IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 太平洋セメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-二酸化炭素回収装置 図1
  • 特開-二酸化炭素回収装置 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142093
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】二酸化炭素回収装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/14 20060101AFI20241003BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20241003BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B01D53/14 220
B01D53/62 ZAB
B01D53/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054088
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000240
【氏名又は名称】太平洋セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】福永 蘭
(72)【発明者】
【氏名】川之上 太志
(72)【発明者】
【氏名】一坪 幸輝
【テーマコード(参考)】
4D002
4D020
【Fターム(参考)】
4D002AA02
4D002AA09
4D002AA12
4D002AC05
4D002BA02
4D002BA14
4D002CA07
4D002DA31
4D002EA08
4D002GA01
4D002GA02
4D002GA03
4D002GB01
4D002GB02
4D002GB11
4D002HA08
4D020AA03
4D020AA05
4D020AA06
4D020BA16
4D020BC01
4D020CB08
4D020CC09
4D020CC10
4D020CD02
4D020DA01
4D020DA02
4D020DA03
4D020DB01
4D020DB03
4D020DB06
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素を高い回収率で安定的に回収することが可能な二酸化炭素回収装置を提供する。
【解決手段】二酸化炭素回収装置100は、導入される二酸化炭素を含有する排ガスG1から二酸化炭素を吸収する吸収液Lが貯留されている吸収塔30と、加熱により二酸化炭素が分離される吸収液Lが貯留されている再生塔40と、吸収塔30から再生塔40に導入される吸収液Lと再生塔40から吸収塔30に導入される吸収液Lとの間で熱交換を行う熱交換器50と、排ガスG1の二酸化炭素の濃度を測定する排ガス分析計23と、高濃度の二酸化炭素を含有するガスG3を吸収塔30に導入する流量調整弁75と、測定した二酸化炭素の濃度が所定の濃度M未満である場合、吸収塔30に導入される排ガスG1の二酸化炭素の濃度が濃度M以上となるように、流量制御弁75を制御して、吸収塔30にガスG3を導入させる制御部90とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導入される二酸化炭素を含有する排ガスから二酸化炭素を吸収する吸収液が貯留されている吸収塔と、
加熱により二酸化炭素が分離される吸収液が貯留されている再生塔と、
前記吸収塔から前記再生塔に導入される吸収液と前記再生塔から前記吸収塔に導入される吸収液との間で熱交換を行う第1の熱交換器と、
前記排ガスの二酸化炭素の濃度を測定する濃度測定器と、
前記排ガスの二酸化炭素の濃度よりも高い濃度の二酸化炭素を含有するガスを前記吸収塔に導入する二酸化炭素ガス導入手段と、
前記濃度測定器が測定した二酸化炭素の濃度が所定の濃度未満である場合、前記吸収塔に導入される排ガスの二酸化炭素の濃度が前記所定の濃度以上となるように、前記二酸化炭素ガス導入手段を制御して、前記吸収塔に前記ガスを導入させる制御部とを備えることを特徴とする二酸化炭素回収装置。
【請求項2】
前記再生塔で分離された二酸化炭素を圧縮して貯蔵する二酸化炭素貯蔵手段を備え、
前記二酸化炭素ガス導入手段は、前記二酸化炭素貯蔵手段から前記ガスを前記吸収塔に導入することを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素回収装置。
【請求項3】
前記第1の熱交換器から前記吸収塔に導入される吸収液と前記二酸化炭素貯蔵手段から前記吸収塔に導入される前記ガスとの間で熱交換を行う第2の熱交換器を備えることを特徴とする請求項2に記載の二酸化炭素回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
温室効果ガスの1つである二酸化炭素(CO)ガスの削減はセメント業界にとっても喫緊の課題である。二酸化炭素ガスを回収する有力な技術として化学吸収法(アミン法)がある。化学吸収法は、アミン系吸収液の二酸化炭素の吸収、脱離の特性を利用した二酸化炭素分離回収技術であり、他方式に比べ大容量・低圧ガスに適合し、既存のセメント製造プロセスに影響を及ぼさないという利点がある。
【0003】
化学吸収法を用いた二酸化炭素回収装置においては、導入された二酸化炭素を含有するガスが吸収塔内の吸収液と気液接触して吸収され、二酸化炭素を吸収した吸収液が吸収塔から熱交換器により加熱された後、再生塔内に供給され、再生塔に貯留された吸収液が加熱器によって加熱され、これにより、吸収液中の二酸化炭素が再生塔内に二酸化炭素ガスとして放出され、高純度の二酸化炭素含有ガスとして回収される。吸収液と接触するガスに含有される二酸化炭素の濃度が高いほど、多くの二酸化炭素を安定的に回収することができる。
【0004】
例えば、特許文献1には、測定した排ガスの流量及び排ガス中の二酸化炭素濃度から吸収塔に導入される排ガス中の二酸化炭素流量を定め、吸収塔に供給する吸収液流量の二酸化炭素流量に対する比率を一定に調節すると共に、再生液を加熱する加熱器のスチーム流量の吸収液流量に対する比率を一定に調節することが開示されている。これにより、二酸化炭素の回収率を一定に維持すると共に、再生液の過剰な加熱を抑制することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-165761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術においては、吸収塔に導入される排ガス中の二酸化炭素濃度が低い場合、二酸化炭素を高い回収率で回収することができない。
【0007】
本発明は、二酸化炭素を高い回収率で安定的に回収することが可能な二酸化炭素回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の二酸化炭素回収装置は、導入される二酸化炭素を含有する排ガスから二酸化炭素を吸収する吸収液が貯留されている吸収塔と、加熱により二酸化炭素が分離される吸収液が貯留されている再生塔と、前記吸収塔から前記再生塔に導入される吸収液と前記再生塔から前記吸収塔に導入される吸収液との間で熱交換を行う第1の熱交換器と、前記排ガスの二酸化炭素の濃度を測定する濃度測定器と、前記排ガスの二酸化炭素の濃度よりも高い濃度の二酸化炭素を含有するガスを前記吸収塔に導入する二酸化炭素ガス導入手段と、前記濃度測定器が測定した二酸化炭素の濃度が所定の濃度未満である場合、前記吸収塔に導入される排ガスの二酸化炭素の濃度が前記所定の濃度以上となるように、前記二酸化炭素ガス導入手段を制御して、前記吸収塔に前記ガスを導入させる制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の二酸化炭素回収装置によれば、吸引塔に常に所定の濃度以上の二酸化炭素を含有するガスが導入される。そのため、二酸化炭素を高い回収率で安定的に回収することが可能となる。
【0010】
本発明の二酸化炭素回収装置において、前記再生塔で分離された二酸化炭素を圧縮して貯蔵する二酸化炭素貯蔵手段を備え、前記二酸化炭素ガス導入手段は、前記二酸化炭素貯蔵手段から前記ガスを前記吸収塔に導入することが好ましい。
【0011】
この場合、吸収塔に導入する高濃度の二酸化炭素を含有するガスのガス源として、外部のガス源を追加して設置する必要がない。
【0012】
また、本発明の二酸化炭素回収装置において、前記第1の熱交換器から前記吸収塔に導入される吸収液と前記二酸化炭素貯蔵手段から前記吸収塔に導入される前記ガスとの間で熱交換を行う第2の熱交換器を備えることが好ましい。
【0013】
この場合、吸収塔に戻される吸収液を、冷却水などを用いて冷却することなく、二酸化炭素を吸収するに適した温度に冷却することが可能となる。また、吸収塔に導入されるガスを、別個の加熱装置を追加することなく、そのガスに含有される二酸化炭素が吸収液で吸収されるに適した温度に加熱することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る二酸化炭素回収装置100を示す模式図。
図2】本発明の実施形態の変形に係る二酸化炭素回収装置200を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に係る二酸化炭素回収装置100を、図面を参照して説明する。二酸化炭素回収装置100は、セメント原料粉末Pを焼成するセメント焼成装置10に付設されている。
【0016】
セメント焼成装置10は、予備加熱機11、仮焼炉12、及びセメントキルン13などから構成されている。
【0017】
予備加熱機11は、多段、ここでは4段のサイクロン11a~11dが配列されてなるプレヒータである。セメント原料粉末Pは、図示しないセメント原料粉末生成設備から最上段のサイクロン11aに供給され、サイクロン11a~11cを下方に順次移動しながら予備加熱され、サイクロン11cから仮焼炉12に供給され、最終的にサイクロン11dに供給される。予備加熱機11は、誘引ファン14で吸引されて上昇する高温の排ガスGとの熱交換により、セメント原料粉末Pを予備加熱する。
【0018】
仮焼炉12は、予備加熱機11の下部に備わり、バーナなどを備えている。仮焼炉12は、その型式は限定されないが、例えば、流動床式、流動層式、噴流層式などの型式であってもよい。なお、仮焼炉12を省略して、予備加熱機11からセメントキルン13にセメント原料粉末Pを直接的に供給してもよい。
【0019】
セメントキルン13は、バーナ13aを備えており、仮焼炉12にて仮焼されたセメント原料粉末Pを1350℃~1450℃で焼成してセメントクリンカCを生成する。セメントキルン13は、その型式は限定されないが、例えば、ロータリー式である。
【0020】
セメントキルン13にて得られたセメントクリンカCは、排出口から落下して、クリンカクーラ15に投入され、100℃程度に冷却される。冷却されたセメントクリンカCはクリンカクーラ15の取出口から外部へ取り出される。なお、クリンカクーラ15でセメントクリンカCを冷却して高温となった排ガスGの一部は、仮焼炉12に流入する。
【0021】
二酸化炭素回収装置100は、洗浄塔(前処理塔)20、吸収塔30、再生塔40、2つの熱交換器50,60、二酸化炭素貯蔵タンク70、冷却水タンク80、及び制御部90などから構成されている。二酸化炭素回収装置100において二酸化炭素を化学吸収法にて吸収する吸収液Lは、MEA、MDEA、AMP、PZ/PIPAなどのアミン系吸収液である。なお、熱交換器50は本発明の第1の熱交換器に、二酸化炭素貯蔵タンク70は本発明の二酸化炭素貯蔵手段に、熱交換器60は本発明の第2の熱交換器に、それぞれ相当する。
【0022】
洗浄塔20内に、二酸化炭素(CO)を含有する排ガスG1が、誘引ファン21で吸引されて配管22を介して導入される。この排ガスG1は、図示しないが、セメント原料からセメント原料粉末Pを生成してセメント焼成装置10に供給するセメント原料粉末生成設備から排出され、電気集塵機などの集塵手段を介して、煙突から大気に放出される手前から抽出したものである。洗浄塔20内に導入された排ガスG1は、その内部の洗浄液により硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)などの不純物が除去される。洗浄塔20に導入される排ガスG1は、配管22に設置された排ガス分析計23により、排ガスG1を構成する各種成分の濃度が測定される。その測定結果を示すデータは制御部90に送信される。なお、排ガス分析計23は本発明の濃度測定器に相当する。
【0023】
洗浄塔20から排出された排ガスG1は、誘引ファン31で吸引されて配管32を介して吸収塔30内に導入される。この排ガスG1は吸収塔30内の吸収液Lと気液接触して、排ガスG1中の二酸化炭素が吸収液Lに吸収される。吸収液Lの温度は、例えば、約30℃~約40℃である。吸収塔30に導入される排ガスG1は、配管32に設置された排ガス分析計33により、排ガスG1を構成する各種成分の濃度が測定される。その測定結果を示すデータは制御部90に送信される。
【0024】
吸収塔30内で二酸化炭素を吸収した吸収液(リッチ液)Lは、ポンプ51により熱交換器50に送られ、例えば、約100℃~約110℃に加熱された後、再生塔40内に供給される。
【0025】
この吸収液Lは、再生塔40の下部に貯留され、ボイラーや蒸気などを用いた加熱器41によって加熱され、約120℃~約125℃に昇温する。これにより、吸収液L中の二酸化炭素が再生塔40内に二酸化炭素ガスとして放出される。
【0026】
この二酸化炭素を含有するガスG2は再生塔40内を上昇して上部から排出され、遠心式圧縮機などの圧縮機71で圧縮され、ドライヤ72で乾燥されて水分が除去された後、二酸化炭素貯蔵タンク70に高濃度の二酸化炭素を含有するガスG3として貯蔵される。二酸化炭素貯蔵タンク70に貯蔵されたガスG3は、後述するように配管32に戻されるものを除いて、大部分がCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)、CCU(Carbon dioxide Capture and Utilization)、CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)などに利用される。
【0027】
一方、二酸化炭素が除去されて再生された高温の吸収液(リーン液)Lは、ポンプ52により熱交換器50に送られ、吸収塔30から送られた二酸化炭素を吸収した吸収液Lと熱交換され、約50℃~約60℃に冷却される。
【0028】
そして、吸収液Lは、ポンプ61により熱交換器60に送られ、冷却水タンク80からポンプ62により送られた、例えば約25℃~約30℃の冷却水Wと熱交換して、約40℃~約45℃にとさらに冷却された後、吸収塔30内に上部から供給され、再び、排ガスG1から二酸化炭素を吸収する。二酸化炭素が除去された排ガスG4は吸収塔30内を上昇し、セメント焼成装置10にセメント原料粉末Pを供給する図示しないセメント原料粉末生成設備に導入される。
【0029】
二酸化炭素貯蔵タンク70と吸収塔30の排ガスG1の導入口の上流とを接続する配管73が設けられている。この配管73には、二酸化炭素貯蔵タンク70から配管73を介して供給される高濃度の二酸化炭素を含有するガスG3を減圧する減圧弁74、減圧されたガスG3の流量を調整する流量調整弁75、及び、流量が調整されたガスG3の流量を測定する流量計76が設置されている。減圧弁74及び流量調整弁75は制御部90により制御され、流量計76の測定結果を示すデータは制御部90に送信される。なお、流量調整弁75は本発明の高濃度二酸化炭素ガス導入手段に相当する。
【0030】
次に、制御部90による減圧弁74及び流量調整弁75の制御について説明する。なお、制御部90は、CPUや記憶装置等を有するコンピュータなどである。
【0031】
制御部90は、排ガス分析計23が測定した排ガスG1に含有される二酸化炭素の濃度が、予め設定された所定の濃度M、例えば、16vol%~20vol%などの範囲内の予め設定された濃度M未満であると判断した場合、減圧弁74及び流量調整弁75を制御して、吸収塔30に排ガスG1に二酸化炭素貯蔵タンク70から高濃度の二酸化炭素を含有するガスG3を加えて混合して導入させる。
【0032】
ガスG3の導入量は、吸収塔30に導入される排ガスG1とガスG3との混合ガス(G1+G3)に含有される二酸化炭素の濃度が濃度M以上となるように、制御部90にて定められる。なお、この際の目標濃度は、濃度Mであっても、濃度Mよりも高い所定の濃度であってもよい。
【0033】
そして、制御部90は、流量計76の測定結果を示すデータからガスG3の導入量が定めた導入量であるか確認する。また、制御部90は、排ガス分析計33の測定結果を示すデータから吸収塔30に導入される混合ガス(G1+G3)に含有される二酸化炭素の濃度が濃度M以上であるか確認する。そして、制御部90は、これらの結果に基づいて、減圧弁74及び流量調整弁75をフィードバック制御する。
【0034】
これにより、吸引塔30に常に濃度M以上の二酸化炭素を含有する排ガスG1又は混合ガス(G1+G3)が導入される。そのため、二酸化炭素を高い回収率で安定的に回収することが可能となる。
【0035】
次に、本発明の実施形態の変形に係る二酸化炭素回収装置200について、図2を参照して説明する。
【0036】
二酸化炭素回収装置200においては、二酸化炭素貯蔵タンク70から供給される高濃度の二酸化炭素を含有するガスG3は、熱交換器110に送られ、熱交換器50からポンプ111を介して熱交換器110に供給される吸収液Lと熱交換された後、配管73を通って、減圧弁74、流量調整弁75、及び流量計76を介して配管32を経て吸収塔30に導入される。
【0037】
二酸化炭素貯蔵タンク70に貯蔵されているガスG3の温度は、室温、例えば20℃程度であり、一方、熱交換器50から熱交換器110に供給される吸収液Lの温度は、前述したように、例えば約50℃~約60℃である。そこで、これらの熱交換が熱交換器110で行われることによって、吸収塔30には例えば約40℃~約45℃の温度の吸収液Lが供給され、配管32には例えば約40℃~約45℃の温度のガスG3が供給される。
【0038】
これにより、吸収塔30に戻される吸収液Lを、冷却水Wにて冷却することなく、二酸化炭素を吸収するに適した温度に冷却することが可能となる。また、吸収塔30に導入されるガスG3が適温に加熱されるので、吸収塔30に導入される混合ガス(G1+G3)の温度を二酸化炭素が吸収液Lで吸収されるに適した温度とすることが可能となる。
【0039】
ただし、二酸化炭素貯蔵タンク70からガスG3が熱交換器110に供給されるのは、は、排ガスG1に含有される二酸化炭素の濃度が濃度M未満であると制御部90が判断した場合のみである。そこで、それ以外の場合は、熱交換器50から熱交換器110を供給された吸収液Lは、熱交換器110で熱交換されることなく、熱交換器60に供給され、冷却水Wと熱交換されて冷却された後に、吸収塔30に戻される。
【0040】
なお、排ガスG1に含有される二酸化炭素の濃度が所定の濃度M未満であると制御部90が判断した場合であっても、ガスG3の供給量が十分でなく、吸収液Lが熱交換器110にて十分に冷却されないときは、熱交換器60にて冷却水Wと熱交換させて冷却した後に、吸収塔30に戻せばよい。
【0041】
本発明は、上述した実施形態に具体的に記載した二酸化炭素回収装置100,200に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内であれば適宜変更することができる。
【0042】
例えば、高濃度の二酸化炭素を含有するガスG3は、二酸化炭素貯蔵タンク70から配管73に導入されるものに限定されない。例えば、市販の二酸化炭素ガスボンベなどから高濃度の二酸化炭素を含むガスG3を配管73に導入してもよい。
【符号の説明】
【0043】
10…セメント焼成装置、 11…予備加熱機、 11a~11d…サイクロン、 12…仮焼炉、 13…セメントキルン、 13a…バーナ、 14…誘引ファン、 15…クリンカクーラ、 20…洗浄塔、 21…誘引ファン、 22…配管、 23…排ガス分析計(濃度測定器)、 30…吸収塔、 31…誘引ファン、 32…配管、 33…排ガス分析計、 40…再生塔、 41…加熱器、 50…熱交換器(第1の熱交換器)、 60…熱交換器(第2の熱交換器)、 51,52,61,62…ポンプ、 70…二酸化炭素貯蔵タンク(二酸化炭素貯蔵手段)、 71…圧縮機、 72…ドライヤ、 73…配管、 74…減圧弁、 75…流量調整弁(高濃度二酸化炭素ガス導入手段)、 76…流量計、 80…冷却水タンク、 90…制御部、 100,200…二酸化炭素回収装置、 110…熱交換器(第2の熱交換器)、 111…ポンプ、 C…セメントクリンカ、 G…排ガス、 G1,G2…二酸化炭素を含有する排ガス、 G3…高濃度の二酸化炭素を含有するガス、 G4…二酸化炭素が除去された排ガス、 L…吸収液、 P…セメント原料粉末、 W…冷却水。
図1
図2