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特開2024-141902建物用シャッター装置における障害物検知装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141902
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】建物用シャッター装置における障害物検知装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/84 20060101AFI20241003BHJP
   E06B 9/82 20060101ALI20241003BHJP
   E06B 9/17 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
E06B9/84 C
E06B9/82 E
E06B9/17 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053773
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128392
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】香西 統太
(72)【発明者】
【氏名】岩階 章
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042CA01
2E042CB05
2E042CB06
2E042CC00
(57)【要約】
【課題】シャッターカーテン3の最下端部に設けられる座板7を、上座板部8と下座板部9と中間の検知部材10とを用いて構成し、下座板部9が障害物Zに当接することで上動するコーナー部9bcが、縦片部10bを上動せしめることにより障害物検知センサ11が検知作動をするものにおいて、上動した下座板部9が、障害物Zの除去後、円滑に元姿勢に復帰するようにする。
【解決手段】下座板部9が障害物の検知作動がなされた以上に上昇した場合に、下座板部9に、縦片部10bがコーナー部9bcから離間するよう上動させる第二作動部9dを設け、これによって下座板部9の確実な元姿勢への復帰ができるようにする。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に通過可能に形成される開口部の左右両側に設けられるガイドレール、該ガイドレールに昇降案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテン、開口部の上方に配され、シャッターカーテンが巻装される巻き取り体を備えて構成される建物用シャッター装置において、
前記シャッターカーテンの最下端部に設けられる座板を、
シャッターカーテンに連結される上座板部と、
該上座板部に対して上下移動自在に設けられる下座板部と、
上下座板部間に配され、下座板部の上動を受けて上動するべく上座板部に上下揺動自在に枢支される検知部材と、
該検知部材の上動を検知する障害物検知センサと、が備えられたものとして構成し、
前記検知部材は、
上座板部に枢支する枢支部が前後方向一方側に偏倚して設けられ、
枢支部から縦方向に向けて垂下する縦片部と、
縦片部の下端部から前後方向他方側に向けて延出する横片部と、が備えられ、
前記下座板部に、
該下座板部の上動により縦片部、横片部に各別に当接して検知部材を上動させる前後の第一作動部が備えられた構成とするにあたり、
前記下座板部には、一方側の第一作動部が縦片部に当接する下座板部の上動を受けて上動した検知部材に対し、更なる下座板部の上動により当接して該検知部材を更に上動せしめて一方側の第一作動部を縦片部から離間させる第二作動部が設けられていることを特徴とする建物用シャッター装置における障害物検知装置。
【請求項2】
第二作動部は、一方側の第一作動部が上端部に形成される下座板部の一方側の側片部から前後方向内方に向けて延設されていることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置における障害物検知装置。
【請求項3】
第二作動部は、一方側の側片部に一体形成されていることを特徴とする請求項2記載の建物用シャッター装置における障害物検知装置。
【請求項4】
第二作動部は、下座板部の底片部から上方に向けて延設されていることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置における障害物検知装置。
【請求項5】
第二作動部は、下座板の底片部に別部材として取り付けられていること特徴とする請求項4記載の建物用シャッター装置における障害物検知装置。
【請求項6】
第二作動部の検知部材当接位置から枢支部までの距離が、一方側の第一作動部の縦片部当接位置から枢支部までの距離よりも長くなるよう設定されていて、一方側の第一作動部の上動を受けた検知部材の上動より、第二作動部の上動を受けた検知部材の上動の方が大きくなるよう構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1記載の建物用シャッター装置における障害物検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルや住宅等の建物の出入り口等の開口部に建て付けられる建物用シャッター装置における障害物検知装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ビルや住宅等の建物の出入り口等の開口部に建て付けられる建物用のシャッター装置は、開口部の左右に設けられるガイドレール、該ガイドレールに案内されて開口部の開閉作動をするシャッターカーテン、開口部上方の天井部に設けられ、シャッターカーテンが巻装される巻き取り体等の各種の部材装置を用いて構成されるが、シャッターカーテンが閉作動している過程において、シャッターカーテンの最下端部に設けられる座板に、人や荷物等の障害物が当接して挟まれることが想定される。
そこで座板を、シャッターカーテンに連結される上座板部と該上座板部に対して上下動自在に設けられる下座板部とを備えた構成にし、シャッターカーテンが閉作動している過程で下座板部が障害物に当接して上動したことを障害物検知センサで検知をし、該検知に基づいて開閉機を緊急停止させる等の障害物検知作動を行うようにしていた。
しかしながら下座板部が障害物に当接して上動する場合に、障害物の当接位置によって、前後方向に水平な姿勢で上動する場合だけでなく、前後方向一方側が上昇した傾斜姿勢で上動する場合もあり、このような下部座板の多様な上動を、障害物検知センサで直接検知することは難しいという問題がある。
そこで上下座板部間に検知部材が配されたものとし、下座板部が障害物に当接して上動したことを、検知部材を介して障害物検知センサで検知する構成にしたものが従来から知られている(例えば特許文献1参照)。
この場合に前記従来のものでは、下座板部の多様な上動姿勢に対応するため、検知部材を、上座板部に対して前後方向一方側に偏倚した状態で上下揺動自在に枢支し、該検知部材の枢支部から縦方向に垂下する縦片部と、該縦片部の下端部から前後方向他方側に向けて延出する横片部とが形成されたものとする一方、下座板部を、縦片部、横片部に各別に対応する前後の作動部が形成されたものとし、そして下座板部が前記多様な姿勢で上動したとしても作動部が対応する縦片部、横片部に当接することによって検知部材を上動せしめ、これによって確実な障害物検知ができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7023796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで前記従来のものにおいて、検知部材が作動部の上動を受けて検知作動をする場合、該検知作動が、枢支部が形成される前後方向一方側の第一作動部の上動である場合、該一方側の第一作動部の上動は、枢支部の直下部位において該枢支部に近接する方向の摺動による上動となるが、このような状態で障害物が除去されたとき検知部材は元姿勢に復帰することになる。この際に作動部は、当接している検知部材から前後方向一方側を向いた(横方向を向いた)負荷を受けた状態になっているが、この負荷は下座板部の上動が大きいほど大きいものとなる。この結果、この前後方向一方側を向いた負荷が大きくなったときには、下座板部と検知部材との当接部において大きい摺動抵抗が発生することが想定され、このような場合、一方側の第一作動部が縦片部に係止した状態となって円滑な復帰作動が阻害される惧れがあり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、前後方向に通過可能に形成される開口部の左右両側に設けられるガイドレール、該ガイドレールに昇降案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテン、開口部の上方に配され、シャッターカーテンが巻装される巻き取り体を備えて構成される建物用シャッター装置において、前記シャッターカーテンの最下端部に設けられる座板を、シャッターカーテンに連結される上座板部と、該上座板部に対して上下移動自在に設けられる下座板部と、上下座板部間に配され、下座板部の上動を受けて上動するべく上座板部に上下揺動自在に枢支される検知部材と、該検知部材の上動を検知する障害物検知センサと、が備えられたものとして構成し、前記検知部材は、上座板部に枢支する枢支部が前後方向一方側に偏倚して設けられ、枢支部から縦方向に向けて垂下する縦片部と、縦片部の下端部から前後方向他方側に向けて延出する横片部と、が備えられ、前記下座板部に、該下座板部の上動により縦片部、横片部に各別に当接して検知部材を上動させる前後の第一作動部が備えられた構成とするにあたり、前記下座板部には、一方側の第一作動部が縦片部に当接する下座板部の上動を受けて上動した検知部材に対し、更なる下座板部の上動により当接して該検知部材を更に上動せしめて一方側の第一作動部を縦片部から離間させる第二作動部が設けられていることを特徴とする建物用シャッター装置における障害物検知装置である。
請求項2の発明は、第二作動部は、一方側の第一作動部が上端部に形成される下座板部の一方側の側片部から前後方向内方に向けて延設されていることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置における障害物検知装置である。
請求項3の発明は、第二作動部は、一方側の側片部に一体形成されていることを特徴とする請求項2記載の建物用シャッター装置における障害物検知装置である。
請求項4の発明は、第二作動部は、下座板部の底片部から上方に向けて延設されていることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置における障害物検知装置である。
請求項5の発明は、第二作動部は、下座板の底片部に別部材として取り付けられていること特徴とする請求項4記載の建物用シャッター装置における障害物検知装置である。
請求項6の発明は、第二作動部の検知部材当接位置から枢支部までの距離が、一方側の第一作動部の縦片部当接位置から枢支部までの距離よりも長くなるよう設定されていて、一方側の第一作動部の上動を受けた検知部材の上動より、第二作動部の上動を受けた検知部材の上動の方が大きくなるよう構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1記載の建物用シャッター装置における障害物検知装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、下座板部が障害物に当接して前後方向一方側が上昇する上動によって障害物検知がなされた状態から、更なる下座板部の上動を受けて検知部材が上動した場合に、下座板部に設けた第二作動部が、検知部材を更に上動せしめて一方側の第一作動部を縦片部から離間させることになり、この結果、障害物が除去される等して下座板部が元姿勢の状態に復帰する際に、一方側の第一作動部と縦片部とが離間したものとなって一方側の第一作動部と縦片部とのあいだに摺動抵抗がないものとなって、下座板部は、縦片部とのあいだの摺動抵抗に影響されることなく確実に元姿勢に復帰することになる。
請求項2の発明とすることにより、第二作動部が、下座板部の一方側の側片部から前後方向内方に向けて延設されたものとなって、構造が複雑化することなく第二作動部を設けることができる。
請求項3の発明とすることにより、第二作動部が一方側の側片部に一体形成されたものとなって、構造の簡略化にさらに寄与できることになる。
請求項4の発明とすることにより、第二作動部が、下座板部の底片部から上方に向けて延設されたものとなって、構造が複雑化することなく第二作動部を設けることができる。
請求項5の発明とすることにより、第二作動部を、第二作動部が設けられていない下座板部に簡単に取り付けることができることになる。
請求項6の発明とすることにより、第二作動部の検知部材当接位置から枢支部までの距離が、一方側の第一作動部の縦片部当接位置から枢支部までの距離よりも長くなるよう設定されていて、一方側の第一作動部の上動を受けた検知部材の上動よりも第二作動部の上動を受けた検知部材の上動の方が大きくなる結果、第二作動部の上動により一方側の第一作動部を縦片部から離間させることが確実にできることになって、障害物が除去された後の下座板部の元姿勢への復帰が確実になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】シャッター装置の正面図である。
図2】シャッターカーテンの断面平面図である。
図3】座板部位の正面図である。
図4】座板部位の断面側面図である。
図5】(A)(B)は下座板部が水平状態で上動する状態を示した座板部位の断面側面図である。
図6】(A)(B)は下座板部の後側片部が上昇する上動をした状態を示した座板部位の断面側面図である。
図7】(A)(B)は下座板部の前側片部が上昇する上動をした状態を示した座板部位の断面側面図である。
図8】下座板部の前側片部が上昇する傾斜上動をして障害物検知がなされた以上に下座板部が上動した状態の座板部位の断面側面図であって、(A)は第二作動部がある場合、(B)は第二作動部がない場合を示すものである。
図9】(A)(B)(C)は上座板部の正面図、平面図、側面図である。
図10】(A)(B)(C)は下座板部の正面図、平面図、側面図である。
図11】(A)(B)(C)は検知部材の正面図、平面図、側面図である。
図12】第二の実施の形態であって、(A)(B)は平常姿勢の状態、障害物検知がなされた以上に下座板部の前側が傾斜上動した状態の座板部位の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1はビルや住宅等の建物の出入り口等の開口部Eの開閉をするため設けられる建物用のシャッター装置であって、該シャッター装置1は、人や荷物等の通過物が前後方向に通過可能な開口部Eの左右両側に設けられるガイドレール2、該ガイドレール2に案内されて開口部Eの開閉をするシャッターカーテン3、開口部Eの上方に設けられ、シャッターカーテン3が巻装される巻き取り体(巻き取りドラム、巻き取りホイール)4、巻き取り体4の正逆駆動をする電動式の開閉機5、該開閉機5の駆動制御をする制御部6等の各種の部材装置を備えて構成されること等は何れも従来通りである。
【0009】
前記シャッターカーテン3の最下端部には、該シャッターカーテン3の左右幅と略同寸法に設定される座板7が設けられるが、該座板7は、シャッターカーテン3の最下端スラット3aに連結される上座板部8と、該上座板部8に対して上下動自在に設けられる下座板部9と、これら上下座板部9、9間に介装される検知部材10と、上座板部8と検知部材10とのあいだに配される状態で上座板部8に取り付けられる障害物検知センサ11とを備えて構成されており、以下、これらについて詳述する。
【0010】
前記上座板部8は、下側(下端縁部)が開口したものであって、上片部8aと前後両側の側片部8b、8cとを備えた冂形状に形成されるが、上片部8aには、前後方向中央部位(中間部位)が凸状に高くなった凸状片部8aaが形成されている。そして該凸状片部8aaから上方に延設される取り付け片部8abが前記最下端スラット3aに連結されている一方、凸状片部8aaの下面に障害物検知センサ11が取り付けられたものとなっている。
また前後側片部8b、8cは、上片部8aの前後方向外端縁部から垂下状に設けられるが、該前後側片部8b、8cの下端部には、前後方向内側に向けて水平状に突出する係止片部8ba、8caが形成されている。そして該係止片部8ba、8caが、後述するように下座板部9を受け止め係止する構成になっている。
【0011】
一方、下座板部9は、上側(上端縁部)が開口したものであって、下片部9aと前後両側の側片部9b、9cとを備えた凵形状に形成されるが、前後側片部9b、9cの上半部に、前記上座板部8の前後係止片部8ba、8caが上下移動できるよう遊嵌状に嵌合するべく前後方向内側に向けて凹嵌状となった嵌合片部9ba、9caが形成されている。そして該嵌合片部9ba、9caの上片部が、前記係止片部8ba、8caに上側から係合することで、下座板部9の受け止めをする係合片部9bb、9cbに構成されている。
そして下座板部9は、障害物検知がない自然の平常姿勢(通常姿勢)の状態では、前後係合片部9bb、9cbが前後係止片部8ba、8caに対して上側から当接しており、この平常姿勢の下座板部9に、シャッターカーテン3の閉作動過程において障害物Zが当接した場合に、該下座板部9は上座板部8に対して相対的な上動をするよう構成される。
尚、座板7の左右両端縁部には、下座板部9が上座板部8に対して必要以上に前後方向に振れないよう下座板部9、上座板部8に振れ止め部材12、12aが設けられている。
【0012】
前述した下座板部9に障害物Zが当接することを受けた下座板部9の上動の態様として、前後方向に水平となった状態での上動を挟む状態で、前後方向何れか一端側が上昇する前後に傾斜した状態での上動がある。
そして下座板部9が水平状態で上動する場合は、図5に示すように、前後の係合片部9bb、9cbが上座板部8の前後の係止片部8ba、8caから離間する上動になる。
これに対し、前後方向何れか一端側が上昇する傾斜状態で上動する場合は、図6に示すように、前後係合片部9bb、9cbのうちの上昇する何れか一方側が、対応する前後係止片部8ba、8caの何れか一方から離間する一方、前後係合片部9bb、9cbのうちの他方側のものは、前後係止片部8ba、8caのうちの他方側のものに当接した状態で傾斜する上動となる。
【0013】
このような下座板部9の上動に連動して検知部材10が検知作動をし、この検知部材10の検知作動を障害物検知センサ11が検知し、これによって障害物検知がなされることになる。この場合に検知部材10は、上端部に設けられる枢支部10aが前後方向一方側(前側。以降、便宜上「前後方向一方側」を「前側」、「他方側」を「後側」として前後方向の定義がなされたものとして説明する。)に偏倚する状態で形成され、該枢支部10aが、上座板部上片部8aの凸状片部8aaよりも前側部位に前後方向揺動自在に枢支(軸支)されている。
そして検知部材10は、前記枢支部10aから縦方向(下方向)に向けて垂下する縦片部10bと、該縦片部10bの下端部から後側に向けて延出する横片部10cとを備えた略L字形状に構成されたものになっている。
【0014】
さらに前記縦片部10bには、枢支部10aの軸心Oを通る垂線Xよりも前側に偏倚する状態で弧状となって膨出する弧状片部10baが上半部に形成される一方で、縦片部10bの下半部には、弧状片部10baの下端部から続く状態で前高後低状に傾斜していて、下端部が前記垂線Xを越えて後側に位置する傾斜片部10bbが形成されたものとなっている。
そして検知部材10は、前述した障害物検知のない平常姿勢の状態では、上座板部8の後側係止片部8caに上側から係合している下座板部9の後側係合片部(本発明の「後側の第一作動部」に相当する。)9cbに、横片部10cの先端部10caが上側から当接した非検知姿勢になっている。この場合に、下座板部前側嵌合片部9baの上端側のコーナー部(本発明の「前側の第一作動部」に相当する。)9bcが、下座板部9の前側傾斜片部10bbに近接対向した状態になっており、この状態では、検知部材10は、水平姿勢となった横片部10cが障害物検知センサ11に設けられるセンサアーム11aから離間したものになっており、障害物検知センサ11は非検知状態となっている。
【0015】
これに対し、下座板部9が障害物Zに当接して上動した場合において、該下座板部9の上動が、略水平状態での上動、または後端側が上昇する傾斜状態での上動であった場合、図5、6に示すように、下座板部後側縦片部9cの後側の第一作動部となる係合片部9cbが、前記当接している検知部材横片部10cの先端部10caと共に上動することになり、これによって検知部材10は、枢支部10aを支点として横片部10cが上動する揺動をすることになってセンサアーム11aを上動させ、これによって障害物検知センサ11による障害物検知がなされることになる。そして障害物検知センサ11が障害物検知した場合に、障害物検知信号が、取り付け片部8abに設けた送信手段13から送信されることになり、この障害物検知信号を図示しない受信手段が受信することに基づいて制御部6は緊急停止する等の障害物検知制御を行うように構成されている。
そしてこのように、下座板部9の後側係合片部9cbの上動に連動する横片部10cの上動に基づいた障害物検知作動がなされている状態で障害物が除去された場合、検知部材10は、単に下座板部9の後側係合片部9cbによって持ち上げられて上動しているだけであって変位方向は共に同じ上動であることから、下座板部9の自重を受けた下動に連動して下動することになって下座板部9と共に平常姿勢に復帰することになる。
【0016】
これに対し、障害物Zの当接による下座板部9の上動が、前端側が上昇する傾斜上動であった場合、図7に示すように、下座板部前側片部9bの前側の作動部として機能する前側の第一作動部を構成するコーナー部9bcが、検知部材縦片部10bの傾斜片部10bbから弧状片部10baに摺接する状態の上動をすることになり、これに伴い検知部材10の枢支部10aを支点とする上動がなされ、前述した場合と同様、枢支部10aを支点として上動した横片部10cがセンサアーム11aを上動せしめることになって障害物検知センサ11による障害物検知がなされることになる。
【0017】
そしてこのように、下座板部9の前側片部9bが上昇した傾斜上動をすることに基づいて前記障害物検知作動がなされた状態から障害物が除去されることで、下座板部9、検知部材10が元の平常姿勢に復帰する場合、下座板部9は下動するのに対し、検知部材10は縦片部10bが枢支部10aを支点とした前方に向けた揺動となって復帰方向が縦横異なったものとなる。
ところでこのように検知部材10が、下座板部9の前側片部9bのコーナー部9bcが当接することに伴い上動した状態では、枢支部10aの軸心Oを支点とし、後方に向けて長い横片部10c部位(検知部材10の重心位置)が力点となって検知部材10の自重による下向きの負荷(荷重)が作用し、縦片部10bが当接しているコーナー部9bcに対して前方に向けた負荷が作用する、所謂梃子の原理が成立する状態となっている。
【0018】
このため下座板部9の前側片部9bが傾斜上動することに基づいた前記障害物検知作動がなされた場合において、更に下座板部9が上動してコーナー部9bcが、弧状片部10baの膨出頂部10bcを越える傾斜上動をしたような状態で障害物が除去された場合に下座板部9、検知部材10が元の平常姿勢に復帰しようとするとき、コーナー部9bcは、図8(B)に示すように、縦片部10bを膨出頂部10bcを下動する長い距離を摺動しなければならないが、この際にコーナー部9bcは、前述したように梃子の原理によって縦片部10b側から前方に向いた横方向の負荷を受けていることになる。この結果、コーナー部9bcと縦片部10bとのあいだの摺動抵抗が大きくなって、コーナー部9bcの縦片部10bに対する円滑な摺動を伴う下動が阻害され、コーナー部10bcが縦片部10bに係止したままの状態になって元の平常姿勢に復帰しにくくなることが想定される。
【0019】
そこでこのものでは、下座板部前後側片部9b、9cの嵌合片部9ba、9caから前後方向内方に向けて第二作動部9dが延設されたものとなっている。つまり該第二作動部9dは、コーナー部9bcよりも低位に位置していて枢支部10aからの距離が、コーナー部9bcよりも長くなるよう設定されている。
この場合に第二作動部9dは、検知部材10の傾斜片部10bbの傾斜面に沿うよう、前後方向内側ほど低位になった傾斜状に形成されている。そして第二作動部9dは、下座板部9が平常姿勢に位置する状態では、縦片部10bの下方に離間した位置に配されたものになっている。
【0020】
そしてこの平常姿勢の状態から、下座板部9が障害物Zに当接して前端側が上昇する傾斜上動をしていくにつれ、第二作動部9dは、後方に向けて揺動する傾斜片部10bbに次第に近接することになり、そして検知部材10が、前記下座板部9の前側が上昇する傾斜上動に連動する揺動をして障害物検知センサ11の障害物検知作動がなされることになるが、この障害物検知作動があった以降において、更なる下座板部9の上動があった場合に、図7図8(A)に示すように、該上動にタイミングを合わせた状態で第二作動部9dが縦片部10bの傾斜片部10bbに当接し、これによって検知片部10を、コーナー部9bcが上動することに伴う上動に先行する大きな上動がなされることになり、これによって縦片部10bがコーナー部9bcから離間した状態となる。
この結果、コーナー部9bcが障害物検知後に更に上動した状態で障害物が除去されることで下座板部9、検知部材10が元の平常姿勢に復帰しようとする場合、コーナー部9bcが縦片部10bから離間した状態になるため、コーナー部9bcと縦片部10bとは摺動抵抗が働かない状態で元の平常姿勢への復帰が行われることになり、係止状態になって復帰が阻害されることがないように構成されている。
【0021】
叙述の如く構成された本実施の形態において、シャッターカーテン3が開口部Eを閉鎖するべく下動している過程において、下座板部9が障害物Zに当接して前側が上昇する傾斜上動に基づいて障害物検知がなされた状態から、更に下座板部9が前記前側が上昇する傾斜上動をして検知部材10が対応する上動をした場合に、下座板部9に設けた第二作動部9dが、検知部材10を更に下側から上動せしめることになってコーナー部9bcと縦片部10bとを離間させることになる。
この結果、障害物Zが除去される等して下座板部9が元の平常姿勢に復帰する際に、下座板部9の前側の上動が大きいような場合であっても、コーナー部9bcは、縦片部10bから離間したものとなっているから、下座板部9は、前記大きい摺動抵抗に影響されることなく確実に元の平常姿勢に復帰することができる。
【0022】
そしてこのものでは、第二作動部9dが検知部材10に当接した場合に、該当接位置から枢支部10aの軸心Oまでの距離が、第一作動部となるコーナー部9bcの縦片部10bに対する当接位置から枢支部軸心Oまでの距離よりも長くなるよう設定されたものになっているため、コーナー部9bcの上動を受けた検知部材10の上動よりも、第二作動部9dの上動を受けた検知部材10の上動の方が大きくなり、この結果、第二作動部9dの上動に基づいてコーナー部9bcを縦片部10bから離間させることが確実にできることになって、障害物Zが除去された後の下座板部の元姿勢への復帰が確実になる。
【0023】
しかもこのものでは、第二作動部9dが、下座板部9の前側片部9bから後方に向けて延設されたものとなっているため、下座板部9の構造を複雑化することなく該第二作動部9dが設けられたものとなる。そしてこの場合に、該第二作動部9dが、前側片部9bに一体形成されたものである結果、第二作動部9dは、下座板部9の上座板部8に対する組み付けで取り付けられることになり、構造の簡略化だけでなく、組み付け性の向上にさらに寄与できることになる。
【0024】
因みに第二作動部9dとしては、前側片部9bに形成されるだけで充分であるが、座板7を、上座板部8と下座板部9とを用いて組み立てるにあたり、上下座板部8、9は何れも前後線対象形状に形成されている。そして下座板部9については、上座板部8に対して前後を逆にした状態で組み立てたとしても、第二作動部9dが必ず前側に位置することになるよう配慮されたものとなっていて組み立て性の便宜が払われている。
【0025】
尚、本発明は前記実施の形態のものに限定されたものではなく、例えば図12に示す第二の実施の形態のようにすることができる。このものは第二作動部14dを、前記第一の実施の形態のように下座板部9の前後側片部9b、9cに設けたものではなく、下座板部9の底片部9aから上方に向けて延設したものとなっており、このようにしても、構造を複雑化することなく第二作動部14dが設けられたものとすることができる。
そして該第二の実施の形態のものでは、第二作動部14dは、下座板部9の下片部9aに取り付けられた作動部材14の一部として構成されるものであるが、該作動部材14は、下座板部9の底片部9aにビス14aを介して固定される跨片部14bと、該跨片部14bの前後両端縁部から上方に向けて立設する前後脚片部14cと、該前後脚片部14cの上端縁から前後方向内側に向けて鋭角状に折曲された折曲片部14dとを備えて構成され、該折曲片部14dが、前後方向内側ほど低位な傾斜片となっていることで、前記前後の第二作動部14dが形成されたものとなっており、そのうち本発明の「第二作動部」として機能するものは、前側の第二作動部14dとなる。
因みに本第二の実施の形態の第二作動部14dは、別部材として設けた構成にしているが、第一の実施の形態のように一体形成したものであっても勿論よいが第二作動部14dを別部材として設けるようにしたものでは、第二作動部が予め設けられていない既存の下座板部9であっても第二作動部14dを簡単に取り付けることができるという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、ビルや住宅等の建物の出入り口等の開口部に建て付けられる建物用シャッター装置における障害物検知装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 シャッター装置
2 ガイドレール
3 シャッターカーテン
4 巻き取り体
7 座板
8 上座板部
8b 前側片部
9 下座板部
9b 前側片部
9bc コーナー部
9c 後側片部
9d 第二作動部
10 検知部材
10a 枢支部
10b 縦片部
10c 横片部
11 障害物検知センサ
E 開口部
Z 障害物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12