IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社奥村組の特許一覧 ▶ 有限会社スギテックの特許一覧

特開2024-142202補修工事管理装置、補修工事管理方法および補修工事管理プログラム
<>
  • 特開-補修工事管理装置、補修工事管理方法および補修工事管理プログラム 図1A
  • 特開-補修工事管理装置、補修工事管理方法および補修工事管理プログラム 図1B
  • 特開-補修工事管理装置、補修工事管理方法および補修工事管理プログラム 図2
  • 特開-補修工事管理装置、補修工事管理方法および補修工事管理プログラム 図3
  • 特開-補修工事管理装置、補修工事管理方法および補修工事管理プログラム 図4
  • 特開-補修工事管理装置、補修工事管理方法および補修工事管理プログラム 図5
  • 特開-補修工事管理装置、補修工事管理方法および補修工事管理プログラム 図6
  • 特開-補修工事管理装置、補修工事管理方法および補修工事管理プログラム 図7
  • 特開-補修工事管理装置、補修工事管理方法および補修工事管理プログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142202
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】補修工事管理装置、補修工事管理方法および補修工事管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20241003BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054263
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(71)【出願人】
【識別番号】517443761
【氏名又は名称】有限会社スギテック
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西山 宏一
(72)【発明者】
【氏名】船蔵 豊和
(72)【発明者】
【氏名】田村 昌信
(72)【発明者】
【氏名】梅田 幸一
(72)【発明者】
【氏名】杉山 和也
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】調査結果に基づいて、補修工事の工程を生成すること。
【解決手段】補修工事管理装置であって、補修点検の対象となる建築物の設計データを取得する設計データ取得部と、取得した設計データを表示する表示画面において、建築物の補修点検の結果として、補修箇所の位置を示す補修箇所位置データと、補修箇所における補修工事名としての工種に関する工種データと、の入力を受け付ける入力受付部と、受け付けた入力結果に基づいて、工種に紐付けられている工種の工程に関する工程データを抽出し、工種の工程を生成する工程生成部と、表示画面において、工種の工程の進捗に応じて、補修箇所を識別可能に表示する表示制御部と、を備えた。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
補修点検の対象となる建築物の設計データを取得する設計データ取得部と、
取得した前記設計データを表示する表示画面において入力された、前記建築物の補修点検の結果として、劣化の種類と、補修箇所の位置を示す補修箇所位置データと、を受け付ける入力受付部と、
受け付けた入力結果に基づいて、前記劣化の種類に紐付けられている補修工事の工程に関する工程データを抽出し、前記補修工事の工程を生成する工程生成部と、
を備えた補修工事管理装置。
【請求項2】
前記工程生成部により生成された前記補修工事の工程に従って補修工事が実施され、完了した工程についての工程完了入力を受け付ける工程完了入力受付部と、
受け付けた前記工程完了入力に関する前記工程データに工程の完了を記録する工程完了記録部と、
前記工程完了入力受付部において、前記工程完了入力とともに、前記補修工事の内容に関する変更入力を受け付けた場合、前記工程データの内容を前記変更入力の内容で更新し、記録する更新記録部と、
前記表示画面において、前記補修工事の工程の進捗に応じて、前記補修箇所を識別可能に表示する表示制御部と、
をさらに備え、
前記表示制御部は、前記表示画面において、前記工程完了入力および前記変更入力を反映させて、前記補修箇所を識別可能に表示する請求項1に記載の補修工事管理装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記表示画面において、前記補修箇所、前記工程および時系列の少なくとも1つに関する数量データを表示させる請求項2に記載の補修工事管理装置。
【請求項4】
補修点検の対象となる建築物の設計データを取得する設計データ取得ステップと、
取得した前記設計データを表示する表示画面において、前記建築物の補修点検の結果として、劣化の種類と、補修箇所の位置を示す補修箇所位置データと、の入力を受け付ける入力受付ステップと、
受け付けた入力結果に基づいて、前記劣化の種類に紐付けられている補修工事の工程に関する工程データを抽出し、前記補修工事の工程を生成する工程生成ステップと、
を含む補修工事管理方法。
【請求項5】
補修点検の対象となる建築物の設計データを取得する設計データ取得ステップと、
取得した前記設計データを表示する表示画面において、前記建築物の補修点検の結果として、劣化の種類と、補修箇所の位置を示す補修箇所位置データと、の入力を受け付ける入力受付ステップと、
受け付けた入力結果に基づいて、前記劣化の種類に紐付けられている補修工事の工程に関する工程データを抽出し、前記補修工事の工程を生成する工程生成ステップと、
をコンピュータに実行させる補修工事管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補修工事管理装置、補修工事管理方法および補修工事管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、コンクリート構造物の選択された部分の検査結果および修復内容の少なくとも一方を含む情報を、選択部分に関連付けて画面に表示させる技術が開示されている(請求項1等)。また、特許文献2には、建築物の表面をスキャンしてタイル割付図を作成して、タイルの異常個所を入力し、修理されたタイルと未修理のタイルとを区別して表示する技術が開示されている(請求項5、7等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-154465号公報
【特許文献2】特開2022-109415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1および特許文献2に記載の技術では、コンクリートの修復内容や未修理タイルを画面上に表示させるものであり、調査結果に基づいて、補修工事の工程を生成することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る補修工事管理装置は、
補修点検の対象となる建築物の設計データを取得する設計データ取得部と、
取得した前記設計データを表示する表示画面において入力された、前記建築物の補修点検の結果として、補修箇所の位置を示す補修箇所位置データと、前記補修箇所における補修工事名としての工種に関する工種データと、を受け付ける入力受付部と、
受け付けた入力結果に基づいて、前記工種に紐付けられている前記工種の工程に関する工程データを抽出し、前記工種の工程を生成する工程生成部と、
を備えた。
【0006】
また、上記目的を達成するため、本発明に係る補修工事管理方法は、
補修点検の対象となる建築物の設計データを取得する設計データ取得ステップと、
取得した前記設計データを表示する表示画面において、前記建築物の補修点検の結果として、補修箇所の位置を示す補修箇所位置データと、前記補修箇所における補修工事名としての工種に関する工種データと、の入力を受け付ける入力受付ステップと、
受け付けた入力結果に基づいて、前記工種に紐付けられている前記工種の工程に関する工程データを抽出し、前記工種の工程を生成する工程生成ステップと、
を含む。
【0007】
さらに、上記目的を達成するため、本発明に係る補修工事管理プログラムは、
補修点検の対象となる建築物の設計データを取得する設計データ取得ステップと、
取得した前記設計データを表示する表示画面において、前記建築物の補修点検の結果として、補修箇所の位置を示す補修箇所位置データと、前記補修箇所における補修工事名としての工種に関する工種データと、の入力を受け付ける入力受付ステップと、
受け付けた入力結果に基づいて、前記工種に紐付けられている前記工種の工程に関する工程データを抽出し、前記工種の工程を生成する工程生成ステップと、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、調査結果に基づいて、補修工事の工程を生成し、補修工事の進捗状況について正確に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本発明の第1実施形態に係る補修工事管理装置の概要を説明するための図である。
図1B】本発明の第1実施形態に係る補修工事管理装置における劣化の種類および補修箇所の入力を説明するための図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る補修工事管理装置の構成を説明するためのブロック図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る補修工事管理装置が有する工程テーブルの一例を説明するための図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る補修工事管理装置のハードウェア構成を説明するための図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る補修工事管理装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
図6】本発明の第2実施形態に係る補修工事管理装置の構成を説明するためのブロック図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る補修工事管理装置のハードウェア構成を説明するための図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る補修工事管理装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して、例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている、構成、数値、処理の流れ、機能要素などは一例に過ぎず、その変形や変更は自由であって、本発明の技術範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
【0011】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての補修工事管理装置について、図1A図5を参照して説明する。図1は、本実施形態の補修工事管理装置100の動作の概要を説明するための図である。補修工事管理装置100は、建築物110の劣化等の調査とその調査に基づく補修工事の工程を管理する装置である。
【0012】
建築物110は、建設に使用された資材等の経年変化により劣化する。外部から視認可能な建築物110の劣化には、例えば、コンクリート、外壁に用いられるタイルなどの劣化がある。建築物110の建設から時間が経過すると、例えば、コンクリートには、ひび割れや白華などが生じ、タイルには、浮きや剥落、割れなどが生じる。
【0013】
このように、建築物110に劣化が生じている場合には、現地において、調査を行い、調査結果に応じて、補修方法を検討し、適切な補修方法を選択することとなる。そして、選択された補修方法に応じて、工程計画が作成され、作成された工程計画に基づいて、工事が行われる。
【0014】
これに関して、現地での調査は、例えば、持参した施工図面のコピーに劣化の範囲や状態を記入し、必要に応じて、写真等を貼付するなどして行われていた。その後、補修工事を行う際には、対象となる範囲について別な図面に、施工図面のコピーに記入した事項を転記して、作成された工程計画に従って補修を行っていた。
【0015】
最近では、現場管理の電子化に伴い、現地調査は、タブレット端末等に表示された図面上に劣化範囲を指定して状況をメモ書きするなどの方法で行われている。また、補修工事は、タブレット端末等に補修範囲と工事工程とを表示させて、これに従って、工事を行うなどの方法で行われている。
【0016】
このような方法では、補修工事の際に、タブレット端末等に施工図面の電子データを表示させて工事を行うが、例えば、後から判明し、追加されたた劣化の範囲等は、元の施工図面の電子データの一部として保存される。そのため、調査段階のデータと補修工事のデータとの連携や、調査時に得られたデータと補修工事時に得られたデータとの連携などは、行われておらず、劣化等の調査から補修工事の施工までを一元的に管理することができていなかった。
【0017】
本実施形態においては、例えば、点検員120が建築物110の外壁のタイル130の劣化具合を調査し、タブレット端末等の携帯端末140に表示された設計図上に劣化の種類や大きさ(範囲)などの調査結果を入力する。例えば、図1Bに示したように、点検員120が建築物110の外壁のタイル130に剥落やひび割れ(クラック)を発見した場合には、まず、携帯端末140の表示画面141で所定のボタンをタップする。そうすると、建築物110において考えられる劣化(予め設定されている劣化)の一覧と、建築物110の施工図面に劣化の位置等を記入するための図形マーカーがプルダウンメニュー142として表示される。すなわち、本実施形態においては、点検員120は、劣化の位置を指定して、その劣化がどの種類の劣化かを入力するのではなく、初めに、今から入力する劣化の種類を選択(宣言)して、それから、劣化の位置や大きさを入力するという手順を踏むこととなる。
【0018】
図形マーカーは、劣化の種類を想起し易い図形となっており、例えば、クラックの場合は、クラックの幅に応じて、複数の直線形状のマーカーが表示されるようになっている。同様に、タイルの剥落や剥落跡の場合には、五角形のマーカーが表示されるようになっている。そして、点検員120は、まず、プルダウンメニュー142の中から劣化に応じた図形マーカーを選択し、劣化の種類を決定する。劣化の種類が決定したら、点検員120は、劣化の範囲を指定する。クラックの場合には、点検員120は、直線のマーカーを用いて、クラックの位置をなぞるように劣化の範囲を指定し、剥落の場合には、五角形のマーカーを用いて、剥落部分が五角形のマーカーで囲まれるように五角形の大きさや位置を調整する。
【0019】
このように、補修工事管理装置100においては、最初に、プルダウンメニュー142に表示された劣化の種類を選択してから、選択された劣化の位置や範囲などを指定するようになっている。ここで、点検員120がプルダウンメニュー142からマーカーを選択すると、選択したマーカーには、その劣化を補修するための工程のデータが紐付けられており、補修工事管理装置100は、紐付けられた工程を抽出することにより、当該補修工事の工程表150を生成する。補修工事を行う際には、補修工事の作業員は、携帯端末140に表示された工程表150に従って、作業を行う。
【0020】
次に、図2を参照して、補修工事管理装置100の構成について説明する。補修工事管理装置100は、設計データ取得部201、入力受付部202、工程生成部203および表示制御部204を有する。
【0021】
設計データ取得部201は、補修点検の対象となる建築物110の設計データを取得する。設計データは、建築物110の建設時に作成した設計図面や現場写真などのデータである。点検員120は、携帯端末140の表示画面等に表示された建築物110の設計図や現場写真を見ながら建築物110の点検を行う。
【0022】
入力受付部202は、取得した設計データを表示する表示画面において入力された、建築物110の補修点検の結果として、補修箇所の位置を示す補修箇所位置データと、補修箇所における補修工事名としての工種に関する工種データと、を受け付ける。
【0023】
建築物110の点検(劣化調査等)を行っている点検員120は、例えば、携帯端末140を携帯して点検作業を行いながら、同時に、点検結果を携帯端末140の表示画面(ディスプレイ)に表示された設計図などの画像データ上に入力を行う。データの入力は、例えば、タイルが剥落等している箇所であれば、表示画面上の設計図の対象箇所を五角形のマーカーで囲むことで、補修対象箇所の入力を行うことができる。さらに、入力された補修対象箇所における、工種や工程については、マーカーを選択した時点で自動的に抽出されるようになっている。
【0024】
なお、プルダウンメニュー142では、点検対象となる建築物110がどのような種類の建物であるかなどに応じて、マーカーの種類(補修対象となる劣化の種類)が決められている。
【0025】
このように、設計図の画像データ上に損傷個所などの点検結果を直接入力することで、点検員120は、位置情報などの複雑なデータの入力をする必要がなく、補修工事の内容の選択と補修が必要な箇所の指定とをすればよいので、効率よく、点検結果の入力を行うことができる。
【0026】
点検員120は、補修が必要な程度に劣化していると判断した箇所にマーカーを付けることにより、劣化の種類や位置、大きさなどを入力できる。このマーカーは、補修対象箇所(補修範囲)を示す図形のようなものとなっており、五角形だけには限定されず、例えば、補修の内容が一目で割るような形状(四角形や三角形、丸形、直線)であってもよい。なお、マーカーは、設計図などの画像データ上に重畳して表示されるが、画像データ自体は、変更されず、マーカーの位置情報や大きさ(面積)、長さなどが記録される。記録されたマーカーの大きさや長さなどを用いて、必要な補修材の数量を推定することができる。
【0027】
プルダウンメニュー142には、補修点検の対象となる建築物110において、想定される劣化の種類が表示されるようになっている。しかしながら、例えば、適切な劣化の種類が表示されない場合や、特殊な補修工事が必要な場合には、点検員120が、適宜これらに応じた劣化の種類などを追加することができるようになっていてもよい。
【0028】
また、例えば、点検員120が、プルダウンメニュー142から破損したタイルの修復(モルタル系補修工など)を項目として選択した場合、補修工事管理装置100は、点検員120がマーカーを用いて囲んだ部分の面積とタイルの面積とから破損したタイルの枚数を自動的に算出してもよい。この破損したタイルの修復という項目の中で、例えば、完全に剥離したタイルについては、点検員120が、現場でチェックして枚数を入力してもよい。
【0029】
このように、補修工事管理装置100が、自動的に算出できるタイルの枚数などの数量については、自動算出させてもよく、点検員120による確認が必要な数量については、点検員120等による手動入力としてもよい。例えば、剥落したタイルの枚数については、タイルの色と下地の色との違いと、下地の面積とから、剥落したタイルの枚数を自動算出させてもよい。以上のように、補修工事管理装置100においては、手動入力および自動入力を適宜使い分けるようにすることもできる。
【0030】
工程生成部203は、受け付けた入力結果に基づいて、選択された劣化の種類に紐付けられている工程に関する工程データを抽出し、補修工事の工程を生成する。例えば、点検員120が、「ひび割れ注入工」を劣化の種類として選択した場合、工程生成部203は、ひび割れ注入工に紐付けられている工程データとして、「初期工程、下地処理、シール、注入口取付、注入、シール材撤去」などを抽出する。そして、これらを作業順に並べ替えることで、工程が生成される。なお、生成された工程の順序は、現場の作業員や補修工事管理装置100のオペレータなどが変更したり、ここに表示される工程以外の新しい工程も追加したりすることができるようになっている。なお、工程データは、所定データベース等に保存されている。
【0031】
次に、図3を参照して、補修工事管理装置100が有する工程テーブル301の一例について説明する。工程テーブル301は、ID(Identifier)311に関連付けて劣化種類に関連する工種312および工程313を記憶する。ID311は、工種312および工程313の組み合わせを識別するための識別子である。劣化種類に関連する工種312は、補修工事の名称を表す。工程313は、工種312に含まれる具体的な作業内容を示す。そして、補修工事管理装置100は、工程テーブル301を用いて、工程を生成する。
【0032】
図4を参照して、補修工事管理装置100のハードウェア構成について説明する。CPU(Central Processing Unit)410は、演算制御用のプロセッサであり、プログラムを実行することで図2の補修工事管理装置100の各機能構成を実現する。CPU410は複数のプロセッサを有し、異なるプログラムやモジュール、タスク、スレッドなどを並行して実行してもよい。ROM(Read Only Memory)420は、初期データおよびプログラムなどの固定データおよびその他のプログラムを記憶する。また、ネットワークインタフェース430は、ネットワークを介して他の装置などと通信する。なお、CPU410は1つに限定されず、複数のCPUであっても、あるいは画像処理用のGPU(Graphics Processing Unit)を含んでもよい。また、ネットワークインタフェース430は、CPU410とは独立したCPUを有して、RAM(Random Access Memory)440の領域に送受信データを書き込みあるいは読み出しするのが望ましい。また、RAM440とストレージ450との間でデータを転送するDMAC(Direct Memory Access Controller)を設けるのが望ましい(図示なし)。さらに、CPU410は、RAM440にデータが受信あるいは転送されたことを認識してデータを処理する。また、CPU410は、処理結果をRAM440に準備し、後の送信あるいは転送はネットワークインタフェース430やDMACに任せる。
【0033】
RAM440は、CPU410が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM440には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する記憶領域が確保されている。設計データ441は、補修点検の対象となる建築物110の設計時のデータである。補修箇所位置データ442は、設計データ上における、補修箇所の位置を示すデータである。劣化種類に関連する工種データ443は、点検員120が、表示画面上で選択した、補修箇所における補修工事の名称を示すデータである。工程データ444は、表示画面上で選択された劣化種類に関連する工種に含まれる工程についてのデータである。
【0034】
送受信データ445は、ネットワークインタフェース430を介して送受信されるデータである。また、RAM440は、各種アプリケーションモジュールを実行するためのアプリケーション実行領域446を有する。
【0035】
ストレージ450には、データベースや各種パラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。ストレージ450は、工程テーブル301を格納する。工程テーブル301は、図3に示した、工種312と工程313などとの関係を管理するテーブルである。
【0036】
ストレージ450は、さらに、設計データ取得モジュール451、入力受付モジュール452および工程生成モジュール453、を格納する。設計データ取得モジュール451は、補修点検の対象となる建築物の設計データを取得するモジュールである。入力受付モジュール452は、設計データを表示する表示画面において入力された、補修箇所位置データと劣化種類に関連する工種データとを受け付けるモジュールである。工程生成モジュール453は、受け付けた入力結果に基づいて、劣化種類に関連する工種に紐付けられている工程に関する工程データを抽出して工程を生成するモジュールである。これらのモジュール451~453は、CPU410によりRAM440のアプリケーション実行領域446に読み出され、実行される。制御プログラム454は、補修工事管理装置100の全体を制御するためのプログラムである。
【0037】
入出力インタフェース460は、入出力機器との入出力データをインタフェースする。入出力インタフェース460には、表示部461、操作部462、が接続される。また、入出力インタフェース460には、さらに、記憶媒体464が接続されてもよい。さらに、音声出力部であるスピーカ463や、音声入力部であるマイク(図示せず)、あるいは、GPS位置判定部が接続されてもよい。なお、図4に示したRAM440やストレージ450には、補修工事管理装置100が有する汎用の機能や他の実現可能な機能に関するプログラムやデータは図示されていない。
【0038】
次に図5に示したフローチャートを参照して、補修工事管理装置100の処理手順について説明する。このフローチャートは、図4のCPU410がRAM440を使用して実行し、図2の補修工事管理装置100の各機能構成を実現する。
【0039】
ステップS501において、設計データ取得部201は、補修点検の対象となる建築物110の設計データを取得する。ステップS503において、入力受付部202は、補修箇所の位置の入力を受け付ける。補修箇所の位置の入力は、例えば、点検員120が、所定のマーカーを用いて行う。補修箇所の位置の入力が完了したら、ステップS507へ進む。
【0040】
ステップS505において、工程生成部203は、選択した劣化の内容を示すマーカーに紐付けられている工程データを抽出する。ステップS507において、工程生成部203は、抽出された工程データを用いて、当該補修箇所における補修工事の工程を生成する。工程の生成が完了したら、ステップS509において、補修工事管理装置100は、全ての補修箇所位置の入力が終了したか否かを判定する。全ての補修箇所位置の入力が終了していないと判定した場合(ステップS509のNO)、補修工事管理装置100は、ステップS503へ戻る。全ての補修箇所位置の入力が終了したと判定したら(ステップS509のYES)、補修工事管理装置100は、処理を終了する。
【0041】
本実施形態によれば、設計図上で補修対象箇所の位置を入力して、補修点検において点検箇所の劣化の種類を選択するだけで、当該補修対象箇所の補修工事に必要な工程が生成されるため、補修箇所の調査から補修工事までを一元的に管理することができる。
【0042】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係る補修工事管理装置について、図6図8を用いて説明する。図6は、本実施形態に係る補修工事管理装置600の構成を説明するためのブロック図である。本実施形態に係る補修工事管理装置600は、生成した工程の進捗を管理することが可能な装置であり、上記第1実施形態と比べると、工程完了入力受付部、更新記録部、工程完了記録部および表示制御部を有する点で異なる。その他の構成および動作は第1実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。補修工事管理装置600は、工程完了入力受付部601、工程完了記録部602、更新記録部603および表示制御部604を有する。
【0043】
工程完了入力受付部601は、工程生成部203により生成された劣化内容に関する工種の工程に従って補修工事が実施され、完了した工程についての工程完了入力を受け付ける。まず、補修工事を行う際には、例えば、作業員が、表示画面上に表示された各補修箇所に付けられたマーカー(補修マーカー)の表示色から未着手の補修箇所を確認することができる。そして、作業員は、表示画面上で、未着手の補修箇所の工程を選択して、工程や数量などを確認して、作業を開始する。作業員は、各工程の作業が完了すると、当該工程の作業が完了したことを示す操作を行い、工程完了の入力を行う。工程完了受付部601は、入力された工程完了の入力を受け付ける。作業員による工程完了の入力操作は、補修工事ごとに行っても、いくつかの補修工事をまとめて行ってもよい。同様に、作業員による工程完了の入力操作は、工程ごとに行っても、全工程をまとめて行ってもよい。
【0044】
工程完了記録部602は、受け付けた工程完了入力に関する工程データに工程の完了を記録する。工程完了記録部602は、上述のようにして、受け付けた工程完了入力を記録して、各工程の進捗を管理することができるようにしている。
【0045】
更新記録部603は、工程完了入力受付部601において、工程完了入力とともに、補修工事に関する工程の内容に関する変更入力を受け付けた場合、工程データの内容を変更入力の内容で更新し、記録する。例えば、補修点検時に入力した補修範囲が、実際に補修工事を行ってみたら、小さかった場合などに、補修範囲が小さかったということを記録しておくために、補修点検時の補修範囲の大きさを更新して、補修工事時の補修範囲とする。このように、補修点検時と補修工事時との補修箇所や補修範囲、あるいは、生成した工程等に変更が生じた場合には、データや情報を適時更新して、最新の情報等を記録できるようにしている。
【0046】
表示制御部604は、表示画面において、工程の進捗に応じて、補修箇所を識別可能に表示する。表示制御部604は、表示画面において、工程完了入力および変更入力を反映させて、補修箇所を識別可能に表示する。表示制御部604は、表示画面において、例えば、補修工事が完了した補修箇所や、報酬工事の一部の工程が完了した補修箇所などを他の補修箇所や、補修が不要な箇所と区別できるような表示をする。
【0047】
また、表示制御部604は、表示画面において、補修箇所、工程および時系列の少なくとも1つに関する数量データを表示させる。表示制御部604は、例えば、補修箇所の大きさ(面積)や工程の日数、あるいは、作業の日程について、当該補修箇所の過去のある時点の状況(数量データ)または未来のある時点の状況(数量データ)などを表示させる。このように、過去や未来における状況を表示させることで、計画と実績との数量を比較することが可能となる。さらに、表示制御部604は、上述した、自動入力により入力された数量(破損しているタイルの枚数等)や、手動入力された数量(完全に剥離したタイルの枚数等)などの数量を合わせて表示させて、作業の進捗状況を把握しやすいようにしてもよい。
【0048】
図7を参照して、補修工事管理装置600のハードウェア構成について説明する。RAM740は、CPU410が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM740には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する記憶領域が確保されている。工程完了データ741は、完了した工程に関するデータであり、補修工事の作業員が、携帯端末140等を用いて入力したデータである。更新データ742は、補修工事の際に、補修点検時とは、異なる状況が発生した場合に、補修点検時に入力されたデータを修正して、更新するためのデータである。
【0049】
ストレージ750には、データベースや各種パラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。ストレージ750は、工程完了入力受付モジュール751、工程完了記録モジュール752、更新記録モジュール753および表示制御モジュール754を格納する。工程完了入力受付モジュール751は、補修工事が実施され完了した工程についての工程完了入力を受け付けるモジュールである。工程完了記録モジュール752は、受け付けた工程完了入力に関する工程データに工程の完了を記録するモジュールである。更新記録モジュール753は、劣化内容に関する工種の内容に関する変更入力を受け付けた場合、工程データの内容を変更入力の内容で更新し、記録するモジュールである。表示制御モジュール754は、表示画面において、工程の進捗に応じて、補修箇所を識別可能に表示するモジュールである。また、表示制御モジュール754は、表示画面において、工程完了入力および変更入力を反映させて、補修箇所を識別可能に表示するモジュールである。これらのモジュール751~754は、CPU410によりRAM740のアプリケーション実行領域446に読み出され、実行される。
【0050】
次に図8に示したフローチャートを参照して、補修工事管理装置600の処理手順について説明する。このフローチャートは、図7のCPU410がRAM740を使用して実行し、図6の補修工事管理装置600の各機能構成を実現する。
【0051】
ステップS801において、工程完了入力受付部601は、生成された補修工事の工程に従って補修工事が実施され、完了した工程についての工程完了入力を受け付ける。ステップS803において、工程完了記録部602は、受け付けた工程完了入力に関する工程データに工程の完了を記録する。ステップS805において、更新記録部603は、工程の完了とともに工程の内容に関する変更入力を受け付けた場合に、工程データの内容を変更入力の内容で更新して、記録する。ステップS807において、表示制御部604は、工程の進捗に応じて、補修箇所を識別可能に表示する。さらに、表示制御部604は、工程完了入力および変更入力を反映させて、補修箇所を識別可能に表示する。また、表示制御部604は、補修箇所、工程、時系列などに関する数量データを表示させる。
【0052】
本実施形態によれば、補修工事の進捗管理や工程管理を確実に行うことができる。また、補修点検の際には発見できなかった情報を補修工事の間であっても、補修点検の情報と紐付けて、一体として情報を管理することが可能となる。さらに、補修工事の間であっても、補修箇所や補修範囲を変更することができ、変更の結果を表示画面に表示させることができる。
【0053】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0054】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に供給され、内蔵されたプロセッサによって実行される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、プログラムを実行するプロセッサも本発明の技術的範囲に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の技術的範囲に含まれる。
【0055】
また、例えば、補修工事管理装置100は、所定位置の補修箇所位置の入力を終了した時点で全ての補修箇所位置の入力が終了したか否かを判定し、全ての補修箇所位置の入力が終了していないと判定した場合は補修箇所位置入力に戻り、全ての補修箇所位置の入力が終了したと判定してから、工程データの抽出と工程作成へ進むようにしてもよい。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8