(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142190
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】注文飲食物搬送装置
(51)【国際特許分類】
A47G 23/08 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
A47G23/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054245
(22)【出願日】2023-03-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (公開1)店舗の開店日 令和4年4月28日 店舗名 焼肉きんぐ 横浜六浦店 店舗所在地 神奈川県横浜市金沢区六浦1-16-1 (公開2)開催日 令和5年2月7日 展示会名 第51回 国際ホテル・レストラン・ショー 開催場所 東京ビッグサイト(東京都江東区有明3-11-1)
(71)【出願人】
【識別番号】390010319
【氏名又は名称】株式会社石野製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石野 晴紀
(72)【発明者】
【氏名】川口 岳宏
(72)【発明者】
【氏名】久保 茂
【テーマコード(参考)】
3B115
【Fターム(参考)】
3B115AA23
(57)【要約】
【課題】本願は、複数の客席の注文品をベルトコンベアで間断無く搬送開始可能な注文飲食物搬送装置を開示する。
【解決手段】搬送開始操作が行われることにより注文品が副ベルトコンベアから主ベルトコンベアへ乗り移ると、主ベルトコンベアの停止前に、副ベルトコンベアを次に搬送する注文品を乗せることが可能な停止状態にする処理と、主ベルトコンベアが第1の注文品を所定の客席の分岐レーンへ搬送している最中に行われた第2の注文品の搬送開始操作が、所定の客席とは異なる他の客席への搬送開始操作である場合には副ベルトコンベアを作動させて搬送を開始し、所定の客席への搬送開始操作である場合には第1の注文品が主ベルトコンベアから所定の客席の分岐レーンへ乗り移って分岐レーンから第1の注文品が無くなるまで第2の注文品の搬送開始を保留する処理と、を実行する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲食店の厨房側から客席へ至る搬送路を形成する主ベルトコンベアと、
各客席において前記主ベルトコンベアの搬送路から分岐する複数の分岐レーンと、
前記主ベルトコンベアに搬送される注文品を前記分岐レーンに案内する複数の進路変更手段と、
前記主ベルトコンベアの前記厨房側に延設され、前記搬送路を延伸する副ベルトコンベアと、
搬送開始操作が行われると、前記副ベルトコンベアと前記主ベルトコンベアと前記進路変更手段を作動させて、前記副ベルトコンベアに乗った飲食物の注文品を搬送先の客席の分岐レーンへ搬送する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
搬送開始操作が行われることにより注文品が前記副ベルトコンベアから前記主ベルトコンベアへ乗り移ると、前記主ベルトコンベアの停止前に、前記副ベルトコンベアを次に搬送する注文品を乗せることが可能な停止状態にする処理と、
前記主ベルトコンベアが第1の注文品を所定の客席の分岐レーンへ搬送している最中に行われた第2の注文品の搬送開始操作が、前記所定の客席とは異なる他の客席への搬送開始操作である場合には前記副ベルトコンベアを作動させて搬送を開始し、前記所定の客席への搬送開始操作である場合には前記第1の注文品が前記主ベルトコンベアから前記所定の客席の分岐レーンへ乗り移って分岐レーンから前記第1の注文品が無くなるまで前記第2の注文品の搬送開始を保留する処理と、を実行する、
注文飲食物搬送装置。
【請求項2】
前記制御手段は、所定の注文品の搬送開始操作が行われた際に、前記所定の注文品の搬送先の客席の分岐レーンに飲食物が残っている場合には、前記残っている飲食物が分岐レーンから無くなるまで前記所定の注文品の搬送開始を保留する処理を実行する、
請求項1に記載の注文飲食物搬送装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記副ベルトコンベアから前記主ベルトコンベアへ注文品が乗り移るタイミングに基づいて、前記主ベルトコンベア上の注文品の搬送先に対応する進路変更手段を作動させる、
請求項1に記載の注文飲食物搬送装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記主ベルトコンベアを前記副ベルトコンベアと同じ速度で作動させる、
請求項1から3の何れか一項に記載の注文飲食物搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注文飲食物搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲食店においては、搬送装置を使った飲食物の提供が行なわれている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
注文された飲食物を搬送する場合、例えば、厨房から客席へ至るベルトコンベアに注文品を載せて搬送することが考えられる。この場合、ベルトコンベアには特定の客席へ搬送する注文品のみが載っているため、ベルトコンベアを適宜のタイミングで加減速することにより、飲食物を循環搬送するコンベアよりも短時間で当該特定の客席へ注文品を搬送することができる。
【0005】
しかし、ベルトコンベアを適宜のタイミングで加減速しながら注文品の搬送を行う場合、1つのベルトコンベアに複数の客席分の注文品を同時に載せることはできない。このため、例えば、客席数が多い故に1つのベルトコンベアが長尺の場合、当該ベルトコンベアに載っている注文品が客席に到着して当該ベルトコンベア上から無くなるまでは、次に搬送する注文品の搬送を開始することができない。
【0006】
そこで、本願は、複数の客席の注文品をベルトコンベアで間断無く搬送開始可能な注文飲食物搬送装置を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、主ベルトコンベアが第1の注文品を所定の客席の分岐レーンへ搬送している最中に行われた第2の注文品の搬送開始操作が、所定の客席とは異なる他の客席への搬送開始操作である場合には副ベルトコンベアを作動させて搬送を開始し、所定の客席への搬送開始操作である場合には第1の注文品が主ベルトコンベアから所定の客席の分岐レーンへ乗り移って分岐レーンから第1の注文品が無くなるまで第2の注文品の搬送開始を保留することにした。
【0008】
詳細には、本発明は、飲食店の厨房側から客席へ至る搬送路を形成する主ベルトコンベアと、各客席において主ベルトコンベアの搬送路から分岐する複数の分岐レーンと、主ベルトコンベアに搬送される注文品を分岐レーンに案内する複数の進路変更手段と、主ベルトコンベアの厨房側に延設され、搬送路を延伸する副ベルトコンベアと、搬送開始操作が行われると、副ベルトコンベアと主ベルトコンベアと進路変更手段を作動させて、副ベルトコンベアに乗った飲食物の注文品を搬送先の客席の分岐レーンへ搬送する制御手段と、を備え、制御手段は、搬送開始操作が行われることにより注文品が副ベルトコンベアから主ベルトコンベアへ乗り移ると、主ベルトコンベアの停止前に、副ベルトコンベアを次に搬送する注文品を乗せることが可能な停止状態にする処理と、主ベルトコンベアが第1の注文品を所定の客席の分岐レーンへ搬送している最中に行われた第2の注文品の搬送開始操作が、所定の客席とは異なる他の客席への搬送開始操作である場合には副ベルトコンベ
アを作動させて搬送を開始し、所定の客席への搬送開始操作である場合には第1の注文品が主ベルトコンベアから所定の客席の分岐レーンへ乗り移って分岐レーンから第1の注文品が無くなるまで第2の注文品の搬送開始を保留する処理と、を実行する、注文飲食物搬送装置である。
【0009】
上記の注文飲食物搬送装置であれば、飲食店の厨房側から客席へ至る搬送路を形成する主ベルトコンベアの他に副ベルトコンベアを備えており、皿が副ベルトコンベアから主ベルトコンベアへ乗り移ると、主ベルトコンベアの停止前に副ベルトコンベアが停止状態になるため、皿が主ベルトコンベアで搬送されている途中であっても、次に搬送する皿を副ベルトコンベアに乗せることができる。そして、次に搬送する皿の搬送先が他の客席である場合には、前に搬送開始操作を行った皿が搬送先へ到着しているか否かに関わりなく副ベルトコンベアを作動させ、搬送を開始するので、複数の客席の注文品をベルトコンベアで間断無く搬送開始可能である。
【0010】
なお、制御手段は、所定の注文品の搬送開始操作が行われた際に、所定の注文品の搬送先の客席の分岐レーンに飲食物が残っている場合には、残っている飲食物が分岐レーンから無くなるまで所定の注文品の搬送開始を保留する処理を実行するものであってもよい。これによれば、飲食物が残っている分岐レーンに注文品が搬送されないので、注文品が分岐レーンに入らない可能性を無くすことができる。
【0011】
また、制御手段は、副ベルトコンベアから主ベルトコンベアへ注文品が乗り移るタイミングに基づいて、主ベルトコンベア上の注文品の搬送先に対応する進路変更手段を作動させてもよい。これによれば、進路変更手段を適切なタイミングで作動させることができる。
【0012】
また、制御手段は、主ベルトコンベアを副ベルトコンベアと同じ速度で作動させてもよい。これによれば、搬送する注文品の間隔を適切に保つことができる。
【発明の効果】
【0013】
上記注文飲食物搬送装置であれば、複数の客席の注文品をベルトコンベアで間断無く搬送開始可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態に係る注文飲食物搬送装置の一例を示した図である。
【
図3】
図3は、客席テーブル付近を拡大した図である。
【
図4】
図4は、注文飲食物搬送装置の制御装置が実行する処理のフローチャートを示した第1の図である。
【
図5】
図5は、注文飲食物搬送装置の制御装置が実行する処理のフローチャートを示した第2の図である。
【
図6】
図6は、皿が搬送される様子を示した第1の図である。
【
図7】
図7は、皿が搬送される様子を示した第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本願発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本願発明の一態様であり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。以下に示す実施形態や変形例は、例えば、寿司や飲料物、そばやうどんといった丼物、から揚げや天ぷらや焼肉といった各種の飲食物を提供する飲食店に好適である。
【0016】
<装置構成>
図1は、実施形態に係る注文飲食物搬送装置10の一例を示した図である。注文飲食物搬送装置10は、壁2によって店内が厨房エリア3と客席エリア4とに仕切られた店舗1に設置される。注文飲食物搬送装置10は、厨房側搬送路1Aや客席側搬送路1B等の搬送経路を有しており、厨房エリア3で用意された注文品の飲食物を、飲食客8が居る客席エリア4の各客席テーブル5A~5D(以下、不特定の客席テーブルを指す場合は「客席テーブル5」と称する)へ搬送する。より詳細には、注文飲食物搬送装置10は、厨房エリア3のスタッフ7が作業台6で用意した注文品の飲食物の皿9を載せることが可能なように、厨房側搬送路1Aを厨房エリア3内に有している。また、注文飲食物搬送装置10は、客席エリア4の各客席テーブル5沿いに配置される客席側搬送路1Bを客席エリア4内に有している。この客席側搬送路1Bは、厨房エリア3の厨房側搬送路1Aの終端から客席エリア4へ向かって延設されるように配置されている。そして、客席エリア4の各客席テーブル5には、客席側搬送路1Bから分岐する分岐レーン1CA~1CD(以下、不特定の分岐レーンを指す場合は「分岐レーン1C」と称する)が設けられている。また、注文飲食物搬送装置10には、客席側搬送路1Bによって搬送される皿9を分岐レーン1Cへ案内するための進路変更機構1EA~1ED(以下、不特定の進路変更機構を指す場合は「進路変更機構1E」と称する)が設けられている。また、注文飲食物搬送装置10には、各機構部分を作動させるためのモーター等が備わっている。注文飲食物搬送装置10の各部がモーター等で作動することにより、厨房エリア3のスタッフ7が作業台6で用意した飲食物の皿9が、厨房側搬送路1Aと客席側搬送路1Bを経由して各客席テーブル5の分岐レーン1Cへ自動的に搬送される。
【0017】
分岐レーン1Cは、客席側搬送路1Bと分岐レーン1Cとの接続部分付近に設けられた進路変更機構1Eによって客席側搬送路1Bから進路変更された飲食物の皿9が乗り移るレーンであり、客席側搬送路1B沿いの各客席テーブル5に配置されている。分岐レーン1Cは、回転自在な搬送用のローラ群によって形成されている。また、分岐レーン1Cは、客席側搬送路1Bから側方へ分岐し、更に客席側搬送路1Bに沿った下り勾配の経路を形成しているため、皿9が乗るとローラが遊転し、皿9が分岐レーン1Cの終端側に自重で移動する。
【0018】
客席側搬送路1Bから分岐レーン1Cへ別れる分岐部分に設けられる進路変更機構1Eは、可動式のガイド部材を客席側搬送路1B上に側方からせり出すことにより、客席側搬送路1Bを移動する皿9を分岐レーン1Cへ誘導する。進路変更機構1Eは、注文飲食物搬送装置10を制御する制御装置によって作動するロータリーソレノイド或いはモーターを有しており、これにより可動式のガイド部材を客席側搬送路1B上に出し入れする。
【0019】
なお、
図1において、分岐レーン1Cは、長方形の天面を有するボックス席用の客席テーブル5に設けられているが、このようなボックス席用の客席テーブル5に設けられる形態に限定されるものではない。分岐レーン1Cは、例えば、カウンター席用のテーブルに設けられていてもよい。
【0020】
また、注文飲食物搬送装置10は、厨房側搬送路1Aと客席側搬送路1Bが比較的高所に設置されており、客席側搬送路1Bの下側にその他の搬送装置類が配置されていてもよい。
【0021】
なお、
図1を見ると判るように、客席側搬送路1Bは、厨房側搬送路1Aの長手方向に対し直角の方向に延在している。このため、厨房側搬送路1Aと客席側搬送路1Bは、厨房側搬送路1Aの終端部分にコーナーを形成していると言える。このようなコーナー部分では、皿9をスムーズに案内するための部材或いは機構が必要である。そこで、注文飲食物搬送装置10は、このようなコーナー部分における皿9のスムーズな移動を実現するために、厨房側搬送路1Aと客席側搬送路1Bとの接続部分に案内機構1Dを有している。
【0022】
図2は、案内機構1Dを示した図である。
図2を見ると判るように、厨房側搬送路1Aと客席側搬送路1Bとの接続部では、厨房側搬送路1Aの終端部分の側方に客席側搬送路1Bの始点部分が配置されている。よって、厨房側搬送路1Aと客席側搬送路1Bとの接続部分に案内機構1Dが設けられていない場合、厨房側搬送路1Aを形成する厨房側ベルトコンベア1A1(本願でいう「副ベルトコンベア」の一例である)によって厨房側搬送路1Aの終端部分に到着した皿9は、何らかの介助を受けない場合、客席側搬送路1Bを形成する客席側ベルトコンベア1B1(本願でいう「主ベルトコンベア」の一例である)へ乗り移ることができない。そこで、注文飲食物搬送装置10は、厨房側搬送路1Aの終端部分に、厨房側ベルトコンベア1A1に載っている皿9を客席側搬送路1Bの方へベルトで案内する案内機構1Dを有している。
【0023】
案内機構1Dは、ベルトの少なくとも一部分が厨房側ベルトコンベア1A1の直上において厨房側ベルトコンベア1A1から客席側ベルトコンベア1B1の方へ厨房側ベルトコンベア1A1の搬送方向に対し斜めに交差するように掛け渡される丸ベルト1D1と、丸ベルト1D1を支持するプーリー1D2及びプーリー1D3と、プーリー1D2を駆動させるためのモーター1D5と、を有する。よって、案内機構1Dは、丸ベルト1D1がモーター1D5によって
図2の矢印の方向に回転している状態において、厨房側ベルトコンベア1A1により皿9が厨房側搬送路1Aの終端部分に到着すると、皿9を丸ベルト1D1に接触させながら客席側搬送路1Bの方へ案内することができる。なお、丸ベルト1D1は、厨房側ベルトコンベア1A1の搬送方向に対し斜めに交差するように掛け渡される形態に限定されるものでなく、例えば、厨房側ベルトコンベア1A1の搬送方向に対し直角に交差するように掛け渡される形態であってもよい。
【0024】
なお、案内機構1Dは、丸ベルト1D1に接触した皿9が、プーリー1D2とプーリー1D3によって丸ベルト1D1に加わっている張力に起因する丸ベルト1D1からの反発力を受けないように、支持ガイド1D4を有してる。支持ガイド1D4は、プーリー1D2とプーリー1D3との間において、丸ベルト1D1のうち皿9が接触する部分の背面側に配置されている。よって、支持ガイド1D4は、皿9の接触によって撓む丸ベルト1D1の撓みを抑制する。皿9が接触した際の丸ベルト1D1の撓みが支持ガイド1D4に抑制されることにより、皿9が丸ベルト1D1から受ける反発力が抑制され、皿9のスムーズな案内が実現される。なお、支持ガイド1D4は、丸ベルト1D1が破断やその他不調の際に、丸ベルト1D1の代わりに皿9を案内する機能を果たすこともできる。
【0025】
図3は、客席テーブル5付近を拡大した図である。客席側ベルトコンベア1B1が形成する客席側搬送路1Bの脇には、客席側搬送路1Bから分岐して下り勾配の経路を形成する分岐レーン1Cが設けられている。注文飲食物搬送装置10は、テーブルに設置される注文端末等を介して注文が受け付けられ、厨房エリア3で用意された飲食物を搬送する。
【0026】
分岐レーン1Cは、進路変更機構1Eによって客席側搬送路1Bから分岐された注文品の皿9が乗り移るレーンであり、客席側ベルトコンベア1B1によって形成される客席側搬送路1B沿いに配置されている。分岐レーン1Cは、回転自在な搬送用のローラ群によって形成されている。分岐レーン1Cは、客席側ベルトコンベア1B1の搬送路から側方へ分岐し、更に客席側搬送路1Bに沿った下り勾配の経路を形成しているため、皿9が乗るとローラが転がり、皿9が分岐レーン1Cの終端側に寄る。飲食客8は、分岐レーン1Cに注文品の飲食物の皿9が到着すると、分岐レーン1Cからこの皿9を取って食す。
【0027】
なお、注文飲食物搬送装置10の上側には、湯呑みや調味料、お品書き等を乗せる棚板が支柱によって支持されているが、このような支柱や棚板は省略されていてもよいし、支柱や棚板に代わるものが設置されていてもよい。
【0028】
<処理フロー>
図4は、注文飲食物搬送装置10の制御装置が実行する処理のフローチャートを示した第1の図である。注文飲食物搬送装置10の制御装置は、搬送開始操作が行われたか否かの判定処理を行う(S101)。例えば、厨房エリア3において、注文品の飲食物の皿9を用意して厨房側搬送路1Aに置いたスタッフ7が搬送開始操作を行うと、注文飲食物搬送装置10の制御装置は、ステップS101で肯定判定を行う。
【0029】
注文飲食物搬送装置10の制御装置は、ステップS101で肯定判定を行うと、次に、搬送開始操作で指定された搬送先の客席テーブル5の分岐レーン1Cが空いているか否かの確認を行う(S102)。注文飲食物搬送装置10の制御装置は、搬送先の客席テーブル5の分岐レーン1Cが空いているか否かの確認を、分岐レーン1Cの終端部分に設けられた光学センサに基づいて行う。すなわち、注文飲食物搬送装置10の制御装置は、分岐レーン1Cの終端部分に設けられた光学センサで分岐レーン1C上に何らかの物体を検知している場合、分岐レーン1Cが空いていないと判定する。また、注文飲食物搬送装置10の制御装置は、分岐レーン1Cの終端部分に設けられた光学センサで分岐レーン1C上に何らの物体も検知していない場合、分岐レーン1Cが空いていると判定する。注文飲食物搬送装置10の制御装置は、搬送開始操作で指定された搬送先の客席テーブル5の分岐レーン1Cが空くまで、ステップS102の処理を繰り返し実行する。よって、搬送先の分岐レーン1Cが空いていない場合、分岐レーン1Cが空くまでは搬送開始が保留される。
【0030】
注文飲食物搬送装置10の制御装置は、ステップS102で肯定判定を行うと、皿9の搬送を開始する(S103)。すなわち、注文飲食物搬送装置10の制御装置は、ステップS102で肯定判定を行うと、厨房側ベルトコンベア1A1や客席側ベルトコンベア1B1、案内機構1Dを作動させて、厨房側搬送路1Aに置かれた一群の皿9の搬送を開始する。なお、「一群の皿9」とは、1回の搬送開始操作によって1つの搬送先へ搬送される一又は複数の皿9である。
【0031】
注文飲食物搬送装置10の制御装置は、ステップS103の処理を実行した後、厨房側搬送路1Aに置かれていた一群の皿9が厨房側搬送路1Aから客席側搬送路1Bへ乗り移ったか否かの判定を行う(S104)。注文飲食物搬送装置10の制御装置は、皿9が厨房側搬送路1Aから客席側搬送路1Bへ乗り移ったことの確認を、客席側搬送路1Bの厨房側搬送路1A付近に設けた光学センサに基づいて行う。すなわち、注文飲食物搬送装置10の制御装置は、客席側搬送路1Bの厨房側搬送路1A付近に設けた光学センサで物体を検知した後、何らの物体も検知しない時間が一定時間続くと、厨房側搬送路1Aに置かれていた一群の皿9が厨房側搬送路1Aから客席側搬送路1Bへ乗り移ったと判定する。
【0032】
注文飲食物搬送装置10の制御装置は、ステップS105で肯定判定を行うと、厨房側ベルトコンベア1A1を停止する。厨房側ベルトコンベア1A1が停止すると、厨房エリア3に居るスタッフ7は、次に搬送したい注文品の皿9を厨房側搬送路1Aに載せることが可能となる。そして、注文飲食物搬送装置10の制御装置は、再びステップS101以降の処理を実行する。
【0033】
図5は、注文飲食物搬送装置10の制御装置が実行する処理のフローチャートを示した第2の図である。注文飲食物搬送装置10の制御装置は、上述したステップS103の処理を実行すると、
図5に示すステップS201からステップS206までの一連の処理を他の処理に並列して実行する。
【0034】
すなわち、注文飲食物搬送装置10の制御装置は、ステップS103の処理を実行した
後、一群の皿9が搬送先の客席テーブル5の分岐レーン1Cの分岐点(目標分岐点)に接近しているか否かを判定する(S201)。注文飲食物搬送装置10の制御装置は、この判定を、客席側搬送路1Bの厨房側搬送路1A付近に設けた光学センサによって皿9を検知したタイミングからの経過時間に基づいて行う。客席側ベルトコンベア1B1は、皿9を既定の速度で搬送するので、皿9が厨房側搬送路1Aから客席側搬送路1Bへ乗り移ってから目標分岐点へ到着するまでの経過時間は分岐点毎に一意に定まる。よって、注文飲食物搬送装置10の制御装置は、皿9が厨房側搬送路1Aから客席側搬送路1Bへ乗り移ったタイミングを光学センサで検知すれば、一群の皿9が目標分岐点に接近するタイミングを特定することができる。
【0035】
注文飲食物搬送装置10の制御装置は、ステップS201で肯定判定を行うと、客席側搬送路1Bを移動している皿9の進路を変更する処理を開始する(S202)。すなわち、注文飲食物搬送装置10の制御装置は、ステップS201で肯定判定を行うと、目標分岐点にある進路変更機構1Eを作動させる。そして、皿9の進路を変更するためのガイド部材を客席側搬送路1B上に出す。これにより、客席側搬送路1Bを移動している皿9が目標分岐点で進路変更機構1Eにより分岐レーン1Cへ誘導される。
【0036】
注文飲食物搬送装置10の制御装置は、ステップS202の処理を実行した後、一群の皿9が全て分岐レーン1Cに乗り移ったか否かの判定を行う(S203)。注文飲食物搬送装置10の制御装置は、一群の皿9が客席側搬送路1Bから搬送先の分岐レーン1Cへ乗り移ったことの確認を、分岐レーン1Cの分岐点付近に設けた光学センサに基づいて行う。すなわち、注文飲食物搬送装置10の制御装置は、分岐レーン1Cの分岐点付近に設けた光学センサで物体を検知した後、何らの物体も検知しない時間が一定時間続くと、一群の皿9が客席側搬送路1Bから分岐レーン1Cへ乗り移ったと判定する。
【0037】
注文飲食物搬送装置10の制御装置は、ステップS203で肯定判定を行うと、皿9の進路を変更する処理を終了する(S204)。すなわち、注文飲食物搬送装置10の制御装置は、ステップS202で作動させた進路変更機構1Eを再び作動させ、客席側搬送路1B上に出していたガイド部材を客席側搬送路1B上から退避させる。
【0038】
注文飲食物搬送装置10の制御装置は、ステップS204の処理を実行した後、客席側搬送路1B上に他の一群の皿9があるか否かの判定を行う(S205)。例えば、ステップS101で搬送開始操作が行われて一群の皿9を特定の搬送先へ向けて搬送している最中に、他の一群の皿9が厨房側搬送路1Aに載せられてステップS101で搬送開始操作が行われると、客席側搬送路1B上に皿9が複数群存在し得る。このような場合、注文飲食物搬送装置10の制御装置は、ステップS205で肯定判定を下すことになる。
【0039】
注文飲食物搬送装置10の制御装置は、ステップS205で肯定判定を行った場合、ステップS201以降の処理を再び実行する。これにより、当該他の一群の皿9について、ステップS201からステップS204までの処理が行われ、当該他の一群の皿9に指定された搬送先の客席テーブル5の分岐レーン1Cへ搬送される。また、注文飲食物搬送装置10は、ステップS205で否定判定を行った場合、客席側ベルトコンベア1B1を停止する(S206)。
【0040】
<動作例>
注文飲食物搬送装置10は、制御装置が上記の処理フローを実行することにより、例えば、次のような動作を実現することができる。
図6は、皿9が搬送される様子を示した第1の図である。また、
図7は、皿9が搬送される様子を示した第2の図である。ここでは、第1群の皿9の搬送先に客席テーブル5Bが指定され、第2群の皿9の搬送先に客席テーブル5Cが指定された場合を例に説明する。
【0041】
第1群の皿9が厨房側搬送路1Aに載置され、スタッフ7が客席テーブル5Bを搬送先とする搬送開始操作を行うと、注文飲食物搬送装置10の制御装置は、ステップS101とステップS102で肯定判定を行い、ステップS103の処理を行う。そして、第1群の皿9が厨房側搬送路1Aから客席側搬送路1Bへ乗り移ると、注文飲食物搬送装置10の制御装置は、ステップS104で肯定判定を行い、ステップS105の処理を行う。すなわち、第1群の皿9を搬送していた厨房側ベルトコンベア1A1が停止する。これにより、厨房エリア3のスタッフ7は、
図6(A)に示されるように、次に搬送したい第2群の皿9を厨房側搬送路1Aへ載せることができる。
【0042】
第1群の皿9が客席側搬送路1B上を移動している間に第2群の皿9が厨房側搬送路1Aに載置され、スタッフ7が客席テーブル5Cを搬送先とする搬送開始操作を行うと、注文飲食物搬送装置10の制御装置は、ステップS101とステップS102で肯定判定を行い、ステップS103の処理を行う。すると、
図6(B)に示すように、厨房側搬送路1Aに載置された第2群の皿9が厨房側搬送路1Aから客席側搬送路1Bへ移動し始める。
【0043】
第1群の皿9と第2群の皿9が移動している間、注文飲食物搬送装置10の制御装置は、ステップS201からステップS206までの一連の処理を実行している。このため、客席側搬送路1B上を移動していた第1群の皿9が客席テーブル5Bに近づくと、ステップS201の処理で肯定判定が行われ、ステップS202の処理の実行により進路変更機構1EBが作動する。よって、第1群の皿9は、
図7(A)に示すように、客席側搬送路1Bから分岐レーン1CBへ乗り移る。また、客席側搬送路1B上を移動していた第2群の皿9が客席テーブル5Cに近づくと、ステップS201の処理で肯定判定が行われ、ステップS202の処理の実行により進路変更機構1ECが作動する。よって、第2群の皿9は、
図7(A)に示すように、客席側搬送路1Bから分岐レーン1CCへ乗り移る。また、第2群の皿9が厨房側搬送路1Aから客席側搬送路1Bへ乗り移った後は、注文飲食物搬送装置10の制御装置がステップS105の処理を実行して厨房側ベルトコンベア1A1を停止するため、厨房エリア3のスタッフ7は、
図7(A)に示されるように、次に搬送したい第3群の皿9を厨房側搬送路1Aへ載せることができる。
【0044】
第1群の皿9が全て客席側搬送路1Bから分岐レーン1CBへ乗り移ると、注文飲食物搬送装置10の制御装置は、ステップS203で肯定判定を行い、ステップS204の処理を実行する。これにより、
図7(B)に示すように、進路変更機構1EBのガイド部材が客席側搬送路1B上から退避した状態となる。また、第2群の皿9が全て客席側搬送路1Bから分岐レーン1CCへ乗り移ると、注文飲食物搬送装置10の制御装置は、ステップS203で肯定判定を行い、ステップS204の処理を実行する。これにより、
図7(B)に示すように、進路変更機構1ECのガイド部材が客席側搬送路1B上から退避した状態となる。
【0045】
<効果>
本実施形態の注文飲食物搬送装置10であれば、スタッフ7は、上記の動作例に示すように、搬送を開始した皿9が搬送先へ到着するのを待たずに、次に搬送する皿9の搬送開始操作を行うことができる。このため、スタッフ7は、注文品の皿9を間断無く用意して注文飲食物搬送装置10で搬送し続けることができる。これにより、スタッフ7は、従来よりも多くの注文品に対応することが可能となる。
【0046】
<変形例>
なお、注文飲食物搬送装置10は、上記の形態に限定されるものではない。注文飲食物搬送装置10は、例えば、厨房側搬送路1Aと客席側搬送路1Bを直線状に配置した形態
であってもよい。また、注文飲食物搬送装置10は、例えば、厨房側搬送路1Aと客席側搬送路1Bを店舗1内に複数組設けたものであってもよい。
【0047】
また、皿9同士の間隔が各群内で開き過ぎないように、厨房側ベルトコンベア1A1と客席側ベルトコンベア1B1を同じ速度で作動させることが好ましいが、注文飲食物搬送装置10は、これに限定されるものではない。注文飲食物搬送装置10は、厨房側ベルトコンベア1A1と客席側ベルトコンベア1B1を異なる速度で作動させるものであってもよい。
【0048】
また、上記の注文飲食物搬送装置10は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変形可能である。例えば、上記の注文飲食物搬送装置10は、案内機構1Dを省略してもよい。
【符号の説明】
【0049】
10・・注文飲食物搬送装置
1A・・厨房側搬送路
1B・・客席側搬送路
1C・・分岐レーン
1D・・案内機構
1E・・進路変更機構