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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142196
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】共振周波数調整回路
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/20 20160101AFI20241003BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20241003BHJP
【FI】
H02J50/20
H02J50/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054257
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 照輝
(57)【要約】
【課題】電力不足に陥ることなく、誤差を考慮して予め定められた値を小さくすることができる共振周波数調整回路を提供することを目的とする。
【解決手段】共振周波数調整回路10は、アンテナキャパシタ25を含み、外部から印加された磁界を交流電力として受信する共振回路20と、交流電力から変換された直流電力を測定する測定回路40と、を含む。共振回路20は、直流電力の最大測定値に対応する容量を、アンテナキャパシタ25の容量として設定する。測定回路40は、不揮発メモリ80から補正値を読み出す読み出し電力より、最大測定値から第1誤差を減算した第1測定値が大きいか否かを判定する。そして、測定回路40は、読み出し電力より第1測定値が大きい場合は不揮発メモリ80から補正値を読み出し、補正値に基づいた第1誤差の補正により低減された第2誤差を最大測定値から減算した第2測定値が最大使用値より大きいか否かを判定する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャパシタを含み、外部から印加された磁界を交流電力として受信する共振回路と、
前記交流電力から変換された直流電力を測定する測定回路と、
を含み、
前記共振回路は、前記直流電力の最大測定値に対応する容量を、前記キャパシタの容量として設定し、
前記測定回路は、
記憶部から補正値を読み出す読み出し電力より、前記最大測定値から予め定められた第1誤差を減算した第1測定値が大きいか否かを判定し、
前記読み出し電力より前記第1測定値が大きい場合は前記記憶部から前記補正値を読み出し、前記補正値に基づいた前記第1誤差の補正により低減された第2誤差を前記最大測定値から減算した第2測定値が、前記直流電力によって動作する機器が使用する電力の最大使用値より大きいか否かを判定する、
共振周波数調整回路。
【請求項2】
前記共振回路は、前記読み出し電力に第1誤差を加算した値より大きく、かつ、前記最大使用値に前記第2誤差を加算した値より大きな前記最大測定値に対応する容量を、前記キャパシタの容量として設定する、請求項1に記載の共振周波数調整回路。
【請求項3】
前記測定回路は、前記読み出し電力に第1誤差を加算した値より大きく、かつ、前記最大使用値に前記第2誤差を加算した値より大きな値を測定するまで、前記最大測定値の測定を繰り返す、請求項1に記載の共振周波数調整回路。
【請求項4】
前記読み出し電力は前記最大使用値より小さな値である、請求項1に記載の共振周波数調整回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、共振周波数調整回路に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1交流電力を受電する第1共振器と、第1交流電力を第1直流電力に変換して負荷に供給する受電回路とを備えた受電装置に対して非接触方式で第1交流電力を送電する送電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-007124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
共振回路のアンテナを共振周波数に調整するため、測定回路は、誤差を考慮して、直流電力の最大測定値から予め定められた値を減算した値が、当該直流電力によって動作する機器が使用する電力の最大使用値より大きいか否かを判定する。言い換えると、最大測定値は、最大使用値に上記予め定められた値を加算した値より大きい必要がある。直流電力は、共振回路が受信した交流電力から変換された電力であるため、この予め定められた値を小さくすればするほど、共振回路からより離れた場所から機器を動作させることができる。
【0005】
予め定められた値を小さくするためには、記憶部から補正値を読み出し、測定回路を補正することで当該予め定められた値が低減される。そのため、補正値を記憶部から読み出す読み出し電力が必要である。しかし、アンテナが共振周波数に調整されていないと、取得できる電力が小さい。そのため、アンテナを共振周波数に調整する前に記憶部から補正値を読み出すと、電力不足に陥る可能性がある。したがって、アンテナを共振周波数に調整する前に上記予め定められた値を小さくすることはできなかった。
【0006】
本開示は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、電力不足に陥ることなく、上記予め定められた値を小さくすることができる共振周波数調整回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係る共振周波数調整回路は、キャパシタを含み、外部から印加された磁界を交流電力として受信する共振回路と、前記交流電力から変換された直流電力を測定する測定回路と、を含み、前記共振回路は、前記直流電力の最大測定値に対応する容量を、前記キャパシタの容量として設定し、前記測定回路は、記憶部から補正値を読み出す読み出し電力より、前記最大測定値から予め定められた第1誤差を減算した第1測定値が大きいか否かを判定し、前記読み出し電力より前記第1測定値が大きい場合は前記記憶部から前記補正値を読み出し、前記補正値に基づいた前記第1誤差の補正により低減された第2誤差を前記最大測定値から減算した第2測定値が、前記直流電力によって動作する機器が使用する電力の最大使用値より大きいか否かを判定する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、電力不足に陥ることなく、誤差を考慮して予め定められた値を小さくすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】従来技術に係る共振周波数調整回路のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2】従来技術に係る共振周波数調整回路における調整処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図3】第1測定値と最大使用値との比較の説明に供する模式図である。
図4】共振周波数調整回路における測定処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図5】共振周波数調整回路における受信処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図6】共振周波数調整回路における送信処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図7】本開示の実施形態に係る共振周波数調整回路のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図8】本開示の実施形態に係る共振周波数調整回路における調整処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図9】第1測定値と読み出し電力との比較の説明に供する模式図である。
図10】最初の判定における従来技術と本開示の実施形態との比較の説明に供する図である。
図11】第2測定値と最大使用値との比較の説明に供する模式図である。
図12】従来技術における最初の判定と本開示の実施形態における2回目の判定との比較の説明に供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0011】
まず、本開示の実施形態を説明する前に、従来技術に係る共振周波数調整回路10について説明する。
【0012】
図1に従来技術に係る共振周波数調整回路10の概略構成を示す。図1に示すように、従来技術に係る共振周波数調整回路10は、機器100に内蔵されている。なお、共振周波数調整回路10は、機器100とは別体で構成されていてもよい。機器100は、共振周波数調整回路10に印加された磁界から取り出された直流電力によって動作する機器である。
【0013】
図1に示すように、従来技術に係る共振周波数調整回路10は、共振回路20、整流回路30、測定回路40、決定回路50、変復調回路60、CPU(Central Processing Unit)70、及び記憶部としての不揮発メモリ80を備える。
【0014】
共振回路20は、アンテナインダクタ21と、当該アンテナに接続されたキャパシタとしてのアンテナキャパシタ25とを含む。
【0015】
アンテナキャパシタ25は容量を変更可能である。例えば、アンテナキャパシタ25の形式として、複数のキャパシタを並列に接続し、スイッチ切り換えによって容量を変更する形式等を適用できる。しかし、アンテナキャパシタ25の形式は、この例に限定されるものではない。
【0016】
整流回路30は、交流電力を直流電力に変換する。
【0017】
測定回路40は、直流電力を測定する。
【0018】
決定回路50は、直流電力の測定値に対応するアンテナキャパシタ25の容量を決定する。
【0019】
変復調回路60は、信号に対して変調及び復調を行う。
【0020】
CPU70は不揮発メモリ80から読み出したプログラムに従ってデータを処理する。
【0021】
不揮発メモリ80は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)である。不揮発メモリ80は、CPU70がデータを処理するためのプログラムを記憶している。
【0022】
次に、従来技術に係る共振周波数調整回路10の機能構成を説明する。
【0023】
共振回路20は、共振周波数調整回路10の外部から印加された磁界を交流電力として受信する。そして、共振回路20は、受信した交流電力を整流回路30に出力する。
【0024】
また、共振回路20は、後述する測定回路40が測定する直流電力の最大測定値であって、機器100が使用する電力の最大値である最大使用値に、予め定められた第1誤差を加算した値より大きな値に対応する容量を、アンテナキャパシタ25の容量として設定する。なお、第1誤差は、測定回路40の測定誤差に基づいて、共振周波数調整回路10の使用者等によって予め定められている。
【0025】
また、共振回路20は、アンテナインダクタ21と、アンテナキャパシタ25とを介して電波を受信する。そして、共振回路20は受信した電波の受信波を変復調回路60に出力する。また、共振回路20は、アンテナインダクタ21と、アンテナキャパシタ25とを介して、後述する変復調回路60から出力された送信波に係る電波を外部に送信する。
【0026】
整流回路30は、共振回路20から出力された交流電力を直流電力に変換する。上述したように、当該直流電力によって機器100は動作する。整流回路30は、変換した直流電力を測定回路40に出力する。
【0027】
測定回路40は、交流電力から変換された直流電力の最大測定値を測定する。具体的に、測定回路40は、最大測定値を測定するまで、直流電力の測定を繰り返す。そして、測定回路40は、最大測定値を決定回路50に出力する。
【0028】
また、測定回路40は、測定した最大測定値から第1誤差を減算した第1測定値が最大使用値より大きいか否かを判定する。言い換えると、測定回路40は、測定した最大測定値が、最大使用値に第1誤差を加算した値より大きいか否かを判定する。
【0029】
決定回路50は、測定回路40から出力された最大測定値に対応するアンテナキャパシタ25の容量を決定する。そして、決定回路50は、決定した容量を共振回路20に出力する。
【0030】
変復調回路60は共振回路20から出力された受信波を復調(言い換えると、検波)する。そして、変復調回路60は復調した復調データをCPU70に出力する。また、変復調回路60は、後述するCPU70から出力された送信データを送信波に変調する。そして、変復調回路60は変調した送信波を共振回路20に出力する。
【0031】
CPU70は変復調回路60から出力された復調データを処理する。具体的に、CPU70は不揮発メモリ80から読み出したプログラムに沿って復調データを処理する。そして、CPU70は復調データの処理結果を不揮発メモリ80に格納する。
【0032】
また、CPU70は送信データの内容を決定する。そして、CPU70は送信データの内容を変復調回路60に出力する。
【0033】
次に、図2を参照して、従来技術に係る共振周波数調整回路10における調整処理の流れについて説明する。
【0034】
図2のステップS100において、共振回路20、整流回路30、及び測定回路40は、測定処理を実行する。測定処理については図4を用いて詳細を後述する。
【0035】
ステップS102において、測定回路40は、ステップS100において測定した直流電力の測定値が、本調整処理の実行中に測定した全ての直流電力の測定値の中で最も大きいか否かを判定する。測定回路40は、ステップS100において測定した直流電力の測定値が全ての直流電力の測定値の中で最も大きい場合(ステップS102:YES)、ステップS104に移行する。一方、測定回路40は、ステップS100において測定した直流電力の測定値が全ての直流電力の測定値の中で最も大きくない場合(ステップS102:NO)、ステップS100に戻る。
【0036】
ステップS104において、測定回路40は、ステップS100において測定した最大測定値を決定回路50に出力する。
【0037】
ステップS106において、決定回路50は、測定回路40から出力された最大測定値に対応するアンテナキャパシタ25の容量を決定する。
【0038】
ステップS108において、決定回路50は、ステップS106において決定した容量を共振回路20に出力する。
【0039】
ステップS110において、共振回路20は、アンテナキャパシタ25の容量をステップS108において決定回路50から出力された容量に設定する。
【0040】
ステップS112において、共振回路20、整流回路30、及び測定回路40は、ステップS100と同じ測定処理を実行する。
【0041】
ステップS114において、測定回路40は、ステップS112において測定した直流電力から第1誤差を減算することで第1測定値を算出する。
【0042】
ステップS116において、測定回路40は、第1測定値が最大使用値より大きいか否かを判定する。第1測定値が最大使用値より大きい場合(ステップS116:YES)、本調整処理は終了する。一方、第1測定値が最大使用値以下である場合(ステップS116:NO)、ステップS100に戻る。
【0043】
図3に、第1測定値と最大使用値との比較の説明に供する図を示す。図3において縦軸が直流電力の測定値を表し、横軸がアンテナキャパシタ25の容量を表す。図3に示すように、最大測定値に対応する容量が、アンテナキャパシタ25の容量として設定されるためには、最大測定値が最大使用値に第1誤差を加算した値より大きい必要がある。
【0044】
次に、図4を参照して、調整処理において実行される測定処理の流れについて説明する。
【0045】
図4のステップS200において、共振回路20は、共振周波数調整回路10の外部から磁界を印加されるまで待機する。共振回路20は、共振周波数調整回路10の外部から磁界を印加されると(ステップS200:YES)、ステップS202に移行する
【0046】
ステップS202において、共振回路20は、外部から印加された磁界を交流電力として受信する。
【0047】
ステップS204において、共振回路20は、受信した交流電力を整流回路30に出力する。
【0048】
ステップS206において、整流回路30は、共振回路20から出力された交流電力を直流電力に変換する。
【0049】
ステップS208において、整流回路30は、変換した直流電力を測定回路40に出力する。
【0050】
ステップS210において、測定回路40は、交流電力から変換された直流電力を測定し、図2のステップS102に移行する。
【0051】
次に、図5を参照して、従来技術に係る共振周波数調整回路10における受信処理の流れについて説明する。
【0052】
図5のステップS300において、共振回路20は、電波を受信するまで待機する。共振回路20は電波を受信すると(ステップS300:YES)、ステップS302に移行する。
【0053】
ステップS302において、共振回路20は、ステップS300において受信した電波の受信波を変復調回路60に出力する。
【0054】
ステップS304において、変復調回路60は、ステップS302において共振回路20から出力された受信波を復調する。
【0055】
ステップS306において、変復調回路60は、ステップS304において復調した復調データをCPU70に出力する。
【0056】
ステップS308において、CPU70は、不揮発メモリ80から読み出したプログラムに沿って、変復調回路60から出力された復調データを処理する。
【0057】
ステップS310において、CPU70は、ステップS308における復調データの処理結果を不揮発メモリ80に格納し、本受信処理は終了する。
【0058】
次に、図6を参照して、従来技術に係る共振周波数調整回路10における送信処理の流れについて説明する。
【0059】
図6のステップS400において、CPU70は送信データの内容を変復調回路60に出力する。
【0060】
ステップS402において、変復調回路60は、ステップS400においてCPU70から出力された送信データを変調する。
【0061】
ステップS404において、変復調回路60は、ステップS402において変調した送信波を共振回路20に出力する。
【0062】
ステップS406において、共振回路20は、変復調回路60から出力された送信波に係る電波を外部に送信し、本送信処理は終了する。
【0063】
なお、機器100の動作は、共振周波数調整後に電波を送受信する動作に限定されるものではない。
【0064】
次に、本開示の実施形態に係る共振周波数調整回路10について説明する。
【0065】
図7に示す通り、本開示の実施形態に係る共振周波数調整回路10は、図1に示した従来技術に係る共振周波数調整回路10と同じ装置を備えるため、各装置の説明を省略する。
【0066】
次に、本開示の実施形態に係る共振周波数調整回路10の機能構成を説明する。なお、以下では、従来技術と異なる点のみを説明する。
【0067】
共振回路20は、読み出し電力に第1誤差を加算した値より大きく、かつ、最大使用値に第2誤差を加算した値より大きな最大測定値に対応する容量を、アンテナキャパシタ25の容量として設定する点が従来技術と異なる。なお、読み出し電力とは、不揮発メモリ80から補正値を読み出す場合に必要な電力である。そして、読み出し電力は最大使用値より小さな値である。また、第2誤差とは、補正値に基づいた第1誤差の補正により低減された値、すなわち第1誤差から補正値を減算した値である。
【0068】
また、測定回路40は、読み出し電力より第1測定値が大きいか否かを判定する点が従来技術と異なる。言い換えると、測定回路40は、測定した最大測定値が、読み出し電力に第1誤差を加算した値より大きいか否かを判定する点が従来技術と異なる。具体的に、測定回路40は、最大測定値の入力に対して、読み出し電力より第1測定値が大きいと判定した場合には、読み出し電力より第1測定値が大きい旨を出力する。或いは、測定回路40は、第1測定値の入力に対して、読み出し電力より第1測定値が大きいと判定した場合には、読み出し電力より第1測定値が大きい旨を出力する。
【0069】
また、測定回路40は、読み出し電力より第1測定値が大きい場合、不揮発メモリ80から補正値を読み出す点が従来技術と異なる。そして、測定回路40は、最大使用値より、最大測定値から第2誤差を減算した第2測定値が大きいか否かを判定する点が従来技術と異なる。言い換えると、測定回路40は、最大測定値が、最大使用値に第2誤差を加算した値より大きいか否かを判定する点が従来技術と異なる。具体的に、測定回路40は、最大測定値の入力に対して、最大使用値より第2測定値が大きいと判定した場合には、最大使用値より第2測定値が大きい旨を出力する。或いは、測定回路40は、第2測定値の入力に対して、最大使用値より第2測定値が大きいと判定した場合には、最大使用値より第2測定値が大きい旨を出力する。
【0070】
また、測定回路40は、読み出し電力に第1誤差を加算した値より大きく、かつ、最大使用値に第2誤差を加算した値より大きな値を測定するまで、最大測定値の測定を繰り返す点が従来技術と異なる。
【0071】
次に、図8を参照して、本開示の実施形態に係る共振周波数調整回路10における調整処理の流れについて説明する。なお、図8に示す調整処理における、図2に示す調整処理と同一の処理を実行するステップについては、図2と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【0072】
図8に示す調整処理の流れと、図2に示す従来技術に係る調整処理の流れとでは、ステップS116の処理に代えて、ステップS117からステップS125の処理を適用している点が異なる。
【0073】
図8のステップS117において、測定回路40は、第1測定値が読み出し電力より大きいか否かを判定する。第1測定値が読み出し電力より大きい場合(ステップS117:YES)、ステップS119に移行する。一方、第1測定値が読み出し電力以下である場合(ステップS117:NO)、ステップS100に戻る。
【0074】
図9に、第1測定値と読み出し電力との比較の説明に供する図を示す。図9において縦軸が直流電力の測定値を表し、横軸がアンテナキャパシタ25の容量を表す。図9に示すように、最大測定値に対応する容量が、アンテナキャパシタ25の容量として設定されるためには、最大測定値が読み出し電力に第1誤差を加算した値より大きい必要がある。
【0075】
図10に、最初の判定における従来技術と本開示の実施形態との比較の説明に供する図を示す。図10において縦軸が直流電力の測定値を表し、横軸がアンテナキャパシタ25の容量を表す。また、図10において、点線が従来技術に係る共振周波数調整回路10における直流電力の測定値を表し、実線が本開示の実施形態に係る共振周波数調整回路10における直流電力の測定値を表す。最大測定値に対応する容量が、アンテナキャパシタ25の容量として設定されるためには、従来技術においては、最大測定値が、最大使用値に第1誤差を加算した値より大きい必要がある。一方、本開示においては、最大測定値が、読み出し値に第1誤差を加算した値より大きければよい。読み出し値は最大使用値より小さいため、本開示で必要な最大測定値は、従来技術で必要な最大測定値より小さくてよい、という効果がある。
【0076】
図8に戻ってステップS119において、測定回路40は、不揮発メモリ80から補正値を読み出す
【0077】
ステップS121において、共振回路20、整流回路30、及び測定回路40は、ステップS100と同じ測定処理を実行する。
【0078】
ステップS123において、測定回路40は、ステップS121において測定した直流電力から第2誤差を減算することで第2測定値を算出する。
【0079】
ステップS125において、測定回路40は、第2測定値が最大使用値より大きいか否かを判定する。第2測定値が最大使用値より大きい場合(ステップS125:YES)、本調整処理は終了する。一方、第2測定値が最大使用値以下である場合(ステップS125:NO)、ステップS100に戻る。
【0080】
図11に、第2測定値と最大使用値との比較の説明に供する図を示す。図11において縦軸が直流電力の測定値を表し、横軸がアンテナキャパシタ25の容量を表す。図11に示すように、最大測定値に対応する容量が、アンテナキャパシタ25の容量として設定されるためには、最大測定値が最大使用値に第2誤差を加算した値より大きい必要がある。
【0081】
図12に従来技術における最初の判定と本開示の実施形態における2回目の判定との比較の説明に供する図を示す。図12において縦軸が直流電力の測定値を表し、横軸がアンテナキャパシタ25の容量を表す。また、図12において、点線が従来技術に係る共振周波数調整回路10における直流電力の測定値を表し、実線が本開示の実施形態に係る共振周波数調整回路10における直流電力の測定値を表す。最大測定値に対応する容量が、アンテナキャパシタ25の容量として設定されるためには、従来技術においては、最大測定値が最大使用値に第1誤差を加算した値より大きい必要がある。一方、本開示においては、最大測定値が最大使用値に第2誤差を加算した値より大きければよい。第2誤差は第1誤差より小さいため、本開示で必要な最大測定値は、従来技術で必要な最大測定値より小さくてよい、という効果がある。
【0082】
なお、本開示の実施形態に係る共振周波数調整回路10における測定処理、受信処理、及び送信処理の流れは、従来技術に係る共振周波数調整回路10における測定処理、受信処理、及び送信処理の流れ(図4図5、及び図6)と同一であるため、説明を省略する。
【0083】
このように、本開示の実施形態に係る共振周波数調整回路10は、アンテナキャパシタ25を含み、外部から印加された磁界を交流電力として受信する共振回路20と、交流電力から変換された直流電力を測定する測定回路40と、を含む。共振回路20は、直流電力の最大測定値に対応する容量を、アンテナキャパシタ25の容量として設定する。測定回路40は、不揮発メモリ80から補正値を読み出す読み出し電力より、最大測定値から第1誤差を減算した第1測定値が大きいか否かを判定する。そして、測定回路40は、読み出し電力より第1測定値が大きい場合は不揮発メモリ80から補正値を読み出し、最大使用値より、第2誤差を最大測定値から減算した第2測定値が大きいか否かを判定する。
【0084】
なお、本開示の実施形態で説明した共振周波数調整回路10の構成は一例であり、実施形態の主旨を逸脱しない範囲内においてその構成を変更してもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0085】
10 機器
20 共振回路
21 アンテナインダクタ
25 アンテナキャパシタ
30 整流回路
40 測定回路
50 決定回路
60 変復調回路
70 CPU
80 不揮発メモリ
図1
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