(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141952
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】浴槽
(51)【国際特許分類】
A47K 3/00 20060101AFI20241003BHJP
D06F 35/00 20060101ALI20241003BHJP
A47K 3/022 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A47K3/00 Z
D06F35/00 Z
A47K3/022
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053854
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】藤山 晴司
【テーマコード(参考)】
2D005
3B168
【Fターム(参考)】
2D005FA05
3B168AA12
3B168AC12
3B168AE01
3B168AE02
3B168AE04
3B168AE07
3B168BA42
3B168BA84
3B168JM02
3B168JM03
(57)【要約】
【課題】風呂場及び洗濯機の配置スペースを削減し、且つ、風呂及び洗濯用の湯水を効率よく利用する。
【解決手段】本発明の浴槽Yは、湯水を溜める内部空間11を備える浴槽本体部1と、内部空間11内に備えられ、鉛直方向に沿う軸を中心とする周方向において無端状に延びている無端状部材2と、無端状部材2の各部を周方向に移動させる動力を、無端状部材2に付与する動力付与装置3と、を備え、内部空間11において無端状部材2の内側領域111と外側領域112とが連通している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を溜める内部空間を備える浴槽本体部と、
前記内部空間内に備えられ、鉛直方向に沿う軸を中心とする周方向において無端状に延びている無端状部材と、
前記無端状部材の各部を前記周方向に移動させる動力を、前記無端状部材に付与する動力付与装置と、を備え、
前記内部空間において前記無端状部材の内側領域と外側領域とが連通している、浴槽。
【請求項2】
前記内部空間内に配置され、前記軸を中心に回転する回転ドラムを備え、
前記回転ドラムは、前記無端状部材としての側胴部を有する、請求項1に記載の浴槽。
【請求項3】
前記無端状部材は、前記周方向に連続する帯状体からなる、請求項1に記載の浴槽。
【請求項4】
前記帯状体は、前記周方向に並ぶ複数の断片部分を有し、前記周方向において隣り合う前記断片部分同士を、回動可能に連結させて構成されている、請求項3に記載の浴槽。
【請求項5】
前記帯状体は、前記浴槽本体部の側面部に沿って配置されている、請求項3に記載の浴槽。
【請求項6】
前記無端状部材が、耐熱性の樹脂材料からなる、請求項1に記載の浴槽。
【請求項7】
前記無端状部材が、金属材料からなり、
前記無端状部材の内側の表面を覆うカバーが、前記浴槽本体部に対して取り外し可能に設けられている、請求項1に記載の浴槽。
【請求項8】
前記浴槽本体部の上端開口を閉じるための蓋部が、設けられており、
前記蓋部は、透明又は半透明である、請求項1に記載の浴槽。
【請求項9】
前記内部空間に気泡入りの湯水を吐出する吐出装置が、設けられている、請求項1に記載の浴槽。
【請求項10】
前記動力付与装置を制御する制御装置をさらに備え、
前記浴槽が配置された風呂場内に設けられた照明の使用状況に対して設定された第1条件が成立した場合に、前記制御装置は、前記動力の付与を停止するように前記動力付与装置を制御する、請求項1に記載の浴槽。
【請求項11】
前記内部空間における人の存在を検出する第1センサを備え、
前記第1センサの検出結果に対して設定された第2条件が成立した場合に、前記制御装置は、前記動力の付与を停止するように前記動力付与装置を制御する、請求項10に記載の浴槽。
【請求項12】
前記風呂場内に設けられたシャワーから湯水が吐出されていることを検出する第2センサを備え、
前記第2センサの検出結果に対して設定された第3条件が成立した場合に、前記制御装置は、前記動力の付与を停止するように前記動力付与装置を制御する、請求項11に記載の浴槽。
【請求項13】
前記無端状部材の内側の表面を覆うカバーと、
前記カバーが前記無端状部材を覆っていることを検出する第3センサと、を備え、
前記第3センサの検出結果に対して設定された第4条件が成立した場合に、前記制御装置は、前記動力の付与を停止するように前記動力付与装置を制御する、請求項12に記載の浴槽。
【請求項14】
前記浴槽本体部の底面部に作用する重量を計測する第4センサを備え、
前記第4センサの計測結果に対して設定された第5条件が成立した場合に、前記制御装置は、前記動力の付与を停止するように前記動力付与装置を制御する、請求項13に記載の浴槽。
【請求項15】
前記第1条件乃至第5条件のうちの何れかが成立した場合に、前記制御装置は、前記動力の付与を停止するように前記動力付与装置を制御する、請求項14に記載の浴槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽に係り、特に、衣類等を洗濯する機能を有する浴槽に関する。
【背景技術】
【0002】
住居において、浴槽及び洗濯機は、生活を便利にするために、一般的に利用されている。また、洗濯機を利用する際に、使用する水を節約するために浴槽の残り湯を使用する場合がある。その場合、浴槽の残り湯を洗濯機へ送水するために、送水ホースが利用されることがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された送水ポンプ、送水ホース、浴槽、及び洗濯機によれば、洗濯機に外付けされた送水ポンプ及び送水ホースによって、浴槽の残り湯を洗濯機に送水することができる。このような構成を有することで、特許文献1に記載の送水ポンプ、送水ホース、浴槽、及び洗濯機では、浴槽の残り湯を洗濯機において再利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された送水ポンプ、送水ホース、浴槽、及び洗濯機では、浴槽及び洗濯機に対して、専用の送水ポンプ及び送水ホースを接続する手間が必要であった。また、特許文献1では、洗濯機と浴槽とが別々の機器であり、その結果、風呂場及び洗濯機の配置スペースが広くなってしまっていた。そのため、衣類等を洗濯する機能を有する浴槽が求められている。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、以下に示す課題を解決することを目的とする。
具体的には、本発明は、風呂場及び洗濯機の配置スペースを削減し、且つ、風呂及び洗濯用の湯水を効率よく利用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を達成するために、本発明の浴槽は、湯水を溜める内部空間を備える浴槽本体部と、内部空間内に備えられ、鉛直方向に沿う軸を中心とする周方向において無端状に延びている無端状部材と、無端状部材の各部を周方向に移動させる動力を、無端状部材に付与する動力付与装置と、を備え、内部空間において無端状部材の内側領域と外側領域とが連通している、ことにより解決される。
【0008】
本発明の浴槽では、浴槽本体部の内部空間内において、無端状部材の内側領域と外側領域とを連通させて隔てている無端状部材が、動力付与装置によって、鉛直方向の軸を中心に無端状部材の各部を周方向に移動(回転)可能な状態で配置されている。
【0009】
これにより、本発明の浴槽は、入浴時には、湯船として利用することができ、また、入浴時以外の期間には、洗濯機として利用することができる。
つまり、本発明では、浴槽本体部の内部空間内において、内側領域と外側領域とを連通させて隔てている無端状部材の各部が周方向に移動可能であることにより、洗濯機の機能を備えた浴槽が提供される。この結果、風呂場及び洗濯機の配置スペースを削減し、且つ、風呂及び洗濯用の湯水を効率よく利用することができる。
【0010】
また、本発明の浴槽では、内部空間内に配置され、軸を中心に回転する回転ドラムを備え、回転ドラムは、無端状部材としての側胴部を有するとよい。
上記の構成では、動力付与装置が、浴槽本体部の内部空間内に配置された回転ドラムを、回転ドラムの内部に衣類等を投入した状態で回転させることで、回転ドラムの内部にある衣類等を、洗濯することができる。
【0011】
また、本発明の浴槽では、無端状部材は、周方向に連続する帯状体からなるとよい。
上記の構成では、動力付与装置は、内部空間内に配置された帯状体の各部を、周方向に移動させる。この結果、帯状体の各部が周方向へ移動することで、無端状部材の内側に水の旋回流を効率よく発生させて、帯状体の内部にある衣類等を、洗濯することができる。
【0012】
また、本発明の浴槽では、帯状体は、周方向に並ぶ複数の断片部分を有し、周方向において隣り合う断片部分同士を、回動可能に連結させて構成されているとよい。
上記の構成では、周方向において隣り合う帯状体の断片部分が、回動可能に連結されているため、帯状体の断片部分が移動する周方向の経路に合わせて、断片部分同士の連結の形状が自在に変形することができる。これにより、帯状体の各部(各断片部分)が周方向にスムーズに移動することができる。
【0013】
また、本発明の浴槽では、帯状体は、浴槽本体部の側面部に沿って配置されているとよい。
上記の構成では、帯状体は、浴槽本体部の形状に合わせた形状で配置されている。この結果、無端状部材の内側領域(帯状体の内側の空間)を、より広く確保することができる。
【0014】
また、本発明の浴槽では、無端状部材が、耐熱性の樹脂材料からなるとよい。
上記の構成では、浴槽が入浴に利用される際には、浴槽の利用者に、耐熱性の樹脂材料からなる無端状部材からの熱を伝わりにくくすることができる。これにより、浴槽の利用者は、浴槽の熱さを感じにくくなるため、快適に浴槽を利用することができる。
【0015】
また、本発明の浴槽では、無端状部材が、金属材料からなり、無端状部材の内側の表面を覆うカバーが、浴槽本体部に対して取り外し可能に設けられているとよい。
上記の構成では、浴槽が入浴に利用される際には、カバーによって無端状部材の内側の表面を覆うことで、浴槽の利用者に、金属材料からなる無端状部材からの熱を伝わりにくくすることができる。
【0016】
また、本発明の浴槽では、浴槽本体部の上端開口を閉じるための蓋部が、設けられており、蓋部は、透明又は半透明であるとよい。
上記の構成では、浴槽を洗濯機として利用する際には、蓋部によって浴槽本体部の上端開口を閉じることで、洗濯を適切に行うことができる。また、蓋部が透明又は半透明であるため、洗濯中に浴槽本体部の内部空間を確認することができる。
【0017】
また、本発明の浴槽では、内部空間に気泡入りの湯水を吐出する吐出装置が、設けられているとよい。
上記の構成では、本発明の浴槽が入浴用に利用される際には、気泡入りの湯水を吐出する吐出装置を利用することができる。また、本発明の浴槽が洗濯機として利用される際には、吐出装置から吐出される気泡入りの湯水を用いて、洗濯の効果を向上させることができる。
【0018】
また、本発明の浴槽では、動力付与装置を制御する制御装置をさらに備え、浴槽が配置された風呂場内に設けられた照明の使用状況に対して設定された第1条件が成立した場合に、制御装置は、動力の付与を停止するように動力付与装置を制御するとよい。
上記の構成では、風呂場内において、入浴時に利用される照明が点灯している時に、制御装置が動力の付与を停止するように動力付与装置を制御するため、浴槽が入浴用に利用される不具合を改善することができる。
【0019】
また、本発明の浴槽では、内部空間における人の存在を検出する第1センサを備え、第1センサの検出結果に対して設定された第2条件が成立した場合に、制御装置は、動力の付与を停止するように動力付与装置を制御するとよい。
上記の構成では、風呂場内において、入浴時に利用される浴槽内に人が居る時に、制御装置が動力の付与を停止するように動力付与装置を制御するため、浴槽が入浴用に利用される不具合を改善することができる。
【0020】
また、本発明の浴槽では、風呂場内に設けられたシャワーから湯水が吐出されていることを検出する第2センサを備え、第2センサの検出結果に対して設定された第3条件が成立した場合に、制御装置は、動力の付与を停止するように動力付与装置を制御するとよい。
上記の構成では、風呂場内において、入浴時に利用されるシャワーから湯水が吐出されている時に、制御装置が動力の付与を停止するように動力付与装置を制御するため、浴槽が入浴用に利用される不具合を改善することができる。
【0021】
また、本発明の浴槽では、無端状部材の内側の表面を覆うカバーと、カバーが無端状部材を覆っていることを検出する第3センサと、を備え、第3センサの検出結果に対して設定された第4条件が成立した場合に、制御装置は、動力の付与を停止するように動力付与装置を制御するとよい。
上記の構成では、風呂場内において、入浴時に利用されるカバーが使用されている時に、制御装置が動力の付与を停止するように動力付与装置を制御するため、浴槽が入浴用に利用される不具合を改善することができる。
【0022】
また、本発明の浴槽では、浴槽本体部の底面部に作用する重量を計測する第4センサを備え、第4センサの計測結果に対して設定された第5条件が成立した場合に、制御装置は、動力の付与を停止するように動力付与装置を制御するとよい。
上記の構成では、風呂場内において、浴槽本体部の内部空間内にある物体の重量が所定の重量より重い場合(例えば、衣類等の重量より重い場合)に、制御装置が動力の付与を停止するように動力付与装置を制御するため、浴槽が入浴用に利用される不具合を改善することができる。
【0023】
また、本発明の浴槽では、第1条件乃至第5条件のうちの何れかが成立した場合に、制御装置は、動力の付与を停止するように動力付与装置を制御するとよい。
上記の構成では、第1条件乃至第5条件のうちの何れか1以上の条件が成立した場合に、制御装置が動力の付与を停止するように動力付与装置を制御するため、浴槽が入浴用に利用される不具合を改善することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の浴槽によれば、風呂場及び洗濯機の配置スペースを削減し、且つ、風呂及び洗濯用の湯水を効率よく利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】本発明の第1実施形態に係る浴槽及び付属機器の斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る浴槽本体部の上面図である。
【
図4】本発明に係る浴槽の制御装置による制御処理フローである。
【
図5】比較例に係る浴槽及び洗濯機の上面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る浴槽及び付属機器の斜視図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る浴槽本体部の上面図である。
【
図8】本発明のその他の実施形態に係る浴槽の斜視図である。
【
図9】本発明のその他の実施形態に係る浴槽の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の各実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
なお、各図では、内部に隠れて外部から確認することができない構造を、破線にて表している。
また、各図では、説明を分かり易くするために各部材を省略し、簡略化、及び模式化して図示しており、図中に示す各部材の寸法及び部材間の間隔等についても、実際のものとは異なっている場合がある。
また、以降に説明する各部材の位置、向き及び姿勢等は、特に断る場合を除き、各部材の使用されている状態にあるときの位置、向き及び姿勢等であることとする。
【0027】
本発明は、住居の風呂場(以下、風呂場H)に設けられた浴槽(以下、浴槽Y)に関する。本発明の一つの実施形態に係る浴槽Yが利用される風呂場Hには、
図1に示すように、浴槽Yの他に、シャワーS、照明L、及び各種センサが設けられている。
風呂場H内に設けられた浴槽Y、シャワーS、及び照明Lの使用状況は、各種センサによって検出又は計測され、制御装置6によって管理されている。シャワーSには、
図1に示すように、シャワーSから湯水が吐出されていることを検出する第2センサ62が設けられており、第2センサ62の検出結果は、制御装置6に対して送信される。
【0028】
<<本発明の第1実施形態について>>
本発明の第1実施形態(以下、第1実施形態という)に係る浴槽Yの構成について、
図2~4を参照しながら、説明する。
第1実施形態に係る浴槽Yは、
図2及び3に示すように、浴槽本体部1、回転ドラム21、蓋部4、カバー3、動力付与装置5、制御装置6、及び各種センサを備える。
【0029】
第1実施形態に係る浴槽本体部1は、
図2に示すように、湯水を溜めるための箱状の容器であり、内部空間11、上端開口12、側面部13、及び底面部14を備える。
浴槽本体部1は、一般的に用いられる公知の浴槽の形状、及びサイズである。第1実施形態では、浴槽本体部1の形状は、
図3に示すように、平面視で略正方形の場合を説明する。
浴槽本体部1の材質は、耐熱性の樹脂材料であるとよい。ただし、浴槽本体部1の材質は、特に限定されず、一般的な浴槽に用いられる公知の材質であればよい。
【0030】
内部空間11は、
図2に示すように、浴槽本体部1の内部に形成され、浴槽本体部1における4つの側面部13及び1つの底面部14に囲われた空間である。内部空間11には、人の存在を検出する第1センサ61が設けられており、第1センサ61の検出結果は、動力付与装置5を制御する制御装置6に対して送信される。
内部空間11は、
図2に示すように、鉛直方向の上側から浴槽Yを見た際に、環状の回転ドラム21の側胴部211(無端状部材2)によって、内部空間11の内側にある内側領域111と、内部空間11の外側にある外側領域112とに、隔てられている。また、内側領域111と、外側領域112とは、回転ドラム21に設けられた連通孔23を通じて、互いに連通している。
【0031】
上端開口12は、
図2及び3に示すように、浴槽本体部1において、上端にある開口している略正方形の空洞部分であり、浴槽本体部1の外部を内部空間11に接続している。
【0032】
側面部13は、
図2及び3に示すように、浴槽本体部1において、内部空間11を側方から囲む位置、つまり、鉛直方向から見た際に浴槽本体部1の内縁をなす四辺の位置に、1つずつ設けられた略矩形の板状の部分である。
【0033】
底面部14は、
図2及び3に示すように、浴槽本体部1において、内部空間11の下端に1つ設けられている略正方形の板状の部分である。底面部14には、浴槽本体部1の底面部14に作用する重量を計測する第4センサ64が設けられており、第4センサ64の検出結果は、制御装置6に対して送信される。また、底面部14には、排水口7が設けられており、洗濯及び入浴等に使用された内部空間11内の湯水を排出することができる。
【0034】
第1実施形態に係る回転ドラム21では、
図2に示すように、上端が開放された略円筒の形状をなしており、内部空間11内の略中央領域に配置され、内部空間11の中央付近に位置する鉛直に延びる軸(不図示)を中心に回転可能である。そして、回転ドラム21は、側胴部211と底壁部212とを備え、公知のドラム型洗濯機で利用される回転ドラムの構造に準じた構造である。
【0035】
回転ドラム21の側胴部211は、
図2に示すように、回転ドラム21の外周部分をなす円筒状の部分であり、本発明における無端状部材2を構成する。つまり、側胴部211は、鉛直方向に沿う軸を中心とする周方向(詳しくは、円周方向)において無端状に延びている。
【0036】
側胴部211の高さは、
図2に示すように、浴槽本体部1の側面部13の高さより少し低い高さであるとよい。側胴部211の厚みは、入浴及び洗濯時に、人又は衣類等を内部に保持することができる強度を確保しつつ、且つ、人が容易に跨ぎ内部空間11内へ入ることができる程度に適宜決定される。
底壁部212は、
図2及び3に示すように、浴槽本体部1において、下端に1つ設けられている略円形の板状の部分である。底壁部212の強度は、入浴及び洗濯時に、湯水、人、及び衣類等の重量に耐えることができる強度で設計される。
【0037】
回転ドラム21は、
図3に示すように、内部空間11において回転ドラム21の内側領域111と外側領域112とを連通させている連通孔23を有する。また、底壁部212には、大きな連通孔23が設けられてもよく、洗濯及び入浴等に使用された湯水を外側領域112へ排出することができる。
【0038】
回転ドラム21の材質は、耐熱性を有する樹脂材料、又は金属材料であるとよい。耐熱性を有する樹脂材料により回転ドラム21が構成された場合には、入浴時において回転ドラム21に接する浴槽Yの利用者に、回転ドラム21からの熱を伝わりにくくすることができる。他方、金属材料により回転ドラム21が構成された場合には、洗濯時において、衣類等を内部に保持することができる強度を確保することができる。
【0039】
また、回転ドラム21が金属材料により構成された場合には、回転ドラム21の内側の表面を覆うカバー3が、
図2に示すように、浴槽本体部1に対して取り外し可能に設けられているとよい。カバー3には、耐熱性を有する樹脂材料を用いると、浴槽Yの利用者に、金属材料からなる無端状部材2からの熱を伝わりにくくすることができるためよい。カバー3には、可撓性を有するシートを用いてもよく、あるいは、外径が回転ドラム21の内径よりも幾分小さい底面を有する筒形体を用いてもよい。
また、回転ドラム21には、
図2に示すように、カバー3が回転ドラム21を覆っている状態を検出する第3センサ63が設けられており、第3センサ63の検出結果は、制御装置6に対して送信される。
【0040】
蓋部4は、
図2に示すように、浴槽本体部1の上端開口12に、上端開口12を閉じるために設けられている。蓋部4は、浴槽本体部1に対して、取り外し可能に分離されて、又は回動可能に設けられている。蓋部4は、浴槽本体部1の上端開口12と同じ略正方形の形状をなす、板状の部材である。
蓋部4の材質には、透明又は半透明の材質を用いると、外部から内部空間11を確認することができるためよい。また、蓋部4の材質には、透明又は半透明の耐熱性を有する樹脂材料が用いられると、なおよい。
【0041】
動力付与装置5は、
図2及び3に示すように、回転ドラム21の側胴部211(無端状部材2)の各部を周方向に移動させる動力を、回転ドラム21に付与する装置である。
具体的に説明すると、動力付与装置5は、回転ドラム21に接続された不図示の軸を中心にして回転ドラム21を回転させる装置であり、不図示のモータと、モータの回転を回転ドラム21に伝達するための機構とによって構成されている。モータの回転を回転ドラム21に伝達させる機構は、特に限定されないが、例えば、ギア輪列、プーリ、又はカムリンク機構等を利用してもよい。
【0042】
動力付与装置5は、回転ドラム21を回転させる回転数を調整可能に構成されており、正方向及び逆方向の両方向に回転させることができるとよい。また、動力付与装置5は、制御装置6によって動力の付与が制御され、所定の停止条件が成立した場合には、インタロックによって動力の付与が停止される。
【0043】
[第1実施形態に係る浴槽Yの動作及び使用方法について]
第1実施形態に係る浴槽Yを用いて、入浴及び洗濯を行う際の使用方法について、説明する。
浴槽Yを使用して入浴するために浴槽Yに湯水を溜める際には、先ず、浴槽Yの使用形態を入浴に設定する。
次に、カバー3で回転ドラム21の内側(内側領域111)の表面の略全体を覆う。
最後に、浴槽Yに湯水を溜めるための所定のボタンを押すことで、湯水を内部空間11内に溜める。浴槽Yによって、適量且つ適温の湯水が自動で浴槽Y内に溜められる。
【0044】
以上の手順により、入浴するために浴槽Yに湯水を溜めることができる。
【0045】
浴槽Yを使用して洗濯する際には、先ず、浴槽Yの使用形態を洗濯に設定する。この時、入浴時に使用した湯水の残り湯が内部空間11に溜められていてもよい。
次に、カバー3を回転ドラム21から取り外し、内部空間11に衣類等を投入する。
【0046】
最後に、蓋部4によって、浴槽本体部1の上端開口12を閉じ、洗濯を開始するために所定のボタンを押し、洗濯を開始する。洗濯を開始するための所定のボタンを押すことで、洗剤等が回転ドラム21に投入され、回転ドラム21が自動で適切に回転することで旋回流が発生し、回転ドラム21内の衣類等は洗濯される。
なお、入浴時に使用した湯水の残り湯が内部空間11に溜められていない場合には、洗濯を開始するための所定のボタン操作が行われた時点で、適量の湯水が内部空間11へ吐出される。また、洗剤の投入、及び回転ドラム21の回転等の構造には、公知の洗濯機の構造が利用される。また、洗濯中には、半透明又は透明の蓋部4が、浴槽本体部1の上端開口12を閉じているため、洗濯中の衣類等の状態を確認しながら、洗濯を適切に行うことができる。
【0047】
以上の手順により、洗濯を行うことができる。
【0048】
以上までに、入浴及び洗濯を行う際の浴槽Yの使用方法について説明したが、浴槽Yの使用方法は、これに限られず、浴槽Yは、衣類等に対して、濯ぎ、脱水、及び乾燥を行う機能を有していてもよい。浴槽Yが衣類等に対して濯ぎ、脱水、及び乾燥を行う際は、公知の洗濯機の技術を利用することができる。
また、浴槽Yが衣類等に対して、洗濯、濯ぎ、脱水、及び乾燥を終了した後、風呂場H内で、脱水及び乾燥がされた衣類等を、干すことができるようにしてもよい。
【0049】
[第1実施形態に係る制御装置の制御処理フローについて]
次に、第1実施形態に係る制御装置6に関する第1条件~第5条件、及び制御処理フローについて、
図4を参照しながら説明する。
【0050】
制御装置6は、
図4に示すように、停止条件としての第1条件~第5条件のうちの何れか1以上の条件が成立した場合に、動力の付与を停止するように動力付与装置5を制御することで、浴槽Yが入浴用に利用される不具合を改善する。
また、第1条件~第5条件は、照明Lの使用状況(詳しくは、照明L用の給電回路に設けられたスイッチのオン/オフ状態)、並びに第1センサ61、第2センサ62、第3センサ63、及び第4センサ64の検出結果に対して設定される。
以下に説明するように、制御装置6が動力の付与を停止する条件を複数設定することで、回転ドラム21が回転した状態で浴槽Yが入浴用に利用される不具合を回避することができる。
【0051】
第1条件は、浴槽Yが配置された風呂場H内に設けられた照明Lの使用状況に対して設定される。
具体的に説明すると、浴槽Yが配置された風呂場H内に設けられた照明Lが点灯されている場合に、第1条件は成立する。第1条件が成立している場合には、風呂場H内にて利用者が入浴している可能性が高いため、制御装置6は、
図4に示すように、回転ドラム21を回転させないように制御する。これにより、回転ドラム21が回転した状態で浴槽Yが入浴用に利用される不具合を回避することができる。
【0052】
第2条件は、浴槽Yの内部空間11における人の存在を検出する第1センサ61の検出結果に対して設定される。第1センサ61には、センサ付近における人の存在を感知する人感センサが用いられるとよい。
具体的に説明すると、内部空間11において人が存在していることを、第1センサ61が検出した場合に、第2条件は成立する。第2条件が成立している場合には、風呂場H内にて利用者が入浴している可能性が高いため、制御装置6は、
図4に示すように、回転ドラム21を回転させないように制御する。これにより、回転ドラム21が回転した状態で浴槽Yが入浴用に利用される不具合を回避することができる。
【0053】
第3条件は、風呂場H内に設けられたシャワーSから湯水が吐出されていることを検出する第2センサ62の検出結果に対して設定される。第2センサ62には、湯水の流れを検出するセンサ、例えば流量センサ又は水圧測定用のセンサ等が用いられるとよい。
具体的に説明すると、風呂場H内に設けられたシャワーSから湯水が吐出されていることを第2センサ62が検出した場合に、第3条件は成立する。第3条件が成立している場合には、風呂場H内にて利用者が入浴している可能性が高いため、制御装置6は、
図4に示すように、回転ドラム21を回転させないように制御する。これにより、回転ドラム21が回転した状態で浴槽Yが入浴用に利用される不具合を回避することができる。
【0054】
第4条件は、回転ドラム21の内側の表面を覆うカバー3が回転ドラム21を覆っていることを検出する第3センサ63の検出結果に対して設定される。第3センサ63には、カバー3の有無を検出するために回転ドラム21を撮影するカメラ、又はカバー3の有無による温度変化等を検出する温度センサ等が用いられるとよい。
具体的に説明すると、回転ドラム21の内側の表面を覆うカバー3が回転ドラム21を覆っていることを第3センサ63が検出した場合に、第4条件は成立する。第4条件が成立している場合には、風呂場H内にて利用者が入浴している可能性が高いため、制御装置6は、
図4に示すように、回転ドラム21を回転させないように制御する。これにより、回転ドラム21が回転した状態で浴槽Yが入浴用に利用される不具合を回避することができる。
【0055】
第5条件は、浴槽本体部1の底面部14に作用する重量を計測する第4センサ64の計測結果に対して設定される。第4センサ64には、物体の重量を測定する重量センサ等が用いられるとよい。
具体的に説明すると、浴槽本体部1の底面部14に作用する重量が所定の重量以上であることを第4センサ64が検出した場合に、第5条件は成立する。第5条件が成立している場合には、風呂場H内にて利用者が入浴している可能性が高いため、制御装置6は、
図4に示すように、回転ドラム21を回転させないように制御する。これにより、回転ドラム21が回転した状態で浴槽Yが入浴用に利用される不具合を回避することができる。
【0056】
第1実施形態に係る制御処理フローは、
図4に示す流れに従って進行する。なお、以下に説明する制御処理フローは、あくまでも一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、ステップの実施順序を入れ替えたりしてもよい。
【0057】
制御処理フローにおいて、制御装置6は、第1センサ61、第2センサ62、第3センサ63、及び第4センサ64と通信し、各種センサとの間でデータの送受信を行う。また、照明Lの給電回路に接続された制御装置6に、照明Lのオン/オフの信号が伝送されることにより、照明Lの使用状況が検出される。
制御装置6は、各種センサから受信したデータ、及び給電回路から伝送された信号に基づいて制御処理フローを実施し、各ステップを進める。
以下では、主として、制御装置6の処理について説明することとする。
【0058】
浴槽Yの利用者が浴槽Yを使用して衣類等を洗濯する際に、洗濯を開始するための所定のボタン操作が行われると、制御処理フローが開始される。制御装置6は、洗濯を開始するための所定のボタンが押されたことを受け付ける(S001)。
【0059】
その後、制御装置6が、動力付与装置5に対して、所定のボタンが押されたことを受け付けると、第1条件が成立しているか、制御装置6が判定する(S002)。第1条件が成立していた場合(S002:Yes)、制御装置6は、動力付与装置5に対して、動力の付与を停止するように制御する(S008)。第1条件が成立していなかった場合(S002:No)、制御装置6は、第2条件が成立しているかを判定する(S003)。
【0060】
第2条件が成立していた場合(S003:Yes)、制御装置6は、動力付与装置5に対して、動力の付与を停止するように制御する(S008)。第2条件が成立していなかった場合(S003:No)、制御装置6は、第3条件が成立しているかを判定する(S004)。
【0061】
第3条件が成立していた場合(S004:Yes)、制御装置6は、動力付与装置5に対して、動力の付与を停止するように制御する(S008)。第3条件が成立していなかった場合(S004:No)、制御装置6は、第4条件が成立しているかを判定する(S005)。
【0062】
第4条件が成立していた場合(S005:Yes)、制御装置6は、動力付与装置5に対して、動力の付与を停止するように制御する(S008)。第4条件が成立していなかった場合(S005:No)、制御装置6は、第5条件が成立しているかを判定する(S006)。
【0063】
第5条件が成立していた場合(S006:Yes)、制御装置6は、動力付与装置5に対して、動力の付与を停止するように制御する(S008)。第5条件が成立していなかった場合(S006:No)、制御装置6は、動力付与装置5に対して、動力の付与を実行する(S007)。
【0064】
上記に説明した一連のステップは、浴槽Yの利用期間中、より詳しくは、浴槽Yの内部空間11内における衣類等の洗濯が終わるまで、繰り返し実施される。そして、制御装置6が、動力付与装置5に対して動力の付与を実行して洗濯が終了した場合、又は、動力付与装置5による動力の付与を停止した場合、これに伴って、制御処理フローが終了する。
【0065】
[第1実施形態に係る浴槽の効果について]
第1実施形態に係る浴槽Yが用いられることで得られる効果について、
図1~3、及び5を参照しながら説明する。
【0066】
従来の住居において、洗濯機X1を利用する際に、
図5に示すように、使用する水を節約するために浴槽X2の残り湯を使用する場合がある。その場合、浴槽X2の残り湯を洗濯機X1へ送水するために、送水ホース8が利用される場合が考えられる。
【0067】
比較例に係る洗濯機X1及び浴槽X2によれば、
図5に示すように、洗濯機X1に外付けされた送水ポンプ及び送水ホース8によって、浴槽X2の残り湯を洗濯機X1に送水することができる。このような構成を有することで、比較例では、浴槽X2の残り湯を洗濯機X1において再利用することができる。
【0068】
しかし、比較例に係る洗濯機X1及び浴槽X2では、洗濯機X1及び浴槽X2に対して、専用の送水ポンプ及び送水ホース8を接続する手間が必要であった。また、比較例では、洗濯機X1と浴槽X2とが別々の機器であり、その結果、洗濯機X1及び浴槽X2の配置スペースが広くなっていた。
【0069】
これに対して、第1実施形態に係る浴槽Yは、
図2及び3に示すように、湯水を溜める内部空間11を備える浴槽本体部1と、内部空間11内に備えられ、鉛直方向に沿う軸を中心に回転する回転ドラム21と、回転ドラム21の側胴部211を周方向に移動させる動力を、無端状部材2に付与する動力付与装置5と、を備える。そして、内部空間11において回転ドラム21の内側領域111と外側領域112とが連通している。
これにより、第1実施形態に係る浴槽Yでは、比較例に比べて、洗濯機X1の配置スペースを削減し、且つ、浴槽用及び洗濯用の湯水を効率よく利用することができる。
【0070】
具体的に説明すると、第1実施形態に係る浴槽Yでは、
図2及び3に示すように、浴槽本体部1の内部空間11内において、回転ドラム21が、鉛直方向に沿って立てられた略円柱型の回転ドラム21の中心線を軸に回転可能な状態で配置されている。
【0071】
そして、浴槽Yが入浴に利用される際には、回転ドラム21の回転が停止するため、浴槽Yを、湯船として利用することができる。他方、浴槽Yが洗濯に利用される際には、動力付与装置5が回転ドラム21に対して動力を付与することで回転ドラム21が回転するために、内部空間11に溜められた湯水に旋回流が発生し、回転ドラム21内の衣類等を洗濯することができ、浴槽Yを洗濯機として利用することができる。
つまり、第1実施形態に係る浴槽Yでは、入浴時には、浴槽として利用することができ、また、入浴時以外の期間には、洗濯機として利用することができる。
【0072】
以上により、第1実施形態に係る浴槽Yによれば、
図1に示すように、洗濯機X1及び浴槽X2の両方の機器を配置する必要がなくなるため、住居内における有効に利用することができるスペースが増える。また、浴槽Yには、洗濯機としての機能が備えられているため、専用の送水ポンプ及び送水ホース8を接続する手間が必要なくなり、浴槽Yの残り湯を洗濯において直接再利用することができる。この結果、第1実施形態では、洗濯機の機能を備えた浴槽Yが提供され、洗濯機X1及び浴槽X2の配置スペースを削減し、且つ、風呂及び洗濯用の湯水を効率よく利用することができる。
【0073】
また、第1実施形態に係る浴槽Yでは、回転ドラム21が金属材料からなる。また、回転ドラム21の内側の表面を覆うためのカバー3が、耐熱性の樹脂材料からなり、
図2に示すように浴槽本体部1に対して取り外し可能に設けられている。
これにより、浴槽Yが入浴に利用される際には、耐熱性の樹脂材料からなるカバー3によって、回転ドラム21の内側の表面を覆うことができる。この結果、入浴中、浴槽Yの利用者には、金属材料からなる回転ドラム21からの熱が伝わりにくくなり、当該利用者は、快適に浴槽Yを利用することができる。
【0074】
また、第1実施形態に係る浴槽Yでは、蓋部4が、
図2に示すように、浴槽本体部1の上端開口12を閉じるために設けられており、透明又は半透明である。
これにより、浴槽Yが洗濯に利用される際には、蓋部4によって浴槽本体部1の上端開口12を閉じることで、回転ドラム21を用いた洗濯を適切に行うことができる。また、蓋部4が透明又は半透明であるため、洗濯実施中において、浴槽本体部1の上端開口12が閉じられている場合にも、浴槽本体部1の内部空間11を確認することができる。
さらに、蓋部4によって浴槽本体部1の上端開口12を閉じることで、内部空間11に溜められた湯水の熱の放出を抑えることができる。また、浴槽Yが洗濯に利用される際には、内部空間11に溜められた湯水が、浴槽本体部1の外部へ漏れることを防止することができる。
【0075】
また、第1実施形態に係る浴槽Yは、動力付与装置5を制御する制御装置6と、第1センサ61、第2センサ62、第3センサ63、及び第4センサ64の各種センサとを、備える。そして、制御装置6は、風呂場H内の使用状況を、各種センサから受信したデータ、及び照明Lへの給電回路から伝送された信号によって特定し、停止条件としての第1条件~第5条件のうちの何れか1以上の条件が成立した場合に、回転ドラム21への動力の付与を停止するように動力付与装置5を制御する。
これにより、制御装置6は、風呂場H内にて利用者が入浴している場合に、回転ドラム21が回転可能な状態で浴槽Yが入浴用に利用される不具合を改善する。
【0076】
<<本発明の第2実施形態について>>
本発明の第2実施形態(以下、第2実施形態という)に係る浴槽Y2の構成について、
図6及び7を参照しながら説明する。
【0077】
第2実施形態に係る浴槽Y2における基本的な構成は、第1実施形態に係る浴槽Yと略同様の構成である。一方で、第2実施形態に係る浴槽Y2では、
図6及び7に示すように、無端状部材2として、帯状体22が、第1実施形態に係る浴槽Yの回転ドラム21の代わりに用いられている。この帯状体22からなる無端状部材2は、浴槽本体部1の形状、特に内側面の形状と対応した形状をなしている。
【0078】
具体的に説明すると、第2実施形態では、第1実施形態と同様、浴槽本体部1の内部空間11が平面視で略矩形の空間である(
図7参照)。一方、第2実施形態に係る帯状体22は、
図6に示すように、周方向に連続する無端状部材2である。なお、帯状体22は、第1実施形態に係る回転ドラム21が有する底壁部212に相当する部分を有しない。
【0079】
帯状体22は、
図6に示すように履帯を模した構造であり、周方向に並ぶ複数の断片部分221を有し、周方向において隣り合う断片部分221同士を、互いに回動可能に連結させることで構成されている。断片部分221は、長尺状の鉛直方向に延びる金属製の板片である。帯状体22は、
図6及び7に示すように平面視で略矩形の形状をなしており、浴槽本体部1の内側面がなす矩形よりも幾分小さい。そして、帯状体22は、浴槽本体部1の内部空間11に収容され、詳しくは、
図6及び7に示すように浴槽本体部1の内側面に沿って内部空間11に配置されている。
【0080】
第2実施形態においても、帯状体22の内側の表面を覆うためのカバー3Bが、
図6に示すように、浴槽本体部1に対して取り外し可能に設けられているとよい。
カバー3Bには、可撓性を有するシートを用いてもよく、あるいは、平面サイズが帯状体22の平面サイズに比して幾分小さい環状の角筒体を用いてもよい。カバー3Bには、第1実施形態に係るカバー3と異なり、底面がない。
なお、カバー3Bの材質が、耐熱性を有する樹脂材料である場合には、入浴時に浴槽Y2の利用者に、金属材料からなる帯状体22からの熱が伝わりにくくなり、当該利用者は、快適に入浴することができる。
【0081】
第2実施形態において、動力付与装置5は、帯状体22に動力を付与し、内部空間11に配置された帯状体22の各部を周方向に移動させる。つまり、帯状体22の各部は、帯状体22の連続方向に沿って移動し、これにより、帯状体22の内側に水の旋回流を効率よく発生させることができ、この結果、帯状体22の内側にある衣類等を洗濯することができる。
【0082】
第2実施形態に係る浴槽Y2では、前述したように、周方向において隣り合う帯状体22の断片部分221が、互いに回動可能に連結されている。このため、帯状体22の断片部分221が移動する経路に合わせて、帯状体22各部の形状(詳しくは、隣り合う断片部分221同士がなす形状)を自在に変形させることができる。これにより、平面視で略矩形状の内部空間11において帯状体22の各部(各断片部分221)が周方向にスムーズに移動することができる。また、帯状体22各部の形状が自在に変えられるため、帯状体22は、浴槽本体部1の内壁面の形状に合わせて略矩形の形状をなすことができる。これにより、浴槽本体部1の内部空間11において、無端状部材2の内側領域111(帯状体22の内側の空間)を、より広く確保することができる。
【0083】
<<その他の実施形態について>>
以上までに、本発明の浴槽に関して、複数の具体的な実施形態を例に挙げて説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、又は改良され得る。また、本発明には、その等価物が含まれることは勿論である。
【0084】
上記の実施形態に係る浴槽Y、Y2では、給湯口から吐出される通常の湯水を浴槽本体部1の内部空間11に溜めるものであり、浴槽Y、Y2を洗濯に利用する際にも通常の湯水を利用することができる。一方、本発明の浴槽は、上記の構成に限定されるものではない。例えば、本発明の他の実施形態に係る浴槽Y3では、
図8及び9に示すように、内部空間11に気泡入りの湯水を吐出する吐出装置(以下、バブル噴出装置9)が、無端状部材2の周方向において等間隔に設けられていてもよい。つまり、入浴及び洗濯用に内部空間11に吐出される湯水は、気泡入りの湯水でもよい。なお、浴槽におけるバブル噴出装置9の設置台数は1台のみであってもよい。
【0085】
上記のように構成された浴槽Y3によれば、入浴用に利用される際には、バブル噴出装置9から勢いよく吐出される気泡入りの湯水を利用することで、利用者が快適に入浴することができる。他方、浴槽Y3が洗濯機として利用される際には、バブル噴出装置9から勢いよく吐出される気泡入りの湯水を用いて、衣類等を効果的に洗濯することができる。
なお、バブル噴出装置9は、気泡入りの湯水を生成して浴槽内に吐出するものとしての公知の装置、例えばジェットバス型の浴槽に用いられる装置を利用することができる。
【符号の説明】
【0086】
L 照明
S シャワー
X1 洗濯機
X2 浴槽
Y、Y2、Y3 浴槽
1 浴槽本体部
2 無端状部材
3 カバー
3B カバー
4 蓋部
5 動力付与装置
6 制御装置
7 排水口
8 送水ホース
9 バブル噴出装置
11 内部空間
12 上端開口
13 側面部
14 底面部
21 回転ドラム
22 帯状体
23 連通孔
61 第1センサ
62 第2センサ
63 第3センサ
64 第4センサ
111 内側領域
112 外側領域
211 側胴部
212 底壁部
221 断片部分