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特開2024-142054車両管理システム、及び車両管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142054
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】車両管理システム、及び車両管理方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20241003BHJP
   G07C 9/27 20200101ALI20241003BHJP
   G07C 9/25 20200101ALI20241003BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G07C9/27
G07C9/25
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054021
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 克正
【テーマコード(参考)】
3E138
5H181
【Fターム(参考)】
3E138AA01
3E138AA07
3E138JA03
3E138JB10
3E138JB16
3E138JC05
3E138JC14
3E138JC21
3E138JD02
3E138JD09
5H181AA14
5H181CC04
5H181CC12
5H181FF10
(57)【要約】
【課題】航空機と車両との効率の良い乗り継ぎをサポートすることができる車両管理システム、及び車両管理方法を提供する。
【解決手段】車両管理システム1は、車両乗入受付部11により、離発着場への対象車両70の乗り入れが受け付けられたときに、対象車両70を識別するための車両識別情報を取得する車両識別情報取得部12と、車両識別情報を用いた認証処理により、対象車両70が離発着場の車両進入ゲートに到着したことを認識したときに、対象車両70の離発着場への乗り入れを許可する車両乗入許可部13と、離発着場内における対象車両70の位置を認識して、対象車両70の対象フライトに使用される対象航空機の駐機位置までの移動を監視する場内車両監視部14と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象フライトの予約を行った利用者により使用される利用者端末から送信される、前記対象フライトの離発着場への対象車両の乗り入れを要請する車両乗入要請情報を受信して、前記離発着場への前記対象車両の乗り入れを受け付ける車両乗入受付部と、
前記車両乗入受付部により、前記離発着場への前記対象車両の乗り入れが受け付けられたときに、前記対象車両を識別するための車両識別情報を取得する車両識別情報取得部と、
前記車両識別情報を用いた認証処理により、前記対象車両が前記離発着場の車両進入ゲートに到着したことを認識したときに、前記対象車両の前記離発着場への乗り入れを許可する車両乗入許可部と、
前記離発着場内における前記対象車両の位置を認識して、前記対象車両の前記対象フライトに使用される対象航空機の駐機位置までの移動を監視する場内車両監視部と、
を備える車両管理システム。
【請求項2】
前記場内車両監視部は、前記対象車両から送信される前記対象車両の位置情報に基づいて、前記対象車両の前記対象航空機の駐機位置までの移動を監視する
請求項1に記載の車両管理システム。
【請求項3】
前記離発着場に乗り入れた前記対象車両に対して、前記対象航空機の駐機位置までの経路情報を送信する経路情報提供部を備える
請求項1又は請求項2に記載の車両管理システム。
【請求項4】
前記離発着場に乗り入れた前記対象車両に対して、前記離発着場における前記対象車両の進入禁止エリアの情報を送信する進入禁止エリア情報提供部を備える
請求項1又は請求項2に記載の車両管理システム。
【請求項5】
前記場内車両監視部は、前記離発着場に乗り入れた前記対象車両が、前記離発着場における前記対象車両の進入禁止エリアに接近したときに、前記対象車両に対して前記進入禁止エリアへの進入禁止を報知する進入禁止報知情報を送信する
請求項1又は請求項2に記載の車両管理システム。
【請求項6】
前記対象車両は自動運転機能を有し、
前記離発着場に乗り入れた前記対象車両を、前記対象航空機の駐機位置まで自動運転により誘導するリモート誘導部を備える
請求項1又は請求項2に記載の車両管理システム。
【請求項7】
コンピュータにより実行される車両管理方法であって、
対象フライトの予約を行った利用者により使用される利用者端末から送信される、前記対象フライトの離発着場への対象車両の乗り入れを要請する車両乗入要請情報を受信して、前記離発着場への前記対象車両の乗り入れを受け付ける車両乗入受付ステップと、
前記車両乗入受付ステップにより、前記離発着場への前記対象車両の乗り入れが受け付けられたときに、前記対象車両を識別するための車両識別情報を取得する車両識別情報取得ステップと、
前記車両識別情報を用いた認証処理により、前記対象車両が前記離発着場の車両進入ゲートに到着したことを認識したときに、前記対象車両の前記離発着場への乗り入れを許可する車両乗入許可ステップと、
前記離発着場内における前記対象車両の位置を認識して、前記対象車両の前記対象フライトに使用される対象航空機の駐機位置までの移動を監視する場内車両監視ステップと、
を備える車両管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両管理システム、及び車両管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、eVTOL(electric Vertical Take-Off and Landing aircraft)の離発着場において、台車タイプの小型モビリティを、着陸したeVTOLの乗降ドアの横とライドシェア車両等の次の移動手段の乗り継ぎ場所まで自律的に走行させて、eVTOLの乗客を送迎する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-70117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記背景技術では、eVTOLの乗客は、専用の小型モビリティを利用して、離発着場内をeVTOLから次の移動手段であるライドシェア車両等の乗り継ぎ場所まで移動するため、小型モビリティへの乗降による乗り継ぎ時間のロスが生じる。そのため、航空機と車両との乗り継ぎの効率化の観点から改善の余地がある。
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、航空機と車両との効率の良い乗り継ぎをサポートすることができる車両管理システム、及び車両管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための第1態様として、対象フライトの予約を行った利用者により使用される利用者端末から送信される、前記対象フライトの離発着場への対象車両の乗り入れを要請する車両乗入要請情報を受信して、前記離発着場への前記対象車両の乗り入れを受け付ける車両乗入受付部と、前記車両乗入受付部により、前記離発着場への前記対象車両の乗り入れが受け付けられたときに、前記対象車両を識別するための車両識別情報を取得する車両識別情報取得部と、前記車両識別情報を用いた認証処理により、前記対象車両が前記離発着場の車両進入ゲートに到着したことを認識したときに、前記対象車両の前記離発着場への乗り入れを許可する車両乗入許可部と、前記離発着場内における前記対象車両の位置を認識して、前記対象車両の前記対象フライトに使用される対象航空機の駐機位置までの移動を監視する場内車両監視部と、を備える車両管理システムが挙げられる。
【0006】
上記車両管理システムにおいて、前記場内車両監視部は、前記対象車両から送信される前記対象車両の位置情報に基づいて、前記対象車両の前記対象航空機の駐機位置までの移動を監視する構成としてもよい。
【0007】
上記車両管理システムにおいて、前記離発着場に進入した前記対象車両に対して、前記対象航空機の駐機位置までの経路情報を送信する経路情報提供部を備える構成としてもよい。
【0008】
上記車両管理システムにおいて、前記離発着場に乗り入れた前記対象車両に対して、前記離発着場における前記対象車両の進入禁止エリアの情報を送信する進入禁止エリア情報提供部を備える構成としてもよい。
【0009】
上記車両管理システムにおいて、前記場内車両監視部は、前記離発着場に乗り入れた前記対象車両が、前記離発着場における前記対象車両の進入禁止エリアに接近したときに、前記対象車両に対して前記進入禁止エリアへの進入禁止を報知する進入禁止報知情報を送信する構成としてもよい。
【0010】
上記車両管理システムにおいて、前記対象車両は自動運転機能を有し、前記離発着場に進入した前記対象車両を、前記対象航空機の駐機位置まで自動運転により誘導するリモート誘導部を備える構成としてもよい。
【0011】
上記目的を達成するための第2態様として、コンピュータにより実行される車両管理方法であって、対象フライトの予約を行った利用者により使用される利用者端末から送信される、前記対象フライトの離発着場への対象車両の乗り入れを要請する車両乗入要請情報を受信して、前記離発着場への前記対象車両の乗り入れを受け付ける車両乗入受付ステップと、前記車両乗入受付ステップにより、前記離発着場への前記対象車両の乗り入れが受け付けられたときに、前記対象車両を識別するための車両識別情報を取得する車両識別情報取得ステップと、前記車両識別情報を用いた認証処理により、前記対象車両が前記離発着場の車両進入ゲートに到着したことを認識したときに、前記対象車両の前記離発着場への乗り入れを許可する車両乗入許可ステップと、前記離発着場内における前記対象車両の位置を認識して、前記対象車両の前記対象フライトに使用される対象航空機の駐機位置までの移動を監視する場内車両監視ステップと、を備える車両管理方法が挙げられる。
【発明の効果】
【0012】
上記車両管理システム、及び車両管理方法によれば、航空機と車両との効率の良い乗り継ぎをサポートすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、車両管理システムによる離発着場への車両の乗り入れの管理態様の説明図である。
図2図2は、車両管理システムの構成図である。
図3図3は、車両の乗り入れ管理処理の第1フローチャートである。
図4図4は、車両の乗り入れ管理処理の第2フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[1.車両管理システムによる車両の乗り入れの管理態様]
図1を参照して、本実施形態の車両管理システム1による対象航空機100の離発着場110への対象車両70の乗り入れの管理の態様について説明する。対象航空機100は、例えば、eVTOL(Electric Vertical Take-Off and Landing aircraft)である。対象車両70は、例えば、タクシー、ハイヤー、シェア車両等の送迎車両である。
【0015】
車両管理システム1は、通信ネットワーク300を介して、フライト管理システム200、送迎車両手配システム210、利用者Uにより使用される利用者端末50、及び対象車両70との間で通信を行う。利用者Uは、利用者端末50にインストールされたフライトの予約アプリ(アプリケーションプログラム)を使用して、フライト管理システム200にアクセスすることにより、フライトの予約を行う。
【0016】
また、利用者Uは、利用者端末50にインストールされた送迎車両の予約アプリを使用して、送迎車両手配システム210にアクセスすることにより、送迎車両の予約を行う。車両管理システム1は、利用者Uが、吹き出しB1に示したようにフライトと送迎車両の予約を行い、送迎車両の予約がフライトの出発地点又は到着地点での乗り継ぎを指定したものであることを、送迎車両手配システム210からの予約情報の提供により認識した場合に、対象車両70の離発着場110への乗り入れを管理する処理を実行する。
【0017】
図1では、利用者Uが、吹き出しB2で示したように、吹き出しB1で示した対象航空機100による対象フライトFLと、吹き出しB3で示した対象車両70による送迎を予約して、自宅60から離発着場110まで移動する状況を例示している。フライトFLは、対象航空機100が離発着場110の駐機位置Fsを10:00に出発するスケジュールとなっている。
【0018】
対象車両70の送迎予約は、利用者Uの自宅60の所在位置Psを9:20に出発して、対象フライトFLを行う対象航空機100の駐機位置Fsに9:40に到着するスケジュールとなっている。対象車両70の運転者Dは、Psで利用者Uを対象車両70に乗せて離発着場110に向かい、進入ゲート112から離発着場110内に進入して対象航空機100の駐機位置Fsまで移動し、駐機位置Fsで利用者Uを降ろす。これにより、利用者Uは、対象車両70から対象航空機100への乗り継ぎをシームレスに効率良く行うことができる。駐機位置Fsで利用者Uを降ろした運転者Dは、退出ゲート114まで移動して、離発着場110から退出する。
【0019】
車両管理システム1は、対象車両70の予約情報から対象車両70の識別情報を予め取得し、進入ゲート112に設けられた進入ゲートユニット113のカメラ113aの撮影画像等による認証処理により、対象車両70が進入ゲート112に到着したことを認識したときに、進入ゲート112をオープンして、対象車両70の離発着場110への進入を許可する。
【0020】
そして、車両管理システム1は、対象車両70から送信される位置情報に基づいて、対象車両70が退出ゲートから退出するまで、離発着場110内での対象車両70の移動を監視する。これにより、離発着場110への一般車両である対象車両70の進入を許可することに対するセキュリティの維持を担保することができる。
【0021】
[2.車両管理システムの構成]
図2を参照して、車両管理システム1の構成について説明する。車両管理システム1は、プロセッサ10、メモリ30、通信ユニット40等を備えたコンピュータシステムである。車両管理システム1は、通信ユニット40により、上述したように通信ネットワーク300を介した通信を行う。
【0022】
フライト管理システム200は、フライトの運航状況を示すフライト運航情報が記録されるフライト運航DB(データベース)201を備えている。フライト運航情報には、フライトの予約情報が含まれる。送迎車両手配システム210は、送迎車両の運行状況を示す送迎車両運行情報が記録される送迎車両運行DB211を備えている。フライト管理システム200は、利用者端末50から送信されるフライト予約要請情報FTrを受信して、フライトの予約を受け付ける。送迎車両手配システム210は、利用者端末50から送信される送迎車両予約要請情報TRrを受信して、送迎車両の予約を受け付ける。
【0023】
対象車両70は、通信ネットワーク300を介して車両管理システム1と通信を行う制御ユニット71と、制御ユニット71により表示内容が制御されるディスプレイ72を備えている。なお、対象車両70に車載タイプの制御ユニット71とディスプレイ72が備えられていない場合は、進入ゲート112で、係員Vが制御ユニット71及びディスプレイ72と同様の機能を有するポータブルタイプの制御ユニット75を運転者Dに貸与することによって、制御ユニット75により対象車両70と車両管理システム1との間の通信を可能にし、退出ゲート114で、制御ユニット75を回収するようにしてもよい。
【0024】
メモリ30には、車両管理システム1の制御用のプログラム31と、離発着場110への乗り入れを許可する車両の情報が記録された乗入車両DB32が保存されている。乗入車両DB32には、乗り入れを許可する車両の識別情報が記録される。車両の識別情報としては、図1図2の例では、対象車両70の登録番号、運転者Dの生体情報(顔画像、虹彩、指紋等)、対象車両70の離発着場110への乗り入れの要請を受け付けた時に設定された認証用コード等が採用される。
【0025】
プロセッサ10は、プログラム31を読み込んで実行することにより、車両乗入受付部11、車両識別情報取得部12、車両乗入許可部13、場内車両監視部14、経路情報提供部15、進入禁止エリア情報提供部16、及びリモート誘導部17として機能する。
【0026】
車両乗入受付部11により実行される処理は、本開示の車両管理方法における車両乗入受付ステップに相当し、車両識別情報取得部12により実行される処理は、本開示の車両管理方法における車両識別情報取得ステップに相当する。車両乗入許可部13により実行される処理は、本開示の車両管理方法における車両乗入許可ステップに相当し、場内車両監視部14により実行される処理は、本開示の車両管理方法における場内車両監視ステップに相当する。
【0027】
車両乗入受付部11は、利用者端末50から送信される送迎車両予約要請情報TRrに応じて、送迎車両手配システム210から送信される車両乗入要請情報BDrを受信することにより、対象フライトFLに乗り継ぐための対象車両70の離発着場110への乗り入れの要請を受け付ける。送迎車両予約要請情報TRrには、離発着場110でのフライトFLへの乗り継ぎの指定が含まれ、この場合の送迎車両予約要請情報TRrは、本開示の車両乗入要請情報を含む。なお、利用者Uが、自身が所有する車両を家族等に運転してもらって、離発着場110まで送迎してもらう場合は、利用者Uは、車両管理システム1に対して、所有車両の乗り入れを要請する車両乗入要請情報BDrを送信する。
【0028】
車両識別情報取得部12は、車両乗入要請情報BDrに含まれる対象車両70の識別情報を取得して、乗入車両DB32に記録する。車両乗入許可部13は、進入ゲートユニット113から送信されるカメラ113a(図1参照)の撮影画像から、進入ゲートに到着した車両を認識したときに、対象車両70の識別情報を用いた認証処理を行って、到着した車両が対象車両70であるか否かを認識する。そして、車両乗入許可部13は、到着した車両が対象車両70であることが確認できた場合に、進入ゲート112をオープンして、対象車両70の離発着場110への乗り入れを許可する。
【0029】
場内車両監視部14は、離発着場110に乗り入れた対象車両70から送信される対象車両70の位置情報CPiに基づいて、離発着場110内の対象車両70の移動を監視する。なお、対象車両70から送信される位置情報CPiに代えて、或いは位置情報CPiと共に、離発着場110に設けられたカメラの撮影画像や、離発着場110に設けられたビーコンから送信される固有情報の対象車両70による受信状況等に基づいて、離発着場110内の対象車両70の移動を監視してもよい。
【0030】
経路情報提供部15は、進入ゲート112から対象航空機100の駐機位置Fsまで、及び駐機位置Fsから退出ゲート114までの経路Ar1(図1参照)を示す経路情報RTiを、対象車両70に送信する。進入禁止エリア情報提供部16は、離発着場110内の経路Ar1以外の進入禁止エリアAr2,Ar3(図1参照)の範囲を示す進入禁止エリア情報EPiを、対象車両70に送信する。
【0031】
リモート誘導部17は、対象車両70が自動運転車両である場合に、対象車両70との通信により、進入ゲート112から対象航空機100の駐機位置Fsまで、及び駐機位置Fsから退出ゲート114までの自動運転による対象車両70の移動を誘導する。この場合は、例えば、リモート誘導部17が、自動運転車両である対象車両70に対して経路指示や走行開始及び停止指示等のレベルの制御を行い、この制御に応じて、対象車両70が、アクセル、ブレーキ、操舵等の具体的な操作系の自動運転による制御を、対象車両70自体で完結させる態様となる。
【0032】
[3.車両の乗り入れ管理処理]
図3図4に示したフローチャートに従って、車両管理システム1により実行される車両の乗り入れ管理処理の手順について説明する。車両管理システム1は、対象フライトFLとの乗り継ぎを行うために、離発着場110への乗り入れの要請が受け付けられた対象車両70の情報が乗入車両DB32に記録されたときに、図3図4に示したフローチャートによる処理を実行する。
【0033】
図3のステップS1で、車両乗入許可部13は、進入ゲートユニット113から送信されるカメラ113aの撮影画像から、進入ゲート112に到着した車両を認識したときに、ステップS2に処理を進める。ステップS2で、車両乗入許可部13は、車両識別情報取得部12により取得された対象車両70の識別情報を用いて、進入ゲート112に到着した車両が対象車両70であるか否かの認証を実施する。
【0034】
続くステップS3で、車両乗入許可部13は、進入ゲート112に到着した車両が対象車両70であったときはステップS4に進め、進入ゲート112に到着した車両が対象車両70でなかったときにはステップS1に処理を進める。ステップS4で、車両乗入許可部13は、進入ゲートユニット113にゲートオープン指示情報を送信して、進入ゲート112をオープンさせることにより、対象車両70の離発着場110への乗り入れを許可する。これにより、運転者Dは、対象車両70を離発着場110に乗り入れる。
【0035】
ここで、対象車両70の運転者Dが位置情報の提供を許可した場合に、車両乗り入れ許可部13が進入ゲート112をオープンさせることにしてもよい。運転者Dによる位置情報の提供の許可には、対象車両70に搭載されたGPS(Global Positioning System)センサ等の位置検出センサにより検出される位置情報を、対象車両70から車両管理システム1に送信することを許可する操作、或いは、場内車両監視部14が、離発着場110に設置されたカメラの撮影画像により対象車両70の位置を監視することを許可する操作を行うことが含まれる。
【0036】
次のステップS5~S10、及びステップS20のループ処理により、場内車両監視部14は、ステップS10で対象車両70が対象航空機100の駐機位置Fsに到着したことを認識するまで、離発着場110内における対象車両70の移動を監視する。ステップS5で、場内車両監視部14は、対象車両70から送信される位置情報を受信して取得する。
【0037】
続くステップS6で、進入禁止エリア情報提供部16は、対象車両70に進入禁止エリア情報EPiを送信する。対象車両70においては、進入禁止エリア情報EPiを受信した制御ユニット71が、進入禁止エリアAr2,Ar3の範囲を示す案内画面をディスプレイ72に表示する。
【0038】
次のステップS7で、経路情報提供部15は、対象航空機100の駐機位置Fsまでの経路を示す経路情報RTiを、対象車両70に送信する。対象車両70においては、経路情報RTiを受信した制御ユニット71が、駐機位置Fsまでの経路を示す案内画面をディスプレイ72に表示する。なお、音声の出力による経路案内を行ってもよい。
【0039】
次のステップS8で、場内車両監視部14は、対象車両70の駐機位置Fsまでの移動を監視し、ステップS9で、対象車両70が進入禁止エリアAr2又はAr3に接近したか否かを判断する。そして、場内車両監視部14は、対象車両70が進入禁止エリアAr2又はAr3に接近したときはステップS20に処理を進め、対象車両70が進入禁止エリアAr2及びAr3に接近していないときにはステップS10に処理を進める。
【0040】
ステップS20で、場内車両監視部14は、対象車両70に進入禁止報知情報を送信し、ステップS10に処理を進める。対象車両70においては、進入禁止報知情報を受信した制御ユニット71により、進入禁止エリアへの接近を報知する画面が表示され、これにより、運転者Dに対して、進入禁止エリアAr2,Ar3から離れることが促される。
【0041】
ステップS10で、場内車両監視部14は、対象車両70から送信される位置情報により、対象航空機100の駐機位置Fsに到着したことを認識したときに、図4のステップS10に処理を進め、対象車両70が駐機位置Fsに到着していないときにはステップS5に処理を進める。
【0042】
図4のステップS11~S16、及びステップS30のループ処理により、場内車両監視部14は、ステップS16で対象車両70が離発着場110の退出ゲート114に到着したことを確認するまで、離発着場110内における対象車両70の移動を監視する。ステップS11で、場内車両監視部14は、対象車両70から送信される位置情報を受信して取得する。
【0043】
続くステップS12で、進入禁止エリア情報提供部16は、対象車両70に進入禁止エリア情報EPiを送信する。対象車両70においては、進入禁止エリア情報EPiを受信した制御ユニット71が、進入禁止エリアAr2,Ar3の範囲を示す案内画面をディスプレイ72に表示する。
【0044】
次のステップS13で、経路情報提供部15は、離発着場110の退出ゲート114までの経路を示す経路情報RTiを、対象車両70に送信する。対象車両70においては、経路情報RTiを受信した制御ユニット71が、退出ゲート114までの経路を示す案内画面をディスプレイ72に表示する。なお、音声の出力による経路案内を行ってもよい。
【0045】
次のステップS14で、場内車両監視部14は、対象車両70の退出ゲート114までの移動を監視し、ステップS15で、対象車両70が進入禁止エリアAr2又はAr3に接近したか否かを判断する。そして、場内車両監視部14は、対象車両70が進入禁止エリアAr2又はAr3に接近したときはステップS30に処理を進め、対象車両70が進入禁止エリアAr2及びAr3に接近していないときにはステップS16に処理を進める。
【0046】
ステップS30で、場内車両監視部14は、対象車両70に進入禁止報知情報を送信し、ステップS16に処理を進める。対象車両70においては、進入禁止報知情報を受信した制御ユニット71により、進入禁止エリアへの接近を報知する画面が表示され、これにより、運転者Dに対して、進入禁止エリアAr2,Ar3から離れることが促される。
【0047】
ステップS16で、場内車両監視部14は、対象車両70から送信される位置情報により、対象車両70が退出ゲート114に到着したことを認識したときに、ステップS17に処理を進め、対象車両70が退出ゲート114に到着していないときにはステップS11に処理を進める。
【0048】
ステップS17で、場内車両監視部14は、退出ゲートユニット115にゲートオープン指示情報を送信して、退出ゲート114をオープンさせることにより、対象車両70の離発着場110からの退出を可能とする。これにより、運転者Dは、対象車両70を運転して離発着場110から退出する。
【0049】
[4.他の実施形態]
上記実施形態では、経路情報提供部15を備えて、離発着場110内を移動する対象車両70に経路情報RTiを送信したが、経路情報提供部15を省略した構成としてもよい。
【0050】
上記実施形態では、進入禁止エリア情報提供部16を備えて、離発着場110内を移動する対象車両70に進入禁止エリア情報EPiを送信したが、進入禁止エリア情報提供部16を省略した構成としてもよい。
【0051】
上記実施形態では、リモート誘導部17を備えて、離発着場110内での自動運転による車両の移動をサポートしたが、リモート誘導部17を省略した構成としてもよい。
【0052】
上記実施形態では、図3のステップS9とステップS20、及び図4のステップS15とステップS30の処理により、対象車両70が進入禁止エリアAr2又はAr3に接近したときに、対象車両70の運転者Dに対する注意喚起の報知を行った。他の実施形態として、対象車両70が、進入ゲート112から対象航空機100の駐機位置Fsまで、及び駐機位置Fsから退出ゲート114までの経路Ar1から、所定距離以上逸脱した時点で、運転者Dに対する注意喚起の報知を行うようにしてもよい。
【0053】
上記実施形態では、1台の対象車両70について、車両管理システム1より、離発着場110への乗り入れを監視する場合について説明した。他の実施形態として、2台以上の対象車両70について、車両管理システム1より、各対象車両70の離発着場110への乗り入れを監視することも可能である。この場合は、安全上の観点から、予め定められた経路Ar1からの逸脱に対する注意喚起の報知をより厳密に行う、或いは、対象車両70が自動運転機能を有することを必須として、リモート誘導部17により各対象車両の移動を誘導する、等の対応措置を行ってもよい。
【0054】
なお、図2は、本願発明の理解を容易にするために、車両管理システム1の機能構成を、主な処理内容により区分して示した概略図であり、車両管理システム1の構成を、他の区分によって構成してもよい。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアユニットにより実行されてもよいし、複数のハードウェアユニットにより実行されてもよい。また、図3図4に示した各構成要素による処理は、1つのプログラムにより実行されてもよいし、複数のプログラムにより実行されてもよい。
【0055】
[5.上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成の具体例である。
【0056】
(構成1)対象フライトの予約を行った利用者により使用される利用者端末から送信される、前記対象フライトの離発着場への対象車両の乗り入れを要請する車両乗入要請情報を受信して、前記離発着場への前記対象車両の乗り入れを受け付ける車両乗入受付部と、前記車両乗入受付部により、前記離発着場への前記対象車両の乗り入れが受け付けられたときに、前記対象車両を識別するための車両識別情報を取得する車両識別情報取得部と、前記車両識別情報を用いた認証処理により、前記対象車両が前記離発着場の車両進入ゲートに到着したことを認識したときに、前記対象車両の前記離発着場への乗り入れを許可する車両乗入許可部と、前記離発着場内における前記対象車両の位置を認識して、前記対象車両の前記対象フライトに使用される対象航空機の駐機位置までの移動を監視する場内車両監視部と、を備える車両管理システム。
構成1の車両管理システムによれば、対象フライトの予約を行った利用者による要請に応じて、対象フライトの離発着への対象車両の乗り入れが、対象車両の認証と離発着場における対象航空機の駐機位置までの移動の監視を条件として許可される。これにより、航空機と車両との効率の良い乗り継ぎをサポートすることができる。
【0057】
(構成2)前記場内車両監視部は、前記対象車両から送信される前記対象車両の位置情報に基づいて、前記対象車両の前記対象航空機の駐機位置までの移動を監視する構成1に記載の車両管理システム。
構成2の車両管理システムによれば、対象車両の位置情報により、離発着場内における対象車両の移動状況を監視することができる。
【0058】
(構成3)前記離発着場に進入した前記対象車両に対して、前記対象航空機の駐機位置までの経路情報を送信する経路情報提供部を備える構成1から構成3のうちいずれか1つの構成に記載の車両管理システム。
構成3の車両管理システムによれば、対象車両の運転者に対して、離発着場内における対象航空機の駐機位置までの経路を案内することができる。
【0059】
(構成4)前記離発着場に進入した前記対象車両に対して、前記離発着場における前記対象車両の進入禁止エリアの情報を送信する進入禁止エリア情報提供部を備える構成1から構成3のうちいずれか1つの構成に記載の車両管理システム。
構成4の車両管理システムによれば、対象車両に対して進入禁止エリア情報を送信することにより、対象車両が進入禁止エリアに進入することを防止することができる。
【0060】
(構成5)前記場内車両監視部は、前記離発着場に乗り入れた前記対象車両が、前記離発着場における前記対象車両の進入禁止エリアに接近したときに、前記対象車両に対して前記進入禁止エリアへの進入禁止を報知する進入禁止報知情報を送信する構成1から構成4のうちいずれか1つの構成に記載の車両管理システム。
構成5の車両管理システムによれば、対象車両の運転者に対して、進入禁止エリアへの接近を報知することにより、対象車両が進入禁止エリアに進入することを防止することができる。
【0061】
(構成6)前記対象車両は自動運転機能を有し、前記離発着場に進入した前記対象車両を、前記対象航空機の駐機位置まで自動運転により誘導するリモート誘導部を備える構成1から構成5のうちいずれか1つの構成に記載の車両管理システム。
構成6の車両管理システムによれば、自動運転機能を有する対象車両を、対象航空機の駐機位置までより確実に移動させることができる。
【0062】
(構成7)コンピュータにより実行される車両管理方法であって、対象フライトの予約を行った利用者により使用される利用者端末から送信される、前記対象フライトの離発着場への対象車両の乗り入れを要請する車両乗入要請情報を受信して、前記離発着場への前記対象車両の乗り入れを受け付ける車両乗入受付ステップと、前記車両乗入受付ステップにより、前記離発着場への前記対象車両の乗り入れが受け付けられたときに、前記対象車両を識別するための車両識別情報を取得する車両識別情報取得ステップと、前記車両識別情報を用いた認証処理により、前記対象車両が前記離発着場の車両進入ゲートに到着したことを認識したときに、前記対象車両の前記離発着場への乗り入れを許可する車両乗入許可ステップと、前記離発着場内における前記対象車両の位置を認識して、前記対象車両の前記対象フライトに使用される対象航空機の駐機位置までの移動を監視する場内車両監視ステップと、を備える車両管理方法。
構成7の車両管理方法をコンピュータにより実行することによって、構成1の車両管理システムと同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0063】
1…車両管理システム、10…プロセッサ、11…車両乗入受付部、12…車両識別情報取得部、13…車両乗入許可部、14…場内車両監視部、15…経路情報提供部、16…進入禁止エリア情報提供部、17…進入禁止報知部、18…リモート誘導部、30…メモリ、31…プログラム、32…乗入車両DB、50…利用者端末、70…対象車両、71…制御ユニット、72…ディスプレイ、75…制御ユニット、100…対象航空機、110…離発着場、112…進入ゲート、113…進入ゲートユニット、114…退出ゲート、115…退出ゲートユニット、200…フライト管理システム、201…フライト運航DB、210…送迎車両手配システム、211…送迎車両運行DB、300…通信ネッ手尾ワーク、U…利用者、D…運転者、V…係員。
図1
図2
図3
図4