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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142115
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B41J2/175 115
B41J2/175 133
B41J2/175 169
B41J2/175 141
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054129
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】工藤 聖真
(72)【発明者】
【氏名】大沼 陽平
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EB55
2C056KB19
2C056KC02
2C056KC04
2C056KC05
2C056KC13
2C056KC16
2C056KD08
(57)【要約】
【課題】液体収容容器内に残留する液体を排出したうえで、液体吐出装置を廃棄などすることができる液体吐出装置を提供する。
【解決手段】液体吐出装置は、液体を吐出する吐出ヘッド25と、吐出ヘッド25へ供給する液体を収容可能な液体収容容器18とを備える。液体収容容器18は、液体を収容可能に構成される液体収容部51と、液体収容部51に液体を注入する液体注入部53とを備える。さらに、液体収容容器18は、吐出ヘッド25に液体を供給する供給流路24の一端部が接続される部分であって、液体収容部51内の液体を供給する液体供給部52と、液体収容部51内に収容されている液体を外部に排出する液体排出部71とを備える。液体排出部71が、液体収容部51の底面51Aまたは側面51B下部に配置される。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドへ供給する液体を収容可能な液体収容容器とを備える液体吐出装置であって、
前記液体収容容器は、
液体を収容可能に構成される液体収容部と、
前記液体収容部に液体を注入する液体注入部と、
前記吐出ヘッドに液体を供給する供給流路の一端部が接続される部分であって、前記液体収容部内の液体を供給する液体供給部と、
前記液体収容部内に収容されている液体を外部に排出する液体排出部と、を備え、
前記液体排出部が、前記液体収容部の底面または側面下部に配置されることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体吐出装置において、
前記液体供給部が前記液体排出部を兼ねることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の液体吐出装置において、
前記液体供給部と前記液体排出部が別であることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液体吐出装置において、
前記液体供給部が液体を供給する流路を開閉可能な第1弁を備えることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の液体吐出装置において、
前記液体排出部が液体を排出する流路を開閉可能な第2弁を有することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項6】
請求項3に記載の液体吐出装置において、
前記液体排出部は、前記液体収容容器とは別体の接続対象と接続可能に構成され、
前記液体収容容器は、前記液体排出部が前記接続対象と接続されていないときに前記液体排出部からの液体の排出を阻止し、且つ前記液体排出部が前記接続対象に接続されるときに、前記液体排出部からの液体の排出を許容する状態に切り替え可能に構成される排出接続構造部を備えることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の液体吐出装置において、
前記排出接続構造部は、前記液体排出部に着脱可能に取着され、前記液体排出部が前記接続対象と接続されていないときに、前記液体排出部に取着されることで前記液体排出部を封止する封止構造を有することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項8】
請求項6に記載の液体吐出装置において、
前記排出接続構造部は、前記接続対象が接続されると破壊可能な封止構造を有することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項9】
請求項6に記載の液体吐出装置において、
前記液体収容容器は、固定部により前記液体吐出装置に固定されることを特徴とする液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、液体吐出装置の一例として、インク等の液体を用紙等の媒体に向けて吐出する吐出ヘッドを備えるインクジェット式印刷装置が開示されている。
この液体吐出装置は、吐出ヘッドに供給する液体を収容する液体収容容器の一例としてインクタンクを備える。
【0003】
また、インクカートリッジを着脱可能に装着できるインクカートリッジ式の液体吐出装置も知られている。インクカートリッジ式の場合、インクがなくなると、インクカートリッジごと交換する。しかし、インクタンクのような液体収容容器は、基本的に筐体に組み付けられているので、インクがなくなると、ユーザーは、液体収容容器のインク注入流路部にインクボトルを接続することで、インクボトルから液体収容容器内に液体を補充する。
【0004】
ところで、液体吐出装置を廃棄する場合、インクカートリッジ式の場合、インクカートリッジの供給部に弁が内蔵されているので、仮にインクカートリッジが装置から外れるなどしても、インク等の液体が多量に漏れることはほとんどない。これに対してインクタンク等の液体収容容器の場合、廃棄された液体吐出装置が液体収容容器のキャップが外れた状態で傾いたりすると、液体収容容器内の液体が溢れる可能性がある。
【0005】
そのため、インクタンク式の液体吐出装置を廃棄する場合、ユーザーは、液体収容容器内の液体を回収した後、液体吐出装置を廃棄することが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-69717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、液体補充式の液体収容容器を備える液体吐出装置においては、液体収容容器が筐体から取り外しにくい構造になっている。具体的には、液体収容容器は液体吐出装置の一部として、液体吐出装置の筐体に板金を介してねじ止めされたりすることで、例えば輸送時の外部衝撃に対しても影響されないよう強く固定されている。そのため、液体収容容器が組み付けられたまま液体吐出装置は廃棄される。このように、従来における液体補充式の液体収容容器においては、液体吐出装置を廃棄する際に、液体収容容器内に残る液体を排出又は回収する構成については配慮されていない。
【0008】
例えば、液体収容容器内の液体を排出又は回収するためには、液体収容容器とチューブ等の供給流路との接続部を取り外してその供給部から液体を抜き取ったり、液体を補充するための補充口から液体を抜き取ったりする必要がある。これらの接続部や補充口は、液体を抜き取ることを考慮した構造になっていないため、抜取り作業中に液体が溢れたり、インク等の液体が手指に付着して汚れたりする。具体的には、液体収容容器から吐出ヘッドへインク等の液体を供給する液体供給部は、チューブが圧入されており、簡単に抜き差しすることができない構造となっているため、チューブを液体供給部から外すと液体収容容器内のインクが液体供給部の供給口から外に溢れる恐れがある。よって、液体吐出装置を廃棄する際に、液体収容容器内に残る液体を排出又は回収しやすい液体収容容器及び液体吐出装置が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する液体吐出装置は、液体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドへ供給する液体を収容可能な液体収容容器とを備える液体吐出装置であって、前記液体収容容器は、液体を収容可能に構成される液体収容部と、前記液体収容部に液体を注入する液体注入部と、前記吐出ヘッドに液体を供給する供給流路の一端部が接続される部分であって、前記液体収容部内の液体を供給する液体供給部と、前記液体収容部内に収容されている液体を外部に排出する液体排出部と、を備え、前記液体排出部が、前記液体収容部の底面または側面下部に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態における液体吐出装置を示す斜視図である。
図2】液体収容容器に液体を補充するときの液体吐出装置を示す斜視図である。
図3】液体吐出装置の内部構成を示す模式側断面図である。
図4】液体収容容器を示す模式側断面図である。
図5】液体収容容器及び吐出ヘッドを示す模式側断面図である。
図6】液体収容容器を移動させて供給流路との接続を取り外す過程を示す模式側断面図である。
図7】液体収容容器及び回収容器を示す模式側断面図である。
図8】液体収容容器から回収容器に液体を回収する状態を示す模式側断面図である。
図9】第2実施形態において第1の例における液体収容容器及び排出接続構造部を示す模式側断面図である。
図10】第2の例における液体収容容器及び排出接続構造部を示す模式側断面図である。
図11】第3の例における液体収容容器及び排出接続構造部を示す模式側断面図である。
図12】液体収容容器及び吐出ヘッドを示す模式側断面図である。
図13】液体収容容器を移動させて供給流路との接続を取り外す過程を示す模式側断面図である。
図14】液体収容容器及び回収容器を示す模式側断面図である。
図15】液体収容容器から回収容器に液体を回収する状態を示す模式側断面図である。
図16】変更例における液体収容容器及び吐出ヘッドを備える液体吐出装置の一部を示す模式側断面図である。
図17】液体収容容器を液体吐出装置の底面から取り外す過程を示す模式側断面図である。
図18】変更例における回収容器を示す模式側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、液体収容容器を備える液体吐出装置の第1実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態の液体吐出装置は、例えば、複合機であり、用紙などの媒体にインク等の液体を吐出することにより、媒体に文字や画像等を印刷(記録)する。
【0012】
図1に示すように、複合機11の一例である液体吐出装置12は、その上部に画像読取装置13を備え、全体として略直方体形状を呈している。
図1では、複合機11が水平面上に置かれているものとして、重力方向を鉛直方向Zとし、水平面に沿う2つの方向を幅方向X及び奥行方向Yとして図示する。すなわち、幅方向X、奥行方向Y、及び鉛直方向Zは、相互に交差(好ましくは直交)する。また、奥行方向Yにおける一端側を前側、一端側とは反対の他端側を後側といい、前側から見た幅方向Xの一端側を右側、他端側を左側ということもある。
【0013】
<液体吐出装置12の構成>
図1に示すように、液体吐出装置12の前面には、操作パネル17が設けられている。操作パネル17は、各種の操作を行うためのボタンなどの操作部15と、メニューや動作状態などの各種の情報を表示する表示部16とを有する。さらに、操作パネル17の右側には、液体収容ユニット19が設けられている。液体収容ユニット19には、少なくとも1つ(本実施形態では5つ)の液体収容容器18が収容されている。液体収容ユニット19は、筐体20の一部を構成する。液体収容容器18は、例えば、インクタンク式である。
【0014】
液体収容ユニット19は、上方に向かって開放された略箱状の本体19Aと、カバー32とを備える。カバー32は、本体19Aの上方開口を開閉可能な状態で覆う。本体19Aは、各液体収容容器18と対応する少なくとも1つ(本実施形態では5つ)の窓部21を有する。窓部21には、液体収容容器18が前面に有する視認面22が露出する。ユーザーは、窓部21に露出する視認面22を通じて液体収容容器18内の液体の残量を視認する。本実施形態では、本体19Aの前板部を構成する、窓部21を有する板状の部分である視認板部19Bが着脱可能に構成される。
【0015】
図1に示すように、液体収容ユニット19に収容される複数の液体収容容器18は、収容可能なインクの量が異なる第1液体収容容器18Aと第2液体収容容器18Bとを含み、幅方向Xに一列に並んで配置されている。図1に示す例では、1つの第1液体収容容器18Aと、4つの第2液体収容容器18Bとがある。1つの第1液体収容容器18Aは、第2液体収容容器18Bよりも容量が大きく、例えば、黒色のインクを収容する。4つの第2液体収容容器18Bは、例えば、互いの色が異なるカラーのインクを収容する。複数の液体収容容器18は、異なる種類の液体として、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックなどの色の異なる液体を収容する。液体は、顔料インクでもよいし、染料インクでもよい。また、液体は、コーティング液等でもよい。
【0016】
第1液体収容容器18Aと第2液体収容容器18Bは、容量が異なることに起因して幅寸法が異なる以外は基本的な構成は同じである。このため、第1液体収容容器18Aと第2液体収容容器18Bとを特に区別しない場合は、単に、「液体収容容器18」と記す。
【0017】
また、液体吐出装置12は、筐体20内に、媒体Mにインク等の液体を付着させて印刷する印刷部23と、液体収容容器18内の液体を印刷部23に供給するチューブなどからなる供給流路24とを備える。印刷部23は、液体を吐出する吐出ヘッド25と、吐出ヘッド25を保持して幅方向X(走査方向)に沿って往復移動可能なキャリッジ26とを備える。印刷部23は、移動する吐出ヘッド25から媒体Mに向かって液体を吐出することで、媒体Mに印刷する。
【0018】
液体吐出装置12は、筐体20内に、印刷部23を移動させる移動機構27を備える。移動機構27は、キャリッジ26を幅方向Xに移動可能に案内するガイド軸28、駆動源であるキャリッジモーター29、一対のプーリー30、及び一対のプーリー30に巻き掛けられた無端状のタイミングベルト31等を有する。一対のプーリー30のうち一方は、キャリッジモーター29の出力軸に固定されている。キャリッジモーター29が正転駆動すると、印刷部23は+X方向に往動し、キャリッジモーター29が逆転駆動すると、印刷部23は-X方向に復動する。
【0019】
筐体20内には、液体収容容器18、供給流路24、吐出ヘッド25、キャリッジ26及び移動機構27などが収容されている。供給流路24は、液体収容容器18と個別に対応して複数設けられている。すなわち、複数の液体収容容器18は、それぞれ異なる色の液体を複数本の供給流路24を通じて印刷部23に供給する。
【0020】
図2に示すように、画像読取装置13は、ヒンジ等の回動機構13Aを介して液体吐出装置12に対して、図1に示す閉位置と、図2に示す開位置との間で開閉可能に構成される。画像読取装置13を開位置に位置させると、カバー32及び液体収容容器18(図1参照)に取り付けられたキャップレバー33が開閉可能となる。液体収容容器18にインク等の液体を補給する場合、図2に示すように、画像読取装置13、カバー32、及びキャップレバー33を開位置に位置させる。液体ボトル34を供給口が下向きになる逆さの姿勢でその供給口を液体収容容器18の液体注入口に接続する。なお、カバー32は、画像読取装置13が閉状態でも、単独で開閉可能な構成でもよい。
【0021】
<液体吐出装置12の内部構成>
次に、図3を参照して、液体吐出装置12の内部構成について説明する。図3に示すように、吐出ヘッド25は、ノズル25Nが開口するノズル形成面25Aを備える。図3に示す例では、ノズル形成面25Aには複数のノズル25Nが開口する。吐出ヘッド25は、複数のノズル25Nから液体を吐出可能に構成される。ノズル25Nは、例えば、吐出する液体の種類(例えば色)ごとに複数ずつ設けられてもよい。
【0022】
液体吐出装置12は、吐出ヘッド25をメンテナンスするメンテナンス装置35と、液体収容容器18から吐出ヘッド25へ液体を供給する液体供給装置36とを備える。メンテナンス装置35は、待機位置にある吐出ヘッド25に対して昇降可能なキャップ37と、キャップ37に接続された排出チューブ38とを備える。キャップ37は、吐出ヘッド25から離間した図3に示す退避位置と、吐出ヘッド25のノズル形成面25Aに接触するキャッピング位置(図示略)との間で移動可能に構成される。キャップ37は、メンテナンスのためにノズル25Nから吐出又は排出される液体を受容可能である。
【0023】
キャップ37は、キャッピング位置にあるときにノズル形成面25Aとの間にノズル25Nと連通する閉空間を形成する。メンテナンス装置35は、排出チューブ38の途中に介在する吸引ポンプ39を備える。メンテナンス装置35は、吐出ヘッド25をキャッピングした状態で吸引ポンプ39を駆動し、キャップ37とノズル形成面25Aとにより囲み形成された閉空間を減圧する。この減圧によって、吐出ヘッド25のノズル25Nから液体と一緒に気泡等の異物が吸引排出される。このクリーニングによりノズル25Nから排出された液体は、キャップ37及び排出チューブ38を通じて廃液収容部40に回収される。
【0024】
図3に示すように、液体供給装置36は、複数の液体収容容器18に対応して複数設けられているが、図3では1つの液体収容容器18を含む1つの液体供給装置36を示している。複数の液体供給装置36は基本的に同じ構成であるため、以下では1つの液体供給装置36の構成について説明する。
【0025】
図3に示すように、液体供給装置36は、液体収容容器18と、液体収容容器18内の液体を吐出ヘッド25へ供給する供給流路24とを備える。供給流路24は、弾性変形可能なチューブでもよいし、硬質の樹脂材料からなる流路形成部材の内部に形成されるものでもよい。また、供給流路24は、溝が形成された流路形成部材にフィルムを貼り付けることで形成される部分を含んでもよい。
【0026】
供給流路24の上流端部(一端部)は、液体収容容器18に接続されている。供給流路24の下流端部(他端部)は、キャリッジ26が有する液体流路41の上流端部に接続されている。液体収容容器18内の液体は、供給流路24及び液体流路41を通じて吐出ヘッド25に送られる。
【0027】
液体収容容器18は、容器本体50を備える。容器本体50は、合成樹脂によりなるケースで構成される。また、容器本体50を構成するケースは、透明もしくは半透明の樹脂製である。そのため、容器本体50の前面の視認面22を通して、液体収容室55に収容された液体の液面レベルを外部から視認可能である。液体収容容器18は、固定部42により液体吐出装置12に固定されている。固定部42は、例えば、筐体20を構成するフレームに対して液体収容容器18を直接又は取付部材(図示略)を介して固定するねじ43等により構成される。なお、容器本体50は、1つの面に凹設された収容室用凹部を有する収容ケースの一面にフィルムが固着されることで、フィルムと収容室用凹部とによって液体収容室55が囲み形成された構成でもよい。
【0028】
液体収容容器18は、液体を収容可能に構成される液体収容部51と、液体収容部51に液体を注入する液体注入部53と、液体収容部51内の液体を供給する液体供給部52とを備える。液体供給部52は、吐出ヘッド25に液体を供給する供給流路24の一端部が接続される部分であって、液体収容容器18内の液体を供給する。液体収容部51内に収容されている液体を外部に排出する液体排出部71とを備える。この実施例では、液体供給部52が液体排出部71を兼ねる構成である。供給流路24の上流端部には、連結部45が固定されている。液体供給部52は、連結部45と連結されることで、供給流路24と連通する。
【0029】
図3に示すように、液体収容容器18の少なくとも一部が、吐出ヘッド25よりも下方に位置する。すなわち、吐出ヘッド25は、鉛直方向Zにおいて液体収容容器18内の液面LPよりも上方に位置する。詳しくは、ノズル25Nの開口が、液体収容容器18内の液面LPが最大高さにあるときの位置よりも上方に位置する。なお、吐出ヘッド25及び液体収容容器18の鉛直方向Zにおける位置関係は、ノズル25N内に液体のメニスカスが形成され、ノズル25Nから液体が垂れない限りにおいて任意に設定できる。
【0030】
図3に示す液体吐出装置12は、複合機11の全体の動作を制御する制御部100を備える。制御部100は、キャリッジ26を往復移動させるキャリッジモーター29、媒体Mを搬送する搬送部(図示略)、吐出ヘッド25の吐出動作、及びメンテナンス装置35のクリーニング動作などを制御する。
【0031】
<液体収容容器18の構成>
次に、図4を参照して、液体収容容器18の構成について説明する。なお、第1液体収容容器18Aと第2液体収容容器18Bは、容量の違いに起因して幅寸法が異なるものの、基本的構成は同様である。このため、以下では、第1液体収容容器18Aと第2液体収容容器18Bを特に区別することなく、液体収容容器18として説明する。
【0032】
図4図5に示すように、容器本体50は、液体収容室55を有する液体収容部51と、その上側に突設された突状部56とを有する。容器本体50は、外側に突出する管状の部分として、液体供給部52、液体注入部53及び大気連通部54を有する。液体供給部52、液体注入部53及び大気連通部54は、液体収容室55と連通している。液体収容室55には液体ILが収容される。
【0033】
液体注入部53は、液体収容室55内へのインク等の液体の注入に用いられる。液体注入部53と液体収容室55との間は、液体流路57と空気流路58とを介して接続されている。液体注入部53は、液体流路57と空気流路58との両方に連通している。液体流路57と空気流路58の液体収容室55側の端部(下端)は、最高液面高さに位置している。
【0034】
大気連通部54は、液体収容室55内の液面LPよりも上方の空気エリアを大気に連通させる。容器本体50は、液体収容部51と突状部56とを内部で区画する隔壁部51Cを有する。液体収容室55と大気連通部54との間の連通路は、その一部が細く蛇行した細孔を含む。したがって、液体収容室55は、その内部に貯留された液体の水分が蒸発しにくい状態で大気連通部54と連通している。
【0035】
図5に示すように、液体収容容器18に液体を注入するときは、液体ボトル34を逆さの姿勢で供給部34Aを液体注入部53に接続する。液体注入部53に接続された液体ボトル34内が液体流路57と空気流路58との両方を通じて液体収容室55と連通する。そのため、液体ボトル34内の液体は、液体流路57を通じて液体収容容器18内に注入されつつ、液体収容室55内の空気が空気流路58を通じて液体ボトル34内に送られる。この気液交換によって、液体ボトル34から液体収容室55内への液体の注入が、液面LPが空気流路58の下端に達するまで継続的に行われる。そして、液面LPが空気流路58の下端に達すると、気液交換が行われなくなるので、液体ボトル34から液体収容室55内への液体の注入が停止する。このように、液面LPが最高液面に達すると、液体収容容器18内への液体の注入が停止される。なお、液体ボトル34から液体収容容器18内に液体が注入されるとき、液体収容室55内の空気は大気連通部54から排出される。
【0036】
図4図5に示すように、第1実施形態の液体収容容器18では、液体供給部52は、液体排出部71を兼ねる。液体排出部71は、液体収容部51の底面51Aまたは側面51B下部に配置される。このため、液体排出部71を兼ねる液体供給部52は、液体収容部51の底面51Aまたは側面51Bの下部に配置される。なお、図4図5に示す例では、液体排出部71を兼ねる液体供給部52は、液体収容部51の側面51Bの下部に配置される。
【0037】
ここで、側面51Bの下部とは、例えば、液体収容部51における最高液面高さの半分の高さ以下の部分でもよい。もちろん、液体排出部71が液体収容室55内のなるべく低い高さに位置する方が、液体収容部51内の液面と液体排出部71の排出口との間の水頭圧を利用してより多くの液体を排出できる。しかし、液体収容部51内で残り少なくなった液体は、液体収容容器18を傾けることでも排出できる。そのため、液体収容部51内に液体が半分以上残留している場合、少なくとも一部を水頭圧を利用して排出できる高さに液体排出部71が位置すればよい。
【0038】
図4図5に示すように、液体収容室55の底面は、奥行方向Yにおいて視認面22と反対側の位置ほど高さが低くなるように傾斜している。このため、液体収容容器18内の液体は最後まで液体供給部52から外部へ供給されやすい。なお、液体収容室55内に、不図示の複数のリブにより互いに連通する複数の区画室に区画されてもよい。この場合、例えば、液体吐出装置12の運搬時に、液体収容室55内の液体の揺れなどが抑制され、揺れなどに起因する泡立ちなどによる液体への空気(気泡)の混入等が抑制される。
【0039】
液体供給部52が連結部45と連結(接続)されることで、液体供給部52は連結部45の接続口46と接続される。液体収容容器18は、液体供給部52が液体を供給する流路を開閉可能な第1弁59を備える。換言すれば、液体供給部52が液体排出部71を兼ねる第1実施形態においては、液体排出部71が、液体を排出する流路を開閉可能な第2弁72を有する。ここで、液体供給部52は、液体収容容器18内の液体を吐出ヘッド25へ供給するための排出口を有する部分である。一方、液体排出部71は、液体吐出装置12を廃棄などする際に、液体収容容器18内に残留する液体を外部に排出する排出口を有する部分である。液体供給部52及び液体排出部71は、排出先が吐出ヘッド25か外部かの違いがあるものの、どちらも液体収容容器18内の液体を排出する機能を有する。このため、液体供給部52及び液体排出部71は、1つで兼用することが可能である。
【0040】
第1弁59は、供給流路24の上流端部に固定された連結部45と接続されていない図4に示す非接続状態では、閉弁状態にある。一方、第1弁59は、供給流路24の連結部45と接続されている図5に示す接続状態では、開弁状態にある。第1弁59は、液体供給部52と連結部45との接続の有無に応じて開閉が自動的に切り換わる構成である。
【0041】
第1弁59は、例えば、次に示す構造でもよい。液体供給部52は、その軸線方向に進退可能な状態で外側へ進出する方向へ不図示の付勢部材により付勢されている。例えば、液体供給部52に連結部45が接続されると、液体供給部52が連結部45から受ける力により退避することにより、第1弁59は閉弁状態から開弁状態に切り換わる。また、液体供給部52から連結部45が取り外されると、付勢部材の付勢力により液体供給部52が進出方向に復元することで、第1弁59は開弁状態から閉弁状態に切り換わる。このため、液体供給部52に対する連結部45の着脱を液体の漏れを抑えつつ行うことが可能である。
【0042】
また、液体吐出装置12を廃棄などする際、第1弁59は、第2弁72としても機能する。第2弁72は、液体収容容器18内の液体を吐出ヘッド25以外の外部に排出するときに液体排出部71の排出流路を開閉する機能を有する。第2弁72は、例えば、次に示す構造でもよい。液体排出部71は、その軸線方向に進退可能な状態で外側へ進出する方向へ不図示の付勢部材により付勢されている。例えば、液体排出部71に、後述する回収容器60の回収接続部62が接続されると、液体排出部71が回収接続部62から受ける力により退避することにより、第2弁72は閉弁状態から開弁状態に切り換わる。また、液体排出部71から回収接続部62が取り外されると、付勢部材の付勢力により回収接続部62が進出方向に復元することで、第2弁72は開弁状態から閉弁状態に切り換わる。このため、液体排出部71に対する回収接続部62の着脱を液体の漏れを抑えつつ行うことが可能である。
【0043】
<液体収容容器18内の液体の回収について>
次に、図6図8を参照して、液体収容容器18内の液体を回収するための構成及び処理について説明する。
【0044】
第1実施例では、液体収容容器18は、液体供給部52と供給流路24との接続方向に沿って液体吐出装置12の筐体20から引き抜き可能に構成される。前述のとおり、液体収容ユニット19の前面部を構成する視認板部19B(図1参照)が着脱可能であるので、視認板部19Bを上方又は幅方向Xにスライドさせることで取り外した後、図6に示すように、液体収容容器18を、液体供給部52と連結部45との接続方向である、同図に白抜き矢印で示す第1方向に移動させる。この液体収容容器18の第1方向への移動により、液体供給部52から連結部45が取り外される。このとき、弁59は、開弁状態から閉弁状態に切り換わる。よって、図6に示すように、液体供給部52が露出しても、液体供給部52から液体が漏れることが抑制される。取り外しされた液体収容容器18内の液体は、例えば、図7に示す回収容器60に回収される。
【0045】
<回収容器60の構成>
次に、図7図8を参照して、回収容器60の構成について説明する。
図7に示す回収容器60は、例えば、液体吐出装置12の廃棄時にユーザーが用意する。回収容器60は、液体収容容器18の液体排出部71から排出された液体を収容する回収収容部61と、液体排出部71と接続可能に構成される回収接続部62とを備える。回収容器60は、液体排出部71と回収接続部62との接続を通じて液体収容容器18に残留する液体を回収する。回収接続部62は、回収収容部61の上面61B又は側面61C上部に位置している。図7に示す例では、回収接続部62は、回収収容部61の側面61C上部に位置している。回収収容部61は、回収収容室61Aを備える。
【0046】
回収容器60は、回収接続部62が液体を回収する流路を開閉する第3弁63を備えてもよい。例えば、第3弁63は、回収接続部62が液体収容容器18側の液体排出部71と接続されていない図7に示す非接続状態において、閉弁状態にある。一方、第3弁63は、回収接続部62が液体排出部71と接続されている図8に示す接続状態において、開弁状態にある。このように、第3弁63は、液体排出部71と回収接続部62との接続の有無に応じて開閉が自動的に切り換わる構成であってもよい。
【0047】
例えば、液体排出部71が回収接続部62に接続されたときに回収接続部62側に付勢部材の付勢力に抗して変位する部分があり、この変位によって第3弁63は閉弁状態から開弁状態に切り換わる。また、液体排出部71が回収接続部62から取り外されると、回収接続部62側の前記部分が付勢部材により元の位置へ復元することにより、第3弁63は開弁状態から閉弁状態に切り換わる。
【0048】
また、図7に示すように、回収容器60は、大気連通部64を備える。大気連通部64は、回収収容室61Aと外部とを連通する。大気連通部64は、回収収容室61Aと外部とを、蛇行経路で形成された細孔の部分を含む大気連通路を介して連通する。
【0049】
図8に示すように、液体収容容器18の液体排出部71と回収容器60の回収接続部62とが接続されると、液体収容容器18内の液体が水頭圧により回収容器60へ移動する。すなわち、液体収容容器18の液体排出部71と回収容器60の回収接続部62とが接続された状態では、液体収容容器18内の液体収容室55の内底面が、回収容器60の回収収容室61A内に最大液量の液体を回収した際の最高液面高さよりも高く位置するように設定されている。ここで、最大液量とは、液体収容容器18に収容可能な最大液量である。
【0050】
また、液体排出部71と回収接続部62とが接続された状態で、液体収容容器18から回収容器60内に流入した液体の体積に応じた量の空気が大気連通部64から排気されることで、液体収容容器18から回収容器60内への液体の流入が継続的に行われる。回収容器60の容積は、液体収容容器18に収容可能な液体の最大液量よりも大きいので、回収容器60側で液体が溢れることはない。
【0051】
また、図7図8に示すように、回収容器60は、回収収容部61内に液体を保持可能な液体保持部材65を有してもよい。液体保持部材65は、液体を吸収することで液体を保持可能な液体吸収部材である。液体保持部材65は、例えば、不織布であってもよい。なお、液体保持部材は、スポンジや多孔質材料よりなる液体吸収部材であってもよい。液体保持部材65は、液体収容容器18に収容される液体の最大容積に相当する量の液体を保持可能な体積で回収収容室61A内に収容されている。回収容器60は、内部の液体が液体保持部材65に保持されることによって、仮に回収容器60を傾けても液体が漏れないように構成される。なお、本実施形態では、回収容器60と液体吐出装置12とにより、液体吐出システムが構成されてもよい。
【0052】
<第1実施形態の作用>
次に、第1実施形態の液体収容容器18を備える液体吐出装置12の作用について説明する。液体吐出装置12と回収容器60を含む液体吐出システムの作用を併せて説明する。
【0053】
液体吐出装置12を廃棄するとき、ユーザーは、回収容器60を入手する。回収容器60は、液体吐出装置12の購入時に液体吐出装置12と共に梱包されていてもよいし、液体吐出装置12を廃棄する際にユーザーがメーカー又は販売店等から回収容器60を取り寄せてもよい。なお、回収容器60は、有料でも無料でもよい。
【0054】
ユーザーは、図1に示す液体吐出装置12において、図2に示すように、画像読取装置及びカバー32を開ける。さらに、ユーザーは、液体収容ユニット19の前面部を構成する視認板部19Bを、上方又は幅方向Xにスライドさせるなどして、筐体20から取り外す。視認板部19Bが取り外されることで、液体収容容器18の前方(+Y方向側)が開放される。このため、液体収容容器18を第1方向(+Y方向)にスライド可能になる。
【0055】
図6に示すように、ユーザーは、液体収容容器18を同図に白抜き矢印で示す第1方向に例えばスライドにより移動させる。第1方向は、液体供給部52と供給流路24との接続方向である。特に、本例では、供給流路24はその上流端部に連結部45を備えるので、第1方向は、液体供給部52と連結部45との接続方向である。なお、ユーザーが液体収容容器18を移動させる第1方向は、液体供給部52と、供給流路24又は連結部45との接続方向に沿う方向であればよい。第1方向は、液体供給部52と、供給流路24又は連結部45との接続方向に対して、例えば0<θ≦20°の範囲で交差する方向であってもよい。要するに、ユーザーが液体収容容器18を第1方向に移動させた際に、液体供給部52と、供給流路24又は連結部45との接続を、両者に過度な負荷を与えることなく、取り外すことができればよい。
【0056】
液体供給部52から連結部45が取り外されても、第1弁59が開弁状態から閉弁状態に切り換わるので、液体供給部52からインク等の液体が漏れることが抑制される。よって、筐体20内がインク等の液体で汚れることが極力抑えられる。なお、液体供給部52から連結部45が取り外された際は、連結部45側に設けられた不図示の弁が開弁状態から閉弁状態に切り換わるので、連結部45からインク等の液体が漏れることも抑制される。
【0057】
次に、筐体20から取り外した液体収容容器18の液体排出部71と、回収容器60の回収接続部62とを接続する。すると、第2弁72(本実施形態では第1弁59と同一の弁)と第3弁63が共に閉弁状態から開弁状態に切り換わる。液体収容容器18内の液体は水頭圧により回収容器60へ移動する。この液体の回収過程において、液体収容容器18から回収容器60内に流入した液体の体積に応じた量の空気が大気連通部64から排気される。これにより、液体収容容器18から回収容器60内への液体の流入が継続的に行われる。回収容器60の容積は、液体収容容器18に収容可能な液体の最大液量よりも大きいので、回収容器60は液体を溢れることなく回収できる。回収容器60内に回収された液体は、液体保持部材65に吸収される。回収容器60内に回収された液体が液体保持部材65に保持されることによって、仮に回収容器60を傾けても液体が漏れることはない。そして、ユーザーは、液体収容容器18内に残留した液体を除去した後、液体吐出装置12を廃棄する。
【0058】
よって、第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1-1)液体吐出装置12は、液体を吐出する吐出ヘッド25と、吐出ヘッド25へ供給する液体を収容可能な液体収容容器18とを備える。液体収容容器18は、液体を収容可能に構成される液体収容部51と、液体収容部51に液体を注入する液体注入部53とを備える。さらに、液体収容容器18は、吐出ヘッド25に液体を供給する供給流路24の一端部が接続される部分であって、液体収容部51内の液体を供給する液体供給部52と、液体収容部51内に収容されている液体を外部に排出する液体排出部71とを備える。液体排出部71が、液体収容部51の底面51Aまたは側面51B下部に配置される。この構成によれば、液体吐出装置12において液体収容容器18内に残留している液体を、液体収容部51の底面51Aまたは側面51B下部に配置される液体排出部71から外部に排出することが可能になる。よって、液体収容容器18内に残留する液体を外部に排出したうえで、液体吐出装置12を廃棄することができる。なお、液体供給部52が液体排出部71を兼用する構成でもよい。
【0059】
(1-2)液体供給部52が液体排出部71を兼ねる。この構成によれば、液体供給部52が液体排出部71を兼ねるので、簡単な構成で済む。
(1-3)液体供給部52と液体排出部71が別である。この構成によれば、液体供給部52と液体排出部71が別であるので、液体供給部52と液体排出部71のそれぞれを液体収容部51に対する配置位置の選択の自由度が高まる。よって、液体供給部52と液体排出部71を液体収容部51における適切な位置に配置できる。
【0060】
(1-4)液体供給部52が液体を供給する流路を開閉可能な第1弁59を備える。この構成によれば、液体供給部52を介した液体の供給/非供給を第1弁59により選択できる。例えば、液体供給部52が、吐出ヘッド25へ液体を供給する流路等の接続対象と接続されているときは第1弁59が開き、接続対象との接続が解除されるときは第1弁59が閉じることで、液体供給部52からの液体漏れを抑えつつ液体を適切に吐出ヘッド25へ供給できる。
【0061】
(1-5)液体排出部71が液体を排出する流路を開閉可能な第2弁72を有する。この構成によれば、液体排出部71を介した液体の排出/非排出を弁により選択できる。例えば、液体排出部71が回収容器等の接続対象と接続されているときは第2弁72が開き、接続対象との接続が解除されるときは第2弁72が閉じることで、液体排出部71からの液体漏れを抑えつつ適切に液体を外部に排出できる。
【0062】
(1-6)液体収容容器18は、固定部42により液体吐出装置12に固定されてもよい。この構成によれば、液体収容容器18は、固定部42により液体吐出装置12に固定されているので、供給流路の一端部が液体収容容器18の液体供給部52から抜けることを回避しやすい。
【0063】
(第2実施形態)
次に、図9図15を参照して、第2実施形態の液体収容容器18及び回収容器60の構成について説明する。液体吐出装置12の基本的な構成は、前記第1実施形態と同様である。そのため、以下では、液体吐出装置12の構成については第1実施形態と同様の符号を付してその詳細な説明は省略し、特に、液体収容容器18及び回収容器60の構成等を中心に説明する。なお、液体収容容器18及び回収容器60についても第1実施形態と共通の構成については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0064】
図9図12に示すように、第2実施形態の液体収容容器18は、液体供給部52と液体排出部71とが別である構成である。つまり、液体収容容器18内の液体を外部に排出するための液体排出部71を、液体供給部52とは別に備える例である。
【0065】
図9図12に示すように、液体収容容器18の基本的な構成は、前記第1実施形態と同様である。すなわち、図9図12に示すように、液体収容容器18は、液体を収容可能に構成される液体収容部51と、液体収容部51に液体を注入する液体注入部53とを備える。さらに、液体収容容器18は、吐出ヘッド25に液体を供給する供給流路24(図12参照)の一端部が接続される部分であって、液体収容部51内の液体を供給する液体供給部52と、液体収容部51内に収容されている液体を外部に排出する液体排出部71とを備える。液体供給部52は、液体収容容器18の側面51Bの上部に位置する。液体収容部51の液体収容室55内は、隔壁部51Cから下方に延びる流路形成壁51Dにより、液体が収容される領域と液体を液体供給部52へ導く供給流路とに区画されている。
【0066】
液体供給部52は、供給流路24の上流端部に設けられた連結部45と連結可能に構成される。液体供給部52が連結部45(図12参照)と連結(接続)されることで、液体供給部52は連結部45の接続口46と接続される。液体排出部71は、液体収容部51の底面51Aまたは側面51B下部に配置される。なお、図9図12に示す例では、液体排出部71は、液体収容部51の底面51Aに配置される。液体排出部71は、液体収容部51の底面51Aから下方に突出している。
【0067】
また、液体供給部52は、液体を供給する流路を開閉可能な第1弁59を備える。液体排出部71は、液体を排出する流路を開閉可能な第2弁72を有する。この第2実施形態では、液体供給部52と液体排出部71とが別のものなので、第1弁59と第2弁72も別のものである。第1弁59の弁構造及び機能と、第2弁72の弁構造及び機能は、前記第1実施形態と同様である。
【0068】
<封止構造の例>
次に、図9から図11を参照して、排出接続構造部75の構成について説明する。液体収容容器18の液体排出部71は、液体収容容器18とは別体の接続対象と接続可能に構成される。液体収容容器18は、液体排出部71が接続対象と接続されていないときに、液体排出部71からの液体の排出を阻止し、且つ液体排出部71が接続対象と接続されているときに、液体排出部71からの液体の排出を許容する状態に切り替え可能に構成される排出接続構造部75を備える。
【0069】
以下、図9から図11を参照して、排出接続構造部75を有する液体収容容器18について3つの例を順番に説明する。
<第1の例>
図9に示す第1の例における液体収容容器18において、排出接続構造部75は、液体排出部71に着脱可能に取着され、液体排出部71が接続対象と接続されていないときに、液体排出部71に取着されることで液体排出部71を封止する封止構造を有する。
【0070】
図9に示すように、第1の例における排出接続構造部75は、液体排出部71が接続対象と接続されていないときに、液体排出部71に嵌めることで、液体排出部71を封止する封止部材76を含む。封止部材76は、例えば、栓部材(キャップ部材)である。封止部材76は、液体排出部71と、例えば、嵌合又は螺合により、液体排出部71と接続可能に構成される。
【0071】
図9の例では、液体排出部71が管部で構成され、凸形状を呈する。このため、封止部材76は、凸形状の液体排出部71に嵌まる凹形状を呈する。封止部材76は、凸形状の第2排出部の外径とほぼ同じ内径の凹部を有する。液体排出部71は、接続対象である回収容器60の回収接続部62と接続されていないときに、液体排出部71に接続される封止部材76により封止される。つまり、液体吐出装置12が廃棄処分等される時以外の通常使用状態において、封止部材76は、液体収容容器18内の液体が液体排出部71から排出しないように液体排出部71を封止する。一方、液体排出部71が接続対象である回収接続部62と接続されるときは、封止部材76は、液体排出部71と接続する接続状態から、液体排出部71と接続されない非接続状態へユーザーによって切り替えられる。つまり、封止部材76は、ユーザーによって液体排出部71から取り外しされる。
【0072】
<第2の例>
図10に示す第2の例における液体収容容器18において、排出接続構造部75は、図9と同様の栓部材(キャップ部材)よりなる封止部材76である。図10に示す例の液体排出部71は、接続対象である回収容器60の回収接続部62が管状の凸形状を呈する場合に、この凸形状と接続可能な凹形状を呈する。つまり、液体排出部71は、管状の凸形状を呈する回収接続部62が嵌まる凹部74Aを有する筒形状を呈する。このため、封止部材76は、凹形状の液体排出部71に外側から嵌まる凹形状を呈する。封止部材76は、凹形状の液体排出部71の外径とほぼ同じ又は若干大きい内径の凹部を有する。このため、液体排出部71は、接続対象である回収容器60の回収接続部62と接続されていないときに、液体排出部71に接続される封止部材76により封止される。なお、第1の例及び第2の例における封止部材76は、液体排出部71が接続対象と接続された後も、繰り返し使用可能である。
【0073】
<第3の例>
図11に示す第3の例における液体収容容器18において、排出接続構造部75は、接続対象が接続されると破壊可能な封止構造を有する。第2の例における排出接続構造部75は、液体排出部71に貼り付けられている破壊可能な封止部材77である。封止部材77は、例えば、封止用のフィルムである。液体排出部71は、接続対象である回収容器60の回収接続部62と接続されていないときに、液体排出部71に接続されている封止部材77により封止される。つまり、液体吐出装置12が廃棄処分等される時以外の通常使用状態において、封止部材76は、液体収容容器18内の液体が液体排出部71から排出しないように液体排出部71を封止する。一方、液体排出部71が接続対象である回収接続部62と接続されると、接続対象が封止部材77を破壊する。なお、第2の例における封止部材77は、液体排出部71が接続対象と接続されることで破壊されるので、繰り返しの使用は不可能であり1回の使用に限られる。
【0074】
<第2実施形態の作用>
次に、第2実施形態の液体収容容器18を備える液体吐出装置12の作用について説明する。液体吐出装置12と回収容器60を含む液体吐出システムの作用を併せて説明する。
【0075】
液体吐出装置12を廃棄するとき、ユーザーは、回収容器60を入手する。ユーザーは、前記第1実施形態と同様に、液体収容容器18を図13に白抜き矢印で示す第1方向に例えばスライドにより移動させる。第1方向は、液体供給部52と供給流路24との接続方向である。特に、本例では、第1方向は、液体供給部52と連結部45との接続方向である。
【0076】
液体供給部52から連結部45が取り外されても、第1弁59が開弁状態から閉弁状態に切り換わるので、液体供給部52からインク等の液体が漏れることが抑制される。よって、筐体20内がインク等の液体で汚れることが極力抑えられる。なお、液体供給部52から連結部45が取り外された際は、連結部45側に設けられた不図示の弁が開弁状態から閉弁状態に切り換わる。
【0077】
筐体20から取り外した液体収容容器18の液体排出部71には排出接続構造部75がある。排出接続構造部75は、接続対象の一例である回収容器60の回収接続部62と接続されていないときに液体の排出を阻止し、且つ接続対象の一例である回収接続部62に接続されると、液体の排出を許容する状態に切り替わる。排出接続構造部75が第1の例における封止部材76(図9)又は第2の例における封止部材76(図10)である場合、ユーザーは、液体排出部71を回収接続部62に接続する前に、液体排出部71から封止部材76を取り外す。一方、排出接続構造部75が第3の例におけるフィルム部材よりなる封止部材77(図11)である場合、ユーザーは、そのまま液体排出部71を回収接続部62に接続する。
【0078】
次に、図14に示すように、筐体20から取り外した液体収容容器18の下側に、回収容器60を配置する。回収接続部62は、筒形状を呈し、その筒内に液体排出部71が嵌まることが可能な凹部66Aを有する。そして、図15に示すように、液体収容容器18の液体排出部71と、回収容器60の回収接続部62とを接続する。すると、第2弁72と第3弁63が共に閉弁状態から開弁状態に切り換わる。液体収容容器18内の液体は水頭圧により回収容器60へ移動する。この液体の回収過程において、液体収容容器18から回収容器60内に流入した液体の体積に応じた量の空気が大気連通部64から排気される。これにより、液体収容容器18から回収容器60内への液体の流入が継続的に行われる。回収容器60には、液体収容容器18内のほぼ全ての液体が溢れることなく回収される。回収容器60内に回収された液体は、液体保持部材65に吸収される。よって、仮に回収容器60を傾けても液体が漏れることはない。そして、ユーザーは、液体収容容器18内に残留した液体を除去した後、液体吐出装置12を廃棄する。
【0079】
よって、第2実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2-1)液体排出部71は、液体収容容器18とは別体の接続対象と接続可能に構成される。液体収容容器18は、液体排出部71が接続対象と接続されていないときに液体排出部からの液体の排出を阻止し、且つ液体排出部71が接続対象に接続されるときに、液体排出部71からの液体の排出を許容する状態に切り替え可能に構成される排出接続構造部75を備える。この構成によれば、排出接続構造部75は、液体排出部71が接続対象に接続されていないときは、液体収容部51内の液体が液体排出部71から排出されることを阻止する。また、排出接続構造部75は、液体排出部71が接続対象に接続されるときに、液体排出部71からの液体の排出を許容する状態に切り替わる。よって、廃棄処分等以外の通常使用状態において、液体収容部内の液体が液体排出部から排出されることを抑えることができる。また、液体排出部に対する回収容器等の接続対象の着脱を、液体漏れを抑えつつ適切に行うことができる。
【0080】
(2-2)排出接続構造部75は、液体排出部71に着脱可能に取着され、液体排出部71が接続対象と接続されていないときに、液体排出部71に取着されることで液体排出部71を封止する封止構造を有する。この構成によれば、液体排出部71が接続対象に接続されていないときは、排出接続構造部75が液体排出部71に取着されることで、液体収容部51内の液体が液体排出部71から排出されてしまうことを、排出接続構造部75の封止構造により阻止できる。例えば、液体吐出装置12が廃棄処分等される時以外の通常使用状態において、液体収容容器18内の液体が不用意に液体排出部71から排出されることを抑制できる。また、排出接続構造部75が液体排出部71から取り外しされることで、液体排出部71が接続対象と接続が可能になる。
【0081】
(2-3)排出接続構造部75は、接続対象が接続されると破壊可能な封止構造を有する。この構成によれば、排出接続構造部75が接続対象に接続されていない廃棄処分等される時以外の通常使用状態においては、排出接続構造部75の封止構造により液体収容部51内の液体が液体排出部71から排出されてしまうことを阻止できる。排出接続構造部75が接続対象に接続されると、排出接続構造部75の封止構造が破壊されることで、液体排出部71から液体を回収容器60等の接続対象へ排出することができる。よって、弁などの複雑な構造をとることなく、排出接続構造部75を簡単な構成とすることができる。
【0082】
なお、上記実施形態は以下に示す変更例のような形態に変更することもできる。さらに、上記実施形態および以下に示す変更例を適宜組み合わせたものを更なる変更例とすることもできるし、以下に示す変更例同士を適宜組み合わせたものを更なる変更例とすることもできる。
【0083】
・液体収容容器18を液体吐出装置12から取り外す際の移動方向は、Y方向に限定されず、他の方向であってもよい。例えば、図16図17に示すように、液体収容容器18を液体吐出装置12から取り外す際の移動方向がZ方向(下方)であってもよい。図16に示すように、筐体20において液体収容容器18の配置位置の下方となる底面20Aには開口20Bがあり、その開口20Bを開閉可能にカバー20Cが設けられている。液体収容容器18は、供給流路24の上流端部に設けられた連結部45を接続可能な液体供給部52が上方に向かって突出している。液体供給部52と供給流路24との接続方向がZ方向になっている。このため、液体供給部52を供給流路24から取り外すために液体収容容器18を移動させる移動方向がZ方向になっている。図17に示すように、ユーザーがカバー20Cを開けることで、液体収容容器18をガイドレール81に沿ってZ方向に移動させることが可能になっている。液体収容容器18をガイドレール81に沿ってZ方向に移動させることで、液体供給部52と供給流路24とを取り外すとともに、液体収容容器18を筐体の底部から取り外すことができる。ユーザーは、液体収容容器18の液体排出部71に接続された封止部材76を取り外した後、液体収容容器18の液体排出部71を、図14図15に示す回収容器60の回収接続部62に接続することで、液体収容容器18内に残存する液体を回収容器60内へ水頭圧によって回収する。
【0084】
図18に示すように、回収接続部62には、回収収容部61内の液体を流出不能に封止する封止部材68が設けられてもよい。図18に示す例では、封止部材68は、回収接続部62の接続口を封止するキャップ部材である。キャップ部材よりなる封止部材68は、回収接続部62に対して、例えば、嵌合又は螺合によりその接続口を封止する状態に取り付けられる。この構成によれば、回収容器60内に液体を回収した後、回収接続部62が封止部材68により封止されるので、回収容器60内の液体が漏出を抑制できる。
【0085】
・水頭圧で液体を排出できる位置であれば、液体収容部51における液体排出部71の位置や、回収収容部61における回収接続部62の位置は、適宜変更してもよい。
・前記第1実施形態において、液体供給部52の第1弁59は、手動で開閉操作可能な手動式の開閉弁であったり、手動式の開閉弁の機能を兼ね備えた構成でもよい。この場合、液体供給部52を回収容器60に接続してもよいが、空ボトル等の他の容器に液体を回収する場合、手動操作で開弁することができれば、他の容器に液体を回収する場合でも、液漏れを抑制することができる。
【0086】
・前記第2実施形態において、液体排出部71の第2弁72は、手動で開閉操作する手動式の開閉弁であったり、手動式の開閉弁の機能を兼ね備えた構成でもよい。この場合も、手動操作で開弁することができれば、空ボトル等の他の容器に液体を回収する場合でも、液漏れを抑制することができる。
【0087】
・前記実施形態における液体吐出装置12は、複数の液体収容容器18を備えたが、1つの液体収容容器18のみ備える液体吐出装置12でもよい。一つの液体収容容器18が、例えば、黒色のインクを液体として収容するものであって、液体吐出装置12がモノクロ印刷専用のプリンターであってもよい。
【0088】
・液体保持部材65は、不織布や、スポンジ、多孔質材料などに限定されず、高吸水性ポリマー(SAP)でもよい。
・前記実施形態では、液体排出部71と回収収容部61とを接続することで液体を回収容器60内に回収したが、液体収容容器18内の液体を液体排出部71から回収容器60の注入口へ注いでもよい。例えば、液体排出部71の開口よりも回収収容部61の開口を大きくして、開口同士を離した位置から水頭圧によって液体を注いでもよい。
【0089】
・前記実施形態では、メーカー、代理店又は販売店が用意した回収容器60に液体収容容器18内の液体を回収したが、他の容器に回収してもよい。例えば、空の液体ボトル34に回収してもよい。このように、回収先の容器は、回収した液体を収容できるものであればよい。
【0090】
・回収用の容器に回収することに限定されない。不織布等の吸収材を入れたビニール袋に回収してもよい。この場合、回収容器を用意しなくてもよい。また、液体収容容器18内の液体を回収する際に水頭圧を利用して外部に回収できる。よって、例えば液体供給ユニットを傾けて液体を回収する方法をとる場合に比べ、回収作業時に液体吐出装置12や回収作業を行うその周辺をインク等の液体で汚れることを回避しやすくなる。
【0091】
・液体収容容器18を筐体20から取り外す際の移動方向は、Y方向(前方向)やZ方向(下方向)以外の方向であってもよい。要するに、液体供給部52と供給流路24との接続方向に沿う方法であればよい。例えば、-Y方向(後方向)や-Z方向(上方向)であってもよいし、幅方向Xであってもよい。幅方向Xである場合、-X方向(右方向)でもよいし、+X方向(左方向)でもよい。さらに、X方向とY方向との2方向にそれぞれ成分をもつ方向や、Y方向とZ方向との2方向にそれぞれ成分をもつ方向や、X方向とZ方向との2方向にそれぞれ成分をもつ方向などでもよい。さらに、X方向とY方向とZ方向との3方向にそれぞれ成分をもつ方向であってもよい。
【0092】
・液体吐出装置12において、液体収容容器18の配置位置は、筐体20の前部右側に限定されない。例えば、筐体20の前部左側でもよい。また、液体収容容器18の配置位置は、筐体20の側部又は筐体20の後部でもよい。また、前記実施形態では、液体収容容器18の配置位置が、筐体20が一部外側(例えば前側)に突出する形状となる位置であったが、筐体20が外側に突出していない位置に配置されてもよい。
【0093】
・前記実施形態では、液体収容容器18が筐体20内の所定位置に固定される、所謂オフキャリッジタイプであったが、液体収容容器18がキャリッジ26に固定状態で搭載される所謂オンキャリッジタイプであってもよい。オンキャリッジタイプである場合、
・液体吐出装置12は、用紙に印刷するインクジェットプリンターに限らず、捺染装置でもよい。
【0094】
・媒体Mは、用紙に限定されず、合成樹脂製のフィルムでもよいし、布や不織布などの布帛でもよい。さらに、媒体Mは、合成樹脂層と金属層とを含むラミネート媒体や、金属よりなるホイル又は箔などでもよい。
【0095】
・液体吐出装置12は、インク以外の他の液体を吐出する液体吐出装置であってもよい。液体吐出装置から微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。ここでいう液体は、液体吐出装置から吐出させることができるような材料であればよい。例えば、液体は、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体を含むものとする。液体は、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体吐出装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を吐出する装置がある。液体吐出装置は、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。液体吐出装置は、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する装置であってもよい。液体吐出装置は、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する装置であってもよい。
【0096】
以下、前記実施形態及び変更例から把握される技術思想を効果と共に記載する。
(A)液体吐出装置は、液体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドへ供給する液体を収容可能な液体収容容器とを備える液体吐出装置であって、前記液体収容容器は、液体を収容可能に構成される液体収容部と、前記液体収容部に液体を注入する液体注入部と、前記吐出ヘッドに液体を供給する供給流路の一端部が接続される部分であって、前記液体収容部内の液体を供給する液体供給部と、前記液体収容部内に収容されている液体を外部に排出する液体排出部と、を備え、前記液体排出部が、前記液体収容部の底面または側面下部に配置される。
【0097】
この構成によれば、液体吐出装置において液体収容容器内に残留している液体を、液体収容部の底面または側面下部に配置される液体排出部から外部に排出することが可能になる。よって、液体収容容器内に残留する液体を外部に排出したうえで、液体吐出装置を廃棄することができる。
【0098】
(B)上記(A)に記載の液体吐出装置において、前記液体供給部が前記液体排出部を兼ねてもよい。この構成によれば、液体供給部が液体排出部を兼ねるので、簡単な構成で済む。
【0099】
(C)上記(A)に記載の液体吐出装置において、前記液体供給部と前記液体排出部が別であってもよい。この構成によれば、液体供給部と液体排出部が別であるので、液体供給部と液体排出部のそれぞれを液体収容部に対する配置位置の選択の自由度が高まる。よって、液体供給部と液体排出部を液体収容部における適切な位置に配置できる。
【0100】
(D)上記(A)~(C)のいずれか一つに記載の液体吐出装置において、前記液体供給部が液体を供給する流路を開閉可能な第1弁を備えてもよい。
この構成によれば、液体供給部を介した液体の供給/非供給を弁により選択できる。例えば、液体供給部が、吐出ヘッドへ液体を供給する流路等の接続対象と接続されているときは弁が開き、接続対象との接続が解除されるときは弁が閉じることで、液体供給部からの液体漏れを抑えつつ液体を適切に吐出ヘッドへ供給できる。
【0101】
(E)上記(A)~(D)のいずれか一つに記載の液体吐出装置において、前記液体排出部が液体を排出する流路を開閉可能な第2弁を備えてもよい。この構成によれば、液体排出部を介した液体の排出/非排出を第2弁により選択できる。例えば、液体排出部が回収容器等の接続対象と接続されているときは弁が開き、接続対象との接続が解除されるときは弁が閉じることで、液体排出部からの液体漏れを抑えつつ適切に液体を外部に排出できる。
【0102】
(F)上記(A)~(E)のいずれか一つに記載の液体吐出装置において、前記液体排出部は、前記液体収容容器とは別体の接続対象と接続可能に構成され、前記液体収容容器は、前記液体排出部が前記接続対象と接続されていないときに前記液体排出部からの液体の排出を阻止し、且つ前記液体排出部が前記接続対象に接続されるときに、前記液体排出部からの液体の排出を許容する状態に切り替え可能に構成される排出接続構造部を備えてもよい。
【0103】
この構成によれば、排出接続構造部は、液体排出部が接続対象と接続されていないときは、液体収容部内の液体が液体排出部から排出されることを阻止し、液体排出部が接続対象に接続されるときに、液体排出部からの液体の排出を許容する状態に切り替わる。よって、廃棄処分等以外の通常使用状態において、液体収容部内の液体が液体排出部から排出されることを抑えることができる。また、液体排出部に対する回収容器等の接続対象の着脱を、液体漏れを抑えつつ適切に行うことができる。
【0104】
(G)上記(F)に記載の前記液体吐出装置において、前記排出接続構造部は、前記液体排出部に着脱可能に取着され、前記液体排出部が前記接続対象と接続されていないときに、前記液体排出部に取着されることで前記液体排出部を封止する封止構造を有してもよい。この構成によれば、液体排出部が接続対象に接続されていないときは、排出接続構造部が液体排出部に着脱可能に取着されることで、液体収容部内の液体が液体排出部から排出されてしまうことを封止構造により阻止できる。例えば、液体吐出装置が廃棄処分等される時以外の通常使用状態において、液体収容容器内の液体が不用意に液体排出部から排出されることを抑制できる。また、排出接続構造部が液体排出部から取り外しされることで、液体排出部が接続対象と接続が可能になる。
【0105】
(H)上記(F)又は(G)に記載の液体吐出装置において、前記排出接続構造部は、前記接続対象が接続されると破壊可能な封止構造を有してもよい。この構成によれば、排出接続構造部が接続対象が接続されると、封止構造が破壊されることで、液体排出部から液体を回収容器等の接続対象へ排出することができる。よって、弁などの複雑な構造をとることなく、封止構造を簡単な構成とすることができる。
【0106】
(I)上記(A)~(H)のいずれか一つに記載の液体吐出装置において、前記液体収容容器は、固定部により前記液体吐出装置に固定されてもよい。この構成によれば、液体収容容器は、固定部により液体吐出装置に固定されているので、供給流路の一端部が液体収容容器の液体供給部から抜けることを回避しやすい。
【符号の説明】
【0107】
11…複合機、12…液体吐出装置、13…画像読取装置、13A…回動機構、15…操作部、16…表示部、17…操作パネル、18…液体収容容器、18A…第1液体収容容器、18B…第2液体収容容器、19…液体収容ユニット、19A…ユニット本体、19B…視認板、20…筐体、20A…底部、21B…取出口、21C…底カバー、21…窓部、22…視認面、23…印刷部、24…供給流路、25…吐出ヘッド、25A…ノズル形成面、25N…ノズル、26…キャリッジ、27…移動機構、28…ガイド軸、29…キャリッジモーター、30…プーリー、31…タイミングベルト、32…カバー、33…キャップレバー、34…液体ボトル、34A…供給部、35…メンテナンス装置、36…液体供給装置、37…キャップ、38…排出チューブ、39…吸引ポンプ、40…廃液収容部、41…液体流路、42…固定部、43…ねじ、45…連結部、46…接続口、50…容器本体、51…液体収容部、51A…底面、51B…側面、51C…隔壁部、51D…流路形成壁、52…液体供給部、53…液体注入部、54…大気連通部、55…液体収容室、56…突状部、57…液体流路、58…空気流路、59…第1弁、60…回収容器、61…回収収容部、61A…回収収容室、61B…上面、61C…側面、62…回収接続部、63…弁、64…大気連通部、65…液体保持部材、66…筒部、66A…凹部、67…管部、68…封止部材、71…液体排出部、72…第2弁、73…管部、74…筒部、74A…凹部、75…排出接続構造部、76…封止部材、77…封止部材、81…ガイド部材、100…制御部、M…媒体、IL…液体、X…幅方向、Y…奥行方向、Z…上下方向。
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