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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142089
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20241003BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A61G12/00 E
H04N7/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054082
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135127
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 正己
(72)【発明者】
【氏名】小川 憲一
【テーマコード(参考)】
4C341
5C054
【Fターム(参考)】
4C341JJ01
4C341LL05
4C341LL10
4C341MR11
4C341MR17
4C341MR18
4C341MS22
5C054CA04
5C054CC02
5C054FC12
5C054HA12
5C054HA19
(57)【要約】
【課題】カメラにより検出された患者の動作についての通知がなされる際、その緊急度合いを加味して対応することができるナースコールシステムを提供する。
【解決手段】カメラ8により検出される患者の動作の内容に関連付けて、ナースコール親機3に送信される通知信号に優先順位が設定されており、ナースコール親機3は、今回受信した第2の通知信号が、すでに受信しているものの応答する前の第1の通知信号よりも優先順位の高い通知信号であると、第1の通知信号に係る呼び出しよりも第2の通知信号に係る呼び出しを優先するようになっている。したがって、患者の動作に係る緊急度合いを加味した対応が可能となる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が看護師を呼び出すためのナールコール子機と、前記ナースコール子機による呼び出しに応答するためのナースコール親機と、前記ナースコール子機と前記ナースコール親機との通信を制御する制御機と、ベッド上を含めた前記ベッド周囲を撮像するカメラと、前記カメラにより撮像された映像を解析する映像解析手段と、制御手段とを有しており、
前記制御手段は、前記ベッド周囲の映像に映り込む人物について所定の動作を検出すると、当該動作の内容と、当該動作が検出されたベッドに係るIDと、当該動作が検出されたベッドに対応する前記ナースコール子機からの呼出信号とを含んだ通知信号を前記ナースコール親機に送信するナースコールシステムであって、
前記動作の内容に関連付けて前記通知信号に優先順位が設定されており、
前記ナースコール親機は、今回受信した第2の通知信号が、すでに受信しているものの応答する前の第1の通知信号よりも前記優先順位の高い通知信号であると、前記第1の通知信号に係る呼び出しよりも前記第2の通知信号に係る呼び出しを優先することを特徴とするナースコールシステム。
【請求項2】
前記動作として、ベッド上に患者が起き上がる起き上がり動作と、起き上がった患者が再びベッド上に横になる起き上がり解除動作とを検出可能であるとともに、
前記起き上がり動作を通知する前記通知信号の方が、前記起き上がり解除動作を通知する前記通知信号よりも前記優先順位が高く設定されていることを特徴とする請求項1に記載のナースコールシステム。
【請求項3】
前記動作として、ベッド上の患者が離床する離床動作と、離床した患者が再びベッド上に復帰する離床解除動作とを検出可能であるとともに、
前記離床動作を通知する前記通知信号の方が、前記離床解除動作を通知する前記通知信号よりも前記優先順位が高く設定されていることを特徴とする請求項1に記載のナースコールシステム。
【請求項4】
前記動作として、ベッド上の患者が離床する離床動作と、離床した患者が一定時間を経過してもベッド上に復帰しない時間経過動作とを検出可能であるとともに、
前記時間経過動作を通知する前記通知信号の方が、前記離床動作を通知する前記通知信号よりも前記優先順位が高く設定されていることを特徴とする請求項1に記載のナースコールシステム。
【請求項5】
前記ナースコール親機は、前記通知信号の受信に係る呼び出しに応答する前に、同じ前記IDを含んだ前記通知信号を新たに受信すると、新たに受信した前記通知信号に係る優先順位にもとづいた呼び出し順に更新することを特徴とする請求項1~4の何れかに記載のナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッド上の患者を撮像するカメラにより患者の状態を確認できる機能を備えたナースコールシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のナースコールとしては、ベッド上の患者を撮像するカメラにより患者の状態を確認できる機能を備えたものがある。たとえば特許文献1に記載のナースコールシステムでは、患者がベッド上に起き上がったりベッドから離床したりする事態がカメラにより検出されると、ナースコール親機に当該事態の発生が通知され、ナースコール親機において報知されるように構成されている。また、このナースコール親機への通知にあたり、上述したような事態の発生したベッドに対応するナースコール子機(特定のナースコール子機)からの呼出信号がナースコール親機へ送信され、ナースコール親機においてたとえばハンドセットをアップする等の応答動作がなされると、上記特定のナースコール子機との間で通話が可能となるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-63542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的なナースコール親機では、複数のナースコール子機から呼出信号を受信すると、呼出信号を受信した順番で保留としており、応答動作に伴い、最も早く呼出信号を受信したナースコール子機との間で通話が可能となるように構成されている。しかしながら、たとえば起き上がり動作と離床動作とでは緊急度合いが異なることがあり、従来のように先着順で対応するとなると使い勝手が悪いという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、カメラにより検出された患者の動作についての通知がなされる際、その緊急度合いを加味して対応することができるナースコールシステムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、患者が看護師を呼び出すためのナールコール子機と、ナースコール子機による呼び出しに応答するためのナースコール親機と、ナースコール子機とナースコール親機との通信を制御する制御機と、ベッド上を含めたベッド周囲を撮像するカメラと、カメラにより撮像された映像を解析する映像解析手段と、制御手段とを有しており、制御手段は、ベッド周囲の映像に映り込む人物について所定の動作を検出すると、当該動作の内容と、当該動作が検出されたベッドに係るIDと、当該動作が検出されたベッドに対応するナースコール子機からの呼出信号とを含んだ通知信号をナースコール親機に送信するナースコールシステムであって、動作の内容に関連付けて通知信号に優先順位が設定されており、ナースコール親機は、今回受信した第2の通知信号が、すでに受信しているものの応答する前の第1の通知信号よりも優先順位の高い通知信号であると、第1の通知信号に係る呼び出しよりも第2の通知信号に係る呼び出しを優先することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、カメラにより検出される患者の動作の内容に関連付けて通知信号に優先順位が設定されており、ナースコール親機は、今回受信した第2の通知信号が、すでに受信しているものの応答する前の第1の通知信号よりも優先順位の高い通知信号であると、第1の通知信号に係る呼び出しよりも第2の通知信号に係る呼び出しを優先するようになっている。したがって、患者の動作に係る緊急度合いを加味した対応が可能となる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、動作として、ベッド上に患者が起き上がる起き上がり動作と、起き上がった患者が再びベッド上に横になる起き上がり解除動作とを検出可能であるとともに、起き上がり動作を通知する通知信号の方が、起き上がり解除動作を通知する通知信号よりも優先順位が高く設定されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、起き上がったものの再びベッド上に横になった患者よりも、現在起き上がっている患者について優先して対応することができる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、動作として、ベッド上の患者が離床する離床動作と、離床した患者が再びベッド上に復帰する離床解除動作とを検出可能であるとともに、離床動作を通知する通知信号の方が、離床解除動作を通知する通知信号よりも優先順位が高く設定されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、離床したものの再びベッド上に復帰した患者よりも、現在離床している患者について優先して対応することができる。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、動作として、ベッド上の患者が離床する離床動作と、離床した患者が一定時間を経過してもベッド上に復帰しない時間経過動作とを検出可能であるとともに、時間経過動作を通知する通知信号の方が、離床動作を通知する通知信号よりも優先順位が高く設定されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、離床して一定時間経過している患者を、離床しているもののまだ一定時間経過していない患者よりも優先して対応することができる。
【0010】
請求項5に記載の発明は、ナースコール親機は、通知信号の受信に係る呼び出しに応答する前に、同じIDを含んだ通知信号を新たに受信すると、新たに受信した通知信号に係る優先順位にもとづいた呼び出し順に更新することを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、起き上がったものの再びベッド上に横になったり、患者や離床したものの再びベッド上に復帰したり、離床して一定時間経過したり等、時間の経過に伴い患者の状況が変化した際に、適切な優先順位で呼び出すことが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カメラにより検出される患者の動作の内容に関連付けて通知信号に優先順位が設定されており、ナースコール親機は、今回受信した第2の通知信号が、すでに受信しているものの応答する前の第1の通知信号よりも優先順位の高い通知信号であると、第1の通知信号に係る呼び出しよりも第2の通知信号に係る呼び出しを優先するようになっている。したがって、患者の動作に係る緊急度合いを加味した対応が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ナースコールシステムの全体構成を示した説明図である。
図2】ナースコール親機のブロック構成図である。
図3】カメラのブロック構成図である。
図4】起き上がり動作に係る通知制御を示したフローチャートである。
図5】離床動作に係る通知制御を示したフローチャートである。
図6】ナースコール親機における通知信号の優先順位を示した説明図である。
図7】表示部において優先順位にしたがった通知表示がなされる具体例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態となるナースコールシステムについて、図面にもとづき詳細に説明する。
【0014】
図1は、ナースコールシステムの全体構成を示した説明図である。図2は、ナースコール親機3のブロック構成図である。図3は、カメラ8のブロック構成図である。図4は、起き上がり動作に係る通知制御を示したフローチャートである。図5は、離床動作に係る通知制御を示したフローチャートである。図6は、ナースコール親機における通知信号の優先順位を示した説明図である。図7は、表示部9において優先順位にしたがった通知表示がなされる具体例を示した説明図である。
【0015】
ナースコールシステムは、患者が看護師を呼び出すためにベッド毎に設置されたナースコール子機1、1・・と、病室の出入口の近傍に設置され、ナースコール子機1による呼び出し操作を点滅等で報知するとともに病室の患者情報を表示する廊下灯2、2・・と、ナースステーション等に設置され、ナースコール子機1、1・・からの呼び出し操作を報知するとともにその呼び出しに応答するためのナースコール親機3と、各看護師が携行して患者らかの呼び出しに応答するためのスマートフォン等の携帯端末4、4・・と、該携帯端末4、4・・と通信するアクセスポイント等の基地局5、5・・と、基地局5を介して通信を管理するための交換機6と、各機器間での呼出/通話を制御するための制御機7と、各ベッド毎に設置され、ベッド及びベッドの周囲を撮像するためのカメラ8、8・・とを備えてなる。また、廊下灯2、2・・、ナースコール親機3、及び交換機6はLAN回線L1により制御機7と接続され、各ナースコール子機1は伝送線L2により廊下灯2と接続され、各カメラ8は伝送線L3により廊下灯2と接続されている。
【0016】
そして、ナースコールシステムでは、カメラ8、8・・を利用して患者の状態を確認している。すなわち、カメラ8が撮像した映像を解析し、ベッド上の患者が伏した状態から起き上がると、当該動作が起き上がり動作として検出されるとともに、その起き上がり動作の検出がナースコール親機3に通知され、ナースコール親機3にて報知される。また、患者がベッド上からベッド外へ移動する動作を検出すると、当該動作が離床動作として検出されるとともに、その離床動作がナースコール親機3に通知され、ナースコール親機3にて報知される。
【0017】
なお、上述したような通知の際には、起き上がり動作が検出されたのか、それとも離床動作が検出されたのかに加えて、該当するベッドに対応するナースコール子機1からの呼出信号がナースコール親機3に送信される。したがって、当該通知に対しナースコール親機3においてハンドセットをアップする等の応答動作がなされると、ナースコール親機3は、呼出信号の送信元であるナースコール子機1との間で通話が可能となる。また、カメラ8が撮像した映像にもとづく起き上がり動作及び離床動作の検出は、たとえば特開2019-63542号公報に記載されているような方法で行われる。さらに、カメラ8が撮像した映像の解析は、カメラ8に設けた映像解析部により行うとしてもよい。
【0018】
ここで、本発明の要部となるカメラ8で撮像された映像にもとづく通知制御について説明する。
ナースコール親機3は、自身の動作を制御する親機CPU11、ナースコール子機1からの呼出に係る表示を行う表示部9、ナースコール子機1との間で通話するためのハンドセット等の通話部13、各種操作するための操作部14、LAN回線L1が接続される通信インターフェイス15、及び各種データや後述するような通知に係る優先順位等を記憶する記憶部12を有している。
【0019】
一方、カメラ8は、自身の動作を制御するカメラCPU21、ベッドと該ベッドの周囲とを撮像する撮像部25、撮像部25により撮像された映像を解析する映像解析部22、伝送線L3が接続される通信インターフェイス24、及び通知に係る設定等を記憶する記憶部23を有している。そして、カメラ8では、所定周期(たとえば1秒)毎に撮像部25で撮像された映像を映像解析部22で解析しており、上述したような起き上がり動作や離床動作を検出すると、撮像しているベッドに対応するナースコール子機1からの呼出信号を含んだ通知信号をナースコール親機3へ送信する。
【0020】
まず、起き上がり動作が検出された際の通知動作について、図4に示すフローチャートに沿って説明する。
カメラ8は、後述する起き上がりフラグを確認(S1でNOと判断)した後、ベッド上の患者について起き上がり動作を検出したか否かを判断し(S2)、起き上がり動作を検出する(S2でYESと判断する)と、起き上がりフラグをONする(S3)とともに、撮像対象のベッドにおいて起き上がり動作が検出された旨を含んだ通知信号である起き上がり通知信号をナースコール親機3へ送信する(S4)。また、このようにして起き上がりフラグがONされると、S1でYESと判断した後、起き上がっているベッド上の患者が再び横になったか否かを判断する(S5)。そして、ベッド上の患者が再び横になったことを検出する(S5でYESと判断する)と、起き上がりフラグをOFFする(S6)とともに、撮像対象のベッドにおいて患者が起き上がった後に再び横になった旨を含んだ通知信号である起き上がり解除通知信号をナースコール親機3へ送信する(S7)。さらに、ナースコール親機3においてハンドセットがアップされる等の応答操作がなされる(S8でYESと判断される)と、起き上がりフラグを含む各種フラグはOFFされる(S9)。以上のように、起き上がり動作の検出に関しては、ナースコール親機3に対して2種類の通知がなされる。
【0021】
次に、離床動作が検出された際の通知動作について、図5に示すフローチャートに沿って説明する。
カメラ8は、後述する時間経過フラグ及び離床フラグを確認(S11及びS12で共にNOと判断)した後、ベッド上の患者について離床動作を検出したか否かを判断し(S13)、離床動作を検出する(S13でYESと判断する)と、離床フラグをONする(S14)とともに、撮像対象のベッドにおいて離床動作が検出された旨を含んだ通知信号である離床通知信号をナースコール親機3へ送信する(S15)。また、このようにして離床フラグがONされると、S12でYESと判断した後、離床している患者がベッド上に復帰したか否かを判断する(S16)。そして、患者が再びベッド上に移動したことを検出する(S16でYESと判断する)と、時間経過フラグをOFFする(S17)とともに離床フラグをOFFして(S18)、撮像対象のベッドにおいて患者がベッド上に復帰した旨を含んだ通知信号である離床解除通知信号をナースコール親機3へ送信する(S19)。一方、患者がベッド上へ移動していない(S16でNOと判断する)と、離床動作を検出してから一定時間(たとえば1分間)が経過したか否かを判断する(S20)。そして、患者が離床してからベッド上へ復帰することなく一定時間が経過する(S20でYESと判断する)と、時間経過フラグをONする(S21)とともに、撮像対象のベッドにおいて患者が離床してから一定時間が経過した旨を含んだ通知信号である時間経過通知信号をナースコール親機3へ送信する(S22)。さらに、上述のようにしてONされた時間経過フラグ、離床解除フラグ、及び離床フラグは、ナースコール親機3においてハンドセットがアップされる等の応答操作がなされた(S23でYESと判断された)ことをもってOFFされる(S24)。以上のように、離床動作の検出に関しては、ナースコール親機3に対して3種類の通知がなされる。
【0022】
一方、ナースコール親機3では、通知信号を受信すると、当該通知信号に係る患者の名前、ベッドのID、及び検出された動作の内容を含んだ通知表示を表示部9に表示するとともに呼び出しを保留とする。一般的なナースコール子機1からの呼び出しに係る呼出表示に関しては、呼出信号を受信した順、すなわち先着順で呼出表示を表示部9に表示するとともに呼び出しを保留とする。したがって、ナールコール親機3で応答操作した際には、保留している呼び出しのうち最も早くに呼出信号を受信したナースコール子機1との間で通話が可能となる。しかしながら、ナースコール親機3には、カメラ8による動作検出に係る通知信号の受信に伴う通知表示及び保留の順番に関して、図6に示すような優先順位が設定されている。すなわち、優先順位第1位として、患者が離床してからベッド上に復帰しないまま一定時間が経過した旨を含んだ時間経過通知信号が設定されている。また、優先順位第2位として、患者が離床した旨を含んだ離床通知信号が設定されており、優先順位第3位として、患者が離床後に一定時間経過することなくベッド上に復帰した旨を含んだ離床解除通知信号が設定されている。さらに、優先順位第4位として、患者がベッド上で起き上がった旨を含んだ起き上がり通知信号が設定されており、優先順位第5位として、ベッド上で起き上がった患者が再び横になった旨を含んだ起き上がり解除通知信号が設定されている。そして、ナースコール親機3は、通知信号を受信すると、その優先順位にもとづいて通知表示及び保留の順番を変更する。なお、同じ優先順位の通知信号については、従来通り先着順とする。
【0023】
ナースコール親機3での優先順位にもとづく通知表示及び保留の順番変更に係る制御について、図7にもとづき具体的に説明する。
まず、ID101のベッドにおいて患者の起き上がり動作が検出されたとする。すなわち、ナースコール親機3は、ベッドID101に係る通知信号として起き上がり通知信号を受信する。すると、ナースコール親機3では、図7(a)に示すように、ベッドID101の佐々木太郎さんがベッド上で起き上がった旨を報知する通知表示31が表示部9に表示されると共に、ベッドID101に対応するナースコール子機1からの呼び出しが最優先の呼び出しとして保留される。
【0024】
次に、この呼び出しに対して応答する前に、ID102のベッドにおいて患者の離床が検出され、その後ID103のベッドにおいても患者の離床が検出されたとする。すなわち、ナースコール親機3は、ベッドID102に係る通知信号として離床通知信号を受信した後、ベッドID103に係る通知信号として離床通知信号を受信する。すると、ナースコール親機3では、今回受信した2つの離床通知信号は、それよりも前に受信した起き上がり通知信号よりも優先順位が高いため、図7(b)に示すように、ベッドID102の有村俊秀さんが離床したことを報知する通知表示32が、ベッドID101の佐々木太郎さんに係る通知表示31よりも優先して表示部9に表示される(すなわち、優先順位に応じて各通知表示の表示位置を決定する)と共に、ベッドID102に対応するナースコール子機1からの呼び出しがベッドID101に対応するナースコール子機1からの呼び出しよりも優先して保留される。したがって、ナースコール親機3において応答操作がなされると、ベッドID102に対応するナースコール子機1との間で通話が可能となる。また、ベッドID103の阿佐間紀美子さんが離床したことを報知する通知表示33は、ベッドID101の佐々木太郎さんに係る通知表示31よりも優先されるものの、ベッドID102の有村俊秀さんに係る通知表示32よりは順番が後になるように表示部9に表示されると共に、保留に関しても同様の順番とされる。したがって、ベッドID102に対応するナースコール子機1との間での通話が終了後に再び応答操作がなされると、ベッドID103に対応するナースコール子機1との間で通話が可能となる。
【0025】
さらに、上記呼び出しに対して応答する前に、ID102のベッドにおいて患者がベッド上に復帰したことが検出されたとする。すなわち、ナースコール親機3は、ベッドID102に係る通知信号として離床解除通知信号を受信する。すると、ナースコール親機3では、今回受信した離床解除通知信号は、それよりも前に受信しているベッドID103に係る離床通知信号よりも優先順位が低いため、図7(c)に示すように、ベッドID103の阿佐間紀美子さんが離床したことを報知する通知表示33が最優先の通知表示として表示部9に表示されると共に、ベッドID103に対応するナースコール子機1からの呼び出しが最優先の呼び出しとして保留される。したがって、ナースコール親機3において応答操作がなされると、ベッドID103に対応するナースコール子機1との間で通話が可能となる。ただ、今回受信した離床解除通知信号は、それよりも前に受信した起き上がり通知信号よりも優先順位が高いため、ベッドID102の有村俊秀さんが離床したもののベッド上に復帰したことを報知する通知表示34は、ベッドID101の佐々木太郎さんに係る通知表示31よりも優先して表示部9に表示されると共に、保留に関しても優先して保留される(呼び出し順が更新される)。したがって、ベッドID103に対応するナースコール子機1との間での通話が終了後に再び応答操作がなされると、ベッドID102に対応するナースコール子機1との間で通話が可能となる。
【0026】
以上のような構成を有するナースコールシステムによれば、カメラ8により検出される患者の動作の内容に関連付けて、ナースコール親機3に送信される通知信号に優先順位が設定されており、ナースコール親機3は、今回受信した第2の通知信号が、すでに受信しているものの応答する前の第1の通知信号よりも優先順位の高い通知信号であると、第1の通知信号に係る呼び出しよりも第2の通知信号に係る呼び出しを優先するようになっている。したがって、患者の動作に係る緊急度合いを加味した対応が可能となる。
【0027】
また、ベッド上に患者が起き上がる起き上がり動作を通知する起き上がり通知信号と、起き上がった患者が再びベッド上に横になる起き上がり解除動作を通知する起き上がり解除通知信号と、ベッド上の患者が離床する離床動作を通知する離床通知信号と、離床した患者が再びベッド上に復帰する離床解除動作を通知する離床解除通知信号と、離床した患者が一定時間を経過してもベッド上に復帰しない時間経過動作を通知する時間経過通知信号とが優先順位をつけられて設定されているため、緊急度合いを加味した一層適切な呼び出しが可能となる。
【0028】
さらに、ナースコール親機は、通知信号の受信に係る呼び出しに応答する前に、同じIDを含んだ通知信号を新たに受信すると、新たに受信した通知信号に係る優先順位にもとづいた呼び出し順に更新するため、起き上がったものの再びベッド上に横になったり、離床したものの再びベッド上に復帰したり、離床して一定時間経過したり等、時間の経過に伴い患者の状況が変化した際に、適切な優先順位で呼び出すことが可能となる。
【0029】
なお、本発明に係るナースコールシステムは、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、ナースコールシステムの全体的な構成は勿論、優先順位を加味した呼び出しに係る構成について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0030】
たとえば、上記実施形態では、カメラに映像解析手段及び制御手段を設けているが、廊下灯に映像解析手段及び制御手段を設けてもよいし、制御機に映像解析手段及び制御手段を設けてもよく、映像解析手段及び制御手段の具体的構造についても適宜設計変更することができる。
また、どのような種類の動作を検出するかという事項や、検出する動作の順位付けについても適宜設計変更可能である。
さらに、たとえばベッドID101については起き上がり動作に係る通知は行わない等、個々のベッド毎にどのような動作がナースコール親機に通知されるかを適宜設定可能としてもよい。
加えて、上記実施形態では、伝送線L3を介してカメラと廊下灯とを接続しているが、LAN回線L1を介してカメラと制御機とを接続するように構成してもよく、カメラを接続する対象となる機器については適宜設計変更可能である。
【符号の説明】
【0031】
1・・ナースコール子機、2・・廊下灯、3・・ナースコール親機、4・・携帯端末、7・・制御機、8・・カメラ、9・・表示部、11・・親機CPU、12・・記憶部、13・・通話部、21・・カメラCPU(制御手段)、22・・映像解析部(映像解析手段)、23・・記憶部、25・・撮像部、31、32、33、34・・通知表示。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7