(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141878
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20241003BHJP
G03G 15/16 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G03G21/00 370
G03G15/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053737
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】田中 大輔
(72)【発明者】
【氏名】出浦 晴之
【テーマコード(参考)】
2H200
2H270
【Fターム(参考)】
2H200FA04
2H200GA04
2H200HA02
2H200HB12
2H200HB22
2H200JA02
2H200JA29
2H200JC03
2H200PA03
2H200PA11
2H200PA18
2H200PB12
2H270KA28
2H270LA26
2H270LA28
2H270LA44
2H270LB08
2H270LC13
2H270LC14
2H270LD03
2H270LD05
2H270LD08
2H270MA24
2H270MC55
2H270MD12
2H270MH09
2H270PA14
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】像保持体と転写部材との対向部を通過している記録媒体の位置に関わらず転写部材の駆動トルクを一定とする場合に比べて、対向部における記録媒体の搬送負荷の変動による影響を小さくする。
【解決手段】画像形成装置は、回転し、記録媒体に転写される画像を保持する像保持体と、像保持体を回転駆動する第1駆動手段と、保持体に対向して回転し、像保持体との対向部を通過する記録媒体に対して像保持体に保持された画像を転写する転写部材と、転写部材を回転駆動する第2駆動手段と、対向部を通過している記録媒体の位置に応じて、第2駆動手段による転写部材の駆動トルクを変化させるトルク可変手段とを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転し、記録媒体に転写される画像を保持する像保持体と、
前記像保持体を回転駆動する第1駆動手段と、
前記像保持体に対向して回転し、当該像保持体との対向部を通過する記録媒体に対して当該像保持体に保持された画像を転写する転写部材と、
前記転写部材を回転駆動する第2駆動手段と、
前記対向部を通過している記録媒体の位置に応じて、前記第2駆動手段による前記転写部材の駆動トルクを変化させるトルク可変手段と
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記トルク可変手段は、前記対向部を通過している記録媒体が当該対向部よりも上流または下流で他の部材に接触する際に、前記転写部材の駆動トルクを、記録媒体が当該他の部材に接触する前と比べて大きくする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記対向部に向けて記録媒体を搬送するとともに、記録媒体の先端が当該対向部に到達した後に記録媒体の搬送を解除する搬送手段と、
記録媒体に接触し前記搬送手段に向けて記録媒体を湾曲した状態で案内する案内部材とをさらに備え、
前記トルク可変手段は、前記搬送手段による記録媒体の搬送が解除される際に、前記転写部材の駆動トルクを大きくする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トルク可変手段は、記録媒体の先端が前記対向部に到達した後、前記搬送手段による記録媒体の搬送が解除されるまでの間に、前記転写部材の駆動トルクを徐々に大きくする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トルク可変手段は、記録媒体の後端が前記案内部材を通過した後に、前記転写部材の駆動トルクを小さくする請求項3または4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
対向して回転する一対の定着部材を含み、一対の当該定着部材の間に形成された定着部を通過する記録媒体に対して前記転写部材により転写された画像を定着する定着手段をさらに備え、
前記トルク可変手段は、前記対向部を通過している記録媒体の先端が前記定着部に進入する際に、前記転写部材の駆動トルクを大きくする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記定着手段の前記定着部に向けて記録媒体を案内する定着案内部材をさらに備え、
前記トルク可変手段は、記録媒体の先端が前記定着案内部材に接触した後、記録媒体の先端が前記定着部に進入するまでの間に、前記転写部材の駆動トルクを徐々に大きくする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記トルク可変手段は、記録媒体の先端が前記定着部を通過した後に、前記転写部材の駆動トルクを小さくする請求項6または7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記対向部に向けて記録媒体を搬送する搬送手段をさらに備え、
前記トルク可変手段は、前記搬送手段による記録媒体の搬送速度と、前記対向部による記録媒体の搬送速度とが異なる場合に、記録媒体の先端が当該対向部に進入する際に、前記第2駆動手段による前記転写部材の駆動トルクを変化させる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記トルク可変手段は、前記搬送手段による記録媒体の搬送速度が前記対向部による記録媒体の搬送速度と比べて速い場合に、記録媒体の先端が当該対向部に進入する際に、前記第2駆動手段による前記転写部材の駆動トルクを小さくする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記トルク可変手段は、前記搬送手段による記録媒体の搬送速度が前記対向部による記録媒体の搬送速度と比べて遅い場合に、記録媒体の先端が当該対向部に進入する際に、前記第2駆動手段による前記転写部材の駆動トルクを大きくする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記トルク可変手段は、記録媒体の先端が前記対向部に進入した後、記録媒体の後端が前記搬送手段を通過した際に、前記第2駆動手段による前記転写部材の駆動トルクを小さくする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記トルク可変手段は、記録媒体の坪量、記録媒体の表面の平滑性、記録媒体に転写される画像の密度、気温および湿度の少なくとも1つに応じて、前記転写部材の駆動トルクを変化させる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記トルク可変手段は、前記像保持体の周速に対する前記転写部材の周速の比率が変化しない範囲で、当該転写部材の駆動トルクを変化させる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記第1駆動手段は、アウターロータモータからなり、
前記第2駆動手段は、前記第1駆動手段と比べて慣性モーメントが小さいインナーロータモータからなる請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1周速で回転する感光体ドラムと、感光体ドラムに圧接して転写ニップ部を形成する転写ローラと、第1周速よりも速い第2周速で回転する定着部とを備える画像形成装置が開示されている。この画像形成装置では、用紙先端が転写ニップ部に到達するまでは転写ローラを第1周速で回転させ、その後、用紙先端が転写ニップ部に到達すると、転写ローラを第1周速よりも速い第3周速で回転させ、その後、用紙先端が定着部に到達すると転写ローラを第2周速で回転させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
像保持体と、像保持体に対向して回転する転写部材との対向部を搬送される記録媒体に対して、像保持体に保持された画像を転写する場合、対向部を通過している記録媒体の位置によって、対向部における記録媒体の搬送負荷が変動する場合がある。そして、対向部における記録媒体の搬送負荷が変動すると、記録媒体に転写される画像に像ずれや乱れ等が生じる場合がある。
本発明は、像保持体と転写部材との対向部を通過している記録媒体の位置に関わらず転写部材の駆動トルクを一定とする場合に比べて、対向部における記録媒体の搬送負荷の変動による影響を小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、回転し、記録媒体に転写される画像を保持する像保持体と、前記像保持体を回転駆動する第1駆動手段と、前記像保持体に対向して回転し、当該像保持体との対向部を通過する記録媒体に対して当該像保持体に保持された画像を転写する転写部材と、前記転写部材を回転駆動する第2駆動手段と、前記対向部を通過している記録媒体の位置に応じて、前記第2駆動手段による前記転写部材の駆動トルクを変化させるトルク可変手段とを備える画像形成装置である。
請求項2に記載の発明は、前記トルク可変手段は、前記対向部を通過している記録媒体が当該対向部よりも上流または下流で他の部材に接触する際に、前記転写部材の駆動トルクを、記録媒体が当該他の部材に接触する前と比べて大きくする請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記対向部に向けて記録媒体を搬送するとともに、記録媒体の先端が当該対向部に到達した後に記録媒体の搬送を解除する搬送手段と、記録媒体に接触し前記搬送手段に向けて記録媒体を湾曲した状態で案内する案内部材とをさらに備え、前記トルク可変手段は、前記搬送手段による記録媒体の搬送が解除される際に、前記転写部材の駆動トルクを大きくする請求項2に記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、前記トルク可変手段は、記録媒体の先端が前記対向部に到達した後、前記搬送手段による記録媒体の搬送が解除されるまでの間に、前記転写部材の駆動トルクを徐々に大きくする請求項3に記載の画像形成装置である。
請求項5に記載の発明は、前記トルク可変手段は、記録媒体の後端が前記案内部材を通過した後に、前記転写部材の駆動トルクを小さくする請求項3または4のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
請求項6に記載の発明は、対向して回転する一対の定着部材を含み、一対の当該定着部材の間に形成された定着部を通過する記録媒体に対して前記転写部材により転写された画像を定着する定着手段をさらに備え、前記トルク可変手段は、前記対向部を通過している記録媒体の先端が前記定着部に進入する際に、前記転写部材の駆動トルクを大きくする請求項2に記載の画像形成装置である。
請求項7に記載の発明は、前記定着手段の前記定着部に向けて記録媒体を案内する定着案内部材をさらに備え、前記トルク可変手段は、記録媒体の先端が前記定着案内部材に接触した後、記録媒体の先端が前記定着部に進入するまでの間に、前記転写部材の駆動トルクを徐々に大きくする請求項6に記載の画像形成装置である。
請求項8に記載の発明は、前記トルク可変手段は、記録媒体の先端が前記定着部を通過した後に、前記転写部材の駆動トルクを小さくする請求項6または7に記載の画像形成装置である。
請求項9に記載の発明は、前記対向部に向けて記録媒体を搬送する搬送手段をさらに備え、前記トルク可変手段は、前記搬送手段による記録媒体の搬送速度と、前記対向部による記録媒体の搬送速度とが異なる場合に、記録媒体の先端が当該対向部に進入する際に、前記第2駆動手段による前記転写部材の駆動トルクを変化させる請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項10に記載の発明は、前記トルク可変手段は、前記搬送手段による記録媒体の搬送速度が前記対向部による記録媒体の搬送速度と比べて速い場合に、記録媒体の先端が当該対向部に進入する際に、前記第2駆動手段による前記転写部材の駆動トルクを小さくする請求項9に記載の画像形成装置である。
請求項11に記載の発明は、前記トルク可変手段は、前記搬送手段による記録媒体の搬送速度が前記対向部による記録媒体の搬送速度と比べて遅い場合に、記録媒体の先端が当該対向部に進入する際に、前記第2駆動手段による前記転写部材の駆動トルクを大きくする請求項9に記載の画像形成装置である。
請求項12に記載の発明は、前記トルク可変手段は、記録媒体の先端が前記対向部に進入した後、記録媒体の後端が前記搬送手段を通過した際に、前記第2駆動手段による前記転写部材の駆動トルクを小さくする請求項11に記載の画像形成装置である。
請求項13に記載の発明は、前記トルク可変手段は、記録媒体の坪量、記録媒体の表面の平滑性、記録媒体に転写される画像の密度、気温および湿度の少なくとも1つに応じて、前記転写部材の駆動トルクを変化させる請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項14に記載の発明は、前記トルク可変手段は、前記像保持体の周速に対する前記転写部材の周速の比率が変化しない範囲で、当該転写部材の駆動トルクを変化させる請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項15に記載の発明は、前記第1駆動手段は、アウターロータモータからなり、前記第2駆動手段は、前記第1駆動手段と比べて慣性モーメントが小さいインナーロータモータからなる請求項1に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、像保持体と転写部材との対向部を通過している記録媒体の位置に関わらず転写部材の駆動トルクを一定とする場合に比べて、対向部における記録媒体の搬送負荷の変動による影響を小さくすることができる。
請求項2の発明によれば、記録媒体が他の部材に接触することによる、対向部における記録媒体の搬送負荷の変動による影響を小さくすることができる。
請求項3の発明によれば、記録媒体が案内部材に接触することによる搬送負荷が対向部に伝達された場合に、対向部における記録媒体の搬送負荷の変動による影響を小さくすることができる。
請求項4の発明によれば、転写部材の駆動トルクを一気に大きくする場合と比べて、像保持体の表面と転写部材の表面とに滑りが生じることが抑制される。
請求項5の発明によれば、記録媒体の後端が案内部材を通過した後に駆動トルクの大きさを維持する場合と比べて、像保持体の表面と転写部材の表面とに滑りが生じることが抑制される。
請求項6の発明によれば、記録媒体の先端が定着部に進入することによる対向部における記録媒体の搬送負荷の変動による影響を小さくすることができる。
請求項7の発明によれば、転写部材の駆動トルクを一気に大きくする場合と比べて、像保持体の表面と転写部材の表面とに滑りが生じることが抑制される。
請求項8の発明によれば、記録媒体の先端が定着部を通過した後に駆動トルクの大きさを維持する場合と比べて、像保持体の表面と転写部材の表面とに滑りが生じることが抑制される。
請求項9の発明によれば、搬送手段による記録媒体の搬送速度と対向部による記録媒体の搬送速度との差による対向部における記録媒体の搬送負荷の変動による影響を小さくすることができる。
請求項10の発明によれば、搬送手段による記録媒体の搬送速度が対向部による記録媒体の搬送速度と比べて速い場合に、記録媒体の先端が対向部に進入することによる対向部における記録媒体の搬送負荷の変動による影響を小さくすることができる。
請求項11の発明によれば、搬送手段による記録媒体の搬送速度が対向部による記録媒体の搬送速度と比べて遅い場合に、記録媒体の先端が対向部に進入することによる対向部における記録媒体の搬送負荷の変動による影響を小さくすることができる。
請求項12の発明によれば、搬送手段による記録媒体の搬送速度が対向部による記録媒体の搬送速度と比べて遅い場合に、記録媒体の後端が搬送手段を通過したことによる対向部における記録媒体の搬送負荷の変動による影響を小さくすることができる。
請求項13の発明によれば、記録媒体の坪量、記録媒体の表面の平滑性、記録媒体に転写される画像の密度、気温および湿度によらずに転写部材の駆動トルクを変化させる場合と比べて、対向部における記録媒体の搬送負荷の変動による影響をより小さくすることができる。
請求項14の発明によれば、像保持体の周速に対する前記転写部材の周速の比率が変化するように転写部材の駆動トルクを変化させる場合と比べて、像保持体の表面と転写部材の表面とに滑りが生じることが抑制される。
請求項15の発明によれば、第2駆動手段が、慣性モーメントが第1駆動手段よりも大きいモータからなる場合と比べて、像保持体の周速と転写部材の周速とのずれが生じにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置を示した図である。
【
図2】本実施形態が適用される画像形成装置における用紙の搬送を説明する図である。
【
図3】本実施形態が適用される画像形成装置における用紙の搬送を説明する図である。
【
図4】二次転写部における用紙の搬送負荷の変動を説明する図である。
【
図5】二次転写ロールの駆動トルクの変化を示したタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<画像形成装置1の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置1を示した図である。
本実施形態の画像形成装置1は、画像形成部10、用紙搬送部20、制御装置40を備える。
【0009】
画像形成部10は、複数の画像形成ユニット11(11Y、11M、11C、11K)と、中間転写ベルト12と、二次転写部13と、定着器14と、冷却器15とを備える。
本実施形態では、画像形成ユニット11として、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の4つの色のそれぞれに対応した4つの画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kが設けられている。
【0010】
4つの画像形成ユニット11は、中間転写ベルト12の移動方向において並んで配置されている。また、画像形成ユニット11の各々は、感光体ドラム111、帯電装置112、露光装置113、現像装置114を有し、電子写真方式を用い、トナーにより形成された画像を中間転写ベルト12上に形成する。
付言すると、本実施形態では、画像形成ユニット11は、YMCKの各色の画像を形成する。そして、本実施形態では、形成されたこれらの画像が、中間転写ベルト12へ転写される。これにより、中間転写ベルト12上には、YMCKの各色の画像が形成される。
【0011】
感光体ドラム111は、予め定めた速度で図中矢印A方向に回転する。
また、帯電装置112によって、感光体ドラム111の表面が帯電される。さらに、露光装置113が、帯電した感光体ドラム111の表面に光を照射する。
これにより、感光体ドラム111の外周面に、形成される画像に対応した静電潜像が形成される。
【0012】
その後、現像装置114が、感光体ドラム111に対する現像を行い、感光体ドラム111の上に画像を形成する。より具体的には、現像装置114は、静電潜像が形成された感光体ドラム111の表面に対して現像剤を付着させて、感光体ドラム111の表面に画像を形成する。
画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの各々では、感光体ドラム111の表面に、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の画像が形成される。
【0013】
感光体ドラム111の各々に形成される画像は、一次転写部115にて、中間転写ベルト12上に転写(一次転写)される。
これにより、中間転写ベルト12上には、複数の色により構成されたカラーの画像が形成される。言い換えると、中間転写ベルト12によって、カラーの画像が一時的に保持される。
【0014】
像保持体の一例としての中間転写ベルト12は、複数のロール状部材122によって支持されている。
さらに、本実施形態では、中間転写ベルト12を回転駆動させるベルト駆動機構200が設けられている。
第1駆動手段の一例としてのこのベルト駆動機構200は、中間転写ベルト12が予め定められた一定の速度で回転するように中間転写ベルト12の駆動制御を行う。
付言すると、ベルト駆動機構200は、中間転写ベルト12の回転速度を検出するセンサ等からの出力に基づき、中間転写ベルト12が予め定められた速度で回転するように、中間転写ベルト12の駆動制御を行う。
【0015】
本実施形態では、ベルト駆動機構200として、ベルト用モータMBと、中間転写ベルト12の内周面に接触配置されベルト用モータMBにより回転する駆動ロール121とが設けられている。また、ベルト駆動機構200には、ギア等により構成され、ベルト用モータMBから駆動ロール121へ駆動力を伝達する伝達部(不図示)が設けられている。
詳細については後述するが、本実施形態のベルト用モータMBは、ステータ(固定子)に対しロータ(回転子)が外側に配置されているアウターロータモータにより構成されている。また、本実施形態のベルト用モータMBは、制御装置40により回転速度が制御可能な速度制御モータである。
中間転写ベルト12は、図中矢印B方向に循環移動する。言い換えると、中間転写ベルト12は、ベルト駆動機構200によって、反時計回り方向へ回転する。
【0016】
中間転写ベルト12上に形成された画像は、中間転写ベルト12の移動に伴って二次転写部13まで移動する。そして、二次転写部13まで移動した画像は、二次転写部13にて、用紙搬送部20により搬送されてきた、記録媒体の一例としての用紙P(
図2参照)に転写される。
二次転写部13には、中間転写ベルト12の外周面に接触され、中間転写ベルト12上の画像の用紙Pへの転写に用いられる二次転写ロール134が設けられている。
さらに、二次転写部13には、中間転写ベルト12の内側に配置され二次転写ロール134の対向電極をなすバックアップロール132が設けられている。
なお、本実施形態において、二次転写部13が、中間転写ベルト12と二次転写ロール134とが対向する対向部の一例である。
【0017】
ここで、バックアップロール132は、中間転写ベルト12を挟み、二次転写ロール134の設置側とは反対側に設けられている。
さらに、本実施形態では、中間転写ベルト12を介し、二次転写ロール134が、このバックアップロール132に押し当てられている。
【0018】
さらに、本実施形態では、二次転写ロール134およびバックアップロール132に対して、電圧を印加する印加装置250が設けられている。
本実施形態では、この印加装置250によって印加される電圧によって、中間転写ベルト12上の画像が、二次転写ロール134とバックアップロール132との間を通る用紙Pに転写される。
さらに、本実施形態では、二次転写ロール134に押し当てられ、二次転写ロール134の清掃を行う清掃部材であるクリーニングブレード180が設けられている。
【0019】
二次転写ロール134は、中間転写ベルト12に対する進退が可能に設けられている。さらに、二次転写ロール134は、回転可能となっている。
さらに、本実施形態では、第2駆動手段の一例としてのロール駆動機構300が設けられている。このロール駆動機構300は、二次転写ロール134を回転駆動させる。
【0020】
ロール駆動機構300には、ロール用モータMRと、ギア等により構成されロール用モータMRからの駆動力を二次転写ロール134に伝達する伝達部(不図示)とが設けられている。
本実施形態のロール用モータMRは、ステータ(固定子)に対しロータ(回転子)が内側に配置されているインナーロータモータにより構成されている。また、本実施形態のロール用モータMRは、不図示の回転角度センサ(エンコーダ)を含み、制御装置40による制御の元、二次転写ロール134を予め定められた駆動トルクで回転させる。付言すると、本実施形態のロール用モータMRは、回転駆動する二次転写ロール134の駆動トルクを制御可能なトルク制御モータである。また、本実施形態では、ロール用モータMRは、PWM(Pulse Width Modulation)制御方式によって、動作が制御されるようになっている。なお、ロール用モータMRの制御方式は、特に限定されるものではない。
【0021】
ここで、本実施形態の画像形成装置1では、二次転写ロール134の周速は、ベルト駆動機構200により駆動される中間転写ベルト12の周速と等しくなっている。なお、二次転写ロール134の回転速度と中間転写ベルト12の周速とが等しいとは、二次転写部13(すなわち、二次転写ロール134と中間転写ベルト12との対向部)において、回転する二次転写ロール134の外周面の移動速度と、周回移動する中間転写ベルト12の外周面の移動速度とが互いに等しいことを意味する。
本実施形態では、二次転写ロール134は、ベルト駆動機構200により駆動される中間転写ベルト12に従動して回転している。
【0022】
さらに、本実施形態では、二次転写ロール134およびロール駆動機構300を中間転写ベルト12から離れる方向へ移動させ、二次転写ロール134を中間転写ベルト12から退避させる退避機構280が設けられている。この退避機構280は、特に限定されるものはなく公知の機構により構成される。
さらに、本実施形態では、中間転写ベルト12の移動方向において、二次転写部13よりも下流側に、二次転写後の中間転写ベルト12の外周面を清掃するベルトクリーナ124が設けられている。
【0023】
用紙搬送部20には、不図示の用紙収容部から送り出されてきた用紙Pを搬送する複数の搬送ロール対21が設けられている。複数の搬送ロール対21は、用紙Pの搬送方向の上流から下流に向かって配置される、第1搬送ロール対21A、第2搬送ロール対21B、第3搬送ロール対21Cを含む。第2搬送ロール対21Bおよび第3搬送ロール対21Cが、搬送手段の一例である。なお、第1搬送ロール対21A、第2搬送ロール対21B、第3搬送ロール対21Cを互いに区別しない場合には、単に搬送ロール対21と表記する。
それぞれの搬送ロール対21は、用紙収容部から送り出されてきた用紙Pを介して対向する一対の駆動ロール211および対向ロール212により構成されている。それぞれの駆動ロール211および対向ロール212は回転可能である。そして、それぞれの搬送ロール対21は、駆動ロール211と対向ロール212とにより用紙Pを挟んだ状態で、不図示の駆動手段により駆動ロール211が回転駆動されることで、用紙Pを二次転写部13に向けて搬送する。また、本実施形態では、第2搬送ロール対21Bおよび第3搬送ロール対21Cは、制御装置40による制御の元、駆動ロール211と対向ロール212とが用紙Pを挟んで接触し用紙Pを搬送可能な接触状態と、駆動ロール211と対向ロール212とが離間し用紙Pを搬送しない離間状態とに切り替えられる。
【0024】
また、用紙搬送部20には、用紙収容部から送り出され第1搬送ロール対21Aにより搬送される用紙Pを、湾曲した状態で搬送方向の下流に案内する案内部材22が設けられている。付言すると、案内部材22は、第1搬送ロール対21Aと第2搬送ロール対21Bとの間に配置されている。
案内部材22は、第1搬送ロール対21Aにより搬送される用紙Pに接触し、用紙Pを、二次転写部13により画像が形成される面が内側となるように湾曲させる。本実施形態では、案内部材22により用紙Pが湾曲されることで、用紙Pが厚紙等のように剛性が高い場合であっても、搬送ロール対21により用紙Pを搬送する際の搬送抵抗を低減することが可能となる。
【0025】
また、用紙搬送部20には、搬送ロール対21により搬送されてきた用紙Pを二次転写部13へ案内する転写案内部材24が設けられている。さらに、用紙搬送部20には、二次転写後の用紙Pを定着器14へと搬送する搬送ベルト25、定着後の用紙Pを冷却器15へ案内する冷却案内部材26が設けられている。
【0026】
さらにまた、用紙搬送部20には、複数の搬送ロール対21によって搬送される用紙Pの位置を検知する検知部28が設けられている。検知部28は、第2搬送ロール対21Bと第3搬送ロール対21Cとの間を搬送される用紙Pを検知する第1検知センサ281、および、第3搬送ロール対21Cと転写案内部材24との間を搬送される用紙Pを検知する第2検知センサ282を含む。
第1検知センサ281および第2検知センサ282は、例えば赤外センサ等からなり、搬送される用紙Pの先端または後端が通過したことを検知する。
また、本実施形態では、制御装置40が、用紙Pの先端または後端が第1検知センサ281または第2検知センサ282により検知されたタイミングからの時間経過等に基づいて、搬送されている用紙Pの先端または後端の位置を取得する。
【0027】
定着手段の一例としての定着器14は、用紙Pの搬送方向において、二次転写部13よりも下流側に配置されている。定着器14は、加熱源(不図示)を有する定着ロール141と、定着ロール141に押し当てられる加圧ロール142とを備える。定着ロール141と加圧ロール142とが、一対の定着部材の一例である。また、定着器14は、定着ロール141と加圧ロール142との間に形成された定着部140に向けて用紙Pを案内するガイドシュート145を備える。
二次転写部13を通過した用紙Pは、定着ロール141と加圧ロール142との間に形成された定着部140を通過する。これにより、この用紙Pは、定着ロール141と加圧ロール142とに挟まれて加圧および加熱され、用紙Pの上の画像が用紙Pに定着される。
なお、本実施形態では、定着器14よりも下流側に、冷却器15が設けられている。この冷却器15は、定着器14から搬送されてきた用紙Pの冷却を行う。
【0028】
制御装置40は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、およびHDD(Hard Disk Drive)(何れも不図示)を備える。CPUでは、処理プログラムが実行される。ROM、HDDには、各種プログラム、各種テーブル、パラメータ等が記憶されている。RAMは、CPUによる処理プログラムの実行時におけるワークエリア等として用いられる。
【0029】
トルク可変手段の一例としての制御装置40は、各種のプログラムやユーザによる操作入力等に基づいて、ベルト駆動機構200のベルト用モータMBおよびロール駆動機構300のロール用モータMRを動作させるための信号を、ベルト駆動機構200およびロール駆動機構300に送信する。具体的には、制御装置40は、ベルト駆動機構200に対して、ベルト用モータMBの回転速度を指定する信号を送信する。また、制御装置40は、ロール駆動機構300に対して、ロール用モータMRの駆動トルクを指定する信号を送信する。
【0030】
<用紙Pの搬送>
続いて、画像形成装置1における用紙Pの搬送について説明する。
図2および
図3は、本実施形態が適用される画像形成装置1における用紙Pの搬送を説明する図である。
制御装置40による制御の元、画像形成動作が開始されると、各画像形成ユニット11で各色のトナー像が形成されるのに伴って、不図示の用紙収容部に収容された用紙Pが取り出される。そして、用紙Pは、中間転写ベルト12上の各色トナー像が二次転写部13に移動するタイミングに合わせて、搬送ロール対21により二次転写部13に向けて搬送される。この際、それぞれの搬送ロール対21は、駆動ロール211と対向ロール212とが接触し用紙Pを搬送可能な接触状態となっている。
【0031】
用紙Pは、第1搬送ロール対21Aにより搬送されて案内部材22に到達すると、案内部材22により湾曲されながら、第1搬送ロール対21Aによりさらに搬送方向の下流に搬送される。また、用紙Pは、先端が第2搬送ロール対21Bおよび第3搬送ロール対21Cに到達し、後端が第1搬送ロール対21Aを通過すると、第2搬送ロール対21Bおよび第3搬送ロール対21Cによりさらに搬送方向の下流に搬送される。
その後、
図2に示すように、用紙Pの先端が中間転写ベルト12と二次転写ロール134とが対向する二次転写部13に到達すると、用紙Pは、周回移動する中間転写ベルト12および中間転写ベルト12に従動して回転する二次転写ロール134によりさらに搬送方向の下流に搬送される。また、用紙Pの先端が二次転写部13に到達すると、第2搬送ロール対21Bおよび第3搬送ロール対21Cが、接触状態から、用紙Pを搬送しない離間状態へと切り替えられる。
【0032】
中間転写ベルト12および二次転写ロール134により搬送された用紙Pは、先端が搬送ベルト25に到達すると、中間転写ベルト12および二次転写ロール134と、搬送ベルト25とにより、さらに搬送方向の下流に搬送される。
その後、
図3に示すように、用紙Pの先端が定着器14の定着部140に到達すると、用紙Pは、定着ロール141と加圧ロール142とにより加圧および加熱されながら、さらに搬送方向の下流に搬送される。なお、詳細については後述するが、本実施形態の画像形成装置1(
図1参照)では、用紙Pは、先端がガイドシュート145に接触した後に定着部140に進入し、定着ロール141と加圧ロール142により挟まれた状態となる。
その後、定着器14の定着部140を通過した用紙Pは、さらに搬送方向の下流に搬送され、冷却器15(
図1参照)にて冷却された後、画像形成装置1の外へ排出される。
【0033】
上述したように、本実施形態の画像形成装置1では、二次転写部13において、中間転写ベルト12により保持されている画像を、二次転写ロール134を用いて用紙Pに転写し、用紙Pへの画像形成を行う。
ここで、画像形成装置1では、中間転写ベルト12と二次転写ロール134とが対向する二次転写部13を通過している用紙Pの位置によって、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷が変動する場合がある。ここで、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷とは、二次転写部13において用紙Pと中間転写ベルト12との間に生じる負荷トルクに対応する。
図4は、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷の変動を説明する図である。
【0034】
上述したように、案内部材22(
図2参照)は、用紙Pに接触することで、用紙Pを湾曲させた状態で案内する。そして、用紙Pが案内部材22に接触していると、用紙Pと案内部材22との間の摩擦力によって、搬送される用紙Pに対し用紙Pの搬送を妨げる方向の応力(すなわち、搬送方向の上流に向かう応力)が生じる。
ここで、用紙Pの搬送方向の長さが、画像形成装置1における案内部材22から二次転写部13に至るまでの長さと比べて長い場合について考える。この場合、
図2に示すように、用紙Pの後端が案内部材22に接触して案内されている状態で、用紙Pの先端の先端が二次転写部13に到達して、第2搬送ロール対21Bと第3搬送ロール対21Cが離間状態に切り替えられることになる。すると、用紙Pの後端が案内部材22に接触することにより生じた応力が、用紙Pを搬送する二次転写部13に伝わる。そして、
図4にて矢印Xで示すように、二次転写部13において用紙Pに搬送方向の上流に向かう応力が生じ、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷が上昇する。
【0035】
また、用紙Pの搬送方向の長さが、画像形成装置1における二次転写部13から定着器14の定着部140に至るまでの長さと比べて長い場合について考える。この場合、
図3に示すように、用紙Pの後端が二次転写部13において中間転写ベルト12と二次転写ロール134とにより搬送されている状態で、用紙Pの先端が定着器14の定着部140に到達し、定着ロール141と加圧ロール142とにより挟まれて加圧されることになる。すると、用紙Pの先端が定着部140において定着ロール141と加圧ロール142とにより加圧されることにより生じた用紙Pの搬送を妨げる方向の応力が、用紙Pを搬送する二次転写部13に伝わる。そして、上述した例と同様に、
図4にて矢印Xで示すように、二次転写部13において用紙Pに搬送方向の上流に向かう応力が生じ、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷が上昇する。
【0036】
二次転写部13における用紙Pの搬送負荷が変動すると、二次転写部13において、用紙Pと中間転写ベルト12の外周面との間や、中間転写ベルト12の外周面と二次転写ロール134の外周面との間に、滑り(スリップ)が生じる場合がある。二次転写部13において、用紙Pと中間転写ベルト12の表面との間に滑りが生じた場合、用紙Pに転写された画像に用紙Pの幅方向に沿って延びる直線状の乱れが生じるおそれがある。また、二次転写部13において、中間転写ベルト12の表面と二次転写ロール134の表面との間に滑りが生じた場合、用紙Pに転写される各色のトナー像の位置がずれる、所謂カラーレジずれが生じるおそれがある。
【0037】
<二次転写ロール134の駆動トルクの制御>
これに対し、本実施形態の画像形成装置1では、制御装置40が、搬送される用紙Pの位置に応じてロール駆動機構300におけるロール用モータMRの駆動条件を変更し、ロール用モータMRにより回転駆動される二次転写ロール134の駆動トルクを制御する。より具体的には、制御装置40は、搬送される用紙Pの位置に応じて、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷が上昇するタイミングに合わせて、二次転写ロール134の駆動トルクを大きくする。
図4では、二次転写ロール134の駆動トルクの上昇分を矢印Yで示している。本実施形態の画像形成装置1では、二次転写部13において生じた用紙Pの搬送負荷の変動を、二次転写ロール134の駆動トルクの制御により相殺することで、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷の変動による影響を小さくすることができる。
【0038】
図5は、二次転写ロール134の駆動トルクの変化を示したタイミングチャートである。
図5には、二次転写ロール134の駆動トルクの変化に加えて、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷の変化も示している。
図5において横軸は、時間の経過を示しており、左側から右側に向かうに従い時間が経過する。付言すると、
図5では、横軸に示す符号のアルファベット順(a、b、c…)に時間が経過する。また、
図5において縦軸は、二次転写ロール134の駆動トルク、および二次転写部13における用紙Pの搬送負荷を示している。
【0039】
本実施形態の画像形成装置1では、画像形成動作が開始されると、制御装置40は、予め定められた駆動条件で、ベルト駆動機構200のベルト用モータMBおよびロール駆動機構300のロール用モータMRの動作を制御する。これにより、ベルト駆動機構200により駆動される中間転写ベルト12および中間転写ベルト12に従動する二次転写ロール134が予め定められた周速で回転する。また、トルク制御モータであるロール用モータMRにより、二次転写ロール134の駆動トルクが予め定められた基準トルクTaに制御される。
【0040】
まず、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷の変化について説明する。
二次転写部13における用紙Pの搬送負荷は、
図5に示すように、時刻aにて用紙Pの二次転写部13に進入した後、第2搬送ロール対21Bおよび第3搬送ロール対21Cが接触状態から離間状態へ切り替えられる時刻cにおいて、大きくなる。なお、以下では、時刻aにおける用紙Pの搬送負荷を基準負荷Sa、時刻cにおける用紙Pの搬送負荷を第1の負荷S1と表記する。すなわち、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷は、時刻cにおいて、基準負荷Saから第1の負荷S1まで上昇する。
その後、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷は、用紙Pの後端が案内部材22を通過した時刻dにて、第1の負荷S1から基準負荷Saまで下降する。付言すると、時刻dでは、用紙Pと案内部材22とが接触することによる摩擦力がなくなることで、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷が、第1の負荷S1から基準負荷Saまで下降する。
【0041】
その後、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷は、用紙Pの後端が二次転写部13を通過している状態で、用紙Pの先端が定着器14の定着部140に進入し定着ロール141と加圧ロール142とに挟まれる時刻iにおいて、基準負荷Saから、基準負荷Saおよび第1の負荷S1よりも大きい第2の負荷S2まで上昇する。なお、
図5に示すように、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷は、時刻iにおいて第2の負荷S2まで上昇した後、用紙Pの先端が定着部140を通過した時刻jにおいて基準負荷Saまで下降する。
【0042】
続いて、二次転写ロール134の駆動トルクの変化について説明する。上述したように、本実施形態の画像形成装置では、制御装置40が、二次転写ロール134を駆動するロール駆動機構300におけるロール用モータMRの駆動条件(PWM値)を変更することにより、二次転写ロール134の駆動トルクが制御される。
制御装置40は、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷が基準負荷Saから第1の負荷S1に上昇する時刻cにおいて、二次転写ロール134の駆動トルクを、基準トルクTaよりも大きい第1のトルクT1にする。
本実施形態では、制御装置40は、用紙Pの先端が二次転写部13に進入する時刻aにおいて、二次転写ロール134の駆動トルクを基準トルクTaから徐々に大きくする。そして、制御装置40は、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷が基準負荷Saから第1の負荷S1に上昇する時刻cよりも前の時刻bに、二次転写ロール134の駆動トルクが第1のトルクT1になるように制御する。付言すると、制御装置40は、用紙Pの先端が二次転写部13に到達した後、第2搬送ロール対21Bおよび第3搬送ロール対21Cによる用紙Pの搬送が解除されるまでの間に、二次転写ロール134の駆動トルクを徐々に大きくする。
【0043】
次いで、制御装置40は、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷が第1の負荷S1から基準負荷Saに下降した時刻dよりも後の時刻fにおいて、二次転写ロール134の駆動トルクを基準トルクTaまで下降させる。
本実施形態では、制御装置40は、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷が基準負荷Saまで下降した時刻dよりも後の時刻eにおいて、二次転写ロール134の駆動トルクを第1のトルクT1から徐々に小さくする。そして、制御装置40は、用紙Pの先端が定着器14のガイドシュート145に接触する時刻gよりも前の時刻fに、二次転写ロール134の駆動トルクが基準トルクTaになるように制御する。付言すると、制御装置40は、用紙Pの後端が案内部材22を通過した後に、二次転写ロール134の駆動トルクを小さくする。
なお、この例では、二次転写ロール134の駆動トルクを基準トルクTaから第1のトルクT1まで上昇させるのに要する時間(時刻aから時刻bまでの時間)と、二次転写ロール134の駆動トルクを第1のトルクT1から基準トルクTaまで下降させるのに要する時間(時刻eから時刻fまでの時間)とは等しくなっている。
【0044】
次いで、制御装置40は、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷が基準負荷Saから第2のトルクS2に上昇する時刻iにおいて、二次転写ロール134の駆動トルクを、基準トルクTaよりも大きい第2のトルクT2にする。この例では、第2のトルクT2は、第1のトルクT1よりも大きい。
本実施形態では、制御装置40は、用紙Pの先端が定着器14のガイドシュート145に接触する時刻gにおいて、二次転写ロール134の駆動トルクを基準トルクTaから徐々に大きくする。そして、制御装置40は、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷が基準負荷Saから第1の負荷S1に上昇する時刻iよりも前の時刻hに、二次転写ロール134の駆動トルクが第2のトルクT2になるように制御する。付言すると、制御装置40は、用紙Pの先端が定着案内部材の一例であるガイドシュート145に接触した後、用紙Pの先端が定着部140に進入するまでの間に、二次転写ロール134の駆動トルクを徐々に大きくする。
【0045】
次いで、制御装置40は、用紙Pの先端が定着部を通過し、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷が第2の負荷S2から基準負荷Saに下降した時刻jよりも後の時刻kにおいて、二次転写ロール134の駆動トルクを基準トルクTaまで下降させる。この例では、制御装置40は、時刻kに二次転写ロール134の駆動トルクが基準トルクTaになるように、時刻jにおいて、二次転写ロール134の駆動トルクを第2のトルクT2から徐々に小さくする。付言すると、制御装置40は、用紙Pの先端が定着部140を通過した後に、二次転写ロール134の駆動トルクを小さくする。
なお、この例では、二次転写ロール134の駆動トルクを基準トルクTaから第2のトルクT2まで上昇させるのに要する時間(時刻gから時刻hまでの時間)と比べて、二次転写ロール134の駆動トルクを第2のトルクT2から基準トルクTaまで下降させるのに要する時間(時刻jから時刻kまでの時間)が短い。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置1では、二次転写部13を通過している用紙Pの位置に応じて、ロール駆動機構300のロール用モータMRにより駆動される二次転写ロール134の駆動トルクを変化させる。これにより、二次転写部13を通過している用紙Pの位置に関わらず二次転写ロール134の駆動トルクを一定とする場合と比べて、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷の変動による影響を小さくすることができる。すなわち、二次転写部13を通過している用紙Pの位置に応じて二次転写ロール134の駆動トルクを変化させることで、二次転写部13を通過している用紙Pの位置に応じて生じる二次転写部13での用紙Pの搬送負荷の変動を、駆動トルクにより相殺することができる。これにより、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷の変動に伴う、用紙Pと中間転写ベルト12の外周面との間や、中間転写ベルト12の外周面と二次転写ロール134の外周面との間の滑り(スリップ)が生じにくくなる。
【0047】
特に、本実施形態の画像形成装置1では、二次転写部13を通過している用紙Pが二次転写部13よりも上流または下流で他の部材に接触する際に、二次転写ロール134の駆動トルクを、用紙Pが他の部材に接触する前と比べて大きくしている。これにより、他の部材に接触することにより二次転写部13で生じる用紙Pの搬送負荷の変動による影響を小さくすることができる。
この例では、案内部材22が、二次転写部13を通過している用紙Pが二次転写部13よりも上流で接触する他の部材の一例である。また、定着器14の定着ロール141または加圧ロール142が、二次転写部13を通過している用紙Pが二次転写部13よりも下流で接触する他の部材の一例である。
【0048】
ここで、本実施形態の画像形成装置1では、制御装置40は、用紙Pが二次転写部13を通過している場合に、第2搬送ロール対21Bおよび第3搬送ロール対21Cによる用紙Pの搬送が解除される際に、二次転写ロール134の駆動トルクを基準トルクTaより大きくしている。これにより、第2搬送ロール対21Bおよび第3搬送ロール対21Cよりも搬送方向の上流で、用紙Pが案内部材22に接触することにより生じた応力が、用紙Pを搬送する二次転写部13に伝わった場合であっても、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷の変動による影響を小さくすることができる。
【0049】
さらに、本実施形態の画像形成装置1では、制御装置40は、二次転写部13を通過している用紙Pの後端が案内部材22を通過した後に、二次転写ロール134の駆動トルクを、第1のトルクT1よりも小さくしている。これにより、二次転写部13を通過している用紙Pの後端が案内部材22を通過した後に二次転写ロール134の駆動トルクの大きさを維持する場合と比べて、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷に対して二次転写ロール134の駆動トルクが過剰になることが抑制される。この結果、二次転写部13において、用紙Pと中間転写ベルト12の外周面との間や、中間転写ベルト12の外周面と二次転写ロール134の外周面との間の滑り(スリップ)が生じにくくなる。
【0050】
また、本実施形態の画像形成装置1では、制御装置40は、二次転写部13を通過している用紙Pの先端が定着器14の定着部140に進入する際に、二次転写ロール134の駆動トルクを基準トルクTaより大きくしている。これにより、二次転写部13よりも搬送方向の下流側において、用紙Pが定着ロール141と加圧ロール142とにより加圧されて二次転写部13において用紙Pの搬送負荷の変動が生じた場合であっても、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷の変動による影響を小さくすることができる。
【0051】
さらに、本実施形態の画像形成装置1では、制御装置40は、二次転写部13を通過している用紙Pの先端が定着器14の定着部140を通過した後に、二次転写ロール134の駆動トルクを、第2のトルクT2よりも小さくしている。これにより、二次転写部13を通過している用紙Pの先端が定着器14の定着部140を通過した後に二次転写ロール134の駆動トルクの大きさを維持する場合と比べて、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷に対して二次転写ロール134の駆動トルクが過剰になることが抑制される。この結果、二次転写部13において、用紙Pと中間転写ベルト12の外周面との間や、中間転写ベルト12の外周面と二次転写ロール134の外周面との間の滑り(スリップ)が生じにくくなる。
【0052】
ここで、本実施形態の画像形成装置1では、制御装置40は、二次転写部13を通過している用紙Pが二次転写部13よりも上流または下流で他の部材に接触する際に、二次転写ロール134の駆動トルクを時間の経過に従い徐々に大きくしている。これにより、例えば二次転写ロール134の駆動トルクを、二次転写部13を通過している用紙Pが二次転写部13よりも上流または下流で他の部材に接触するタイミングで一気に上昇させる場合と比べて、二次転写ロール134の駆動トルクが変化することに伴う二次転写部13での中間転写ベルト12の外周面と二次転写ロール134の外周面との滑りを抑制することができる。
なお、上述した例では、制御装置40は、二次転写ロール134の駆動トルクを、時間の経過に伴って線形に上昇させているが、これに限られない。制御装置40は、二次転写ロール134の駆動トルクを、時間の経過に伴って段階的に上昇させてもよい。二次転写ロール134の駆動トルクを小さくする場合も同様である。
【0053】
ところで、上述したように、本実施形態において二次転写ロール134を回転駆動するロール駆動機構300のロール用モータMRは、二次転写ロール134の駆動トルクを制御可能なトルク制御モータである。
本実施形態の画像形成装置1では、制御装置40は、ベルト駆動機構200のベルト用モータMBにより駆動される中間転写ベルト12の周速に対する二次転写ロール134の周速の比率が変化しない範囲で、二次転写ロール134の駆動トルクを変化させることが好ましい。これにより、例えば、中間転写ベルト12の周速に対する二次転写ロール134の周速の比率が変化するように二次転写ロール134の駆動トルクを変化させる場合と比べて、中間転写ベルト12の外周面と二次転写ロール134の外周面との滑りを抑制することができる。
この例では、二次転写ロール134の周速が中間転写ベルト12の周速と等しくなっている。したがって、制御装置40は、二次転写ロール134の周速が中間転写ベルト12の周速と等しい状態を維持したまま、二次転写ロール134の駆動トルクを変化させることが好ましい。
【0054】
<第1のトルクT1、第2のトルクT2について>
続いて、本実施形態の画像形成装置1において、二次転写部13を通過している用紙Pの位置に応じて変化させる、二次転写ロール134の駆動トルク(第1のトルクT1、第2のトルクT2)の大きさについて説明する。
画像形成装置1では、上述したように、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷の上昇を、二次転写ロール134の駆動トルクを大きくすることにより相殺することで、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷の変動による影響を小さくしている。したがって、第1のトルクT1および第2のトルクT2は、二次転写部13において生じる用紙Pの搬送負荷の上昇量に応じて定めることが好ましい。
【0055】
ここで、二次転写部13を搬送されている用紙Pが、二次転写部13よりも上流または下流で他の部材(例えば、案内部材22、定着ロール141、加圧ロール142等)に接触することによる二次転写部13における用紙Pの搬送負荷の上昇量は、用紙Pの坪量が大きいほど、大きくなる傾向がある。
また、二次転写部13を搬送されている用紙Pが、二次転写部13よりも上流または下流で他の部材に接触することによる二次転写部13における用紙Pの搬送負荷の上昇量は、用紙Pの表面の平滑性が低いほど、大きくなる傾向がある。
さらに、二次転写部13を搬送されている用紙Pが、二次転写部13よりも上流または下流で他の部材に接触することによる二次転写部13における用紙Pの搬送負荷の上昇量は、用紙Pの表面に転写されるトナーの量が多いほど(すなわち、用紙Pに形成される画像の密度が高いほど)、大きくなる傾向がある。
さらにまた、二次転写部13を搬送されている用紙Pが、二次転写部13よりも上流または下流で他の部材に接触することによる二次転写部13における用紙Pの搬送負荷の上昇量は、画像形成装置1が設置される環境の温度または湿度が高いほど、大きくなる傾向がある。
【0056】
本実施形態の制御装置40は、用紙Pの坪量、用紙Pの表面の平滑性、用紙Pに形成される画像の密度、画像形成装置1が設置される環境の温度および湿度の少なくとも1つに基づいて、第1のトルクT1および第2のトルクT2を定めることが好ましい。付言すると、制御装置40は、用紙Pの坪量が大きいほど、用紙Pの表面の平滑性が低いほど、用紙Pに形成される画像の密度が高いほど、画像形成装置1が設置される環境の温度または湿度が高いほど、第1のトルクT1および第2のトルクT2を大きくすることが好ましい。
これにより、例えば、上述した各条件によらずに第1のトルクT1および第2のトルクT2を一律とする場合と比べて、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷の上昇量に応じて二次転写ロール134の駆動トルクを制御しやすくなる。これにより、二次転写部13での用紙Pの搬送負荷の変動を、駆動トルクにより相殺しやすくなる。この結果、用紙Pと中間転写ベルト12の外周面との間や、中間転写ベルト12の外周面と二次転写ロール134の外周面との間の滑り(スリップ)がより生じにくくなる。
【0057】
なお、上述した例では、用紙Pが二次転写部13に進入し搬送ロール対21(第2搬送ロール対21B、第3搬送ロール対21C)による用紙Pの搬送が解除されるタイミングと、用紙Pの先端が定着部140に進入するタイミングとの双方で、二次転写ロール134の駆動トルクを上昇させる制御を行ったが、これに限られない。
例えば、用紙Pの搬送方向の長さが、案内部材22から二次転写部13に至るまでの長さと比べて短い場合には、用紙Pが二次転写部13に進入し搬送ロール対21による用紙Pの搬送が解除されることによる二次転写部13での用紙Pの搬送負荷の変動が起こりにくい。この場合には、用紙Pが二次転写部13に進入し搬送ロール対21による用紙Pの搬送が解除される際には、二次転写ロール134の駆動トルクを大きくする制御は行わず、用紙Pの先端が定着部140に進入する際に、二次転写ロール134の駆動トルクを大きくする制御を行えばよい。
同様に、用紙Pの搬送方向の長さが、二次転写部13から定着器14の定着部140に至るまでの長さと比べて短い場合には、用紙Pの先端が定着部140に進入することによる二次転写部13での用紙Pの搬送負荷の変動が起こりにくい。この場合には、用紙Pの先端が定着部140に進入する際には、二次転写ロール134の駆動トルクを大きくする制御は行わず、用紙Pが二次転写部13に進入し搬送ロール対21による用紙Pの搬送が解除される際に、二次転写ロール134の駆動トルクを大きくする制御を行えばよい。
【0058】
また、上述した例では、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷の変動に応じて二次転写ロール134の駆動トルクを変化させる制御として、二次転写ロール134の駆動トルクを大きくする場合を説明したが、これに限られない。
例えば、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷が小さくなる場合には、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷の変動を、二次転写ロール134の駆動トルクの制御により相殺する観点から、二次転写ロール134の駆動トルクを小さくする制御を行ってもよい。
【0059】
<駆動トルクを変化させる他の態様について>
上述した例では、画像形成装置1において、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷が変動する場合として、二次転写部13を通過している用紙Pが二次転写部13よりも上流または下流で他の部材に接触する場合を例示した。しかしながら、画像形成装置1において、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷が変動する場合は、上記に限定されない。
例えば、用紙搬送部20の搬送ロール対21による用紙Pの搬送速度と、二次転写部13における中間転写ベルト12および二次転写ロール134による用紙Pの搬送速度とが異なる場合、二次転写部13に対する用紙Pの位置に応じて二次転写部13を搬送される用紙Pの搬送負荷に変動が生じる場合がある。なお、以下では、二次転写部13における中間転写ベルト12および二次転写ロール134による用紙Pの搬送速度を、単に、二次転写部13における用紙Pの搬送速度と表記する場合がある。また、ここでは、用紙搬送部20の第2搬送ロール対21Bおよび第3搬送ロール対21Cは、離間状態には切り替えられず、用紙Pが通過するまでの間、用紙Pの搬送を継続して行うものとする。
【0060】
まず、用紙搬送部20の搬送ロール対21による用紙Pの搬送速度が、二次転写部13における用紙Pの搬送速度と比べて速い場合について説明する。この場合、搬送ロール対21(例えば、第3搬送ロール対21C)により搬送される用紙Pの先端が二次転写部13に進入すると、搬送ロール対21による搬送速度と二次転写部13における搬送速度との差によって、二次転写部13では、
図4に示した例とは反対に、用紙Pに対して搬送方向の下流に向かう応力が生じる。これにより、搬送ロール対21による搬送される用紙Pの先端が二次転写部13に進入する際には、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷が小さくなる。より具体的には、搬送ロール対21による搬送される用紙Pの先端が二次転写部13に進入する際には、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷は、上述した基準負荷Sa(
図5参照)よりも小さくなる。
なお、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷が小さくなった場合にも、上述した例と同様に、用紙Pと中間転写ベルト12の外周面との間や、中間転写ベルト12の外周面と二次転写ロール134の外周面との間の滑り(スリップ)が生じやすくなる。
【0061】
これに対し、制御装置40は、用紙Pの先端が二次転写部13に進入する時刻に、二次転写ロール134の駆動トルクを小さくする。より具体的には、制御装置40は、搬送ロール対21(例えば、第3搬送ロール対21C)により搬送される用紙Pの先端が二次転写部13に進入する時刻に、二次転写ロール134の駆動トルクを基準トルクTaよりも小さくする。
これにより、用紙搬送部20の搬送ロール対21による用紙Pの搬送速度が二次転写部13における用紙Pの搬送速度と比べて速い場合に、搬送ロール対21により搬送される用紙Pの先端が二次転写部13に進入することにより二次転写部13で生じる用紙Pの搬送負荷の変動による影響を小さくすることができる。
【0062】
続いて、用紙搬送部20の搬送ロール対21による用紙Pの搬送速度が、二次転写部13における用紙Pの搬送速度と比べて遅い場合について説明する。この場合、搬送ロール対21(例えば、第3搬送ロール対21C)により搬送される用紙Pの先端が二次転写部13に進入すると、搬送ロール対21による搬送速度と二次転写部13における搬送速度との差によって、二次転写部13では、
図4に示した例と同様に、用紙Pに対して搬送方向の上流に向かう応力が生じる。これにより、搬送ロール対21による搬送される用紙Pの先端が二次転写部13に進入する際には、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷が大きくなる。より具体的には、搬送ロール対21による搬送される用紙Pの先端が二次転写部13に進入する際には、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷は、上述した基準負荷Sa(
図5参照)よりも大きくなる。
【0063】
これに対し、制御装置40は、用紙Pの先端が二次転写部13に進入する時刻に、二次転写ロール134の駆動トルクを大きくする。より具体的には、制御装置40は、搬送ロール対21(例えば、第3搬送ロール対21C)により搬送される用紙Pの先端が二次転写部13に進入する時刻に、二次転写ロール134の駆動トルクを基準トルクTaよりも大きくする。
これにより、用紙搬送部20の搬送ロール対21による用紙Pの搬送速度が二次転写部13における用紙Pの搬送速度と比べて遅い場合に、搬送ロール対21により搬送される用紙Pの先端が二次転写部13に進入することにより二次転写部13で生じる用紙Pの搬送負荷の変動による影響を小さくすることができる。
【0064】
用紙搬送部20の搬送ロール対21による用紙Pの搬送速度が二次転写部13における用紙Pの搬送速度と比べて遅い場合、用紙Pの先端が二次転写部13に進入した後、用紙Pの後端が搬送ロール対21(第3搬送ロール対21)を通過し搬送ロール対21により搬送されなくなった際に、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷が小さくなる場合がる。
すなわち、用紙Pの後端が搬送ロール対21を通過した後は、搬送ロール対21による搬送速度と二次転写部13における搬送速度との差によって用紙Pに生じる搬送方向の上流に向かう応力が無くなる。これにより、二次転写部13における用紙Pの搬送負荷が小さくなる。
【0065】
これに対し、制御装置40は、用紙Pの先端が二次転写部13に進入した後、用紙Pの後端が搬送ロール対21(第3搬送ロール対21C)を通過した時刻に、二次転写ロール134の駆動トルクを小さくする。
これにより、用紙搬送部20の搬送ロール対21による用紙Pの搬送速度が二次転写部13における用紙Pの搬送速度と比べて遅い場合に用紙Pの後端が搬送ロール対21を通過したことにより二次転写部13で生じる用紙Pの搬送負荷の変動による影響を小さくすることができる。
【0066】
<ベルト用モータMBおよびロール用モータMRについて>
続いて、ベルト駆動機構200におけるベルト用モータMB、およびロール駆動機構300におけるロール用モータMRについて説明する。
上述したように、ベルト駆動機構200におけるベルト用モータMBは、ステータに対しロータが外側に配置されているアウターロータモータにより構成されている。ベルト用モータMBは、アウターロータモータからなることにより、ロール用モータMRに比べて、慣性モーメントが大きくなっている。また、上述したように、ベルト用モータMBは、制御装置40により回転速度が制御可能な速度制御モータである。
【0067】
本実施形態では、ベルト用モータMBが、ロール用モータMRよりも慣性モーメントの大きいアウターロータモータからなることで、例えばベルト用モータMBがインナーロータモータからなる場合と比べて、ベルト用モータMBの回転対象である中間転写ベルト12の回転速度を安定させることができる。
上述したように、本実施形態の二次転写部13では、予め定められた速度で回転する中間転写ベルト12に対し二次転写ロール134が従動して回転する。このため、ベルト用モータMBにより中間転写ベルト12の回転速度が安定することで、二次転写部13における用紙Pの搬送速度の変動を起こりにくくすることができる。
【0068】
一方、ロール駆動機構300におけるロール用モータMRは、ステータに対しロータが内側に配置されているインナーロータモータにより構成されている。ロール用モータMRは、インナーロータモータからなることにより、ベルト用モータMBに比べて、ロータの大きさが小さく、慣性モーメントが小さくなっている。また、上述したように、ロール用モータMRは、制御装置40により駆動トルクが制御可能なトルク制御モータである。
【0069】
本実施形態では、ロール用モータMRが、ベルト用モータMBよりも慣性モーメントの小さいインナーロータモータからなることで、例えばロール用モータMRがアウターロータモータからなる場合と比べて、ロール用モータMRの回転対象である二次転写ロール134が中間転写ベルト12に従動して回転しやすくなる。これにより、中間転写ベルト12の外周面と二次転写ロール134の外周面との間に、滑りが生じにくくなる。
【0070】
<付記>
(((1)))
回転し、記録媒体に転写される画像を保持する像保持体と、
前記像保持体を回転駆動する第1駆動手段と、
前記像保持体に対向して回転し、当該像保持体との対向部を通過する記録媒体に対して当該像保持体に保持された画像を転写する転写部材と、
前記転写部材を回転駆動する第2駆動手段と、
前記対向部を通過している記録媒体の位置に応じて、前記第2駆動手段による前記転写部材の駆動トルクを変化させるトルク可変手段と
を備える画像形成装置。
(((2)))
前記トルク可変手段は、前記対向部を通過している記録媒体が当該対向部よりも上流または下流で他の部材に接触する際に、前記転写部材の駆動トルクを、記録媒体が当該他の部材に接触する前と比べて大きくする(((1)))に記載の画像形成装置。
(((3)))
前記対向部に向けて記録媒体を搬送するとともに、記録媒体の先端が当該対向部に到達した後に記録媒体の搬送を解除する搬送手段と、
記録媒体に接触し前記搬送手段に向けて記録媒体を湾曲した状態で案内する案内部材とをさらに備え、
前記トルク可変手段は、前記搬送手段による記録媒体の搬送が解除される際に、前記転写部材の駆動トルクを大きくする(((2)))に記載の画像形成装置。
(((4)))
前記トルク可変手段は、記録媒体の先端が前記対向部に到達した後、前記搬送手段による記録媒体の搬送が解除されるまでの間に、前記転写部材の駆動トルクを徐々に大きくする(((3)))に記載の画像形成装置。
(((5)))
前記トルク可変手段は、記録媒体の後端が前記案内部材を通過した後に、前記転写部材の駆動トルクを小さくする(((3)))または(((4)))のいずれかに記載の画像形成装置。
(((6)))
対向して回転する一対の定着部材を含み、一対の当該定着部材の間に形成された定着部を通過する記録媒体に対して前記転写部材により転写された画像を定着する定着手段をさらに備え、
前記トルク可変手段は、前記対向部を通過している記録媒体の先端が前記定着部に進入する際に、前記転写部材の駆動トルクを大きくする(((2)))~(((5)))のいずれかに記載の画像形成装置。
(((7)))
前記定着手段の前記定着部に向けて記録媒体を案内する定着案内部材をさらに備え、
前記トルク可変手段は、記録媒体の先端が前記定着案内部材に接触した後、記録媒体の先端が前記定着部に進入するまでの間に、前記転写部材の駆動トルクを徐々に大きくする(((6)))に記載の画像形成装置。
(((8)))
前記トルク可変手段は、記録媒体の先端が前記定着部を通過した後に、前記転写部材の駆動トルクを小さくする(((6)))または(((7)))に記載の画像形成装置。
(((9)))
前記対向部に向けて記録媒体を搬送する搬送手段をさらに備え、
前記トルク可変手段は、前記搬送手段による記録媒体の搬送速度と、前記対向部による記録媒体の搬送速度とが異なる場合に、記録媒体の先端が当該対向部に進入する際に、前記第2駆動手段による前記転写部材の駆動トルクを変化させる(((1)))に記載の画像形成装置。
(((10)))
前記トルク可変手段は、前記搬送手段による記録媒体の搬送速度が前記対向部による記録媒体の搬送速度と比べて速い場合に、記録媒体の先端が当該対向部に進入する際に、前記第2駆動手段による前記転写部材の駆動トルクを小さくする(((9)))に記載の画像形成装置。
(((11)))
前記トルク可変手段は、前記搬送手段による記録媒体の搬送速度が前記対向部による記録媒体の搬送速度と比べて遅い場合に、記録媒体の先端が当該対向部に進入する際に、前記第2駆動手段による前記転写部材の駆動トルクを大きくする(((9)))に記載の画像形成装置。
(((12)))
前記トルク可変手段は、記録媒体の先端が前記対向部に進入した後、記録媒体の後端が前記搬送手段を通過した際に、前記第2駆動手段による前記転写部材の駆動トルクを小さくする(((11)))に記載の画像形成装置。
(((13)))
前記トルク可変手段は、記録媒体の坪量、記録媒体の表面の平滑性、記録媒体に転写される画像の密度、気温および湿度の少なくとも1つに応じて、前記転写部材の駆動トルクを変化させる(((1)))~(((12)))のいずれかに記載の画像形成装置。
(((14)))
前記トルク可変手段は、前記像保持体の周速に対する前記転写部材の周速の比率が変化しない範囲で、当該転写部材の駆動トルクを変化させる(((1)))~(((13)))のいずれかに記載の画像形成装置。
(((15)))
前記第1駆動手段は、アウターロータモータからなり、
前記第2駆動手段は、前記第1駆動手段と比べて慣性モーメントが小さいインナーロータモータからなる(((1)))~(((14)))のいずれかに記載の画像形成装置。
【0071】
(((1)))の画像形成装置によれば、像保持体と転写部材との対向部を通過している記録媒体の位置に関わらず転写部材の駆動トルクを一定とする場合に比べて、対向部における記録媒体の搬送負荷の変動による影響を小さくすることができる。
(((2)))の画像形成装置によれば、記録媒体が他の部材に接触することによる、対向部における記録媒体の搬送負荷の変動による影響を小さくすることができる。
(((3)))の画像形成装置によれば、記録媒体が案内部材に接触することによる搬送負荷が対向部に伝達された場合に、対向部における記録媒体の搬送負荷の変動による影響を小さくすることができる。
(((4)))の画像形成装置によれば、転写部材の駆動トルクを一気に大きくする場合とと比べて、像保持体の表面と転写部材の表面とに滑りが生じることが抑制される。
(((5)))の画像形成装置によれば、記録媒体の後端が案内部材を通過した後に駆動トルクの大きさを維持する場合と比べて、像保持体の表面と転写部材の表面とに滑りが生じることが抑制される。
(((6)))の画像形成装置によれば、記録媒体の先端が定着部に進入することによる対向部における記録媒体の搬送負荷の変動による影響を小さくすることができる。
(((7)))の画像形成装置によれば、転写部材の駆動トルクを一気に大きくする場合とと比べて、像保持体の表面と転写部材の表面とに滑りが生じることが抑制される。
(((8)))の画像形成装置によれば、記録媒体の先端が定着部を通過した後に駆動トルクの大きさを維持する場合と比べて、像保持体の表面と転写部材の表面とに滑りが生じることが抑制される。
(((9)))の画像形成装置によれば、搬送手段による記録媒体の搬送速度と対向部による記録媒体の搬送速度との差による対向部における記録媒体の搬送負荷の変動による影響を小さくすることができる。
(((10)))の画像形成装置によれば、搬送手段による記録媒体の搬送速度が対向部による記録媒体の搬送速度と比べて速い場合に、記録媒体の先端が対向部に進入することによる対向部における記録媒体の搬送負荷の変動による影響を小さくすることができる。
(((11)))の画像形成装置によれば、搬送手段による記録媒体の搬送速度が対向部による記録媒体の搬送速度と比べて遅い場合に、記録媒体の先端が対向部に進入することによる対向部における記録媒体の搬送負荷の変動による影響を小さくすることができる。
(((12)))の画像形成装置によれば、搬送手段による記録媒体の搬送速度が対向部による記録媒体の搬送速度と比べて遅い場合に、記録媒体の後端が搬送手段を通過したことによる対向部における記録媒体の搬送負荷の変動による影響を小さくすることができる。
(((13)))の画像形成装置によれば、記録媒体の坪量、記録媒体の表面の平滑性、記録媒体に転写される画像の密度、気温および湿度によらずに転写部材の駆動トルクを変化させる場合と比べて、対向部における記録媒体の搬送負荷の変動による影響をより小さくすることができる。
(((14)))の画像形成装置によれば、像保持体の周速に対する前記転写部材の周速の比率が変化するように転写部材の駆動トルクを変化させる場合と比べて、像保持体の表面と転写部材の表面とに滑りが生じることが抑制される。
(((15)))の画像形成装置によれば、第2駆動手段が、慣性モーメントが第1駆動手段よりも大きいモータからなる場合と比べて、像保持体の周速と転写部材の周速とのずれが生じにくくなる。
【符号の説明】
【0072】
1…画像形成装置、12…中間転写ベルト、40…制御装置、134…二次転写ロール、200…ベルト駆動機構、300…ロール駆動機構、MB…ベルト用モータ、MR…ロール用モータ