(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142203
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ハサミ
(51)【国際特許分類】
A01G 3/02 20060101AFI20241003BHJP
B26B 13/22 20060101ALI20241003BHJP
B26B 13/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A01G3/02 501Z
B26B13/22
B26B13/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054264
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】599049794
【氏名又は名称】株式会社 イージーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】近藤 治郎
(72)【発明者】
【氏名】三宅 晃裕
(72)【発明者】
【氏名】向井 若菜
【テーマコード(参考)】
3C065
【Fターム(参考)】
3C065AA07
3C065BA01
3C065BB08
3C065FA03
3C065GA11
(57)【要約】
【課題】容易に除菌でき、作業効率に優れたハサミを提供する。
【解決手段】ハサミ(1)は、互いに交差して回転可能に連結される第1の刃(11)および第2の刃(12)と、第1の刃および第2の刃の表面に形成される光触媒層(15)と、光触媒層に対して光を照射する光源(50)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差して回転可能に連結される第1の刃および第2の刃と、
前記第1の刃および前記第2の刃の表面に形成される光触媒層と、
前記光触媒層に対して光を照射する光源と、を備えるハサミ。
【請求項2】
前記第1の刃および前記第2の刃は、前記第1の刃と前記第2の刃とを閉じた状態で、前記第1の刃および前記第2の刃が互いに対向する側の第1の面と、前記第1の面と反対側の面である第2の面とを備え、
前記光触媒層は、前記第1の刃および前記第2の刃のそれぞれについて、前記第1の面および前記第2の面に形成される、請求項1に記載のハサミ。
【請求項3】
前記光源は、前記第1の刃と前記第2の刃とを開いた状態で、前記第1の刃の前記第2の面と、前記第2の刃の前記第1の面とを照射する第1の光源、および、前記第1の刃の前記第1の面と、前記第2の刃の前記第2の面とを照射する第2の光源を備える、請求項2に記載のハサミ。
【請求項4】
前記光源は、少なくとも、前記第1の刃および前記第2の刃が開いた期間点灯する、請求項1から3のいずれか1項に記載のハサミ。
【請求項5】
前記光源は、常時点灯する、請求項4に記載のハサミ。
【請求項6】
前記光源に電力を供給するための電源部をさらに備える、請求項1から3のいずれか1項に記載のハサミ。
【請求項7】
前記光触媒層の下に下地層をさらに備え、前記下地層は、前記光触媒層と色彩が異なる、請求項1から3のいずれか1項に記載のハサミ。
【請求項8】
互いに交差して回転可能に連結される第1の刃および第2の刃と、
前記第1の刃および前記第2の刃に対して光を照射する光源と、を備え、
前記第1の刃および前記第2の刃は、光触媒材料を含んで構成されているハサミ。
【請求項9】
前記ハサミは、植物を切る際に使用されるハサミである、請求項1または8に記載のハサミ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハサミに関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、薬液容器を備え、消毒および切断を並行することにより、枝打ち等の作業時に、木の汁を通じて伝染する細菌やウィルス等の病原菌が感染することを防止する園芸用ハサミが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来技術は、薬液がなくなったときに頻繁に薬液容器の交換をする必要があり、費用と手間がかかるという問題がある。
【0005】
本発明の一態様は、容易に除菌でき、作業効率に優れたハサミを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るハサミは、互いに交差して回転可能に連結される第1の刃および第2の刃と、前記第1の刃および前記第2の刃の表面に形成される光触媒層と、前記光触媒層に対して光を照射する光源と、を備える。
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るハサミは、互いに交差して回転可能に連結される第1の刃および第2の刃と、前記第1の刃および前記第2の刃に対して光を照射する光源と、を備え、前記第1の刃および前記第2の刃は、光触媒材料を含んで構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、容易に除菌でき、作業効率に優れたハサミを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態1に係るハサミの外観の一例を示す図である。
【
図2】
図1に示す取付部材および光源プレートの一例を示す斜視図である。
【
図4】
図1に示す光源プレートの取付部の断面を示す模式図である。
【
図8】光触媒層を備える刃の構成を説明する模式図である。
【
図9】刃の表面に形成される光触媒層の他の例を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態2に係るハサミの外観の一例を示す図である。
【
図11】
図10に示す光源の取付部の断面を示す模式図である。
【
図13】側面側から見た光源の照射範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態1について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係るハサミ1を、植物を切る際に使用されるハサミとした例に基づいて説明する。ここで、植物を切る際に使用されるハサミとは、例えば、花、果実、野菜等を採取する際に使用されるハサミ、葉、枝等を剪定するハサミ、および根等を切断するハサミのことである。ただしこれに限らず、使用中に病原菌等を含んだ液が刃に付着する可能性があるハサミであればよく、例えば、散髪用のハサミ、料理用のハサミ、医療用のハサミ等についても適用可能である。
【0011】
例えば、かいよう病に感染した植物をハサミで切った後に、別の健康な植物を同じハサミで切った場合、病原菌がハサミの刃を介して切断面から侵入し、健康な植物にかいよう病を感染させてしまう。このようなハサミの刃を介した病気の感染を防ぐためには、ハサミで植物を切りながら、ハサミの刃の消毒をする必要がある。
【0012】
本発明に係るハサミ1は、詳しくは後述するように、切断作業とハサミの刃の消毒作業を並行して容易に行うことができる。
【0013】
<ハサミ1の構成>
図1は、本発明の実施形態1に係るハサミ1の外観の一例を示す図、
図2は取付部材70および光源プレート80の一例を示す斜視図、
図3は光源プレート80の斜視図である。ハサミ1は、例えば、植物を切る際に使用されるハサミである。符号100Aで示す図は、ハサミ1を一方向から見た図であり、符号100Bで示す図は、ハサミ1を一方向とは反対側の方向から見た図である。なお、以降の説明において、一方向をX方向、反対側の方向をY方向と称す。
【0014】
図1から
図3に示すように、ハサミ1は、一対の刃10、光触媒層15、一対の把持部20、連結ピン30、取付部材70、および光源プレート80を備えて構成される。
【0015】
一対の刃10は、互いに交差して回転可能に連結される第1の刃11および第2の刃12を備えて構成される。第1の刃11および第2の刃12は、それぞれ、第1の刃11と第2の刃12とを閉じた状態で、第1の刃11および第2の刃12が互いに対向する側の第1の面11a,12aと、第1の面11a,12aと反対側の面である第2の面11b,12bとを備える。
【0016】
なお、以降の説明において、第1の刃11、第2の刃12などを互いに区別せず、総称する目的で記載するときは、刃10と記載する。これは、把持部20、プレート82、および光源50についても同様である。
【0017】
光触媒層15は、詳しくは後述するが、酸化チタン等の光触媒材料を含む層であり、第1の刃11および第2の刃12のそれぞれについて、第1の面11a,12aおよび第2の面11b,12bに形成される。光触媒層15に、光を照射することにより、第1の刃11および第2の刃12の表面に活性酸素を発生させ、この活性酸素によって有機物を分解することで、第1の刃11および第2の刃12を除菌することができる。
【0018】
なお、光触媒層15は、さらに、第1の面11aと第2の面11bとの間の側面(刃の厚み部分の面)、および第1の面12aおよび第2の面12bとの間の側面(刃の厚み部分の面)に形成されてもよい。
【0019】
一対の把持部20は、第1の刃11と連結して備えられる第1の把持部21、および、第2の刃12と連結して備えられる第2の把持部22を有する。ユーザは、第1の把持部21および第2の把持部22を握り、第1の把持部21および第2の把持部22を互いに近接する方向へ回転移動させることにより、第1の刃11および第2の刃12を閉じることができる。これにより、ユーザは、第1の刃11と第2の刃12との間に位置する植物を切ることができる。
【0020】
なお、第1の把持部21と第2の把持部22とは、スプリング等(不図示)により互いに離反する方向へ付勢されていてもよい。この場合、ユーザが把持部20を握る力を緩めることにより、第1の刃11および第2の刃12を開くことができる。
【0021】
ハサミ1は、第1の把持部21の内部に、光源50に電力を供給するための電源部23を備える。電源部23は、例えば、乾電池、またはLIB(lithium-ion battery:リチウムイオン二次電池)等のバッテリーを収容する収容部を備える。なお、電源部23は第2の把持部22に備えてもよい。
【0022】
連結ピン30は、第1の刃11および第2の刃12を回転可能に連結するとともに、光源プレート80が設置される取付部材70を固定する。
【0023】
取付部材70は、固定部71および取付部72を備え、ハサミ1のX方向側に固定される。固定部71は、連結ピン30によって、第1の刃11および第2の刃12の連結部13に固定される。取付部72は、複数の光源50が配置される光源プレート80が取付けられる。なお、取付部材70は、ハサミ1のY方向側に固定されてもよい。
【0024】
光源プレート80は、複数の光源50およびプレート82を備える。プレート82には、第1の刃11の側面が嵌め込まれる溝83が形成され、溝83により、光源プレート80は、第1のプレート82aおよび第2のプレート82bに区画される。
【0025】
光源50は、例えば、可視光線またはUVA領域の紫外線を照射するLED、蛍光灯等であり、光触媒層15に対して光を照射する光源である。
【0026】
光源50の波長域は、380nmから810nmまでの範囲(全可視光領域)であることが好ましく、380nmから400nmまでの範囲(UVA領域)であることが更に好ましい。
【0027】
光源50は、第1の光源51、および第2の光源52を備える。第1の光源51は、第1のプレート82aに配置され、第2の光源52は、第2のプレート82bに配置される。第1の光源51および第2の光源52は、それぞれ第1のプレート82aおよび第2のプレート82bに、1個ずつ備えてもよいし、複数個ずつ備えてもよい。
【0028】
光源50が光触媒層15に対して光を照射することで活性酸素を発生させ、第1の刃11および第2の刃12を安定して除菌することができる。
【0029】
図4は、ハサミ1を側面側から見た、光源プレート80の取付部の断面を示す模式図である。
図4に示すように、貫通孔31が、取付部材70の固定部71、第1の刃11、および第2の刃12を貫通して形成されている。
【0030】
光源プレート80の溝83に、第1の刃11の側面11cを嵌め込み、連結ピン30を貫通孔31に挿通することによって、取付部材70は、第1の刃11に固定される。溝83に側面11cを嵌め込むことにより、第1のプレート82aをハサミ1のX方向側に配置し、第2のプレート82bをY方向側に配置する。
【0031】
第1の光源51は、第1のプレート82aに設置され、第2の光源52は、第2のプレート82bに設置される。これにより、第1の光源51はX方向側を照射し、第2の光源52はY方向側を照射するため、光源50は、刃10の両面に対して光を照射し、除菌することができる。
【0032】
連結部13は、第1の刃11および第2の刃12が回転移動する際に、回転軸となる部分である。固定部71を連結部13に固定し、溝83に第1の刃11の側面11cを嵌め込むことにより、取付部材70は第1の刃11に固定される。
【0033】
これにより、第1の刃11および第2の刃12を開閉(回転移動)しても、取付部材70は、第1の刃11と連動して移動するため、光源プレート80に設置された光源50は、安定して第1の刃11および第2の刃12に対して、光を照射することができる。
【0034】
また、連結部13および第1の刃11に固定した取付部材70により、第1の刃11および第2の刃12の開閉が妨げられない。さらに、連結部13は、光源50が光を照射する第1の刃11に固定され、第2の刃12からも近い位置にあるため、光源50から第1の刃11および第2の刃12に対して、容易に光を照射することができる。
【0035】
また、第1の刃11のほぼ全長にわたって光源プレート80が設置されるため、第1の刃11および第2の刃12に対して、均一に光を照射することができる。
【0036】
ただし、これに限らず、第1の刃11および第2の刃12の開閉を妨げることがなく、第1の刃11および第2の刃12に光源50からの光を照射できる位置であれば、連結部13以外の場所であっても、取付部材70を取付けることができる。
【0037】
<光源50>
図5は光源50の他の例を示す模式図である。符号500Aで示す図は、光源50の斜視図であり、符号500Bで示す図は、光源50を側面側(X方向およびY方向と直交し、かつ紙面と直交する方向)から見た図である。光源50は、例えば、円筒形の形状を有するLEDまたは蛍光灯であり、第1のプレート82aと第2のプレート82bとに1個ずつ備えてもよいし、複数個ずつ備えてもよい。光源50が複数備えられている場合、全可視光領域の光源50とUVA領域の光源50とを併用して使用してもよい。
【0038】
図6は、光源50のもう一つの他の例を示す模式図である。符号600Aで示す図は、光源50を照射面側から見た図であり、符号600Bで示す図は、光源50を側面側から見た図である。光源50は、例えば、電球型の形状を有するLEDまたは蛍光灯であり、第1のプレート82aと第2のプレート82bとに1個ずつ備えてもよいし、複数個ずつ備えてもよい。光源50が複数備えられている場合、全可視光領域の光源50とUVA領域の光源50とを併用して使用してもよい。
【0039】
また光源50は、サーチライトのように、反射鏡を有し特定の方向に光を照射するものであってもよい。光源50の詳細については、後述する。
【0040】
図7は、光源50の照射範囲を示す図である。符号700Aで示す図は、X方向から見た照射範囲を示す図、符号700Bで示す図は、Y方向から見た照射範囲を示す図である。
【0041】
符号700Aに示すように、第1の光源51は、第1の刃11と第2の刃12とを開いた状態で、第1の刃11の第2の面11bと、第2の刃12の第1の面12aとを照射する。符号700Bに示すように、第2の光源52は、第1の刃11と第2の刃12とを開いた状態で、第1の刃11の第1の面11aと、第2の刃12の第2の面12bとを照射する。
【0042】
これにより、第1の刃11と第2の刃12との両面に対して光を照射し、光触媒層15に活性酸素を発生させて、除菌することができる。
【0043】
また、光源50が可視光の場合は、光源50により、ハサミ1の刃11を光で照射することで、ハサミ1を使用して作業するユーザの手元および切断対象を明るく照らすことができる。特に、葉陰で暗いところにある植物を切るときや、早朝または夜間に作業をするときなど、光源50の光で手元が明るくなるので、作業がしやすくなる。このように、ハサミ1を使用することで、ユーザの作業効率を向上させることができる。
【0044】
光源50は、例えば、少なくとも第1の刃11および第2の刃12が開いた期間、光を照射するようにしてもよい。第1の刃11および第2の刃12が閉じているときは、第1の刃11の第1の面11aと、第2の刃12の第1の面12aとに光を照射することができない。このため、第1の刃11および第2の刃12が開いた期間だけ光を照射しても、充分除菌効果を発揮させることができる。また、このように照射することにより、使用する電力を低減させ、電池を長持ちさせることができる。
【0045】
また、これに限らず、光源50は常時点灯してもよい。また、光源50を常時点灯する状態と、刃10が開いた期間だけ点灯する状態とに、日照状況等に応じて、ユーザが切り替えることができる構造にしてもよい。
【0046】
また、光源50が複数備えられている場合、例えば、光源50の半分を常時点灯させ、残りの半分を刃10が開いたときだけ点灯するようにしてもよい。天気が良く十分な日照が得られるときは、光源50を消灯できるようにしてもよい。
【0047】
さらに、光源50が複数備えられている場合、波長が異なる光源50を複数備えてもよい。例えば、光源50の約半分について、波長域を380nmから810nmまでの範囲(全可視光領域)とし、残りの約半分ついて、380nmから400nmまでの範囲(UVA領域)としてもよい。なお、全可視光領域の光源50とUVA領域の光源50との比率は適宜変更してもよい。
【0048】
<光触媒層15>
光触媒層15は、刃10の表面に形成される層であり、可視光応答型の光触媒材料を含む。例えば、光源50が蛍光灯である場合、組成として酸化チタン(TiO2)を含む光触媒材料が使用される。光源50がLEDである場合、光触媒作用を向上させるために、銅(Cu)を含む銅系化合物修飾酸化タングステンが光触媒材料として使用される。LEDを使用する場合、消費電力が少ないため、電源部23を小型化、軽量化することができる。
【0049】
ハサミの刃は、通常使用するに従って切れ味が鈍くなるため、刃を砥ぐ必要がある。しかし、ハサミ1の刃10を砥ぐと、刃10の表面に形成された光触媒層15が薄くなってしまい、充分な光触媒作用を発揮できなくなるおそれがある。
【0050】
図8は、光触媒層15を備える刃10の構成を説明する模式図である。
図8に示すように、ハサミ1は光触媒層15の下に、光触媒層15が薄くなったことをユーザに通知するために、下地層16が設けられている。下地層16は、光触媒層15とは色彩が異なるように、例えば赤色等の色彩で形成される。このため、ユーザは刃10の表面に赤色の部分を視認することで、光触媒層15が薄くなったことを認識することができる。これにより、ユーザは適切なときに刃10の表面に光触媒層15を再コーティングすることができる。また、刃10は交換可能に構成されていてもよく、この場合、ユーザは新しい刃10に交換することができる。
【0051】
また、下地層16は部分的に色彩が施され、光触媒層15が薄くなったことを通知する文字、記号等が、異なる色彩として視認できるように構成してもよい。
【0052】
〔変形例〕
図9は、刃10Aの表面に形成される光触媒層15Aの他の例を示す図である。
図9に示すように、光触媒層15Aは刃10Aの刃先部17を除いた部分に形成される。これにより、光触媒層15Aによって刃10Aの切れ味が鈍くなることを防ぎ、刃10Aの開閉によって、刃先部17の光触媒層15Aが削れてしまうのを抑制することができる。
【0053】
また、このように構成しても、刃先部17以外の部分に形成される光触媒層15Aの光触媒作用を刃先部17にも及ぼすことができ、刃先部17を充分に除菌することができる。
【0054】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0055】
実施形態2のハサミ1は、取付部材40が、X方向側とY方向側とに一対備えられている点で、実施形態1のハサミ1と異なる。
【0056】
図10は、本発明の実施形態2に係るハサミ1の外観の一例を示す図である。符号110Aで示す図は、ハサミ1をX方向から見た図であり、符号110Bで示す図は、ハサミ1をY方向から見た図である。
【0057】
図10に示すように、ハサミ1は、一対の刃10、光触媒層15、一対の把持部20、連結ピン30、一対の取付部材40、および光源50を備えて構成される。
【0058】
連結ピン30は、第1の刃11および第2の刃12を回転可能に連結するとともに、光源50が設置される取付部材40を固定する。
【0059】
取付部材40は、ハサミ1のX方向側に固定される第1の取付部材41、Y方向側に固定される第2の取付部材42を備える。第1の取付部材41および第2の取付部材42は、それぞれ、固定部41a,42a、および取付部41b,42bを備える。固定部41a,42aは、それぞれ連結ピン30によって、第1の刃11および第2の刃12の連結部13に固定される。取付部41b,42bには、それぞれ光源50が設置される。
【0060】
光源50は、X方向側に配置される第1の光源51、Y方向側に配置される第2の光源52を備える。
【0061】
光源50が光触媒層15に対して光を照射することで活性酸素を発生させ、第1の刃11および第2の刃12を安定して除菌することができる。
【0062】
図11は、ハサミ1を側面側から見た、光源50の取付部の断面を示す模式図である。
図11に示すように、貫通孔31が、第1の取付部材の固定部41a、第2の取付部材42の固定部42a、第1の刃11、および第2の刃12を貫通して形成されている。
【0063】
連結ピン30を貫通孔31に挿通することにより、第1の取付部材41および第2の取付部材42は、第1の刃11および第2の刃12を挟持するように連結部13に固定される。
【0064】
第1の光源51は、X方向側の取付部41bに設置され、第2の光源52は、Y方向側の取付部42bに設置される。これにより、第1の光源51はX方向側を照射し、第2の光源52はY方向側を照射するため、光源50は、刃10の両面に対して光を照射し、除菌することができる。
【0065】
連結部13は、第1の刃11および第2の刃12が回転移動する際に、回転軸となる部分である。取付部材40を連結部13に固定することにより、第1の刃11および第2の刃12を開閉(回転移動)しても、取付部材40は、位置がずれることがなく固定される。これにより、取付部材40に設置された光源50は、安定して第1の刃11および第2の刃12に対して、光を照射することができる。
【0066】
また、連結部13に固定した取付部材40により、第1の刃11および第2の刃12の開閉が妨げられない。さらに、連結部13は、光源50が光を照射する第1の刃11および第2の刃12から近い位置にあるため、光源50から第1の刃11および第2の刃12に対して、容易に光を照射することができる。
【0067】
ただし、これに限らず、第1の刃11および第2の刃12の開閉を妨げることがなく、第1の刃11および第2の刃12に光源50からの光を照射できる位置であれば、連結部13以外の場所であっても、取付部材40を取付けることができる。
【0068】
図12は、光源50の照射範囲を示す図である。符号120Aで示す図は、X方向から見た照射範囲を示す図、符号120Bで示す図は、Y方向から見た照射範囲を示す図である。
図13は、側面側から見た光源50の照射範囲を示す図である。
【0069】
符号120Aおよび
図13に示すように、第1の光源51は、第1の刃11と第2の刃12とを開いた状態で、第1の刃11の第2の面11bと、第2の刃12の第1の面12aとを照射する。符号120Bおよび
図13に示すように、第2の光源52は、第1の刃11と第2の刃12とを開いた状態で、第1の刃11の第1の面11aと、第2の刃12の第2の面12bとを照射する。
【0070】
これにより、第1の刃11と第2の刃12との両面に対して光を照射し、光触媒層15に活性酸素を発生させて、除菌することができる。
【0071】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0072】
実施形態3の刃10Bは、光触媒層15が刃10の表面に形成される実施形態1の刃10と異なり、刃10Bの中に光触媒材料を含んで構成される。
【0073】
具体的に説明すると、刃10Bは、セルロースナノファイバに光触媒材料である二酸化チタンを混合したものを素材として構成される。
【0074】
これにより、刃10Bを砥いでも光触媒作用が低下することがなく、光触媒作用を長く維持することができる。また、刃10Bを砥ぐことができるため、切れ味が低下しても刃10Bを交換する必要がない。
【0075】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0076】
<まとめ>
本発明の態様1に係るハサミは、互いに交差して回転可能に連結される第1の刃および第2の刃と、前記第1の刃および前記第2の刃の表面に形成される光触媒層と、前記光触媒層に対して光を照射する光源と、を備える。
【0077】
本発明の態様2に係るハサミは、上記態様1において、前記第1の刃および前記第2の刃は、前記第1の刃と前記第2の刃とを閉じた状態で、前記第1の刃および前記第2の刃が互いに対向する側の第1の面と、前記第1の面と反対側の面である第2の面とを備え、前記光触媒層は、前記第1の刃および前記第2の刃のそれぞれについて、前記第1の面および前記第2の面に形成されてもよい。
【0078】
本発明の態様3に係るハサミは、上記態様1または2において、前記光源は、前記第1の刃と前記第2の刃とを開いた状態で、前記第1の刃の前記第2の面と、前記第2の刃の前記第1の面とを照射する第1の光源、および、前記第1の刃の前記第1の面と、前記第2の刃の前記第2の面とを照射する第2の光源を備えてもよい。
【0079】
本発明の態様4に係るハサミは、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記光源は、少なくとも、前記第1の刃および前記第2の刃が開いた期間点灯してもよい。
【0080】
本発明の態様5に係るハサミは、上記態様4において、前記光源は、常時点灯してもよい。
【0081】
本発明の態様6に係るハサミは、上記態様1から5のいずれかにおいて、前記光源に電力を供給するための電源部をさらに備えてもよい。
【0082】
本発明の態様7に係るハサミは、上記態様1から6のいずれかにおいて、前記光触媒層の下に下地層をさらに備え、前記下地層は、前記光触媒層と色彩が異なってもよい。
【0083】
本発明の態様8に係るハサミは、互いに交差して回転可能に連結される第1の刃および第2の刃と、前記第1の刃および前記第2の刃に対して光を照射する光源と、を備え、前記第1の刃および前記第2の刃は、光触媒材料を含んで構成されている。
【0084】
本発明の態様9に係るハサミは、上記態様1から8のいずれかにおいて、植物を切る際に使用されるハサミであってもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 ハサミ
11 第1の刃
11a,12a 第1の面
11b,12b 第2の面
12 第2の刃
15 光触媒層
16 下地層
23 電源部
50 光源
51 第1の光源
52 第2の光源