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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142098
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ウォータアウトレット
(51)【国際特許分類】
   F01P 11/04 20060101AFI20241003BHJP
   F01P 11/16 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F01P11/04 B
F01P11/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054093
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000228741
【氏名又は名称】日本サーモスタット株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(72)【発明者】
【氏名】西村 哲弥
(72)【発明者】
【氏名】松本 直也
(72)【発明者】
【氏名】冨永 敬幸
(72)【発明者】
【氏名】渡部 晋治
(72)【発明者】
【氏名】武田 雅史
(72)【発明者】
【氏名】吉村 友汰
(72)【発明者】
【氏名】中島 純
(57)【要約】
【課題】内燃機関の冷却液出口の温度検知精度を良好にできるウォータアウトレットを提供する。
【解決手段】流路形成室10には、冷却液が整流壁15の内側から第一出口11へ向かう第一流路F1と、冷却液が前記整流壁の内側から前記整流壁の長さ方向の先端で折り返し、前記整流壁の外側を通って第二出口12へ向かう第二流路F2が形成され、前記第一流路と前記第二流路とが重なり合う領域に温度センサ7の感温部7aが配置される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の冷却液出口に取り付けられて、前記内燃機関との間に流路形成室を形成し、
ラジエータに通じる主通路に接続される第一接続部と、
前記ラジエータを迂回するバイパス路に接続される第二接続部と、を備え、
前記流路形成室には、冷却液の入口、第一出口、及び第二出口が形成され、
前記内燃機関から流出した冷却液が、前記入口から前記流路形成室へ流入し、前記第一出口から前記第一接続部、又は前記第二出口から前記第二接続部へ流出するようになっており、
前記入口と前記第二出口との間から第一出口側へ延びる整流壁を備え、
前記整流壁からみて前記入口側を前記整流壁の内側、前記第二出口側を前記整流壁の外側として、
前記流路形成室には、
冷却液が前記整流壁の内側から前記第一出口へ向かう第一流路と、
冷却液が前記整流壁の内側から前記整流壁の長さ方向の先端で折り返し、前記整流壁の外側を通って前記第二出口へ向かう第二流路が形成され、
前記第一流路と前記第二流路とが重なり合う領域に温度センサの感温部が配置される
ことを特徴とするウォータアウトレット。
【請求項2】
前記第一出口の外周縁の前記第二出口と最も近い位置と、前記整流壁の外側先端とを結ぶ仮想線を引き、前記整流壁と前記仮想線とで前記流路形成室を前記入口側と前記第二出口側に区画したとき、
前記感温部は、前記整流壁及び仮想線の前記入口側の領域に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載のウォータアウトレット。
【請求項3】
前記第一流路を横切る方向へ延びる邪魔板を備え、
前記邪魔板が前記第一流路の前記感温部よりも前記第一出口側に位置する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のウォータアウトレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の冷却液出口に設けられるウォータアウトレットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関(エンジン)の冷却液出口には、ウォータアウトレットが取り付けられている。特許文献1には、複数の接続部を有し、各接続部にラジエータ、暖房熱交換器等の各種装置に通じる管路がそれぞれ接続されるウォータアウトレットが開示されている。このウォータアウトレットには、温度センサが取り付けられていて、内燃機関から流出した冷却液の温度を検知できる。
また、特許文献2には、内燃機関から流出した冷却液がラジエータを介して内燃機関へ戻る主通路と、内燃機関から流出した冷却液をそのまま内燃機関へ戻すバイパス路と、主通路の冷却液の温度に応じてバイパス路を開閉するサーモスタットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-214064号公報
【特許文献2】特開2006-70760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内燃機関から流出した冷却液の温度を温度センサで検知する場合、温度センサの感温部を内燃機関における冷却液出口の至近に配置するのが好ましい。しかし、温度センサの位置は、車両を構成する他の部品のレイアウトによって制約を受けて、自由に設定できない。
また、ウォータアウトレットに各種管路を接続するための接続部の位置も、車両のレイアウトによって自由に設定できない。そして、管路の開閉状況によっては、ウォータアウトレットを通過する冷却液の流れに淀みが生じることがあり、この部分に温度センサの感温部が位置すると、内燃機関の冷却液出口の温度を正確に検知するのが難しい。
そこで、本発明は、内燃機関の冷却液出口の温度検知精度を良好にできるウォータアウトレットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記した課題を解決するため本発明に係るウォータアウトレットは、内燃機関の冷却液出口に取り付けられて、前記内燃機関との間に流路形成室を形成する。ウォータアウトレットは、ラジエータに通じる主通路に接続される第一接続部と、前記ラジエータを迂回するバイパス路に接続される第二接続部と、を備える。
前記流路形成室には、冷却液の入口、第一出口、及び第二出口が形成され、前記内燃機関から流出した冷却液が、前記入口から前記流路形成室へ流入し、前記第一出口から前記第一接続部、又は前記第二出口から前記第二接続部へ流出するようになっている。
ウォータアウトレットは、前記入口と前記第二出口との間から第一出口側へ延びる整流壁を備える。前記整流壁からみて前記入口側を前記整流壁の内側、前記第二出口側を前記整流壁の外側として、前記流路形成室には、冷却液が前記整流壁の内側から前記第一出口へ向かう第一流路と、冷却液が前記整流壁の内側から前記整流壁の長さ方向の先端で折り返し、前記整流壁の外側を通って前記第二出口へ向かう第二流路が形成される。そして、前記第一流路と前記第二流路とが重なり合う領域に温度センサの感温部が配置される。
【0006】
前記構成によれば、主通路が開いている場合、内燃機関の冷却液出口から流出し、入口から流路形成室に流入した冷却液は第一出口へ向かって第一流路を流れる。その一方主通路が閉じている場合、入口から流路形成室に流入した冷却液は第二出口へ向かって第二流路を流れる。温度センサの感温部は、主通路の開閉によらず冷却液の流れがある第一流路と第二流路の重複部に設けられる。このため、温度センサによる内燃機関の冷却液出口の温度検知精度を良好にできる。
【0007】
また、前記ウォータアウトレットにおいて、前記第一出口の外周縁の前記第二出口と最も近い位置と、前記整流壁の外側先端とを結ぶ仮想線を引き、前記整流壁と前記仮想線とで前記流路形成室を前記入口側と前記第二出口側に区画したとき、前記感温部が前記整流壁及び仮想線の前記入口側の領域に位置してもよい。このようにすると、前記入口側の領域の整流壁近くに温度センサの感温部を設ければ、感温部を第一流路と第二流路の重複部に配置し易い。よって、温度センサの温度検知精度の低下を確実に抑制できる。
【0008】
また、前記ウォータアウトレットは、前記第一流路を横切る方向へ延びる邪魔板を備え、前記邪魔板が前記第一流路の前記感温部よりも前記第一出口側に位置してもよい。
このようにすると、邪魔板によって入口から第一出口へ向かう冷却液の流量が抑制されるので、第二出口へ向かう冷却液の流量を確保できる。さらに、邪魔板が感温部より下流に設けられるので、温度センサの感温性を良好にできる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るウォータアウトレットによれば、内燃機関の冷却液出口の温度検知精度を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施の形態に係るウォータアウトレットを含むエンジン冷却システムの一状態を示す概略構成図である。
図2図2は、本実施の形態に係るウォータアウトレットを含むエンジン冷却システムの他の状態を示す概略構成図である。
図3図3は、本実施の形態に係るウォータアウトレットを裏側から見た斜視図である。
図4図4は、温度センサの感温部の配置領域を示すウォータアウトレットの裏側の斜視図である。
図5図5は、シリンダヘッドにウォータアウトレットを取り付けた状態の正面図である。
図6図6は、図5のA-A断面図である。
図7図7は、ウォータアウトレットの流路形成室における第一流路を示す説明図である。
図8図8は、ウォータアウトレットの流路形成室における第二流路を示す説明図である。
図9図9は、本実施の形態に係るウォータアウトレットの変形例であって、ウォータアウトレットを裏側から見た斜視図である。
図10図10は、従来のエンジン冷却システムの一例を模式的に示す概略構成図である。
図11図11は、従来のウォータアウトレットを裏側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態に係るウォータアウトレットを図面に基づき説明する。
図1図2は、内燃機関としてのエンジン20を冷却するためのエンジン冷却システムの一例を示す概略図であり、本実施の形態に係るウォータアウトレット100を含む。図1は、そのエンジン冷却システムの第一の状態を示す。第一の状態では、エンジン20とラジエータ60との連通がサーモスタット70によって遮断されている。図2は、エンジン冷却システムの第二の状態を示す。第二の状態では、エンジン20とラジエータ60との連通が許容された状態を示す。
【0012】
図1図2に示すように、エンジン(内燃機関)20には、冷却回路が接続される。この冷却回路は、エンジン20の冷却液出口21から流出した冷却液がラジエータ60を介してエンジン20へ戻る主通路31と、冷却液出口21から流出した冷却液がラジエータ60を介さずに(ラジエータ60を迂回して)エンジン20へ戻るバイパス路32とを備える。主通路31とバイパス路32はラジエータ60の下流で合流し、エンジン20の冷却液入口22に接続される。冷却液入口22には、エンジン20へ冷却液を送り込むウォータポンプ80が設けられる。主通路31とバイパス路32は、ラジエータ60とウォータポンプ80との間で合流する。この合流部にサーモスタット70が設けられる。サーモスタット70は、バイパス路32の冷却液温度に応じて主通路31を開閉する。
【0013】
具体的に、冷却液温度がサーモスタット70の開弁温度よりも低い場合、サーモスタット70は主通路31を閉じ、バイパス路32を開く。これにより、図1に示すように、エンジン20から流出した冷却液は、バイパス路32を通過してラジエータ60を介さずにエンジン20へ戻る。その一方、冷却液温度がサーモスタット70の開弁温度よりも高くなると、サーモスタット70が主通路31を開く。これにより、図2に示すように、エンジン20から流出した冷却液は、主通路31を通り、ラジエータ60で冷やされてエンジン20へ戻る。
図2では、サーモスタット70が主通路31を開いた状態で、サーモスタット70がバイパス路32を閉じている。しかし、バイパス路32は、常時開いていてもよい。
【0014】
エンジン20の冷却液出口21には、ウォータアウトレット100が取り付けられる。ウォータアウトレット100には、主通路31を構成する管路と、バイパス路32を構成する管路が接続される。換言すると、エンジン20から流出した冷却液は、ウォータアウトレット100で分岐して、各管路へ導かれる。ウォータアウトレット100には、エンジン出口側の冷却液の温度を検知する後述の温度センサ7(図3)が取り付けられる。そして、エンジン20と、ウォータアウトレット100と、温度センサ7とを備えて、内燃機関装置Dが構成される。
【0015】
エンジン20は、シリンダをピストンが往復運動し、この往復運動を回転運動に変換するシリンダブロック24と、シリンダブロック24の上に配置されるシリンダヘッド25とを備える。シリンダブロック24は、その周囲に冷却液のブロック側ウォータジャケット28を有する。ブロック側ウォータジャケット28は、シリンダブロック24を冷却する冷却液の流路を有する。また、シリンダヘッド25は、その周囲に配置されるヘッド側ウォータジャケット29を有する。ヘッド側ウォータジャケット29は、シリンダヘッド25を冷却する冷却液の流路を有する。
ブロック側ウォータジャケット28の流路とヘッド側ウォータジャケット29の流路は連通している。そして、ブロック側ウォータジャケット28に、冷却液入口22が設けられる。また、ヘッド側ウォータジャケット29に、冷却液出口21が設けられる。
【0016】
図3は、本実施の形態に係るウォータアウトレット100を裏側から見た斜視図である。ウォータアウトレット100は、例えば合成樹脂で形成される。ウォータアウトレット100は、冷却液出口21を覆うようにシリンダヘッド25(図5)にボルト(図示せず)で固定される。このウォータアウトレット100は、シリンダヘッド25との間に空間を形成するように凹みをもつ本体部1と、この本体部1の底1a側から外側へ立ち上がるように設けられる第一接続部2及び第二接続部3と、本体部1の開口縁から外周側へ張り出す環状のフランジ4とを備える。
【0017】
第一接続部2には、図1図2に示す主通路31を構成する管路の一端が接続される。一方、第二接続部3には、図1図2に示すバイパス路32を構成する管路の一端が接続される。
【0018】
図3に示すようにウォータアウトレット100の本体部1は、凹形状で、シリンダヘッド25から離れる方向に窪む。シリンダヘッド25側にも、ウォータアウトレット100から離れる方向に窪む凹部25b(図6)が設けられている。シリンダヘッド25とウォータアウトレット100との間に、シリンダヘッド25から流出した冷却液が流れ込む流路形成室10が形成される。
【0019】
シリンダヘッド25から流出した冷却液は、冷却液出口21から流路形成室10に流入する。この冷却液の流れを流路形成室10側からみると、エンジン20の冷却液出口21は、冷却液の入口9となる。つまり、エンジン20の冷却液出口21と流路形成室10の入口9は、一つ(共通)の開口であり、当該開口をエンジン20側から見たときに冷却液出口21といい、流路形成室10側からみたときに入口9という。
【0020】
このことから、流路形成室10において、冷却液の入口9は、シリンダヘッド25側に形成される。また、流路形成室10のウォータアウトレット100側には、冷却液の出口となる第一出口11と第二出口12が形成される。第一出口11は、第一接続部2の冷却液の入口となり、冷却液は第一接続部2から主通路31へ流れる。第二出口12は、第二接続部3の冷却液の入口となり、冷却液は第二接続部3からバイパス路32へ流れる。
【0021】
図3図4図7図8には、第一出口11及び第二出口12に対する入口9の位置を明確にするため、入口9の位置を二点鎖線の楕円で示している。シリンダヘッド25にウォータアウトレット100が取り付けられた状態(ウォータアウトレット取付状態)で、シリンダヘッド25に接するウォータアウトレット100の接合面40に対して垂直に交わる方向から見たとき(平面視)、流路形成室10の入口9、第一出口11、及び第二出口12は、三角状に配置される。
【0022】
フランジ4には、複数のボルト孔4aが設けられている。これらボルト孔4aにボルト(図示せず)が挿通されてシリンダヘッド25に対しボルト締めされるようになっている。
また、フランジ4には、シリンダヘッド25に接する接合面40と、この接合面40に対して窪む溝4bとが形成される。この溝4bは環状で、ウォータアウトレット取付状態で凹形状の本体部1の開口を取り囲むように配置される。溝4bには、環状のガスケット6が嵌る。
フランジ4がシリンダヘッド25にボルトで固定されたウォータアウトレット取付状態で、本体部1の開口とシリンダヘッド25の凹部25bの開口が向かい合い、フランジ4の接合面40とシリンダヘッド25の接合面との間がガスケット6でシールされる。これにより、流路形成室10の冷却液がシリンダヘッド25とウォータアウトレット100との接合部から漏れるのを防止できる。
【0023】
前述のように、本体部1の形状は、凹形状である。その本体部1の内側には、本体部1の底1aからシリンダヘッド25へ向けて立ち上がるように整流壁15が設けられる。また、本体部1の中央部に、温度センサ7が取り付けられている。
整流壁15は、基端が本体部1の周壁1bに連なり、先端が底1aの中央部分まで延びる。整流壁15は、平面視で流路形成室10の入口9と第二出口12の間に位置し、第二出口12側へ膨らむように若干湾曲する(緩いカーブを描く)。また、整流壁15の高さ方向の先端は、フランジ4とシリンダヘッド25との接合面に沿う方向から見たとき(側面視)、接合面近くに位置する。
この整流壁15は、流路形成室10の入口9から第一出口11へ向かう冷却液の流れを促す。その一方、流路形成室10の入口9から第二出口12へ向かう冷却液の流れに対しては、整流壁15が妨げとなり、冷却液が整流壁15を迂回して第二出口12へ向かうように促す。このように、整流壁15は、流路形成室10の入口9と第二出口を隔てるように設けられる。
【0024】
説明の便宜上、整流壁15からみて入口9側を整流壁15の内側、整流壁15からみて第二出口12側を整流壁15の外側とする。図9に示すように、この整流壁15を設けることにより、流路形成室10には、入口9から流入した冷却液が整流壁15の内側を通り、整流壁15に促されるように第一出口11へ流れる第一流路F1が形成される。また、流路形成室10には、入口9から流入した冷却液が整流壁15の内側を通り、整流壁15の長さ方向の先端15bで折り返して整流壁15の外側を通って第二出口12へUターンするように流れる第二流路F2が形成される。
【0025】
温度センサ7は、温度を検知するための感温部7aを有する。図8に示すように温度センサ7は、接合面25a,40に対して略垂直に、本体部1の底1aから感温部7aを流路形成室10に挿し込むように設けられる。この感温部7aは、第一流路F1と第二流路F2が重複する領域に配置される。
図4を参照して、本実施の形態では、第一出口11の外周縁における第二出口12と最も近い位置と、整流壁15の外側15b先端とを結ぶ仮想線L1を引き、整流壁15と仮想線L1とで流路形成室10を入口9側の領域E1と、第二出口12側の領域E2とに区画したとき、感温部7aは、整流壁15の先端15b近傍であって、入口9側の領域E1に位置する。
【0026】
以下、本実施形態に係るウォータアウトレット100の作用効果について、図10図11に示す従来の構造と比較して説明する。
【0027】
まず、図11に示す従来のウォータアウトレット200とエンジン50との間に形成された流路形成室201には、入口203から第一出口204へ向かう冷却液の流れ(第一流路r1)と、入口203から第二出口205へ向かう冷却液の流れ(第二流路r2)が形成される。そして、温度センサ250は、第一流路r1を流れる冷却液の温度を検知するようになっている。
【0028】
図10を参照して、第一出口204は、ラジエータ60に接続される主通路31に通じている。この主通路31は、バイパス路32の温度に応じてサーモスタット70で開閉される。そして、主通路31が閉じられた場合、冷却液は第一出口204を介して移動しなくなる。これにより、図11中、流路形成室201の入口203と第一出口204の間で冷却液の流れに淀みが生じる。この淀みが生じた部分に感温部250aが位置すると、温度センサ250の温度検知精度が低下してしまい、エンジン50の冷却液出口51の温度を正確に検知できない。
【0029】
これに対して、本実施の形態のウォータアウトレット100は整流壁15を備える。これにより、流路形成室10には、冷却液が整流壁15の内側から第一出口11へ向かう第一流路F1と、冷却液が整流壁15の内側から整流壁15の長さ方向の先端で折り返し、整流壁15の外側を通って第二出口12へ向かう第二流路F2が形成される。そして、第一流路F1と第二流路F2とが重なり合う領域に温度センサ7の感温部7aが配置される。
【0030】
第二出口12は、サーモスタット70が感温するバイパス路32に接続されている。このバイパス路32は、主通路31をサーモスタット70が閉じた場合であっても、バイパス流路32にはサーモスタット70感温用に冷却液の流れがある。このため、主通路31が閉じて第一出口11を介した冷却液の移動がなくなったとしても、第二出口12を介した冷却液の移動があり、第二流路F2を冷却液が流れる。本実施の形態では、温度センサ7の感温部7aが第一流路F1と第二流路F2の重複部に位置するので、温度センサ7が常に冷却液の流れのある部分の温度を検知でき、冷却液出口21の温度検知精度を良好にできる。
さらに、ウォータアウトレット100の底1aに整流壁15を設けることで、ガスケット6の反力でウォータアウトレット100が反るように変形するのを抑制できる。これにより、ガスケット6のシール性を良好に維持できる。
【0031】
また、本実施の形態では、第一出口11の外周縁の第二出口12に最も近い位置と、整流壁15の外側先端とを結ぶ仮想線L1を引き、整流壁15と仮想線L1とで流路形成室10を入口9側の領域E1と第二出口12側の領域E2とに区画したとき、温度センサ7の感温部7aが入口側の領域E1に位置する。そして、当該領域E1の整流壁15の近くに温度センサ7の感温部7aを設ければ、感温部7aを第一流路F1と第二流路F2の重複部に配置し易く、温度センサ7の温度検知精度の低下を確実に抑制できる。
【0032】
なお、図9に示すように、ウォータアウトレット100が、第一流路F1を横切る方向へ延びる邪魔板16を備えてもよい。この邪魔板16は、第一流路F1の感温部7aより第一出口11側に位置する。当該構成によれば、邪魔板16によって入口9から第一出口11へ向かう冷却液の流量が抑制されるので、第二出口12へ向かう冷却液の流量を確保できる。さらに、邪魔板16が感温部7aより下流に設けられるので、温度センサ7の感温性を良好にできる。
そして、整流壁15と邪魔板16の高さ等を変更することで、ラジエータ60側への流量と、バイパス路32側への流量を調節できる。尚、邪魔板16を省略してもよい。
【0033】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0034】
2 第一接続部
3 第二接続部
7 温度センサ
7a 感温部
9 入口
10 流路形成室
11 第一出口
12 第二出口
15、23 整流壁
16 邪魔板
20 エンジン(内燃機関)
21 冷却液出口
25 シリンダヘッド
31 主通路
32 バイパス路
60 ラジエータ
100 ウォータアウトレット
D 内燃機関装置
F1 第一流路
F2 第二流路
L1 仮想線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11