(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142033
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】閾値設定装置、閾値設定方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20241003BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20241003BHJP
B60R 1/04 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H04N7/18 J
G08G1/16 C
B60R1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053990
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 崚
(72)【発明者】
【氏名】今村 隼
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴之
(72)【発明者】
【氏名】帆谷 竜起
(72)【発明者】
【氏名】山下 明俊
【テーマコード(参考)】
5C054
5H181
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054FC12
5C054FE13
5C054FE14
5C054FE16
5C054GB02
5C054HA30
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181CC04
5H181FF25
5H181FF27
5H181FF33
5H181FF35
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】警告のための適切な閾値を容易に設定することができる閾値設定装置を提供する。
【解決手段】閾値設定装置10は、車両Vに対して所定距離よりも近くに接近する警告対象物に対して警告を行うために、所定距離に対応する閾値を設定する装置であって、閾値処理部12と画像処理部11とを備える。閾値処理部12は、カメラ20による車両Vの周辺の撮像によって得られるカメラ画像中の垂直方向の位置である指定位置を、ユーザuによる操作に応じて取得し、その指定位置に応じた大きさであって、かつ、警告対象物を模した形状を有するアイコンを生成する。画像処理部11は、アイコンをカメラ画像中の指定位置に重畳し、アイコンが重畳されたカメラ画像をディスプレイ31aに表示する。閾値処理部12は、表示されるアイコンに基づくユーザuによる決定操作に応じて、指定位置を閾値として設定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に対して所定距離よりも近くに接近する警告対象物に対して警告を行うために、前記所定距離に対応する閾値を設定する閾値設定装置であって、
前記車両に配置されているカメラによる前記車両の周辺の撮像によって得られるカメラ画像中の垂直方向の位置である指定位置を、ユーザによる操作に応じて取得し、前記指定位置に応じた大きさであって、かつ、前記警告対象物を模した形状を有するアイコンを生成する閾値処理部と、
生成された前記アイコンを前記カメラ画像中の前記指定位置に重畳し、前記アイコンが重畳された前記カメラ画像をアイコン重畳画像としてディスプレイに表示する画像処理部とを備え、
前記閾値処理部は、
表示される前記アイコン重畳画像に基づくユーザによる決定操作に応じて、前記指定位置を前記閾値として設定する、
閾値設定装置。
【請求項2】
前記閾値設定装置は、さらに、
前記カメラ画像に対する画像認識処理によって、前記車両の周辺を走行している他車両を検知する物体検知部を備え、
前記画像処理部および前記閾値処理部は、
前記物体検知部によって前記他車両が検知されていない場合には、
前記アイコン重畳画像を表示して前記閾値を設定する第1閾値設定処理を行い、
前記物体検知部によって前記他車両が検知されている場合には、
前記アイコン重畳画像を表示することなく前記閾値を設定する第2閾値設定処理を行う、
請求項1に記載の閾値設定装置。
【請求項3】
前記第2閾値設定処理では、
前記画像処理部は、
前記カメラ画像中の前記指定位置を通る水平ラインを前記カメラ画像に重畳し、前記水平ラインが重畳された前記カメラ画像をライン重畳画像として前記ディスプレイに表示し、
前記閾値処理部は、
表示される前記ライン重畳画像に基づくユーザによる決定操作に応じて、前記指定位置を前記閾値として設定する、
請求項2に記載の閾値設定装置。
【請求項4】
前記第2閾値設定処理では、
前記画像処理部は、
前記他車両が映し出されている前記カメラ画像に対してオブジェクトの重畳を行うことなく前記カメラ画像を前記ディスプレイに表示し、
前記閾値処理部は、
前記他車両が映し出されている前記カメラ画像に含まれる複数のフレームのうち、前記ユーザによる選択操作に応じたフレームに映し出されている前記他車両の垂直方向の位置を前記閾値として設定する、
請求項2に記載の閾値設定装置。
【請求項5】
前記画像処理部は、
前記ユーザによる選択操作が行われたときには、
前記他車両が映し出されていないベース画像中の重畳対象位置に確認用アイコンを重畳し、前記確認用アイコンが重畳された前記ベース画像を確認用画像として前記ディスプレイに表示し、
前記重畳対象位置は、
前記選択操作に応じたフレームに映し出されている前記他車両の垂直方向の位置と同一の位置であり、
前記確認用アイコンは、
前記重畳対象位置に応じた大きさであって、かつ、前記他車両を模した形状を有し、
前記閾値処理部は、
表示される前記確認用画像に基づくユーザによる決定操作に応じて、前記他車両の垂直方向の位置を前記閾値として設定する、
請求項4に記載の閾値設定装置。
【請求項6】
前記閾値設定装置は、さらに、
前記物体検知部によって前記他車両が検知されていないときに前記カメラ画像を録画画像として録画する録画部を備え、
前記アイコン重畳画像は、前記カメラによる現在の撮像によって得られる前記カメラ画像に、前記閾値処理部によって生成された前記アイコンが重畳された画像であり、
前記第2閾値設定処理では、
前記画像処理部は、
前記閾値処理部によって生成された前記アイコンを、前記録画部によって過去に録画された前記録画画像中の前記指定位置に重畳し、前記アイコンが重畳された前記録画画像をアイコン重畳録画画像として前記ディスプレイに表示し、
前記閾値処理部は、
表示される前記アイコン重畳録画画像に基づくユーザによる決定操作に応じて、前記指定位置を前記閾値として設定する、
請求項2に記載の閾値設定装置。
【請求項7】
前記閾値設定装置は、さらに、
前記カメラ画像に映し出されている前記他車両の垂直方向の位置を、前記車両から前記他車両までの車間距離に変換する距離変換処理を行う距離変換部と、
前記カメラ画像に含まれる複数のフレームを録画する録画部とを備え、
前記録画部は、
予め定められた複数の設定距離のそれぞれについて、当該設定距離と等しい前記車間距離に対応するフレームを録画し、
前記第2閾値設定処理では、
前記画像処理部は、
録画された前記複数のフレームを前記複数の設定距離にそれぞれ関連付けて前記ディスプレイに表示し、
前記閾値処理部は、
表示される前記複数のフレームから1つのフレームを選択するユーザの選択操作に応じて、選択されたフレームに映し出されている前記他車両の垂直方向の位置を前記閾値として設定する、
請求項2に記載の閾値設定装置。
【請求項8】
車両に対して所定距離よりも近くに接近する警告対象物に対して警告を行うために、前記所定距離に対応する閾値を設定する閾値設定方法であって、
前記車両に配置されているカメラによる前記車両の周辺の撮像によって得られるカメラ画像中の垂直方向の位置である指定位置を、ユーザによる操作に応じて取得し、前記指定位置に応じた大きさであって、かつ、前記警告対象物を模した形状を有するアイコンを生成し、
生成された前記アイコンを前記カメラ画像中の前記指定位置に重畳し、前記アイコンが重畳された前記カメラ画像をアイコン重畳画像としてディスプレイに表示し、
表示される前記アイコン重畳画像に基づくユーザによる決定操作に応じて、前記指定位置を前記閾値として設定する、
閾値設定方法。
【請求項9】
車両に対して所定距離よりも近くに接近する警告対象物に対して警告を行うために、前記所定距離に対応する閾値を設定するためのプログラムであって、
前記車両に配置されているカメラによる前記車両の周辺の撮像によって得られるカメラ画像中の垂直方向の位置である指定位置を、ユーザによる操作に応じて取得し、前記指定位置に応じた大きさであって、かつ、前記警告対象物を模した形状を有するアイコンを生成し、
生成された前記アイコンを前記カメラ画像中の前記指定位置に重畳し、前記アイコンが重畳された前記カメラ画像をアイコン重畳画像としてディスプレイに表示し、
表示される前記アイコン重畳画像に基づくユーザによる決定操作に応じて、前記指定位置を前記閾値として設定する、
ことをコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に対して所定距離よりも近くに接近する警告対象物に対して警告を行うために、その所定距離に対応する閾値を設定する装置などに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の後方を走行する後方車両が、その車両に所定距離よりも近くに接近すると、ユーザに対して警告を行う警告システムが提案されている。このような警告システムは、カメラと、バックミラーまたはルームミラーとして用いられる電子ミラーとを備え、その電子ミラーには、カメラによる撮像によって得られた画像が表示される。その画像には、後方車両などの物体が映し出される。車両のユーザは、電子ミラーに映し出される画像中の垂直方向の位置を指定することによって、上述の所定距離に対応する閾値を設定することができる。つまり、電子ミラーの画像における、ユーザによって指定された位置よりも下方に、後方車両が映し出されれば、警告が行われる。したがって、その位置が閾値として扱われる。
【0003】
ここで、従来の警告システムでは、電子ミラーの画像上の位置の指定を受け付けるために、その画像に水平ラインが映し出される。ユーザは、その水平ラインを垂直方向に移動させることによって、その水平ラインの所望の位置を閾値として設定する。つまり、このような警告システムは、その閾値を設定する閾値設定装置を備えている。
【0004】
なお、特許文献1には、監視カメラの監視エリア設定装置が開示されている。この監視エリア設定装置は、監視カメラによって得られる映像中の監視対象とされるエリアを監視エリアとして設定する。具体的には、監視エリア設定装置は、実空間における監視対象水平面上に設置された3点のマーカを画像処理によって検出し、それらのマーカを結ぶ直線を用いて監視エリアを設定する。
【0005】
従来の閾値設定装置は、上記特許文献1の監視エリア設定装置が直線を用いて監視エリアを設定しているように、水平ラインを用いて警告のための閾値を設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の閾値設定装置では、水平ラインの位置が、実空間において車両からどれだけ離れた位置に相当するかが、分かり難い。つまり、水平ラインの位置と、実空間における車両と警告対象物との間の距離と、の関係が分かり難い。仮に、実空間上のサイズまたは距離を把握し得る目印などがその画像に映し出されていなければ、上述の関係を把握するために、ユーザは、その目印がカメラによって撮像されるように、車両を運転しなければならない。このとき、ユーザは、路面を走行する後方車両にも気を付ける必要があるため、閾値の設定には危険が伴う可能性がある。その結果、ユーザが適切な閾値を設定することが難しいという課題がある。また、警告システム、あるいは、その警告システムが搭載された車両を購入したばかりのユーザでは、なおさら、上述の関係を把握することは困難であり、適切な閾値を設定することができない可能性が高い。
【0008】
そこで、本開示は、警告のための適切な閾値を容易に設定することができる閾値設定装置などを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係る閾値設定装置は、車両に対して所定距離よりも近くに接近する警告対象物に対して警告を行うために、前記所定距離に対応する閾値を設定する閾値設定装置であって、前記車両に配置されているカメラによる前記車両の周辺の撮像によって得られるカメラ画像中の垂直方向の位置である指定位置を、ユーザによる操作に応じて取得し、前記指定位置に応じた大きさであって、かつ、前記警告対象物を模した形状を有するアイコンを生成する閾値処理部と、生成された前記アイコンを前記カメラ画像中の前記指定位置に重畳し、前記アイコンが重畳された前記カメラ画像をアイコン重畳画像としてディスプレイに表示する画像処理部とを備え、前記閾値処理部は、表示される前記アイコン重畳画像に基づくユーザによる決定操作に応じて、前記指定位置を前記閾値として設定する。
【0010】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。また、記録媒体は、非一時的な記録媒体であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示の閾値設定装置は、警告のための適切な閾値を容易に設定することができる。
【0012】
なお、本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施の形態並びに明細書および図面に記載された構成によって提供されるが、必ずしも全ての構成が必要とはされない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施の形態1における警告システムが設置されている車室の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1における警告システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1におけるアイコン重畳画像の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1における閾値設定装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施の形態2における警告システムの構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施の形態2におけるライン重畳画像を用いた第2閾値設定処理を説明するための図である。
【
図7】
図7は、実施の形態2における閾値設定装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施の形態2における第2閾値設定処理の詳細な一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施の形態3における警告システムの構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、実施の形態3におけるフレームを用いた第2閾値設定処理を説明するための図である。
【
図11】
図11は、実施の形態3における第2閾値設定処理の詳細な一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、実施の形態4における警告システムの構成を示すブロック図である。
【
図13】
図13は、実施の形態4における録画画像を用いた第2閾値設定処理を説明するための図である。
【
図14A】
図14Aは、実施の形態4における録画部の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図14B】
図14Bは、実施の形態4における第2閾値設定処理の詳細な一例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、実施の形態5における警告システムの構成を示すブロック図である。
【
図16A】
図16Aは、実施の形態5における第2閾値設定処理において表示される画像の一例を示す図である。
【
図16B】
図16Bは、実施の形態5における第2閾値設定処理において表示される他の画像の一例を示す図である。
【
図17A】
図17Aは、実施の形態5における第2閾値設定処理の詳細な一例を示すフローチャートである。
【
図17B】
図17Bは、実施の形態5における第2閾値設定処理の詳細な一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の第1態様に係る閾値設定装置は、車両に対して所定距離よりも近くに接近する警告対象物に対して警告を行うために、前記所定距離に対応する閾値を設定する閾値設定装置であって、前記車両に配置されているカメラによる前記車両の周辺の撮像によって得られるカメラ画像中の垂直方向の位置である指定位置を、ユーザによる操作に応じて取得し、前記指定位置に応じた大きさであって、かつ、前記警告対象物を模した形状を有するアイコンを生成する閾値処理部と、生成された前記アイコンを前記カメラ画像中の前記指定位置に重畳し、前記アイコンが重畳された前記カメラ画像をアイコン重畳画像としてディスプレイに表示する画像処理部とを備え、前記閾値処理部は、表示される前記アイコン重畳画像に基づくユーザによる決定操作に応じて、前記指定位置を前記閾値として設定する。
【0015】
これにより、ユーザが指定位置を操作すれば、その指定位置に応じた大きさで、かつ、警告対象物の形状を有するアイコンが、カメラ画像中のその指定位置に重畳されて表示される。警告対象物は、例えば、車両の後方を走行する後方車両である。そして、例えば、指定位置が下方にあるほど、その指定位置に大きなアイコンが表示され、逆に、指定位置が上方にあるほど、その指定位置に小さなアイコンが表示される。したがって、そのアイコンは、車両からその指定位置に応じた距離だけ後方に離れて走行する警告対象物のように、カメラ画像に映し出される。その結果、ユーザは、そのアイコンを見れば、指定位置と、車両から警告対象物までの距離との関係を容易に把握することができる。そして、ユーザは、そのアイコンを見ながら決定操作を行えば、その指定位置を閾値として容易に設定することができる。したがって、警告のための適切な閾値を容易に設定することができる。
【0016】
また、第1態様に従属する第2態様に係る閾値設定装置は、さらに、前記カメラ画像に対する画像認識処理によって、前記車両の周辺を走行している他車両を検知する物体検知部を備え、前記画像処理部および前記閾値処理部は、前記物体検知部によって前記他車両が検知されていない場合には、前記アイコン重畳画像を表示して前記閾値を設定する第1閾値設定処理を行い、前記物体検知部によって前記他車両が検知されている場合には、前記アイコン重畳画像を表示することなく前記閾値を設定する第2閾値設定処理を行ってもよい。
【0017】
例えば、車両の後方を走行する後方車両がカメラ画像に他車両として映し出されている場合に、そのカメラ画像にアイコンが重畳されて表示されると、そのアイコンは他車両の像に重ねられる可能性がある。したがって、ユーザにとってアイコンの認識が困難になり、閾値を容易に設定することができない可能性がある。しかし、第2態様では、カメラ画像に他車両が映し出される場合には、その他車両が検知され、アイコン重畳画像を表示することなく、すなわち、アイコンがカメラ画像に重畳されて表示されることなく、閾値が設定される。つまり、第2閾値設定処理が行われる。なお、カメラ画像に他車両が映し出されていない場合には、上述のアイコンがカメラ画像に重畳されて表示される第1閾値設定処理が行われる。したがって、アイコンの認識が困難になる可能性がある場合には、アイコンは表示されずに閾値が設定されるため、ユーザによる閾値の設定のための困難な操作を軽減することができる。
【0018】
また、第2態様に従属する第3態様に係る閾値設定装置において、前記第2閾値設定処理では、前記画像処理部は、前記カメラ画像中の前記指定位置を通る水平ラインを前記カメラ画像に重畳し、前記水平ラインが重畳された前記カメラ画像をライン重畳画像として前記ディスプレイに表示し、前記閾値処理部は、表示される前記ライン重畳画像に基づくユーザによる決定操作に応じて、前記指定位置を前記閾値として設定してもよい。
【0019】
これにより、第2閾値設定処理では、水平ラインが、カメラ画像中の指定位置に重畳されて表示される。したがって、その水平ラインが仮に他車両の像に重ねられた場合でも、ユーザによるその水平ラインの認識が困難になる可能性を抑えることができる。そして、ユーザは、その水平ラインを見ながら決定操作を行えば、その指定位置を閾値として容易に設定することができる。したがって、カメラ画像に他車両が映し出されているか否かに関わらず、警告のための適切な閾値を容易に設定することができる。
【0020】
また、第2態様に従属する第4態様に係る閾値設定装置において、前記第2閾値設定処理では、前記画像処理部は、前記他車両が映し出されている前記カメラ画像に対してオブジェクトの重畳を行うことなく前記カメラ画像を前記ディスプレイに表示し、前記閾値処理部は、前記他車両が映し出されている前記カメラ画像に含まれる複数のフレームのうち、前記ユーザによる選択操作に応じたフレームに映し出されている前記他車両の垂直方向の位置を前記閾値として設定してもよい。なお、カメラ画像は、複数のフレームからなる動画像である。
【0021】
例えば、ユーザは、例えば、車両を路肩に停めている状態、あるいは、車両が走行している状態において、その車両の後方を走行する他車両が車両に近付いているときに、その他車両が映し出されているカメラ画像を見ながらフレームの選択操作を行う。つまり、ユーザは、そのカメラ画像を見ながら、他車両が車両から所望の距離まで近付いた状況を示すフレームが表示されたときに、選択操作を行う。第4態様では、このようなユーザによる選択操作に応じたフレームに映し出されている他車両の垂直方向の位置が閾値して設定される。したがって、ユーザは、閾値と、車両から警告対象物(すなわち他車両)までの距離との関係を把握しながら、その閾値を容易に設定することができる。したがって、カメラ画像に他車両が映し出されているか否かに関わらず、警告のための適切な閾値を容易に設定することができる。
【0022】
また、第4態様に従属する第5態様に係る閾値設定装置では、前記画像処理部は、前記ユーザによる選択操作が行われたときには、前記他車両が映し出されていないベース画像中の重畳対象位置に確認用アイコンを重畳し、前記確認用アイコンが重畳された前記ベース画像を確認用画像として前記ディスプレイに表示し、前記重畳対象位置は、前記選択操作に応じたフレームに映し出されている前記他車両の垂直方向の位置と同一の位置であり、前記確認用アイコンは、前記重畳対象位置に応じた大きさであって、かつ、前記他車両を模した形状を有し、前記閾値処理部は、表示される前記確認用画像に基づくユーザによる決定操作に応じて、前記他車両の垂直方向の位置を前記閾値として設定してもよい。
【0023】
これにより、ユーザによる選択操作が行われたときには、閾値の設定の前に、確認用画像がディスプレイに表示される。この確認用画像では、他車両が映し出されていないベース画像に確認用アイコンが重畳されている。したがって、ユーザは、その確認用アイコンを容易に認識することができる。さらに、その確認用アイコンは、選択操作によって選択されたフレームに映し出されている他車両の垂直方向の位置(すなわち重畳対象位置)に応じた大きさであって、かつ、その他車両を模した形状を有する。また、その重畳対象位置である他車両の垂直方向の位置は、仮決めの閾値とされている。したがって、ユーザは、その確認用アイコンを見れば、仮決めの閾値と、車両から警告対象物までの距離との関係を容易に把握することができる。そして、ユーザは、その確認用アイコンを見ながら決定操作を行えば、その他車両の垂直方向の位置を閾値として容易に設定することができる。したがって、カメラ画像に他車両が映し出されているか否かに関わらず、警告のための適切な閾値を容易に設定することができる。
【0024】
また、第2態様に従属する第6態様に係る閾値設定装置は、さらに、前記物体検知部によって前記他車両が検知されていないときに前記カメラ画像を録画画像として録画する録画部を備え、前記アイコン重畳画像は、前記カメラによる現在の撮像によって得られる前記カメラ画像に、前記閾値処理部によって生成された前記アイコンが重畳された画像であり、前記第2閾値設定処理では、前記画像処理部は、前記閾値処理部によって生成された前記アイコンを、前記録画部によって過去に録画された前記録画画像中の前記指定位置に重畳し、前記アイコンが重畳された前記録画画像をアイコン重畳録画画像として前記ディスプレイに表示し、前記閾値処理部は、表示される前記アイコン重畳録画画像に基づくユーザによる決定操作に応じて、前記指定位置を前記閾値として設定してもよい。
【0025】
これにより、第2閾値設定処理では、過去に録画された、他車両が映し出されていないカメラ画像である録画画像にアイコンが重畳されて表示される。したがって、ユーザは、そのアイコンを容易に認識することができる。そして、ユーザは、そのアイコンを見ながら決定操作を行えば、指定位置を閾値として容易に設定することができる。したがって、カメラ画像に他車両が映し出されているか否かに関わらず、警告のための適切な閾値を容易に設定することができる。
【0026】
また、第2態様に従属する第7態様に係る閾値設定装置は、さらに、前記カメラ画像に映し出されている前記他車両の垂直方向の位置を、前記車両から前記他車両までの車間距離に変換する距離変換処理を行う距離変換部と、前記カメラ画像に含まれる複数のフレームを録画する録画部とを備え、前記録画部は、予め定められた複数の設定距離のそれぞれについて、当該設定距離と等しい前記車間距離に対応するフレームを録画し、前記第2閾値設定処理では、前記画像処理部は、録画された前記複数のフレームを前記複数の設定距離にそれぞれ関連付けて前記ディスプレイに表示し、前記閾値処理部は、表示される前記複数のフレームから1つのフレームを選択するユーザの選択操作に応じて、選択されたフレームに映し出されている前記他車両の垂直方向の位置を前記閾値として設定してもよい。なお、カメラ画像は、複数のフレームからなる動画像である。
【0027】
例えば、ユーザが車両を路肩に停めている状態、あるいは、車両が走行している状態において、その車両の後方を走行する他車両が車両に近付いている場合に、車両と他車両との間の車間距離が、複数の設定距離の何れかに一致したときには、その車間距離にある他車両が映し出されているフレームが録画される。具体的な例では、車間距離が10mであるときのフレーム、車間距離が20mであるときのフレーム、および車間距離が30mであるときのフレームが録画される。なお、これらの車間距離は、何れかの設定距離に一致している。また、複数の設定距離のそれぞれは、フレーム中の垂直方向の位置、すなわち閾値の候補に対応している。その後、車両が走行していれば、ユーザは、車両を路肩に停めるなどして安全を確認した後、これらのフレームが複数の設定距離にそれぞれ関連付けて表示され、ユーザによる選択操作に応じて、それらのフレームから選択されたフレームに映し出されている他車両の垂直方向の位置が閾値に設定される。したがって、ユーザは、複数のフレームのそれぞれについて、そのフレームに対応する閾値の候補と、そのフレームに対応する車間距離との関係を、容易に、かつ急ぐことなく把握しながら、フレームを選択することによって、所望の閾値を容易に設定することができる。したがって、カメラ画像に他車両が映し出されているか否かに関わらず、警告のための適切な閾値を容易に設定することができる。
【0028】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0029】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0030】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における警告システムが設置されている車室の一例を示す図である。
【0031】
本実施の形態における警告システム1は、車両Vに搭載される。このような警告システム1は、バックミラーまたはルームミラーとして用いられる電子ミラー31を備える。電子ミラー31は、液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイを有し、車両Vの後部に配置されたカメラによる撮像によって得られる画像を表示する。なお、その画像は、以下、カメラ画像とも呼ばれる。警告システム1は、カメラ画像に映し出される後方車両が車両Vに所定距離よりも近くに近付くと、車両Vのユーザに対して警告を行う。なお、ユーザは、車両Vを運転する運転者であってもよく、その車両Vの搭乗者であってもよい。その所定距離は、例えば、車両Vのインスツルメントパネル51または電子ミラー31に配置されているスライダーバー、スイッチなどによって調整されてもよい。そして、警告は、例えば車両Vの左スピーカ52aおよび右スピーカ52b、あるいは、電子ミラー31に備えられているスピーカから出力される音によって行われてもよい。あるいは、警告は、電子ミラー31またはインスツルメントパネル51のディスプレイによる警告マークなどの表示によって行われてもよい。
【0032】
図2は、警告システム1の構成を示すブロック図である。
【0033】
警告システム1は、閾値設定装置10、カメラ20、物体検知部21、警告処理部22、ディスプレイ31a、操作部32、および警告部33を備える。
【0034】
ディスプレイ31aは、例えば液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイであって、電子ミラー31に備えられている。
【0035】
操作部32は、例えばスライダーバー、スイッチなどであって、車両Vのユーザuによる操作を受け付け、その操作に応じた操作信号を出力する。このような操作部32は、電子ミラー31に配置されていていてもよく、インスツルメントパネル51に配置されてもよい。また、操作部32は、電子ミラー31のディスプレイ31aと一体に構成されていてもよい。この場合、操作部32およびディスプレイ31aは、タッチパネルとして一体に構成される。
【0036】
カメラ20は、車両Vの後部に配置され、車両Vの後方を撮像し、その撮像によって得られる画像であるカメラ画像を出力する。なお、本開示のカメラ画像は、基本的に、撮像が行われたタイミングに得られる動画像であるが、これに限定されるとなく、静止画像であってもよい。
【0037】
物体検知部21は、カメラ20からカメラ画像を取得し、そのカメラ画像に対する画像認識処理を実行することによって、そのカメラ画像に映し出されている物体であって、車両Vの周辺を走行している他車両を検知する。例えば、物体検知部21は、車両Vの後方を走行する後方車両を物体として検知し、その検知結果を示す検知情報を出力する。検知情報は、例えば、カメラ画像において検知された後方車両の位置と、その物体の種別(例えば車種など)とを示す。
【0038】
警告処理部22は、物体検知部21から検知情報を取得し、その検知情報によって示されるカメラ画像中の後方車両の位置が、閾値よりも垂直方向の下方にあるか否かを判定する。そして、警告処理部22は、後方車両の位置が閾値よりも下方にあると判定すると、警告信号を出力する。
【0039】
警告部33は、例えばディスプレイおよびスピーカの少なくとも一方を備え、警告信号を警告処理部22から取得すると、画像の表示、音の出力などによって、その後方車両の接近を警告する。このような警告部33は、左スピーカ52aおよび右スピーカ52bから構成されていてもよく、電子ミラー31に配置されているスピーカとして構成されていてもよい。また、警告部33は、電子ミラー31のディスプレイ31aとして構成されていてもよい。
【0040】
閾値設定装置10は、警告処理部22に用いられる上述の閾値を、操作部32から出力される操作信号に応じて設定する。つまり、閾値設定装置10は、車両Vに対して所定距離よりも近くに接近する警告対象物に対して警告を行うために、その所定距離に対応する閾値を設定する装置である。警告対象物は、例えば後方車両である。このような閾値設定装置10は、画像処理部11および閾値処理部12を備える。
【0041】
閾値処理部12は、操作部32から操作信号を取得する。その操作信号が閾値操作信号である場合、閾値処理部12は、その閾値操作信号に応じて、アイコン情報を生成して画像処理部11に出力する。閾値操作信号は、カメラ画像中の垂直方向の位置である指定位置と、警告対象物の種別(具体的には車種)とを示す。アイコン情報は、アイコンと指定位置とを示す情報である。そのアイコンは、指定位置に応じた大きさであって、閾値操作信号によって示される車種の車両を模した形状を有する。また、閾値処理部12は、閾値操作信号を取得するごとに、あるいは、閾値操作信号が変更されるごとに、その閾値操作信号に応じたアイコン情報を生成して出力する。つまり、本実施の形態における閾値処理部12は、車両Vに配置されているカメラ20による車両Vの周辺の撮像によって得られるカメラ画像中の垂直方向の位置である指定位置を、ユーザuによる操作に応じて取得し、その指定位置に応じた大きさであって、かつ、警告対象物を模した形状を有するアイコンを生成する。
【0042】
また、閾値処理部12は、操作信号が決定操作信号である場合には、直近に取得された閾値操作信号によって示される指定位置を、その閾値操作信号によって示される車種の閾値に設定し、その車種および閾値を警告処理部22に出力する。つまり、警告対象の車種と、その車種に対応する閾値とが警告処理部22に出力される。なお、このときには、ユーザuは、画像処理部11によってディスプレイ31aに表示される後述のアイコン重畳画像を見ながら、決定操作信号が出力されるように操作部32を操作する。なお、このような操作部32の操作は、決定操作と呼ばれる。したがって、本実施の形態における閾値処理部12は、表示されるそのアイコン重畳画像に基づくユーザuによる決定操作に応じて、その指定位置を閾値として設定する。
【0043】
警告処理部22は、閾値処理部12から、警告対象の車種と、その車種に対応する閾値とを取得すると、検知情報に示されている車種が、警告対象物の車種に該当するか否かを判定する。そして、警告処理部22は、検知情報に示されている車種が、警告対象の車種に該当すると判定すると、さらに、検知情報に示されている後方車両の位置が、その警告対象の車種に対応する閾値よりも垂直方向の下方にあるか否かを判定する。警告処理部22は、後方車両の位置が閾値よりも下方にあると判定すると、上述の警告信号を出力する。このように、本実施の形態では、車種ごとに閾値が設定され、その車種に該当する警告対象物の位置が、その車種に対応する閾値よりも下方にあれば、その警告対象物の警告が行われる。
【0044】
画像処理部11は、カメラ20からカメラ画像を取得し、そのカメラ画像をディスプレイ31aに表示する。さらに、画像処理部11は、閾値処理部12からアイコン情報を取得すると、カメラ画像中の位置であって、そのアイコン情報によって示される指定位置に、そのアイコン情報によって示されるアイコンを重畳する。そして、画像処理部11は、そのアイコンが重畳されたカメラ画像であるアイコン重畳画像をディスプレイ31aに表示する。つまり、本実施の形態における画像処理部11は、生成されたアイコンをカメラ画像中の指定位置に重畳し、そのアイコンが重畳されたカメラ画像をアイコン重畳画像としてディスプレイ31aに表示する。
【0045】
【0046】
例えば、閾値処理部12は、
図3の(a)のように、アイコンaを示すアイコン情報を生成する。具体的には、閾値処理部12は、車種「普通乗用自動車」と、指定位置「Ya」とを示す閾値操作信号を操作部32から取得する。そして、閾値処理部12は、指定位置「Ya」に応じた大きさであって、その普通乗用自動車を模した形状を有するアイコンaと、その指定位置「Ya」とを示すアイコン情報を画像処理部11に出力する。画像処理部11は、カメラ画像C1における指定位置「Ya」にアイコンaを重畳することによって、アイコン重畳画像P1を生成してディスプレイ31aに表示する。
【0047】
ここで、ユーザuは、操作部32を操作することによって、カメラ画像C1の垂直方向(すなわち方向Y)における指定位置Yaを変更する。つまり、閾値操作信号が変更される。その結果、閾値処理部12は、そのアイコンaの大きさを、その変更後の指定位置Yaに応じて変更する。例えば、閾値処理部12は、指定位置Yaが低いほど(すなわち0に近いほど)、アイコンaを大きく、逆に、指定位置Yaが高いほど(すなわち0から遠いほど)、アイコンaを小さくする。また、画像処理部11は、その変更後の指定位置Yaにアイコンaを移動させる。つまり、指定位置Yaに重畳されるアイコンaは、その指定位置Yaに対応する実空間上の位置に普通乗用自動車が走行している場合に、その普通乗用自動車がカメラ画像C1に映し出される大きさと同じ大きさで表示される。これにより、ユーザuは、アイコン重畳画像P1のアイコンaを見れば、閾値と、その閾値に対応する実空間上の位置との関係、あるいは、閾値と、その閾値に対応する実空間上の車間距離との関係を、容易に把握ことができる。なお、車間距離は、車両Vと警告対象物である普通乗用自動車との間の距離である。
【0048】
あるいは、閾値処理部12は、
図3の(b)のように、アイコンbを示すアイコン情報を生成する。具体的には、閾値処理部12は、車種「普通自動二輪車」と、指定位置「Yb」とを示す閾値操作信号を操作部32から取得する。そして、閾値処理部12は、指定位置「Yb」に応じた大きさであって、その普通自動二輪車を模した形状を有するアイコンbと、その指定位置「Yb」とを示すアイコン情報を画像処理部11に出力する。画像処理部11は、カメラ画像C1における指定位置「Yb」にアイコンbを重畳することによって、アイコン重畳画像P1を生成してディスプレイ31aに表示する。
【0049】
ここで、ユーザuは、上述と同様、操作部32を操作することによって、カメラ画像C1の垂直方向(すなわち方向Y)における指定位置Yaを変更する。つまり、閾値操作信号が変更される。その結果、閾値処理部12は、そのアイコンbの大きさを、その変更後の指定位置Ybに応じて変更する。例えば、閾値処理部12は、指定位置Ybが低いほど(すなわち0に近いほど)、アイコンbを大きく、逆に、指定位置Ybが高いほど(すなわち0から遠いほど)、アイコンbを小さくする。また、画像処理部11は、その変更後の指定位置Ybにアイコンbを移動させる。つまり、指定位置Ybに重畳されるアイコンbは、その指定位置Ybに対応する実空間上の位置に普通自動二輪車が走行している場合に、その普通自動二輪車がカメラ画像C1に映し出される大きさと同じ大きさで表示される。これにより、ユーザuは、アイコン重畳画像P1のアイコンbを見れば、閾値と、その閾値に対応する実空間上の位置との関係、あるいは、閾値と、その閾値に対応する実空間上の車間距離との関係を、容易に把握ことができる。なお、車間距離は、車両Vと警告対象物である普通自動二輪車との間の距離である。
【0050】
図4は、閾値設定装置10の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0051】
閾値設定装置10の画像処理部11は、カメラ画像C1を取得し(ステップS1)、そのカメラ画像C1をディスプレイ31aに表示する(ステップS2)。このとき、警告システム1の物体検知部21によって、カメラ画像C1中の後方車両が検知され、警告処理部22によって、その後方車両がカメラ画像C1中の閾値よりも低い位置にあると判定された場合には、警告部33によって、その後方車両の接近についての警告が行われる。
【0052】
ここで、閾値処理部12は、操作部32から閾値操作信号を取得したかを判定する(ステップS3)。ここで、閾値操作信号を取得していないと閾値処理部12によって判定されると(ステップS3のNo)、閾値設定装置10は、後述のステップS11の処理を実行する。一方、閾値処理部12は、閾値操作信号を取得したと判定すると(ステップS3のYes)、閾値操作信号によって示される指定位置を距離に変換する(ステップS4)。指定位置は、カメラ画像C1中の垂直方向の位置であって、距離は、車両Vから、その指定位置に対応する実空間上の位置までの距離である。なお、このような変換には、カメラ20のパラメータが用いられる。さらに、閾値処理部12は、閾値操作信号によって示される車種を模したアイコンの形状と、その距離に応じたアイコンの大きさを決定する(ステップS5)。これにより、アイコンが生成される。
【0053】
例えば、車種ごとに、距離と、その車種のアイコンの大きさとの対応関係が、数式またはテーブルによって予め定められている。閾値処理部12は、その対応関係を用いて、アイコンの大きさを決定してもよい。また、ステップS4およびS5では、指定位置を距離に変換し、その距離に応じたアイコンの大きさを決定するが、指定位置を距離に変換することなく、その指定位置からアイコンの大きさを直接的に決定してもよい。この場合、例えば、車種ごとに、指定位置と、その車種のアイコンの大きさとの対応関係が、数式またはテーブルによって予め定められている。閾値処理部12は、その対応関係を用いて、アイコンの大きさを決定してもよい。
【0054】
そして、閾値処理部12は、その形状および大きさのアイコンと、指定位置とを示すアイコン情報を生成して画像処理部11に出力する。
【0055】
画像処理部11は、アイコン情報を閾値処理部12から取得すると、そのアイコン情報によって示されるカメラ画像C1中の指定位置に、そのアイコン情報によって示されるアイコンを重畳する(ステップS6)。そして、画像処理部11は、そのアイコンが重畳されたカメラ画像C1であるアイコン重畳画像P1をディスプレイ31aに表示する(ステップS7)。
【0056】
ここで、閾値処理部12は、閾値操作信号が変更されたか否か、すなわち、閾値操作信号によって示される指定位置が変更されたか否かを判定する(ステップS8)。閾値処理部12は、指定位置が変更されたと判定すると(ステップS8のYes)、ステップS4からの処理を繰り返し実行する。一方、閾値処理部12は、指定位置が変更されていないと判定すると(ステップS8のNo)、さらに、操作部32から決定操作信号を取得したか否かを判定する(ステップS9)。ここで、閾値処理部12は、決定操作信号を取得していないと判定すると(ステップS9のNo)、ステップS8からの処理を繰り返し実行する。一方、閾値処理部12は、決定操作信号を取得したと判定すると(ステップS9のYes)、直近の閾値操作信号によって示されている指定位置を閾値に設定する(ステップS10)。
【0057】
そして、閾値設定装置10は、終了条件が満たされているか否かを判定し(ステップS11)、満たされていないと判定すると(ステップS11のNo)、ステップS1からの処理を繰り返し実行する。一方、閾値設定装置10は、終了条件が満たされていると判定すると(ステップS11のYes)、全ての処理を終了する。なお、終了条件は、例えば警告システム1の電源がOFFにされたこと、車両VのイグニッションスイッチがOFFにされたことなどであってもよく、どのような条件であってもよい。
【0058】
このように、本実施の形態では、ユーザuが指定位置を操作すれば、その指定位置に応じた大きさで、かつ、警告対象物の形状を有するアイコンが、カメラ画像C1中のその指定位置に重畳されて表示される。警告対象物は、例えば、車両の後方を走行する後方車両である。そして、例えば、指定位置が下方にあるほど、その指定位置に大きなアイコンが表示され、逆に、指定位置が上方にあるほど、その指定位置に小さなアイコンが表示される。したがって、そのアイコンは、車両Vからその指定位置に応じた距離だけ後方に離れて走行する警告対象物のように、カメラ画像C1に映し出される。その結果、ユーザuは、そのアイコンを見れば、指定位置と、車両Vから警告対象物までの距離との関係を容易に把握することができる。そして、ユーザuは、そのアイコンを見ながら決定操作を行えば、その指定位置を閾値として容易に設定することができる。したがって、警告のための適切な閾値を容易に設定することができる。
【0059】
(実施の形態2)
本実施の形態における閾値設定装置は、カメラ画像に他車両が映し出されているか否かに応じて、閾値の設定のための処理を切り替える。具体的には、実施の形態1のようにアイコンのカメラ画像への重畳によって閾値を設定する処理である第1閾値設定処理と、アイコンのカメラ画像への重畳を行わずに閾値を設定する処理である第2閾値設定処理とが、切り替えられる。本実施の形態における第2閾値設定処理では、アイコンの代わりに水平ラインが用いられる。
【0060】
図5は、本実施の形態における警告システムの構成を示すブロック図である。
【0061】
本実施の形態における警告システム2は、閾値設定装置10a、カメラ20、警告処理部22、ディスプレイ31a、操作部32、および警告部33を備える。なお、本実施の形態における各構成要素のうち、実施の形態1と同一の構成要素については、実施の形態1と同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0062】
本実施の形態における閾値設定装置10aは、物体検知部21を備えている。さらに、本実施の形態における閾値設定装置10aは、画像処理部11aおよび閾値処理部12を備える。この画像処理部11aは、実施の形態1の画像処理部11としての機能を兼ね備える。つまり、本実施の形態における画像処理部11aおよび閾値処理部12は、物体検知部21によって後方車両が検知されていない場合には、実施の形態1と同様、アイコン重畳画像P1をディスプレイ31aに表示して閾値を設定する。なお、実施の形態1のように閾値を設定する処理は、第1閾値設定処理とも呼ばれる。一方、物体検知部21によって後方車両が検知されている場合には、本実施の形態における画像処理部11aおよび閾値処理部12は、アイコン重畳画像P1をディスプレイ31aに表示することなく閾値を設定する第2閾値設定処理を行う。
【0063】
具体的には、画像処理部11aは、物体検知部21から検知情報を取得し、その検知情報に後方車両が示されていなければ、第1閾値設定処理の動作として、アイコン重畳画像P1を生成する。一方、画像処理部11aは、物体検知部21から検知情報を取得し、その検知情報に後方車両が示されていれば、第2閾値設定処理の動作として、ライン重畳画像を生成する。つまり、画像処理部11aは、第2閾値設定処理では、カメラ画像C1中の指定位置を通る水平ラインをカメラ画像C1に重畳し、その水平ラインが重畳されたカメラ画像をライン重畳画像としてディスプレイ31aに表示する。
【0064】
閾値処理部12は、第2閾値設定処理では、ディスプレイ31aに表示されるライン重畳画像に基づくユーザuによる決定操作に応じて、上述の指定位置を閾値として設定する。
【0065】
図6は、本実施の形態におけるライン重畳画像を用いた第2閾値設定処理を説明するための図である。
【0066】
例えば、
図6の(a)に示すように、カメラ20から出力されるカメラ画像C2に後方車両v1が映し出されている。このような場合、物体検知部21は、その後方車両v1を検知し、その検知結果を示す検知情報を出力する。
【0067】
ここで、
図6の(b)に示すように、後方車両v1が映し出されているカメラ画像C2にアイコンaが重畳される場合には、後方車両v1の像とアイコンaとが重なる可能性がある。このように、後方車両v1の像とアイコンaとが重なると、アイコンaが重畳されたカメラ画像C2がディスプレイ31aに表示されても、ユーザuは、そのアイコンaを認識することが難しい。
【0068】
そこで、本実施の形態における画像処理部11aは、後方車両v1が検知されていることを示す検知情報を取得すると、アイコンaのカメラ画像C2への重畳を行わず、
図6の(c)に示すように、水平ラインLをカメラ画像C2に重畳する。そして、画像処理部11aは、水平ラインLが重畳されたカメラ画像C2であるライン重畳画像P2をディスプレイ31aに表示する。具体的には、画像処理部11aは、閾値処理部12から出力されるアイコン情報によって示される指定位置を通るように水平ラインLを重畳する。そして、ユーザuは、そのディスプレイ31aに表示されるライン重畳画像P2を見て、水平ラインLの位置を確認し、その位置でよければ、操作部32に対して決定操作を行う。その結果、閾値処理部12は、操作部32から出力される決定操作信号に応じて、その水平ラインLの位置、すなわち指定位置を閾値に設定する。
【0069】
図7は、本実施の形態における閾値設定装置10aの処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0070】
閾値設定装置10aは、実施の形態1の
図4に示す処理動作と同様、ステップS1~S3の処理を実行する。そして、画像処理部11aは、ステップS3において、閾値操作信号を取得したと判定すると(ステップS3のYes)、物体検知部21から出力される検知情報に基づいて、カメラ画像C1に後方車両v1が映し出されているか否かを判定する(ステップS21)。ここで、画像処理部11aは、後方車両v1が映し出されていると判定すると(ステップS21のYes)、閾値処理部12と共に第2閾値設定処理を実行する(ステップS22)。一方、画像処理部11aは、後方車両v1が映し出されていないと判定すると(ステップS21のNo)、閾値処理部12と共に第1閾値設定処理を実行する(ステップS23)。この第1閾値設定処理では、
図4に示すステップS4~S10の処理が実行される。
【0071】
ステップS22またはS23の処理が実行された後、閾値設定装置10aは、終了条件が満たされているか否かを判定する(ステップS11)。ここで、閾値設定装置10aは、終了条件が満たされていないと判定すると(ステップS11のNo)、ステップS1からの処理を繰り返し実行する。一方、閾値設定装置10aは、終了条件が満たされていると判定すると(ステップS11のYes)、全ての処理を終了する。
【0072】
図8は、第2閾値設定処理の詳細な一例を示すフローチャートである。なお、
図8は、
図7のステップS22の処理の詳細を示す。
【0073】
画像処理部11aは、カメラ画像C1中の指定位置に水平ラインLを重畳する(ステップS31)。そして、画像処理部11aは、水平ラインLが重畳されたカメラ画像C1をライン重畳画像P2としてディスプレイ31aに表示する(ステップS32)。そして、閾値処理部12は、
図4のフローチャートと同様、ステップS8~S10の処理を実行する。なお、本実施の形態におけるステップS8では、指定位置が変更されたと閾値処理部12によって判定されると(ステップS8のYes)、画像処理部11aは、ステップS31からの処理を繰り返し実行する。
【0074】
このように、本実施の形態では、カメラ画像C2に後方車両v1が映し出される場合には、第2閾値設定処理が行われる。その第2閾値設定処理では、アイコン重畳画像P1を表示することなく、すなわち、アイコンaがカメラ画像C2に重畳されて表示されることなく、閾値が設定される。したがって、アイコンaの認識が困難になる可能性がある場合には、アイコンaは表示されずに閾値が設定されるため、ユーザuによる閾値の設定のための困難な操作を軽減することができる。また、本実施の形態における第2閾値設定処理では、水平ラインLが、カメラ画像C2中の指定位置に重畳されて表示される。したがって、その水平ラインLが仮に後方車両v1の像に重ねられた場合でも、ユーザuによるその水平ラインLの認識が困難になる可能性を抑えることができる。そして、ユーザuは、その水平ラインLを見ながら決定操作を行えば、その指定位置を閾値として容易に設定することができる。したがって、カメラ画像に後方車両v1が映し出されているか否かに関わらず、警告のための適切な閾値を容易に設定することができる。
【0075】
(実施の形態3)
本実施の形態における閾値設定装置は、実施の形態2と同様、カメラ画像に他車両が映し出されているか否かに応じて、閾値の設定のための処理を切り替える。具体的には、第1閾値設定処理と第2閾値設定処理とが切り替えられる。また、本実施の形態における第2閾値設定処理では、実施の形態2とは異なり、アイコンも水平ラインLも重畳されないカメラ画像のフレームが用いられる。
【0076】
図9は、本実施の形態における警告システムの構成を示すブロック図である。
【0077】
本実施の形態における警告システム3は、閾値設定装置10b、カメラ20、警告処理部22、ディスプレイ31a、操作部32、および警告部33を備える。なお、本実施の形態における各構成要素のうち、実施の形態1または2と同一の構成要素については、実施の形態1または2と同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0078】
本実施の形態における閾値設定装置10bは、実施の形態2の閾値設定装置10aと同様、物体検知部21を備えている。さらに、本実施の形態における閾値設定装置10bは、画像処理部11bおよび閾値処理部12bを備える。この画像処理部11bおよび閾値処理部12bは、実施の形態1の画像処理部11および閾値処理部12としての機能をそれぞれ兼ね備える。つまり、本実施の形態における画像処理部11bおよび閾値処理部12bは、物体検知部21によって後方車両v1が検知されていない場合には、実施の形態1および2と同様、第1閾値設定処理を実行する。一方、物体検知部21によって後方車両v1が検知されている場合には、本実施の形態における画像処理部11bおよび閾値処理部12bは、実施の形態2と同様、アイコン重畳画像P1をディスプレイ31aに表示することなく閾値を設定する第2閾値設定処理を行う。
【0079】
具体的には、閾値処理部12bは、物体検知部21から検知情報を取得し、その検知情報に後方車両v1が示されていなければ、第1閾値設定処理の動作として、アイコン情報を生成して出力する。画像処理部11bは、物体検知部21から検知情報を取得し、その検知情報に後方車両v1が示されていなければ、第1閾値設定処理の動作として、閾値処理部12bからアイコン情報を取得してアイコン重畳画像P1を生成する。
【0080】
一方、画像処理部11bは、物体検知部21から検知情報を取得し、その検知情報に後方車両v1が示されていれば、第2閾値設定処理の動作として、後方車両v1が映し出されているカメラ画像C2をディスプレイ31aに表示する。具体的には、画像処理部11bは、カメラ画像C2にアイコンaおよび水平ラインLなどのオブジェクトの重畳を行うことなく、カメラ画像C2をディスプレイ31aに表示する。このように、本実施の形態における画像処理部11bは、第2閾値設定処理では、後方車両v1が映し出されているカメラ画像C2に対してオブジェクトの重畳を行うことなくそのカメラ画像C2をディスプレイ31aに表示する。
【0081】
また、閾値処理部12bは、物体検知部21から検知情報を取得し、その検知情報に後方車両v1が示されていれば、第2閾値設定処理の動作として、操作部32から出力される選択操作信号を待ち受ける。つまり、ユーザuは、上述の画像処理部11bによってディスプレイ31aに表示される動画像であるカメラ画像C2を見ながら、そのカメラ画像C2に映し出されている後方車両v1が所望の位置に到達するタイミングで操作部32を操作する。その結果、操作部32は、選択操作信号を閾値処理部12bに出力する。閾値処理部12bは、その選択操作信号を取得すると、そのときの検知情報によって示されている後方車両v1の位置を閾値に設定する。このように、本実施の形態における閾値処理部12bは、後方車両v1が映し出されているカメラ画像C2に含まれる複数のフレームのうち、ユーザuよる選択操作に応じたフレームに映し出されている後方車両v1の垂直方向の位置を閾値として設定する。
【0082】
図10は、本実施の形態におけるフレームを用いた第2閾値設定処理を説明するための図である。なお、
図10の(a)~(c)は、後方車両v1が映し出されているカメラ画像C2に含まれる3つのフレームを時系列に沿って示している。
【0083】
例えば、ユーザuは、車両Vを路肩に停めて、閾値を設定するために操作部32を操作する。このとき、画像処理部11bは、検知情報に後方車両v1が示されていれば、第2閾値設定処理の動作として、カメラ画像C2をディスプレイ31aに表示する。つまり、
図10の(a)~(c)に示すように、画像処理部11bは、後方車両v1が映し出されているカメラ画像C2にオブジェクトの重畳を行うことなく、そのカメラ画像C2に含まれる各フレームをディスプレイ31aに順に表示する。ユーザuは、このようにディスプレイ31aに表示されるカメラ画像C2を見ながら、そのカメラ画像C2に映し出されている後方車両v1が所望の位置に到達するタイミングで操作部32を操作する。例えば、ユーザuは、
図10の(b)に示すフレームがディスプレイ31aに表示されたタイミングで操作部32を操作する。言い換えれば、ユーザuは、
図10の(b)に示すフレームを選択するための選択操作を行う。その結果、操作部32は、選択操作信号を閾値処理部12bに出力する。閾値処理部12bは、その選択操作信号を取得すると、そのときの検知情報によって示されている後方車両v1の位置を閾値に設定する。つまり、閾値処理部12bは、
図10の(b)に示すフレームに映し出されている後方車両v1の垂直方向の位置を閾値に設定する。言い換えれば、閾値処理部12bは、ユーザuによる選択操作、あるいは選択操作信号に応じて、カメラ画像C2から
図10の(b)に示すフレームを選択し、そのフレームにおける後方車両v1の位置を閾値に設定する。
【0084】
ここで、閾値設定装置10bは、閾値を設定する直前に、その閾値の設定をユーザuに確認してもよい。例えば、閾値処理部12bは、
図10の(d)に示すように、選択操作信号を取得すると、そのときの検知情報によって示されている後方車両v1の位置に応じた大きさを有し、その後方車両v1を模した形状を有する確認用アイコンa1を生成する。そして、閾値処理部12bは、その確認用アイコンa1と後方車両v1の位置とを示す確認用アイコン情報を画像処理部11bに出力する。画像処理部11bは、その確認用アイコン情報を取得すると、その確認用アイコン情報によって示される確認用アイコンa1を、ベース画像BPにおける後方車両v1の位置に重畳する。ベース画像BPは、他車両が映し出されていない画像であれば、どのような画像またはフレームであってもよい。ベース画像BPは、録画されたカメラ画像C1であってもよく、CG(Computer Graphics)などであってもよい。そして、画像処理部11bは、その確認用アイコンa1が重畳されたベース画像BPを確認用画像P3としてディスプレイ31aに表示する。そして、ユーザuは、そのディスプレイ31aに表示される確認用画像P3を見て、確認用アイコンa1の位置を確認し、その位置でよければ、操作部32に対して決定操作を行う。その結果、閾値処理部12bは、操作部32から出力される決定操作信号に応じて、上述の選択操作に応じたフレームにおける後方車両v1の位置を閾値に設定する。
【0085】
このように、第2閾値設定処理では、画像処理部11bは、ユーザuによる選択操作が行われたときには、後方車両v1が映し出されていないベース画像BP中の重畳対象位置に確認用アイコンa1を重畳し、その確認用アイコンa1が重畳されたベース画像BPを確認用画像P3としてディスプレイ31aに表示する。その重畳対象位置は、例えば
図10の(b)に示す上述の選択操作に応じたフレームに映し出されている後方車両v1の垂直方向の位置と同一の位置である。確認用アイコンa1は、重畳対象位置に応じた大きさであって、かつ、警告対象物である後方車両v1を模した形状を有する。閾値処理部12bは、表示される確認用画像P3に基づくユーザuによる決定操作に応じて、その後方車両v1の垂直方向の位置を閾値として設定する。
【0086】
ここで、本実施の形態における閾値設定装置10bは、
図7に示すフローチャートにしたがって、第1閾値設定処理と第2閾値設定処理とを切り替えて実行する。
【0087】
図11は、本実施の形態における第2閾値設定処理の詳細な一例を示すフローチャートである。なお、
図11は、
図7のステップS22の処理の詳細を示す。
【0088】
まず、閾値処理部12bは、画像処理部11bによってディスプレイ31aに表示されているカメラ画像C2から、ユーザuによる選択操作、つまり選択操作信号に応じたフレームを選択する(ステップS41)。そして、閾値処理部12bは、検知情報に基づいて、そのフレームに映し出されている後方車両v1の垂直方向の位置を特定する(ステップS42)。このとき、閾値処理部12bは、垂直方向の位置を、車両Vから後方車両v1までの距離に変換してもよい。
【0089】
そして、閾値処理部12bは、その特定された位置(あるいは距離)に応じた大きさを有し、その後方車両v1を模した形状を有する確認用アイコンa1を生成する。画像処理部11bは、その確認用アイコンa1をベース画像BPにおける重畳対象位置に重畳することによって確認用画像P3を生成してディスプレイ31aに表示する(ステップS43)。
【0090】
次に、閾値処理部12bは、ユーザuによる決定操作があったか否かを判定する(ステップS44)。つまり、閾値処理部12bは、ユーザuによる決定操作によって操作部32から出力される決定操作信号を受けたか否かを判定する(ステップS44)。ここで、閾値処理部12bは、決定操作があったと判定すると(ステップS44のYes)、後方車両v1の位置を閾値に設定する(ステップS45)。このとき、閾値処理部12bは、その閾値と、検知情報によって後方車両v1の位置と共に示されている車種とを警告処理部22に出力する。一方、閾値処理部12bは、決定操作がないと判定すると(ステップS44のNo)、ステップS41からの処理を繰り返し実行する。
【0091】
このように、本実施の形態における第2閾値設定処理では、ユーザuは、カメラ画像C2を見ながら、後方車両v1が車両Vから所望の距離まで近付いた状況を示すフレームが表示されたときに、選択操作を行う。そして、このようなユーザuによる選択操作に応じたフレームに映し出されている後方車両v1の垂直方向の位置が閾値して設定される。したがって、ユーザuは、閾値と、車両Vから警告対象物までの距離との関係を把握しながら、その閾値を容易に設定することができる。したがって、カメラ画像に後方車両v1が映し出されているか否かに関わらず、警告のための適切な閾値を容易に設定することができる。
【0092】
また、本実施の形態における第2閾値設定処理では、ユーザuによる選択操作が行われたときには、閾値の設定の前に、確認用画像P3がディスプレイ31aに表示される。この確認用画像P3では、後方車両v1が映し出されていないベース画像BPに確認用アイコンa1が重畳されている。したがって、ユーザuは、その確認用アイコンa1を容易に認識することができる。さらに、その確認用アイコンa1は、選択操作によって選択されたフレームに映し出されている後方車両v1の垂直方向の位置(すなわち重畳対象位置)に応じた大きさであって、かつ、その後方車両v1を模した形状を有する。また、その重畳対象位置である後方車両v1の垂直方向の位置は、仮決めの閾値とされている。したがって、ユーザuは、その確認用アイコンa1を見れば、仮決めの閾値と、車両Vから警告対象物までの距離との関係を容易に把握することができる。そして、ユーザは、その確認用アイコンa1を見ながら決定操作を行えば、その後方車両v1の垂直方向の位置を閾値として容易に設定することができる。したがって、カメラ画像に後方車両v1が映し出されているか否かに関わらず、警告のための適切な閾値を容易に設定することができる。
【0093】
(実施の形態4)
本実施の形態における閾値設定装置は、実施の形態2および3と同様、カメラ画像に他車両が映し出されているか否かに応じて、閾値の設定のための処理を切り替える。具体的には、第1閾値設定処理と第2閾値設定処理とが切り替えられる。また、本実施の形態における第2閾値設定処理では、実施の形態2および3とは異なり、録画が用いられる。
【0094】
図12は、本実施の形態における警告システムの構成を示すブロック図である。
【0095】
本実施の形態における警告システム4は、閾値設定装置10c、カメラ20、警告処理部22、ディスプレイ31a、操作部32、および警告部33を備える。なお、本実施の形態における各構成要素のうち、実施の形態1~3と同一の構成要素については、実施の形態1~3と同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0096】
本実施の形態における閾値設定装置10cは、実施の形態2の閾値設定装置10aと同様、物体検知部21を備えている。さらに、本実施の形態における閾値設定装置10cは、画像処理部11c、閾値処理部12、読出部41、および録画部42を備える。画像処理部11cは、実施の形態1の画像処理部11としての機能を兼ね備える。つまり、本実施の形態における画像処理部11cおよび閾値処理部12は、物体検知部21によって後方車両v1が検知されていない場合には、実施の形態1~3と同様、第1閾値設定処理を実行する。一方、物体検知部21によって後方車両v1が検知されている場合には、本実施の形態における閾値設定装置10cは、実施の形態2および3と同様、アイコン重畳画像P1をディスプレイ31aに表示することなく閾値を設定する第2閾値設定処理を行う。なお、本実施の形態におけるアイコン重畳画像P1は、カメラ20による現在の撮像によって得られるカメラ画像に、閾値処理部12によって生成されたアイコンaが重畳された画像である。
【0097】
具体的には、録画部42は、物体検知部21から検知情報を取得し、その検知情報に後方車両v1が示されていなければ、カメラ画像C1の録画を行う。つまり、録画部42は、物体検知部21によって後方車両v1が検知されていないときにカメラ画像C1を録画画像として録画する。
【0098】
読出部41は、画像処理部11cからの要求に応じて、録画部42によって録画されたカメラ画像C1を録画画像としてその録画部42から読み出して画像処理部11cに出力する。
【0099】
画像処理部11cは、物体検知部21から検知情報を取得し、その検知情報に後方車両v1が示されていなければ、第1閾値設定処理の動作として、閾値処理部12からアイコン情報を取得してアイコン重畳画像P1を生成する。
【0100】
一方、画像処理部11cは、物体検知部21から検知情報を取得し、その検知情報に後方車両v1が示されていれば、第2閾値設定処理の動作として、読出部41に録画画像の読み出しを要求する。そして、画像処理部11cは、録画部42から読出部41を介して録画画像を取得し、後方車両v1が映し出されているカメラ画像C2の代わりに、その録画画像に対してアイコンを重畳する。
【0101】
図13は、本実施の形態における録画画像を用いた第2閾値設定処理を説明するための図である。
【0102】
例えば、録画部42は、
図13の(a)に示すように、カメラ画像C2に後方車両v1が映し出されていれば、そのカメラ画像C2を録画しない。一方、録画部42は、
図13の(b)に示すように、カメラ画像C1に後方車両v1が映し出されていなければ、そのカメラ画像C1を録画画像C3として録画する。なお、録画部42は、カメラ画像C1、C2に後方車両v1が映し出されているか否かを、物体検知部21から出力される検知情報に基づいて判定している。
【0103】
そして、第2閾値設定処理では、画像処理部11cは、
図13の(c)に示すように、録画部42から読出部41を介して録画画像C3を取得し、カメラ画像C2の代わりにその録画画像C3に対してアイコンaを重畳する。このような録画画像C3へのアイコンaの重畳によって、アイコン重畳録画画像P4が生成される。なお、アイコンaが重畳される位置は、閾値操作信号によって示される指定位置である。そして、画像処理部11cは、そのアイコン重畳録画画像P4をディスプレイ31aに表示する。
【0104】
ユーザuは、そのディスプレイ31aに表示されるアイコン重畳録画画像P4を見て、アイコンaの位置を確認し、その位置でよければ、操作部32に対して決定操作を行う。その結果、閾値処理部12は、操作部32から出力される決定操作信号に応じて、そのアイコンaの位置、すなわち指定位置を閾値に設定する。
【0105】
このように、本実施の形態における第2閾値設定処理では、画像処理部11cは、閾値処理部12によって生成されたアイコンaを、録画部42によって過去に録画された録画画像C3中の指定位置に重畳し、アイコンaが重畳された録画画像C3をアイコン重畳録画画像P4としてディスプレイ31aに表示する。そして、閾値処理部12は、表示されるアイコン重畳録画画像P4に基づくユーザuによる決定操作に応じて、上述の指定位置を閾値として設定する。
【0106】
図14Aは、録画部42の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0107】
まず、録画部42は、カメラ20からカメラ画像を取得する(ステップS51)。そして、録画部42は、検知情報に基づいて、そのカメラ画像に後方車両v1が映し出されているか否かを判定する(ステップS52)。ここで、録画部42は、後方車両v1が映し出されていると判定すると(ステップS52のYes)、ステップS51からの処理を繰り返し実行する。一方、録画部42は、後方車両v1が映し出されていないと判定すると(ステップS52のNo)、そのカメラ画像を録画画像C3として録画する(ステップS53)。そして、録画部42は、終了条件が満たされているか否かを判定し(ステップS54)、満たされていないと判定すると(ステップS54のNo)、ステップS51からの処理を繰り返し実行する。一方、録画部42は、終了条件が満たされていると判定すると(ステップS54のYes)、全ての処理を終了する。なお、終了条件は、
図4のステップS11の終了条件と同様、例えば警告システム1の電源がOFFにされたこと、車両VのイグニッションスイッチがOFFにされたことなどであってもよく、どのような条件であってもよい。
【0108】
ここで、本実施の形態における閾値設定装置10cは、
図7に示すフローチャートにしたがって、第1閾値設定処理と第2閾値設定処理とを切り替えて実行する。
【0109】
図14Bは、本実施の形態における第2閾値設定処理の詳細な一例を示すフローチャートである。なお、
図14Bは、
図7のステップS22の処理の詳細を示す。
【0110】
まず、画像処理部11cは、録画画像C3を取得してディスプレイ31aに表示する(ステップS61)。次に、閾値処理部12は、閾値操作信号によって示される指定位置を距離に変換する(ステップS62)。指定位置は、録画画像C3中の垂直方向の位置であって、距離は、車両Vから、その指定位置に対応する実空間上の位置までの距離である。なお、このような変換には、カメラ20のパラメータが用いられる。さらに、閾値処理部12は、閾値操作信号によって示されてる車種を模したアイコンの形状と、その距離に応じたアイコンの大きさを決定する(ステップS63)。これにより、アイコンが生成される。そして、閾値処理部12は、その形状および大きさのアイコンと、指定位置とを示すアイコン情報を生成して画像処理部11cに出力する。なお、ステップS62およびS63では、指定位置を距離に変換し、その距離に応じたアイコンの大きさを決定するが、指定位置を距離に変換することなく、その指定位置からアイコンの大きさを直接的に決定してもよい。
【0111】
画像処理部11cは、アイコン情報を閾値処理部12から取得すると、そのアイコン情報によって示される録画画像C3中の指定位置に、そのアイコン情報によって示されるアイコンを重畳する(ステップS64)。そして、画像処理部11cは、そのアイコンが重畳された録画画像C3であるアイコン重畳録画画像P4をディスプレイ31aに表示する(ステップS65)。
【0112】
ここで、閾値処理部12は、閾値操作信号が変更されたか否か、すなわち、閾値操作信号によって示される指定位置が変更されたか否かを判定する(ステップS66)。閾値処理部12は、指定位置が変更されたと判定すると(ステップS66のYes)、ステップS62からの処理を繰り返し実行する。一方、閾値処理部12は、指定位置が変更されていないと判定すると(ステップS66のNo)、さらに、操作部32から決定操作信号を取得したか否かを判定する(ステップS67)。ここで、閾値処理部12は、決定操作信号を取得していないと判定すると(ステップS67のNo)、ステップS66からの処理を繰り返し実行する。一方、閾値処理部12は、決定操作信号を取得したと判定すると(ステップS67のYes)、直近の閾値操作信号によって示されている指定位置を閾値に設定する(ステップS68)。
【0113】
このように、本実施の形態における第2閾値設定処理では、過去に録画された、後方車両v1が映し出されていないカメラ画像C2である録画画像C3にアイコンaが重畳されて表示される。したがって、ユーザuは、そのアイコンaを容易に認識することができる。そして、ユーザuは、そのアイコンaを見ながら決定操作を行えば、指定位置を閾値として容易に設定することができる。したがって、カメラ画像に後方車両v1が映し出されているか否かに関わらず、警告のための適切な閾値を容易に設定することができる。
【0114】
(実施の形態5)
本実施の形態における閾値設定装置は、実施の形態2~4と同様、カメラ画像に他車両が映し出されているか否かに応じて、閾値の設定のための処理を切り替える。具体的には、第1閾値設定処理と第2閾値設定処理とが切り替えられる。また、本実施の形態における第2閾値設定処理では、実施の形態2~4とは異なり、録画されたフレームの選択が行われる。
【0115】
図15は、本実施の形態における警告システムの構成を示すブロック図である。
【0116】
本実施の形態における警告システム5は、閾値設定装置10d、カメラ20、警告処理部22、ディスプレイ31a、操作部32、および警告部33を備える。なお、本実施の形態における各構成要素のうち、実施の形態1~4と同一の構成要素については、実施の形態1~4と同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0117】
本実施の形態における閾値設定装置10dは、実施の形態2の閾値設定装置10aと同様、物体検知部21を備えている。さらに、本実施の形態における閾値設定装置10dは、画像処理部11d、閾値処理部12d、読出部41、録画部42a、および距離変換部43を備える。画像処理部11dおよび閾値処理部12dは、実施の形態1の画像処理部11および閾値処理部12としての機能をそれぞれ兼ね備える。つまり、本実施の形態における画像処理部11dおよび閾値処理部12dは、物体検知部21によって後方車両v1が検知されていない場合には、実施の形態1~4と同様、第1閾値設定処理を実行する。一方、物体検知部21によって後方車両v1が検知されている場合には、本実施の形態における閾値設定装置10dは、実施の形態2~4と同様、アイコン重畳画像P1をディスプレイ31aに表示することなく閾値を設定する第2閾値設定処理を行う。
【0118】
具体的には、距離変換部43は、物体検知部21から検知情報を取得し、その検知情報に後方車両v1の位置が示されていれば、その位置を、車両Vから後方車両v1までの車間距離に変換する。その検知情報によって示されている後方車両v1の位置は、カメラ画像C2のフレームに映し出されている後方車両v1の垂直方向の位置である。したがって、距離変換部43は、カメラ画像C2に映し出されている後方車両v1の垂直方向の位置を車間距離に変換する距離変換処理を行っているとも言える。その結果、カメラ画像C2に含まれる各フレームに対して車間距離が導出される。そして、距離変換部43は、その車間距離を録画部42aに出力する。なお、後方車両v1の位置から車間距離への変換には、カメラ20のパラメータが用いられる。
【0119】
録画部42aは、距離変換部43から車間距離を取得すると、その車間距離が、予め定められた複数の設定距離のうちの何れか1つと等しいか否かを判定する。例えば、複数の設定距離は、10m、20m、および30mなどであるが、これらに限定されるものではなく、1m、2m、および3mなどであってもよい。そして、録画部42aは、車間距離が何れかの設定距離に等しいと判定すると、カメラ画像C2に含まれるその車間距離に対応するフレームを録画する。車間距離に対応するフレームは、車両Vからその車間距離だけ離れて車両Vの後方を走行している後方車両v1が映し出されているフレームである。あるいは、車間距離に対応するフレームは、その車間距離への変換に用いられた検知情報を生成するために物体検知部21が用いたフレームである。なお、録画部42aは、それらのフレームを録画するときには、そのフレームに対して導出された車間距離(すなわち設定距離)をそのフレームに関連付ける。
【0120】
このように、本実施の形態における録画部42aは、第2閾値設定処理では、カメラ画像C2に含まれる複数のフレームを録画する。具体的には、録画部42aは、予め定められた複数の設定距離のそれぞれについて、当該設定距離と等しい車間距離に対応するフレームを録画する。
【0121】
読出部41は、画像処理部11dからの要求に応じて、録画部42aによって録画された、それぞれ車間距離に関連付けられている複数のフレームを、その録画部42aから読み出して画像処理部11dに出力する。
【0122】
画像処理部11dは、物体検知部21から検知情報を取得し、その検知情報に後方車両v1が示されていなければ、第1閾値設定処理の動作として、閾値処理部12dからアイコン情報を取得してアイコン重畳画像P1を生成する。
【0123】
一方、画像処理部11dは、物体検知部21から検知情報を取得し、その検知情報に後方車両v1が示されていれば、第2閾値設定処理の動作として、読出部41に複数のフレームの読み出しを要求する。そして、画像処理部11dは、録画部42aから読出部41を介して複数のフレームを取得し、それらの複数の録画されたフレームを上述の複数の設定距離にそれぞれ関連付けてディスプレイ31aに表示する。閾値処理部12dは、第2閾値設定処理では、表示される複数のフレームから1つのフレームを選択するユーザuの選択操作に応じて、選択されたフレームに映し出されている後方車両v1の垂直方向の位置を閾値として設定する。つまり、閾値処理部12dは、上述の選択操作によって操作部32から出力される選択操作信号を取得すると、その選択操作信号によって特定されるフレームに対応する検知情報を物体検知部21から取得する。そして、閾値処理部12dは、その検知情報によって示される後方車両v1の垂直方向の位置を閾値として設定する。
【0124】
図16Aおよび
図16Bは、本実施の形態における第2閾値設定処理において表示される画像の一例を示す図である。
【0125】
例えば、ユーザuは、車両Vを路肩に停めて、閾値を設定するために操作部32を操作する。このとき、画像処理部11dは、第2閾値設定処理では、
図16Aに示すように、フレームCf1、Cf2、およびCf3を取得し、それらのフレームCf1、Cf2、およびCf3を複数の設定距離にそれぞれ関連付けてディスプレイ31aに表示する。例えば、フレームCf1は、設定距離「30m」に関連付けて表示される。このフレームCf1には、車両Vから設定距離「30m」だけ離れて後方を走行する後方車両v1が映し出されている。フレームCf2は、設定距離「20m」に関連付けて表示される。このフレームCf2には、車両Vから設定距離「20m」だけ離れて後方を走行する後方車両v1が映し出されている。フレームCf3は、設定距離「10m」に関連付けて表示される。このフレームCf3には、車両Vから設定距離「10m」だけ離れて後方を走行する後方車両v1が映し出されている。
【0126】
ユーザuは、このようにディスプレイ31aに表示される画像を見ながら、操作部32を操作することによって、所望の設定距離に関連付けられているフレームを選択する選択操作を行う。例えば、選択されるフレームは、フレームCf2である。その結果、操作部32は、そのフレームCf2を特定するための選択操作信号を出力する。閾値処理部12dは、その選択操作信号を取得すると、その選択操作信号を画像処理部11dに出力する。画像処理部11dは、
図16Bに示すように、その選択操作信号によって特定されるフレームCf2を設定距離「20m」に関連付けて表示する。また、閾値処理部12dは、その選択操作信号によって特定されるフレームCf2に対応する検知情報を物体検知部21から取得する。そして、閾値処理部12dは、その検知情報によって示される後方車両v1の垂直方向の位置を閾値として設定する。
【0127】
ここで、本実施の形態における閾値設定装置10dは、
図7に示すフローチャートにしたがって、第1閾値設定処理と第2閾値設定処理とを切り替えて実行する。
【0128】
【0129】
まず、距離変換部43は、カメラ画像C2に含まれる複数のフレームのそれぞれについて、そのフレームに映し出されている後方車両v1の垂直方向の位置を車間距離に変換する(ステップS71)。次に、録画部42aは、予め定められた複数の設定距離のそれぞれについて、上述の複数のフレームのうち、その設定距離に等しい車間距離に対応するフレームを録画する(ステップS72)。
【0130】
そして、画像処理部11dは、ステップS72で録画された複数のフレームのそれぞれについて、そのフレームと、そのフレームに対応する設定距離とを関連付けてディスプレイ31aに表示する(ステップS73)。
【0131】
次に、閾値処理部12dは、表示されている複数のフレームの何れかを選択するための選択操作がユーザuによって行われたか否かを判定する(ステップS74)。すなわち、閾値処理部12dは、選択操作信号を操作部32から取得したか否かを判定する。ここで、閾値処理部12dは、選択操作が行われていないと判定すると(ステップS74のNo)、ステップS74からの処理を繰り返し実行する。つまり、閾値処理部12dは、選択操作が行われるまで待機する。一方、閾値処理部12dは、選択操作が行われたと判定すると(ステップS74のYes)、その選択操作によって選択されたフレームに映し出されている後方車両v1の垂直方向の位置を閾値に設定する(ステップS75)。
【0132】
なお、
図17Aに示すステップS71およびS72の処理は、第2閾値設定処理とは別に実行されてもよい。つまり、ステップS71およびS72の処理は、ステップS73~S75の処理よりも前に行われれば、どのようなタイミングで実行されてもよい。そして、
図7に示すステップS3において、閾値操作信号が取得されたと判定された場合に、画像処理部11dおよび閾値処理部12dは、ステップS73~S75の処理を実行してもよい。言い換えれば、録画部42aは、予め定められた複数の設定距離のそれぞれについて、当該設定距離と等しい車間距離に対応するフレームを録画する。その後、第2閾値設定処理では、画像処理部11dは、録画された複数のフレームを複数の設定距離にそれぞれ関連付けてディスプレイ31aに表示し、閾値処理部12dは、表示される複数のフレームから1つのフレームを選択するユーザの選択操作に応じて、選択されたフレームに映し出されている他車両の垂直方向の位置を閾値として設定する。
【0133】
このように、本実施の形態における第2閾値設定処理では、後方車両v1が映し出されているカメラ画像C2に含まれる複数のフレームが複数の設定距離にそれぞれ関連付けて表示される。このように表示される各フレーム中の後方車両v1の位置は、閾値の候補とされる。そして、ユーザuによる選択操作に応じて、それらのフレームから選択されたフレームに映し出されている後方車両v1の垂直方向の位置が閾値に設定される。したがって、ユーザuは、複数のフレームのそれぞれについて、そのフレームに対応する閾値の候補と、そのフレームに対応する車間距離との関係を、容易に、かつ急ぐことなく把握しながら、フレームを選択することによって、所望の閾値を容易に設定することができる。その結果、カメラ画像に後方車両v1が映し出されているか否かに関わらず、警告のための適切な閾値を容易に設定することができる。
【0134】
以上、本開示の1つまたは複数の態様に係る閾値設定装置について、幾つかの実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記各実施の形態に施したものも本開示に含まれてもよい。また、複数の上記実施の形態を組み合わせたものも本開示に含まれてもよい。
【0135】
例えば、実施の形態2~5における閾値設定装置は、第1閾値設定処理と、第2閾値設定処理とを切り替えるが、切り替えることなく、第2閾値設定処理のみを実行してもよい。また、閾値処理部によって生成されるアイコンは、警告対象物を模した形状を有するが、その警告対象物が四輪車であれば、単に矩形状のアイコンであってもよく、その警告対象物が二輪車であれば、四輪車よりも小さい縦長矩形状のアイコンであってもよい。なお、アイコンは、輪郭線のみを有するマークであってもよく、所定の色で塗り潰されたマークであってもよい。また、警告対象物の種別に応じて、その警告対象物に対応するアイコンの色が決定されてもよい。
【0136】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)またはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記各実施の形態の閾値設定装置などの装置またはシステムを実現するソフトウェアであるプログラムは、コンピュータに
図4、
図7、
図8、
図11、
図14A、
図14B、および
図17のフローチャートに含まれる各ステップを実行させる。
【0137】
なお、以下のような場合も本開示に含まれる。
【0138】
(1)上記の装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムであってもよい。そのRAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、上記の少なくとも1つの装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0139】
(2)上記の装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0140】
(3)上記の装置を構成する構成要素の一部または全部は、その装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしてもよい。ICカードまたはモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。ICカードまたはモジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、ICカードまたはモジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
【0141】
(4)本開示は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
【0142】
また、本開示は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD(Compact Disc)-ROM、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されているデジタル信号であるとしてもよい。
【0143】
また、本開示は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
【0144】
また、プログラムまたはデジタル信号を記録媒体に記録して移送することにより、またはプログラムまたはデジタル信号をネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本開示の閾値設定装置は、例えば後方車両の接近に対する警告のための適切な閾値を容易に設定することができ、その警告を行うシステムなどに適用することができる。
【符号の説明】
【0146】
1、2、3、4、5 警告システム
10、10a、10b、10c、10d 閾値設定装置
11、11a、11b、11c、11d 画像処理部
12、12b、12d 閾値処理部
20 カメラ
21 物体検知部
22 警告処理部
31 電子ミラー
31a ディスプレイ
32 操作部
33 警告部
41 読出部
42、42a 録画部
51 インスツルメントパネル
52a 左スピーカ
52b 右スピーカ
a、b アイコン
a1 確認用アイコン
BP ベース画像
C1、C2 カメラ画像
C3 録画画像
L 水平ライン
P1 アイコン重畳画像
P2 ライン重畳画像
P3 確認用画像
P4 アイコン重畳録画画像
Y 方向
Ya、Yb 指定位置
V 車両
v1 後方車両