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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141963
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】電源制御装置および電源制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20241003BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241003BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20241003BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20241003BHJP
   B60R 16/03 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H02J1/00 309
H02J7/00 302C
H02J7/34 G
H02J9/06
H02J1/00 306K
B60R16/03 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053875
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 健
【テーマコード(参考)】
5G015
5G165
5G503
【Fターム(参考)】
5G015GB06
5G015JA47
5G015JA56
5G015KA12
5G165BB02
5G165BB08
5G165EA04
5G165GA04
5G165GA09
5G165JA04
5G165JA09
5G165LA01
5G503AA07
5G503BA02
5G503BB01
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA10
5G503DA05
5G503EA05
5G503EA08
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】第2系統に地絡が発生して退避走行が完了した後、次回起動される場合に、車両の走行に支障をきたさない電源制御装置および電源制御方法を提供する。
【解決手段】実施形態に係る電源制御装置は、コントローラを有する。コントローラは、第1電源の電力を第1負荷に供給する第1系統と第2電源の電力を第2負荷に供給する第2系統とを接続する接続装置を制御する。コントローラは、第1系統または第2系統の異常を検出すると、接続装置を遮断し、正常な系統によって電力を供給するフェイルセーフ制御を行い、異常な系統を示す異常情報を不揮発性メモリに記憶させる。コントローラは、次回の起動時に、不揮発性メモリに第2系統の異常を示す異常情報が記憶されていれば、接続装置をハーフオンして第2系統の異常を確認する第2系統確認処理を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源の電力を第1負荷に供給する第1系統と第2電源の電力を第2負荷に供給する第2系統とを接続する系統間ラインに設けられる接続装置を制御するコントローラを有する電源制御装置であって、
前記コントローラは、
前記第1系統または前記第2系統の異常を検出すると、前記接続装置を遮断し、
前記第1系統および前記第2系統のうち正常な系統によって電力を供給するフェイルセーフ制御を行い、
前記第1系統および前記第2系統のうち異常な系統を示す異常情報を不揮発性メモリに記憶させ、
次回の起動時に、前記不揮発性メモリに前記第2系統の異常を示す前記異常情報が記憶されていれば、前記接続装置を、前記接続装置に流れる電流を制限するハーフオン状態にして前記第2系統の異常を確認する第2系統確認処理を実行する
電源制御装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記第2系統確認処理によって前記第2系統の異常が解消されたと判定した場合、前記接続装置を導通して通常制御に移行する
請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記第2系統確認処理によって前記第2系統の異常が解消されていないと判定した場合、前記接続装置を遮断し、外部装置による車両の自動運転制御を禁止する
請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
次回の起動時に、前記不揮発性メモリに前記第1系統の異常を示す前記異常情報が記憶されていれば、前記第1系統の電圧に基づいて前記第1系統の異常を確認する第1系統確認処理を実行する
請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項5】
コントローラは、
前記第1系統確認処理において前記第1系統の電圧が正常値を示す第1閾値以上であれば、前記第1系統の異常が解消されたと判定し、前記接続装置を導通して通常制御に移行する
請求項4に記載の電源制御装置。
【請求項6】
コントローラは、
前記第1系統確認処理において前記第1系統の電圧が正常値を示す第1閾値未満であれば、前記第1系統の異常が解消されていないと判定し、前記第1系統の異常が断線か地絡かを判定する異常判定処理を実行する
請求項4に記載の電源制御装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記異常判定処理において前記接続装置をハーフオンして前記第2電源の電力を前記第1系統に供給し、前記第1系統の電圧が所定電圧以上であれば前記第1系統の断線と判定する
請求項6に記載の電源制御装置。
【請求項8】
前記コントローラは、
前記異常判定処理によって前記第1系統の断線と判定した場合、前記接続装置を導通して前記第2電源の電力を前記第1負荷に供給する
請求項7に記載の電源制御装置。
【請求項9】
前記コントローラは、
前記異常判定処理において前記接続装置をハーフオンして前記第2電源の電力を前記第1系統に供給し、前記第1系統の電圧が所定電圧未満であれば前記第1系統の地絡と判定する
請求項6に記載の電源制御装置。
【請求項10】
前記コントローラは、
前記異常判定処理によって前記第1系統の地絡と判定した場合、前記接続装置を遮断して前記第2電源の電力を前記第2負荷に供給する
請求項9に記載の電源制御装置。
【請求項11】
第1電源の電力を第1負荷に供給する第1系統と第2電源の電力を第2負荷に供給する第2系統とを接続する系統間ラインに設けられる接続装置を制御する電源制御装置のコントローラが、
前記第1系統または前記第2系統の異常を検出すると、前記接続装置を遮断し、
前記第1系統および前記第2系統のうち正常な系統によって電力を供給するフェイルセーフ制御を行い、
前記第1系統および前記第2系統のうち異常な系統を示す異常情報を不揮発性メモリに記憶させ、
次回の起動時に、前記不揮発性メモリに前記第2系統の異常を示す前記異常情報が記憶されていれば、前記接続装置を、前記接続装置に流れる電流を制限するハーフオン状態にして前記第2系統の異常を確認する第2系統確認処理を実行する
電源制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、電源制御装置および電源制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第1電源から負荷へ電力を供給する第1系統と、第2電源から負荷へ電力を供給する第2系統と、第1系統および第2系統を接続する系統間スイッチとを備える車載電源装置がある。
【0003】
車載電源装置は、第1系統および第2系統に地絡が発生していない通常時には、系統間スイッチを接続した状態に維持する。その後、車載電源装置は、車両の自動運転中に第2系統に地絡が発生すると、系統間スイッチを遮断し、第1電源から第1系統を介して供給する電力によって車両を退避走行させる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-80730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、車載電源装置は、退避走行が完了してIG(イグニッションスイッチ)がオフされた後、次回の起動時に通常時と同様に系統間スイッチを接続すると、車両の走行に支障をきたす場合がある。例えば、車載電源装置は、次回の起動時に第2系統の地絡が解消されていない場合、系統間スイッチを接続すると、第1電源から第2系統の地絡点に向けて電流が流れるため、第1電源の電力が急激に減少して車両の走行に支障をきたす。
【0006】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、第2系統に地絡が発生して退避走行が完了した後、次回起動される場合に、車両の走行に支障をきたさない電源制御装置および電源制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る電源制御装置は、コントローラを有する。前記コントローラは、第1電源の電力を第1負荷に供給する第1系統と第2電源の電力を第2負荷に供給する第2系統とを接続する系統間ラインに設けられる接続装置を制御する。前記コントローラは、前記第1系統または前記第2系統の異常を検出すると、前記接続装置を遮断し、前記第1系統および前記第2系統のうち正常な系統によって電力を供給するフェイルセーフ制御を行い、前記第1系統および前記第2系統のうち異常な系統を示す異常情報を不揮発性メモリに記憶させる。前記コントローラは、次回の起動時に、前記不揮発性メモリに前記第2系統の異常を示す前記異常情報が記憶されていれば、前記接続装置を、前記接続装置に流れる電流を制限するハーフオン状態にして前記第2系統の異常を確認する第2系統確認処理を実行する。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様に係る電源制御装置は、第2系統に地絡が発生して退避走行が完了した後、次回起動される場合に、車両の走行に支障をきたさないという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る電源制御装置の構成および動作の説明図である。
図2図2は、実施形態に係る電源制御装置の構成および動作の説明図である。
図3図3は、実施形態に係る電源制御装置の構成および動作の説明図である。
図4図4は、実施形態に係る電源制御装置の構成および動作の説明図である。
図5図5は、実施形態に係るコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態に係るコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、実施形態に係るコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、実施形態に係るコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、実施形態に係るコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、電源制御装置および電源制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。以下では、実施形態に係る電源制御装置が搭載される車両が電気自動車またはハイブリッド自動車である場合について説明する。
【0011】
なお、実施形態に係る電源制御装置が搭載される車両は、内燃機関によって走行するエンジン自動車であってもよい。実施形態に係る電源制御装置は、自動運転機能を備える車両に搭載されて負荷へ電力を供給する装置である。
【0012】
[1.電源制御装置の構成]
図1図4を参照して、実施形態に係る電源制御装置1の構成および動作について説明する。図1図4は、実施形態に係る電源制御装置1の構成および動作の説明図である。図1に示すように、実施形態に係る電源制御装置1は、第1電源10と、第1負荷101と、一般負荷102と、第2負荷103と、外部装置100とに接続される。
【0013】
電源制御装置1は、第1系統110と、第2系統120とを備える。第1系統110は、第1電源10の電力を第1負荷101および一般負荷102に供給する電源系統である。第2系統120は、後述する第2電源20の電力を第2負荷103に供給する電源系統である。
【0014】
第1負荷101は、自動運転用の負荷を含む。第1負荷101は、例えば、自動運転中に動作するステアリングモータ、電動ブレーキ装置、および車載カメラ等を含む。一般負荷102は、ディスプレイ、エアコン、オーディオ、ビデオ、および各種ライト等を含む。
【0015】
第2負荷103は、第1負荷101が備える自動運転用の機能の一部を備える。第2負荷103は、例えば、ステアリングモータ、電動ブレーキ装置、およびレーダ等のFOP(Fail Operation、退避走行制御)に最低限必要な装置を含む。第1負荷101、一般負荷102、および第2負荷103は、電源制御装置1から供給される電力によって動作する。
【0016】
外部装置100は、第1負荷101および第2負荷103を動作させることによって車両を自動運転制御する装置である。外部装置100は、車両の自動運転中に第1系統110で地絡などの電源異常が発生した場合には、第2負荷103によってFOPを実施できる。また、外部装置100は、第2系統120で地絡などの電源異常が発生した場合には、第1負荷101によってFOPを実施できる。
【0017】
第1電源10は、DC/DCコンバータ(以下、「DC/DC11」と記載する)と、鉛バッテリ(以下、「PbB12」と記載する)とを含む。なお、第1電源10の電池は、PbB12以外の任意の2次電池であってもよい。
【0018】
DC/DC11は、発電機と、PbB12よりも電圧が高い高圧バッテリとに接続される。DC/DC11は、発電機および高圧バッテリの電圧を降圧して第1系統110に出力する。発電機は、走行する車両の運動エネルギーを電気に変換して発電するオルタネータである。高圧バッテリは、電気自動車やハイブリッド自動車に搭載される車両駆動用のバッテリである。
【0019】
第1電源10は、エンジン自動車に搭載される場合、DC/DC11の代わりにオルタネータ(発電機)が設けられる。DC/DC11は、PbB12の充電、第1負荷101および一般負荷102への電力供給、第2負荷103への電力供給、および後述する第2電源20の充電を行う。
【0020】
電源制御装置1は、第2電源20と、系統間スイッチ41と、電池用スイッチ42と、コントローラ3と、第1電圧センサ51と、第2電圧センサ52とを備える。第2電源20は、第1電源10による電力供給ができなくなった場合のバックアップ用電源である。第2電源20は、リチウムイオンバッテリ(以下、「LiB21」と記載する)を備える。第2電源20の電池は、LiB21以外の任意の2次電池であってもよい。
【0021】
系統間スイッチ41は、第1系統110と第2系統120とを接続する系統間ライン130に設けられる。系統間スイッチ41は、第1系統110と第2系統120とを接続および遮断可能な接続装置の一例である。
【0022】
本実施形態では、系統間スイッチ41によって第1系統110と第2系統120とを電気的に接続することを、系統間スイッチ41を導通する、または、系統間スイッチ41をオンすると称する。
【0023】
また、本実施形態では、系統間スイッチ41によって第1系統110と第2系統120との電気的な接続を切断することを、系統間スイッチ41を遮断する、または、系統間スイッチ41をオフすると称する。
【0024】
なお、系統間スイッチ41は、DC/DCコンバータであってもよい。この場合、DC/DCコンバータは、コントローラ3によって制御される。DC/DCコンバータは、動作を開始することによって、第1系統110と第2系統120とを電気的に接続し、動作を停止することによって、第1系統110と第2系統120との電気的な接続を切断する。
【0025】
電池用スイッチ42は、第2電源20を第2系統120に接続するスイッチである。本実施形態では、電池用スイッチ42によって第2電源20と第2系統120とを電気的に接続することを、電池用スイッチ42を導通する、または、電池用スイッチ42をオンすると称する。
【0026】
また、本実施形態では、電池用スイッチ42によって第2電源20と第2系統120との電気的な接続を切断することを、電池用スイッチ42を遮断する、または、電池用スイッチ42をオフすると称する。
【0027】
第1電圧センサ51は、第1系統110に設けられる。第1電圧センサ51は、第1系統110の電圧を検出し、検出結果をコントローラ3に出力する。第2電圧センサ52は、第2系統120に設けられる。第2電圧センサ52は、第2系統120の電圧を検出し、検出結果をコントローラ3に出力する。
【0028】
コントローラ3は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。なお、コントローラ3は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0029】
さらに、コントローラ3は、不揮発性メモリ31を備える。不揮発性メモリ31は、第1系統110または第2系統120の後述する異常情報32を記憶する。なお、不揮発性メモリ31は、コントローラ3とは別体に設けられてもよい。
【0030】
コントローラ3は、CPUがROMに記憶されたプログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することにより電源制御装置1の動作を制御する。コントローラ3は、系統間スイッチ41および電池用スイッチ42を制御する。
【0031】
また、コントローラ3は、第2電源20から状態監視ライン22を介して取得する第2電源20の充電残量を示す情報を取得する。第2電源20の充電残量を示す情報は、例えば、LiB21のSOC(State Of Charge)である。
【0032】
LiB21は、SOCが100%のときが、充電残量が最大の状態である。LiB21は、SOCが0%のときが、充電残量がない状態である。コントローラ3は、第2電源20の充電残量を示す情報として、例えば、LiB21のSOCを取得する。コントローラ3は、LiB21のSOCに基づいて、第2電源20の充電残量を監視する。
【0033】
また、コントローラ3は、第1系統110または第2系統120に異常が発生しても、正常な方の系統から供給される電力によって動作できるように、第1系統110および第2系統120と電気的に接続される。
【0034】
コントローラ3と第1系統110とを接続する給電ラインには、アノードが第1系統110に接続され、カソードがコントローラ3に接続されるダイオード61が設けられる。コントローラ3と第2系統120とを接続する給電ラインには、アノードが第2系統120に接続され、カソードがコントローラ3に接続されるダイオード62が設けられる。
【0035】
また、コントローラ3は、第1電圧センサ51および第2電圧センサ52から入力される検出結果に基づいて、第1系統110または第2系統120の異常を検出する。第1系統110の異常は、第1系統110の地絡および第1系統110の断線を含む。第2系統120の異常は、第2系統120の地絡を含む。コントローラ3は、第1系統110または第2系統120の異常を検出した場合、その旨を外部装置100に通知する。
【0036】
具体的には、コントローラ3は、第1系統110または第2系統120の異常を検出した場合、自動運転が不可能な状態である旨を示す自動運転禁止信号を外部装置100に出力する。また、コントローラ3は、第1系統110または第2系統120の異常を検出していない場合、自動運転が可能な状態である旨を示す自動運転許可信号を外部装置100に出力する。
【0037】
[2.電源制御装置の通常時動作]
コントローラ3は、第1系統110および第2系統120に異常が発生していない通常時には、図1に示すように系統間スイッチ41および電池用スイッチ42を制御する。具体的には、コントローラ3は、電池用スイッチ42を遮断し、系統間スイッチ41を導通して、第1電源10から第1負荷101、一般負荷102、および第2負荷103に電力を供給する。コントローラ3は、第1系統110および第2系統120の異常が発生していない通常時には、外部装置100に自動運転許可信号を出力する。
【0038】
[3.電源制御装置の電源異常発生時動作]
次に、図2図4を参照して、電源制御装置1の電源異常発生時動作について説明する。コントローラ3は、第1系統110または第2系統120の異常に関するパラメータと閾値とを比較して電源異常の発生を検出する。
【0039】
ここでは、第1系統110の異常に関するパラメータが第1系統110の電圧であり、第2系統120の異常に関するパラメータが第2系統120の電圧である場合について説明する。以下では、第1電圧センサ51によって検出される第1系統110の電圧を第1系統電圧V1と称する。また、第2電圧センサ52によって検出される第2系統120の電圧を第2系統電圧V2と称する。
【0040】
なお、第1系統110の異常に関するパラメータは、第1系統110を流れる電流または第2系統120を流れる電流であってもよい。この場合、電源制御装置1は、第1系統110を流れる電流を検出する電流センサと、第2系統120を流れる電流を検出する電流センサとを備える。そして、コントローラ3は、第1系統110を流れる電流、または、第2系統120を流れる電流が過電流閾値を超えると、地絡の発生を検出する。
【0041】
図2に示すように、電源制御装置1では、例えば、第1系統110で地絡200が発生した場合、または、第2系統120で地絡201が発生した場合、地絡点に向けて過電流が流れる。このため、第1系統電圧V1および第2系統電圧V2は、地絡閾値以下になる。
【0042】
コントローラ3は、例えば、第2系統電圧V2が地絡閾値以下になった場合に、第1系統110または第2系統120に地絡200または地絡201が発生したと仮判定する。その後、コントローラ3は、外部装置100に自動運転禁止信号を出力する。
【0043】
そして、コントローラ3は、地絡200または地絡201が発生したと仮判定すると、系統間スイッチ41をオフにし、電池用スイッチ42をオンにする。これにより、第1系統110と第2系統120との接続が切断されるので、第1電源10から第1系統110へ電力が供給され、第2電源20から第2系統120へ電力が供給される。以下、仮判定の結果に基づく系統間スイッチ41の遮断をプレ遮断とも称する。
【0044】
なお、コントローラ3は、第1系統電圧V1および第2系統電圧V2の少なくともいずれか一方が地絡閾値以下になった場合に、第1系統110または第2系統120に地絡が発生したと仮判定することもできる。
【0045】
なお、この仮判定はコンパレータを有するハード回路で行ってもよい。その場合、コンパレータは第2系統電圧V2と地絡閾値とを比較する。コンパレータは、検出電圧が地絡閾値以下になると、仮判定を示す失陥検出信号を出力することによって、系統間スイッチ41をオフにし、電池用スイッチ42をオンにする。コントローラ3は、第1系統110または第2系統120に地絡が発生したと仮判定した後、地絡の本判定を行う。
【0046】
コントローラ3は、プレ遮断後、第1系統電圧V1が所定期間以上継続して地絡閾値以下であり、かつ第2系統電圧V2が所定期間以上継続して地絡閾値より大きい正常閾値以上になるまで復帰した場合、第2系統120は正常であって第1系統110に地絡200が発生したと本判定する。ここでの所定期間は、例えば、100msである。なお、所定期間は、100msに限定されるものではない。また、正常閾値は、地絡閾値よりも高い値である。
【0047】
コントローラ3は、第1系統110に地絡200が発生したと本判定した場合、図3に示すように、第2電源20から第2負荷103に電力を供給するフェイルセーフ制御を行い、その旨を外部装置100に通知する。これにより、外部装置100は、第2電源20から供給される電力によって第2負荷103を動作させ、車両を安全な場所まで退避走行させて停車させることができる。なお、フェイルセーフ制御には、仮判定による系統間スイッチ41の遮断、電池用スイッチ42の導通、および本判定時の外部装置100への通知も含まれてよい。
【0048】
また、コントローラ3は、プレ遮断後、第1系統電圧V1が所定期間以上継続して正常閾値以上になるまで復帰し、かつ第2系統電圧V2が所定期間以上継続して地絡閾値以下である場合に、第1系統110は正常であって第2系統120に地絡201が発生したと本判定する。
【0049】
コントローラ3は、第2系統120に地絡201が発生したと本判定した場合、図4に示すように、電池用スイッチ42をオフにして、第1電源10から第1負荷101および一般負荷102に電力を供給するフェイルセーフ制御を行う。そして、コントローラ3は、その旨を外部装置100に通知する。これにより、外部装置100は、第1電源10から供給される電力によって第1負荷101を動作させ、車両を安全な場所まで退避走行させて停車させることができる。
【0050】
このように、コントローラ3は、第1系統110または第2系統120の異常を検出すると、系統間スイッチ41を遮断する。そして、コントローラ3は、第1系統110および第2系統120のうち正常な系統によって電力を供給するFOPを行う。
【0051】
また、コントローラ3は、プレ遮断後、第1系統電圧V1および第2系統電圧V2がともに所定期間以上継続して正常閾値以上になるまで復帰した場合、一過性の電圧低下であり地絡200,201の発生はないと判定する。すなわち、コントローラ3は、第1系統110および第2系統120のどちらも正常であると本判定する。
【0052】
この場合、コントローラ3は、図2に示すプレ遮断の状態から電池用スイッチ42をオフにし、系統間スイッチ41をオンにして、図1の通常時動作の状態に復帰させる。これにより、コントローラ3は、第2電源20の蓄電量が減少することを抑制できる。
【0053】
しかしながら、電源制御装置1は、退避走行が完了してIG(イグニッションスイッチ)がオフされた後、次回の起動時に通常時と同様に系統間スイッチ41を接続すると、車両の走行に支障をきたすおそれがある。
【0054】
例えば、電源制御装置1は、次回の起動時に第2系統120の地絡201が解消されていない場合、系統間スイッチ41を接続すると、第1電源10の電力が急激に減少して車両の走行に支障をきたす。
【0055】
そこで、コントローラ3は、第1系統110または第2系統120の異常を検出してフェイルセーフ制御を行う場合、第1系統110および第2系統120のうち異常な系統を示す異常情報32を不揮発性メモリ31に記憶させる。
【0056】
そして、コントローラ3は、次回の起動時に、不揮発性メモリ31に第2系統120の異常を示す異常情報32が記憶されていれば、系統間スイッチ41をハーフオンして第2系統120の異常を確認する第2系統確認処理を実行する。なお、ハーフオンとは、能動領域の増幅動作を行っている状態で、スイッチング素子(ここでは、系統間スイッチ41)に流れる電流を制限したオン状態(ハーフオン状態)を意味する。
【0057】
コントローラ3は、例えば、系統間スイッチ41がnチャネルのFET(Field Effect Transistor)の場合、FETのゲートに印可する電圧を0Vからリニアに増大せることによって、FETをスローオンさせる。なお、コントローラ3は、FETをオンさせるときにFETのゲートに印可する電圧の半分以下の電圧をFETのゲートに印可することによって、系統間スイッチ41をハーフオンさせてもよい。
【0058】
また、コントローラ3は、系統間スイッチ41がオンのときに系統間スイッチ41を流れる電流の半分以下の電流を流すことができれば、任意の方法によって系統間スイッチ41をハーフオンするように構成されてもよい。例えば、コントローラ3は、系統間スイッチ41に一定周波数のパルス列を印可することで、短周期でオンとオフを繰り返させる。これにより、系統間スイッチ41は平均してハーフオン状態となり、系統間スイッチ41を流れる平均電流は微小なものとなる。
【0059】
このように、コントローラ3は、起動時に不揮発性メモリ31に第2系統120の異常情報32が記憶されていれば、系統間スイッチ41をハーフオンして第2系統120の異常を確認する。
【0060】
また、コントローラ3は、系統間スイッチ41に代わる接続装置としてDCDCDC/DCコンバータが設けられる場合、通常制御の出力電圧範囲(例えば10V~20V)より低い電圧(例えば1V)に出力制限することで接続装置のハーフオンを実現できる。
【0061】
これにより、第2系統120の異常が解消していない場合でも、第1電源10の電力低減を抑えることができる。すなわち、コントローラ3が系統間スイッチ41をハーフオンすることで、第1電源10から第2系統120に電流が流れる。このとき、第2系統120の地絡201が解消していない場合であっても、系統間スイッチ41がハーフオン状態であることから、第1電源10から第2系統120に流れる電流が抑制される。したがって、電源制御装置1によれば、第2系統120に地絡が発生して退避走行が完了した後、次回起動される場合に、車両の走行に支障をきたすことがない。以下、かかる電源制御装置1のコントローラ3が実行する処理について具体的に説明する。
【0062】
[4.コントローラが実行する処理]
次に、図5図9を参照して、コントローラ3が実行する処理について説明する。図5図9は、実施形態に係るコントローラ3が実行する処理の一例を示すフローチャートである。電源制御装置1は、車両のIGがオンされていない、つまり、IGがオフの期間では、系統間スイッチ41および電池用スイッチ42が遮断状態になっている。
【0063】
[4-1.メイン処理]
コントローラ3は、車両のIGがオンされると、図5に示すメイン処理を開始する。具体的には、図5に示すように、コントローラ3は、IGがオンされると、まず、起動時処理を実行する(ステップS101)。起動時処理の具体例については、図6を参照して後述する。
【0064】
続いて、コントローラ3は、第1系統110または第2系統120の異常を検出したか否かを判定する(ステップS102)。コントローラ3は、第1系統110または第2系統120の異常を検出していないと判定した場合(ステップS102,No)、処理をステップS110へ移す。
【0065】
また、コントローラ3は、第1系統110または第2系統120の異常を検出したと仮判定した場合(ステップS102,Yes)、系統間スイッチ41を遮断し、電池用スイッチ42を導通する(ステップS103)。これにより、電源制御装置1は、図2に示すプレ遮断の状態になる。
【0066】
続いて、コントローラ3は、第1系統110の異常か否かを判定する(ステップS104)。コントローラ3は、第1系統110の異常と本判定した場合(ステップS104,Yes)、第1系統110の異常を示す異常情報32を不揮発性メモリ31に記憶させ(ステップS105)、処理をステップS110へ移す。これにより、電源制御装置1は、図3に示す状態になり、第2電源20の電力を、第2系統120を介して第2負荷103に供給できる。
【0067】
また、コントローラ3は、第1系統110の異常でないと判定した場合(ステップS104,No)、第2系統120の異常か否かを判定する(ステップS106)。コントローラ3は、第2系統120の異常と本判定した場合(ステップS106,Yes)、電池用スイッチ42を遮断する(ステップS107)。そして、コントローラ3は、第2系統120の異常を示す異常情報32を不揮発性メモリ31に記憶させ(ステップS108)、処理をステップS110へ移す。これにより、電源制御装置1は、図4に示す状態になり、第1電源10の電力を、第1系統110を介して、第1負荷101に供給できる。
【0068】
また、コントローラ3は、第2系統120の異常でないと本判定した場合(ステップS106,No)、つまり、第1系統110も第2系統120も異常でないと本判定すると、系統間スイッチ41を導通し、電池用スイッチ42を遮断する(ステップS109)。これにより、電源制御装置1は、図1に示す通常時の状態に復帰する。
【0069】
その後、コントローラ3は、処理をステップS110へ移す。ステップS110において、コントローラ3は、IGがオフされたか否かを判定する。コントローラ3は、IGがオフされていないと判定した場合(ステップS110,No)、処理をステップS102へ移す。また、コントローラ3は、IGがオフされたと判定した場合(ステップS110,Yes)、メイン処理を終了する。
【0070】
[4-2.起動時処理]
次に、図6を参照して、起動時処理(図5に示すステップS101)について説明する。図6に示すように、コントローラ3は、起動時処理を開始すると、まず、不揮発性メモリ31に第2系統120の異常情報32があるか否かを判定する(ステップS201)。
【0071】
コントローラ3は、不揮発性メモリ31に第2系統120の異常情報32が記憶されていれば、第2系統120の異常情報32があると判定し(ステップS201,Yes)、系統間スイッチ41をハーフオンする(ステップS202)。
【0072】
続いて、コントローラ3は、第2系統120の異常を確認する第2系統確認処理を実行し(ステップS203)、起動時処理を終了する。第2系統確認処理の具体例については、図7を参照して後述する。
【0073】
また、コントローラ3は、不揮発性メモリ31に第2系統120の異常情報32が記憶されていなければ、第2系統120の異常情報32がないと判定する。そして、コントローラ3は、第2系統120の異常情報32がないと判定した場合(ステップS201,No)、不揮発性メモリ31に第1系統110の異常情報32があるか否かを判定する(ステップS204)。
【0074】
コントローラ3は、不揮発性メモリ31に第1系統110の異常情報32が記憶されていれば、第1系統110の異常情報32があると判定する。そして、コントローラ3は、第1系統110の異常情報32があると判定した場合(ステップS204,Yes)、第1系統電圧V1に基づいて第1系統110の異常を確認する第1系統確認処理を実行し(ステップS205)、起動時処理を終了する。第1系統確認処理の具体例については、図8を参照して後述する。これにより、電源制御装置1は、第1系統110の異常が解消されているかを容易に確認できる。
【0075】
また、コントローラ3は、不揮発性メモリ31に第1系統110の異常情報32が記憶されていなければ、第1系統110の異常情報32がないと判定する。そして、コントローラ3は、第1系統の異常情報32がないと判定した場合(ステップS204,No)、系統間スイッチ41を導通状態にし、電池用スイッチ42を遮断状態して(ステップS206)、起動処理を終了する。これにより、電源制御装置1は、図1に示す通常時の状態になる。
【0076】
[4-3.第2系統確認処理]
次に、図7を参照して、第2系統確認処理(図6に示すステップS203)について説明する。図7に示すように、コントローラ3は、第2系統確認処理を開始すると、第2系統120の異常が解消されたか否かを判定する(ステップS301)。
【0077】
系統間スイッチ41がハーフオンされたことによって、第1電源10から第2系統120に微小電流が供給される。コントローラ3は、この微小電流により、第2系統電圧V2が増大すれば、第2系統120の異常が解消されたと判定する。コントローラ3は、第2系統120の異常が解消されたと判定した場合(ステップS301,Yes)、不揮発性メモリ31に記憶されている第2系統120の異常情報32を消去し(ステップS302)、系統間スイッチ41を導通し(ステップS303)、電池用スイッチ42を遮断状態にして(ステップS304)、通常制御(図1参照)に移行する。そして、コントローラ3は、第2系統確認処理を終了する。これにより、電源制御装置1は、FOP後の再起動時に、問題なく通常制御に移行できる。
【0078】
また、コントローラ3は、系統間スイッチ41がハーフオンされても第2系統電圧V2が増大しなければ、第2系統120の異常が解消されていないと判定する。コントローラ3は、第2系統120の異常が解消されていないと判定した場合(ステップS301,No)、外部装置100による自動運転を禁止する(ステップS305)。
【0079】
具体的には、コントローラ3は、自動運転が不可能な状態である旨を示す自動運転禁止信号を外部装置100に出力することによって、外部装置100による自動運転を禁止する。なお、コントローラ3は、第2系統120の異常が解消されていない場合、不揮発性メモリ31に記憶されている第2系統120の異常情報32を消去しない。これにより、更に次回の起動時にも第2系統確認処理を行うことができる。
【0080】
その後、コントローラ3は、系統間スイッチ41を遮断し(ステップS306)、電池用スイッチ42を遮断状態にして(ステップS304)、第2系統確認処理を終了する。
【0081】
これにより、電源制御装置1は、FOP後の再起動時に、第2系統120の異常が解消されていないため、電力供給の冗長性を担保できない自動運転は禁止するが、第1電源10を使用した通常走行は可能にできる。
【0082】
[4-4.第1系統確認処理]
次に、図8を参照して、第1系統確認処理(図6に示すステップS205)について説明する。図8に示すように、コントローラ3は、第1系統確認処理を開始すると、第1系統電圧V1が正常値を示す第1閾値以上か否かを判定する(ステップS401)。
【0083】
コントローラ3は、第1系統電圧V1が第1閾値以上であると判定した場合(ステップS401,Yes)、第1系統110の異常が解消された、つまり、第1系統異常解消済みと判定する(ステップS402)。
【0084】
そして、コントローラ3は、不揮発性メモリ31に記憶されている第1系統110の異常情報32を消去し(ステップS403)、系統間スイッチ41を導通し(ステップS404)、電池用スイッチ42を遮断状態にして(ステップS405)、通常制御(図1参照)に移行し、第1系統確認処理を終了する。これにより、電源制御装置1は、FOP後の再起動時に、問題なく通常制御に移行できる。
【0085】
また、コントローラ3は、第1系統電圧V1が第1閾値以上でないと判定した場合(ステップS401,No)、第1系統異常未解消と判定する(ステップS406)。つまり、コントローラ3は、第1系統電圧V1が第1閾値未満であると判定した場合、第1系統110の異常が解消されていないと判定する。
【0086】
そして、コントローラ3は、第1系統110の異常が断線か地絡201かを判定する異常判定処理を実行して(ステップS407)、第1系統確認処理を終了する。異常判定処理の具体例については、図9を参照して後述する。これにより、電源制御装置1は、第1系統110の異常の種類、つまり、第1系統110の断線か地絡200かに応じた制御を行うことができる。なお、コントローラ3は、第1系統110の異常が解消されていない場合、不揮発性メモリ31に記憶されている第1系統110の異常情報32を消去しない。これにより、更に次回の起動時にも第1系統確認処理を行うことができる。
【0087】
[4-5.異常判定処理]
次に、図9を参照して、異常判定処理(図8に示すステップS407)について説明する。図9に示すように、コントローラ3は、異常判定処理を開始すると、電池用スイッチ42をオンし(ステップS501)、系統間スイッチ41をハーフオンする(ステップS502)。これにより、第2電源20から第1系統110に微小電流が供給される。次いで、コントローラ3は、第1系統電圧V1が所定電圧以上であるか否かを判定する(ステップS503)。所定電圧は、例えば、0Vの電圧よりも高く、かつ地絡閾値の電圧以下の電圧である。
【0088】
コントローラ3は、第1系統電圧V1が所定電圧以上であると判定した場合(ステップS503,Yes)、第1系統110の断線と判定する(ステップS504)。そして、コントローラ3は、第1系統110の断線と判定した場合、系統間スイッチ41を導通し(ステップS505)、電池用スイッチ42を導通して(ステップS506)、第2電源20の電力を第1負荷101に供給し、異常判定処理を終了する。
【0089】
これにより、電源制御装置1は、系統間スイッチ41のハーフオンによって第2電源20の放電量を抑えつつ、第1系統110の断線を確実に検出できる。また、電源制御装置1は、第2電源20の限りある電力により、第1負荷101、一般負荷102、第2負荷103を使用して狭い範囲での車両移動を可能にできる。
【0090】
また、コントローラ3は、第1系統電圧V1が所定電圧以上でないと判定した場合(ステップS503,No)、第1系統110の地絡と判定する(ステップS507)。つまり、コントローラ3は、第1系統電圧V1が所定電圧未満と判定した場合、第1系統110の地絡200と判定する。
【0091】
そして、コントローラ3は、第1系統110の地絡と判定した場合、系統間スイッチ41を遮断状態にし(ステップS508)、電池用スイッチ42を導通して(ステップS506)、第2電源20の電力を第2負荷103に供給し、異常判定処理を終了する。
【0092】
これにより、電源制御装置1は、系統間スイッチ41のハーフオンによって第2電源20の放電量を抑えつつ、第1系統110の地絡201を確実に検出できる。また、電源制御装置1は、第2電源20の限りある電力により、第2負荷103を使用して狭い範囲での車両移動を可能にできる。
【0093】
[5.付記]
付記として、本発明の特徴を以下の通り示す。
(1)
第1電源の電力を第1負荷に供給する第1系統と第2電源の電力を第2負荷に供給する第2系統とを接続する系統間ラインに設けられる接続装置を制御するコントローラを有する電源制御装置であって、
前記コントローラは、
前記第1系統または前記第2系統の異常を検出すると、前記接続装置を遮断し、
前記第1系統および前記第2系統のうち正常な系統によって電力を供給するフェイルセーフ制御を行い、
前記第1系統および前記第2系統のうち異常な系統を示す異常情報を不揮発性メモリに記憶させ、
次回の起動時に、前記不揮発性メモリに前記第2系統の異常を示す前記異常情報が記憶されていれば、前記接続装置を、前記接続装置に流れる電流を制限するハーフオン状態にして前記第2系統の異常を確認する第2系統確認処理を実行する
電源制御装置。
(2)
前記コントローラは、
前記第2系統確認処理によって前記第2系統の異常が解消されたと判定した場合、前記接続装置を導通して通常制御に移行する
請求項(1)に記載の電源制御装置。
(3)
前記コントローラは、
前記第2系統確認処理によって前記第2系統の異常が解消されていないと判定した場合、前記接続装置を遮断し、外部装置による車両の自動運転制御を禁止する
(1)または(2)に記載の電源制御装置。
(4)
前記コントローラは、
次回の起動時に、前記不揮発性メモリに前記第1系統の異常を示す前記異常情報が記憶されていれば、前記第1系統の電圧に基づいて前記第1系統の異常を確認する第1系統確認処理を実行する
(1)から(3)のいずれか一つに記載の電源制御装置。
(5)
コントローラは、
前記第1系統確認処理において前記第1系統の電圧が正常値を示す第1閾値以上であれば、前記第1系統の異常が解消されたと判定し、前記接続装置を導通して通常制御に移行する
(4)に記載の電源制御装置。
(6)
コントローラは、
前記第1系統確認処理において前記第1系統の電圧が正常値を示す第1閾値未満であれば、前記第1系統の異常が解消されていないと判定し、前記第1系統の異常が断線か地絡かを判定する異常判定処理を実行する
(4)または(5)に記載の電源制御装置。
(7)
前記コントローラは、
前記異常判定処理において前記接続装置をハーフオンして前記第2電源の電力を前記第1系統に供給し、前記第1系統の電圧が所定電圧以上であれば前記第1系統の断線と判定する
(6)に記載の電源制御装置。
(8)
前記コントローラは、
前記異常判定処理によって前記第1系統の断線と判定した場合、前記接続装置を導通して前記第2電源の電力を前記第1負荷に供給する
(7)に記載の電源制御装置。
(9)
前記コントローラは、
前記異常判定処理において前記接続装置をハーフオンして前記第2電源の電力を前記第1系統に供給し、前記第1系統の電圧が所定電圧未満であれば前記第1系統の地絡と判定する
(6)から(8)のいずれか一つに記載の電源制御装置。
(10)
前記コントローラは、
前記異常判定処理によって前記第1系統の地絡と判定した場合、前記接続装置を遮断して前記第2電源の電力を前記第2負荷に供給する
(9)に記載の電源制御装置。
(11)
第1電源の電力を第1負荷に供給する第1系統と第2電源の電力を第2負荷に供給する第2系統とを接続する系統間ラインに設けられる接続装置を制御する電源制御装置のコントローラが、
前記第1系統または前記第2系統の異常を検出すると、前記接続装置を遮断し、
前記第1系統および前記第2系統のうち正常な系統によって電力を供給するフェイルセーフ制御を行い、
前記第1系統および前記第2系統のうち異常な系統を示す異常情報を不揮発性メモリに記憶させ、
次回の起動時に、前記不揮発性メモリに前記第2系統の異常を示す前記異常情報が記憶されていれば、前記接続装置を、前記接続装置に流れる電流を制限するハーフオン状態にして前記第2系統の異常を確認する第2系統確認処理を実行する
電源制御方法。
【0094】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 電源制御装置
3 コントローラ
10 第1電源
11 DC/DC
12 PbB
20 第2電源
21 LiB
22 状態監視ライン
31 不揮発性メモリ
32 異常情報
41 系統間スイッチ
42 電池用スイッチ
51 第1電圧センサ
52 第2電圧センサ
100 外部装置
101 第1負荷
102 一般負荷
103 第2負荷
110 第1系統
120 第2系統
130 系統間ライン
200 地絡
201 地絡
V1 第1系統電圧
V2 第2系統電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9