IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ダイヘンの特許一覧

<>
  • 特開-負荷時タップ切換装置 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141863
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】負荷時タップ切換装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/02 20060101AFI20241003BHJP
   H01F 27/14 20060101ALI20241003BHJP
   H01F 29/04 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H01F27/02 C
H01F27/14 A
H01F29/04 502L
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053713
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】大迫 力
【テーマコード(参考)】
5E050
5E059
【Fターム(参考)】
5E050DA10
5E059AA01
5E059BB13
5E059BB15
5E059EE06
(57)【要約】
【課題】外気による吸湿から植物油を効果的に保護することができる負荷時タップ切換装置1及びコンサベータを提供する。
【解決手段】本開示に係る負荷時タップ切換装置1は、負荷時に変圧器2のタップを切り換えるための電路を開閉する切換開閉器13と、電気絶縁性を有する植物油41が充填され、前記切換開閉器13を収容する容器12と、該容器12に連通し、前記植物油41及び不活性ガス42が密封されるコンサベータ3とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷時に変圧器のタップを切り換えるための電路を開閉する切換開閉器と、
電気絶縁性を有する植物油が充填され、前記切換開閉器を収容する容器と、
該容器に連通し、前記植物油及び不活性ガスが密封されるコンサベータと
を備えることを特徴とする負荷時タップ切換装置。
【請求項2】
前記不活性ガスの圧力に応じて警報を発する警報部を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の負荷時タップ切換装置。
【請求項3】
前記警報部は前記圧力の上昇率が所定値を超過した場合に前記警報を発することを特徴とする請求項2に記載の負荷時タップ切換装置。
【請求項4】
前記警報部は、前記圧力の値が所定の上限値を上回るか、又は所定の下限値を下回った場合に前記警報を発することを特徴とする請求項2又は3に記載の負荷時タップ切換装置。
【請求項5】
前記変圧器の非過熱時の前記不活性ガスの圧力は、大気圧よりもa(aは0.005≦a≦0.025の値)Mpa大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の負荷時タップ切換装置。
【請求項6】
電気絶縁性を有する植物油が充填され、電路を開閉する開閉器を収容する容器に連通し、前記植物油及び不活性ガスが密封されることを特徴とするコンサベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、負荷時タップ切換装置及びコンサベータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、負荷時に変圧器のタップを切り換えるための電路を開閉する切換開閉器と、切換開閉器を収容する容器と、開放型のコンサベータとを備える負荷時タップ切換装置が記載されている。
容器には絶縁油として電気絶縁性を有する植物油が充填される。コンサベータは、温度変化による植物油の膨張収縮を吸収するための器である。コンサベータの下部は植物油を収容し、連結管を介して容器に連結される。コンサベータの上部は空気を収容し、呼吸管を介して装置外部に開放される。植物油が膨張した場合、コンサベータ内の空気が装置外部に流出し、植物油が収縮した場合、コンサベータ内に外気が吸い込まれる。
【0003】
例えば鉱油を用いた場合と比べて、植物油を用いた場合の環境負荷は小さい。ところが植物油は吸湿しやすく、吸湿により、植物油の電気絶縁性は低下する。そこで、特許文献1に記載の負荷時タップ切換装置は、呼吸管の中途に、コンサベータに流入する外気を除湿する吸湿剤又は中空糸膜を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-145720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
吸湿剤又は中空糸膜による完全な除湿は困難なので、より効果的に、外気による吸湿から植物油を保護する必要がある。この問題は、負荷時タップ切換装置のコンサベータに限定されず起こり得る。
【0006】
本開示の目的は、外気による吸湿から植物油を効果的に保護することができる負荷時タップ切換装置及びコンサベータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る負荷時タップ切換装置は、負荷時に変圧器のタップを切り換えるための電路を開閉する切換開閉器と、電気絶縁性を有する植物油が充填され、前記切換開閉器を収容する容器と、該容器に連通し、前記植物油及び不活性ガスが密封されるコンサベータとを備えることを特徴とする。
【0008】
本開示にあっては、切換開閉器が容器に収容される。切換開閉器は、負荷時に変圧器のタップを切り換えるための電路を開閉する。
容器には電気絶縁性を有する植物油が充填され、コンサベータが連通する。コンサベータには植物油及び不活性ガスが密封される。植物油が膨張した場合に不活性ガスが収縮し、植物油が収縮した場合に不活性ガスが膨張することにより、植物油の膨張収縮を吸収することができる。
【0009】
密封により、コンサベータ内外の通気が遮断されるので、コンサベータに外気が流入しない。故に、外気による吸湿から植物油を効果的に保護することができる。また、外気による酸化からも植物油を効果的に保護することができる。外気に起因する植物油の絶縁性の低下を防止することができるので、負荷時タップ切換装置の長寿命化を図ることができる。
【0010】
本開示に係る負荷時タップ切換装置は、前記不活性ガスの圧力に応じて警報を発する警報部を更に備えることを特徴とする。
【0011】
本開示にあっては、警報部が不活性ガスの圧力に応じて警報を発する。
不活性ガスの圧力の状態(過剰な上昇又は下降等)は、変圧器又は負荷時タップ切換装置の異常を示していることがある。例えば変圧器又は負荷時タップ切換装置の使用者が、警報部が発した警報を受けることにより、変圧器又は負荷時タップ切換装置の異常に対処することができる。
【0012】
本開示に係る負荷時タップ切換装置は、前記警報部は前記圧力の上昇率が所定値を超過した場合に前記警報を発することを特徴とする。
【0013】
本開示にあっては、不活性ガスの圧力の上昇率が所定値を超過した場合に警報部が警報を発する。
不活性ガスの圧力の上昇率が所定値を超過した場合とは、変圧器又は負荷時タップ切換装置の異常により不活性ガスの圧力が急激に上昇した場合である。故に、変圧器又は負荷時タップ切換装置に異常が生じた可能性が大きい場合に警報を発することができる。
【0014】
本開示に係る負荷時タップ切換装置は、前記警報部は、前記圧力の値が所定の上限値を上回るか、又は所定の下限値を下回った場合に前記警報を発することを特徴とする。
【0015】
本開示にあっては、不活性ガスの圧力の値が所定の上限値を上回るか、又は所定の下限値を下回った場合に警報部が警報を発する。
不活性ガスの圧力の値が所定の上限値を上回るか、又は所定の下限値を下回った場合とは、変圧器又は負荷時タップ切換装置の異常により不活性ガスの圧力の値が所定の範囲から徐々に(若しくは急激に)逸脱した場合である。故に、変圧器又は負荷時タップ切換装置に異常が生じた可能性が大きい場合に警報を発することができる。
【0016】
本開示に係る負荷時タップ切換装置は、前記変圧器の非過熱時の前記不活性ガスの圧力は、大気圧よりもa(aは0.005≦a≦0.025の値)Mpa大きいことを特徴とする。
【0017】
本開示にあっては、変圧器の非過熱時の不活性ガスの圧力が大気圧よりも少し大きい。故に、コンサベータ及び容器夫々が、大気圧を大幅に上回る高圧に耐え得る構造を有する必要はない。不活性ガスの圧力と大気圧との差は、0.005Mpa以上、0.025Mpa以下である。
【0018】
本開示に係るコンサベータは、電気絶縁性を有する植物油が充填され、電路を開閉する開閉器を収容する容器に連通し、前記植物油及び不活性ガスが密封されることを特徴とする。
【0019】
本開示にあっては、容器に連通するコンサベータに、電気絶縁性を有する植物油及び不活性ガスが密封される。容器は開閉器を収容する。容器には植物油が充填される。開閉器は電路を開閉する。
密封により、コンサベータに外気が流入しないので、外気による吸湿及び酸化夫々から植物油を効果的に保護することができる。
【発明の効果】
【0020】
本開示の負荷時タップ切換装置及びコンサベータによれば、外気による吸湿から植物油を効果的に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施の形態に係る負荷時タップ切換装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本開示の実施の形態について説明する。
【0023】
図1は実施の形態に係る負荷時タップ切換装置の模式図である。
図中1は負荷時タップ切換装置であり、負荷時タップ切換装置1は変圧器2に備えられている。
変圧器2は変圧器タンク21及び変圧器本体22を備える。変圧器タンク21には絶縁油が充填されており、変圧器本体22が収容されている。変圧器本体22は不図示のコイル及びコアを有する。
【0024】
負荷時タップ切換装置1はタップ選択器11、容器12、及び切換開閉器13を備える。
タップ選択器11は変圧器タンク21に収容されている。タップ選択器11には不図示の複数のタップが設けられている。複数のタップ夫々は変圧器本体22のコイルに接続されている接続端子であり、変圧器2の相異なる変圧比に対応する。タップ選択器11は、複数のタップの内の1つを選択するための不図示の電路を有する。
容器12は、容器12の内部空間と変圧器タンク21の内部空間とが隔絶されるようにして、変圧器タンク21に取り付けられている。容器12には切換開閉器13が収容されている。
【0025】
切換開閉器13は、容器12を液密に貫通して変圧器タンク21の内側に引き出された不図示の導線により、タップ選択器11の電路に接続されている。
切換開閉器13は、タップ選択器11の電路を開閉するための不図示のスイッチ及び真空バルブ等を有する。変圧器2の負荷に応じて駆動された切換開閉器13が、タップ選択器11の一のタップに接続されている電路を閉じると共に他のタップに接続されている電路を開くことにより、一のタップが選択される。即ち、負荷時タップ切換装置1が他のタップから一のタップに切り替える。この結果、変圧器2の変圧比が変圧器2の負荷に応じた変圧比に切り換えられる。
【0026】
負荷時タップ切換装置1は密封型(密閉型)のコンサベータ3を更に備える。コンサベータ3は、連結管31を介して容器12に連通しており、例えば円形断面を有する器である。コンサベータ3及び連結管31は容器12の上側に位置している。連結管31の一端部はコンサベータ3の最下部に連結されており、連結管31の他端部は容器12の最上部に連結されている。
コンサベータ3の上部にはガス封入管32の一端部が連結されている。以下では、ガス封入管32の他端部の開口をガス封入口321という。ガス封入管32の他端部には閉止部33が設けられている。閉止部33は例えば閉止バルブ及び閉止蓋で構成されており、通常、ガス封入口321を閉止している。
【0027】
コンサベータ3、連結管31、ガス封入管32、及び容器12は密封されているので、これらの内圧は等しい。
容器12及び連結管31には、絶縁油として、電気絶縁性を有する植物油41が充填されている。コンサベータ3には植物油41及び不活性ガス42が密封されている。植物油41はコンサベータ3の少なくとも下部に収容されており、不活性ガス42はコンサベータ3の少なくとも上部に収容されている。不活性ガス42はガス封入管32にも密封されている。
【0028】
植物油41は、例えばパーム油である。図において右上がりのハッチングは植物油41が存在する範囲を示している。なお、植物油41はパーム油に限定されず、菜種油又は大豆油等でもよい。
不活性ガス42は、例えば窒素である。図において右下がりのハッチングは不活性ガス42が存在する範囲を示している。なお、不活性ガス42は窒素に限定されず、アルゴン又はヘリウム等でもよい。
【0029】
変圧器2の使用中、変圧器本体22は通電され、ジュール熱を発する。変圧器本体22が発したジュール熱の一部は、変圧器タンク21に充填されている絶縁油を介して容器12に伝わり、更に、容器12に充填されている植物油41に伝わる。
植物油41が熱膨張した場合、連結管31を通って植物油41がコンサベータ3に流入するので、コンサベータ3に密封されている不活性ガス42が収縮する。
植物油41が収縮した場合、連結管31を通って植物油41がコンサベータ3から流出するので、コンサベータ3に密封されている不活性ガス42が膨張する。
以上のような不活性ガス42の収縮/膨張により、植物油41の膨張/収縮を吸収することができる。
【0030】
密封により、コンサベータ3内外の通気が遮断されるので、コンサベータ3に外気が流入しない。故に、外気による吸湿から植物油41を効果的に保護することができる。また、外気による酸化からも植物油41を効果的に保護することができる。外気に起因する植物油41の絶縁性の低下を防止することができる。
【0031】
変圧器本体22が発したジュール熱の一部は、不活性ガス42に伝わる。不活性ガス42が熱膨張した場合、又は、熱膨張した植物油41が不活性ガス42を圧縮した場合、不活性ガス42の圧力が上昇する。不活性ガス42の圧力が上昇すれば、不活性ガス42と共にコンサベータ3に密封されている植物油41の圧力も上昇する。
変圧器2に生じる異常の一例として、例えば短絡による変圧器本体22の過熱が挙げられる。換言すれば、変圧器2の通常の運用時は変圧器本体22の非過熱時である。
【0032】
変圧器本体22の過熱時には、不活性ガス42の圧力は急激に上昇する。変圧器本体22の温度が最高運転温度を超え、不活性ガス42の圧力が最高運転圧力を超える。
しかしながら、コンサベータ3は密封されているので、不活性ガス42を装置外部に放出することによって不活性ガス42の圧力の上昇を抑えることはできない。
【0033】
そこで、負荷時タップ切換装置1は第1警報部51(警報部)を更に備える。また、変圧器2と共に、制御装置6が用いられる。
制御装置6は、例えば変圧器2の使用者が常駐している屋内又は屋外に設置される。制御装置6は継断部61及び報知部62を備える。継断部61は、電源から変圧器本体22への通電経路を継断可能なスイッチを有する。報知部62は、ランプ又は表示画面等を有する。
負荷時タップ切換装置1の第1警報部51は、不活性ガス42の圧力に応じて警報を発する。具体的には、第1警報部51は、不活性ガス42の圧力の上昇率(単位時間当たりの圧力の上昇量)が所定値を超過した場合に警報を発する。ここで、不活性ガス42の圧力の上昇率の所定値は、例えば0.01MPa/secである。
【0034】
例えば第1警報部51は衝撃ガス圧力継電器で構成されており、コンサベータ3の上部に配されている。第1警報部51は検出部511及び信号出力部512を有する。検出部511は、コンサベータ3内の不活性ガス42の圧力の時間的な変化(圧力の上昇率)を検出する。信号出力部512はリレーとしての機能を有し、通常はオン(警報信号を出力していない状態)であるが、検出部511の検出結果が所定値を超えた場合にオフ(警報信号を出力している状態)になる。信号出力部512は、信号線を介して制御装置6に接続されている。第1警報部51は、不活性ガス42の圧力の上昇率が所定値を超えた時点から1秒以内に(例えば0.2~0.3秒で)、信号出力部512から制御装置6に警報信号を出力する。
【0035】
第1警報部51からの警報信号が制御装置6に入力された場合、継断部61は、変圧器本体22の通電をオフにする。また、報知部62は、ランプの点灯又は表示画面におけるメッセージの表示等の手段により、変圧器本体22に異常が生じたことを使用者に報知する。異常を報知された使用者は、変圧器2の異常に対処することができる。
【0036】
継断部61が変圧器本体22の通電をオフにするので、保護協調を図ることができる。通電をオフにされた変圧器本体22の発熱量(変圧器本体22が発するジュール熱の量)はゼロに減少するので、不活性ガス42の圧力の上昇を抑えることができる。故に、不活性ガス42の圧力が急激に上昇した場合にコンサベータ3、連結管31、ガス封入管32、及び容器12夫々を過剰な高圧から保護することができる。
変圧器本体22の余熱は、例えば変圧器タンク21に設けられた不図示の放熱器により放熱される。
【0037】
不活性ガス42は、変圧器2の使用前にコンサベータ3に封入される。不活性ガス42をコンサベータ3に封入する場合、閉止部33が開放され、ガス封入口321からガス封入管32を通してコンサベータ3に不活性ガス42が送り込まれる。
不活性ガス42のコンサベータ3への封入時の圧力は、変圧器2の通常の運用時(即ち変圧器本体22の非過熱時)において不活性ガス42の圧力が大気圧よりも少し大きい値になるように調節される。不活性ガス42の圧力と大気圧との差は、0.005Mpa以上、0.025Mpa以下である。不活性ガス42の圧力が大気圧よりも少し大きい程度なので、コンサベータ3、連結管31、ガス封入管32、及び容器12夫々が、大気圧を大幅に超える高圧に耐え得る構造を有する必要はない。例えば容器12の油密耐圧値は0.1MPa~0MPaである。
【0038】
通常の運用時における不活性ガス42の圧力と大気圧との差の下限値(0.005Mpa)及び上限値(0.025Mpa)は、実験的に求められたものである。実用上、通常の運用時の不活性ガス42の圧力と大気圧との差は大気圧の1/10(0.01MPa)程度であることが最も好ましい。
【0039】
負荷時タップ切換装置1に生じる異常の一例として、例えば閉止部33による閉止が不十分でガス封入口321から不活性ガス42が漏出していることが挙げられる。この場合、不活性ガス42の圧力は徐々に下降して、所定の下限値(例えば大気圧の値が0.1MPaであれば0.105Mpa)を下回る。
負荷時タップ切換装置1に生じる異常の他の一例として、例えば劣化した植物油41から発生したガスの量が過剰になることが挙げられる。植物油41から発生したガスが不活性ガス42に混ざることにより、不活性ガス42の圧力は徐々に上昇して、所定の上限値(例えば大気圧の値が0.1MPaであれば0.125Mpa)を上回る。
【0040】
そこで、負荷時タップ切換装置1は第2警報部52(警報部)を更に備える。
第2警報部52は、不活性ガス42の圧力に応じて警報を発する。具体的には、第2警報部52は、例えば圧力計で構成されており、ガス封入管32に配されている。第2警報部52は不図示の検出部及び信号出力部を有する。第2警報部52は、ガス封入管32内の不活性ガス42の圧力の値を検出し、検出結果が所定の下限値を下回るか、又は所定の上限値を上回った場合、制御装置6に警報信号を出力する。
【0041】
第2警報部52からの警報信号が制御装置6に入力された場合、報知部62は、ランプの点灯又は表示画面におけるメッセージの表示等の手段により、負荷時タップ切換装置1に異常が生じたことを使用者に報知する。異常を報知された使用者は、負荷時タップ切換装置1の異常に対処することができる。
【0042】
負荷時タップ切換装置1は放圧装置53を更に備えることが好ましい。
放圧装置53は放圧管531及び放圧板532を有する。放圧管531の一端部は変圧器タンク21の上部に連結されている。放圧板532は、放圧管531の他端部の開口に取り付けられている。植物油41の圧力が所定値(例えば0.15Mpa、又は0.45Mpa)以下であれば、放圧板532は放圧管531の開口を閉止し続ける。植物油41の圧力が所定値を上回ると、植物油41に押された放圧板532が放圧管531の開口を開放する。このとき、放圧管531から外部(例えば不図示の油受け皿)に植物油41が放出されるので、容器12を過剰な高圧から保護することができる。
【0043】
放圧板532が放圧管531の開口を開放した場合、放圧装置53から制御装置6に警報信号が出力されてもよい。
負荷時タップ切換装置1は、不活性ガス42の温度に応じて警報を発する構成でもよい。しかしながら、不活性ガス42の温度は外乱(例えば外気の温度)の影響を受けやすいので、本実施の形態のように、不活性ガス42の圧力に応じて警報を発する構成の方が好ましい。
負荷時タップ切換装置1が継断部61を備え、継断部61が第1警報部51(又は第2警報部52)からの警報信号を受けて変圧器本体22の通電をオフにする構成でもよい。
【0044】
なお、変圧器2は電力用でも計器用でもよい。
コンサベータ3は、変圧器2が備える負荷時タップ切換装置1のコンサベータに限定されない。例えば、二系統の電源を排他的に切り替えるための電路を開閉する開閉器を備える電源切換装置が、この開閉器を収容している容器12と、容器12に連通したコンサベータ3とを備えていてもよい。
【0045】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。更に、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 負荷時タップ切換装置; 12 容器; 13 切換開閉器; 2 変圧器; 3 コンサベータ; 41 植物油; 42 不活性ガス; 51 第1警報部(警報部); 52 第2警報部(警報部)
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-07-03
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本開示は、負荷時タップ切換装置に関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本開示の目的は、外気による吸湿から植物油を効果的に保護することができる負荷時タップ切換装置を提供することにある。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本開示に係る負荷時タップ切換装置は、負荷時に変圧器のタップを切り換えるための電路を開閉する切換開閉器と、電気絶縁性を有する植物油が充填され、前記切換開閉器を収容する容器と、該容器に連通し、前記植物油及び不活性ガスが密封されるコンサベータとを備えることを特徴とする。
本開示に係る負荷時タップ切換装置は、負荷時に変圧器のタップを切り換えるための電路を開閉する切換開閉器と、電気絶縁性を有する植物油が充填され、前記切換開閉器を収容する容器と、該容器に連通し、前記植物油及び不活性ガスが密封され、該不活性ガスの封入時の圧力の調整により、前記変圧器の非過熱時の前記不活性ガスの圧力が大気圧よりもa(aは0.005≦a≦0.025の値)Mpa大きくなるコンサベータとを備えることを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
本開示の負荷時タップ切換装置によれば、外気による吸湿から植物油を効果的に保護することができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷時に変圧器のタップを切り換えるための電路を開閉する切換開閉器と、
電気絶縁性を有する植物油が充填され、前記切換開閉器を収容する容器と、
該容器に連通し、前記植物油及び不活性ガスが密封され、該不活性ガスの封入時の圧力の調整により、前記変圧器の非過熱時の前記不活性ガスの圧力が大気圧よりもa(aは0.005≦a≦0.025の値)Mpa大きくなるコンサベータと
を備えることを特徴とする負荷時タップ切換装置。
【請求項2】
前記不活性ガスの圧力に応じて警報を発する警報部を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の負荷時タップ切換装置。
【請求項3】
前記警報部は前記圧力の上昇率が所定値を超過した場合に前記警報を発することを特徴とする請求項2に記載の負荷時タップ切換装置。
【請求項4】
前記警報部は、前記圧力の値が所定の上限値を上回るか、又は所定の下限値を下回った場合に前記警報を発することを特徴とする請求項2又は3に記載の負荷時タップ切換装置。