IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大王製紙株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-物品管理システム 図1
  • 特開-物品管理システム 図2
  • 特開-物品管理システム 図3
  • 特開-物品管理システム 図4
  • 特開-物品管理システム 図5
  • 特開-物品管理システム 図6
  • 特開-物品管理システム 図7
  • 特開-物品管理システム 図8
  • 特開-物品管理システム 図9
  • 特開-物品管理システム 図10
  • 特開-物品管理システム 図11
  • 特開-物品管理システム 図12
  • 特開-物品管理システム 図13
  • 特開-物品管理システム 図14
  • 特開-物品管理システム 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141966
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】物品管理システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B65G1/137 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053880
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 映登
(72)【発明者】
【氏名】大西 誠人
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522DD03
3F522DD23
3F522DD32
3F522GG23
3F522HH17
3F522HH22
3F522HH23
3F522HH37
3F522LL36
(57)【要約】
【課題】複数のRFIDリーダを併用する場合のタグ読取の作業効率を向上できる物品管理システムを提供する。
【解決手段】物品管理システム1は、管理装置20と、物品40に付加されるRFIDタグ30と、RFIDタグ30から情報を読み取る複数の携帯型RFIDリーダ10A、10Bと、を備える。管理装置20は、物品40に関する情報を含む棚卸指示ファイル23を複数の携帯型RFIDリーダ10A、10Bに送信し、棚卸指示ファイル23に基づくRFIDタグ30の読取作業の進捗状況の情報(実績ファイル17A、17B)を複数の携帯型RFIDリーダ10A、10Bから受信し、実績ファイル17A、17Bに基づき棚卸指示ファイル23を更新して、更新済の棚卸指示ファイル23を複数の携帯型RFIDリーダ10A、10Bに送信する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理装置と、
管理対象物に付加されるRFIDタグと、
前記RFIDタグから情報を読み取る複数の携帯型RFIDリーダと、
を備え、
前記管理装置は、
前記管理対象物に関する情報を含む管理リストを前記複数の携帯型RFIDリーダに送信し、
前記管理リストに基づく前記RFIDタグの読取作業の進捗状況の情報を前記複数の携帯型RFIDリーダから受信し、
前記進捗状況の情報に基づき前記管理リストを更新して、更新済管理リストを前記複数の携帯型RFIDリーダに送信する、
物品管理システム。
【請求項2】
前記管理装置はクラウドサーバである、
請求項1に記載の物品管理システム。
【請求項3】
前記複数の携帯型RFIDリーダは、それぞれの利用者が送信操作を入力したときに、前記進捗状況の情報を前記管理装置に送信する、
請求項1に記載の物品管理システム。
【請求項4】
前記管理装置は、前記更新済管理リストを所定のタイミングで前記複数の携帯型RFIDリーダに送信する、
請求項1に記載の物品管理システム。
【請求項5】
前記管理装置は、前記管理リストに基づき、前記読取作業の完了通知を前記複数の携帯型RFIDリーダに送信する、
請求項1に記載の物品管理システム。
【請求項6】
前記管理リストは、複数の管理エリアを含む作業領域内に配置されている前記管理対象物に関する情報を含み、
前記複数の携帯型RFIDリーダは、表示部を有し、前記管理リストに基づく前記RFIDタグの読取作業の前記複数の管理エリアごとの前記進捗状況の情報を前記表示部に視覚的に表示する、
請求項1に記載の物品管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
管理対象の物品にRFIDタグを付加し、RFIDリーダによってRFIDタグから読み取った情報に基づき物品を管理するシステムが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-149490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1などに記載される従来の物品管理システムにおいて、複数のRFIDリーダを併用して棚卸作業などの物品管理を行う場合、例えば複数のRFIDリーダのそれぞれが同一の物品からタグ読取を行うことが生じ得る。このため、従来の物品管理システムでは複数のRFIDリーダを併用する場合のタグ読取の作業効率に関して改善の余地がある。
【0005】
本開示は、複数のRFIDリーダを併用する場合のタグ読取の作業効率を向上できる物品管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の一観点に係る物品管理システムは、管理装置と、管理対象物に付加されるRFIDタグと、前記RFIDタグから情報を読み取る複数の携帯型RFIDリーダと、を備え、前記管理装置は、前記管理対象物に関する情報を含む管理リストを前記複数の携帯型RFIDリーダに送信し、前記管理リストに基づく前記RFIDタグの読取作業の進捗状況の情報を前記複数の携帯型RFIDリーダから受信し、前記進捗状況の情報に基づき前記管理リストを更新して、更新済管理リストを前記複数の携帯型RFIDリーダに送信する。
【0007】
この態様によれば、複数の携帯型RFIDリーダの間で、管理装置により適宜更新されて供給される同一の管理リストに基づき、棚卸作業などのタグ読取作業の進捗状況を共有することが可能となる。これにより、例えば複数の携帯型RFIDリーダのそれぞれが同一の物品からタグ読取を行うような無駄な作業を抑制できるので、複数のRFIDリーダを併用する場合のタグ読取の作業効率を向上できる。
【0008】
本発明の実施形態の他の観点に係る物品管理システムでは、前記管理装置はクラウドサーバである構成でもよい。
【0009】
この態様によれば、単一の管理装置によって複数の作業領域の棚卸などの物品管理を一括で行うことが可能となる。これにより、作業拠点ごとに管理装置を設置する必要がなく、横展開をしやすいので、システムの拡張性や汎用性を向上できる。
【0010】
本発明の実施形態の他の観点に係る物品管理システムでは、前記複数の携帯型RFIDリーダは、それぞれの利用者が送信操作を入力したときに、前記進捗状況の情報を前記管理装置に送信する構成でもよい。
【0011】
この態様によれば、各携帯型RFIDリーダから管理装置への前記進捗状況の情報の送信タイミングを任意に調整できるので、各携帯型RFIDリーダの通信負荷を抑制できる。
【0012】
本発明の実施形態の他の観点に係る物品管理システムでは、前記管理装置は、前記更新済管理リストを所定のタイミングで前記複数の携帯型RFIDリーダに送信する構成でもよい。
【0013】
この態様によれば、管理装置から各携帯型RFIDリーダへの管理リストの送信タイミングを任意に調整できるので、各携帯型RFIDリーダの通信負荷を抑制できる。
【0014】
本発明の実施形態の他の観点に係る物品管理システムでは、前記管理装置は、前記管理リストに基づき、前記読取作業の完了通知を前記複数の携帯型RFIDリーダに送信する構成でもよい。
【0015】
この態様によれば、棚卸などのタグ読取作業に係る各携帯型RFIDリーダの各利用者に作業完了の旨を確実に報知できる。
【0016】
本発明の実施形態の他の観点に係る物品管理システムでは、前記管理リストは、複数の管理エリアを含む作業領域内に配置されている前記管理対象物に関する情報を含み、前記複数の携帯型RFIDリーダは、表示部を有し、前記管理リストに基づく前記RFIDタグの読取作業の前記複数の管理エリアごとの前記進捗状況の情報を前記表示部に視覚的に表示する構成でもよい。
【0017】
この態様によれば、携帯型RFIDリーダの利用者は、表示部の視覚的な表示を参照することによって、作業領域の各管理エリアごとのタグ読取作業の進捗状況を直感的に把握できる。また、タグ読取作業の進捗が遅い管理エリアを容易に把握できる。例えば利用者は自分のいる管理エリアの作業が完了している場合には、完了していない管理エリアに移動して作業を行うような判断を容易かつ確実にできる。これにより、作業領域全体のタグ読取作業を効率良く行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、複数のRFIDリーダを併用する場合のタグ読取の作業効率を向上できる物品管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態に係る物品管理システムの概略構成を示す模式図
図2】第1実施形態に係る物品管理システムの機能ブロック図
図3】携帯型RFIDリーダ及び管理装置のハードウェア構成図
図4】第1実施形態に係る物品管理システムによる棚卸管理制御のシーケンス図
図5】実績結合ファイルの一例を示す図
図6】棚卸情報画面の一例を示す図
図7】進捗状況画面の一例を示す図
図8】進捗状況画面の第1変形例を示す図
図9】進捗状況画面の第2変形例を示す図
図10】第2実施形態に係る物品管理システムの概略構成を示す模式図
図11】第2実施形態に係る物品管理システムの機能ブロック図
図12】第2実施形態に係る物品管理システムによる棚卸管理制御のシーケンス図
図13】第3実施形態に係る物品管理システムの概略構成を示す模式図
図14】第3実施形態に係る物品管理システムの機能ブロック図
図15】第3実施形態に係る物品管理システムによる棚卸管理制御のシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0021】
[第1実施形態]
図1図9を参照して第1実施形態を説明する。図1は、第1実施形態に係る物品管理システム1の概略構成を示す模式図である。
【0022】
物品管理システム1は、所定の作業領域の範囲内にあるRFID(Radio Frequency Identification)タグ30から、当該RFIDタグが付加されている物品40に関する情報を読み取り、物品40の在庫状況等を管理するためのシステムである。図1の例では、作業領域の一例として、複数の物品40が保管されている倉庫50が例示されている。また、倉庫50内の複数の物品40のそれぞれにはRFIDタグ30が付加されている。図1の例では、物品管理システム1は、倉庫50内の物品40の棚卸作業を行うために用いられる。
【0023】
なお、各RFIDタグ30に記録される情報には、例えば個々にユニークなID情報(例えばEPCやTIDなど)が設定されている。以下では、これらのタグごとに個々のユニークなID情報を「ユニークID」とも表記する場合がある。
【0024】
本実施形態では、棚卸作業の対象となる作業領域は複数の管理エリアに区分されている。図1の例では、複数の管理エリアとして、倉庫50内に複数の棚51~54が設置されている。各棚51~54には、RFIDタグ30が付加された少なくとも1つの物品40がそれぞれ保管されている。また、図1の例では、倉庫50内に2人の利用者P1、P2がいて、各自が携帯型RFIDリーダ10A、10Bを持ってタグ読取を行い棚卸作業を行っている。
【0025】
図1に示すように、物品管理システム1は、複数の携帯型RFIDリーダ10A、10Bと、管理装置20と、RFIDタグ30と、を備える。
【0026】
RFIDタグ30は、個々の物品40に付加されており、付加されている物品40に関する情報が記録されている。RFIDタグ30は、ICチップとICチップに電気的に接続されるアンテナとを備え、ICチップ内に情報を記録することができる。RFIDタグ30は、無線タグ、ICタグ、RF-IDタグ、RFタグと呼ばれることもある。
【0027】
なお、図1の例では、RFIDタグ30が付加される物品40として箱状の物体を例示しているが、管理対象物としての物品はこれに限られない。例えば医療現場で用いられる注射器や輸液バック、薬品容器などの医療用品や、工業用部品、電化製品、など箱状以外のさまざまな物品も含まれる。
【0028】
携帯型RFIDリーダ10A、10Bは、近距離通信の範囲内にあるRFIDタグ30から情報を読み取る。図1の例では、携帯型RFIDリーダ10A、10Bは、読取装置11A、11Bと、端末装置12A、12Bとを有する。
【0029】
読取装置11A、11Bは、RFIDタグ30から情報を読み取る装置である。図1の例では、読取装置11A、11Bは、棚卸作業を行う利用者P1、P2が携帯可能なハンディタイプであり、トリガ11A2、11B2の操作により読み取りを行うことができるガングリップタイプである。ガングリップタイプの場合、読取装置11A、11Bのグリップ11A1、11B1を把持している利用者P1、P2が物品40の周囲に接近してトリガ11A2、11B2を引くことによって、周囲のRFIDタグ30の情報を読み取ることができる。読取装置11A、11Bは、読み取った情報を端末装置12A、12Bに送信する。
【0030】
なお、RFIDタグ30と、読取装置11A、11Bとの間の通信は、通信距離を考慮すると短距離通信に適するHF帯を用いるのが好ましいが、タグのICチップの小型化に有利なUHF帯を用いてもよい。また、RFIDタグ30は、読取装置11A、11Bから放射された電波Wにより駆動するパッシブタグでもよいし、内部電源により駆動して通信するアクティブタグでもよい。
【0031】
端末装置12A、12Bは、RFIDタグ30からの情報読取や棚卸作業を制御する。端末装置12A、12Bは、読取装置11A、11BによるRFIDタグ30の読取結果に応じて倉庫50内のRFIDタグ30からの情報を取得する。図1の例では、端末装置12A、12Bは、棚卸作業を行う利用者P1、P2が携帯できるように、スマートフォンにインストールされるアプリケーションとして実装されている。端末装置12A、12Bは読取装置11A、11Bと有線または無線により通信可能に接続されている。
【0032】
図1の例では、棚卸作業を行う利用者P1、P2が携帯できるように、読取装置11A、11Bにはガングリップタイプが適用され、端末装置12A、12Bにはスマートフォンが適用されるが、この構成に限られない。例えば、読取装置11A、11Bは、ガングリップタイプ以外のハンディタイプを適用してもよいし、移動可能なワゴンなどに載置される据え置き型を適用することもできる。端末装置12A、12Bは、例えばタブレットなど、スマートフォン以外の携帯型の専用機でもよい。または、読取装置11A、11Bに端末装置12A、12Bの機能を内蔵して、一体的な携帯型RFIDリーダ10A、10Bとする構成としてもよい。
【0033】
管理装置20は、携帯型RFIDリーダ10A、10Bと各種情報の送受信を行って、棚卸作業の進捗を管理する。管理装置20は、棚卸対象の各物品40に関する情報を含む管理リスト(棚卸指示ファイル23)を複数の携帯型RFIDリーダ10A、10Bに送信する。また、管理装置20は、管理リストに基づくRFIDタグ30の読取作業の進捗状況の情報(実績ファイル17A、17B)を複数の携帯型RFIDリーダ10A、10Bから所定のタイミングで受信する。管理装置20は、受信した進捗状況の情報に基づき管理リストを更新して、更新済の管理リストを複数の携帯型RFIDリーダ10A、10Bに送信する。そして各携帯型RFIDリーダ10A、10Bは、管理装置20から受信する更新済の管理リストに基づき、最新の棚卸作業の進捗状況を各利用者P1、P2に提示することができる。
【0034】
本実施形態では、管理装置20はクラウドサーバであり、インターネットやイントラネットなどの任意のネットワーク回線Nを介して、各携帯型RFIDリーダ10A、10Bと無線通信によって通信可能に接続されている。この構成により、単一の管理装置20によって複数の作業領域(倉庫50など)の棚卸などの物品管理を一括で行うことが可能となる。これにより、作業拠点ごとに管理装置20を設置する必要がなく、横展開をしやすいので、システムの拡張性や汎用性を向上できる。
【0035】
図2は、第1実施形態に係る物品管理システム1の機能ブロック図である。上述の棚卸作業の管理制御に関する機能として、管理装置20は、棚卸指示部21と、実績管理部22と、棚卸指示ファイル23と、実績結合ファイル24と、を有する。また、携帯型RFIDリーダ10A、10Bは、共通の機能として、送受信部13と、読取制御部14と、表示制御部15と、棚卸指示ファイル16と、を有する。また、携帯型RFIDリーダ10A、10Bは、それぞれ個別に実績ファイル17Aと実績ファイル17Bとを有する。
【0036】
管理装置20の棚卸指示部21は、棚卸指示ファイル23を作成して各携帯型RFIDリーダ10A、10Bに供給する。また、棚卸指示部21は、実績結合ファイル24に基づき棚卸指示ファイル23を更新して、更新済の棚卸指示ファイル23を各携帯型RFIDリーダ10A、10Bに供給する。
【0037】
実績管理部22は、各携帯型RFIDリーダ10A、10Bから実績ファイル17A、17Bを受信して、受信した実績ファイル17A、17Bを統合して実績結合ファイル24を作成する。
【0038】
棚卸指示ファイル23は、棚卸作業に係る各種情報が記録されたデータベースである。棚卸指示ファイル23には、例えば、棚卸対象の物品40の種類、在庫数、保管されている管理エリア(例えば棚51~54)、各携帯型RFIDリーダ10A、10Bによる読取数、などの情報が記録されている。
【0039】
実績結合ファイル24は、各携帯型RFIDリーダ10A、10Bによる棚卸作業、すなわちRFIDタグ30の読取作業の実績に係る情報が纏めて記録されたデータベースである。実績結合ファイル24には、各携帯型RFIDリーダ10A、10BによりRFIDタグ30が読み取られた物品の種類、在庫数、読取数などの情報が記録されている。
【0040】
携帯型RFIDリーダ10A、10Bの送受信部13は、管理装置20から棚卸指示ファイル23を受信して自機に保存されている棚卸指示ファイル16を更新する。また、送受信部13は、管理装置20に自機の実績ファイル17A、17Bを送信する。
【0041】
読取制御部14は、自機によるRFIDタグ30の読取状況に応じて実績ファイル17A、17Bを更新する。
【0042】
表示制御部15は、棚卸指示ファイル16に基づき棚卸状況を表示する。本実施形態では、例えば端末装置12A、12Bの表示部60(図6参照)に棚卸作業の進捗状況に関する情報を表示する。また、表示制御部15は、読取制御部14から入力されるRFIDタグ30の読取状況の最新の情報に基づき、進捗状況に関する情報を更新して表示する。
【0043】
棚卸指示ファイル16は、棚卸作業に係る各種情報が記録されたデータベースである。棚卸指示ファイル16は、管理装置20から受信される棚卸指示ファイル23と同一のものであり、記録されている情報の内容も同一である。このため、本実施形態では各携帯型RFIDリーダ10A、10Bが有する棚卸指示ファイル16の内容も共通のものとなる。
【0044】
携帯型RFIDリーダ10Aの実績ファイル17Aは、携帯型RFIDリーダ10Aによる棚卸作業、すなわちRFIDタグ30の読取作業の実績に係る情報が記録されたデータベースである。実績ファイル17Aには、携帯型RFIDリーダ10AによりRFIDタグ30が読み取られた物品の種類、在庫数、読取数などの情報が記録されている。
【0045】
携帯型RFIDリーダ10Bの実績ファイル17Bは、携帯型RFIDリーダ10Bによる棚卸作業、すなわちRFIDタグ30の読取作業の実績に係る情報が記録されたデータベースである。実績ファイル17Bには、携帯型RFIDリーダ10BによりRFIDタグ30が読み取られた物品の種類、在庫数、読取数などの情報が記録されている。
【0046】
すなわち本実施形態では、各携帯型RFIDリーダ10A、10Bが有する実績ファイル17A、17Bは、各リーダごとの読取実績に応じて別の内容となる。
【0047】
なお、上述の棚卸指示ファイル16,23、実績結合ファイル24、実績ファイル17A,17Bなどの管理データにおいては、商品(物品40)に対応付けて、ユニークIDが設定されている。物品管理システム1は、このユニークIDを用いて、アイテム(物品40)単位ではなくユニークID(EPC)単位で商品を管理することができる。特に、ある1つの種別のアイテム(物品40)で、管理データ上で複数の在庫がある場合、複数のユニークIDが在庫として登録されている。
【0048】
ただし、内部処理的にはユニークID(EPC)で物品管理を行いつつも、各携帯型RFIDリーダの表示部60や棚卸情報画面61など(図6参照)の表示上はアイテム種別単位で個数表示を行う構成とするのが好ましい。これにより、正確な棚卸を実現できつつ、棚卸作業者への進捗状況提示の分かりやすさを向上できる。
【0049】
図3は、携帯型RFIDリーダ10A、10B及び管理装置20のハードウェア構成図である。図3に示すように、携帯型RFIDリーダ10A、10B及び管理装置20は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)101、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)102およびROM(Read Only Memory)103、入力デバイスであるキーボード及びマウス等の入力装置104、ディスプレイ等の出力装置105、ネットワークカード等のデータ送受信デバイスである通信モジュール106、補助記憶装置107、などを含むコンピュータシステムとして構成することができる。
【0050】
図2を参照して説明した携帯型RFIDリーダ10A、10B及び管理装置20の各機能は、CPU101、RAM102等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェア(物品管理プログラム)を読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで通信モジュール106、入力装置104、出力装置105を動作させるとともに、RAM102や補助記憶装置107におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。すなわち、本実施形態に係る物品管理プログラムをコンピュータ上で実行させることで、携帯型RFIDリーダ10A、10Bは、図2の送受信部13と、読取制御部14と、表示制御部15と、棚卸指示ファイル16と、実績ファイル17A、17Bとして機能し、管理装置20は、図2の棚卸指示部21と、実績管理部22と、棚卸指示ファイル23と、実績結合ファイル24として機能する。
【0051】
図4は、第1実施形態に係る物品管理システム1による棚卸管理制御のシーケンス図である。
【0052】
まず管理装置20では、棚卸指示部21が棚卸指示ファイル23を作成し(S101)、作成した棚卸指示ファイル23を各携帯型RFIDリーダ10A、10Bに送信する(S102)。
【0053】
各携帯型RFIDリーダ10A、10Bでは、送受信部13が自機内の棚卸指示ファイル16を管理装置20から受信した棚卸指示ファイル23に置き換える。そして、表示制御部15が、置き換えた棚卸指示ファイル16に基づいて端末装置12A、12Bの表示部60に棚卸作業の指示に係る棚卸情報画面61を表示する。利用者P1、P2は、棚卸情報画面61を参照して棚卸作業を開始する(S103)。
【0054】
各携帯型RFIDリーダ10A、10Bでは、読取制御部14が、利用者P1、P2によるタグ読取に応じて、自機内の実績ファイル17A、17Bをそれぞれ更新する(S104、S105)。
【0055】
携帯型RFIDリーダ10Aにて利用者P1により棚卸情報画面61上の送信ボタン61F(図6参照)が押下されて、送信操作が入力されると(S106)、携帯型RFIDリーダ10Aの送受信部13は、自機内の実績ファイル17Aを管理装置20に送信する(S107)。
【0056】
同様に、携帯型RFIDリーダ10Bにて利用者P2により棚卸情報画面61上の送信ボタン61Fが押下されて、送信操作が入力されると(S108)、携帯型RFIDリーダ10Bの送受信部13は、自機内の実績ファイル17Bを管理装置20に送信する(S109)。
【0057】
つまり本実施形態では、複数の携帯型RFIDリーダ10A、10Bは、それぞれの利用者P1、P2が送信操作を入力したときに、進捗状況の情報(実績ファイル17A、17B)を管理装置20に送信する。これにより、各携帯型RFIDリーダ10A、10Bから管理装置20への実績ファイル17A、17Bの送信タイミングを任意に調整できるので、各携帯型RFIDリーダ10A、10Bの通信負荷を抑制できる。
【0058】
管理装置20では、実績管理部22が、携帯型RFIDリーダ10Aから受信した実績ファイル17Aと、携帯型RFIDリーダ10Bから受信した実績ファイル17Bとを用いて実績結合ファイル24を作成する(S110)。
【0059】
図5は、実績結合ファイル24の一例を示す図である。図5に示すように、実績結合ファイル24は、各実績ファイル17A、17Bの内容を集約して作成される。図5では、実績ファイル17A、17B及び実績結合ファイル24の内容の一例として、商品名A~Gの7種類の棚卸対象の物品40が含まれる。また、各商品の個数は1個ずつとしている。
【0060】
図5の例では、実績ファイル17Aでは、商品名C、E、Gの3種類の物品40のタグ読取が完了しており、読取数が「1/1」と記録されている。一方、商品名A、B、D、Fの4種類の物品40についてはタグ読取が未了のため、読取数が「0/1」と記録されている。また、実績ファイル17Bでは、商品名A、D、Gの3種類の物品40のタグ読取が完了しており、読取数が「1/1」と記録されている。一方、商品名B、C、E、Fの4種類の物品40についてはタグ読取が未了のため読取数が「0/1」と記録されている。
【0061】
実績結合ファイル24では、実績ファイル17A、17Bでそれぞれタグ読取が完了している物品40群の和集合が、タグ読取が完了している物品40として記録される。図5の例では、商品名A、C、D、E、Gの5種類の物品40のタグ読取が携帯型RFIDリーダ10A、10Bの少なくとも一方で完了しており、読取数が「1/1」と記録されている。一方、商品名B、Fの2種類の物品40についてはタグ読取が携帯型RFIDリーダ10A、10Bの両方で未了のため、読取数が「0/1」と記録されている。
【0062】
ステップS110では、実績管理部22は、例えば、携帯型RFIDリーダ10Aから実績ファイル17Aを受信したとき、及び、携帯型RFIDリーダ10Bから実績ファイル17Bを受信したときに、実績結合ファイル24を逐次作成することができる。または、実績管理部22は、受信した各実績ファイル17A、17Bを一時的に保存しておき、所定のタイミングで保存されている各実績ファイル17A、17Bをすべて用いて、実績結合ファイル24を作成してもよい。
【0063】
図4に戻り、管理装置20では、棚卸指示部21が、ステップS110にて作成された実績結合ファイル24に基づき棚卸指示ファイル23を更新する(S111)。棚卸指示部21は、例えば実績結合ファイル24を参照して、新たにタグ読取が完了した物品40がある場合に、棚卸指示ファイル23に記録されている該当物品の棚卸残数を変更する。棚卸指示部21は、更新済の棚卸指示ファイル23を各携帯型RFIDリーダ10A、10Bに送信する(S112)。
【0064】
なお、管理装置20の棚卸指示部21は、ステップS112において、更新済管理リストを所定のタイミングで複数の携帯型RFIDリーダ10A、10Bに送信する。「所定のタイミング」とは、例えば所定周期や、棚卸指示ファイル23が更新されるタイミング、など任意のタイミングを設定できる。これにより、管理装置20から各携帯型RFIDリーダ10A、10Bへの棚卸指示ファイル23の送信タイミングを任意に調整できるので、各携帯型RFIDリーダ10A、10Bの通信負荷を抑制できる。
【0065】
各携帯型RFIDリーダ10A、10Bでは、送受信部13が自機内の棚卸指示ファイル16を管理装置20から受信した更新済の棚卸指示ファイル23に置き換える。そして、表示制御部15が、置き換えた棚卸指示ファイル16に基づいて端末装置12A、12Bの表示部60に表示されている棚卸情報画面61を更新する(S113)。利用者P1、P2は、更新された棚卸情報画面61を参照して棚卸作業に関する最新の情報を把握できる。
【0066】
管理装置20の棚卸指示部21は、棚卸指示ファイル23や実績結合ファイル24を参照して、棚卸作業の完了判定を行う(S114)。棚卸指示部21は、例えば棚卸指示ファイル23や実績結合ファイル24に記録されている棚卸対象のすべての物品40のタグ読取が完了している場合に、棚卸作業が完了しているものと判定できる。
【0067】
ステップS114にて棚卸作業が完了していないと判定された場合には、図4に点線の四角形Aで囲まれているステップS104~S113の処理が繰り返される。
【0068】
一方、棚卸指示部21は、ステップS114にて棚卸作業が完了したと判定した場合、棚卸完了通知を各携帯型RFIDリーダ10A、10Bに送信する(S115)。各携帯型RFIDリーダ10A、10Bでは、棚卸完了通知の受信に応じて、例えば棚卸情報画面61を更新して棚卸完了に関する情報を表示する。これにより、棚卸作業に係る各利用者P1、P2に棚卸完了の旨を確実に報知できる。
【0069】
図6は、棚卸情報画面61の一例を示す図である。上述のように本実施形態では端末装置12A、12Bの一例としてスマートフォンのアプリを例示している。このため、図6に示すように、端末装置12A、12Bはスマートフォンのタッチパネル60を、棚卸制御に関する情報を表示する表示部として利用したり、利用者P1、P2の操作入力を受け付ける操作部として利用できる。
【0070】
図6では、棚卸制御の際にスマートフォンのタッチパネル60に表示される、棚卸作業に係る情報を表示する棚卸情報画面61の一例が示されている。棚卸情報画面61は、棚卸情報表示部61Aと、読取タグ数表示部61Bと、棚卸進捗表示部61Cと、タグ情報表示部61Dと、ソートボタン61Eと、送信ボタン61Fと、進捗画面表示ボタン61Gとを有する。棚卸情報画面61の表示内容は、例えば読取制御部14からの制御指令に応じて、表示制御部15により制御される。第1実施形態では、図6の棚卸情報画面61を利用して、利用者P1、P2は棚卸作業を例えば次の手順で実施できる。
【0071】
(1)棚卸情報の表示
棚卸情報表示部61Aに現在端末に保存されている棚卸指示ファイル16の名称等が表示される。棚卸指示ファイル16は、例えばCSVファイルで保存されている。棚卸情報表示部61Aには、現在指示されている棚卸作業に関する棚卸指示ファイル16のCSVファイルのファイル名が表示される。また、タグ情報表示部61Dには、CSVファイルに登録されているタグ情報が表示される。タグ情報表示部61Dに表示されるタグ情報には、例えばタグに関連付けられる物品のアイテム名や、該当物品のJAN(Japanese Article Number)コード、個数などの情報が含まれる。
【0072】
読取タグ数表示部61Bには、読取装置11A、11Bにより読み取られたRFIDタグ30の個数が表示される。棚卸進捗表示部61Cには、タグ情報表示部61Dに表示されている商品のリストのうち、棚卸情報に記録されている物品の個数情報と、該当物品に関するRFIDタグ30の読み取り数とが一致した行の数が表示される。棚卸進捗表示部61Cには、該当物品数が「51」行分であり、そのうち一致済の行数は「2」行分と表示されている。
【0073】
(2)タグ情報の読み取り
利用者P1、P2が読取装置11A、11Bのトリガ11A2、11B2を引くと、周辺にあるRFIDタグ30の読み取りが行われる。このとき、読取結果が棚卸情報画面61に表示される。
【0074】
タグの読取数がCSVリストに登録されている指定の数に達した際には、例えばそのタグの行の色をグレーに変更するなど、他の行と区別可能に表示態様が変更される。図の例では、タグ情報表示部61Dに表示されている商品のリストのうち、上から2行目と3行目の商品が個数情報と同数読み取られたので、該当部分がグレー色に変更されている。
【0075】
また、タグ情報表示部61Dの2、3行目以外の他の行では、読み取り済の商品の個数が表示されている。読取タグ数表示部61Bには読取タグ数が「20」と表示され、棚卸進捗表示部61Cには、該当物品数「51」行分のうち一致済の行数が「2」行と表示されている。
【0076】
また、ソートボタン61Eを押すと、タグ情報表示部61Dに表示されているリストの表示順を適宜変更することができる。
【0077】
(3)実績ファイルの送信
送信ボタン61Fを押すことで、携帯型RFIDリーダ10A、10Bにそれぞれ保存されている実績ファイル17A、17Bが、管理装置20に送信される。
【0078】
(4)進捗状況の視覚的表示
進捗画面表示ボタン61Gを押すことで、作業領域50の各管理エリア51~54ごとの棚卸作業の進捗状況を視覚的に表示することができる。
【0079】
図7は、進捗状況画面62の一例を示す図である。本実施形態では、進捗画面表示ボタン61Gが押されると、タッチパネル60の表示内容が棚卸情報画面61から進捗状況画面62に遷移する。進捗状況画面62は、「作業領域50の各管理エリア51~54ごとの棚卸作業の進捗状況を視覚的に表示する」態様の一例である。
【0080】
図7に示すように、進捗状況画面62には、管理エリア51、52、53、54に対応する円グラフ62A、62B、62C、62Dが表示される。各円グラフ62A、62B、62C、62Dには、各管理エリア51、52、53、54における棚卸作業の進捗状況が「完了」と「未完了」の割合として視覚的に表示されている。
【0081】
利用者P1、P2は、進捗状況画面62の円グラフ62A、62B、62C、62Dを見ることによって、各管理エリア51~54ごとの棚卸作業の進捗状況を直感的に把握できる。また、利用者P1、P2は、進捗状況画面62を参照すれば、棚卸作業の進捗が遅い管理エリアを容易に把握できる。例えば自分のいる管理エリアの棚卸が完了している場合には、完了していない管理エリアに移動して作業を行うような判断を容易かつ確実にできる。これにより、作業領域50全体の棚卸作業を効率良く行うことができる。
【0082】
なお、進捗状況画面62は、「作業領域50の各管理エリア51~54ごとの棚卸作業の進捗状況を視覚的に表示する」ことができればよく、表示態様は図7の例に限られない。例えば棒グラフなど円グラフ以外のグラフ表示でもよいし、以下の図8図9に示すようなグラフ表示以外の他の表示態様でもよい。
【0083】
図8は、進捗状況画面62の第1変形例を示す図である。図8に示すように、進捗状況画面62は、作業領域50と管理エリア51~54の平面図を模式的に表示する構成でもよい。
【0084】
図8に示すように、第1変形例の進捗状況画面62では、作業領域としての倉庫50の平面図に対応する図形62Eが描画される。図8の例では、図形62Eは、図1に例示した倉庫50と同様の長方形状である。
【0085】
さらに第1変形例の進捗状況画面62では、図形62Eの内部に、管理エリアとしての各棚51、52、53、54の平面図に対応する図形62F、62G、62H、62Iが描画されている。図8の例では、図形62F、62G、62H、62Iは、図1に例示した各棚51~54と同様の長方形状である。また、図形62F、62G、62H、62Iは、それぞれ図1に例示した各棚51~54の倉庫50内の配置と同様に、図形62Eの内部に配置されている。図8の進捗状況画面62は、画面の上下方向が図1の倉庫50の左右方向に対応し、画面の左右方向が図1の倉庫50の奥行き方向に対応するよう構成される。このため、棚51に対応する図形62Fは、図形62Eの内部上端に配置されている。(「棚A」とも表示されている)。また、棚52、53、54に対応する図形62G、62H、62Iは、図形62Eの内部右端に配置され、かつ、この順番で上から下に並んで配置されている。また、各図形62F、62G、62H、62Iには、各棚51~54との対応関係を利用者P1、P2が把握しやすいように、例えば図8に示すように「棚A」、「棚B」、「棚C」、「棚D」とも表示されている。
【0086】
第1変形例の進捗状況画面62では、各棚51~54の棚卸作業の進捗状況に応じて、各図形62F、62G、62H、62Iの表示色が変更される。例えば棚卸作業の進捗状況が0%の場合(すなわち該当管理エリア内でタグが1つも読み取られていない場合)には、図形62Iに示すように表示色を白色とする。一方、棚卸作業の進捗状況が100%の場合(すなわち該当管理エリア内のタグがすべて読み取られた場合)には、図形62Fに示すように表示色を黒色とする。また、棚卸作業の進捗状況が0%と100%の間の中途段階では、図形62G、62Hに示すように表示色を薄い灰色、濃い灰色として、多段階に区別して表示するのが好ましい。この場合、濃い灰色のほうが薄い灰色より進捗度が大きいことを示す。また、灰色の種類を3種類以上に細分化してもよいし、単色にしてもよい。
【0087】
第1変形例の進捗状況画面62のように、作業領域と管理エリアとを模式的に表示して、各管理エリアの棚卸作業の進捗状況に応じて表示色を変更する表示態様とすることによっても、棚卸作業の進捗状況を視覚的に表示することができる。
【0088】
利用者P1、P2は、第1変形例の進捗状況画面62の各図形62F、62G、62H、62Iの表示色を見ることによって、各管理エリア51~54ごとの棚卸作業の進捗状況を直感的に把握できる。また、利用者P1、P2は、進捗状況画面62を参照すれば、棚卸作業の進捗が遅い管理エリアを容易に把握できる。例えば自分のいる管理エリアの棚卸が完了している場合には、完了していない管理エリアに移動して作業を行うような判断を容易かつ確実にできる。これにより、作業領域50全体の棚卸作業を効率良く行うことができる。
【0089】
図9は、進捗状況画面62の第2変形例を示す図である。図1の例とは異なり、作業領域が単一の棚であり、複数の管理エリアがこの単一の棚を区分した複数の部分(例えば各段や、同一段を水平方向に区分した部分など)である場合が生じ得る。このような作業領域を棚卸作業の対象とする場合には、例えば図9に示すように、進捗状況画面62は、単一の棚の正面図を模式的に表示する構成でもよい。
【0090】
図9に示すように、第2変形例の進捗状況画面62では、作業領域としての単一の棚の正面図に対応する図形62Jが描画される。図9の例では、単一の棚は三段の棚であり、図形62Jは縦長の長方形状である。
【0091】
さらに第2変形例の進捗状況画面62では、図形62Jの内部に、管理エリアとしての棚の上段、中段、下段の正面図に対応する図形62K、62L、62Mが描画されている。図9の例では、図形62K、62L、62Mは、棚の各段に対応する横長の長方形状である。
【0092】
第2変形例の進捗状況画面62では、単一の棚の各段の棚卸作業の進捗状況に応じて、各図形62K、62L、62Mの表示色が変更される。例えば棚卸作業の進捗状況が0%の場合(すなわち該当の段でタグが1つも読み取られていない場合)には、下段の図形62Mに示すように表示色を白色とする。一方、棚卸作業の進捗状況が100%の場合(すなわち該当の段のタグがすべて読み取られた場合)には、上段の図形62Kに示すように表示色を黒色とする。また、棚卸作業の進捗状況が0%と100%の間の中途段階では、中段の図形62Lに示すように表示色を灰色とする。なお、中途段階の場合に、表示色の灰色を複数種に細分化して、進捗度に応じて複数段階に区別して表示してもよい。
【0093】
第2変形例の進捗状況画面62のように、作業領域と管理エリアとを模式的に表示して、各管理エリアの棚卸作業の進捗状況に応じて表示色を変更する表示態様とすることによっても、棚卸作業の進捗状況を視覚的に表示することができる。
【0094】
利用者P1、P2は、第2変形例の進捗状況画面62の各図形62K、62L、62Mの表示色を見ることによって、棚の各段ごとの棚卸作業の進捗状況を直感的に把握できる。また、利用者P1、P2は、進捗状況画面62を参照すれば、棚卸作業の進捗が遅い棚の段を容易に把握できる。例えば自分が作業を行っている段の棚卸が完了している場合には、完了していない段に移行して作業を行うような判断を容易かつ確実にできる。これにより、作業領域全体の棚卸作業を効率良く行うことができる。
【0095】
なお、図9の例では、単一の棚の各段を管理エリアとして区分する構成を例示したが、同一段を水平方向に区分して複数の管理エリアとして設定してもよい。例えば図9に示す棚の上段を複数の管理エリアに分ける場合には、上段に対応する図形62Kが複数個に区分されて描画され、各図形ごとに進捗状況に応じた表示色が表示される。
【0096】
また、図8に示した第1変形例の進捗状況画面62と、図9に示した第2実施形態の進捗状況画面62とを組み合わせて使用する構成でもよい。例えば最初に図8に示した第1変形例の進捗状況画面62を表示して、複数の棚51~54に対応する管理エリア単位の棚卸作業の進捗状況を表示する。この画面上で、利用者P1、P2が各棚51~54に対応する図形62F~62Iのいずれかを選択してクリックすると、図9に示した第2変形例の進捗状況画面62に遷移して、該当の棚の各段の進捗状況を表示する。つまり、単一の管理エリア内をさらに細分化した棚卸作業の進捗状況を表示する。これにより、棚卸作業の進捗状況を階層的かつ視覚的に表示することができるので、作業領域全体の棚卸作業をさらに効率良く行うことができる。
【0097】
また、図6に示す棚卸情報画面61に「再発行指令ボタン」を追加表示する構成としてもよい。例えば棚卸作業中に利用者P1、P2が目視でタグの剥離やタグの不良を発見した場合に、この「再発行指令ボタン」を押すことによって、各携帯型RFIDリーダ10A、10Bから管理装置20に対して、該当タグの再発行フラグを出力する。この場合、該当タグが付加されている物品40の種類などの情報も再発行フラグに含めるのが好ましい。管理装置20は、再発行フラグを受信すると、再発行フラグに係る該当タグを棚卸作業対象から外すように、棚卸指示ファイル23や実績結合ファイルを更新する。これにより、棚卸対象のタグに不良品が含まれる場合でも、該当タグを除外して棚卸作業を進めることが可能となるので、棚卸作業の進捗管理をより精度良く行うことができる。
【0098】
また、本実施形態では、物品管理システム1が複数の携帯型RFIDリーダ10A、10Bを用いて棚卸作業を行う構成を示したが、単一の携帯型RFIDリーダを用いる構成でもよい。この構成では、単数の携帯型RFIDリーダは、棚卸指示ファイル16に基づくRFIDタグ30の読取作業の進捗状況の情報(実績ファイル)を記録し、実績ファイルに基づき棚卸指示ファイル16、23を更新し、更新済の棚卸指示ファイル16、23に基づき、表示部60に表示する進捗状況の情報を更新する。
【0099】
このような単一の携帯型RFIDリーダを用いる構成でも、上記構成によって棚卸作業の作業効率を向上できる。さらに、単一の携帯型RFIDリーダを用いる構成でも、図7図9に例示した進捗状況画面62のように進捗状況を視覚的に表示できると、棚卸作業の作業効率をさらに向上できる。
【0100】
なお、一台の携帯型RFIDリーダのみで棚卸を行う場合でも、複数台の携帯型RFIDリーダで棚卸を行う場合でも、携帯型RFIDリーダにおいて特定のユニークIDを一度読み取っている場合に、この特定のユニークIDのタグを2回目以降読み取ったときには、管理装置20側で棚卸の進捗管理に反映させない構成としてもよい。つまり、管理装置20は、携帯型RFIDリーダから受信した進捗状況の情報(実績ファイル17A、17B)の中に同一のRFIDタグ30の情報(ユニークID)が2つ以上重複して含まれる場合には、該当のRFIDタグ30の2つ目以降の情報を棚卸指示ファイル23の更新に反映させない。例えば、管理装置20は、実績結合ファイル24や棚卸指示ファイル23を更新する際に、該当のユニークIDを更新内容から除外する処理などを実施すればよい。
【0101】
この構成により、棚卸作業において同一のユニークIDのタグの重複カウントを防止できるので、複数の携帯型RFIDリーダが同じ商品の同じタグを同時に読み取った場合や、特定の一台の携帯型RFIDリーダが同じ商品の同じタグを複数回読み取った場合でも、棚卸の際の商品カウントを正確に行うことができる。但し、複数の携帯型RFIDリーダを用いる構成の場合には、各リーダ側ではデータ統合前には他のリーダにより読み取り済みかどうか分からないため、読み取った情報を管理装置20にそのまま送信する。また、単数の携帯型RFIDリーダを用いる構成の場合や、複数のうち特定の一台の携帯型RFIDリーダにおいて同じユニークIDを重複読取した場合には、2回目以降の読取結果を管理装置20へ送信しないように制御する構成としてもよい。
【0102】
このように、第1実施形態に係る物品管理システム1は、管理装置20と、物品40に付加されるRFIDタグ30と、RFIDタグ30から情報を読み取る複数の携帯型RFIDリーダ10A、10Bと、を備える。管理装置20は、物品40に関する情報を含む棚卸指示ファイル23を複数の携帯型RFIDリーダ10A、10Bに送信し、棚卸指示ファイル23に基づくRFIDタグ30の読取作業の進捗状況の情報(実績ファイル17A、17B)を複数の携帯型RFIDリーダ10A、10Bから受信し、実績ファイル17A、17Bに基づき棚卸指示ファイル23を更新して、更新済の棚卸指示ファイル23を複数の携帯型RFIDリーダ10A、10Bに送信する。
【0103】
この構成により、複数の携帯型RFIDリーダ10A、10Bの間で、管理装置20により適宜更新されて供給される同一の棚卸指示ファイル23に基づき、棚卸作業などのタグ読取作業の進捗状況を共有することが可能となる。これにより、例えば複数の携帯型RFIDリーダ10A、10Bのそれぞれが同一の物品40からタグ読取を行うような無駄な作業を抑制できるので、複数のRFIDリーダを併用する場合のタグ読取の作業効率を向上できる。
【0104】
[第2実施形態]
図10図12を参照して第2実施形態を説明する。図10は、第2実施形態に係る物品管理システム1Aの概略構成を示す模式図である。
【0105】
図10に示すように、物品管理システム1Aは、複数の携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cと、RFIDタグ30と、を備える。
【0106】
携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cの概略構成は、第1実施形態の携帯型RFIDリーダ10A、10Bと同様である。
【0107】
物品管理システム1Aでは、複数の携帯型RFIDリーダのうち1台の携帯型RFIDリーダ10Aが親機であり、残りの携帯型RFIDリーダ10B、10Cが子機である。親機としての携帯型RFIDリーダ10A(以下「親機10A」とも表記する)は、子機としての携帯型RFIDリーダ10B、10C(以下「子機10B、10C」とも表記する)のそれぞれと、図10に矢印B、Cで示すように、個別に無線通信によって通信可能に接続されている。
【0108】
親機10Aは、棚卸指示ファイル23を複数の子機10B、10Cに送信し、棚卸指示ファイル23に基づく進捗状況の情報(実績ファイル17B、17C)を複数の子機10B、10Cから所定のタイミングで受信する。そして、受信した実績ファイル17B、17Cと自機の実績ファイル17Aとに基づき棚卸指示ファイル23を更新して、更新済の棚卸指示ファイル23管理リストを複数の子機10B、10Cに送信する。つまり第2実施形態では、親機としての携帯型RFIDリーダ10Aが、第1実施形態の管理装置20と同等の機能も有する。
【0109】
図11は、第2実施形態に係る物品管理システム1Aの機能ブロック図である。子機としての携帯型RFIDリーダ10B、10Cは、共通の機能として、送受信部13と、読取制御部14と、表示制御部15と、棚卸指示ファイル16と、を有し、これらの各機能は第1実施形態と同様である。
【0110】
親機としての携帯型RFIDリーダ10Aは、共通の機能として、送受信部13と、読取制御部14と、表示制御部15と、を有し、これらの各機能は第1実施形態と同様である。親機としての携帯型RFIDリーダ10Aは、さらに、図11に点線の四角形Dで囲まれるように、棚卸指示部21と、実績管理部22と、棚卸指示ファイル23と、実績結合ファイル24と、を有する。これらの機能は、第1実施形態の管理装置20の各機能と同様である。
【0111】
また、携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cは、それぞれ個別に実績ファイル17A、実績ファイル17B、実績ファイル17Cを有する。
【0112】
図12は、第2実施形態に係る物品管理システム1Aによる棚卸管理制御のシーケンス図である。
【0113】
まず親機10Aでは、棚卸指示部21が棚卸指示ファイル23を作成し(S201)、作成した棚卸指示ファイル23を各子機10B、10Cに送信する(S202)。
【0114】
各子機10B、10Cでは、送受信部13が自機内の棚卸指示ファイル16を管理装置20から受信した棚卸指示ファイル23に置き換える。そして、表示制御部15が、置き換えた棚卸指示ファイル16に基づいて端末装置12B、12Cの表示部60に棚卸作業の指示に係る棚卸情報画面61を表示する。また、親機10Aでは、表示制御部15が、ステップS201にて作成した棚卸指示ファイル23に基づいて端末装置12Aの表示部60に棚卸作業の指示に係る棚卸情報画面61を表示する。利用者P1、P2、P3は、棚卸情報画面61を参照して棚卸作業を開始する(S203)。
【0115】
各携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cでは、読取制御部14が、利用者P1、P2、P3によるタグ読取に応じて、自機内の実績ファイル17A、17B、17Cをそれぞれ更新する(S204、S205、S206)。
【0116】
子機10Bにて利用者P2により棚卸情報画面61上の送信ボタン61Fが押下されて、送信操作が入力されると(S207)、子機10Bの送受信部13は、自機内の実績ファイル17Bを親機10Aに送信する(S208)。
【0117】
同様に、子機10Cにて利用者P3により棚卸情報画面61上の送信ボタン61Fが押下されて、送信操作が入力されると(S209)、子機10Cの送受信部13は、自機内の実績ファイル17Cを親機10Aに送信する(S210)。
【0118】
つまり本実施形態では、複数の子機10B、10Cは、それぞれの利用者P2、P3が送信操作を入力したときに、進捗状況の情報(実績ファイル17B、17C)を親機10Aに送信する。これにより、各子機10B、10Cから親機10Aへの実績ファイル17B、17Cの送信タイミングを任意に調整できるので、各携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cの通信負荷を抑制できる。
【0119】
親機10Aでは、実績管理部22が、子機10Bから受信した実績ファイル17Bと、子機10Cから受信した実績ファイル17Cと、自機内の実績ファイル17Aと、を用いて実績結合ファイル24を作成する(S211)。
【0120】
親機10Aでは、棚卸指示部21が、ステップS211にて作成された実績結合ファイル24に基づき棚卸指示ファイル23を更新する(S212)。棚卸指示部21は、例えば実績結合ファイル24を参照して、新たにタグ読取が完了した物品40がある場合に、棚卸指示ファイル23に記録されている該当物品の棚卸残数を変更する。棚卸指示部21は、更新済の棚卸指示ファイル23を各子機10B、10Cに送信する(S213)。
【0121】
なお、管理装置20の棚卸指示部21は、ステップS213において、更新済管理リストを所定のタイミングで複数の子機10B、10Cに送信する。「所定のタイミング」とは、例えば所定周期や、棚卸指示ファイル23が更新されるタイミング、など任意のタイミングを設定できる。これにより、親機10Aから各子機10B、10Cへの棚卸指示ファイル23の送信タイミングを任意に調整できるので、各携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cの通信負荷を抑制できる。
【0122】
各子機10B、10Cでは、送受信部13が自機内の棚卸指示ファイル16を親機10Aから受信した更新済の棚卸指示ファイル23に置き換える。そして、表示制御部15が、置き換えた棚卸指示ファイル16に基づいて端末装置12B、12Cの表示部60に表示されている棚卸情報画面61を更新する。また、親機10Aでは、表示制御部15が、ステップS212にて更新した棚卸指示ファイル23に基づいて端末装置12Aの表示部60に表示されている棚卸情報画面61を更新する(S214)。利用者P1、P2、P3は、更新された棚卸情報画面61を参照して棚卸作業に関する最新の情報を把握できる。
【0123】
親機10Aの棚卸指示部21は、棚卸指示ファイル23や実績結合ファイル24を参照して、棚卸作業の完了判定を行う(S215)。棚卸指示部21は、例えば棚卸指示ファイル23や実績結合ファイル24に記録されている棚卸対象のすべての物品40のタグ読取が完了している場合に、棚卸作業が完了しているものと判定できる。
【0124】
ステップS215にて棚卸作業が完了していないと判定された場合には、図12に点線の四角形Eで囲まれているステップS204~S214の処理が繰り返される。
【0125】
一方、親機10Aの棚卸指示部21は、ステップS215にて棚卸作業が完了したと判定した場合、棚卸完了通知を各子機10B、10Cに送信する(S216)。各子機10B、10Cでは、棚卸完了通知の受信に応じて、例えば棚卸情報画面61を更新して棚卸完了に関する情報を表示する。また、親機10Aでは、ステップS215の棚卸完了判定に応じて、例えば棚卸情報画面61を更新して棚卸完了に関する情報を表示する。これにより、棚卸作業に係る各利用者P1、P2、P3に棚卸完了の旨を確実に報知できる。
【0126】
このように、第2実施形態に係る物品管理システム1Aは、物品40に付加されるRFIDタグ30と、RFIDタグ30から情報を読み取る複数の携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cと、を備える。複数の携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cは、物品40に関する情報を含む棚卸指示ファイル16、23を有し、棚卸指示ファイル16、23に基づくRFIDタグ30の読取作業の進捗状況の情報(実績ファイル17A、17B、17C)を他の携帯型RFIDリーダに送信し、進捗状況の情報に基づき棚卸指示ファイル23を更新する。
【0127】
この構成により、複数の携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cの間で、棚卸作業などのタグ読取作業の進捗状況を共有することが可能となるので、複数のRFIDリーダを併用する場合のタグ読取の作業効率を向上できる。
【0128】
より詳細には、物品管理システム1Aでは、複数の携帯型RFIDリーダのうち1台の携帯型RFIDリーダ10Aが親機であり、残りの携帯型RFIDリーダ10B、10Cが子機である。親機10Aは、複数の子機10B、10Cのそれぞれと、個別に無線通信によって通信可能に接続されている。親機10Aは、棚卸指示ファイル23を複数の子機10B、10Cに送信し、棚卸指示ファイル23に基づく進捗状況の情報(実績ファイル17B、17C)を複数の子機10B、10Cから受信する。親機10Aは、自機の実績ファイル17Aを含む進捗状況の情報に基づき棚卸指示ファイル23を更新して、更新済の棚卸指示ファイル23を複数の子機10B、10Cに送信する。
【0129】
この構成により、複数の携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cの間で、親機である携帯型RFIDリーダ10Aにより適宜更新されて供給される同一の棚卸指示ファイル23に基づき、棚卸作業などのタグ読取作業の進捗状況を共有することが可能となる。これにより、例えば複数の携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cのそれぞれが同一の物品40からタグ読取を行うような無駄な作業を抑制できるので、複数のRFIDリーダを併用する場合のタグ読取の作業効率を向上できる。また、複数の携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cの間の通信のみを利用してタグ読取作業の進捗状況を各リーダ間で共有できるので、第1実施形態の構成と比較してより簡易な構成で同様の効果を実現できる。
【0130】
なお、第2実施形態の物品管理システム1Aにおいても、第1実施形態と同様に、図7図9に例示した進捗状況画面62を各端末装置12A、12B、12Cの表示部60に表示することができる。この構成により、棚卸作業の進捗状況を視覚的に表示できるので、棚卸作業の作業効率をさらに向上できる。
【0131】
なお、携帯型RFIDリーダにおいて特定のユニークIDを一度読み取っている場合に、この特定のユニークIDのタグを2回目以降読み取ったときには、親機10A側で棚卸の進捗に反映させない構成としてもよい。つまり、親機10Aは、子機10B、10Cから受信した進捗状況の情報(実績ファイル17B、17C)と、自機の進捗状況の情報(実績ファイル17A)の中に同一のRFIDタグ30の情報(ユニークID)が2つ以上重複して含まれる場合には、該当のRFIDタグ30の2つ目以降の情報を棚卸指示ファイル23の更新に反映させない。例えば、親機10Aは、実績結合ファイル24や棚卸指示ファイル23を更新する際に、該当のユニークIDを更新内容か除外する処理などを実施すればよい。なお、子機10B、10Cは少なくとも一台あればよい。
【0132】
この構成により、棚卸作業において同一のユニークIDのタグの重複カウントを防止できるので、複数の携帯型RFIDリーダが同じ商品の同じタグを同時に読み取った場合や、特定の一台の携帯型RFIDリーダが同じ商品の同じタグを複数回読み取った場合でも、棚卸の際の商品カウントを正確に行うことができる。但し、子機10B、10C側ではデータ統合前には他の携帯型RFIDリーダにより読み取り済みかどうか分からないため、読み取った情報を親機10Aにそのまま送信する。また、単数の子機を用いる構成の場合や、複数の子機10B、10Cのうち特定の一台において同じユニークIDを重複読取した場合には、2回目以降の読取結果を親機10Aへ送信しないように制御する構成としてもよい。
【0133】
[第3実施形態]
図13図15を参照して第3実施形態を説明する。図13は、第3実施形態に係る物品管理システム1Bの概略構成を示す模式図である。
【0134】
図13に示すように、物品管理システム1Bは、複数の携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cと、RFIDタグ30と、を備える。
【0135】
携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cの概略構成は、第1実施形態の携帯型RFIDリーダ10A、10Bと同様である。
【0136】
物品管理システム1Bでは、携帯型RFIDリーダ10Aと携帯型RFIDリーダ10Bとが、図13に矢印Bで示すように、無線通信によって通信可能に接続されている。また、携帯型RFIDリーダ10Aと携帯型RFIDリーダ10Cとが、図13に矢印Cで示すように、無線通信によって通信可能に接続されている。また、携帯型RFIDリーダ10Bと携帯型RFIDリーダ10Cとが、図13に矢印Fで示すように、無線通信によって通信可能に接続されている。
【0137】
複数の携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cのそれぞれは、棚卸指示ファイル16A、16B、16Cに基づく自機の進捗状況の情報(実績ファイル17A、17B、17C)を自機以外の他のすべての携帯型RFIDリーダ(以下では「他機」とも表記する)に送信する。複数の携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cのそれぞれは、自機の進捗状況の情報と、他機から受信した各機の進捗状況の情報と、に基づき自機の棚卸指示ファイル16A、16B、16Cを更新する。
【0138】
図14は、第3実施形態に係る物品管理システム1Bの機能ブロック図である。携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cは、共通の機能として、送受信部13と、読取制御部14と、表示制御部15と、棚卸指示部18と、を有する。また、携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cは、それぞれ個別に棚卸指示ファイル16A、16B、16Cと、実績ファイル17A、17B、17Cと、を有する。
【0139】
携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cのそれぞれの棚卸指示部18は、他機から送られてきた実績ファイルと、自機の実績ファイルとに基づき、棚卸指示ファイル16A、16B、16Cを更新する。この結果、第3実施形態では各携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cの棚卸指示ファイル16A、16B、16Cは各機ごとに個別に更新されるので、共通にならない場合も生じ得る。
【0140】
図15は、第3実施形態に係る物品管理システム1Bによる棚卸管理制御のシーケンス図である。
【0141】
まず各携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cは、棚卸指示ファイル16A、16B、16Cを取得して自機内に保存する(S301)。例えば、各機の棚卸指示部18や送受信部13が上位機器などから棚卸指示ファイルの元データを受信して、棚卸指示ファイル16A、16B、16Cを取得することができる。
【0142】
各携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cでは、表示制御部15が、ステップS301にて取得した棚卸指示ファイル16A、16B、16Cに基づいて端末装置12A、12B、12Cの表示部60に棚卸作業の指示に係る棚卸情報画面61を表示する。利用者P1、P2、P3は、棚卸情報画面61を参照して棚卸作業を開始する(S302)。
【0143】
各携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cでは、読取制御部14が、利用者P1、P2、P3によるタグ読取に応じて、自機内の実績ファイル17A、17B、17Cをそれぞれ更新する(S303、S304、S305)。
【0144】
携帯型RFIDリーダ10Aにて利用者P1により棚卸情報画面61上の送信ボタン61Fが押下されて、送信操作が入力されると(S306)、携帯型RFIDリーダ10Aの送受信部13は、自機内の実績ファイル17Aを他の携帯型RFIDリーダ10B、10Cに送信する(S307)。
【0145】
同様に、携帯型RFIDリーダ10Bにて利用者P2により棚卸情報画面61上の送信ボタン61Fが押下されて、送信操作が入力されると(S308)、携帯型RFIDリーダ10Bの送受信部13は、自機内の実績ファイル17Bを他の携帯型RFIDリーダ10A、10Cに送信する(S309)。
【0146】
同様に、携帯型RFIDリーダ10Cにて利用者P3により棚卸情報画面61上の送信ボタン61Fが押下されて、送信操作が入力されると(S310)、携帯型RFIDリーダ10Cの送受信部13は、自機内の実績ファイル17Cを他の携帯型RFIDリーダ10A、10Bに送信する(S311)。
【0147】
つまり本実施形態では、複数の携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cは、それぞれの利用者P1、P2、P3が送信操作を入力したときに、進捗状況の情報(実績ファイル17A、17B、17C)を他機に送信する。これにより、各携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cから他機への実績ファイルの送信タイミングを任意に調整できるので、各携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cの通信負荷を抑制できる。
【0148】
携帯型RFIDリーダ10Aでは、棚卸指示部18が、携帯型RFIDリーダ10Bから受信した実績ファイル17Bと、携帯型RFIDリーダ10Cから受信した実績ファイル17Cと、自機内の実績ファイル17Aと、を用いて棚卸指示ファイル16Aを更新する(S312)。棚卸指示部18は、例えば実績ファイル17A、17B、17Cを参照して、新たにタグ読取が完了した物品40がある場合に、棚卸指示ファイル16Aに記録されている該当物品の棚卸残数を変更する。
【0149】
同様に、携帯型RFIDリーダ10Bでは、棚卸指示部18が、携帯型RFIDリーダ10Aから受信した実績ファイル17Aと、携帯型RFIDリーダ10Cから受信した実績ファイル17Cと、自機内の実績ファイル17Bと、を用いて棚卸指示ファイル16Bを更新する(S313)。棚卸指示部18は、例えば実績ファイル17A、17B、17Cを参照して、新たにタグ読取が完了した物品40がある場合に、棚卸指示ファイル16Bに記録されている該当物品の棚卸残数を変更する。
【0150】
同様に、携帯型RFIDリーダ10Cでは、棚卸指示部18が、携帯型RFIDリーダ10Aから受信した実績ファイル17Aと、携帯型RFIDリーダ10Bから受信した実績ファイル17Bと、自機内の実績ファイル17Cと、を用いて棚卸指示ファイル16Cを更新する(S314)。棚卸指示部18は、例えば実績ファイル17A、17B、17Cを参照して、新たにタグ読取が完了した物品40がある場合に、棚卸指示ファイル16Cに記録されている該当物品の棚卸残数を変更する。
【0151】
各携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cでは、表示制御部15が、ステップS312、S313、S314で更新された棚卸指示ファイル16A、16B、16Cに基づいて、端末装置12A、12B、12Cの表示部60に表示されている棚卸情報画面61を更新する(S315)。利用者P1、P2、P3は、更新された棚卸情報画面61を参照して棚卸作業に関する最新の情報を把握できる。
【0152】
各携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cでは、棚卸指示部18が、棚卸指示ファイル16A、16B、16Cを参照して、棚卸作業の完了判定を行う(S316)。各機の棚卸指示部21は、例えば自機の棚卸指示ファイル16A、16B、16Cに記録されている棚卸対象のすべての物品40のタグ読取が完了している場合に、棚卸作業が完了しているものと判定できる。この完了判定は、各携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cで個別に行われる。
【0153】
ステップS315にて棚卸作業が完了していないと判定された場合には、図15に点線の四角形Gで囲まれているステップS303~S315の処理が繰り返される。一方、棚卸作業が完了したと判定した場合には、各機10A、10B、10Cにおいて、例えば棚卸情報画面61を更新して棚卸完了に関する情報を表示する。これにより、棚卸作業に係る各利用者P1、P2、P3に棚卸完了の旨を確実に報知できる。
【0154】
このように、第3実施形態に係る物品管理システム1Bは、物品40に付加されるRFIDタグ30と、RFIDタグ30から情報を読み取る複数の携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cと、を備える。複数の携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cは、物品40に関する情報を含む棚卸指示ファイル16A、16B、16Cを有し、棚卸指示ファイル16A、16B、16Cに基づくRFIDタグ30の読取作業の進捗状況の情報(実績ファイル17A、17B、17C)を他の携帯型RFIDリーダに送信し、進捗状況の情報に基づき棚卸指示ファイル16A、16B、16Cを更新する。
【0155】
この構成により、複数の携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cの間で、棚卸作業などのタグ読取作業の進捗状況を共有することが可能となるので、複数のRFIDリーダを併用する場合のタグ読取の作業効率を向上できる。
【0156】
より詳細には、物品管理システム1Bでは、複数の携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cのそれぞれは、自機が保持する棚卸指示ファイル16A、16B、16Cに基づく自機の進捗状況の情報を自機以外の他のすべての携帯型RFIDリーダに送信し、自機の進捗状況の情報と、自機以外の他のすべての携帯型RFIDリーダから受信した各機の進捗状況の情報と、に基づき自機の棚卸指示ファイルを更新する。
【0157】
この構成により、複数の携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cの間で、RFIDタグ30の読取作業の進捗状況の情報(実績ファイル17A、17B、17C)を相互に提供し合うことによって、各リーダが保持する棚卸指示ファイル16A、16B、16Cを適宜更新できる。これにより、複数の携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cの間で、棚卸作業などのタグ読取作業の進捗状況を共有することが可能となるので、例えば複数の携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cのそれぞれが同一の物品40からタグ読取を行うような無駄な作業を抑制でき、複数のRFIDリーダを併用する場合のタグ読取の作業効率を向上できる。また、複数の携帯型RFIDリーダ10A、10B、10Cの間の通信のみを利用してタグ読取作業の進捗状況を各リーダ間で共有できるので、第1実施形態の構成と比較してより簡易な構成で同様の効果を実現できる。
【0158】
なお、第3実施形態の物品管理システム1Bにおいても、第1実施形態と同様に、図7図9に例示した進捗状況画面62を各端末装置12A、12B、12Cの表示部60に表示することができる。この構成により、棚卸作業の進捗状況を視覚的に表示できるので、棚卸作業の作業効率をさらに向上できる。
【0159】
なお、複数の携帯型RFIDリーダ10A~10Cにおいて、特定のユニークIDを一度読み取っている場合に、この特定のユニークIDのタグを2回目以降読み取ったときには、各携帯型RFIDリーダ10A~10Cにおいて棚卸の進捗管理に反映させない構成としてもよい。つまり、複数の携帯型RFIDリーダ10A~10Cのそれぞれは、他機から受信した進捗状況の情報(実績ファイル)と自機の実績ファイルの中に同一のRFIDタグ30の情報(ユニークID)が2つ以上重複して含まれる場合には、該当のRFIDタグ30の2つ目以降の情報を棚卸指示ファイル23の更新に反映させない。例えば、各携帯型RFIDリーダ10A~10Cは、自機の実績ファイルと他機から受信した実績ファイルとに基づき自機の棚卸指示ファイル16A~16Cを更新する際に、該当のユニークIDを更新内容から除外する処理などを実施すればよい。なお、第3実施形態では物品管理システム1Bが三台の携帯型RFIDリーダ10A~10Cを備える構成を例示しているが、携帯型RFIDリーダは少なくとも二台あればよく、自機以外の他機が少なくとも一台あればよい。
【0160】
この構成により、棚卸作業において同一のユニークIDのタグの重複カウントを防止できるので、複数の携帯型RFIDリーダが同じ商品の同じタグを同時に読み取った場合や、特定の一台の携帯型RFIDリーダが同じ商品の同じタグを複数回読み取った場合でも、棚卸の際の商品カウントを正確に行うことができる。但し、各携帯型RFIDリーダ10A~10Cではデータ統合前には他のリーダにより読み取り済みかどうか分からないため、読み取った情報を他機にそのまま送信する。また、複数のうち特定の一台の携帯型RFIDリーダにおいて同じユニークIDを重複読取した場合には、2回目以降の読取結果を他機へ送信しないように制御する構成としてもよい。
【0161】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【0162】
上記実施形態では、読取対象のRFIDタグ30が配置される「所定の作業領域」の一例として倉庫50を例示して、この倉庫50内にRFIDタグ30が付加される複数の物品40が保管される構成を例示したが、「所定の読取領域」は倉庫50以外でもよい。例えば建物内の部屋など、倉庫50と同様に壁部等によって区画される空間でもよい。または、屋内または屋外において、例えば地面に描かれた線など壁部以外の要素によって外部と区画される領域でもよい。
【0163】
また、上記実施形態では、物品管理システム1を倉庫50内の物品40の棚卸作業に適用する構成を例示したが、物品管理システム1は所定の作業領域内の物品の管理に利用できればよく、棚卸作業以外へも適用できる。例えば、作業領域への物品の入庫時や、作業領域からの物品の出庫時における対象物品の種類や個数のチェック作業などにも適用できる。
【符号の説明】
【0164】
1、1A、1B 物品管理システム
10A 携帯型RFIDリーダ(親機)
10B、10C 携帯型RFIDリーダ(子機)
11A、11B、11C 読取装置
12A、12B、12C 端末装置
16、16A、16B、16C 棚卸指示ファイル(管理リスト)
17A、17B、17C 実績ファイル(読取作業の進捗状況の情報)
60 タッチパネル(表示部)
61 棚卸情報画面
62 進捗状況画面
20 管理装置
23 棚卸指示ファイル(管理リスト)
30 RFIDタグ
40 物品(管理対象物)
50 倉庫(作業領域)
51、52、53、54 棚(管理エリア)
P1、P2、P3 利用者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15