(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142058
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】直流電力を供給する配線器具
(51)【国際特許分類】
H02M 3/00 20060101AFI20241003BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20241003BHJP
H02G 3/12 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H02M3/00 Y
H05K7/20 D
H02G3/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054026
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智士
(72)【発明者】
【氏名】菊池 悟
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】石田 亮介
【テーマコード(参考)】
5E322
5G361
5H730
【Fターム(参考)】
5E322AA03
5E322AB02
5E322EA11
5E322FA04
5G361AA02
5G361AC02
5G361AD01
5H730ZZ01
5H730ZZ07
5H730ZZ11
5H730ZZ12
(57)【要約】
【課題】放熱性に優れた直流電力を供給する配線器具を提供する。
【解決手段】実施形態の一例である直流電力を供給する配線器具2は、電力変換部品が搭載された第一の基板40と、端子52と、筐体と、放熱部材60とを備える。筐体は、第一の筐体10、第二の筐体20、および第三の筐体30で構成されている。放熱部材60は、第二の筐体20および第三の筐体30の少なくとも一方の内面と、電力変換部品および第一の基板40の少なくとも一方との間に配置されている。第二の筐体20および第三の筐体30の少なくとも一方の内面には、放熱部材60が接触する部分の少なくとも一部に、電力変換部品および第一の基板40の少なくとも一方の方向に向かって突出した凸部70が形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電力を直流電力に変換する電力変換部品を含む電子部品が搭載された基板と、
前記直流電力を出力する端子と、
前記基板を囲む筐体と、
前記筐体の内面と、前記電力変換部品および前記基板の少なくとも一方との間に配置され、当該内面に接触する放熱部材と、
を備え、
前記筐体の内面には、前記放熱部材が接触する部分の少なくとも一部に、前記電力変換部品および前記基板の少なくとも一方の方向に向かって突出した凸部が形成されている、直流電力を供給する配線器具。
【請求項2】
前記放熱部材は、前記凸部により圧縮された状態で配置されている、請求項1に記載の直流電力を供給する配線器具。
【請求項3】
前記放熱部材は、可撓性を有する樹脂と、前記樹脂中に分散した熱伝導性フィラーとで構成されたシートである、請求項2に記載の直流電力を供給する配線器具。
【請求項4】
前記凸部には、前記放熱部材を保持する保持部が形成されている、請求項3に記載の直流電力を供給する配線器具。
【請求項5】
前記筐体は、第一の筐体および第二の筐体を含み、
前記凸部は、前記第一の筐体および前記第二の筐体の少なくとも一方の内面に形成され、
前記凸部と、前記電力変換部品および前記基板の少なくとも一方の表面とは、前記放熱部材を介して、前記第一の筐体および前記第二の筐体が組み立てられる第一の組立方向に対向している、請求項1~4のいずれか一項に記載の直流電力を供給する配線器具。
【請求項6】
前記筐体は、スナップフィット構造により互いに嵌合する第一の筐体および第二の筐体を含み、
前記凸部は、前記スナップフィット構造の嵌合部と前記筐体の厚み方向に重なる位置に形成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の直流電力を供給する配線器具。
【請求項7】
前記筐体は、第一の筐体、第二の筐体、および第三の筐体を含み、
前記第一の筐体は、第二の筐体および第三の筐体に対してスナップフィット構造により固定され、
前記凸部は、前記スナップフィット構造の嵌合部と前記筐体の厚み方向に重なる位置に形成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の直流電力を供給する配線器具。
【請求項8】
前記基板は、前記電力変換部品に接続されるビアを有し、
前記放熱部材は、前記基板の前記電力変換部品が配置された面と反対側の面において、前記ビアと接触した状態で配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の直流電力を供給する配線器具。
【請求項9】
前記筐体の少なくとも前記凸部が形成された部分は、金属材料で構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の直流電力を供給する配線器具。
【請求項10】
前記電子部品には、第一の電子部品と、前記第一の電子部品よりも耐熱性が低い第二の電子部品とが含まれ、
前記第一の電子部品と、前記第二の電子部品との間に、遮熱部が設けられている、請求項1~4のいずれか一項に記載の直流電力を供給する配線器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、直流電力を供給する配線器具に関し、特にUSB(Universal Serial Bus)端子を備えた直流電力を供給する配線器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン等の電子機器に直流電力を供給するための配線器具として、USBコンセントが広く知られている。USBコンセント等の配線器具は、交流電力を直流電力に変換する電力変換部品を含む電子部品が搭載された基板と、直流電力を出力する端子と、基板および端子を囲む筐体とを備える。電力変換部品は作動時に発熱するが、従来、この発熱の影響は大きな問題ではなかった。しかし、近年、配線器具の高出力化、小型化が進んでおり、単位容積あたりの出力として定義される発熱密度は大きく増加している。
【0003】
直流電力を供給する配線器具の発熱密度の増加に伴い、放熱性の向上が強く求められている。例えば、特許文献1には、基板に搭載された電子部品から発生する熱を放熱部に伝熱するための伝熱部を備えた放熱構造が開示されている。特許文献1に開示された放熱構造は、電子部品から発生する熱を基板の裏側に伝熱する第一の伝熱部と、基板の裏側から表側に延設され、基板の裏側に伝熱された熱を基板の周囲を通して放熱部に伝熱する第二の伝熱部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、直流電力を供給する配線器具の放熱性を向上させるためには、放熱経路の接触熱抵抗を低減する必要がある。特許文献1に開示された放熱構造を含む従来の技術では、接触熱抵抗の低減について十分に考慮されておらず、未だ改良の余地が大きい。特に、発熱密度が高い配線器具には、接触熱抵抗が低く、放熱性に優れた放熱構造を適用することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る直流電力を供給する配線器具は、交流電力を直流電力に変換する電力変換部品を含む電子部品が搭載された基板と、直流電力を出力する端子と、基板を囲む筐体と、筐体の内面と、電力変換部品および基板の少なくとも一方との間に配置され、当該内面に接触する放熱部材とを備え、筐体の内面には、放熱部材が接触する部分の少なくとも一部に、電力変換部品および基板の少なくとも一方の方向に向かって突出した凸部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、放熱性に優れた直流電力を供給する配線器具を提供できる。本開示に係る配線器具は、接触熱抵抗が大きく低減された放熱経路を備える。このため、発熱密度が高い場合でも、電力変換部品から発生する熱を効果的に放熱できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第一の実施形態である直流電力を供給する配線器具を用いたコンセントの斜視図である。
【
図2】第一の実施形態である直流電力を供給する配線器具の外観を示す斜視図である。
【
図3】第一の実施形態である直流電力を供給する配線器具の分解斜視図である。
【
図4】第一の実施形態である直流電力を供給する配線器具の前後方向断面図である。
【
図5】直流電力を供給する配線器具の放熱経路について説明するための図である。
【
図7】直流電力を供給する配線器具の遮熱構造の一例を示す図である。
【
図8】第二の実施形態である直流電力を供給する配線器具の分解斜視図である。
【
図9】第三の実施形態である直流電力を供給する配線器具の分解斜視図である。
【
図10】第四の実施形態である直流電力を供給する配線器具の分解斜視図である。
【
図11】第四の実施形態である直流電力を供給する配線器具の左右方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る直流電力を供給する配線器具の実施形態の一例について詳細に説明する。なお、以下で説明する複数の実施形態および変形例の各構成要素を選択的に組み合わせてなる形態は本開示の範囲に含まれている。
【0010】
[第一の実施形態]
図1~
図7を参照しながら、第一の実施形態である直流電力を供給する配線器具2について詳細に説明する。
図1は、配線器具2を用いたコンセント1の斜視図である。
【0011】
図1に示すように、コンセント1は、2つの配線器具2と、1つの電源コンセント装置3とを備えた配線器具であって、建物の壁100に設置されている。コンセント1は、開口部4aが形成された枠状の化粧プレート4を備え、化粧プレート4の開口部4aから配線器具2および電源コンセント装置3の前面2a,3aが露出した構造を有する。化粧プレート4は、正面視矩形枠状のプレートであって、壁100に形成される施工孔、施工孔の周囲に設置される取付枠等が見えないように覆っている。コンセント1は、例えば、取付枠にねじ止めされる枠状の金属プレートを備える。化粧プレート4は、例えば、その裏面に形成された爪を金属プレートの孔に引っ掛けることで金属プレートに固定される。
【0012】
コンセント1は、壁100に形成された施工孔に、配線器具2および電源コンセント装置3が挿入された状態で設置されている。壁面に沿うように配置されるコンセント1の前面には、配線器具2および電源コンセント装置3の前面2a,3aだけが、化粧プレート4の開口部4aから露出している。詳しくは後述するが、配線器具2は交流電力を直流電力に変換する電力変換部品を含み、電力変換部品の熱を装置外部に放熱するための放熱経路を備える。但し、配線器具2の前面2aはユーザが触れることができる部分であるため、配線器具2は、前面2aに伝わる熱を低減するように構成されている。
【0013】
図1に示す例では、2つの配線器具2が互いに隣接配置され、配線器具2と電源コンセント装置3が上下方向に並ぶように、コンセント1が壁100に設置されている。2つの配線器具2は電源コンセント装置3よりも上に配置されているが、配線器具2を備えるコンセントにおいて、これらの配置は特に限定されず、配線器具2の数も特に限定されない。また、配線器具2を備えるコンセントは、電源コンセント装置3の代わりに、光コンセント、LANコンセント、電話線用コンセント等を備えていてもよく、配線器具2のみを備えていてもよい。
【0014】
本明細書では、説明の便宜上、コンセント1、配線器具2、および配線器具2の各構成要素について、前後、上下、左右の方向を示す用語を使用する。前後方向は、配線器具2に接続されるコネクタが挿抜される方向を意味する。上下方向は、鉛直方向に沿った方向であり、左右方向は、上下方向および前後方向に直交する方向である。左右とは、配線器具2を前方から見た場合の左右とする。
【0015】
配線器具2の一例は、USBコンセント装置である。USBコンセント装置は、USBコネクタ102を接続可能な装置であって、交流電力を直流電力に変換する電力変換部品を含み、スマートフォン等の電子機器101に直流電力を供給する。
図1では、電子機器101から延びるケーブル103のUSBコネクタ102が配線器具2に接続されている。本実施形態では、配線器具2がUSBコンセント装置であるものとして説明する。なお、電源コンセント装置3は、100V又は200Vの交流電力を出力する一般的なコンセント装置である。コンセント1の前面には、2つの配線器具2の接続口2bおよび電源コンセント装置3の接続口3bが、上下方向に並んで設けられている。
【0016】
本明細書におけるUSBには、USB1.0、USB1.1、USB2.0、USB3.0、USB3.1、USB3.2、USB4等の様々な世代(転送速度の規格)のUSBが含まれる。また、USBの端子形状は、特に限定されず、A端子、B端子、C端子、ミニUSB、マイクロUSB等のいずれであってもよい。また、
図1に示す例では、配線器具2を含むコンセント1が壁100に設置されているが、配線器具2は、机、棚、カウンター台、ベッド等の什器、自動車、飛行機、鉄道車両等の乗物などに設置されてもよい。
【0017】
図2は、配線器具2の外観を示す斜視図であり、
図3は、配線器具2の分解斜視図である。
【0018】
図2および
図3に示すように、配線器具2は、装置の外観形状を形成する筐体として、第一の筐体10、第二の筐体20、および第三の筐体30を備える。配線器具2は、全体として略直方体状の外観形状を有し、上下方向長さ<左右方向長さ<前後方向長さとなっている。第一の筐体10は、第二の筐体20および第三の筐体30に対してスナップフィット構造70により固定されている。これにより、3つの筐体が一体化され、電力変換部品等を収容する内部空間72(後述の
図4参照)が形成される。
【0019】
スナップフィット構造70は、第一の筐体10に形成された一対の固定片12と、第二の筐体20および第三の筐体30の外面20b,30bにそれぞれ形成された、固定片12の開口部13に嵌る突起25,35とで構成されている。第二の筐体20と第三の筐体30は、上下方向に沿った第一の組立方向Xに組み立てられ、第一の筐体10は、第二の筐体20と第三の筐体30の前端部を左右両側から挟持するように設けられる。また、第二の筐体20と第三の筐体30は、第一の筐体10と反対側の端部(後端部)同士がネジ71を用いて固定されている。
【0020】
第一の筐体10には、USBコネクタ102を挿入可能な開口部である接続口2bが形成され、第一の筐体10の表面がコンセント1における配線器具2の前面2aとなる。即ち、配線器具2は、接続口2bが形成された第一の筐体10の表面が化粧プレート4の開口部4aから露出するように、コンセント1の取付枠に固定される。なお、第二の筐体20と第三の筐体30は、壁100の内部に配置され、通常の使用状態においてユーザの手が触れる場所には配置されない。第二の筐体20および第三の筐体30の外面20b,30bは壁100の内部において装置外部に露出し、第二の筐体20および第三の筐体30に伝達された熱が外面20b,30bから放出される。
【0021】
配線器具2は、交流電力を直流電力に変換する電力変換部品を含む電子部品が搭載された第一の基板40と、直流電力を出力する端子52とを備える。第一の基板40は、絶縁基板41と、絶縁基板41上に配置された電力変換部品を含む電子部品とを有する。端子52は、USB端子であって、第二の基板50の絶縁基板51上に配置されている。第一の筐体10は第二の基板50を囲み、第二の筐体20および第三の筐体30は第一の基板40を囲む。なお、第一の基板40の一部が第一の筐体10の内部まで延びていてもよい。
【0022】
配線器具2は、さらに、第二の筐体20および第三の筐体30の少なくとも一方の内面と、第一の基板40を構成する電力変換部品および絶縁基板41の少なくとも一方との間に介在する放熱部材60を備える。放熱部材60は、第二の筐体20および第三の筐体30の少なくとも一方の内面に接触し、かつ電力変換部品および絶縁基板41の少なくとも一方の表面に接触している。これにより、発熱源である電力変換部品から第二の筐体20又は第三の筐体30への放熱部材60を介した放熱経路が形成される。配線器具2の高出力化、小型化に伴って装置の発熱密度は大きく増加しているが、放熱部材60を設けることにより、接触熱抵抗が低く放熱性に優れた放熱構造を形成できる。
【0023】
詳しくは後述するが、第二の筐体20および第三の筐体30の少なくとも一方の内面と、電力変換部品および絶縁基板41の少なくとも一方の表面とが、放熱部材60を介して、第二の筐体20と第三の筐体30が組み立てられる第一の組立方向Xに対向している。また、第二の筐体20および第三の筐体30の少なくとも一方の内面には、放熱部材60が接触する部分の少なくとも一部に、電力変換部品および絶縁基板41の少なくとも一方の方向に向かって突出した凸部28,38が形成されている。
【0024】
以下、
図3~
図5を適宜参照しながら、配線器具2の各構成要素について詳説する。
図4は、配線器具2の前後方向断面図である。
【0025】
[第一の基板]
図3および
図4に示すように、第一の基板40は、第二の筐体20と第三の筐体30が組み立てられる第一の組立方向Xに対して基板表面が垂直となるように、第二の筐体20と第三の筐体30に囲まれた内部空間72に配置されている。つまり、絶縁基板41の表面の略法線方向が第一の組立方向X(上下方向)であり、第一の基板40は、絶縁基板41の表面が左右方向および前後方向に沿うように配置されている。ここで、略法線方向とは、実質的に法線方向と認識される方向を意味し、例えば、法線から5°程度傾いた範囲を含む。詳しくは後述するが、第一の基板40は、第二の筐体20と第三の筐体30により上下方向両側から挟まれ、各筐体の内面に押圧された状態で内部空間72に配置されている。
【0026】
第一の基板40は、絶縁基板41上に配置された電子部品を含むプリント配線基板である。第一の基板40は、系統電源から供給される交流電力を直流電流に変換して、第二の基板50の端子52に出力するための電源回路を含む。電源回路は、絶縁基板41の表面および内部に形成された配線により、電力変換部品が電気的に接続されて構成されている。第一の基板40には、系統電源に接続される端子が設けられ、また第二の筐体20および第三の筐体30の少なくとも一方には、系統電源につながるケーブルの挿通孔が形成される(いずれも図示せず)。
【0027】
第一の基板40は、電源回路を構成する広義の電力変換部品として、半導体素子42、トランス43、コモンモードコイル44、電解コンデンサ45等を含む。半導体素子42としては、例えば、スイッチング素子、ダイオード、トランジスタ等が含まれる。電源回路の作動時において、電力変換部品の一部が発熱するが、特に、半導体素子42とトランス43の発熱量が大きい。このため、半導体素子42およびトランス43から発生する熱を放熱部材60、第二の筐体20、および第三の筐体30を介して装置外部に放熱する必要がある。本実施形態では、半導体素子42とトランス43の表面に放熱部材60が配置されている。
【0028】
電子部品の作動時の発熱量は、電解コンデンサ45<コモンモードコイル44<半導体素子42、トランス43である。最大出力/容積として定義される配線器具2の発熱密度は、例えば、0.40W/cc以上であり、又は0.70W/cc以上であってもよい。本実施形態の放熱構造によれば、配線器具2の発熱密度が高い場合であっても、優れた放熱性を発揮できる。
【0029】
第一の基板40に搭載される電子部品には、第一の電子部品と、第一の電子部品よりも耐熱性が低い第二の電子部品とが含まれる。ここで、耐熱性が低いとは、例えば、正常に動作可能な温度範囲を示す作動保証温度(性能保証温度)の上限が低いことが挙げられる。一例としては、第一の電子部品の作動保証温度が150℃以下であり、第二の電子部品の作動保証温度が100℃以下である。
【0030】
第一の電子部品は、第二の電子部品と比較して発熱量が大きな電子部品であって、具体例としては半導体素子42、トランス43等が挙げられる。第二の電子部品の具体例としては、電解コンデンサ45等が挙げられる。コモンモードコイル44は、例えば、半導体素子42、トランス43と比べて発熱量は小さいが、作動保証温度は半導体素子42と同等であり、第一の電子部品に分類される。第一の電子部品と第二の電子部品との間には、遮熱部材80(後述の
図7参照)が設けられてもよい。
【0031】
本実施形態では、トランス43、コモンモードコイル44、および電解コンデンサ45が絶縁基板41の第一の面41a上に配置され、複数の半導体素子42が絶縁基板41の第二の面41b上に配置されているが、各電子部品の配置はこれに限定されない。第一の基板40には、基板を厚み方向に貫通して、第一の面41a上の配線と、第二の面41b上の配線とを接続するビア46(後述の
図6参照)が形成されていてもよい。
【0032】
[第二の基板]
第二の基板50は、絶縁基板51上に配置された端子52を含むプリント配線基板であって、第一の筐体10の内部空間72に配置されている。第二の基板50は、第一の基板40と電気的に接続され、第一の基板40の電源回路で変換された直流電力を端子52から出力するための出力回路を含む。本実施形態では、第二の基板50が第一の基板40に対して垂直に配置されている。即ち、絶縁基板51の表面が第一の基板40の絶縁基板41の表面の法線方向に沿った状態である。第一の基板40と第二の基板50は、例えば、突起と、突起が挿入される開口部とを有し、互いに固定されていてもよい。
【0033】
第二の基板50には、第一の基板40と反対の方向(前方)を向いた絶縁基板51の前面に、端子52、電解コンデンサ53等の電子部品が配置されている。本実施形態において、端子52の数は1つであるが、端子52の数は特に限定されず、2つ以上とすることも可能である。なお、第二の基板50には、第一の基板40の電力変換部品のように発熱量が大きな電子部品は搭載されていない。即ち、作動時における発熱量は、第一の基板40>第二の基板50となっている。
【0034】
端子52は、例えば、絶縁基板51の前面の中央部に配置される。端子52は、USBコネクタ102を接続可能なUSB端子であって、全体として扁平な筒状に形成されている。なお、USB端子のタイプは特に限定されない。端子52は、第一の筐体10に形成された接続口2bを介してUSBコネクタ102を挿抜可能な状態で配置されている。本実施形態では、第二の筐体20および第三の筐体30に対して第一の筐体10が組み立てられる第二の組立方向Y(前後方向)に沿ってUSBコネクタ102が挿抜可能な状態で端子52が設けられている。
【0035】
[第一の筐体]
第一の筐体10は、端子52の電力出力側端部に位置する筐体であって、第二の基板50を収容している。上記のように、接続口2bが形成された第一の筐体10の表面が、コンセント1の前面に露出する配線器具2の前面2aとなる。接続口2bは、左右方向に延びた長孔であって、配線器具2の前方を向いた第一の筐体10の表面において左右方向および上下方向の中央部に形成されている。第一の筐体10は、正面視略矩形形状を有し、左右方向の長さが上下方向の長さよりも長くなっている。第一の筐体10は、左右方向の両端部が、前面2aとなる左右方向の中央部分よりも凹んだ形状を有し、この凹んだ部分にコンセント1の取付枠に嵌合する突起11が形成されている。
【0036】
第一の筐体10は、金属製であってもよいが、好ましくは樹脂製である。第一の筐体10の前面2aはユーザが触れることができる部分であるため、第一の筐体10は、第一の基板40からの熱が伝わり難い樹脂材料で構成されることが好ましい。第一の筐体10を構成する樹脂は、特に限定されないが、一例としては、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ABS樹脂等が挙げられる。
【0037】
第一の筐体10は、配線器具2の前面2aを形成する第一部材10aと、第一部材10aが連結される第二部材10bとを含む2つ以上の部材で構成されていてもよい。第二部材10bは、第二の基板50を収容する内部空間72を形成する。第一部材10aは、第二部材10bの前面を覆うカバーである。第二部材10bが断熱性に優れた樹脂製部材である場合、第一部材10aに金属製部材を用いてもよい。或いは、第二部材10bに金属製部材を用い、第一部材10aに樹脂製部材を用いてもよい。
【0038】
第一の筐体10(第二部材10b)は、スナップフィット構造70を構成する固定片12を有する。固定片12は、第一の筐体10の左右両端部から後方に延出した板状部分であって、左右両端部に1つずつ形成されている。左右の固定片12は、互いに同じ形状、同じ大きさを有し、第二の筐体20および第三の筐体30を左右両側から挟持するように形成されている。固定片12は、第二の筐体20および第三の筐体30の外面20b,30bに当接し、材料の弾性を利用して外面20b,30bを左右から押圧する。各固定片12には、外面20b,30bの突起25、35がそれぞれ嵌合する2つの開口部13が形成されている。
【0039】
第一の筐体10が、第二の筐体20および第三の筐体30に組み付けられる第二の組立方向Yは、第一の組立方向Xの略法線方向である。例えば、第二の基板50が固定された第一の基板40を、第二の筐体20と第三の筐体30に囲まれた内部空間72に収容した後、スナップフィット構造70により第一の筐体10が第二の組立方向Yに組み付けられる。
【0040】
[第二の筐体および第三の筐体]
第二の筐体20および第三の筐体30は、電力変換部品が搭載された第一の基板40を収容する筐体であって、第一の筐体10と異なり、コンセント1の前面には露出しない。第一の基板40の一部は第一の筐体10の内部空間72に配置されていてもよいが、発熱量が大きい半導体素子42、トランス43等は、第二の筐体20および第三の筐体30の内部空間72のみに配置されることが好ましい。配線器具2は、第一の基板40の電力変換部品から発生した熱が、第一の筐体10に伝わり難い構造を有し、他方、第二の筐体20と第三の筐体30には効率良く伝達される。
【0041】
第二の筐体20および第三の筐体30は、樹脂製であってもよいが、好ましくは金属製である。第二の筐体20と第三の筐体30は、発熱源から伝達された熱を効率良く装置外部に放熱するために、熱伝導率が高い金属材料で構成されることが好ましい。第二の筐体20と第三の筐体30を構成する金属は、特に限定されないが、熱伝導性、軽量性、加工性等の観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。第二の筐体20と第三の筐体30は、第一の基板40を挟むように対向配置されて第一の方向Xに組み立てられることにより、有底角筒状に形成される。
【0042】
第二の筐体20は、第一の基板40の絶縁基板41と実質的に平行に配置される主壁21と、主壁21の端部に設けられた側壁22,23,24とを含む。主壁21は矩形形状を有し、側壁22,23,24は主壁21の三辺に沿ってそれぞれ形成されている。側壁22,23,24は、主壁21よりも小さな矩形形状の壁であって、例えば、主壁21に対して垂直に形成され、互いに同じ高さを有する。主壁21および側壁22,23,24は、第二の筐体20と第三の筐体30が組み立てられてなる有底角筒体の筒壁を形成する。
【0043】
第三の筐体30は、第二の筐体20と同様の外観形状を有する。第三の筐体30は、第一の基板40の絶縁基板41と実質的に平行に配置される主壁31と、主壁31の端部に設けられた側壁32,33,34とを含む。主壁31は、第二の筐体20の主壁21と実質的に同じ大きさを有し、主壁21と平行に配置される。側壁32,33,34は、主壁31の三辺に沿ってそれぞれ形成されている。側壁32,33,34は、例えば、主壁31に対して垂直に形成され、互いに同じ高さを有する。
【0044】
第二の筐体20と第三の筐体30からなる有底角筒体は、第一の基板40を収容する有底角筒状のケースであって、主壁21,31同士が互いに平行に配置され、各筐体の側壁同士を突き合わせて形成されている。主壁21,31はそれぞれ単独で当該ケースの筒壁を形成し、側壁23と側壁33、および側壁24と側壁34は、それぞれ突き合わされて筒壁を形成する。また、側壁22と側壁32は、突き合わされて当該ケースの底部を形成する。主壁21,31の第一の筐体10側の前端部には側壁が存在しないため、当該ケースの前端部には開口部が形成される。なお、各筐体の側壁には、互いに係合する突起と溝のような嵌合構造が形成されていてもよい。
【0045】
第二の筐体20の側壁22には、ネジ71を通す貫通孔27が形成されている。また、第三の筐体30の側壁32の内面には、第二の筐体20の内部まで延びたリブ37が形成されている。リブ37は、ネジ71が締結されるネジ孔を有する。第二の筐体20と第三の筐体30は、スナップフィット構造70により前端部同士は固定されるが、スナップフィット構造70だけでは後端部が開く場合がある。このため、本実施形態では、側壁22の貫通孔27に挿入されて、リブ37のネジ孔に締結されるネジ71を用いて、第二の筐体20と第三の筐体30の後端部同士が互いに固定されている。
【0046】
第二の筐体20の側壁23,24は、主壁21の左右両端部にそれぞれ配置され、スナップフィット構造70を構成する突起25を有する。突起25は、側壁23,24の前端部の外面20bにおいて、それぞれ1つずつ形成されている。突起25は、扁平な四角柱形状を有するが、その形状は特に限定されず、固定片12の開口部13の縁に引っ掛かって筐体の連結状態を維持可能なものであればよい。また、側壁23,24の外面20bには、突起25を囲むように凹部26が形成されている。
【0047】
第三の筐体30の側壁33,34は、第二の筐体20の側壁23,24と同様に、主壁31の左右両端部にそれぞれ配置され、スナップフィット構造70を構成する突起35を有する。突起35は、側壁33,34の前端部の外面30bにおいて、それぞれ1つずつ形成されている。また、側壁33,34の外面30bには、突起35を囲むように凹部36が形成されている。第一の筐体10の固定片12が、第二の筐体20および第三の筐体30の凹部26,36に嵌り、固定片12の開口部13に突起25,35が嵌合することにより、3つの筐体の安定した連結状態が維持される。
【0048】
第二の筐体20および第三の筐体30の内面20a,30aには、上記のように、放熱部材60が接触している。そして、内面20a,30aには、放熱部材60が接触する部分の少なくとも一部に、第一の基板40を構成する電力変換部品および絶縁基板41の少なくとも一方の方向に向かって突出した凸部28,38が形成されている。凸部28,38は、例えば、放熱部材60とのより確実な接触状態を確保し、放熱部材60を効果的に圧縮して放熱経路の接触熱抵抗を低減する。凸部は、第二の筐体20および第三の筐体30の一方の内面だけに形成されてもよいが、本実施形態では両方の内面に形成されている。
【0049】
第二の筐体20の凸部28は、主壁21の内面20aに形成されている。凸部28は、主壁21の内面20aの一部が突出して周囲よりも内面20aの高さが高くなった部分であって、第三の筐体30および第一の基板40の方向に向かって突出している。主壁21の内面20aは、例えば、凸部28が形成された部分を除いて平坦である。凸部28が形成された部分では、第一の基板40を挟んで対向する第二の筐体20と第三の筐体30の内面同士の距離が、他の部分における当該距離より小さくなっている。本実施形態では、主壁21の内面20aだけに凸部28が形成されている。
【0050】
凸部28の高さ方向(突出方向)は、第二の筐体20と第三の筐体30が組み立てられる第一の組立方向Xである。即ち、凸部28と第一の基板40とが、放熱部材60を介して第一の組立方向Xに対向した状態となる。この場合、放熱経路の接触熱抵抗の低減効果がより顕著になる。また、凸部28の表面は、絶縁基板41の表面と実質的に平行である。
【0051】
凸部28の高さ(主壁21の内面20aの法線方向の長さ)は、特に限定されず、放熱部材60の厚みと同程度であってもよい。凸部28の高さは、例えば、放熱部材60の厚みの20%以上200%以下であり、一例としては0.3mm以上3mm以下である。凸部28が低過ぎると凸部28の効果が低下する一方、凸部28が高過ぎると内部空間72が小さくなるため、適切な高さの範囲で凸部28を形成することが好ましい。複数の凸部28が形成される場合、各凸部28の高さは、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。凸部38の高さは、凸部28の場合と同様に決定され、凸部28の高さと同じであってもよい。
【0052】
本実施形態では、主壁21の内面20aに2つの凸部28a,28bが形成されている。凸部28aは主壁21の後方左側に形成され、凸部28bは主壁21の前方右側に形成されている。凸部28a,28bはいずれも、放熱部材60を介して、第一の基板40の電力変換部品である半導体素子42と対向している。即ち、凸部28a,28bは、放熱部材60および半導体素子42と第一の組立方向Xに重なり、放熱部材60を介して半導体素子42と熱的に接触している。これにより、半導体素子42から放熱部材60および凸部28を介して第二の筐体20の外面20bにわたる低抵抗な放熱経路が形成される。
【0053】
凸部28a,28bは、平面視矩形形状を有するが、その平面視形状は特に限定されない。凸部28a,28bは、放熱部材60の全体と第一の組立方向Xに重なる面積で形成されることが好ましい。このため、凸部28は、接触する放熱部材60よりも大きな面積を有し、放熱部材60は、凸部28から食み出さないように配置される。例えば、第一の基板40の発熱源のレイアウトに合わせて、凸部28の大きさと位置が決定される。第一の基板40の方向を向いた凸部28aの表面は、その全域が平坦である。他方、凸部28bの表面には、凹部29が形成されている。
【0054】
凹部29は、周囲よりも凹んだ部分であって、放熱部材60を保持する保持部として機能する。凹部29内の表面は平坦であるが、その周囲の表面よりも低くなっている。但し、凹部29の表面の高さは、凸部28の周囲の内面20aの高さよりも高いことが好ましい。凹部29の深さは、例えば、凸部28の高さの20%以上80%以下、又は30%以上70%以下である。放熱部材60は、凹部29内に収容される。この場合、例えば、放熱部材60の位置決めが容易であり、また放熱部材60の位置ずれを効果的に抑制できる。
【0055】
なお、凸部28に形成される保持部は、放熱部材60を保持できる構造であればよく、例えば、放熱部材60の四隅だけを保持する壁であってもよい。本実施形態では、凸部28bのみに凹部29が形成されているが、全ての凸部に保持部が形成されてもよい。また、第二の筐体20は全体が金属材料で構成されているが、凸部28が形成された部分だけが金属材料で構成されてもよい(第三の筐体30についても同様)。
【0056】
第三の筐体30の凸部38は、主壁31の内面30aに形成されている。凸部38は、第二の筐体20の凸部28と同様に、主壁31の内面30aの一部が突出して周囲よりも内面30aの高さが高くなった部分であって、第二の筐体20および第一の基板40の方向に向かって突出している。主壁31の内面30aは、例えば、凸部28が形成された部分を除いて平坦である。凸部38は、その高さ方向が第一の組立方向Xであり、放熱部材60を介して第一の基板40と第一の組立方向Xに対向している。
【0057】
凸部38は、放熱部材60を介して第一の基板40のトランス43と対向している。凸部38は、放熱部材60およびトランス43と第一の組立方向Xに重なり、放熱部材60を介してトランス43と熱的に接触している。これにより、トランス43から放熱部材60および凸部38を介して第三の筐体30の外面3bにわたる低抵抗な放熱経路が形成される。凸部38は、接触する放熱部材60よりも大きな面積を有し、放熱部材60は、凸部38から食み出さないように配置される。
【0058】
凸部38は、主壁31の内面30aの前方において、第二の筐体20の凸部28a,28bよりも大きく形成されている。トランス43に接する放熱部材60は、半導体素子42に接する放熱部材60よりも大きいため、凸部38も放熱部材60に合わせて大きく形成される。また、凸部38は、第一の組立方向Xに凸部28bと重なり、凸部28bと共に第一の組立方向Xの両側から第一の基板40を挟んでいる。本実施形態において、凸部38は1つであるが、2つ以上形成されてもよい。また、第一の基板40の方向を向いた凸部38の表面はその全域が平坦であるが、凸部38には、凹部29のような放熱部材60の保持部が形成されてもよい。
【0059】
凸部38が形成された部分では、第一の基板40を挟んで対向する第二の筐体20と第三の筐体30の内面同士の距離が、他の部分における当該距離より小さくなっている。本実施形態では、凸部38が第一の組立方向X(上下方向)に凸部28bと重なるため、凸部38が形成された部分では、内部空間72の上下方向長さが特に小さくなり、放熱部材60が強く圧縮される。また、凸部38の表面は、凸部28と同様に、絶縁基板41の表面と実質的に平行である。
【0060】
[放熱部材]
放熱部材60は、上記のように、第二の筐体20および第三の筐体30の内面20a,30aと、第一の基板40を構成する電力変換部品および絶縁基板41の少なくとも一方との間に介在している。本実施形態において、放熱部材60は複数設けられ、各放熱部材60は、第二の筐体20の内面20a又は第三の筐体30の内面30aに接触し、かつ半導体素子42又はトランス43の表面に接触している。放熱部材60は、放熱経路の一部を構成し、放熱経路の接触熱抵抗を効果的に低減する。
【0061】
放熱部材60は、第一の組立方向Xに圧縮された状態で配置されることが好ましい。この場合、接触熱抵抗の低減効果がより顕著になる。放熱部材60の圧縮の程度(圧縮率)は、特に限定されないが、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、特に好ましくは30%以上である。圧縮率は、[(非圧縮状態の厚み-圧縮状態の厚み)×100/非圧縮状態の厚み]の式により算出される。圧縮率の上限は、例えば、90%である。放熱部材60は、第二の筐体20の凸部28又は第三の筐体30の凸部38により圧縮された状態で配置されている。
【0062】
放熱部材60は、一般的な樹脂よりも熱伝導率が高く、かつ圧縮可能な弾性体であることが好ましい。好適な放熱部材60の一例は、可撓性を有する樹脂と、樹脂中に分散した熱伝導性フィラーとで構成されたシートである。放熱部材60の厚みは、例えば、0.3mm以上2mm以下である。放熱部材60の大きさは発熱源の大きさ等に応じて適宜変更できる。放熱部材60は、粘着性を有していてもよく、筐体内面、電力変換部品の表面等に貼着可能であってもよい。この場合、放熱部材60の配置が容易になる。或いは、接着剤、粘着テープ等を用いて、筐体内面、電力変換部品の表面等に放熱部材60を貼着してもよい。
【0063】
放熱部材60を構成する樹脂は、弾性変形可能な可撓性を有する材料であればよく、一例としては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。樹脂中に分散される熱伝導性フィラーは、絶縁性で熱伝導率が高いフィラーであることが好ましく、一例としては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等が挙げられる。なお、放熱部材60には従来公知の部材を適用できる。
【0064】
本実施形態では、第二の筐体20および第三の筐体30の内面20a,30aと、電力変換部品の表面とが、放熱部材60を介して第一の組立方向Xに対向し、各放熱部材60が内面20a又は内面30bと、電力変換部品の表面とに強く密着している。放熱部材60は、筐体の組み立て時に第一の組立方向Xに押圧される。その結果、放熱部材60が圧縮されて、筐体と電力変換部品に強く密着し、低抵抗な放熱経路が形成される。また、発熱源は絶縁基板41の表面に配置されることから、絶縁基板41の法線方向が第一の組立方向Xと一致するように第一の基板40を配置することで放熱経路の接触熱抵抗をより効果的に低減できる。さらに、凸部28,38の機能により、接触熱抵抗の低減効果が顕著になる。
【0065】
図5は、本実施形態の放熱経路について説明するための図であって、発熱源として第一の基板40の半導体素子42を示している。
図5(a)が本実施形態の放熱経路を示す。なお、
図5(a)に示す放熱部材60は、非圧縮状態において、
図5(b)に示す放熱部材60と同じ厚みを有し、
図5(c)に示す放熱部材60は、他の放熱部材60と比べて厚みが薄いものとする。
【0066】
図5(a)に示すように、放熱部材60は、半導体素子42の表面に接触し、かつ第二の筐体20の凸部28の表面に接触している。さらに、放熱部材60は、凸部28により圧縮され、凸部28および半導体素子42により第一の組立方向Xの両側から挟まれた状態で配置されている。この場合、熱伝導性フィラー同士が強く接触して放熱部材60内で良好な熱伝導経路が形成される。さらに、圧縮された放熱部材60が元の形状に戻ろうとする復元力により、放熱部材60は凸部28および半導体素子42に強く密着する。これにより、半導体素子42から放熱部材60および凸部28を介して第二の筐体20の外面20bにわたる低抵抗な放熱経路が形成される。
【0067】
図5(c)に示す例では、放熱部材60が第二の筐体20の内面20aに接触しておらず、放熱部材60と第二の筐体20との間に空気層Sが存在している。大きな空気層Sが存在すると放熱性が大きく低下する。このため、大きな空気層Sが形成されないように、第二の筐体20の内面20aおよび半導体素子42の表面に放熱部材60を接触させることが好ましい。
【0068】
図5(b)に示す例は、放熱部材60が第二の筐体20および半導体素子42の両方に接触し、第一の組立方向Xの両側から第二の筐体20および半導体素子42により挟まれた状態で配置されている点で、本実施形態と共通する。一方、
図5(b)に示す例では、第二の筐体20の内面20aに凸部28が存在せず、放熱部材60が圧縮されていないか、圧縮の程度が小さい点で、本実施形態と異なる。この場合、
図5(a)に示す放熱経路と比較すると、接触熱抵抗が上昇して放熱性は低下する。
【0069】
配線器具2の製造工程では、例えば、放熱部材60を電力変換部品の表面に貼着した後、第一の基板40を第二の筐体20の内部に配置した状態で、第三の筐体30を第二の筐体20に組み付ける。なお、第三の筐体30の内部に第一の基板40を配置して第二の筐体20を組み付けてもよく、第二の筐体20および第三の筐体30の内面20a,30a(凸部28,38の表面)に放熱部材60を配置してもよい。いずれの場合も、放熱部材60は、第二の筐体20と第三の筐体30の組み立て時に、各筐体の凸部28,38と電力変換部品とに挟まれて第一の組立方向Xに圧縮され、低抵抗な放熱経路が形成される。第二の筐体20と第三の筐体30を組み立てた後、スナップフィット構造70により第一の筐体10を組み付けることにより配線器具2が得られる。
【0070】
図6は、放熱経路の変形例を示す図である。
図6に示すように、放熱部材60は、絶縁基板41の表面に直接配置されてもよい。第一の基板40は、絶縁基板41を厚み方向に貫通し、半導体素子42等の電力変換部品に接続されるビア46を有する。そして、放熱部材60は、半導体素子42が配置された絶縁基板41の第二の面41bと反対側の第一の面41aにおいて、ビア46と接触した状態で配置されている。この場合、ビア46を介して半導体素子42の熱が放熱部材60に伝達されるため、良好な放熱経路が形成される。
【0071】
図6に示す例では、半導体素子42と放熱部材60が、絶縁基板41の厚み方向に重なるように配置されている。この場合、半導体素子42の熱が放熱部材60に伝達され易い。ビア46は、絶縁基板41の第一の面41aに形成される配線と、第二の面41bに接続される配線とを電気的に接続する導電経路であるが、
図6に例示する形態では、さらに放熱経路として機能している。なお、ビア46と接触する放熱部材60を設けると共に、半導体素子42の表面に追加の放熱部材60を設けてもよい。
【0072】
図7は、配線器具2の遮熱構造の一例を示す図である。
図7に示すように、トランス43と電解コンデンサ45の間に遮熱部材80を設けてもよい。第一の基板40には、上記の通り、半導体素子42、トランス43、コモンモードコイル44等の発熱量が大きな第一の電子部品と、第一の電子部品と比較して作動保証温度が低い第二の電子部品とが搭載されている。トランス43は第一の電子部品に分類され、電解コンデンサ45は第二の電子部品に分類される。遮熱部材80を設けることにより、第一の電子部品から放射される熱が第二の電子部品に影響することを抑制できる。遮熱部材80は、トランス43と電解コンデンサ45との間を遮るように配置される第一の隔壁81を有する。
【0073】
遮熱部材80は、熱伝導性の低い材料で構成されることが好ましい。好適な遮熱部材80の一例としては、樹脂製のシート又は板状部材であって、多数の気泡を含むものであってもよい。遮熱部材80は、例えば、ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム、フェノールフォーム等の発泡材料、或いはセルロースファイバー等の繊維材料で構成されてもよい。
【0074】
遮熱部材80は、第一の隔壁81に加えて、コモンモードコイル44と電解コンデンサ45の間に配置される第二の隔壁82、および2つの電解コンデンサ45の間に配置される第三の隔壁83を有していてもよい。電解コンデンサ45は第二の電子部品に分類され、半導体素子42のように高温にはならないが作動時に発熱するため、互いの熱影響を抑制するために第三の隔壁83を設けることは好ましい。第一の隔壁81、第二の隔壁82、および第三の隔壁83は、別々の部材であってもよいが、遮熱部材80は、これらの隔壁を一体化する基部84を有している。
【0075】
遮熱部材80は、例えば、平面視矩形形状のシート状又は板状の部分である基部84に対して、第一の隔壁81、第二の隔壁82、および第三の隔壁83が実質的に垂直に形成されている。基部84は、第三の筐体30の主壁31の内面30aに沿って配置され、主壁31の内面30aに接合されていてもよい。基部84は、さらに、第二の隔壁82および第三の隔壁83と平行に延び、第二の筐体20の側壁24および第三の筐体30の側壁34に接触又は接合する部分を有していてもよい。
【0076】
第一の隔壁81は、筐体の内部空間72を装置の前方と後方に区画するように配置されている。第一の隔壁81は、トランス43と、2つの電解コンデンサ45およびコモンモードコイル44との間を遮るように、左右方向および上下方向に沿って配置されている。第二の隔壁82および第三の隔壁83は、第一の隔壁81および基部84に対して実質的に垂直に形成される。3つの隔壁は、例えば、主壁31の内面30aから絶縁基板41の表面近傍にわたる上下方向長さを有する。
【0077】
以上のように、上記構成を備えた配線器具2は、接触熱抵抗が大きく低減された放熱経路を備える。このため、装置の発熱密度が高い場合でも、半導体素子42、トランス43等の電力変換部品から発生する熱を効果的に放熱できる。また、遮熱部材80を設けることにより、電解コンデンサ45等の作動保証温度が低い電子部品に対する熱影響を効果的に抑制できる。
【0078】
[第二の実施形態]
図8を参照しながら、第二の実施形態である配線器具2Aについて説明する。
図8は、配線器具2Aの分解斜視図である。以下では、第一の実施形態と共通する構成については同じ符号を用いて重複する説明を省略し、主に第一の実施形態との相違点を説明する。
【0079】
図8に示すように、配線器具2Aは、左右方向に分割された第二の筐体20Aおよび第三の筐体30Aを備える点で、第一の実施形態の配線器具2と異なる。そして、第二の筐体20Aと第三の筐体30Aが組み立てられる第一の組立方向Xが左右方向であり、第一の基板40を構成する絶縁基板41の表面と略平行な方向となっている。この場合、筐体の組み立て時の押圧力は、絶縁基板41の表面と略平行な方向に作用し、法線方向には作用しない。
【0080】
配線器具2Aでは、第二の筐体20Aの内面20aと、絶縁基板41の第一の面41a上に配置されたトランス43の表面とが、放熱部材60を介して、第一の組立方向X(左右方向)に対向している。また、第三の筐体30Aの内面30aも、放熱部材60を介してトランス43の表面と第一の組立方向Xに対向している。この場合、第二の筐体20Aと第三の筐体30Aの組み立て時に、放熱部材60が筐体の内面20a,30aおよびトランス43の表面に強く押し付けられ、低抵抗な放熱経路が形成される。なお、第二の筐体20Aおよび第三の筐体30Aの内面20a,30aには、トランス43の方向に向かって突出し、放熱部材60を圧縮する凸部28,38がそれぞれ形成されている。
【0081】
配線器具2Aにおいて、放熱部材60が接触するトランス43の表面は、絶縁基板41に対して垂直な面(絶縁基板41の法線方向に沿った面)である。絶縁基板41の法線方向は第一の組立方向Xと直交する方向であり、絶縁基板41の表面と平行に放熱部材60を配置しても筐体組み立て時の押圧力は放熱部材60に作用しないため、絶縁基板41の表面と平行に配置されるような放熱部材60は設けられていない。配線器具2Aでは、絶縁基板41の法線方向に沿った長さが小さい半導体素子42に放熱部材60は設けられていないが、半導体素子42の表面に接触する放熱部材60を設けてもよい。
【0082】
第二の筐体20Aの外面20bには、スナップフィット構造70Aを構成する突起25と凹部26がそれぞれ形成されている点で、配線器具2と共通する。なお、第三の筐体30Aの外面30bにも、スナップフィット構造70Aを構成する突起と凹部がそれぞれ形成されている。一方、第二の筐体20Aには上下方向に並ぶ2つの突起25が形成され、各突起25は第一の筐体10の1つの固定片12に形成された2つの開口部13にそれぞれ嵌合する(第三の筐体30Bについても同様)。なお、本実施形態では、左右の固定片12の開口部13および突起25がそれぞれ1つずつであってもよい。
【0083】
第二の筐体20Aの凸部28は、スナップフィット構造70Aの嵌合部と第二の筐体20Aの厚み方向に重なる位置に形成されている。スナップフィット構造70Aの嵌合部は、第一の筐体10の固定片12および第二の筐体20Aの突起25により構成され、例えば、固定片12と第一の組立方向Xに重なる位置に凸部28が形成される。この場合、固定片12による押圧力が凸部28に作用し、凸部28の効果がより顕著になる。第三の筐体30についても同様に、凸部38は、スナップフィット構造70Aの嵌合部と第三の筐体30の厚み方向に重なる位置に形成されている。
【0084】
[第三の実施形態]
図9を参照しながら、第三の実施形態である配線器具2Bについて詳細に説明する。
図9は、配線器具2Bの分解斜視図である。
【0085】
図9に示すように、配線器具2Bは、筐体として、第一の筐体110と第二の筐体120の2つだけを備える点で、第一および第二の実施形態の配線器具2,2Aと異なる。第一の筐体110は、第二の基板50を収容する部分と、第二の筐体120と共に第一の基板40を収容する部分とを含む。第一の筐体110は、第一の実施形態の第一の筐体10と、第二の筐体20(又は第三の筐体30)とが一体化されたような構造を有する。第二の筐体120は、金属製であることが好ましい。
【0086】
第一の筐体110は、接続口2bを有し、コンセント1の前面2aを形成する部分を含むため、樹脂で構成されてもよい。他方、第一の筐体110は、第一の基板40を収容して放熱部材として機能する部分を含むため、金属材料で構成されてもよく、放熱部材として機能する部分だけが金属材料で構成されてもよい。本実施形態では、第一の筐体110が、コンセント1の前面2aを形成する第一部材110aと、第一部材110aが連結される第二部材110bとを含み、第一部材110aが樹脂材料で構成され、第二部材110bが金属材料で構成されている。
【0087】
配線器具2Bは、第二の筐体120の内面120aと、半導体素子42とが、放熱部材60を介して、第一の筐体110と第二の筐体120とが組み立てられる第一の組立方向X(上下方向)に対向している点で、配線器具2と共通する。即ち、第一の組立方向Xが絶縁基板41の表面の略法線方向となっている。また、第一の筐体110の内面110aと、トランス43とが、放熱部材60を介して第一の組立方向Xに対向している。第一の筐体110と第二の筐体120は、放熱部材60を介して、絶縁基板41を厚み方向両側から押圧するように組み立てられる。
【0088】
第一の筐体110は、絶縁基板41と実質的に平行に配置される主壁111と、主壁111の左右両端部にそれぞれ立設した側壁112,113とを有する。主壁111の内面110aには、放熱部材60を圧縮する凸部114が形成されている。凸部114は、トランス43と対向する位置に配置され、その表面は絶縁基板41の表面と実質的に平行である。第二の筐体120は、絶縁基板41と実質的に平行に配置される主壁121と、主壁121の左右両端部にそれぞれ立設した側壁122,123とを有する。主壁121の内面120aにも、半導体素子42と対向する位置に、放熱部材60を圧縮する凸部(図示せず)が形成されていることが好ましい。
【0089】
第一の筐体110と第二の筐体120は、スナップフィット構造70Bにより互いに固定される。スナップフィット構造70Bは、第一および第二の実施形態の場合と同様に、第一の筐体110に形成された固定片115と、固定片115の開口部116に嵌る、第二の筐体120に形成された突起124とで構成される。固定片115はそれぞれ1つの開口部116を有し、第一の筐体110の前後の左右4箇所において、側壁112,113から第二の筐体120の外面120bに沿うように延出している。突起124は、側壁122,123の外面120bにおいて、前後の左右4箇所に形成されている。
【0090】
[第四の実施形態]
図10および
図11を参照しながら、第四の実施形態である配線器具2Cについて詳細に説明する。
図10は配線器具2Cの分解斜視図、
図11は配線器具2Cの左右方向断面図である。
【0091】
図10に示すように、配線器具2Cは、筐体として、第一の筐体150と第二の筐体160の2つだけを備える点で、第三の実施形態の配線器具2Bと共通する。第一の筐体150は、第二の基板50を収容する部分と、第二の筐体160と共に第一の基板40を収容する部分とを含む。第一の筐体150は、コンセント1の前面2aを形成する第一部材150aと、第一部材150aが連結される第二部材150bとを含み、第一部材150aが樹脂材料で構成され、第二部材150bが金属材料で構成されている。第二の筐体160は、全体が金属材料で構成されている。
【0092】
第一の筐体150は、絶縁基板41と実質的に平行に配置される主壁151と、主壁151の左側端部に立設した側壁152とを有する。なお、主壁151の後端部および右側端部には側壁が形成されていない。第二の筐体160は、絶縁基板41と実質的に平行に配置される主壁161と、主壁161の後端部および右側端部にそれぞれ立設した側壁162,163とを有する。なお、主壁161の左側端部には側壁が形成されていない。
図11に示すように、配線器具2Cでは、第一の筐体150の側壁152が第二の筐体160の主壁161に接続され、第二の筐体160の側壁162,163が第一の筐体150の主壁151に接続されて、第一の基板40を収容する角筒状のケースが形成される。
【0093】
第一の筐体150および第二の筐体160は、上記のように、第一の組立方向X、および第一の組立方向Xに直交する第二の組立方向Yを含むように構成されている。第一の筐体150と第二の筐体160は、例えば、第一の組立方向Xおよび第二の組立方向Yのどちらの方向にも組み立てることができる。
図11に示す矢印αの方向に組み立てることもでき、この場合、第一の組立方向Xおよび第二の組立方向Yの両方向に、筐体の組み立て時の押圧力が作用する。
【0094】
配線器具2Cは、絶縁基板41の表面に沿うように配置され、半導体素子42、トランス43と上下方向に重なる放熱部材60aと、絶縁基板41の表面の法線方向に沿うように配置され、トランス43と左右方向に重なる放熱部材60bとを備える。放熱部材60aは、第一の組立方向Xに圧縮されて、第二の筐体160の主壁161の内面160aと半導体素子42の表面とに密着し、また第一の筐体150の主壁151の内面151aとトランス43の表面とに密着する。主壁151,161の内面151a,160aには、凸部155,165がそれぞれ形成され、放熱部材60aの圧縮率を高めている。
【0095】
配線器具2Cでは、第二の組立方向Yにも筐体の組み立て時の押圧力が作用するため、放熱部材60bは、第二の組立方向Yに圧縮されて、第二の筐体160の側壁163の内面160aとトランス43の表面とに密着する。なお、第一の筐体150の側壁152とトランス43との間に放熱部材を配置してもよく、側壁163の内面160aに、放熱部材60bを圧縮する凸部を設けてもよい。第一の筐体150と第二の筐体160はネジを用いて互いに固定されてもよく、その固定構造は、第一の組立方向Xおよび第二の組立方向Yの両方向に、筐体の組み立て時の押圧力が作用するような構造であればよい。
【0096】
なお、上記各実施形態は、本開示の目的を損なわない範囲で適宜設計変更できる。例えば、第四の実施形態の筐体は、第一および第二の実施形態と同様に、3つの筐体で構成されてもよい。具体的には、第一の筐体150の第二の基板50を収容する部分と、第二の筐体160と共に第一の基板40を収容する部分とが別の筐体で構成されていてもよい。上記の通り、本開示の配線器具は、複数の実施形態および変形例の各構成要素を選択的に組み合わせてなる形態であってもよい。
【0097】
上記で説明した本開示の構成は、以下の通りである。
(構成1)
交流電力を直流電力に変換する電力変換部品を含む電子部品が搭載された基板と、
前記直流電力を出力する端子と、
前記端子および前記基板を囲む筐体と、
前記筐体の内面と、前記電力変換部品および前記基板の少なくとも一方との間に配置され、当該内面に接触する放熱部材と、
を備え、
前記筐体の内面には、前記放熱部材が接触する部分の少なくとも一部に、前記電力変換部品および前記基板の少なくとも一方の方向に向かって突出した凸部が形成されている、直流電力を供給する配線器具。
(構成2)
前記放熱部材は、前記凸部により圧縮された状態で配置されている、構成1に記載の直流電力を供給する配線器具。
(構成3)
前記放熱部材は、可撓性を有する樹脂と、前記樹脂中に分散した熱伝導性フィラーとで構成されたシートである、構成1又は2に記載の直流電力を供給する配線器具。
(構成4)
前記凸部には、前記放熱部材を保持する保持部が形成されている、構成1~3のいずれか1つに記載の直流電力を供給する配線器具。
(構成5)
前記筐体は、第一の筐体および第二の筐体を含み、
前記凸部は、前記第一の筐体および前記第二の筐体の少なくとも一方の内面に形成され、
前記凸部と、前記電力変換部品および前記基板の少なくとも一方の表面とは、前記放熱部材を介して、前記第一の筐体および前記第二の筐体が組み立てられる第一の組立方向に対向している、構成1~4のいずれか1つに記載の直流電力を供給する配線器具。
(構成6)
前記筐体は、スナップフィット構造により互いに嵌合する第一の筐体および第二の筐体を含み、
前記凸部は、前記スナップフィット構造の嵌合部と前記筐体の厚み方向に重なる位置に形成されている、構成1~4のいずれか1つに記載の直流電力を供給する配線器具。
(構成7)
前記筐体は、第一の筐体、第二の筐体、および第三の筐体を含み、
前記第一の筐体は、第二の筐体および第三の筐体に対してスナップフィット構造により固定され、
前記凸部は、前記スナップフィット構造の嵌合部と前記筐体の厚み方向に重なる位置に形成されている、構成1~4のいずれか1つに記載の直流電力を供給する配線器具。
(構成8)
前記基板は、前記電力変換部品に接続されるビアを有し、
前記放熱部材は、前記基板の前記電力変換部品が配置された面と反対側の面において、前記ビアと接触した状態で配置されている、構成1~7のいずれか1つに記載の直流電力を供給する配線器具。
(構成9)
前記筐体の少なくとも前記凸部が形成された部分は、金属材料で構成されている、構成1~8のいずれか1つ項に記載の直流電力を供給する配線器具。
(構成10)
前記電子部品には、第一の電子部品と、前記第一の電子部品よりも耐熱性が低い第二の電子部品とが含まれ、
前記第一の電子部品と、前記第二の電子部品との間に、遮熱部が設けられている、構成1~9のいずれか1つに記載の直流電力を供給する配線器具。
【符号の説明】
【0098】
1 コンセント、2,2A,2B,2C 直流電力を供給する配線器具(配線器具)、2a,3a 前面、2b,3b接続口、3 電源コンセント装置、4 化粧プレート、4a 開口部、10,110,150 第一の筐体、10a,110a,150a 第一部材、10b,110b,150b 第二部材、11 突起、12,115 固定片、13,116 開口部、20,20A,120,160 第二の筐体、20a,30a,111a,120a,151a,160a 内面、20b,30b,120b 外面、21,31,111,121,151,161 主壁、22,23,24,32,33,34,112,113,122,123,152,162,163 側壁、25,35,124 突起、26,29,36 凹部、27 貫通孔、28,38,114,155,165 凸部、30,30A 第三の筐体、37 リブ、40 第一の基板、41,51 絶縁基板、41a 第一の面、41b 第二の面、42 半導体素子、43 トランス、44 コモンモードコイル、45,53 電解コンデンサ、50 第二の基板、52 端子、60,60a,60b 放熱部材、70,70A,70B スナップフィット構造、71 ネジ、72 内部空間、80 遮熱部材、81 第一の隔壁、82 第二の隔壁、83 第三の隔壁、84 基部、100 壁、101 電子機器、102 USBコネクタ、103 ケーブル