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特開2024-142044インテークマニホールド及び吸気装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142044
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】インテークマニホールド及び吸気装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/104 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
F02M35/104 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054004
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000177612
【氏名又は名称】株式会社ミクニ
(74)【代理人】
【識別番号】100106312
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敬敏
(72)【発明者】
【氏名】ソンプラサート ナタウット
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 浩行
(57)【要約】
【課題】小型化、機械的強度の確保、成形性の向上を図りつつ、良好な組付性及びシール性が得られるインテークマニホールド及び吸気装置を提供する。
【解決手段】所定の軸線Sの方向に長尺な筒状をなすサージタンク10と、サージタンクから延出する複数の分岐管20と、サージタンクの上流側に連続する上流側筒状部50と、上流側筒状部の上流端に開口する開口部60と、開口部の周りに形成されたフランジ部70と、開口部の周りにおいてフランジ部に形成された環状シール溝80と、スロットルユニットを締結するべく環状シール溝の周りにおいてフランジ部に形成された複数の締結部90を備えたインテークマニホールドM1において、環状シール溝80は、締結部の近傍において溝幅が狭くなるように形成されている。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の軸線の方向に長尺な筒状をなすサージタンクと、前記サージタンクから延出する複数の分岐管と、前記サージタンクの上流側に連続する上流側筒状部と、前記上流側筒状部の上流端に開口する開口部と、前記開口部の周りに形成されたフランジ部と、前記開口部の周りにおいて前記フランジ部に形成された環状シール溝と、スロットルユニットを締結するべく前記環状シール溝の周りにおいて前記フランジ部に形成された複数の締結部と、を備え、
前記環状シール溝は、前記締結部の近傍において、溝幅が狭くなるように形成されている、
ことを特徴とするインテークマニホールド。
【請求項2】
前記環状シール溝は、前記締結部の近傍において、前記開口部に近づくように内側に凸状に湾曲して形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のインテークマニホールド。
【請求項3】
前記フランジ部は、前記軸線の方向から視て、その外輪郭が前記上流側筒状部の外輪郭から突出しないように形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のインテークマニホールド。
【請求項4】
前記締結部は、締結用のボルトを螺合するナットと、前記ナットをインサート又はアウトサートする固定穴を含み、
前記環状シール溝は、一定の溝幅をなす幅不変領域と、前記締結部に近づくにつれて徐々に狭くなると共に前記締結部から遠ざかるにつれて徐々に広くなるように溝幅が連続的に徐変する幅徐変領域を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のインテークマニホールド。
【請求項5】
前記開口部は、前記軸線を中心とする円形状であり、
前記固定穴は、円形状であり、
前記環状シール溝の幅不変領域は、前記軸線を中心とする円環状の一部をなす、
ことを特徴とする請求項4に記載のインテークマニホールド。
【請求項6】
前記環状シール溝を画定する内側壁と外側壁の両方の肉厚は、前記開口部と前記固定穴に挟まれる領域でかつ前記軸線に直交する直線上において、同一である、
ことを特徴とする請求項4に記載のインテークマニホールド。
【請求項7】
前記固定穴は、前記環状シール溝の幅不変領域の外径を通る仮想円と部分的に重なる位置に形成されている、
ことを特徴とする請求項5に記載のインテークマニホールド。
【請求項8】
前記複数の締結部は、前記軸線を中心とする円周方向において、等間隔で配置されている、
ことを特徴とする請求項4に記載のインテークマニホールド。
【請求項9】
内燃エンジンの吸気を制御する吸気装置であって、
請求項1ないし8いずれか一つに記載のインテークマニホールドと、
前記インテークマニホールドのフランジ部に締結されるスロットルユニットと、
前記フランジ部と前記スロットルユニットの間に介在するべく前記インテークマニホールドの前記環状シール溝に嵌め込まれるゴム製の環状シール部材と、を含む、
ことを特徴とする吸気装置。
【請求項10】
前記環状シール部材は、前記環状シール溝の最小の溝幅よりも小さい一定幅をなす環状シール部を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の吸気装置。
【請求項11】
前記環状シール部材は、締結前の非圧縮の状態において前記環状シール溝の外側壁に部分的に接触し得るべく前記環状シール部から突出する複数の外側凸部及び/又は前記環状シール溝の内側壁に部分的に接触し得るべく前記環状シール部から突出する複数の内側凸部を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の吸気装置。
【請求項12】
前記複数の外側凸部及び/又は複数の内側凸部は、前記環状シール溝の一定の溝幅をなす幅不変領域に配置されるように形成されている、
ことを特徴とする請求項11に記載の吸気装置。
【請求項13】
前記スロットルユニットは、通路を開閉するスロットルバルブと、前記スロットルバルブを開閉駆動する駆動ユニットとを含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の吸気装置。
【請求項14】
前記インテークマニホールドの分岐管は、前記軸線の方向から視て、所定の向きに湾曲して形成され、
前記駆動ユニットは、前記軸線の方向から視て、前記サージタンク及び前記分岐管の外輪郭から突出しないように配置されている、
ことを特徴とする請求項13に記載の吸気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に搭載される内燃エンジンの吸気システムに適用されるインテークマニホールド及び吸気装置に関し、特にサージタンクにスロットルユニットを取り付けるフランジ部を備えたインテークマニホールド及び吸気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のインテークマニホールドとしては、所定の軸線方向に長尺な筒状をなすサージタンクと、内燃エンジンの吸気ポートとサージタンクとを繋ぐ複数の分岐管と、サージタンクの上流側に連続する導入管と、導入管の端部に形成されてスロットルバルブ装置(スロットルユニット)を取り付けるフランジ部を備えた、樹脂製のインテークマニホールドが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
このインテークマニホールドにおいて、略矩形状をなすフランジ部は、その外輪郭が導入管及びサージタンクの外輪郭よりも大きく形成されており、又、その四隅において四つの締結孔、中央において円形状の流入開口部、流入開口部の周りでかつ四つの締結孔から十分離れた内側においてガスケット部材を挿入するための円環状で同一幅をなす凹溝部を備えている。
【0004】
ところで、上記のようなインテークマニホールドを含む吸気装置を車両に搭載する場合において、インテークマニホールドの配置スペースに制約があり、かつ、流入開口部の大きさを十分確保する必要がある場合は、流入開口部を所定の内径寸法に維持しつつフランジ部の外輪郭を小さく又四つの締結孔の離隔寸法を小さくする必要がある。
しかしながら、単にフランジ部の外輪郭及び締結孔の離隔寸法を小さくすると、局所的に肉厚が薄くなり、その結果、機械的強度が低くなり、又、樹脂材料等を用いて成型する場合は成形不良等を招く虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-127507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、小型化、機械的強度の確保、成形性の向上を図りつつ、良好な組付性及びシール性が得られるインテークマニホールド及び吸気装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のインテークマニホールドは、所定の軸線の方向に長尺な筒状をなすサージタンクと、サージタンクから延出する複数の分岐管と、サージタンクの上流側に連続する上流側筒状部と、上流側筒状部の上流端に開口する開口部と、開口部の周りに形成されたフランジ部と、開口部の周りにおいてフランジ部に形成された環状シール溝と、スロットルユニットを締結するべく環状シール溝の周りにおいてフランジ部に形成された複数の締結部とを備え、環状シール溝は、締結部の近傍において、溝幅が狭くなるように形成されている、構成となっている。
【0008】
上記インテークマニホールドにおいて、環状シール溝は、締結部の近傍において、開口部に近づくように内側に凸状に湾曲して形成されている、構成を採用してもよい。
【0009】
上記インテークマニホールドにおいて、フランジ部は、軸線の方向から視て、その外輪郭が上流側筒状部の外輪郭から突出しないように形成されている、構成を採用してもよい。
【0010】
上記インテークマニホールドにおいて、締結部は、締結用のボルトを螺合するナットと、ナットをインサート又はアウトサートする固定穴を含み、環状シール溝は、一定の溝幅をなす幅不変領域と、締結部に近づくにつれて徐々に狭くなると共に締結部から遠ざかるにつれて徐々に広くなるように溝幅が連続的に徐変する幅徐変領域を含む、構成を採用してもよい。
【0011】
上記インテークマニホールドにおいて、開口部は軸線を中心とする円形状であり、固定穴は円形状であり、環状シール溝の幅不変領域は、軸線を中心とする円環状の一部をなす、構成を採用してもよい。
【0012】
上記インテークマニホールドにおいて、環状シール溝を画定する内側壁と外側壁の両方の肉厚は、開口部と固定穴に挟まれる領域でかつ軸線に直交する直線上において、同一である、構成を採用してもよい。
【0013】
上記インテークマニホールドにおいて、固定穴は、環状シール溝の幅不変領域の外径を通る仮想円と部分的に重なる位置に形成されている、構成を採用してもよい。
【0014】
上記インテークマニホールドにおいて、複数の締結部は、軸線を中心とする円周方向において等間隔で配置されている、構成を採用してもよい。
【0015】
また、本発明の吸気装置は、内燃エンジンの吸気を制御する吸気装置であって、上記構成をなすいずれか一つのインテークマニホールドと、インテークマニホールドのフランジ部に締結されるスロットルユニットと、フランジ部とスロットルユニットの間に介在するべくインテークマニホールドの環状シール溝に嵌め込まれるゴム製の環状シール部材とを含む、構成となっている。
【0016】
上記吸気装置において、環状シール部材は、環状シール溝の最小の溝幅よりも小さい一定幅をなす環状シール部を含む、構成を採用してもよい。
【0017】
上記吸気装置において、環状シール部材は、締結前の非圧縮の状態において環状シール溝の外側壁に部分的に接触し得るべく環状シール部から突出する複数の外側凸部及び/又は環状シール溝の内側壁に部分的に接触し得るべく環状シール部から突出する複数の内側凸部を含む、構成を採用してもよい。
【0018】
上記吸気装置において、複数の外側凸部及び/又は複数の内側凸部は、環状シール溝の一定の溝幅をなす幅不変領域に配置されるように形成されている、構成を採用してもよい。
【0019】
上記吸気装置において、スロットルユニットは、通路を開閉するスロットルバルブと、スロットルバルブを開閉駆動する駆動ユニットとを含む、構成を採用してもよい。
【0020】
上記吸気装置において、インテークマニホールドの分岐管は、軸線の方向から視て所定の向きに湾曲して形成され、駆動ユニットは、軸線の方向から視てサージタンク及び分岐管の外輪郭から突出しないように配置されている、構成を採用してもよい。
【発明の効果】
【0021】
上記構成をなすインテークマニホールド及び吸気装置によれば、小型化、機械的強度の確保、成形性の向上を達成しつつ、良好な組付性及びシール性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係るインテークマニホールドを備えた一実施形態に係る吸気装置を示す外観斜視図である。
図2】一実施形態に係る吸気装置において、スロットルユニット及び環状シール部材をインテークマニホールドから分離した斜視分解図である。
図3】一実施形態に係る吸気装置を軸線の方向から視た端面図である。
図4】一実施形態に係る吸気装置からスロットルユニット、環状シール部材、及び燃料噴射ユニットを取り外した本発明に係るインテークマニホールドを示す外観斜視図である。
図5図4に示すインテークマニホールドを他の方向から視た外観斜視図である。
図6図4に示すインテークマニホールドを軸線の方向から視た端面図である。
図7】一実施形態に係る吸気システムを、軸線を含む面で切断した部分断面図である。
図8】一実施形態に係る吸気システムを、図6に示す断面と異なる角度において軸線を含む面で切断した部分断面図である。
図9図4に示すインテークマニホールドを、軸線を含む面で切断した状態を部分的に示す部分斜視断面図である。
図10図9に示す断面を正面から視た部分断面図である。
図11図4に示すインテークマニホールドのフランジ部を軸線の方向から視た部分端面図である。
図12図11に示すインテークマニホールドのフランジ部に含まれる締結部の近傍を部分的に拡大した拡大断面図である。
図13図10に示す部分断面図において、フランジ部、締結部(ナット、固定穴)、環状シール溝、開口部を部分的に示す拡大端面図である。
図14】一実施形態に係る吸気装置において、インテークマニホールドの環状シール溝と環状シール部材との相互関係を示す端面図である。
図15】一実施形態に係る吸気装置に含まれる環状シール部材を示す外観斜視図である。
図16】一実施形態に係る吸気装置に含まれる環状シール部材を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
本発明のインテークマニホールドは、一例として自動車に搭載される四気筒の内燃エンジンの吸気システムに組み込まれる吸気装置の一部を構成するものであり、エアクリーナより下流側において内燃エンジンのシリンダヘッドに組み付けられるものである。
ここで、吸気装置は、図1ないし図3に示すように、インテークマニホールドM1、スロットルユニットM2、環状シール部材M3、燃料噴射ユニットM4等を備えている。
【0024】
一実施形態に係るインテークマニホールドM1は、型成形された複数の成形部材が接合されたものであり、組付け後の完成品としては、図4ないし図6に示すように、サージタンク10、複数(ここでは、四つ)の分岐管20、接合部30、連結部40、上流側筒状部50、吸気を導入する開口部60、フランジ部70、環状シール溝80、複数(ここでは、四つ)の締結部90等を備えている。
【0025】
サージタンク10は、吸気を一時的に貯留するものであり、所定の軸線Sの方向に長尺な筒状に形成され、内部空間を画定する外壁11と、外壁11の外側に突出する複数の補強リブ12を備えている。そして、図6に示すように、補強リブ12の外縁により、サージタンク10の外輪郭10aが画定される。ここで、外輪郭10aとは、図6に示すように、軸線Sの方向から視て、インテークマニホールドM1の外形線(輪郭)OLの一部を画定するものである。
【0026】
複数の分岐管20は、図4に示すように、軸線S方向に配列されてサージタンク10から延出すると共に補強リブ21を介して相互に連結され、軸線Sの方向から視て所定の向きに湾曲して、すなわち、図6中において上向きに凸状になるように湾曲して形成されている。また、複数の分岐管20は、それぞれの先端側近傍において燃料噴射ユニットM4に含まれるインジェクター420を嵌合する嵌合孔22と、三箇所において燃料噴射ユニットM4に含まれるフィードパイプ410を固定するべく締結用のボルトb2(図1を参照)を捩じ込むネジ穴23を備えている。
【0027】
接合部30は、内燃エンジンのシリンダヘッドに接合されて固定されるものであり、図4及び図5に示すように、複数の分岐管20を相互に連結すると共に軸線S方向に長尺な略台形状に形成され、締結用のボルト(不図示)を通す五つの円孔31を備えている。
連結部40は、内燃エンジンの一部(シリンダブロック又はシリンダヘッド)に連結されるものであり、図5に示すように、軸線S方向に離隔した二箇所において、サージタンク10から軸線Sに垂直な方向に突出するように形成され、締結用のボルト(不図示)を通す二つの円孔41、複数の補強リブ42を備えている。
【0028】
上流側筒状部50は、図1及び図4に示すように、軸線S方向において、サージタンク10の上流側に連続して形成され、吸気をサージタンク10内に導くと共に吸気を一時的に貯留する空間としても機能するものであり、内部空間を画定するべく軸線Sを中心とする円筒状に形成された外壁51と、外壁51の外側に突出する複数の補強リブ52を備えている。
そして、図6に示すように、補強リブ52の外縁により、上流側筒状部50の外輪郭50aが画定される。ここで、外輪郭50aとは、軸線Sの方向から視て、インテークマニホールドM1の外形線OLの一部を画定するものである。
【0029】
開口部60は、吸気をサージタンク10内に導入するべく、上流側筒状部50の上流端において軸線Sを中心とする円形状に形成されている。そして、図7及び図8に示すように、開口部60の通路面積は、スロットルユニットM2の下流端の通路面積と同一に形成されている。また、吸気の通路としては、開口部60から上流側筒状部50に向かうにつれて、通路面積が拡大するように形成されている。
【0030】
フランジ部70は、図2及び図9に示すように、軸線S方向において上流側筒状部50の端部に連続すると共に開口部60の周りに形成されている。そして、フランジ部70は、図3及び図11に示すように、軸線Sを中心とする点対称の形状をなし、四つの締結部90の部分が軸線Sに垂直な径方向外側に凸状に突出する外輪郭70aを画定すると共に軸線Sに垂直な平坦面としての接合面71を備えている。
また、フランジ部70は、図6に示すように、軸線Sの方向から視て、その外輪郭70aが上流側筒状部50の外輪郭50aから突出しないように、すなわち、外輪郭70aが軸線Sに垂直な面において外輪郭50aよりも径方向の内側(軸線Sに近づく内側)に位置するように形成されている。
【0031】
環状シール溝80は、環状シール部材M3を嵌め込むべく、開口部60の周りにおいて、フランジ部70の接合面71に凹状溝として形成されている。
環状シール溝80は、図11及び図12に示すように、軸線Sを中心とする略円環状に、具体的には、軸線Sを中心とする円環状の一部をなす四つの幅不変領域81と、締結部90の近傍において開口部60(軸線S)に近づくように内側に凸状に湾曲する四つの幅徐変領域82とにより形成されている。
【0032】
幅不変領域81は、一定の溝幅H1をなす略矩形状の凹状溝として形成されている。
幅徐変領域82は、図12に示すように、締結部90の近傍に形成されており、締結部90に近づくにつれて徐々に溝幅が狭くなると共に締結部90から遠ざかるにつれて徐々に広くなるように溝幅が連続的に徐変する、すなわち、溝幅H1→溝幅H2(H2<H1)→溝幅H1と連続的に変化する略矩形状の凹状溝として形成されている。
【0033】
また、幅徐変領域82においては、図11及び図12に示すように、開口部60と締結部90とに挟まれる領域でかつ締結部90の中心Cを通り軸線Sに直交する直線L上において、最小の溝幅H2となるように形成されている。
最小の溝幅H2は、直線L上のみに形成される形態であってもよく、又、直線L上から両側に等しい距離の所定領域に亘って形成される形態であってもよい。
さらに、図12及び図13に示すように、環状シール溝80を画定する内側壁80aの肉厚D1と外側壁80bの肉厚D2は、開口部60と締結部90の固定穴92に挟まれる領域でかつ軸線Sに直交する直線L上において同一(D1=D2)となるように形成されている。
【0034】
四つの締結部90は、スロットルユニットM2を締結するべく、環状シール溝80の周りにおいて、フランジ部70に形成されている。また、四つの締結部90は、軸線Sを中心とする円周方向において等間隔(90度間隔)で配置されている。
締結部90は、それぞれ、図8ないし図13に示すように、締結用のボルトb1を螺合するナット91と、ナット91をインサート又はアウトサートする固定穴92を備えている。
【0035】
ここで、インサートは、インテークマニホールドM1を樹脂成型する際に、ナット91を型内に配置して固定穴92と一緒に一体的に成形するものである。一方、アウトサートは、固定穴92を画定するようにインテークマニホールドM1を樹脂成型した後に、ナット91を固定穴92に対して冷間圧入して固定するか、又は、ナット91を加熱した状態で固定穴92に熱間圧入して固定するものである。
【0036】
ここでは、ナット91が固定穴92に対してアウトサートされる場合を示す。すなわち、図13に示すように、ナット91は、成形された固定穴92に対して熱間又は冷間圧入されて固定穴92に固定されている。
ここで、固定穴92は、図12に示すように、環状シール溝80の幅不変領域81の外径(外側壁80bの内周面)を通る仮想円Vcと部分的に重なる位置に形成されている。すなわち、固定穴92は、軸線Sに直交する径方向において軸線Sに近づくように幅不変領域81の外径を超えた内側に入り込んで形成されている。
【0037】
このように、四つの締結部90が軸線S寄りに集約して配置される形態において、環状シール溝80は、締結部90の近傍において溝幅が狭くなる、すなわち、溝幅H1から溝幅H2に狭くなるように形成されているため、溝幅を全域一定にする場合に比べて、固定穴92周りの肉厚を確保することができ、成形性の向上、ナット91の固定するための機械的強度を確保して信頼性の向上等を達成することができる。
【0038】
スロットルユニットM2は、図1ないし図3図7及び図8に示すように、インテークマニホールドM1のフランジ部70に接合されて締結用のボルトb1により固定されるものであり、スロットルボディ200、シャフト210、スロットルバルブ220、駆動ユニット230等を備えている。
スロットルボディ200は、軸線Sを中心とする通路を画定する筒状部201、フランジ部70に接合されるフランジ部202、締結用のボルトb1を通す四つの円孔203、駆動ユニット230を収容する収容部204等を備えている。
シャフト210は、軸線Sに直交する向きに伸長して配置され、スロットルボディ200に対して回動自在に支持されている。
スロットルバルブ220は、シャフト210に固定されており、シャフト210の回動により通路を開閉して通路を流れる吸気量を調整するようになっている。
駆動ユニット230は、シャフト210を回転駆動するものであり、駆動モータ、減速歯車列等を備えている。
【0039】
そして、駆動ユニット230は、スロットルボディ200の収容部204に収容された状態において、図3に示すように、軸線Sの方向から視て、サージタンク10及び分岐管20の外輪郭10a,20aから突出しないように、すなわち、インテークマニホールドM1の外形線OL(図6を参照)から外側に突出しないように配置されている。
【0040】
環状シール部材M3は、インテークマニホールドM1のフランジ部70とスロットルユニットM2のフランジ部202の間に介在するべく、インテークマニホールドM1の環状シール溝80に嵌め込まれるものである。
環状シール部材M3は、ゴム材料により形成されており、図14ないし図16に示すように、一定幅をなす環状シール部300と、環状シール部300から径方向の外側に突出する複数(ここでは、11個)の外側凸部310と、環状シール部300から径方向の内側に突出する複数(ここでは、12個)の内側凸部320と、環状シール部300から径方向の外側に延出する延出片330を備えている。
【0041】
環状シール部300は、環状シール溝80の最小溝幅H2よりも小さい一定幅をなすように形成されている。
複数の外側凸部310は、締結前の非圧縮の状態で、環状シール溝80の外側壁80bに部分的に接触し得るように形成されている。
複数の内側凸部320は、締結前の非圧縮の状態で、環状シール溝80の内側壁80aに部分的に接触し得るように形成されている。
そして、環状シール部材M3は、環状シール溝80に挿入され得るように、軸線Sを中心とする円環状領域と、締結部90の近傍に対応する四箇所の領域が内側に凸状に湾曲した湾曲領域とを含むように形成されている。
【0042】
また、複数の外側凸部310及び複数の内側凸部320は、図14に示すように、環状シール溝80の一定の溝幅H1をなす幅不変領域81に配置されるようになっている。
すなわち、複数の外側凸部310及び複数の内側凸部320は、溝幅が徐変する幅徐変領域82から外れた領域に配置されている。
【0043】
燃料噴射ユニットM4は、図1及び図3に示すように、燃料を供給するフィードパイプ410と、燃料を噴射する四つのインジェクター420を備えている。
フィードパイプ410は、コモンレールとして機能するものであり、締結用のボルトb2により分岐管20の先端側領域に固定され、それぞれのインジェクター420に向けて高圧の燃料を供給する。
インジェクター420は、電磁駆動式であり、それぞれの分岐管20の嵌合孔22に嵌合されて分岐管20の通路内に燃料を噴射するように配置されている。
【0044】
以上述べたように、一実施形態に係るインテークマニホールドM1は、所定の軸線Sの方向に長尺な筒状をなすサージタンク10と、サージタンク10から延出する複数の分岐管20と、サージタンク10の上流側に連続する上流側筒状部50と、上流側筒状部50の上流端に開口する開口部60と、開口部60の周りに形成されたフランジ部70と、開口部60の周りにおいてフランジ部70に形成された環状シール溝80と、スロットルユニットM2を締結するべく環状シール溝80の周りにおいてフランジ部70に形成された複数の締結部90を備え、環状シール溝80は、締結部90の近傍において溝幅が狭くなるように形成されている。
これによれば、締結部90の近傍の肉厚を確保することができ、型成形する際の成形性が向上し、機械的強度を確保することができる。
【0045】
また、環状シール溝80は、締結部90の近傍において、開口部60に近づくように内側に凸状に湾曲して形成されている。
これによれば、フランジ部70の外輪郭70aを小さくすることができ、それ故に、インテークマニホールドM1の小型化を達成することができる。
【0046】
また、フランジ部70は、軸線Sの方向から視て、その外輪郭70aが上流側筒状部50の外輪郭50aから突出しないように、すなわち、外輪郭70aが軸線Sに垂直な面において外輪郭50aよりも径方向の内側(軸線Sに近づく内側)に位置するように形成されている。
これによれば、フランジ部70が上流側筒状部50よりも外側に突出しないように形成されることにより、車載の際に、狭い配置スペースに対して、インテークマニホールドM1すなわち吸気装置を他の部品と干渉することなく配置することができる。
【0047】
また、締結部90は、締結用のボルトb1を螺合するナット91と、ナット91をインサート又はアウトサートする固定穴92を含み、環状シール溝80は、一定の溝幅をなす幅不変領域81と、締結部90に近づくにつれて徐々に狭くなると共に締結部90から遠ざかるにつれて徐々に広くなるように溝幅が連続的に徐変する幅徐変領域82を含む。
これによれば、溝幅を全域一定にする場合に比べて、締結部90周りの肉厚を確保することができ、シール性能を確保しつつ、型成形する際の成形性を向上させ、機械的強度を確保して、機能上の信頼性を向上させることができる。
【0048】
また、開口部60は軸線Sを中心とする円形状であり、締結部90の固定穴92は円形状であり、環状シール溝80の幅不変領域81は軸線Sを中心とする円環状の一部をなすように形成されている。
これによれば、開口部60の周りにおいて締結部90を含む機能部分を集約させて配置することができ、又、軸線S周りの周方向において均一なシール性能を確保することができる。
【0049】
また、環状シール溝80を画定する内側壁80aと外側壁80bの両方の肉厚D1,D2は、開口部60と固定穴92に挟まれる領域でかつ軸線Sに直交する直線L上において同一(D1=D2)であるように形成されている。
これによれば、固定穴92の機械的強度及び環状シール溝80の機械的強度を同等に確保しつつ、インテークマニホールドM1を型成形する際の成形性を向上させることができる。
【0050】
また、固定穴92は、環状シール溝80の幅不変領域81の外径を通る仮想円Vcと部分的に重なる位置に形成されている、すなわち、固定穴92は、幅不変領域81の外径を超えて軸線Sに近い位置に形成されている。
これによれば、複数の締結部90を軸線Sに近づくように集約して配置することができ、フランジ部70の外輪郭70aを小さくすることができる。その結果、インテークマニホールドM1の小型化を達成することができる。
【0051】
また、複数の締結部90は、軸線Sを中心とする円周方向において等間隔(ここでは、90度間隔)で配置されている。
これによれば、スロットルユニットM2をインテークマニホールドM1に対して堅固に固定することができ、又、軸線S周りの周方向においてシール面における面圧を均一化することができ、所望のシール性能を確保することができる。
【0052】
また、一実施形態に係る吸気装置は、内燃エンジンに連結されて吸気を制御する吸気装置であって、上記構成をなすいずれかのインテークマニホールドM1と、インテークマニホールドM1のフランジ部70に締結されるスロットルユニットM2と、フランジ部70とスロットルユニットM2の間に介在するべくインテークマニホールドM1の環状シール溝80に嵌め込まれるゴム製の環状シール部材M3を含む。
これによれば、吸気装置の小型化、機械的強度の確保、成形性の向上、良好なシール性能を達成することができ、車載の際に、狭い配置スペースに対して、吸気装置を他の部品と干渉することなく配置することができる。
【0053】
また、環状シール部材M3は、環状シール溝80の最小溝幅H2よりも小さい一定幅をなす環状シール部300を含むように形成されている。
これによれば、環状シール溝80が、溝幅が狭くなる幅徐変領域82を含む場合であっても、環状シール部材M3を容易に嵌め込むことができ、良好な組付付け性が得られる。
【0054】
また、環状シール部材M3は、締結前の非圧縮の状態において環状シール溝80の外側壁80bに部分的に接触し得るべく環状シール部300から突出する複数の外側凸部310及び環状シール溝80の内側壁80aに部分的に接触し得るべく環状シール部300から突出する複数の内側凸部320を含む。
これによれば、複数の外側凸部310及び複数の内側凸部320が設けられたことにより、スロットルユニットM2を組み付ける前の状態において、環状シール部材M3が環状シール溝80から脱落するのを防止することができ、組付け時の作業性が向上する。
【0055】
また、複数の外側凸部310及び複数の内側凸部320は、環状シール溝80の一定の溝幅をなす幅不変領域81に配置される、すなわち、複数の外側凸部310及び複数の内側凸部320は、溝幅が徐変する幅徐変領域82から外れた領域に配置されるため、環状シール部材M3を環状シール溝80に容易に嵌め込むことができ、その組付け性が向上する。
【0056】
また、スロットルユニットM2は、通路を開閉するスロットルバルブ220と、スロットルバルブ220を開閉駆動する駆動ユニット230とを含み、インテークマニホールドM1の分岐管20は、軸線Sの方向から視て所定の向きに湾曲して形成され、駆動ユニット230は、軸線Sの方向から視て、サージタンク10及び分岐管20の外輪郭10a,20aから突出しないように配置されている、すなわち、インテークマニホールドM1の外形線OLから外側に突出しないように配置されている。
これによれば、スロットルユニットM2がインテークマニホールドM1の外形線OLの内側に配置されることで、吸気装置としての部品の集約化及び全体としての小型化を達成することができる。
【0057】
以上述べたように、上記構成をなすインテークマニホールドM1及び吸気装置によれば、小型化、機械的強度の確保、成形性の向上を達成しつつ、良好な組付性及びシール性を得ることができる。
【0058】
上記実施形態においては、複数の締結部として、四つの締結部90を示したが、これに限定されるものではなく、三つ又はそれ以外の個数の締結部を採用してもよい。
また、締結部として、ナット91及び固定穴92を含む締結部90を示したが、これに限定されるものではなく、締結部が単なる貫通孔として形成され、ナットがフランジ部の背面側に配置される構成を採用してもよく、又、締結用のボルトの頭部がフランジ部に埋設されると共にネジ部が軸線方向に突出してスロットルユニットM2の円孔202に通され、その外側からナットが螺合される構成を採用してもよい。
また、上記実施形態において、複数の分岐管として、四つの分岐管20を示したが、これに限定されるものではなく、内燃エンジンの気筒数に応じた個数の分岐管を備えたインテークマニホールドとすることができる。
【0059】
上記実施形態においては、締結部90の近傍において溝幅が狭くなるように形成された環状シール溝として、締結部90に近づくにつれて徐々に狭くなると共に締結部90から遠ざかるにつれて徐々に広くなるように溝幅が連続的に徐変する幅徐変領域82を含む環状シール溝80を示したが、シール性能及び機械的強度並びに成形性が確保される限り、締結部の近傍において溝幅が狭くなる形態であれば、その他の形態をなす環状シール溝を採用してもよい。
【0060】
上記実施形態においては、環状シール部材として、複数の外側凸部310及び複数の内側凸部320を含む環状シール部材M3を示したが、これに限定されるものではなく、複数の外側凸部310又は複数の内側凸部320の一方だけを含む環状シール部材を採用してもよい。
また、環状シール部材が環状シール溝から容易に脱落しないような形態をなすものであれば、一定幅をなす環状シール部のみを含む環状シール部材を採用してもよい。
【0061】
上記実施形態においては、開口部として円形状の開口部60、締結部の固定穴として円形状の固定穴92、環状シール溝の幅不変領域として軸線Sを中心とする円環状の一部をなす幅不変領域81を示したが、これに限定されるものではなく、円形状以外の形態を採用してもよい。
【0062】
以上述べたように、本発明のインテークマニホールド及び吸気装置は、小型化、機械的強度の確保、成形性の向上を達成しつつ、良好な組付性及びシール性を達成することができるため、自動車等に搭載の内燃エンジンに適用できるのは勿論のこと、その他の車両に搭載の内燃エンジンにおいても有用である。
【符号の説明】
【0063】
S 軸線
M1 インテークマニホールド
OL 外形線
10 サージタンク
10a 外輪郭
11 外壁
12 補強リブ
20 複数の分岐管
20a 外輪郭
30 接合部
40 連結部
50 上流側通路部
60 開口部
70 フランジ部
80 環状シール溝
80a 内側壁
D1 内側壁の肉厚
80b 外側壁
D2 外側壁の肉厚
81 幅不変領域
H1 一定の溝幅
Vc 仮想円
82 幅徐変領域
H2 最小の溝幅
90 締結部
91 ナット
92 固定穴
M2 スロットルユニット
200 スロットルボディ
201 筒状部
202 フランジ部
203 円孔
204 収容部
210 シャフト
220 スロットルバルブ
230 駆動ユニット
M3 環状シール部材
300 環状シール部
310 外側凸部
320 内側凸部
M4 燃料噴射ユニット
410 フィードパイプ
420 インジェクター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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