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特開2024-142030情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142030
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/04 20060101AFI20241003BHJP
   G01N 27/00 20060101ALI20241003BHJP
   G01R 31/00 20060101ALI20241003BHJP
   H05K 13/08 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
G01N27/04 Z
G01N27/00 L
G01R31/00
H05K13/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053986
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横井 豊明
(72)【発明者】
【氏名】金木 一生
【テーマコード(参考)】
2G036
2G060
5E353
【Fターム(参考)】
2G036AA03
2G036AA24
2G036BB01
2G036BB12
2G060AA10
2G060AD04
2G060AE28
2G060AF07
2G060AG03
2G060EA08
2G060EB01
2G060HC15
5E353CC01
5E353EE10
5E353NN18
5E353QQ24
5E353QQ30
(57)【要約】
【課題】外部環境による電子部品の異常を検知すること。
【解決手段】情報処理装置10は、導電性を有する金属と当該金属の両端に接続された電極とによって構成されて、プリント基板Pに搭載される腐食センサSの電気的特性を示す電気的変量を取得し、当該電気的変量の変動に基づき、プリント基板Pの腐食センサSの異常を検知する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する金属と前記金属の両端に接続された電極とによって構成されて、基板に搭載される電子素子の電気的特性を示す電気的変量を取得する取得部と、
前記電気的変量の変動に基づき、前記電子素子の異常を検知する検知部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記電子素子は、前記金属により生成された少なくとも1本の金属線と、前記金属線の両端に接続された前記電極とによって構成される、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記電子素子は、前記金属により生成された少なくとも1本の金属線と、前記金属線の両端に接続された前記電極と、通気性を有する容器とによって構成される、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記取得部は、
前記電気的変量として前記電子素子の電気抵抗値を取得し、
前記検知部は、
前記電気抵抗値が閾値以上となった場合に、前記基板の周辺環境に起因する前記異常を検知する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記取得部は、
前記電気的変量として前記電子素子に流れる電流の電流値を取得し、
前記検知部は、
前記電流値が閾値以下となった場合に、前記基板の周辺環境に起因する前記異常を検知する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記電子素子は、前記基板を収納する筐体の通気口から所定範囲内の位置に搭載される、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記金属は、銅または銀である、
請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータが、
導電性を有する金属と前記金属の両端に接続された電極とによって構成されて、基板に搭載される電子素子の電気的特性を示す電気的変量を取得し、
前記電気的変量の変動に基づき、前記電子素子の異常を検知する、
処理を実行する情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
導電性を有する金属と前記金属の両端に接続された電極とによって構成されて、基板に搭載される電子素子の電気的特性を示す電気的変量を取得し、
前記電気的変量の変動に基づき、前記電子素子の異常を検知する、
処理を実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラント制御システムを構成するセンサ機器、通信機器、制御機器等の電子機器は、より高精度な測定、より高度な通信や制御、かつより安定性の高い稼働が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-062476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記電子機器には、様々な電子部品が取り付けられて電子回路を構成するプリント基板が搭載される。このプリント基板は、例えば大気中の腐食ガス、粉塵等の外部環境により劣化することがあり、このような劣化が電子機器の故障の原因となり、プラント制御システムの停止、さらにはプラントの停止等を誘発させることがある。しかしながら、電子機器の内部に搭載されるプリント基板が外部環境により劣化することを検知することが難しい。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、大気中の腐食ガス、粉塵等の外部環境による電子部品の異常を検知することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、導電性を有する金属と前記金属の両端に接続された電極とによって構成されて、基板に搭載される電子素子の電気的特性を示す電気的変量を取得する取得部と、前記電気的変量の変動に基づき、前記電子素子の異常を検知する検知部と、を備える情報処理装置を提供する。
【0007】
また、本発明は、コンピュータが、導電性を有する金属と前記金属の両端に接続された電極とによって構成されて、基板に搭載される電子素子の電気的特性を示す電気的変量を取得し、前記電気的変量の変動に基づき、前記電子素子の異常を検知する、処理を実行する情報処理方法を提供する。
【0008】
また、本発明は、コンピュータに、導電性を有する金属と前記金属の両端に接続された電極とによって構成されて、基板に搭載される電子素子の電気的特性を示す電気的変量を取得し、前記電気的変量の変動に基づき、前記電子素子の異常を検知する、処理を実行させる情報処理プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、外部環境による電子部品の異常を検知することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る情報処理システムの構成例および処理例を示す図である。
図2】実施形態に係る腐食センサの具体例を示す図である。
図3】実施形態に係る情報処理システムの情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図4】実施形態に係る電子回路の構成例を示す回路図1である。
図5】実施形態に係る電子回路の構成例を示す回路図2である。
図6】実施形態に係る電子回路の構成例を示す回路図3である。
図7】実施形態に係る電子回路の構成例を示す回路図4である。
図8】実施形態に係る情報処理全体の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】実施形態に係るハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の一実施形態に係る情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態により限定されるものではない。
【0012】
〔実施形態〕
以下に、実施形態に係る情報処理システムの構成および処理、情報処理装置等の構成および処理、各処理の流れを順に説明し、最後に実施形態の効果を説明する。
【0013】
〔1.情報処理システム100の構成および処理〕
図1を用いて、実施形態に係る情報処理システム100の構成および処理を詳細に説明する。図1は、実施形態に係る情報処理システム100の構成例および処理例を示す図である。以下では、情報処理システム100全体の構成例、情報処理システム100の処理例、腐食センサSの具体例、情報処理システム100の効果について説明する。なお、実施形態では、プラントの大気中の腐食ガスGによる異常を検知する情報処理装置10を一例にして説明するが、大気中の粉塵や湿気による異常を検知してもよく、対象物や利用分野を限定するものではない。
【0014】
(1-1.情報処理システム100全体の構成例)
情報処理システム100は、情報処理装置10を有する。また、図1の例では、情報処理装置10がデスクトップPC(Personal Computer)である場合を示したが、サーバ装置、センサ機器、ネットワークスイッチ等、プリント基板Pを有するものであればよい。
【0015】
情報処理装置10は、電子回路Cを含むプリント基板Pを有する。電子回路Cは、後述する腐食センサSを有する。
【0016】
(1-2.情報処理システム100の処理例)
上記のような情報処理システム100の処理例として、プラントに設置される情報処理装置10が実行する処理について説明する。以下では、電気抵抗値取得処理、腐食異常検知処理の順に説明する。なお、下記の処理は、異なる順序で実行することもできる。また、下記の処理のうち、省略される処理があってもよい。
【0017】
(1-2-1.電気抵抗値取得処理)
情報処理装置10は、電子回路Cの腐食センサSの電気抵抗値Rを取得する(図1(1)参照)。例えば、情報処理装置10は、電子回路Cに含まれる電圧計E-Vを介して、電子回路Cに含まれる1本の銅線で形成されるヒューズ様の腐食センサSの電圧値Vを測定し、測定した電圧値Vをもとに腐食センサSの電気抵抗値Rを算出することによって、腐食センサSの電気抵抗をモニタリングする。
【0018】
上記の腐食センサSは、例えば、1本の金属線Mである銅線と、当該銅線の両端に接続される2枚の電極Bと、当該銅線を物理的に保護するための通気性を有する容器である通気ケースHによって構成される。上記の腐食センサSは、大気中の硫化水素等の腐食ガスGによって腐食する。このとき、腐食センサSの銅線が腐食することによって腐食センサSの電気抵抗値Rが変化し、最終的に銅線が切断され、腐食センサSに電流が流れなくなる(図1(2)参照)。
【0019】
ここで、情報処理装置10は、電子回路Cの腐食センサSを流れる電流の電流値Iを取得してもよい。例えば、情報処理装置10は、電子回路Cに含まれる電流計E-Iを介して、電圧が一定である場合の腐食センサSに流れる電流の電流値Iを測定し、腐食センサSを流れる電流をモニタリングしてもよい。
【0020】
(1-2-2.腐食異常検知処理)
情報処理装置10は、モニタリングしている腐食センサSの電気抵抗に基づいて、プリント基板Pの電子部品の腐食に起因する異常(腐食異常)を検知する(図1(3)参照)。例えば、情報処理装置10は、電子回路Cの腐食センサSの電気抵抗値Rが電気抵抗閾値X以上となった場合には、プリント基板Pの電子部品の腐食異常を検知する。
【0021】
ここで、情報処理装置10は、モニタリングしている腐食センサSの電流に基づいて、プリント基板Pの電子部品の腐食異常を検知することもできる。例えば、情報処理装置10は、電子回路Cの電圧が一定である場合の腐食センサSを流れる電流値Iが電流閾値X以下となった場合には、プリント基板Pの電子部品の腐食異常を検知することもできる。
【0022】
情報処理装置10は、プリント基板Pの腐食異常を検知した場合には、プラントの管理者にアラームを通知する。このとき、情報処理装置10は、プラントの管理者に、プリント基板Pが故障するかもしれない旨を通知してもよいし、バックアップ機器への切替指示を自動的に、すなわち人を介することなく実行してもよい。
【0023】
(1-3.腐食センサSの具体例)
図2を用いて、情報処理システム100において使用される腐食センサSの具体例について説明する。図2は、実施形態に係る腐食センサSの具体例を示す図である。以下では、腐食センサSの構成例、腐食センサSの設置、金属の材質、検出可能な腐食ガスGの順に説明する。
【0024】
(1-3-1.腐食センサSの構成例)
図2を用いて、腐食センサSの構成例について説明する。図2に示すように、腐食センサSは、プリント基板P上の電子回路Cの一部として設置される。なお、図2の例では、腐食センサSに対応する部分のみを図示し、電子回路Cの詳細を省略している。具体例では、腐食センサSは、1本の銅線である金属線Mと、金属線Mと接続される2枚の電極Bと、通気ケースHとによって構成されている。
【0025】
ここで、金属線Mは、腐食ガスGにより腐食されやすい材質を選択し、むき出しの状態で露出させる。一方、電極Bは、ハンダ接続を容易にするためにメッキ等で覆われ、図2横線部で示すようにプリント基板Pとハンダによって接合される。また、通気ケースHは、金属線Mを物理的に保護するための絶縁体で生成された容器であって、空気孔を有する構造、メッシュ構造等の腐食ガスGを通過可能な通気性を有する容器である。また、プリント基板Pおよび電子回路Cは、図2斜線部で示すようにレジスト(保護膜)で覆われる。
【0026】
腐食センサSは、金属線Mが腐食ガスGによって腐食されていない場合には、電子回路Cにおいて初期値である電気抵抗値R(0)[Ω]を示す。一方、腐食センサSは、金属線Mが腐食ガスGによって腐食され、切断された場合には、空気の電気抵抗値Rに近似される電気抵抗値R(AIR)[Ω]を示す。また、腐食センサSは、金属線Mが腐食ガスGや粉塵等によって変動する、時間tにおける電気抵抗値R(t)[Ω]を示す。
【0027】
また、腐食センサSは、金属線Mが腐食ガスGによって腐食されていない場合には、電子回路Cにおいて初期値である電流値I(0)[A]を示す。一方、腐食センサSは、金属線Mが腐食ガスGによって腐食され、切断された場合には、電子回路Cにおいて腐食センサSに電流が流れなくなるので電流値0[A]を示す。また、腐食センサSは、金属線Mが腐食ガスGや粉塵等によって変動する、時間tにおける電流値I(t)[A]を示す。
【0028】
なお、腐食センサSは、1本の銅線である金属線Mと、金属線Mと接続される2枚の電極Bとによって構成されてもよい。すなわち、腐食センサSは、通気ケースHがなくとも実現できる。さらに、腐食センサSは、1本の銅線である金属線Mのみによって構成されてもよい。すなわち、腐食センサSは、電極Bおよび通気ケースHがなくとも実現できる。
【0029】
(1-3-2.腐食センサSの設置)
実施形態に係る腐食センサSの情報処理装置10における設置位置は、腐食ガスGによる腐食を検知しやすいように情報処理装置10のプリント基板Pを収納する筐体の通気口付近が好ましいが、特に限定されない。
【0030】
実施形態に係る腐食センサSの電子回路Cにおける設置位置は、金属線Mの劣化や切断によって電子回路Cの機能に影響を及ぼさない位置であればよく、特に限定されない。また、実施形態に係る腐食センサSの接続方式は、並列でも直列でもよく、特に限定されない。
【0031】
(1-3-3.金属線Mの種類)
実施形態に係る金属線Mを形成する金属の材質は、腐食ガスGに弱い金属であることが好ましいが、特に限定されない。例えば、金属線Mを形成する金属の材質は、銀でもよい。また、金属線Mを形成する金属の材質は、複数の金属によって生成される合金やメッキであってもよい。
【0032】
ここで、金属線Mの本数は、1本でもよいし、2本以上であってもよいし、特に限定されない。また、金属線Mの太さは、腐食ガスGによる腐食を検知しやすいように切断されやすい細線を採用することが好ましいが、特に限定されない。
【0033】
(1-3-4.検出可能な腐食ガスG)
実施形態に係る検出可能な腐食ガスGは、硫化水素について説明してきたが、特に限定されない。例えば、検出可能な腐食ガスGは、アンモニア、塩素、二酸化硫黄でもよい。
【0034】
(1-3-5.その他)
実施形態に係る腐食センサSは、腐食ガスGによる腐食以外も検出することができる。例えば、腐食センサSは、大気中の粉塵の付着、大気中の水蒸気の付着、大気中の酸素による酸化等による劣化も検出することができる。
【0035】
(1-4.情報処理システム100の効果)
以下では、情報処理システム100の背景および概要を説明した上で、情報処理システム100の効果について説明する。
【0036】
(1-4-1.情報処理システム100の背景)
プラント等のプリント基板Pを含むシステムを稼働させる際に、プリント基板Pが故障するとシステムの稼働が停止してしまう。特に、プリント基板Pが腐食ガスGに曝露される場合、腐食ガスGがプリント基板P上の電子部品を腐食させ、突然故障する。プリント基板Pが故障すると、搭載された電子回路Cが機能しなくなるので、システム全体が停止してしまう。情報処理システム100は、上記のようなプリント基板Pを含むシステムであって、プリント基板Pが腐食ガスGの雰囲気に曝露される可能性があるシステムに適用することができる。
【0037】
(1-4-2.情報処理システム100の概要)
情報処理システム100では、情報処理装置10は、電子回路Cの腐食センサSの電気抵抗値Rを取得し、腐食センサSの電気抵抗をモニタリングする。このとき、腐食センサSの金属線Mが腐食によって劣化、切断されることによって電気抵抗値Rが変化する。そして、情報処理装置10は、電子回路Cの腐食センサSの電気抵抗値Rが電気抵抗閾値X以上となった場合には、プリント基板Pの腐食センサSの腐食異常の発生を検知する。また、情報処理装置10は、プリント基板Pの腐食センサSの腐食異常の発生を検知した場合には、プラントの管理者にアラームを通知したり、バックアップ機器への切替を自動的に実行したりする。
【0038】
(1-4-3.情報処理システム100の効果)
情報処理システム100は、電子回路Cに設置されたヒューズ様の腐食センサSに低電流を流し、腐食に基づく金属線Mの切断による電気抵抗値Rが電気抵抗値R(AIR)[Ω]に急上昇する変化や、腐食やゴミ等による電気抵抗値Rの変動を検知することができるので、低コストで効果的な腐食ガスGの検知を実現することができる。また、情報処理システム100は、電子回路Cに設置されたヒューズ様の腐食センサSを流れる電流の電流値Iの変化等を検知することができるので、低コストで効果的な腐食ガスGの検知を実現することができる。
【0039】
上述してきたように、情報処理システム100では、外部環境による電子部品の異常を検知することができる。
【0040】
〔2.情報処理システム100の情報処理装置10の構成および処理〕
図3を用いて、図1に示した情報処理システム100が有する情報処理装置10の構成および処理について説明する。図3は、実施形態に係る情報処理システム100の情報処理装置10の構成例を示すブロック図である。以下では、実施形態に係る情報処理システム100全体の構成例を説明した上で、実施形態に係る情報処理装置10の構成例および処理例について詳細に説明する。
【0041】
(2-1.情報処理システム100全体の構成例)
図3に示すように、情報処理システム100は、情報処理装置10を有する。情報処理装置10は、デスクトップPC、サーバ装置、センサ機器、ネットワークスイッチ等、プリント基板Pを有するものであればよい。なお、情報処理システム100は、複数の情報処理装置10を有し、互いをバックアップ機器として使用できるように、所定の通信網によって通信可能に接続されていてもよい。
【0042】
(2-2.情報処理装置10の構成例)
図3を用いて、情報処理装置10の構成例および処理例について説明する。情報処理装置10は、通信部11、記憶部12、制御部13、電子回路Cを有する。なお、情報処理装置10は、情報処理装置10の管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0043】
(2-2-1.通信部11)
通信部11は、他の装置との間でのデータ通信を司る。例えば、通信部11は、ルータ等を介して、各通信装置との間でデータ通信を行う。また、通信部11は、図示しないオペレータの端末との間でデータ通信を行うことができる。
【0044】
(2-2-2.記憶部12)
記憶部12は、制御部13が動作する際に参照する各種情報や、制御部13が動作した際に取得した各種情報を記憶する。ここで、記憶部12は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置等で実現され得る。なお、図3の例では、記憶部12は、情報処理装置10の内部に設置されているが、情報処理装置10の外部に設置されてもよいし、複数の記憶部が設置されていてもよい。
【0045】
(2-2-3.制御部13)
制御部13は、当該情報処理装置10全体の制御を司る。制御部13は、取得部13aおよび検知部13bを有する。ここで、制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路やASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現され得る。なお、制御部13は、電子回路Cが含まれるプリント基板Pに設置されてもよいし、電子回路Cが含まれないプリント基板Pに設置されてもよい。
【0046】
(2-2-3-1.取得部13a)
取得部13aは、電気的特性を示す電気的変量を取得する。例えば、取得部13aは、導電性を有する金属線M等の金属と金属の両端に接続された電極Bとによって構成されて、基板であるプリント基板Pに搭載される電子素子である腐食センサSの電気的特性を示す電気的変量を取得する。ここで、電気的変量とは、電子回路Cの腐食センサSの電気的特性を示す測定値または算出値であって、電気抵抗値[Ω]、電流値[A]、電圧値[V]、電力値[W]等の数値である。なお、取得部13aは、取得した電気的変量を記憶部12に格納してもよい。
【0047】
電気的変量として電気抵抗値Rについて説明すると、例えば、取得部13aは、電子回路Cの腐食センサSに接続された測定器Eを介して、腐食センサSの電気抵抗値Rを取得する。このとき、取得部13aは、電子回路Cの腐食センサSに接続された測定器Eである電圧計E-Vを介して、腐食センサSの電圧値Vを測定し、測定した電圧値Vを用いて電気抵抗値Rを算出することによって、腐食センサSの電気抵抗値Rを取得する。また、取得部13aは、電子回路Cの腐食センサSに接続された測定器Eである電流計E-Iが示す電流値Iをもとに算出された、腐食センサSの電気抵抗値Rを取得することもできる。
【0048】
電気抵抗値Rについて具体的な例を説明すると、取得部13aは、電圧値V(1)から算出した電気抵抗値R(1)、電圧値V(2)から算出した電気抵抗値R(2)、電圧値V(3)から算出した電気抵抗値R(3)、・・・を取得し、記憶部12に格納する。なお、V(1)、V(2)、V(3)、・・・は、所定の時間tにおける腐食センサSの電圧値V(t)を示す。また、R(1)、R(2)、R(3)、・・・は、所定の時間tにおける腐食センサSの電気抵抗値R(t)を示す。
【0049】
また、取得部13aは、電流値I(1)から算出した電気抵抗値R(1)、電流値I(2)から算出した電気抵抗値R(2)、電流値I(3)から算出した電気抵抗値R(3)、・・・を取得し、記憶部12に格納してもよい。なお、I(1)、I(2)、I(3)、・・・は、所定の時間tに腐食センサSを流れる電流の電流値I(t)を示す。また、R(1)、R(2)、R(3)、・・・は、所定の時間tにおける腐食センサSの電気抵抗値R(t)を示す。
【0050】
(2-2-3-2.検知部13b)
検知部13bは、以下に示すように、異常発生検知処理および異常アラーム通知処理を実行する。
【0051】
(異常発生検知処理)
検知部13bは、電気的変量の変動に基づき、プリント基板Pの電子素子である腐食センサSの異常を検知する。例えば、検知部13bは、腐食センサSの電気抵抗値Rが電気抵抗閾値X以上となった場合に、プリント基板Pの周辺環境に起因する腐食センサSの異常を検知する。また、検知部13bは、腐食センサSに流れる電流の電流値Iが電流閾値X以下となった場合に、プリント基板Pの周辺環境に起因する腐食センサSの異常を検知する。なお、検知部13bは、プリント基板Pの腐食センサSの異常の発生を示す閾値X(電気抵抗閾値X、電流閾値X)を記憶部12から取得してもよい。
【0052】
電気抵抗値Rの変動に基づく異常発生検知処理について具体的な例を説明すると、検知部13bは、取得部13aによって1秒ごとに電気抵抗値R(1)、電気抵抗値R(2)、電気抵抗値R(3)、・・・のように電気抵抗値Rが取得されている場合に、電気抵抗値R(3)が電気抵抗閾値X以上の数値であってほぼ空気の電気抵抗と等しいことを判定し、時間t=3において腐食ガスGによる金属線Mの切断が生じたことを判定し、プリント基板Pの腐食センサSの腐食ガスGに起因する腐食異常を検知する。
【0053】
電流値Iの変動に基づく異常発生検知処理について具体的な例を説明すると、検知部13bは、取得部13aによって1秒ごとに電流値I(1)、電流値I(2)、電流値I(3)、・・・のように電流値Iが取得されている場合に、電流値I(3)が電流閾値X以下の数値であってほぼ0[A]であることを判定し、時間t=3において腐食ガスGによる金属線Mの切断が生じたことを判定し、プリント基板Pの腐食センサSの腐食ガスGに起因する腐食異常を検知する。
【0054】
一方、検知部13bは、電気的変量の変動値を算出し、プリント基板Pの異常を検知してもよい。例えば、検知部13bは、取得された電気抵抗値Rから電気抵抗変動値ΔRを算出し、電気抵抗変動値ΔRが電気抵抗閾値Y以上となった場合に、プリント基板Pの異常の発生を検知する。また、検知部13bは、取得された電流値Iから電流変動値ΔIを算出し、電流変動値ΔIが電流閾値Y以上となった場合に、プリント基板Pの異常の発生を検知する。
【0055】
初期値との差分を用いた電気抵抗変動値ΔRについて説明する。検知部13bは、電子回路Cの腐食センサSの初期状態(t=0)における電気抵抗値R(0)と、時間tにおける電気抵抗値R(t)との差分を時間tにおける電気抵抗変動値ΔR(t)として算出する。ここで、電気抵抗変動値ΔR(t)=|R(t)-R(0)|と表わされる。そして、検知部13bは、ΔR(t)≧Yである場合には、時間tにおいて腐食センサSに起因する異常の発生があると判断する。
【0056】
また、平均値との差分を用いた電気抵抗変動値ΔRについて説明する。例えば、検知部13bは、正常稼働中と判断される1日分のN個の電気抵抗値Rを用いて、電気抵抗平均値R(Ave)=ΣR(i)/Nを算出し、算出した電気抵抗平均値R(Ave)と、時間tにおける電気抵抗値R(t)との差分である平均偏差を時間tにおける電気抵抗変動値ΔR(t)として算出する。ここで、電気抵抗変動値ΔR(t)=|R(t)-R(Ave)|と表わされる。そして、検知部13bは、ΔR(t)≧Yである場合には、時間tにおいて腐食センサSに起因する異常の発生があると判断する。
【0057】
初期値との差分を用いた電流変動値ΔIについて説明する。例えば、検知部13bは、電子回路Cの腐食センサSに流れる初期状態(t=0)における電流値I(0)と、時間tにおける電流値I(t)との差分を時間tにおける電流変動値ΔI(t)として算出する。ここで、電流変動値ΔI(t)=|I(t)-I(0)|と表わされる。そして、検知部13bは、ΔI(t)≧Yである場合には、時間tにおいて腐食センサSに起因する異常の発生があると判断する。
【0058】
また、平均値との差分を用いた電流変動値ΔIについて説明する。例えば、検知部13bは、正常稼働中と判断される1日分のN個の電流値Iを用いて、電流平均値I(Ave)=ΣI(i)/Nを算出し、算出した電流平均値I(Ave)と、時間tにおける電流値I(t)との差分である平均偏差を時間tにおける電流変動値ΔI(t)として算出する。ここで、電流変動値ΔI(t)=|I(t)-I(Ave)|と表わされる。そして、検知部13bは、ΔI(t)≧Yである場合には、時間tにおいて腐食センサSに起因する異常の発生があると判断する。
【0059】
(異常アラーム通知処理)
検知部13bは、異常の発生を検知した場合に、異常アラームを通知する。例えば、検知部13bは、取得した電気抵抗値Rが電気抵抗閾値X以上である場合には、プラントの管理者が使用する端末に異常アラームを通知する。このとき、検知部13bは、算出した電気抵抗変動値ΔRが電気抵抗閾値Y以上である場合には、プラントの管理者が使用する端末に異常アラームを通知してもよい。また、検知部13bは、取得した電流値Iが電流閾値X以下である場合には、プラントの管理者が使用する端末に異常アラームを通知する。このとき、検知部13bは、算出した電流変動値ΔIが電流閾値Y以上である場合には、プラントの管理者が使用する端末に異常アラームを通知してもよい。
【0060】
異常アラームについて説明すると、例えば、検知部13bは、取得された電気抵抗値Rが電気抵抗閾値X以上である場合、または算出した電気抵抗変動値ΔRが電気抵抗閾値Y以上である場合には、プラントの管理者が使用する端末に異常アラームを通知するとともに、バックアップ機器への自動切替を実行する。また、検知部13bは、取得された電流値Iが電流閾値X以下である場合、または算出した電流変動値ΔIが電流閾値Y以上である場合には、プラントの管理者が使用する端末に異常アラームを通知するとともに、バックアップ機器への自動切替を実行することもできる。さらに、検知部13bは、電気抵抗平均値R(Ave)または電流平均値I(Ave)の変化率から推定される異常の発生時期を通知することもできる。
【0061】
(2-2-4.電子回路C)
電子回路Cは、測定器Eおよび腐食センサSを有する。また、電子回路Cは、情報処理装置10が実行する情報処理を司るCPUやMPU等の電子回路やASICやFPGA等の集積回路であってもよい。
【0062】
(2-2-4-1.測定器E)
測定器Eは、腐食センサSの電気的変量を測定する計器であって、例えば電圧計E-V、電流計E-I等で実現される。なお、図3の例では、測定器Eは、情報処理装置10の内部に設置されているが、情報処理装置10の外部に設置されてもよいし、複数の測定器Eが設置されていてもよい。
【0063】
電圧計E-Vは、電気的変量として電圧値Vを測定する。例えば、電圧計E-Vは、電子回路Cの腐食センサSの電圧値Vを1秒ごとに測定する。なお、測定する間隔は、1秒に限定されず任意の時間を設定できる。また、電圧計E-Vは、測定した電圧値Vをもとに、対応する電気抵抗値Rを算出することもできる。
【0064】
電流計E-Iは、電気的変量として電流値Iを測定する。例えば、電流計E-Iは、電子回路Cの腐食センサSを流れる電流の電流値Iを1秒ごとに測定する。なお、測定する間隔は、1秒に限定されず任意の時間を設定できる。また、電流計E-Iは、測定した電流値Iをもとに、対応する電気抵抗値Rを算出することもできる。
【0065】
(2-2-4-2.腐食センサS)
腐食センサSは、導電性を有する金属により形成された電子素子であって、金属により生成された少なくとも1本の金属線Mと、金属線Mの両端に接続された電極Bとによって構成される。また、腐食センサSは、導電性を有する金属により生成された少なくとも1本の金属線Mと、金属線Mの両端に接続された電極Bと、通気性を有する容器である通気ケースHとによって構成されてもよい。また、腐食センサSは、プリント基板Pを収納する筐体の通気口から所定範囲内の位置に搭載されることが好ましいが、特に限定されない。
【0066】
金属線Mは、銅または銀により形成される。金属線Mは、銅や銀に限定されず、例えば、銅の合金、銀の合金、銅メッキ金属、銀メッキ金属等であってもよい。
【0067】
電極Bは、金属線Mの両端に接続される少なくとも2枚の導電性を有する物質で構成される。電極Bは、腐食センサSを電子回路Cに設置を容易とする材質、形状、大きさ等であることが好ましいが、特に限定されない。また、電極Bは、リード部品であってもよい。また、電極Bは、ハンダ接続を容易にするために、メッキ等で覆われてもよい。
【0068】
通気ケースHは、金属線Mを物理的に保護するための絶縁体で生成された容器であって、空気孔を有する構造、メッシュ構造等の腐食ガスGを通過可能な通気性を有する容器である。
【0069】
(2-2-5.電子回路Cの具体例)
図4図7を用いて、電子回路Cの具体例について説明する。図4図7は、実施形態に係る電子回路Cの構成例を示す回路図である。
【0070】
(2-2-5-1.具体例1)
図4を用いて、定電圧源ES-Vおよび電流計E-Iを用いて電気抵抗を測定可能な電子回路Cの具体例1について説明する。具体例1の回路図は、定電圧源ES-V、電流計E-Iおよび腐食センサSを有する。
【0071】
定電圧源ES-Vは、一定の電圧値Vを出力する電源である。電流計E-Iは、腐食センサSに流れる電流の電流値Iを測定する。
【0072】
具体例1では、電圧値Vおよび電流値Iを用いて、腐食センサSの電気抵抗値Rを算出することができる。ここで、電気抵抗値Rは、R=V/Iで表わされる数式を用いて算出される。なお、具体例1では、電子回路Cに電流計E-Iを設置する手間を要する。
【0073】
(2-2-5-2.具体例2)
図5を用いて、定電流源ES-Iおよび電圧計E-Vを用いて電気抵抗を測定可能な電子回路Cの具体例2について説明する。具体例2の回路図は、定電流源ES-I、電圧計E-Vおよび腐食センサSを有する。
【0074】
定電流源ES-Iは、一定の電流値Iを出力する電源である。電圧計E-Vは、例えばAD(Analog to Digital)コンバータで実現され、腐食センサSの電圧値Vを測定する。
【0075】
具体例2では、電流値Iおよび電圧値Vを用いて、腐食センサSの電気抵抗値Rを算出することができる。ここで、電気抵抗値Rは、R=V/Iで表わされる数式を用いて算出される。なお、具体例2では、電子回路Cに定電流源ES-Iを設置する手間を要する。
【0076】
(2-2-5-3.具体例3)
図6を用いて、定電圧源ES-Vおよび基準電気抵抗RRを用いて電気抵抗を測定可能な電子回路Cの具体例3について説明する。具体例3の回路図は、定電圧源ES-V、電圧計E-V1、電圧計E-V2、基準電気抵抗RRおよび腐食センサSを有する。
【0077】
定電圧源ES-Vは、一定の電圧値Vを出力する電源である。なお、具体例3では、定電圧源ES-Vが出力する電圧値Vの精度は高くなくともよい。電圧計E-V1は、例えばADコンバータで実現され、基準電気抵抗RRの電圧値V(R’)を測定する。電圧計E-V2は、例えばADコンバータで実現され、腐食センサSの電圧値V(R)を測定する。
【0078】
具体例3では、電圧値V(R’)、電圧値V(R)および基準電気抵抗RRの電気抵抗値R’を用いて、腐食センサSの電気抵抗値Rを算出することができる。ここで、電気抵抗値Rは、V(R’)/R’=V(R)/Rであることより、R=R’×V(R)/V(R’)で表わされる数式を用いて算出される。なお、具体例3では、電子回路Cに2つの電圧計E-Vを設置する手間を要する。
【0079】
(2-2-5-4.具体例4)
図7を用いて、上記の具体例3においてスイッチを設置する電子回路Cであって、定電圧源ES-Vおよび基準電気抵抗RRを用いて電気抵抗を測定可能な電子回路Cの具体例4について説明する。具体例4の回路図は、定電圧源ES-V、電圧計E-V、スイッチSW1、スイッチSW2、基準電気抵抗RRおよび腐食センサSを有する。
【0080】
定電圧源ES-Vは、一定の電圧値Vを出力する電源である。なお、具体例4では、定電圧源ES-Vが出力する電圧値Vの精度は高くなくともよい。電圧計E-Vは、例えばADコンバータで実現され、スイッチSW1がオン、かつスイッチSW2がオフの場合には、基準電気抵抗RRおよび腐食センサSの電圧値V(RR’)を測定する。電圧計E-Vは、例えばADコンバータで実現され、スイッチSW1がオフ、かつスイッチSW2がオンの場合には、腐食センサSの電圧値V(R)を測定する。
【0081】
具体例4では、電圧値V(RR’)、電圧値V(R)および基準電気抵抗RRの電気抵抗値R’を用いて、腐食センサSの電気抵抗値Rを算出することができる。ここで、電気抵抗値Rは、(V(RR’)-V(R))/R’=V(R)/Rであることより、R=R’×V(R)/(V(RR’)-V(R))で表わされる数式を用いて算出される。なお、具体例4では、定電圧源ES-Vの精度を不要とし、かつ電子回路Cに2つの電圧計E-Vの設置を不要とするので、具体例1~具体例3と比較して簡便に実現できる。
【0082】
〔3.情報処理システム100の処理の流れ〕
図8を用いて、実施形態に係る情報処理システム100の処理の流れについて説明する。図8は、実施形態に係る情報処理全体の流れを示すフローチャートである。なお、下記のステップS101~S106の処理は、異なる順序で実行することもできる。また、下記のステップS101~S106の処理のうち、省略される処理があってもよい。
【0083】
(3-1.電気抵抗値取得処理)
第1に、情報処理装置10は、電気抵抗値取得処理を実行する(ステップS101)。例えば、情報処理装置10は、電子回路Cに含まれる電圧計E-Vを介して、電子回路Cに含まれる1本の銅線で形成されるヒューズ様の腐食センサSに対応する電圧値Vを取得し、取得した電圧値Vをもとに腐食センサSの電気抵抗値Rを算出することによって、腐食センサSの電気抵抗をモニタリングする。このとき、情報処理装置10は、電子回路Cの腐食センサSを流れる電流の電流値Iを取得してもよい。例えば、情報処理装置10は、電子回路Cに含まれる電流計Aを介して、腐食センサSに流れる電流の電流値Iを取得し、腐食センサSを流れる電流をモニタリングしてもよい。
【0084】
(3-2.電気抵抗値変化判定処理)
第2に、情報処理装置10は、電気抵抗値変化判定処理を実行する(ステップS102)。例えば、情報処理装置10は、取得した電気抵抗値Rから電気抵抗変動値ΔRを算出し、電気抵抗閾値Yと比較する。ここで、情報処理装置10は、ΔR≧Yの場合(ステップS102:Yes)、ステップS103の処理に移行する。一方、情報処理装置10は、ΔI<Yの場合(ステップS102:No)、ステップS101の処理に戻る。このとき、情報処理装置10は、取得した電流値Iから電流変動値ΔIを算出し、電流閾値Yと比較してもよい。
【0085】
(3-3.電気抵抗値判定処理)
第3に、情報処理装置10は、電気抵抗値判定処理を実行する(ステップS103)。例えば、情報処理装置10は、取得した電気抵抗値Rと、電気抵抗閾値Xとを比較する。ここで、情報処理装置10は、R≧Xの場合(ステップS103:Yes)、ステップS104の処理に移行する。一方、情報処理装置10は、R<Xの場合(ステップS103:No)、ステップS101の処理に戻る。このとき、情報処理装置10は、取得した電流値Iと、電流閾値Xとを比較してもよい。
【0086】
(3-4.腐食異常検知処理)
第4に、情報処理装置10は、腐食異常検知処理を実行する(ステップS104)。例えば、情報処理装置10は、電子回路Cが搭載されているプリント基板Pの腐食センサSに腐食による異常が発生していると検知する。
【0087】
(3-5.腐食異常通知処理)
第5に、情報処理装置10は、腐食異常通知処理を実行する(ステップS105)。例えば、情報処理装置10は、腐食異常を検知した場合には、プリント基板Pの腐食センサSにおける腐食による異常の発生をプラントの管理者の端末に通知する。
【0088】
(3-6.バックアップ機器切替処理)
第6に、情報処理装置10は、バックアップ機器切替処理を実行し(ステップS106)、処理を終了する。例えば、情報処理装置10は、腐食異常を検知した場合には、異なる情報処理装置であるバックアップ機器に自動的に切り替える。
【0089】
〔4.実施形態の効果〕
最後に、実施形態の効果について説明する。以下では、実施形態に係る処理に対応する効果1~7について説明する。
【0090】
(4-1.効果1)
第1に、上述した実施形態に係る処理では、情報処理装置10は、導電性を有する金属と金属の両端に接続された電極Bとによって構成されて、プリント基板Pに搭載される腐食センサSの電気的特性を示す電気的変量を取得し、電気的変量の変動に基づき、腐食センサSの異常を検知する。このため、本処理では、外部環境による電子部品の異常を検知することができる。
【0091】
(4-2.効果2)
第2に、上述した実施形態に係る処理では、腐食センサSは、少なくとも1本の金属線Mと、金属線Mの両端に接続された電極Bとによって構成される。このため、本処理では、腐食しやすい金属の細線を腐食センサSに使用することによって、外部環境による電子部品の異常を検知することができる。
【0092】
(4-3.効果3)
第3に、上述した実施形態に係る処理では、腐食センサSは、少なくとも1本の金属線Mと、金属線Mの両端に接続された電極Bと、通気性を有する通気ケースHによって構成される。このため、本処理では、物理的に保護された腐食センサSを使用することによって、外部環境による電子部品の異常を検知することができる。
【0093】
(4-4.効果4)
第4に、上述した実施形態に係る処理では、情報処理装置10は、電気的変量として腐食センサSの電気抵抗値Rを取得し、電気抵抗値Rが電気抵抗閾値X以上となった場合に、プリント基板Pの周辺環境に起因する異常を検知する。このため、本処理では、腐食センサSの腐食による切断を電気抵抗をモニタリングすることによって検知し、外部環境による電子部品の異常を検知することができる。
【0094】
(4-5.効果5)
第5に、上述した実施形態に係る処理では、情報処理装置10は、電気的変量として腐食センサSに流れる電流の電流値Iを取得し、電流値Iが電流閾値X以下となった場合に、プリント基板Pの周辺環境に起因する異常を検知する。このため、本処理では、腐食センサSの腐食による切断を電流をモニタリングすることによって検知し、外部環境による電子部品の異常を検知することができる。
【0095】
(4-6.効果6)
第6に、上述した実施形態に係る処理では、腐食センサSは、プリント基板Pを収納する筐体の通気口から所定範囲内の位置に搭載される。このため、本処理では、腐食センサSを腐食ガスGを検知しやすい位置に設置することによって、外部環境による電子部品の異常を検知することができる。
【0096】
(4-7.効果7)
第7に、上述した実施形態に係る処理では、腐食センサSは、金属として銅または銀を用いる。このため、本処理では、安価かつ簡便に、外部環境による電子部品の異常を検知することができる。
【0097】
〔システム〕
上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0098】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散や統合して構成することができる。
【0099】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0100】
〔ハードウェア〕
次に、情報処理装置10のハードウェア構成例を説明する。なお、その他の装置も同様のハードウェア構成とすることができる。図9は、ハードウェア構成例を説明する図である。図9に示すように、情報処理装置10は、通信装置10a、HDD(Hard Disk Drive)10b、メモリ10c、プロセッサ10dを有する。また、図9に示した各部は、バス等で相互に接続される。
【0101】
通信装置10aは、ネットワークインタフェースカード等であり、他のサーバとの通信を行う。HDD10bは、図3に示した機能を動作させるプログラムやDBを記憶する。
【0102】
プロセッサ10dは、図3に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムをHDD10b等から読み出してメモリ10cに展開することで、図3等で説明した各機能を実行するプロセスを動作させる。例えば、このプロセスは、情報処理装置10が有する各処理部と同様の機能を実行する。具体的には、プロセッサ10dは、取得部13a、検知部13b等と同様の機能を有するプログラムをHDD10b等から読み出す。そして、プロセッサ10dは、取得部13a、検知部13b等と同様の処理を実行するプロセスを実行する。
【0103】
このように、情報処理装置10は、プログラムを読み出して実行することで各種処理方法を実行する装置として動作する。また、情報処理装置10は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施形態と同様の機能を実現することもできる。なお、この他の実施形態でいうプログラムは、情報処理装置10によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0104】
このプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することができる。
【0105】
〔その他〕
開示される技術特徴の組合せのいくつかの例を以下に記載する。
【0106】
(1)導電性を有する金属と前記金属の両端に接続された電極とによって構成されて、基板に搭載される電子素子の電気的特性を示す電気的変量を取得する取得部と、前記電気的変量の変動に基づき、前記電子素子の異常を検知する検知部と、を備える情報処理装置。
【0107】
(2)前記電子素子は、前記金属により生成された少なくとも1本の金属線と、前記金属線の両端に接続された前記電極とによって構成される、(1)に記載の情報処理装置。
【0108】
(3)前記電子素子は、前記金属により生成された少なくとも1本の金属線と、前記金属線の両端に接続された前記電極と、通気性を有する容器とによって構成される、(1)に記載の情報処理装置。
【0109】
(4)前記取得部は、前記電気的変量として前記電子素子の電気抵抗値を取得し、前記検知部は、前記電子素子の電気抵抗値が閾値以上となった場合に、前記基板の周辺環境に起因する前記異常を検知する、(1)~(3)のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0110】
(5)前記取得部は、前記電気的変量として前記電子素子に流れる電流の電流値を取得し、前記検知部は、前記電子素子に流れる電流の電流値が閾値以下となった場合に、前記基板の周辺環境に起因する前記異常を検知する、(1)~(4)のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0111】
(6)前記電子素子は、前記基板を収納する筐体の通気口から所定範囲内の位置に搭載される、(1)~(5)のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0112】
(7)前記金属は、銅または銀である、(1)~(6)のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0113】
(8)コンピュータが、導電性を有する金属と前記金属の両端に接続された電極とによって構成されて、基板に搭載される電子素子の電気的特性を示す電気的変量を取得し、前記電気的変量の変動に基づき、前記電子素子の異常を検知する、処理を実行する情報処理方法。
【0114】
(9)コンピュータに、導電性を有する金属と前記金属の両端に接続された電極とによって構成されて、基板に搭載される電子素子の電気的特性を示す電気的変量を取得し、前記電気的変量の変動に基づき、前記電子素子の異常を検知する、処理を実行させる情報処理プログラム。
【符号の説明】
【0115】
10 情報処理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
13a 取得部
13b 検知部
100 情報処理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9