(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142152
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】トナーセット、静電荷像現像剤セット、トナーカートリッジセット、プロセスカートリッジ、画像形成装置、画像形成方法、及び、印刷物
(51)【国際特許分類】
G03G 9/08 20060101AFI20241003BHJP
G03G 9/09 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G03G9/08 391
G03G9/09
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054184
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 幸晃
(72)【発明者】
【氏名】立川 貴久
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 光平
【テーマコード(参考)】
2H500
【Fターム(参考)】
2H500AA13
2H500AA14
2H500EA22A
(57)【要約】
【課題】粒状性及びグレーの色調に優れる画像を形成しうるトナーセットを提供する。
【解決手段】シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、ブラックトナー、色相角度が125度以上165度以下の蛍光トナーT
A、及び色相角度が-25度以上15度以下の蛍光トナーT
Bを含み、前記蛍光トナーT
Aと前記蛍光トナーT
Bとの色相角度の差が135度以上である、トナーセット。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、ブラックトナー、色相角度が125度以上165度以下の蛍光トナーTA、及び色相角度が-25度以上15度以下の蛍光トナーTBを含み、
前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの色相角度の差が135度以上である、トナーセット。
【請求項2】
前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの色相角度の差が145度以上180度以下である、請求項1に記載のトナーセット。
【請求項3】
前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの色相角度の差が160度以上180度以下である、請求項2に記載のトナーセット。
【請求項4】
前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの彩度の差が30以下である、請求項1に記載のトナーセット。
【請求項5】
前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの明度の差が20以下である、請求項1に記載のトナーセット。
【請求項6】
前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの彩度の差が30以下であり、前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの明度の差が20以下である、請求項1に記載のトナーセット。
【請求項7】
前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの色相角度の差が145度以上180度以下であり、前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの彩度の差が30以下であり、前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの明度の差が20以下である、請求項1に記載のトナーセット。
【請求項8】
前記蛍光トナーTA及び前記蛍光トナーTBの蛍光強度が5%以上である、請求項1に記載のトナーセット。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のトナーセットの、前記シアントナー、前記マゼンタトナー、前記イエロートナー、前記ブラックトナー、前記蛍光トナーTA、及び前記蛍光トナーTBをそれぞれ別々に含む第1乃至第6静電荷像現像剤を有する静電荷像現像剤セット。
【請求項10】
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のトナーセットの、前記シアントナー、前記マゼンタトナー、前記イエロートナー、前記ブラックトナー、前記蛍光トナーTA、及び前記蛍光トナーTBをそれぞれ別々に含む第1乃至第6トナーカートリッジを有し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジセット。
【請求項11】
請求項9に記載の静電荷像現像剤セットの第1乃至第6静電荷像現像剤をそれぞれ別々に含む第1乃至第6現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
【請求項12】
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のトナーセットの、前記シアントナー、前記マゼンタトナー、前記イエロートナー、前記ブラックトナー、前記蛍光トナーTA、及び前記蛍光トナーTBのそれぞれによる第1乃至第6画像を形成する第1乃至第6画像形成手段と、
前記第1乃至第6画像を記録媒体上に転写する転写手段と、
前記第1乃至第6画像を前記記録媒体上に定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項13】
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のトナーセットが含む、前記シアントナー、前記マゼンタトナー、前記イエロートナー、前記ブラックトナー、前記蛍光トナーTA、及び前記蛍光トナーTBのそれぞれによる第1乃至第6画像を形成する第1乃至第6画像形成工程と、
前記第1乃至第6画像を記録媒体上に転写する転写工程と、
前記第1乃至第6画像を前記記録媒体上に定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
【請求項14】
記録媒体と、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のトナーセットの、前記シアントナー、前記マゼンタトナー、前記イエロートナー、前記ブラックトナー、前記蛍光トナーTA、及び前記蛍光トナーTBのそれぞれによる第1乃至第6画像を有する、印刷物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トナーセット、静電荷像現像剤セット、トナーカートリッジセット、プロセスカートリッジ、画像形成装置、画像形成方法、及び、印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、蛍光着色剤を含有する蛍光色樹脂粒子と、有色着色剤を含有する有色樹脂粒子とを有し、前記蛍光色樹脂粒子の体積平均粒径が、前記有色樹脂粒子の体積平均粒径よりも大きく、前記蛍光色樹脂粒子の平均円形度が、0.93以上である樹脂粒子セットが開示されており、蛍光色樹脂粒子及び有色樹脂粒子が静電荷像現像用トナーとして用いられることも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、ブラックトナー、色相角度が125度以上165度以下の蛍光トナーTA、及び色相角度が-25度以上15度以下の蛍光トナーTBを含み、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの色相角度の差が135度未満である場合に比べ、粒状性及びグレーの色調に優れる画像を形成しうるトナーセットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための具体的手段には、下記の態様が含まれる。
<1> シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、ブラックトナー、色相角度が125度以上165度以下の蛍光トナーTA、及び色相角度が-25度以上15度以下の蛍光トナーTBを含み、
前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの色相角度の差が135度以上である、トナーセット。
<2> 前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの色相角度の差が145度以上180度以下である、<1>に記載のトナーセット。
<3> 前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの色相角度の差が160度以上180度以下である、<2>に記載のトナーセット。
<4> 前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの彩度の差が30以下である、<1>に記載のトナーセット。
<5> 前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの明度の差が20以下である、<1>に記載のトナーセット。
<6> 前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの彩度の差が30以下であり、前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの明度の差が20以下である、<1>に記載のトナーセット。
<7> 前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの色相角度の差が145度以上180度以下であり、前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの彩度の差が30以下であり、前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの明度の差が20以下である、<1>に記載のトナーセット。
<8> 前記蛍光トナーTA及び前記蛍光トナーTBの蛍光強度が5%以上である、<1>に記載のトナーセット。
【0006】
<9> <1>~<8>のいずれか1つに記載のトナーセットの、前記シアントナー、前記マゼンタトナー、前記イエロートナー、前記ブラックトナー、前記蛍光トナーTA、及び前記蛍光トナーTBをそれぞれ別々に含む第1乃至第6静電荷像現像剤を有する静電荷像現像剤セット。
<10> <1>~<8>のいずれか1つに記載のトナーセットの、前記シアントナー、前記マゼンタトナー、前記イエロートナー、前記ブラックトナー、前記蛍光トナーTA、及び前記蛍光トナーTBをそれぞれ別々に含む第1乃至第6トナーカートリッジを有し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジセット。
<11> <9>に記載の静電荷像現像剤セットの第1乃至第6静電荷像現像剤をそれぞれ別々に含む第1乃至第6現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
<12> <1>~<8>のいずれか1つに記載のトナーセットの、前記シアントナー、前記マゼンタトナー、前記イエロートナー、前記ブラックトナー、前記蛍光トナーTA、及び前記蛍光トナーTBのそれぞれによる第1乃至第6画像を形成する第1乃至第6画像形成手段と、
前記第1乃至第6画像を記録媒体上に転写する転写手段と、
前記第1乃至第6画像を前記記録媒体上に定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
<13> <1>~<8>のいずれか1つに記載のトナーセットが含む、前記シアントナー、前記マゼンタトナー、前記イエロートナー、前記ブラックトナー、前記蛍光トナーTA、及び前記蛍光トナーTBのそれぞれによる第1乃至第6画像を形成する第1乃至第6画像形成工程と、
前記第1乃至第6画像を記録媒体上に転写する転写工程と、
前記第1乃至第6画像を前記記録媒体上に定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
<14> 記録媒体と、<1>~<8>のいずれか1つに記載のトナーセットの、前記シアントナー、前記マゼンタトナー、前記イエロートナー、前記ブラックトナー、前記蛍光トナーTA、及び前記蛍光トナーTBのそれぞれによる第1乃至第6画像を有する、印刷物。
【発明の効果】
【0007】
<1>に係る発明によれば、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、ブラックトナー、色相角度が125度以上165度以下の蛍光トナーTA、及び色相角度が-25度以上15度以下の蛍光トナーTBを含み、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの色相角度の差が135度未満である場合に比べ、粒状性及びグレーの色調に優れる画像を形成しうるトナーセットが提供される。
<2>又は<7>に係る発明によれば、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの色相角度の差が145度未満である場合に比べ、粒状性及びグレーの色調に優れる画像を形成しうるトナーセットが提供される。
<3>に係る発明によれば、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの色相角度の差が160度未満である場合に比べ、粒状性及びグレーの色調に優れる画像を形成しうるトナーセットが提供される。
<4>、<6>、又は<7>に係る発明によれば、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの彩度の差が30超である場合に比べ、粒状性に優れる画像を形成しうるトナーセットが提供される。
<5>、<6>、又は<7>に係る発明によれば、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの明度の差が20超である場合に比べ、粒状性に優れる画像を形成しうるトナーセットが提供される。
<8>に係る発明によれば、蛍光トナーTA及び蛍光トナーTBの蛍光強度が5%未満である場合に比べ、粒状体に優れる画像を形成しうるトナーセットが提供される。
【0008】
<9>、<10>、<11>、<12>、又は<13>に係る発明によれば、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、ブラックトナー、色相角度が125度以上165度以下の蛍光トナーTA、及び色相角度が-25度以上15度以下の蛍光トナーTBを含み、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの色相角度の差が135度未満である場合に比べ、粒状性及びグレーの色調に優れる画像を形成しうるトナーセットを適用した静電荷像現像剤セット、トナーカートリッジセット、プロセスカートリッジ、画像形成装置、又は画像形成方法が提供される。
<14>に係る発明によれば、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、ブラックトナー、色相角度が125度以上165度以下の蛍光トナーTA、及び色相角度が-25度以上15度以下の蛍光トナーTBを含み、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの色相角度の差が135度未満であるトナーセットを用いた場合に比べ、粒状性及びグレーの色調に優れる画像を有する印刷物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【
図2】本開示に係る画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の実施形態について説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、実施形態の範囲を制限するものではない。
【0011】
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0012】
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
【0013】
本開示において実施形態を図面を参照して説明する場合、当該実施形態の構成は図面に示された構成に限定されない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、
部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
【0014】
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。本開示において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
【0015】
本開示において、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルのいずれをも含む表現であり、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートのいずれをも含む表現である。
【0016】
本開示において、「静電荷像現像剤」を「現像剤」ともいい、「静電荷像現像用キャリア」を「キャリア」ともいう。
【0017】
<トナーセット>
本開示に係るトナーセットは、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、ブラックトナー、色相角度が125度以上165度以下の蛍光トナーTA、及び色相角度が-25度以上15度以下の蛍光トナーTBを含み、前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの色相角度の差が135度以上である、トナーセットである。
【0018】
テレビ、モニター、タブレット、スマホ等の進化及び普及により、鮮やかなモニターで写真、映像、イラスト等を見ることが一般化している。モニターで見られる写真やイラスト(例えば、PC等で作画されたイラスト)などは広色域だけでなく、グラデーションなどの薄い色の描写がなめらかである。
一方、電子写真方式の印刷では、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)を用いたプロセス印刷が主流である。このプロセス印刷では、色の濃淡をドット密度で表現するため、薄い色のところはまばらなドット(点)として認識され、ざらつきを感じてしまうことがある。このざらつきは、粒状感がある、という表現をされることも多い。
そこで、粒状感を感じにくい薄い色の画像、すなわち、粒状性に優れる薄い色の画像を得るために、ライトシアン、ライトマゼンタ、グレー等などの淡色トナーを用いることが知られている。しかしながら、これらの淡色トナーを用いるだけでは、色域が広がらない。
更に、色域を拡大するために、グリーン、オレンジ、バイオレットトナーなどを用いた多色トナーセットも提案されているが、この場合、例えば、モノクロ写真などの無彩色領域のハイライト部分(即ち、グレーの色調部分)の粒状感は改善しない。
【0019】
本開示に係るトナーセットは、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、及びブラックトナー以外に、色相角度が125度以上165度以下の蛍光トナーTAと、色相角度が-25度以上15度以下の蛍光トナーTBとを含む。そして、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの色相角度の差を135度以上としている。
上記6つのトナーにより色域の広い画像を形成しうると共に、粒状性に優れる画像を形成しうる。これは、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとが光により発光するため、ドットがまばらにある薄い色を表現する際に、光学的ドットゲインの効果が大きく出て、ドットの境界がぼやけることによるものと推測される。
また、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとは、補色(反対色)関係にあることから、これらを含むトナーセットにより、無彩色領域であるライトグレーの色調をも表現しうるものと推測される。
以上のことから、本開示に係るトナーセットによれば、粒状性及びグレーの色調に優れる画像を形成しうる。
【0020】
〔好ましい態様〕
本開示に係るトナーセットにおいて、グレーの色調により優れる画像を得る観点から、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの色相角度の差は、145度以上180度以下であることが好ましく、160度以上180度以下であることがより好ましい。
【0021】
本開示に係るトナーセットにおいて、グレーの色調により優れる画像を得る観点から、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの彩度の差は、30以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましく、20以下であることが更好ましい。
なお、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの彩度の差は、0であってもよく、10以上であってもよい。
【0022】
本開示に係るトナーセットにおいて、グレーの色調により優れる画像を得る観点から、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの明度の差は、20以下であることが好ましく、15以下であることが好ましく、10以下であること更に好ましい。
なお、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの明度の差は、0であってもよく、3以上であってもよい。
【0023】
本開示に係るトナーセットにおいて、グレーの色調に更に優れる画像を得る観点から、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの彩度の差が30以下であり、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの明度の差が20以下であることが好ましく、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの彩度の差が25以下であり、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの明度の差が15以下であることがより好ましく、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの彩度の差が20以下であり、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの明度の差が10以下であることが更に好ましい。
【0024】
本開示に係るトナーセットにおいて、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの色相角度の差が145度以上180度以下であり、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの彩度の差が30以下であり、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの明度の差が20以下であることが好ましい。
【0025】
ここで、トナーの色相角度、彩度、及び明度は、以下の方法により測定する。
富士フイルムビジネスイノベーション(株)製のRevoria Press PC1120に、測定対象のトナーを収容する。この装置により、測定対象のトナーのみを用いて、トナーの載り量4.0g/m2、定着温度180℃の条件で、記録媒体としてのOSコート紙(127gsm)A4上にベタ画像(4.0cm×2.5cm)を形成する。
色相角度(h)、彩度(C*)、及び明度(L*)は、eXact Advanced(アパーチャー4mm:X-Rite社製)を用いて、上述の手法により得られた記録媒体上のベタ画像をランダムに10回測定し、その平均値のベタ画像の色域を、色再現測定値(L*、a*、及びb*)とする。得られた色再現測定値(L*、a*、及びb*)から、明度(L*)を求め、色相角度(h)及び彩度(C*)は、以下の式から算出する。
彩度(C*)=((a*)2+(b*)2))1/2
色相角度(h)=tan-1(b*/a*)
【0026】
本開示に係るトナーセットにおいて、粒状性により優れる画像を得る観点から、蛍光トナーTA及び蛍光トナーTBの蛍光強度は、いずれも、5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、15%以上であることが更に好ましい。
なお、蛍光トナーTA及び蛍光トナーTBの蛍光強度の上限は特に制限はないが、例えば、50%以下が挙げられる。
【0027】
ここで、トナーの蛍光強度は、以下の方法により求める。
上述の、トナーの色相角度、彩度、及び明度を測定する際と同様の方法で、記録媒体上に、測定対象のトナーのみを用いてベタ画像(4.0cm×2.5cm)を形成する。
得られたベタ画像について、eXact Advanced(アパーチャー4mm:X-Rite社製)を用いて、ISO13655で定義されるM1及びM2の照明条件にて、それぞれ分光反射率を測定する。そして、M1の照明条件における分光反射率のピークトップにおける分光反射率X1(%)と、M2の照明条件における分光反射率のピークトップにおける分光反射率X2(%)と、を求め、この差(M1-M2)を、蛍光強度とする。
【0028】
以下、本開示に係るトナーセットに含まれるトナーの詳細について説明する。
【0029】
〔トナーセット〕
本開示に係るトナーセットは、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、ブラックトナー、蛍光トナーTA、及び蛍光トナーTBを含む。
本開示に係るトナーセットは、上記6種のトナー以外のトナー(以下、他のトナーともいう)を含んでいてもよい。
他のトナーとしては、蛍光トナーであってもよいし、非蛍光トナーであってもよい。
蛍光トナーとしては、蛍光レッドトナー、蛍光オレンジトナー、蛍光イエロートナー、蛍光パープルトナー等が挙げられる。
非蛍光トナーとしては、レッドトナー、グリーントナー、ブルートナー、オレンジトナー、バイオレットトナー等が挙げられる。
【0030】
〔シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、及びブラックトナー〕
本開示に係るトナーセットにおける、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、及びブラックトナーは、いずれも、非蛍光着色剤を含む非蛍光トナーである。
シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、及びブラックトナーとしては、それぞれ、従来公知の、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、及びブラックトナーを用いることができる。
【0031】
〔蛍光トナーTA(蛍光グリーントナー)〕
蛍光トナーTAは、色相角度が125度以上165度以下であり、蛍光を示すトナーであれば、特に制限はない。
なお、蛍光トナーTAは、上記色相角度を有することから、蛍光グリーントナーともいう。
蛍光トナーTAの色相角度は、130度以上160度以下であることが好ましく、135度以上155度以下であることがより好ましい。
【0032】
〔蛍光トナーTB(蛍光ピンクトナー)〕
蛍光トナーTBは、色相角度が-25度以上15度以下であり、蛍光を示すトナーであれば、特に制限はない。
なお、蛍光トナーTBは、上記色相角度を有することから、蛍光ピンクトナーともいう。
蛍光トナーTBの色相角度は、-25度以上5度以下であることが好ましく、-25度以上0度以下であることがより好ましい。
【0033】
[トナー粒子]
蛍光トナーTA及び蛍光トナーTBは、それぞれ、蛍光着色剤及び結着樹脂を含み、必要に応じて、離型剤、及びその他添加剤を含むトナー粒子を有する。
以下、トナー粒子を構成する成分について説明する。
【0034】
(蛍光トナーTAに用いる着色剤)
蛍光トナーTAが有するトナー粒子に含まれる着色剤としては、少なくとも蛍光着色剤を含む。
上述の範囲の色相角度を得る観点、明度及び彩度の観点等からは、蛍光トナーTAのトナー粒子は、蛍光着色剤として、親水性基を有する蛍光顔料を含むことが好ましい。
また、蛍光トナーTAのトナー粒子は、上述の範囲の色相角度を得る観点から、着色剤として、蛍光着色剤の他、非蛍光着色剤を含むことが好ましい。
明度及び彩度の観点等からは、非蛍光着色剤として、ハロゲン原子を含む顔料を含むことが好ましい。
【0035】
ここで、蛍光着色剤とは、外部からの光エネルギーによって発光する着色剤(染料及びイ顔料を含む)をいい、非蛍光着色剤とは、外部からの光エネルギーによって発光しない着色剤をいう。一般的に、蛍光着色剤は反射光と発光とによって呈色し、非蛍光着色剤は反射光のみによって呈色する。
【0036】
-親水性基を有する蛍光顔料-
親水性基を有する蛍光顔料は、明度及び彩度の観点から、黄色蛍光顔料であることが好ましい。
また、親水性基を有する蛍光顔料は、明度及び彩度の観点から、発光スペクトルの波長500nm以上550nm以下の領域に発光ピークを有することが好ましい。
【0037】
親水性基を有する蛍光顔料における親水性基としては、ヒドロキシ基、第一級~第三級アミノ基、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基等が例示される。
中でも、親水性基を有する蛍光顔料は、親水性基として、ヒドロキシ基を有することが好ましい。
【0038】
親水性基を有する蛍光顔料としては、例えば、親水性基を有する、アゾメチン化合物、イソインドリノン化合物、キサンテン化合物(ローダミン化合物、フルオレセイン化合物、及び、エオシン化合物も含む。)、ナフタレン化合物、及び、トリアリールメタン化合物が例示される。
中でも、前記親水性基を有する蛍光顔料は、得られる画像のグロス段差抑制性の観点から、アゾメチン化合物であることが好ましく、ビスアゾメチン化合物であることがより好ましい。
アゾメチン化合物としては、-R1C=N-(R1は水素原子又は1価の置換基)で表されるアゾメチン構造を有する化合物が例示される。
ビスアゾメチン化合物としては、-R1C=N-N=CR2-(R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子又は1価の置換基)で表されるビスアゾメチン構造を分子構造中に有する化合物が例示される。
【0039】
親水性基を有する蛍光顔料としては、例えば、下記のアゾメチン化合物(1)~(3)が挙げられる。
【0040】
【0041】
アゾメチン化合物(1)の発光ピーク波長は、520nmである。
アゾメチン化合物(2)の発光ピーク波長は、510nmである。
アゾメチン化合物(3)の発光ピーク波長は、520nmである。
【0042】
親水性基を有する蛍光顔料は、アゾメチン化合物(1)、アゾメチン化合物(2)及びアゾメチン化合物(3)よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
【0043】
また、親水性基を有する蛍光顔料としては、C.I.ピグメントイエロー101が好ましい。C.I.ピグメントイエロー101は、アゾメチン化合物(1)である。
【0044】
親水性基を有する蛍光顔料1分子全体の分子量に対するヒドロキシ基の分子量の割合は、得られる画像のグロス段差抑制性の観点から、20質量%以下であることが好ましく、12質量%以下であることがより好ましく、0質量%を超え12質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以上12質量%以下であることが特に好ましい。
【0045】
親水性基を有する蛍光顔料の体積平均粒径D1は、トナー粒子中の分散性、記録媒体上での呈色性、記録媒体への定着性などをバランスよく実現する観点から、50nm以上800nm以下が好ましく、150nm以上600nm以下がより好ましく、250nm以上400nm以下が更に好ましい。
顔料の体積平均粒径は、界面活性剤の水溶液に顔料を分散させ、レーザ回析折式粒度分布測定装置(例えば、株式会社堀場製作所LA-700)を用いて測定する。体積基準の粒度分布を小粒径側から描き、累積50%となる粒径を体積平均粒径とする。
【0046】
親水性基を有する蛍光顔料は、1種単独で含有していても、2種以上を含有していてもよいが、得られる画像の明度及び彩度の観点から、1種単独であることが好ましい。
親水性基を有する蛍光顔料の含有量としては、明度及び彩度の観点から、トナー粒子全体に対して、0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、0.5質量%以上25質量%以下がより好ましく、1質量%以上20質量%以下が更に好ましく、5質量%以上15質量%以下が特に好ましい。
また、親水性基を有する蛍光顔料の含有量は、後述する、ハロゲン原子を有する顔料の含有量よりも多いことが好ましい。
【0047】
-ハロゲン原子を有する顔料-
ハロゲン原子を有する顔料は、明度及び彩度の観点から、非蛍光顔料であることが好ましく、非蛍光緑色顔料であることがより好ましい。
また、ハロゲン原子を有する顔料は、明度及び彩度の観点から、反射スペクトルの波長480nm以上540nm以下の領域に反射ピークを有することが好ましい。
【0048】
ハロゲン原子を有する顔料におけるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示される。
中でも、ハロゲン原子を有する顔料は、ハロゲン原子として、塩素原子及び臭素原子よりなる群から選ばれた少なくとも1種を有することが好ましく、塩素原子及び臭素原子を有することがより好ましい。
また、ハロゲン原子を有する顔料は、ハロゲン原子を2個以上有することが好ましく、ハロゲン原子を4個以上有することがより好ましく、ハロゲン原子を6個以上有することが更に好ましく、ハロゲン原子を8個以上32個以下有することが特に好ましい。
【0049】
ハロゲン原子を有する顔料としては、例えば、ハロゲン化フタロシアニン化合物、ハロゲン化トリフェニルメタン染料のレーキ顔料が挙げられる。
ハロゲン原子を有する顔料としては、ハロゲン化フタロシアニン化合物が好ましく、ハロゲン化銅フタロシアニン及びハロゲン化亜鉛フタロシアニンよりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
ハロゲン化銅フタロシアニンとしては、例えば、C.I.ピグメントグリーン7(色相:青味の緑、塩素原子を15個有する)、C.I.ピグメントグリーン36(色相:黄味の緑、塩素原子を10個及び臭素原子を6個有する)、C.I.ピグメントブルー76(色相:青、塩素原子を8個乃至12個有する)が挙げられる。
ハロゲン化亜鉛フタロシアニンとしては、例えば、C.I.ピグメントグリーン58(色相:緑、塩素原子を3個及び臭素原子を13個有する)、C.I.ピグメントグリーン59(色相:緑、塩素原子を0個乃至16個及び臭素原子を0個乃至16個有する)が挙げられる。
【0050】
ハロゲン原子を有する顔料は、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントグリーン59及びC.I.ピグメントブルー76よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
【0051】
ハロゲン原子を有する顔料の体積平均粒径D2は、トナー粒子中の分散性、記録媒体上での呈色性、記録媒体への定着性などをバランスよく実現する観点から、50nm以上300nm以下が好ましく、100nm以上250nm以下がより好ましく、120nm以上200nm以下が更に好ましい。
【0052】
ハロゲン原子を有する顔料は、1種単独で含有していても、2種以上を含有していてもよい。
ハロゲン原子を有する顔料の含有量としては、明度及び彩度の観点から、トナー粒子全体に対して、0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、0.2質量%以上20質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上20質量%以下が更に好ましく、1質量%以上15質量%以下が特に好ましい。
また、親水性基を有する蛍光顔料の含有量は、ハロゲン原子を有する顔料の含有量よりも多いことが好ましい。
【0053】
親水性基を有する蛍光顔料の体積平均粒径D1とハロゲン原子を有する顔料の体積平均粒径D2との比D1/D2は、得られる画像の明度及び彩度を高める観点から、1以上3以下が好ましく、1.2以上2.5以下がより好ましく、1.5以上2以下が更に好ましい。
【0054】
トナー粒子において、親水性基を有する蛍光顔料の含有量M1とハロゲン原子を有する顔料の含有量M2との質量基準の比M2/M1は、得られる画像の明度及び彩度を高める観点から、0.05以上1.5以下であることが好ましい。
また、得られる画像の彩度を高める観点から、比M2/M1は0.05以上であり、0.1以上が好ましく、0.3以上がより好ましい。
更に、得られる画像の明度を高める観点から、比M2/M1は1.5以下であり、1.0以下が好ましく、1.0未満がより好ましく、0.8以下が更に好ましい。
【0055】
トナー粒子において、トナー粒子全体に対する親水性基を有する蛍光顔料とハロゲン原子を有する顔料の合計含有量は、5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
また、得られる画像の彩度を高める観点から、両顔料の合計含有量は、5質量%以上であり、8質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。
更に、得られる画像の明度を高める観点から、両顔料の合計含有量は、18質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
【0056】
トナー粒子に含まれる親水性基を有する蛍光顔料のうち含有量が最大である親水性基を有する蛍光顔料の発光ピークと、トナー粒子に含まれるハロゲン原子を有する顔料のうち含有量が最大であるハロゲン原子を有する顔料の反射ピークとの波長差は、得られる画像の明度及び彩度を高める観点から、40nm以下であることが好ましく、30nm以下がより好ましく、20nm以下が更に好ましく、10nm以下が特に好ましく、0nmが最も好ましい。
【0057】
トナー粒子は、親水性基を有する蛍光顔料及びハロゲン原子を有する顔料以外のその他の着色剤を含有していてもよい。
トナー粒子に含まれる着色剤全体に占める親水性基を有する蛍光顔料及びハロゲン原子を有する顔料の合計量は、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、100質量%が更に好ましい。
【0058】
(蛍光トナーTBに用いる着色剤)
蛍光トナーTBが有するトナー粒子に含まれる着色剤としては、少なくとも蛍光着色剤を含む。
上述の範囲の色相角度を得る観点等からは、蛍光トナーTBのトナー粒子は、蛍光着色剤として、キサンテン構造を有する化合物(蛍光染料又は蛍光顔料)を含むことが好ましい。
また、蛍光トナーTBのトナー粒子は、上述の範囲の色相角度を得る観点から、着色剤として、蛍光着色剤の他、非蛍光着色剤を含むことが好ましい。
上述の範囲の色相角度を得る観点等からは、非蛍光着色剤として、キナクリドン構造を有する化合物(非蛍光顔料)を含むことが好ましい。
【0059】
-キサンテン構造を有する化合物-
キサンテン構造を有する化合物としては、蛍光強度の観点から、ローダミン構造、フルオレセイン構造、又は、エオシン構造を有する化合物であることが好ましく、ローダミン構造を有する化合物であることがより好ましい。
キサンテン構造を有する化合物としては、例えば、C.I.ベーシックレッド1(ローダミン6GCP)、C.I.ベーシックレッド1:1(ローダミン6GCP-N)、C.I.ベーシックバイオレット10(ローダミンB)、C.I.ベーシックバイオレット11(ローダミン3B)、C.I.ベーシックバイオレット11:1(ローダミンA)、C.I.アシッドレッド51、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド92、Solvent Red 49等が挙げられる。
【0060】
キサンテン構造を有する化合物は、1種単独で含有していても、2種以上を含有していてもよい。
キサンテン構造を有する化合物の含有量は、トナー粒子の全質量に対し、0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上3.5質量%以下であることがより好ましく、0.2質量%以上2.0質量%以下であることがさらに好ましい。
【0061】
-キナクリドン構造を有する化合物-
キナクリドン構造を有する化合物としては、蛍光強度の観点から、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
キナクリドン構造を有する化合物としては、マゼンタ顔料であることが好ましく、C.I.ピグメントレッド122が特に好ましい。
【0062】
キナクリドン構造を有する化合物は、1種単独で含有していても、2種以上を含有していてもよい。
キナクリドン構造を有する化合物の含有量は、トナー粒子の全質量に対し、0.005質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上1.5質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以上1.2質量%以下であることが更に好ましい。
【0063】
(結着樹脂)
結着樹脂としては、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α-メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2-エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オ
レフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。
これらの結着樹脂は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0064】
結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が好適である。
ポリエステル樹脂としては、例えば、公知のポリエステル樹脂が挙げられる。
【0065】
ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
【0066】
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、脂環式ジカルボン酸(例えばシクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。これらの中でも、多価カルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
多価カルボン酸としては、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0067】
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、脂環式ジオール(例えばシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香族ジオール(例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。これらの中でも、多価アルコールとしては、例えば、芳香族ジオール、脂環式ジオールが好ましく、より好ましくは芳香族ジオールである。
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0068】
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
【0069】
ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000以上1000000以下が好ましく、7000以上500000以下がより好ましい。
ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000以上100000以下が好ましい。
ポリエステル樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC-8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM-M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
【0070】
ポリエステル樹脂は、公知の製造方法により得られる。具体的には、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下とし、必要に応じて反応系内を減圧し、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる方法により得られる。
原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と重縮合させるとよい。
【0071】
結着樹脂の含有量は、トナー粒子全体に対して、40質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下が更に好ましい。
【0072】
(離型剤)
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
【0073】
離型剤の融解温度は、50℃以上110℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。
融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
【0074】
離型剤の含有量は、トナー粒子全体に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0075】
(その他の添加剤)
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の公知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
【0076】
(トナー粒子の特性等)
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。
コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂と必要に応じて着色剤及び離型剤等のその他添加剤とを含んで構成された芯部と、結着樹脂を含んで構成された被覆層と、で構成されていることがよい。
【0077】
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)は、2μm以上10μm以下が好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましい。
【0078】
トナー粒子の各種平均粒径、及び各種粒度分布指標は、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)を用い、電解液はISOTON-II(ベックマン・コールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5質量%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、数粒径D16p、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積数平均粒径D50p、累積84%となる粒径を体積粒径D84v、数粒径D84pと定義する。
これらを用いて、体積粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2、数粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2として算出される。
【0079】
トナー粒子の平均円形度は、0.94以上1.00以下が好ましく、0.95以上0.98以下がより好ましい。
【0080】
トナー粒子の平均円形度は、(円相当周囲長)/(周囲長)[(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)]により求められる。具体的には、次の方法で測定される値である。
まず、測定対象となるトナー粒子を吸引採取し、扁平な流れを形成させ、瞬時にストロボ発光させることにより静止画像として粒子像を取り込み、その粒子像を画像解析するフロー式粒子像解析装置(シスメックス社製のFPIA-3000)によって求める。そして、平均円形度を求める際のサンプリング数は3500個とする。
トナーが外添剤を有する場合、界面活性剤を含む水中に、測定対象となるトナー(現像剤)を分散させた後、超音波処理を行って外添剤を除去したトナー粒子を得る。
【0081】
[外添剤]
外添剤としては、例えば無機粒子が挙げられる。無機粒子として、SiO2、TiO2、Al2O3、CuO、ZnO、SnO2、CeO2、Fe2O3、MgO、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O・(TiO2)n、Al2O3・2SiO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4等が挙げられる。
【0082】
外添剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量は、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
【0083】
外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
【0084】
外添剤の外添量は、トナー粒子に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。
【0085】
-トナーの製造方法-
本開示に係るトナーセットを構成する蛍光トナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に外添剤を外添することで得られる。
【0086】
トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば、凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等)のいずれにより製造してもよい。これらの製法に特に制限はなく、公知の製法が採用される。これらの中でも、凝集合一法により、トナー粒子を得ることがよい。
【0087】
トナー粒子を凝集合一法により製造する場合、下記の製造方法が好ましい。
即ち、
結着樹脂となる樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散液を準備する工程(樹脂粒子分散液準備工程)と;
着色剤又は着色粒子が分散した着色剤分散液を準備する工程(着色剤分散液準備工程)と;
樹脂粒子分散液と着色剤分散液とを混合した混合分散液中で、混合した粒子を凝集させ、凝集粒子を形成する工程(凝集粒子形成工程)と;
凝集粒子が分散した凝集粒子分散液を加熱し、凝集粒子を融合・合一して、トナー粒子を形成する工程(融合・合一工程)と;を有する製造方法である。
なお、必要に応じて、離型剤粒子が分散した離型剤粒子分散液を準備する工程(離型剤粒子分散液準備工程)を含んでいてもよい。
【0088】
以下、各工程の詳細について説明する。
【0089】
-樹脂粒子分散液準備工程-
樹脂粒子分散液は、例えば、樹脂粒子を界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。
【0090】
樹脂粒子分散液に用いる分散媒としては、例えば水系媒体が挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0091】
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0092】
樹脂粒子分散液において、樹脂粒子を分散媒に分散する方法としては、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル等の一般的な分散方法が挙げられる。また、樹脂粒子の種類によっては、転相乳化法によって分散媒に樹脂粒子を分散させてもよい。転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて中和したのち、水系媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの転相を行い、樹脂を水系
媒体中に粒子状に分散する方法である。
【0093】
樹脂粒子分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径としては、例えば0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.08μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.1μm以上0.6μm以下が更に好ましい。樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製LA-700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして測定される。なお、他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
【0094】
樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子の含有量は、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
【0095】
-離型剤粒子分散液準備工程-
離型剤粒子分散液の調製方法は、樹脂粒子分散液と同様である。
離型剤粒子分散液に含まれる離型剤粒子の含有量は、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
【0096】
-着色剤分散液準備工程-
着色剤が顔料(蛍光顔料、非蛍光顔料を含む)であれば、着色剤分散液は、例えば、その顔料(着色剤)を界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。
また、着色剤が染料(蛍光染料、非蛍光染料を含む)であれば、着色剤分散液は、例えば、その染料で着色された着色粒子を界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。
ここで、着色粒子は、染料と共に樹脂を含む、例えば、染料を樹脂と加熱混合した後、混合物を粉砕することで得られる。
混合物の粉砕には、バンバリーミキサー、ジェットミル等の公知の粉砕機が用いられ、複数の粉砕機を組み合わせてもよい。
【0097】
着色剤分散液に用いる分散媒としては、例えば水系媒体が挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0098】
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0099】
着色剤又は着色粒子を分散媒に分散する方法としては、例えば、回転せん断型ホモジナイザー、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル、キーミル等を用いた分散方法が挙げられる。
【0100】
着色剤分散液中に分散する着色剤又は着色粒子の体積平均粒径としては、例えば、50nm以上800nm以下が好ましく、150nm以上600nm以下がより好ましく、250nm以上400nm以下が更に好ましい。着色剤又は着色粒子の粒径は、例えば、分散処理の方法及び時間によって調整される。
【0101】
着色剤分散液に含まれる着色剤又は着色粒子の含有量は、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
【0102】
-凝集粒子形成工程-
樹脂粒子分散液と凝集誘起発光性色材分散液と、更に、必要に応じて、非蛍光有機顔料分散液と離型剤粒子分散液とを混合する。そして、混合分散液中で、樹脂粒子と凝集誘起発光性色材と、必要に応じて、非蛍光顔料と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ目的とするトナー粒子の径に近い径を持つ凝集粒子を形成する。
【0103】
具体的には、例えば、混合分散液に凝集剤を添加すると共に、混合分散液のpHを酸性(例えばpH2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後、樹脂粒子のガラス転移温度に近い温度(具体的には、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度-30℃以上ガラス転移温度-10℃以下)に加熱し、混合分散液に分散した粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する。
凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温(例えば25℃)で凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpH2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、加熱を行ってもよい。
【0104】
凝集剤としては、例えば、混合分散液に含まれる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩、2価以上の金属錯体が挙げられる。凝集剤として金属錯体を用いた場合には、界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上する。
凝集剤と共に、該凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
【0105】
無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩;ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体;などが挙げられる。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸;イミノ二酸酢(IDA)、ニ
トリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のアミノカルボン酸;などが挙げられる。
キレート剤の添加量は、樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上3.0質量部未満がより好ましい。
【0106】
-融合・合一工程-
次に、凝集粒子が分散した凝集粒子分散液を、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば樹脂粒子のガラス転移温度より10℃から30℃高い温度)に加熱して、凝集粒子を融合・合一し、トナー粒子を形成する。
【0107】
以上の工程を経て、トナー粒子が得られる。
凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後、当該凝集粒子分散液と、樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液とをさらに混合し、凝集粒子の表面にさらに樹脂粒子を付着するように凝集して、第2凝集粒子を形成する工程と、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱をし、第2凝集粒子を融合・合一して、コア・シェル構造のトナー粒子を形成する工程と、を経て、トナー粒子を製造してもよい。
【0108】
融合・合一工程終了後、分散液中のトナー粒子に、公知の洗浄工程、固液分離工程、及び乾燥工程を施して乾燥した状態のトナー粒子を得る。洗浄工程は、帯電性の観点から、イオン交換水による置換洗浄を充分に施すことがよい。固液分離工程は、生産性の観点から、吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。乾燥工程は、生産性の観点から、凍結乾燥、気流乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
【0109】
蛍光トナーは、例えば、得られた乾燥状態のトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー等によって行うことがよい。更に、必要に応じて、振動篩分機、風力篩分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
【0110】
<静電荷像現像剤セット>
本開示に係る静電荷像現像剤セットは、本開示に係るトナーセットの、前記シアントナー、前記マゼンタトナー、前記イエロートナー、前記ブラックトナー、前記蛍光トナーTA、及び前記蛍光トナーTBをそれぞれ別々に含む第1乃至第6静電荷像現像剤を有する。
各静電荷像現像剤は、トナーを含む一成分現像剤であってもよいし、トナーとキャリアとを混合した二成分現像剤であってもよい。
【0111】
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散して配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;などが挙げられる。
磁性粉分散型キャリア及び樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、この表面を樹脂で被覆したキャリアであってもよい。
【0112】
磁性粉としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属;フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物;などが挙げられる。
【0113】
被覆用の樹脂及びマトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、スチレンアクリル酸エステル共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボ
ネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。被覆用の樹脂及びマトリックス樹脂には、導電性粒子等、その他添加剤を含ませてもよい。導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粒子が挙げられる。
【0114】
芯材の表面を樹脂で被覆するには、被覆用の樹脂、及び各種添加剤(必要に応じて使用する)を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する樹脂の種類や、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法;被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法;芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法;ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、その後に溶剤を除去するニーダーコーター法;等が挙げられる。
【0115】
二成分現像剤におけるトナーとキャリアとの混合比(質量比)は、蛍光トナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
【0116】
<画像形成装置/画像形成方法>
本開示に係る画像形成装置/画像形成方法について説明する。
本開示に係る画像形成装置は、本開示に係るトナーセットの、前記シアントナー、前記マゼンタトナー、前記イエロートナー、前記ブラックトナー、前記蛍光トナーTA、及び前記蛍光トナーTBのそれぞれによる第1乃至第6画像を形成する第1乃至第6画像形成手段と、前記第1乃至第6画像を記録媒体上に転写する転写手段と、前記第1乃至第6画像を前記記録媒体上に定着する定着手段と、を備える。
本開示に係る画像形成装置は、第1乃至第6画像形成手段として、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤により像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、を各々有する各画像形成手段を備える形態であってもよい。
また、本開示に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、第1乃至第6画像形成手段として、静電荷像現像剤により像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する第1乃至第6現像手段と、を有する形態であってもよい。
【0117】
本開示に係る画像形成装置では、本開示に係るトナーセットが含む、前記シアントナー、前記マゼンタトナー、前記イエロートナー、前記ブラックトナー、前記蛍光トナーTA、及び前記蛍光トナーTBのそれぞれによる第1乃至第6画像を形成する第1乃至第6画像形成工程と、前記第1乃至第6画像を記録媒体上に転写する転写工程と、前記第1乃至第6画像を前記記録媒体上に定着する定着工程と、を有する画像形成方法(本開示に係る画像形成方法)が実施される。
【0118】
本開示に係る画像形成装置は、像保持体の表面に形成されたトナー画像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー画像の転写後、帯電前の像保持体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー画像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー画像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
【0119】
以下、本開示に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。以下の説明においては、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0120】
以下の説明においては、本開示に係る画像形成装置の一例として、画像形成ユニットを6つ並べた6連タンデム型画像形成装置を説明する。
【0121】
図1は、本開示に係る画像形成装置を示す概略構成図であり、6連タンデム方式且つ中間転写方式の画像形成装置を示す図である。
図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づく、ピンク(P)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、グリーン(G)の各色の画像を出力する電子写真方式の画像形成手段である第1乃至第6の画像形成ユニット10P、10Y、10M、10C、10K、10Gを備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10P、10Y、10M、10C、10K、10Gは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。これらユニット10P、10Y、10M、10C、10K、10Gは、画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジであってもよい。
【0122】
各ユニット10P、10Y、10M、10C、10K、10Gの下方には、各ユニットを通して中間転写ベルト(中間転写体の一例)20が延設されている。中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20の内面に接する、駆動ロール22、支持ロール23、及び対向ロール24に巻きつけて設けられ、第1ユニット10Pから第6ユニット10Gに向う方向に走行するようになっている。中間転写ベルト20の像保持面側には、駆動ロール22と対向して中間転写体クリーニング装置21が備えられている。
【0123】
各ユニット10P、10Y、10M、10C、10K、10Gの現像装置(現像手段の一例)4P、4Y、4M、4C、4K、4Gのそれぞれには、トナーカートリッジ8P、8Y、8M、8C、8K、8Gに収められたピンク、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、グリーンの各トナーの供給がなされる。
ここで、グリーンのトナーとして、既述の蛍光トナーTAが適用され、ピンクのトナーとして、既述の蛍光トナーTBが提供される。
【0124】
第1乃至第6のユニット10P、10Y、10M、10C、10K、10Gは、同等の構成及び動作を有しているため、ここではグリーンの画像を形成する第6ユニット10Gについて代表して説明する。
【0125】
第6ユニット10Gは、像保持体として作用する感光体1Gを有している。感光体1Gの周囲には、感光体1Gの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ロール(帯電手段の一例)2G、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線によって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段の一例)3G、静電荷像にトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段の一例)4G、現像したトナー画像を中間転写ベルト20上に転写する一次転写ロール(一次転写手段の一例)5G、及び一次転写後に感光体1Gの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)6Gが順に配置されている。
【0126】
一次転写ロール5Gは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Gに対向した位置に設けられている。各ユニットの一次転写ロール5Y、5P、5M、5C、5G、5Kには、一次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各一次転写ロールに印加する転写バイアスの値を変える。
【0127】
以下、第6ユニット10Gにおいてグリーンの画像を形成する動作について説明する。
まず、動作に先立って、帯電ロール2Gによって感光体1Gの表面が-600V乃至-800Vの電位に帯電される。
感光体1Gは、導電性(例えば20℃における体積抵抗率1×10-6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂の抵抗)であるが、レーザ光線が照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Gの表面に、図示しない制御部から送られてくるグリーンの画像データに従って、露光装置3Gからレーザ光線を照射する。それにより、グリーンの画像パターンの静電荷像が感光体1Gの表面に形成される。
【0128】
静電荷像とは、帯電によって感光体1Gの表面に形成される像であり、露光装置3Gからのレーザ光線によって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Gの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線が照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
感光体1G上に形成された静電荷像は、感光体1Gの走行に従って予め定められた現像位置まで回転する。そして、この現像位置で、感光体1G上の静電荷像が、現像装置4Gによってトナー画像として現像され可視化される。
【0129】
現像装置4G内には、例えば、少なくともグリーントナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤が収容されている。グリーントナーは、現像装置4Gの内部で撹拌されることで摩擦帯電し、感光体1G上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体の一例)上に保持されている。そして、感光体1Gの表面が現像装置4Gを通過していくことにより、感光体1G表面上の除電された潜像部にグリーントナーが静電的に付着し、潜像がグリーントナーによって現像される。グリーンのトナー画像が形成された感光体1Gは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1G上に現像されたトナー画像が予め定められた一次転写位置へ搬送される。
【0130】
感光体1G上のグリーンのトナー画像が一次転写位置へ搬送されると、一次転写ロール5Gに一次転写バイアスが印加され、感光体1Gから一次転写ロール5Gに向う静電気力がトナー画像に作用し、感光体1G上のトナー画像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と逆極性の(+)極性であり、第1ユニット10Gでは制御部(図示せず)によって例えば+10μAに制御されている。
【0131】
トナー画像を中間転写ベルト20に転写した後の感光体1Gは、回転を続け、感光体クリーニング装置6Gが備えるクリーニングブレードと接触する。感光体1G上に残留したトナーは、感光体クリーニング装置6Gで除去されて回収される。
【0132】
中間転写ベルト20は、第1乃至第6の画像形成ユニット10P、10Y、10M、10C、10K、10Gを通して順次搬送され、各色のトナー画像が重ねられて多重転写される。
【0133】
第1乃至第6のユニットを通して6色のトナー画像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と、中間転写ベルトの内面に接する対向ロール24と、中間転写ベルト20の像保持面側に配置された二次転写ロール(二次転写手段の一例)26とから構成された二次転写部へと至る。一方、記録紙(記録媒体の一例)Pが供給機構を介して二次転写ロール26と中間転写ベルト20とが接触した隙間に予め定められたタイミン
グで給紙され、二次転写バイアスが対向ロール24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と同極性の(-)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー画像に作用し、中間転写ベルト20上のトナー画像が記録紙P上に転写される。この際の二次転写バイアスは二次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
【0134】
トナー画像を記録紙Pに転写した後の中間転写ベルト20は、走行を続け、中間転写体クリーニング装置21が備えるクリーニングブレードと接触する。中間転写ベルト20上に残留したトナーは、中間転写体クリーニング装置21で除去されて回収される。
【0135】
トナー画像が転写された記録紙Pは定着装置(定着手段の一例)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれ、トナー画像が記録紙P上へ定着され、定着画像が形成される。
【0136】
トナー画像を転写する記録紙Pとしては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙が挙げられる。記録媒体としては、記録紙P以外にも、OHPシート等も挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録紙Pの表面も平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等が好適に使用される。
【0137】
カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
【0138】
<プロセスカートリッジ/トナーカートリッジセット>
本開示に係るプロセスカートリッジについて説明する。
本開示に係るプロセスカートリッジは、本開示に係る静電荷像現像剤セットの第1乃至第6静電荷像現像剤をそれぞれ別々に含む第1乃至第6現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
【0139】
なお、本開示に係るプロセスカートリッジは、前記構成に限られず、現像手段と、その他、必要に応じて、例えば、像保持体、帯電手段、静電荷像形成手段、及び転写手段等のその他手段から選択される少なくとも一つと、を備える構成であってもよい。
【0140】
以下、本開示に係るプロセスカートリッジの一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0141】
図2は、本開示に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
図2に示すプロセスカートリッジ200は、例えば、取り付けレール116及び露光のための開口部118が備えられた筐体117により、感光体107(像保持体の一例)と、感光体107の周囲に備えられた帯電ロール108(帯電手段の一例)、現像装置111(現像手段の一例)、及び感光体クリーニング装置113(クリーニング手段の一例)を一体的に組み合わせて保持して構成し、カートリッジ化されている。
図2中、109は露光装置(静電荷像形成手段の一例)、112は転写装置(転写手段の一例)、115は定着装置(定着手段の一例)、300は記録紙(記録媒体の一例)を示している。
【0142】
次に、本開示に係るトナーカートリッジセットについて説明する。
本開示に係るトナーカートリッジセットは、本開示に係るトナーセットの、前記シアントナー、前記マゼンタトナー、前記イエロートナー、前記ブラックトナー、前記蛍光トナーTA、及び前記蛍光トナーTBをそれぞれ別々に含む第1乃至第6トナーカートリッジを有し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジセットである。
各トナーカートリッジは、画像形成装置内に設けられた各々の現像手段に供給するための補給用のトナーを収容するものである。
【0143】
図1に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8P、8M、8C、8G、8Kが着脱される構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4P、4M、4C、4G、4Kは、各々の色に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収容されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジが交換される。本開示に係るトナーカートリッジの一例が、トナーカートリッジ8Gであり、本開示に係るトナーセットが収容されている。トナーカートリッジ8P、8Y、8M、8C、8Kにはそれぞれ、ピンク、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナーが収容されている。
【0144】
<印刷物>
本開示に係る印刷物は、記録媒体と、本開示に係るトナーセットの、前記シアントナー、前記マゼンタトナー、前記イエロートナー、前記ブラックトナー、前記蛍光トナーTA、及び前記蛍光トナーTBのそれぞれによる第1乃至第6画像を有する。
本開示に係る印刷物は、既述の、本開示に係る画像形成装置又は画像形成方法により得られる。
本開示に係る印刷物は、記録媒体の表面に、第1乃至第6画像を有していればよく、更に、それ以外の色による画像を有していてもよい。
また、本開示に係る印刷物における記録媒体は、既述のように、記録紙Pであってもよいし、OHPシート等であってもよい。
【実施例0145】
以下、実施例により発明の実施形態を詳細に説明するが、発明の実施形態は、これら実施例に限定されるものではない。
以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
合成、処理、製造などは、特に断りのない限り、室温(25℃±3℃)で行った。
【0146】
〔蛍光グリーントナー1及びこれを用いた現像剤の製造〕
<着色剤粒子分散液(1)の調製>
・蛍光顔料PY101(C.I.ピグメントイエロー101(Radiant Color社製、Radglo VSF-0-01)):70部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):30部(固形分濃度20%)
・イオン交換水:200部
上記成分を混合し、連続式キーミル(KMC-3)で0.3μmまで粉砕し、固形分量を20質量%に調整し、着色剤粒子分散液(1)を得た。
【0147】
<着色剤粒子分散液(2)の調製>
・非蛍光顔料PG36(C.I.ピグメントグリーン36(トーヨーカラー(株)製、LIONOL GREEN 8624)):70部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):30部(固形分濃度20%)
・イオン交換水:200部
上記成分を混合し、連続式キーミル(KMC-3)で0.15μmまで粉砕し、固形分量を20質量%に調整し、着色剤粒子分散液(2)を得た。
【0148】
<樹脂粒子分散液(1)の調製>
・テレフタル酸:30モル部
・フマル酸:70モル部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物:5モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物:95モル部
撹拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えたフラスコに、上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を220℃まで上げ、上記材料100部に対してチタンテトラエトキシド1部を投入した。生成する水を留去しながら30分間かけて230℃まで温度を上げ、前記温度で1時間脱水縮合反応を継続した後、反応物を冷却した。こうして、重量平均分子量18,000、ガラス転移温度60℃のポリエステル樹脂を得た。
温度調節手段及び窒素置換手段を備えた容器に、酢酸エチル40部及び2-ブタノール25部を投入し、混合溶剤とした後、ポリエステル樹脂100部を徐々に投入し溶解させ、ここに、10質量%アンモニア水溶液(樹脂の酸価に対してモル比で3倍量相当量)を入れて30分間撹拌した。次いで、容器内を乾燥窒素で置換し、温度を40℃に保持して、混合液を撹拌しながらイオン交換水400部を2部/分の速度で滴下した。滴下終了後、室温(20℃乃至25℃)に戻し、撹拌しつつ乾燥窒素により48時間バブリングを行うことにより、酢酸エチル及び2-ブタノールを1,000ppm以下まで低減させた樹脂粒子分散液を得た。前記樹脂粒子分散液にイオン交換水を加え、固形分量を20質量%に調整し、樹脂粒子分散液(1)を得た。
【0149】
<離型剤粒子分散液(1)の調製>
・パラフィンワックス(日本精蝋(株)製、HNP-9):100部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):1部
・イオン交換水:350部
上記の材料を混合して100℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社、商品名ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社)で分散処理し、体積平均粒径200nmの離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液(1)(固形分量20質量%)を得た。
【0150】
<トナー粒子(1)の作製>
・樹脂粒子分散液(1):340部
・着色剤粒子分散液(1):52部
・着色剤粒子分散液(2):23部
・離型剤粒子分散液(1):50部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK、20%):10部
上記の材料を丸型ステンレス製フラスコに入れ、0.1N(=mol/L)の硝酸を添加してpHを3.5に調整した後、ポリ塩化アルミニウム濃度が10質量%の硝酸水溶液30部を添加した。次いで、ホモジナイザー(IKA社製、商品名ウルトラタラックスT50)を用いて液温30℃において分散した後、加熱用オイルバス中で45℃まで加熱し30分間保持した。その後、樹脂粒子分散液(1)50部を追加し1時間保持し、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを8.5に調整した後、84℃まで加熱し2.5時間保持した。次いで、20℃/分の速度で20℃まで冷却し、固形分を濾別し、イオン交換水で充分に洗浄し、乾燥させることによりトナー粒子(1)を得た。トナー粒子(1)の体積平均粒径は5.8μmであった。
【0151】
<キャリア1の作製>
・フェライト粒子(平均粒径35μm):100部
・トルエン:14部
・ポリメチルメタクリレート(MMA、重量平均分子量75,000):5部
・カーボンブラック:0.2部(VXC-72、キャボット社製、体積抵抗率:100Ωcm以下)
フェライト粒子を除く上記材料をサンドミルにて分散して分散液を調製し、この分散液をフェライト粒子とともに真空脱気型ニーダに入れ、撹拌しながら減圧し乾燥させることによりキャリア1を得た。
【0152】
<トナーの作製>
得られたトナー粒子(1)100質量部に対して疎水性シリカ(日本アエロジル(株)製、RY50)を1.5質量部と疎水性酸化チタン(日本アエロジル(株)製、T805)を1.0質量部とを、サンプルミルを用いて10,000rpm(revolutions per minute)で30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、蛍光グリーントナー1を調製した。得られた蛍光グリーントナー1の体積平均粒径は、5.8μmであった。
【0153】
<静電荷像現像剤の作製>
蛍光グリーントナー1:8部とキャリア1:92部とをVブレンダーにて混合し、現像剤(静電荷像現像剤)を作製した。
【0154】
〔蛍光グリーントナー2~6、グリーントナー、及びこれらを用いた現像剤の製造〕
着色剤粒子分散液の種類を下記表1に記載のものに適宜変更し、また、それらの使用量を適宜変更した以外は、トナー粒子(1)の作製と同様にして、トナー粒子を作製した。
また、得られたトナー粒子を用い、蛍光グリーントナー1と同様にして、トナーを作製し、更に、得られたトナーを用いて、現像剤を得た。
表1中に記載の着色剤粒子分散液(3)及び(4)は、以下のとおりである。
【0155】
<着色剤粒子分散液(3)の調製>
・非蛍光顔料PG7(C.I.ピグメントグリーン7(トーヨーカラー(株)製、LIONOL GREEN 8948)):70部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):30部(固形分濃度20%)
・イオン交換水:200部
上記成分を混合し、連続式キーミル(KMC-3)で0.16μmまで粉砕し、固形分量を20質量%に調整し、着色剤粒子分散液(3)を得た。
【0156】
<<着色剤粒子分散液(4)の調製>
・非蛍光顔料PY74(C.I.ピグメントイエロー74(クラリアント社製 HANSA BRILLIANT YELLOW 5GX 03)):70部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):30部(固形分濃度20%)
・イオン交換水:200部
上記成分を混合し、連続式キーミル(KMC-3)で0.14μmまで粉砕し、固形分量を20質量%に調整し、着色剤粒子分散液(4)を得た。
【0157】
〔蛍光ピンクトナー1及びこれを用いた現像剤の製造〕
<着色剤粒子分散液(5)の作製>
・蛍光染料BR1:1(C.I.ベーシックレッド1:1(BASF社製 Basonyl Red 485):2部
・非晶性ポリエステル樹脂(重量平均分子量13,000、ガラス転移温度62℃):100部
上記の材料を加熱混合し、樹脂に染料を練りこんだ。混練物の圧延を行い、30℃以下まで冷却した。得られた混練物をハンマーミルで1mm以下に粗粉砕し、ジェットミル(AFG、ホソカワミクロン(株))で微粉砕した。微粉砕して得た粒子と、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬株式会社、ネオゲンRK)30部(固形分20%)と、イオン交換水200部と、を混合し、連続式キーミル(KMC-3、株式会社井上製作所)で体積平均粒径200nmまで粉砕した。固形分量を20質量%に調整し、着色剤粒子分散液(5)を得た。
【0158】
<着色剤粒子分散液(6)の調製>
・非蛍光顔料PR122(C.I.ピグメントレッド122(DIC社製 FASTOGEN SUPER MAGENTA R)):70部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):30部
・イオン交換水:200部
上記の材料を混合し、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)を用いて10分間分散した。分散液中の固形分量が20質量%となるようイオン交換水を加え、体積平均粒径140nmの着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液(6)を得た。
【0159】
<トナー粒子(2)の作製>
・樹脂粒子分散液(1):170部
・着色剤粒子分散液(5):170部
・着色剤粒子分散液(6):2部
・離型剤粒子分散液(1):50部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK、20%):10部
上記の材料を丸型ステンレス製フラスコに入れ、0.1N(=mol/L)の硝酸を添加してpHを3.5に調整した後、ポリ塩化アルミニウム濃度が10質量%の硝酸水溶液30部を添加した。次いで、ホモジナイザー(IKA社製、商品名ウルトラタラックスT50)を用いて液温30℃において分散した後、加熱用オイルバス中で45℃まで加熱し30分間保持した。その後、樹脂粒子分散液(1)50部を追加し1時間保持し、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを8.5に調整した後、84℃まで加熱し2.5時間保持した。次いで、20℃/分の速度で20℃まで冷却し、固形分を濾別し、イオン交換水で充分に洗浄し、乾燥させることによりトナー粒子(2)を得た。トナー粒子(2)の体積平均粒径は5.7μmであった。
【0160】
<トナー及び現像剤の作製>
得られたトナー粒子(2)を用いた以外は、蛍光グリーントナー1と同様にして、蛍光ピンクトナー1を作製し、更に、得られた蛍光ピンクトナー1を用いて、現像剤を得た。
【0161】
〔蛍光ピンクトナー2~6、ピンクトナー、及びこれらを用いた現像剤の製造〕
着色剤粒子分散液の種類を下記表1に記載のものに適宜変更し、また、それらの使用量を適宜変更した以外は、トナー粒子(2)の作製と同様にして、トナー粒子を作製した。
また、得られたトナー粒子を用い、蛍光ピンクトナー1と同様にして、トナーを作製し、更に、得られたトナーを用いて、現像剤を得た。
表1中に記載の着色剤粒子分散液(7)及び(8)は、以下のとおりである。
【0162】
<着色剤粒子分散液(7)の調製>
・蛍光染料BV11:1(C.I.ベーシックバイオレット11:1(BASF社製 Basonyl Red 560):2部
・非晶性ポリエステル樹脂(重量平均分子量13,000、ガラス転移温度62℃):100部
上記の材料を加熱混合し、樹脂に染料を練りこんだ。混練物の圧延を行い、30℃以下まで冷却した。得られた混練物をハンマーミルで1mm以下に粗粉砕し、ジェットミル(AFG、ホソカワミクロン株式会社)で微粉砕した。微粉砕して得た粒子と、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬株式会社、ネオゲンRK)30部(固形分20%)とイオン交換水200部とを混合し、連続式キーミル(KMC-3、株式会社井上製作所)で体積平均粒径200nmまで粉砕した。固形分量を20質量%に調整し、着色剤粒子分散液(7)を得た。
【0163】
<着色剤粒子分散液(8)の調製>
・非蛍光顔料PR185(C.I.ピグメントレッド185(クラリアント社製 NOVOPERM CARMINE HF4C):70部
・非蛍光顔料PR122(C.I.ピグメントレッド122(DIC社製 FASTOGEN SUPER MAGENTA R)):70部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):30部
・イオン交換水:200部
上記の材料を混合し、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)を用いて10分間分散した。分散液中の固形分量が20質量%となるようイオン交換水を加え、体積平均粒径140nmの着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液(8)を得た。
【0164】
[実施例1~実施例10、比較例1~比較例2]
上述のようにして得られたトナー及び現像剤を、表1に示すように組み合わせてトナーセットを得た。
なお、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、及びブラックトナーとしては、市販の各色のトナーを使用した。
【0165】
〔評価〕
(粒状性の評価)
蛍光ピンクトナーと蛍光グリーントナーとを重ねた画像の画像面積率を変化させてL*=90(極ハイライト領域)、L*=80(ハイライト領域)に制御した5cm×5cmのパッチのハーフトーン画像を出力して評価用画像を作成し、カラーノイズにて粒状性の評価を行った。
ここで、カラーノイズは粒状性を示す指標として用いられる。これは、カラー画像をスキャナで撮像してスキャナRGB信号に変換し、均等色空間(CIELAB)の明度・彩度・色相に分解する。次に、二次元色空間を二次元周波数孤空間に変換する。二次元周波数空間において、VTF(Visual Transfer Function)を乗算する。VTF処理された二次元周波数空間の振幅を周波数毎に周回積分を行い、カラーノイズベクトルを算出する。求めたカラーノイズベクトルからの主観との予想モデルでカラーノイズ値(CN値)を算出する。カラーノイズ値が大きい程ノイズが多く、粒状性が悪いという評価になる。
-評価基準-
・AA:CN指標の値が、1.2以下である。
・A:CN指標の値が、1.2を超え2.0以下である。
・B:CN指標の値が、2.0を超え2.5以下である。
・C:CN指標の値が、2.5を超え3.0以下である。
・D:CN指標の値が、3.0を超える。
【0166】
(2)グレーの色調
蛍光ピンクトナーと蛍光グリーントナーとを重ねた画像の画像面積率を変化させてL
*=90(極ハイライト領域)、L
*=80(ハイライト領域)に制御した5cm×5cmのパッチのハーフトーン画像を出力して評価用画像を作成し、グレーの色調の評価を行った。
ハーフトーン画像について、既述の方法で彩度(C
*)を求め、以下の基準に沿って評価した。
-評価基準-
・AA:彩度の値が、2以下である。
・A:彩度の値が、2を超え、3以下である。
・B:彩度の値が、3を超え、4以下である。
・C:彩度の値が、4を超える。
【表1】
【0167】
表1によれば、本実施例のトナーセットによれば、粒状性及びグレーの色調に優れた画像が得らえることが分かる。
【0168】
<実機による画像形成>
電子写真方式かつ中間転写方式の6連タンデム型画像形成装置を用意した。6個の現像器それぞれに、ピンク色の現像剤(実施例1で使用した蛍光ピンクトナー1を含む現像剤)、イエロー色の現像剤、マゼンタ色の現像剤、シアン色の現像剤、ブラック色の現像剤、グリーン色の現像剤(蛍光グリーン現像剤(実施例1で使用した蛍光グリーントナー1を含む現像剤))を充填した。そして、RGBデータを上記6色に色分解した画像データに基づいて、A4サイズのコート紙に画像を形成した。もとのRGBデータに近い色再現性のよい画像が得られた。
【0169】
以下に、本開示における好ましい態様について付記する。
(((1))) シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、ブラックトナー、色相角度が125度以上165度以下の蛍光トナーTA、及び色相角度が-25度以上15度以下の蛍光トナーTBを含み、
前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの色相角度の差が135度以上である、トナーセット。
(((2))) 前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの色相角度の差が145度以上180度以下である、(((1)))に記載のトナーセット。
(((3))) 前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの色相角度の差が160度以上180度以下である、(((2)))に記載のトナーセット。
(((4))) 前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの彩度の差が30以下である、(((1)))に記載のトナーセット。
(((5))) 前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの明度の差が20以下である、(((1)))に記載のトナーセット。
(((6))) 前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの彩度の差が30以下であり、前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの明度の差が20以下である、(((1)))に記載のトナーセット。
(((7))) 前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの色相角度の差が145度以上180度以下であり、前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの彩度の差が30以下であり、前記蛍光トナーTAと前記蛍光トナーTBとの明度の差が20以下である、(((1)))に記載のトナーセット。
(((8))) 前記蛍光トナーTA及び前記蛍光トナーTBの蛍光強度が5%以上である、(((1)))に記載のトナーセット。
【0170】
(((9))) (((1)))~(((8)))のいずれか1つに記載のトナーセットの、前記シアントナー、前記マゼンタトナー、前記イエロートナー、前記ブラックトナー、前記蛍光トナーTA、及び前記蛍光トナーTBをそれぞれ別々に含む第1乃至第6静電荷像現像剤を有する静電荷像現像剤セット。
(((10))) (((1)))~(((8)))のいずれか1つに記載のトナーセットの、前記シアントナー、前記マゼンタトナー、前記イエロートナー、前記ブラックトナー、前記蛍光トナーTA、及び前記蛍光トナーTBをそれぞれ別々に含む第1乃至第6トナーカートリッジを有し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジセット。
(((11))) (((9)))に記載の静電荷像現像剤セットの第1乃至第6静電荷像現像剤をそれぞれ別々に含む第1乃至第6現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
(((12))) (((1)))~(((8)))のいずれか1つに記載のトナーセットの、前記シアントナー、前記マゼンタトナー、前記イエロートナー、前記ブラックトナー、前記蛍光トナーTA、及び前記蛍光トナーTBのそれぞれによる第1乃至第6画像を形成する第1乃至第6画像形成手段と、
前記第1乃至第6画像を記録媒体上に転写する転写手段と、
前記第1乃至第6画像を前記記録媒体上に定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
(((13))) (((1)))~(((8)))のいずれか1つに記載のトナーセットが含む、前記シアントナー、前記マゼンタトナー、前記イエロートナー、前記ブラックトナー、前記蛍光トナーTA、及び前記蛍光トナーTBのそれぞれによる第1乃至第6画像を形成する第1乃至第6画像形成工程と、
前記第1乃至第6画像を記録媒体上に転写する転写工程と、
前記第1乃至第6画像を前記記録媒体上に定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
(((14))) 記録媒体と、(((1)))~(((8)))のいずれか1つに記載のトナーセットの、前記シアントナー、前記マゼンタトナー、前記イエロートナー、前記ブラックトナー、前記蛍光トナーTA、及び前記蛍光トナーTBのそれぞれによる第1乃至第6画像を有する、印刷物。
【0171】
(((1)))に係る発明によれば、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、ブラックトナー、色相角度が125度以上165度以下の蛍光トナーTA、及び色相角度が-25度以上15度以下の蛍光トナーTBを含み、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの色相角度の差が135度未満である場合に比べ、粒状性及びグレーの色調に優れる画像を形成しうるトナーセットが提供される。
(((2)))又は(((7)))に係る発明によれば、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの色相角度の差が145度未満である場合に比べ、粒状性及びグレーの色調に優れる画像を形成しうるトナーセットが提供される。
(((3)))に係る発明によれば、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの色相角度の差が160度未満である場合に比べ、粒状性及びグレーの色調に優れる画像を形成しうるトナーセットが提供される。
(((4)))、(((6)))、又は(((7)))に係る発明によれば、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの彩度の差が30超である場合に比べ、粒状性に優れる画像を形成しうるトナーセットが提供される。
(((5)))、(((6)))、又は(((7)))に係る発明によれば、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの明度の差が20超である場合に比べ、粒状性に優れる画像を形成しうるトナーセットが提供される。
(((8)))に係る発明によれば、蛍光トナーTA及び蛍光トナーTBの蛍光強度が5%未満である場合に比べ、粒状体に優れる画像を形成しうるトナーセットが提供される。
【0172】
(((9)))、(((10)))、(((11)))、(((12)))、又は(((13)))に係る発明によれば、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、ブラックトナー、色相角度が125度以上165度以下の蛍光トナーTA、及び色相角度が-25度以上15度以下の蛍光トナーTBを含み、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの色相角度の差が135度未満である場合に比べ、粒状性及びグレーの色調に優れる画像を形成しうるトナーセットを適用した静電荷像現像剤セット、トナーカートリッジセット、プロセスカートリッジ、画像形成装置、又は画像形成方法が提供される。
(((14)))に係る発明によれば、シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、ブラックトナー、色相角度が125度以上165度以下の蛍光トナーTA、及び色相角度が-25度以上15度以下の蛍光トナーTBを含み、蛍光トナーTAと蛍光トナーTBとの色相角度の差が135度未満であるトナーセットを用いた場合に比べ、粒状性及びグレーの色調に優れる画像を有する印刷物が提供される。