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特開2024-141916管理システム、管理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141916
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】管理システム、管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20241003BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20241003BHJP
   G05D 1/00 20240101ALI20241003BHJP
【FI】
H04M11/00 301
H04Q9/00 351
G05D1/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053795
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】小杉 篤史
(72)【発明者】
【氏名】迫水 和仁
【テーマコード(参考)】
5H301
5K048
5K201
【Fターム(参考)】
5H301AA02
5H301AA10
5H301BB10
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD06
5H301DD07
5H301DD17
5H301GG06
5H301GG08
5H301GG09
5H301KK02
5H301KK08
5H301KK09
5H301KK19
5K048BA41
5K048DB01
5K048DC01
5K048EB02
5K048EB10
5K048EB15
5K048FC02
5K048GC06
5K048HA01
5K048HA02
5K048HA21
5K201BA01
5K201CB10
5K201CB16
5K201CC03
5K201CC04
5K201DC02
5K201EC05
5K201ED09
(57)【要約】
【課題】移動体を運用するシステムの利便性を向上する。
【解決手段】移動体による周囲の環境のセンシング結果に基づいて生成されるタグデータと前記移動体の位置情報とに対応する第1のスクリプト処理を実行するよう、前記移動体による動作を制御する動作制御部と、前記第1のスクリプト処理の実行状況に基づく所定の第1条件が満たされる場合、前記移動体を遠隔操作する遠隔操作端末と前記移動体を接続する接続制御部と、を備える、管理システム。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体による周囲の環境のセンシング結果に基づいて生成されるタグデータと前記移動体の位置情報とに対応する第1のスクリプト処理を実行するよう、前記移動体による動作を制御する動作制御部と、
前記第1のスクリプト処理の実行状況に基づく所定の第1条件が満たされる場合、前記移動体を遠隔操作する遠隔操作端末と前記移動体を接続する接続制御部と、
を備える、管理システム。
【請求項2】
前記第1条件は、前記移動体が前記第1のスクリプト処理を実行した回数についての条件を含む、
請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記第1条件は、前記第1のスクリプト処理が完了しないことを含む、
請求項1に記載の管理システム。
【請求項4】
前記第1条件は、前記第1のスクリプト処理において取得されるセンシング結果についての条件を含む、
請求項1に記載の管理システム。
【請求項5】
前記第1条件は、所定のタグデータが新たに生成されたことを含む、
請求項1に記載の管理システム。
【請求項6】
前記第1のスクリプト処理は、前記移動体によって繰り返し実行され、
前記動作制御部は、前記第1のスクリプト処理において取得されたセンシング結果に基づいて判定される、所定の第2条件が満たされる場合、前記第1のスクリプト処理の繰り返し実行を終了するよう前記動作を制御する、
請求項2に記載の管理システム。
【請求項7】
前記接続制御部は、前記移動体と接続された前記遠隔操作端末にて実行が制御された処理内容を再現する第2のスクリプト処理が生成されている場合、前記移動体と前記遠隔操作端末との接続に替えて、前記第2のスクリプト処理を前記移動体に実行させる、請求項1に記載の管理システム。
【請求項8】
前記第2のスクリプト処理は、前記第1条件の判定結果に基づき前記遠隔操作端末と前記移動体が接続された際の、オペレータによる前記遠隔操作端末の操作内容に基づき生成される、
請求項7に記載の管理システム。
【請求項9】
前記接続制御部は、所定の第3条件がさらに満たされる場合に、前記第2のスクリプト処理を前記移動体に実行させる、
請求項8に記載の管理システム。
【請求項10】
前記第3条件は、生成された前記タグデータ、前記移動体の位置情報、および前記第1のスクリプト処理において取得されたセンシング結果の少なくともいずれかについての条件を含む、
請求項9に記載の管理システム。
【請求項11】
前記第3条件は、前記第1条件に基づき前記遠隔操作端末と前記移動体が接続された回数が所定回数以上であることを含む、
請求項9に記載の管理システム。
【請求項12】
前記管理システムは、機械学習によって前記タグデータを生成する生成部をさらに備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項13】
前記移動体は、自律走行を行う、請求項1~11のいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項14】
移動体による周囲の環境のセンシング結果に基づいて生成されるタグデータと前記移動体の位置情報とに対応する第1のスクリプト処理を実行するよう、前記移動体による動作を制御するステップと、
前記第1のスクリプト処理の実行状況に基づく所定の第1条件が満たされる場合、前記移動体を遠隔操作する遠隔操作端末と前記移動体を接続するステップと、
を含む、コンピュータによって実行される、管理方法。
【請求項15】
コンピュータを、
移動体による周囲の環境のセンシング結果に基づいて生成されるタグデータと前記移動体の位置情報とに対応する第1のスクリプト処理を実行するよう、前記移動体による動作を制御する動作制御部と、
前記第1のスクリプト処理の実行状況に基づく所定の第1条件が満たされる場合、前記移動体を遠隔操作する遠隔操作端末と前記移動体を接続する接続制御部と、
として機能させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理システム、管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動体が周囲の環境のセンシングを行い、センシング結果に基づいて処理を実行するシステムが開発されている。例えば、特許文献1には、移動体によって撮影された画像に基づき情報を出力するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-363969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、センシング結果に基づいて、所定の処理を自動的に行わせるスクリプト処理を移動体に実装することが検討されている。しかし、移動体によるスクリプト処理が正常に完了しなかったり、移動体によって同一のスクリプト処理が何度も実行されたりしてしまうという問題が発生し得る。また、スクリプト処理によって得られたセンシング結果に応じて、移動体と、当該移動体を遠隔操作する遠隔操作端末を接続したいというニーズも想定される。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、移動体を運用するシステムの利便性を向上することが可能な、新規かつ改良された技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、移動体による周囲の環境のセンシング結果に基づいて生成されるタグデータと前記移動体の位置情報とに対応する第1のスクリプト処理を実行するよう、前記移動体による動作を制御する動作制御部と、前記第1のスクリプト処理の実行状況に基づく所定の第1条件が満たされる場合、前記移動体を遠隔操作する遠隔操作端末と前記移動体を接続する接続制御部と、を備える、管理システムが提供される。
【0007】
前記第1条件は、前記移動体が前記第1のスクリプト処理を実行した回数についての条件を含んでもよい。
【0008】
前記第1条件は、前記第1のスクリプト処理が完了しないことを含んでもよい。
【0009】
前記第1条件は、前記第1のスクリプト処理において取得されるセンシング結果についての条件を含んでもよい。
【0010】
前記第1条件は、所定のタグデータが新たに生成されたことを含んでもよい。
【0011】
前記第1のスクリプト処理は、前記移動体によって繰り返し実行され、前記動作制御部は、前記第1のスクリプト処理において取得されたセンシング結果に基づいて判定される、所定の第2条件が満たされる場合、前記第1のスクリプト処理の繰り返し実行を終了するよう前記動作を制御してもよい。
【0012】
前記接続制御部は、前記移動体と接続された前記遠隔操作端末にて実行が制御された処理内容を再現する第2のスクリプト処理が生成されている場合、前記移動体と前記遠隔操作端末との接続に替えて、前記第2のスクリプト処理を前記移動体に実行させてもよい。
【0013】
前記第2のスクリプト処理は、前記第1条件の判定結果に基づき前記遠隔操作端末と前記移動体が接続された際の、オペレータによる前記遠隔操作端末の操作内容に基づき生成されてもよい。
【0014】
前記接続制御部は、所定の第3条件がさらに満たされる場合に、前記第2のスクリプト処理の実行を制御してもよい。
【0015】
前記第3条件は、生成された前記タグデータ、前記移動体の位置情報、および前記第1のスクリプト処理において取得されたセンシング結果の少なくともいずれかについての条件を含んでもよい。
【0016】
前記第3条件は、前記第1条件に基づき前記遠隔操作端末と前記移動体が接続された回数が所定回数以上であることを含んでもよい。
【0017】
前記管理システムは、機械学習によって前記タグデータを生成する生成部をさらに備えてもよい。
【0018】
前記移動体は、自律走行を行ってもよい。
【0019】
また、上記課題を解決するために本発明の別の観点によれば、移動体による周囲の環境のセンシング結果に基づいて生成されるタグデータと前記移動体の位置情報とに対応する第1のスクリプト処理を実行するよう、前記移動体による動作を制御するステップと、前記第1のスクリプト処理の実行状況に基づく所定の第1条件が満たされる場合、前記移動体を遠隔操作する遠隔操作端末と前記移動体を接続するステップと、を含む、コンピュータによって実行される、管理方法が提供される。
【0020】
また、上記課題を解決するために本発明の別の観点によれば、コンピュータを、移動体による周囲の環境のセンシング結果に基づいて生成されるタグデータと前記移動体の位置情報とに対応する第1のスクリプト処理を実行するよう、前記移動体による動作を制御する動作制御部と、前記第1のスクリプト処理の実行状況に基づく所定の第1条件が満たされる場合、前記移動体を遠隔操作する遠隔操作端末と前記移動体を接続する接続制御部と、として機能させる、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明によれば、移動体を遠隔操作する管理システムの利便性をより向上することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る管理システムの概要図である。
図2】本発明の一実施形態に係る管理システムの機能構成を示すブロック図である。
図3】ロボットスクリプトデータテーブルの一例を示すテーブル図である。
図4】管理データベース230に記憶されるロボットデータテーブルの一例を示すテーブル図である。
図5】管理データベース230に記憶されるスクリプト処理状況データテーブルの一例を示すテーブル図である。
図6】管理データベース230に記憶される遠隔スクリプト処理データテーブルの一例を示すテーブル図である。
図7】本実施形態に係る管理システムによるロボット100と遠隔操作端末240の接続処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8】管理センタ200による、遠隔操作スクリプト処理をロボット100に実行させる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】本発明の実施形態に係るロボット100および管理センタ200における情報処理を行う情報処理装置900のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
また、本明細書および図面では、ロボットをそれぞれロボット100A、ロボット100B、・・・のように、異なるアルファベットを付することにより区別して表現する場合がある。ただし、各ロボットを特に区別する必要がない場合は単にロボット100と称する。
【0025】
また、遠隔操作端末240A、遠隔操作端末240B・・・についても同様に、異なるアルファベットを付することにより区別して表現する場合がある。ただし、各遠隔操作端末を特に区別する必要がない場合は単に遠隔操作端末240と称する。
【0026】
また、本明細書および図面では、オペレータをオペレータOP-1、オペレータOP-2、・・・のように、ハイフンと異なる数字の組み合わせを付することにより区別して表現する場合がある。ただし、各オペレータを特に区別する必要がない場合は単にオペレータOPと称する。
【0027】
<<1.管理システムの概要>>
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る管理システムの概要について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る管理システムの概要図である。図1に示すように、本発明の一実施形態に係る管理システムは、複数のロボット100、および管理センタ200を有する。ロボット100と管理センタ200とは、ネットワーク10に接続されており、ネットワーク10を介して互いに通信可能に接続される。
【0028】
ロボット100は、例えば、所定の建築物内を巡回する。ロボット100は、ロボット100の周囲の環境をセンシングすることで、ロボット100が巡回する建築物内の構造および状況に関する情報を管理センタ200に送信することができる。ロボット100は、無線通信を用いることで、任意の位置でネットワーク10に接続することができる。
【0029】
ロボット100は、本発明にかかる移動体の一例である。本実施形態においては、移動体がロボット100である場合の例を主に説明するが、本発明にかかる移動体は、自律走行する車、船舶、航空機、またはドローン等であってもよい。
【0030】
ここで、ロボットとは、いわゆる「人造人間」、「人間に類似した動作、または作業を行う装置」、または「指示に基づいてコンピュータ制御されることで動作、または作業を行う装置」などと定義される機械装置である。例えば、ロボットは、「自動制御によるマニピュレーション機能、または移動機能をもち、各種の作業をプログラムによって実行でき、産業に使用される機械」(JIS B 0134-1998)、「人間にサービスするロボット」(JIS B 0187:2005)、または「センサ、知能・制御系、駆動系の3つの要素技術を有する、知能化した機械システム」(経済産業省ロボット政策研究会)にて定義される機械装置であってもよい。
【0031】
また、ロボット100は、管理センタ200から受信した命令が示す動作を実行することも可能である。例えば、ロボット100は、管理センタ200内から、指定された地点への移動の命令を受信し、当該地点へ移動することが可能である。
【0032】
管理センタ200は、業務管理部220と、複数の遠隔操作端末240とを含む。管理センタ200は、ゲートウェイ装置を介してネットワーク10に接続される。管理センタ200に含まれる業務管理部220と遠隔操作端末240とは、管理センタ200内の有線LAN通信を用いて互いに接続されてもよい。
【0033】
業務管理部220は、ロボット100の各種業務を制御および管理する。また、業務管理部220は、接続要求をロボット100から受信した場合、該接続要求を適切なオペレータOPが操作する遠隔操作端末240に振り分ける。
【0034】
遠隔操作端末240は、オペレータOPがロボット100を監視または遠隔操作するために使用する装置である。例えば、遠隔操作端末240は、パーソナルコンピュータ(Personal Computer: PC)、タブレット装置、またはスマートフォンなどの端末と、これらの端末に接続される周辺機器とを含んでもよい。
【0035】
遠隔操作端末240は、ロボット100の状態に関する情報の表示、ロボット100からの通知の表示、オペレータOPの入力操作に基づくロボット100への動作の命令、またはオペレータOPの状態に関する監視等を行う。例えば、遠隔操作端末240は、ロボット100に関する情報と、ロボット100の周囲の環境のセンシング結果とをオペレータOPに提示する。オペレータOPは、ロボット100から提示された情報に基づき、ロボット100が実行する動作を命令してもよい。なお、遠隔操作端末240は、オペレータOPの人数に応じて複数設けられてもよい。また、本明細書では遠隔操作端末240がオペレータOPによって操作される例について説明するが、遠隔操作端末240は、管理センタ200の管理者等、オペレータOP以外の人物によって操作されてもよい。
【0036】
ネットワーク10は、ロボット100と管理センタ200とを接続し、ロボット100と管理センタ200との間でのデータ送受信を可能とする通信網である。ネットワーク10は、インターネット、衛星通信網、移動通信網、LAN(Local Area Network)、またはWAN(Wide Area Network)などであってもよい。
【0037】
<<2.管理システムの機能構成例>>
続いて、図2を参照して、本発明の一実施形態に係る管理システムの機能構成について説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る管理システムの機能構成を示すブロック図である。
【0038】
<ロボット100>
まず、ロボット100の機能構成について説明する。図2に示すように、ロボット100は、通信部110と、記憶部120と、ロボット制御部130と、センサ部140と、AI部150と、移動部180とを備える。
【0039】
(通信部110)
通信部110は、ネットワーク10に接続可能な無線通信インタフェースである。例えば、通信部110は、ネットワーク10に直接接続可能な無線通信インタフェースであってもよい。また、通信部110は、携帯電話通信網、または無線LANなどの他のネットワークを介してネットワーク10に接続可能な無線通信インタフェースであってもよく、中継装置または基地局を介してネットワーク10に接続可能な無線通信インタフェースであってもよい。通信部110は、ネットワーク10を介して他のロボット100および管理センタ200との間で通信を行う。
【0040】
(記憶部120)
記憶部120は、ロボット制御部130の制御に応じて、種々の情報を記憶する記憶装置である。記憶部120は、例えば、ロボット100が巡回する場所の基本情報、および地図情報等を記憶してもよい。
【0041】
(ロボット制御部130)
ロボット制御部130は、ロボット100にて取得された種々のデータを処理すると共に、ロボット100の動作全般を制御する、動作制御部の一例である。
【0042】
例えば、ロボット制御部130は、スクリプトが示すスクリプト処理を実行するようロボット100の各機能を制御する、動作制御部の一例である。ロボット制御部130は、ロボット100の位置情報および後述のAI部150によって生成されるタグデータに対応するスクリプト処理の実行を制御する。ロボット制御部130によって実行が制御されるスクリプト処理の詳細については後述する。
【0043】
ロボット制御部130は、例えば、ロボット100の動作全般を制御するソフトウェア、および該ソフトウェアをインストールしたハードウェアによって構成される。ハードウェアとしては、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Read Only Memory)、およびROM(Read Only Memory)を例示することができる。また、CPUに替えて、DSP(Digital Signal Processor)、マイクロプロセッサ、またはIC(Integrated Circuit)などを用いることも可能である。
【0044】
(センサ部140)
センサ部140は、ロボット100の周囲の環境画像を取得可能な撮像装置、またはロボット100の周囲の環境のパラメータをセンシング可能な各種センサを含む。
【0045】
例えば、センサ部140は、撮像装置として、RGBカメラ、ステレオカメラ、360度カメラ、サーモグラフィカメラ、または赤外線カメラなどを含んでもよい。また、センサ部140は、各種センサとして、温度、湿度、照度、気圧、振動、位置、またはオブジェクトまでの距離をセンシング可能なセンサを含んでもよい。さらに、センサ部140は、煙、におい、化学物質、または静電気等の発生をセンシング可能なセンサを含んでもよい。また、センサ部140は、ロボット100への指示等の入力を受け付けるタッチセンサ等を含んでもよい。
【0046】
(AI部150)
AI部150は、センサ部140にて収集した周囲の環境画像等のセンシング結果を数値化または文字化する。AI部150は、数値化または文字化された情報に基づいて、ロボット100における各種判断を行う。例えば、AI部150は、機械学習アルゴリズムを用いた画像認識、パターン認識、または情報解析を行うことで環境画像およびセンシング情報を数値化または文字化し、数値化または文字化された情報に基づいて、ロボット100における各種判断を行ってもよい。
【0047】
AI部150は、数値化または文字化された情報に基づき、機械学習によってタグデータを生成する、生成部の一例である。AI部150によって生成されるタグデータは、自然文であってもよいし、数字またはアルファベット等の文字列であってもよい。AI部150は、例えば、所定の状況である場合にタグデータを生成してもよい。より具体的には、AI部150は、センサ部140によるセンシング結果に基づき、ロボット100の周囲に放置物があると判定した場合に、「放置物が存在する」というタグを生成してもよい。
【0048】
ロボット制御部130は、AI部150が作成したタグデータ、およびセンサ部140が取得したセンシング結果に基づき特定されるロボット100の位置情報に基づき、スクリプトが示すスクリプト処理を実行するようロボット100の各機能を制御する。ここで、タグデータおよび位置情報に基づき実行されるスクリプト処理をロボットスクリプト処理と称する。ロボットスクリプト処理は、第1のスクリプト処理の一例である。
【0049】
ロボット制御部130がタグデータに基づきスクリプト処理を実行するようロボット100を制御することにより、ロボット100の周囲の状況に適した処理が実行される。これにより、ロボット100は、対処が求められる状況を解消したり、当該状況が解消されたか否かを判定したりすることが可能である。そのため、かかる構成によればロボット100を用いた管理システムの運用性が向上する。
【0050】
また、ロボット100は自律移動することによって様々な場所の状況をセンシングすることが可能である。ここで、ロボット100の周囲の状況が同じ状況であっても、位置によって好ましい対応が異なる場合がある。そのため、ロボット制御部130がロボット100の位置情報に基づきスクリプト処理を実行するようロボット100を制御することにより、ロボット100の位置に適した処理が実行されるため、ロボット100を用いた管理システムの運用性が向上する。
【0051】
ここで、ロボットスクリプト処理に関する情報は、記憶部120に記憶されてもよい。また、ロボットスクリプト処理に関する情報は、通信部110によって管理センタ200から取得されてもよい。
【0052】
ロボットスクリプト処理に関する情報は、例えば、ロボットスクリプトと、各ロボットスクリプトが示すロボットスクリプト処理に関する情報を示すロボットスクリプトデータテーブルを含んでもよい。
【0053】
ここで、ロボットスクリプトデータテーブルの一例について、図3を用いて説明する。図3は、ロボットスクリプトデータテーブルの一例を示すテーブル図である。
【0054】
図3に示すように、ロボットスクリプトデータテーブルは、ロボットスクリプト処理毎のスクリプトID、対象エリア、対象タグデータ、ロボットスクリプト処理内容、ロボット処理終了条件、および遠隔操作呼び出し条件を含んでもよい。
【0055】
スクリプトIDは、ロボットスクリプト処理の各々を一意に識別するための番号または文字列を示す。
【0056】
対象エリアは、ロボット100がロボットスクリプト処理を実行する対象となるエリアの位置情報を示す。
【0057】
対象タグデータは、ロボット100がロボットスクリプト処理を実行する対象となる、AI部150によって生成されるタグデータを示す。
【0058】
ロボットスクリプト処理内容は、ロボットスクリプト処理によってロボット100が行う処理の内容である。ロボットスクリプト処理内容は、タグデータが示す状況に応じて設定されればよい。ロボットスクリプト処理内容は、繰り返し実行されてもよい。
【0059】
ロボットスクリプト処理内容は、管理センタ200へ接続要求を送信するよう通信部110を制御することであってもよい。なお、ロボットスクリプト処理内容が接続要求の送信である場合には、後述のロボット処理終了条件の判定および遠隔操作呼び出し条件の判定は行われなくてよい。
【0060】
ロボット処理終了条件は、ロボットスクリプト処理の繰り返し実行が終了される条件である。ロボット制御部130は、ロボットスクリプト処理をロボット100に実行させた後、ロボットスクリプトデータテーブルにロボットスクリプト処理に対応するロボット処理終了条件が満たされるか否かを判定する。ロボット処理条件が満たされない場合、ロボット制御部130は、当該ロボットスクリプト処理を再度実行するよう制御する。そして、ロボット処理条件が満たされた場合、ロボット制御部130は、当該ロボットスクリプト処理の繰り返し実行を終了する。ロボット処理終了条件は、第2条件の一例である。
【0061】
なお、ロボット処理終了条件は、ロボットスクリプト処理毎に設定される条件の他、全てのロボットスクリプト処理で共通して判断される条件を含んでもよい。例えば、ロボット処理条件は、AI部150によってタグデータが生成される状況が解消されたことを含んでもよい。タグデータが生成される状況が解消された場合、またはスクリプト処理毎に設定される条件が満たされた場合に、ロボットスクリプト処理の繰り返し実行が終了してもよい。
【0062】
ここまで、ロボットスクリプトデータテーブルの一例について説明した。遠隔操作呼び出し条件については後で詳しく説明する。
【0063】
ロボット制御部130は、AI部150によって新たにタグデータが生成された場合、ロボットスクリプトデータテーブルを参照して、当該タグデータとロボット100の位置情報に合致するロボットスクリプト処理を検索する。そして、当該タグデータとロボット100の位置情報に合致するロボットスクリプト処理がある場合、当該ロボットスクリプト処理を実行するようロボット100の動作を制御する。
【0064】
続いて、ロボット制御部130が図3に示されるロボットスクリプトデータテーブルに基づき制御する、ロボット100の動作の一例について説明する。ここでは、ロボット100の位置情報が「(0,0,30)」であり、AI部150が「放置物が存在する」というタグデータを生成した場合の例について説明する。
【0065】
位置情報「(0,0,30)」はスクリプトID「Scr101」のロボットスクリプト処理の対象エリア「(0,0,20)-(100,100,40)」に含まれる。また、タグデータ「放置物が存在する」は、スクリプトID「Scr101」であるロボットスクリプトの対象タグデータである。
【0066】
そのため、ロボット制御部130は、スクリプトIDが「Scr101」であるロボットスクリプト処理を実行する。すなわち、ロボット制御部130は、認識された放置物を撮影するよう、センサ部140を制御する。
【0067】
また、ロボット制御部130は、スクリプトIDが「Scr101」であるロボットスクリプト処理のロボット処理終了条件が満たされるまで、ロボットスクリプト処理を繰り返し実行する。より具体的には、ロボット制御部130は、ロボットスクリプト処理を実行した際に取得された放置物を撮影した画像を解析し、当該放置物がカートであるか否かを判定することによりロボット処理終了条件が満たされたか否かを判定する。なお、ロボット処理終了条件の判定はAI部150によって行われてもよい。
【0068】
ロボット制御部130は、当該放置物がカートであると判定した場合は、ロボットスクリプト処理に対応する一連の処理を終了する。一方、ロボット制御部130は、当該放置物がカートでないと判定した場合は、ロボットスクリプト処理を再び実行する。なお、ロボットスクリプト処理は、予め設定された時間が経過してから再び実行されることにより繰り返し実行されてもよい。
【0069】
また、上述の通り、ロボット処理終了条件にはタグデータが生成される状況が解消されたことが含まれてもよい。ロボット制御部130は、放置物が存在する状況が解消された場合、すなわち当該放置物が撤去されたと判定した場合は、ロボットスクリプト処理を繰り返し実行せず、ロボットスクリプト処理に対応する一連の繰り返し処理を終了してもよい。
【0070】
以上、ロボット制御部130によるロボットスクリプト処理の実行の制御の具体例を説明した。ここで、ロボット制御部130によって実行が制御されるロボットスクリプト処理の内容によっては、ロボットスクリプト処理の実行が途中で停止する、またはロボットスクリプト処理がループしてしまう等の要因で、ロボットスクリプト処理が完了しない場合が想定される。
【0071】
また、ロボット処理終了条件が満たされないために、ロボットスクリプト処理が何度も繰り返し実行される場合も想定される。また、ロボット処理終了条件が満たされてロボットスクリプト処理の繰り返し処理が終了されても、AI部150によってタグデータが生成される状況が解消されていない場合もある。この場合、AI部150によって同一のタグデータが再び生成され、ロボットスクリプト処理が何度も繰り返し実行される場合も想定される。
【0072】
さらに、ロボット制御部130による制御に基づき実行されたロボットスクリプト処理において取得されたセンシング結果によっては、遠隔操作によってロボット100の動作が制御されることが好ましい場合も想定される。
【0073】
また、実行されたロボットスクリプト処理に対応するタグデータに関連する、当該タグデータと異なるタグデータがAI部150によって生成された際に、遠隔操作によってロボット100の動作が制御されることが好ましい場合も想定される。
【0074】
そのため、本実施形態におけるロボット制御部130は、ロボットスクリプト処理の実行状況に基づいて、ロボット100の遠隔操作のために、管理センタ200へ接続要求を送信するよう通信部110を制御する。これにより、ロボット100が管理者にとって好ましくない状況を解消できない場合、または遠隔操作によってロボット100の動作が制御されることが好ましい場合に、遠隔操作によるロボット100の動作制御を行うことが可能になる。
【0075】
より具体的には、ロボット制御部130は、ロボットスクリプト処理の実行状況に基づく遠隔操作呼び出し条件が満たされる場合に管理センタ200へ接続要求を送信するよう通信部110を制御してもよい。遠隔操作呼び出し条件は、第1条件の一例である。なお、遠隔操作呼び出し条件が満たされ、管理センタ200への接続要求が送信される場合には、ロボット処理終了条件が満たされない場合であっても、ロボットスクリプト処理の繰り返し実行が終了してもよい。
【0076】
遠隔操作呼び出し条件は、ロボット100が各ロボットスクリプト処理を実行した回数(ロボット処理回数)についての条件を含んでもよい。例えば、遠隔操作呼び出し条件は、ロボット処理回数が所定の回数以上であることを含んでもよい。
【0077】
ロボット100ごとの各ロボットスクリプト処理を実行した回数は、それぞれ記憶部120に記憶されてもよい。なお、各ロボットスクリプト処理を実行した回数は、所定期間(例えば、1日)の経過毎にリセットされてもよいし、AI部150によって当該ロボットスクリプト処理に対応するタグデータが生成される状況が解消された場合にリセットされてもよい。各ロボットスクリプト処理を実行した回数は、ロボットスクリプト処理毎の設計に応じて異なる基準でリセットされてもよい。
【0078】
また、遠隔操作呼び出し条件は、ロボットスクリプト処理が完了しないことを含んでもよい。ロボットスクリプト処理は、例えば、所定の時間内にロボットスクリプト処理が完了しない場合に、完了しないと判定されてもよい。
【0079】
また、遠隔操作呼び出し条件は、ロボットスクリプト処理において取得されるセンシング結果についての条件を含んでもよい。ロボットスクリプト処理において取得されるセンシング結果についての条件は、ロボットスクリプト処理毎に設定され、ロボットスクリプトデータテーブルに格納されてもよい。
【0080】
例えば、図3には、スクリプトIDが「Scr101」のスクリプト処理に対応する遠隔操作呼び出し条件に「放置物撮影画像のRGB値のBの値が閾値以上」という条件が含まれる例が示されている。ここで、放置物撮影画像は、スクリプトID「Scr101」のロボットスクリプト処理において取得されるセンシング結果である。例えば、RGB値のBの値が閾値以上である場合に放置物が特定の物である可能性が高く、ロボット100を遠隔操作することによって当該物を処理することが好ましい場合に上記のような条件が遠隔操作呼び出し条件に含められればよい。
【0081】
また、遠隔操作呼び出し条件は、所定のタグデータが新たに生成されたことを含んでもよい。所定のタグデータについての条件は、ロボットスクリプト処理毎に設定され、ロボットスクリプトデータテーブルに格納されてもよい。
【0082】
例えば、図3には、スクリプトIDが「Scr101」のスクリプト処理に対応する遠隔操作呼び出し条件に「タグデータ「消火器検知」を生成」という条件が含まれる例が示されている。例えば、ロボットスクリプト処理中に、放置物が消火器であることが判明した場合、ロボット100を遠隔操作することによって当該消火器への対応を行うことが好ましい場合に上記のような条件を遠隔操作呼び出し条件に含めることが想定される。
【0083】
(移動部180)
図2に戻って説明を続ける。移動部180は、ロボット制御部130による制御に基づいて、ロボット100を任意の位置に移動させることが可能な移動機構である。移動部180は、例えば、車輪式、脚式、クローラ式、またはエアクッション式などの種々の方式の移動機構であってもよい。また、移動部180は、回転翼などにより空中を移動可能な移動機構であってもよく、スクリューなどにより水上または水中を移動可能な移動機構であってもよい。また、移動部180は、複数の移動機構を有してもよく、例えば車輪と回転翼とを有することで、陸上と空中の両方を移動可能であってもよい。
【0084】
<管理センタ200>
続いて、管理センタ200の機能構成について説明する。図2に示すように、管理センタ200は、通信装置210と、業務管理部220と、管理データベース230と、遠隔操作端末240と、を備える。
【0085】
(通信装置210)
通信装置210は、ゲートウェイ装置であり、ロボット100と、管理センタ200に含まれる各構成(業務管理部220、遠隔操作端末240、および管理データベース230)との間の通信を中継する。また、管理センタ200に含まれる各構成は、例えば、有線または無線のLANで互いに接続されてもよい。通信装置210は、例えば、ロボット100へ、動作の命令を送信する。
【0086】
(業務管理部220)
業務管理部220は、上述したように、ロボット100の各種業務を制御および管理する。図2に示すように、業務管理部220は、接続制御部221としても機能する。
【0087】
(接続制御部221)
接続制御部221は、ロボット100と遠隔操作端末240の接続を制御する。例えば、接続制御部221は、遠隔操作のための接続要求をロボット100から受信した場合、該接続要求を適切なオペレータOPが操作する遠隔操作端末240に振り分ける。
【0088】
接続制御部221によるロボット100と遠隔操作端末240との接続制御は、例えば、WebRTC(Web Real-Time Communication)またはMQTT(Message Queuing Telemetry Transport)によって実現されてもよい。
【0089】
また、接続制御部221は、管理センタ200と接続されるロボット100の動作の実行を制御してもよい。例えば、接続制御部221は、後述の遠隔操作端末240への操作に基づきロボット100による動作の実行を制御する。
【0090】
(管理データベース230)
管理データベース230は、ロボット100の各種情報を管理するロボットデータテーブルを記憶するデータベースである。例えば、管理データベース230は、図4に示すようなロボットデータテーブルを記憶してもよい。図4は、管理データベース230に記憶されるロボットデータテーブルの一例を示すテーブル図である。
【0091】
図4に示すように、ロボットデータテーブルは、ロボット100の各々について、ロボットID、および位置を含んでもよい。ロボットデータテーブルにて管理されるロボット100の各種情報は、ロボット100の各々から管理センタ200に送信された情報に基づいて随時更新される。
【0092】
ロボットIDは、ロボット100の各々を一意に識別するための番号または文字列を示す。位置は、ロボット100の各々の現在位置を示す三次元座標を示す。
【0093】
管理データベース230は、前述したロボットスクリプトデータテーブルを記憶してもよい。
【0094】
また、管理データベース230は、ロボット100によって実行されたロボットスクリプト処理に関する情報を格納するスクリプト処理状況データテーブルを記憶してもよい。図5は、管理データベース230に記憶されるスクリプト処理状況データテーブルの一例を示すテーブル図である。
【0095】
図5に示すように、スクリプト処理状況データテーブルは、ロボットスクリプト処理とロボット100の組み合わせ毎の、ロボットセンサ取得値と、ロボット処理回数と、オペレータ処理回数を含んでもよい。スクリプト処理状況データテーブルにて管理される各種情報は、ロボット100の各々から管理センタ200に送信された情報に基づいて随時更新される。
【0096】
ロボットセンサ取得値は、ロボットIDによって示されるロボット100が、スクリプトIDによって示されるロボットスクリプト処理によって、センサ部140によって取得されたセンシング結果である。図4には、例えば、図3に示されるスクリプトID「Scr101」のロボットスクリプト処理が、ロボットID「R101」のロボット100によって実行された場合の放置物の撮影結果が「<s1>image01</s1>」であることが示されている。
【0097】
なお、ロボット100がロボットスクリプト処理を複数回実行した場合、最新の取得値のみがロボットセンサ取得値として格納されてもよいし、複数回の取得値のうち全てまたは一部が格納されていてもよい。
【0098】
ロボット処理回数は、ロボットIDによって示されるロボット100がスクリプトIDによって示されるロボットスクリプト処理を実行した回数である。ロボット処理回数は、通信装置210によってロボット100から取得されてもよい。
【0099】
オペレータ処理回数は、ロボットIDによって示されるロボット100とスクリプトIDによって示されるロボットスクリプト処理の組み合わせについての遠隔操作呼び出し条件の判定により、ロボット100と遠隔操作端末240が接続された回数である。
【0100】
(遠隔操作端末240)
図2に戻って説明を続ける。遠隔操作端末240は、オペレータOPによって操作される端末である。オペレータOPは、遠隔操作端末240によって、ロボット100の状態の監視、およびロボット100への動作の命令を行うことができる。図2に示すように、遠隔操作端末240は、通信部241と、表示部242と、操作部243と、を含む。
【0101】
通信部241は、管理センタ200内のLANに接続するための通信インタフェースであり、ロボット100との間でのデータの送受信、または業務管理部220からのレポートの受信を行うことができる。
【0102】
表示部242は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display: LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ装置、またはタッチパネルディスプレイ装置などの表示装置であり、ロボット100の周囲の環境画像、またはロボット100に関する情報を含む管理画面を表示することができる。
【0103】
操作部243は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、トラックパッド、十字キー、操作レバー、またはマイク等の入力装置であり、オペレータOPからの、ロボット100への動作の命令の入力等の操作を受け付けることができる。
【0104】
例えば、オペレータOPは、ロボットスクリプト処理の実行状況に基づき判定された遠隔操作呼び出し条件が満たされことにより接続されたロボット100を、操作部243を用いて遠隔操作する。
【0105】
オペレータOPは、遠隔操作呼び出し条件が満たされる度に、ロボット100の遠隔操作を行う。そのため、オペレータOPは、状況に応じて、同一のロボットスクリプト処理に関する対応を行うための操作を複数回行う場合がある。ここで、オペレータOPの操作によって実行される処理内容は、状況によっては同一または似ている内容であることが想定される。
【0106】
例えば、図3に示されるスクリプトIDが「Scr102」のロボットスクリプト処理に関する対応をオペレータOPが複数回行うとする。この場合、オペレータOPは、ロボット100が音声を再生しても立ち入り禁止エリアに人が居続けていることから、ロボット100に警備員の呼び出しを毎回実行させることが一例として考えられる。ここで、オペレータOPは、同一の処理内容(上記の例における警備員の呼び出し)をロボット100に実行させるための操作を何度も行うことにわずらわしさを感じる可能性がある。
【0107】
そのため、接続制御部221は、ロボット100から送信される接続要求に応じた接続制御に代えて、遠隔操作端末240にて実行が制御された処理内容を再現する、遠隔操作スクリプト処理をロボット100に実行させてもよい。遠隔操作スクリプト処理は第2のスクリプト処理の一例である。
【0108】
より具体的には、接続制御部221は、遠隔操作呼び出し条件に基づきロボット100と遠隔操作端末240とが接続された際の、オペレータOPによる操作部243への操作内容に基づき、遠隔操作スクリプト処理を生成してもよい。
【0109】
接続制御部221は、遠隔操作スクリプト処理が生成されている場合、ロボット100と遠隔操作端末240との接続に替えて、遠隔操作スクリプト処理をロボット100に実行させてもよい。
【0110】
遠隔スクリプト処理は、状況に応じて実行されるよう複数生成されてもよい。例えば、遠隔スクリプト処理は、ロボットスクリプト処理、またはロボットスクリプト処理の実行の起因となったタグデータに対応するように生成されてもよいし、遠隔操作呼び出し条件の判定結果に基づき接続されたロボット100のロボットセンサ取得値または位置情報等に対応するように生成されてもよい。
【0111】
遠隔スクリプト処理の内容は、管理データベース230に記憶されてもよい。図6は、管理データベース230に記憶される遠隔スクリプト処理データテーブルの一例を示すテーブル図である。図6には、各ロボットスクリプト処理に対応するよう遠隔スクリプト処理が生成され、スクリプトID毎に遠隔スクリプト処理内容が格納される例が示されている。
【0112】
図6には、スクリプトID「Scr101」のロボットスクリプト処理に対応する遠隔スクリプト処理が作成されておらず、スクリプトID「Scr102」のロボットスクリプト処理に対応する遠隔スクリプト処理が「警備員の呼び出し」である例が示されている。
【0113】
接続制御部221は、遠隔操作呼び出し条件の判定結果に基づく接続要求をロボット100から受信した場合、遠隔スクリプト処理の実行条件が満たされるか否かの判定を行ってもよい。接続制御部221は、遠隔操作スクリプト処理の実行条件が満たされる場合に、ロボット100と遠隔操作端末240との接続に替えて、遠隔操作スクリプト処理をロボット100に実行させてもよい。遠隔スクリプト処理の実行条件は、第3条件の一例である。
【0114】
遠隔スクリプト処理の実行条件は、例えば、遠隔スクリプト処理がタグデータに対応するように生成される場合、接続要求の送信の起因となったタグデータに対応する遠隔スクリプト処理が生成されていることであってもよい。同様に、遠隔スクリプト処理の実行条件は、ロボットセンサ取得値または位置情報についての条件であってもよい。
【0115】
ここで、オペレータOPが同一のタグデータに起因するロボットスクリプト処理についての対応を行う場合に、ロボットセンサ取得値または位置情報等に応じて異なる対応を行う場合も想定される。そのため、接続制御部221は、遠隔操作スクリプト処理の生成の際に、ロボットスクリプト処理に対応するロボットセンサ取得値、ロボット100の位置情報、タグデータ、またはロボットID等についての、遠隔操作スクリプト処理の実行条件をさらに生成してもよい。
【0116】
接続制御部221は、ロボットスクリプト処理に関する対応が行われる度に、すなわち、遠隔操作呼び出し条件の判定結果に基づきロボット100と遠隔操作端末240とを接続する度に遠隔操作スクリプト処理を生成してもよい。
【0117】
また、接続制御部221は、複数回行われたロボットスクリプト処理に関する対応に応じて、既に生成された遠隔スクリプト処理を最適化してもよい。
【0118】
遠隔スクリプト処理の実行条件はオペレータ処理回数が所定回数以上であることを含んでもよい。オペレータ処理回数は、管理データベース230のスクリプト処理状況データテーブルに格納される。これにより、遠隔スクリプト処理が複数回行われたロボットスクリプト処理に関する対応に応じて最適化された遠隔スクリプト処理が実行されるため、ロボット100の周囲の状況によりふさわしい処理が実行される。
【0119】
ここまで、遠隔操作スクリプト処理の実行条件について説明した。接続制御部221は、遠隔操作スクリプト処理の実行条件が満たされる場合に、ロボット100と遠隔操作端末240との接続に替えて、遠隔操作スクリプト処理をロボット100に実行させる。これにより、オペレータOPが、ロボットスクリプト処理へ対応する場合に何度も同一の処理内容を実行しなくてよいため、オペレータOPの煩わしさが解消される。また、ロボットスクリプト処理への対応が効率化し、オペレータOPの負担が削減される。
【0120】
なお、遠隔操作スクリプト処理を実行するロボット100は、遠隔操作スクリプト処理の生成の基となる処理が実行されたロボット100と異なってもよい。また、接続制御部221は、異なるロボット100によって実行されたロボットスクリプト処理に対する対応の各々に基づき、遠隔スクリプト処理の最適化処理を実行してもよい。
【0121】
なお、遠隔操作スクリプト処理の生成には、既存のスクリプト自動生成技術が用いられればよく、特に生成方法は限定されない。
【0122】
<<4.動作処理例>>
続いて、図7および図8を参照して、本実施形態に係る管理システムの動作処理例について説明する。まず、図7を用いて本実施形態に係る管理システムによるロボット100と遠隔操作端末240の接続処理の流れの一例について説明する。図7は、本実施形態に係る管理システムによるロボット100と遠隔操作端末240の接続処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0123】
まず、ロボット100のセンサ部140は、周囲の環境のセンシング結果を取得する(S101)。続いて、AI部150は、センシング結果に基づきタグデータを生成する(S102)。
【0124】
ロボット制御部130は、ロボットスクリプトデータテーブルを参照して、生成されたタグデータとロボット100の位置情報に合致するロボットスクリプト処理を検索する(S103)。
【0125】
生成されたタグデータとロボット100の位置情報に合致するロボットスクリプト処理が存在しない場合(S104/NO)、処理はS111に進められる。
【0126】
一方、生成されたタグデータとロボット100の位置情報に合致するロボットスクリプト処理が存在する場合(S104/YES)、ロボット制御部130は、当該ロボットスクリプト処理を実行するようロボット100の動作を制御する(S105)。
【0127】
ここで、ロボットスクリプト処理が完了しない場合(S106/NO)、処理はS110に進められる。なお、ロボットスクリプト処理が完了することは、遠隔操作呼び出し条件の一例である。一方、ロボットスクリプト処理が完了した場合(S106/YES)、記憶されるロボット処理回数を1回分増やすよう記憶部120を制御する(S107)。
【0128】
続いて、ロボット制御部130は、ロボット処理回数が所定の回数以上であるか判定する(S108)。なお、ロボット処理回数が所定の回数以上であることは、遠隔操作呼び出し条件の一例である。
【0129】
ロボット処理終了条件に合致しない場合(S109/NO)、処理はS111に進められる。一方、ロボット処理終了条件に合致する場合(S109/YES)、ロボット制御部130は、ロボットスクリプト処理の実行状況が遠隔操作呼び出し条件に合致するか否かを判断する(S110)。なお、ここで判断される遠隔操作呼び出し条件からは、ロボットスクリプト処理が完了すること、およびロボット処理回数が所定の回数以上であることが除かれる。ここでは、遠隔操作呼び出し条件として、例えば、ロボットスクリプト処理において取得されるセンシング結果についての条件、または所定のタグデータが新たに生成されたか否かが判定されてもよい。
【0130】
遠隔操作呼び出し条件に合致しない場合(S110/NO)、処理は終了する。一方、遠隔操作呼び出し条件に合致する場合(S110/YES)、処理はS111に進められる。
【0131】
そして、ロボット制御部130は、ロボット100の遠隔操作のために、管理センタ200へ接続要求を送信するよう通信部110を制御する(S111)。
【0132】
接続要求が受信された管理センタ200の接続制御部221は、当該接続要求に適当なオペレータOPを決定する(S112)。そして、接続制御部221は、当該オペレータOPが操作する遠隔操作端末240に接続要求を送信する(S113)。
【0133】
接続要求に基づき接続が確立された遠隔操作端末240の操作部243を操作することにより、オペレータOPは、ロボット100の遠隔操作を実行する(S114)。
【0134】
ここまで、図7を用いて、ロボット100と遠隔操作端末240の接続処理の流れを説明した。続いて、図8を用いてロボット100から送信される接続要求に応じた接続制御に代えて、遠隔操作スクリプト処理をロボット100に実行させる処理の流れの一例を説明する。図8は、管理センタ200による、遠隔操作スクリプト処理をロボット100に実行させる処理の流れの一例を示すフローチャートである。本フローは、図7に示したフローのS111の処理に続けて、S112~S114の処理に代えて実行され得る。
【0135】
S111の処理が完了すると、接続制御部221は、オペレータ処理回数が所定の回数以上であるか否かを判定する(S201)。オペレータ処理回数が所定の回数以上でない場合(S201/NO)、処理はS204に進められる。
【0136】
オペレータ処理回数が所定の回数以上である場合(S201/YES)、接続制御部221は、遠隔スクリプト処理の実行条件に合致する遠隔操作スクリプトが存在するか否かを判定する(S202)。
【0137】
遠隔スクリプト処理の実行条件に合致する遠隔操作スクリプトが存在する場合(S202/YES)、接続制御部221は、接続要求を送信したロボット100が当該遠隔操作スクリプト処理を実行するよう制御する(S203)。
【0138】
一方、遠隔スクリプト処理の実行条件に合致する遠隔操作スクリプトが存在しない場合(S202/NO)、接続要求に適当なオペレータOPを決定する(S204)。そして、接続制御部221は、当該オペレータOPが操作する遠隔操作端末240に接続要求を送信する(S205)。
【0139】
接続制御部221は、管理データベース230のスクリプト処理状況データテーブルに格納されるオペレータ処理回数を1回分増やすよう管理データベース230を制御する(S206)。
【0140】
接続要求に基づき接続が確立された遠隔操作端末240の操作部243を操作することにより、オペレータOPは、ロボット100の遠隔操作を実行する(S207)。
【0141】
接続制御部221は、オペレータOPによる操作ログおよびロボット100のセンサ部140によって取得されたセンシング結果を収集する(S208)。
【0142】
接続制御部221は、収集結果に応じて、遠隔操作スクリプト処理を生成する(S209)。なお、生成される遠隔操作スクリプト処理は、既に生成された遠隔スクリプト処理を最適化することにより生成されてもよい。
【0143】
<<5.ハードウェア構成例>>
以上説明した情報処理は、ソフトウェアと以下に説明するロボット100および管理センタ200のハードウェアとの協働により実現される。
【0144】
図9は、本発明の実施形態に係るロボット100および管理センタ200における情報処理を行う情報処理装置900のハードウェア構成を示す図である。情報処理装置900は、CPU901と、ROM902と、RAM903と、ホストバス904と、ブリッジ905と、外部バス906と、インタフェース907と、入力装置908と、出力装置909と、ストレージ装置910と、通信装置911と、を備える。
【0145】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って情報処理装置900内の動作全般を制御する。また、CPU901は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM902は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM903は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバス等から構成されるホストバス904により相互に接続されている。
【0146】
ホストバス904は、ブリッジ905を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バス等の外部バス906に接続されている。なお、必ずしもホストバス904、ブリッジ905および外部バス906を分離構成する必要はなく、1つのバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0147】
入力装置908は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチおよびレバー等ユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路等から構成されている。情報処理装置900を操作するユーザは、この入力装置908を操作することにより、情報処理装置900に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0148】
出力装置909は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED装置、ランプ等の表示装置およびスピーカ等の音声出力装置を含む。
【0149】
ストレージ装置910は、データ格納用の装置である。ストレージ装置910は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置等を含んでもよい。ストレージ装置910は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置910は、ハードディスクを駆動し、CPU901が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0150】
通信装置911は、例えば、ネットワークに接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信装置911は、無線通信または有線通信のどちらに対応してもよい。
【0151】
<<6.補足>>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0152】
例えば、上記実施形態では、ロボット100のAI部150によってタグデータが生成される例を説明したが、タグデータは、管理センタ200の業務管理部220によって生成されてもよい。この場合、業務管理部220は、通信装置210がロボット100から取得したセンシング結果に基づき、タグデータを生成する。通信装置210は、タグデータをロボット100に送信してもよい。また業務管理部220は、ロボットスクリプトデータテーブルを参照して、当該タグデータとロボット100の位置情報に合致するロボットスクリプト処理を検索してもよい。この場合、通信装置210は、検索によって特定されたロボットスクリプトをロボット100に送信してもよい。
【0153】
また、ロボット100および管理センタ200に内蔵されるCPU、ROM、およびRAM等のハードウェアに、ロボット100および管理センタ200の機能を発揮させるための1以上のコンピュータプログラムも作成可能である。また、当該1以上のコンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も提供される。
【符号の説明】
【0154】
10 ネットワーク
100 ロボット
110 通信部
120 記憶部
130 ロボット制御部
140 センサ部
150 AI部
180 移動部
200 管理センタ
210 通信装置
220 業務管理部
221 接続制御部
230 管理データベース
240 遠隔操作端末
図1
図2
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図9