(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142166
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】エンジンシステム
(51)【国際特許分類】
F01N 9/00 20060101AFI20241003BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20241003BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20241003BHJP
F02M 26/15 20160101ALI20241003BHJP
F02M 26/35 20160101ALI20241003BHJP
【FI】
F01N9/00
F01N3/08 A
F01N3/24 L
F01N3/24 S
F02M26/15
F02M26/35 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054204
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 康吉
【テーマコード(参考)】
3G062
3G091
【Fターム(参考)】
3G062ED09
3G062ED11
3G062GA06
3G091AA02
3G091AB03
3G091BA20
3G091CA03
3G091CA26
3G091DB10
3G091EA01
3G091HA19
3G091HB05
(57)【要約】
【課題】エンジンの排気系統で発生するアンモニアを活用して、エンジンのノッキングを適切に抑制する。
【解決手段】エンジンシステムは、エンジンに接続される排気流路に設けられる三元触媒と、三元触媒から排出されたアンモニアを、エンジンに接続される吸気流路に還流するアンモニア還流路と、アンモニア還流路に設けられるアンモニア吸着部と、制御装置と、を備え、制御装置は、エンジンが高負荷状態であるか否かを判定する判定処理と、エンジンが高負荷状態ではない場合、三元触媒から排出されたアンモニアをアンモニア吸着部に吸着させる吸着処理と、エンジンが高負荷状態である場合、アンモニア吸着部からアンモニアを脱離させ、三元触媒から排出された排気ガスをアンモニア還流路に流し、アンモニアを吸気流路に還流させる脱離処理と、を含む処理を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンに接続される吸気流路と、
前記エンジンに接続される排気流路と、
前記排気流路に設けられる三元触媒と、
前記三元触媒から排出されたアンモニアを前記吸気流路に還流するアンモニア還流路と、
前記アンモニア還流路に設けられ、前記アンモニアを吸着するアンモニア吸着部と、
制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
1つまたは複数のプロセッサと、
前記プロセッサに接続される1つまたは複数のメモリと、
を有し、
前記プロセッサは、
前記エンジンが高負荷状態であるか否かを判定する判定処理と、
前記エンジンが前記高負荷状態ではない場合、前記三元触媒から排出された前記アンモニアを前記アンモニア吸着部に吸着させる吸着処理と、
前記エンジンが前記高負荷状態である場合、前記アンモニア吸着部から前記アンモニアを脱離させ、前記三元触媒から排出された排気ガスを前記アンモニア還流路に流し、前記アンモニアを前記吸気流路に還流させる脱離処理と、
を含む処理を実行する、エンジンシステム。
【請求項2】
前記排気流路における前記三元触媒の下流側と前記吸気流路とを接続するEGR流路を備え、
前記アンモニア還流路は、前記EGR流路に接続される、請求項1に記載のエンジンシステム。
【請求項3】
前記アンモニア吸着部を加熱可能に設けられる加熱部を備え、
前記プロセッサは、
前記脱離処理において、前記加熱部により前記アンモニア吸着部を加熱する、請求項1または2に記載のエンジンシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記エンジンが前記高負荷状態ではない場合において、前記三元触媒から排出された排気ガスの空気過剰率が所定値以下である場合に、前記吸着処理を実行する、請求項1または2に記載のエンジンシステム。
【請求項5】
前記三元触媒から排出された排気ガスに前記アンモニアが含まれるか否かを検出するNOxセンサを備え、
前記プロセッサは、
前記エンジンが前記高負荷状態ではない場合において、前記NOxセンサによって、前記三元触媒から排出された排気ガスに前記アンモニアが含まれていることが検出された場合に、前記吸着処理を実行する、請求項1または2に記載のエンジンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンのノッキングの抑制を目的として、EGR(Exhaust Gas Recirculation)機構が設けられたエンジンが開発されている。例えば、特許文献1には、排気流路と吸気流路とを接続するEGR流路と、EGR流路の開度を調整するEGRバルブとを備え、EGR流路を通じて、排気ガスを吸気流路に還流するEGR機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アンモニア(NH3)は、燃料としても使用可能であり、エンジンにおいて、アンモニアを混焼させると、エンジンのノッキングを抑制できる可能性がある。そこで、EGRガス以外にも、エンジンの排気系統で発生するアンモニアを活用して、エンジンのノッキングを抑制することができる技術の開発が希求されている。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み、エンジンの排気系統で発生するアンモニアを活用して、エンジンのノッキングを適切に抑制することが可能なエンジンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一実施の形態に係るエンジンシステムは、
エンジンと、
前記エンジンに接続される吸気流路と、
前記エンジンに接続される排気流路と、
前記排気流路に設けられる三元触媒と、
前記三元触媒から排出されたアンモニアを前記吸気流路に還流するアンモニア還流路と、
前記アンモニア還流路に設けられ、前記アンモニアを吸着するアンモニア吸着部と、
制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
1つまたは複数のプロセッサと、
前記プロセッサに接続される1つまたは複数のメモリと、
を有し、
前記プロセッサは、
前記エンジンが高負荷状態であるか否かを判定する判定処理と、
前記エンジンが前記高負荷状態ではない場合、前記三元触媒から排出された前記アンモニアを前記アンモニア吸着部に吸着させる吸着処理と、
前記エンジンが前記高負荷状態である場合、前記アンモニア吸着部から前記アンモニアを脱離させ、前記三元触媒から排出された排気ガスを前記アンモニア還流路に流し、前記アンモニアを前記吸気流路に還流させる脱離処理と、
を含む処理を実行する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、エンジンの排気系統で発生するアンモニアを活用して、エンジンのノッキングを適切に抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るエンジンシステムの構成を示す概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る制御装置が行う処理の流れの一例を示す第1のフローチャートである。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る制御装置が行う処理の流れの一例を示す第2のフローチャートである。
【
図5】
図5は、第1の変形例に係るエンジンシステムの構成を示す概略図である。
【
図6】
図6は、第2の変形例に係るエンジンシステムの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す具体的な寸法、材料、数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0010】
<エンジンシステムの構成>
図1および
図2を参照して、本発明の実施形態に係るエンジンシステム100の構成について説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係るエンジンシステム100の構成を示す概略図である。なお、
図1中、破線の矢印は、信号の流れを示す。
【0012】
図1に示すように、エンジンシステム100は、車両10に搭載される。エンジンシステム100は、エンジン110と、吸気流路120と、スロットルバルブ122と、排気流路130と、三元触媒140、142と、マフラ150と、EGR流路160と、EGRクーラー162と、EGRバルブ164と、アンモニア還流路170と、アンモニア吸着部172と、加熱部174と、切換バルブ180と、吸入空気量センサ190と、NOxセンサ192と、温度センサ194と、制御装置200とを含む。
【0013】
エンジン110は、車両10の駆動源として機能する。つまり、車両10は、エンジン車両である。エンジン110は、ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンである。なお、車両10は、エンジン110に加えてモータを駆動源として備えるハイブリッド車両であってもよい。
【0014】
吸気流路120は、エンジン110に接続される。例えば、エンジン110の吸気ポートには、吸気マニホールドが連通される。吸気マニホールドの集合部には、吸気流路120が連通される。吸気流路120は、例えば、配管で構成される。吸気流路120には、スロットルバルブ122が設けられる。
【0015】
排気流路130は、エンジン110に接続される。例えば、エンジン110の排気ポートには排気マニホールドが連通される。排気マニホールドの集合部には、排気流路130が連通される。排気流路130は、例えば、配管で構成される。エンジン110から排気された排気ガスは、排気流路130を流れる。以下、排気ガスの流れ方向の上流を単に「上流」という場合がある。また、排気ガスの流れ方向の下流を単に「下流」という場合がある。
【0016】
排気流路130には、エンジン110から近い順に、三元触媒140、三元触媒142、マフラ150が設けられる。
【0017】
三元触媒140、142は、エンジン110から排出された排気ガスに含まれる炭化水素、一酸化炭素、NOxを浄化する。三元触媒140、142は、例えば、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の貴金属を含む。
【0018】
三元触媒140、142によって浄化された排気ガスは、例えば、マフラ150を通じて排気される。
【0019】
EGR流路160は、排気流路130における三元触媒140の下流側と吸気流路120とを接続する。EGR流路160は、例えば、排気流路130における三元触媒140と三元触媒142との間と、吸気流路120におけるスロットルバルブ122の下流側とを接続する。
【0020】
EGRクーラー162は、EGR流路160に設けられる。EGRクーラー162は、EGR流路160を流れる排気ガスを冷却する。
【0021】
EGRバルブ164は、EGR流路160における、EGRクーラー162の下流側に設けられる。EGRバルブ164は、EGR流路160から吸気流路120へ還流される排気ガスの流量を調整する。例えば、EGRバルブ164の開度がゼロである場合、EGR流路160から吸気流路120へ還流される排気ガスの流量はゼロとなる。例えば、EGRバルブ164の開度がゼロより大きい場合、EGR流路160から吸気流路120へ排気ガスが還流される。例えば、EGRバルブ164の開度が大きくなるに従って、EGR流路160から吸気流路120へ還流される排気ガスの流量は大きくなる。
【0022】
アンモニア還流路170は、EGR流路160に接続される。本実施形態において、アンモニア還流路170の入口170aおよび出口170bは、EGR流路160におけるEGRクーラー162の上流側に接続される。アンモニア還流路170の出口170bは、例えば、EGR流路160における、アンモニア還流路170の入口170aとの接続箇所よりも下流側に接続される。アンモニア還流路170は、三元触媒140から排出されたアンモニアを吸気流路120に還流する流路である。
【0023】
アンモニア吸着部172は、アンモニア還流路170に設けられる。アンモニア吸着部172は、排気ガスに含まれるアンモニアを吸着する。アンモニア吸着部172は、例えば、ゼオライトを含む。
【0024】
加熱部174は、アンモニア吸着部172を加熱可能に設けられる。加熱部174は、例えば、電気ヒータである。加熱部174は、後述する制御部212によって制御される。
【0025】
切換バルブ180は、EGR流路160とアンモニア還流路170の入口170aとの接続箇所に設けられる。切換バルブ180は、排気流路130から供給された排気ガスの供給先を、EGR流路160とアンモニア還流路170とに切り換える。切換バルブ180は、制御部212によって制御される。
【0026】
吸入空気量センサ190は、吸気流路120におけるスロットルバルブ122の上流側に設けられる。吸入空気量センサ190は、エンジン110に流入する吸入空気量を検出する。
【0027】
NOxセンサ192は、排気流路130における三元触媒140と、排気流路130におけるEGR流路160の接続箇所との間に設けられる。NOxセンサ192は、三元触媒140から排出された排気ガスの空気過剰率λを検出する。空気過剰率λは、空燃比を理論空燃比で除算した値である。また、NOxセンサ192は、三元触媒140から排出された排気ガスにアンモニアが含まれるか否かを検出する。例えば、NOxセンサ192は、三元触媒140から排出された排気ガスに含まれるアンモニアの濃度を検出する。
【0028】
温度センサ194は、アンモニア還流路170におけるアンモニア吸着部172の上流側に設けられる。温度センサ194は、アンモニア吸着部172に供給される排気ガスの温度を検出する。
【0029】
制御装置200は、1つまたは複数のプロセッサ200aと、プロセッサ200aに接続される1つまたは複数のメモリ200bと、を有する。プロセッサ200aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含む。メモリ200bは、例えば、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含む。ROMは、CPUが使用するプログラムおよび演算パラメータ等を記憶する記憶素子である。RAMは、CPUにより実行される処理に用いられる変数およびパラメータ等のデータを一時記憶する記憶素子である。
【0030】
制御装置200は、エンジン110、スロットルバルブ122、EGRクーラー162、EGRバルブ164、加熱部174、切換バルブ180、吸入空気量センサ190、NOxセンサ192、温度センサ194等の車両10に設けられる各装置と通信を行う。制御装置200と各装置との通信は、例えば、CAN(Controller Area Network)通信を用いて実現される。
【0031】
図2は、本発明の実施形態に係る制御装置200の機能構成の一例を示すブロック図である。例えば、
図2に示されるように、制御装置200は、取得部210と、制御部212と、演算部214を有する。
【0032】
なお、取得部210、制御部212、および、演算部214により行われる以下で説明する処理を含む各種処理は、プロセッサ200aによって実行され得る。詳細には、メモリ200bに記憶されているプログラムをプロセッサ200aが実行することにより、各種処理が実行される。
【0033】
なお、本実施形態に係る制御装置200の機能は複数の装置に分割されてもよく、複数の機能が1つの装置によって実現されてもよい。制御装置200の機能が複数の装置に分割される場合、当該複数の装置は、CAN等の通信バスを介して、互いに接続されてもよい。
【0034】
取得部210は、制御部212および演算部214が行う処理において用いられる各種情報を取得し、制御部212および演算部214へ出力する。例えば、取得部210は、エンジン110、吸入空気量センサ190、NOxセンサ192、温度センサ194から情報を取得する。
【0035】
制御部212は、車両10内の各装置の動作を制御する。例えば、制御部212は、EGRバルブ164、加熱部174、切換バルブ180を制御する。
【0036】
演算部214は、アンモニア吸着部172におけるアンモニアの吸着量を演算する。
【0037】
<エンジンシステムの動作>
図3および
図4を参照して、本発明の実施形態に係るエンジンシステム100の動作について説明する。
【0038】
図3は、本発明の実施形態に係る制御装置200が行う処理の流れの一例を示す第1のフローチャートである。
図4は、本発明の実施形態に係る制御装置200が行う処理の流れの一例を示す第2のフローチャートである。
図3、
図4に示される処理フローは、例えば、予め設定された時間間隔で繰り返される。
【0039】
図3、
図4に示すように、制御装置200は、EGR判定処理ステップS110、排気処理ステップS112、エンジン負荷判定処理ステップS114、空気過剰率判定処理ステップS116、アンモニア判定処理ステップS118、吸着処理ステップS120、吸着量加算処理ステップS122、EGR処理ステップS124、吸着量判定処理ステップS126、温度判定処理ステップS128、加熱部動作処理ステップS130、脱離処理ステップS132、吸着量減算処理ステップS134を行う。以下、各処理について説明する。
【0040】
[EGR判定処理ステップS110]
制御部212は、排気ガスをエンジン110に再循環させるEGRが許可されているか否かを判定する。制御部212は、例えば、エンジン110の回転数、および、吸入空気量に基づき、EGRマップを参照して、EGRが許可されているか否かを判定する。EGRマップは、例えば、エンジン110の回転数および吸入空気量と、EGRバルブ164の目標開度とが関連付けられたマップである。EGRマップは、メモリ200bに予め記憶されている。なお、取得部210は、例えば、エンジン110からエンジン110の回転数を取得し得る。また、取得部210は、例えば、吸入空気量センサ190の検出結果に基づいて、吸入空気量を取得し得る。
【0041】
その結果、EGRが許可されていると判定された場合(ステップS110におけるYES)、つまり、EGRバルブ164の目標開度がゼロではない場合、制御部212は、エンジン負荷判定処理ステップS114に進む。一方、EGRが許可されていないと判定された場合(ステップS110におけるNO)、つまり、EGRバルブ164の目標開度がゼロである場合、制御部212は、排気処理ステップS112に進む。
【0042】
[排気処理ステップS112]
制御部212は、三元触媒140から排出された排気ガスを、EGR流路160に供給せずに、三元触媒142に供給する排気処理を行う。制御部212は、例えば、EGRバルブ164の開度をゼロに制御して、三元触媒140から排出された排気ガスの供給先を、三元触媒142に切り換える。排気処理ステップS112が終了した場合、
図3、
図4に示す処理フローは終了する。
【0043】
[エンジン負荷判定処理ステップS114]
制御部212は、エンジン負荷が高負荷状態であるか否かを判定する判定処理を実行する。例えば、制御部212は、エンジン110の回転数が所定回転数以上であるか否かを判定する。なお、取得部210は、例えば、エンジン110からエンジン110の回転数を取得し得る。
【0044】
その結果、エンジン負荷が高負荷状態ではないと判定された場合(ステップS114におけるNO)、つまり、エンジン110の回転数が所定回転数未満であると判定された場合、制御部212は、空気過剰率判定処理ステップS116に進む。一方、エンジン負荷が高負荷状態であると判定された場合(ステップS114におけるYES)、つまり、エンジン110の回転数が所定回転数以上であると判定された場合、制御部212は、
図4に示す吸着量判定処理ステップS126に進む。
【0045】
[空気過剰率判定処理ステップS116]
制御部212は、三元触媒140から排出された排気ガスの空気過剰率λが所定値以下であるか否かを判定する。所定値は、例えば、1である。排気ガスの空気過剰率λが1である場合、排気ガスの空燃比は理論空燃比である。排気ガスの空気過剰率λが1未満である場合、排気ガスの空燃比は、理論空燃比よりも小さいリッチである。排気ガスの空気過剰率λが1より大きい場合、排気ガスの空燃比は、理論空燃比よりも大きいリーンである。取得部210は、NOxセンサ192の検出結果に基づいて、排気ガスの空気過剰率λを取得し得る。
【0046】
その結果、三元触媒140から排出された排気ガスの空気過剰率λが所定値以下であると判定された場合(ステップS116におけるYES)、制御部212は、アンモニア判定処理ステップS118に進む。一方、三元触媒140から排出された排気ガスの空気過剰率λが所定値以下ではないと判定された場合(ステップS116におけるNO)、つまり、三元触媒140から排出された排気ガスの空気過剰率λが所定値を上回ると判定された場合、制御部212は、EGR処理ステップS124に進む。
【0047】
[アンモニア判定処理ステップS118]
制御部212は、三元触媒140から排出された排気ガスにアンモニアが含まれるか否かを判定する。取得部210は、NOxセンサ192の検出結果に基づいて、三元触媒140から排出された排気ガスにアンモニアが含まれるか否かを取得し得る。
【0048】
その結果、三元触媒140から排出された排気ガスにアンモニアが含まれると判定された場合(ステップS118におけるYES)、制御部212は、吸着処理ステップS120に進む。一方、三元触媒140から排出された排気ガスにアンモニアが含まれないと判定された場合(ステップS118におけるNO)、制御部212は、EGR処理ステップS124に進む。
【0049】
[吸着処理ステップS120]
制御部212は、三元触媒140から排出された排気ガスをアンモニア還流路170に流して、排気ガスに含まれるアンモニアをアンモニア吸着部172に吸着させる吸着を行う。制御部212は、例えば、切換バルブ180を制御して、排気流路130から供給された排気ガスの供給先を、アンモニア還流路170に切り換える。また、制御部212は、例えば、EGRマップを参照し、目標開度となるように、EGRバルブ164の開度を調整する。吸着処理ステップS120が終了した場合、制御部212は、吸着量加算処理ステップS122に進む。
【0050】
[吸着量加算処理ステップS122]
演算部214は、アンモニア吸着部172に供給された排気ガスの流量、アンモニア吸着部172に供給された排気ガスに含まれるアンモニアの濃度に基づいて、アンモニア吸着部172によって吸着されたアンモニアの吸着量を演算する。そして、演算部214は、演算結果を、メモリ200bの吸着量カウント領域に記憶されたアンモニアの吸着量の前回値に加算する。なお、取得部210は、吸入空気量センサ190の検出結果、および、EGRバルブ164の開度に基づいて、アンモニア吸着部172に供給された排気ガスの流量を取得し得る。また、取得部210は、例えば、NOxセンサ192の検出結果に基づいて、アンモニア吸着部172に供給された排気ガスに含まれるアンモニアの濃度を取得し得る。吸着量加算処理ステップS122が終了した場合、
図3、
図4に示す処理フローは終了する。
【0051】
[EGR処理ステップS124]
制御部212は、三元触媒140から排出された排気ガスをアンモニア還流路170に流さず、EGR流路160に流して、吸気流路120に還流させるEGR処理を行う。制御部212は、例えば、切換バルブ180を制御して、排気流路130から供給された排気ガスの供給先を、EGR流路160に切り換える。また、制御部212は、例えば、EGRマップを参照し、目標開度となるように、EGRバルブ164の開度を調整する。EGR処理ステップS124が終了した場合、
図3、
図4に示す処理フローは終了する。
【0052】
[吸着量判定処理ステップS126]
図4に示すように、制御部212は、アンモニア吸着部172におけるアンモニアの吸着量が所定量以上であるか否かを判定する。所定量は、例えば、アンモニア吸着部172によるアンモニアの吸着量の下限値である。取得部210は、メモリ200bの吸着量カウント領域からアンモニア吸着部172におけるアンモニアの吸着量を取得し得る。
【0053】
その結果、アンモニア吸着部172におけるアンモニアの吸着量が所定値以上であると判定された場合(ステップS126におけるYES)、制御部212は、温度判定処理ステップS128に進む。一方、アンモニア吸着部172におけるアンモニアの吸着量が所定値以上ではないと判定された場合(ステップS126におけるNO)、つまり、アンモニア吸着部172におけるアンモニアの吸着量が所定値未満であると判定された場合、制御部212は、
図3に示すEGR処理ステップS124に進む。
【0054】
[温度判定処理ステップS128]
制御部212は、アンモニア吸着部172に供給される排気ガスの温度が所定温度以下であるか否かを判定する。所定温度は、例えば、アンモニア吸着部172からアンモニアが脱離する温度である。所定温度は、例えば、400℃以上の予め定められた温度である。なお、取得部210は、温度センサ194の検出結果に基づいて、アンモニア吸着部172に供給される排気ガスの温度を取得し得る。
【0055】
その結果、アンモニア吸着部172に供給される排気ガスの温度が所定温度以下であると判定された場合(S128におけるYES)、制御部212は、加熱部動作処理ステップS130に進む。一方、アンモニア吸着部172に供給される排気ガスの温度が所定温度以下ではないと判定された場合(S128におけるNO)、つまり、アンモニア吸着部172に供給される排気ガスの温度が所定温度を上回ると判定された場合、制御部212は、脱離処理ステップS132に進む。
【0056】
[加熱部動作処理ステップS130]
制御部212は、加熱部174を動作させて、アンモニア吸着部を加熱する。加熱部動作処理ステップS130が終了した場合、制御部212は、脱離処理ステップS132に進む。
【0057】
[脱離処理ステップS132]
制御部212は、アンモニア吸着部172からアンモニアを脱離させ、三元触媒140から排出された排気ガスをアンモニア還流路170に流し、アンモニアを吸気流路120に還流させる脱離処理を行う。制御部212は、例えば、切換バルブ180を制御して、排気流路130から供給された排気ガスの供給先を、アンモニア還流路170に切り換える。また、制御部212は、例えば、EGRマップを参照し、目標開度となるように、EGRバルブ164の開度を調整する。脱離処理ステップS132が終了した場合、制御部212は、吸着量減算処理ステップS134に進む。
【0058】
[吸着量減算処理ステップS134]
演算部214は、アンモニア吸着部172に供給された排気ガスの流量、アンモニア吸着部172に供給された排気ガスの温度、加熱部174によるアンモニア吸着部172の加熱温度に基づいて、アンモニア吸着部172から脱離したアンモニアの脱離量を演算する。そして、演算部214は、演算結果を、メモリ200bの吸着量カウント領域に記憶されたアンモニアの吸着量の前回値から減算する。なお、取得部210は、吸入空気量センサ190の検出結果、および、EGRバルブ164の開度に基づいて、アンモニア吸着部172に供給された排気ガスの流量を取得し得る。また、取得部210は、例えば、温度センサ194の検出結果に基づいて、アンモニア吸着部172に供給された排気ガスの温度を取得し得る。また、取得部210は、例えば、加熱部174の出力に基づいて、加熱部174によるアンモニア吸着部172の加熱温度を取得し得る。吸着量減算処理ステップS134が終了した場合、
図3、
図4に示す処理フローは終了する。
【0059】
以上、
図3、
図4のフローチャートを参照して、エンジンシステム100が行う処理について説明した。ただし、エンジンシステム100が行う処理は、上記で説明した処理に対して変更が加えられた処理であってもよい。
【0060】
例えば、上記エンジン負荷判定処理ステップS114において、制御部212が、エンジン110の回転数に基づいて、エンジン負荷が高負荷状態であるか否かを判定する場合を例に挙げた。しかし、例えば、エンジン負荷判定処理ステップS114において、制御部212は、エンジン110の回転数に加えて、または、エンジン110の回転数に代えて、吸入空気量およびアクセル開度のうちのいずれか一方または両方に基づいて、エンジン負荷が高負荷状態であるか否かを判定してもよい。
【0061】
また、上記空気過剰率判定処理ステップS116において、取得部210が、NOxセンサ192の検出結果に基づいて、三元触媒140から排出された排気ガスの空気過剰率λを取得する場合を例に挙げた。しかし、例えば、空気過剰率判定処理ステップS116において、取得部210は、吸入空気量およびエンジン110の燃料噴射量に基づいて、三元触媒140から排出された排気ガスの空気過剰率λを取得してもよい。
【0062】
また、上記空気過剰率判定処理ステップS116において、制御部212が、三元触媒140から排出された排気ガスの空気過剰率λが所定値以下であるか否かを判定する場合を例に挙げた。しかし、例えば、空気過剰率判定処理ステップS116において、制御部212は、三元触媒140から排出された排気ガスの空燃比がリッチであるか否かを判定してもよい。
【0063】
また、上記アンモニア判定処理ステップS118において、取得部210が、NOxセンサ192の検出結果に基づいて、三元触媒140から排出された排気ガスにアンモニアが含まれるか否かを取得する場合を例に挙げた。しかし、例えば、アンモニア判定処理ステップS118において、取得部210は、吸入空気量およびエンジン110の燃料噴射量に基づいて、三元触媒140から排出された排気ガスにアンモニアが含まれるか否かを取得してもよい。
【0064】
また、上記温度判定処理ステップS128において、取得部210が、温度センサ194の検出結果に基づいて、アンモニア吸着部172に供給される排気ガスの温度を取得する場合を例に挙げた。しかし、例えば、温度判定処理ステップS128において、取得部210は、吸入空気量およびエンジン110の燃料噴射量に基づいて、アンモニア吸着部172に供給される排気ガスの温度を取得してもよい。
【0065】
<エンジンシステムの効果>
本発明の実施形態に係るエンジンシステム100の効果について説明する。
【0066】
本実施形態に係るエンジンシステム100は、エンジン110と、エンジン110に接続される吸気流路120と、エンジン110に接続される排気流路130と、排気流路130に設けられる三元触媒140と、三元触媒140から排出されたアンモニアを吸気流路120に還流するアンモニア還流路170と、アンモニア還流路170に設けられ、アンモニアを吸着するアンモニア吸着部172と、制御装置200とを備える。そして、制御装置200のプロセッサ200aは、エンジン110が高負荷状態であるか否かを判定する判定処理と、エンジン110が高負荷状態ではない場合、三元触媒140から排出されたアンモニアをアンモニア吸着部172に吸着させる吸着処理と、エンジン110が高負荷状態である場合、アンモニア吸着部172からアンモニアを脱離させ、三元触媒140から排出された排気ガスをアンモニア還流路170に流し、アンモニアを吸気流路120に還流させる脱離処理と、を含む処理を実行する。これにより、エンジンシステム100は、エンジン110が高負荷状態ではない場合に、エンジン110の排気系統で発生するアンモニアをアンモニア吸着部172に吸着させておき、エンジン110が高負荷状態である場合に、アンモニア吸着部172に吸着されたアンモニアを脱離させて、エンジン110に供給することができる。アンモニアは、ガソリンまたは軽油と混焼させることにより、エンジン110のノッキングを抑制することができる。したがって、エンジンシステム100は、ノッキングが生じやすい、エンジン110が高負荷状態である場合に、アンモニアをエンジン110に供給するため、エンジン110のノッキングを適切に抑制することが可能となる。また、エンジンシステム100は、エンジン110が高負荷状態となる前に、アンモニア吸着部172にアンモニアを吸着させておくことができる。このため、エンジンシステム100は、エンジン110が高負荷状態となってから排気ガスの空燃比をリッチにする比較例とは異なり、エンジン110のノッキングを早期に抑制することができる。また、エンジンシステム100は、比較例とは異なり、ノッキングが発生しにくいエンジン110が高負荷状態ではない場合において、ノッキングの抑制とは異なる目的で空燃比がリッチになったときにアンモニアをアンモニア吸着部172に吸着させておくことができる。したがって、ノッキングの抑制のみを目的として、エンジン110が高負荷状態となってから排気ガスの空燃比をリッチにする比較例とは異なり、エンジンシステム100は、燃費を向上させることができる。
【0067】
また、本実施形態に係るエンジンシステム100は、排気流路130における三元触媒140の下流側と吸気流路120とを接続するEGR流路160を備え、アンモニア還流路170は、EGR流路160に接続されることが好ましい。これにより、エンジンシステム100は、従来の車両に設けられていたEGR流路160に、アンモニア還流路170およびアンモニア吸着部172を追加するだけで、エンジン110のノッキングを抑制することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態に係るエンジンシステム100は、アンモニア吸着部172を加熱可能に設けられる加熱部174を備え、プロセッサ200aは、脱離処理において、加熱部174によりアンモニア吸着部172を加熱することが好ましい。これにより、エンジンシステム100は、アンモニア吸着部172からのアンモニアの脱離効率を向上させることができる。
【0069】
また、本実施形態に係るエンジンシステム100の制御装置200のプロセッサ200aは、エンジン110が高負荷状態ではない場合において、三元触媒140から排出された排気ガスの空気過剰率λが所定値以下である場合に、吸着処理を実行することが好ましい。これにより、エンジンシステム100は、三元触媒140においてアンモニアが生成されると推測される、空気過剰率λが所定値以下である場合に、排気ガスをアンモニア吸着部172に供給することができる。したがって、エンジンシステム100は、アンモニア吸着部172に効率よくアンモニアを吸着させることができる。
【0070】
また、本実施形態に係るエンジンシステム100の制御装置200のプロセッサ200aは、エンジン110が高負荷状態ではない場合において、NOxセンサ192によって、三元触媒140から排出された排気ガスにアンモニアが含まれていることが検出された場合に、吸着処理を実行することが好ましい。これにより、エンジンシステム100は、エンジン110が高負荷状態ではなく、NOxセンサ192によって三元触媒140から排出された排気ガスにアンモニアが含まれていることが検出された場合に、アンモニア吸着部172を備えるアンモニア還流路170を通じて排気ガスを吸気流路120に還流させることができる。したがって、エンジンシステム100は、アンモニア吸着部172に効率よくアンモニアを吸着させることができる。
【0071】
また、本実施形態に係るエンジンシステム100の制御装置200のプロセッサ200aは、エンジン110が高負荷状態ではない場合において、三元触媒140から排出された排気ガスの空気過剰率λが所定値を上回る場合、または、NOxセンサ192によって、三元触媒140から排出された排気ガスにアンモニアが含まれていることが検出されない場合に、アンモニア吸着部172を備えないEGR流路160を通じて排気ガスを吸気流路120に還流させることが好ましい。これにより、エンジンシステム100は、アンモニア吸着部172に不要に排気ガスが供給されてしまう事態を回避することができ、アンモニア吸着部172の劣化を抑制することが可能となる。
【0072】
[第1の変形例]
図5は、第1の変形例に係るエンジンシステム300の構成を示す概略図である。なお、
図5中、制御装置200からの信号の流れを示す破線の矢印は、省略される。
【0073】
図5に示すように、エンジンシステム300は、エンジン110と、吸気流路120と、スロットルバルブ122と、排気流路130と、三元触媒140、142と、マフラ150と、EGR流路160と、EGRクーラー162と、EGRバルブ164と、アンモニア還流路370と、クーラー372と、バルブ374と、アンモニア吸着部172と、加熱部174と、吸入空気量センサ190と、NOxセンサ192と、温度センサ194と、制御装置200とを含む。なお、上記エンジンシステム100と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0074】
上記エンジンシステム100において、アンモニア還流路170は、EGR流路160に接続されているが、第1の変形例のエンジンシステム300において、アンモニア還流路370は、EGR流路160に接続されず、排気流路130および吸気流路120に直接接続される。また、第1の変形例において、エンジンシステム300は、切換バルブ180を有しない。
【0075】
アンモニア還流路370は、排気流路130における三元触媒140の下流側と吸気流路120とを接続する。アンモニア還流路370は、例えば、排気流路130における三元触媒140の下流側と、吸気流路120におけるスロットルバルブ122の下流側とを接続する。
【0076】
第1の変形例において、アンモニア吸着部172および温度センサ194は、アンモニア還流路370に設けられる。
【0077】
クーラー372は、アンモニア還流路370におけるアンモニア吸着部172の下流側に設けられる。クーラー372は、アンモニア還流路370を流れる排気ガスを冷却する。
【0078】
バルブ374は、アンモニア還流路370における、クーラー372の下流側に設けられる。バルブ374は、アンモニア還流路370から吸気流路120へ還流される排気ガスの流量を調整する。例えば、バルブ374の開度がゼロである場合、アンモニア還流路370から吸気流路120へ還流される排気ガスの流量はゼロとなる。例えば、バルブ374の開度がゼロより大きい場合、アンモニア還流路370から吸気流路120へ排気ガスが還流される。例えば、バルブ374の開度が大きくなるに従って、アンモニア還流路370から吸気流路120へ還流される排気ガスの流量は大きくなる。
【0079】
第1の変形例において、制御装置200のプロセッサ200aの制御部212は、上記排気処理ステップS112において、EGRバルブ164およびバルブ374の開度をゼロとする。
【0080】
また、第1の変形例において、制御装置200のプロセッサ200aの制御部212は、上記吸着処理ステップS120および脱離処理ステップS132において、EGRバルブ164の開度をゼロとし、バルブ374の開度を目標開度とする。
【0081】
また、第1の変形例において、制御装置200のプロセッサ200aの制御部212は、上記EGR処理ステップS124において、EGRバルブ164の開度を目標開度とし、バルブ374の開度をゼロとする。
【0082】
第1の変形例に係るエンジンシステム300は、エンジン110の排気系統で発生するアンモニアを活用して、エンジン110のノッキングを適切に抑制することが可能となる。
【0083】
[第2の変形例]
図6は、第2の変形例に係るエンジンシステム400の構成を示す概略図である。なお、
図6中、破線の矢印は、信号の流れを示す。
【0084】
図6に示すように、エンジンシステム400は、エンジン110と、吸気流路120と、スロットルバルブ122と、排気流路130と、三元触媒140、142と、マフラ150と、EGR流路160と、EGRクーラー162と、EGRバルブ164と、アンモニア吸着部172と、加熱部174と、吸入空気量センサ190と、NOxセンサ192と、温度センサ194と、制御装置200とを含む。なお、上記エンジンシステム100と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0085】
上記エンジンシステム100において、アンモニア還流路170は、EGR流路160に接続されているが、第2の変形例のエンジンシステム400において、アンモニア還流路は、EGR流路160と一体的に形成される。つまり、第2の変形例のエンジンシステム400において、EGR流路160は、アンモニア還流路として機能する。また、第2の変形例において、エンジンシステム400は、切換バルブ180を有しない。
【0086】
第2の変形例において、アンモニア吸着部172および温度センサ194は、EGR流路160におけるEGRクーラー162の上流側に設けられる。
【0087】
第2の変形例において、制御装置200のプロセッサ200aの制御部212は、上記排気処理ステップS112において、EGRバルブ164の開度をゼロとする。
【0088】
また、第2の変形例において、制御装置200のプロセッサ200aの制御部212は、上記空気過剰率判定処理ステップS116、アンモニア判定処理ステップS118、EGR処理ステップS124、吸着量判定処理ステップS126を行わない。
【0089】
また、第2の変形例において、制御装置200のプロセッサ200aの制御部212は、上記吸着処理ステップS120および脱離処理ステップS132において、EGRバルブ164の開度を目標開度とする。
【0090】
第2の変形例に係るエンジンシステム400は、エンジン110の排気系統で発生するアンモニアを活用して、エンジン110のノッキングを適切に抑制することが可能となる。
【0091】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0092】
例えば、本明細書においてフローチャートを用いて説明した処理は、必ずしもフローチャートに示された順序で実行されなくてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【符号の説明】
【0093】
100 エンジンシステム
110 エンジン
120 吸気流路
130 排気流路
140 三元触媒
160 EGR流路
170 アンモニア還流路
172 アンモニア吸着部
174 加熱部
192 NOxセンサ
200 制御装置
200a プロセッサ
200b メモリ
300 エンジンシステム
370 アンモニア還流路
400 エンジンシステム