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特開2024-142116媒体給送装置、記録装置、給送ローラーユニット及び記録装置の制御方法
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  • 特開-媒体給送装置、記録装置、給送ローラーユニット及び記録装置の制御方法 図1
  • 特開-媒体給送装置、記録装置、給送ローラーユニット及び記録装置の制御方法 図2
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  • 特開-媒体給送装置、記録装置、給送ローラーユニット及び記録装置の制御方法 図13
  • 特開-媒体給送装置、記録装置、給送ローラーユニット及び記録装置の制御方法 図14
  • 特開-媒体給送装置、記録装置、給送ローラーユニット及び記録装置の制御方法 図15
  • 特開-媒体給送装置、記録装置、給送ローラーユニット及び記録装置の制御方法 図16
  • 特開-媒体給送装置、記録装置、給送ローラーユニット及び記録装置の制御方法 図17
  • 特開-媒体給送装置、記録装置、給送ローラーユニット及び記録装置の制御方法 図18
  • 特開-媒体給送装置、記録装置、給送ローラーユニット及び記録装置の制御方法 図19
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142116
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】媒体給送装置、記録装置、給送ローラーユニット及び記録装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/06 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B65H3/06 350C
B65H3/06 330A
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054130
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 勝成
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA01
3F343FB01
3F343FC17
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343JA01
3F343JA11
3F343JA38
3F343KB04
3F343KB17
3F343LA15
3F343LA16
3F343LC02
3F343LC11
3F343LC22
3F343LC27
3F343LD26
3F343LD29
3F343MA04
3F343MA13
3F343MA35
3F343MB13
3F343MC03
3F343MC07
3F343MC17
3F343MC26
(57)【要約】
【課題】媒体の整列性を向上させることができる媒体給送装置、記録装置、給送ローラーユニット及び記録装置の制御方法を提供する。
【解決手段】給送ローラーは、駆動部からの正転動力により媒体載置部に載置された媒体を給送する。変位部は、駆動部からの正転動力により給送ローラーを当接位置に変位させ、駆動部からの逆転動力により給送ローラーを離間位置に変位させる。動力伝達部は、駆動部からの正転動力を給送ローラーに伝達するが、駆動部からの逆転動力を給送ローラーに伝達しないワンウェイクラッチを有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体載置部に載置された媒体を給送可能である給送ローラーと、
前記給送ローラーを駆動させる駆動部と、
当接位置と離間位置との間で前記給送ローラーを変位させる変位部と、
前記駆動部からの動力を前記給送ローラー及び前記変位部に伝達可能である動力伝達部と、
を備え、
前記当接位置は、前記媒体載置部に載置された媒体に前記給送ローラーが当接する位置であり、
前記離間位置は、前記媒体載置部に載置された媒体から前記給送ローラーが離間する位置であり、
前記給送ローラーは、前記駆動部からの正転動力により前記媒体載置部に載置された媒体を給送し、
前記変位部は、前記駆動部からの正転動力により前記給送ローラーを前記当接位置に変位させ、前記駆動部からの逆転動力により前記給送ローラーを前記離間位置に変位させ、
前記動力伝達部は、前記駆動部からの正転動力を前記給送ローラーに伝達するが、前記駆動部からの逆転動力を前記給送ローラーに伝達しないワンウェイクラッチを有する、
ことを特徴とする媒体給送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体給送装置において、
前記変位部の変位を規制する規制部を備え、
前記変位部は、第1位置と第2位置との間で変位可能であり、
前記第1位置は、前記給送ローラーを前記当接位置に変位させる位置であり、
前記第2位置は、前記給送ローラーを前記離間位置に変位させる位置であり、
前記規制部は、前記変位部が前記第1位置から前記第2位置に変位する際に、前記第2位置において前記変位部の変位を規制し、前記変位部が前記第2位置から前記第1位置に変位する際に、前記第1位置において前記変位部の変位を規制し、
前記動力伝達部は、前記駆動部からの動力を前記給送ローラーに伝達する第1動力伝達部と、前記駆動部からの動力を前記変位部に伝達する第2動力伝達部と、を有し、
前記第1動力伝達部は、前記ワンウェイクラッチを有し、
前記第2動力伝達部は、所定負荷により動力の伝達を遮断するトルクリミッターを有し、
前記トルクリミッターは、前記第2位置において前記規制部により前記変位部の変位が規制されたときに、前記変位部への動力の伝達を遮断し、前記第1位置において前記規制部により前記変位部の変位が規制されたときに、前記変位部への動力の伝達を遮断する、
ことを特徴とする媒体給送装置。
【請求項3】
請求項2に記載の媒体給送装置において、
前記動力伝達部は、第1歯車を有し、
前記トルクリミッターは、前記第1歯車と同軸上に設けられ、
前記第1歯車は、前記媒体載置部に載置された媒体が前記給送ローラーによって給送される際に、前記給送ローラーの回転方向と同じ方向に回転する、
ことを特徴とする媒体給送装置。
【請求項4】
請求項1に記載の媒体給送装置において、
前記変位部は、回動により第1位置と第2位置との間で変位可能であり、
前記第1位置は、前記給送ローラーを前記当接位置に変位させる位置であり、
前記第2位置は、前記給送ローラーを前記離間位置に変位させる位置であり、
前記変位部は、前記駆動部からの正転動力により前記第2位置から前記第1位置に回動し、
前記変位部の回動軸は、前記給送ローラーの回転軸よりも媒体に近い、
ことを特徴とする媒体給送装置。
【請求項5】
請求項1に記載の媒体給送装置において、
前記変位部は、回動により第1位置と第2位置との間で変位可能であり、
前記第1位置は、前記給送ローラーを前記当接位置に変位させる位置であり、
前記第2位置は、前記給送ローラーを前記離間位置に変位させる位置であり、
前記変位部は、前記駆動部からの正転動力により前記第2位置から前記第1位置に回動し、
前記変位部の回動軸は、前記給送ローラーの回転軸と同軸上に位置する、
ことを特徴とする媒体給送装置。
【請求項6】
請求項1に記載の媒体給送装置において、
前記給送ローラーを揺動可能に支持するアーム部を備える、
ことを特徴とする媒体給送装置。
【請求項7】
請求項1に記載の媒体給送装置において、
前記給送ローラー及び前記変位部を支持するアーム部を備え、
前記アーム部は、前記給送ローラーと前記媒体載置部との距離を変えるように回動可能である、
ことを特徴とする媒体給送装置。
【請求項8】
請求項7に記載の媒体給送装置において、
前記アーム部を回動可能に支持する駆動軸を備え、
前記アーム部は、前記駆動軸に対して着脱可能である、
ことを特徴とする媒体給送装置。
【請求項9】
請求項7に記載の媒体給送装置において、
前記媒体載置部を引出方向に引出す際に、前記アーム部を退避位置に退避させるアーム退避部を備える、
ことを特徴とする媒体給送装置。
【請求項10】
請求項1に記載の媒体給送装置において、
前記変位部は、第1位置と第2位置との間で変位可能であり、
前記第1位置は、前記給送ローラーを前記当接位置に変位させる位置であり、
前記第2位置は、前記給送ローラーを前記離間位置に変位させる位置であり、
前記変位部が前記第2位置から前記第1位置に変位する方向は、前記媒体載置部を引き出す引出方向に沿う方向と同じ方向である、
ことを特徴とする媒体給送装置。
【請求項11】
請求項10に記載の媒体給送装置において、
前記給送ローラーが媒体を給送する給送方向は、前記引出方向と反対の方向であり、
前記変位部が前記第1位置から前記第2位置に変位する方向は、前記駆動部からの正転動力による回転方向と同じである、
ことを特徴とする媒体給送装置。
【請求項12】
請求項1~請求項11のうち何れか一項に記載の媒体給送装置と、
前記給送ローラーによって給送された媒体に記録を行う記録部と、
を備える、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項13】
請求項12に記載の記録装置において、
前記媒体給送装置によって給送された媒体を反転させる反転部を備え、
前記記録部は、媒体として両面印刷可能な写真用紙に記録が可能であり、かつ、前記反転部によって媒体が反転された後に記録可能である、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項14】
請求項12に記載の記録装置において、
制御部を備え、
前記変位部は、第1位置と第2位置との間で変位可能であり、
前記第1位置は、前記給送ローラーを前記当接位置に変位させる位置であり、
前記第2位置は、前記給送ローラーを前記離間位置に変位させる位置であり、
前記制御部は、媒体に記録を行うジョブの終了後に次のジョブがない場合と、媒体に記録を行うジョブの終了後に所定時間に亘って次のジョブがない場合と、電源を切断する場合との少なくとも何れかにおいて前記変位部を前記第2位置に変位させる、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項15】
請求項12に記載の記録装置において、
制御部と、
前記給送ローラーによって給送された媒体の先端を検出する媒体検出部と、
を備え、
前記変位部は、第1位置と第2位置との間で変位可能であり、
前記第1位置は、前記給送ローラーを前記当接位置に変位させる位置であり、
前記第2位置は、前記給送ローラーを前記離間位置に変位させる位置であり、
前記制御部は、
前記変位部が前記第1位置であるとき、媒体を給送するために前記駆動部の駆動を開始してから、第1時間が経過しても前記媒体検出部によって媒体の先端が検出されない場合に、給送エラーと判定し、
前記変位部が前記第2位置であるとき、媒体を給送するために前記駆動部の駆動を開始してから、前記第1時間よりも長い第2時間が経過しても前記媒体検出部によって媒体の先端が検出されない場合に、前記給送エラーと判定する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項16】
媒体載置部に載置された媒体を給送可能である給送ローラーと、
当接位置と離間位置との間で前記給送ローラーを変位させる変位部と、
駆動部からの動力を前記給送ローラー及び前記変位部に伝達可能である動力伝達部と、
を備え、
前記当接位置は、前記媒体載置部に載置された媒体に前記給送ローラーが当接する位置であり、
前記離間位置は、前記媒体載置部に載置された媒体から前記給送ローラーが離間する位置であり、
前記給送ローラーは、前記駆動部からの正転動力により前記媒体載置部に載置された媒体を給送し、
前記変位部は、前記駆動部からの正転動力により前記給送ローラーを前記当接位置に変位させ、前記駆動部からの逆転動力により前記給送ローラーを前記離間位置に変位させ、
前記動力伝達部は、前記駆動部からの正転動力を前記給送ローラーに伝達するが、前記駆動部からの逆転動力を前記給送ローラーに伝達しないワンウェイクラッチを有する、
ことを特徴とする給送ローラーユニット。
【請求項17】
請求項12に記載の記録装置の制御方法において、
前記変位部は、第1位置と第2位置との間で変位可能であり、
前記第1位置は、前記給送ローラーを前記当接位置に変位させる位置であり、
前記第2位置は、前記給送ローラーを前記離間位置に変位させる位置であり、
媒体に記録を行うジョブの終了後に次のジョブがない場合と、媒体に記録を行うジョブの終了後に所定時間に亘って次のジョブがない場合と、電源を切断する場合との少なくとも何れかにおいて前記変位部を前記第2位置に変位させることを含む、
ことを特徴とする記録装置の制御方法。
【請求項18】
請求項17に記載の記録装置の制御方法において、
前記記録装置は、前記給送ローラーによって給送された媒体の先端を検出する媒体検出部を有し、
前記変位部が前記第1位置であるとき、媒体を給送するために前記駆動部の駆動を開始してから、第1時間が経過しても前記媒体検出部によって媒体の先端が検出されない場合に、給送エラーと判定することと、
前記変位部が前記第2位置であるとき、媒体を給送するために前記駆動部の駆動を開始してから、前記第1時間よりも長い第2時間が経過しても前記媒体検出部によって媒体の先端が検出されない場合に、前記給送エラーと判定することと、を含む、
ことを特徴とする記録装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体給送装置、記録装置、給送ローラーユニット及び記録装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、媒体載置部に載置された媒体を給送する給送ローラーと、媒体に対する給送ローラーの接触を防止する接触防止部と、を備える媒体給送装置が開示されている。このような媒体給送装置では、給送ローラーの正転に伴って、接触防止部が媒体と給送ローラーとの間から退避するように構成される。このように、接触防止部材によって媒体に対する給送ローラーの接触を抑制することにより、給送ローラーによるブリード痕を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-179897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような記録装置では、接触防止部が媒体と給送ローラーとの間に接触防止部を移動させるときに、給送ローラーを逆転させる必要があった。このため、給送ローラーの逆転によって、媒体の整列性を損ねてしまうおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する媒体給送装置は、媒体載置部に載置された媒体を給送可能である給送ローラーと、前記給送ローラーを駆動させる駆動部と、当接位置と離間位置との間で前記給送ローラーを変位させる変位部と、前記駆動部からの動力を前記給送ローラー及び前記変位部に伝達可能である動力伝達部と、を備え、前記当接位置は、前記媒体載置部に載置された媒体に前記給送ローラーが当接する位置であり、前記離間位置は、前記媒体載置部に載置された媒体から前記給送ローラーが離間する位置であり、前記給送ローラーは、前記駆動部からの正転動力により前記媒体載置部に載置された媒体を給送し、前記変位部は、前記駆動部からの正転動力により前記給送ローラーを前記当接位置に変位させ、前記駆動部からの逆転動力により前記給送ローラーを前記離間位置に変位させ、前記動力伝達部は、前記駆動部からの正転動力を前記給送ローラーに伝達するが、前記駆動部からの逆転動力を前記給送ローラーに伝達しないワンウェイクラッチを有する。
【0006】
上記課題を解決する記録装置は、上記媒体給送装置と、前記給送ローラーによって給送された媒体に記録を行う記録部と、を備える。
上記課題を解決する給送ローラーユニットは、媒体載置部に載置された媒体を給送可能である給送ローラーと、当接位置と離間位置との間で前記給送ローラーを変位させる変位部と、駆動部からの動力を前記給送ローラー及び前記変位部に伝達可能である動力伝達部と、を備え、前記当接位置は、前記媒体載置部に載置された媒体に前記給送ローラーが当接する位置であり、前記離間位置は、前記媒体載置部に載置された媒体から前記給送ローラーが離間する位置であり、前記給送ローラーは、前記駆動部からの正転動力により前記媒体載置部に載置された媒体を給送し、前記変位部は、前記駆動部からの正転動力により前記給送ローラーを前記当接位置に変位させ、前記駆動部からの逆転動力により前記給送ローラーを前記離間位置に変位させ、前記動力伝達部は、前記駆動部からの正転動力を前記給送ローラーに伝達するが、前記駆動部からの逆転動力を前記給送ローラーに伝達しないワンウェイクラッチを有する。
【0007】
上記課題を解決する記録装置の制御方法は、上記記録装置の制御方法において、前記変位部は、第1位置と第2位置との間で変位可能であり、前記第1位置は、前記給送ローラーを前記当接位置に変位させる位置であり、前記第2位置は、前記給送ローラーを前記離間位置に変位させる位置であり、媒体に記録を行うジョブの終了後に次のジョブがない場合と、媒体に記録を行うジョブの終了後に所定時間に亘って次のジョブがない場合と、電源を切断する場合との少なくとも何れかにおいて前記変位部を前記第2位置に変位させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の記録装置を示す斜視図である。
図2】第1実施形態の記録装置を示す斜視図である。
図3】第1実施形態の記録装置を示す斜視図である。
図4】第1実施形態の記録装置を示す断面図である。
図5】第1実施形態の媒体給送装置を示す斜視図である。
図6】第1実施形態の媒体給送装置を示す模式図である。
図7】第1実施形態の媒体給送装置を示す模式図である。
図8】第1実施形態の媒体給送装置を示す側面図である。
図9】第1実施形態の媒体給送装置を示す背面図である。
図10】第1実施形態の媒体給送装置を示す側面図である。
図11】第1実施形態の媒体給送装置を示す背面図である。
図12】第1実施形態の媒体給送装置を示す側面図である。
図13】第1実施形態の媒体給送装置を示す側面図である。
図14】第1実施形態の当接処理を示すフローチャートである。
図15】第1実施形態の第1離間処理を示すフローチャートである。
図16】第1実施形態の第2離間処理を示すフローチャートである。
図17】第1実施形態の媒体給送監視処理を示すフローチャートである。
図18】第2実施形態の第1離間処理を示すフローチャートである。
図19】第3実施形態の媒体給送装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、媒体給送装置、記録装置、給送ローラーユニット及び記録装置の制御方法の一実施形態について説明する。記録装置は、媒体給送装置を含む。媒体給送装置は、給送ローラーユニットを含む。以下の説明では、鉛直方向Zと交差する方向を幅方向Xとし、鉛直方向Z及び幅方向Xと交差する方向を前後方向Yとする。幅方向Xのうち一方を第1幅方向X1とし、幅方向Xのうち他方を第2幅方向X2とする。前後方向Yのうち一方を前方Y1とし、前後方向Yのうち他方を後方Y2とする。鉛直方向Zのうち上方を上方Z1とし、鉛直方向Zのうち下方を下方Z2とする。
【0010】
<記録装置11の構成>
図1に示すように、記録装置11は、媒体に記録を行う装置である。記録装置11は、液体を吐出することにより媒体に記録を行う装置であってもよい。液体は、例えばインクであってもよい。液体は、例えば複数種類の色であっても1種類の色であってもよい。媒体は、例えば用紙であってもよい。用紙は、後述する写真用紙99を含む。記録装置11は、複数種類の用紙に記録を行ことができる装置であってもよい。
【0011】
記録装置11は、直方体状に構成される。記録装置11は、前面12を備える。前面12は、前方Y1に向かう平面である。記録装置11は、背面13を備える。背面13は、後方Y2に向かう平面である。記録装置11は、左側面14を備える。左側面14は、第2幅方向X2に向かう平面である。記録装置11は、右側面15を備える。右側面15は、第1幅方向X1に向かう平面である。記録装置11は、底面16を備える。底面16は、下方Z2に向かう平面である。記録装置11は、天面17を備える。天面17は、上方Z1に向かう平面である。
【0012】
このように、天面17は、積載対象物を積載可能である平面を含む。積載対象物としては、別の記録装置11であってもよく、ノート型のコンピューターであってもよい。天面17は、積載対象物を積載可能である平面を含めば、全部の領域において平面であっても、一部の領域において平面ではなくてもよい。
【0013】
記録装置11は、筐体20と、本体21とを備える。筐体20は、本体21を収容するように構成される。筐体20は、少なくとも記録装置11の左側面14の一部、右側面15の一部、底面16の一部及び天面17の一部を構成するが、少なくとも記録装置11の左側面14の全部、右側面15の全部、底面16の全部及び天面17の全部を構成してもよい。
【0014】
このように、筐体20は、記録装置11の左側面14、右側面15、底面16及び天面17という複数の面を有する。記録装置11の左側面14、右側面15、底面16及び天面17は、それぞれ筐体20の左側面、右側面、底面及び天面であるともいえる。なお、筐体20に、記録装置11の前面12の少なくとも一部が含まれてもよい。また、筐体20に、記録装置11の背面13の少なくとも一部が含まれてもよい。
【0015】
本体21は、少なくとも記録装置11の前面12の全部を構成するが、少なくとも記録装置11の前面12の一部を構成してもよい。このように、本体21は、記録装置11の前面12を有する。記録装置11の前面12は、本体21の前面であるともいえる。また、記録装置11の背面13は、筐体20の背面と、本体21の背面とで構成されてもよいが、筐体20の背面だけで構成されてもよく、本体21の背面だけで構成されてもよい。
【0016】
筐体20は、平板形状の底板22を備える。底板22は、金属製であるが、樹脂製であってもよく、金属板と樹脂板との両方から構成されてもよい。底板22は、貫通孔22Aを備える。貫通孔22Aは、底板22を鉛直方向Zに沿って開口する。貫通孔22Aは、筐体20に収容される部材を底板22の下方Z2側から着脱するための孔である。
【0017】
記録装置11は、収容量視認部31を備える。収容量視認部31は、本体21に設けられる。収容量視認部31は、後述する液体収容部40における液体の収容量を視認可能である。収容量視認部31は、各色の液体にそれぞれ対応する複数の視認窓から構成される。
【0018】
記録装置11は、操作パネル33を備える。操作パネル33は、本体21に設けられる。操作パネル33は、操作部34と、表示部35とを備える。操作部34は、ユーザーによって操作可能である。操作部34は、複数の操作ボタンから構成されてもよい。表示部35は、記録装置11に関する情報を表示する。操作パネル33は、記録装置11の前面12に位置する。
【0019】
本体21は、筐体20に対して前後方向Yに沿って変位可能に構成される。詳しくは、本体21は、筐体20に対して、前後方向Yに沿って閉位置、第1開位置及び第2開位置の間で変位可能に構成される。
【0020】
本体21は、閉位置に配置可能である。閉位置は、本体21が筐体20に収容される位置である。閉位置は、前方Y1に向かって所定距離D0だけ本体21が筐体20から突出する位置であるが、本体21が筐体20から突出しない位置であってもよい。つまり、本体21は、記録装置11の左側面14の一部、右側面15の一部、底面16の一部及び天面17の一部を構成するが、記録装置11の左側面14、右側面15、底面16及び天面17を構成しなくてもよい。
【0021】
図2に示すように、本体21は、第1開位置に変位可能である。第1開位置は、前方Y1に向かって本体21が筐体20から突出する開位置である。特に、第1開位置は、前方Y1に向かって第1距離D1だけ本体21が筐体20から突出する位置である。第1距離D1は、所定距離D0よりも長い距離である。このように、本体21が第1開位置に配置されるときに、本体21の内部の少なくとも一部が筐体20から露出する。
【0022】
図3に示すように、本体21は、第2開位置に変位可能である。第2開位置は、前方Y1に向かって本体21が筐体20から突出する開位置である。特に、第2開位置は、前方Y1に向かって第2距離D2だけ本体21が筐体20から突出する位置である。第2距離D2は、第1距離D1よりも長い距離である。このように、本体21が第2開位置に配置されるときに、本体21の内部の少なくとも一部が筐体20から露出する。
【0023】
記録装置11は、制御部23を備える。制御部23は、本体21に搭載されている。制御部23は、筐体20に収容されている。制御部23は、本体21が閉位置、第1開位置及び第2開位置に配置されるときに筐体20から露出しない。
【0024】
制御部23は、記録装置11を制御する。制御部23は、記録装置11で実行される各種動作を制御する。制御部23は、α:コンピュータープログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサー、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはγ:それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。ハードウェア回路は、例えば特定用途向け集積回路である。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0025】
記録装置11は、開閉部37を備える。開閉部37は、本体21に設けられる。開閉部37は、記録装置11の前面12に位置する。開閉部37は、下端部37Aにおいて幅方向Xに沿う回転軸を中心として回転可能に構成される。これにより、開閉部37は、記録装置11の前面12に対して開閉可能に構成される。
【0026】
記録装置11は、排出口38を備える。排出口38は、本体21に設けられる。排出口38は、後述する記録部48によって記録された媒体を排出する開口である。排出口38は、記録装置11の前方Y1に開口する。つまり、排出口38は、記録装置11の前面12において、前方Y1に開口するように設けられる。言い換えると、排出口38は、本体21の前面において、前方Y1に開口するように設けられる。
【0027】
排出口38は、開閉部37が開放しているときに記録装置11の前方Y1において露出する。排出口38は、開閉部37が閉鎖しているときに露出しないが、開閉部37が閉鎖しているときにも露出してもよい。排出口38は、後述する液体収容部40の第2幅方向X2に位置する。
【0028】
記録装置11は、排紙トレイ37Bを備える。排紙トレイ37Bは、本体21に設けられる。排紙トレイ37Bは、開閉部37の内壁面に設けられる。排紙トレイ37Bは、開閉部37が開放されているときに露出し、記録後の媒体を載置可能である。排紙トレイ37Bは、前後方向Yに伸縮可能に構成されてもよい。
【0029】
記録装置11は、把持部39を備える。把持部39は、本体21に設けられる。把持部39は、排出口38の上方Z1に設けられる。把持部39は、記録装置11の前面12において、前方Y1からユーザーにより把持可能な位置に設けられる。つまり、把持部39は、本体21の前方Y1に向かう面において、前方Y1からユーザーにより把持可能な位置に設けられる。このように、把持部39は、本体21を前後方向Yに変位させる際にユーザーにより把持可能である。特に、複数の記録装置11を鉛直方向Zに積載した場合や複数の記録装置11を幅方向Xに横並びに設置した場合であっても、把持部39は、ユーザーにより前方Y1側から容易に把持可能となる。
【0030】
図2に示すように、記録装置11は、液体収容部40を備える。液体収容部40は、本体21に搭載されている。液体収容部40は、媒体への記録に用いる液体を収容するように構成される。つまり、液体収容部40は、後述する記録部48へ供給する液体を収容するように構成される。液体収容部40は、液体が注入可能なタンク型の収容部であってもよい。
【0031】
液体収容部40は、収容室41と、液体注入口42と、キャップ43と、を備える。収容室41は、液体を収容するように構成される。液体注入口42は、収容室41に液体を注入可能に構成される開口である。キャップ43は、液体注入口42を覆う。キャップ43は、収容室41を密封することにより、収容室41における乾燥を抑制することができる。液体注入口42からキャップ43を取り外すことにより、液体注入口42から収容室41への液体の注入が可能となる。液体収容部40は、各色の液体にそれぞれ対応する複数の収容室41、複数の液体注入口42及び複数のキャップ43を備えてもよい。
【0032】
液体収容部40は、本体21が閉位置に配置されるときに筐体20から露出しない。液体収容部40は、本体21が第1開位置に配置されるときに筐体20から露出する。このように、本体21が第1開位置に配置されるときに、キャップ43を取り外すことにより、液体注入口42は、筐体20から露出する。これにより、液体注入口42から収容室41への液体の注入が可能となる。なお、液体収容部40は、本体21が第2開位置に配置されるときにも筐体20から露出する。
【0033】
記録装置11は、廃液装着部45を備える。廃液装着部45は、廃液収容体46を装着可能に構成される。廃液収容体46は、後述する記録部48から廃液として排出された液体を、不図示のメンテナンス装置を介して回収可能に構成される。廃液装着部45は、本体21に搭載されている。廃液装着部45は、排出口38の上方Z1に設けられる。
【0034】
廃液装着部45は、本体21が閉位置に配置されるときに筐体20から露出しない。廃液装着部45は、本体21が第1開位置に配置されるときに筐体20から露出する。このように、本体21が第1開位置に配置されるときに、廃液装着部45は、筐体20から露出する。これにより、廃液装着部45における廃液収容体46の着脱が可能となる。なお、廃液装着部45は、本体21が第2開位置に配置されるときにも筐体20から露出する。
【0035】
図3に示すように、記録装置11は、記録部48を備える。記録部48は、媒体に記録を行うように構成される。記録部48は、媒体に液体を吐出することにより媒体に記録を行うように構成されてもよい。記録部48は、本体21に搭載されている。記録部48は、前後方向Yにおいて液体収容部40と隣り合う位置に設けられる。記録部48は、液体収容部40よりも後方Y2に設けられる。
【0036】
記録部48は、本体21が第2開位置に配置されるときに筐体20から露出する。特に、後述するキャリッジ51は、本体21が第2開位置に配置されるときに筐体20から露出する。記録部48は、本体21が閉位置及び第1開位置に配置されるときに筐体20から露出しない。
【0037】
記録装置11は、搬送経路49を備える。搬送経路49は、媒体を搬送する経路である。搬送経路49は、本体21に設けられる。搬送経路49の一部は、本体21が第2開位置に配置されるときに筐体20から露出する。特に、搬送経路49のうち、記録部48により媒体への記録が行われる記録領域RAは、本体21が第2開位置に配置されるときに筐体20から露出する。搬送経路49の一部は、本体21が閉位置及び第1開位置に配置されるときに筐体20から露出しない。
【0038】
図4に示すように、記録部48は、キャリッジ51と、液体吐出ヘッド52とを備える。キャリッジ51は、液体吐出ヘッド52を上方Z1から支持する。液体吐出ヘッド52は、キャリッジ51の下方Z2に設けられる。つまり、液体吐出ヘッド52は、キャリッジ51に搭載される。
【0039】
液体吐出ヘッド52は、不図示の複数のノズルを備える。複数のノズルのそれぞれは、後述する支持部53に支持された媒体に向けて開口する。複数のノズルのそれぞれは、液体を吐出する。液体吐出ヘッド52は、支持部53に支持された媒体に向けて複数のノズルから液体を吐出する。このように、記録部48は、媒体への液体の吐出により媒体に記録を行うように構成される。液体吐出ヘッド52は、キャリッジ51の幅方向Xへの移動に伴って液体を吐出するシリアルヘッド型であるが、ラインヘッド型であってもよい。
【0040】
記録装置11は、支持部53を備える。支持部53は、本体21に搭載される。支持部53は、媒体を支持するように構成される。特に、支持部53は、記録部48によって媒体に記録が行われる記録領域RAにおいて、媒体を支持する。
【0041】
記録装置11は、媒体載置部54を備える。媒体載置部54は、1枚又は複数枚の媒体を載置可能である。媒体載置部54は、媒体を載置可能なトレイであってもよい。媒体載置部54は、本体21に搭載される。媒体載置部54は、前後方向Yに沿って本体21から変位可能である。媒体載置部54は、本体21から前方Y1に引き出されることにより、媒体の載置及び媒体の取出が可能な状態となる。このように、前方Y1は、媒体載置部54が引き出される引出方向の一例に相当する。
【0042】
媒体載置部54は、仕切板54Aを備える。仕切板54Aは、媒体載置部54の前後方向Yにおける中央に位置する。仕切板54Aは、媒体載置部54を前後方向Yに仕切る。媒体載置部54は、第1媒体載置部54Bを備える。媒体載置部54は、第2媒体載置部54Cを備えてもよい。第1媒体載置部54Bと第2媒体載置部54Cとは、仕切板54Aにより前後方向Yに仕切られた部位である。第1媒体載置部54Bは、第2媒体載置部54Cよりも後方Y2に位置する。第1媒体載置部54Bは、読取前の1枚又は複数枚の媒体を載置可能である。第2媒体載置部54Cは、読取後の1枚又は複数枚の媒体を載置可能である。
【0043】
記録装置11は、媒体給送装置60を備える。媒体給送装置60は、媒体載置部54が本体21に装着されているときに、媒体載置部54の上方Z1に位置する。詳しくは、媒体給送装置60は、媒体載置部54が本体21に装着されているときに、第1媒体載置部54Bの上方Z1に位置する。媒体給送装置60は、媒体載置部54に載置されている媒体を1枚ずつ給送する。
【0044】
記録装置11は、搬送部55を備える。搬送部55は、媒体を搬送するように構成される。搬送部55は、本体21に搭載される。搬送部55は、媒体給送装置60によって給紙した媒体を搬送経路49に沿って搬送する。
【0045】
搬送部55は、複数のローラーと、駆動源となる複数のモーターとを備える。特に、搬送部55は、搬送ローラー対56を備える。搬送ローラー対56は、支持部53の搬送経路49の上流に位置する。搬送ローラー対56は、搬送経路49に沿って媒体を支持部53に搬送する。また、搬送部55は、排出ローラー対57を備える。排出ローラー対57は、支持部53の搬送経路49の下流に位置する。排出ローラー対57は、搬送経路49に沿って記録後の媒体を排出する。
【0046】
このように、媒体載置部54に載置されている媒体は、媒体給送装置60によって給紙される。そして、媒体給送装置60によって給紙された媒体は、搬送部55によって搬送経路49に沿って搬送される。これにより、記録部48は、搬送部55によって搬送経路49に沿って搬送された媒体に記録を行う。つまり、記録部48は、媒体給送装置60によって給送された媒体に記録を行う。言い換えると、記録部48は、後述する給送ローラー63によって給送された媒体に記録を行う。
【0047】
搬送部55は、反転部58を備える。つまり、反転部58は、本体21に搭載される。また、記録装置11は、反転部58を備える。反転部58は、本体21に対して後方Y2から着脱可能に構成されてもよい。反転部58は、複数のローラーを備える。反転部58は、搬送経路49に沿って媒体を搬送させるように構成される。
【0048】
搬送経路49は、反転経路49Aを備える。反転経路49Aは、搬送ローラー対56と反転部58とを結ぶ経路である。反転経路49Aは、前後方向Yに沿って延びる。記録領域RAにおいて記録部48によって媒体の表面に記録が行われた後、搬送ローラー対56は、反転経路49Aに沿って媒体を反転部58に搬送する。反転部58は、反転経路49Aに沿って搬送された媒体を反転させた状態で、搬送経路49に沿って媒体を搬送するように構成される。つまり、反転部58は、媒体給送装置60によって給送された媒体を反転させる。
【0049】
このように、反転部58によって反転された媒体が再び記録領域RAに搬送されることにより、記録部48は、媒体の裏面に記録可能となる。これにより、記録部48は、媒体の両面に印刷が可能となる。つまり、記録部48は、反転部58によって媒体が反転された後に記録可能である。特に、記録部48は、媒体として両面印刷可能な写真用紙に記録可能であってもよい。
【0050】
記録装置11は、媒体検出部59を備える。媒体検出部59は、搬送経路49に沿って設けられる。媒体検出部59は、搬送経路49のうち、媒体載置部54と反転部58との間に設けられてもよいが、反転部58と搬送ローラー対56との間に設けられてもよい。媒体検出部59は、媒体給送装置60によって給送された媒体の先端を検出する。詳しくは、媒体検出部59は、後述する給送ローラー63によって給送された媒体の先端を検出する。
【0051】
<媒体給送装置60の構成>
ここで、媒体給送装置60について詳しく説明する。
図4及び図5に示すように、媒体給送装置60は、給送ローラーユニット61と、駆動軸62とを備える。給送ローラーユニット61は、駆動軸62を中心に回動可能に設けられる。駆動軸62は、幅方向Xに沿って延びる。駆動軸62は、給送ローラーユニット61に動力を伝達するためのドライブシャフトであってもよい。
【0052】
給送ローラーユニット61は、給送ローラー63を備える。つまり、媒体給送装置60は、給送ローラー63を備える。給送ローラーユニット61は、複数の給送ローラー63を備えてもよい。給送ローラーユニット61は、アーム部64を備える。つまり、媒体給送装置60は、アーム部64を備える。
【0053】
給送ローラー63は、アーム部64に収容される。給送ローラー63は、アーム部64の先端部64Bに設けられる。給送ローラー63は、第1回転軸63Aを中心として回転可能に支持される。第1回転軸63Aは、幅方向Xに沿って延びる。給送ローラー63は、媒体載置部54に載置された媒体を給送可能である。給送ローラー63が媒体を給送する給送方向は、後方Y2側である。つまり、給送ローラー63が媒体を給送する給送方向は、媒体載置部54を引き出す引出方向と反対の方向であるが、引出方向と正反対の方向ではなくてもよく、引出方向と反対の方向の成分を含む方向であってもよい。
【0054】
アーム部64は、給送ローラー63を含む各種の部材を収容する。アーム部64は、基端部64Aと、先端部64Bとを備える。基端部64Aは、先端部64Bよりも前方Y1に位置してもよい。
【0055】
アーム部64は、基端部64Aにおいて駆動軸62を中心に回動可能に設けられる。つまり、アーム部64は、駆動軸62を中心に回動可能である。また、駆動軸62は、アーム部64を回動可能に支持するように構成される。
【0056】
アーム部64は、駆動軸62に対して着脱可能である。詳しくは、本体21が閉位置にあり、かつ、媒体載置部54が本体21から取り外された状態において、アーム部64は、貫通孔22Aを介して露呈される。このように、本体21が閉位置にあり、かつ、媒体載置部54が本体21から取り外された状態において、アーム部64は、貫通孔22Aを介して着脱可能となる。
【0057】
アーム部64は、先端部64Bにおいて給送ローラー63を回転可能に支持する。特に、アーム部64は、給送ローラー63との間に遊びを設けることにより、給送ローラー63を揺動可能に支持する。アーム部64は、先端部64Bにおいて後述する変位部86を回動可能に支持する。
【0058】
アーム部64は、駆動軸62を中心に回動することにより、媒体載置部54に載置される媒体に対して給送ローラー63を進退させる。アーム部64は、媒体載置部54に載置されている媒体に給送ローラー63を接触させることができる。アーム部64は、媒体載置部54に載置されている媒体の枚数によって傾斜角度が変化可能である。このように、アーム部64は、媒体載置部54に載置されている媒体の枚数によって、給送ローラー63と媒体載置部54との距離を変えるように変位可能である。
【0059】
図5に示すように、アーム部64は、被係合部64Cを備える。被係合部64Cは、後述する第2係合部30Fと係合可能である。被係合部64Cは、後方Y2に向かって開放する係合凹部であってもよい。
【0060】
図6及び図7に示すように、アーム部64は、駆動軸62を中心に回動することにより、給送位置と退避位置との間で変位可能である。給送位置は、図6に示すように、媒体載置部54に載置された媒体を給送可能な位置である。退避位置は、図7に示すように、媒体載置部54の引き出しと干渉しない位置である。
【0061】
記録装置11は、アーム退避部30を備える。アーム退避部30は、媒体載置部54を引出方向に引出す際に、アーム部64を退避位置に退避させるように構成される。退避位置は、図7に示すように、媒体載置部54の引き出しと干渉しない位置である。
【0062】
アーム退避部30は、本体21に設けられる。アーム退避部30は、幅方向XからみてL字形状である。アーム退避部30は、軸30Aを中心として回動可能に設けられる。軸30Aは、幅方向Xに沿って延びる。
【0063】
アーム退避部30は、本体部30Bと、第1レバー30Cと、第2レバー30Dと、を備える。第1レバー30Cは、本体部30Bから下方Z2に向かって突出する。第2レバー30Dは、本体部30Bから前方Y1に向かって突出する。
【0064】
アーム退避部30は、第1係合部30Eと、第2係合部30Fとを備える。第1係合部30Eは、第1レバー30Cの先端部に設けられる。第1係合部30Eは、不図示のスライド部材と係合可能である。第1係合部30Eは、係合孔であってもよい。第2係合部30Fは、第2レバー30Dの先端部に設けられる。第2係合部30Fは、被係合部64Cと係合可能である。第2係合部30Fは、係合凸部であってもよい。
【0065】
アーム退避部30は、不図示の付勢部材によって上方Z1側に付勢力が付与されている。アーム部64は、外力が付与されないときには、退避位置に位置する。アーム部64は、不図示のモーターの駆動力により、給送位置と退避位置との間で変位してもよい。アーム部64は、不図示の付勢部材によって下方Z2側に付勢力が付与されてもよい。
【0066】
スライド部材は、媒体載置部54が後方Y2に装着されることに伴って、後方Y2にスライドする。この場合に、図6に示すように、第1係合部30Eも後方Y2に移動する。これにより、アーム退避部30は、付勢部材からの付勢力に反して、軸30Aを中心に回動する。そして、アーム退避部30は、アーム部64を退避位置から給送位置に変位させる。
【0067】
スライド部材は、媒体載置部54が前方Y1に引き出されることに伴って、前方Y1にスライド可能となる。このように、スライド部材が前方Y1にスライドすることにより、図7に示すように、アーム退避部30は、付勢部材からの付勢力を受けて軸30Aを中心に回動する。そして、アーム退避部30は、アーム部64を給送位置から退避位置に変位させる。
【0068】
図5に示すように、媒体給送装置60は、駆動部65を備える。駆動部65は、給送ローラーユニット61への動力源である。駆動部65は、モーターであってもよい。駆動部65は、駆動軸62を回転させることにより、給送ローラーユニット61に動力を供給する。詳しくは、駆動部65は、駆動軸62に軸着されている歯車62Aを回転させることにより、給送ローラーユニット61に動力を供給する。特に、駆動部65は、給送ローラー63を駆動させる。駆動部65は、後述する変位部86を駆動させる。
【0069】
駆動部65は、正転駆動と逆転駆動とを行うことができる。正転駆動は、給送ローラーユニット61に正転動力を供給することができる駆動である。正転動力は、給送ローラー63を正転させる動力である。逆転駆動は、給送ローラーユニット61に逆転動力を供給することができる駆動である。逆転動力は、正転動力の反対の方向に働く動力である。駆動軸62は、駆動部65の正転動力が伝わると、第1回転方向R1に回転可能である。駆動軸62は、駆動部65の逆転動力が伝わると、第2回転方向R2に回転可能である。
【0070】
<動力伝達部66の構成>
給送ローラーユニット61は、動力伝達部66を備える。つまり、媒体給送装置60は、動力伝達部66を備える。動力伝達部66は、アーム部64に収容される。動力伝達部66は、駆動部65からの動力を給送ローラー63に伝達可能である。動力伝達部66は、駆動部65からの動力を後述する変位部86に伝達可能である。
【0071】
動力伝達部66は、共通動力伝達部67を備える。動力伝達部66は、第1動力伝達部68と、第2動力伝達部69と、を備える。共通動力伝達部67は、共通伝達経路として用いられる伝達部である。共通伝達経路は、第1伝達経路と第2伝達経路との両方において共通する伝達経路である。第1伝達経路は、駆動部65からの動力を給送ローラー63に伝達するための伝達経路である。第2伝達経路は、駆動部65からの動力を変位部86に伝達するための伝達経路である。つまり、第1伝達経路は、共通動力伝達部67と第1動力伝達部68とを含む。第2伝達経路は、共通動力伝達部67と第2動力伝達部69とを含む。
【0072】
共通動力伝達部67は、駆動軸62の回転により駆動部65からの動力が伝達される伝達部である。共通動力伝達部67は、駆動部65からの動力を第1動力伝達部68と第2動力伝達部69との両方に伝達する。つまり、共通動力伝達部67は、駆動部65からの動力を給送ローラー63と変位部86との両方に伝達可能である。
【0073】
共通動力伝達部67は、複数の歯車70~75を備える。共通動力伝達部67は、共通回転軸76を備える。複数の歯車70~75のそれぞれは、幅方向Xに沿って延びる軸を中心に回転可能にアーム部64に軸着される。複数の歯車70~75のそれぞれは、順番に噛み合う。
【0074】
歯車70,72,74のそれぞれは、駆動部65の正転動力が伝わると第1回転方向R1に回転する。歯車71,73,75のそれぞれは、駆動部65の正転動力が伝わると第2回転方向R2に回転する。歯車70,72,74のそれぞれは、駆動部65の逆転動力が伝わると第2回転方向R2に回転する。歯車71,73,75のそれぞれは、駆動部65の逆転動力が伝わると第1回転方向R1に回転する。
【0075】
特に、歯車70は、複数の歯車70~75のうち、共通動力伝達部67の動力経路における最上流に設けられる。歯車70は、駆動軸62に軸着されている。このように、歯車70は、駆動部65からの動力が駆動軸62の回転により伝達される部材である。
【0076】
歯車75は、複数の歯車70~75のうち、共通動力伝達部67の動力経路における最下流に設けられる。歯車75は、共通回転軸76に軸着されている。歯車75は、回転により、共通回転軸76を回転させる。歯車75は、駆動部65からの動力を第1動力伝達部68と第2動力伝達部69との両方に伝達する。つまり、歯車75は、駆動部65からの動力を第1動力伝達部68と第2動力伝達部69とに分岐する。
【0077】
このように、歯車75は、駆動部65の正転動力を第2回転方向R2の動力として第1動力伝達部68と第2動力伝達部69との両方に伝達する。歯車75は、駆動部65の逆転動力を第1回転方向R1の動力として第1動力伝達部68と第2動力伝達部69との両方に伝達する。具体的に、歯車75は、媒体載置部54に載置された媒体が給送ローラー63によって給送される際に、給送ローラー63の回転方向と同じ方向に回転する。歯車75が第1歯車の一例に相当する。
【0078】
第1動力伝達部68は、第1伝達経路として用いられる伝達部である。第1動力伝達部68は、共通回転軸76の回転により駆動部65からの動力が伝達される伝達部である。第1動力伝達部68は、駆動部65からの動力に応じて給送ローラー63に伝達する。つまり、第1動力伝達部68は、駆動部65からの動力を給送ローラー63に伝達可能である。
【0079】
第1動力伝達部68は、複数の歯車77~79を備える。つまり、動力伝達部66は、複数の歯車77~79を備える。第1動力伝達部68は、第1回転軸63Aを備える。複数の歯車77~79のそれぞれは、幅方向Xに沿って延びる軸を中心に回転可能にアーム部64に軸着される。複数の歯車77~79のそれぞれは、順番に噛み合う。
【0080】
特に、歯車77は、複数の歯車77~79のうち、第1動力伝達部68の動力経路における最上流に設けられる。歯車77は、共通回転軸76に軸着されている。このように、歯車77は、駆動部65からの動力が共通回転軸76の回転により伝達される部材である。
【0081】
歯車77は、ワンウェイクラッチを含む。歯車77自体がワンウェイクラッチであってもよく、歯車77にワンウェイクラッチを組み合わせる構成であってもよい。つまり、第1動力伝達部68は、ワンウェイクラッチを備える。歯車77は、共通回転軸76に軸着されている。歯車77は、共通回転軸76が第2回転方向R2に回転すると、共通回転軸76とともに第2回転方向R2に回転する。歯車77は、共通回転軸76が第1回転方向R1に回転すると、空転して回転しない。
【0082】
歯車79は、複数の歯車77~79のうち、第1動力伝達部68の動力経路における最下流に設けられる。歯車79は、第1回転軸63Aに軸着されている。歯車79は、回転により、第1回転軸63Aを回転させる。歯車79は、駆動部65からの動力を第1回転軸63Aに伝達する。つまり、歯車79は、駆動部65からの動力を給送ローラー63に伝達する。
【0083】
歯車77,79のそれぞれは、駆動部65の正転動力が伝わると第2回転方向R2に回転する。歯車78は、駆動部65の正転動力が伝わると第1回転方向R1に回転する。歯車77は、駆動部65の逆転動力が伝わらず、回転しない。このため、歯車77~79のそれぞれは、駆動部65の逆転動力が伝わらない。
【0084】
このように、給送ローラー63は、媒体載置部54に載置されている媒体と接触した状態で回転することにより、媒体載置部54に載置された媒体を給送可能である。特に、給送ローラー63は、媒体載置部54に載置された媒体を1枚ずつ給送可能である。給送ローラー63が媒体を給送する給送方向は、後方Y2側であってもよい。つまり、給送ローラー63が媒体を給送する給送方向は、引出方向と反対の方向であってもよい。
【0085】
特に、歯車77は、駆動部65からの正転動力を給送ローラー63に伝達するが、駆動部65からの逆転動力を給送ローラー63に伝達しない。これにより、給送ローラー63は、駆動部65からの正転動力により媒体載置部54に載置された媒体を給送する。一方、駆動部65からの逆転動力は、歯車77から下流には伝達されないため、給送ローラー63にも伝達されない。このように、第2回転方向R2が給送ローラー63の給送方向となる。
【0086】
第2動力伝達部69は、第2伝達経路として用いられる伝達経路である。第2動力伝達部69は、共通回転軸76の回転により駆動部65からの動力が伝達される伝達部である。第2動力伝達部69は、駆動部65からの動力に応じて変位部86に伝達する。つまり、第2動力伝達部69は、駆動部65からの動力を変位部86に伝達可能である。
【0087】
第2動力伝達部69は、トルクリミッター80を備える。つまり、動力伝達部66は、トルクリミッター80を備える。トルクリミッター80は、第2動力伝達部69の動力経路における最上流に設けられる。トルクリミッター80は、共通回転軸76に軸着されている。このように、トルクリミッター80は、駆動部65からの動力が共通回転軸76の回転により伝達される部材である。つまり、トルクリミッター80は、歯車75と同軸上に設けられる。
【0088】
トルクリミッター80は、所定負荷により動力の伝達を遮断するように構成される。このため、トルクリミッター80は、所定負荷が負荷されないときには、共通回転軸76が回転すると、共通回転軸76とともに回転する。トルクリミッター80は、所定負荷以上の負荷が掛かるときには、共通回転軸76が回転しても、空転して回転しない。
【0089】
第2動力伝達部69は、複数の歯車81~84を備える。第2動力伝達部69は、第2回動軸85を備える。複数の歯車81~84のそれぞれは、幅方向Xに沿って延びる軸を中心に回転可能にアーム部64に軸着される。複数の歯車81~84のそれぞれは、順番に噛み合う。
【0090】
特に、歯車81は、トルクリミッター80と連結される。このため、歯車81は、トルクリミッター80が回転すると、トルクリミッター80とともに回転する。つまり、歯車81は、トルクリミッター80に所定負荷が掛からないときには回転するが、所定負荷以上の負荷が掛かるときには回転しない。
【0091】
歯車84は、複数の歯車81~84のうち、第2動力伝達部69の動力経路における最下流に設けられる。歯車84は、第2回動軸85に軸着されている。歯車84は、駆動部65からの動力を第2回動軸85に伝達する。つまり、歯車84は、駆動部65からの動力を、第2回動軸85に軸着された変位部86に伝達する。
【0092】
歯車81,83のそれぞれは、トルクリミッター80に所定負荷が掛からないときには、駆動部65の正転動力が伝わると第2回転方向R2に回転する。歯車82,84のそれぞれは、トルクリミッター80に所定負荷が掛からないときには、駆動部65の正転動力が伝わると第1回転方向R1に回転する。歯車81,83のそれぞれは、トルクリミッター80に所定負荷が掛からないときには、駆動部65の逆転動力が伝わると第1回転方向R1に回転する。歯車82,84のそれぞれは、トルクリミッター80に所定負荷が掛からないときには、駆動部65の逆転動力が伝わると第2回転方向R2に回転する。歯車81~84のそれぞれは、トルクリミッター80に所定負荷以上の負荷が掛かるときには、回転しない。
【0093】
このように、トルクリミッター80は、所定負荷が掛からないときには、駆動部65からの動力を変位部86に伝達するが、所定負荷以上の負荷が掛かるときには、駆動部65からの動力を変位部86に伝達しない。
【0094】
<変位部86の構成>
図5及び図8に示すように、媒体給送装置60は、変位部86を備える。変位部86は、アーム部64に収容される。変位部86は、アーム部64の先端部64Bに設けられる。変位部86は、歯車84と連結される。変位部86は、歯車84よりも第1幅方向X1に設けられる。変位部86は、第2回動軸85を中心に回動可能である。第2回動軸85は、第1回転軸63Aと同軸上に位置してもよい。つまり、変位部86の回動軸は、給送ローラー63の回転軸と同軸上に位置する。
【0095】
変位部86は、カムである。変位部86は、カム部86Aを備える。カム部86Aは、変位部86において外周方向に突出する部位である。歯車84及び変位部86は、一体形成されたカム歯車であってもよい。
【0096】
変位部86は、第1位置P11と第2位置P12との間で変位可能である。特に、変位部86は、回動により第1位置P11と第2位置P12との間で変位可能である。変位部86は、駆動部65からの動力により第1位置P11と第2位置P12との間で変位可能である。
【0097】
図8及び図9に示すように、第1位置P11は、給送ローラー63よりも、カム部86Aが突出しない位置である。つまり、第1位置P11は、給送ローラー63を当接位置に変位させる位置である。
【0098】
当接位置は、給送位置に含まれる。当接位置は、カム部86Aが媒体載置部54に載置された媒体に向かわないことにより、給送ローラー63が変位部86よりも媒体載置部54に載置された媒体に対して突出する位置である。つまり、当接位置は、媒体載置部54に載置された媒体に給送ローラー63が当接する位置である。なお、図中において、媒体の一例として写真用紙99が採用されている。
【0099】
変位部86は、駆動部65からの正転動力により第2位置P12から第1位置P11に回動する。つまり、変位部86は、駆動部65からの正転動力により給送ローラー63を当接位置に変位させる。
【0100】
図10及び図11に示すように、第2位置P12は、給送ローラー63よりも、カム部86Aが突出する位置である。つまり、第2位置P12は、給送ローラー63を離間位置に変位させる位置である。
【0101】
離間位置は、給送位置に含まれる。離間位置は、カム部86Aが媒体載置部54に載置された媒体に向かうことにより、変位部86が給送ローラー63よりも媒体載置部54に載置された媒体に対して突出する位置である。つまり、離間位置は、媒体載置部54に載置された媒体から給送ローラー63が離間する位置である。
【0102】
変位部86は、駆動部65からの逆転動力により第1位置P11から第2位置P12に回動する。つまり、変位部86は、駆動部65からの逆転動力により給送ローラー63を離間位置に変位させる。
【0103】
このように、変位部86は、第1位置P11と第2位置P12との間で変位することにより、当接位置と離間位置との間で給送ローラー63を変位させる。変位部86が第2位置P12から第1位置P11に変位する際の変位部86の法線方向は、前方Y1である。つまり、変位部86が第2位置P12から第1位置P11に変位する方向は、媒体載置部54を引き出す引出方向に沿う方向と同じ方向であるが、引出方向に沿う方向と厳密に同じ方向ではなくても、引出方向に沿う方向と同じ方向の成分を含む方向であってもよい。
【0104】
また、変位部86が第1位置P11から第2位置P12に変位する際の変位部86の法線方向は、後方Y2である。変位部86が第1位置P11から第2位置P12に変位する際の変位部86の回動方向は、駆動部65からの正転動力による回転方向と同じである。つまり、変位部86が第1位置P11から第2位置P12に変位する方向は、駆動部65からの正転動力による回転方向と同じである。
【0105】
<規制部87の構成>
図12及び図13に示すように、媒体給送装置60は、規制部87を備える。詳しくは、給送ローラーユニット61は、規制部87を備える。規制部87は、アーム部64に設けられてもよい。規制部87は、変位部86の変位を規制する。
【0106】
図12に示すように、規制部87は、第1規制部87Aを備えてもよい。第1規制部87Aは、変位部86が第1位置P11であるときに、変位部86に設けられた第1当接面86Bと当接する。第1当接面86Bは、変位部86の第1幅方向X1側において、変位部86が第1位置P11であるときに第1規制部87Aと対面するように設けられてもよい。このように、第1規制部87Aは、変位部86が第2位置P12から第1位置P11に変位する際に、第1位置P11において変位部86の変位を規制する。このような場合、トルクリミッター80は、第1位置P11において第1規制部87Aにより変位部86の変位が規制されたときに、所定負荷により変位部86への動力の伝達を遮断する。
【0107】
図13に示すように、規制部87は、第2規制部87Bを備えてもよい。第2規制部87Bは、変位部86が第2位置P12であるときに、変位部86に設けられた第2当接面86Cと当接する。第2当接面86Cは、変位部86の第1幅方向X1側において、変位部86が第2位置P12であるときに第2規制部87Bと対面するように設けられてもよい。このように、第2規制部87Bは、変位部86が第1位置P11から第2位置P12に変位する際に、第2位置P12において変位部86の変位を規制する。このような場合、トルクリミッター80は、第2位置P12において第2規制部87Bにより変位部86の変位が規制されたときに、所定負荷により変位部86への動力の伝達を遮断する。
【0108】
<当接処理>
ここで、図14を参照して当接処理について説明する。当接処理は、制御部23によって所定周期毎に実行される処理である。
【0109】
図14に示すように、ステップS10において、制御部23は、ユーザーからの指示に基づいてジョブが開始するか否かを判定する。ジョブは、媒体に記録を行う処理である。ジョブは、1枚又は複数枚の媒体に記録を行う処理であってもよい。制御部23は、ジョブが開始しないと判定した場合、ステップS11,S12を実行せずに、当接処理を終了する。制御部23は、ジョブが開始すると判定した場合、ステップS11に処理を移行する。
【0110】
ステップS11において、制御部23は、変位部86が第2位置P12であるか否かを判定する。つまり、制御部23は、給送ローラー63が離間位置であるか否かを判定する。制御部23は、メモリーに割り当てられた位置情報に基づいて、変位部86が第2位置P12であるか否かを判定する。位置情報は、変位部86の位置を示す情報である。位置情報は、変位部86の変位に伴って制御部23によってメモリーに記憶される。制御部23は、変位部86が第2位置P12ではないと判定した場合、ステップS12を実行せずに、当接処理を終了する。つまり、制御部23は、変位部86が第1位置P11であると判定した場合、ステップS12を実行せずに、当接処理を終了する。制御部23は、変位部86が第2位置P12であると判定した場合、ステップS12に処理を移行する。
【0111】
ステップS12において、制御部23は、第1位置変位処理を実行する。第1位置変位処理において、制御部23は、駆動部65を正転駆動させる。これにより、変位部86は、第2位置P12から第1位置P11に変位する。給送ローラー63は、離間位置から当接位置に変位する。このように、制御部23は、媒体に記録を行うジョブが開始する場合に、変位部86を第2位置P12に変位させる。そして、制御部23は、第1位置P11を示す位置情報をメモリーに記憶する。第1位置変位処理が終了した場合、制御部23は、当接処理を終了する。
【0112】
また、当接処理が終了した後に、制御部23は、継続して駆動部65を正転駆動させることにより、給送処理を実行する。このため、変位部86が第1位置P11である場合と、変位部86を第2位置P12から第1位置P11に変位させる場合とでは、給送処理を実行するまでの時間が異なる。詳しくは、変位部86が第1位置P11である場合よりも、変位部86を第2位置P12から第1位置P11に変位させる場合のほうが、給送処理を実行するまでの時間が長くなる。なお、当接処理と給送処理とは、制御の際に明確に区別されず、一つの処理として連続的に実行されてもよい。
【0113】
<第1離間処理>
次に、図15を参照して第1離間処理について説明する。第1離間処理は、制御部23によって所定周期毎に実行される処理である。
【0114】
図15に示すように、ステップS20において、制御部23は、ジョブが終了したか否かを判定する。制御部23は、ジョブが終了していないと判定した場合、ステップS21~S24を実行せずに、第1離間処理を終了する。制御部23は、ジョブが終了したと判定した場合、ステップS21に処理を移行する。
【0115】
ステップS21において、制御部23は、変位部86が第1位置P11であるか否かを判定する。つまり、制御部23は、給送ローラー63が当接位置であるか否かを判定する。制御部23は、メモリーに割り当てられた位置情報に基づいて、変位部86が第1位置P11であるか否かを判定する。制御部23は、変位部86が第1位置P11ではないと判定した場合、ステップS22~S24を実行せずに、第1離間処理を終了する。つまり、制御部23は、変位部86が第2位置P12であると判定した場合、ステップS22~S24を実行せずに、第1離間処理を終了する。制御部23は、変位部86が第1位置P11であると判定した場合、ステップS22に処理を移行する。
【0116】
ステップS22において、制御部23は、次のジョブがないか否かを判定する。つまり、制御部23は、ジョブの終了後に次のジョブがないか否かを判定する。制御部23は、次のジョブがあったと判定した場合、ステップS23,S24を実行せずに、第1離間処理を終了する。制御部23は、次のジョブがないと判定した場合、ステップS23に処理を移行する。
【0117】
ステップS23において、制御部23は、所定時間が経過したか否かを判定する。制御部23は、ジョブが終了したと判定してから経過した時間を計測する。制御部23は、ジョブが終了したと判定してから経過した時間が所定時間となったか否かによって、所定時間が経過したか否かを判定する。制御部23は、所定時間が経過していないと判定した場合、再度、ステップS22に処理を移行する。制御部23は、所定時間が経過したと判定した場合、ステップS24に処理を移行する。このように、制御部23は、ジョブの終了後に所定時間が経過する前までに次のジョブがあったと判定した場合、ステップS24を実行せずに、第1離間処理を終了する。制御部23は、ジョブの終了後に所定時間に亘って次のジョブがないと判定した場合、ステップS24に処理を移行する。
【0118】
ステップS24において、制御部23は、第2位置変位処理を実行する。第2位置変位処理において、制御部23は、駆動部65を逆転駆動させる。これにより、変位部86は、第1位置P11から第2位置P12に変位する。このように、制御部23は、媒体に記録を行うジョブの終了後に所定時間に亘って次のジョブがない場合に変位部86を第2位置P12に変位させる。給送ローラー63は、当接位置から離間位置に変位する。そして、制御部23は、第2位置P12を示す位置情報をメモリーに記憶する。第2位置変位処理が終了した場合、制御部23は、第1離間処理を終了する。
【0119】
<第2離間処理>
次に、図16を参照して第2離間処理について説明する。第2離間処理は、制御部23によって所定周期毎に実行される処理である。
【0120】
図16に示すように、ステップS30において、制御部23は、電源切断となるか否かを判定する。電源切断は、ユーザーの指示により行われてよいが、電断により行われてもよい。この場合、バックアップ電源に基づいて、第2離間処理が実行されてもよい。制御部23は、電源切断とならないと判定した場合、ステップS31,S32を実行せずに、第2離間処理を終了する。制御部23は、電源切断となると判定した場合、ステップS31に処理を移行する。
【0121】
ステップS31において、制御部23は、ステップS21と同じように、変位部86が第1位置P11であるか否かを判定する。制御部23は、変位部86が第1位置P11ではないと判定した場合、ステップS32を実行せずに、第2離間処理を終了する。つまり、制御部23は、変位部86が第2位置P12であると判定した場合、ステップS32を実行せずに、第2離間処理を終了する。制御部23は、変位部86が第1位置P11であると判定した場合、ステップS32に処理を移行する。
【0122】
ステップS32において、制御部23は、ステップS24と同じように、第2位置変位処理を実行する。第2位置変位処理において、制御部23は、駆動部65を逆転駆動させる。これにより、変位部86は、第1位置P11から第2位置P12に変位する。このように、制御部23は、電源を切断する場合に変位部86を第2位置P12に変位させる。給送ローラー63は、当接位置から離間位置に変位する。そして、制御部23は、第2位置P12を示す位置情報をメモリーに記憶する。第2位置変位処理が終了した場合、制御部23は、第2離間処理を終了する。
【0123】
<媒体給送監視処理>
次に、図17を参照して媒体給送監視処理について説明する。媒体給送監視処理は、制御部23によって所定周期毎に実行される処理である。
【0124】
図17に示すように、ステップS40において、制御部23は、給送ローラー63によって媒体の給送が開始するか否かを判定する。制御部23は、媒体の給送が開始しないと判定した場合、ステップS41~S44を実行せずに、媒体給送監視処理を終了する。制御部23は、媒体の給送が開始すると判定した場合、ステップS41に処理を移行する。
【0125】
ステップS41において、制御部23は、ステップS21,S31と同じように、変位部86が第1位置P11であるか否かを判定する。制御部23は、変位部86が第1位置P11であると判定した場合、ステップS42に処理を移行する。つまり、制御部23は、ジョブが開始される場合であるか否かの両方において、変位部86が既に第1位置P11であるときに、ステップS42に処理を移行する。制御部23は、変位部86が第1位置P11ではないと判定した場合、ステップS43に処理を移行する。つまり、制御部23は、ジョブが開始される場合において変位部86が第2位置P12であるときに、ステップS43に処理を移行する。
【0126】
ステップS42において、制御部23は、駆動部65を正転駆動させてから第1時間が経過するまでに、媒体検出部59からの検出結果に基づいて媒体の先端を検出しないか否かを判定する。第1時間は、給送エラーの判定基準時間である。給送エラーの判定基準時間は、駆動部65の正転駆動を起点とする時間である。制御部23は、駆動部65を正転駆動させてから第1時間が経過するまでに媒体の先端を検出したと判定した場合、ステップS44を実行せずに、媒体給送監視処理を終了する。制御部23は、駆動部65を正転駆動させてから第1時間が経過するまでに媒体の先端を検出しなかったと判定した場合、ステップS44に処理を移行する。
【0127】
ステップS43において、制御部23は、駆動部65を正転駆動させてから第2時間が経過するまでに、媒体検出部59からの検出結果に基づいて媒体の先端を検出しないか否かを判定する。第2時間は、給送エラーの判定基準時間である。第2時間は、第1時間よりも長い時間である。第2時間は、第1時間よりも、変位部86を第2位置P12から第1位置P11に変位させる推定時間だけ長い。制御部23は、駆動部65を正転駆動させてから第2時間が経過するまでに媒体の先端を検出したと判定した場合、ステップS44を実行せずに、媒体給送監視処理を終了する。制御部23は、駆動部65を正転駆動させてから第2時間が経過するまでに媒体の先端を検出しなかったと判定した場合、ステップS44に処理を移行する。
【0128】
ステップS44において、制御部23は、給送エラー判定処理を実行する。給送エラー判定処理において、制御部23は、給送エラーが発生したと判定する。この場合、制御部23は、給送エラーの発生を示す画像を表示部35に表示させる。制御部23は、給送処理を終了させてもよい。給送エラー判定処理が終了した場合、制御部23は、媒体給送監視処理を終了する。
【0129】
このように、制御部23は、変位部86が第1位置P11であるとき、媒体を給送するために駆動部65の駆動を開始してから、第1時間が経過しても媒体検出部59によって媒体の先端が検出されない場合に、給送エラーと判定する。制御部23は、変位部86が第2位置P12であるとき、媒体を給送するために駆動部65の駆動を開始してから、第1時間よりも長い第2時間が経過しても媒体検出部59によって媒体の先端が検出されない場合に、給送エラーと判定する。
【0130】
制御部23は、変位部86が既に第1位置P11であると判定した場合、変位部86を第2位置P12から第1位置P11に変位させる時間を経ずに媒体の給送を開始する。制御部23は、ステップS41において変位部86が第2位置P12であると判定した場合、変位部86を第2位置P12から第1位置P11に変位させる時間を経てから媒体の給送を開始する。これにより、変位部86が既に第1位置P11であると判定した場合よりも、変位部86が第2位置P12であると判定した場合のほうが、駆動部65の正転駆動を起点として、給送エラーの判定基準時間が長くなる。
【0131】
<第1実施形態の作用及び効果>
第1実施形態の作用及び効果について説明する。
(1-1)給送ローラー63は、駆動部65からの正転動力により媒体載置部54に載置された媒体を給送する。変位部86は、駆動部65からの正転動力により給送ローラー63を当接位置に変位させ、駆動部65からの逆転動力により給送ローラー63を離間位置に変位させる。動力伝達部66は、駆動部65からの正転動力を給送ローラー63に伝達するが、駆動部65からの逆転動力を給送ローラー63に伝達しないワンウェイクラッチである歯車77を備える。この構成によれば、駆動部65からの逆転動力により、歯車77が給送ローラー63への逆転動力を伝達させずに、変位部86が給送ローラー63を離間位置に変位させることができる。これにより、給送ローラー63を回転させずに、給送ローラー63を離間位置に変位させることができる。したがって、給送ローラー63によるブリード痕を抑制することができるとともに、給送ローラー63と接触した媒体の整列性を向上させることができる。
【0132】
(1-2)変位部86は、第1位置P11と第2位置P12との間で変位可能である。第1位置P11は、給送ローラー63を当接位置に変位させる位置であり、第2位置P12は、給送ローラー63を離間位置に変位させる位置である。第1規制部87Aは、変位部86が第2位置P12から第1位置P11に変位する際に、第1位置P11において変位部86の変位を規制する。第2規制部87Bは、変位部86が第1位置P11から第2位置P12に変位する際に、第2位置P12において変位部86の変位を規制する。第2動力伝達部69は、駆動部65からの動力を変位部86に伝達し、所定負荷により動力の伝達を遮断するトルクリミッター80を備える。トルクリミッター80は、第1位置P11において第1規制部87Aにより変位部86の変位が規制されたときに、変位部86への動力の伝達を遮断する。トルクリミッター80は、第2位置P12において第2規制部87Bにより変位部86の変位が規制されたときに、変位部86への動力の伝達を遮断する。この構成によれば、第1位置P11において変位部86の変位が第1規制部87Aにより規制されたときに、トルクリミッター80に所定負荷以上の負荷が掛かることにより、変位部86への動力の伝達をトルクリミッター80が遮断する。第2位置P12において変位部86の変位が第2規制部87Bにより規制されたときに、トルクリミッター80に所定負荷以上の負荷が掛かることにより、変位部86への動力の伝達をトルクリミッター80が遮断する。このように、トルクリミッター80を設けることにより、給送ローラー63を駆動する際の駆動部65への負荷を抑制することができる。
【0133】
特に、給送ローラー63への動力伝達経路とは異なる第2動力伝達部69にトルクリミッター80を設けることで、トルクリミッター80をより上流に設けることができる。このため、給送ローラー63を駆動する際の駆動部65への負荷を抑制することができるとともに、トルクリミッター80と変位部86との間における動力伝達経路を短縮することもできる。また、変位部86が第1位置P11及び第2位置P12に変位することを検出する検出部を備えなくても、精度よく変位部86を第1位置P11及び第2位置P12に変位させることができる。したがって、給送ローラー63と接触した媒体の整列性を向上させることができる。
【0134】
(1-3)動力伝達部66は、歯車75を有し、トルクリミッター80は、歯車75と同軸上に設けられる。歯車75は、媒体載置部54に載置された媒体が給送ローラー63によって給送される際に、給送ローラー63の回転方向と同じ方向に回転してもよい。この構成によれば、給送ローラー63の回転方向と同じ方向に回転する歯車75にトルクリミッター80が設けられることにより、給送ローラー63の回転方向に対するモーメントを増大させることができる。これにより、給送ローラー63の駆動力を向上させることができる。したがって、媒体を給送する確実性を向上させることができる。
【0135】
(1-4)変位部86は、駆動部65からの正転動力により第2位置P12から第1位置P11に回動する。変位部86の回動軸である第2回動軸85は、給送ローラー63の回転軸である第1回転軸63Aと同軸上に位置する。この構成によれば、変位部86の小型化を図ることができる。したがって、装置の小型化を図るとともに、給送ローラー63と接触した媒体の整列性を向上させることができる。
【0136】
(1-5)アーム部64は、給送ローラー63を揺動可能に支持する。この構成によれば、給送ローラー63の振動を抑制することができる。特に、従来において、給送ローラーと変位部とを直接連動させると、給送ローラーを揺動可能に支持することは容易ではなかった。そこで、トルクリミッター80を、給送ローラー63とは異なる第2動力伝達部69に設けることにより、給送ローラー63を揺動可能に支持することができるようになる。
【0137】
(1-6)アーム部64は、給送ローラー63と媒体載置部54との距離を変えるように回動可能である。この構成によれば、アーム部64が回動することにより、給送ローラー63と、媒体載置部54に載置される媒体との距離を変えることができる。このため、媒体載置部54に載置される媒体の厚み及び枚数に応じてアーム部64が回動することにより、媒体載置部54に載置される媒体に対する多様性を持たせることができる。したがって、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【0138】
(1-7)駆動軸62は、アーム部64を回動可能に支持し、アーム部64は、駆動軸62に対して着脱可能である。この構成によれば、アーム部64を駆動軸62から取り外すことにより、給送ローラー63の交換を容易に行うことができる。特に、アーム部64に変位部86及び動力伝達部66が収容されている場合、給送ローラー63とともに、変位部86及び動力伝達部66についても容易に交換を行うことができる。つまり、給送ローラー63を駆動させるための構成、及び、変位部86を変位させるための構成を容易に交換することができる。
【0139】
(1-8)アーム退避部30は、媒体載置部54を引出方向に引出す際に、アーム部64を退避位置に退避させる。この構成によれば、媒体載置部54を引き出す際に、媒体載置部54がアーム部64と干渉することを抑制することができる。
【0140】
(1-9)変位部86が第2位置P12から第1位置P11に変位する方向は、媒体載置部54を引き出す引出方向に沿う方向と同じ方向である。この構成によれば、変位部86が第2位置P12に配置される状態において媒体載置部54を引き出した場合であっても、変位部86が媒体との摩擦により媒体から離れるように第2位置P12から第1位置P11に変位可能である。したがって、媒体載置部54を引き出した場合であっても、変位部86と接触した媒体の整列性を向上させることができる。
【0141】
(1-10)給送ローラー63が媒体を給送する給送方向は、媒体載置部54を引き出す引出方向と反対の方向であり、変位部86が第1位置P11から第2位置P12に変位する方向は、駆動部65からの正転動力による回転方向と同じである。この構成によれば、変位部86が第2位置P12である状態で、給送ローラー63による媒体が給送される場合、正転動力により変位部86が第2位置P12から第1位置P11に変位された後に、同じ正転動力により給送ローラー63が媒体を給送する。また、変位部86が第2位置P12に配置される状態において媒体載置部54を引き出した場合であっても、変位部86が媒体との摩擦により媒体から離れるように第2位置P12から第1位置P11に変位可能である。このように、変位部86を第2位置P12から第1位置P11に変位させる方向と給送ローラー63が媒体を給送する回転方向とを同じ正転動力とする。これにより、媒体載置部54を引き出した場合であっても、変位部86を第2位置P12から第1位置P11に変位可能である。したがって、媒体載置部54を引き出した場合であっても、変位部86と接触した媒体の整列性を向上させることができる。
【0142】
(1-11)反転部58は、媒体給送装置60によって給送された媒体を反転させる。記録部48は、媒体として両面印刷可能な写真用紙99に記録が可能であり、かつ、反転部58によって媒体が反転された後に記録可能である。この構成によれば、両面印刷可能な写真用紙99に対して給送ローラー63によるブリード痕を抑制することができる。これにより、より一層、格別な効果を奏することができる。具体的には、一般的な写真用紙は、片面のみに印刷されることが多い。この場合、給送ローラー63が当接する面は、被記録面と反対の面であり、ブリード痕が問題となりにくい。しかしながら、両面に印刷される写真用紙99の場合には、給送ローラー63が当接する面にも記録される。このため、より一層、格別な効果を奏することができる。さらに、写真用紙への印刷は、一般用紙への印刷よりも印刷品質を重視される可能性がある。このため、ブリード痕を抑制することで、より一層、格別な効果を奏することができる。なお、写真用紙99は、写真の印刷を主な目的とし、写真の印刷に適した用紙のことである。写真用紙99に記録が可能とは、上記のような写真の印刷に適した用紙への印刷に対応している記録装置11であることを示す。
【0143】
(1-12)制御部23は、媒体に記録を行うジョブの終了後に所定時間に亘って次のジョブがない場合と、電源を切断する場合とにおいて変位部86を第2位置P12に変位させる。この構成によれば、ジョブの終了後に所定時間に亘って次のジョブがない場合と、電源を切断する場合とにおいて、給送ローラー63を離間位置に変位させることができる。これにより、適切なタイミングで給送ローラー63を離間位置に変位させることによって、給送ローラー63によるブリード痕を抑制することができる。
【0144】
(1-13)制御部23は、変位部86が第1位置P11であるとき、媒体を給送するために駆動部65の正転駆動を開始してから、第1時間が経過しても媒体検出部59によって媒体の先端が検出されない場合に、給送エラーと判定する。制御部23は、変位部86が第2位置P12であるとき、媒体を給送するために駆動部65の正転駆動を開始してから、第1時間よりも長い第2時間が経過しても媒体検出部59によって媒体の先端が検出されない場合に、給送エラーと判定する。この構成によれば、給送ローラー63によって媒体が給送される場合、変位部86が第1位置P11であるときよりも第2位置P12であるときのほうが、変位部86が第2位置P12から第1位置P11に変位させる時間を経て媒体に給送ローラー63が当接する。このため、給送ローラー63によって媒体が給送される場合、変位部86が第1位置P11であるときよりも第2位置P12であるときのほうが、給送エラーと判定する基準となる時間を長くすることにより、給送エラーの判定精度を高めることができる。
【0145】
(1-14)給送ローラー63は、駆動部65からの正転動力により媒体載置部54に載置された媒体を給送する。アーム部64は、媒体載置部54に載置された媒体に当接する当接位置と、媒体載置部54に載置された媒体から離間する離間位置との間で給送ローラー63を変位させる。変位部86は、駆動部65からの正転動力により給送ローラー63を離間位置から当接位置に変位させるようにアーム部64を回動させる。変位部86は、駆動部65からの逆転動力により給送ローラー63を当接位置から離間位置に変位させるようにアーム部64を回動させる。この構成によれば、給送ローラー63を駆動させることと、給送ローラー63を支持するアーム部64を変位させる変位部86とを共通した駆動部65からの動力により実現することができる。したがって、給送ローラー63によるブリード痕を抑制することができるとともに、装置の大型化を抑制することができる。
【0146】
(1-15)筐体20に対して本体21を所定位置に保持するように構成される。所定位置は、閉位置と、第1開位置と、第2開位置とを含む。閉位置は、本体21が筐体20に収容される位置である。第1開位置は、前方Y1に向かって第1距離D1だけ本体21が筐体20から突出する位置である。第2開位置は、前方Y1に向かって第1距離D1よりも長い第2距離D2だけ本体21が筐体20から突出する位置である。本体21は、前後方向Yに沿って閉位置、第1開位置及び第2開位置の間で変位可能である。このため、前後方向Yに沿って閉位置、第1開位置及び第2開位置の間で本体21を変位させ、筐体20に対して本体21を閉位置と第1開位置と第2開位置とに保持させることができる。したがって、保持可能な開位置の種類を選択可能となり、本体21の変位及び本体21の保持に関する作業性を向上させることができる。
【0147】
(1-16)液体注入口42は、本体21が開位置に配置されるときに露出する。このため、前後方向Yに沿って本体21を閉位置から開位置に変位させることにより、本体21に搭載された液体注入口42を露出させることができる。このように、前後方向Yに沿って本体21を閉位置から開位置に変位させることにより、液体注入口42に液体を注入することができ、作業性を向上させることができる。
【0148】
(1-17)廃液装着部45は、本体21に搭載されており、かつ、本体21が開位置に配置されるときに露出する。このため、前後方向Yに沿って本体21を閉位置から開位置に変位させることにより、本体21に搭載された廃液装着部45を露出させることができる。このように、前後方向Yに沿って本体21を閉位置から開位置に変位させることにより、廃液装着部45における廃液収容体46の着脱を行うことができ、廃液装着部45に関する作業性を向上させることができる。
【0149】
(1-18)搬送経路49の少なくとも一部は、本体21が第2開位置に配置されるときに露出する。このため、前後方向Yに沿って本体21を閉位置から第2開位置に変位させることにより、本体21に搭載された搬送経路49の少なくとも一部を露出させることができる。このように、前後方向Yに沿って本体21を閉位置から第2開位置に変位させることにより、搬送経路49の少なくとも一部において媒体を除去することができ、作業性を向上させることができる。
【0150】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明では、既に説明した実施形態と同じ構成については、重複する説明を省略又は簡略し、既に説明した実施形態と異なる構成について主に説明する。
【0151】
<第1離間処理>
図18に示すように、第1離間処理では、ステップS22において、制御部23は、次のジョブがあると判定した場合、ステップS24を実行せずに、第1離間処理を終了する。制御部23は、次のジョブがないと判定した場合、ステップS24に処理を移行する。このように、制御部23は、媒体に記録を行うジョブの終了後に次のジョブがない場合に変位部86を第2位置P12に変位させる。
【0152】
<第2実施形態の効果>
第2実施形態の効果について説明する。
(2-1)制御部23は、媒体に記録を行うジョブの終了後に次のジョブがない場合に変位部86を第2位置P12に変位させる。この構成によれば、適切なタイミングで給送ローラー63を離間位置に変位させることによって、給送ローラー63によるブリード痕を抑制することができる。
【0153】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。
図19に示すように、変位部86の第2回動軸85は、給送ローラー63の第1回転軸63Aよりも媒体に近くてもよい。つまり、変位部86の回動軸は、給送ローラー63の回転軸よりも媒体に近くてもよい。
【0154】
<第3実施形態の効果>
第3実施形態の効果について説明する。
(3-1)変位部86の回動軸は、給送ローラー63の回転軸よりも媒体に近い。この構成によれば、変位部86の小型化を図ることができる。したがって、装置の小型化を図るとともに、給送ローラー63と接触した媒体の整列性を向上させることができる。
【0155】
[変更例]
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0156】
・第1実施形態において、所定時間は、ジョブの終了後に省電力モードに移行するまでの時間であってもよい。所定時間は、ユーザーの指示により設定変更可能であってもよい。
【0157】
・制御部23は、第1離間処理を実行するか否かを、例えば媒体の種類といった条件に応じて決定してもよい。
・記録装置11は、媒体載置部54に載置された媒体を検出する検出部を備えてもよい。この場合、制御部23は、検出部による検出結果に基づいて、媒体載置部54に媒体が載置されていないと判定したときに、変位部86を第1位置P11から第2位置P12に変位させずに、変位部86を第1位置P11に継続して配置させてもよい。制御部23は、検出部による検出結果に基づいて、媒体載置部54に媒体が載置されていると判定したときに、変位部86を第1位置P11から第2位置P12に変位させてもよい。
【0158】
・記録装置11は、ユーザーからの指示に基づいて、変位部86を第1位置P11と第2位置P12との間で変位させてもよい。この場合、制御部23は、操作部34から指示を受け取ってもよいが、不図示の端末装置から指示を受け取ってもよい。
【0159】
・媒体給送装置60は、変位部86が第1位置P11であることを検出する検出部を備えてもよい。媒体給送装置60は、変位部86が第2位置P12であることを検出する検出部を備えてもよく、この場合、第2規制部87Bを備えなくてもよい。制御部23は、検出部による検出結果に基づいて、変位部86が第1位置P11から第2位置P12に変位したときに、駆動部65による逆転駆動を停止させてもよい。
【0160】
・トルクリミッター80は、正転動力に基づいて、給送ローラー63と同じ回転方向に回転することに限定されず、正転動力に基づいて、給送ローラー63と反対の回転方向に回転してもよい。これにより、給送ローラー63の搬送力を抑制し、媒体の重送を抑制することができる。
【0161】
・トルクリミッター80は、第2回動軸85に設けられてもよい。この場合、変位部86は、トルクリミッター80に連結されてもよい。また、第2回動軸85は、第1回転軸63Aと一体に設けられてもよい。
【0162】
・動力伝達部66は、共通動力伝達部67を備えず、第1動力伝達部68と第2動力伝達部69とにより構成されてもよい。
・制御部23は、当接処理と給送処理とを連続して実行することに限らず、例えば、当接処理と給送処理との間において駆動部65を停止させてもよい。
【0163】
・上記実施形態では、記録装置11としてシリアル式プリンターが採用されたが、これに限らない。例えば、記録装置11として、ラテラル式プリンターが採用されてもよく、ライン式プリンターが採用されてもよい。ラテラル式プリンターは、キャリッジが主走査方向と副走査方向との2方向に移動可能プリンターである。ライン式プリンターは、幅方向Xに一定のピッチで並ぶ複数のノズルを備え、媒体の幅に亘って液体を同時に吐出可能なプリンターである。
【0164】
・媒体は、用紙に限定されない。媒体は、樹脂製のフィルムやシート、樹脂と金属の複合体フィルム、ラミネートフィルム、織物、不織布、金属箔、金属フィルム、セラミックシート及び衣料などであってもよい。また、媒体は、ロール体から繰り出されるものであってもよい。
【0165】
・液体は、媒体に付着することで、この媒体に記録することができるものであれば任意に選択することができる。例えば、インクは、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含み、水性インク、油性インク、ジェルインク、ホットメルトインク等の各種組成物を包含するものとする。
【0166】
・記録装置11は、インクジェット式プリンターに限定されず、ドットインパクト式プリンターでもよい。記録装置11の記録方式は、インクジェット方式ではなく、レーザー方式であってもよい。
【0167】
・本明細書において使用される「少なくとも何れか」という表現は、所望の選択肢の1つ以上を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも何れか」という表現は、選択肢の数が2つであれば1つの選択肢のみ又は2つの選択肢の双方を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも何れか」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば1つの選択肢のみ又は2つ以上の任意の選択肢の組み合わせを意味する。
【0168】
[付記]
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0169】
(A) 媒体給送装置は、媒体載置部に載置された媒体を給送可能である給送ローラーと、前記給送ローラーを駆動させる駆動部と、当接位置と離間位置との間で前記給送ローラーを変位させる変位部と、前記駆動部からの動力を前記給送ローラー及び前記変位部に伝達可能である動力伝達部と、を備え、前記当接位置は、前記媒体載置部に載置された媒体に前記給送ローラーが当接する位置であり、前記離間位置は、前記媒体載置部に載置された媒体から前記給送ローラーが離間する位置であり、前記給送ローラーは、前記駆動部からの正転動力により前記媒体載置部に載置された媒体を給送し、前記変位部は、前記駆動部からの正転動力により前記給送ローラーを前記当接位置に変位させ、前記駆動部からの逆転動力により前記給送ローラーを前記離間位置に変位させ、前記動力伝達部は、前記駆動部からの正転動力を前記給送ローラーに伝達するが、前記駆動部からの逆転動力を前記給送ローラーに伝達しないワンウェイクラッチを有する。
【0170】
この構成によれば、駆動部からの逆転動力により、ワンウェイクラッチが給送ローラーへの逆転動力を伝達させずに、変位部が給送ローラーを離間位置に変位させることができる。これにより、給送ローラーを回転させずに、給送ローラーを離間位置に変位させることができる。したがって、給送ローラーと接触した媒体の整列性を向上させることができる。
【0171】
(B) (A)に記載の媒体給送装置は、前記変位部の変位を規制する規制部を備え、前記変位部は、第1位置と第2位置との間で変位可能であり、前記第1位置は、前記給送ローラーを前記当接位置に変位させる位置であり、前記第2位置は、前記給送ローラーを前記離間位置に変位させる位置であり、前記規制部は、前記変位部が前記第1位置から前記第2位置に変位する際に、前記第2位置において前記変位部の変位を規制し、前記変位部が前記第2位置から前記第1位置に変位する際に、前記第1位置において前記変位部の変位を規制し、前記動力伝達部は、前記駆動部からの動力を前記給送ローラーに伝達する第1動力伝達部と、前記駆動部からの動力を前記変位部に伝達する第2動力伝達部と、を有し、前記第1動力伝達部は、前記ワンウェイクラッチを有し、前記第2動力伝達部は、所定負荷により動力の伝達を遮断するトルクリミッターを有し、前記トルクリミッターは、前記第2位置において前記規制部により前記変位部の変位が規制されたときに、前記変位部への動力の伝達を遮断し、前記第1位置において前記規制部により前記変位部の変位が規制されたときに、前記変位部への動力の伝達を遮断してもよい。
【0172】
この構成によれば、第1位置及び第2位置において変位部の変位が規制部により規制されたときに、第2動力伝達部におけるトルクリミッターに所定負荷以上の負荷が掛かることにより、変位部への動力の伝達をトルクリミッターが遮断する。このように、トルクリミッターを設けることにより、給送ローラーを駆動する際の駆動部への負荷を抑制することができる。特に、給送ローラーへの動力伝達経路が異なる第2動力伝達部にトルクリミッターを設けることにより、トルクリミッターをより上流に設けることができる。このため、給送ローラーを駆動する際の駆動部への負荷を抑制することができる。また、変位部が第1位置及び第2位置に変位することを検出する検出部を備えなくても、精度よく変位部を第1位置及び第2位置に変位させることができる。したがって、給送ローラーと接触した媒体の整列性を向上させることができる。
【0173】
(C) (B)に記載の媒体給送装置において、前記動力伝達部は、第1歯車を有し、前記トルクリミッターは、前記第1歯車と同軸上に設けられ、前記第1歯車は、前記媒体載置部に載置された媒体が前記給送ローラーによって給送される際に、前記給送ローラーの回転方向と同じ方向に回転してもよい。
【0174】
この構成によれば、給送ローラーの回転方向と同じ方向に回転する第1歯車にトルクリミッターが設けられることにより、給送ローラーの回転方向に対するモーメントを増大させることができる。これにより、給送ローラーの駆動力を向上させることができる。したがって、媒体を給送する確実性を向上させることができる。
【0175】
(D) (A)~(C)のうち何れか一つに記載の媒体給送装置において、前記変位部は、回動により第1位置と第2位置との間で変位可能であり、前記第1位置は、前記給送ローラーを前記当接位置に変位させる位置であり、前記第2位置は、前記給送ローラーを前記離間位置に変位させる位置であり、前記変位部は、前記駆動部からの正転動力により前記第2位置から前記第1位置に回動し、前記変位部の回動軸は、前記給送ローラーの回転軸よりも媒体に近くてもよい。
【0176】
この構成によれば、変位部の回動軸を、給送ローラーの回転軸よりも媒体に近くすることにより、変位部の小型化を図ることができる。したがって、装置の小型化を図るとともに、給送ローラーと接触した媒体の整列性を向上させることができる。
【0177】
(E) (A)~(C)のうち何れか一つに記載の媒体給送装置において、前記変位部は、回動により第1位置と第2位置との間で変位可能であり、前記第1位置は、前記給送ローラーを前記当接位置に変位させる位置であり、前記第2位置は、前記給送ローラーを前記離間位置に変位させる位置であり、前記変位部は、前記駆動部からの正転動力により前記第2位置から前記第1位置に回動し、前記変位部の回動軸は、前記給送ローラーの回転軸と同軸上に位置してもよい。
【0178】
この構成によれば、変位部の回動軸を、給送ローラーの回転軸と同軸上に位置することにより、変位部の小型化を図ることができる。したがって、装置の小型化を図るとともに、給送ローラーと接触した媒体の整列性を向上させることができる。
【0179】
(F) (A)~(E)のうち何れか一つに記載の媒体給送装置は、前記給送ローラーを揺動可能に支持するアーム部を備えてもよい。
この構成によれば、給送ローラーの振動を抑制することができる。
【0180】
(G) (A)~(F)のうち何れか一つに記載の媒体給送装置は、前記給送ローラー及び前記変位部を支持するアーム部を備え、前記アーム部は、前記給送ローラーと前記媒体載置部との距離を変えるように回動可能であってもよい。
【0181】
この構成によれば、アーム部が回動することにより、給送ローラーと、媒体載置部に載置される媒体との距離を変えることができる。このため、媒体載置部に載置される媒体の厚み及び枚数に応じてアーム部が回動することにより、媒体載置部に載置される媒体に対する多様性を持たせることができる。したがって、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【0182】
(H) (F)又は(G)に記載の媒体給送装置は、前記アーム部を回動可能に支持する駆動軸を備え、前記アーム部は、前記駆動軸に対して着脱可能であってもよい。
この構成によれば、アーム部を駆動軸から取り外すことにより、給送ローラーの交換を容易に行うことができる。
【0183】
(I) (F)~(H)のうち何れか一つに記載の媒体給送装置は、前記媒体載置部を引出方向に引出す際に、前記アーム部を退避位置に退避させるアーム退避部を備えてもよい。
【0184】
この構成によれば、媒体載置部を引き出す際に、媒体載置部がアーム部と干渉することを抑制することができる。
(J) (A)~(I)のうち何れか一つに記載の媒体給送装置において、前記変位部は、第1位置と第2位置との間で変位可能であり、前記第1位置は、前記給送ローラーを前記当接位置に変位させる位置であり、前記第2位置は、前記給送ローラーを前記離間位置に変位させる位置であり、前記変位部が前記第2位置から前記第1位置に変位する方向は、前記媒体載置部を引き出す引出方向に沿う方向と同じ方向であってもよい。
【0185】
この構成によれば、変位部が第2位置に配置される状態において媒体載置部を引き出した場合であっても、変位部が媒体との摩擦により媒体から離れるように第2位置から第1位置に変位可能である。したがって、媒体載置部を引き出した場合であっても、変位部と接触した媒体の整列性を向上させることができる。
【0186】
(K) (A)~(J)のうち何れか一つに記載の媒体給送装置において、前記給送ローラーが媒体を給送する給送方向は、前記引出方向と反対の方向であり、前記変位部が前記第1位置から前記第2位置に変位する方向は、前記駆動部からの正転動力による回転方向と同じであってもよい。
【0187】
この構成によれば、変位部が第2位置である状態で、給送ローラーによる媒体が給送される場合、正転動力により変位部が第2位置から第1位置に変位された後に、同じ正転動力により給送ローラーが媒体を給送する。また、変位部が第2位置に配置される状態において媒体載置部を引き出した場合であっても、変位部が媒体との摩擦により媒体から離れるように第2位置から第1位置に変位可能である。このように、変位部を第2位置から第1位置に変位させる方向と給送ローラーが媒体を給送する回転方向とを同じ正転動力とすることにより、媒体載置部を引き出した場合であっても、変位部を第2位置から第1位置に変位可能である。したがって、媒体載置部を引き出した場合であっても、変位部と接触した媒体の整列性を向上させることができる。
【0188】
(L) 記録装置は、(A)~(K)のうち何れか一項に記載の媒体給送装置と、前記給送ローラーによって給送された媒体に記録を行う記録部と、を備える。この構成によれば、(A)と同じような効果を奏することができる。
【0189】
(M) (L)に記載の記録装置は、前記媒体給送装置によって給送された媒体を反転させる反転部を備え、前記記録部は、媒体として両面印刷可能な写真用紙に記録が可能であり、かつ、前記反転部によって媒体が反転された後に記録可能であってもよい。
【0190】
この構成によれば、両面印刷可能な写真用紙に対して給送ローラーによるブリード痕を抑制することができる。これにより、より一層、格別な効果を奏することができる。
(N) (L)又は(M)に記載の記録装置は、制御部を備え、前記変位部は、第1位置と第2位置との間で変位可能であり、前記第1位置は、前記給送ローラーを前記当接位置に変位させる位置であり、前記第2位置は、前記給送ローラーを前記離間位置に変位させる位置であり、前記制御部は、媒体に記録を行うジョブの終了後に次のジョブがない場合と、媒体に記録を行うジョブの終了後に所定時間に亘って次のジョブがない場合と、電源を切断する場合との少なくとも何れかにおいて前記変位部を前記第2位置に変位させてもよい。
【0191】
この構成によれば、ジョブの終了後において、次のジョブがない場合、及び、電源を切断する場合の少なくとも何れかにおいて、給送ローラーを離間位置に変位させることができる。これにより、適切なタイミングで給送ローラーを離間位置に変位させることによって、給送ローラーによるブリード痕を抑制することができる。
【0192】
(O) (L)~(N)のうち何れか一つに記載の記録装置は、制御部と、前記給送ローラーによって給送された媒体の先端を検出する媒体検出部と、を備え、前記変位部は、第1位置と第2位置との間で変位可能であり、前記第1位置は、前記給送ローラーを前記当接位置に変位させる位置であり、前記第2位置は、前記給送ローラーを前記離間位置に変位させる位置であり、前記制御部は、前記変位部が前記第1位置であるとき、媒体を給送するために前記駆動部の駆動を開始してから、第1時間が経過しても前記媒体検出部によって媒体の先端が検出されない場合に、給送エラーと判定し、前記変位部が前記第2位置であるとき、媒体を給送するために前記駆動部の駆動を開始してから、前記第1時間よりも長い第2時間が経過しても前記媒体検出部によって媒体の先端が検出されない場合に、前記給送エラーと判定してもよい。
【0193】
この構成によれば、給送ローラーによって媒体が給送される場合、変位部が第1位置であるときよりも、変位部が第2位置であるときのほうが、変位部が第2位置から第1位置に変位させる時間を経て媒体に給送ローラーが当接する。このため、給送ローラーによって媒体が給送される場合、変位部が第1位置であるときよりも、変位部が第2位置であるときのほうが、給送エラーと判定する基準となる時間を長くすることにより、給送エラーの判定精度を高めることができる。
【0194】
(P)給送ローラーユニットは、媒体載置部に載置された媒体を給送可能である給送ローラーと、当接位置と離間位置との間で前記給送ローラーを変位させる変位部と、駆動部からの動力を前記給送ローラー及び前記変位部に伝達可能である動力伝達部と、を備え、前記当接位置は、前記媒体載置部に載置された媒体に前記給送ローラーが当接する位置であり、前記離間位置は、前記媒体載置部に載置された媒体から前記給送ローラーが離間する位置であり、前記給送ローラーは、前記駆動部からの正転動力により前記媒体載置部に載置された媒体を給送し、前記変位部は、前記駆動部からの正転動力により前記給送ローラーを前記当接位置に変位させ、前記駆動部からの逆転動力により前記給送ローラーを前記離間位置に変位させ、前記動力伝達部は、前記駆動部からの正転動力を前記給送ローラーに伝達するが、前記駆動部からの逆転動力を前記給送ローラーに伝達しないワンウェイクラッチを有する。この構成によれば、(A)と同じような効果を奏することができる。
【0195】
(Q) (L)又は(M)に記載の記録装置の制御方法において、前記変位部は、第1位置と第2位置との間で変位可能であり、前記第1位置は、前記給送ローラーを前記当接位置に変位させる位置であり、前記第2位置は、前記給送ローラーを前記離間位置に変位させる位置であり、媒体に記録を行うジョブの終了後に次のジョブがない場合と、媒体に記録を行うジョブの終了後に所定時間に亘って次のジョブがない場合と、電源を切断する場合との少なくとも何れかにおいて前記変位部を前記第2位置に変位させることを含む。この構成によれば、(N)と同じような効果を奏することができる。
【0196】
(R) (Q)に記載の記録装置の制御方法において、前記記録装置は、前記給送ローラーによって給送された媒体の先端を検出する媒体検出部を有し、前記変位部が前記第1位置であるとき、媒体を給送するために前記駆動部の駆動を開始してから、第1時間が経過しても前記媒体検出部によって媒体の先端が検出されない場合に、給送エラーと判定することと、前記変位部が前記第2位置であるとき、媒体を給送するために前記駆動部の駆動を開始してから、前記第1時間よりも長い第2時間が経過しても前記媒体検出部によって媒体の先端が検出されない場合に、前記給送エラーと判定することと、を含んでもよい。この構成によれば、(O)と同じような効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0197】
RA…記録領域、11…記録装置、12…前面、13…背面、14…左側面、15…右側面、16…底面、17…天面、20…筐体、21…本体、22…底板、22A…貫通孔、23…制御部、30…アーム退避部、30A…軸、30B…本体部、30C…第1レバー、30D…第2レバー、30E…第1係合部、30F…第2係合部、31…収容量視認部、33…操作パネル、34…操作部、35…表示部、37…開閉部、37A…下端部、37B…排紙トレイ、38…排出口、39…把持部、40…液体収容部、41…収容室、42…液体注入口、43…キャップ、45…廃液装着部、46…廃液収容体、48…記録部、49…搬送経路、49A…反転経路、51…キャリッジ、52…液体吐出ヘッド、53…支持部、54…媒体載置部、54A…仕切板、54B…第1媒体載置部、54C…第2媒体載置部、55…搬送部、56…搬送ローラー対、57…排出ローラー対、58…反転部、59…媒体検出部、60…媒体給送装置、61…給送ローラーユニット、62…駆動軸、62A…歯車、63…給送ローラー、63A…第1回転軸、64…アーム部、64A…基端部、64B…先端部、64C…被係合部、65…駆動部、66…動力伝達部、67…共通動力伝達部、68…第1動力伝達部、69…第2動力伝達部、70~75,77~79,81~84…歯車、76…共通回転軸、80…トルクリミッター、85…第2回動軸、86…変位部、86A…カム部、87…規制部、87A…第1規制部、87B…第2規制部、99…写真用紙
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