(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141924
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】卓球練習用落球拾集用具
(51)【国際特許分類】
A63B 47/02 20060101AFI20241003BHJP
A63B 69/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A63B47/02 A
A63B69/00 506
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053805
(22)【出願日】2023-03-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】718002802
【氏名又は名称】津島 武志
(71)【出願人】
【識別番号】520195866
【氏名又は名称】森山 竜志
(72)【発明者】
【氏名】津島 武志
(72)【発明者】
【氏名】有馬 美佐子
(57)【要約】 (修正有)
【課題】卓球の練習中、ネットに掛かって落下したりネット周辺で飛散した球を拾うために、無駄な時間や体力を消耗し、練習効率の低下を招いていることや、飛散落下した球が隣接者の邪魔になるなどの課題がある。
【解決手段】卓球台のネット周辺から飛散落下した打球を捕捉拾集するための落球拾集箱12を設け、練習の効率を向上させるもので、卓球台下部の空間を利用して収納できるように、吊りハンガー10を配し、前記吊りハンガー上をスライドさせて前記落球拾集箱を出し入れでき、前記吊りハンガーは卓球台天板裏側に配した磁石によって取り外し可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
卓球の練習中に打球がネットに掛かり落下するのを捕捉する落球拾集箱(12)であって、 卓球台天板(1)の下部に吊りハンガー(10)を配し、前記吊りハンガー(10)の吊りハンガーレール部(11)の上面をレールとして、前記落球拾集箱(12)を内外にスライドして移動することができ、練習時に前記落球拾集箱(12)を卓球台天板(1)外に引き出した形態は、卓球台天板枠(2)下面と前記落球拾集箱(12)外枠上面が接合面となり、その接合全面積が支持荷重となって前記落球拾集箱(12)は安定して落球を捕捉できることを特徴とする卓球練習用落球拾集箱。
【請求項2】
前記吊りハンガー(10)の吊りハンガーレール部(11)は、Z形状に形成した磁性部材2個の下部をフラットバーで連結した形態で、前記落球拾集箱(12)を使用しない時は、前記フラットバーの上面をスライドさせて卓球台天板(1)下部に押し込むことで、前記落球拾集箱(12)を収納できることを特徴とする請求項1記載の卓球練習用落球拾集箱。
【請求項3】
前記落球拾集箱(12)内部底面に緩衝材を配することで落球時の反発力を減衰し、球がこぼれ出るのを防止し、前記緩衝材に左右方向への勾配を設けることで、捕捉した球を打球者の方向に集めることができることを特徴とする請求項1記載の卓球練習用落球拾集箱。
【請求項4】
卓球台の折りたたみ移動を可能にするために、卓球台天板(1)の裏面に磁石(9)を配し、前記吊りハンガー(10)の磁性部材と前記磁石(9)によって前記吊りハンガー(10)の脱着が容易に行えることを特徴とする請求項1記載の卓球練習用落球拾集箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卓球練習中ネットに掛かって落下したりネット周辺で飛散する球を拾集する用具に関する
【背景技術】
【0002】
従来、卓球の練習中、打球がネットに掛かった場合、ネット近傍にとどまる球と卓球台の左右台外に飛散し落下する球があるが、台外に落下した球の拾集には労力が必要で、隣接者に影響する場合は早急に拾い集める必要がある。
【0003】
卓球練習中の落球拾集用具として、卓球台の外周下部に取り付けるネット(特許文献1)や、ネット前から打球者の方向に球を誘導する傾斜具(特許文献2)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-275358
【特許文献2】特開2018-11829
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年健康寿命の概念から、屋内の狭い場所で年齢に応じたプレーを楽しめる卓球が注目されており、卓球ブームも相まって卓球人口が増加している。卓球を楽しむ高齢者にとっては、プレー中に飛散した球を拾集する動作は負担になる。
【0006】
卓球練習中にネット近傍にとどまる球は、そのままとどめ置くことも可能で、また台上の球を拾集する動作は下肢への負担は少ない。しかし、台外に飛散した球の拾集は、隣接者のプレーに影響する場合は早急に行う必要があり、急を要しない場合でも下肢や腰部への負担が大きく、無駄な時間を費やし、プレーを楽しむ要素が軽減される。
【0007】
特許文献1では、卓球台の外周下部にネットを張り床への落球を減らす用具が提案されているが、家庭で使用する小型卓球台用に開発されたもので、卓球台天板からはみ出した落球受けネットが邪魔になり、技術向上を目指す練習者には不向きである。
【0008】
特許文献2では、卓球台ネットの内側に備えた傾斜具でネットに掛かった球を打球者の方向に誘導する方法が提案されているが、ネット近傍に落下する球の拾集に限定されており、またネット前に備えた傾斜具が、相手方向の球を見えにくくしたりネット際の球を打ちづらくするなど、技術向上に影響する。
【0009】
本発明は、前記のように卓球台周囲にネットを張ったり台上に傾斜具を配するなど、従来の卓球台付属用具以外の用具は、プレーを主に行う卓球台周辺や台上には設置せず、卓球台の規約に則った形態で練習し技術向上を図りつつ、落球拾集の労力を軽減して楽しんで卓球を行い、継続できるように開発したものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
卓球の練習中に、打球がネットに掛かって落下するのを捕捉する落球拾集箱(12)であって、卓球台天板(1)裏側に配した吊りハンガー(10)の吊りハンガーレール部(11)上面をスライドさせて、落球拾集箱(12)を卓球台天板(1)内外に移動でき、卓球台天板(1)外に引き出した形態は、卓球台天板枠(2)下面と落球拾集箱(12)外枠上面が接合面となって安定し、ネットに掛かって転がり出た球や直接飛び込んだ球などを拾集できる。落球拾集箱(12)不用時は、前記吊りハンガーレール部(11)上面をスライドさせ押し込むことで、卓球台天板(1)下部に収納できる。
【0011】
卓球台の折りたたみ移動時は、吊りハンガー(10)の取り外しが必要であるが、予め卓球台天板(1)裏に磁石を配し、吊りハンガー(10)の磁性部材と前記磁石によって、吊りハンガー(10)の脱着を行う。
【0012】
落球拾集箱(12)の内部底面には緩衝材を用いて落球時の弾力を減衰させ、球が落球拾集箱(12)から飛び出るのを防止するとともに、緩衝材に左右方向への勾配を設けることで打球者の方向に球が集まるよう誘導できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、卓球練習中ネットに掛かった打球やネット周辺で卓球台外に飛び出た球の一部を落球拾集箱(12)で捕捉し、床への落球を減らすことができる。そのことにより、落球を拾う労力と時間が軽減され、効率の良い練習をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る卓球練習用落球拾集箱に用いる卓球台側面図
【
図2】本発明の実施形態に係る卓球練習用落球拾集箱に用いる卓球台正面図
【
図3】本発明の実施形態に係る卓球練習用落球拾集箱に用いる卓球台裏面図
【
図4】本発明の実施形態に係る卓球練習用落球拾集箱に用いる吊りハンガー斜視図
【
図5】本発明の実施形態に係る卓球練習用落球拾集箱に用いる吊りハンガー脱着磁石接続斜視図
【
図6】本発明の実施形態に係る卓球練習用落球拾集箱に用いる吊りハンガー設置箇所及び落球拾集箱使用形態上面図
【
図7】本発明の実施形態に係る卓球練習用落球拾集箱に用いる落球拾集箱斜視図
【
図8】本発明の実施形態に係る卓球練習用落球拾集箱に用いる吊りハンガーに収納した落球拾集箱斜視図
【
図9】本発明の実施形態に係る卓球練習用落球拾集箱に用いる卓球台側面拡大図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下添付図面を参照として本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0016】
図1の卓球台側面図に示すように、1は卓球台天板、2は卓球台天板枠、3は卓球台アジャスター脚、4はアジャスター、5は卓球台キャスター脚、6はキャスター、7は卓球台の上に張るネット、8はネット取り付け支持金具、9は本発明を示す吊りハンガー脱着磁石、10は本発明を示す吊りハンガー、11は本発明を示す吊りハンガーレール、12は本発明を示す落球拾集箱、13は本発明を示す落球拾集箱引き出し孔、14は卓球台折りたたみ止金、15は卓球台固定金具である。
【0017】
本発明の落球拾集箱(12)は、卓球台の外側で落球を捕捉するものであるが、
図1に示すように、ネットを中心に左右の卓球台下部には広い空間があり、落球拾集箱(12)不用時は前記卓球台下部に収納する形態である。
【0018】
できるだけ多くの落球を捕捉できるように前記落球収集箱(12)を大きくし面積を広くする構成にするが、上述のように卓球台下部に収納するため、落球拾集箱(12)の幅は左右の卓球台キャスター脚(5)の近傍までとする。
前記落球拾集箱(12)の奥行は、
図2に示すように、吊りハンガー(10)より長くして、面積を広くするとともにスライド動作の安定を図る。
前記落球拾集箱(12)の側面の高さは、吊りハンガーレール部(11)上面から卓球台天板枠(2)下部近傍までとし、前記落球拾集箱(12)を引き出した位置での安定を図る。
【0019】
図3は卓球台天板(1)の裏面平面図であって、落球拾集箱(12)を配する位置を示し、卓球台アジャスター脚(3)と卓球台キャスター脚(5)を折りたたんでいる。
【0020】
図4は吊りハンガー(10)であって、Z形状に形成された磁性部材2個の下部位はフラットバーで連結されており、落球拾集箱(12)を内外にスライドさせる時のレールとして構成されており、上部位は卓球台天板(1)の裏面に配した吊りハンガー脱着磁石(9)と使用時に連結させる。
前記吊りハンガー(10)の高さは、前記落球拾集箱(12)を引き出して捕捉した球を箱の中から拾い上げる動作が容易に行える高さが好ましい。
【0021】
図5は吊りハンガー脱着磁石(9)と吊りハンガー(10)の上部位が連結された斜視図で、吊りハンガー脱着磁石(9)は卓球台天板(1)裏面に粘着テープ等で装着される。
【0022】
図6は卓球台上面の平面図で、前記落球拾集箱(12)を最大限に引き出した状態で、引き出す位置は調整可能である。
吊りハンガー脱着磁石(9)の設置個所は、
図6に示すように卓球台天板(1)裏面の8箇所で、前記吊りハンガー(10)4本と連結される。卓球台を常設し移動がない状態であれば、前記吊りハンガー脱着磁石(9)は粘着性を有したテープで止めても対応可能であるが、卓球台の出し入れを頻繁に行う場合は、ビス止めが必要である。
なお、前記吊りハンガー脱着磁石(9)の設置は、卓球台天板(1)裏面の定位置に正確に取り付けられるよう位置決め原寸型紙を使用して行う。
【0023】
卓球台を折りたたみ移動する場合は、まず前記落球拾集箱(12)2個を抜き取り、前記吊りハンガー(10)4本を前記吊りハンガー脱着磁石(9)から外して、卓球台の折りたたみ操作を行う。
【0024】
図7は落球拾集箱(12)で、段ボールを用いて形成されている。奥側中央部の切断部は、前記落球拾集箱(12)をスライド移動させる時に、卓球台下部に突き出したネット取り付け支持金具(8)と卓球台折りたたみ止金具(14)の突起部を避けるための切込みであって、手前側の2箇所の孔は、前記落球拾集箱(12)を指で引き出すための落球拾集箱引き出し孔(13)で、形状はこの限りではない。
前記落球拾集箱(12)の素材に段ボールを用いているが、捕捉するピン球は軽量であるため、扱いやすい軽量の素材が好ましい。さらに段ボールは金型が不用で加工性に富み、重ね合わせての輸送が可能で、組み立てやすく安価で利用しやすい。しかし、材質はこれに限るものではない。
【0025】
前記落球拾集箱(12)の内部底面には、落球時に球が跳ね上がるのを防止する緩衝材が必要で、反発力を減衰できる厚みのあるフェルト素材などが好ましいが、この限りではない。
また、底面に傾斜を設けることで一方向又は多方向に球を誘導することが可能で、練習者の負担をさらに軽減できる。
【0026】
図8は落球拾集箱(12)を吊りハンガー(10)に収納した斜視図である。前記落球拾集箱(12)の奥側面は、吊りハンガー(10)より奥に出た状態である。
【0027】
図9は卓球台中央部拡大側面図で、落球拾集箱(12)の外枠上面と卓球台天板枠(2)の下面のクリアランスは、前述のとおり前記落球拾集箱(12)のスライド操作に支障が生じない範囲で少ないことが望ましい。
また、前記落球拾集箱(12)側面と前記吊りハンガー(10)側面とのクリアランスを略3~4ミリにすることで、スライド操作がしやすくなる。
【0028】
本発明の卓球練習用落球拾集箱(12)は、卓球台下部に取り付けた吊りハンガーによって出し入れが容易であり、不用時は卓球台下部に収納し、卓球台の規約に則った形態で練習や試合ができるものである。
【0029】
前記落球拾集箱(12)を用いてピン球の飛散落球を軽減する方法を提供したが、他の方法として卓球台下部に収納する網を用いたものなどがあり、用具や材質はこれに限るものではない。
【符号の説明】
【0030】
1 卓球台天板
2 卓球台天板枠
3 卓球台アジャスター脚
4 アジャスター
5 卓球台キャスター脚
6 キャスター
7 卓球台の上に張るネット
8 ネット取り付け支持金具
9 吊りハンガー脱着磁石
10 吊りハンガー
11 吊りハンガーレール部
12 落球拾集箱
13 落球拾集箱引き出し孔
14 卓球台折りたたみ止金
15 卓球台固定金具
【手続補正書】
【提出日】2023-09-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
卓球の練習中に打球がネットに掛かり落下するのを捕捉する卓球練習用落球拾集用具であって、吊りハンガー(10)と落球拾集箱(12)を備え、卓球台天板(1)の下部に前記吊りハンガー(10)を配し、前記吊りハンガー(10)の吊りハンガーレール部(11)の上面をレールとして、前記落球拾集箱(12)を内外にスライドして移動することができ、練習時に前記落球拾集箱(12)を卓球台天板(1)の外に引き出した形態は、卓球台天板枠(2)下面と前記落球拾集箱(12)外枠上面が接合面となり、その接合全面積が支持荷重となって前記落球拾集箱(12)は安定して落球を捕捉できることを特徴とする卓球練習用落球拾集用具。
【請求項2】
前記吊りハンガー(10)の吊りハンガーレール部(11)は、Z形状に形成した磁性部材2個の下部をフラットバーで連結した形態で、前記落球拾集箱(12)を使用しない時は、前記フラットバーの上面をスライドさせて前記落球拾集箱(12)を卓球台天板(1)下部に押し込むことで、前記落球拾集箱(12)を前記卓球台天板(1)の下部に収納できることを特徴とする請求項1記載の卓球練習用落球拾集用具。
【請求項3】
前記落球拾集箱(12)の内部底面に緩衝材を配することで落球時の反発力を減衰し、球がこぼれ出るのを防止し、前記緩衝材に左右方向への勾配を設けることで、捕捉した球を打球者の方向に集めることができることを特徴とする請求項1記載の卓球練習用落球拾集用具。
【請求項4】
卓球台の折りたたみ移動を可能にするために、卓球台天板(1)の裏面に配する磁石(9)を有し、前記吊りハンガー(10)の磁性部材と前記磁石(9)によって前記吊りハンガー(10)の脱着が容易に行えることを特徴とする請求項1記載の卓球練習用落球拾集用具。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】