IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-通信装置 図1A
  • 特開-通信装置 図1B
  • 特開-通信装置 図1C
  • 特開-通信装置 図1D
  • 特開-通信装置 図2
  • 特開-通信装置 図3
  • 特開-通信装置 図4A
  • 特開-通信装置 図4B
  • 特開-通信装置 図5
  • 特開-通信装置 図6
  • 特開-通信装置 図7
  • 特開-通信装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141946
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】通信装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/43 20060101AFI20241003BHJP
   H04J 14/00 20060101ALI20241003BHJP
   H04J 14/02 20060101ALI20241003BHJP
   G02B 6/12 20060101ALN20241003BHJP
   G02B 6/30 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
G02B6/43
H04J14/00
H04J14/02
G02B6/12 301
G02B6/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053834
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小畑 幸嗣
(72)【発明者】
【氏名】崔 成伯
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
5K102
【Fターム(参考)】
2H137AA11
2H137AB05
2H137AB06
2H137AB09
2H137AB12
2H137AC02
2H137AC04
2H137AC05
2H137BA18
2H137BA55
2H137BB02
2H137BB12
2H137BB17
2H137BB25
2H137BC01
2H137BC51
2H137DA39
2H137EA04
2H147BG02
2H147CA01
2H147CA13
2H147CB01
2H147CB06
2H147CC02
2H147CD02
2H147EA16A
2H147EA16B
2H147EA18A
2H147EA18B
2H147FB04
2H147FC05
5K102AD00
5K102AD01
5K102PA00
5K102PB02
5K102PB18
5K102PC11
5K102PH31
(57)【要約】
【課題】従来よりも容易に光通信における通信品質を向上させることができる通信装置を提供する。
【解決手段】通信装置1は、複数の発光素子32を有する光源部と、複数の発光素子32からの光を受光する受光部(例えば、受光素子33)と、光源部及び受光部を接続し、複数の発光素子32から出射された光を伝搬する導波部材50とを備え、複数の発光素子32のうち少なくとも1つの発光素子32は、他の発光素子32と発光色が異なる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子を有する光源部と、
前記複数の発光素子からの光を受光する受光部と、
前記光源部及び前記受光部を接続し、前記複数の発光素子から出射された光を伝搬する導波部材とを備え、
前記複数の発光素子のうち少なくとも1つの発光素子は、他の発光素子と発光色が異なる
通信装置。
【請求項2】
前記複数の発光素子は、2次元状に配置されており、隣り合う発光素子の発光色が異なる
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記複数の発光素子は、青色を出射する第1発光素子と、緑色を出射する第2発光素子とを含む
請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記複数の発光素子は、GaN(窒化ガリウム)系の半導体発光素子を含む
請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項5】
前記複数の発光素子は、互いに隣接し、かつ、互いに発光色が異なる、第1発光素子、第2発光素子、第3発光素子及び第4発光素子を含む
請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項6】
前記導波部材は、複数本のコアと、前記複数本のコアを覆い、前記複数本のコアより屈折率が低いクラッドとを有するポリマー導波路である
請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項7】
さらに、前記光源部及び前記受光部の少なくとも一方が配置される第1基板を備え、
前記ポリマー導波路は、前記第1基板に埋め込まれて配置される
請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
さらに、
光ファイバと、
前記ポリマー導波路と前記光ファイバとを接続するコネクタとを備える
請求項6に記載の通信装置。
【請求項9】
前記導波部材は、光ファイバである
請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項10】
さらに、
前記光源部を制御する第1通信制御部と、
前記受光部を制御する第2通信制御部とを備え、
前記第1通信制御部及び前記光源部は、第2基板の同一主面に配置され、
前記第2通信制御部及び前記受光部は、第3基板の同一主面に配置される
請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項11】
前記複数の発光素子は、マイクロLED(Light Emitting Diode)素子である
請求項1又は2に記載の通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光通信等において用いられる光導波回路において、通信品質を向上するための種々の検討が行われている。例えば、特許文献1には、クラッドの一部を除去して光吸収物質を追加することで、光導波路で発生する散乱光が他の導波路に紛れ込むことを抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-5548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、光導波回路の製造段階において、クラッドの一部を除去して光吸収物質を追加する必要があり、工程が複雑である。
【0005】
そこで、本開示は、従来よりも容易に光通信における通信品質を向上させることができる通信装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る通信装置は、複数の発光素子を有する光源部と、前記複数の発光素子からの光を受光する受光部と、前記光源部及び前記受光部を接続し、前記複数の発光素子から出射された光を伝搬する導波部材とを備え、前記複数の発光素子のうち少なくとも1つの発光素子は、他の発光素子と発光色が異なる。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、従来よりも容易に光通信における通信品質を向上させることができる通信装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A図1Aは、通信装置の形態の第1例を示す図である。
図1B図1Bは、通信装置の形態の第2例を示す図である。
図1C図1Cは、通信装置の形態の第3例を示す図である。
図1D図1Dは、通信装置の形態の第4例を示す図である。
図2図2は、実施の形態1に係る通信装置の構成を示す図である。
図3図3は、実施の形態1に係る光源部から出射される光の発光特性を示す図である。
図4A図4Aは、LEDのチップサイズとピーク外部量子効率との関係を示す図である。
図4B図4Bは、LEDのチップサイズと正規化された発光効率との関係を示す図である。
図5図5は、実施の形態2に係る通信装置の構成を示す図である。
図6図6は、実施の形態2に係る通信装置を作製する方法を示すフローチャートである。
図7図7は、実施の形態2に係る通信装置のポリマー導波路を作製する工程を示す図である。
図8図8は、実施の形態2の変形例に係る通信装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となった知見)
近年、データ通信において、光通信の導入が進んでいる。例えば、データセンタに配置される複数のサーバ装置間の通信に光通信が導入されている。今後、通信の高速化が進むにつれて、近距離通信においても電気通信から光通信に置き換わることが想定される。また、さらに、基板上に配置された複数のチップ間(ダイ間)の通信も電気通信から光通信に置き換わることも想定される。
【0010】
このような光通信を行う通信装置の形態について、図1A図1Dを参照しながら説明する。図1A図1Dは、通信装置の形態の各例を示す図である。図1Aでは、送信側及び受信側それぞれの構成を示しており、図1B図1Dでは、送信側及び受信側の一方の構成を示す。図1A図1B図1C図1Dの順に光の帯域幅が広くなり、より高速通信が可能である。なお、本開示の技術は、図1A図1Dに示す通信装置の各形態のいずれにも適用可能である。
【0011】
図1Aの(a)は、第1通信部を上方から見た平面図であり、図1Aの(b)は、通信装置を側方から見た側面図であり、図1Aの(c)は、第2通信部を上方から見た平面図である。
【0012】
図1Aに示すように、通信装置100は、基板110A及び110Bと、パッケージ基板111A及び111Bと、通信制御部112A及び112Bと、光モジュール113A及び113Bと、光ファイバ120とを備える。基板110A、パッケージ基板111A、通信制御部112A及び光モジュール113Aにより第1通信部が構成され、基板110B、パッケージ基板111B、通信制御部112B及び光モジュール113Bにより第2通信部が構成される。通信装置100は、第1通信部及び第2通信部の一方から他方又は双方向に光信号を伝送する。なお、第1通信部及び第2通信部の構成は同一であってもよく、以下では主に第1通信部について説明する。
【0013】
基板110Aは、光通信を行うための各種電子部品が実装される電子基板(プリント回路基板)である。基板110Aは、システムボードとも称される。
【0014】
パッケージ基板111Aは、基板110A上に配置され、少なくとも光通信を行うための制御を行う通信制御部112Aが実装されるパッケージ基板である。パッケージ基板111Aと基板110Aとは、配線等により接続されている。パッケージ基板111Aは第2基板の一例であり、パッケージ基板111Bは第3基板の一例である。
【0015】
通信制御部112Aは、光通信による信号の送受信を制御する制御装置である。通信制御部112Aは、例えば、データを送信する場合、送信元のサーバ装置から送信対象の信号を受信し、受信した信号を送信するための制御信号を生成し、光源部の発光(明滅)を制御してもよい。また、通信制御部112Aは、例えば、データを受信する場合、受光部を介して受光(受信)された受光信号を受信先のサーバ装置に送信してもよい。通信制御部112Aは、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の通信IC(Integrated Circuit)である。
【0016】
光モジュール113Aは、電気信号及び光信号を一方から他方に変換する光電変換デバイス(光電変換回路)である。光モジュール113Aは、データを送信する場合、制御信号(電気信号)を光信号に変換し、データを受信する場合、光信号を受光信号(電気信号)に変換する。光モジュール113Aは、光トランシーバ又はプラガブルトランシーバとも称される。
【0017】
なお、光モジュール113Aは、電気信号を光信号に変換する、及び、光信号を電気信号に変換することの少なくとも一方が可能なように構成されていればよい。光モジュール113Aは、電気信号を光信号に変換する場合、1以上の発光素子を有する光源部を含んで構成され、光信号を電気信号に変換する場合、1以上の受光素子を有する受光部を含んで構成される。発光素子は、例えば、レーザ素子又はLED(Light Emitting Diode)素子であるがこれに限定されない。また、受光素子は、例えば、フォトダイオードであるがこれに限定されない。
【0018】
なお、基板110A及びパッケージ基板111Aには電気信号の伝送路114A(第2通信部においては、伝送路114B)が設けられる。伝送路114Aは、基板110A及びパッケージ基板111Aを介して通信制御部112A及び光モジュール113Aを電気的に接続し、通信制御部112A及び光モジュール113Aの一方から他方に電気信号を伝送する。伝送路114Aは、例えば、金属配線を含んで構成される。
【0019】
プラガブルモジュール115Aは、光モジュール113Aを収容し、光ファイバ120が挿抜可能なコネクタを有する。また、プラガブルモジュール115Bは、光モジュール113Bを収容し、光ファイバ120が挿抜可能なコネクタを有する。
【0020】
光ファイバ120は、一方の端部が光モジュール113Aのコネクタに挿入され、他方の端部が光モジュール113Bのコネクタに挿入され、光(光信号)を伝搬するための導波路(伝送路)である。光ファイバ120は、可撓性を有するケーブル(光ファイバケーブル)である。なお、光ファイバ120は、マルチモードファイバであってもよいし、シングルモードファイバであってもよい。
【0021】
次に、図1Bの(a)は、第1通信部を上方から見た平面図であり、図1Bの(b)は、第1通信部を側方から見た側面図である。図1Bに示す通信装置200は、図1Aに示す通信装置100に比べて、光モジュール213が基板210上に配置されている点が主に異なる。このような構成は、On Board Optics(OBO)とも称される。
【0022】
図1Bに示すように、通信装置200では、光モジュール213が基板210上に配置(実装)されている。例えば、平面視において、複数の光モジュール213が通信制御部212を囲むように配置されてもよい。
【0023】
コネクタ215は、光コネクタ同士を接続するための光ファイバ用の光アダプタである。
【0024】
なお、基板210、パッケージ基板211、通信制御部212、光モジュール213及び伝送路214のそれぞれは、基板110A又は110B、パッケージ基板111A又は111B、通信制御部112A又は112B、光モジュール113A又は113B及び伝送路114A又は114Bのそれぞれと同様の構成及び機能を有する。
【0025】
次に、図1Cの(a)は、第1通信部を上方から見た平面図であり、図1Cの(b)は、第1通信部を側方から見た側面図である。図1Cに示す通信装置300は、図1Bに示す通信装置200に比べて、光モジュール213がパッケージ基板211上に配置されている点が主に異なる。このような構成は、Co-packaged Optics(CPO)とも称される。
【0026】
図1Cに示すように、光モジュール213は、パッケージ基板211上に配置(実装)されており、パッケージ基板211に形成された伝送路214により通信制御部212と接続されている。つまり、通信制御部212と光モジュール213とが集積化されている。通信装置300では、図1A等の通信装置に比べて光ファイバ120を通信制御部212に近づけることができる。これにより、例えば、図1Aに示す通信装置100に比べて、伝送路214が短くなることによる高速化、通信装置300の消費電力量の低減等の効果が期待される。
【0027】
次に、図1Dの(a)は、第1通信部を上方から見た平面図であり、図1Dの(b)は、第1通信部を側方から見た側面図である。図1Dに示す通信装置400は、図1Cに示す通信装置300に比べて、インターポーザ411上に、通信制御部212及び光モジュール213が配置されている点が主に異なる。このような集積方法は、例えば、2.5D集積とも称される。なお、集積方法はこれに限定されず、例えば、3D集積などであってもよい。
【0028】
図1Dに示すように、通信制御部212及び光モジュール213は、インターポーザ411上に配置される。インターポーザ411を介して通信制御部212及び光モジュール213がパッケージ化されているとも言える。
【0029】
インターポーザ411は、基板を貫通する電極(貫通ビア)によって表裏の回路を接続するための基板である。インターポーザ411は、通信制御部212及び光モジュール213と基板210との間に配置される。インターポーザ411は、例えば、シリコン貫通ビアを複数有するシリコンインターポーザである。インターポーザ411は、第2基板の一例である。
【0030】
伝送路414は、インターポーザ411上に配置された通信制御部212及び光モジュール213を接続する。伝送路414は、インターポーザ411内又はインターポーザ411上に形成される配線である。
【0031】
上記のような各種通信装置が知られている又は開発されている。このような光通信を行う通信装置においては、通信品質を向上させることが望まれる。例えば、イメージングマルチコア光ファイバを用いている場合、1つの光ファイバ内に数千本のコアが配置されていることもあり、LED素子としてマイクロLED素子が用いられ、かつ、複数のマイクロLED素子が近接して配置される。そのため、マイクロLED素子を用いる場合、クロストークが発生しやすくなると考えられる。クロストークが発生すると光信号が混ざるので、長距離通信、高速通信の実現が困難となる。つまり、通信品質が低下することになる。
【0032】
また、「発明が解決しようとする課題」でも説明したように、光通信における通信品質の向上は、容易に実現されることが望まれる。
【0033】
そこで、本願発明者は、従来よりも容易に光通信における通信品質を向上させることができる通信装置について鋭意検討を行い、以下に説明する通信装置を創案した。
【0034】
本開示の第1の態様に係る通信装置は、複数の発光素子を有する光源部と、前記複数の発光素子からの光を受光する受光部と、前記光源部及び前記受光部を接続し、前記複数の発光素子から出射された光を伝搬する導波部材とを備え、前記複数の発光素子のうち少なくとも1つの発光素子は、他の発光素子と発光色が異なる。
【0035】
これにより、1つの発光素子と、他の発光素子との光が混ざっても発光色が異なるので、フィルタ等を用いて容易に分離することができる。つまり、クロストークの影響を低減することができるので、複数の発光素子のそれぞれの発光色が同じ場合に比べて通信品質を向上することができる。また、基板上に異なる発光色の発光素子を配置するだけでよいので、製造が容易である。よって、従来よりも容易に光通信における通信品質を向上させることができる通信装置を実現することができる。
【0036】
また、例えば、本開示の第2の態様に係る通信装置は、第1の態様に係る通信装置であって、前記複数の発光素子は、2次元状に配置されており、隣り合う発光素子の発光色が異なっていてもよい。
【0037】
これにより、隣り合う発光素子の発光色が互いに異なるので、クロストークの影響をより低減することができる。
【0038】
また、例えば、本開示の第3の態様に係る通信装置は、第1の態様又は第2の態様に係る通信装置であって、前記複数の発光素子は、青色を出射する第1発光素子と、緑色を出射する第2発光素子とを含んでいてもよい。
【0039】
これにより、青色及び緑色を出射する発光素子はGaN系の半導体材料を用いて作製されることが多く、GaN系の半導体材料は高効率であり信頼性も高いので、通信品質をより向上させ得る。
【0040】
また、例えば、本開示の第4の態様に係る通信装置は、第1の態様~第3の態様のいずれかに係る通信装置であって、前記複数の発光素子は、GaN(窒化ガリウム)系の半導体発光素子を含んでいてもよい。
【0041】
これにより、GaN系の半導体材料を用いた発光素子は、高効率であり信頼性も高いので、通信品質をより向上させることができる。
【0042】
また、例えば、本開示の第5の態様に係る通信装置は、第1の態様又は第2の態様に係る通信装置であって、前記複数の発光素子は、互いに隣接し、かつ、互いに発光色が異なる、第1発光素子、第2発光素子、第3発光素子及び第4発光素子を含んでいてもよい。
【0043】
これにより、同一発光色(同一波長)の発光素子が隣同士にならないように発光素子を配置することが可能となるので、クロストークの影響をさらに低減することができる。
【0044】
また、例えば、本開示の第6の態様に係る通信装置は、第1の態様~第5の態様のいずれかに係る通信装置であって、前記導波部材は、複数本のコアと、前記複数本のコアを覆い、前記複数本のコアより屈折率が低いクラッドとを有するポリマー導波路であってもよい。
【0045】
これにより、ポリマー導波路を用いることで、発光素子(例えば、マイクロLED素子)のチップサイズに対する制約を緩和することができる。マイクロLED素子は、チップサイズが大きくなると発光効率が向上する傾向がある。よって、ポリマー導波路を用いることで発光効率がより高いマイクロLED素子を用いることが可能となるので、通信装置の通信品質を向上させることができる。
【0046】
また、例えば、本開示の第7の態様に係る通信装置は、第6の態様に係る通信装置であって、さらに、前記光源部及び前記受光部の少なくとも一方が配置される第1基板を備え、前記ポリマー導波路は、前記第1基板に埋め込まれて配置されてもよい。
【0047】
これにより、埋め込み型のポリマー導波路を用いて、通信装置の通信品質を向上させることができる。
【0048】
また、例えば、本開示の第8の態様に係る通信装置は、第6の態様又は第7の態様に係る通信装置であって、さらに、光ファイバと、前記ポリマー導波路と前記光ファイバとを接続するコネクタとを備えてもよい。
【0049】
これにより、ポリマー導波路を備える通信装置において、光信号の伝送距離を延ばすことができる。
【0050】
また、例えば、本開示の第9の態様に係る通信装置は、第1の態様~第8の態様のいずれかに係る通信装置であって、前記導波部材は、光ファイバであってもよい。
【0051】
これにより、光ファイバを備える通信装置において、従来よりも容易に光通信における通信品質を向上させることができる。
【0052】
また、例えば、本開示の第10の態様に係る通信装置は、第1の態様~第9の態様のいずれかに係る通信装置であって、さらに、前記光源部を制御する第1通信制御部と、前記受光部を制御する第2通信制御部とを備え、前記第1通信制御部及び前記光源部は、第2基板の同一主面に配置され、前記第2通信制御部及び前記受光部は、第3基板の同一主面に配置されてもよい。
【0053】
これにより、光源部及び第1通信制御部の間の電気信号の伝送距離、並びに、受光部及び第2通信制御部の間の電気信号の伝送距離を短くすることができるので、通信の高速化、並びに、第1通信制御部及び第2通信制御部の消費電力量の低減を実現することができる。
【0054】
また、例えば、本開示の第11の態様に係る通信装置は、第1の態様~第10の態様のいずれかに係る通信装置であって、前記複数の発光素子は、マイクロLED(Light Emitting Diode)素子であってもよい。
【0055】
これにより、発光素子の発光色を容易に変更することができる。
【0056】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0057】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ(工程を含む)、ステップ(工程を含む)の順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0058】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0059】
また、本明細書において、同一、等しい等の要素間の関係性を示す用語、及び、円形状、矩形状等の要素の形状を示す用語、並びに、数値、及び、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度(あるいは、10%程度)の差異をも含むことを意味する表現である。
【0060】
また、本明細書において、「〇〇上(例えば、基板上)」、「上方」及び「下方」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)及び下方向(鉛直下方)を指すものではなく、積層構成における積層順を基に相対的な位置関係により規定される用語として用いる。また、「〇〇上(例えば、基板上)」、「上方」及び「下方」という用語は、2つの構成要素が互いに間隔をあけて配置されて2つの構成要素の間に別の構成要素が存在する場合のみならず、2つの構成要素が互いに接する状態で配置される場合にも適用される。
【0061】
また、本明細書において、「第1」、「第2」などの序数詞は、特に断りの無い限り、構成要素の数又は順序を意味するものではなく、同種の構成要素の混同を避け、区別する目的で用いられている。
【0062】
また、各構成要素の「接続」とは、光学的又は電気的な接続を意味し、2つの構成要素が直接的に接続される場合だけでなく、2つの構成要素の間に他の構成要素を挿入した状態で2つの構成要素が間接的に接続される場合も含まれる。
【0063】
(実施の形態1)
[1-1.通信装置の構成]
以下、本実施の形態に係る通信装置について、図2及び図3を参照しながら説明する。図2は、本実施の形態に係る通信装置1の構成を示す図である。図2の(a)は、通信装置1の全体構成を示す図である。図2の(b)は、光モジュール30Aを拡大して示す斜視図である。図2の(c)は、光モジュール30Aのうち光源部を拡大して示す平面図である。図2の(d)は、導波部材50をIId-IId線で切断した断面を示す斜視図である。図2の(c)では、発光色ごとに発光素子32r、32g、32y及び32bのハッチング態様を異ならせている。
【0064】
図2では、通信装置1の形態がCPOと称される形態を採用している例を示している。つまり、通信装置1では、通信制御部20Aと光モジュール30Aとが同一パッケージ内に集積されている。なお、図2では、基板等の図示を省略している。
【0065】
図2の(a)に示すように、通信装置1は、基板と、パッケージ基板10A及び10Bと、通信制御部20A及び20Bと、光モジュール30A及び30Bと、光学部材40A及び40Bと、導波部材50とを備える。光モジュール30A及び通信制御部20Aは、パッケージ基板10Aの同一主面に配置され、光モジュール30B及び通信制御部20Bは、パッケージ基板10Bの同一主面に配置される。
【0066】
パッケージ基板10A及び10Bは、図1Cに示すパッケージ基板と同様の構成を有する。パッケージ基板10Aは、第2基板の一例であり、パッケージ基板10Bは、第3基板の一例である。
【0067】
通信制御部20A及び20Bは、図1A等に示す通信制御部112A、112B、212と同様の構成を有する。通信制御部20Aは、第1通信部の一例であり、通信制御部20Bは、第2通信部の一例である。
【0068】
光モジュール30A及び30Bは、発光(光信号の生成)及び受光(光信号の受光)のいずれかを行うことが可能に構成され、本実施の形態では、発光及び受光のそれぞれが可能に構成される。光モジュール30A及び30Bは、例えば、同一の構成を有する。
【0069】
図2の(b)に示すように、光モジュール30Aは、基板31と、基板31の同一主面に配置された複数の発光素子32及び複数の受光素子33を有する。
【0070】
基板31は、複数の発光素子32及び複数の受光素子33が実装される実装基板である。基板31は、平面視(基板31の主面側から場合)における外形が、矩形状であるがこれに限定されない。基板31は、金属配線がパターン形成された、いわゆるプリント基板である。このような基板としては、ガラスエポキシ基板、及び複合基材エポキシ樹脂基板等が例示される。
【0071】
複数の発光素子32は、光学部材40Aに向けて光を出射する。本実施の形態では、複数の発光素子32のそれぞれは、マイクロ発光素子により実現される。本実施の形態では、複数の発光素子32のそれぞれは、マイクロLED素子(マイクロLEDチップ)により実現される。マイクロ発光素子とは、数μm~100μm程度の微細化された発光素子であり、マイクロLED素子は、数μm~100μm程度の微細化されたLED素子である。例えば、マイクロLED素子のチップサイズは4μm程度であり、基板31上に256個(16×16個)程度配置されていてもよいが、マイクロLED素子の数は特に限定されない。複数の発光素子32及び基板31は光源部の一例である。
【0072】
複数の発光素子32のうち少なくとも1つの発光素子32は、他の発光素子32と発光色が異なる。つまり、複数の発光素子32は、第1色を出射する第1発光素子と、第2色を出射する第2発光素子とを含む。発光色が異なるとは、例えば、光のピーク波長が異なることであってもよい。また、複数の発光素子32は、GaN(窒化ガリウム)系の半導体発光素子を含んでいてもよい。GaN(窒化ガリウム)系の半導体発光素子としては、例えば、青色を出射する発光素子、緑色を出射する発光素子等が例示される。例えば、上記の第1色は青色であり、第2色は緑色であってもよい。青色の光のピーク波長は、例えば、430nm以上500nm未満である。緑色の光のピーク波長は、例えば、490nm以上580nm未満である。なお、GaN(窒化ガリウム)系の半導体発光素子とは、GaN系の半導体材料を用いて作製される発光素子である。
【0073】
複数の発光素子32は、2次元状(例えば、碁盤目状)に基板31上に配置されていてもよい。そして、複数の発光素子32は、隣り合う発光素子32の発光色が互いに異なっていてもよい。隣り合う発光素子32とは、上下方向、左右方向及び斜め方向に並んだ発光素子のうちの少なくとも1つの隣り合う発光素子を含む。つまり、発光色が互いに異なる隣り合う発光素子32とは、上下方向に隣り合う発光素子32、左右方向に隣り合う発光素子32及び斜め方向に隣り合う発光素子32のうちの少なくとも1つを含む。例えば、複数の発光素子32は、2次元を構成する2つの方向のいずれにおいても隣り合う発光素子32の発光色が異なっていてもよいし、当該2つの方向に斜め方向を加えた3つの方向のいずれにおいても隣り合う発光素子32の発光色が異なっていてもよい。
【0074】
複数の発光素子32は、互いに異なる2以上の発光色の光を出射可能である。複数の発光素子32は、互いに異なる4以上の発光色の光を出射可能であってもよい。例えば、図2の(c)に示すように、互いに隣接する発光素子32b、32g、32r及び32yは、互いに発光色が異なっていてもよい。発光素子32bは、青色を出射するマイクロLED素子であり、発光素子32gは、緑色を出射するマイクロLED素子であり、発光素子32rは、赤色を出射するマイクロLED素子であり、発光素子32yは、黄色を出射するマイクロLED素子である。4つの発光色(4つのピーク波長)を用いることで、上下方向に隣り合う発光素子(例えば、発光素子32r及び32y、又は、発光素子32g及び32b)、左右方向に隣り合う発光素子(例えば、発光素子32r及び32g、又は、発光素子32y及び32b)、及び、斜め方向に隣り合う発光素子(例えば、発光素子32r及び32b、又は、発光素子32g及び32y)のそれぞれの発光色を異ならせることができる。つまり、ピーク波長が同一波長の発光素子32が、上下方向、左右方向及び斜め方向のそれぞれに並ばないように発光素子32を配置することができる。
【0075】
図3は、本実施の形態に係る光源部から出射される光の発光特性を示す図である。
【0076】
図3では、発光素子32が出射する光の波形(スペクトル)として、8つの波形W1~W8が図示されている。波形W1~W8のそれぞれは、互いにピーク波長が異なる。例えば、発光素子32がLED素子である場合、波形W1~W8のようにピーク波長が異なるLED素子を容易に作製することができる。
【0077】
波形W1及びW2は、例えば、InGan(窒化インジウムガリウム)系材料を用いて作製された発光素子32が出射する光(例えば、青色)の相対発光強度を示している。波形W3は、例えば、InGaAIP系材料を用いて作成された発光素子32が出射する光(例えば、緑色)の相対発光強度を示している。
【0078】
複数の発光素子32が2色の発光色を発光可能である場合を例に説明すると、クロストークの発生を効果的に抑制する観点(混色した2つの光を容易に分離する観点から)から波長(ピーク波長)がより離れている光を出射する発光素子が用いられるとよい。例えば、波形W1及びW8等が用いられてもよい。また、通信の信頼性を向上させる観点から、青色及び青色付近の波長(ピーク波長)を有する光を出射する発光素子が用いられるとよい。青色及び青色付近にピーク波長を有する発光素子は、GaN系の半導体材料を用いて作製されていることが多く、高効率で信頼性が高いためである。
【0079】
なお、複数の発光素子32のうち、GaN系の半導体材料を含む発光素子32の数は、GaN系の半導体材料を含んでいない発光素子32の数より多くてもよい。また、上下方向及び左右方向に配置される発光素子32の発光色(例えば、ピーク波長)の違いは、斜め方向に配置される発光素子32の発光色(例えば、ピーク波長)の違いより小さくてもよい。例えば、上下方向及び左右方向に配置される発光素子32の発光色は青色及び緑色など青色に近い色が選択され、斜め方向に配置される発光素子32は発光色が大きく異なるものが選択されてもよい。
【0080】
なお、光モジュール30Aは、複数の発光素子32の発光を個々に制御可能に構成される。
【0081】
図2を再び参照して、複数の受光素子33は、導波部材50を伝送した光を受光する。本実施の形態では、複数の受光素子33のそれぞれは、フォトダイオード等の受光素子により実現される。複数の受光素子33は、例えば、光モジュール30Bが有する複数の発光素子の数と同数配置される。複数の受光素子33は、基板31上に256個(16×16個)配置されていてもよいが、受光素子33の数はこれに限定されない。複数の受光素子33及び基板31は受光部の一例である。
【0082】
また、受光部は、当該受光素子33に対応する発光素子32の発光色(特定色)以外の発光色を分離するための光学フィルタを有してもよい。光学フィルタは、特定色を透過させるフィルタであってもよい。なお、特定色以外の発光色(所定の波長範囲外の光)は、通信制御部20Aの信号処理により除去されてもよい。つまり、光学フィルタは、物理的フィルタであってもよいし、デジタルフィルタであってもよい。
【0083】
光学部材40Aは、ミラ-、レンズ等を有し、発光素子32から出射された光を導波部材50に入射させ、かつ、導波部材50からの光を受光素子33に入射させる。
【0084】
導波部材50は、光源部及び受光部を接続し、複数の発光素子32から出射された光を受光部に伝搬する。本実施の形態では、導波部材50は、光ファイバであり、クラッドの中に複数本のコア51を配置したマルチコアファイバである。コア51の数は、例えば、光モジュール30A又は30Bが有する発光素子及び受光素子の合計数と等しくてもよい。また、例えば、導波部材50の径はφ1mm程度であり、その内部には数千のコア51が形成されている。
【0085】
コア51は、ガラスまたはプラスチック製等の円柱形状であり、一端部の断面に光が入力されると、その入力された光を他端部の断面から出力する。一端部及び他端部の断面は、例えば、円形状である。
【0086】
なお、導波部材50は、マルチコアファイバであることに限定されず、例えば、複数本のシングルコアファイバであってもよい。
【0087】
(実施の形態2)
以下では、本実施の形態に係る通信装置について、図4A図7を参照しながら説明する。
【0088】
[2-1.基礎となった知見]
まずは、本実施の形態の基礎なった知見について、図4A及び図4Bを参照しながら説明する。図4Aは、LEDのチップサイズとピーク外部量子効率(External Quantum Efficiency:EQE)との関係を示す図である。外部量子効率は、発光素子に注入された電子及び正孔の数に対する、発光素子の外部に取り出すことができた光子(フォトン)の数を示しており、発光素子の効率を表す指標の1つである。図4Bは、LEDのチップサイズと正規化された発光効率との関係を示す図である。
【0089】
図4Aに示すように、マイクロLED素子のチップサイズが小さくなるにつれて、各色の外部量子効率が低下していることがわかる。
【0090】
図4Bに示すように、マイクロLED素子のチップサイズが小さくなるにつれて、各色の発光効率が低下していることがわかる。
【0091】
このように、マイクロLED素子のチップサイズが小さくなる、つまり小型のマイクロLED素子となるほど発光効率が低くなることがわかる。発光効率の低下は、光通信全体の効率を低下させる要因となり得る。
【0092】
発光効率を向上させるためにより大型のマイクロLED素子を用いればよいが、マイクロLED素子のチップサイズは、導波部材である光ファイバの径の制約を受けるので、光ファイバとの結合を考慮すると小型のマイクロLED素子を使わざるを得ない場合がある。
【0093】
このように、従来では、所望の光ファイバを選択し、選択された光ファイバの径に応じたマイクロLED素子が選択されるので、発光効率が高いマイクロLED素子が使用できない場合がある。
【0094】
そこで、本実施の形態では、より大きなチップサイズのマイクロLED素子を用いることができる、つまり発光効率を改善することができる通信装置について、以下の図5図7を参照しながら説明する。
【0095】
[2-2.通信装置の構成]
本実施の形態に係る通信装置の構成について、図5を参照しながら説明する。図5は、本実施の形態に係る通信装置2の構成を示す図である。図5の(a)は、本実施の形態に係る通信装置2の断面図であり、図5の(b)は、図5の(a)の破線枠部分を拡大して示す斜視図である。なお、図5では、光学部材等の図示を省略している。
【0096】
なお、以下では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同一又は類似の内容については説明を省略又は簡略化する。
【0097】
図5の(a)に示すように、通信装置2は、基板13と、通信制御部23A及び23Bと、光モジュール35A及び35Bと、ポリマー導波路53とを備える。通信装置2は、主に導波部材としてポリマー導波路53を用いる点で、実施の形態1に係る通信装置1と相違する。
【0098】
図5の(b)に示すように、ポリマー導波路53は、ポリマー材料により形成される、複数のコア53a及びクラッド53bを有する。本実施の形態では、ポリマー導波路53は、基板13に埋め込まれて配置される。基板13には、ポリマー導波路53を配置するための凹みが形成されている。
【0099】
コア53aは、ポリマー導波路53において導波層(光路)となる部分であり、本実施の形態では、図5の(a)の破線枠内においてL字状を有する。コア53aは、例えば、複数の発光素子及び複数の受光素子の数だけ形成される。
【0100】
コア53aは、高屈折率材料で構成されている。高屈折率材料としては、例えば、無機成分及び有機成分を含むハイブリッド樹脂、又は、シリコーン樹脂が例示されるが、これに限定されない。
【0101】
また、高屈折率材料としては、例えば、可視光域の少なくとも一部(例えば、全部)を含む波長範囲において、低損失な材料が用いられるとよい。例えば、380nm~1600nm程度の波長範囲の全てにおいて、伝送率が85%以上であり、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上である材料が用いられるとよい。なお、伝送率とは、ポリマー導波路53の入射端に入力される光信号の強度に対するポリマー導波路53の出力端から出力される光信号の強度の割合を示す。
【0102】
また、高屈折率材料としては、例えば、600nm~1100nmまでの損失が10bB以下であり、より好ましくは5dB以下であってもよい。また、高屈折率材料としては、例えば、450nm~1100nmまでの損失が10bB以下であり、より好ましくは5dB以下であってもよい。ここでの損失とは、600nm~1100nm又は450nm~1100nmの各波長の損失の平均値であるが、最大値、最小値、中央値等であってもよい。
【0103】
クラッド53bは、複数のコア53aそれぞれを取り囲む(例えば、被覆する)ように配置される。クラッド53bは、コア53aより屈折率が低い低屈折率材料で構成されている。低屈折率材料としては、例えば、無機成分及び有機成分を含むハイブリッド樹脂、又は、シリコーン樹脂が例示されるが、これに限定されない。
【0104】
これにより、コア53aの屈折率とクラッド53bの屈折率とが異なるので、コア53aとクラッド53bとの間の境界面で全反射を起こして光信号が進行方向に進行する。
【0105】
図5に示す構成の場合、複数の発光素子及び複数の受光素子は、基板の主面35a及び35bのうち、主面35a側に配置される。例えば、複数の発光素子は、下方側(ポリマー導波路53側)に光を出射する。つまり、通信装置2は、基板13に設けられるポリマー導波路53とマイクロLEDとが光学的に結合する構成を有する。
【0106】
また、複数の発光素子は、実施の形態1と同様、2以上の発光色の光を出射可能であってもよいし、1つの発光色の光(例えば、青色)のみを出射可能であってもよい。
【0107】
詳細は後述するが、このようなポリマー導波路53を用いることで、例えば、チップサイズが100μm程度の大きなマイクロLED素子を使用することが可能となる。
【0108】
なお、ポリマー導波路53は、基板13に埋め込まれて配置されることに限定されず、基板13上に配置されてもよい。この場合、例えば、コア53aは、光モジュール35A及び35Bを結ぶ直線状に形成される。
【0109】
[2-3.通信装置の製造方法]
続いて、上記のように構成される通信装置2の製造方法について、図6及び図7を参照しながら説明する。図6は、本実施の形態に係る通信装置2を作製する方法を示すフローチャートである。
【0110】
図6に示すように、まず、設計者は、光モジュール35A及び35Bに用いるLED(マイクロLED素子)のチップサイズを決定する(S10)。例えば、設計者は、複数種のマイクロLED素子の中から、所望の光強度又は所望の発光効率を達成可能なマイクロLED素子を決定する。
【0111】
次に、設計者は、決定したマイクロLED素子及び当該マイクロLED素子の配置に基づいて、導波路(ポリマー導波路53)を設計する(S20)。つまり、マイクロLED素子が決定された後に、ポリマー導波路53の形状等が決定される。設計者は、マイクロLED素子のチップサイズに応じたコア53aの端面のサイズ等を決定する。コア53aの端面は、光入射面(又は光出射面)であり、例えば、図5の(b)に示す光モジュール35Aと対向して配置されるコア53aの矩形状の部分である。
【0112】
次に、設計された導波路を基板13に形成する(S30)。
【0113】
上記のように、ポリマー導波路53を用いる場合、先にマイクロLED素子を選ぶことができ、選んだマイクロLED素子のチップサイズに応じてポリマー導波路53を形成することができるので、導波部材として光ファイバを用いる場合に比べて、マイクロLED素子のチップサイズに対する制約を緩和することができる。つまり、ポリマー導波路53を用いることで、マイクロLED素子を選ぶ自由度が増す。また、光ファイバを用いる場合に比べてよりチップサイズの大きいマイクロLED素子を選ぶことができるようになるので、図4A及び図4Bから明らかなように、高い発光効率のマイクロLED素子を使用できるようになる。これは、通信装置2における光通信の効率を向上させることにつながる。
【0114】
図7は、本実施の形態に係る通信装置2のポリマー導波路53を作製する工程を示す図である。なお、ポリマー導波路53の作製方法としては、選択重合方、RIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)法、直接露光法、射出成形利用法及びフォトブリーチング法等の様々な方法が知られており、本実施の形態に係るポリマー導波路53は、既知のいかなる方法により作製されてもよい。以下では、一例として、RIE法を用いる場合について簡単に説明する。RIE法は、主にシングルモードのポリマー導波路53の作製に用いられる。
【0115】
図7の(a)は、基板513上に下部クラッド層553b1及び高屈折率材料の膜553a1が塗布された状態を示す断面図である。例えば、基板513上に低屈折率材料の膜(例えば、ハイブリッド樹脂膜)を成膜して、下部クラッド層553b1とし、下部クラッド層553b1上に下部クラッド層553b1よりも屈折率が高い高屈折率材料の膜553a1(例えば、ハイブリッド樹脂膜)を成膜することで、図7の(a)に示す積層体が形成される。
【0116】
図7の(b)は、高屈折率材料の膜553a1上にフォトレジスト560を塗布した後、マスク570を用いて露光している状態を示す断面図である。
【0117】
図7の(c)は、図7の(b)の状態からパターン部以外(図7の(c)の例では、光が照射された部分)のフォトレジスト560を除去する現像が行われた後の状態を示す断面図である。
【0118】
図7の(d)は、図7の(c)の状態からドライエッチング(例えば、RIE等)を行った後の状態を示す断面図である。この状態から、残っていたフォトレジスト560が除去される。
【0119】
図7の(b)~(d)に示すように、高屈折率材料の膜553a1にフォトリソグラフィーによるパターニングと、ドライエッチング(例えば、RIE等)とを行って、図7の(d)に示すように、導波層となるコア層553a2が形成される。
【0120】
図7の(e)は、上部クラッド層553b2が塗布された状態を示す断面図である。例えば、コア層553a2及び下部クラッド層553b1の上にコア層553a2よりも屈折率の低い低屈折率材料の膜(例えば、ハイブリッド樹脂膜)を、コア層553a2を取り囲むように成膜して上部クラッド層553b2とすることで、埋め込み型の光導波路を作製することができる。
【0121】
上記の方法で、基板の凹みにポリマー導波路が形成されることで、例えば、図5に示すポリマー導波路53が形成される。
【0122】
(実施の形態2の変形例)
以下では、本変形例に係る通信装置について、図8を参照しながら説明する。なお、以下では、実施の形態2との相違点を中心に説明し、実施の形態2と同一又は類似の内容については説明を省略又は簡略化する。
【0123】
図8は、本変形例に係る通信装置2aの構成を示す図である。なお、図8では、通信制御部23B、光モジュール35B等の図示を省略している。
【0124】
図8に示すように、通信装置2aは、基板13aと、通信制御部23A及び23Bと、光モジュール35A及び35Bと、ポリマー導波路53と、コネクタ60と、光ファイバ70とを備える。通信装置2aは、実施の形態2に係る通信装置2の光モジュール35A及び35Bの間の光の伝送経路上に、一対のコネクタ60と光ファイバ70とを配置した構成を有する。言い換えると、通信装置2aは、光モジュール35A及び35Bと光ファイバ70との間の光の伝送経路上に、ポリマー導波路53を配置した構成を有する。基板13aは、第1基板の一例である。
【0125】
コネクタ60は、ポリマー導波路53のコア53a(図5の(b)を参照)と光ファイバ70のコア(例えば、図2の(d)に示すコア51)とを光学的に接続する光コネクタである。コネクタ60は、例えば、コア53aとコア51とを一対一に対応付けるように構成され、1つのコア53aからの光を1つのコア51に入射させる伝送路を複数(コア53a及びコア51の数)有する。コネクタ60は、例えば、伝送路を構成する高屈折率材料により形成されるコア(伝送路)と、当該伝送路を取り囲むように配置され伝送路より屈折率が低い低屈折率材料で構成されるクラッドとを有していてもよい。コネクタ60の構成はこれに限定されず、既存のいかなる光コネクタが用いられてもよい。
【0126】
光ファイバ70は、両端がコネクタ60に接続され、一方の端部に入射された光を他方に端部に伝搬する。光ファイバ70は、例えばマルチコアファイバ等である。
【0127】
このような通信装置2aにおいて、光モジュール35Aの発光素子から出射された光は、ポリマー導波路53、コネクタ60、光ファイバ70、コネクタ60(図示しない)、ポリマー導波路53(図示しない)を介して光モジュール35B(図5の(a)を参照)の受光素子に入射する。このように、光ファイバ70を介して光モジュール35A及び35Bが光学的に接続されることで、伝送距離を長くすることができる。例えば、データセンタにおいてサーバ装置同士を接続する等の、10m程度の距離の光信号の送受信が可能となる。
【0128】
(その他の実施の形態)
以上、一つまたは複数の態様に係る通信装置について、各実施の形態等に基づいて説明したが、本開示は、この各実施の形態等に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示に含まれてもよい。
【0129】
例えば、上記各実施の形態等に係る光源部における複数の発光素子の配置は、図2に示す配置(碁盤目状)に限定されない。例えば、複数の発光素子は、同心円状に配置されてもよいし、他の配列であってもよい。複数の受光素子においても同様である。
【0130】
また、上記各実施の形態等では、マイクロ発光素子がマイクロLED素子である例について説明したが、これに限定されず、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子又は量子ドットエレクトロルミネッセンス素子等であってもよい。
【0131】
また、上記各実施の形態等に係る通信装置の構成は、それぞれ単独で使用されてもよいし、組み合わせて使用されてもよい。
【0132】
また、上記各実施の形態等で示した通信装置の構成は一例であり、上記で説明した構成に限定されない。例えば、通信装置が備える各構成要素、又は、第1通信部及び第2通信部のそれぞれが有する各構成要素が同一の基板上に配置されていてもよい。図1B(第1通信部)を例に説明すると、例えば、通信制御部212、光モジュール213、伝送路214及びコネクタ215が同一の基板の同一主面に配置されていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本開示は、光通信によりデータを送受信する通信装置等に有用である。
【符号の説明】
【0134】
1、2、2a、100、200、300、400 通信装置
10A、111A、211 パッケージ基板(第2基板)
10B、111B パッケージ基板(第3基板)
13、13a、110A、110B、210、513 基板(第1基板)
20A、20B、23A、23B、112A、112B、212 通信制御部
30A、30B、35A、35B、113A、113B、213 光モジュール
31 基板
32、32b、32g、32r、32y 発光素子
33 受光素子
35a、35b 主面
40A、40B 光学部材
50 導波部材
51、53a コア
53 ポリマー導波路(導波部材)
53b クラッド
60 コネクタ
70、120 光ファイバ
114A、114B、214、414 伝送路
115A、115B プラガブルモジュール
215 コネクタ
411 インターポーザ(第2基板)
553a1 高屈折率材料の膜
553a2 コア層
553b1 下部クラッド層
553b2 上部クラッド層
560 フォトレジスト
570 マスク
W1、W2、W3、W4、W5、W6、W7、W8 波形
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8