IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 積水化成品工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-パレット 図1
  • 特開-パレット 図2
  • 特開-パレット 図3
  • 特開-パレット 図4
  • 特開-パレット 図5
  • 特開-パレット 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142070
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】パレット
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/24 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B65D19/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054051
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田島 一雄
(72)【発明者】
【氏名】櫛間 信彦
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA03
3E063BA06
3E063CA01
3E063EE01
3E063EE11
(57)【要約】
【課題】梱包物を載置した状態で、フォークリフトの爪部が挿入される挿入溝の壁面からの損傷を抑えることができるパレットを提供することにある。
【解決手段】パレット10は、梱包物Pを載置する載置面10aが形成された天板部11と、天板部11の両縁に沿って形成され、天板部11を支持する一対の側脚部12、12と、側脚部12との間において、フォークリフトFの爪部Tが挿入される挿入溝15が形成されるように、天板部11に形成された中央脚部13と、を備えている。挿入溝15の壁面15aには、挿入溝15が延在する延在方向と交差する方向に沿って、複数のリブ17、17が、形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱包物を載置した状態で、前記梱包物をフォークリフトで搬送するパレットであって、
前記パレットは、
前記梱包物を載置する載置面が形成された天板部と、
前記天板部の両縁に沿って形成され、前記天板部を支持する一対の側脚部と、
前記側脚部との間において、前記フォークリフトの爪部が挿入される挿入溝が形成されるように、前記天板部に形成された中央脚部と、
を備えており、
前記挿入溝の壁面には、前記挿入溝が延在する延在方向と交差する方向に沿って、複数のリブが形成されていることを特徴とするパレット。
【請求項2】
前記天板部のうち、前記挿入溝の壁面を形成する天壁部分のうち、前記側脚部寄りの部分の厚さは、前記中央脚部寄りの部分の厚さに比べて厚いことを特徴とする請求項1に記載のパレット。
【請求項3】
前記挿入溝は、前記挿入溝の溝底面から曲率半径R1を有して前記側脚部側へ立ち上がり、また、前記溝底面から曲率半径R2を有して前記中央脚部側へ立ち上がり、前記曲率半径R1は前記曲率半径R2よりも大きく形成されていることを特徴とする請求項1に記載のパレット。
【請求項4】
前記天板部の裏面からの前記中央脚部の高さは、前記天板部の裏面からの前記側脚部の高さよりも低いことを特徴とする請求項1に記載のパレット。
【請求項5】
前記載置面から前記中央脚部に向かって凹んだ凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のパレット。
【請求項6】
前記載置面から前記中央脚部まで貫通した貫通部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のパレット。
【請求項7】
前記一対の側脚部と、前記中央脚部とは、前記交差する方向に沿って分断されていることを特徴とする請求項1に記載のパレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包物を載置した状態で、梱包物をフォークリフトで搬送するパレットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、農産品産地から消費地までの輸送が長距離となる歳に、安価で良質な農産品を消費地に供給するため、主に鉄道、トラックでの大きな物量単位(容積、重量限界の満載)でコンテナあるいは荷台に積込み輸送を行っている。農産品の中には物流費、パレットの資材費を抑えるためパレットを用いずコンテナや荷台に手積みで行っている農産品もある。
【0003】
一方、物流業界では深刻な人手不足を受けて、輸送の生産性を向上や物流の効率化によりトラック運転者の負担を減らす取組みが国土交通省主体となって行われており、上記産地での積込み作業軽減についても改善が求められている。
【0004】
このような観点から、梱包物を載置した状態で、梱包物をフォークリフトで搬送するパレットが利用されている。たとえば、特許文献1には、梱包物を載置する載置面が形成された天板部の両縁に沿って、一対の側脚部が形成され、一対の側脚部との間に中央脚部が形成されたパレットが提案されている。パレットの側脚部と中央脚部との間には、フォークリフトの爪部が挿入される挿入溝が形成される。これにより、梱包物を載置した状態で、フォークリフトの爪部を、挿入溝に挿入し、梱包物をフォークリフトで搬送することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3209904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のパレットでは、フォークリフトの爪部を上昇させた際に、パレットの挿入溝の壁面に、パレットの載置した梱包物の重量分、フォークリフトの爪部に押圧される。これにより、挿入溝が延在する方向に沿って、パレットの挿入溝の壁面から、パレットが損傷するおそれがある。
【0007】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、梱包物を載置した状態で、フォークリフトの爪部が挿入される挿入溝の壁面からの損傷を抑えることができるパレットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を鑑みて、本発明に係るパレットは、梱包物を載置した状態で、前記梱包物をフォークリフトで搬送するパレットであって、前記パレットは、前記梱包物を載置する載置面が形成された天板部と、前記天板部の両縁に沿って形成され、前記天板部を支持する一対の側脚部と、前記側脚部との間において、前記フォークリフトの爪部が挿入される挿入溝が形成されるように、前記天板部に形成された中央脚部と、を備えており、前記挿入溝の壁面には、前記挿入溝が延在する延在方向と交差する方向に沿って、複数のリブが形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、梱包物を載置した状態で、梱包物をフォークリフトで搬送する際、パレットの挿入溝にフォークリフトの爪部を挿入する。この状態で、爪部を上昇させたとしても、挿入溝の壁面には、挿入溝が延在する延在方向と交差する方向に沿って、複数のリブが形成されているので、フォークリフトの爪部に沿った挿入溝の周りの強度を確保することができる。
【0010】
好ましい態様としては、前記天板部のうち、前記挿入溝の壁面を形成する天壁部分のうち、前記側脚部寄りの部分の厚さは、前記中央脚部寄りの部分の厚さに比べて厚い。
【0011】
この態様によれば、パレットの挿入溝にフォークリフトの爪部を挿入した状態で、爪部を上昇させたると、中央脚部寄りの部分に比べて、側脚部寄りの部分に大きな荷重が作用する。したがって、この態様によれば、側脚部寄りの部分の厚さを、中央脚部寄りの部分の厚さに比べて、厚くすることにより、側脚部寄りの部分の強度を確保することができる。
【0012】
好ましい態様としては、前記挿入溝は、前記挿入溝の溝底面から曲率半径R1を有して前記側脚部側へ立ち上がり、また、前記溝底面から曲率半径R2を有して前記中央脚部側へ立ち上がり、前記曲率半径R1は前記曲率半径R2よりも大きく形成されている。
【0013】
この態様によれば、挿入溝は、曲率半径R1が曲率半径R2よりも大きく形成されることにより、フォークリフトの爪が挿入溝内に挿通されて持ち上げられたときでも外側に撓むことを抑制することができる。
【0014】
好ましい態様としては、前記天板部の裏面からの前記中央脚部の高さは、前記天板部の裏面からの前記側脚部の高さよりも低い。この態様によれば、天板部の裏面からの中央脚部の高さを、天板部の裏面からの側脚部の高さよりも低くすることにより、梱包物の載置前には、中央脚部と、パレットの設置面との間に隙間が形成される。この状態で、パレットに梱包物を載置すると、中央脚部が設置面に接触するまで、天板部の中央が下方に向かって撓む。これにより、梱包物を複数列で複数段、段積みする際に、梱包物全体が、パレットの中心線上に寄せられ、梱包物の荷崩れを抑えることができる。さらに、梱包物に、液体等が収容されている場合には、このような効果はより顕著なものとなる。なお、梱包物が1つであっても、梱包物の底面が、パレットとともに撓むため、パレットからの梱包物の落下および転倒を防止することができる。
【0015】
好ましい態様としては、前記載置面から前記中央脚部に向かって凹んだ凹部が形成されている。別の好ましい態様としては、前記載置面から前記中央脚部まで貫通した貫通部が形成されている。
【0016】
この態様によれば、パレットに梱包物を載置した状態で、梱包物とともにパレットを、フォークリフトで持ち上げると、凹部または貫通孔により、一対の爪部の間で、天板部の中央が下方に向かって撓む。これにより、梱包物を複数列で複数段、段積みした状態で搬送する際に、梱包物全体が、パレットの中心線上に寄せられ、梱包物の荷崩れを抑えることができる。さらに、梱包物に、液体等が収容されている場合には、このような効果はより顕著なものとなる。なお、梱包物が1つであっても、梱包物の底面が、パレットとともに撓むため、搬送時に、パレットからの梱包物の落下および転倒を防止することができる。なお、このような効果をより発現させるために、凹部は、中央脚部に沿った方向に延在した凹溝部であることが好ましく、貫通部は、中央脚部に沿った方向に延在しスリットであることが好ましい。さらに、凹部は、中央脚部まで到達する深さを有することがより好ましい。
【0017】
好ましい態様としては、前記一対の側脚部と、前記中央脚部とは、前記交差する方向に沿って分断されている。この態様によれば、前記一対の側脚部と、前記中央脚部とが、分断されているため、フォークリフトの爪部の挿入方向におけるパレットの撓みを促進することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、梱包物を載置した状態で、フォークリフトの爪部が挿入される挿入溝の壁面からの損傷を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(a)は、本発明の実施形態に係るパレットを上方から視た模式的斜視図であり、(b)は、(a)のパレットを下方から視た模式的斜視図である。
図2】(a)は、図1(a)に示すパレットの平面図であり、(b)は、(a)のパレットの底面図である。
図3】(a)は、図2(a)のA-A線に沿った矢視方向の断面図であり、(b)は、図2(a)のB-B線に沿った矢視方向の断面図である。
図4図1に示すパレットを基台の上に、梱包物を載置したパレットを配置した状態の模式的側面図である。
図5図4に示す状態から、パレットをフォークリフトで持ち上げた状態を示す模式的斜視図である。
図6図5に示す状態で、パレットに梱包物を載置した状態の模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1図3を参照しながら、以下に、本発明の実施形態に係るパレット10を説明する。図1(a)、(b)は、それぞれ、本発明の実施形態に係るパレット10を上方から視た模式的斜視図と、下方から視た模式的斜視図である。図2(a)、(b)は、図1(a)に示すパレット10の平面図と底面図である。図3(a)、(b)は、図2(a)のA-A線に沿った矢視方向の断面図と、B-B線に沿った矢視方向の断面図である。
【0021】
図1に示すように、パレット10は、梱包物Pを載置した状態で、梱包物PをフォークリフトFで搬送するパレットである。梱包物Pは、たとえば被梱包物が梱包された発泡樹脂成形体等で形成された梱包箱を挙げることができるが、梱包箱は、たとえば、木箱または段ボール箱であってもよい、たとえば、梱包物Pをパレット10に載置する際には、複数段段積みされてもよく、一段に複数の梱包物Pが平面上に配置されてもよい。
【0022】
本実施形態では、パレット10は、樹脂成形体からなり、樹脂成形体は、たとえば、互いに融着した複数の発泡粒子から構成されている熱可塑性樹脂発泡体からなる。熱可塑性樹脂発泡体は、型内蒸気発泡成形により成形される。パレット10が、熱可塑性樹脂発泡成形体からなることにより、軽量かつ高強度のパレットとして利用することができる。
【0023】
熱可塑性樹脂発泡体としては、たとえば、ポリスチレン、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂、ハイインパクトポリスチレン、スチレン-エチレン共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等の各種合成樹脂のビーズ発泡による成形体を挙げることができる。
【0024】
中でも、ポリスチレンまたはスチレン改質ポリオレフィン系樹脂の発泡成形体が好適に用いられる。スチレン改質ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂粒子にスチレン系単量体を含浸重合させて得られるものであり、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂の中でも、スチレン改質ポリエチレン樹脂が好ましく、例えば、スチレン成分の割合は40~90重量%、好ましくは50~85重量%、さらに好ましくは55~75重量%のものが用いられる。また、ポリスチレンの発泡体の発泡倍率は20~60倍が好ましく、より好ましくは25~40倍である。
【0025】
図1(a)および(b)に示すように、パレット10は、後述する梱包物Pを載置する載置面10aが形成された天板部11と、天板部11の両縁に沿って形成され、天板部11を支持する一対の側脚部12、12と、を備えている。
【0026】
天板部11の載置面10aには、複数の梱包物Pを載置するための目印となる隆起部10bが形成されている。本実施形態では、目印となる隆起部10bに合わせて、梱包物Pを配置すると、図5に示すように、後述する中央脚部13に沿ったパレット10の中心線を挟んだ両側にそれぞれ3つの梱包物Pが配置される。
【0027】
たとえば、パレット10が熱可塑性樹脂発泡成形体からなる場合、載置面10aは、樹脂が発泡した表面であることから、非発泡のものや金属製のものに比べて、摩擦係数が高く、載置面10aに載置した梱包物Pは滑り難い。特に、梱包物Pが、発泡樹脂からなる容器に、被梱包物を梱包したものである場合、摩擦係数をより高めることができる。このような結果、パレット10を熱可塑性樹脂発泡成形体とすることにより、梱包物Pを段積みしても、載置面10aと梱包物Pの滑りが起因として、梱包物Pが荷崩れし難い。特に、熱可塑性樹脂発泡成形体は、ビーズ発泡による成形体である場合には、このような効果がより一層発現される。
【0028】
図1(b)および図2(b)に示すように、パレット10は、側脚部12との間において、フォークリフトFの爪部T(図5参照)が挿入される一対の挿入溝15、15が形成されるように、中央脚部13が形成されている。側脚部12には、中央脚部13の長手方向に沿って、2つの溝部12bが並んで形成されている。
【0029】
図3(a)に示すように、本実施形態では、挿入溝15は、壁面(溝壁面)15aを有しており、壁面15aは、溝底面15bと、溝底面15bの両側から立ち上った溝側面15c、15cとを有している。挿入溝15の壁面15aには、挿入溝15が延在する延在方向と交差する方向(図では、直交する方向)に沿って、複数のリブ17、17が、間隔を空けて形成されている。本実施形態では、各リブ17は、溝底面15bから、その両側の溝側面15c、15cまで、連続して形成されている。
【0030】
図3(a)に示すように、天板部11のうち、挿入溝15の溝底面15bを形成する天壁部分11cのうち、側脚部12寄りの部分の厚さt1は、中央脚部13寄りの部分の厚さt2に比べて、厚くなっている。挿入溝15の一方側の溝側面15cは、溝底面15bから曲率半径R1を有して側脚部12側へ立ち上がり、また、挿入溝15の他方側の溝側面15cは、溝底面15bから曲率半径R2を有して中央脚部13側へ立ち上がっている。本実施形態では、挿入溝15は、曲率半径R1は前記曲率半径R2よりも大きく形成されている。
【0031】
図5に示すように、梱包物Pを載置した状態で、梱包物PをフォークリフトFで搬送する際、パレット10の挿入溝15にフォークリフトFの爪部Tを挿入する。この状態で、爪部Tを上昇させたとしても、挿入溝15の壁面15aには、挿入溝15が延在する延在方向と交差する方向に沿って、複数のリブ17、17が形成されているので、フォークリフトFの爪部Tに沿った挿入溝15の周りの強度を確保することができる。
【0032】
特に、パレット10が熱可塑性樹脂発泡成形体からなる場合には、木製のパレットおよび金属製のパレット等に比べて、パレット10の衝撃吸収性を高めることができる。このため、フォークリフトFの爪部Tが接触時の衝撃、または、搬送時のフォークリフトFに作用する衝撃、および、パレット10とともに梱包物Pを荷積みおよび荷下ろしする時の衝撃など、パレット10を介して梱包物Pに作用する衝撃荷重を吸収することができる。
【0033】
ここで、パレット10の挿入溝15にフォークリフトFの爪部Tを挿入した状態で、爪部Tを上昇させたると、天壁部分11cのうち、中央脚部13寄りの部分に比べて、側脚部12寄りの部分に大きな荷重が作用する。しかしながら、側脚部12寄りの部分の厚さを、中央脚部13寄りの部分の厚さに比べて、厚くすることにより、フォークリフトFの爪部が挿入溝15内に挿通されて持ち上げれられたときに、パレット10の側脚部12寄りの部分が下方に撓むことを抑制することができる。また、挿入溝15は、曲率半径R1が曲率半径R2よりも大きく、形成にすることにより、側脚部12寄りの部分が、さらに下方に撓むことを抑制することができる。
【0034】
さらに、天板部11の裏面である溝底面15bからの中央脚部13の高さH1は、天板部11の裏面である溝底面15bからの側脚部12の高さH2よりも低くなっている。これにより、梱包物Pを載置前にパレット10を、平面上の設置面(地面、設置台Dの表面)の上に配置すると、一対の側脚部12、12の脚面12aが、その設置面に接触した状態で、天板部11が、一対の側脚部12、12に支持される。一方、中央脚部13の脚面13aと設置面との間には隙間Sが形成される(図3(a)参照)。
【0035】
図4に示すように、パレット10を設置台Dに設置し、パレット10に梱包物Pを載置すると、中央脚部13が設置面Gに接触するまで、図4の曲線K1の如く、天板部11の中央が下方に向かって撓む。これにより、梱包物Pを複数列で複数段、段積みする際に、梱包物P全体が、パレット10の中心線CL上に寄せられ、梱包物Pの荷崩れを抑えることができる。さらに、梱包物Pに、液体等が収容されている場合には、このような効果はより顕著なものとなる。なお、梱包物Pが1つであっても、梱包物Pの底面が、パレット10とともに撓むため、パレット10からの梱包物Pの落下および転倒を防止することができる。
【0036】
図1(b)、図3(b)に示すように、一対の側脚部12、12と、中央脚部13とは、挿入溝15が延在する方向と交差する方向(図では、直交する方向)に沿って、切れ込み10cにより分断されている。図2(b)に示すように、一対の側脚部12、12と、中央脚部13とを分断するそれぞれの切れ込み10cは、同じ直線上に位置し、一対の側脚部12、12と、中央脚部13とのそれぞれの中央に形成されている。
【0037】
図3(a)に示すように、本実施形態では、天板部11の載置面10aから中央脚部13に向かって、凹んだ2つの凹溝(凹部)18、18が形成されている。凹溝(凹部)18は、中央脚部13に到達する溝深さDを有しており、天板部11の厚さよりも大きくなっている。2つの凹溝18、18は、中央脚部13が延在する方向に沿って、形成されており、各凹溝18は、中央脚部13の分断されたそれぞれの部分と対応する位置に形成されている。さらに、パレット10には、載置面10aから中央脚部13まで貫通した貫通孔19が形成されている。図2(b)に示すように、貫通孔19は、中央脚部13の切れ込み10cに繋がっている。
【0038】
図6に示すように、パレット10に梱包物Pを載置した状態で、梱包物Pとともにパレット10を、フォークリフトFで持ち上げると、凹溝18または貫通孔19により、一対の爪部T、Tの間で曲線K2の如く、天板部11の中央が下方に向かって撓む。特に、パレット10が、発泡樹脂成形体からなる場合には、パレット10の剛性を確保しつつ、天板部11は、撓み易い。
【0039】
このような天板部11の撓みにより、梱包物Pを複数列で複数段、段積みした状態で搬送する際に、梱包物P全体が、パレット10の中心線CL上に寄せられ、梱包物Pの荷崩れを抑えることができる。さらに、梱包物Pに、液体等が収容されている場合には、このような効果はより顕著なものとなる。なお、梱包物Pが1つであっても、梱包物Pの底面が、パレット10とともに撓むため、搬送時に、パレット10からの梱包物Pの落下および転倒を防止することができる。
【0040】
なお、凹溝18は、中央脚部13に沿った方向に溝長さを有し、載置面10aから中央脚部13まで貫通した溝深さを有しているので、このような効果をより発現し易くなる。これに加えて、さらに貫通孔19を設けることにより、さらに発現し易くなる。しかしながら、このような効果を発現することができるのであれば、貫通孔19を設けなくてもよく、凹溝18の代わりに、中央脚部13に沿った方向に断続的に形成された凹部を設けてもよい。さらに、凹溝18および貫通孔19の代わりに、中央脚部13に沿った方向に延在し、載置面10aから中央脚部13まで貫通したスリットであってもよく、中央脚部13に沿った方向に断続的に形成された貫通孔であってもよい。
【0041】
さらに、切れ込み10cにより、一対の側脚部12、12と、中央脚部13とが、分断されているため、フォークリフトFの爪部Tの挿入方向におけるパレット10の撓みを促進することができる。なお、本実施形態では、一対の側脚部12、12と、中央脚部13とのそれぞれの中央に、切れ込み10cを設けたが、このような効果を発現できるのであれば、その位置および個数は特に限定されるものではない。
【0042】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【符号の説明】
【0043】
10:パレット、10a:載置面、11:天板部、12:側脚部、13:中央脚部、15:挿入溝、15a:壁面、17:リブ、18:凹溝(凹部)、19:貫通孔(貫通部)、F:フォークリフト、T:爪部
図1
図2
図3
図4
図5
図6