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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142195
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】伝送システム及び送信装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/268 20060101AFI20241003BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20241003BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H04N5/268
H04N7/18 J
G09G5/00 555D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054256
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松上 寿樹
【テーマコード(参考)】
5C023
5C054
5C182
【Fターム(参考)】
5C023BA15
5C023CA01
5C023CA08
5C054CA04
5C054CC02
5C054EA03
5C054HA30
5C182AA02
5C182AA03
5C182AB25
5C182BA14
5C182BC02
5C182BC05
5C182BC11
(57)【要約】
【課題】大容量のデータ伝送に要する時間を短縮することが可能な伝送システムを提供すること。
【解決手段】本開示の伝送システムは、映像信号を送信可能な送信装置と、前記送信装置が送信した前記映像信号を受信可能な受信装置とを含むものであって、前記送信装置と前記受信装置との間で、前記映像信号を伝送する映像信号伝送手段と、前記送信装置と前記受信装置との間で、前記映像信号とは異なるデータ信号を伝送するデータ信号伝送手段と、前記映像信号と前記映像信号に重畳された前記データ信号の伝送を行う映像信号伝送モードと、前記映像信号の伝送を停止し前記データ信号の伝送を行うデータ信号伝送占有モードとを選択的に実行する伝送モード切替手段と、を含むものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号を送信可能な送信装置と、前記送信装置が送信した前記映像信号を受信可能な受信装置とを備える伝送システムであって、
前記送信装置と前記受信装置との間で、前記映像信号を伝送する映像信号伝送手段と、
前記送信装置と前記受信装置との間で、前記映像信号とは異なるデータ信号を伝送するデータ信号伝送手段と、
前記映像信号と前記映像信号に重畳された前記データ信号の伝送を行う映像信号伝送モードと、前記映像信号の伝送を停止し前記データ信号の伝送を行うデータ信号伝送占有モードとを選択的に実行する伝送モード切替手段と、を備える、
伝送システム。
【請求項2】
前記データ信号伝送占有モードにおけるデータ伝送は、前記送信装置から前記受信装置への同期信号の伝送を含む、
請求項1に記載の伝送システム。
【請求項3】
前記送信装置に通信可能に接続されたデータ格納装置と、
前記受信装置に通信可能に接続された制御装置と、をさらに備え、
前記送信装置と前記データ格納装置との間の前記データ信号の伝送と、前記受信装置と前記制御装置との間の前記データ信号の伝送と、前記送信装置と前記受信装置との間の前記データ信号の伝送とは、並行して実行可能である、
請求項1又は請求項2に記載の伝送システム。
【請求項4】
映像信号及び前記映像信号とは異なるデータ信号を送信可能な送信装置であって、
前記映像信号と前記映像信号に重畳された前記データ信号の伝送を行う映像信号伝送モードと、前記映像信号の伝送を停止し前記データ信号の伝送を行うデータ信号伝送占有モードとを選択的に実行する伝送モード切替手段を備える、
送信装置。
【請求項5】
前記伝送モード切替手段にそれぞれ電気的に接続された、前記映像信号を伝送する映像信号伝送手段及び前記データ信号を伝送するデータ信号伝送手段をさらに備える、
請求項4に記載の送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、伝送システム及び送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの装置の間で主に映像信号の送受信を実行する伝送システムでは、映像信号に並行して、映像信号以外のデータ信号(以下、単に「データ信号」という)の送受信を実行するものがある(例えば、下記特許文献1参照)。このような伝送システムは、例えば車両の周辺監視システムやドライブレコーダー、カーナビゲーションシステムのような、カメラと表示装置を有するものに適用され得る。
【0003】
下記特許文献1には、映像信号のブランキング領域にデータ信号を多重(重畳)する映像伝送システムが記載されている。この映像伝送システムにおいては、データ信号の優先順位に基づいてデータの多重処理や複合処理を実行している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-216533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のように、データ信号の伝送を、映像信号、具体的にはアナログ映像信号のブランキング領域で行う場合、単位時間あたりの伝送可能なデータ量はブランキング領域の長さに依存する。ここで、伝送システムが車両の周辺監視システム等の場合、一方の装置、例えばカメラにおける各種制御やファームウェアの更新、書き換え等を、他方の装置、例えば制御装置側から実行することが要求される。このうち、カメラの各種制御、例えば明るさ調整等は、データ容量が比較的少ないためブランキング領域を利用した伝送で問題なく処理できる。他方、ファームウェアの更新や書き換え等は、一連の処理に要するデータは、例えば100Kbyte程度と大容量になる場合がある。このような大容量のデータ伝送を上述したブランキング領域(以下、「映像ブランキング期間」ともいう)のみで送受信すると、データ伝送に多くの時間を要することになる。当該大容量のデータ伝送中は、他の処理の実行が制限されるため、大容量のデータ伝送に要する時間の短縮が求められる。
【0006】
本開示は、上記の事情を踏まえ、大容量のデータ伝送に要する時間を短縮することが可能な伝送システム及び送信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の伝送システムは、映像信号を送信可能な送信装置と、前記送信装置が送信した前記映像信号を受信可能な受信装置とを含むものであって、前記送信装置と前記受信装置との間で、前記映像信号を伝送する映像信号伝送手段と、前記送信装置と前記受信装置との間で、前記映像信号とは異なるデータ信号を伝送するデータ信号伝送手段と、前記映像信号と前記映像信号に重畳された前記データ信号の伝送を行う映像信号伝送モードと前記映像信号の伝送を停止し前記データ信号の伝送を行うデータ信号伝送占有モードとを選択的に実行する伝送モード切替手段と、を含むものである。
【0008】
上記課題を解決するために、本開示の送信装置は、映像信号及び前記映像信号とは異なるデータ信号を送信可能なものであって、前記映像信号と前記映像信号に重畳された前記データ信号の伝送を行う映像信号伝送モードと、前記映像信号の伝送を停止し前記データ信号の伝送を行うデータ信号伝送占有モードとを選択的に実行する伝送モード切替手段を含むものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、大容量のデータ伝送に要する時間を短縮することが可能な伝送システム及び送信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施の形態に係る伝送システムの一例を示した概略説明図である。
図2図1に示す伝送システムで実行される各伝送モードでの伝送信号の一例を示した図である。
図3図1に示す伝送システムの一変形例を示した概略説明図である。
図4図3に示す伝送システムにおいてファームウェアの更新データの伝送を実行した場合の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本開示を実施するための各実施の形態について説明する。なお、以下では本開示の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本開示の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。また、図中の互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。さらに、一の図面中に互いに同一又は相当する部材が複数個含まれている場合には、図を見易くするために、そのうちのいくつかにのみ符号を付している場合がある。
【0012】
図1は、本開示の一実施の形態に係る伝送システムの一例を示した概略説明図である。本実施の形態に係る伝送システム1は、装置間で映像信号の伝送を行うことが可能なシステム、例えば車載式のカーナビゲーションシステムを構成するシステムとすることができる。この伝送システム1は、図1に示すように、送信装置10と受信装置20とを含む。また、この送信装置10と受信装置20との間は、伝送ケーブル2で接続されることで通信可能となっていてよい。なお、送信装置10と受信装置20との間の通信は、伝送ケーブル2に代えて無線通信によって実現されていてもよい。また、図1中では、各信号の経路の理解を容易にするために、アナログ映像信号VSの送信経路を示す矢印を太字の実線で、データ信号DSの送受信経路を示す矢印を太字の点線でそれぞれ示している。
【0013】
送信装置10は、例えばカメラモジュールであってよい。この送信装置10は、イメージセンサ15を含んでいてよく、当該イメージセンサ15が撮像した撮像画像を構成する映像信号、例えばアナログ映像信号VSを受信装置20へ送信することができるものであってよい。
【0014】
イメージセンサ15は、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサといった撮像素子を含んでいてよい。
【0015】
また、送信装置10は、その内部に送信装置10内の各種制御を行うための送信側制御システム11を含む。この送信側制御システム11は、送信側主制御部12と、映像信号伝送手段の一例としての映像送信回路13と、データ信号伝送手段の一例としての送信側データ送受信回路14と、を含んでいてよい。
【0016】
送信側主制御部12は、少なくとも、送信装置10と受信装置20の間の信号伝送に関する制御を行うことが可能なものであって、プロセッサ等によって実現することができるものである。加えて、この送信側主制御部12は、イメージセンサ15による撮像動作を制御することが可能なものであってよい。この送信側主制御部12は、送信装置10と受信装置20の間の各種信号の伝送モードを切り替えることが可能なモード切替部12Aを含んでいてよい。したがって、本実施の形態に係る送信側主制御部12は、伝送モード切替手段の一例に相当する。この送信側主制御部12は、例えばISP(Image Signal Processor)のようなプロセッサにより実現することができる。
【0017】
送信装置10で実行可能な伝送モードには、アナログ映像信号VSとアナログ映像信号VSに重畳されたデータ信号DSの伝送を行う映像信号伝送モードM1と、アナログ映像信号VSの伝送を停止しデータ信号DSの伝送を行うデータ信号伝送占有モードM2とが含まれる。送信側主制御部12では、上述した映像信号伝送モードM1とデータ信号伝送占有モードM2のいずれかを選択的に切り替えて実行することができるものである。
【0018】
映像送信回路13は、イメージセンサ15が撮像した撮像画像を、伝送ケーブル2を介して受信装置20へ送信するための回路とすることができる。また、送信側データ送受信回路14は、後述する受信側データ送受信回路24と協働して、データ信号DS、例えばカメラの各種制御信号や後述するデータ格納装置30内のファームウェアの更新あるいは書き換えのためのデータを、伝送ケーブル2を介して受信装置20との間で送受信するための回路である。映像送信回路13及び送信側データ送受信回路14は、送信側主制御部12からの制御信号に基づいて切り替えて実行される動作モードが設定されていてよい。なお当該動作モードの詳細については後述する。
【0019】
本実施の形態に係る伝送システム1は、送信装置10の制御に必要なデータや、送信装置10で生成されたアナログ映像信号VS等を格納することが可能なデータ格納装置30をさらに含んでいてよい。このデータ格納装置30は、送信装置10に通信可能に接続され、フラッシュメモリ等に代表される外付けのストレージで構成することができる。データ格納装置30は、例えばI2C(Inter-Integrated Circuit)のようなシリアルバスを介して送信側データ送受信回路14に接続されていてよい。そして、データ格納装置30は、内部にファームウェアが搭載されたものであってよい。
【0020】
受信装置20は、例えばディスプレイ26を備えたナビゲーション装置であってよい。この受信装置20は、送信装置10から送信されたアナログ映像信号VSをディスプレイ26に表示可能な画像に変換して表示することができるものであってよい。また、本実施の形態に係る伝送システム1は、この受信装置20に通信可能に接続された制御装置40をさらに含んでいてよい。
【0021】
ディスプレイ26は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、LCD)や有機ELディスプレイ(Organic Electro-Luminescent Display、OELD)といった周知の表示手段で構成することができる。このディスプレイ26には、送信装置10で撮像された撮像画像、例えば伝送システム1が実装された車両の周囲画像等が表示され得る。
【0022】
また、受信装置20は、その内部に受信装置20内の各種制御を行うための受信側制御システム21を含む。受信側制御システム21は、受信側主制御部22と、映像信号伝送手段の一例としての映像受信回路23と、データ信号伝送手段の一例としての受信側データ送受信回路24と、映像処理回路25とを含んでいてよい。
【0023】
受信側主制御部22は、例えば伝送システム1全体の制御を行うための制御手段であって、プロセッサ等によって実現することができるものである。より詳しくは、この受信側主制御部22は、受信側制御システム21内の各種回路に制御信号を送信することが可能なものであってよい。また、この受信側主制御部22は、制御装置40に例えばシリアルバスを介して接続されていてよい。
【0024】
制御装置40は、例えばMCU(Micro Controller Unit)といったプロセッサで主に構成することができる。この制御装置40は、カメラモジュールの制御情報やファームウェアの更新又は書き換えに関する情報等を、例えばI2CあるいはSPI(Serial Peripheral Interface)といったシリアル通信データの形式で受信側主制御部22に送信することができるものであってよい。
【0025】
映像受信回路23は、映像送信回路13から伝送ケーブル2を介して送信されたアナログ映像信号VSを受信するための回路である。また、映像処理回路25は、映像受信回路23が受信したアナログ映像信号VSに基づいてディスプレイ26に表示可能な撮像画像を生成するものである。また、受信側データ送受信回路24は、送信側データ送受信回路14と協働して、データ信号DSを送信装置10との間で送受信するための回路である。
【0026】
上述した構成を含む伝送システム1では、データ格納装置30内のファームウェアの更新等といった大容量のデータ伝送を必要とする場合の伝送時間を短縮するために、2つの伝送モードを採用している。以下には、本実施の形態に係る伝送システム1で実行される2つの伝送モードについて説明する。
【0027】
図2は、図1に示す伝送システムで実行される各伝送モードで伝送される信号の一例を示した図であって、図2(A)は映像信号伝送モードにおいて伝送される信号のうちの2フレーム分の信号を示し、図2(B)はデータ信号伝送占有モードにおいて伝送される信号のうちの2フレーム分の信号を示したものである。本実施の形態においては、伝送モードの切り替えは送信側主制御部12内のモード切替部12Aからの信号に基づいて実行される。なお、モード切り替えを実行するタイミングは、伝送システム1を構成する他の構成要素、具体的には制御装置40からの情報等に基づいて決定するとよい。
【0028】
モード切替部12Aにより映像信号伝送モードM1が選択された場合は、モード切替部12Aからの制御信号を受信した映像送信回路13及び送信側データ送受信回路14において、対応する動作モードが選択され実行される。具体的には、映像送信回路13は、モード切替部12Aから映像信号伝送モードM1が選択された旨の制御信号を受信すると、通常伝送モードで動作し、アナログ映像信号VSの伝送を実行する。同じく、送信側データ送受信回路14は、モード切替部12Aから映像信号伝送モードM1が選択された旨の制御信号を受信すると、通常伝送モードで動作し、アナログ映像信号VSにデータ信号DSを重畳させることで、データ信号DSの伝送を実行する。
【0029】
映像送信回路13及び送信側データ送受信回路14が上述のように動作した際の送信装置10と受信装置20との間の伝送信号は、図2(A)に示したようなものとなる。すなわち、1フレーム中のアクティブ期間APにはアナログ映像信号VSが送信され、アナログ映像信号VSが送信されない映像ブランキング期間(例えば垂直ブランキング期間)BPにはデータ信号DSの送受信が実行される。なお、映像信号伝送モードM1中に伝送されるデータ信号DSは、送信装置10としてのカメラの明るさ調整など、数コマンド程度のデータ伝送が主に想定される。
【0030】
他方、モード切替部12Aによりデータ信号伝送占有モードM2が選択された場合は、上述の場合と同様に、モード切替部12Aからの制御信号を受信した映像送信回路13及び送信側データ送受信回路14において、対応する動作モードが選択され実行される。具体的には、映像送信回路13は、モード切替部12Aからデータ信号伝送占有モードM2が選択された旨の制御信号を受信すると、伝送停止モードで動作し、アナログ映像信号VSの伝送を停止する。同じく、送信側データ送受信回路14は、モード切替部12Aからデータ信号伝送占有モードM2が選択された旨の制御信号を受信すると、伝送占有モードで動作し、データ信号DSの伝送を全期間にわたって継続して実行する。
【0031】
映像送信回路13及び送信側データ送受信回路14が上述のように動作した際の送信装置10と受信装置20との間の伝送信号は、図2(B)に示したようなものとなる。すなわち、1フレーム中の全ての期間でデータ信号DSの送受信のみが実行される。
【0032】
上述したデータ信号伝送占有モードM2では、実行中はアナログ映像信号VSの送信が停止するため、制御装置40からデータ格納装置30内のファームウェアの更新のためのデータを取得した場合等、大容量のデータ伝送が必要な場合にのみ実行されるものとするとよい。したがって、データ信号伝送占有モードM2への切り替えは、受信装置20からの情報等に基づいて一時的に実行されるものとするとよい。
【0033】
本実施の形態に係る伝送システム1及び送信装置10は、上述したデータ信号伝送占有モードM2を採用したことにより、大容量のデータ伝送が必要な場合にはアナログ映像信号VSを一時的に停止することで速やかにデータ伝送を完了させることができる。したがって、大容量のデータ伝送に要する時間を短縮でき、伝送システム1の他の処理への影響を抑制することができる。
【0034】
加えて、データ信号伝送占有モードM2は、必要なデータ伝送が完了した際は速やかに映像信号伝送モードM1に切り替わるとよい。ここで、上述した2つのモードの切り替えをスムーズに実行するために、データ信号伝送占有モードM2中に、送信装置10から受信装置20へ、アナログ映像信号VSの読み出しタイミングを受信装置20に伝えるための同期信号を伝送するとよい。当該同期信号は、例えば映像送信回路13から送信側データ送受信回路へ同期情報SIを送信することにより、送信側データ送受信回路14にて生成することができる。このように、データ信号伝送占有モードM2中に同期信号の伝送を行っておくことにより、データ信号伝送占有モードM2から映像信号伝送モードM1に復帰した際に、映像処理回路25内での処理がスムーズに実行でき、速やかにディスプレイ表示を再開することができる。
【0035】
本開示の伝送システム1及び送信装置10は、上述した実施の形態に限定されず、その機能を維持し得る範囲において、適宜変更が可能である。そこで以下には、上述した一実施の形態の一変形例を説明する。
【0036】
図3は、図1に示す伝送システムの一変形例を示した概略説明図である。本変形例に係る伝送システム1Aは、図3に示すように、データ信号DSの伝送をさらに効率化するための構成を追加している点でのみ、上述した一実施の形態の伝送システム1と異なる。そこで以下には、本変形例に係る伝送システム1Aのうち、一実施の形態に係る伝送システム1と異なる構成部分を中心に説明し、一実施の形態に係る伝送システム1と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略するものとする。
【0037】
本変形例に係る伝送システム1Aは、図3に示すように送信装置10A内の送信側制御システム11Aは、送信側データ送受信回路14にて受信したデータ信号を少なくとも一時的に格納可能な送信側バッファ16及び送信側レジスタ17をさらに含んでいてよい。
【0038】
送信側バッファ16は、送信側データ送受信回路14が受信したデータ信号のうち、データ格納装置30で利用されるデータを一時的に格納するための記憶領域であってよい。送信側バッファ16は、図示しない複数(例えば2個)のメモリにより実現することができる。また、送信側バッファ16は、その記憶領域が複数、例えばメモリ毎に2つに分割されていてよく、以下では、2つに分割された記憶領域をそれぞれ第1の送信側バッファ16A及び第2の送信側バッファ16Bと呼ぶものとする。送信側バッファ16に一時的に格納されるデータとしては、例えばデータ格納装置30のファームウェアの更新データであってよい。
【0039】
送信側レジスタ17は、送信側データ送受信回路14が受信したデータ信号のうち、送信側主制御部12にて参照されるデータを一時的に格納するための記憶領域であってよい。送信側レジスタ17は、例えば送信側主制御部12を構成するプロセッサの一部を用いて実現できる。この送信側レジスタ17に一時的に格納されるデータとしては、例えばモード切替に関する情報であってよい。
【0040】
また、本変形例に係る伝送システム1Aの受信装置20A内の受信側制御システム21Aは、制御装置40から送信されるデータ信号等を少なくとも一時的に格納可能な受信側バッファ27及び受信側レジスタ28をさらに含んでいてよい。
【0041】
受信側バッファ27は、制御装置40から送信されるデータ信号DSを一時的に格納するための記憶領域であってよい。受信側バッファ27は、図示しない複数(例えば2個)のメモリにより実現することができる。また、受信側バッファ27は、その記憶領域が複数、例えばメモリ毎に2つに分割されていてよく、以下では、2つに分割された記憶領域をそれぞれ第1の受信側バッファ27A及び第2の受信側バッファ27Bと呼ぶものとする。
【0042】
受信側レジスタ28は、制御装置40から受信側主制御部22に送信される各種制御信号を一時的に格納するための記憶領域であってよい。受信側レジスタ28は、例えば受信側主制御部22を構成するプロセッサの一部を用いて実現できる。
【0043】
本変形例に係る伝送システム1Aにおいては、主に送信側バッファ16及び受信側バッファ27を採用したことにより、データ格納装置30と送信装置10A(より詳しくは送信側制御システム11A)の間のデータ信号の伝送(以下、「第1のデータ伝送」という)DT1と、制御装置40と受信装置20A(より詳しくは受信側制御システム21A)の間のデータ信号の伝送(以下、「第2のデータ伝送」という)DT2と、送信装置10Aと受信装置20Aとの間のデータ信号の伝送(以下、「第3のデータ伝送」という)DT3とを並行して実行可能である。以下には、この点を詳しく説明するために、データ伝送を行う際の一連のプロセスの一例として、伝送システム1Aにてデータ格納装置30のファームウェアの更新を実行する場合のプロトコルの一例を説明する。
【0044】
図4は、図3に示す伝送システムにおいてファームウェアの更新データの伝送を実行した場合の一例を示すシーケンス図である。伝送システム1Aが通常動作を実行しているとき、すなわち映像信号伝送モードM1で動作中に、制御装置40がデータ格納装置30のファームウェアの更新情報を取得すると、データ伝送のための一連のプロセスが実行される。詳しくは、図4に示すように、先ず、制御装置40が、受信側制御システム21Aへデータ格納装置30への書き込み要求を送信する(工程S1)。データ格納装置30への書き込み要求を受信した受信側制御システム21Aは、送信側制御システム11Aが当該要求に基づく書き込み動作が可能か否かを確認する(工程S2)と共に、制御装置40へ受領通知(図4中の点線矢印参照。以下同様)を返信する。
【0045】
受信側制御システム21Aにおいて送信側制御システム11Aでの書き込み動作が可能であることが確認できると、受信側制御システム21Aは、その旨を制御装置40に通知する(工程S3)。そして、当該通知を受信した制御装置40は、次にデータ信号伝送占有モードM2に切り替えるための制御信号を受信側制御システム21Aへ送信する(工程S4)。受信側制御システム21Aは、当該制御信号を送信側制御システム11Aへ送信する(工程S5)と共に、制御装置40へ受領通知を返信する。
【0046】
受信側制御システム21Aからデータ信号伝送占有モードM2に切り替えるための制御信号を受信した送信側制御システム11Aは、当該制御信号を、送信側レジスタ17を介して送信側主制御部12に送信し、モード切り替えを実行する。当該モード切替によって映像信号伝送モードM1からデータ信号伝送占有モードM2への切り替えが完了すると、送信側制御システム11Aはその旨を受信側制御システム21Aへ送信する(工程S6)。受信側制御システム21Aは、制御装置40へデータ信号伝送占有モードM2への切り替えが完了した旨を通知する(工程S7)。
【0047】
データ信号伝送占有モードM2への切り替えが完了した旨の通知を受信した制御装置40は、次に、イメージセンサ15の停止設定及びデータ格納装置30への書き込み設定に関する制御信号を受信側制御システム21Aへ送信する(工程S8)。当該制御信号を受信した受信側制御システム21Aは、受信した制御信号を送信側制御システム11Aへ送信(第3のデータ伝送DT3に相当)する(工程S9)と共に、制御装置40へ受領通知を返信する。
【0048】
送信側制御システム11Aは、受信した制御信号に基づいて、イメージセンサ15を停止すると共に、データ格納装置30への書き込み準備を行い、いずれもが完了すると、その旨を受信側制御システム21Aへ通知する(工程S10)。ここで、制御装置40は、工程S8の実行時に取得した受領通知をトリガとして、受信側バッファ27へ、データ格納装置30のファームウェアの更新データの一部を構成するデータ信号DSの書き込み動作(第2のデータ伝送DT2に相当)を実行する(工程S11)。当該書き込みは、受信側バッファ27のうちの第1の受信側バッファ27Aに対して実行される。なお、ここでは制御装置40による動作を、受領通知をトリガとして実行するものを例示しているが受領通知を行うことに代えて、受信側制御システム21Aのステータス情報が格納される受信側レジスタ28を制御装置40が監視することで次の動作の実行タイミングを特定するようにしてもよい。
【0049】
工程S10において、送信側制御システム11Aよりイメージセンサ15の停止及びデータ格納装置30への書き込み準備が完了した旨の通知を受信した受信側制御システム21Aは、その旨を制御装置40へ通知する(工程S12)。当該通知を受信した制御装置40は、事前に工程S11において第1の受信側バッファ27Aに書き込まれたデータ信号DSの送信側制御システム11Aへの伝送を開始するよう受信側制御システム21Aへ要求する(工程S13)。このように、本変形例に係る伝送システム1Aでは、第2のデータ伝送DT2を含む工程S11を、第3のデータ伝送DT3を含む工程S9及びS10と並行して実行するため、各データ伝送に要する時間を短縮することができる。
【0050】
データ信号DSの伝送開始の要求を受信した受信側制御システム21Aは、第1の受信側バッファ27Aに書き込まれたデータ信号DSの送信側制御システム11Aへの伝送を開始する(工程S14)。このとき、伝送モードはデータ信号伝送占有モードM2に設定されているため、伝送されるデータ信号DSは継続して伝送される。加えて、制御装置40は、工程S13の実行時に取得した受領通知をトリガとして、受信側バッファ27へ、データ格納装置30のファームウェアの更新データの一部を構成するデータ信号DSの書き込み動作(第2のデータ伝送DT2に相当)を実行する(工程S15)。当該書き込みは、受信側バッファ27のうち、工程S14において読み出し動作が実行されていない側のバッファ、すなわち第2の受信側バッファ27Bに対して実行される。
【0051】
工程S14において送信側制御システム11Aへ伝送されたデータ信号DSは、送信側バッファ16内に一時的に格納される。このときのデータ信号DSの格納先は、送信側バッファ16のうち、第1の送信側バッファ16Aであってよい。データ信号DSの第1の送信側バッファ16Aへの格納が完了すると、送信側制御システム11Aはその旨を受信側制御システム21Aへ通知する(工程S16)。また、この工程S15と並行して、第1の送信側バッファ16Aに格納されたデータ信号DSは、データ格納装置30に送られて読込動作(第1のデータ伝送DT1に相当)が実行される(工程S17)。この場合は、第1のデータ伝送DT1、第2のデータ伝送DT2及び第3のデータ伝送DT3の3つが並行して実施されていてよい。各データ伝送は、いずれも各処理で利用される構成要素が異なるため、互いに影響を及ぼすことなく実行することが可能である。
【0052】
工程S16において、送信側制御システム11Aよりデータ信号DSの第1の送信側バッファ16Aへの格納が完了した旨の通知を受信した受信側制御システム21Aは、その旨を制御装置40へ通知する(工程S18)。当該通知を受信した制御装置40は、事前に工程S15において第2の受信側バッファ27Bに書き込まれたデータ信号DSの送信側制御システム11Aへの伝送を開始するよう受信側制御システム21Aへ要求する(工程S19)。この場合も、本変形例に係る伝送システム1Aでは、第2のデータ伝送DT2を含む工程S15を、第3のデータ伝送DT3を含む工程S14及びS15、及び第1のデータ伝送DT1を含む工程S16と並行して実行されているため、第2の受信側バッファ27Aへの書き込み動作の完了を待つ必要が実質的にない。
【0053】
上述したデータ信号DSの伝送開始の要求を受信した受信側制御システム21Aは、第2の受信側バッファ27Bに書き込まれたデータ信号DSの送信側制御システム11Aへの伝送を開始する(工程S20)。加えて、制御装置40は、工程S19の実行時に取得した受領通知をトリガとして、受信側バッファ27へ、データ格納装置30のファームウェアの更新データの一部を構成するデータ信号DSの書き込み動作(第2のデータ伝送DT2に相当)を実行する(工程S21)。当該書き込みは、受信側バッファ27のうち、工程S20において読み出し動作が実行されていない側のバッファ、すなわち第1の受信側バッファ27Aに対して実行される。上述の場合にも、各データ伝送が並行して実施され得るが、詳細は上述した内容に準ずるものであるため、これ以降ではその説明を省略する。
【0054】
工程S20において送信側制御システム11Aへ伝送されたデータ信号DSは、送信側バッファ16内に一時的に格納される。このときのデータ信号DSの格納先は、送信側バッファ16のうち、第2の送信側バッファ16Bであってよい。データ信号DSの第2の送信側バッファ16Bへの格納が完了すると、送信側制御システム11Aはその旨を受信側制御システム21Aへ通知する(工程S22)。また、この工程S22と並行して、第2の送信側バッファ16Bに格納されたデータ信号DSは、データ格納装置30に送られて読込動作(第1のデータ伝送DT1に相当)が実行される(工程S23)。
【0055】
工程S23を実施した後は、上述した工程S12~S23を、ファームウェアの更新に必要なデータの伝送が完了するまで繰り返し実行すればよい。そして、ファームウェアの更新に必要なデータ伝送がすべて完了した旨の通知を制御装置40が受け取った際は、制御装置40からデータ信号伝送占有モードM2から映像信号伝送モードM1へ切り替えるための制御信号を受信側制御システム21Aへ送信する(工程S24)。そして、受信側制御システム21Aは、当該制御信号を送信側制御システム11Aへ送信する(工程S25)。
【0056】
受信側制御システム21Aから映像信号伝送モードM1に切り替えるための制御信号を受信した送信側制御システム11Aは、当該制御信号を送信側レジスタ17を介して送信側主制御部12に送信し、モード切り替えを実行する。当該モード切替によってデータ信号伝送占有モードM2から映像信号伝送モードM1への切り替えが完了すると、送信側制御システム11Aはその旨を受信側制御システム21Aへ送信する(工程S26)。そして最後に、受信側制御システム21Aは、制御装置40へ映像信号伝送モードM1への切り替えが完了した旨を通知して(工程S27)一連のプロセスを終了する。
【0057】
以上説明した通り、本変形例に係る伝送システム1Aにおいては、送信側バッファ16及び受信側バッファ27を採用することで、第1のデータ伝送DT1と、第2のデータ伝送DT2と、第3のデータ伝送DT3とを並行して実行することができる。これは、上述した第1乃至第3のデータ伝送DT1~DT3が、その処理で用いられる構成要素が重複していないため、他のデータ伝送へ影響を及ぼすことがないためである。上述した構成により、本変形例に係る伝送システム1Aにおいては、大容量のデータ伝送が必要な場合においてもそのデータ伝送に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0058】
本開示は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本開示の技術思想に含まれるものである。また、本開示において、各構成要素は、矛盾が生じない限りは1つのみ存在しても2つ以上存在してもよい。
【符号の説明】
【0059】
1、1A 伝送システム
2 伝送ケーブル
10、10A 送信装置
11、11A 送信側制御システム
12 送信側主制御部(伝送モード制御手段の一例)
13 映像送信回路(映像信号伝送手段の一例)
14 送信側データ送受信回路(データ信号伝送手段の一例)
15 イメージセンサ
20、20A 受信装置
21、21A 受信側制御システム
22 受信側主制御部
23 映像受信回路(映像信号伝送手段の一例)
24 受信側データ送受信回路(データ信号伝送手段の一例)
25 映像処理回路
26 ディスプレイ
30 データ格納装置
40 制御装置
VS アナログ映像信号
DS データ信号
AP アクティブ期間
BP 映像ブランキング期間
SI 同期情報
図1
図2
図3
図4