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特開2024-141932高周波誘導加熱ヘッドと、それを用いた高周波誘導加熱装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141932
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】高周波誘導加熱ヘッドと、それを用いた高周波誘導加熱装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/36 20060101AFI20241003BHJP
   H05B 6/10 20060101ALI20241003BHJP
   H05B 6/42 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H05B6/36 F
H05B6/10 371
H05B6/10 381
H05B6/36 B
H05B6/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053817
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】518360139
【氏名又は名称】株式会社スフィンクス・テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(74)【代理人】
【識別番号】100222324
【弁理士】
【氏名又は名称】西野 千明
(72)【発明者】
【氏名】熊田 泉実
【テーマコード(参考)】
3K059
【Fターム(参考)】
3K059AA07
3K059AB28
3K059AD37
3K059AD39
3K059CD52
3K059CD72
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高周波誘導加熱ヘッドと、それを用いた高周波誘導加熱装置に関するもので、本体ユニットからのコアユニットの取り外し作業、その後の本体ユニットへの取り付け作業の簡易化を図る。
【解決手段】高周波誘導加熱ヘッド1は、上方から下方に向けて、本体ユニットと、この本体ユニットの下部に、配置されたコアユニット装着手段3と、このコアユニット装着手段によって、本体ユニットの下方に着脱自在に装着されるコアユニット4と、を備えている。コアユニット装着手段は、コアユニットを着脱自在に保持するリング状の保持枠14と、この保持枠の一部を、この保持枠のリング状開口部が、本体ユニットの下方において、水平方向から、垂直方向に回動可能に軸支した軸支部16と、保持枠のリング状開口部が、本体ユニットの下方において、水平方向に回動させられた状態で、この保持枠の一部を、本体ユニットに固定する固定部17と、を備えている。
【選択図】図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ユニットと、前記本体ユニットの下部に配置されたコアユニット装着手段と、
前記コアユニット装着手段によって、着脱自在に装着されるコアユニットと、を備え、
前記本体ユニットは、少なくとも共振用コンデンサと、前記共振コンデンサに接続されるIH出力接続コネクターと、を有し、
前記コアユニット装着手段は、前記コアユニットを着脱自在に保持するリング状の保持枠と、
前記保持枠の一部を、前記保持枠のリング状開口部が、前記本体ユニットの下方において、水平方向から、垂直方向に回動可能に軸支した軸支部と、
前記保持枠のリング状開口部が、前記本体ユニットの下方において、水平方向に回動させられた状態で、前記保持枠の一部を、前記本体ユニットに固定する固定部と、を有し、
前記コアユニットは、加熱部となる磁気ギャップを有するコア体と、前記コア体に磁束を供給するコイルと、を有し、
前記本体ユニットの下部には、前記コアユニットのコイルとの電気的接続を行う本体側端子、前記コアユニットの上部には、前記本体ユニットの本体側端子との電気的接続を行うコア側端子を設け、
前記装着手段の保持枠を、そのリング状開口部が、前記本体ユニットの下方において、水平方向に回動させられ、前記本体ユニットに固定部で固定した状態で、前記本体側端子とコア側端子を圧接させる構成としたことを特徴とする高周波誘導加熱ヘッド。
【請求項2】
前記コアユニットの上部には、絶縁体を介して左右に配置した第1、第2の支持体を備え、
第1の支持体には、前記第2の支持体とは反対側に延長形成した第1の被支持部を設け、第2の支持体には、前記第1の支持体とは反対側に延長形成した第2の被支持部を設け、これら第1、第2の被支持部を、前記装着手段の保持枠におけるリング状開口部縁上に載置させる構成としたことを特徴とする請求項1に記載の高周波誘導加熱ヘッド。
【請求項3】
前記第1の支持体にはコイルの一端側を保持させるとともに、このコイルの一端側に電気的に接続された第1のコア側端子を設け、前記第2の支持体にはコイルの他端側を保持させるとともに、このコイルの他端側に電気的に接続された第2のコア側端子を設けたことを特徴とする請求項2に記載の高周波誘導加熱ヘッド。
【請求項4】
前記本体ユニットの下部には、絶縁体を介して左右に配置した第1、第2の保持体を備え、
前記第1の保持体には、前記第1のコア側端子と電気的接続を行う第1の本体側端子、前記第2の保持体には、前記第2のコア側端子と電気的接続を行う第2の本体側端子を設けるとともに、これらの第1、第2の保持体と共振用コンデンサを、前記本体ユニットに設けた風冷ファンによる送風で冷却する構成としたことを特徴とする請求項3に記載の高周波誘導加熱ヘッド。
【請求項5】
前記コアユニットの第1、第2の支持体の一方に、冷却板を固定するとともに、この冷却板に前記コア体を支持させた構成としたことを特徴とする請求項4に記載の高周波誘導加熱ヘッド。
【請求項6】
前記リング状の保持枠における軸支部と、固定部は、前記保持枠におけるリング状開口部の対向部に配置し、前記保持枠は、前記固定部を本体ケースに固定した状態では、この保持枠の弾性変形復帰作用により、前記本体ユニットの下部の本体側端子と、前記コアユニットの上部のコア側端子を圧接させる構成としたことを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の高周波誘導加熱ヘッド。
【請求項7】
前記リング状の保持枠における軸支部と、固定部は、この保持枠におけるリング状開口部の対向部に配置し、前記固定部を、収縮性ばねを介して本体ケースに固定し、前記本体ユニットの下部の本体側端子と、前記コアユニットの上部のコア側端子を圧接させる構成としたことを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の高周波誘導加熱ヘッド。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一つに記載の高周波誘導加熱ヘッドと、この高周波誘導加熱ヘッドの磁気ギャップ部に配置される被加熱体を保持する保持手段を備えた高周波誘導加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波誘導加熱ヘッドと、それを用いた高周波誘導加熱装置に関するもので
ある。
【背景技術】
【0002】
高周波誘導加熱ヘッドは、例えば、特許文献1に示すように回路基板のパッド部分に、電子部品を、はんだ付けする高周波誘導加熱装置に活用されている。
前記高周波誘導加熱ヘッドは、本体ユニットと、この本体ユニットの下部に固定されたコアユニットと、を備えている。
前記本体ユニットは、少なくとも共振用コンデンサと、この共振コンデンサに接続されるIH出力接続コネクターと、を有している。
また、前記コアユニットは、加熱部となる磁気ギャップを有するコア体と、このコア体に磁束を供給するコイルと、を有する構成となっている。
前記本体ユニットの下部には、前記コアユニットのコイルとの電気的接続を行う本体側端子、前記コアユニットの上部には、前記本体ユニットの本体側端子との電気的接続を行うコア側端子を設けている。
つまり、コイルと共振用コンデンサによる共振電流をコイルに流すことで、磁束を発生させ、この磁束をコア体に供給することで、磁気ギャップにおいて磁束を集中させ、この磁束部分に配置した電子部品の端子を誘導加熱し、これにより半田付けを行う構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-190295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記高周波誘導加熱装置における高周波誘導加熱ヘッドは、電子部品の端子などを直接発熱させるものであるので、半田ごてからの熱伝導で前記端子を加熱するものに比較し、端子の温度を迅速に高めることができ、半田付け時間の短縮が図れる。
また、高周波誘導加熱ヘッドのコア体に半田付け用の端子を接触する必要もなく、従来の半田ごてを接触させることも必要ないので、コア体の摩耗も少なく、つまり、コア体の交換回数も少なくて済み、その結果として、半田付けの生産性が高まる。
このように前記高周波誘導加熱装置は、24時間連続運転も可能な、極めて生産性の高いものとなるのであるが、複数の異なる径の半田付け端子を対象として異なるコアユニットを共用する場合には、コアユニットを交換する必要がある。
その場合、本体ユニットからコアユニットを取り外し、コアユニットを交換することになる。
しかしながら、コアユニットのコア体は、フェライト材により構成されるものであるので、この取り外し作業中に落下させてしまうと、容易に損傷してしまう。
そのため、本体ユニットからのコアユニットの取り外し作業、あるいは、その後の本体ユニットへの取り付け作業は、慎重な対応が必要となり、現場では、コアユニットの取り外し作業、あるいは、その後の取り付け作業の簡易化が求められている。
そこで、本発明は、本体ユニットからのコアユニットの取り外し作業、あるいは、その後の本体ユニットへの取り付け作業の簡易化を図ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために本発明の高周波誘導加熱ヘッドは、本体ユニットと、この本体ユニットの下部に、配置されたコアユニット装着手段と、このコアユニット装着手段によって、前記本体ユニットの下方に着脱自在に装着されるコアユニットと、を備え、
前記本体ユニットは、少なくとも共振用コンデンサと、この共振コンデンサに接続されるIH出力接続コネクターと、を有し、前記コアユニット装着手段は、前記コアユニットを着脱自在に保持するリング状の保持枠と、この保持枠の一部を、この保持枠のリング状開口部が、前記本体ユニットの下方において、水平方向から、垂直方向に回動可能に軸支した軸支部と、
前記保持枠のリング状開口部が、前記本体ユニットの下方において、水平方向に回動させられた状態で、この保持枠の一部を、前記本体ユニットに固定する固定部と、を有し、前記コアユニットは、加熱部となる磁気ギャップを有するコア体と、このコア体に磁束を供給するコイルと、を有し、前記本体ユニットの下部には、前記コアユニットのコイルとの電気的接続を行う本体側端子、前記コアユニットの上部には、前記本体ユニットの本体側端子との電気的接続を行うコア側端子を設け、前記装着手段の保持枠を、そのリング状開口部が、前記本体ユニットの下方において、水平方向に回動させられ、前記本体ユニットに固定部で固定した状態で、前記本体側端子とコア側端子を圧接させる構成としたものである。
【0006】
また、本発明の高周波誘導加熱ヘッドにおける、コアユニットの上部には、絶縁体を介して左右に配置した第1、第2の支持体を設け、これら第1の支持体には、前記第2の支持体とは反対側に延長形成した第1の被支持部を設け、第2の支持体には、前記第1の支持体とは反対側に延長形成した第2の被支持部を設け、これら第1、第2の被支持部を、前記装着手段の保持枠におけるリング状開口部縁上に載置させる構成とした。
【0007】
さらに、本発明の高周波誘導加熱ヘッドにおける第1の支持体には、コイルの一端側を保持させるとともに、このコイルの一端側に電気的に接続された第1のコア側端子を設け、前記第2の支持体にはコイルの他端側を保持させるとともに、このコイルの他端側に電気的に接続された第2のコア側端子を設けた。
【0008】
また、本発明の高周波誘導加熱ヘッドにおける本体ユニットの下部には、絶縁体を介して左右に配置した第1、第2の保持体をもうけ、前記第1の保持体には、前記第1のコア側端子と電気的接続を行う第1の本体側端子、前記第2の保持体には、前記第2のコア側端子と電気的接続を行う第2の本体側端子を設けるとともに、これらの第1、第2の保持体と共振用コンデンサを、前記本体ユニットに設けた風冷ファンによる送風で冷却する構成とした。
【0009】
さらに、本発明の高周波誘導加熱ヘッドにおいては、コアユニットの第1、第2の支持体の一方に、冷却板を固定するとともに、この冷却板に前記コア体を支持させた構成とした。
また、本発明の高周波誘導加熱ヘッドは、リング状の保持枠における軸支部と、固定部を、この保持枠におけるリング状開口部の対向部に配置し、この保持枠は、前記固定部を本体ケースに固定した状態では、この保持枠の弾性変形復帰作用により、前記本体ユニットの下部の本体側端子と、前記コアユニットの上部のコア側端子を圧接させる構成とした。
さらに、本発明の高周波誘導加熱ヘッドは、リング状の保持枠における軸支部と、固定部を、この保持枠におけるリング状開口部の対向部に配置し、前記固定部を、収縮性ばねを介して本体ケースに固定し、前記本体ユニットの下部の本体側端子と、前記コアユニットの上部のコア側端子を圧接させる構成とした。
【0010】
また、本発明の高周波誘導加熱装置は、前記高周波誘導加熱ヘッドと、この高周波誘導加熱ヘッドの磁気ギャップ部に配置される被加熱体を保持する保持手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
以上の様に本発明は、本体ユニットと、この本体ユニットの下部に、配置されたコアユニット装着手段と、このコアユニット装着手段によって、前記本体ユニットの下方に着脱自在に装着されるコアユニットと、を備え、前記本体ユニットは、少なくとも共振用コンデンサと、この共振コンデンサに接続されるIH出力接続コネクターと、を有し、前記コアユニット装着手段は、前記コアユニットを着脱自在に保持するリング状の保持枠と、この保持枠の一部を、この保持枠のリング状開口部が、前記本体ユニットの下方において、水平方向から、垂直方向に回動可能に軸支した軸支部と、前記保持枠のリング状開口部が、前記本体ユニットの下方において、水平方向に回動させられた状態で、この保持枠の一部を、前記本体ユニットに固定する固定部と、を有し、前記コアユニットは、加熱部となる磁気ギャップを有するコア体と、このコア体に磁束を供給するコイルと、を有し、前記本体ユニットの下部には、前記コアユニットのコイルとの電気的接続を行う本体側端子、前記コアユニットの上部には、前記本体ユニットの本体側端子との電気的接続を行うコア側端子を設け、前記装着手段の保持枠を、そのリング状開口部が、前記本体ユニットの下方において、水平方向に回動させられ、前記本体ユニットに固定部で固定した状態で、前記本体側端子とコア側端子を圧接させる構成としたものである。
これにより、本体ユニットからのコアユニットの取り外し作業、あるいは、その後の本体ユニットへの取り付け作業時には、コアユニットを、コアユニット装着手段のリング状開口部で支えて状態で行うことが出来る。
つまり常時、コアユニットを手で支えながら行う必要が無く、作業性が極めて高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態にかかる高周波誘導加熱装置に用いられる高周波誘導加熱ヘッドの正面図
図2】同、高周波誘導加熱ヘッドの背面図
図3】同、高周波誘導加熱ヘッドの右側面図
図4】同、高周波誘導加熱ヘッドの左側面図
図5】同、高周波誘導加熱ヘッドの分解斜視図
図6】同、高周波誘導加熱ヘッドの分解斜視図
図7】同、高周波誘導加熱ヘッドの一部正面側斜視図
図8】同、高周波誘導加熱ヘッドの一部背面側斜視図
図9】同、高周波誘導加熱ヘッドのコアユニットの斜視図
図10】同、高周波誘導加熱ヘッドのコアユニットの一部拡大斜視図
図11】同、高周波誘導加熱ヘッドのコアユニットの一部分解斜視図
図12】同、高周波誘導加熱ヘッドのコアユニットの一部分解斜視図
図13】同、高周波誘導加熱ヘッドの本体ユニットの一部を示す斜視図
図14】同、高周波誘導加熱ヘッドの本体ユニットの一部を示す斜視図
図15】同、高周波誘導加熱ヘッドのコアユニット装着手段を示す斜視図
図16】同、高周波誘導加熱ヘッドのコアユニット装着手段を示す斜視図
図17】同、高周波誘導加熱ヘッドのコアユニット装着手段部分を示す正面図
図18】同、高周波誘導加熱ヘッドのコアユニット装着手段部分を示す左側面図
図19】同、高周波誘導加熱ヘッドのコアユニット装着手段部分を示す右側面図
図20】同、高周波誘導加熱ヘッドのコアユニット装着手段を用いたコアユニットの装着動作を示す正面図
図21】同、高周波誘導加熱ヘッドのコアユニット装着手段を用いたコアユニットの装着動作を示す正面図
図22】同、高周波誘導加熱ヘッドのコアユニット装着手段を用いたコアユニットの装着動作を示す正面図
図23】同、高周波誘導加熱ヘッドのコアユニット装着手段を用いたコアユニットの装着動作を示す正面図
図24】同、高周波誘導加熱ヘッドのコアユニット装着手段を用いたコアユニットの装着動作を示す正面図
図25】同、高周波誘導加熱ヘッドのコアユニット装着手段を用いたコアユニットの装着動作を示す正面図
図26】本発明の他の実施形態にかかる高周波誘導加熱装置に用いられる高周波誘導加熱ヘッドの一部を示す斜視図
図27】本発明のさらに他の実施形態にかかる高周波誘導加熱装置に用いられる高周波誘導加熱ヘッドの一部を示す斜視図
図28】本発明のさらに他の実施形態にかかる高周波誘導加熱装置に用いられる高周波誘導加熱ヘッドの一部を示す右側面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
以下本発明の一実施形態を、添付図面を用いて説明する。
本実施形態の高周波誘導加熱装置は、図1図6に示す高周波誘導加熱ヘッド1と、この高周波誘導加熱ヘッド1によって半田付けされる回路基板を保持する保持手段(例えば上記先行文献参照)とを備えている。
高周波誘導加熱ヘッド1は、これら図1図6に示す様に、上方から下方に向けて、本体ユニット2と、この本体ユニット2の下部に、配置されたコアユニット装着手段3と、このコアユニット装着手段3によって、前記本体ユニット2の下方に着脱自在に装着されるコアユニット4と、を備えている。
本体ユニット2は、図1図6に示す箱型の本体ケース5内に、上記先行文献と同じ様に、図7のごとく共振用コンデンサ6が収納されている。
この共振用コンデンサ6は、後述するコイル7に共振電流を供給するための物であり、IH出力接続コネクター8が電気的に接続されている。
共振用コンデンサ6の両側にはそれぞれ、図7のごとく、銅製の端子兼放熱板9が、電気的、機械的に接続された状態で設けられ、端子兼放熱板9の外側には、図1図8のごとく、放熱フィン10が配置され、放熱フィン10には送風ファン11が対向配置されている。
すなわち、共振用コンデンサ6の熱は端子兼放熱板9を介して放熱フィン10に伝達され、この放熱フィン10に送風ファン11から本体ケース5外の空気を吹き付け、放熱フィン10部分を通過後の空気を、排気口12を介して本体ケース5外へと排出するようにしている。
本実施形態では、風冷方式を採用しており、この風冷により、コイル7や、このコイル7から磁束が供給される図11図12のコア体13も冷却されるようになっているが、この点は、下記にて詳細に説明する。
【0014】
次に、コアユニット装着手段3について説明する。
コアユニット装着手段3は、図20図25のように、前記本体ユニット2の下方に、コアユニット4を着脱自在に装着するためのものである。
コアユニット装着手段3は、図15図16様に、前記コアユニット4を着脱自在に保持するリング状の保持枠14と、この保持枠14の一部を、この保持枠14のリング状開口部15が、前記本体ユニット2の下方において、水平方向(例えば、図25の状態)から、垂直方向(例えば、図20の状態)に回動可能に軸支した軸支部16と、前記保持枠14のリング状開口部15が、前記本体ユニット2の下方において、水平方向に回動させられた状態で、この保持枠14の一部を、前記本体ユニット2に固定する固定部17と、を備えている。
保持枠14は合成樹脂製で、平面形状としてはU字状となっているが、U字状両端を繋ぐように、軸支部16を固定することで、リング状の保持枠14となっており、上面側には、凹凸部18を設けている。
軸支部16は、蝶番、ヒンジ等と呼ばれる合成樹脂製のもので、図17図18の様に、上方側は金属製のネジ19で本体ユニット2側構成部品に固定され、下方側は金属製のネジ19で保持枠14に固定されている。
固定部17は、いわゆるパッチンクリップと言われるもので、図17図19に示す様に、金属製の操作レバー20、金属製で、リング状の係止部21は保持枠14に、ねじ(図示せず)で固定されている。また、リング状の係止部21が係合する合成樹脂製の被係止部22は、図7図8に示す様に、合成樹脂製のネジ23によって、本体ユニット2側の構成部品に固定されている。
なお、被係止部22としては、図7図8のように合成樹脂製の突起上面に係止部21を係止させるタイプでも、図5図17図19図20図25のように、金属製で上方に折り曲げたタイプを用いても良い。
ただし、図5図17図19図20図25のように、金属製で上方に折り曲げたタイプの被係止部22を用いる場合には、被係止部22の本体ユニット2側の構成部品との間に絶縁板24を介在させるとともに、ネジ23としては合成樹脂製のものを用いる必要がある。
一方、被係止部22として、図7図8のように合成樹脂製の突起上面に係止部21を係止させるタイプを用いる場合には、金属製のネジ23によって、本体ユニット2側の構成部品に固定することも出来る。
【0015】
次に、コアユニット4について説明する。
コアユニット4は上述したコイル7や、このコイル7から磁束が供給される図11図12のコア体13を備えている。
コアユニット4の上部には、図9図10に示す様に板状の絶縁体25を介して左右に配置した銅製の第1、第2の支持体26、27を備え、これら第1の支持体26には、前記第2の支持体27とは反対側の水平方向に延長形成した第1の被支持部28を設け、第2の支持体27には、前記第1の支持体26とは反対側の水平方向に延長形成した第2の被支持部29を設けている。
これら第1、第2の被支持部28、29は、図15図16に示す装着手段3の保持枠14におけるリング状開口部15の上方から、コアユニット4を図21図25のように下方に挿入した時に、装着手段3の保持枠14でコアユニット4を支持するためのものであり、コアユニット4の第1、第2の被支持部28、29は、保持枠14におけるリング状開口部15縁上に載置される。
また、第1の支持体26には、図7図10のように、コイル7の一端側が電気的、また熱伝導可能状態(例えばロウ付け)で保持されており、第1の被支持部28の上面は、このコイル7の一端側に電気的に接続された第1のコア側端子30となる。
同様に、第2の支持体27には、図7図10のように、コイル7の他端側が電気的、また熱伝導可能状態(例えばロウ付け)で保持されており、第2の被支持部29の上面は、このコイル7の他端側に電気的に接続された第2のコア側端子31となる。
なお、第2の被支持部29の上面には、位置決め用の突起29aが設けられている。
コアユニット4について、説明を続ける。
第2の支持体27には、銅製の冷却板32の上部を固定しており、この冷却板32の下部には、図11図12に示す様に、コア体13と保護板33がネジ34、35によって固定されている。
コア体13は上記先行文献と同じ様に2枚のコア板の上端側を重ね、ネジ34部分で軸支することで、下端部間で形成される磁気ギャップ36の距離を調整することが出来る。
また、保護板33は銅やアルミニウム製で、コア体13が衝撃で損傷するのを防止するガードと、コア体13からの不用意な磁束漏れを抑制する目的で設けたものである。
【0016】
次に、本体ユニット2の下面部分について説明する。
本体ユニット2の下面部分には、図5にしめすように、図7に示した端子兼放熱板9の下面側が露出させられている。
この露出部には位置決め孔37とネジ穴38が設けられている。
これらの位置決め孔37とネジ穴38を利用し、本体ユニット2の下面部分には、図13図14に示す熱伝達と電気的接続を行うための銅製の本体側端子39、40が固定されている。
すなわち、本体側端子39、40には上下方向に貫通する貫通孔41が設けられ、また上面には位置決め用の突起42が設けられている。
先ず、本体側端子39、40の突起42を端子兼放熱板9の位置決め孔37に挿入して位置決めを行い、次に、貫通孔41の下側からネジ43をネジ穴38にネジ締めする。
その結果、本体側端子39、40は、端子兼放熱板9に電気的、機械的、熱伝導的に接続される。
このため、端子兼放熱板9が送風ファン11の送風で冷却されると、本体側端子39、40、第1、第2の被支持部28、29、冷却板32を介して、コイル7とコア体13の冷却も行われる。
以上の構成において、コアユニット4の交換を行う時には、先ずは、図25の状態から固定部17の操作レバー20を操作し、図24図23のように本体ユニット2側の被係止部22から、コアユニット装着手段3側の係止部21を係合解除する。
すると、コアユニット装着手段3は軸支部16を軸として、固定部17側が図23図22図21図20へと回動する。
そして、図20の状態で、コアユニット4を、コアユニット装着手段3の保持枠14上方に引き抜くように取り外す。
図20の状態で、コアユニット4を、コアユニット装着手段3の保持枠14上方に引き抜くように取り外すまでの図25図20までの状態では、コアユニット4はコアユニット装着手段3の保持枠14で常時保持された状態となっているので、不用意に落下することは無く、また、コアユニット4を手で支えた状態の作業も不要で、作業性の良いものとなる。
次に、コアユニット4を交換した後には、図20の状態で、コアユニット4を、コアユニット装着手段3の保持枠14上方から、コア体13部分を下方にしてリング状開口部15内へと挿入する。
この時、図20の状態で、挿入後のコアユニット4の第1、第2の被支持部28、29が、リング状開口部15の開口縁上面に支えられた状態となるので、不用意に落下せず、作業性の良いものとなる。
次に、図21図22へと、コアユニット装着手段3の保持枠14を、軸支部16を軸とし、固定部17側を上方に持ち上げていく。
図22の状態では、コアユニット4を手で持ち、図9に示した第2の被支持部29の上面に設けた位置決め用の突起29aを、図13に示した本体側端子40の位置決め穴40aに挿入し、本体側端子39、40と、コアユニット4の第1、第2の被支持部(コア側端子にもなる)28、29を位置決めする。
この位置決めが出来たら、コアユニット装着手段3の保持枠14を図23図24へと上昇させ、最後に、図24の状態で、固定部17の操作レバー20を操作し、本体ユニット2側の被係止部22に、コアユニット装着手段3側の係止部21を係合させ、図25の様に操作レバー20を押し下げる。
これにより、本体ユニット2の下面部分に、コアユニット装着手段3を用いてコアユニット4を装着することが出来る。
この時、合成樹脂製で、リング状開口部15を有する保持枠14は、弾性変形し、固定部17側が持ち上げられた状態になっている。
つまり、保持枠14の軸支部16と固定部17間の中間部分上面は、下方に若干突出した湾曲状態となる。その結果として、コアユニット4の第1、第2の被支持部28、29を支持した保持枠14部分(保持枠14の軸支部16と固定部17間の中間部分上面)は弾性変形復帰作用(保持枠14が水平に戻ろうとする作用)により、コアユニット4の第1、第2の被支持部28、29を上方へと押圧する状態になる。
このことは非常に重要な事で、コアユニット4の第1、第2の被支持部28、29上面と、本体側端子39、40の下面が圧接、つまり、電気的にも、熱伝導的にも密着した状態を長期的に、維持することが出来るようになる。
また、このコアユニット4装着時にも、コアユニット4の第1、第2の被支持部28、29が、リング状開口部15の開口縁上面に支えられた状態となるので、不用意に落下せず、作業性の良いものとなる。
【0017】
(他の実施形態)
図26図28は、保持枠14の一部を、前記本体ユニット2に固定する固定部17の他の実施形態を示すものである。
図26のパッチンクリップと言われる固定部17aは、本体ユニット2側の本体側端子39、40に設ける被係止部22aを合成樹脂製とし、金属製のネジ23aで本体側端子39、40に固定している。
また、固定部17aを構成する金属製の操作レバー20a側は保持枠14に固定され、操作レバー20aを操作し、リング状の係止部21aを被係止部22aに係合し、操作レバー20aを押し下げれば、保持枠14が本体ユニット2に固定され、コアユニット4の第1、第2の被支持部28、29上面と、本体側端子39、40の下面が圧接、つまり、電気的にも、熱伝導的にも密着した状態を長期的に、維持することが出来るようになる。
図27のパッチンクリップと言われる固定部17bは、本体ユニット2側の本体側端子39、40に設ける被係止部22bを金属製とし、合成樹脂製のネジ23bで本体側端子39、40に固定している。この時、金属製の被係止部22bと本体側端子39、40間には、絶縁板24bを介在させている。
一方、固定部17bを構成する金属製の操作レバー20b側は保持枠14に固定され、操作レバー20bを操作し、リング状の係止部21bを被係止部22bに係合し、操作レバー20bを押し下げれば、保持枠14が本体ユニット2に固定され、コアユニット4の第1、第2の被支持部28、29上面と、本体側端子39、40の下面が圧接、つまり、電気的にも、熱伝導的にも密着した状態を長期的に、維持することが出来るようになる。
この図27で特徴的なのは、係止部21bと操作レバー20b側間に収縮性ばね20Bを設けたことである。
これにより、固定部17bを、収縮性ばね20Bを介して本体ユニット2側に固定し、コアユニット4の第1、第2の被支持部28、29上面と、本体側端子39、40の下面が圧接、つまり、電気的にも、熱伝導的にも密着した状態を長期的に、維持することが出来るようにしている。
この方式にすると、保持枠14を変形させ、保持枠14の弾性変形復帰作用を得る必要性を小さくすることが出来る。
図28のパッチンクリップと言われる固定部17cは、本体ユニット2側の本体側端子39、40に設ける被係止部22cを合成樹脂製とし、合成樹脂製のネジ23cで本体側端子39、40に固定している。
また、固定部17cを構成する金属製の基台20cは保持枠14に固定されている。
本実施形態では、基台20cに、金属線で作成したリング状の係止部21cを回動自在に配置している。
このため、保持枠14が本体ユニット2に固定する際には、リング状の係止部21cを上方に回動させ、被係止部22cの上辺を乗り越えるように、リング状の係止部21cを弾性変形させながら押し込み、これにより、被係止部22cの上辺後方のくぼみに係合させるものである。
この構成のパッチンクリップと言われる固定部17cは、構成が極めて簡単になる。
【符号の説明】
【0018】
1 高周波誘導加熱ヘッド
2 本体ユニット
3 コアユニット装着手段
4 コアユニット
5 本体ケース
6 共振用コンデンサ
7 コイル
8 IH出力接続コネクター
9 端子兼放熱板
10 放熱フィン
11 送風ファン
12 排気口
13 コア体
14 保持枠
15 リング状開口部
16 軸支部
17 固定部
17a 固定部
17b 固定部
17c 固定部
18 凹凸部
19 ネジ
20 操作レバー
20a 操作レバー
20c 基台
20B 収縮性ばね
21 係止部
21a 係止部
22 被係止部
22a 被係止部
22b 被係止部
22c 被係止部
23 ネジ
23a ネジ
23b ネジ
24 絶縁板
24b 絶縁板
25 絶縁体
26 第1の支持体
27 第2の支持体
28 第1の被支持部
29 第2の被支持部
29a 突起
30 第1のコア側端子
31 第2のコア側端子
32 冷却板
33 保護板
34 ネジ
35 ネジ
36 磁気ギャップ
37 位置決め孔
38 ネジ穴
39 本体側端子
40 本体側端子
41 貫通孔
42 突起
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