IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

特開2024-141995シェルアンドプレート式熱交換器及び冷凍装置
<>
  • 特開-シェルアンドプレート式熱交換器及び冷凍装置 図1
  • 特開-シェルアンドプレート式熱交換器及び冷凍装置 図2
  • 特開-シェルアンドプレート式熱交換器及び冷凍装置 図3
  • 特開-シェルアンドプレート式熱交換器及び冷凍装置 図4
  • 特開-シェルアンドプレート式熱交換器及び冷凍装置 図5
  • 特開-シェルアンドプレート式熱交換器及び冷凍装置 図6
  • 特開-シェルアンドプレート式熱交換器及び冷凍装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141995
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】シェルアンドプレート式熱交換器及び冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   F28D 7/16 20060101AFI20241003BHJP
   F28F 3/08 20060101ALI20241003BHJP
   F28F 9/013 20060101ALI20241003BHJP
   F25B 39/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F28D7/16 E
F28F3/08 311
F28F9/013 Z
F25B39/02 N
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053919
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市村 修平
(72)【発明者】
【氏名】内海 大地
(72)【発明者】
【氏名】沼田 光春
(72)【発明者】
【氏名】山口 正喜
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA05
3L103BB42
3L103BB44
3L103CC02
3L103CC18
3L103DD12
3L103DD57
3L103DD62
(57)【要約】
【課題】シェル全体として軽量化を図る。
【解決手段】シェル(11)は、軸方向の両端が開口した筒状体(12)と、筒状体(12)の一端側の開口を塞ぐ第1閉塞部材(13)と、筒状体(12)の他端側の開口を塞ぐ第2閉塞部材(14)と、を有する。第1閉塞部材(13)及び第2閉塞部材(14)の少なくとも一方は、筒状体(12)の軸方向外方に突出する湾曲状に形成される。湾曲状に形成された第1閉塞部材(13)及び第2閉塞部材(14)の少なくとも一方の内部には、プレート積層体(30)の一部が配置される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間(15)を有するシェル(11)と、積層されて互いに接合された複数の伝熱プレート(40)を有し且つ前記内部空間(15)に収容されたプレート積層体(30)と、を備え、前記シェル(11)の前記内部空間(15)へ流入した冷媒と前記プレート積層体(30)の熱媒体流路(32)へ流入した熱媒体とを熱交換させるシェルアンドプレート式熱交換器であって、
前記シェル(11)は、軸方向の両端が開口した筒状体(12)と、前記筒状体(12)の一端側の開口を塞ぐ第1閉塞部材(13)と、前記筒状体(12)の他端側の開口を塞ぐ第2閉塞部材(14)と、を有し、
前記第1閉塞部材(13)及び前記第2閉塞部材(14)の少なくとも一方は、前記筒状体(12)の軸方向外方に突出する湾曲状に形成され、
湾曲状に形成された前記第1閉塞部材(13)及び前記第2閉塞部材(14)の少なくとも一方の内部には、前記プレート積層体(30)の一部が配置される
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項2】
請求項1のシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記筒状体(12)の軸方向の長さは、前記プレート積層体(30)の積層方向の長さよりも短い
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項3】
請求項1又は2のシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記第1閉塞部材(13)及び前記第2閉塞部材(14)の両方は、前記筒状体(12)の軸方向外方に突出する湾曲状に形成される
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項4】
請求項1又は2のシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記プレート積層体(30)と、湾曲状に形成された前記第1閉塞部材(13)及び前記第2閉塞部材(14)の少なくとも一方と、の間に配置され、前記プレート積層体(30)を支持する補強部材(50)を備える
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項5】
請求項4のシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記補強部材(50)は、前記プレート積層体(30)の積層方向の端部と、湾曲状に形成された前記第1閉塞部材(13)及び前記第2閉塞部材(14)の少なくとも一方の内壁面と、の間で延びるように配置される
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項6】
請求項5のシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記補強部材(50)は、互いに間隔をあけて複数設けられる
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項7】
請求項1又は2のシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記第1閉塞部材(13)及び前記第2閉塞部材(14)は、溶接によって前記筒状体(12)に取り付けられる
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項8】
請求項1又は2のシェルアンドプレート式熱交換器(10)と、
前記シェルアンドプレート式熱交換器(10)で熱交換させる冷媒が流れる冷媒回路(1a)と、を備える
冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シェルアンドプレート式熱交換器及び冷凍装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、中空容器と、中空容器の内部空間に収容されたプレート重合体と、を備えた冷媒熱交換器が開示されている。特許文献1の冷媒熱交換器では、冷媒配管から中空容器の内部空間に導入された冷媒液は、プレート重合体の貫通流路を流れる冷媒液と熱交換される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-204886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の冷媒熱交換器では、中空容器は、円筒状のシェルと、シェルの軸方向両端の開口部を閉塞する円板状のフラットエンドと、で構成される。
【0005】
ここで、円板状のフラットエンドは、内部空間に導入された冷媒液の圧力によって変形するおそれがあるため、フラットエンドの肉厚を大きくして剛性を高めることが考えられる。
【0006】
しかしながら、フラットエンドの肉厚を大きくすると、中空容器全体の重量が増加してしまうという問題がある。
【0007】
本開示の目的は、シェル全体として軽量化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様は、内部空間(15)を有するシェル(11)と、積層されて互いに接合された複数の伝熱プレート(40)を有し且つ前記内部空間(15)に収容されたプレート積層体(30)と、を備え、前記シェル(11)の前記内部空間(15)へ流入した冷媒と前記プレート積層体(30)の熱媒体流路(32)へ流入した熱媒体とを熱交換させるシェルアンドプレート式熱交換器であって、前記シェル(11)は、軸方向の両端が開口した筒状体(12)と、前記筒状体(12)の一端側の開口を塞ぐ第1閉塞部材(13)と、前記筒状体(12)の他端側の開口を塞ぐ第2閉塞部材(14)と、を有し、前記第1閉塞部材(13)及び前記第2閉塞部材(14)の少なくとも一方は、前記筒状体(12)の軸方向外方に突出する湾曲状に形成され、湾曲状に形成された前記第1閉塞部材(13)及び前記第2閉塞部材(14)の少なくとも一方の内部には、前記プレート積層体(30)の一部が配置される。
【0009】
第1の態様では、第1閉塞部材(13)及び第2閉塞部材(14)の少なくとも一方を湾曲状に形成することで、シェル(11)の内部空間(15)へ流入した冷媒の圧力による変形を抑えつつ、シェル(11)全体として軽量化を図ることができる。また、湾曲状に形成された第1閉塞部材(13)及び第2閉塞部材(14)の少なくとも一方の内部にプレート積層体(30)の一部を配置することで、シェル(11)全体として小型化を図ることができる。
【0010】
本開示の第2の態様は、第1の態様のシェルアンドプレート式熱交換器において、前記筒状体(12)の軸方向の長さは、前記プレート積層体(30)の積層方向の長さよりも短い。
【0011】
第2の態様では、筒状体(12)の軸方向の長さを、プレート積層体(30)の積層方向の長さよりも短くすることで、シェル(11)全体として小型化を図ることができる。
【0012】
本開示の第3の態様は、第1又は2の態様のシェルアンドプレート式熱交換器において、前記第1閉塞部材(13)及び前記第2閉塞部材(14)の両方は、前記筒状体(12)の軸方向外方に突出する湾曲状に形成される。
【0013】
第3の態様では、第1閉塞部材(13)及び第2閉塞部材(14)の両方を湾曲状に形成することで、シェル(11)の内部空間(15)へ流入した冷媒の圧力による変形を抑えつつ、シェル(11)全体として軽量化を図ることができる。
【0014】
本開示の第4の態様は、第1又は2の態様のシェルアンドプレート式熱交換器において、前記プレート積層体(30)と、湾曲状に形成された前記第1閉塞部材(13)及び前記第2閉塞部材(14)の少なくとも一方と、の間に配置され、前記プレート積層体(30)を支持する補強部材(50)を備える。
【0015】
第4の態様では、プレート積層体(30)を補強部材(50)で支持することで、シェルアンドプレート式熱交換器全体として強度を高めることができる。
【0016】
本開示の第5の態様は、第4の態様のシェルアンドプレート式熱交換器において、前記補強部材(50)は、前記プレート積層体(30)の積層方向の端部と、湾曲状に形成された前記第1閉塞部材(13)及び前記第2閉塞部材(14)の少なくとも一方の内壁面と、の間で延びるように配置される。
【0017】
第5の態様では、プレート積層体(30)が積層方向に変形するのを、補強部材(50)によって抑えることができる。
【0018】
本開示の第6の態様は、第5の態様のシェルアンドプレート式熱交換器において、前記補強部材(50)は、互いに間隔をあけて複数設けられる。
【0019】
第6の態様では、補強部材(50)を複数設けることで、シェルアンドプレート式熱交換器全体として強度を高めることができる。
【0020】
本開示の第7の態様は、第1又は2の態様のシェルアンドプレート式熱交換器において、前記第1閉塞部材(13)及び前記第2閉塞部材(14)は、溶接によって前記筒状体(12)に取り付けられる。
【0021】
第7の態様では、第1閉塞部材(13)及び第2閉塞部材(14)を、溶接によって筒状体(12)に取り付けることで、シェル(11)の強度を高めることができる。
【0022】
本開示の第8の態様は、第1又は2の態様のシェルアンドプレート式熱交換器(10)と、前記シェルアンドプレート式熱交換器(10)で熱交換させる冷媒が流れる冷媒回路(1a)と、を備える冷凍装置である。
【0023】
第8の態様では、シェルアンドプレート式熱交換器(10)を備えた冷凍装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本実施形態1の冷凍装置の構成を示す冷媒回路図である。
図2図2は、シェルアンドプレート式熱交換器の構成を示す側面断面図である。
図3図3は、シェルアンドプレート式熱交換器の構成を示す正面断面図である。
図4図4は、シェルアンドプレート式熱交換器の構成を示す平面断面図である。
図5図5は、プレート積層体の構成を示す側面断面図である。
図6図6は、本実施形態2のシェルアンドプレート式熱交換器の構成を示す側面断面図である。
図7図7は、シェルアンドプレート式熱交換器の構成を示す平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
《実施形態1》
図1に示すように、シェルアンドプレート式熱交換器(10)(以下では、「熱交換器という」)は、冷凍装置(1)に設けられる。冷凍装置(1)は、冷媒が充填された冷媒回路(1a)を有する。冷媒回路(1a)は、圧縮機(2)、放熱器(3)、減圧機構(4)、及び蒸発器としての熱交換器(10)を有する。減圧機構(4)は、例えば、膨張弁である。冷媒回路(1a)は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う。
【0026】
冷凍装置(1)は、空気調和装置である。空気調和装置は、冷房専用機、暖房専用機、あるいは冷房と暖房とを切り換える空気調和装置であってもよい。この場合、空気調和装置は、冷媒の循環方向を切り換える切換機構(例えば四方切換弁)を有する。冷凍装置(1)は、給湯器、チラーユニット、庫内の空気を冷却する冷却装置などであってもよい。冷却装置は、冷蔵庫、冷凍庫、コンテナなどの内部の空気を冷却する。
【0027】
〈熱交換器〉
図2図4に示すように、熱交換器(10)は、シェル(11)と、プレート積層体(30)と、を有する。プレート積層体(30)は、シェル(11)の内部空間(15)に収容される。
【0028】
シェル(11)の内部空間(15)には、液冷媒が流入する。液冷媒は、プレート積層体(30)内を流通する熱媒体と熱交換する。このように、熱交換器(10)は、シェル(11)内の内部空間(15)へ流入した冷媒を蒸発させることによって、蒸発器として機能する。なお、熱媒体としては、例えば、水やブラインが用いられる。
【0029】
〈シェル〉
シェル(11)は、筒状体(12)と、第1閉塞部材(13)と、第2閉塞部材(14)と、を有する。筒状体(12)は、水平方向に延びて軸方向の両端が開口した円筒状の部材で構成される。
【0030】
第1閉塞部材(13)は、筒状体(12)の一端側(図2で左端側)の開口を塞ぐ。第1閉塞部材(13)は、溶接によって筒状体(12)に取り付けられる。第1閉塞部材(13)は、筒状体(12)の軸方向外方に突出する湾曲状に形成される。
【0031】
第2閉塞部材(14)は、筒状体(12)の他端側(図2で右端側)の開口を塞ぐ。第2閉塞部材(14)は、溶接によって筒状体(12)に取り付けられる。第2閉塞部材(14)は、筒状体(12)の軸方向外方に突出する湾曲状に形成される。
【0032】
シェル(11)は、筒状体(12)、第1閉塞部材(13)、及び第2閉塞部材(14)によって、内部空間(15)を形成する。内部空間(15)内には、液冷媒が貯留される。内部空間(15)には、プレート積層体(30)が収容される。筒状体(12)の軸方向の長さは、プレート積層体(30)の積層方向の長さよりも短い。
【0033】
これにより、第1閉塞部材(13)の内部には、筒状体(12)の左端部からはみ出したプレート積層体(30)の左端部が配置される。また、第2閉塞部材(14)の内部には、筒状体(12)の右端部からはみ出したプレート積層体(30)の右端部が配置される。
【0034】
このように、第1閉塞部材(13)及び第2閉塞部材(14)を湾曲状に形成することで、シェル(11)の内部空間(15)へ流入した冷媒の圧力による変形を抑えつつ、シェル(11)全体として軽量化を図ることができる。また、湾曲状に形成された第1閉塞部材(13)及び第2閉塞部材(14)の内部にプレート積層体(30)の一部を配置することで、シェル(11)全体として小型化を図ることができる。
【0035】
筒状体(12)には、冷媒入口(21)と、冷媒出口(22)と、が設けられる。冷媒入口(21)は、筒状体(12)の底部に設けられる。冷媒は、冷媒入口(21)から内部空間(15)に導入される。
【0036】
冷媒出口(22)は、筒状体(12)の上部に設けられる。内部空間(15)で蒸発した冷媒は、冷媒出口(22)からシェル(11)外に導出される。冷媒入口(21)及び冷媒出口(22)は、冷媒回路(1a)に接続される。
【0037】
第1閉塞部材(13)には、熱媒体入口(23)と、熱媒体出口(24)と、が設けられる。熱媒体入口(23)及び熱媒体出口(24)は、管状の部材である。
【0038】
熱媒体入口(23)は、第1閉塞部材(13)を貫通する。熱媒体入口(23)は、プレート積層体(30)の熱媒体導入路(33)に接続される。熱媒体入口(23)は、熱媒体をプレート積層体(30)へ供給する。シェル(11)の内部空間(15)へ流入した冷媒と、プレート積層体(30)の後述する熱媒体流路(32)へ流入した熱媒体とが熱交換する。
【0039】
熱媒体出口(24)は、熱媒体入口(23)よりも上方位置で、第1閉塞部材(13)を貫通する。熱媒体出口(24)は、プレート積層体(30)の熱媒体導出路(34)に接続される。熱媒体出口(24)は、プレート積層体(30)から熱媒体を導出する。
【0040】
〈プレート積層体〉
プレート積層体(30)は、積層されて互いに接合された複数の伝熱プレート(40)を有する。プレート積層体(30)は、伝熱プレート(40)の積層方向が横方向となる姿勢で、シェル(11)の内部空間(15)に収容される。
【0041】
図5に示すように、伝熱プレート(40)は、第1プレート(40a)と、第2プレート(40b)と、を含む。プレート積層体(30)では、第1プレート(40a)と第2プレート(40b)とが、交互に積層される。以下の説明では、第1プレート(40a)と第2プレート(40b)のそれぞれについて、図5における左側の面を表面とし、図5における右側の面を裏面とする。
【0042】
〈熱媒体導入路、熱媒体導出路〉
第1プレート(40a)は、入口凸部(41a)と、出口凸部(43a)と、を有する。入口凸部(41a)及び出口凸部(43a)は、第1プレート(40a)の一部を表面側に膨出させることで形成される。
【0043】
入口凸部(41a)は、第1プレート(40a)の下部に形成される。入口凸部(41a)の中心部には、第1入口孔(42a)が形成される。第1入口孔(42a)は、第1プレート(40a)を厚さ方向に貫通する円形の孔である。
【0044】
出口凸部(43a)は、第1プレート(40a)の上部に形成される。出口凸部(43a)の中心部には、第1出口孔(44a)が形成される。第1出口孔(44a)は、第1プレート(40a)を厚さ方向に貫通する円形の孔である。
【0045】
第2プレート(40b)は、入口凹部(41b)と、出口凹部(43b)と、を有する。入口凹部(41b)及び出口凹部(43b)は、第2プレート(40b)の一部を裏面側に膨出させることで形成される。
【0046】
入口凹部(41b)は、第2プレート(40b)の下部に形成される。入口凹部(41b)の中心部には、第2入口孔(42b)が形成される。第2入口孔(42b)は、第2プレート(40b)を厚さ方向に貫通する円形の孔である。入口凹部(41b)は、第1プレート(40a)の入口凸部(41a)に対応する位置に形成される。第2入口孔(42b)は、第1プレート(40a)の第1入口孔(42a)に対応する位置に形成される。
【0047】
出口凹部(43b)は、第2プレート(40b)の上部に形成される。出口凹部(43b)の中心部には、第2出口孔(44b)が形成される。第2出口孔(44b)は、第2プレート(40b)を厚さ方向に貫通する円形の孔である。出口凹部(43b)は、第1プレート(40a)の出口凸部(43a)に対応する位置に形成される。第2出口孔(44b)は、第1プレート(40a)の第1出口孔(44a)に対応する位置に形成される。
【0048】
プレート積層体(30)において、第1プレート(40a)の周縁部と、第1プレート(40a)の裏面側に隣接する第2プレート(40b)の周縁部とは、溶接によって全周に亘って接合される。なお、ロウ付けによって接合してもよい。
【0049】
プレート積層体(30)では、第1プレート(40a)の第1入口孔(42a)と、第1プレート(40a)の表面側に隣接する第2プレート(40b)の第2入口孔(42b)と、が重なり合う。重なり合った第1入口孔(42a)及び第2入口孔(42b)の縁部が、溶接によって全周に亘って接合される。なお、ロウ付けによって接合してもよい。第1入口孔(42a)及び第2入口孔(42b)は、後述する熱媒体流路(32)に連通して、熱媒体流路(32)へ熱媒体を導入する。
【0050】
プレート積層体(30)では、第1プレート(40a)の第1出口孔(44a)と、第1プレート(40a)の表面側に隣接する第2プレート(40b)の第2出口孔(44b)と、が重なり合う。重なり合った第1出口孔(44a)及び第2出口孔(44b)の縁部が、溶接によって全周に亘って接合される。なお、ロウ付けによって接合してもよい。第1出口孔(44a)及び第2出口孔(44b)は、後述する熱媒体流路(32)に連通して、熱媒体流路(32)から熱媒体を導出する。
【0051】
プレート積層体(30)では、第1プレート(40a)の入口凸部(41a)及び第1入口孔(42a)と、第2プレート(40b)の入口凹部(41b)及び第2入口孔(42b)と、によって、熱媒体導入路(33)が形成される。
【0052】
プレート積層体(30)では、第1プレート(40a)の出口凸部(43a)及び第1出口孔(44a)と、第2プレート(40b)の出口凹部(43b)及び第2出口孔(44b)と、によって、熱媒体導出路(34)が形成される。
【0053】
熱媒体導入路(33)は、プレート積層体(30)における伝熱プレート(40)の積層方向に延びる通路である。熱媒体導入路(33)は、シェル(11)の内部空間(15)から遮断された通路であり、全ての熱媒体流路(32)を熱媒体入口(23)に連通させる。
【0054】
熱媒体導出路(34)は、プレート積層体(30)における伝熱プレート(40)の積層方向に延びる通路である。熱媒体導出路(34)は、シェル(11)の内部空間(15)から遮断された通路であり、全ての熱媒体流路(32)を熱媒体出口(24)に連通させる。
【0055】
〈冷媒流路、熱媒体流路〉
プレート積層体(30)は、冷媒流路(31)と、熱媒体流路(32)と、を有する。冷媒流路(31)及び熱媒体流路(32)は、伝熱プレート(40)を挟んで複数ずつ形成される。冷媒流路(31)及び熱媒体流路(32)は、伝熱プレート(40)によって互いに仕切られる。第1プレート(40a)及び第2プレート(40b)にはそれぞれ、細長い畝状の凹凸が繰り返し形成される。
【0056】
第1プレート(40a)には、第1表側凸部(45a)と、第1裏側凸部(47a)と、が繰り返し交互に設けられる。第1表側凸部(45a)は、第1プレート(40a)の表側に膨出する。第1裏側凸部(47a)は、第1プレート(40a)の裏側に膨出する。
【0057】
第2プレート(40b)には、第2表側凸部(47b)と、第2裏側凸部(45b)と、が繰り返し交互に設けられる。第2表側凸部(47b)は、第2プレート(40b)の表側に膨出する。第2裏側凸部(45b)は、第2プレート(40b)の裏側に膨出する。
【0058】
冷媒流路(31)は、第1プレート(40a)の表面と、第2プレート(40b)の裏面と、に挟まれた流路である。冷媒流路(31)は、シェル(11)の内部空間(15)に連通して冷媒が流れる流路である。
【0059】
具体的に、冷媒流路(31)は、第1裏側凸部(47a)の表面と第2表側凸部(47b)の裏面との間に形成される流路と、第1表側凸部(45a)と第2裏側凸部(45b)との間に形成される空間と、を含む。
【0060】
熱媒体流路(32)は、第1プレート(40a)の裏面と、第2プレート(40b)の表面と、に挟まれた流路である。熱媒体流路(32)は、シェル(11)の内部空間(15)から遮断されて熱媒体が流れる流路である。
【0061】
具体的に、熱媒体流路(32)は、第1表側凸部(45a)の裏面と第2裏側凸部(45b)の表面との間に形成される流路と、第1裏側凸部(47a)と第2表側凸部(47b)との間に形成される空間と、を含む。
【0062】
〈熱媒体及び冷媒の流れ〉
熱交換器(10)内における熱媒体及び冷媒の流れについて説明する。なお、図5には、熱媒体の流れを矢印線で示す。
【0063】
図5に示すように、熱媒体は、熱媒体入口(23)から熱媒体導入路(33)に流入する。熱媒体導入路(33)を流通する熱媒体は、第1入口孔(42a)及び第2入口孔(42b)から第1出口孔(44a)及び第2出口孔(44b)に向かって熱媒体流路(32)を流通する。
【0064】
具体的に、熱媒体導入路(33)を流通する熱媒体は、熱媒体流路(32)に流入する。熱媒体は、熱媒体流路(32)を伝って流れると同時に、第1裏側凸部(47a)と第2表側凸部(47b)との間に形成される空間を通過して、熱媒体流路(32)の上側に隣接する熱媒体流路(32)に流れる。このように、熱媒体は、伝熱プレート(40)の両側端に亘るように流れつつ、上方に向かって流れる。
【0065】
次に、冷媒の流れについて説明する。冷媒回路(1a)において減圧機構(4)を通過した冷媒は、熱交換器(10)に向かって流れる。液冷媒は、冷媒入口(21)からシェル(11)の内部空間(15)に流入する。内部空間(15)において、液冷媒は、プレート積層体(30)の上端近傍まで貯留される。プレート積層体(30)は、液冷媒に浸った状態となる。内部空間(15)に貯留される冷媒は、比較的低圧である。低圧冷媒は、熱媒体流路(32)を流れる熱媒体と熱交換する。
【0066】
具体的に、冷媒流路(31)と熱媒体流路(32)とは、伝熱プレート(40)を挟んで隣接しているため、熱媒体流路(32)に熱媒体が流れると、液冷媒は、熱媒体から吸熱して蒸発する。蒸発した冷媒は、冷媒流路(31)からプレート積層体(30)よりも上方に向かって移動する。蒸発した冷媒は、冷媒出口(22)より冷媒回路へ流出する。
【0067】
-実施形態1の効果-
本実施形態の特徴によれば、第1閉塞部材(13)及び第2閉塞部材(14)の少なくとも一方を湾曲状に形成することで、シェル(11)の内部空間(15)へ流入した冷媒の圧力による変形を抑えつつ、シェル(11)全体として軽量化を図ることができる。また、湾曲状に形成された第1閉塞部材(13)及び第2閉塞部材(14)の少なくとも一方の内部にプレート積層体(30)の一部を配置することで、シェル(11)全体として小型化を図ることができる。
【0068】
本実施形態の特徴によれば、筒状体(12)の軸方向の長さを、プレート積層体(30)の積層方向の長さよりも短くすることで、シェル(11)全体として小型化を図ることができる。
【0069】
本実施形態の特徴によれば、第1閉塞部材(13)及び第2閉塞部材(14)の両方を湾曲状に形成することで、シェル(11)の内部空間(15)へ流入した冷媒の圧力による変形を抑えつつ、シェル(11)全体として軽量化を図ることができる。
【0070】
本実施形態の特徴によれば、第1閉塞部材(13)及び第2閉塞部材(14)を、溶接によって筒状体(12)に取り付けることで、シェル(11)の強度を高めることができる。
【0071】
本実施形態の特徴によれば、シェルアンドプレート式熱交換器(10)と、シェルアンドプレート式熱交換器(10)で熱交換させる冷媒が流れる冷媒回路(1a)と、を備える。これにより、シェルアンドプレート式熱交換器(10)を備えた冷凍装置を提供できる。
【0072】
《実施形態2》
以下、前記実施形態1と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0073】
図6及び図7に示すように、シェル(11)は、筒状体(12)と、第1閉塞部材(13)と、第2閉塞部材(14)と、を有する。シェル(11)の内部空間(15)には、プレート積層体(30)が収容される。
【0074】
シェル(11)は、補強部材(50)を有する。補強部材(50)は、第1補強部材(51)と、第2補強部材(52)と、を含む。第1補強部材(51)及び第2補強部材(52)は、上下方向に延びる板状の部材で構成される。
【0075】
第1補強部材(51)は、プレート積層体(30)の積層方向の一方の端部(図6で右端部)と、湾曲状に形成された第1閉塞部材(13)の内壁面と、の間に配置される。第1補強部材(51)は、第1閉塞部材(13)に溶接される。なお、第1補強部材(51)は、プレート積層体(30)に溶接された構成としてもよい。
【0076】
第1補強部材(51)は、プレート積層体(30)の左端部を支持する。第1補強部材(51)は、図6の紙面奥行方向(図7の上下方向)に互いに間隔をあけて複数設けられる。
【0077】
第2補強部材(52)は、プレート積層体(30)の積層方向の他方の端部(図6で右端部)と、湾曲状に形成された第2閉塞部材(14)の内壁面と、の間に配置される。第2補強部材(52)は、第2閉塞部材(14)に溶接される。なお、第2補強部材(52)は、プレート積層体(30)に溶接された構成としてもよい。
【0078】
第2補強部材(52)は、プレート積層体(30)の右端部を支持する。第2補強部材(52)は、図6の紙面奥行方向(図7の上下方向)に互いに間隔をあけて複数設けられる。
【0079】
-実施形態2の効果-
本実施形態の特徴によれば、プレート積層体(30)を補強部材(50)で支持することで、シェルアンドプレート式熱交換器全体として強度を高めることができる。
【0080】
本実施形態の特徴によれば、プレート積層体(30)が積層方向に変形するのを、補強部材(50)によって抑えることができる。
【0081】
本実施形態の特徴によれば、補強部材(50)を複数設けることで、シェルアンドプレート式熱交換器全体として強度を高めることができる。
【0082】
なお、プレート積層体(30)の内部において、隣接する伝熱プレート(40)同士がロウ付けされている場合のように、プレート積層体(30)の積層方向の強度が十分に確保できるのであれば、補強部材(50)を設けない構成としてもよい。
【0083】
《その他の実施形態》
以上、実施形態及び変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態に係る要素を適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。また、明細書及び特許請求の範囲の「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上説明したように、本開示は、シェルアンドプレート式熱交換器及び冷凍装置について有用である。
【符号の説明】
【0085】
1 冷凍装置
1a 冷媒回路
10 シェルアンドプレート式熱交換器
11 シェル
12 筒状体
13 第1閉塞部材
14 第2閉塞部材
15 内部空間
30 プレート積層体
32 熱媒体流路
40 伝熱プレート
50 補強部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-07-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間(15)を有するシェル(11)と、積層されて互いに接合された複数の伝熱プレート(40)を有し且つ前記内部空間(15)に収容されたプレート積層体(30)と、を備え、前記シェル(11)の前記内部空間(15)へ流入した冷媒と前記プレート積層体(30)の熱媒体流路(32)へ流入した熱媒体とを熱交換させるシェルアンドプレート式熱交換器であって、
前記シェル(11)は、軸方向の両端が開口した筒状体(12)と、前記筒状体(12)の一端側の開口を塞ぐ第1閉塞部材(13)と、前記筒状体(12)の他端側の開口を塞ぐ第2閉塞部材(14)と、を有し、
前記第1閉塞部材(13)及び前記第2閉塞部材(14)の少なくとも一方は、前記筒状体(12)の軸方向外方に突出する湾曲状に形成され、
湾曲状に形成された前記第1閉塞部材(13)及び前記第2閉塞部材(14)の少なくとも一方の内部には、前記プレート積層体(30)の一部が配置される
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項2】
請求項1のシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記筒状体(12)の軸方向の長さは、前記プレート積層体(30)の積層方向の長さよりも短い
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項3】
請求項1又は2のシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記第1閉塞部材(13)及び前記第2閉塞部材(14)の両方は、前記筒状体(12)の軸方向外方に突出する湾曲状に形成される
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項4】
請求項1又は2のシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記プレート積層体(30)と、湾曲状に形成された前記第1閉塞部材(13)及び前記第2閉塞部材(14)の少なくとも一方と、の間に配置され、前記プレート積層体(30)を支持する補強部材(50)を備える
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項5】
請求項4のシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記補強部材(50)は、前記プレート積層体(30)の積層方向の端部と、湾曲状に形成された前記第1閉塞部材(13)及び前記第2閉塞部材(14)の少なくとも一方の内壁面と、の間で延びるように配置される
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項6】
請求項5のシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記補強部材(50)は、互いに間隔をあけて複数設けられる
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項7】
請求項1又は2のシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記第1閉塞部材(13)及び前記第2閉塞部材(14)は、溶接によって前記筒状体(12)に取り付けられる
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項8】
請求項1又は2のシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記第1閉塞部材(13)又は前記第2閉塞部材(14)を貫通して、前記熱媒体流路(32)に接続された熱媒体入口(23)及び熱媒体出口(24)を備える
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項9】
請求項1又は2のシェルアンドプレート式熱交換器(10)と、
前記シェルアンドプレート式熱交換器(10)で熱交換させる冷媒が流れる冷媒回路(1a)と、を備える
冷凍装置。