IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アマダの特許一覧

特開2024-14189ワーク供給システム、ワーク供給方法及びワーク供給プログラム
<>
  • 特開-ワーク供給システム、ワーク供給方法及びワーク供給プログラム 図1
  • 特開-ワーク供給システム、ワーク供給方法及びワーク供給プログラム 図2
  • 特開-ワーク供給システム、ワーク供給方法及びワーク供給プログラム 図3
  • 特開-ワーク供給システム、ワーク供給方法及びワーク供給プログラム 図4
  • 特開-ワーク供給システム、ワーク供給方法及びワーク供給プログラム 図5
  • 特開-ワーク供給システム、ワーク供給方法及びワーク供給プログラム 図6
  • 特開-ワーク供給システム、ワーク供給方法及びワーク供給プログラム 図7
  • 特開-ワーク供給システム、ワーク供給方法及びワーク供給プログラム 図8
  • 特開-ワーク供給システム、ワーク供給方法及びワーク供給プログラム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014189
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】ワーク供給システム、ワーク供給方法及びワーク供給プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/60 20060101AFI20240125BHJP
   B65H 1/04 20060101ALI20240125BHJP
   B65G 59/02 20060101ALI20240125BHJP
   B21D 43/24 20060101ALN20240125BHJP
【FI】
B65H3/60 310
B65H1/04 320Z
B65G59/02 Z
B21D43/24 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116829
(22)【出願日】2022-07-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】居駒 周
【テーマコード(参考)】
3F030
3F343
【Fターム(参考)】
3F030BA02
3F343FA10
3F343FB17
3F343FC01
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC04
3F343GD04
3F343HE02
3F343JD03
3F343JD29
3F343KB03
3F343LA02
3F343LA03
3F343LC02
3F343LC19
3F343MC03
(57)【要約】
【課題】積載エリアの拡大に伴うマグネットフロータの設置台数の増加を抑えることが可能なワーク供給システム、ワーク供給方法及びワーク供給プログラム。
【解決手段】複数のワーク群を積載可能な積載エリアを形成するワーク載置台と、積載エリアに積載された複数のワーク群のうち、搬送対象となるワーク群を磁化させることでワーク群から最上位のワークを分離させるマグネットフロータと、積載エリアに沿ってマグネットフロータを移動させるマグネット移動機構とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のワーク群を積載可能な積載エリアを形成するワーク載置台と、
前記積載エリアに積載された複数のワーク群のうち、搬送対象となるワーク群を磁化させることで前記ワーク群から最上位のワークを分離させるマグネットフロータと、
前記積載エリアに沿って前記マグネットフロータを移動させるマグネット移動機構と
を備えるワーク供給システム。
【請求項2】
前記ワーク載置台は、ワーク群を積載可能な載置面を複数有し、
前記マグネット移動機構は、複数の前記載置面に亘って前記マグネットフロータを移動可能で、かつ、任意の前記載置面と対応する位置において前記マグネットフロータを停止可能に構成されている
請求項1に記載のワーク供給システム。
【請求項3】
前記ワーク載置台は、複数の載置台ユニットを備え、
前記載置台ユニットは、それぞれ、前記載置面と、前記載置面に載置された前記ワーク群の端部を揃えるための突き当て板部とを備える
請求項2に記載のワーク供給システム。
【請求項4】
前記積載エリアに積載された複数のワーク群のうち、搬送対象となるワーク群と整合する位置に前記マグネットフロータが到達するように前記マグネット移動機構を制御する移動制御部を更に備える
請求項1~3のいずれか1項に記載のワーク供給システム。
【請求項5】
前記マグネットフロータは、第1マグネットと、第2マグネットとを備え、
前記第1マグネットのS極と前記第2マグネットのN極とは、前記マグネットフロータの幅方向に離間して配置されており、
前記移動制御部は、前記第1マグネット及び前記第2マグネットの少なくとも一方が前記搬送対象となるワーク群と整合する位置に位置するよう前記マグネット移動機構を制御する
請求項4に記載のワーク供給システム。
【請求項6】
積載エリアに積載された複数のワーク群のうち、搬送対象となるワーク群に対するマグネットフロータの位置を特定する磁力付与位置特定工程と、
前記磁力付与位置特定工程により特定された位置まで前記マグネットフロータを移動させるマグネット移動工程と、
前記磁力付与位置特定工程により特定された位置において、前記搬送対象となるワーク群に対して磁力を付与する磁力付与工程と
を含む、ワーク供給方法。
【請求項7】
積載エリアに積載された複数のワーク群のうち、搬送対象となるワーク群に対するマグネットフロータの位置を特定する磁力付与位置特定処理と、
前記磁力付与位置特定処理により特定された位置まで前記マグネットフロータを移動させるマグネット移動処理と、
前記磁力付与位置特定処理により特定された位置において、前記搬送対象となるワーク群に対して磁力を付与する磁力付与処理と
をワーク供給システムに実行させる、ワーク供給プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク供給システム、ワーク供給方法及びワーク供給プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、積載エリアに積載されたワークを供給ロボットによって板材加工機側へ順次供給するワーク供給システムにおいて、積載された複数のワークを磁力によって浮上させて分離するマグネットフロータが用いられている(特許文献1等)。
【0003】
例えば特許文献1には、非磁性体のフロータカバーと、マグネットを有するフロータ本体と、フロータ本体をフロータカバーに対して接近又は離隔する方向に位置調整する位置調整機構とを備えるマグネットフロータが開示されている。特許文献1のマグネットフロータは、位置調整機構によってフロータ本体の位置を調整することでワークに作用するマグネットの磁力を調整し、最上位ワークの水平方向に対する浮上角を調整することが可能となっている。また、特許文献1のマグネットフロータは、フロータカバー等に目盛りが付されており、最上位ワークの浮上角を可視化することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6872968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のマグネットフロータは、ワークが積載された1つのパレットに対して2台設置されるものであるため、例えばパレットを複数連設させて積載エリアの拡大を図る場合には、パレット毎にマグネットフロータが2台ずつ設置されることとなる。このため、特許文献1のシステムでは、積載エリアの拡大に伴い稼働待機状態のマグネットフロータが増加し、設備コストが高額になるという問題がある。
【0006】
本発明の一態様は、積載エリアの拡大に伴うマグネットフロータの設置台数の増加を抑えることが可能なワーク供給システム、ワーク供給方法及びワーク供給プログラムである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るワーク供給システムは、複数のワーク群を積載可能な積載エリアを形成するワーク載置台と、前記積載エリアに積載された複数のワーク群のうち、搬送対象となるワーク群を磁化させることで前記ワーク群から最上位のワークを分離させるマグネットフロータと、前記積載エリアに沿って前記マグネットフロータを移動させるマグネット移動機構とを備える。
【0008】
本発明の一態様に係るワーク供給方法は、積載エリアに積載された複数のワーク群のうち、搬送対象となるワーク群に対するマグネットフロータの位置を特定する磁力付与位置特定工程と、前記磁力付与位置特定工程により特定された位置まで前記マグネットフロータを移動させるマグネット移動工程と、前記磁力付与位置特定工程により特定された位置において、前記搬送対象となるワーク群に対して磁力を付与する磁力付与工程とを含む。
【0009】
本発明の一態様に係るワーク供給プログラムは、積載エリアに積載された複数のワーク群のうち、搬送対象となるワーク群に対するマグネットフロータの位置を特定する磁力付与位置特定処理と、前記磁力付与位置特定処理により特定された位置まで前記マグネットフロータを移動させるマグネット移動処理と、前記磁力付与位置特定処理により特定された位置において、前記搬送対象となるワーク群に対して磁力を付与する磁力付与処理とをワーク供給システムに実行させる。
【0010】
本発明の一態様によるワーク供給システム、ワーク供給方法及びワーク供給プログラムによれば、複数のワーク群を積載可能な積載エリアに沿ってマグネットフロータを移動させることが可能であることにより、ワーク群毎にマグネットフロータを配置する必要が無いため、積載エリアの拡大に伴うマグネットフロータの設置台数の増加を抑えることが可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様に係るワーク供給システム、ワーク供給方法及びワーク供給プログラムによれば、積載エリアの拡大に伴うマグネットフロータの設置台数の増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るワーク供給システムを示す概略図である。
図2図2は、本実施形態に係るマグネットフロータを示す概略図である。
図3図3は、本実施形態に係るワーク積載機構を示す概略図である。
図4図4は、本実施形態に係るワーク積載機構を示す概略図である。
図5図5は、本実施形態に係る制御装置を示す機能ブロック図である。
図6図6は、ワークの形状に対するマグネットフロータの配置例を示す概略図である。
図7図7は、ワークの形状に対するマグネットフロータの配置例を示す概略図である。
図8図8は、ワークの形状に対するマグネットフロータの配置例を示す概略図である。
図9図9は、ワークの形状に対するマグネットフロータの配置例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0014】
[ワーク供給システムの全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係るワーク供給システムを示す概略図である。
図1に示すように、本実施形態に係るワーク供給システム1は、複数のワークW群が積載されたワーク積載機構10と、ワーク積載機構10に積載された複数のワークW群の1つから最上位のワークWを搬送可能に構成されたワーク供給ロボット100と、ワーク積載機構10及びワーク供給ロボット100を制御可能な制御装置200とを備えている。本実施形態に係るワーク供給システム1は、曲げ加工機等の加工機(図示せず)を更に備えていてもよく、加工機と共にワークWの自動加工システムを構成してもよい。このように自動加工システムを構成する場合には、ワーク供給ロボット100は、ワーク積載機構10と加工機との間に配置されることが好ましい。
【0015】
なお、本明細書において、「ワークW」とは、搬送対象となる板状の磁性体(板金)のことをいい、「ワークW群」(ワーク群)とは、ワークWが複数枚積層されることにより形成されたワークWの山のことをいう。また、「複数のワークW群」とは、このようにして形成されたワークW群が、平面方向に離間して複数存在することを意味する。
【0016】
[ワーク積載機構の構成]
図1に示すように、ワーク積載機構10は、複数のワークW群を積載可能な積載エリアLAを形成するワーク載置台20と、積載エリアLAに積載された複数のワークW群のうち、搬送対象となるワークW群を磁化させることでワークW群から最上位のワークWを分離させるマグネットフロータ30と、積載エリアLAに沿ってマグネットフロータ30を移動させるマグネット移動機構40とを備えている。
【0017】
[ワーク載置台の構成]
ワーク載置台20は、ワークW群を積載可能な載置面24を複数有している。具体的には、ワーク載置台20は、それぞれ載置面24を有する複数の載置台ユニット22と、これら複数の載置台ユニット22を互いに連結させるフレームFとを備えている。各載置台ユニット22は、ハンドル22a及び車輪22bを有しており、フレームFに対して挿脱させることが可能に構成されている。ワーク載置台20は、載置台ユニット22の設置数を増加又は減少させることが可能に構成されている。
【0018】
各載置台ユニット22は、ワークW群を積載させる載置面24と、載置面24に載置されたワークW群の端部を揃えるための突き当て板部26とを備えている。突き当て板部26は、載置面24毎に設けられており、これにより、積載エリアLAに沿って複数(図示の例では6つ)設けられている。
【0019】
載置面24は、ワーク供給ロボット100とは反対側の縁部が、ワーク供給ロボット100側の縁部よりもやや上方に位置するよう、水平方向(鉛直方向と直交する方向)に対して傾斜している。複数の載置台ユニット22は、各載置面24が互いに平面方向に沿って連続的又は間欠的に展開されることで、互いに協働して積載エリアLAが形成されるよう構成されている。
【0020】
突き当て板部26は、非磁性体の板材により形成された背面板部26aと、該背面板部26aの側縁部の一方に配された側板部26bとを備えている。背面板部26aは、載置面24のワーク供給ロボット100側の縁部に、該載置面24に対して直角となるよう立設されている。側板部26bは、背面板部26aの一方側の側縁部から載置面24側に向けて、該背面板部26aに対して直角となるよう延出している。突き当て板部26は、これら背面板部26aと側板部26bにより形成される角部にワークW群の角部を突き当てるか、または背面板部26aにワークW群の一の縁部を突き当てることにより、載置面24に載置されたワークW群の端部を揃えることが可能に構成されている。なお、例えば図9に示すように大型のワークWを2以上の載置面24に亘って配置する場合等には、隣接する載置面24の側板部26bを除去しても良い。
【0021】
また、背面板部26aの両側縁部には、各側縁部からワーク供給ロボット100側に向けて、該背面板部26aに対して直角となるよう延出する一対のフランジ部27a,27bが配されている。
【0022】
[マグネットフロータの構成]
図2は、本実施形態に係るマグネットフロータを示す概略図である。
図1及び図2に示すように、マグネットフロータ30は、ワークW群に対して磁力を付与することが可能なフロータ本体32と、フロータ本体32を突き当て板部26の背面板部26aの裏面に対して接近又は離隔する方向へ進退させる進退機構34と、マグネット移動機構40の後述するガイドレール42に沿って摺動可能なキャリッジベース36とを備えている。
【0023】
フロータ本体32は、突き当て板部26の背面板部26aと略平行な矩形ブロック状に形成されており、その内部に、第1マグネット(第1永久磁石)32a及び第2マグネット(第2永久磁石)32bを有している。第1マグネット32a及び第2マグネット32bは、フロータ本体32の上下方向(高さ方向)に沿ってそれぞれセグメント化されており、第1マグネット32aのS極と第2マグネット32bのN極は、フロータ本体32の幅方向(左右方向)に離間して配置されている。
【0024】
進退機構34は、例えば油圧式シリンダ又は空圧式シリンダ等の往復直動機構であり、具体的には、フロータ本体32の裏面に連結されたシリンダロッド34aと、油圧又は空圧によりシリンダロッド34aを進退させるシリンダ34bとを備えている。なお、進退機構34は、フロータ本体32を突き当て板部26の背面板部26aの裏面に対して接近又は離隔する方向へ進退させることが可能な構成であれば良く、上述した油圧式シリンダや空圧式シリンダに限定されず、例えば、電動式の往復直動機構であっても良い。
【0025】
キャリッジベース36は、進退機構34を相対移動不能に保持しており、マグネット移動機構40の後述するガイドレール42に沿って摺動することにより、進退機構34及びフロータ本体32を任意のワークW群に向けて移動させるよう構成されている。キャリッジベース36としては、マグネット移動機構40の後述する駆動部44によって駆動される電動スライダを好適に用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。
【0026】
以上の構成を備えることにより、マグネットフロータ30は、ワークW群に対して磁力を付与するオン状態と、オン状態よりもワークW群に付与される磁力を抑えたオフ状態とを切替可能に構成されている。具体的には、マグネットフロータ30は、進退機構34によってフロータ本体32を突き当て板部26の背面板部26aに接近させることにより、ワークW群に対して磁力を付与するオン状態になる。また、マグネットフロータ30は、進退機構34によってフロータ本体32を突き当て板部26の背面板部26aから離間させることにより、ワークW群に対する磁力を弱めた又は消失させたオフ状態になるよう構成されている。
【0027】
なお、本明細書において、「オン状態」とは、最上位のワークWの端部をそれよりも下位のワークWから浮き上がらせることが可能な程度の磁力をワークW群に対して付与した状態をいい、「オフ状態」とは、オン状態における磁力よりも弱い磁力をワークW群に対して付与した状態をいう。本明細書において、「オフ状態」には、ワークW群に対して全く磁力が付与されていない状態だけではなく、例えば、最上位ワークWの端部が下位ワークWから僅かに浮き上がる程度の弱い磁力が付与されている状態や、最上位ワークWの端部が下位ワークWから離間しない程度の微弱な磁力が付与されている状態も含むものとする。
【0028】
[マグネット移動機構の構成]
図3及び図4は、本実施形態に係るワーク積載機構を示す概略図である。
図1及び図3に示すように、マグネット移動機構40は、ワーク積載機構10の複数の載置台ユニット22に亘って延びるガイドレール42と、該ガイドレール42に沿ってマグネットフロータ30のキャリッジベース36を移動させるための駆動力を発生させる駆動部44とを備えている。
【0029】
マグネット移動機構40は、駆動部44を駆動することにより、複数の載置面24に亘ってマグネットフロータ30を移動可能で、かつ、任意の載置面24と対応する位置においてマグネットフロータ30を停止可能に構成されている。本実施形態において、マグネット移動機構40は、ガイドレール42に沿ってマグネットフロータ30を直進的に往復移動させる直動機構であるが、これに限定されるものではない。
【0030】
駆動部44は、マグネットフロータ30のキャリッジベース36の位置制御を行うことが可能な駆動源であることが好ましく、例えば、サーボモータ等の電動モータを好適に用いることが可能である。ただし、駆動部44は、電動モータに限定されず、油圧式又は空圧式の駆動源であっても良い。
【0031】
マグネット移動機構40は、後述するマグネット制御部240の移動制御部242による自動制御によって、積載エリアLAに積載された複数のワークW群のうち、搬送対象となるワークW群が載置された載置面24までマグネットフロータ30を自動で移動させるよう構成されている。また、マグネット移動機構40は、手動によってマグネットフロータ30の位置を調整することが可能に構成されている。
【0032】
[ワーク供給ロボットの構成]
ワーク供給ロボット100は、ワーク積載機構10と、ワークWの搬送先(例えば、加工機等)との間に配置されており、ワーク積載機構10上でワークWを保持し、そのワークWを加工機等の搬送先に向けて搬送するように構成されている。
【0033】
具体的には、ワーク供給ロボット100は、図1に示すように、ワーク供給ロボット100を移動させるための移動機構160と、ワークWを保持可能なロボットハンド(robotic hand)120と、ロボットハンド120をワークWに対して接近又は離間させるアーム部140とを含んでいる。
【0034】
移動機構160は、床面上に敷設されたレール部160aと、レール部160a上に沿って移動可能なベース台160bと、ベース台160bを駆動させるベース台駆動部(図示せず)とを有する所謂直動機構であり、制御装置200の後述するロボット制御部230からの制御信号に基づいて、床面上においてワーク供給ロボット100を移動させるよう構成されている。なお、移動機構160は、種々の公知の構成を採用可能であるため、その詳細な説明を省略する。
【0035】
アーム部140は、一端部が移動機構160のベース台160bに連結されると共に、他端部がロボットハンド120に連結されており、制御装置200のロボット制御部230からの制御信号に基づいて、ロボットハンド120をワークWに対して接近又は離間させるよう構成されている。本実施形態において、アーム部140は、6軸の制御軸を有する多関節アームであり、ワーク積載機構10からのワークWの搬送だけではなく、加工機等へのワークWの搬送(搬入)、ワークWの加工(曲げ加工)の補助、及び、加工機等からの製品(曲げ加工品)の搬送(搬出)等を実行可能に構成されている。なお、アーム部140は、種々の公知の構成を採用可能であるため、その詳細な説明を省略する。また、アーム部140は、上述した6軸の制御軸を有する多関節アームの構成に限定されず、種々の公知の構成を任意に採用することが可能である。
【0036】
ロボットハンド120は、アーム部140の先端部に着脱可能に装着されるハンド本体122と、ハンド本体122に取り付けられ、ワークWを保持可能に構成された複数の吸着部124と、ロボットハンド120がワークWに接触したことを検出可能な表面検出部(図示せず)とを有している。各吸着部124は、エアを吸引するエア吸引源(図示せず)に配管を介して接続されている。各吸着部124は、その下端部にワークWの表面に吸着可能(接触可能)な平型の吸着パッドを有しており、エア吸引源によるエアの吸引力によって、ワーク載置台20に積載されたワークW群から最上位のワークWの表面に吸着するよう構成されている。なお、ハンド本体122の形状は、図示の例に限定されず、ワークWの形状等に応じて任意に変更することが可能である。また、ロボットハンド120は、上述した吸着方式に限定されず、種々の公知の構成を任意に採用することが可能である。
【0037】
[制御装置の構成]
図5は、本実施形態に係る制御装置を示す機能ブロック図である。
図5に示すように、制御装置200は、入力部210と、表示部220と、ロボット制御部230と、マグネット制御部240と、記憶部250とを含む。また、制御装置200は、種々の公知の構成によりワーク積載機構10及びワーク供給ロボット100と接続している。
【0038】
入力部210は、例えば、キーボード、マウス、押しボタンスイッチ、タクトスイッチ及びキーロックスイッチ等の入力デバイスにより構成されており、入力部210を操作することにより、ワーク供給システム1において通常必要とされる情報の入力等をすることが可能に構成されている。
【0039】
表示部220は、表示装置としてのディスプレイを有しており、ワーク供給システム1において通常必要とされる画面表示等をすることが可能に構成されている。表示部220は、入力部210の機能を有するタッチパネルで構成され得る。表示部220がタッチパネルで構成された場合は、ユーザは、例えば表示部220を操作することにより、各種の情報を制御装置200に対して入力可能となる。
【0040】
なお、入力部210及び表示部220の構成は、上述した構成に限定されず、これら入力部210及び表示部220に代わり同等の機能を有する構成であれば(例えば、遠隔から利用可能な表示手段や入力手段等)、これに限定されるものではない。
【0041】
ロボット制御部230は、図5に示すように、搬送制御部232と、保持位置特定部234とを有する。
【0042】
保持位置特定部234は、ワークWに対するワーク供給ロボット100のロボットハンド120の保持位置を特定する保持位置特定処理を行う。具体的には、保持位置特定部234は、後述する記憶部250のワーク供給プログラムからワークWと、そのワークWに対するロボットハンド120の保持位置との座標データを抽出し、保持位置を特定する。
【0043】
搬送制御部232は、ワーク供給ロボット100のCNC制御(コンピュータ数値制御:Computerized Numerical Control)が可能に構成されており、最上位のワークWをワークW群から剥離させるロボットハンド制御処理を行う。
【0044】
具体的には、搬送制御部232は、ワーク積載機構10からワークWを搬送(搬出)する際に、記憶部250に記憶されているワーク供給プログラムに基づいて、ワーク積載機構10に積載された複数のワークW群のうち、搬送対象となるワークW群と整合する位置にアーム部140が到達するように移動機構160を制御するよう構成されている。また、搬送制御部232は、搬送対象となるワークW群の最上位のワークWにロボットハンド120が到達するようにアーム部140を制御するよう構成されている。
【0045】
また、搬送制御部232は、最上位のワークWにロボットハンド120が到達した際に、ロボットハンド120により最上位のワークWを保持するようにエア吸引源を制御すると共に、保持した最上位のワークWを持ち上げ、加工機等の搬送先に向けて搬送するように移動機構160及びアーム部140を制御するよう構成されている。この際、搬送制御部232は、アーム部140が前述した第1上昇動作、停止動作及び第2上昇動作の順で動作するようアーム部140を制御する。
【0046】
マグネット制御部240は、ワーク積載機構10のCNC制御(コンピュータ数値制御:Computerized Numerical Control)が可能に構成されており、搬送対象となるワークW群に対してマグネットフロータ30の磁力を作用させる磁力制御処理を行う。具体的には、マグネット制御部240は、図5に示すように、移動制御部242と、進退制御部244とを有する。
【0047】
移動制御部242は、記憶部250に記憶されているワーク供給プログラムに基づいて、積載エリアLAに積載された複数のワークW群のうち、搬送対象となるワークW群と整合する位置にマグネットフロータ30が到達するようにマグネット移動機構40を制御するよう構成されている。
【0048】
具体的には、移動制御部242は、記憶部250のワーク供給プログラムから、ワークW群に対するマグネットフロータ30の停止位置(磁力付与位置)を特定する。また、移動制御部242は、特定した磁力付与位置に基づいて、第1マグネット32a及び第2マグネット32bの少なくとも一方が搬送対象となるワークW群と整合する位置に位置するよう、マグネット移動機構40を制御するよう構成されている。ここで、「ワークW群と整合する位置」とは、突き当て板部26の背面板部26aと対向する方向から見た状態において、ワークW群の投影面積内に第1マグネット32a及び第2マグネット32bのいずれか一方又は双方が位置することを意味する。
【0049】
ここで、マグネットフロータ30の磁力付与位置(ワークW群に対する停止位置)は、第1マグネット32a及び第2マグネット32bの少なくとも一方が搬送対象となるワークW群と整合する位置であり、例えば以下の(1)~(4)の方法により決定することが可能である。この場合において、以下の(1)の位置を基本位置とし、以下の(2)~(4)の位置を、(1)の位置が採用不可の場合に選択される例外位置であるとしても良い。
【0050】
図6は、ワークの形状に対するマグネットフロータの配置例を示す概略図である。
(1) 図6に示すように、背面板部26aに突き当てられるワーク縁における側板部26b側のワーク端部Wpと、側板部26b側のマグネット(本実施形態では第1マグネット32a)とが整合する位置。すなわち、背面板部26aと直交する方向において、ワーク端部Wpと第1マグネット32aとが直線上に整列する位置。
【0051】
図7は、ワークの形状に対するマグネットフロータの配置例を示す概略図である。
(2) 図7に示すように、第1マグネット32aがワーク端部Wpよりも側板部26bから離れた位置。この(2)の位置は、上記(1)の位置ではフランジ部27aがフロータ本体32に干渉する場合に、好適に選択し得る。
【0052】
図8は、ワークの形状に対するマグネットフロータの配置例を示す概略図である。
(3) 図8に示すように、ワーク端部Wpと、側板部26bとは反対側のマグネット(本実施形態では第2マグネット32b)とが整合する位置。すなわち、背面板部26aと直交する方向において、ワーク端部Wpと第2マグネット32bとが直線上に整列する位置。この(3)の位置は、上記(1)や上記(2)の位置ではフランジ部27bがフロータ本体32に干渉する場合に、好適に選択し得る。
【0053】
図9は、ワークの形状に対するマグネットフロータの配置例を示す概略図である。
(4) 図9に示すように、ワークW群が2以上の載置面24に亘って配置された場合において、側板部26bが除去された側(図9における右側)の背面板部26aの範囲内、かつ、第1マグネット32a及び第2マグネット32bの少なくとも一方がワークW群と整合する位置。この(4)の位置は、ワークW群が2以上の載置面24に亘って配置された場合において、側板部26bが設けられた側(図9における左側)の背面板部26aの範囲内ではフロータ本体32がフランジ部27bと干渉する場合に、好適に選択し得る。
【0054】
なお、ワーク供給プログラムに含まれる磁力付与位置は、上記(1)~(4)の方法を基準としてユーザが任意に設定可能であっても良いし、ワークW群の位置と上記(1)~(4)の方法とに基づいて自動でプリセットされても良い。後者の場合において、プリセットされた磁力付与位置をユーザが編集可能であっても良い。
【0055】
進退制御部244は、搬送対象となるワークW群と整合する位置(磁力付与位置)にマグネットフロータ30が到達した後に、マグネットフロータ30がオフ状態からオン状態に切り替わるよう、進退機構34を制御するよう構成されている。また、進退制御部244は、次の搬送対象となるワークW群に向けてマグネットフロータ30が移動を開始する前に、マグネットフロータ30がオン状態からオフ状態に切り替わるよう、進退機構34を制御するよう構成されている。なお、進退制御部244は、ワーク供給ロボット100の動作と連動して、ワークWを搬出する度にマグネットフロータ30のオン状態とオフ状態とを切り替えるよう、進退機構34を制御しても良い。
【0056】
記憶部250は、ワーク供給ロボット100にワーク積載機構10からのワークWの搬送(搬出)、加工機等へのワークWの搬送(搬入)、ワークWの加工(曲げ加工)の補助、及び、加工機等からの製品(曲げ加工品)の搬送(搬出)等を実行させるためのワーク供給プログラムを格納する。ワーク供給プログラムは、該ワーク供給プログラムが実行されることにより、前述したロボット制御部230及びマグネット制御部240の各機能が実現されるよう構成されている。
【0057】
具体的には、ワーク供給プログラムは、ワークWに対するロボットハンド120の保持位置を特定する保持位置特定処理と、保持位置特定処理により特定された位置にロボットハンド120が到達するよう移動機構160及びアーム部140を駆動させる搬送制御処理とをワーク供給システム1のワーク供給ロボット100に実行させるよう構成されている。なお、保持位置特定処理及び搬送制御処理の具体的な処理内容は、上述した保持位置特定部234及び搬送制御部232の各機能のとおりであるため、それらの説明を省略する。
【0058】
また、ワーク供給プログラムは、積載エリアLAに積載された複数のワークW群のうち、搬送対象となるワークW群に対するマグネットフロータ30の位置を特定する磁力付与位置特定処理と、磁力付与位置特定処理により特定された位置までマグネットフロータ30を移動させるマグネット移動処理と、磁力付与位置特定処理により特定された位置において、搬送対象となるワークW群に対して磁力を付与する磁力付与処理とをワーク供給システム1のワーク積載機構10に実行させるよう構成されている。なお、磁力付与位置特定処理、マグネット移動処理及び磁力付与処理の具体的な処理内容は、上述した移動制御部242及び進退制御部244の各機能のとおりであるため、それらの説明を省略する。
【0059】
[本実施形態に係るワーク供給方法]
次に、以上説明したワーク供給システム1の一連のワーク供給方法について説明する。
【0060】
具体的には、まず、制御装置200は、記憶部250からワーク供給プログラムを読み出し、読み出されたワーク供給プログラムに含まれる情報等から、積載エリアLAに積載された複数のワークW群のうち、搬送対象となるワークW群に対するロボットハンド120の保持位置を特定すると共に、搬送対象となるワークW群に対するマグネットフロータ30の位置を特定する(保持位置特定工程、磁力付与位置特定工程)。その後、制御装置200のロボット制御部230は、ワーク供給ロボット100に対して制御信号を出力し、マグネット制御部240は、ワーク積載機構10に対して制御信号を出力する。
【0061】
ワーク供給ロボット100は、ロボット制御部230からの制御信号に基づき、搬送対象となるワークW群が載置された載置面24まで移動する(ロボット移動工程)。また、マグネットフロータ30も同様に、マグネット制御部240からの制御信号に基づき、磁力付与位置特定工程により特定された位置(磁力付与位置)まで移動する(マグネット移動工程)。このマグネット移動工程において、マグネットフロータ30は、フロータ本体32が後退したオフ状態である。
【0062】
ワーク供給ロボット100は、搬送対象となるワークW群が載置された載置面24に到達すると、ロボット制御部230からの制御信号に基づき、最上位のワークWをワークW群から離間させるワーク離間処理を実行する(ワーク離間工程)。具体的には、ワーク供給ロボット100は、搬送対象となるワークW群が載置された載置面24まで移動した後に、ロボット制御部230からの制御信号に基づき、該載置面24に積載されたワークW群の最上位のワークWにロボットハンド120の吸着部124を接触させ、エア吸引源による吸引力によって最上位のワークWの表面に吸着部124を吸着させる。そして、最上位のワークWの表面に吸着部124を吸着させた状態において、ワーク供給ロボット100は、ロボット制御部230からの制御信号に基づき、ワークW群から最上位のワークWを持ち上げることにより、最上位のワークWをワークW群から離間させる。
【0063】
また、マグネットフロータ30は、磁力付与位置特定工程により特定された位置(磁力付与位置)において、マグネット制御部240からの制御信号に基づき、搬送対象となるワークW群に対して磁力を付与する(磁力付与工程)。具体的には、マグネットフロータ30は、進退機構34のシリンダロッド34aを前進させることでフロータ本体32を突き当て板部26の背面板部26aに向けて接近させ、オフ状態からオン状態に切り替わる。これにより、オフ状態のときよりも強い磁力をワークW群に対して付与する。
【0064】
なお、磁力付与工程は、ワーク離間工程の前に開始されても良いし、ワーク離間工程と同時又はこれよりも後に開始されても良い。すなわち、ワーク供給ロボット100は、磁力付与工程により最上位のワークWが浮上した状態で該最上位のワークWに接触するよう動作しても良いし、磁力が付与される前に最上位のワークWに接触し、その後、磁力付与工程によりワークW群に磁力が付与された状態で最上位のワークWをワークW群から離間させるよう動作しても良い。また、マグネットフロータ30は、搬送対象となるワークWが全て搬送されるまでオン状態が継続されても良いし、1つのワークWが搬送される期間内においてオン状態とオフ状態とが切り替えられても良い。
【0065】
そして、ワーク供給ロボット100は、ロボット制御部230からの制御信号に基づき、ワーク離間工程によりワークW群から剥離された最上位のワークWを加工機等の搬送先に供給する。以上の工程により本実施形態に係るワーク供給システム1によるワーク供給方法の一連の動作が実行される。
【0066】
[本実施形態に係るワーク供給システムの利点]
以上説明したように、本実施形態に係るワーク供給システム1は、複数のワークW群を積載可能な積載エリアLAを形成するワーク載置台20と、積載エリアLAに積載された複数のワークW群のうち、搬送対象となるワークW群を磁化させることでワークW群から最上位のワークWを分離させるマグネットフロータ30と、積載エリアLAに沿ってマグネットフロータ30を移動させるマグネット移動機構40とを備えている。
【0067】
このような構成を備える本実施形態に係るワーク供給システム1によれば、複数のワークW群を積載可能な積載エリアLAに沿ってマグネットフロータ30を移動させることが可能であることにより、ワークW群毎にマグネットフロータ30を配置する必要が無いため、積載エリアLAの拡大に伴うマグネットフロータ30の設置台数の増加を抑えることが可能である。
【0068】
また、本実施形態に係るワーク供給システム1において、ワーク載置台20は、ワークW群を積載可能な載置面24を複数有し、マグネット移動機構40は、複数の載置面24に亘ってマグネットフロータ30を移動可能で、かつ、任意の載置面24と対応する位置においてマグネットフロータ30を停止可能に構成されている。このような構成を備えることにより、本実施形態に係るワーク供給システム1は、複数の載置面24に亘ってマグネットフロータ30を自由に移動及び停止させることが可能であるため、作業性に優れるという利点を有している。
【0069】
さらに、本実施形態に係るワーク供給システム1において、ワーク載置台20は、複数の載置台ユニット22を備え、載置台ユニット22は、それぞれ、載置面24と、載置面24に載置されたワークW群の端部を揃えるための突き当て板部26とを備えている。このような構成を備えることにより、本実施形態に係るワーク供給システム1は、載置面24上においてワークW群を綺麗に整列させることが可能であると共に、載置台ユニット22の設置数を増加又は減少させることにより積載エリアLAのスケールアップ又はスケールダウンを容易に行うことができるという利点を有している。
【0070】
また、本実施形態に係るワーク供給システム1は、積載エリアLAに積載された複数のワークW群のうち、搬送対象となるワークW群と整合する位置にマグネットフロータ30が到達するようにマグネット移動機構40を制御する移動制御部242を更に備えている。このような構成を備えることにより、本実施形態に係るワーク供給システム1は、搬送対象となるワークW群が載置された載置面24までマグネットフロータ30を自動で移動させることが可能であるという利点を有している。この利点は、ワーク供給ロボット100により自動運転を行う際に、特に顕著となる。すなわち、マグネットフロータ30を手動のみで移動させる構成の場合には、ワーク供給ロボット100の自動運転中にマグネットフロータ30を移動させることが困難であるが、本実施形態に係るワーク供給システム1によれば、ワーク供給ロボット100の自動運転中においてもマグネットフロータ30を移動させることが可能である。
【0071】
さらに、本実施形態に係るワーク供給システム1において、マグネットフロータ30は、第1マグネット32aと、第2マグネット32bとを備え、第1マグネット32aのS極と第2マグネット32bのN極とは、マグネットフロータ30の幅方向に離間して配置されており、移動制御部242は、第1マグネット32a及び第2マグネット32bの少なくとも一方が搬送対象となるワークW群と整合する位置に位置するようマグネット移動機構40を制御する。このような構成を備えることにより、本実施形態に係るワーク供給システム1は、ワークWの形状に基づく適切な位置に自動でマグネットフロータ30を移動させ、剥がし動作を行うことが可能となるため、手動でマグネットフロータ30の位置を調整する場合と比較して作業負担を軽減することが可能であると共に、剥がし不良に起因する搬送不良等を抑制することが可能であるという利点を有している。
【0072】
[変形例]
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、本実施形態及び第2実施形態に記載の範囲には限定されない。上述した実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0073】
例えば、ワーク供給システム1は、積載エリアLAに積載されたワークW群を特定するためのカメラを更に備えても良く、制御装置200は、カメラにより特定されたワークW群の位置に基づいてワーク積載機構10やワーク供給ロボット100を制御する構成であっても良い。
【0074】
また、上述した実施形態では、マグネットフロータ30は、進退機構34によりフロータ本体32を進退させることによってオン状態とオフ状態とを切り替えるものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、進退機構34は、オン状態とオフ状態との間において、フロータ本体32の進退距離を多段的に変更し、ワークWに付与される磁力を調整可能な構成であっても良い。また、マグネットとして電磁石を採用する場合には、通電のオン・オフにより、オン状態とオフ状態とを切り替える構成としても良い。
【0075】
さらに、上述した実施形態では、マグネットフロータ30が1台のみ設置される構成であるものとして説明したが、これに限定されず、2台以上設置されても良い。
【0076】
また、上述した実施形態では、マグネットフロータ30が一方向(例えばX方向)に沿って往復動する構成であるものとして説明したが、これに限定されず、複数方向(例えばX方向及びY方向)に沿って往復動可能な構成としても良い。例えば、複数の載置台ユニット22がL字型に配置されると共に、該L字の各辺に沿うようにガイドレール42がL字型に敷設され、該L字のガイドレール42に沿ってマグネットフロータ30が往復動可能な構成であっても良い。この場合において、X方向に延びるガイドレール42とY方向に延びるガイドレール42との双方に亘ってマグネットフロータ30が移動可能な構成であっても良いし、X方向に延びるガイドレール42
とY方向に延びるガイドレール42との双方にそれぞれマグネットフロータ30が配置される構成であっても良い。
【符号の説明】
【0077】
1 :ワーク供給システム
10 :ワーク積載機構
20 :ワーク載置台
22 :載置台ユニット
22a :ハンドル
22b :車輪
24 :載置面
26 :突き当て板部
26a :背面板部
26b :側板部
27a :フランジ部
27b :フランジ部
30 :マグネットフロータ
32 :フロータ本体
32a :第1マグネット
32b :第2マグネット
34 :進退機構
34a :シリンダロッド
34b :シリンダ
36 :キャリッジベース
40 :マグネット移動機構
42 :ガイドレール
44 :駆動部
100 :ワーク供給ロボット
120 :ロボットハンド
122 :ハンド本体
124 :吸着部
140 :アーム部
160 :移動機構
160a :レール部
160b :ベース台
200 :制御装置
210 :入力部
220 :表示部
230 :ロボット制御部
232 :搬送制御部
234 :保持位置特定部
240 :マグネット制御部
242 :移動制御部
244 :進退制御部
250 :記憶部
F :フレーム
LA :積載エリア
W :ワーク
Wp :ワーク端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9