でもよい。一対の本体摘み部14は本体フランジ部13に形成されて開口1bの中心又は本体フランジ部13の周形状の中心を通る同一線上に位置してもよい。例えば、開口1b及び本体フランジ部13の周形状が平面視で円形や楕円形の場合、一対の本体摘み部14は、本体フランジ部13に形成されて開口1bの中心又は本体フランジ部13の周形状の中心を通る同一線上に位置し、換言すると、上記中心に対して正反対の端点に位置してもよく、また、開口1bに内接する正方形や長方形或いは本体フランジ部13に外接する正方形や長方形の対角線上に位置してもよい。
【0022】
容器本体1の大きさ(容量)は、小さめなハンディサイズより大きめのほうが好ましい。容器本体1の深さは、特に制限はないが、20~100mmであり、好ましくは30~70mmであり、より好ましくは35~55mmである。容器本体1は、内容物を仕切って収納する仕切りを有していてもよいが、捻りやすさや歪みやすさを優先すると仕切りを有さないほうがいい。
【0023】
<蓋体2>
蓋体2は、天面部21と、天面部21の周端縁から連続して下方に拡がりながら立ち下がる蓋体側部22とで形成されるカバー部2aと、カバー部2aの下端から連続して外方に形成された蓋体フランジ部23とを備えている。蓋体2は、容器本体1の本体フランジ部13を蓋体フランジ部23で上から覆うようにして容器本体1に外嵌合する。すなわち、蓋体フランジ部23は、容器本体1との外嵌合用である蓋体嵌合部24を有し、蓋体嵌合部24は、本体フランジ部13の先端に外側から嵌合する。蓋体2は、蓋体フランジ部23に形成されて対角関係にある一対の蓋体摘み部25を備えているが、蓋体摘み部25を備えていなくてもよい。
【0024】
<容器本体1から蓋体2が外された状態>
本体摘み部14の各々が矢印で示す反対方向に引っ張られて本体フランジ部13が歪んだ状態で蓋体2の嵌合が解除される。換言すると、本体摘み部14に追従して本体摘み部14同士を結ぶ対角線を中心に本体フランジ部13が折れ曲がるように捻じれて本体摘み部14付近が相対的に低くかつ細くなり、本体フランジ部13の先端が蓋体嵌合部24から離れるため、蓋体1が容器本体1から外れる。
【0025】
この構成によれば、蓋体2の嵌合状態を解除するために容器本体1を指で抑えたり、蓋体2を指で持ち上げたりしなくてもよい分、蓋体2を開放しやすく、また容器本体1がハンディサイズ以上でも実現しやすく、容器本体1が指の押圧でつぶれるように変形されない分、容器本体1の破損を回避しやすいのみならず、包装用容器に対して汎用的に採用しやすい効果を期待できる。
【0026】
<容器本体1の素材・形成方法・寸法等の仕様>
容器本体1は、合成樹脂シートを基材として成型したものである。合成樹脂シートは、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂製、ポリスチレン系樹脂製のポリスチレンペーパー(PSP)、GPポリスチレンにブタジエン共重合体などの弾性体を配合して耐衝撃性を改良した耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂製であり、単層又は複数層で構成されてもよく、有色又は無色透明でも、不透明であってもよく、耐熱性を有する素材で形成されてもよい。合成樹脂シートは、真空成型・熱板圧空成型・真空圧空成型・両面真空成型等といった熱成型法により所望の容器本体形状へ形成される。合成樹脂シートの表面及び/又は裏面を合成樹脂フィルムで積層してもよい。合成樹脂フィルムは、耐熱性・耐油性・印刷層との積層適性・ガスバリア性等を有する単層又は複数層で構成されてもよく、合成樹脂シートの表面を積層した場合は印刷層を含んでもよい。
【0027】
合成樹脂シートは、発泡樹脂製でも非発泡樹脂製でもよいが、本発明においては非発泡樹脂製のほうが所望の効果を得られやすい。合成樹脂シートの厚みは特に制限はないが、非発泡樹脂製の場合は0.18~1mmであればよく、好ましくは0.3~0.8mm、さらに好ましくは0.35~0.6mmである。発泡倍率が1.5~3倍の低発泡樹脂製の場合は0.5~3mmであればよく、好ましくは1~2mmである。また、発泡倍率が5~15倍の高発泡樹脂製の場合は1.5~5mmであればよく、好ましくは1.8~4mmであり、より好ましくは2.0~3.5mmである。なお、発泡倍率とは、発泡前のもの(発泡性組成物)と発泡後のもの(発泡シート)の比容積(単位:cc/g)を測定し、発泡後の比容積/発泡前の比容積によって算出されたものをいう。容器本体1の大きさは、例えば幅150~350mm、奥行き150~350mmであってもよい。
【0028】
本発明において、上述した効果を得るために用いる素材としては、例えば、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)といったポリオレフィン系樹脂が挙げられ、具体的には、ポリオレフィン系樹脂を80wt%以上含むシートを用いればよい。
【0029】
さらに、別の素材としては、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)といったポリオレフィン系樹脂に紙パウダーを混合した成型用組成物が挙げられ、具体的には、ポリオレフィン系樹脂を25~80wt%、紙パウダーを20~75wt%含むシートを用いればよい。ここで、紙パウダーの平均粒径は30~80μmであることが好ましい。
【0030】
さらに、別の素材としては、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)といったポリオレフィン系樹脂にタルク、炭酸カルシウム、シリカといった無機フィラーを混合した成型用組成物が挙げられ、具体的には、ポリオレフィン系樹脂を5~95wt%、無機フィラーを5~95wt%含むシートを用いればよく、ポリオレフィン系樹脂を30~50wt%、無機フィラーを50~70wt%を含むシートを用いてもよく、ポリオレフィン系樹脂を40~49wt%、無機フィラーを51~60wt%含むシートを用いてもよい。ここで、無機フィラーの平均粒径は10nm~100μmであることが好ましい。
【0031】
また、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂を採用する場合には、素材自体がポリオレフィン系樹脂に比べて固いため、本体つまみ部に折り曲げ手段などを設けて、ふたがしまった際につまみ部が折り曲げ手段にて下方へ折れ曲がることにより、ふたの閉める際に障害にならないようにする必要がある。
【0032】
また、ポリスチレン系樹脂製のポリスチレンペーパー(PSP)、GPポリスチレンにブタジエン共重合体などの弾性体を配合して耐衝撃性を改良した耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)を採用する場合には、容器自体の大きさを大きくする必要があり、例えば短径を平面視150mm以上とする必要がある。
【0033】
上述したように、
図1に示す本体摘み部14の各々が矢印で示す反対方向に引っ張られて本体フランジ部13が歪んで容器本体1から蓋体2の嵌合が解除される状態における容器本体1の引っ張り強度が5~15Nであり、好ましくは6~14Nであり、より好ましくは8~12Nであり、5N未満だと低過ぎて不本意に上記状態を招きやすく、15N超だと高過ぎて上記状態に至らずに本発明の効果を期待しにくい。
【0034】
このような容器本体1の引っ張り強度の発現は、容器本体1の形状、容器本体1の形状と蓋体2の形状との相関、或いは容器本体1の素材のいずれか1つ、又は2つ以上の組み合わせに起因してもよい。上記発現に起因する容器本体1の素材は所望の柔軟性を得られるものであればよいが、上記発現効率を高めるためにより柔軟性を得られるものとして好ましくは25~80wt%のポリオレフィン系樹脂を含有し、より好ましくはさらに20~75wt%の紙パウダーを含有していてもよい。
【0035】
<蓋体2の素材・形成方法・寸法等の仕様>
蓋体2は、例えば真空成型、熱板圧空成型、真空圧空成型、両面真空成型等のシート成型で、合成樹脂シートを熱成型することにより形成されてもよい。合成樹脂シートは、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂製やポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂製、二軸延伸ポリスチレン(OPS;Oriented Polystyrene)といったポリスチレン系樹脂製で、単層や多層のシートで形成されていてもよく、無色透明が好ましいが、有色又は不透明であってもよい。さらに、合成樹脂シートの表面及び/又は裏面を耐熱性・耐油性・印刷層との積層適性・ガスバリア性等を有する合成樹脂フィルムで覆ってもよく、表面を覆った場合は印刷を施してもよい。合成樹脂シートは、発泡樹脂製でも非発泡樹脂製でもよいが、本発明においては非発泡樹脂製のほうが所望の効果を得られやすい。合成樹脂シートの厚みは特に制限はないが、非発泡樹脂製の場合は0.18~1mmであればよく、好ましくは0.23~0.75mm、さらに好ましくは0.25~0.5mmである。蓋体2の大きさは、例えば幅150~350mm、奥行き150~350mmであってもよい。
【0036】
<底部11、本体側部12>
図1に示すように、底部11は、周端縁付近より中央の平坦部分が僅かに高い段差状であるが、段差の高低差を限定せず、3段以上の段差状であってもよい。本体側部12は、縦方向に延びて横方向に凸凹しているリブ状であるが、リブの高低差を限定せず、縦方向に凸凹していても、平坦状であってもよい。開口1bは、本体フランジ部13の平面視形状と同形状だが、異形状でもよい。
【0037】
<本体フランジ部13>
図2に示すように、本体フランジ部13は、平面視略長方形状であり、全周に渡って同じ幅だが、平面視正方形状でも五角形以上でも円形状でも楕円形状でもよく、例えば角部分の幅が相対的に広くてもよい。本体フランジ部13は、R状に面取りされた4つの本体フランジ角部13aと、本体フランジ角部13aと連続している本体フランジ長手直線部13b・本体フランジ短手直線部13cとを有する。
【0038】
図3に示すように、本体フランジ部13は、垂直端面視円弧状であり、本体側部12の上端縁から連続して外方に形成された本体フランジ円弧部13dと、本体フランジ円弧部13dの外端縁から外方に突出した本体フランジ先端部13eとを有する。
【0039】
<本体フランジ角部13a>
図2に示すように、本体フランジ角部13aは、本体摘み部14、14が形成された一対の本体フランジ第1角部13af、13afと、本体摘み部14、14が形成されない一対の本体フランジ第2角部13as、13asとを有する。本体フランジ角部13aの曲率半径は、全て同等でも、本体フランジ第1角部13afと本体フランジ第2角部13asとで異なってもよく、包装用容器のサイズにもよるが、5mm~50mmであり、好ましくは10~40mm、より好ましくは20~30mmであり、5mmより小さくても50mmより大きくても蓋体の嵌合を解除しにくいおそれがある。
【0040】
<本体摘み部14>
図2に示すように、本体摘み部14は、本体フランジ部13の周端縁から外方に延出するように形成され、例えば親指と人差し指とで把持できる程度のサイズであり、本体フランジ第1角部13afの二等分線上に位置しており、蓋体2が装着されていない状態で略水平方向に延出するが、本体フランジ第1角部13afとの境界で折り曲げ自在であってもよく、蓋体2が装着された状態で蓋体フランジ部23と干渉して下方に折れ曲がってもよい。
【0041】
<天面部21>
図1に示すように、天面部21は、周端縁付近より中央の平坦部分を僅かに高くしてある段差状であり、包装用容器同士を上下に積み重ねやすいように容器本体1の底部11と一致する形状であるが、段差の高低差を限定せず、3段以上の段差状であってもよい。
【0042】
<蓋体フランジ部23>
図4に示すように、蓋体フランジ部23は、本体フランジ部13を上から覆って外嵌合できる程度に一致する平面視及び垂直端面視形状であればよい。蓋体フランジ部23は、平面視略長方形状であり、全周に渡って同じ幅である。蓋体フランジ部23は、R状に面取りされた4つの蓋体フランジ角部23aと、蓋体フランジ角部23aと連続している蓋体フランジ長手直線部23b・蓋体フランジ短手直線部23cとを有する。
【0043】
図5に示すように、蓋体フランジ部23は、垂直端面視で、蓋体側部22の下端縁から連続して上方に立ち上がる蓋体フランジ内側部23dと、蓋体フランジ内側部23dの上端縁から連続して外方に延出する蓋体フランジ平坦部23eと、蓋体フランジ平坦部23eの外端縁から連続して下方に垂れ下がる壁状の蓋体フランジ先端部23fと、蓋体フランジ先端部23fの壁から内方に突出する蓋体嵌合部24とを有する。
【0044】
<蓋体フランジ角部23a>
図4に示すように、蓋体フランジ角部23aは、蓋体摘み部25が形成された一対の蓋体フランジ第1角部23af、23afと、蓋体摘み部25が形成されない一対の蓋体フランジ第2角部23as、23asとを有する。蓋体フランジ角部23aの曲率半径は、全て同等でも、蓋体フランジ第1角部23afと蓋体フランジ第2角部23asとで異なっていてもよい。
【0045】
<蓋体嵌合部24>
図5(A)及び(B)に示すように、蓋体嵌合部24は、少なくとも蓋体フランジ第1角部23afに形成された蓋体第1嵌合部24aを有すればよく、好ましくは蓋体フランジ第2角部23asに形成された蓋体第2嵌合部24bを有し、より好ましくは蓋体フランジ長手直線部23bに形成された蓋体第3嵌合部24c及び/又は蓋体フランジ短手直線部23cに形成された蓋体第4嵌合部24dとを有する。蓋体嵌合部24は、横幅・縦幅・突出量といった寸法を限定されない。
【0046】
蓋体第1嵌合部24aは、蓋体摘み部25の両脇に形成されている。蓋体第2嵌合部24bは、蓋体フランジ第2角部23asの一端から他端に渡って形成されており、周方向に凸凹するリブ状に形成されており、換言すると、連続して突出せず所定の間隔毎に断続して突出するように形成されている。蓋体第3嵌合部24cは蓋体フランジ長手直線部23bの中央、蓋体第4嵌合部24dは蓋体フランジ短手直線部23cの中央にそれぞれ1つ形成されているが、中央以外に1つ又は2つ以上形成されてもよい。
【0047】
<容器本体1と蓋体2との嵌合状態における相互関係>
図7(A)及び(B)は、蓋体第1嵌合部24aを含む蓋体フランジ部23及び本体フランジ部13の切断面であり、上記切断面の奥に存在する蓋体フランジ先端部23f及び蓋体摘み部25、並びに本体摘み部14が示されたものである。
図7(A)に示すように、蓋体2が容器本体1に装着されておらず外嵌合していない状態で、蓋体摘み部25及び本体摘み部14は略水平に延出している。そして
図7(B)に示すように、蓋体2が容器本体1に装着されて外嵌合している状態になる過程で、蓋体フランジ先端部23fが上方から下方に向かって本体フランジ先端部13eをスライドしつつ、蓋体第1嵌合部24aも上方から下方に向かって本体フランジ先端部13eをスライドすることで、蓋体2が容器本体1に外嵌合している状態に移行すると共に、本体摘み部14が蓋体フランジ先端部23fに押されて下向きになる。
【0048】
<本包装用容器の使用方法>
図8(A)に示すように、蓋体2の蓋体フランジ部23を容器本体1の本体フランジ部13の外側から外嵌合し、蓋体2で容器本体1の開口を閉じる。具体的には、蓋体2を容器本体1に向かって押圧し、蓋体第1嵌合部24a・蓋体第2嵌合部24b・蓋体第3嵌合部24c・蓋体第4嵌合部24dを本体フランジ先端部13eに引っ掛けるように外嵌合し、蓋体2を容器本体1に装着する。
【0049】
この状態から蓋体2を取り外すには、対角関係にある本体摘み部14、14を反対方向に引っ張る。具体的には、蓋体フランジ部23に押されて斜め下向きになった本体摘み部14、14を親指と人差し指等とで摘み、本体摘み部14、14を対角線に沿って反対方向に引っ張ったり、容器本体1の長手方向と平行に引っ張ったりすると、蓋体フランジ部23を上方に持ち上げるようとする外力が本体摘み部14、14から蓋体フランジ部23に伝わる。
【0050】
さらに、
図8(B)に示すように、容器本体1の本体摘み部14、14を反対方向に引っ張ると、本体フランジ第1角部13af、13afが本体摘み部14、14に引っ張られて先細くなろうとし、本体摘み部14、14を通る対角線を中心に本体フランジ部13及び収容部1aが折れ曲がろうとすると、本体フランジ第2角部13as、13asが本体フランジ第1角部13af、13afと比べて相対的に高くなろうとすることで、本体フランジ部13が捻じれて高低差を発生させ、これに伴って本体フランジ長手直線部13b・本体フランジ短手直線部13cが傾斜する。
【0051】
すなわち、
図8(C)に示すように、本体フランジ第1角部13af、13af、及びこれらに隣接する本体フランジ長手直線部13b・本体フランジ短手直線部13cが、蓋体フランジ部23から離れようとすることで、最終的に蓋体第1嵌合部24a・蓋体第3嵌合部24c・蓋体第4嵌合部24dから外れる。
【0052】
一方、本体フランジ第2角部13as、13asは蓋体フランジ部23から離れず留まろうとするが、本体フランジ第1角部13af、13af・本体フランジ長手直線部13b・本体フランジ短手直線部13cが蓋体第1嵌合部24a・蓋体第3嵌合部24c・蓋体第4嵌合部24dから離れることで蓋体2に弾性力が生じ、蓋体2が本体フランジ部13から跳ね上がろうとするため、本体フランジ第2角部13as、13asが蓋体フランジ部23から離れてしまわないように、蓋体第2嵌合部24bが本体フランジ第2角部13as、13asの離脱を抑制する。容器本体1は弾性変形により元の形状に戻る。
【0053】
したがって、本包装用容器の使用方法は、容器本体1のフランジ部13に形成されて対角関係にある一対の本体摘み部14、14の各々を反対方向に引っ張り本体フランジ部13を歪ませて蓋体2の嵌合を解除することにより、容器本体1を指で抑えたり蓋体2を指で持ち上げたりしなくてもよい分、蓋体2を開放しやすく、また容器本体1がハンディサイズ以上でも実現しやすく、容器本体1が指の押圧でつぶれるように変形されない分、容器本体1の破損を回避しやすいのみならず、汎用的な包装用容器にも採用しやすい効果を期待できる。
【0054】
また、本体摘み部14、14が形成された一対の本体フランジ第1角部13af、13afに嵌合する蓋体第1嵌合部24a、24aの嵌合を解除し、一方、本体摘み部14、14が形成されない一対の本体フランジ第2角部13as、13asの少なくとも一方に嵌合し、かつ本体フランジ第2角部13asの一端から他端に渡って所定の間隔で嵌合する蓋体第2嵌合部24bの嵌合を解除しないことにより、本体摘み部14、14の引っ張りにより勢いよく外れた蓋体2の跳ね上がりを抑制できるため、安全に蓋体2を開放しやすい効果を期待できる。
【0055】
なお、本実施形態に示した包装用容器及びこの使用方法は、上述した内容に限定されず、同等の効果を得られる限り、あらゆる部位の位置・形状・寸法や、部位同士の関係を含む。
【実施例0056】
以下に、実施例として
図1~
図8に示す包装用容器の容器本体1及び蓋体2の評価試験について、参照等の便宜上、各図を用いて説明する。
【0057】
<実施例1、2について>
実施例1は、
図1に示すような容器本体1の幅が平面視で長手方向240mm・短手方向170mm、深さが50mm、厚さが0.5mm、蓋体2の幅が平面視で容器本体1と略同等、高さが40mm、厚さが0.35mmである。実施例2は、容器本体1及び蓋体2の幅が平面視で長手方向190mmであり、その他は実施例1と同等である。実施例1、2における容器本体1は、少なくともポリオレフィン系樹脂49wt%と紙パウダー51wt%とを配合して得られたものである。
【0058】
<実施例の評価試験方法>
図8(a)に示すように容器本体1と蓋体2とを装着した状態で、容器本体1の本体摘み部14、14をInstron社製引張試験機「5900 Series」のチャックで挟み、上記チャックの各々を本体摘み部14、14における対角線上かつ反対方向に速度50mm/minで引っ張り、
図6(A)及び
図7に示す蓋体第1嵌合部24a、24aの少なくとも一方又は同時に双方が本体フランジ先端部13eから外れた瞬間の引張強度(N)を測定する。
【0059】
<試験結果>
表1に示すように、上記引張強度は、実施例1で平均9.99N、実施例2で平均11.2Nであった。
【表1】
【0060】
この結果から、容器本体1及び蓋体2の長手方向の幅と短手方向の幅との差が小さいほど、上記引張強度が高くなることを認識した。また、容器本体1のポリオレフィン系樹脂の配合率を高めて紙パウダーの配合率を低めた場合、容器本体1の剛性が低くなることから、上記引張強度が上記平均より低くなって容器本体1がすぐに捻じれて蓋体第1嵌合部24a、24aが本体フランジ先端部13eから外れやすくなるおそれがあることを認識した。一方、容器本体1のポリオレフィン系樹脂の配合率を低めて紙パウダーの配合率を高めた場合、容器本体1の剛性が高くなることから、上記引張強度が上記平均より高くなるか、或いは容器本体1が捻じれず蓋体第1嵌合部24a、24aが本体フランジ先端部13eから外れないおそれがあることを認識した。