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  • 特開-触覚提示装置 図1
  • 特開-触覚提示装置 図2
  • 特開-触覚提示装置 図3
  • 特開-触覚提示装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142127
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】触覚提示装置
(51)【国際特許分類】
   G05G 5/03 20080401AFI20241003BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G05G5/03 Z
G06F3/01 560
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054149
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】110003801
【氏名又は名称】KEY弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】上坂 彰朗
(72)【発明者】
【氏名】赤岩 修一
【テーマコード(参考)】
3J070
5E555
【Fターム(参考)】
3J070AA03
3J070AA06
3J070AA07
3J070BA19
3J070BA51
3J070CA42
3J070CB02
3J070CB37
3J070CC71
5E555AA08
5E555BA38
5E555BB38
5E555BC04
5E555CA10
5E555CB19
5E555CC01
5E555DA24
5E555DD06
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】操作者が操作中に変位部を変位させる動作を止めても、操作者に触覚を提示することができる触覚提示装置を提供すること。
【解決手段】基部2と、基部2に対して変位するように設けられた変位部3と、変位部3の変位に対して付与する抵抗を発生する抵抗発生部5と、変位部3と抵抗発生部6とを連動させる連動機構7と、リニア振動を発生する振動発生部4と、を備える。抵抗発生部6は、基部2と一体に固定された非回転部62と、非回転部62に対して回転可能に設けられた回転部61と、非回転部62と回転部61の相対回転に対し抵抗を付与する回転抵抗発生機構と、を有する。連動機構7は、変位部3と抵抗発生部6の回転部61とを連動させる。振動発生部4は、連動機構7を構成する部材のうち、変位部3に連結された変位部連結部材71に対して、変位部3に振動が伝わるようにリニア振動を付与する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
前記基部に対して変位するように設けられた変位部と、
前記変位部の変位に対して付与する抵抗を発生する抵抗発生部と、
前記変位部と前記抵抗発生部とを連動させる連動機構と、
リニア振動を発生する振動発生部と、
を備え、
前記抵抗発生部は、
前記基部と一体に固定された非回転部と、
前記非回転部に対して回転可能に設けられた回転部と、
前記非回転部と前記回転部の相対回転に対し抵抗を付与する回転抵抗発生機構と、
を有し、
前記連動機構は、前記変位部と前記抵抗発生部の前記回転部とを連動させ、
前記振動発生部は、前記連動機構を構成する部材のうち、前記変位部に連結された変位部連結部材に対して、前記変位部に振動が伝わるようにリニア振動を付与する、
ことを特徴とする触覚提示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の触覚提示装置であって、
前記振動発生部は、前記変位部連結部材に対して、非対称なリニア振動を付与することを特徴とする触覚提示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の触覚提示装置であって、
前記連動機構は、
一端側が前記変位部に回転自在に連結された、前記変位部連結部材としての第1リンク部材と、
一端側が前記第1リンク部材の他端側に回転自在に連結され、他端側が前記抵抗発生部の前記回転部と一体に回転するように設けられた第2リンク部材と、
を有し、
前記振動発生部は、前記第1リンク部材に固定され、リニア振動方向を前記第1リンク部材の力の伝達方向と同じ方向に向けて非対称なリニア振動を発生する、
ことを特徴とする触覚提示装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の触覚提示装置であって、
前記変位部の所定位置からの変位量に基づいて、前記抵抗発生部が前記変位部に付与する変位抵抗と、前記振動発生部が発生するリニア振動とを制御する制御部をさらに備えることを特徴とする触覚提示装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の触覚提示装置であって、
前記基部は、操作者に保持される保持部であり、
前記変位部は、前記操作者の操作によって、前記保持部に対して変位するように設けられており、
前記抵抗発生部の前記非回転部は、前記保持部に固定されている、
ことを特徴とする触覚提示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作者が変位部を変位させる操作を行う際に、操作者に触覚を提示する触覚提示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、操作者が変位部を変位させる際に、操作者に所望の触覚を提示する触覚提示装置(同文献では「力覚提示装置」と称している。)が開示されている。同文献の触覚提示装置は、所望の触覚を提示するために、変位部が変位する際に変位部に抗力を与える回転抵抗発生部を備えている。回転抵抗発生部は、内部に封入された磁気粘性流体と、磁気粘性流体に磁場を付与する電磁石とを備えており、外部から電磁石に印加される電流値が制御されることにより、操作部に付与される抵抗が制御されるようになっている。また、同文献1には、操作者に様々な触覚を提示するために、回転抵抗発生部の電磁石に供給する電流をON/OFF制御したり、回転抵抗発生部の電磁石に供給する電流値を周期的若しくは非周期的に変動させることなどが開示されている。
【0003】
特許文献2、3には、非対称運動(非対称なリニア振動)を行う振動子を用いて擬似的な力覚を利用者に提示する擬似力覚発生装置が開示されている。非対称運動を行う振動子は、永久磁石が発生する磁界と、コイルが発生する磁界とを利用して永久磁石を運動部材としてリニア振動させるようになっている。擬似力覚発生装置では、一方または他方へ牽引される疑似的な力覚を発生することができる。例えば、特許文献3には、コイルに印加される電圧の波形が正側と負側とで非対称となるようにすることで、一方または他方へ牽引される疑似的な力覚を発生させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-185175号公報
【特許文献2】国際公開第2017/115729号
【特許文献3】特開2012-034561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示された触覚提示装置では、回転抵抗発生部が生じる抵抗力によって触覚を生じることから、操作者が変位部を押し込んで変位させている時には、触覚が提示されるものの、操作者が変位部に対する押込み動作を止めて変位部の変位が止まった時には、操作者に触覚が提示されない。
【0006】
したがって、特許文献1に記載の触覚提示装置では、指で押し込んでいる最中に反発力を生じるが、押込み動作を止めると反発力を生じない、粘土のような物体の触覚を疑似することはできるものの、押込み動作を止めても反発力を生じる、ゴムボールやスポンジのような物体の触覚を疑似することは困難である。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みて創案されたものであり、操作者が操作中に変位部を変位させる動作を止めても、操作者に触覚を提示することができる等、複合的に触覚を表現可能な触覚提示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る触覚提示装置は、基部と、前記基部に対して変位するように設けられた変位部と、前記変位部の変位に対して付与する抵抗を発生する抵抗発生部と、前記変位部と前記抵抗発生部とを連動させる連動機構と、リニア振動を発生する振動発生部と、を備える。前記抵抗発生部は、前記基部と一体に固定された非回転部と、前記非回転部に対して回転可能に設けられた回転部と、前記非回転部と前記回転部との相対回転に対し抵抗を付与する回転抵抗発生機構と、を有する。前記連動機構は、前記変位部と前記抵抗発生部の前記回転部とを連動させる。前記振動発生部は、前記連動機構を構成する部材のうち、前記変位部に連結された変位部連結部材に対して、前記変位部に振動が伝わるようにリニア振動を付与する。
【0009】
本発明の第2の態様に係る触覚提示装置は、前記構成を備える触覚提示装置において、前記振動発生部は、前記変位部連結部材に対して、非対称なリニア振動を付与する。
【0010】
本発明の第3の態様に係る触覚提示装置は、第1又は第2の態様に係る触覚提示装置において、前記連動機構は、一端側が前記変位部に回転自在に連結された、前記変位部連結部材としての第1リンク部材と、一端側が前記第1リンク部材の他端側に回転自在に連結され、他端側が前記抵抗発生部の前記回転部と一体に回転するように設けられた第2リンク部材と、を有する。前記振動発生部は、前記第1リンク部材に固定され、リニア振動方向を前記第1リンク部材の力の伝達方向と同じ方向に向けて非対称なリニア振動を発生する。
【0011】
本発明の第4の態様に係る触覚提示装置は、第1~第3の何れか1態様に係る触覚提示装置において、前記変位部の所定位置からの変位量に基づいて、前記抵抗発生部が前記変位部に付与する変位抵抗と、前記振動発生部が発生するリニア振動とを制御する制御部をさらに備える。
【0012】
本発明の第5の態様に係る触覚提示装置は、第1~第4の何れか1態様に係る触覚提示装置において、前記基部は、操作者に保持される保持部であり、前記変位部は、前記操作者の操作によって、前記保持部に対して変位するように設けられており、前記抵抗発生部の前記非回転部は、前記保持部に固定されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る触覚提示装置によれば、操作者が操作中に変位部を変位させる動作を止めても、操作者に触覚を提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る触覚提示装置の側面と、触覚提示装置を操作する操作者の手とを示す図である。
図2】本実施形態に係る触覚提示装置の部分断面図である。第1リンク部材の一部、および第2リンク部材の図示は省略している。
図3】本実施形態に係る触覚提示装置の側面である。(a)は、変位部が基部側に押し込まれた状態を示し、(b)は、変位部が基部側に押し込まれる前の状態を示す。
図4】回転抵抗発生部の一例を示す断面図および制御装置の機能ブロックを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る触覚提示装置について、図面を参照しつつ説明する。図1図3に示すように、本実施形態に係る触覚提示装置1は、操作者の手に収まる形状および大きさに形成されており、操作者は、触覚提示装置1を手に持ちながら操作することができる。
【0016】
触覚提示装置1は、基部2、変位部3、振動発生部4、抵抗発生部6、連動機構7、変位量検知部8、制御装置9、バッテリ10等を備えている。
【0017】
基部2は、本実施形態では、触覚提示装置1の操作者の手に保持される保持部である。また、基部2は、本実施形態では、抵抗発生部6、変位量検知部8、制御装置9およびバッテリ10を収容するケーシングでもある。
【0018】
変位部3は、操作者の操作によって基部2に対して変位するように設けられている。この変位部3は、一端部に設けられた支軸31回りに回動して基部2に対して接近又は離反するようになっている。変位部3は、円弧状に湾曲した湾曲板を含んで構成されている。変位部3が操作者の操作力によって変位すると、その操作力は、連動機構7を介して、抵抗発生部6の回転部61に伝達される。
【0019】
操作者は、例えば、図1に示すように、親指の上に基部2を保持しながら、人差指で変位部3を押し込む操作をすることができる。また、図示しないが、操作者は、基部2の両側面を親指と中指で挟み持つことによって保持しながら、人差指で変位部3を押し込む操作をすることもできる。
【0020】
変位部3は、所定範囲内で変位できるように構成されている。本実施形態では、変位部3を押し込んだ後、元の位置に復帰させるためのリターンスプリング等が設けられていない。このため、触覚提示装置1を使用するに当たっては、例えば図1に示すように、操作者の指先と変位部3とを面ファスナー付結束具32を使用して結束してもよい。そうすることで、操作者は、変位部3を指先によって基部2側に押し込んだ後、再び元の位置に容易に引き戻すことができる。もちろん、触覚提示装置1に上記リターンスプリング等が設けられていてもよい。
【0021】
連動機構7は、変位部3と抵抗発生部6の回転部61とを連動させるために設けられている。連動機構7は、図1および図2に示すように、第1リンク部材71、第2リンク部材72およびボス部材73を備えている。第1リンク部材71は、一端部が変位部3の裏面に回転自在に連結され、他端部が第2リンク部材72の先端部に回転自在に連結されている。第2リンク部材72の基端部は、図2に示す略有底円筒状のボス部材73の外周面に固定されている。ボス部材73は、ワンウェイクラッチ74およびベアリング76を介して抵抗発生部6の回転部61の回転軸611に取り付けられている。また、ボス部材73は別のベアリング75を介して基部2内に回転自在に支持されている。
【0022】
上記のワンウェイクラッチ74は、操作者によって変位部3が基部2側に押し込まれる際に、変位部3から連動機構7を介して伝達される操作力を抵抗発生部6の回転部61(回転軸611)に伝達する。一方、操作者によって変位部3が基部2側から引き戻される際は、ワンウェイクラッチ74は、変位部3から連動機構7を介して伝達される操作力を抵抗発生部6の回転部61(回転軸611)に伝達しない。
【0023】
振動発生部4は、対象または非対称なリニア振動を発生することができる。振動発生部4は、変位部3に回転自在に連結された第1リンク部材71に対して、変位部3に振動が伝わるように対象または非対称なリニア振動を付与するように設けられている。本実施形態では、振動発生部4は、そのリニア振動方向を第1リンク部材71の力の伝達方向と同じ方向に向けた状態で、第1リンク部材71に固定されている。なお、第1リンク部材71の力の伝達方向は、第1リンク部材71と変位部3との連結中心と、第1リンク部材71と第2リンク部材72との連結中心とを結ぶ線分の方向と一致する。
【0024】
抵抗発生部6は、変位部3の変位に対して付与する抵抗を発生する。抵抗発生部6は、基部2と一体に固定された非回転部62と、非回転部62に対して回転可能に設けられた回転部61と、回転部61と非回転部62の相対回転に対し抵抗を付与する抵抗発生機構とを有する。本実施形態では、この抵抗発生機構は、非回転部62と回転部61との間に介在する磁気粘性流体63と、磁気粘性流体63に印加する磁場を発生する磁場発生部64とを有する。磁場発生部64は、磁気粘性流体63に対して印加する磁場の強さを変化させることができ、その磁場の強さを変えることにより、非回転部62に対する回転部61の回転抵抗を変化させることができる。また、回転部61は連動機構7を介して変位部3と連動するため、磁場発生部64が磁気粘性流体63に印加する磁場の強さを変えることにより、変位部3に対して付与する変位抵抗を変化させることができる。
【0025】
抵抗発生部6の具体的な構成例を図4に基づいて説明する。図4に示す抵抗発生部6は、回転軸611、円板612、ヨーク621,622、コイル623、磁気粘性流体63、ケーシング624等で構成されている。このうち、ヨーク621,622、コイル623およびケーシング624は、基部2に固定される非回転部62を構成し、回転軸611および円板612は、非回転部62に対して回転する回転部61を構成する。
【0026】
円板612は、その裏面612bの中心部に回転軸611が垂直に接続され、回転軸611と一体に回転する。回転軸611は、ベアリング626を介してヨーク622に設けられた軸穴627に支持されている。なお、円板612には磁性体が用いられることが望ましく、回転軸611には非磁性体が用いられることが望ましい。
【0027】
ヨークは、第1ヨーク621および第2ヨーク622で構成されている。第1ヨーク621は、円板612の表面612aに対して微小隙間を介して対向しており、円板状の部材で構成されている。この第1ヨーク621は、円筒状のケーシング624に嵌め込まれて固定されている。
【0028】
第2ヨーク622は、円板612の裏面612bに対して微小隙間を介して対向する対向面622aを有する。この第2ヨーク622も円筒状のケーシング624の内側に嵌め込まれて固定されている。
【0029】
なお、第1ヨーク621の中心部に形成された凹部と、回転軸611の端面の中心に形成された凹部とで形成されるスペースに非磁性体からなる球体628が収容されている。
【0030】
コイル623は、第2ヨーク622に形成された環状の溝に沿って配設されている。このコイル623には、制御装置9の後述する制御部92によって制御された電流が入力される。
【0031】
磁気粘性流体63は、円板612と、第1ヨーク621および第2ヨーク622との隙間に封入されている。この磁気粘性流体63は、磁性粒子を分散媒に分散させてなる液体である。磁性粒子として、例えばナノサイズの金属粒子(金属ナノ粒子)からなるものを使用することができる。磁性粒子は磁化可能な金属材料からなり、金属材料に特に制限はないが軟磁性材料が好ましい。軟磁性材料としては、例えば鉄、コバルト、ニッケル及びパーマロイ等の合金が挙げられる。分散媒は、特に限定されるものではないが、一例として疎水性のシリコーンオイルを挙げることができる。磁気粘性流体における磁性粒子の配合量は、例えば3~40vol%とすることができる。磁気粘性流体にはまた、所望の各種特性を得るために、各種の添加剤を添加することも可能である。
【0032】
なお、抵抗発生部6の構成のうち、第1ヨーク621、第2ヨーク622およびコイル623は、磁気粘性流体63に磁場を印加する磁場印加部としても機能する。
【0033】
上記構成を備える抵抗発生部6において、コイル623に電流が印加されると、例えば図4に示す矢印Pが示す方向に沿って円板612、第1ヨーク621、第2ヨーク622内に磁路が形成される。この磁路は、円板612の表面612aと第1ヨーク621との隙間に介在する磁気粘性流体63、および、円板612の裏面612bと第2ヨーク622との隙間に介在する磁気粘性流体63を貫通する。これにより、磁気粘性流体63には、磁場の強さに応じた粘度(ずり応力)が発現し、円板612とヨーク621,622との間で伝達されるトルクが磁場の強さに応じて大きくなる。すなわち、抵抗発生部6は、コイル623に印加される電流値(磁場印加部が印加する磁場の大きさ)に応じた大きさの抵抗を連動機構7を介して変位部3に変位抵抗として付与する。
【0034】
変位量検知部8(図2参照)は、その入力部81がボス部材73と回転一体に連結されている。変位量検知部8は、ボス部材73の所定位置からの回転量(変位量)を検出し、その検出信号を制御装置9に送信する。この変位量検知部8として、例えば、エンコーダ又は可変抵抗器を用いることができる。
【0035】
制御装置9は、例えば、マイクロコンピュータ等を用いて構成されている。制御装置9は、例えば図4に示すように、無線通信部90、触覚情報記憶部91および制御部92を有する。
【0036】
無線通信部90は、外部から無線通信により触覚情報や触覚提示装置1を制御するための制御情報を受信する。
【0037】
触覚情報記憶部91は、外部から受信した触覚情報または予め格納された触覚情報を記憶している。
【0038】
制御部92は、抵抗発生部6および振動発生部4に供給する電流を制御する。制御部92は、触覚情報記憶部91に記憶された触覚情報に基づいて、抵抗発生部6に供給する電流と振動発生部4に供給する電流とを制御する。また、制御装置9は、変位量検知部8から受信する情報に基づいて変位部3の所定位置からの変位量を検知し、検知した変位量に基づいて、あるいは検知した変位量と触覚情報記憶部91に記憶された触覚情報とに基づいて抵抗発生部6に供給する電流と振動発生部4に供給する電流とを制御する。言い換えれば、制御装置9は、変位部3の所定位置からの変位量に基づいて、あるいは当該変位量と触覚情報とに基づいて抵抗発生部6が変位部3に付与する変位抵抗と、振動発生部4が発生するリニア振動とを制御し、変位部3を操作する操作者に様々な触覚を提示する。例えば、制御部92は、振動発生部4が非対称なリニア振動を生じるように振動発生部4に供給する電流を制御することで、変位部3が操作者に対して押込み方向または押込み方向と反対方向へ牽引されるような疑似的な触覚を与えることもできる。
【0039】
バッテリ10は、制御装置9、振動発生部4および抵抗発生部6に供給する電力を蓄電している。
【0040】
以上の構成を備える触覚提示装置1によれば、制御部92が抵抗発生部6(のコイル623)に電流を供給し、その電流を変化させることにより、操作者が変位部3を押し込む際に操作者に対して触覚を提示することができる。このとき、抵抗発生部6に供給される電流の大きさを制御することによって、操作者の手指に様々な触覚を提示することができる。例えば、抵抗発生部6に供給する電流値を周期的もしくは非周期的に変動させることや、変位部3の変位量に応じて抵抗発生部6に供給する電流値を変化させること、によって操作者の手指に様々な触覚を提示することができる。
【0041】
また、制御部92が抵抗発生部6に電流を供給するとともに、振動発生部4にも電流を供給してリニア振動を生じさせることにより、更に様々な触覚を操作者に提示することができる。例えば、操作者が変位部3を押し込んで変位させている途中で、その押込操作を止めても、操作者の手指には、振動発生部4が生じる振動が伝達されるため、操作者には引き続き触覚が提示される。
【0042】
また、制御部92が振動発生部4に対して、非対称なリニア振動を生じるように電流を供給すれば、操作者が変位部3を押し込んで変位させている途中で、その押込操作を止めても、操作者の手指を押し返すような疑似的な触覚、あるいは、操作者の手指を押込み方向に引き込むような疑似的な触覚を提示することもできる。
【0043】
<他の実施形態>
既述した実施形態に係る触覚提示装置1の外観形状および大きさは例示に過ぎず、触覚提示装置1が手に収まらない大きさおよび形状であってもよい。また、触覚提示装置1は、机上に置いて使用する形態であってもよい。
【0044】
既述した実施形態においては、抵抗発生部6として磁気粘性流体64を用いたものを例示したが、抵抗発生部6は、磁気粘性流体64を用いたものに限定されない。例えば、抵抗発生部6として、電磁モータや超音波モータ等の電動モータを採用することも可能である。電動モータの回転軸を回転部61、電動モータのケーシングを非回転部62とし、電動モータの回転トルクによって、変位部3に変位抵抗を付与し、ユーザに触覚を提示することができる。なお、この電動モータが提示する触覚はユーザが変位部3を押し込む際だけでなく、押込操作を止めている際にも提示されてもよい。電動モータを採用することで、例えば、振動発生部4がトントンというたたくような触覚を提示するとともに、抵抗発生部6がゆっくりと操作者の手指を押し返すような触覚を提示することなど、複合的に様々な触覚を提示することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、例えば、操作者が変位部を変位させる操作を行う際に、操作者に触覚を提示する触覚提示装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 触覚提示装置
2 基部(保持部、ケーシング)
3 変位部
4 振動発生部
6 抵抗発生部
7 連動機構
8 変位量検知部
61 回転部
62 非回転部
63 磁気粘性流体
64 磁場発生部
71 第1リンク部材(変位部連結部材)
72 第2リンク部材
92 制御部
図1
図2
図3
図4