(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142013
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】モータユニット
(51)【国際特許分類】
B60K 6/40 20071001AFI20241003BHJP
B60K 6/442 20071001ALI20241003BHJP
B60K 6/38 20071001ALI20241003BHJP
B60K 17/04 20060101ALI20241003BHJP
B60L 9/18 20060101ALI20241003BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20241003BHJP
B60L 50/16 20190101ALI20241003BHJP
【FI】
B60K6/40
B60K6/442 ZHV
B60K6/38
B60K17/04 G
B60L9/18 J
B60L15/20 K
B60L50/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053948
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 翔
(72)【発明者】
【氏名】檀上 弥輝
【テーマコード(参考)】
3D039
3D202
5H125
【Fターム(参考)】
3D039AA02
3D039AA03
3D039AB01
3D039AC03
3D039AD01
3D202AA02
3D202EE12
3D202EE16
3D202EE19
3D202EE21
3D202EE23
3D202FF12
3D202FF13
3D202FF15
5H125AA01
5H125AC08
5H125BA00
5H125BE05
5H125FF01
(57)【要約】
【課題】シリーズハイブリッド車両用のモータユニットにおいて、入力軸方向の長さを短くして、車両への実装を容易とする。
【解決手段】実施形態のモータユニットは、エンジンと、発電用の第1モータジェネレータと、駆動用の第2モータジェネレータと、前記エンジンの出力により駆動されるオイルポンプと、を備えたハイブリッド車両のモータユニットであって、直達軸と、前記直達軸に設けられ、前記エンジンの出力を駆動軸へ伝達・遮断する直達クラッチと、を備え、前記第1モータジェネレータ、前記第2モータジェネレータ及び前記直達軸は、同軸上に配置されており、前記オイルポンプの駆動軸は、前記直達軸とは、別軸に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、発電用の第1モータジェネレータと、駆動用の第2モータジェネレータと、前記エンジンの出力により駆動されるオイルポンプと、を備えたハイブリッド車両のモータユニットであって、
直達軸と、
前記直達軸に設けられ、前記エンジンの出力を駆動軸へ伝達・遮断する直達クラッチと、
を備え、
前記第1モータジェネレータ、前記第2モータジェネレータ及び前記直達軸は、同軸上に配置されており、
前記オイルポンプの駆動軸は、前記直達軸とは、別軸に設けられている、
モータユニット。
【請求項2】
前記オイルポンプの駆動軸に設けられたオイルポンプギアは前記直達クラッチと同じケースに収容され、
前記オイルポンプギアは前記直達クラッチのクラッチハブと噛み合っており、
前記クラッチハブは、前記オイルポンプを駆動するためのポンプドライブギアとして機能している、
請求項1に記載のモータユニット。
【請求項3】
ベアリングを保持するベアリングリテーナを有し、
前記ベアリングリテーナは、前記オイルポンプを覆うポンプカバーとして機能している、
請求項1に記載のモータユニット。
【請求項4】
前記オイルポンプを、前記直達軸の軸方向において、前記直達軸と前記第1モータジェネレータとの間に配置可能に、前記直達クラッチが設けられている、
請求項1に記載のモータユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、モータユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンに連結され回転駆動する入力軸と、入力軸から発電用の第1モータジェネレータにトルクを伝達するとともに、駆動用の第2モータジェネレータが発生した駆動力を駆動輪に伝達する伝達機構と、を備えるハイブリッド車両用のモータユニットが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなモータユニットを備えたハイブリッド車両において、直達クラッチ、発電用の第1モータジェネレータの軸及び駆動用の第2モータジェネレータの軸及びオイルポンプの軸をそれぞれ別軸上に配置した場合には、モータユニットの幅方向の寸法が大きくなることとなっていた。またオイルポンプを駆動するためのポンプ駆動ギアもエンジンの出力軸上に配置する必要があり、軸長方向の寸法も大きくなることとなっていた。
これにより、エンジンの出力軸(モーターユニットの入力軸)の軸方向の長さの制約が大きい場合には、モータユニットの実装が困難となる虞があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、シリーズハイブリッド車両用のモータユニットにおいて、エンジンの出力軸の長さを短くして、車両への実装が容易となるモータユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態のモータユニットは、エンジンと、発電用の第1モータジェネレータと、駆動用の第2モータジェネレータと、前記エンジンの出力により駆動されるオイルポンプと、を備えたハイブリッド車両のモータユニットであって、直達軸と、前記直達軸に設けられ、前記エンジンの出力を駆動軸へ伝達・遮断する直達クラッチと、を備え、前記第1モータジェネレータ、前記第2モータジェネレータ及び前記直達軸は、同軸上に配置されており、前記オイルポンプの駆動軸は、前記直達軸とは、別軸に設けられている。
【0007】
この構成によれば、オイルポンプの設置によるモータユニットの入力軸方向の長さへの影響を抑制可能な位置にオイルポンプを配置することができ、ひいては、モータユニットの入力軸方向の長さを短くすることができ、車両への実装を容易とすることができる。
【0008】
また、実施形態のモータユニットは、前記オイルポンプの駆動軸に設けられたオイルポンプギアは前記直達クラッチと同じケースに収容され、前記オイルポンプギアは前記直達クラッチのクラッチハブと噛み合っており、前記クラッチハブは、前記オイルポンプを駆動するためのポンプドライブギアとして機能している。
【0009】
この構成によれば、モータユニットを構成する部品点数を削減しつつ、オイルポンプを駆動することができ、メンテナンス性を向上させつつ、モータユニットの重量を低減することができる。
【0010】
また、実施形態のモータユニットにおいて、前記オイルポンプギアは、前記ポンプドライブギアの回転を増速して伝達する。
この構成によれば、オイルポンプの効率を向上させることができる。
【0011】
また実施形態のモータユニットは、ベアリングを保持するベアリングリテーナを有し、
前記ベアリングリテーナは、前記オイルポンプを覆うポンプカバーとして機能している。
この構成によれば、部品点数を削減できるとともに、オイルポンプを確実に保護しつつ、メンテナンス性を向上させることができる。
【0012】
また実施形態のモータユニットは、前記ポンプを、前記直達軸の軸方向において、前記直達軸と前記第1モータジェネレータとの間に配置可能に、前記直達クラッチが設けられている。
この構成によれば、オイルポンプの設置によるモータユニットの入力軸方向の長さへの影響なくオイルポンプを配置することができ、ひいては、モータユニットの入力軸方向の長さを短くすることができ、車両への実装を容易とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかるモータユニットによれば、シリーズハイブリッド車両用のモータユニットにおいて、入力軸方向の長さを短くして、車両への実装が容易となる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、ハイブリッド車両の駆動系のスケルトン図である。
【
図2】
図2は、モータユニットの外観正面斜視図である。
【
図3】
図3は、カバーを除いたモータユニットの外観正面斜視図である。
【
図4】
図4は、オイルポンプ周辺のモータユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明にかかる車両制御装置の一例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、ハイブリッド車両の駆動系のスケルトン図である。
ハイブリッド車両10は、シリーズ方式のハイブリッドシステムを搭載した車両として構成されている。
【0016】
ハイブリッド車両10は、エンジン11と、第1モータジェネレータ12と、第2モータジェネレータ13と、第1ドグクラッチ14と、第2ドグクラッチ15と、直達軸DRDXと、直達クラッチ16と、直達ギア17と、駆動モータギア18と、ポンプ駆動ギア19と、ポンプギア20と、第1リダクションギア21と、リダクション軸REDXと、第2リダクションギア22と、リングギア23と、ディファレンシャルギア24と、ドライブシャフト25と、駆動輪26と、発電モータ駆動ギア27と、オイルポンプ28と、を備えている。
【0017】
上記構成において、直達ギア17、駆動モータギア18、ポンプ駆動ギア19及びポンプギア20は、モータユニット30を構成している。
【0018】
エンジン11は、例えば、3気筒4ストロークのレシプロエンジンでとして構成されており、燃焼室への吸気量を調整するための電子スロットルバルブ、燃料を吸入空気に噴射するインジェクタ(燃料噴射装置)および燃焼室内に電気放電を生じさせる点火プラグなどが設けられている。
【0019】
第1モータジェネレータ12は、エンジン11により駆動可能とするため、エンジン11に直結されている。これにより第1モータジェネレータ12は、エンジン11のクランクシャフトと一体に回転軸が回転して、発電を行う。
【0020】
第2モータジェネレータ13は、ハイブリッド車両10の走行用の駆動力を発生する駆動モータとして、その回転軸がハイブリッド車両10の走行駆動系に連結されている。
ここで、第1モータジェネレータ12及び第2モータジェネレータ13は、例えば、永久磁石同期モータ(PMSM:Permanent Magnet Synchronous Motor)として構成されている。
【0021】
第1ドグクラッチ14は、発電モータとして機能する第1モータジェネレータ12に対するエンジン11の駆動力の発電モータ駆動ギア27を介した伝達/遮断を行う。
第2ドグクラッチ15は、駆動モータとして機能する第2モータジェネレータ13の駆動力の後述の走行駆動系に対する駆動モータギア18を介した伝達/遮断を行うとともに、走行駆動系の駆動力を駆動モータギア18に対する駆動モータギア18を介した伝達/遮断を行う。
【0022】
直達軸DRDXは、エンジン11の駆動力をおいる後述の走行駆動系に直接伝達する。
直達クラッチ16は、直達軸DRDXの駆動力の直達ギア17に対する伝達/遮断を行う。
直達ギア17は、エンジン11の駆動力の後述の走行駆動系に対する直接の伝達/遮断を行う。
【0023】
駆動モータギア18は、走行駆動系の駆動動作時には、第2モータジェネレータ13の駆動力を後述の走行駆動系に伝達し、回生動作時には、後述の走行駆動系の駆動力を第2モータジェネレータ13に伝達する。
ポンプ駆動ギア19は、直達軸DRDXを介して伝達されたエンジン11の駆動力をポンプギア20に伝達する。
ポンプギア20は、直達軸DRDX及びポンプ駆動ギア19を介して伝達されたエンジン11の駆動力をオイルポンプ28に伝達してオイルポンプ28を駆動する。
【0024】
第1リダクションギア21は、第2モータジェネレータ13と後述の走行駆動系との間における駆動モータギア18を介した駆動力の伝達を行う。
リダクション軸REDXは、第1リダクションギア21と第2リダクションギア22との間で双方向に駆動力の伝達を行う。
【0025】
第2リダクションギア22は、走行駆動系の駆動動作時には、第1リダクションギア21を介した第2モータジェネレータの駆動力あるいは直達ギア17を介したエンジン11の駆動力を後述の走行駆動系に伝達するとともに、回生動作時には、後述の走行駆動系の駆動力を第1リダクションギア21を介して第2モータジェネレータ13に伝達する。
【0026】
リングギア23、ディファレンシャルギア24、ドライブシャフト25及び駆動輪26は、走行駆動系を構成しており、エンジン11あるいは第2モータジェネレータ13からの駆動力は、リングギア23に伝達される。
【0027】
リングギア23に伝達された駆動力は、ディファレンシャルギア24及び左右のドライブシャフト25を介して、左右の駆動輪26に伝達され、駆動輪26が回転する。
そして、駆動輪26の回転により、ハイブリッド車両10が前進走行または後進走行することとなる。
【0028】
上記構成において、直達軸DRDXと、第1モータジェネレータ12の軸及び第2モータジェネレータの軸は、同軸上に配置されている。
したがって直達クラッチ16、直達ギア17及びポンプ駆動ギア19も、第1モータジェネレータ12の軸及び第2モータジェネレータの軸と同軸上に配置されている。
【0029】
これらに対し、オイルポンプ28のポンプ軸PMPXは、別軸に設けられている。
さらに、オイルポンプ28を直達軸DRDXの軸方向において、直達軸DRDXと、第1モータジェネレータ12の配置位置内に配置可能となるように、直達クラッチ16が設けられている。
【0030】
この構成によれば、オイルポンプ28の設置による直達軸DRDXの軸方向の長さへの影響なくオイルポンプ28を設置することができる。ひいては、モータユニット30の直達軸DRDXの軸方向の長さを短くすることができ、車両への実装を容易とすることができる。
【0031】
図2は、モータユニットの外観正面斜視図である。
モータユニット30は、金属製のカバー40Aを有し、このカバー40Aに覆われて、カバー40A内に収納されている。カバー40Aの中央部には、エンジン11の出力軸OUTXに接続された入力軸INPXが配置されている。
【0032】
図2中、入力軸INPXの右上方には、第1モータジェネレータ12のドグ(常時噛み合い歯車)が収納されたドグ収納部MG1Dが配置され、入力軸INPXの左上方には、第2モータジェネレータ13のドグが収納されたドグ収納部MG2Dが配置されている。
また入力軸INPXの左側には、リダクション軸REDXが配置されている。
さらに入力軸INPXの右側には、オイルポンプ28のポンプ軸PMPXを収納したポンプ軸収納部PMPDが配置されている。
【0033】
上記構成において、エンジン11の出力軸OUTX、モータユニット30の入力軸INPX、第1モータジェネレータ12の回転中心軸及び第2モータジェネレータ13の回転中心軸は、軸AX1に沿って、同軸に配置されている。
これに対し、ポンプ軸PMPXは、軸AX1とは別軸であって、軸AX1と平行な軸AX2に沿って配置されている。
【0034】
この結果、オイルポンプ28を軸AX1に沿って、入力軸の先端から第1モータジェネレータの後端までの範囲内に配置することができるため、モータユニット30の軸AX1に沿った長さ、すなわち、モータユニット30の入力軸INPX方向の長さを短くして、車両への実装を容易とすることができる。
【0035】
また、第1モータジェネレータ12あるいは第2モータジェネレータ13と回転速度を一致させる必要が無いので、オイルポンプ28を増速することが可能となり、オイルポンプ28の効率向上を図ることができる。
【0036】
図3は、カバーを除いたモータユニットの外観正面斜視図である。
図3に示すように、モータユニット30は、ポンプ軸PMPX、リダクション軸REDX、入力軸INPXなどの軸を回転可能に支持するベアリングを保持するためのベアリングリテーナ51を備えている。
【0037】
このベアリングリテーナ51は、オイルポンプ28を保護するためのポンプカバーとして機能する形状とされている。これにより、別途ポンプカバーを設ける必要が無いため、部品点数を削減してメンテナンス性を向上させることが出来るとともに、モータユニット30の重量を低減することができるようになっている。
【0038】
次にモータユニット30の構成部材と、オイルポンプ28との配置関係について詳細に説明する。
図4は、オイルポンプ周辺のモータユニットの断面図である。
図4に示すように、直達軸として機能している入力軸INPXには、湿式のクラッチハブとして構成され、湿式多板クラッチ部16Aを有する直達クラッチ16が設けられている。
この直達クラッチ16は、直達ギア19を入力軸INPXと一体に回転可能に結合し、あるいは、結合を解除する。
【0039】
ポンプ駆動ギア19には、ポンプギア20が噛合し、ポンプ駆動ギア19とポンプ軸PMPXに設けられたポンプギア20とは、同じケーシング(ケーシングの一部がポンプカバーを兼ねたベアリングリテーナ51で構成)内に収容されている。
【0040】
したがって、ポンプ駆動ギア19を介して、ポンプギア20は、入力軸INPXと一体に回転可能とされている。
すなわち、ポンプ駆動ギア19は、オイルポンプ28のポンプ軸PMPXを駆動するポンプドライブとして機能している。
【0041】
そして、オイルポンプ28のロータ28Aは、ポンプ軸PMPXが回転駆動されることにより回転して、オイルを循環することとなる。
上記構成によれば、オイルポンプ28を駆動するためのドライブギアを別途設ける必要がないので、製造コストを削減でき、モータユニット30のコンパクト化が図れる。
【0042】
また、オイルポンプ28の増速を容易に図ることができ、オイルポンプの効率を向上できる。この結果、オイルポンプの小型化を図ることも可能となり、さらなる装置容積及び装置重量の低減が図れる。
【符号の説明】
【0043】
10 ハイブリッド車両
11 エンジン
12 第1モータジェネレータ(発電用)
13 第2モータジェネレータ(駆動用)
14 第1ドグクラッチ
15 第2ドグクラッチ
16 直達クラッチ
16A 湿式多板クラッチ部
17 直達ギア
18 駆動モータギア
19 直達ギア
20 ポンプギア
21 第1リダクションギア
22 第2リダクションギア
23 リングギア
24 ディファレンシャルギア
25 ドライブシャフト
26 駆動輪
27 発電モータ駆動ギア
28 オイルポンプ
28A ロータ
30 モータユニット
40A カバー(ポンプカバー)
51 ベアリングリテーナ
DRDX 直達軸
INPX 入力軸
MG1D ドグ収納部
MG2D ドグ収納部
OUTX 出力軸
PMPD ポンプ軸収納部
PMPX ポンプ軸
REDX リダクション軸