IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-磁気測定装置及び磁気測定方法 図1A
  • 特開-磁気測定装置及び磁気測定方法 図1B
  • 特開-磁気測定装置及び磁気測定方法 図2
  • 特開-磁気測定装置及び磁気測定方法 図3A
  • 特開-磁気測定装置及び磁気測定方法 図3B
  • 特開-磁気測定装置及び磁気測定方法 図3C
  • 特開-磁気測定装置及び磁気測定方法 図4
  • 特開-磁気測定装置及び磁気測定方法 図5A
  • 特開-磁気測定装置及び磁気測定方法 図5B
  • 特開-磁気測定装置及び磁気測定方法 図6
  • 特開-磁気測定装置及び磁気測定方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142133
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】磁気測定装置及び磁気測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/12 20060101AFI20241003BHJP
   H02K 11/20 20160101ALI20241003BHJP
   H01F 41/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G01R33/12 M
H02K11/20
H01F41/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054156
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉原 宏一
【テーマコード(参考)】
2G017
5H611
【Fターム(参考)】
2G017CB03
2G017CB08
2G017CB18
2G017CB23
5H611AA01
5H611BB06
5H611RR02
(57)【要約】
【課題】回転電機の実際の使用状態と同じ状態下において永久磁石の部分毎の磁気特性データを測定・評価することができる。
【解決手段】本発明に係る磁気測定装置11は、回転子53に倣った磁気特性を呈する磁性体からなり、永久磁石13が磁力によって組付けられる組付部15を有する固定治具17と、固定子55に倣った磁気特性を呈する磁性体からなり、固定治具17の組付部15に組付けられた状態の永久磁石13が創り出す磁束の流動を補助する補助治具19と、補助治具19に係る回転軸側壁面19a、及び固定治具17に組付けられた状態の永久磁石13に係る反回転軸側壁面13aの間に設けられ、永久磁石13の磁気特性を測定する磁気センサ21を挿脱可能な間隙部23と、を備えて構成されている。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子及び固定子が備わる回転電機の前記回転子に組付けられる永久磁石の磁気特性を測定する磁気測定装置であって、
前記回転子に倣った磁気特性を呈する磁性体からなり、前記永久磁石が磁力によって組付けられる組付部を有する固定治具と、
前記固定子に倣った磁気特性を呈する磁性体からなり、前記固定治具の前記組付部に組付けられた状態の前記永久磁石が創り出す磁束の流動を補助する補助治具と、
前記補助治具に係る回転軸側壁面、及び前記固定治具に組付けられた状態の前記永久磁石に係る反回転軸側壁面の間に設けられ、当該永久磁石の磁気特性を測定する磁気センサを挿脱可能な間隙部と、
を備えたことを特徴とする磁気測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気測定装置であって、
前記固定治具は、回転軸方向から視て略扇形状に形成されると共に、回転軸方向に所定の厚みを有して形成され、前記組付部を有する第1支持脚部、並びに当該第1支持脚部を挟んで周方向両側に位置する第2及び第3支持脚部を備え、
前記第1支持脚部及び第2支持脚部の間、並びに前記第1支持脚部及び第3支持脚部の間には、第1及び第2切欠部がそれぞれ開設されている
ことを特徴とする磁気測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の磁気測定装置であって、
前記組付部の周方向寸法は、前記永久磁石に係る回転軸側壁面の周方向寸法と略同一に設定されている
ことを特徴とする磁気測定装置。
【請求項4】
請求項2に記載の磁気測定装置であって、
前記組付部を有する前記固定治具の軸方向寸法は、前記永久磁石の軸方向寸法と比べて大に設定されている
ことを特徴とする磁気測定装置。
【請求項5】
回転子及び固定子が備わる回転電機の前記回転子に組付けられる永久磁石の磁気特性を測定する磁気測定装置であって、
前記回転子に倣った磁気特性を呈する磁性体からなり、前記永久磁石が磁力によって組付けられる組付部を有する固定治具と、
前記固定子に倣った磁気特性を呈する磁性体からなり、前記固定治具の前記組付部に組付けられた状態の前記永久磁石が創り出す磁束の流動を補助する補助治具と、
前記固定治具の前記組付部、及び前記固定治具に組付けられた状態の前記永久磁石に係る回転軸側壁面の間に設けられ、当該永久磁石の磁気特性を測定する磁気センサを挿脱可能な間隙部と、
を備えたことを特徴とする磁気測定装置。
【請求項6】
回転子及び固定子が備わる回転電機の前記回転子に組付けられる永久磁石の磁気特性を測定する際に用いられる磁気測定方法であって、
前記回転子に倣った磁気特性を呈する磁性体からなる固定治具に備わる組付部に前記永久磁石を組付ける工程と、
前記固定子に倣った磁気特性を呈する磁性体からなる補助治具に係る回転軸側壁面、及び前記永久磁石に係る反回転軸側壁面の間に設けた間隙部に当該永久磁石の磁気特性を測定するための磁気センサを挿し込む工程と、
前記間隙部に挿し込まれた状態の前記磁気センサにより測定された当該永久磁石の磁気特性に係るデータを読み出す工程と、
を有することを特徴とする磁気測定方法。
【請求項7】
回転子及び固定子が備わる回転電機の前記回転子に組付けられる永久磁石の磁気特性を測定する際に用いられる磁気測定方法であって、
前記回転子に倣った磁気特性を呈する磁性体からなる固定治具に備わる組付部に前記永久磁石を組付ける工程と、
前記固定子に倣った磁気特性を呈する磁性体からなる補助治具を、前記永久磁石を挟んで前記固定治具にセットする工程と、
前記固定治具の前記組付部、及び前記固定治具に組付けられた状態の前記永久磁石に係る回転軸側壁面の間に設けた間隙部に当該永久磁石の磁気特性を測定するための磁気センサを挿し込む工程と、
前記間隙部に挿し込まれた状態の前記磁気センサにより測定された当該永久磁石の磁気特性に係るデータを読み出す工程と、
を有することを特徴とする磁気測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に備わる永久磁石の磁気を測定する磁気測定装置及び磁気測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、低炭素社会の実現に向けた取り組みとして、車両の駆動源である内燃機関に加えて又は代えて、回転電機を搭載した車両が普及している。
回転電機は、円環状のステータ、及び円筒状のロータを備えて構成されている。ステータは、ステータコアに備わる複数のスロットのそれぞれに、ステータコイルを設けて構成される。ロータは、ステータの内周面に対して僅かな空隙を隔てて、回動自在に設けられる。ロータに備わるロータコアには、周方向に等しい間隔を置いて複数の永久磁石が配設されている。ロータには、回転軸が固設されている。
【0003】
回転電機では、ステータコイルにモータ電流を流すと、ステータに回転磁界が発生する。こうしてステータに発生した回転磁界と、ロータコアに設けた永久磁石によりロータに生じた磁界とが相互作用することによってロータが回転駆動される。かかる回転電機では、回転ムラのない滑らかな運転を実現するため、ロータコアに設けた複数の永久磁石間での磁気特性が均一であることが強く求められている。
【0004】
特許文献1には、回転電機のロータ又はステータに設けた永久磁石の磁束量を測定する磁束量測定装置の考案が記載されている。特許文献1に係る磁束量測定装置では、永久磁石をロータ又はステータに吸着して回動自在になるよう構成し、永久磁石と所定のギャップを隔てて磁束計に接続された空芯コイルを配設する。ロータ又はステータをすばやく一回転させると磁束量を知ることができる。
特許文献1に係る磁束量測定装置によれば、実際の使用状態と同じ状態下において永久磁石の磁束量を測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3003164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に係る磁束量測定装置では、永久磁石の全体としての磁束量を測定することは可能であるが、永久磁石の部分ごとの磁束量を測定することはできない。要するに、従来技術では、実際の使用状態と同じ状態下において永久磁石の部分毎の磁気特性を測定・評価する点で改良の余地が残されていた。
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、回転電機の実際の使用状態と同じ状態下において永久磁石の部分毎の磁気特性データを測定・評価可能な磁気測定装置及び磁気測定方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明に係る磁気測定装置は、回転子及び固定子が備わる回転電機の前記回転子に組付けられる永久磁石の磁気特性を測定する磁気測定装置であって、前記回転子に倣った磁気特性を呈する磁性体からなり、前記永久磁石が磁力によって組付けられる組付部を有する固定治具と、前記固定子に倣った磁気特性を呈する磁性体からなり、前記固定治具の前記組付部に組付けられた状態の前記永久磁石が創り出す磁束の流動を補助する補助治具と、前記補助治具に係る回転軸側壁面、及び前記固定治具に組付けられた状態の前記永久磁石に係る反回転軸側壁面の間に設けられ、当該永久磁石の磁気特性を測定する磁気センサを挿脱可能な間隙部と、を備えたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、回転電機の実際の使用状態と同じ状態下において永久磁石の部分毎の磁気特性データを測定・評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本発明の実施形態に係る磁気測定装置の外観を表す斜視図である。
図1B図1Aに示す磁気測定装置の要部を拡大して表す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る磁気測定装置において測定対象となる永久磁石が組み込まれる回転電機の概略構成図である。
図3A】本発明の実施形態に係る磁気測定装置の平面図である。
図3B図3Aに示す磁気測定装置を(3B)矢視方向から視た側面図である。
図3C図3Aに示す磁気測定装置を(3C)矢視方向から視た正面図である。
図4】本発明の実施形態に係る磁気測定装置を用いて測定される永久磁石の磁気特性のうち磁束の流動例を表す図である。
図5A】本発明の第1変形例に係る磁気測定装置の外観を表す斜視図である。
図5B】本発明の第2変形例に係る磁気測定装置の外観を表す斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係る磁気測定方法の手順を表す工程図である。
図7】本発明の変形例に係る磁気測定方法の手順を表す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る磁気測定装置及び磁気測定方法の実施形態について、適宜の図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下に示す図面において、同一の部材又は対応する部材間には同一の参照符号を付する。また、部材のサイズ及び形状は、説明の便宜のため、変形又は誇張して模式的に表す場合がある。
【0012】
〔本発明の実施形態に係る磁気測定装置11の要旨〕
はじめに、本発明の実施形態に係る磁気測定装置11の要旨について説明する。
本発明の実施形態に係る磁気測定装置11(図1A図1B参照)は、回転子(ロータと呼ぶ場合がある。)53及び固定子(ステータと呼ぶ場合がある。)55が備わる回転電機51(いずれも図2参照)の回転子53に組付けられる永久磁石13(図1A図1B参照)の磁気特性を測定する磁気測定装置11であって、回転子53に倣った磁気特性を呈する磁性体からなり、永久磁石13が磁力によって組付けられる組付部15を有する固定治具17(いずれも図1A図1B参照)と、固定子55に倣った磁気特性を呈する磁性体からなり、固定治具17の組付部15に組付けられた状態の永久磁石13が創り出す磁束の流動を補助する補助治具19(図1A図1B参照)と、補助治具19に係る回転軸側壁面19a、及び固定治具17に組付けられた状態の永久磁石13に係る反回転軸側壁面13aの間に設けられ、永久磁石13の磁気特性を測定する磁気センサ21を挿脱可能な間隙部23(図1A図1B参照)と、を備えて構成されている。
磁気測定装置11では、回転子53に倣った磁気特性を呈する磁性体からなる固定治具17の組付部15に永久磁石13を組み付け、固定子55に倣った磁気特性を呈する磁性体からなる補助治具19に係る回転軸側壁面19a、及び固定治具17に組付けられた状態の永久磁石13に係る反回転軸側壁面13aの間に設けた間隙部23に、永久磁石13の磁気特性を測定する磁気センサ21を挿し込むことにより、永久磁石13の磁気特性に係るデータを読み出す。
これにより、回転電機51の実際の使用状態と同じ状態下において永久磁石13の部分毎の磁気特性データを評価することができる。
以下、本発明の実施形態に係る磁気測定装置11の詳細について、順次説明する。
【0013】
〔本発明の実施形態に係る磁気測定装置11の構成及び作用〕
次に、本発明の実施形態に係る磁気測定装置11の構成及び作用について、図1A図1B図2図3A図3C図4を適宜参照して詳細に説明する。
図1Aは、本発明の実施形態に係る磁気測定装置11の外観を表す斜視図である。図1Bは、図1Aに示す磁気測定装置11の要部を拡大して表す斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係る磁気測定装置11において測定対象となる永久磁石13が組み込まれる回転電機51の概略構成図である。図3Aは、本発明の実施形態に係る磁気測定装置11の平面図である。図3Bは、図3Aに示す磁気測定装置11を(3B)矢視方向から視た側面図である。図3Cは、図3Aに示す磁気測定装置11を(3C)矢視方向から視た正面図である。図4は、本発明の実施形態に係る磁気測定装置11を用いて測定される永久磁石13の磁気特性のうち磁束の流動例を表す図である。
【0014】
はじめに、本発明の実施形態に係る磁気測定装置11において測定対象となる永久磁石13が組み込まれる回転電機51の概略構成について、図2を参照して説明する。
【0015】
回転電機51は、図2に示すように、円筒状のロータ(回転子)53、及び円環状のステータ(固定子)55を備えて構成されている。ロータ53は、ステータ55の内周面に対して僅かな空隙を隔てて、回動自在に設けられる。ロータ53に備わるロータコア54には、周方向に等しい間隔を置いて複数の永久磁石13が配設されている。
【0016】
ロータ53には、回転軸57が固設されている。ステータ55は、ステータコア56に備わる複数のスロット(不図示)のそれぞれに、ステータコイル(不図示)を設けて構成される。
ロータコア54は、例えば、円環状に形成された複数枚の電磁鋼板を軸方向に積層して構成される。また、ステータコア56は、ロータコア54と同様に、例えば、円環状に形成された複数枚の電磁鋼板を軸方向に積層して構成される。
【0017】
本発明の実施形態に係る磁気測定装置11は、図1A図1Bに示すように、回転子53に倣った磁気特性を呈する磁性体からなる固定治具17と、固定子55に倣った磁気特性を呈する磁性体からなる補助治具19と、を備えて構成されている。
【0018】
固定治具17は、組付部15を用いて永久磁石13を所定の位置に組付ける役割を果たす。固定治具17は、図1Aに示す回転軸方向から視て略扇形状に形成されると共に、回転軸方向に所定の厚み(固定治具17の軸方向寸法Tfm2 )を有して形成されている。
【0019】
固定治具17は、永久磁石13が磁力によって組付けられる組付部15を有する第1支持脚部17a、並びに、第1支持脚部17aを挟んで周方向両側に位置する第2及び第3支持脚部17b、17cを備えて構成されている。
【0020】
図1Aに示す周方向において、第1支持脚部17a及び第2支持脚部17bの間、並びに第1支持脚部17a及び第3支持脚部17cの間には、第1及び第2切欠部18a、18bが夫々開設されている。
【0021】
一方、補助治具19は、固定治具17の組付部15に組付けられた状態の永久磁石13が創り出す磁束の流動を補助する役割を果たす。
【0022】
補助治具19に係る回転軸側壁面19a、及び固定治具17に組付けられた状態の永久磁石13に係る反回転軸側壁面13aの間には、永久磁石13の磁気特性を測定する磁気センサ21を挿脱可能な間隙部23が設けられている。本実施形態に係る磁気測定装置11では、図1A及び図1Bに示すように、間隙部23は、第1支持脚部17aの高さ方向(図1Aに示す放射方向)の寸法を短縮調整することで形成されている。
【0023】
なお、第1支持脚部17aの高さ方向の寸法は、間隙部23に対する磁気センサ21のプローブ21aが挿脱可能であること、及び磁気センサ21のプローブ21aを間隙部23に挿し込んだ際に、永久磁石13に係る磁気特性データを適切に測定可能であることを考慮して適宜の寸法に設定されている。
【0024】
磁気測定装置11では、固定治具17の組付部15に永久磁石13を組み付けて、補助治具19に係る回転軸側壁面19a、及び固定治具17に組付けられた状態の永久磁石13に係る反回転軸側壁面13aの間に設けた間隙部23に磁気センサ21のプローブ21aを挿し込む(図1B参照)ことにより、永久磁石13の磁気特性に係るデータを読み出す。磁気センサ21のプローブ21aは、永久磁石13に係る反回転軸側壁面13aに沿う所要の位置に周方向にわたって順次移動される。
【0025】
これにより、回転電機51の実際の使用状態と同じ状態下において永久磁石13の部分毎の磁気特性(着磁状態)データを適正に測定・評価する効果を期待することができる。
【0026】
第1支持脚部17aの反回転軸側壁面17a1に拡がる組付部15の周方向寸法Tfm1 は、図3Aに示すように、永久磁石13に係る回転軸側壁面13bの周方向寸法Tmg1 と略同一に設定されている。これにより、第1支持脚部17aの組付部15に永久磁石13を組み付ける際の周方向の位置決めを的確に行う効果を期待することができる。
【0027】
さらに、第1支持脚部17a及び第2支持脚部17bの間、並びに第1支持脚部17a及び第3支持脚部17cの間には、第1支持脚部17aに対して周方向にわたり線対称に第1及び第2切欠部18a、18bがそれぞれ開設されている。そのため、図4に示すように、永久磁石13が創り出す磁束の流動性を整える効果、並びに異極間の磁束漏れを防止する効果を期待することができる。
【0028】
また、組付部15を有する固定治具17の軸方向寸法Tfm2 は、図3Aに示すように、永久磁石13の軸方向寸法Tmg2 と比べて大に設定されている。これにより、永久磁石13のエッジ部における磁束の極大化を緩和して、永久磁石13が創り出す磁束の整流性を担保する効果を期待することができる。
【0029】
〔本発明の第1変形例に係る磁気測定装置12〕
次に、本発明の第1変形例に係る磁気測定装置12について、図5Aを参照して説明する。
図5Aは、本発明の第1変形例に係る磁気測定装置12の外観を表す斜視図である。
本発明の実施形態に係る磁気測定装置11と、本発明の第1変形例に係る磁気測定装置12とは、間隙部23の形成に関する構成が異なるところ、その他の構成は共通している。
そこで、前記相違部分について説明することで、本発明の第1変形例に係る磁気測定装置12の説明に代えることとする。
【0030】
本発明の実施形態に係る磁気測定装置11では、図1A及び図1Bに示すように、間隙部23は、第1支持脚部17aの高さ寸法(図1Aに示す放射方向の寸法)を短縮調整することで形成されている。
これに対し、本発明の第1変形例に係る磁気測定装置12では、図5Aに示すように、補助治具19に係る回転軸側壁面19aに対し、固定治具17の組付部15に組付けられた状態の永久磁石13に係る反回転軸側壁面13aが対向する部分を凹状に形成した第1凹部19a1を設けることにより、間隙部23を構成している。
【0031】
本発明の第2変形例に係る磁気測定装置12では、固定治具17の組付部15に永久磁石13を組み付けて、補助治具19に係る回転軸側壁面19aのうち、固定治具17に組付けられた状態の永久磁石13に係る反回転軸側壁面13aが対向する部分に形成した第1凹部19a1よりなる間隙部23に磁気センサ21のプローブ21aを挿し込むことにより、永久磁石13の磁気特性に係るデータを読み出す。磁気センサ21のプローブ21aは、永久磁石13に係る反回転軸側壁面13aに沿う所要の位置に周方向にわたって順次移動される。
【0032】
なお、第1凹部19a1よりなる間隙部23の深さ寸法(図5Aに示す放射方向の寸法)は、間隙部23に対する磁気センサ21のプローブ21aが挿脱可能であること、及び磁気センサ21のプローブ21aを間隙部23に挿し込んだ際に、永久磁石13に係る磁気特性データを適切に測定可能であることを考慮して適宜の寸法に設定されている。
【0033】
本発明の第1変形例に係る磁気測定装置12によれば、本発明の実施形態に係る磁気測定装置11と同様に、回転電機51の実際の使用状態と同じ状態下において永久磁石13の部分毎の磁気特性(着磁状態)データを適正に測定・評価する効果を期待することができる。
【0034】
〔本発明の第2変形例に係る磁気測定装置14〕
次に、本発明の第2変形例に係る磁気測定装置14について、図5Bを参照して説明する。
図5Bは、本発明の第2変形例に係る磁気測定装置14の外観を表す斜視図である。
本発明の実施形態に係る磁気測定装置11と、本発明の第2変形例に係る磁気測定装置14とは、前記第1変形例に係る磁気測定装置12と同様に、間隙部23の形成に関する構成が異なるところ、その他の構成は共通している。
そこで、前記相違部分について説明することで、本発明の第2変形例に係る磁気測定装置14の説明に代えることとする。
【0035】
本発明の実施形態に係る磁気測定装置11では、図1A及び図1Bに示すように、間隙部23は、第1支持脚部17aの高さ寸法(図1Aに示す放射方向の寸法)を短縮調整することで形成されると共に、永久磁石13の放射方向外側に設けられている。
これに対し、本発明の第2変形例に係る磁気測定装置14では、図5Bに示すように、第1支持脚部17aの組付部15に対し、固定治具17の組付部15に組付けられた状態の永久磁石13に係る回転軸側壁面13bが対向する部分を凹状に形成した第2凹部17a1を設けることにより、間隙部23を構成している。要するに、本発明の第2変形例に係る磁気測定装置14では、間隙部23は、永久磁石13の放射方向外側に設けられている。
【0036】
本発明の第2変形例に係る磁気測定装置14では、固定治具17の組付部15に永久磁石13を組み付けると共に、永久磁石13を挟んで固定治具17の反回転軸側に補助治具19をセットする。第1支持脚部17aの組付部15に形成した第2凹部17a1よりなる間隙部23に磁気センサ21のプローブ21aを挿し込むことにより、永久磁石13の磁気特性に係るデータを読み出す。磁気センサ21のプローブ21aは、永久磁石13に係る回転軸側壁面13bに沿う所要の位置に周方向にわたって順次移動される。
【0037】
なお、第2凹部17a1よりなる間隙部23の深さ寸法(図5Bに示す放射方向の寸法)は、間隙部23に対する磁気センサ21のプローブ21aが挿脱可能であること、及び磁気センサ21のプローブ21aを間隙部23に挿し込んだ際に、永久磁石13に係る磁気特性データを適切に測定可能であることを考慮して適宜の寸法に設定されている。
【0038】
本発明の第2変形例に係る磁気測定装置14によれば、本発明の実施形態に係る磁気測定装置11、本発明の第1変形例に係る磁気測定装置12とは異なって、回転電機51の実際の使用状態と同じ状態下において、永久磁石13に係る回転軸側壁面13bの部分毎の磁気特性(着磁状態)データを適正に測定・評価する効果を期待することができる。
【0039】
〔本発明の実施形態に係る磁気測定方法〕
次に、本発明の実施形態に係る磁気測定方法について、図6を参照して説明する。
図6は、本発明の実施形態に係る磁気測定方法の手順を表す工程図である。
本発明の実施形態に係る磁気測定方法は、図6に示すように、回転子53に倣った磁気特性を呈する磁性体からなる固定治具17に備わる組付部15に(着磁工程が完了した)永久磁石13を組み付ける工程(ステップS11)と、固定子55に倣った磁気特性を呈する磁性体からなる補助治具19に係る回転軸側壁面19a、及び永久磁石13に係る反回転軸側壁面13aの間に設けた間隙部23に永久磁石13の磁気特性を測定するための磁気センサ21を挿し込む工程(ステップS12)と、間隙部23に挿し込まれた状態の磁気センサ21により測定された永久磁石13の磁気特性に係るデータを読み出す工程(ステップS13)と、を有する。
【0040】
本発明の実施形態に係る磁気測定方法によれば、回転子53に倣った磁気特性を呈する磁性体からなる固定治具17に備わる組付部15に(着磁工程が完了した)永久磁石13を組み付け(ステップS11)、間隙部23に永久磁石13の磁気特性を測定するための磁気センサ21を挿し込み(ステップS12)、永久磁石13の磁気特性に係るデータを読み出す(ステップS13)ため、回転電機51の実際の使用状態と同じ状態下において永久磁石13の部分毎の磁気特性(着磁状態)データを適正に測定・評価する効果を期待することができる。
【0041】
〔本発明の変形例に係る磁気測定方法〕
次に、本発明の変形例に係る磁気測定方法について、図7を参照して説明する。
図7は、本発明の変形例に係る磁気測定方法の手順を表す工程図である。
本発明の実施形態に係る磁気測定方法と、本発明の変形例に係る磁気測定方法とは、第2凹部17a1(間隙部23)の設定箇所に関する構成の相違に由来する部分が異なっている。
【0042】
すなわち、本発明の変形例に係る磁気測定方法は、図7に示すように、回転子53に倣った磁気特性を呈する磁性体からなる固定治具17に備わる組付部15に(着磁工程が完了した)永久磁石13を組み付ける工程(ステップS21)と、固定子55に倣った磁気特性を呈する磁性体からなる補助治具19を、永久磁石13を挟んで固定治具17にセットする工程(ステップS22)と、固定治具17の組付部15、及び固定治具17に組付けられた状態の永久磁石13に係る回転軸側壁面13bの間に設けた第2凹部17a1よりなる間隙部23に永久磁石13の磁気特性を測定するための磁気センサ21を挿し込む工程(ステップS23)と、間隙部23に挿し込まれた状態の磁気センサ21により測定された永久磁石13の磁気特性に係るデータを読み出す工程(ステップS24)と、を有する。
【0043】
本発明の変形例に係る磁気測定方法によれば、回転子53に倣った磁気特性を呈する磁性体からなる固定治具17の組付部15に(着磁工程が完了した)永久磁石13を組み付け(ステップS21)、補助治具19を、永久磁石13を挟んで固定治具17にセットし(ステップS22)、第2凹部17a1よりなる間隙部23に永久磁石13の磁気特性を測定するための磁気センサ21を挿し込み(ステップS23)、永久磁石13の磁気特性に係るデータを読み出す(ステップS13)ため、回転電機51の実際の使用状態と同じ状態下において、永久磁石13に係る回転軸側壁面13bの部分毎の磁気特性(着磁状態)データを適正に測定・評価する効果を期待することができる。
【0044】
〔その他の実施形態〕
以上説明した複数の実施形態は、本発明の具現化の例を示したものである。したがって、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。本発明はその要旨またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施することができるからである。
【0045】
例えば、本発明において磁気特性の測定対象となる永久磁石13について、回転軸方向から視て円弧形状を呈する永久磁石13を例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。永久磁石13の形状、数、配置に関し、特に限定されることなく、いかなる形状、数、配置を採る永久磁石13をも適宜採用可能である。
なお、固定治具17及び補助治具19の形状を含む構成は、永久磁石13の形状、数、配置に適合するように適宜設計変更すればよい。
【0046】
最後に、本発明に係る実施形態の説明において、間隙部23の深さ寸法(放射方向寸法)は、間隙部23に対する磁気センサ21のプローブ21aが挿脱可能であること、及び磁気センサ21のプローブ21aを間隙部23に挿し込んだ際に、永久磁石13に係る磁気特性データを適切に測定可能であることを考慮して適宜の寸法に設定すればよい旨に言及した。
詳しく述べると、間隙部23の深さ寸法は、永久磁石13の磁気特性に応じて適宜調整しても構わない。具体的には、例えば、間隙部23の深さ寸法は、適切な寸法値と比べて広すぎると磁束の回折現象によって永久磁石13付近の磁束分布に粗密のばらつきが生じるのに対し、適切な寸法値であると永久磁石13付近の磁束分布が均一になることが分かっている。
そこで、かかる知見を踏まえて、永久磁石13付近の磁束分布が均一になることを考慮して、間隙部23の寸法値を適宜設定すればよい。
【符号の説明】
【0047】
11 本発明の実施形態に係る磁気測定装置
12 本発明の第1変形例に係る磁気測定装置
13 永久磁石
13a 永久磁石に係る反回転軸側壁面
13b 永久磁石に係る回転軸側壁面
14 本発明の第2変形例に係る磁気測定装置
15 組付部
17 固定治具
17a 第1支持脚部
17a1 第2凹部(間隙部)
17b 第2支持脚部
17c 第3支持脚部
18a 第1切欠部
18b 第2切欠部
19 補助治具
19a 補助治具に係る回転軸側壁面
19a1 第1凹部(間隙部)
21 磁気センサ
23 間隙部
51 回転電機
53 ロータ(回転子)
55 ステータ(固定子)
57 回転軸
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図6
図7