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  • 特開-無線通信装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142096
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】無線通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/38 20150101AFI20241003BHJP
【FI】
H04B1/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054091
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 芳知
【テーマコード(参考)】
5K011
【Fターム(参考)】
5K011AA01
5K011AA16
5K011DA01
5K011JA01
5K011KA18
(57)【要約】
【課題】整合回路の回路定数の合わせ込みに要する時間及びコストを抑えつつ、ユーザの利便性を向上させることができる無線通信装置を提供する。
【解決手段】無線通信装置は、無線信号を処理する信号処理回路が形成された第1のチップと、無線信号を送受信するためのアンテナと信号処理回路との間でインピーダンス整合を行うための整合回路を構成する受動素子が形成された第2のチップと、を含む。無線通信装置は、第1のチップ及び第2のチップがパッケージングされた単一の形態を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号を処理する信号処理回路が形成された第1のチップと、
前記無線信号を送受信するためのアンテナと前記信号処理回路との間でインピーダンス整合を行うための整合回路を構成する受動素子が形成された第2のチップと、
を含み、
前記第1のチップ及び前記第2のチップがパッケージングされた単一の形態を有する
無線通信装置。
【請求項2】
前記第2のチップは、前記整合回路を構成する複数の受動素子を含む
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記受動素子は、インダクタ又はキャパシタを含む
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記第1のチップ及び前記第2のチップは、単一の基板の表面に搭載されている
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記第1のチップと前記第2のチップとが積層されている
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記整合回路を構成する受動素子が形成された2つ以上のチップを有し、
前記第1のチップ及び前記2つ以上のチップがパッケージングされた単一の形態を有する
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は、無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信装置に関する技術として、以下の技術が知られている。特許文献1には、信号処理回路と、アンテナと、これらの間に設けられた特性インピーダンス変換回路を含む電子部品と、を有する通信機器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-145540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線通信装置は、送信信号及び受信信号を処理する信号処理回路と、信号処理回路とアンテナとの間でインピーダンスを整合させるための整合回路とを有する。整合回路は、インダクタ及びキャパシタ等の受動素子の組み合わせにより構成される。
【0005】
整合回路の回路定数は比較的大きいため、信号処理回路を含むIC(Integrated Circuit)チップに整合回路を構成する受動素子を組み込むと、チップ面積が拡大し、コストアップを招く。このため、整合回路を構成する受動素子を信号処理回路を含むICチップに対して外付けする形態がとられている。すなわち、信号処理回路と整合回路とが別々の部品として提供されており、ユーザの利便性に欠けるものとなっている。
【0006】
一方、整合回路の設計をシミュレーションのみで行うことは困難であり、実機評価によって整合回路の定数を合わせ込むのが一般的である。したがって、仮に信号処理回路と整合回路とを単一のICチップに収容したワンチップ構成とした場合には、デバッグ工程において、整合回路の回路定数を異ならせた複数のICチップのサンプルを準備しておく必要があり、回路定数の合わせ込みに多大な時間とコストを要する。
【0007】
開示の技術は、整合回路の回路定数の合わせ込みに要する時間及びコストを抑えつつ、ユーザの利便性を向上させることができる無線通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の技術に係る無線通信装置は、無線信号を処理する信号処理回路が形成された第1のチップと、前記無線信号を送受信するためのアンテナと前記信号処理回路との間でインピーダンス整合を行うための整合回路を構成する受動素子が形成された第2のチップと、を含む。無線通信装置は、前記第1のチップ及び前記第2のチップがパッケージングされた単一の形態を有する。
【発明の効果】
【0009】
開示の技術によれば、整合回路の回路定数の合わせ込みに要する時間及びコストを抑えつつ、ユーザの利便性を向上させることができる無線通信装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】開示の技術の実施形態に係る無線通信装置の回路構成の一例を示す図である。
図2】開示の技術の実施形態に係る無線通信装置の構成の一例を示す平面図である。
図3】開示の技術の実施形態に係る無線通信装置の構成の一例を示す斜視図である。
図4】開示の技術の実施形態に係る無線通信装置の構成の一例を示す断面図である。
図5】開示の技術の実施形態に係る無線通信装置の構成の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、開示の技術の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一又は等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
【0012】
図1は、開示の技術の実施形態に係る無線通信装置10の回路構成の一例を示す図である。無線通信装置10は、信号処理回路20及び整合回路30を有する。無線通信装置10のアンテナ端子41には、アンテナ40が接続されている。
【0013】
信号処理回路20は、送信信号を処理する送信信号処理回路21及び受信信号を処理する受信信号処理回路22を有する。送信信号処理回路21は、例えば、変調回路、発振器、パワーアンプ(いずれも図示せず)等を含み得る。受信信号処理回路22は、例えば、LNA(Low Noise Amplifier)、混合器、フィルタ、復調回路(いずれも図示せず)等を含み得る。
【0014】
整合回路30は、アンテナ40と信号処理回路20との間でインピーダンスを整合させるための回路である。図1には、受動素子であるインダクタ31及びキャパシタ32を含む整合回路30が例示されている。アンテナ40と信号処理回路20は、インピーダンスが互いに異なるため、仮に両者を直接接続した場合には、送信信号及び受信信号が反射され、良好な通信品質を得ることができない。アンテナ40と信号処理回路20との間に整合回路30を挿入して両者のインピーダンスを整合させることで、送信信号及び受信信号の反射が抑制され、無線通信を適切に行うことが可能となる。例えば、アンテナ40のインピーダンスが例えば50Ωである場合、アンテナ40から見た信号処理回路20側のインピーダンス(すなわち、整合回路30と信号処理回路20の合成インピーダンス)が50Ωになるように、整合回路30の回路定数が定められる。
【0015】
図2は、無線通信装置10の構成の一例を示す平面図である。図3は、無線通信装置10の構成の一例を示す斜視図である。信号処理回路20は、整合回路30とは別体のチップ51によって構成されている。チップ51は、信号処理回路20が形成されたシリコン基板である。すなわち、信号処理回路20は、半導体ICチップに内蔵されている。整合回路30は、信号処理回路20を構成する半導体ICチップの外付け部品として提供される。
【0016】
整合回路30を構成するインダクタ31及びキャパシタ32は、互いに異なるチップ52及び53によって構成されている。インダクタ31は、チップインダクタの形態を有していてもよく、キャパシタ32は、チップキャパシタ(チップコンデンサ)の形態を有していてもよい。インダクタ31は、巻線タイプ、フィルムタイプ及び積層タイプのいずれのタイプであってもよい。キャパシタ32は、例えば積層セラミックコンデンサであってもよい。また、チップ52及び53は、それぞれ、インダクタ31及びキャパシタ32が形成されたシリコン基板によって構成されていてもよい。
【0017】
チップ51、52、53は、単一の基板50の表面に搭載されている。基板50は、例えばセラミック基板又は樹脂基板であってもよい。基板50の表面には、信号処理回路20、インダクタ31及びキャパシタ32を互いに接続する配線(図示せず)が形成されている。図3に示すように、チップ51、52、53は、基板50上を覆うモールド樹脂60の中に埋設されていてもよい。
【0018】
無線通信装置10は、信号処理回路20を構成するチップ51と、整合回路30を構成するチップ52及び53と、がパッケージングされた単一の形態を有する。したがって、無線通信装置10を単一の部品として扱うことが可能である。
【0019】
本実施形態に係る無線通信装置10においては、整合回路30の回路定数は、実機評価による合わせ込みによって行われる。整合回路30の回路定数の合わせ込みは、例えば以下の手順で行われる。互いにインダクタンスが異なる複数のチップ52及び互いにキャパシタンスが異なる複数のチップ53を用意する。信号処理回路20を構成するチップ51に対して、整合回路30を構成するチップ52及びチップ53の組み合わせを変えながら、信号処理回路20と整合回路30とを組み合わせる。各組み合せについて、送受信信号の伝送特性を実機にて評価し、もっとも良好な特性が得られるチップ52及び53の組み合わせに基づいて、整合回路30の定数を決定する。
【0020】
仮に、信号処理回路20及び整合回路30を単一のICチップに収容したワンチップ構成とした場合には、デバッグ工程において、整合回路の回路定数を異ならせた複数のICチップのサンプルを準備しておく必要があり、回路定数の合わせ込みに多大な時間とコストを要する。
【0021】
一方、開示の技術の実施形態に係る無線通信装置10において、チップ52(インダクタ31)及びチップ53(キャパシタ32)は、ディスクリート部品であり、定数が異なる複数のサンプルを用意することは比較的容易である。したがって、整合回路30の定数の決定するために、チップ52(インダクタ31)及びチップ53(キャパシタ32)の最適な組み合わせを探索することは比較的容易である。
【0022】
また、開示の技術の実施形態に係る無線通信装置10によれば、信号処理回路20を構成するチップ51と、整合回路30を構成するチップ52及び53とが、単一のパッケージに収容されており、無線通信装置10を単一の部品として扱うことができる。すなわち、無線通信装置10によれば。整合回路30の回路定数の合わせ込みに要する時間及びコストを抑えつつ、ユーザの利便性を向上させることが可能となる。
【0023】
なお、以上の説明では、チップ51、52及び53が、基板50上に搭載された形態を例示したが、開示の技術はこの形態に限定されない。例えば、図4に示すように、信号処理回路20を構成するチップ51の表面に、整合回路30を構成するチップ52及び53が搭載される形態とすることも可能である。
【0024】
また、以上の説明では、整合回路30を構成するインダクタ31及びキャパシタ32が別々のチップによって構成される場合を例示したが、開示の技術は、この形態に限定されない。図5に示すように、整合回路30を構成するインダクタ31及びキャパシタ32が単一のチップ54によって構成されていてもよい。
【0025】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
無線信号を処理する信号処理回路が形成された第1のチップと、
前記無線信号を送受信するためのアンテナと前記信号処理回路との間でインピーダンス整合を行うための整合回路を構成する受動素子が形成された第2のチップと、
を含み、
前記第1のチップ及び前記第2のチップがパッケージングされた単一の形態を有する
無線通信装置。
【0026】
(付記2)
前記第2のチップは、前記整合回路を構成する複数の受動素子を含む
付記1に記載の無線通信装置。
【0027】
(付記3)
前記受動素子は、インダクタ又はキャパシタを含む
付記1又は付記2に記載の無線通信装置。
【0028】
(付記4)
前記第1のチップ及び前記第2のチップは、単一の基板の表面に搭載されている
付記1から付記3のいずれか1つに記載の無線通信装置。
【0029】
(付記5)
前記第1のチップと前記第2のチップとが積層されている
付記1から付記3のいずれか1つに記載の無線通信装置。
【0030】
(付記6)
前記整合回路を構成する受動素子が形成された2つ以上のチップを有し、
前記第1のチップ及び前記2つ以上のチップがパッケージングされた単一の形態を有する
付記1から付記5のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【符号の説明】
【0031】
10 無線通信装置
20 信号処理回路
30 整合回路
31 インダクタ
32 キャパシタ
40 アンテナ
50 基板
51、52、53、54 チップ
図1
図2
図3
図4
図5