(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141865
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】光電センサ
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20241003BHJP
G01C 3/06 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01C3/06 120Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053715
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】鄭 望
(72)【発明者】
【氏名】酒向 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】内田 雄一
【テーマコード(参考)】
2F112
5J084
【Fターム(参考)】
2F112AD01
2F112BA03
2F112CA12
2F112DA05
5J084AA05
5J084BA18
5J084BB02
5J084DA01
(57)【要約】
【課題】様々なスポット径を選択可能であり、比較的小型化が容易な光電センサを提供する。
【解決手段】光電センサは、光を投光する投光部と、投光部から投光された光が入力される入射面と当該入射面に入力された光が出力される出射面とのセットである入出射面セットを複数有する光学素子とを備え、複数の入出射面セットの1つが選択可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を投光する投光部と、
前記投光部から投光された前記光が入力される入射面と前記入射面に入力された前記光が出力される出射面とのセットである入出射面セットを複数有する光学素子と、を備え、
前記複数の入出射面セットの1つが選択可能である、
光電センサ。
【請求項2】
前記光学素子は、角柱の形状であり、前記入射面及び前記出射面は、前記角柱の側面である、
請求項1に記載の光電センサ。
【請求項3】
前記入出射面セットは、前記角柱の中心軸を回転軸として前記光学素子を回転させることにより、選択可能である、
請求項2に記載の光電センサ。
【請求項4】
前記光学素子を回転させる回転機構をさらに備え、
前記入出射面セットは、前記回転機構を回転させることにより、選択可能である、
請求項3に記載の光電センサ。
【請求項5】
前記光学素子は、前記回転機構に対して着脱可能である、
請求項4に記載の光電センサ。
【請求項6】
前記光学素子は、前記光を透過する部材を含んで構成され、前記入出射面セットの前記入射面と前記出射面とが互いに対向している、
請求項2に記載の光電センサ。
【請求項7】
前記入出射面セットの前記入射面と前記出射面とは、互いに異なる形状である、
請求項6に記載の光電センサ。
【請求項8】
前記複数の入出射面セットの少なくとも1つは、前記入射面及び前記出射面において、一方が平面であり、他方が凸面である、
請求項7に記載の光電センサ。
【請求項9】
前記光学素子は、前記光を反射する部材を含んで構成され、前記入出射面セットの前記入射面と前記出射面とは同一の面である、
請求項2に記載の光電センサ。
【請求項10】
前記複数の入出射面セットの少なくとも1つの前記入射面及び前記出射面は、凹面である、
請求項9に記載の光電センサ。
【請求項11】
前記光学素子が、前記複数の入出射面セットのうち、いずれの前記入出射面セットが選択されているかを示す情報を出力する出力部をさらに備える、
請求項1に記載の光電センサ。
【請求項12】
前記光学素子から出力され、対象物に反射された光を受光する受光部をさらに備える、
請求項1から11のいずれか1項に記載の光電センサ。
【請求項13】
前記投光部から投光された光と、前記受光部が受光する光とに基づいて、前記対象物が存在するか否かの検出、及び、前記対象物までの距離の測定を行う演算部と、
前記検出された前記対象物が存在するか否かを示す情報、及び/又は、前記測定された前記対象物までの距離を示す情報を出力する出力部と、をさらに備える、
請求項12に記載の光電センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光電センサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、以下の距離測定型光電センサが開示される。すなわち、距離測定型光電センサは、検出光を生成する発光素子と、発光素子の光軸上に配置され、検出光を検出領域に向けて投光するための投光レンズと、発光素子から投光レンズに至る検出光の光路長を調整する光路長調整機構と、検出領域において検出対象部から反射された検出光を受光し、受光信号を生成する受光素子と、受光信号に基づいて、検出光の伝搬時間から検出対象物までの距離を測定する距離演算部により構成される。光路長調整機構は、互いに平行な入射面及び出射面を有し、上記入射面及び上記出射面の距離が互いに異なる2以上の光路長変換素子を備え、上記発光素子及び上記投光レンズ間に上記光路長変換素子のいずれか1つを選択的に配置することにより、距離の測定に用いる上記検出光のスポット径の大きさを段階的に切り替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示にされる距離測定型光電センサは、入射面及び出射面の距離が最も大きい光路長変換素子に合わせて、発光素子及び投光レンズ間の距離を確保する必要がある。そのため、当該距離測定型光電センサは、検出光の光軸方向に長大化し、小型化が難しい。
【0005】
本開示の目的は、様々なスポット径を選択可能であり、比較的小型化が容易な光電センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る光電センサは、光を投光する投光部と、前記投光部から投光された前記光が入力される入射面と前記入射面に入力された前記光が出力される出射面とのセットである入出射面セットを複数有する光学素子と、を備え、前記複数の入出射面セットの1つが選択可能である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、様々なスポット径を選択可能であり、比較的小型化が容易な光電センサを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る光電センサの構成例を示す模式図
【
図2】実施の形態1に係る光学素子及び回転機構の構成例を示す模式図
【
図3】実施の形態1に係る、異なる距離で共通のスポット径を得る場合を説明するための模式図
【
図4】実施の形態1に係る、共通の距離で異なるスポット径を得る場合を説明するための模式図
【
図5】実施の形態1に係る、投光部と光学素子との間に透明部材を配置した場合の一例を示す模式図
【
図6】実施の形態1に係る光学素子の変形例を示す図
【
図7】実施の形態1に係る反射型の光学素子の第1例を示す模式図
【
図8】実施の形態1に係る反射型の光学素子の第2例を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
【0010】
(実施の形態1)
<光電センサの構成>
図1は、実施の形態1に係る光電センサ10の構成例を示す模式図である。
【0011】
なお、説明の便宜上、
図1に示すように、高さ方向の軸をZ軸とし、ビームの光軸に平行な軸をY軸とし、Z軸及びY軸と直交する軸をX軸とする。また、説明の便宜上、Z軸の正方向を「上」、Z軸の負方向を「下」、Y軸の正方向を「前」、Y軸の負方向を「後」、X軸の正方向を「右」、X軸の負方向を「左」と称する場合がある。なお、これらの方向に係る表現は、説明の便宜上用いられるものであって、当該構造の実使用時における姿勢を限定する意図ではない。
【0012】
光電センサ10は、所定の検出領域にワーク(対象物)2が存在するか否かの検出、及び、当該ワーク2までの距離の測定が可能なセンサである。光電センサ10は、投光部11、受光部12、光学素子20、回転機構30、制御部13、演算部14、及び、出力部15を備える。
【0013】
投光部11は、図示しない発光素子を含み、所定の投光信号から発光素子によってビームを生成し、当該ビームを検出領域の方向(Y軸の正方向)に投光(照射)する。あるいは、投光部11は、発光素子に加えて図示しない投光レンズを含み、所定の投光信号から発光素子及び投光レンズによってビームを生成してもよい。投光部11から投光されたビームを、投光ビーム3と称する。
【0014】
光学素子20は、光が透過可能な透明部材を含んで構成される。光学素子20は、投光ビーム3の光軸が通過する位置に配置される。なお、光学素子20の詳細については後述する(
図2参照)。
【0015】
回転機構30は、光学素子20を回転させる機構を有する。なお、回転機構30の詳細については後述する(
図2参照)。
【0016】
投光部11から投光され、光学素子20を通過した投光ビーム3は、検出領域にワーク2が存在する場合、当該ワーク2によって反射する。当該ワーク2によって反射されたビームを、反射ビーム4と称する。
【0017】
受光部12は、図示しない受光素子及び受光レンズを含み、受光レンズを透過して受光素子にて反射ビーム4を受光した場合、受光信号を生成する。あるいは、受光部12は、受光レンズを含まず、図示しない受光素子を含み、受光素子にて反射ビーム4を受光してもよい。
【0018】
制御部13は、投光部11における発光素子の駆動を制御する。演算部14は、受光信号に基づいて、検出領域にワーク2が存在するか否かを検出する。加えて、演算部14は、投光信号と受光信号とに基づいてビームの飛行時間を計測し、その飛行時間に基づいてワーク2までの距離を測定する。すなわち、光電センサ10は、いわゆるTime Of Flight(TOF)センサとして動作する。なお、制御部13及び演算部14は、プロセッサ、コントローラ、Large Scale Integration(LSI)、Central Processing Unit(CPU)、Field Programmable Gate Array(FPGA)、Application Specific IC(ASIC)といった他の用語に読み替えられてよい。また、制御部13及び演算部14は、メモリを含んでよい。メモリは、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを含んでよい。また、制御部13及び演算部14は、一体として構成されてもよいし、それぞれ別体として構成されてもよい。
【0019】
出力部15は、検出領域にワーク2が存在するか否かを示す情報、及び、ワーク2までの距離を示す情報の少なくとも1つを出力する。出力部15は、ディスプレイ、信号灯、及び/又は、スピーカ等であってよい。
【0020】
<光学素子及び回転機構の構成>
図2は、実施の形態1に係る光学素子20及び回転機構30の構成例を示す模式図である。
図2は、光学素子20及び回転機構30を上から見た図(つまりZ軸の負方向を見た図)である。
【0021】
図1及び
図2に示すように、光学素子20は、中心軸22が高さ方向(Z軸方向)に平行な角柱の形状を呈する。角柱の側面の数は偶数であってよい。光学素子20の互いに対向する2つの側面21は、投光ビーム3の入射面と出射面となる。
【0022】
光学素子20の側面21の少なくとも1つは、所定の曲率半径を有する凸面であってよい。光学素子20の側面21の少なくとも1つは、所定の曲率半径を有する凹面であってよい。光学素子20の側面21の少なくとも1つは、平面であってよい。
【0023】
例えば、
図2に示す光学素子20は、六角柱の形状を呈した異形レンズを形成しており、第1側面21Aと第4側面21D、第2側面21Bと第5側面21E、第3側面21Cと第6側面21Fが、それぞれ、互いに対向している。第1側面21Aと第2側面21Bと第3側面21Cとは凸面であり、第4側面21Dと第5側面21Eと第6側面21Fとは平面である。第1側面21Aの凸面と、第2側面21Bの凸面と、第3側面21Cの凸面とは、互いに曲率半径が異なる。第1側面21Aの凸面の曲率半径をR1、第2側面21Bの凸面の曲率半径をR2、第3側面21Cの凸面の曲率半径をR3とする。
【0024】
回転機構30は、XY平面において回転可能な機構を備える。さらに、回転機構30は、上面に、光学素子20を着脱可能な機構を備える。このとき、光学素子20の中心軸22と回転機構30の回転軸31とが一致するように、光学素子20は回転機構30に装着される。回転機構30を回転させると、光学素子20は、中心軸22を中心に軸回転する。したがって、回転機構30を回転させることにより、光学素子20のいずれの側面21を入射面及び出射面にするかを選択できる。
【0025】
本実施の形態では、入射面と出射面のセットを入出射面セットと称する。第1側面21Aを入射面とし、第4側面21Dを出射面とした場合を、第1入出射面セットと称する。第2側面21Bを入射面とし、第5側面21Eを出射面とした場合を、第2入出射面セットと称する。第3側面21Cを入射面とし、第6側面21Fを出射面とした場合を、第3入出射面セットと称する。第4側面21Dを入射面とし、第1側面21Aを出射面とした場合を、第4入出射面セットと称する。第5側面21Eを入射面とし、第2側面21Bを出射面とした場合を、第5入出射面セットと称する。第6側面21Fを入射面とし、第3側面21Cを出射面とした場合を、第6入出射面セットと称する。
【0026】
入出射面セットの入射面と出射面とは、共通の形状であってもよいし、互いに異なる形状であってもよい。例えば、複数の入出射面セットの少なくとも1つは、入射面及び出射面において、一方が平面であり、他方が凸面であってよい。例えば、複数の入出射面セットの少なくとも1つは、入射面及び出射面において、一方が平面であり、他方が凹面であってよい。例えば、複数の入出射面セットの少なくとも1つは、入射面及び出射面において、一方が凹面であり、他方が凸面であってよい。例えば、複数の入出射面セットの少なくとも1つは、入射面及び出射面において、一方が凸面であり、他方が凸面であってよい。例えば、複数の入出射面セットの少なくとも1つは、入射面及び出射面において、一方が凹面であり、他方が凹面であってよい。
【0027】
例えば、
図2は、光学素子20を、第5側面21Eを入射面とし、第2側面21Bを出射面とした場合、つまり、光学素子20を第5入出射面セットとした場合を示している。
【0028】
図3は、実施の形態1に係る、異なる距離で共通のスポット径5を得る場合を説明するための模式図である。
図3は、光学素子20を上から見た図(つまりZ軸の負方向を見た図)である。
図3(a)は、第5側面21Eを入射面とし、第2側面21Bを出射面とした場合(つまり第5入出射面セットとした場合)の距離とスポット径5の一例を示す模式図である。
図3(b)は、第2側面21Bを入射面とし、第5側面21Eを出射面とした場合(つまり第2入出射面セットとした場合)の距離とスポット径5の一例を示す。
【0029】
図3(a)に示すように、平面を有する第5側面21Eが入射面、曲率半径R2の凸面を有する第2側面21Bが出射面となるように回転機構30を回転させた場合、距離L1におけるスポット径5(スポットの直径)が2r
1(r
1はスポットの半径)であったとする。なお、スポット径5は、投光ビーム3が検出領域のワーク2に到達した点における当該投光ビーム3の半径の2倍を示す。スポット径5はビーム径と読み替えられてもよい。
【0030】
ここで、
図3(b)に示すように、曲率半径R2の凸面を有する第2側面21Bが入射面、平面を有する第5側面21Eが出射面となるように回転機構30を回転させることにより、距離L1とは異なる距離L2におけるスポット径5を、上述した距離L1のスポット径5と共通の2r
1とすることができる。
【0031】
このように、光電センサ10は、回転機構30及び光学素子20を回転させることにより、入出射面セットを選択し、異なる距離で共通のスポット径5となる投光ビーム3を出力することができる。
【0032】
図4は、実施の形態1に係る、共通の距離で異なるスポット径5を得る場合を説明するための模式図である。
図4は、光学素子20を上から見た図(つまりZ軸の負方向を見た図)である。
図4(a)は、第5側面21Eを入射面とし、第2側面21Bを出射面とした場合(つまり第5入出射面セットとした場合)の距離とスポット径5の一例を示す模式図である。
図4(b)は、第4側面21Dを入射面とし、第1側面21Aを出射面とした場合(つまり第4入出射面セットとした場合)の距離とスポット径5の一例を示す模式図である。
【0033】
図4(a)に示すように、平面を有する第5側面21Eが入射面、曲率半径R2の凸面を有する第2側面21Bが出射面となるように回転機構30を回転させた場合、距離L1におけるスポット径5が2r
1であったとする。
【0034】
ここで、
図4(b)に示すように、平面を有する第4側面21Dが入射面、曲率半径R1の凸面を有する第1側面21Aが出射面となるように回転機構30を回転させることにより、共通の距離L1において、スポット径5を上述した2r
1とは異なる2r
2に変更することができる。
【0035】
このように、光電センサ10は、回転機構30及び光学素子20を回転させることにより、入出射面セットを選択し、共通の距離で異なるスポット径5となる投光ビーム3を出力することができる。
【0036】
また、回転機構30に対して光学素子20が着脱可能であるため、ユーザは、目的に合わせて、回転機構30に装着させる光学素子20を切り替えることができる。例えば、透過率の互いに異なる複数の光学素子20を用意し、ユーザは、その中から目的に合う光学素子20を選択して回転機構30に装着させてもよい。
【0037】
<従来技術との対比>
特許文献1には、投光素子と投光レンズの間に配置された、入射面及び出射面が互いに平行な光路長変換素子の、入射面及び出射面の距離(つまり平行板の厚み)を選択することにより、スポット径を切り替える距離測定型光電センサが開示されている。当該距離測定型光電センサは、入射面及び出射面の距離が最も大きい光路長変換素子に合わせて、発光素子及び投光レンズ間の距離を確保する必要があるため、検出光の光軸方向に長大化し、小型化が難しい。別言すると、光路長変換素子(平行板)の厚みは、距離測定型光電センサのサイズに制限される。
【0038】
これに対して、本実施の形態は、入射面及び/又は出射面の曲率半径を切り替えることにより、スポット径5を切り替えることができるので、光電センサ10のサイズの制限を受けない。すなわち、本実施の形態に係る光電センサ10は、様々なスポット径5を選択可能であり、かつ、比較的小型化が容易である。
【0039】
<入出射面セットの情報の出力>
図2に示すように、回転機構30の露出部分32(ユーザから見える部分)に、現在選択されている入出射面セットを示す情報が印刷されてよい。入出射面セットを示す情報は、例えば、入出射面セットごとに異なる番号、アルファベット、記号、模様、色等であってよい。これにより、ユーザは、回転機構30の露出部分32に印刷されている入出射面セットを示す情報を見ながら、回転機構30を回転させて、所望の入出射面セットに切り替えることができる。あるいは、回転機構30が自動で回転する構成である場合、ユーザは、回転機構30の露出部分32に印刷されている入出射面セットを示す情報を見て、現在選択されている入出射面セットを知ることができる。
【0040】
また、制御部13は、現在選択されている入出射面セットを示す情報を出力部15に出力してもよい。例えば、出力部15がディスプレイである場合、制御部13は、現在選択されている入出射面セットを示す情報を、画像としてディスプレイに表示する。例えば、出力部15がスピーカである場合、制御部13は、現在選択されている入出射面セットを示す情報を、音声としてスピーカから出力する。例えば、出力部15が信号灯である場合、制御部13は、現在選択されている入出射面セットを示す情報に対応する点灯色又は点灯パターン等で、信号灯を制御する。これにより、ユーザは、出力部15から得られる情報により、現在選択されている入出射面セットを知ることができる。
【0041】
<変形例>
図5は、実施の形態1に係る、投光部11と光学素子20との間に透明部材40を配置した場合の一例を示す模式図である。
図5は、光学素子20を上から見た図(つまりZ軸の負方向を見た図)である。
【0042】
光電センサ10は、投光部11と光学素子20との間に、投光ビーム3が透過可能な透明部材40を備えてもよい。透明部材40は、
図5に示すような、平行板であってよい。あるいは、透明部材40は、入射面及び出射面の少なくとも一方が凸面又は凹面であってもよい。透明部材40を設けることにより、光学素子20までの光学距離、及び/又は、光学素子20に入力される投光ビーム3の径のサイズ(例えば距離L1におけるスポット径5である2r
3)等を調整できる。
【0043】
また、光電センサ10は、投光部11と光学素子20との間に、投光ビーム3の径を調整するための孔を有するアパーチャー(図示しない)を備えてもよい。アパーチャーを設けることにより、光学素子20に入力される投光ビーム3の径の広がり及び/又は角度のばらつき等を調整できる。
【0044】
また、光電センサ10は、投光ビーム3の光軸方向に沿って、複数の光学素子20を備えてもよい。そして、複数の光学素子20は、それぞれ、回転機構30に着脱可能に配置されてよい。これにより、複数の光学素子20のそれぞれの入出射面セットを切り替える、より多様なスポット径5を実現できる。
【0045】
図6は、実施の形態1に係る光学素子45の変形例を示す図である。
図6は、光学素子45を上から見た図(つまりZ軸の負方向を見た図)である。
【0046】
図6に示すように、光学素子45は、中心軸22の方向に内部が空芯の構造であってもよい。これにより、形状の安定した光学素子45を容易に製造することができる。
【0047】
<反射型の光学素子>
図7は、実施の形態1に係る反射型の光学素子50の第1例を示す模式図である。
図7は、反射型の光学素子50を上から見た図(つまりZ軸の負方向を見た図)である。
【0048】
光電センサ10は、
図7に示すような反射型の光学素子50を備えてもよい。
【0049】
反射型の光学素子50は、側面51に投光ビーム3を反射可能な部材(例えば金属部材)を含む角柱の形状であってよい。反射型の光学素子50の側面51の少なくとも1つは、所定の曲率半径を有する凸面であってよい。反射型の光学素子50の側面51の少なくとも1つは、所定の曲率半径を有する凹面であってよい。反射型の光学素子50の側面51の少なくとも1つは、平面であってよい。反射型の光学素子50は、上述した透過型の光学素子20と異なり、側面51の数は偶数に限られない。
【0050】
図7に示す反射型の光学素子50は、三角柱の形状であり、第1側面51Aに凹面を有し、第2側面51Bに凸面を有し、第3側面51Cに平面を有する。反射型の光学素子50の場合、入射面と出射面とが同一の側面51となる。例えば、
図7は、入射面及び出射面はいずれも第1側面51Aとなる。すなわち、反射型の光学素子50の場合、入出射面セットの入射面と出射面とが同一の面となる。
【0051】
図7に示すように、投光部11から投光された投光ビーム3は、例えば第1側面51Aの凹面にて反射され、検出領域の方向(Y軸の方向)に向かう。
【0052】
反射型の光学素子50の場合も、上述した透過型の光学素子20の場合と同様、反射型の光学素子50が装着されている回転機構30を回転させて、投光ビーム3が反射される側面51を切り替えることにより、スポット径5を切り替えることができる。
【0053】
図8は、実施の形態1に係る反射型の光学素子60の第2例を示す模式図である。
図8は、反射型の光学素子60を上から見た図(つまりZ軸の負方向を見た図)である。
【0054】
光電センサ10は、
図8に示すような反射型の光学素子60を備えてもよい。
【0055】
図8に示す反射型の光学素子60は、六角形の形状であり、第1側面61Aに曲率半径R4の凹面を有し、第2側面61Bに曲率半径R5の凹面を有し、第3側面61Cに曲率半径R6の凹面を有し、第4側面61Dに曲率半径R7の凸面を有し、第5側面61Eに曲率半径R8の凸面を有し、第6側面61Fに平面を有する。
【0056】
図8に示すように、投光部11から投光された投光ビーム3は、例えば第1側面61Aの凹面にて反射され、検出領域の方向(Y軸の方向)に向かう。
【0057】
反射型の光学素子60の場合も、上述した透過型の光学素子20の場合と同様、反射型の光学素子60が装着されている回転機構30を回転させて、投光ビーム3が反射される側面61を切り替えることにより、スポット径5を切り替えることができる。
【0058】
(実施の形態1のまとめ)
以上の実施の形態1の記載により、下記の技術が開示される。
【0059】
<技術1>
本実施の形態に係る光電センサ(10)は、光を投光する投光部(11)と、前記投光部から投光された光(例えば投光ビーム3)が入力される入射面と前記入射面に入力された前記光が出力される出射面とのセットである入出射面セットを複数有する光学素子(例えば光学素子20、45、50、60)と、を備え、前記複数の入出射面セットの1つが選択可能である。
この構成によれば、光学素子が複数の入出射面セットを有するので、入出射面セットを選択することにより、出射面から出力される光のスポット径(5)を変更することができる。
【0060】
<技術2>
技術1に記載の光電センサ(10)において、前記光学素子は、角柱の形状であり、前記入射面及び前記出射面は、前記角柱の側面(例えば側面21、51、61)である。
この構成によれば、入出射面セットの入射面及び出射面とする角柱の側面を選択することにより、出射面から出力される光のスポット径を変更することができる。
【0061】
<技術3>
技術2に記載の光電センサ(10)において、前記入出射面セットは、前記角柱の中心軸を回転軸(31)として前記光学素子を回転させることにより、選択可能である。
この構成によれば、光学素子を回転させることにより、入出射面セットの入射面及び出射面に対応する角柱の側面を選択することができる。
【0062】
<技術4>
技術3に記載の光電センサ(10)において、前記光学素子を回転させる回転機構(30)をさらに備え、前記入出射面セットは、前記回転機構を回転させることにより、選択可能である。
この構成によれば、回転機構を回転させることにより、入出射面セットの入射面及び出射面に対応する角柱の側面を選択することができる。
【0063】
<技術5>
技術4に記載の光電センサ(10)において、前記光学素子は、前記回転機構に対して着脱可能である。
この構成によれば、目的に合う光学素子を選択して回転機構に装着させることができる。
【0064】
<技術6>
技術2に記載の光電センサ(10)において、前記光学素子(例えば光学素子20、45)は、前記光を透過する部材を含んで構成され、前記入出射面セットの前記入射面と前記出射面とが互いに対向している。
この構成によれば、複数の側面を有する角柱の形状の透過型の光学素子を用いて、出射面から出力される光のスポット径を変更することができる。
【0065】
<技術7>
技術6に記載の光電センサ(10)において、前記入出射面セットの前記入射面と前記出射面とは、互いに異なる形状である。
この構成によれば、入出射面セットの入射面と出射面とが互いに異なる形状である透過型の光学素子を用いて、出射面から出力される光のスポット径を変更することができる。
【0066】
<技術8>
技術7に記載の光電センサ(10)において、前記複数の入出射面セットの少なくとも1つは、前記入射面及び前記出射面において、一方が平面(例えば第5側面21E)であり、他方が凸面(例えば第2側面21B)である。
この構成によれば、入射面及び出射面において、一方が平面であり、他方が凸面である透過型の光学素子を用いて、出射面から出力される光のスポット径を変更することができる。
【0067】
<技術9>
技術2に記載の光電センサ(10)において、前記光学素子(例えば反射型の光学素子50、60)は、前記光を反射する部材を含んで構成され、前記入出射面セットの前記入射面と前記出射面とは同一の面である。
この構成によれば、複数の側面を有する角柱の形状の反射型の光学素子を用いて、出射面から出力される光のスポット径を変更することができる。
【0068】
<技術10>
技術9に記載の光電センサ(10)において、前記複数の入出射面セットの少なくとも1つの前記入射面及び前記出射面は、凹面(例えば、第1側面51A)である。
この構成によれば、反射型の光学素子の凹面を用いて、当該凹面にて反射されて出力される光のスポット径を変更することができる。
【0069】
<技術11>
技術1に記載の光電センサ(10)において、前記光学素子が、前記複数の入出射面セットのうち、いずれの前記入出射面セットが選択されているかを示す情報を出力する出力部(14)をさらに備える。
この構成によれば、ユーザは、出力部から出力される情報から、いずれの入出射面セットが選択されているかを知ることができる。
【0070】
<技術12>
技術1から11のいずれか1項に記載の光電センサ(10)において、前記光学素子から出力され、対象物(例えばワーク2)に反射された光を受光する受光部(12)をさらに備える。
この構成によれば、受光部が対象物に反射された光を受光できたか否かに基づいて、対象物が存在するか否かを検出できる。
【0071】
<技術13>
技術12に記載の光電センサ(10)において、前記投光部から投光された光と、前記受光部が受光する光とに基づいて、前記対象物が存在するか否かの検出、及び、前記対象物までの距離の測定を行う演算部(14)と、前記検出された前記対象物が存在するか否かを示す情報、及び/又は、前記測定された前記対象物までの距離を示す情報を出力する出力部(15)と、をさらに備える。
この構成によれば、対象物が存在するか否かの検出に加えて、対象物までの距離を測定し、その結果を示す情報を出力できる。
【0072】
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本開示の技術は、光を用いて物体を検出するセンサに有用である。
【符号の説明】
【0074】
2 ワーク
3 投光ビーム
4 反射ビーム
5 スポット径
10 光電センサ
11 投光部
12 受光部
13 制御部
14 演算部
15 出力部
20 光学素子
21 側面
21A 第1側面
21B 第2側面
21C 第3側面
21D 第4側面
21E 第5側面
21F 第6側面
22 中心軸
30 回転機構
31 回転軸
32 露出部分
40 透明部材
45 光学素子
50 反射型の光学素子
51 側面
51A 第1側面
51B 第2側面
51C 第3側面
60 反射型の光学素子
61 側面
61A 第1側面
61B 第2側面
61C 第3側面
61D 第4側面
61E 第5側面
61F 第6側面