IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブラザー工業株式会社の特許一覧

特開2024-142017保守装置、送信方法、コンピュータプログラム
<>
  • 特開-保守装置、送信方法、コンピュータプログラム 図1
  • 特開-保守装置、送信方法、コンピュータプログラム 図2
  • 特開-保守装置、送信方法、コンピュータプログラム 図3
  • 特開-保守装置、送信方法、コンピュータプログラム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142017
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】保守装置、送信方法、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20241003BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20241003BHJP
【FI】
G06Q10/20
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053959
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 有礼
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA20
5L049AA20
5L049CC04
5L050CC04
(57)【要約】
【課題】複数の端末を設置することなく、複数の保守対象のデータを送信することができる保守装置、送信方法、コンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】保守装置は、複数の保守対象に接続可能な接続部と、サーバとの通信が可能な通信部と、呼出の為の操作を受け付ける単数の受付部と、前記受付部から前記操作を受け付けた場合、前記接続部に接続した各保守対象からデータを取得する取得部とを備え、前記取得部にて取得した前記データを前記通信部から前記サーバに送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の保守対象に通信可能に接続する接続部と、
サーバとの通信が可能な通信部と、
呼出の為の操作を受け付ける単数の受付部と、
前記受付部から前記操作を受け付けた場合、前記接続部に接続した各保守対象からデータを取得する取得部と
を備え、
前記取得部にて取得した前記データを前記通信部から前記サーバに送信する
保守装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記受付部にて前記操作を受け付けた場合、前記接続部に接続した各保守対象から第一データを取得し、
前記取得部にて取得した前記第一データに基づき、前記各保守対象に発生する異常に関する異常条件を満たすか否か判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に応じて前記各保守対象の順位を決定する決定部と
を備え、
前記取得部は、前記決定部にて決定した順位に従って、前記各保守対象から第二データを順に取得し、
前記取得部にて取得した前記第二データを前記通信部から前記サーバに順に送信する
請求項1に記載の保守装置。
【請求項3】
前記異常条件は前記保守対象からの応答が無いことを含み、
前記決定部は、前記判定部にて前記応答が無いと判定した保守対象の順位を前記応答が有ると判定した保守対象の順位よりも上に決定する
請求項2に記載の保守装置。
【請求項4】
前記異常条件は警告を報知する異常に関する第一条件を含む
請求項2又は3に記載の保守装置。
【請求項5】
前記第一条件は、前記異常が前記受付部にて呼出操作を受け付けた受付時点から遡って第一時間以内に発生し、且つ、前記各保守対象にて前記異常が発生した各時点の間の時間が第二時間以上であることを含み、
前記判定部にて、前記第一条件を満たすと判定した場合、前記決定部は、前記各保守対象にて前記異常が発生した各時点を時系列に並べた順番を前記各保守対象の順位に決定する
請求項4に記載の保守装置。
【請求項6】
前記警告を報知する異常に深刻度が予め紐づけてあり、
前記第一条件は、前記各保守対象にて発生した前記異常の前記深刻度が異なることを含み、
前記判定部にて、前記各保守対象にて発生した前記異常の前記深刻度が異なると判定した場合、前記決定部は、前記各保守対象にて発生した前記異常の前記深刻度の順番を前記各保守対象の順位に決定する
請求項4に記載の保守装置。
【請求項7】
前記警告を報知する異常に区分が予め紐づけてあり、
前記区分に優先順位が紐づけてあり、
前記第一条件は、前記各保守対象にて発生した前記異常の区分が異なることを含み、
前記判定部にて、前記各保守対象にて発生した前記異常の区分が異なると判定した場合、前記決定部は、前記各保守対象にて発生した前記異常の区分の優先順位を前記各保守対象の順位に決定する
請求項4に記載の保守装置。
【請求項8】
前記判定部にて、前記各保守対象にて発生した前記異常の区分が異ならないと判定した場合、前記決定部は、前記各保守対象にて発生した前記異常の発生頻度の順番を前記各保守対象の順位に決定する
請求項7に記載の保守装置。
【請求項9】
前記異常条件は、作業者が認知する異常であって、警告の報知が不要な異常に関する第二条件を含む
請求項2又は3に記載の保守装置。
【請求項10】
前記第二条件は、前記各保守対象の駆動時間が異なることを含み、
前記判定部にて、前記各保守対象の駆動時間が異なると判定した場合、前記決定部は、前記各保守対象の駆動時間の長さの順番を前記各保守対象の順位に決定する
請求項9に記載の保守装置。
【請求項11】
前記第二条件は、前記保守対象が通常の駆動状態とは異なる非通常駆動状態であることを含み、
前記決定部は、前記判定部にて前記非通常駆動状態であると判定した保守対象の順位を前記非通常駆動状態でないと判定した保守対象の順位よりも上に決定する
請求項9に記載の保守装置。
【請求項12】
前記第二データのデータ量は、前記受付部にて前記操作を受け付けていない場合に前記通信部から前記サーバに定期的に送信されるデータのデータ量よりも少ない
請求項2又は3に記載の保守装置。
【請求項13】
前記保守対象は工作機械を含む
請求項2又は3に記載の保守装置。
【請求項14】
単数の受付部にて呼出の為の操作を受け付けた場合、各保守対象からデータを取得し、
取得したデータをサーバに送信する
送信方法。
【請求項15】
複数の保守対象に接続可能な接続部と、サーバとの通信が可能な通信部と、単数の受付部とを備える保守装置にて実行可能なコンピュータプログラムであって、
前記保守装置に、
前記受付部にて呼出の為の操作を受け付けた場合、前記接続部に接続した各保守対象からデータを取得し、
取得したデータを前記通信部から前記サーバに送信する
処理を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、複数の保守対象におけるデータをサーバに送信する保守装置、送信方法、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子ビーム加工機(以下、加工機)に異常が発生した場合に、加工機のユーザは専用端末を介してセンターにサポートを要請し、加工機をネットワークに接続して、加工機のデータを保守対応センター(以下、センター)に送信する保守システムが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-200854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記保守システムにおいては、単数の加工機に単数の専用端末が対応しており、複数の加工機の保守を行う場合、複数の専用端末を設置する必要がある。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、複数の端末を設置することなく、複数の保守対象のデータを送信することができる保守装置、送信方法、コンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る保守装置は、複数の保守対象に接続可能な接続部と、サーバとの通信が可能な通信部と、呼出の為の操作を受け付ける単数の受付部と、前記受付部から前記操作を受け付けた場合、前記接続部に接続した各保守対象からデータを取得する取得部とを備え、前記取得部にて取得した前記データを前記通信部から前記サーバに送信する。
【0007】
本開示においては、単数の受付部に対する操作によって、複数の保守対象からデータを取得し、サーバに送信する。
【0008】
本開示の一実施形態に係る保守装置は、前記取得部は、前記受付部にて前記操作を受け付けた場合、前記接続部に接続した各保守対象から第一データを取得し、前記取得部にて取得した前記第一データに基づき、前記各保守対象に発生する異常に関する異常条件を満たすか否か判定する判定部と、前記判定部の判定結果に応じて前記各保守対象の順位を決定する決定部とを備え、前記取得部は、前記決定部にて決定した順位に従って、前記各保守対象から第二データを順に取得し、前記取得部にて取得した前記第二データを前記通信部から前記サーバに順に送信する。
【0009】
本開示においては、取得した第一データに基づき、各保守対象に発生する異常に関する異常条件を満たすか否か判定し、判定結果に応じて各保守対象の順位を決定する。決定した順位に従って、各保守対象から第二データを順に取得し、第二データをサーバに順に送信する。
【0010】
本開示の一実施形態に係る保守装置は、前記異常条件は前記保守対象からの応答が無いことを含み、前記決定部は、前記判定部にて前記応答が無いと判定した保守対象の順位を前記応答が有ると判定した保守対象の順位よりも上に決定する。
【0011】
本開示においては、保守対象からの応答が無いと判定した保守対象の順位を、応答が有ると判定した保守対象の順位よりも上に決定する。
【0012】
本開示の一実施形態に係る保守装置は、前記異常条件は警告を報知する異常に関する第一条件を含む。
【0013】
本開示においては、異常条件は警告を報知する異常に関する第一条件を含む。
【0014】
本開示の一実施形態に係る保守装置は、前記第一条件は、前記異常が前記受付部にて呼出操作を受け付けた受付時点から遡って第一時間以内に発生し、且つ、前記各保守対象にて前記異常が発生した各時点の間の時間が第二時間以上であることを含み、前記判定部にて、前記第一条件を満たすと判定した場合、前記決定部は、前記各保守対象にて前記異常が発生した各時点を時系列に並べた順番を前記各保守対象の順位に決定する。
【0015】
本開示においては、異常が受付時点から遡って第一時間以内に発生し、各保守対象にて異常が発生した各時点の間の時間が第二時間以上であると判定した場合、決定部は、各保守対象にて異常が発生した各時点を時系列に並べた順番を各保守対象の順位に決定する。
【0016】
本開示の一実施形態に係る保守装置は、前記警告を報知する異常に深刻度が予め紐づけてあり、前記第一条件は、前記各保守対象にて発生した前記異常の前記深刻度が異なることを含み、前記判定部にて、前記各保守対象にて発生した前記異常の前記深刻度が異なると判定した場合、前記決定部は、前記各保守対象にて発生した前記異常の前記深刻度の順番を前記各保守対象の順位に決定する。
【0017】
本開示においては、各保守対象にて発生した異常の深刻度が異なると判定した場合、各保守対象にて発生した異常の深刻度の順番を各保守対象の順位に決定する。
【0018】
本開示の一実施形態に係る保守装置は、前記警告を報知する異常に区分が予め紐づけてあり、前記区分に優先順位が紐づけてあり、前記第一条件は、前記各保守対象にて発生した前記異常の区分が異なることを含み、前記判定部にて、前記各保守対象にて発生した前記異常の区分が異なると判定した場合、前記決定部は、前記各保守対象にて発生した前記異常の区分の優先順位を前記各保守対象の順位に決定する。
【0019】
本開示においては、各保守対象にて発生した異常の区分が異なると判定した場合、各保守対象にて発生した異常の区分の優先順位を各保守対象の順位に決定する。
【0020】
本開示の一実施形態に係る保守装置は、前記判定部にて、前記各保守対象にて発生した前記異常の区分が異ならないと判定した場合、前記決定部は、前記各保守対象にて発生した前記異常の発生頻度の順番を前記各保守対象の順位に決定する。
【0021】
本開示においては、各保守対象にて発生した前記異常の区分が異ならないと判定した場合、各保守対象にて発生した異常の発生頻度の順番を各保守対象の順位に決定する。
【0022】
本開示の一実施形態に係る保守装置は、前記異常条件は、作業者が認知する異常であって、警告の報知が不要な異常に関する第二条件を含む。
【0023】
本開示においては、異常条件は、作業者が認知する異常であって、警告の報知が不要な異常に関する第二条件を含む。
【0024】
本開示の一実施形態に係る保守装置は、前記第二条件は、前記各保守対象の駆動時間が異なることを含み、前記判定部にて、前記各保守対象の駆動時間が異なると判定した場合、前記決定部は、前記各保守対象の駆動時間の長さの順番を前記各保守対象の順位に決定する。
【0025】
本開示においては、各保守対象の駆動時間が異なると判定した場合、各保守対象の駆動時間の長さの順番を各保守対象の順位に決定する。
【0026】
本開示の一実施形態に係る保守装置は、前記第二条件は、前記保守対象が通常の駆動状態とは異なる非通常駆動状態であることを含み、前記決定部は、前記判定部にて前記非通常駆動状態であると判定した保守対象の順位を前記非通常駆動状態でないと判定した保守対象の順位よりも上に決定する。
【0027】
本開示においては、非通常駆動状態であると判定した保守対象の順位を非通常駆動状態でないと判定した保守対象の順位よりも上に決定する。
【0028】
本開示の一実施形態に係る保守装置は、前記第二データのデータ量は、前記受付部にて前記操作を受け付けていない場合に前記通信部から前記サーバに定期的に送信されるデータのデータ量よりも少ない。
【0029】
本開示においては、第二データのデータ量は、受付部にて操作を受けていない場合に、サーバに定期的に送信されるデータのデータ量よりも少ない。
【0030】
本開示の一実施形態に係る保守装置は、前記保守対象は工作機械を含む。
【0031】
本開示においては、複数の工作機械からデータを取得し、サーバに送信する。
【0032】
本開示の一実施形態に係る送信方法は、単数の受付部にて呼出の為の操作を受け付けた場合、各保守対象からデータを取得し、取得したデータをサーバに送信する。
【0033】
本開示においては、単数の受付部に対する操作によって、複数の保守対象からデータを取得し、サーバに送信する。
【0034】
本開示の一実施形態に係るコンピュータプログラムは、複数の保守対象に接続可能な接続部と、サーバとの通信が可能な通信部と、単数の受付部とを備える保守装置にて実行可能なコンピュータプログラムであって、前記保守装置に、前記受付部にて呼出の為の操作を受け付けた場合、前記接続部に接続した各保守対象からデータを取得し、取得したデータを前記通信部から前記サーバに送信する処理を実行させる。
【0035】
本開示においては、単数の受付部に対する操作によって、複数の保守対象からデータを取得し、サーバに送信する。また上記コンピュータプログラムが記憶された、コンピュータによって読取可能な記憶媒体も新規で有用である。
【発明の効果】
【0036】
本開示の一実施形態に係る保守装置、送信方法及びコンピュータプログラムにあっては、単数の受付部に対する操作によって、複数の保守対象からデータを取得し、サーバに送信する。そのため、単数の保守装置を設置するだけで、複数の保守対象のデータをサーバに送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】保守装置、工作機械及びサーバ等を示すブロック図である。
図2】工作機械のブロック図である。
図3】保守装置によるサーバへのデータ送信処理を説明するフローチャートである。
図4】保守装置によるサーバへのデータ送信処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下本発明を保守装置に係る図面に基づいて説明する。図1は、保守装置、工作機械及びサーバ等を示すブロック図である。保守装置1は、複数の工作機械10を保守管理する。保守装置1は、制御部2、主記憶部3、補助記憶部4、通信部5、受付部6及び接続部7を備える。
【0039】
制御部2は、プロセッサ又はロジック回路を含む。プロセッサとしては、例えばCPU、MPU又はGPU等が挙げられる。ロジック回路としては、例えばFPGA、ASIC又はCPLD等が挙げられる。
【0040】
主記憶部3は揮発性メモリ、例えばRAMを含む。補助記憶部4は不揮発性メモリ又はハードディスクを含む。不揮発性メモリとしては、例えばEEPROM、EPRPM又はフラッシュメモリ等が挙げられる。補助記憶部4は、工作機械10から取得したデータを送信する送信処理を実行するためのコンピュータプログラム(プログラム製品)を記憶する。制御プログラムは補助記憶部4に予めインストールしてあってもよいし、記憶媒体8、例えば光ディスクに記憶した制御プログラムから補助記憶部4にインストールしてもよい。光ディスクとしては、例えばCD-ROM、DVD等が挙げられる。補助記憶部4は後述する第一時間、第二時間、軸の駆動時間及び駆動モード等を記憶する。
【0041】
通信部5はネットワーク23を介してサーバ21と通信する。ネットワーク23としては、例えばWAN、有線LAN、無線LAN及び通信事業者が保有する回線等が挙げられる。制御部2は各工作機械10からデータを取得し、サーバ21に送信する。端末装置22は、例えば工作機械10の保守管理を行うサポートスタッフによって操作される。端末装置22はネットワーク23を介してサーバ21から各工作機械10のデータを取得することができる。例えば、端末装置22からサーバ21に、サーバ21が保持していないデータの送信要求があった場合、サーバ21は保守装置1に前記データの送信を要求し、保守装置1はデータをサーバ21に送信し、サーバ21は端末装置22にデータを送信する。
【0042】
保守装置1は単数の受付部6を備える。受付部6は、呼出の為の操作(以下、単に呼出操作)を受け付ける。例えば、いずれかの工作機械10の作業者は、工作機械10に異常が発生した場合、受付部6にて呼出操作を行う。受付部6は例えば単数のスイッチであり、スイッチの操作は呼出操作である。なお受付部6はスイッチに限定されず、キーボード、マウス又はタッチパネル等でもよい。接続部7に複数の工作機械10が接続される。受付部6にて呼出操作を受け付けた場合、制御部2は接続部7を介して各工作機械10からデータを取得する。なお接続部7及び工作機械10は有線で接続してもよいし、無線で接続してもよい。
【0043】
図2は、工作機械10のブロック図である。工作機械10は、操作部、表示部、主軸、主軸ヘッド、主軸ヘッドを駆動するヘッド駆動軸、ワークを保持するテーブル及びテーブルを駆動するテーブル駆動軸(いずれも図示略)を備える。工作機械10は、表示部、主軸、ヘッド駆動軸及びテーブル駆動軸等を制御する制御装置30を備える。
【0044】
制御装置30は、制御部11、主記憶部12、補助記憶部13及び接続部18を備える。制御部11は、プロセッサ又はロジック回路を含む。プロセッサとしては、例えばCPU、MPU又はGPU等が挙げられる。ロジック回路としては、例えばFPGA、ASIC又はCPLD等が挙げられる。
【0045】
主記憶部12は揮発性メモリ、例えばRAMを含む。補助記憶部13は不揮発性メモリ又はハードディスクを含む。不揮発性メモリとしては、例えばEEPROM、EPRPM又はフラッシュメモリ等が挙げられる。補助記憶部13は、工作機械10から取得したデータを送信する送信処理を実行するためのコンピュータプログラム(プログラム製品)を記憶する。制御プログラムは補助記憶部13に予めインストールしてあってもよいし、記憶媒体(図示略)、例えば光ディスクに記憶した制御プログラムから補助記憶部13にインストールしてもよい。光ディスクとしては、例えばCD-ROM、DVD等が挙げられる。
【0046】
補助記憶部13は、操作履歴を記憶する第一記憶領域14、エラー履歴を記憶する第二記憶領域15、状態履歴を記憶する第三記憶領域16及びデータバンクを記憶する第四記憶領域を備える。
【0047】
操作履歴は操作部、例えばスイッチ、キーボード又はタッチパネルの操作内容と、操作した時点とを紐づけたデータを含む。操作履歴を参照することによって、工作機械10が特殊モードになっているか否か判定できる。特殊モードは、例えばATCメンテナンスモードである。特殊モードは通常の加工処理を行う場合とは異なるモードであり、工作機械10が特殊モードになった場合、作業者は戸惑うことがある。工作機械10が特殊モードになった場合、作業者は呼出操作を行い易いと考えられる。特殊モードは非通常駆動状態に対応する。
【0048】
エラー履歴は、工作機械10で発生したエラーとエラーが発生した時点とを紐づけたデータを含む。エラー履歴に含まれるエラーは警告を報知する異常に対応する。エラー履歴はエラーの深刻度及びエラーの区分を含む。エラーの深刻度は各エラーに紐づけてある。深刻度は例えば深刻度1~深刻度5を含む。深刻度1のエラーが発生した場合、制御部11は警告の表示のみ行う。警告は工作機械10の表示部に表示される。
【0049】
深刻度2のエラーが発生した場合、制御部11は警告を表示し、且つ、現在実行中のプログラム、例えば加工プログラムを、プログラム終了指令を読み込むまで実行した後、起動スイッチを無効とし、プログラムの実行を不可能にする。
【0050】
深刻度3のエラーが発生した場合、制御部11は警告を表示し、且つ、現在実行中のブロック、例えば加工プログラムに含まれるプログラムモジュールを実行した後、起動スイッチを無効とする。即ちプログラム全体の実行が終了していなくても、プログラムの実行を不可能にする。
【0051】
深刻度4のエラーが発生した場合、制御部11は警告を表示し、且つ、現在実行中の動作を即時停止した後、プログラム上の何れの動作も不可能にする。
【0052】
深刻度5のエラーが発生した場合、制御部11は警告を表示し、且つ、各軸を駆動するモータへの電力供給を遮断する。なお深刻度2~4においては、モータは停止するが、モータへの電力供給は遮断されない。深刻度5のエラーは最も深刻なエラーであり、深刻度1のエラーが最も深刻でないエラーである。
【0053】
エラーの区分は各エラーに紐づけてある。エラーの区分は、例えば区分1~区分3を含む。区分1~区分3のエラーが発生した場合、制御部11は警告の表示を行う。警告は工作機械10の表示部に表示される。区分1は、例えば外部信号系のエラーを含む。外部信号系のエラーは、例えば工作機械に接続された外部装置にて発生したエラーである。ユーザは外部信号系のエラーを定義する。外部信号系のエラーが発生した場合、作業者はエラーが発生したプログラムのブロックを確認することによって、エラーを解除できることが多い。即ち、区分1のエラーが発生した場合、作業者が呼出操作を行うことは考え難い。
【0054】
区分2は、例えばプログラマブルロジックコントローラ(PLC)系エラー、パネル通信系エラー及びフィールドネットワーク系エラーを含む。PLC系エラーは例えば、PLCの命令コードに関するエラーである。パネル通信系エラーは、例えばティーチングペンダントとの通信に関するエラーである。フィールドネットワーク系エラーは、例えばフィールドバス通信に関するエラーである。区分2のエラーは周辺機器に関するエラーであり、作業者に起因するエラー、例えば作業者が操作の手順を誤ることにより発生するエラーを含む。作業者はエラーの原因を認識し易く、自らエラーを解除することが多い。即ち、区分2のエラーが発生した場合、作業者が呼出操作を行うことは考え難い。
【0055】
区分3は、例えばNC基板ハードウェア系エラー、IO/サーボ通信系エラー、IO基板ハードウェア系エラー、サーボ系エラー、ローカルのソフトシステム系エラー、ローカル通信系エラー及びメインのソフトシステム系エラーを含む。区分3のエラーはNCに起因するエラーであり、作業者はエラーの原因を認識し難く、自らエラーを解除することができないことが多い。即ち、区分3のエラーが発生した場合、作業者は呼出操作を行い易いと考えられる。区分の番号1~3は優先順位に対応し、区分3が最も優先される。
【0056】
例えばサーボ系エラー及びIO/サーボ通信系エラーは深刻度5のエラーを含む。NC基板ハードウェア系エラーは深刻度4のエラーを含む。IO基板ハードウェア系エラー及びPLC系エラーは深刻度3のエラーを含む。ローカルのソフトシステム系エラー及びメインのソフトシステム系エラーは深刻度2のエラーを含む。ローカル通信系エラー及びフィールドネットワーク系エラーは深刻度1のエラーを含む。即ち、深刻度と区分は対応していない。深刻度は区分よりも、作業者による呼出操作の行い易さを精度よく反映していると考えられる。
【0057】
状態履歴は、主軸、ヘッド駆動軸及びテーブル駆動軸の駆動状態、例えば各軸の駆動時間を示すデータである。各軸の駆動時間は、作業者が認知する異常であって、警告の報知が不要な異常に対応する。データバンクは、工作機械10の駆動の為に設定される各種情報、例えば工具、主軸、ヘッド駆動軸又はテーブル駆動軸に関するパラメータである。接続部18は、保守装置1の接続部7に接続される。
【0058】
受付部6が呼出操作を受け付けた場合、制御部2は各工作機械10の順位を決定し、決定した順位に従って、各工作機械10からデータを順に取得し、通信部5からサーバ21に送信する。
【0059】
図3及び図4は、保守装置1によるサーバ21へのデータ送信処理を説明するフローチャートである。保守装置1の制御部2は受付部6にて、呼出操作を受け付けたか否か判定する(S1)。呼出操作を受け付けていないと判定した場合(S1:NO)、制御部2はステップS1に処理を戻す。呼出操作を受け付けたと判定した場合(S1:YES)、制御部2は各工作機械10に応答要求を送信し、応答の無い工作機械10があるか否か判定する(S2)。換言すれば、制御部2は各工作機械10から応答の有無を示すデータを取得したか否か判定する。工作機械10からの応答の有無を示すデータは、第一データに対応する。
【0060】
応答の無い工作機械があると判定した場合(S2:YES)、制御部2は、応答の無い工作機械10の順位が応答のある工作機械の順位よりも上なるように、各工作機械10に順位を付与する(S3)。なお工作機械からの応答が無いことは異常条件に対応する。制御部2は全ての工作機械10について、順位が決定したか否か判定する(S4)。全ての工作機械10について、順位が決定した場合(S4:YES)、制御部2は順位に従って、各工作機械10から順に、エラー履歴、操作履歴及び状態履歴を取得し、サーバ21に送信し(S13)、処理を終了する。
【0061】
例えば二つの工作機械10が保守装置1に接続され、一方の工作機械10からは応答が無く、他方の工作機械10からは応答がある場合、制御部2は一方の工作機械10を一位とし、他方の工作機械10を二位とする。制御部2は一方の工作機械10からエラー履歴、操作履歴及び状態履歴を取得し、サーバ21に送信する。その後、制御部2は、他方の工作機械10からエラー履歴、操作履歴及び状態履歴を取得し、サーバ21に送信する。なお制御部2は、一方の工作機械10のエラー履歴、操作履歴及び状態履歴のサーバ21への送信と、他方の工作機械10からのエラー履歴、操作履歴及び状態履歴の取得を並行的に実行してもよい。制御部2は、エラー履歴、操作履歴及び状態履歴をサーバ21に送信する場合、例えば最初にエラー履歴を送信し、次に操作履歴を送信し、最後に状態履歴を送信する。エラー履歴、操作履歴及び状態履歴は第二データに対応する。一方の工作機械10からエラー履歴、操作履歴及び状態履歴を取得が不可能な場合、例えば工作機械10における電源喪失又は接続部7における通信異常によって応答が無く、取得が不可能な場合、制御部2は取得不可能であることを示す情報をサーバ21に送信する。
【0062】
例えば第一~第三工作機械10が保守装置1に接続され、第一及び第二工作機械10からは応答が無く、第三工作機械10からは応答がある場合、制御部2は第一及び第二工作機械10を一位とし、第三工作機械10を三位とする。制御部2は、予め定めた規則に従って第一及び第二工作機械10の一方を第一位とし、他方を第二位とする。例えば、接続部7に複数の接続ポートが設けられ、各接続ポートに番号が付与されている場合、制御部2は小さい番号の接続ポートに接続されている工作機械10を一位とし、大きい番号の接続ポートに接続されている工作機械10を二位とする。制御部2は一位~三位の工作機械10からエラー履歴、操作履歴及び状態履歴を順に取得し、サーバ21に順に送信する。例えば、制御部2は一位~三位の工作機械10からエラー履歴、操作履歴及び状態履歴を全て取得した後、一位のエラー履歴、操作履歴及び状態履歴を送信し、次に二位のエラー履歴、操作履歴及び状態履歴を送信し、次に三位のエラー履歴、操作履歴及び状態履歴を送信してもよい。また制御部2は一位の工作機械10からエラー履歴、操作履歴及び状態履歴を取得して送信し、次に二位の工作機械10からエラー履歴、操作履歴及び状態履歴を取得して送信し、次に三位の工作機械10からエラー履歴、操作履歴及び状態履歴を取得して送信してもよい。
制御部2は、上位の工作機械10のエラー履歴、操作履歴及び状態履歴のサーバ21への送信と、下位の工作機械10からのエラー履歴、操作履歴及び状態履歴の取得を並行的に実行してもよい。
【0063】
なお同一順位の複数の工作機械10がある場合、例えば第一及び第二工作機械10が同順位の場合、全ての工作機械10について、順位が決定していないと判定し(S4:NO)、ステップS5以降の処理に進んでもよい。即ち、ステップS4において単一の順位のみ決定し、同一順位を付与された複数の工作機械10については、順位は決定されない。同一順位を付与された複数の工作機械10については、ステップS5以降の処理において、再度順位を決定してもよい。例えば、第三工作機械10の三位のみ決定し、第一及び第二工作機械10について、ステップS5以降の処理において、一位及び二位を決定する。
【0064】
ステップS4において、全ての又は少なくとも二つの工作機械10について、順位が決定していない場合(S4:NO)、またはステップS2において、応答の無い工作機械がないと判定した場合(S2:NO)、制御部2は、各工作機械10からエラー履歴を取得する(S5)。各工作機械10から取得したエラー履歴は第一データに対応する。制御部2は、複数の工作機械10において、受付部6にて呼出操作を受け付けた受付時点から遡って第一時間以内に発生したエラーがあるか否か判定する(S6)。第一時間は例えば1週間である。複数の工作機械10において、前記第一時間以内に発生したエラーがない場合(S6:NO)、制御部2は後述のステップS10に処理を進める。
【0065】
複数の工作機械10において、前記第一時間以内に発生したエラーがある場合(S6:YES)、制御部2は、各工作機械10におけるエラーの発生時点の間の間隔が第二時間以上であるか否か判定する(S7)。第二時間は、例えば1時間である。例えば、第一~第三工作機械10が保守装置1に接続されている場合、第一工作機械10おけるエラーの発生時点と第二工作機械10おけるエラーの発生時点との間の間隔が第二時間以上であり、第二工作機械10おけるエラーの発生時点と第三工作機械10おけるエラーの発生時点との間の間隔が第二時間以上であり、第三工作機械10おけるエラーの発生時点と第一工作機械10おけるエラーの発生時点との間の間隔が第二時間以上であるか否か判定する。前述のエラーの発生時点の間隔が第二時間以上でない場合(S7:NO)、後述のステップS10に処理を進める。前述のエラー発生時点の間隔が第二時間未満である場合、いずれのエラーに対して、作業者が呼出操作を行ったのか判断が難しい。
【0066】
前述のエラー発生時点の間隔が第二時間以上である場合(S7:YES)、制御部2は、受付部6にて呼出操作を受け付けた受付時点と、各エラーの発生時点との間の時間を比較し、前記時間が短い工作機械10を上位にし、前記時間が長い工作機械10を下位にするように、順位を付与する(S8)。なお受付部6にて呼出操作を受け付けた受付時点から遡って第一時間以内に発生したエラーがあり、且つ、一の工作機械10におけるエラーの発生時点と、他の工作機械10におけるエラーの発生時点との間隔が第二時間以上であることは、第一条件に含まれる。
【0067】
例えば第一~第三工作機械10が保守装置1に接続され、第一~第三工作機械10におけるエラーの発生時点が前記第一時間以内であり、且つ、第一~第三工作機械10におけるエラー同士の間の時間が第二時間以上である場合について説明する。第一工作機械10のエラー発生時点と前記受付時点との間の時間を第一間隔とし、第二工作機械10のエラー発生時点と前記受付時点との間の時間を第二間隔とし、第三工作機械10のエラー発生時点と前記受付時点との間の時間を第三間隔とする。第一間隔<第二間隔<第三間隔である場合、第一工作機械10に一位が付与され、第二工作機械10に二位が付与され、第三工作機械10に三位が付与される。即ち、エラー発生時点が前記受付時点に近くなるに従って、より上の順位が付与される。
【0068】
制御部2は、全ての工作機械10について、順位が決定したか否か判定する(S9)。全ての工作機械10について、順位が決定した場合(S9:YES)、制御部2は順位に従って、各工作機械10から順に、エラー履歴、操作履歴及び状態履歴を取得し、サーバ21に送信し(S13)、処理を終了する。
【0069】
ステップS9において、全ての又は少なくとも二つの工作機械10について、順位が決定していない場合(S9:NO)、制御部2は、各工作機械10から前記受付時点に最も近い発生時点のエラーを取得し、各エラーの深刻度が異なるか否か判定する(S10)。第一条件は各エラーの深刻度が異なることを含む。各工作機械10のエラーの深刻度が異なると判定した場合(S10:YES)、制御部2は、深刻度が大きいエラーを有する工作機械10の順位が深刻度の小さいエラーを有する工作機械10の順位よりも上位になるように、順位を付与する(S11)。制御部2は全ての工作機械10について、順位が決定したか否か判定する(S12)。全ての工作機械10について、順位が決定した場合(S12:YES)、制御部2は順位に従って、各工作機械10から順に、エラー履歴、操作履歴及び状態履歴を取得し、サーバ21に送信し(S13)、処理を終了する。ステップS10~S12の処理を実行する制御部2は判定部に対応する。
【0070】
例えば第一~第三工作機械10が保守装置1に接続され、第一及び第二工作機械10に深刻度5のエラーが発生し、第三工作機械に深刻度3のエラーが発生した場合、制御部2は第一及び第二工作機械10を一位とし、第三工作機械10を三位とする。制御部2は、予め定めた規則に従って第一及び第二工作機械10の一方を第一位とし、他方を第二位とする。例えば、接続部7に複数の接続ポートが設けられ、各接続ポートに番号が付与されている場合、制御部2は小さい番号の接続ポートに接続されている工作機械10を一位とし、大きい番号の接続ポートに接続されている工作機械10を二位とする。制御部2は一位~三位の工作機械10からエラー履歴、操作履歴及び状態履歴を順に取得し、サーバ21に順に送信する。制御部2は、上位の工作機械10のエラー履歴、操作履歴及び状態履歴のサーバ21への送信と、下位の工作機械10からのエラー履歴、操作履歴及び状態履歴の取得を並行的に実行してもよい。
【0071】
なお同一順位の複数の工作機械10がある場合、例えば第一及び第二工作機械10が同順位の場合、全ての工作機械10について、順位が決定していないと判定し(S12:NO)、ステップS14以降の処理に進んでもよい。即ち、ステップS12において単一の順位のみ決定し、同一順位を付与された複数の工作機械10については、順位は決定されない。同一順位を付与された複数の工作機械10については、ステップS14以降の処理において、再度順位を決定してもよい。例えば、第三工作機械10の三位のみ決定し、第一及び第二工作機械10について、ステップS14以降の処理において、一位及び二位を決定する。
【0072】
ステップS12において、全ての又は少なくとも二つの工作機械10について、順位が決定していない場合(S12:NO)、またはステップS10において、各工作機械10のエラーの深刻度が異ならないと判定した場合(S10:NO)、制御部2は、各工作機械10から前記受付時点に最も近い発生時点のエラーを取得し、各エラーの区分が異なるか否か判定する(S14)。第一条件は各エラーの区分が異なることを含む。各工作機械10のエラーの区分が異なる場合(S14:YES)、制御部2は、区分3のエラーを有する工作機械10の順位が区分1又は区分2のエラーを有する工作機械10の順位よりも上位になるように、順位を付与する(S15)。制御部2は全ての工作機械10について、順位が決定したか否か判定する(S16)。全ての工作機械10について、順位が決定した場合(S16:YES)、制御部2は順位に従って、各工作機械10から順に、エラー履歴、操作履歴及び状態履歴を取得し、サーバ21に送信し(S13)、処理を終了する。ステップS14~S16を実行する制御部2は判定部に対応する。
【0073】
例えば第一~第三工作機械10が保守装置1に接続され、第一及び第二工作機械にて発生したエラーは区分3のエラーであり、第三工作機械10にて発生したエラーは区分1又は2のエラーである場合、制御部2は第一及び第二工作機械10を一位とし、第三工作機械10を三位とする。制御部2は、予め定めた規則に従って第一及び第二工作機械10の一方を第一位とし、他方を第二位とする。例えば、接続部7に複数の接続ポートが設けられ、各接続ポートに番号が付与されている場合、制御部2は小さい番号の接続ポートに接続されている工作機械10を一位とし、大きい番号の接続ポートに接続されている工作機械10を二位とする。制御部2は一位~三位の工作機械10からエラー履歴、操作履歴及び状態履歴を順に取得し、サーバ21に順に送信する。制御部2は、上位の工作機械10のエラー履歴、操作履歴及び状態履歴のサーバ21への送信と、下位の工作機械10からのエラー履歴、操作履歴及び状態履歴の取得を並行的に実行してもよい。
【0074】
なお同一順位の複数の工作機械10がある場合、例えば第一及び第二工作機械10が同順位の場合、全ての工作機械10について、順位が決定していないと判定し(S16:NO)、ステップS17以降の処理に進んでもよい。即ち、ステップS16において単一の順位のみ決定し、同一順位を付与された複数の工作機械10については、順位は決定されない。同一順位を付与された複数の工作機械10については、ステップS17以降の処理において、再度順位を決定してもよい。例えば、第三工作機械10の三位のみ決定し、第一及び第二工作機械10について、ステップS17以降の処理において、一位及び二位を決定する。
【0075】
ステップS16において、全ての又は少なくとも二つの工作機械10について、順位が決定していない場合(S16:NO)、またはステップS14において、各工作機械10のエラーの区分が異ならない場合(S14:NO)、制御部2は、各工作機械10におけるエラーの発生頻度が異なるか否か判定する(S17)。エラーの発生頻度は、一定期間内に発生したエラーの発生数である。各工作機械10のエラーの発生頻度が異なる場合(S17:YES)、制御部2は、エラーの発生頻度が高い工作機械10の順位がエラーの発生頻度が低い工作機械10の順位よりも上位になるように、順位を付与する(S18)。制御部2は全ての工作機械10について、順位が決定したか否か判定する(S19)。全ての工作機械10について、順位が決定した場合(S19:YES)、制御部2は順位に従って、各工作機械10から順に、エラー履歴、操作履歴及び状態履歴を取得し、サーバ21に送信し(S13)、処理を終了する。
【0076】
例えば第一~第三工作機械10が保守装置1に接続され、第一及び第二工作機械10におけるエラーの発生頻度が、第三工作機械におけるエラーの発生頻度よりも高い場合、制御部2は第一及び第二工作機械10を一位とし、第三工作機械10を三位とする。制御部2は、予め定めた規則に従って第一及び第二工作機械10の一方を第一位とし、他方を第二位とする。例えば、接続部7に複数の接続ポートが設けられ、各接続ポートに番号が付与されている場合、制御部2は小さい番号の接続ポートに接続されている工作機械10を一位とし、大きい番号の接続ポートに接続されている工作機械10を二位とする。制御部2は一位~三位の工作機械10からエラー履歴、操作履歴及び状態履歴を順に取得し、サーバ21に順に送信する。制御部2は、上位の工作機械10のエラー履歴、操作履歴及び状態履歴のサーバ21への送信と、下位の工作機械10からのエラー履歴、操作履歴及び状態履歴の取得を並行的に実行してもよい。
【0077】
なお同一順位の複数の工作機械10がある場合、例えば第一及び第二工作機械10が同順位の場合、全ての工作機械10について、順位が決定していないと判定し(S19:NO)、ステップS20以降の処理に進んでもよい。即ち、ステップS19において単一の順位のみ決定し、同一順位を付与された複数の工作機械10については、順位は決定されない。同一順位を付与された複数の工作機械10については、ステップS20以降の処理において、再度順位を決定してもよい。
【0078】
ステップS19において、全ての又は少なくとも二つの工作機械10について、順位が決定していない場合(S19:NO)、またはステップS17において、各工作機械10のエラーの発生頻度が異ならない場合(S17:NO)、制御部2は、各工作機械10から状態履歴を取得する(S20)。各工作機械10から取得した状態履歴は第一データに対応する。制御部2は、各工作機械10の主軸、ヘッド駆動軸及びテーブル駆動軸の駆動時間の合計は異なるか否か判定する(S21)。第二条件は、各工作機械10の主軸、ヘッド駆動軸及びテーブル駆動軸の駆動時間の合計は異なることを含む。各工作機械10の前記各軸の駆動時間の合計は異なると判定した場合(S21:YES)、制御部2は、前記各軸の駆動時間の合計が長い工作機械10の順位が、前記各軸の駆動時間の合計が短い工作機械10の順位よりも上位になるように、順位を付与する(S22)。制御部2は全ての工作機械10について、順位が決定したか否か判定する(S23)。全ての工作機械10について、順位が決定した場合(S23:YES)、制御部2は順位に従って、各工作機械10から順に、エラー履歴、操作履歴及び状態履歴を取得し、サーバ21に送信し(S13)、処理を終了する。ステップS21~S23を実行する制御部2は判定部を構成する。
【0079】
例えば第一~第三工作機械10が保守装置1に接続され、第一及び第二工作機械10の前記各軸の駆動時間の合計は第一駆動時間であり、第三工作機械の前記各軸の駆動時間の合計は第一駆動時間よりも短い第二駆動時間である場合、制御部2は第一及び第二工作機械10を一位とし、第三工作機械10を三位とする。制御部2は、予め定めた規則に従って第一及び第二工作機械10の一方を第一位とし、他方を第二位とする。例えば、接続部7に複数の接続ポートが設けられ、各接続ポートに番号が付与されている場合、制御部2は小さい番号の接続ポートに接続されている工作機械10を一位とし、大きい番号の接続ポートに接続されている工作機械10を二位とする。制御部2は一位~三位の工作機械10からエラー履歴、操作履歴及び状態履歴を順に取得し、サーバ21に順に送信する。制御部2は、上位の工作機械10のエラー履歴、操作履歴及び状態履歴のサーバ21への送信と、下位の工作機械10からのエラー履歴、操作履歴及び状態履歴の取得を並行的に実行してもよい。
【0080】
なお同一順位の複数の工作機械10がある場合、例えば第一及び第二工作機械10が同順位の場合、全ての工作機械10について、順位が決定していないと判定し(S23:NO)、ステップS24以降の処理に進んでもよい。即ち、ステップS23において単一の順位のみ決定し、同一順位を付与された複数の工作機械10については、順位は決定されない。同一順位を付与された複数の工作機械10については、ステップS24以降の処理において、再度順位を決定してもよい。
【0081】
ステップS23において、全ての又は少なくとも二つの工作機械10について、順位が決定していない場合(S23:NO)、またはステップS21において、各工作機械10の前記各軸の駆動時間の合計は異ならないと判定した場合(S21:NO)、制御部2は、各工作機械10から操作履歴を取得する(S24)。各工作機械10から取得した操作履歴は第一データに対応する。制御部2は、いずれかの工作機械10が特殊モードになっているか否か判定する(S25)。いずれかの工作機械10が特殊モードになっていると判定した場合(S25:YES)、特殊モードになっている工作機械10の順位が特殊モードになっていない工作機械10の順位よりも上になるように、順位を付与する(S26)。制御部2は全ての工作機械10について、順位が決定したか否か判定する(S27)。全ての工作機械10について、順位が決定した場合(S27:YES)、制御部2は順位に従って、各工作機械10から順に、エラー履歴、操作履歴及び状態履歴を取得し、サーバ21に送信し(S13)、処理を終了する。
【0082】
例えば第一~第三工作機械10が保守装置1に接続され、第一及び第二工作機械は特殊モードになっており、第三工作機械10は特殊モードでない場合、制御部2は第一及び第二工作機械10を一位とし、第三工作機械10を三位とする。制御部2は、予め定めた規則に従って第一及び第二工作機械10の一方を第一位とし、他方を第二位とする。例えば、接続部7に複数の接続ポートが設けられ、各接続ポートに番号が付与されている場合、制御部2は小さい番号の接続ポートに接続されている工作機械10を一位とし、大きい番号の接続ポートに接続されている工作機械10を二位とする。制御部2は一位~三位の工作機械10からエラー履歴、操作履歴及び状態履歴を順に取得し、サーバ21に順に送信する。制御部2は、上位の工作機械10のエラー履歴、操作履歴及び状態履歴のサーバ21への送信と、下位の工作機械10からのエラー履歴、操作履歴及び状態履歴の取得を並行的に実行してもよい。
【0083】
なお同一順位の複数の工作機械10がある場合、例えば第一及び第二工作機械10が同順位の場合、全ての工作機械10について、順位が決定していないと判定し(S27:NO)、ステップS28以降の処理に進んでもよい。即ち、ステップS27において単一の順位のみ決定し、同一順位を付与された複数の工作機械10については、順位は決定されない。同一順位を付与された複数の工作機械10については、ステップS28の処理において、再度順位を決定してもよい。
【0084】
ステップS25において、いずれかの工作機械10が特殊モードになっていないと判定した場合(S25:NO)、又はステップS27において、全ての又は少なくとも二つの工作機械10について、順位が決定していない場合(S27:NO)、制御部2は、順位が未付与の工作機械に10に順位を付与する(S28)。ステップS28において、例えば、制御部2は小さい番号の接続ポートに接続されている工作機械10が、大きい番号の接続ポートに接続されている工作機械10よりも上位となるように、順位を付与する。また補助記憶部4に各工作機械10の製造年月日が記憶されている場合、制御部2は、製造年月日が古い工作機械10が、製造年月日が新しい工作機械10よりも上位となるように、順位を付与してもよい。ステップS28の処理後、制御部2は順位に従って、各工作機械10から順に、エラー履歴、操作履歴及び状態履歴を取得し、サーバ21に送信し(S13)、処理を終了する。
【0085】
受付部6にて呼出操作を受け付けていない場合、制御部2は通信部5からサーバ21に定期的に、例えば所定時刻にエラー履歴、操作履歴、状態履歴及びデータバンクを送信する。これに対し、ステップS13においては、サーバ21に送信されるエラー履歴、操作履歴及び状態履歴を送信し、データバンクは送信しない。よって、ステップS13において送信されるデータのデータ量は、サーバに定期的に送信されるデータのデータ量よりも少ない。そのため、定期的な送信に比べて、受付部6にて呼出操作を受け付けた場合におけるサーバ21へのデータの送信は短時間で完了することができる。
【0086】
実施の形態に係る保守装置1にあっては、単数の受付部6に対する操作によって、複数の工作機械10からデータを取得し、サーバ21に送信する。そのため、単数の保守装置1を設置するだけで、複数の工作機械10のデータをサーバ21に送信することができる。
【0087】
また制御部2は、取得した応答の有無を示すデータ、エラー履歴、操作履歴又は状態履歴(第一データ)に基づき、各工作機械10に発生する異常に関する異常条件を満たすか否か判定し、判定結果に応じて各工作機械10の順位を決定する。決定した順位に従って、各工作機械10からエラー履歴、操作履歴及び状態履歴(第二データ)を順に取得し、エラー履歴、操作履歴及び状態履歴をサーバに順に送信する。作業者は、順位の高い工作機械10にエラーが発生したと認識し、受付部6にて呼出操作を行っている可能性が高い。そのため、エラーが発生したと作業者が認識している可能性が高い工作機械10のエラー履歴、操作履歴及び状態履歴を、エラーが発生したと作業者が認識している可能性が高い工作機械10よりも先にサーバ21に送信することができる。作業者はサポートスタッフに連絡し、サポートスタッフは端末装置22からサーバ21にアクセスして、エラーが発生したと作業者が認識している可能性が高い工作機械10のエラー履歴、操作履歴及び状態履歴を確認することができる。サポートスタッフは、エラーが発生したと作業者が認識している可能性が高い工作機械10のデータを迅速に取得し、問題を早期に解決することができる。
【0088】
また制御部2は工作機械10からの応答が無いと判定した工作機械10の順位を、応答が有ると判定した工作機械10の順位よりも上に決定する。応答が無い場合、工作機械10の通信に異常が発生している可能性が高い。そのため、通信異常が発生している可能性が高い工作機械10のエラー履歴、操作履歴及び状態履歴を迅速にサーバ21に送信することができる。
【0089】
またエラーが受付時点から遡って第一時間以内に発生し、各工作機械10にてエラーが発生した各時点の間の時間が第二時間以上であると判定した場合、制御部2は、各工作機械10にてエラーが発生した各時点を時系列に並べた順番を各工作機械10の順位に決定する。受付時点から遡って第一時間以内に発生したエラーに限定することによって、長期間放置されているエラーを除外することができる。長期間放置されているエラーに対し、作業者が呼出操作を行うとは考え難いからである。短時間に複数の工作機械10にエラーが発生した場合には、いずれのエラーに対して呼出操作が行われたか判断が難しい。そのため、各工作機械10のエラーの発生時点の間隔を第一時間よりも短い第二時間以上に限定することによって、第二時間未満に複数の工作機械10にエラーが発生した場合には、無理に順位を付与せずに済む。
【0090】
深刻度が大きい場合、工作機械10に大きな異常が発生している可能性が高い。そのため、深刻度が大きい工作機械10からのデータを優先的に取得することによって、大きな異常が発生している可能性が高い工作機械10のエラー履歴、操作履歴及び状態履歴を迅速にサーバ21に送信することができる。
【0091】
異常の区分の優先順位が高い場合、工作機械10に大きな異常が発生している可能性が高い。そのため、異常の区分の優先順位が高い工作機械10からのデータを優先的に取得することによって、大きな異常が発生している可能性が高い工作機械10のエラー履歴、操作履歴及び状態履歴を迅速にサーバ21に送信することができる。
【0092】
異常の発生頻度が高い場合、工作機械10に大きな異常が発生している可能性が高い。そのため、異常の発生頻度が高い工作機械10からのデータを優先的に取得することによって、大きな異常が発生している可能性が高い工作機械10のエラー履歴、操作履歴及び状態履歴を迅速にサーバ21に送信することができる。
【0093】
工作機械10の駆動時間が長い場合、工作機械10に大きな異常が発生している可能性が高い。そのため、駆動時間が長い工作機械10からのデータを優先的に取得することによって、大きな異常が発生している可能性が高い工作機械10のエラー履歴、操作履歴及び状態履歴を迅速にサーバ21に送信することができる。
【0094】
工作機械10の駆動状態が特殊モード(非通常駆動状態)である場合、作業者が特殊モードに戸惑って呼出操作を行った可能性が高い。そのため、特殊モードにある工作機械10からのデータを優先的に取得することによって、呼出操作の対象となっている可能性が高い工作機械10のエラー履歴、操作履歴及び状態履歴を迅速にサーバ21に送信することができる。
【0095】
なお工作機械10は保守対象の一例である。工作機械10に代えて、搬送ロボット又はピッキング装置等に本発明を適用してもよい。
【0096】
なおコンピュータプログラムは、単一のコンピュータ上で、または1つのサイトに配置されるか、若しくは複数のサイトにわたって分散され、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。
【0097】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 保守装置
2 制御部
3 主記憶部
4 補助記憶部
5 通信部
6 受付部
7 接続部
10 工作機械
30 制御装置
11 制御部
12 主記憶部
13 補助記憶部
14 第一記憶領域
15 第二記憶領域
16 第三記憶領域
17 第四記憶領域
18 接続部
21 サーバ
図1
図2
図3
図4