(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142080
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ハニカム構造体、電気加熱型担体及び排気ガス浄化装置
(51)【国際特許分類】
B01J 35/57 20240101AFI20241003BHJP
C04B 38/06 20060101ALI20241003BHJP
C04B 35/565 20060101ALI20241003BHJP
F01N 3/20 20060101ALI20241003BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20241003BHJP
F01N 3/28 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B01J35/04 301F
C04B38/06 E ZAB
C04B35/565
F01N3/20 K
F01N3/24 L
F01N3/28 301P
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054068
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】酒井 直希
【テーマコード(参考)】
3G091
4G169
【Fターム(参考)】
3G091AB02
3G091AB03
3G091AB05
3G091AB06
3G091BA02
3G091CA03
3G091GA06
3G091GA10
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3G091HA27
4G169AA01
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4G169EB12X
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4G169EB15X
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4G169EB18Y
4G169EC21X
4G169EC21Y
4G169ED06
4G169ED10
4G169EE03
(57)【要約】
【課題】発熱均一性が改善されたハニカム構造体を提供する。
【解決手段】外周壁と、外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有する円柱状のハニカム構造部、前記外周壁の外表面においてセルの延びる方向に帯状に設けられた第一電極層、及び、前記外周壁の外表面においてセルの延びる方向に帯状に設けられた第二電極層であって、前記ハニカム構造部の中心軸を挟んで前記第一電極層と対向するように設けられた前記第二電極層、を備え、前記セルの延びる方向に直交する断面において、径方向に座標軸を取り、重心Oの座標値を0、前記外周壁の外表面の座標値を1.00Rとしたとき、所定の第一外周領域及び第二外周領域の単位体積当たりの25℃における平均熱容量は、第一中央領域の単位体積当たりの25℃における平均熱容量よりもそれぞれ高い、ハニカム構造体。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周壁と、外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有する円柱状のハニカム構造部、
前記外周壁の外表面においてセルの延びる方向に帯状に設けられた第一電極層、及び、
前記外周壁の外表面においてセルの延びる方向に帯状に設けられた第二電極層であって、前記ハニカム構造部の中心軸を挟んで前記第一電極層と対向するように設けられた前記第二電極層、
を備え、
前記セルの延びる方向に直交する断面において、径方向に座標軸を取り、重心Oの座標値を0、前記外周壁の外表面の座標値を1.00Rとしたとき、下記に示す第一外周領域及び第二外周領域の単位体積当たりの25℃における平均熱容量は、第一中央領域の単位体積当たりの25℃における平均熱容量よりもそれぞれ高い、
ハニカム構造体:
前記第一外周領域は、座標値0.90R~1.00Rの領域のうち、前記第一電極層に隣接し、重心Oを基準とする中心角で表して、前記第一電極層の周方向の一端から5°だけはみ出た箇所から、前記第一電極層の周方向の他端から5°だけはみ出た箇所までの前記ハニカム構造部の部分を示し、
前記第二外周領域は、座標値0.90R~1.00Rの領域のうち、前記第二電極層に隣接し、重心Oを基準とする中心角で表して、前記第二電極層の周方向の一端から5°だけはみ出た箇所から、前記第二電極層の周方向の他端から5°だけはみ出た箇所までの前記ハニカム構造部の部分を示し、
前記第一中央領域は、前記ハニカム構造部のうち、前記第一外周領域及び前記第二外周領域を除いた部分を示す。
【請求項2】
前記第一外周領域及び前記第二外周領域の単位体積当たりの25℃における平均熱容量はそれぞれ、前記第一中央領域の単位体積当たりの25℃における平均熱容量の1.2倍~1.5倍である請求項1に記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記第一外周領域の単位体積当たりの25℃における熱容量の変動係数をH1v、前記第二外周領域の単位体積当たりの25℃における熱容量の変動係数をH2v、前記第一中央領域の単位体積当たりの25℃における熱容量の変動係数をH3vとすると、H1v≦0.2、H2v≦0.2、及びH3v≦0.3が成立する請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記第一外周領域及び前記第二外周領域の25℃における平均電気抵抗は、前記第一中央領域よりもそれぞれ低い、請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
【請求項5】
前記第一外周領域及び前記第二外周領域の25℃における平均熱伝導率は、前記第一中央領域よりもそれぞれ高い、請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
【請求項6】
前記第一外周領域及び前記第二外周領域の25℃における平均熱伝導率はそれぞれ、4~30W/(m・K)である、請求項5に記載のハニカム構造体。
【請求項7】
前記第一外周領域及び前記第二外周領域の平均真密度は、前記第一中央領域よりもそれぞれ高い、請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
【請求項8】
前記第一外周領域及び前記第二外周領域の平均気孔率は、前記第一中央領域よりもそれぞれ低い、請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
【請求項9】
前記第一外周領域及び前記第二外周領域の平均隔壁厚みは、前記第一中央領域よりもそれぞれ大きい、請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
【請求項10】
前記第一外周領域及び前記第二外周領域の平均セル密度は、前記第一中央領域よりもそれぞれ高い、請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
【請求項11】
前記第一外周領域及び前記第二外周領域の平均開口率は、前記第一中央領域よりもそれぞれ低い、請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
【請求項12】
前記セルの延びる方向に直交する断面において、径方向に座標軸を取り、重心Oの座標値を0、前記外周壁の外表面の座標値を1.00Rとしたとき、下記に示す第三外周領域及び第四外周領域の単位体積当たりの25℃における平均熱容量は、第二中央領域の単位体積当たりの25℃における平均熱容量よりもそれぞれ高い、
請求項1又は2に記載のハニカム構造体:
前記第三外周領域は、座標値0.80R~1.00Rの領域のうち、前記第一電極層に隣接し、重心Oを基準とする中心角で表して、前記第一電極層の周方向の一端から12.5°だけはみ出た箇所から、前記第一電極層の周方向の他端から12.5°だけはみ出た箇所までの前記ハニカム構造部の部分を示し、
前記第四外周領域は、座標値0.80R~1.00Rの領域のうち、前記第二電極層に隣接し、重心Oを基準とする中心角で表して、前記第二電極層の周方向の一端から12.5°だけはみ出た箇所から、前記第二電極層の周方向の他端から12.5°だけはみ出た箇所までの前記ハニカム構造部の部分を示し、
前記第二中央領域は、前記ハニカム構造部のうち、前記第三外周領域及び前記第四外周領域を除いた部分を示す。
【請求項13】
前記第三外周領域及び前記第四外周領域の単位体積当たりの25℃における平均熱容量はそれぞれ、前記第二中央領域の単位体積当たりの25℃における平均熱容量の1.05倍~1.4倍である請求項12に記載のハニカム構造体。
【請求項14】
前記第三外周領域の単位体積当たりの25℃における熱容量の変動係数をH4v、前記第四外周領域の単位体積当たりの25℃における熱容量の変動係数をH5v、前記第二中央領域の単位体積当たりの25℃における熱容量の変動係数をH6vとすると、H4v≦0.3、H5v≦0.3、及びH6v≦0.3が成立する請求項13に記載のハニカム構造体。
【請求項15】
請求項1又は2に記載のハニカム構造体と、
前記第一電極層及び第二電極層のそれぞれの外表面に接合された金属端子と、
を備える電気加熱型担体。
【請求項16】
請求項15に記載の電気加熱型担体と、
前記電気加熱型担体を収容する筒状の金属管と、
を備える排気ガス浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体、ハニカム構造体を備える電気加熱型担体、及び電気加熱型担体を備える排気ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エンジン始動直後の排ガス浄化性能の低下を改善するため、ハニカム構造体を有する電気加熱触媒(EHC)が提案されている。EHCは一般に、外周壁、及び、外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁を有する導電性のハニカム構造部と、ハニカム構造部の外周壁に配設された一対の電極層とを備える。EHCでは、一対の電極層に端子を接続して電圧を印加することで通電すると、導電抵抗体であるハニカム構造部内を電気が流れることによるジュール熱で発熱する。EHCにおいては、ハニカム構造部内での温度分布を均一化して、高温部と低温部との温度差による熱応力でクラックが発生するのを防止することが望まれている。
【0003】
特許文献1(特開2019-173662号公報)には、ハニカム構造部が、一対の電極部付近にある端部領域と、前記端部領域を除いた中央領域から構成されること、並びに、前記端部領域を構成する材料の平均電気抵抗率Aが、前記中央領域を構成する材料の平均電気抵抗率Bより低いことが記載されている。当該構成により、ハニカム構造体の均一発熱性が向上するとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、通電時に一対の電極部付近にある端部領域に電流が集中し、局所的に高温になりやすい。このため、ハニカム構造部内の発熱均一性に関しては未だ改善の余地が残されている。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みて創作されたものであり、一実施形態において、発熱均一性が改善されたハニカム構造体を提供することを課題とする。本発明は別の一実施形態において、そのようなハニカム構造体を備える電気加熱型担体を提供することを課題とする。本発明は更に別の一実施形態において、そのような電気加熱型担体を備える排気ガス浄化装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、以下に例示される本発明によって解決される。
[1]
外周壁と、外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有する円柱状のハニカム構造部、
前記外周壁の外表面においてセルの延びる方向に帯状に設けられた第一電極層、及び、
前記外周壁の外表面においてセルの延びる方向に帯状に設けられた第二電極層であって、前記ハニカム構造部の中心軸を挟んで前記第一電極層と対向するように設けられた前記第二電極層、
を備え、
前記セルの延びる方向に直交する断面において、径方向に座標軸を取り、重心Oの座標値を0、前記外周壁の外表面の座標値を1.00Rとしたとき、下記に示す第一外周領域及び第二外周領域の単位体積当たりの25℃における平均熱容量は、第一中央領域の単位体積当たりの25℃における平均熱容量よりもそれぞれ高い、
ハニカム構造体:
前記第一外周領域は、座標値0.90R~1.00Rの領域のうち、前記第一電極層に隣接し、重心Oを基準とする中心角で表して、前記第一電極層の周方向の一端から5°だけはみ出た箇所から、前記第一電極層の周方向の他端から5°だけはみ出た箇所までの前記ハニカム構造部の部分を示し、
前記第二外周領域は、座標値0.90R~1.00Rの領域のうち、前記第二電極層に隣接し、重心Oを基準とする中心角で表して、前記第二電極層の周方向の一端から5°だけはみ出た箇所から、前記第二電極層の周方向の他端から5°だけはみ出た箇所までの前記ハニカム構造部の部分を示し、
前記第一中央領域は、前記ハニカム構造部のうち、前記第一外周領域及び前記第二外周領域を除いた部分を示す。
[2]
前記第一外周領域及び前記第二外周領域の単位体積当たりの25℃における平均熱容量はそれぞれ、前記第一中央領域の単位体積当たりの25℃における平均熱容量の1.2倍~1.5倍である[1]に記載のハニカム構造体。
[3]
前記第一外周領域の単位体積当たりの25℃における熱容量の変動係数をH1v、前記第二外周領域の単位体積当たりの25℃における熱容量の変動係数をH2v、前記第一中央領域の単位体積当たりの25℃における熱容量の変動係数をH3vとすると、H1v≦0.2、H2v≦0.2、及びH3v≦0.3が成立する[1]又は[2]に記載のハニカム構造体。
[4]
前記第一外周領域及び前記第二外周領域の25℃における平均電気抵抗は、前記第一中央領域よりもそれぞれ低い、[1]~[3]の何れか一項に記載のハニカム構造体。
[5]
前記第一外周領域及び前記第二外周領域の25℃における平均熱伝導率は、前記第一中央領域よりもそれぞれ高い、[1]~[4]の何れか一項に記載のハニカム構造体。
[6]
前記第一外周領域及び前記第二外周領域の25℃における平均熱伝導率はそれぞれ、4~30W/(m・K)である、[1]~[5]の何れか一項に記載のハニカム構造体。
[7]
前記第一外周領域及び前記第二外周領域の平均真密度は、前記第一中央領域よりもそれぞれ高い、[1]~[6]の何れか一項に記載のハニカム構造体。
[8]
前記第一外周領域及び前記第二外周領域の平均気孔率は、前記第一中央領域よりもそれぞれ低い、[1]~[7]の何れか一項に記載のハニカム構造体。
[9]
前記第一外周領域及び前記第二外周領域の平均隔壁厚みは、前記第一中央領域よりもそれぞれ大きい、[1]~[8]の何れか一項に記載のハニカム構造体。
[10]
前記第一外周領域及び前記第二外周領域の平均セル密度は、前記第一中央領域よりもそれぞれ高い、[1]~[9]の何れか一項に記載のハニカム構造体。
[11]
前記第一外周領域及び前記第二外周領域の平均開口率は、前記第一中央領域よりもそれぞれ低い、[1]~[10]の何れか一項に記載のハニカム構造体。
[12]
前記セルの延びる方向に直交する断面において、径方向に座標軸を取り、重心Oの座標値を0、前記外周壁の外表面の座標値を1.00Rとしたとき、下記に示す第三外周領域及び第四外周領域の単位体積当たりの25℃における平均熱容量は、第二中央領域の単位体積当たりの25℃における平均熱容量よりもそれぞれ高い、
[1]~[11]の何れか一項に記載のハニカム構造体:
前記第三外周領域は、座標値0.80R~1.00Rの領域のうち、前記第一電極層に隣接し、重心Oを基準とする中心角で表して、前記第一電極層の周方向の一端から12.5°だけはみ出た箇所から、前記第一電極層の周方向の他端から12.5°だけはみ出た箇所までの前記ハニカム構造部の部分を示し、
前記第四外周領域は、座標値0.80R~1.00Rの領域のうち、前記第二電極層に隣接し、重心Oを基準とする中心角で表して、前記第二電極層の周方向の一端から12.5°だけはみ出た箇所から、前記第二電極層の周方向の他端から12.5°だけはみ出た箇所までの前記ハニカム構造部の部分を示し、
前記第二中央領域は、前記ハニカム構造部のうち、前記第三外周領域及び前記第四外周領域を除いた部分を示す。
[13]
前記第三外周領域及び前記第四外周領域の単位体積当たりの25℃における平均熱容量はそれぞれ、前記第二中央領域の単位体積当たりの25℃における平均熱容量の1.05倍~1.4倍である[12]に記載のハニカム構造体。
[14]
前記第三外周領域の単位体積当たりの25℃における熱容量の変動係数をH4v、前記第四外周領域の単位体積当たりの25℃における熱容量の変動係数をH5v、前記第二中央領域の単位体積当たりの25℃における熱容量の変動係数をH6vとすると、H4v≦0.3、H5v≦0.3、及びH6v≦0.3が成立する[12]又は[13]に記載のハニカム構造体。
[15]
[1]~[14]の何れか一項に記載のハニカム構造体と、
前記第一電極層及び第二電極層のそれぞれの外表面に接合された金属端子と、
を備える電気加熱型担体。
[16]
[15]に記載の電気加熱型担体と、
前記電気加熱型担体を収容する筒状の金属管と、
を備える排気ガス浄化装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、発熱均一性が改善されたハニカム構造体を提供することができる。この結果、ハニカム構造部における温度差低減が可能となるので、クラックの発生が抑制されることが期待される。このハニカム構造体に金属端子を接合することで、例えばEHC用の電気加熱型担体として使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】本発明の一実施形態に係る電気加熱型担体を一方の端面から観察したときの模式図である。
【
図1B】本発明の一実施形態に係る電気加熱型担体の模式的な斜視図である。
【
図2A】本発明の一実施形態に係るハニカム構造体のセルの延びる方向に直交する断面において、第一外周領域、第二外周領域、及び第一中央領域を説明するための模式図である。
【
図2B】本発明の一実施形態に係るハニカム構造体のセルの延びる方向に直交する断面において、第三外周領域、第四外周領域、及び第二中央領域を説明するための模式図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る排気ガス浄化装置を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0011】
(1.電気加熱型担体)
図1Aは、本発明の一実施形態に係る電気加熱型担体100を一方の端面116から観察したときの模式図である。
図1Bは、本発明の一実施形態に係る電気加熱型担体100の模式的な斜視図である。電気加熱型担体100は、ハニカム構造体110及び金属端子130a、130bを備える。電気加熱型担体100に触媒を担持することにより、電気加熱型担体100を触媒体として使用することができる。
【0012】
触媒としては、例えば、貴金属系触媒又はそれ以外の触媒が挙げられる。貴金属系触媒としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)といった貴金属をアルミナ細孔表面に担持し、セリア、ジルコニア等の助触媒を含む三元触媒や酸化触媒、又は、アルカリ土類金属と白金を窒素酸化物(NOx)の吸蔵成分として含むNOx吸蔵還元触媒(LNT触媒)が例示される。貴金属を用いない触媒として、銅置換又は鉄置換ゼオライトを含むNOx選択還元触媒(SCR触媒)等が例示される。また、これらの触媒から選択される2種以上の触媒を用いてもよい。なお、触媒の担持方法についても特に制限はなく、ハニカム構造体に触媒を担持する公知の方法を採用することができる。
【0013】
(1-1.ハニカム構造体)
ハニカム構造体110は、外周壁114と、外周壁114の内側に配設され、一方の端面116から他方の端面118まで流路を形成する複数のセル115を区画形成する隔壁113と、を有する円柱状のハニカム構造部、
外周壁114の外表面においてセル115の延びる方向に帯状に設けられた第一電極層112a、及び、
外周壁114の外表面においてセル115の延びる方向に帯状に設けられた第二電極層112bであって、ハニカム構造部の中心軸を挟んで第一電極層112aと対向するように設けられた第二電極層112b、
を備える。
【0014】
図2Aを参照すると、一実施形態に係るハニカム構造体110は、セル115の延びる方向に直交する断面において、径方向に座標軸を取り、(中心軸に対応する)重心Oの座標値を0、外周壁114の外表面の座標値を1.00Rとしたとき、下記に示す第一外周領域121及び第二外周領域122の単位体積当たりの25℃における平均熱容量は、第一中央領域131の単位体積当たりの25℃における平均熱容量よりもそれぞれ高い。
【0015】
第一外周領域121は、座標値0.90R~1.00Rの領域のうち、第一電極層112aに隣接し、重心Oを基準とする中心角で表して、第一電極層112aの周方向の一端112a1から5°だけはみ出た箇所から、第一電極層112aの周方向の他端112a2から5°だけはみ出た箇所までのハニカム構造部の部分(
図2A中、上側のハッチング部分)を示す。
第二外周領域122は、座標値0.90R~1.00Rの領域のうち、第二電極層112bに隣接し、重心Oを基準とする中心角で表して、第二電極層112bの周方向の一端112b1から5°だけはみ出た箇所から、第二電極層112bの周方向の他端112b2から5°だけはみ出た箇所までの前記ハニカム構造部の部分(
図2A中、下側のハッチング部分)を示す。
第一中央領域131は、ハニカム構造部のうち、第一外周領域121及び第二外周領域122を除いた部分(
図2A中、ドット模様部分)を示す。
【0016】
第一外周領域121及び第二外周領域122の単位体積当たりの25℃における平均熱容量が、第一中央領域131の単位体積当たりの25℃における平均熱容量とそれぞれ同じである場合には、第一電極層112a及び第二電極層112bに端子を接続して電圧を印加することで通電したときに、第一電極層112a及び第二電極層112bのそれぞれの周方向両端近傍の温度が高くなりやすい。これに対して、第一外周領域121及び第二外周領域122の単位体積当たりの25℃における平均熱容量が、第一中央領域131の単位体積当たりの25℃における平均熱容量よりもそれぞれ高い場合、第一外周領域121及び第二外周領域122の発熱が抑制される。これにより、第一中央領域131との温度差が低下し、発熱均一性が向上する。
【0017】
第一外周領域121の単位体積当たりの25℃における平均熱容量をH1(J/K)、第二外周領域122の単位体積当たりの25℃における平均熱容量をH2(J/K)、第一中央領域131の単位体積当たりの25℃における平均熱容量をH3(J/K)とすると、1.2≦H1/H3≦1.5であることが好ましく、1.3≦H1/H3≦1.5であることがより好ましく、1.4≦H1/H3≦1.5であることが更により好ましい。また、1.2≦H2/H3≦1.5であることが好ましく、1.3≦H2/H3≦1.5であることがより好ましく、1.4≦H2/H3≦1.5であることが更により好ましい。また、0.7≦H1/H2≦1.4であることが好ましく、0.8≦H1/H2≦1.3であることがより好ましく、0.9≦H1/H2≦1.1であることが更により好ましい。
【0018】
図2Bを参照すると、好ましい実施形態に係るハニカム構造体110は、セル115の延びる方向に直交する断面において、径方向に座標軸を取り、(中心軸に対応する)重心Oの座標値を0、外周壁114の外表面の座標値を1.00Rとしたとき、下記に示す第三外周領域123及び第四外周領域124の単位体積当たりの25℃における平均熱容量は、第二中央領域132の単位体積当たりの25℃における平均熱容量よりもそれぞれ高い。
【0019】
第三外周領域123は、座標値0.80R~1.00Rの領域のうち、第一電極層112aに隣接し、重心Oを基準とする中心角で表して、第一電極層112aの周方向の一端112a1から12.5°だけはみ出た箇所から、第一電極層112aの周方向の他端112a2から12.5°だけはみ出た箇所までのハニカム構造部の部分(
図2B中、上側のハッチング部分)を示し、
第四外周領域124は、座標値0.80R~1.00Rの領域のうち、第二電極層112bに隣接し、重心Oを基準とする中心角で表して、第二電極層112bの周方向の一端112b1から12.5°だけはみ出た箇所から、第二電極層112bの周方向の他端112b2から12.5°だけはみ出た箇所までのハニカム構造部の部分(
図2B中、下側のハッチング部分)を示し、
第二中央領域132は、ハニカム構造部のうち、第三外周領域123及び第四外周領域124を除いた部分(
図2B中、ドット模様部分)を示す。
【0020】
第三外周領域123の単位体積当たりの25℃における平均熱容量をH4(J/K)、第四外周領域124の単位体積当たりの25℃における平均熱容量をH5(J/K)、第二中央領域132の単位体積当たりの25℃における平均熱容量をH6(J/K)とすると、1.05≦H4/H6≦1.4であることが好ましく、1.1≦H4/H6≦1.4であることがより好ましく、1.2≦H4/H6≦1.4であることが更により好ましい。また、1.05≦H5/H6≦1.4であることが好ましく、1.1≦H5/H6≦1.4であることがより好ましく、1.2≦H5/H6≦1.4であることが更により好ましい。また、0.7≦H4/H5≦1.4であることが好ましく、0.8≦H4/H5≦1.3であることがより好ましく、0.9≦H4/H5≦1.1であることが更により好ましい。
【0021】
第一外周領域121及び第二外周領域122の単位体積(1mm3)当たりの25℃における平均熱容量はそれぞれ、0.00018~0.00059(J/K)が好ましく、0.00019~0.00059(J/K)がより好ましく、0.00022~0.00059(J/K)が更により好ましい。
第三外周領域123及び第四外周領域124の単位体積(1mm3)当たりの25℃における平均熱容量はそれぞれ、0.00018~0.00059(J/K)が好ましく、0.00019~0.00059(J/K)がより好ましく、0.00022~0.00059(J/K)が更により好ましい。
第一中央領域131及び第二中央領域132の単位体積(1mm3)当たりの25℃における平均熱容量はそれぞれ、0.00016~0.00054(J/K)が好ましく、0.00016~0.00049(J/K)がより好ましく、0.00016~0.00042(J/K)が更により好ましい。
【0022】
本明細書において、第一外周領域121、第二外周領域122、第三外周領域123、及び第四外周領域124の単位体積当たりの25℃における平均熱容量はそれぞれ、以下の方法で求める。ハニカム構造体をセルの延びる方向の中央において二分割し、セルの延びる方向に直交する断面を露出する。二分割されたハニカム構造体の何れか一方について、当該断面を含む直径3mm、(セルの延びる方向の)長さ10mmの円柱状試験片(70.7mm3)を、各外周領域から外周壁を含まないように偏りなく6箇所切り出す。これら6個の試験片の25℃における質量(g)をそれぞれ測定する。次にこれら6つの試験片をよくすりつぶして粉末状にし、示差走査熱量計により25℃における比熱(J/(g・K))をそれぞれ測定する。各試験片について質量と比熱を掛け合わせたうえで、試験片体積で割ることで、各試験片についての25℃における単位体積(1mm3)当たりの熱容量を求めることができる。6個の試験片の熱容量の平均値を各外周領域の平均熱容量とする。ハニカム構造体の直径が小さい場合などで、直径3mm、長さ10mmの円柱状試験片が各外周領域から切り出し不可能な場合は、適宜同等の体積となる別の形状の試験片を切り出して測定する。
【0023】
本明細書において、第一中央領域131及び第二中央領域132の単位体積当たりの25℃における平均熱容量はそれぞれ、以下の方法で求める。ハニカム構造体をセルの延びる方向の中央において二分割し、セルの延びる方向に直交する断面を露出する。二分割されたハニカム構造体の何れか一方について、当該断面を含む直径3mm、(セルの延びる方向の)長さ10mmの円柱状試験片(70.7mm3)を、各中央領域から偏りなく6箇所切り出す。これら6個の試験片の25℃における質量(g)をそれぞれ測定する。次にこれら6個の試験片をよくすりつぶして粉末状にし、示差走査熱量計により25℃における比熱(J/(g・K))をそれぞれ測定する。各試験片について質量と比熱を掛け合わせたうえで、試験片体積で割ることで、各試験片についての25℃における単位体積(1mm3)当たりの熱容量を求めることができる。6個の試験片の熱容量の平均値を各中央領域の平均熱容量とする。ハニカム構造体の直径が小さい場合などで、直径3mm、長さ10mmの試験片が各中央領域から切り出し不可能な場合は、適宜同等の体積となる別の形状の試験片を切り出して測定する。
【0024】
第一外周領域121の単位体積当たりの25℃における熱容量の変動係数をH1v、第二外周領域122の単位体積当たりの25℃における熱容量の変動係数をH2v、第一中央領域131の単位体積当たりの25℃における熱容量の変動係数をH3v、第三外周領域123の単位体積当たりの25℃における熱容量の変動係数をH4v、第四外周領域124の単位体積当たりの25℃における熱容量の変動係数をH5v、第二中央領域132の単位体積当たりの25℃における熱容量の変動係数をH6vとすると、H1vはH1v≦0.2が好ましく、H1v≦0.1がより好ましく、H1v≦0.05が更により好ましい。H2vはH2v≦0.2が好ましく、H2v≦0.1がより好ましく、H2v≦0.05が更により好ましい。H3vはH3v≦0.3が好ましく、H3v≦0.15がより好ましく、H3v≦0.08が更により好ましい。H4vはH4v≦0.3が好ましく、H4v≦0.15がより好ましく、H4v≦0.08が更により好ましい。H5vはH5v≦0.3が好ましく、H5v≦0.15がより好ましく、H5v≦0.08が更により好ましい。H6vはH6v≦0.3が好ましく、H6v≦0.15がより好ましく、H6v≦0.08が更により好ましい。H1v、H2v、H3v、H4v、H5v及びH6vの下限値には特段の制限はなく、それぞれ0とすることができるが、例示的には0.01以上でもよく、0.02以上でもよく、0.03以上でもよい。
【0025】
本明細書において、第一外周領域121、第二外周領域122、第三外周領域123、及び第四外周領域124の単位体積当たりの25℃における熱容量の変動係数(=標準偏差/平均値)はそれぞれ、平均熱容量を求めたときの各試験片における熱容量の値から算出する。
【0026】
本明細書において、第一中央領域131及び第二中央領域132の単位体積当たりの25℃における熱容量の変動係数(=標準偏差/平均値)はそれぞれ、平均熱容量を求めたときの各試験片における熱容量の値から算出する。
【0027】
ハニカム構造部の単位体積当たりの平均熱容量を外周領域(第一外周領域121、第二外周領域122、第三外周領域123、及び第四外周領域124)と、中央領域(第一中央領域131及び第二中央領域132)の間で変化させる方法としては、例えば、押出成形後に外周領域となる部分と、押出成形後に中央領域となる部分で異なる真密度の原料を用いた坏土を押出成形する方法が挙げられる。
【0028】
好ましい実施形態においては、第一外周領域121及び第二外周領域122の25℃における平均電気抵抗は、第一中央領域131よりもそれぞれ低いことが好ましい。理論によって本発明が限定されることを意図するものではないが、当該構成によって、第一外周領域121及び第二外周領域122の発熱が抑制される一方、電気抵抗の高い第一中央領域との境界付近では熱が四方八方に拡散できるので、熱が滞留し難い。この結果、発熱均一性が向上する。
【0029】
第一外周領域121の25℃における平均電気抵抗をE1(Ω)、第二外周領域122の25℃における平均電気抵抗をE2(Ω)、第一中央領域131の25℃における平均電気抵抗をE3(Ω)とすると、0.1≦E1/E3≦0.9であることが好ましく、0.2≦E1/E3≦0.8であることがより好ましく、0.3≦E1/E3≦0.8であることが更により好ましい。また、0.1≦E2/E3≦0.9であることが好ましく、0.2≦E2/E3≦0.8であることがより好ましく、0.3≦E2/E3≦0.8であることが更により好ましい。また、0.8≦E1/E2≦1.3であることが好ましく、0.9≦E1/E2≦1.1であることがより好ましく、0.95≦E1/E2≦1.05であることが更により好ましい。
【0030】
第一外周領域121及び第二外周領域122の25℃における平均電気抵抗は、10~10000(Ω)が好ましい。
第一中央領域131の25℃における平均電気抵抗は、10~10000(Ω)が好ましい。
【0031】
本明細書において、第一外周領域121及び第二外周領域122の25℃における平均電気抵抗はそれぞれ、以下の方法で求める。ハニカム構造体をセルの延びる方向の中央において二分割し、セルの延びる方向に直交する断面を露出する。二分割されたハニカム構造体の何れか一方について、当該断面を含む直径3mm、(セルの延びる方向の)長さ10mmの円柱状試験片(70.7mm3)を、各外周領域から偏りなく6箇所切り出す。これら6個の試験片の25℃における両端面間の電気抵抗をマルチメーターを用いて4端子法によりそれぞれ測定し、平均値を算出する。
【0032】
本明細書において、第一中央領域131の25℃における平均電気抵抗は、以下の方法で求める。ハニカム構造体をセルの延びる方向の中央において二分割し、セルの延びる方向に直交する断面を露出する。二分割されたハニカム構造体の何れか一方について、当該断面を含む直径3mm、(セルの延びる方向の)長さ10mmの円柱状試験片(70.7mm3)を、第一中央領域から偏りなく6箇所切り出す。これら6個の試験片の25℃における両端面間の電気抵抗をマルチメーターを用いて4端子法によりそれぞれ測定し、平均値を算出する。
【0033】
ハニカム構造部の平均電気抵抗を外周領域(第一外周領域121、第二外周領域122)と、中央領域(第一中央領域131)の間で変化させる方法としては、例えば、押出成形後に外周領域となる部分と、押出成形後に中央領域となる部分で異なる体積抵抗率の原料を用いた坏土を押出成形する方法が挙げられる。また、気孔率及び/又は開口率を外周領域と中央領域の間で変化させる方法も挙げられる。
【0034】
好ましい実施形態においては、第一外周領域121及び第二外周領域122の25℃における平均熱伝導率は、第一中央領域131よりもそれぞれ高い。理論によって本発明が限定されることを意図するものではないが、当該構成によって、第一外周領域121及び第二外周領域122が熱拡散しやすくなり、高温になりやすい第一電極層112a及び第二電極層112bのそれぞれの周方向両端近傍における発熱を抑制可能である。
【0035】
第一外周領域121の25℃における平均熱伝導率をC1(W/(m・K))、第二外周領域122の25℃における平均熱伝導率をC2(W/(m・K))、第一中央領域131の25℃における平均熱伝導率をC3(W/(m・K))とすると、1.1≦C1/C3≦6.0であることが好ましく、1.2≦C1/C3≦5.0であることがより好ましく、1.3≦C1/C3≦4.0であることが更により好ましい。また、1.1≦C2/C3≦6.0であることが好ましく、1.2≦C2/C3≦5.0であることがより好ましく、1.3≦C2/C3≦4.0であることが更により好ましい。また、0.9≦C1/C2≦1.1であることが好ましく、0.95≦C1/C2≦1.05であることがより好ましく、0.97≦C1/C2≦1.03であることが更により好ましい。
【0036】
第一外周領域121及び第二外周領域122の25℃における平均熱伝導率は、4~30(W/(m・K))が好ましい。
第一中央領域131の25℃における平均熱伝導率は、3~25(W/(m・K))が好ましい。
【0037】
本明細書において、第一外周領域121及び第二外周領域122の25℃における平均熱伝導率はそれぞれ、以下の方法で求める。ハニカム構造体をセルの延びる方向の中央において二分割し、セルの延びる方向に直交する断面を露出する。二分割されたハニカム構造体の何れか一方について、当該断面を含む直径3mm、(セルの延びる方向の)長さ10mmの円柱状試験片(70.7mm3)を、各外周領域から偏りなく6箇所切り出す。これら6個試験片の非気孔率(1-気孔率/100)(%)と非開口率(1-開口率/100)(%)をそれぞれ算出し、平均値を算出する。次にこれら試験片をよくすりつぶして粉末状にし、レーザーフラッシュ法にて25℃における材料熱伝導率をそれぞれ測定し、平均値を算出する。材料熱伝導率の平均値と非気孔率と非開口率を掛け合わせた値を、第一外周領域121及び第二外周領域122の25℃における平均熱伝導率とする。材料熱伝導率測定上の最小サンプル量の都合やハニカム構造体のサイズの都合によっては、切り出す試験片のサイズは適宜変更してもよい。
各試験片の気孔率は、以下の手順で測定する。各試験片から、セルの延びる方向に垂直な断面について、縦1mm×横1mmの範囲の倍率200倍のSEM画像を取得する。次に、取得したSEM画像を画像解析することにより、隔壁の実体部分と、隔壁中の空隙部分(気孔)とをモード法で二値化する。そして、隔壁の実体部分と空隙部分との合計面積に対する、隔壁中の空隙部分の比の百分率を算出し、得られた値を各試験片の気孔率とする。
各試験片の開口率は、各試験片のセルの延びる方向に垂直な断面において、セル開口面積の合計を、各試験片の隔壁面積(外周壁は除く)とセル開口面積のそれぞれの面積の合計で割って得られた値(セル開口面積合計/(セル開口面積合計+隔壁面積合計))を百分率で表した値である。
【0038】
本明細書において、第一中央領域131の25℃における平均熱伝導率は、以下の方法で求める。ハニカム構造体をセルの延びる方向の中央において二分割し、セルの延びる方向に直交する断面を露出する。二分割されたハニカム構造体の何れか一方について、当該断面を含む直径3mm、(セルの延びる方向の)長さ10mmの円柱状試験片(70.7mm3)を、第一中央領域から偏りなく6箇所切り出す。これら6個の試験片の非気孔率(1-気孔率/100)(%)と非開口率(1-開口率/100)(%)をそれぞれ算出し、平均値を算出する。次にこれら試験片をよくすりつぶして粉末状にし、レーザーフラッシュ法にて25℃における材料熱伝導率をそれぞれ測定し、平均値を算出する。材料熱伝導率の平均値と非気孔率と非開口率を掛け合わせた値を、第一中央領域131の25℃における平均熱伝導率とする。材料熱伝導率測定上の最小サンプル量の都合やハニカム構造体のサイズの都合によっては、切り出す試験片のサイズは適宜変更してもよい。
【0039】
ハニカム構造部の平均熱伝導率を外周領域(第一外周領域121、第二外周領域122)と、中央領域(第一中央領域131)の間で変化させる方法としては、例えば、押出成形後に外周領域となる部分と、押出成形後に中央領域となる部分で異なる熱伝導率の原料を用いた坏土を押出成形する方法が挙げられる。また、気孔率及び/又は開口率を外周領域と中央領域の間で変化させる方法も挙げられる。
【0040】
好ましい実施形態においては、第一外周領域121及び第二外周領域122の平均真密度は、第一中央領域131よりもそれぞれ高い。理論によって本発明が限定されることを意図するものではないが、当該構成によって、第一外周領域121及び第二外周領域122の熱容量が大きくなり、高温になりやすい第一電極層112a及び第二電極層112bのそれぞれの周方向両端近傍における発熱を抑制可能である。
【0041】
第一外周領域121の平均真密度をD1(g/cm3)、第二外周領域122の平均真密度をD2(g/cm3)、第一中央領域131の平均真密度をD3(g/cm3)とすると、1.04≦D1/D3≦1.10であることが好ましく、1.045≦D1/D3≦1.100であることがより好ましい。また、1.04≦D2/D3≦1.10であることが好ましく、1.045≦D2/D3≦1.100であることがより好ましい。また、0.95≦D1/D2≦1.05であることが好ましく、0.96≦D1/D2≦1.04であることがより好ましく、0.97≦D1/D2≦1.03であることが更により好ましい。
【0042】
第一外周領域121及び第二外周領域122の平均真密度は、2.89~3.13(g/cm3)が好ましく、2.91~3.13(g/cm3)がより好ましく、2.94~3.13(g/cm3)が更により好ましい。
第一中央領域131の平均真密度は、2.86~3.10(g/cm3)が好ましく、2.86~3.08(g/cm3)がより好ましく、2.86~3.05(g/cm3)が更により好ましい。
【0043】
本明細書において、第一外周領域121及び第二外周領域122の平均真密度はそれぞれ、以下の方法で求める。ハニカム構造体をセルの延びる方向の中央において二分割し、セルの延びる方向に直交する断面を露出する。二分割されたハニカム構造体の何れか一方について、当該断面を含む直径3mm、(セルの延びる方向の)長さ10mmの円柱状試験片(70.7mm3)を、各外周領域から偏りなく6箇所切り出す。切り出した6個の試験片をよくすりつぶして粉末状にし、ピクノメーター法で真密度をそれぞれ測定し、平均値を算出する。ピクノメーター法の最小サンプル量の都合やハニカム構造体のサイズの都合によっては、切り出す試験片のサイズは適宜変更してもよい。
【0044】
本明細書において、第一中央領域131の平均真密度は、以下の方法で求める。ハニカム構造体をセルの延びる方向の中央において二分割し、セルの延びる方向に直交する断面を露出する。二分割されたハニカム構造体の何れか一方について、当該断面を含む直径3mm、(セルの延びる方向の)長さ10mmの円柱状試験片(70.7mm3)を、第一中央領域から偏りなく6箇所切り出す。切り出した6個の試験片をよくすりつぶして粉末状にし、ピクノメーター法で真密度をそれぞれ測定し、平均値を算出する。ピクノメーター法に必要な試料の量の都合やハニカム構造体のサイズの都合によっては、切り出す試験片のサイズは適宜変更してもよい。
【0045】
ハニカム構造部の平均真密度を外周領域(第一外周領域121、第二外周領域122)と、中央領域(第一中央領域131)の間で変化させる方法としては、例えば、押出成形後に外周領域となる部分と、押出成形後に中央領域となる部分で異なる真密度の原料を用いた坏土を押出成形する方法が挙げられる。
【0046】
好ましい実施形態においては、第一外周領域121及び第二外周領域122の平均気孔率は、第一中央領域131よりもそれぞれ低い。理論によって本発明が限定されることを意図するものではないが、当該構成によって、第一外周領域121及び第二外周領域122の熱容量が大きくかつ熱拡散しやすくなり、高温になりやすい第一電極層112a及び第二電極層112bのそれぞれの周方向両端近傍における発熱を抑制可能である。
【0047】
第一外周領域121の平均気孔率をP1(%)、第二外周領域122の平均気孔率をP2(%)、第一中央領域131の平均気孔率をP3(%)とすると、0.5≦P1/P3≦0.91であることが好ましく、0.56≦P1/P3≦0.87であることがより好ましく、0.67≦P1/P3≦0.87であることが更により好ましい。また、0.5≦P2/P3≦0.91であることが好ましく、0.56≦P2/P3≦0.87であることがより好ましく、0.67≦P2/P3≦0.87であることが更により好ましい。また、0.9≦P1/P2≦1.1であることが好ましく、0.95≦P1/P2≦1.05であることがより好ましく、0.97≦P1/P2≦1.03であることが更により好ましい。
【0048】
第一外周領域121及び第二外周領域122の平均気孔率は、強度確保と焼成時の変形防止のバランスから、30~54(%)が好ましく、30~50(%)がより好ましい。
第一中央領域131の平均気孔率は、強度確保と焼成時の変形防止のバランスを図るため、33~60(%)が好ましく、36~60(%)がより好ましい。
【0049】
本明細書において、第一外周領域121及び第二外周領域122の平均気孔率はそれぞれ、以下の方法で求める。ハニカム構造体をセルの延びる方向の中央において二分割し、セルの延びる方向に直交する断面を露出する。二分割されたハニカム構造体の何れか一方について、当該断面を含む直径3mm、(セルの延びる方向の)長さ10mmの円柱状試験片(70.7mm3)を、各外周領域から偏りなく6箇所切り出す。各試験片から、セルの延びる方向に垂直な断面について、縦1mm×横1mmの範囲の倍率200倍のSEM画像を取得する。次に、取得したSEM画像を画像解析することにより、隔壁の実体部分と、隔壁中の空隙部分(気孔)とをモード法により二値化する。そして、隔壁の実体部分と空隙部分との合計面積に対する、隔壁中の空隙部分の比の百分率を算出し、得られた値を各試験片の気孔率とする。6個の試験片の気孔率の平均値を各外周領域の平均気孔率とする。
【0050】
本明細書において、第一中央領域131の平均気孔率は、以下の方法で求める。ハニカム構造体をセルの延びる方向の中央において二分割し、セルの延びる方向に直交する断面を露出する。二分割されたハニカム構造体の何れか一方について、当該断面を含む直径3mm、(セルの延びる方向の)長さ10mmの円柱状試験片(70.7mm3)を、第一中央領域から偏りなく6箇所切り出す。各試験片から、セルの延びる方向に垂直な断面について、縦1mm×横1mmの範囲の倍率200倍のSEM画像を取得する。次に、取得したSEM画像を画像解析することにより、隔壁の実体部分と、隔壁中の空隙部分(気孔)とをモード法により二値化する。そして、隔壁の実体部分と空隙部分との合計面積に対する、隔壁中の空隙部分の比の百分率を算出し、得られた値を、各試験片の気孔率とする。6個の試験片の気孔率の平均値を第一中央領域の平均気孔率とする。
【0051】
ハニカム構造部の平均気孔率を外周領域(第一外周領域121、第二外周領域122)と、中央領域(第一中央領域131)の間で変化させる方法としては、例えば、押出成形後に外周領域となる部分と、押出成形後に中央領域となる部分で造孔材の配合割合の異なる原料を用いた坏土を押出成形する方法が挙げられる。
【0052】
好ましい実施形態においては、第一外周領域121及び第二外周領域122の平均隔壁厚みは、第一中央領域131よりもそれぞれ大きい。理論によって本発明が限定されることを意図するものではないが、当該構成によって、第一外周領域121及び第二外周領域122の熱容量が大きくなり、高温になりやすい第一電極層112a及び第二電極層112bのそれぞれの周方向両端近傍における発熱を抑制可能である。
【0053】
第一外周領域121の平均隔壁厚みをT1(mm)、第二外周領域122の平均隔壁厚みをT2(mm)、第一中央領域131の平均隔壁厚みをT3(mm)とすると、1.1≦T1/T3≦2.5であることが好ましく、1.1≦T1/T3≦2.0であることがより好ましく、1.1≦T1/T3≦1.5であることが更により好ましい。また、1.1≦T2/T3≦2.5であることが好ましく、1.1≦T2/T3≦2.0であることがより好ましく、1.1≦T2/T3≦1.5であることが更により好ましい。また、0.9≦T1/T2≦1.1であることが好ましく、0.95≦T1/T2≦1.05であることがより好ましく、0.97≦T1/T2≦1.03であることが更により好ましい。
【0054】
第一外周領域121及び第二外周領域122の平均隔壁厚みは、ハニカム構造体の強度と排ガスを流した時の圧力損失のバランスから、0.12~0.25(mm)が好ましい。
第一中央領域131の平均隔壁厚みは、ハニカム構造体の強度と排ガスを流した時の圧力損失のバランスから、0.10~0.23(mm)が好ましく、0.10~0.21(mm)がより好ましく、0.10~0.19(mm)が更により好ましい。
【0055】
本明細書において、第一外周領域121及び第二外周領域122の平均隔壁厚みはそれぞれ、以下の方法で求める。ハニカム構造体をセルの延びる方向の中央において二分割し、セルの延びる方向に直交する断面を露出する。二分割されたハニカム構造体の何れか一方について、当該断面を含む直径3mm、(セルの延びる方向の)長さ10mmの円柱状試験片(70.7mm3)を、各外周領域から偏りなく6箇所切り出す。各試験片から、セルの延びる方向に垂直な断面について、縦2mm×横2mmの範囲の倍率100倍のSEM画像を取得し、当該SEM画像に包含される隔壁の厚みを任意の6箇所求め、その平均値を各試験片における隔壁の厚みとする。そして、6個の試験片の隔壁の厚みの平均値を各外周領域の平均隔壁厚みとする。なお、隔壁113の厚みは、セル115の延びる方向に垂直な断面において、隣接するセル115の重心同士を結ぶ線分のうち、隔壁113を通過する部分の長さとして定義される。
【0056】
本明細書において、第一中央領域131の平均隔壁厚みは、以下の方法で求める。ハニカム構造体をセルの延びる方向の中央において二分割し、セルの延びる方向に直交する断面を露出する。二分割されたハニカム構造体の何れか一方について、当該断面を含む直径3mm、(セルの延びる方向の)長さ10mmの円柱状試験片(70.7mm3)を、第一中央領域から偏りなく6箇所切り出す。各試験片から、セルの延びる方向に垂直な断面について、縦2mm×横2mmの範囲の倍率100倍のSEM画像を取得し、当該SEM画像に包含される隔壁の厚みを任意の6箇所求め、その平均値を各試験片における隔壁の厚みとする。そして、6箇所の試験片の隔壁の厚みの平均値を第一中央領域の平均隔壁厚みとする。
【0057】
ハニカム構造部の平均隔壁厚みを外周領域(第一外周領域121、第二外周領域122)と、中央領域(第一中央領域131)の間で変化させる方法としては、例えば、後述するハニカム成形体を押出成形により作製する工程において、平均隔壁厚みが外周領域と中央領域の間で変化するような構造をもつ口金を使用する方法が挙げられる。
【0058】
好ましい実施形態においては、第一外周領域121及び第二外周領域122の平均セル密度は、第一中央領域131よりもそれぞれ高い。理論によって本発明が限定されることを意図するものではないが、当該構成によって、第一外周領域121及び第二外周領域122の熱容量が大きくかつ熱拡散しやすくなり、高温になりやすい第一電極層112a及び第二電極層112bのそれぞれの周方向両端近傍における発熱を抑制可能である。
【0059】
第一外周領域121の平均セル密度をG1(セル/cm2)、第二外周領域122の平均セル密度をG2(セル/cm2)、第一中央領域131の平均セル密度をG3(セル/cm2)とすると、1<G1/G3≦2であることが好ましく、1<G1/G3≦1.7であることがより好ましく、1<G1/G3≦1.5であることが更により好ましい。また、1<G2/G3≦2であることが好ましく、1<G2/G3≦1.7であることがより好ましく、1<G2/G3≦1.5であることが更により好ましい。また、0.9≦G1/G2≦1.1であることが好ましく、0.95≦G1/G2≦1.05であることがより好ましく、0.97≦G1/G2≦1.03であることが更により好ましい。
【0060】
第一外周領域121及び第二外周領域122の平均セル密度は、圧力損失を小さくした状態で、触媒担持面積を大きくして浄化性能を高くするという観点から、55~124(セル/cm2)が好ましく、62~124(セル/cm2)がより好ましく、70~124(セル/cm2)が更により好ましい。
第一中央領域131の平均セル密度は、圧力損失を小さくした状態で、触媒による浄化性能を高くするという観点から、47~116(セル/cm2)が好ましく、47~109(セル/cm2)がより好ましく、47~101(セル/cm2)が更により好ましい。
【0061】
本明細書において、第一外周領域121及び第二外周領域122の平均セル密度はそれぞれ、セルの延びる方向に直交する断面において、各外周領域内に少なくとも一部が包含されたセル数を、外周壁を除く各外周領域の面積で割って得られた値である。
【0062】
本明細書において、第一中央領域131の平均セル密度は、セルの延びる方向に直交する断面において、第一中央領域内に少なくとも一部が包含されたセル数を、外周壁を除く第一中央領域の面積で割って得られた値である。
【0063】
ハニカム構造部の平均セル密度を外周領域(第一外周領域121、第二外周領域122)と、中央領域(第一中央領域131)の間で変化させる方法としては、例えば、後述するハニカム成形体を押出成形により作製する工程において、平均セル密度が外周領域と中央領域の間で変化するような構造をもつ口金を使用する方法が挙げられる。
【0064】
好ましい実施形態においては、第一外周領域121及び第二外周領域122の平均開口率は、第一中央領域131よりもそれぞれ低い。理論によって本発明が限定されることを意図するものではないが、当該構成によって、第一外周領域121及び第二外周領域122の熱容量が大きくかつ熱拡散しやすくなり、高温になりやすい第一電極層112a及び第二電極層112bのそれぞれの周方向両端近傍における発熱を抑制可能である。
【0065】
第一外周領域121の平均開口率をF1(%)、第二外周領域122の平均開口率をF2(%)、第一中央領域131の平均開口率をF3(%)とすると、0.75≦F1/F3≦0.98であることが好ましく、0.85≦F1/F3≦0.98であることがより好ましく、0.90≦F1/F3≦0.98であることが更により好ましい。また、0.75≦F2/F3≦0.98であることが好ましく、0.85≦F2/F3≦0.98であることがより好ましく、0.90≦F2/F3≦0.98であることが更により好ましい。また、0.9≦F1/F2≦1.1であることが好ましく、0.95≦F1/F2≦1.05であることがより好ましく、0.97≦F1/F2≦1.03であることが更により好ましい。
【0066】
第一外周領域121及び第二外周領域122の平均開口率は、60~78(%)が好ましく、60~76(%)がより好ましく、60~74(%)が更により好ましい。
第一中央領域131の平均開口率は、62~80(%)が好ましく、64~80(%)がより好ましく、66~80(%)が更により好ましい。
【0067】
本明細書において、第一外周領域121及び第二外周領域122の平均開口率はそれぞれ、セルの延びる方向に垂直な断面において、各外周領域内のセル開口面積の合計を、各外周領域内の隔壁面積(外周壁は除く)とセル開口面積のそれぞれの面積の合計で割って得られた値(セル開口面積合計/(セル開口面積合計+隔壁面積合計))を百分率で表した値である。
【0068】
本明細書において、第一中央領域131の平均開口率は、セルの延びる方向に垂直な断面において、第一中央領域内のセル開口面積の合計を、第一中央領域内の隔壁面積(外周壁は除く)とセル開口面積のそれぞれの面積の合計で割って得られた値(セル開口面積合計/(セル開口面積合計+隔壁面積合計))を百分率で表した値である。
【0069】
ハニカム構造部の平均開口率を外周領域(第一外周領域121、第二外周領域122)と、中央領域(第一中央領域131)の間で変化させる方法としては、例えば、後述するハニカム成形体を押出成形により作製する工程において、平均開口率が外周領域と中央領域の間で変化するような構造をもつ口金を使用する方法が挙げられる。
【0070】
図示のハニカム構造体110は、端面形状が円形状であり、全体として円柱状である。ハニカム構造体110の高さ(一方の端面から他方の端面までの長さ)は特に制限はなく、用途や要求性能に応じて適宜設定すればよい。ハニカム構造体の高さと各端面の直径の関係についても特に制限はない。従って、ハニカム構造体の高さが各端面の直径よりも長くてもよいし、ハニカム構造体の高さが各端面の直径よりも短くてもよい。
【0071】
また、ハニカム構造体110の大きさは、耐熱性を高める(外周壁の周方向に入るクラックを抑制する)という理由により、一つの端面の面積が3000~20000mm2であることが好ましく、5000~15000mm2であることが更に好ましい。
【0072】
外周壁114及び隔壁113は、電極層112a、112bよりも体積抵抗率は高いものの導電性を有する。外周壁114及び隔壁113の体積抵抗率は、通電してジュール熱により発熱可能である限り特に制限はないが、四端子法により25℃で測定したときに、0.1~200Ωcmであることが好ましく、1~200Ωcmであることがより好ましく、10~100Ωcmであることが更に好ましい。
【0073】
ハニカム構造体110に外周壁114を設けることは、ハニカム構造体110の構造強度を確保し、また、セル115を流れる流体が外周壁114から漏洩するのを抑制する観点で有用である。この点で、外周壁114の厚みは好ましくは0.1mm以上であり、より好ましくは0.15mm以上であり、更により好ましくは0.2mm以上である。但し、外周壁114を厚くしすぎると高強度になりすぎてしまい、隔壁113との強度バランスが崩れて耐熱衝撃性が低下することから、外周壁114の厚みは好ましくは1.0mm以下であり、より好ましくは0.7mm以下であり、更により好ましくは0.5mm以下である。ここで、外周壁114の厚みは、厚みを測定しようとする外周壁114の箇所をセル115の延びる方向に垂直な断面で観察したときに、当該測定箇所における外周壁114の外表面の接線に対する法線方向の厚みとして定義される。
【0074】
セル115の延びる方向に垂直な断面におけるセルの開口形状に制限はなく、例えば多角形状とするこができる、四角形、六角形、八角形、又はこれらの組み合わせであることが好ましい。これ等のなかでも、四角形及び六角形が好ましい。セル形状をこのようにすることにより、ハニカム構造体110に排ガスを流したときの圧力損失が小さくなり、触媒の浄化性能が優れたものとなる。これらのセルは円弧状の角部を有していても多角形状のセルとみなす。
【0075】
セル115は一方の端面116から他方の端面118まで貫通していてもよい。また、セル115は、一方の端面116が目封止されており他方の端面118が開口を有する第1セルと、一方の端面116が開口を有し他方の端面118が目封止されている第2セルとが隔壁113を挟んで交互に隣接配置されていてもよい。
【0076】
外周壁114及び隔壁113の材質は、通電してジュール熱により発熱可能である限り特に材質に制限はなく、セラミックス(とりわけ導電性セラミックス)等を単独で又は組み合わせて使用可能である。外周壁114及び隔壁113の材質としては、限定的ではないが、アルミナ、ムライト、ジルコニア及びコージェライト等の酸化物系セラミックス、炭化珪素、窒化珪素及び窒化アルミ等の非酸化物系セラミックスの一種又は二種以上を使用することができる。また、炭化珪素-金属珪素複合材や炭化珪素/グラファイト複合材等を用いることもできる。これらの中でも、耐熱性と導電性の両立の観点から、外周壁114及び隔壁113の材質は、珪素-炭化珪素複合材又は炭化珪素を主成分とすることが好ましく、珪素-炭化珪素複合材又は炭化珪素であることが更に好ましい。外周壁114及び隔壁113の材質が、珪素-炭化珪素複合材を主成分とするものであるというときは、外周壁114及び隔壁113がそれぞれ、珪素-炭化珪素複合材(合計質量)を、全体の90質量%以上含有していることを意味する。ここで、珪素-炭化珪素複合材は、骨材としての炭化珪素粒子、及び炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するものであり、複数の炭化珪素粒子が、炭化珪素粒子間に細孔を形成するようにして、珪素によって結合されていることが好ましい。外周壁114及び隔壁113の材質が、炭化珪素を主成分とするものであるというときは、外周壁114及び隔壁113がそれぞれ、炭化珪素(合計質量)を、全体の90質量%以上含有していることを意味する。
【0077】
外周壁114及び隔壁113が、珪素-炭化珪素複合材を含んでいる場合、外周壁114及び隔壁113に含有される「骨材としての炭化珪素粒子の質量」と、外周壁114及び隔壁113に含有される「結合材としての珪素の質量」との合計に対する、外周壁114及び隔壁113に含有される「結合材としての珪素の質量」の比率はそれぞれ、10~40質量%であることが好ましく、15~35質量%であることが更に好ましい。10質量%以上であると、外周壁114及び隔壁113の強度が十分に維持される。40質量%以下であると、焼成時に形状を保持しやすくなる。
【0078】
(1-2.電極層)
図1A及び
図1Bを参照しながら電極層112a、112bについて説明する。外周壁114の表面には、第一電極層112aがセル115の延びる方向に帯状に設けられている。また、外周壁114の表面には、ハニカム構造体110の中心軸を挟んで第一電極層112aと対向するように、第二電極層112bがセル115の延びる方向に帯状に設けられている。一般に、第一電極層112a及び第二電極層112bは、外周壁114よりも体積抵抗率が低い。このため、一対の電極層112a、112bが外周壁114の表面に配設されることで、電流がハニカム構造体110の周方向及びセル115の延びる方向に広がりやすくなるので、ハニカム構造体110の均一発熱性を高めることが可能となる。具体的には、セル115の延びる方向に垂直な断面において、一対の電極層112a、112bのそれぞれの周方向中心からハニカム構造体110の中心軸まで延ばした二つの線分のなす角度θ(0°≦θ≦180°)は、150°≦θ≦180°であることが好ましく、160°≦θ≦180°であることがより好ましく、170°≦θ≦180°であることが更により好ましく、180°であることが最も好ましい。
【0079】
電極層112a、112bの形成領域に特段の制約はないが、ハニカム構造体110の均一発熱性を高めるという観点からは、電極層112a、112bはそれぞれ、外周壁114の外表面上でハニカム構造体110の周方向及びセル115の延びる方向に帯状に延設することが好ましい。具体的には、セル115の延びる方向に垂直な断面において、各電極層112a、112bの周方向の両端と中心軸とを結ぶ2本の線分が作る中心角αは、電流を周方向に広げて均一発熱性を高めるという観点から、30°以上であることが好ましく、40°以上であることがより好ましく、60°以上であることが更により好ましい。但し、中心角αを大きくし過ぎると、ハニカム構造体110の内部を通過する電流が少なくなり、外周壁114付近を通過する電流が多くなる。そこで、当該中心角αは、ハニカム構造体110の均一発熱性の観点から、140°以下であることが好ましく、130°以下であることがより好ましく、120°以下であることが更により好ましい。また、電極層112a、112bはそれぞれ、ハニカム構造体110の両端面間の長さの80%以上の長さに亘って、好ましくは90%以上の長さに亘って、より好ましくは全長に亘って延びていることが望ましい。電極層112a、112bは単層で構成されていてもよく、複数層が積層された積層構造を有することもできる。
【0080】
電極層112a、112bの厚みは、0.01~5mmであることが好ましく、0.01~3mmであることが更に好ましい。このような範囲とすることにより均一発熱性を高めることができる。電極層112a、112bの厚みが0.01mm以上であると、電気抵抗が適切に制御され、より均一に発熱することができる。5mm以下であると、キャニング時に破損する恐れが低減される。電極層112a、112bの厚みは、厚みを測定しようとする電極層112a、112bの箇所をセル115の延びる方向に垂直な断面で観察したときに、当該測定箇所における電極層112a、112bの外表面の接線に対する法線方向の厚みとして定義される。
【0081】
電極層112a、112bの体積抵抗率を隔壁113及び外周壁114の体積抵抗率より低くすることにより、電極層112a、112bに優先的に電気が流れやすくなり、通電時に電気がハニカム構造体110の周方向及びセル115の延びる方向に広がりやすくなる。電極層112a、112bの体積抵抗率は、隔壁113及び外周壁114の体積抵抗率の1/10以下であることが好ましく、1/20以下であることがより好ましく、1/30以下であることが更により好ましい。但し、両者の体積抵抗率の差が大きくなりすぎると対向する電極層112a、112bの端部間に電流が集中してハニカム構造体110の発熱が偏ることから、電極層112a、112bの体積抵抗率は、隔壁113及び外周壁114の体積抵抗率の1/200以上であることが好ましく、1/150以上であることがより好ましく、1/100以上であることが更により好ましい。本明細書において、電極層、隔壁及び外周壁の体積抵抗率は、四端子法により25℃で測定した値とする。
【0082】
電極層112a、112bの材質は、限定的ではないが、金属とセラミックス(とりわけ導電性セラミックス)との複合材(サーメット)を使用することができる。金属としては、例えばCr、Fe、Co、Ni、Si又はTiの単体金属又はこれらの金属から選択される少なくとも一種の金属を含有する合金が挙げられる。セラミックスとしては、限定的ではないが、炭化珪素(SiC)の他、珪化タンタル(TaSi2)及び珪化クロム(CrSi2)等の金属珪化物等の金属化合物が挙げられる。金属とセラミックスとの複合材(サーメット)の具体例としては、金属珪素と炭化珪素の複合材、珪化タンタルや珪化クロム等の金属珪化物と金属珪素と炭化珪素の複合材、更には上記の一種又は二種以上の金属に熱膨張低減の観点から、アルミナ、ムライト、ジルコニア、コージェライト、窒化珪素及び窒化アルミ等の絶縁性セラミックスを一種又は二種以上添加した複合材が挙げられる。電極層112a、112bの材質としては、上記の各種金属及びセラミックスの中でも、金属珪素と炭化珪素の複合材とすることが、隔壁及び外周壁と同時に焼成できるので製造工程の簡素化に資するという理由により好ましい。
【0083】
(1-3.金属端子)
図1A及び
図1Bを参照すると、電気加熱型担体100は、第一電極層112aに電気的に接続された少なくとも一つの第一金属端子130aと、第二電極層112bに電気的に接続された少なくとも一つの第二金属端子130bとを設けることができる。第一電極層112aと第一金属端子130aは直接接合されもよいし、熱膨張差を緩和して接合信頼性の改善を図る目的で両者の間に一層又は二層以上の下地層(不図示)を設けてもよい。同様に、第二電極層112bと第二金属端子130bは直接接合されもよいし、熱膨張差を緩和して接合信頼性の改善を図る目的で両者の間に一層又は二層以上の下地層を設けてもよい。
【0084】
金属端子130a、130bを介してハニカム構造体110に電圧を印加すると通電してハニカム構造体110にジュール熱が発生する。このため、ハニカム構造体110はヒーターとしても好適に用いることができる。これにより、ハニカム構造体110の均一発熱性を向上させることが可能となる。印加する電圧は12~900Vが好ましく、48~600Vが更に好ましいが、印加する電圧は適宜変更可能である。
【0085】
金属端子130a、130bと電極層112a、112b(下地層が設けられる場合は下地層)の接合方法には、特に制限はないが、例えば、溶接、溶射、ロウ付が挙げられる。中でも、800℃以上に加熱しても接合部の変質が少ないという理由により、溶接、溶射が好ましい。
【0086】
金属端子130a、130bの材質としては、金属であれば特段の制約はなく、単体金属及び合金等を採用することもできるが、耐食性、体積抵抗率及び線膨張率の観点から例えば、Cr、Fe、Co、Ni及びTiよりなる群から選択される少なくとも一種を含む合金とすることが好ましく、ステンレス鋼及びFe-Ni合金がより好ましい。
【0087】
(2.排気ガス浄化装置)
本発明の一実施形態に係る電気加熱型担体は、排気ガス浄化装置に用いることができる。
図3を参照すると、排気ガス浄化装置200は、電気加熱型担体100と、当該電気加熱型担体100を収容する筒状の金属管220とを有する。電気加熱型担体100の金属端子130a、130bには給電のための電線240を接続することができる。金属管220の材質としては、限定的ではないが、例えばステンレス鋼が挙げられる。
【0088】
排気ガス浄化装置200において、電気加熱型担体100は、自動車排ガス等の流体の流路の途中に設置することができる。電気加熱型担体100は、例えば、セルの延伸方向と金属管220の延伸方向が一致する位置関係で金属管220内に押し込んで嵌合させる押し込みキャニングによって、金属管220内に固定することができる。金属管220と電気加熱型担体100の間にはクッション材260を配置してもよい。クッション材260の材質としては、限定的ではないが、アルミナファイバー及びムライトファイバー等のセラミックスファイバーが電気加熱型担体の位置ずれの抑制や金属管と気加熱型担体との面圧維持の理由により好ましい。
【0089】
(3.製造方法)
次に、本発明の一実施形態に係る電気加熱型担体を製造する方法について例示的に説明する。電気加熱型担体は、ハニカム成形体を得る工程1と、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造体を得る工程2と、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造体を焼成してハニカム構造体を得る工程3と、電極層に金属端子を接合する工程4とを含む製造方法により製造可能である。
【0090】
(工程1)
工程1は、ハニカム構造体の前駆体であるハニカム成形体を作製する工程である。ハニカム成形体の作製は、公知のハニカム構造体の製造方法におけるハニカム成形体の作製方法に準じて行うことができる。例えば、まず、炭化珪素粉末(炭化珪素)に、金属珪素粉末(金属珪素)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して成形原料を作製する。炭化珪素粉末の質量と金属珪素粉末の質量との合計に対して、金属珪素粉末の質量が10~40質量%となるようにすることが好ましい。炭化珪素粉末における炭化珪素粒子の平均粒子径は、3~50μmが好ましく、3~40μmがより好ましい。金属珪素粉末における金属珪素粒子の平均粒子径は、2~35μmであることが好ましい。炭化珪素粒子及び金属珪素粒子の平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。炭化珪素粒子は、炭化珪素粉末を構成する炭化珪素の微粒子であり、金属珪素粒子は、金属珪素粉末を構成する金属珪素の微粒子である。なお、これは、ハニカム構造体の材質を、珪素-炭化珪素系複合材とする場合の成形原料の配合であり、ハニカム構造体の材質を炭化珪素とする場合には、金属珪素は添加しない。
【0091】
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、2.0~10.0質量部であることが好ましい。
【0092】
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.1~2.0質量部であることが好ましい。
【0093】
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.5~10.0質量部であることが好ましい。造孔材の平均粒子径は、10~30μmであることが好ましい。造孔材の平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。造孔材が吸水性樹脂の場合には、造孔材の平均粒子径は吸水後の平均粒子径のことである。
【0094】
水の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、20~60質量部であることが好ましい。
【0095】
次に、得られた成形原料を混練して柱状の坏土を形成する。坏土のうち、押出成形後に外周領域を構成する部分と、押出後に中央領域を構成する部分の間で、造孔材の添加量を変化させたり、炭化珪素粉末と金属珪素粉末の配合比を変更して真密度を変化させたりすることも可能である。その後、坏土を押出成形して、外周壁及び隔壁を有する柱状のハニカム成形体を作製する。これにより、ハニカム構造部は一体成形品として提供することが可能になる。押出成形に際しては、所望の全体形状、セル形状、隔壁厚み、セル密度、開口率等を有する口金を用いることができる。口金構造は、ハニカム構造部の場所に応じて変えることができ、例えば、外周領域(第一外周領域121、第二外周領域122、第三外周領域123、及び第四外周領域124)と、中央領域(第一中央領域131及び第二中央領域132)の間で変化させることも可能である。次に、得られたハニカム成形体について、乾燥を行うことが好ましい。ハニカム成形体の中心軸方向長さが、所望の長さではない場合は、ハニカム成形体の両端部を切断して所望の長さとすることができる。乾燥後のハニカム成形体をハニカム乾燥体と呼ぶ。
【0096】
工程1の変形例として、ハニカム成形体を一旦焼成してもよい。すなわち、この変形例では、ハニカム成形体を焼成してハニカム焼成体を作製し、当該ハニカム焼成体に対して工程2を実施する。
【0097】
(工程2)
工程2は、ハニカム成形体の側面に電極層形成ペーストを塗布して、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造体を得る工程である。電極層形成ペーストは、電極層の要求特性に応じて配合した原料粉(金属粉末、セラミックス粉末、造孔材等)に各種添加剤を適宜添加して混練することで形成することができる。原料粉の平均粒子径は、限定的ではないが、例えば、5~50μmであることが好ましく、10~30μmであることがより好ましい。原料粉の平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。
【0098】
次に、得られた電極層形成ペーストを、ハニカム成形体(典型的にはハニカム乾燥体)の側面の所要箇所に塗布し、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造体を得る。電極層形成ペーストを調合する方法、及び電極層形成ペーストをハニカム成形体に塗布する方法については、公知のハニカム構造体の製造方法に準じて行うことができるが、電極層を外周壁及び隔壁に比べて低い体積抵抗率にするために、外周壁及び隔壁よりも金属の含有比率を高めたり、原料粉中の金属粒子の粒径を小さくしたりすることができる。
【0099】
(工程3)
工程3は、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造体を焼成してハニカム構造体を得る工程である。焼成前に、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造体を乾燥してもよい。また、焼成前に、バインダ等を除去するため、脱脂を行ってもよい。脱脂及び焼成の方法は特に限定されず、電気炉、ガス炉等を用いて焼成することができる。焼成条件としては、ハニカム構造体の材質にもよるが、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気において、1400~1500℃で、1~20時間加熱することが好ましい。
【0100】
(工程4)
工程4は、電極層に金属端子を接合する工程である。接合方法としては、特に制限はないが、例えば、溶射、溶接及びロウ付が挙げられる。電極層と金属端子との接合性を向上させる点から、溶射等の方法により下地層を形成してもよい。
【実施例0101】
以下、本発明及びその利点をより良く理解するための実施例を例示するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0102】
[1.各電極層の中心角αが100°である円柱状ハニカム構造体の製造]
<試験例1-1>
(1.円柱状の坏土の作製)
炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末とを80:20の質量割合で混合してセラミックス原料を調製した。そして、セラミックス原料に、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、造孔材として吸水性樹脂を添加すると共に、水を添加して成形原料とした。そして、成形原料を真空土練機により混練し、円柱状の坏土を作製した。バインダの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに7質量部とした。造孔材の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに3質量部とした。水の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに42質量部とした。
この際、円柱状の坏土の高さ方向に直交する何れの断面においても、重心Oの座標値を0、外周壁の外表面の座標値を1.00Rとしたとき、座標値0.90R~1.00Rの領域のうち、重心Oを基準とする中心角で表して、後に形成する各電極層の周方向の一端から30°だけはみ出た箇所から、各電極層の周方向の他端から30°だけはみ出た箇所までの坏土の部分(円環扇形状部分)について、炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の配合比が異なり(すなわち、真密度が異なり)、造孔材の添加量が異なる坏土に置き換えた。
炭化珪素粉末の平均粒子径は20μmであり、金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。また、造孔材の平均粒子径は20μmであった。炭化珪素粉末、金属珪素粉末及び造孔材の平均粒子径は、レーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。
【0103】
(2.ハニカム乾燥体の作製)
得られた円柱状の坏土を碁盤目状の口金構造を有する押出成形機を用いて成形し、セルの延伸方向に垂直な断面における各セル形状が六角形である円柱状のハニカム成形体を得た。
この際、セルの延びる方向に直交する何れの断面においても、重心Oの座標値を0、外周壁の外表面の座標値を1.00Rとしたとき、座標値0.90R~1.00Rの領域のうち、重心Oを基準とする中心角で表して、後に形成する各電極層の周方向の一端から30°だけはみ出た箇所から、各電極層の周方向の他端から30°だけはみ出た箇所までのハニカム構造部の部分の単位体積当たり熱容量が、ハニカム構造部の他の部分から切り替わるように、平均隔壁厚み、平均セル密度及び平均開口率を変化させた。なお、平均電気抵抗、平均熱伝導率は単独で変化させなかったが、上記のパラメータを変化させることで変化させた。
このハニカム成形体を高周波誘電加熱乾燥した後、熱風乾燥機を用いて120℃で2時間乾燥し、両端面を所定量切断して、ハニカム乾燥体を作製した。
【0104】
(3.電極層形成ペーストの調製)
金属珪素(Si)粉末、炭化珪素(SiC)粉末、メチルセルロース、グリセリン、及び水を、自転公転攪拌機で混合して、電極層形成ペーストを調製した。Si粉末、及びSiC粉末は体積比で、Si粉末:SiC粉末=40:60となるように配合した。また、Si粉末、及びSiC粉末の合計を100質量部としたときに、メチルセルロースは0.5質量部であり、グリセリンは10質量部であり、水は38質量部であった。金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。炭化珪素粉末の平均粒子径は35μmであった。これらの平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。
【0105】
(4.電極層形成ペーストの塗布)
上記の電極層形成ペーストを上記のハニカム乾燥体の外周壁の外表面上に中心軸を挟んで対向するように、曲面印刷機によって二箇所塗布した。各塗布部は、ハニカム乾燥体の両端面間の全長に亘って帯状に形成した(角度θ=180°、中心角α=100°)。
【0106】
(5.焼成)
電極層形成ペースト付きハニカム構造体を120℃で乾燥した後、大気雰囲気において、550℃で3時間、脱脂した。次に、脱脂した電極層形成ペースト付きハニカム構造体を、焼成し、その後に酸化処理して、高さ60mm×直径103mm(電極層を除く部分)の円柱状のハニカム構造体を得た。焼成は、1450℃のアルゴン雰囲気中で2時間行った。
【0107】
<試験例1-2>
円柱状のハニカム成形体の作製の際、セルの延びる方向に直交する何れの断面においても、重心Oの座標値を0、外周壁の外表面の座標値を1.00Rとしたとき、座標値0.90R~1.00Rの領域のうち、重心Oを基準とする中心角で表して、後に形成する各電極層の周方向の一端から20°だけはみ出た箇所から、各電極層の周方向の他端から20°だけはみ出た箇所までのハニカム構造部の部分の単位体積当たりの熱容量が、ハニカム構造部の他の部分から切り替わるように、平均電気抵抗、平均熱伝導率、平均真密度、平均気孔率、平均隔壁厚み、平均セル密度及び平均開口率を変化させた。それ以外の製造条件は、試験例1-1と同様として、円柱状のハニカム構造体を得た。
【0108】
<試験例1-3>
円柱状のハニカム成形体の作製の際、セルの延びる方向に直交する何れの断面においても、重心Oの座標値を0、外周壁の外表面の座標値を1.00Rとしたとき、座標値0.90R~1.00Rの領域のうち、重心Oを基準とする中心角で表して、後に形成する各電極層の周方向の一端から10°だけはみ出た箇所から、各電極層の周方向の他端から10°だけはみ出た箇所までのハニカム構造部の部分の単位体積当たりの熱容量が、ハニカム構造部の他の部分から切り替わるように、平均電気抵抗、平均熱伝導率、平均真密度、平均気孔率、平均隔壁厚み、平均セル密度及び平均開口率を変化させた。それ以外の製造条件は、試験例1-1と同様として、円柱状のハニカム構造体を得た。
【0109】
<試験例1-4>
円柱状のハニカム成形体の作製の際、セルの延びる方向に直交する何れの断面においても、重心Oの座標値を0、外周壁の外表面の座標値を1.00Rとしたとき、座標値0.90R~1.00Rの領域のうち、重心Oを基準とする中心角で表して、後に形成する各電極層の周方向の一端から5°だけはみ出た箇所から、各電極層の周方向の他端から5°だけはみ出た箇所までのハニカム構造部の部分の単位体積当たりの熱容量が、ハニカム構造部の他の部分から切り替わるように、平均電気抵抗、平均熱伝導率、平均真密度、平均気孔率、平均隔壁厚み、平均セル密度及び平均開口率を変化させた。それ以外の製造条件は、試験例1-1と同様として、円柱状のハニカム構造体を得た。
【0110】
<試験例1-5>
円柱状のハニカム成形体の作製の際、セルの延びる方向に直交する何れの断面においても、重心Oの座標値を0、外周壁の外表面の座標値を1.00Rとしたとき、座標値0.90R~1.00Rの領域のうち、重心Oを基準とする中心角で表して、後に形成する各電極層の周方向の一端から他端までのハニカム構造部の部分の単位体積当たりの熱容量が、ハニカム構造部の他の部分から切り替わるように、平均電気抵抗、平均熱伝導率、平均真密度、平均気孔率、平均隔壁厚み、平均セル密度及び平均開口率を変化させた。それ以外の製造条件は、試験例1-1と同様として、円柱状のハニカム構造体を得た。
【0111】
<試験例1-6>
円柱状のハニカム成形体の作製の際、ハニカム構造部における熱容量の切り替えは行わなかった。それ以外の製造条件は、試験例1-1と同様として、円柱状のハニカム構造体を得た。
【0112】
<試験例1-7>
円柱状のハニカム成形体の作製の際、セルの延びる方向に直交する何れの断面においても、重心Oの座標値を0、外周壁の外表面の座標値を1.00Rとしたとき、座標値0.95R~1.00Rの領域のうち、重心Oを基準とする中心角で表して、後に形成する各電極層の周方向の一端から5°だけはみ出た箇所から、各電極層の周方向の他端から5°だけはみ出た箇所までのハニカム構造部の部分の単位体積当たりの熱容量が、ハニカム構造部の他の部分から切り替わるように、平均電気抵抗、平均熱伝導率、平均真密度、平均気孔率、平均隔壁厚み、平均セル密度及び平均開口率を変化させた。それ以外の製造条件は、試験例1-1と同様として、円柱状のハニカム構造体を得た。
【0113】
<試験例1-8>
円柱状のハニカム成形体の作製の際、セルの延びる方向に直交する何れの断面においても、重心Oの座標値を0、外周壁の外表面の座標値を1.00Rとしたとき、座標値0.83R~1.00Rの領域のうち、重心Oを基準とする中心角で表して、後に形成する各電極層の周方向の一端から5°だけはみ出た箇所から、各電極層の周方向の他端から5°だけはみ出た箇所までのハニカム構造部の部分の単位体積当たりの熱容量が、ハニカム構造部の他の部分から切り替わるように、平均電気抵抗、平均熱伝導率、平均真密度、平均気孔率、平均隔壁厚み、平均セル密度及び平均開口率を変化させた。それ以外の製造条件は、試験例1-1と同様として、円柱状のハニカム構造体を得た。
【0114】
<試験例1-9>
円柱状のハニカム成形体の作製の際、セルの延びる方向に直交する何れの断面においても、重心Oの座標値を0、外周壁の外表面の座標値を1.00Rとしたとき、座標値0.76R~1.00Rの領域のうち、重心Oを基準とする中心角で表して、後に形成する各電極層の周方向の一端から5°だけはみ出た箇所から、各電極層の周方向の他端から5°だけはみ出た箇所までのハニカム構造部の部分の単位体積当たりの熱容量が、ハニカム構造部の他の部分から切り替わるように、平均電気抵抗、平均熱伝導率、平均真密度、平均気孔率、平均隔壁厚み、平均セル密度及び平均開口率を変化させた。それ以外の製造条件は、試験例1-1と同様として、円柱状のハニカム構造体を得た。
【0115】
[2.各電極層の中心角αが60°である円柱状ハニカム構造体の製造]
<試験例2-1>
各電極層の中心角αを60°に変更した。また、円柱状のハニカム成形体の作製の際、セルの延びる方向に直交する何れの断面においても、重心Oの座標値を0、外周壁の外表面の座標値を1.00Rとしたとき、座標値0.90R~1.00Rの領域のうち、重心Oを基準とする中心角で表して、後に形成する各電極層の周方向の一端から20°だけはみ出た箇所から、各電極層の周方向の他端から20°だけはみ出た箇所までのハニカム構造部の部分の単位体積当たりの熱容量が、ハニカム構造部の他の部分から切り替わるように、平均電気抵抗、平均熱伝導率、平均真密度、平均気孔率、平均隔壁厚み、平均セル密度及び平均開口率を変化させた。それ以外の製造条件は、試験例1-1と同様として、円柱状のハニカム構造体を得た。
【0116】
<試験例2-2>
円柱状のハニカム成形体の作製の際、セルの延びる方向に直交する何れの断面においても、重心Oの座標値を0、外周壁の外表面の座標値を1.00Rとしたとき、座標値0.90R~1.00Rの領域のうち、重心Oを基準とする中心角で表して、後に形成する各電極層の周方向の一端から15°だけはみ出た箇所から、各電極層の周方向の他端から15°だけはみ出た箇所までのハニカム構造部の部分の単位体積当たりの熱容量が、ハニカム構造部の他の部分から切り替わるように、平均電気抵抗、平均熱伝導率、平均真密度、平均気孔率、平均隔壁厚み、平均セル密度及び平均開口率を変化させた。それ以外の製造条件は、試験例2-1と同様として、円柱状のハニカム構造体を得た。
【0117】
<試験例2-3>
円柱状のハニカム成形体の作製の際、セルの延びる方向に直交する何れの断面においても、重心Oの座標値を0、外周壁の外表面の座標値を1.00Rとしたとき、座標値0.90R~1.00Rの領域のうち、重心Oを基準とする中心角で表して、後に形成する各電極層の周方向の一端から10°だけはみ出た箇所から、各電極層の周方向の他端から10°だけはみ出た箇所までのハニカム構造部の部分の単位体積当たりの熱容量が、ハニカム構造部の他の部分から切り替わるように、平均電気抵抗、平均熱伝導率、平均真密度、平均気孔率、平均隔壁厚み、平均セル密度及び平均開口率を変化させた。それ以外の製造条件は、試験例2-1と同様として、円柱状のハニカム構造体を得た。
【0118】
<試験例2-4>
円柱状のハニカム成形体の作製の際、セルの延びる方向に直交する何れの断面においても、重心Oの座標値を0、外周壁の外表面の座標値を1.00Rとしたとき、座標値0.90R~1.00Rの領域のうち、重心Oを基準とする中心角で表して、後に形成する各電極層の周方向の一端から5°だけはみ出た箇所から、各電極層の周方向の他端から5°だけはみ出た箇所までのハニカム構造部の部分の単位体積当たりの熱容量が、ハニカム構造部の他の部分から切り替わるように、平均電気抵抗、平均熱伝導率、平均真密度、平均気孔率、平均隔壁厚み、平均セル密度及び平均開口率を変化させた。それ以外の製造条件は、試験例2-1と同様として、円柱状のハニカム構造体を得た。
【0119】
<試験例2-5>
円柱状のハニカム成形体の作製の際、セルの延びる方向に直交する何れの断面においても、重心Oの座標値を0、外周壁の外表面の座標値を1.00Rとしたとき、座標値0.90R~1.00Rの領域のうち、重心Oを基準とする中心角で表して、後に形成する各電極層の周方向の一端から他端までのハニカム構造部の部分の単位体積当たりの熱容量が、ハニカム構造部の他の部分から切り替わるように、平均電気抵抗、平均熱伝導率、平均真密度、平均気孔率、平均隔壁厚み、平均セル密度及び平均開口率を変化させた。それ以外の製造条件は、試験例2-1と同様として、円柱状のハニカム構造体を得た。
【0120】
<試験例2-6>
円柱状のハニカム成形体の作製の際、ハニカム構造部における熱容量の切り替えは行わなかった。それ以外の製造条件は、試験例2-1と同様として、円柱状のハニカム構造体を得た。
<試験例2-7>
円柱状のハニカム成形体の作製の際、セルの延びる方向に直交する何れの断面においても、重心Oの座標値を0、外周壁の外表面の座標値を1.00Rとしたとき、座標値0.95R~1.00Rの領域のうち、重心Oを基準とする中心角で表して、後に形成する各電極層の周方向の一端から5°だけはみ出た箇所から、各電極層の周方向の他端から5°だけはみ出た箇所までのハニカム構造部の部分の単位体積当たりの熱容量が、ハニカム構造部の他の部分から切り替わるように、平均電気抵抗、平均熱伝導率、平均真密度、平均気孔率、平均隔壁厚み、平均セル密度及び平均開口率を変化させた。それ以外の製造条件は、試験例2-1と同様として、円柱状のハニカム構造体を得た。
【0121】
<試験例2-8>
円柱状のハニカム成形体の作製の際、セルの延びる方向に直交する何れの断面においても、重心Oの座標値を0、外周壁の外表面の座標値を1.00Rとしたとき、座標値0.83R~1.00Rの領域のうち、重心Oを基準とする中心角で表して、後に形成する各電極層の周方向の一端から5°だけはみ出た箇所から、各電極層の周方向の他端から5°だけはみ出た箇所までのハニカム構造部の部分の単位体積当たりの熱容量が、ハニカム構造部の他の部分から切り替わるように、平均電気抵抗、平均熱伝導率、平均真密度、平均気孔率、平均隔壁厚み、平均セル密度及び平均開口率を変化させた。それ以外の製造条件は、試験例2-1と同様として、円柱状のハニカム構造体を得た。
【0122】
<試験例2-9>
円柱状のハニカム成形体の作製の際、セルの延びる方向に直交する何れの断面においても、重心Oの座標値を0、外周壁の外表面の座標値を1.00Rとしたとき、座標値0.76R~1.00Rの領域のうち、重心Oを基準とする中心角で表して、後に形成する各電極層の周方向の一端から5°だけはみ出た箇所から、各電極層の周方向の他端から5°だけはみ出た箇所までのハニカム構造部の部分の単位体積当たりの熱容量が、ハニカム構造部の他の部分から切り替わるように、平均電気抵抗、平均熱伝導率、平均真密度、平均気孔率、平均隔壁厚み、平均セル密度及び平均開口率を変化させた。それ以外の製造条件は、試験例2-1と同様として、円柱状のハニカム構造体を得た。
【0123】
[3.各電極層の電気抵抗が異なる円柱状ハニカム構造体の製造]
<試験例3-1>
電極層形成ペーストの調製の際、電極層の電気抵抗が上昇するように、電極層の厚みを薄くした。それ以外の製造条件は、試験例1-2と同様として、円柱状のハニカム構造体を得た。
【0124】
<試験例3-2>
電極層形成ペーストの調製の際、電極層の電気抵抗が上昇するように、電極層の厚みを薄くした。それ以外の製造条件は、試験例1-3と同様として、円柱状のハニカム構造体を得た。
【0125】
<試験例3-3>
電極層形成ペーストの調製の際、電極層の電気抵抗が上昇するように、電極層の厚みを薄くした。それ以外の製造条件は、試験例1-4と同様として、円柱状のハニカム構造体を得た。
【0126】
<試験例3-4>
電極層形成ペーストの調製の際、電極層の電気抵抗が上昇するように、電極層の厚みを薄くした。それ以外の製造条件は、試験例1-5と同様として、円柱状のハニカム構造体を得た。
【0127】
<試験例3-5>
電極層形成ペーストの調製の際、電極層の電気抵抗が上昇するように、電極層の厚みを薄くした。それ以外の製造条件は、試験例1-6と同様として、円柱状のハニカム構造体を得た。
<試験例3-6>
電極層形成ペーストの調製の際、電極層の電気抵抗が上昇するように、電極層の厚みを薄くした。それ以外の製造条件は、試験例1-7と同様として、円柱状のハニカム構造体を得た。
【0128】
<試験例3-7>
電極層形成ペーストの調製の際、電極層の電気抵抗が上昇するように、電極層の厚みを薄くした。それ以外の製造条件は、試験例1-8と同様として、円柱状のハニカム構造体を得た。
【0129】
<試験例3-8>
電極層形成ペーストの調製の際、電極層の電気抵抗が上昇するように、電極層の厚みを薄くした。それ以外の製造条件は、試験例1-9と同様として、円柱状のハニカム構造体を得た。
【0130】
[4.特性評価]
<1.平均熱容量>
上記で得られた各試験例に係る円柱状のハニカム構造体について、先述した測定方法に従い、第一外周領域、第二外周領域、第一中央領域、第三外周領域、第四外周領域、第二中央領域の単位体積当たりの25℃における平均熱容量を測定した。また、各領域の熱容量の変動係数を算出した。結果を表1、表2、表3に示す。
【0131】
<2.平均電気抵抗>
上記で得られた各試験例に係る円柱状のハニカム構造体について、先述した測定方法に従い、第一外周領域、第二外周領域、第一中央領域の25℃における平均電気抵抗を測定した。結果を表1、表2、表3に示す。
【0132】
<3.平均熱伝導率>
上記で得られた各試験例に係る円柱状のハニカム構造体について、先述した測定方法に従い、第一外周領域、第二外周領域、第一中央領域の25℃における平均熱伝導率を測定した。結果を表1、表2、表3に示す。
【0133】
<4.平均真密度>
上記で得られた各試験例に係る円柱状のハニカム構造体について、先述した測定方法に従い、第一外周領域、第二外周領域、第一中央領域の平均真密度を測定した。結果を表1、表2、表3に示す。
【0134】
<5.平均気孔率>
上記で得られた各試験例に係る円柱状のハニカム構造体について、先述した測定方法に従い、第一外周領域、第二外周領域、第一中央領域の平均気孔率を測定した。結果を表1、表2、表3に示す。
【0135】
<6.平均隔壁厚み>
上記で得られた各試験例に係る円柱状のハニカム構造体について、先述した測定方法に従い、第一外周領域、第二外周領域、第一中央領域の平均隔壁厚みを測定した。結果を表1、表2、表3に示す。
【0136】
<7.平均セル密度>
上記で得られた各試験例に係る円柱状のハニカム構造体について、先述した測定方法に従い、第一外周領域、第二外周領域、第一中央領域の平均セル密度を測定した。結果を表1、表2、表3に示す。
【0137】
<8.平均開口率>
上記で得られた各試験例に係る円柱状のハニカム構造体について、先述した測定方法に従い、第一外周領域、第二外周領域、第一中央領域の平均開口率を測定した。結果を表1、表2、表3に示す。
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
[5.温度分布のシミュレーション]
上記の製造条件で得られたハニカム構造体について、一対の電極層のそれぞれの表面中央にハニカム構造体の質量240g当たり8kWの電力消費となるような電圧を1s印加したときの、セルの延びる方向に直交する断面であって、ハニカム構造部のセルの延びる方向の中央における温度分布を市販の有限要素法CAE解析のソフトウェアを使用して、シミュレーションした。シミュレーションの条件は以下とした。
・ソルバータイプ:時刻歴応答解析
・ハニカム構造体初期温度:25℃
シミュレーションで得られた最高温度、最低温度、及び両者の差を、表4、表5、表6に示す。
【0142】
【0143】
【0144】
【0145】
[6.考察]
表4、表5、表6の結果から分かるように、本発明の実施形態に係るハニカム構造体(電気加熱型担体)を使用することで、発熱均一性が改善できることが分かる。