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特開2024-142226無線制御デバイス、照明器具、及び照明システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142226
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】無線制御デバイス、照明器具、及び照明システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/19 20200101AFI20241003BHJP
   H05B 45/325 20200101ALI20241003BHJP
   H05B 45/10 20200101ALI20241003BHJP
   H05B 45/3725 20200101ALI20241003BHJP
【FI】
H05B47/19
H05B45/325
H05B45/10
H05B45/3725
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054302
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】達 紘平
(72)【発明者】
【氏名】元村 正志
(72)【発明者】
【氏名】竹澤 宏始
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273QA04
3K273QA17
3K273RA13
3K273SA08
3K273SA32
3K273SA60
3K273TA03
3K273TA14
3K273TA15
3K273TA22
3K273TA37
3K273TA49
3K273TA54
3K273TA62
3K273TA64
3K273TA67
3K273UA15
3K273UA17
3K273UA22
3K273UA27
3K273UA28
(57)【要約】
【課題】起動時に負荷の調光率が瞬間的に100%になることを抑制する。
【解決手段】無線制御デバイス3は、リセットIC31、電圧変換回路32、処理回路33、レベル反転回路35及びレベル変換回路34を備える。リセットIC31は、遅延時間が経過した後に起動信号を出力する。電圧変換回路32は、起動信号が入力されると、電源回路2からの第1電源電圧V1を第2電源電圧V3に変圧して第2電源電圧V3を出力する。処理回路33は、第2電源電圧V3が入力されると、第1PWM信号S1を出力する。レベル反転回路35は、処理回路33からの第1PWM信号S1のオン期間とオフ期間とを入れ替えたPWM信号を第2PWM信号S2として出力する。レベル変換回路34は、レベル反転回路35からの第2PWM信号S2のオン電圧を変圧し、変圧したPWM信号を第3PWM信号S3として電源回路2に出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源回路から負荷への給電を制御する無線制御デバイスであって、
前記電源回路から出力された第1電源電圧が閾値電圧を超えた時点から遅延時間が経過した後に起動信号を出力するリセットICと、
前記リセットICから前記起動信号が入力されると、前記電源回路から出力された前記第1電源電圧を第2電源電圧に変圧して前記第2電源電圧を出力する電圧変換回路と、
前記電圧変換回路から前記第2電源電圧が入力されると、前記負荷への給電を制御するための第1PWM信号を出力する無線用の処理回路と、
前記処理回路から出力された前記第1PWM信号のオン期間とオフ期間とを入れ替えたPWM信号を、第2PWM信号として出力するレベル反転回路と、
前記レベル反転回路から出力された前記第2PWM信号のオン電圧を変圧し、変圧したPWM信号を第3PWM信号として前記電源回路に出力するレベル変換回路と、を備える、
無線制御デバイス。
【請求項2】
前記第1電源電圧が前記閾値電圧を超えた時点から前記遅延時間が経過するまでの間は、
前記処理回路は、前記第1PWM信号としてオフ電圧を常時出力し、
前記レベル反転回路は、前記第2PWM信号としてオン電圧を常時出力し、
前記レベル変換回路は、前記第3PWM信号としてオン電圧を前記電源回路に常時出力する、
請求項1に記載の無線制御デバイス。
【請求項3】
前記電源回路は、
前記第1電源電圧を出力する出力部と、
前記レベル変換回路からの前記第3PWM信号が入力される第1信号入力部と、を有し、
前記レベル変換回路は、
前記レベル反転回路からの前記第2PWM信号が入力される第2信号入力部と、
前記第3PWM信号を前記第1信号入力部に出力する信号出力部と、を有し、
前記レベル反転回路は、
前記出力部に抵抗を介して接続されかつ前記第2信号入力部に接続された第1電極、グランドに接続された第2電極、及び、前記処理回路からの前記第1PWM信号が入力される制御電極を有するスイッチング素子を備える、
請求項1又は2に記載された無線制御デバイス。
【請求項4】
電源回路から負荷への給電を制御する無線制御デバイスであって、
前記電源回路から出力された第1電源電圧が閾値電圧を超えた時点から遅延時間が経過した後に起動信号を出力するリセットICと、
前記リセットICから前記起動信号が入力されると、前記電源回路から出力された前記第1電源電圧を第2電源電圧に変圧して前記第2電源電圧を出力する電圧変換回路と、
前記電圧変換回路から前記第2電源電圧が入力されると、前記負荷への給電を制御するための第1PWM信号を出力する無線用の処理回路と、
前記処理回路から出力された前記第1PWM信号のオン期間とオフ期間とを入れ替えたPWM信号を、第2PWM信号として前記電源回路に出力するレベル反転回路と、を備える、
無線制御デバイス。
【請求項5】
前記電源回路は、
前記第1電源電圧を出力する出力部と、
前記レベル反転回路からの前記第2PWM信号が入力される信号入力部と、を有し、
前記レベル反転回路は、
前記出力部に抵抗を介して接続されかつ前記信号入力部に接続された第1電極、グランドに接続された第2電極、及び、前記処理回路からの前記第1PWM信号が入力される制御電極を有するスイッチング素子を備える、
請求項4に記載された無線制御デバイス。
【請求項6】
前記電源回路は、前記第1電源電圧を出力する出力部を有し、
前記無線制御デバイスは、前記起動信号の出力が停止される間、前記電源回路の前記出力部をグランドに接続する放電回路を更に備える、
請求項1又は2に記載された無線制御デバイス。
【請求項7】
前記放電回路は、前記リセットICから前記起動信号が出力される間は、前記電源回路の前記出力部をグランドに接続しない、
請求項6に記載の無線制御デバイス。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の無線制御デバイスと、
前記電源回路と、
光源である前記負荷と、を備える、
照明器具。
【請求項9】
請求項8に記載の照明器具と、
前記無線制御デバイスの前記処理回路と無線通信を行って前記処理回路を制御するコントローラと、を備える、
照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に無線制御デバイス、照明器具、及び照明システムに関する。より詳細には、本開示は、遅延機能付きのリセットICを備える無線制御デバイス、上記無線制御デバイスを備える照明器具、及び、上記照明器具を備える照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された照明用電源装置(無線制御デバイス)は、全波整流回路と、力率改善回路と、補助電源回路路と、降圧チョッパ回路と、LED素子列(負荷)と、マイコン(処理回路)と、PWM制御回路(処理回路)とを備える。全波整流回路は、交流電源から供給される交流電圧を直流電圧に変換し、変換した直流電圧を出力する。力率改善回路は、全波整流回路の出力電力の力率を改善し、力率を改善した電力を出力する。降圧チョッパ回路(電圧変換回路)は、スイッチング素子を有し、このスイッチング素子によって力率改善回路の出力電圧を降圧して、降圧した電圧をLED素子列に出力する。補助電源回路は、力率改善回路の出力電圧からマイコン用及びPWM制御回路用の電源電圧を生成する。マイコンは、PWM制御回路を制御する。PWM制御回路は、マイコンの制御に基づいて、降圧チョッパ回路のスイッチング素子をPWM制御するためのPWM信号を降圧チョッパ回路に出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-22083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の照明用電源装置(以下、電源装置と記載する。)において、マイコンがPOR(Power-on Reset)機能を備える場合がある。POR機能は、起動時にマイコンを正しく初期状態にリセットさせる機能である。この場合は、マイコンには、「起動時にマイコンの入力電圧が必ず一定の電圧以下から立ち上がらないと、POR機能が正しく動作しない」という制約条件がある。例えば、電源装置が瞬停後に直ぐに再起動すると、補助電源回路は、完全に放電されない状態で再起動する。このため、マイコンの入力電圧は、再起動時に一定の電圧以下に下がりきらず、一定の電圧より高いままであるため、再起動時に一定の電圧以下から立ち上がらなくなり、POR機能は正しく動作しなくなる。すなわち、電源装置が瞬停後に直ぐに再起動すると、上記の制約条件が守られなくなり、マイコンに不具合が発生する場合がある。
【0005】
このため、上記の制約条件を守るために、電源装置に遅延機能付きのリセットICを備える案が提案されている。ここで、遅延機能付きのリセットICは、例えば、力率改善回路の出力電圧が閾値電圧を超えた時点から遅延時間が経過した後に、補助電源回路を起動させる。なお、上記閾値電圧は、力率改善回路の出力電圧が所定電圧(例えば定格電圧)に達したか否かを判定するための電圧であり、リセットICの上記遅延時間の計時の開始タイミングを判定のための電圧である。この場合、力率改善回路の出力電圧がリセットICの上記閾値電圧を超過すると、その超過時点から遅延時間が経過した後に、リセットICが補助電源回路を起動させる。そして、補助電源回路が起動すると、マイコン及びPWM制御回路が起動する。
【0006】
このため、電源装置(力率改善回路)が瞬停後にすぐ再起動しても、補助電源回路は、力率改善回路の出力電圧が上記閾値電圧を超えた時点から遅延時間が経過した後に(すなわち補助電源回路の放電が完了した後に)再起動する。このため、補助電源回路の出力電圧は、再起動時に一定の電圧以下から立ち上がる。すなわち、マイコンの入力電圧は、再起動時に一定の電圧以下から立ち上がる。この結果、マイコンのPOR機能が正しく動作する。
【0007】
しかし、補助電源回路の起動時及び再起動時に上記の遅延時間があると、その遅延時間内では、マイコンが動作しないため、PWM制御回路からPWM信号が出力されない。この場合、PWM制御回路から出力されるPWM信号は、常にLow信号(0(ゼロ)Vの電圧、すなわちデューティ比0%のPWM信号に相当する電圧)となる。LED素子列の調光率の設定において、LED素子列にLow信号が入力されると、LED素子列の調光率が100%になるように設定されていることが一般的である。そして、マイコンが遅延時間後に動作し始めると、PWM制御回路が、リモコンで制御された調光率(調光率100%ではない調光率)のPWM信号を出力する。この結果、LED素子列が起動時から遅延時間までの間は調光率100%で発光しその後は直ぐに調光率が低下する(すなわちLED素子列の調光率が瞬間的に100%になる)、通称オンピカという現象が発生する。このオンピカ現象による視覚的に認識できるチラツキが使用者に不快感を与えるという問題がある。
【0008】
本開示の目的は、起動時に負荷の調光率が瞬間的に100%になることを抑制できる無線制御デバイス、この無線制御デバイスを備える照明器具、及び、この照明器具を備える照明システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様の無線制御デバイスは、電源回路から負荷への給電を制御する。前記無線制御デバイスは、リセットICと、電圧変換回路と、無線用の処理回路と、レベル反転回路と、レベル変換回路と、を備える。前記リセットICは、前記電源回路から出力された第1電源電圧が閾値電圧を超えた時点から遅延時間が経過した後に起動信号を出力する。前記電圧変換回路は、前記リセットICから前記起動信号が入力されると、前記電源回路から出力された前記第1電源電圧を第2電源電圧に変圧して前記第2電源電圧を出力する。前記処理回路は、前記電圧変換回路から前記第2電源電圧が入力されると、前記負荷への給電を制御するための第1PWM信号を出力する。前記レベル反転回路は、前記処理回路から出力された前記第1PWM信号のオン期間とオフ期間とを入れ替えたPWM信号を、第2PWM信号として出力する。前記レベル変換回路は、前記レベル反転回路から出力された前記第2PWM信号のオン電圧を変圧し、変圧したPWM信号を第3PWM信号として前記電源回路に出力する。
【0010】
本開示の一態様の無線制御デバイスは、電源回路から負荷への給電を制御する無線制御デバイスである。前記無線制御デバイスは、リセットICと、電圧変換回路と、無線用の処理回路と、レベル反転回路と、を備える。前記リセットICは、前記電源回路から出力された第1電源電圧が閾値電圧を超えた時点から遅延時間が経過した後に起動信号を出力する。前記電圧変換回路は、前記リセットICから前記起動信号が入力されると、前記電源回路から出力された前記第1電源電圧を第2電源電圧に変圧して前記第2電源電圧を出力する。前記処理回路は、前記電圧変換回路から前記第2電源電圧が入力されると、前記負荷への給電を制御するための第1PWM信号を出力する。前記レベル反転回路は、前記処理回路から出力された前記第1PWM信号のオン期間とオフ期間とを入れ替えたPWM信号を、第2PWM信号として前記電源回路に出力する。
【0011】
本開示の一態様の照明器具は、前記無線制御デバイスと、前記電源回路と、光源である前記負荷と、を備える。
【0012】
本開示の一態様の照明システムは、前記照明器具と、コントローラと、を備える。前記コントローラは、前記無線制御デバイスの前記処理回路と無線通信を行って前記処理回路を制御する。
【発明の効果】
【0013】
本開示の無線制御デバイス、照明器具、及び照明システムによれば、遅延機能付きリセットICを備える無線制御デバイスにおいて、リセットICの遅延時間の間、負荷に大電流が流れることを抑制できる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態1に係る照明システムの構成図である。
図2図2は、比較例に係る照明システムの構成図である。
図3図3は、比較例における、電源回路の出力電圧(第1直流電圧)、電圧変換回路の出力電圧(第3直流電圧)、及び、電源回路の信号入力部の入力電圧の各々の時間変化を示すタイミングチャートである。
図4図4は、実施形態1における、電源回路の出力電圧(第1直流電圧)、電圧変換回路の出力電圧(第3直流電圧)、及び、電源回路の信号入力部の入力電圧の各々の時間変化を示すタイミングチャートである。
図5図5は、実施形態2に係る照明システムの構成図である。
図6図6は、実施形態3に係る照明システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態に係る無線制御デバイス、上記無線制御デバイスを備える照明器具、及び、上記照明器具を備える照明システムについて説明する。下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の例に過ぎない。また、下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0016】
(1)実施形態1
(1-1)概要
実施形態1に係る無線制御デバイス3は、図1に示すように、電源回路2から負荷M1への給電を制御する。無線制御デバイス3は、リセットIC31と、電圧変換回路32と、無線回路33(処理回路)と、レベル反転回路35と、レベル変換回路34と、を備える。リセットIC31は、電源回路2から出力された第1直流電圧V1(第1電源電圧)が閾値電圧Vsを超えた時点から遅延時間ΔT1経過後に起動信号S4を出力する。電圧変換回路32は、リセットIC31から起動信号S4が入力されると、電源回路2から出力された第1直流電圧V1を第3直流電圧V3(第2電源電圧)に変圧して第3直流電圧V3を出力する。無線回路33は、電圧変換回路32から第3直流電圧V3が入力されると、負荷M1への給電を制御するための第1PWM信号S1を出力する。レベル反転回路35は、無線回路33から出力された第1PWM信号S1のオン期間とオフ期間とを入れ替えたPWM信号を、第2PWM信号S2として出力する。レベル変換回路34は、レベル反転回路35から出力された第2PWM信号S2のオン電圧を変圧し、変圧したPWM信号を第3PWM信号S3として電源回路2に出力する。
【0017】
このため、リセットIC31から起動信号S4が出力されると、レベル変換回路34から電源回路2には、オン電圧(デューティ比100%のPWM信号に相当する電圧)が入力される。これにより、起動時に、光源(負荷M1)の調光率が遅延時間ΔT1の間100%となりその後急減する(すなわち調光率が瞬間的に100%になる)、通称オンピカ現象を抑制できる。
【0018】
(1-2)構成の詳細
図1を参照して、実施形態1に係る照明システム1について詳細に説明する。
【0019】
照明システム1は、例えば、建物の屋内に設置されて屋内を照明するシステムである。照明システム1は、照明器具5と、無線通信によって照明器具5を操作可能な通信端末4と、を備える。
【0020】
通信端末4は、照明器具5と無線通信を行って照明器具5を操作するための通信端末(例えばリモコン装置、スマートフォン端末、又はタブレット端末など)である。より詳細には、通信端末4は、照明器具5の後述の無線回路33と無線通信によって無線回路33を制御することが可能である。通信端末4は、照明器具5の無線回路33と無線通信によって無線回路33を制御するコントローラの一例である。
【0021】
通信端末4は、操作部4aと、通信部4bと、を備える。操作部4aは、使用者が照明器具5を操作するための操作指令の入力を受け付ける。通信部4bは、照明器具5の後述の無線回路33と無線通信(例えば無線LAN、Wi-Fi(登録商標)、赤外線通信など)を行って無線回路33を制御する。通信部4bは、操作部4aに入力された操作指令から制御信号を生成し、生成した制御信号を無線信号に重畳して外部(無線回路33)に発信する。通信端末4への操作によって照明器具5の調光率を操作することが可能である。すなわち、通信端末4に操作指令として調光率を入力することで、照明器具5の調光率を操作することが可能である。
【0022】
照明器具5は、負荷M1と、電源回路2と、無線制御デバイス3と、を備える。
【0023】
負荷M1は、照明用の光源(例えばLED(light-emitting diode)である。負荷M1は、電源回路2から供給される電流及び電圧によって動作(すなわち発光)する。
【0024】
電源回路2は、交流電源B1の出力電圧から直流電圧(制御用の第1直流電圧V1及び負荷用の第2直流電圧V2)を生成し、生成した第1直流電圧V1を無線制御デバイス3に出力し、生成した第2直流電圧V2を負荷M1に出力する。また、電源回路2は、無線制御デバイス3からの後述の第3PWM(Pulse Width Modulation)信号S3に基づいて、電源回路2から負荷M1への給電を制御する。電源回路2は、例えば、整流回路、定電圧回路、定電流回路、DC-DCコンバータなどによって構成されている。
【0025】
より詳細には、電源回路2は、交流電源B1から出力された交流電圧を直流電圧に変換し、変換した直流電圧から第1直流電圧V1及び第2直流電圧V2を生成する。第1直流電圧V1は、第2直流電圧V2よりも低い直流電圧であり、例えば5Vである。第2直流電圧V2は、第1直流電圧V1よりも高い直流電圧であり、例えば30V~40Vである。電源回路2は、生成した第1直流電圧V1を無線制御デバイス3に出力する。この出力によって電源回路2から無線制御デバイス3に電力が供給される。また、電源回路2は、生成した第2直流電圧V2を負荷M1に出力する。この出力によって電源回路2から負荷M1に電力が供給される。すなわち、無線制御デバイス3及び負荷M1は、交流電源B1で生成される電圧で動作する。
【0026】
また、電源回路2は、無線制御デバイス3から出力される後述の第3PWM信号S3に基づいて、生成した第2直流電圧V2をPWM制御することで、負荷M1への供給を制御する。より詳細には、電源回路2は、スイッチング素子を備える。上記スイッチング素子は、例えばバイポーラトランジスタ又はMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)などである。電源回路2は、第3PWM信号S3に基づいて上記スイッチング素子をオンオフ制御することで、生成した第2直流電圧V2をPWM制御し、そのPWM制御した第2直流電圧V2を負荷M1に出力する。これにより、電源回路2は、負荷M1への給電を制御する。
【0027】
電源回路2は、デフォルト設定として、無線制御デバイス3から入力される後述の第3PWM信号S3のデューティ比が0%のときは、負荷M1に定格電流(例えば最大電流)を供給するように上記スイッチング素子を制御する。この場合、照明用の光源である負荷M1は、調光率100%の輝度で発光する。また、電源回路2は、デフォルト設定として、無線制御デバイス3から入力される第3PWM信号S3のデューティ比が100%のときは、負荷M1に最低電流(例えばゼロ電流)を供給するように上記スイッチング素子を制御する。この場合、照明用の光源である負荷M1は、調光率0%の輝度に制御されて消灯する。
【0028】
電源回路2は、入力部2aと、出力部2bと、出力部2cと、信号入力部2d(第1信号入力部)とを有する。入力部2aは、交流電源B1と接続されて、交流電源B1の出力電圧(交流電圧)が入力される部分である。出力部2bは、無線制御デバイス3の後述の入力部31aと接続されて、電源回路2が生成した第1直流電圧V1を無線制御デバイス3に出力する部分である。出力部2cは、負荷M1と接続されて、電源回路2が生成した第2直流電圧V2を負荷M1に出力する部分である。信号入力部2dは、無線制御デバイス3からの後述の第3PWM信号S3が入力される部分である。
【0029】
無線制御デバイス3は、電源回路2を介して、電源回路2から負荷M1への給電を制御する装置である。無線制御デバイス3は、電源回路2から供給される電力によって動作する。より詳細には、無線制御デバイス3は、通信端末4から受信する無線信号に含まれる制御信号に基づいて第3PWM信号S3を生成し、生成した第3PWM信号S3を電源回路2の信号入力部2dに出力する。これにより、電源回路2は、上述のように、入力された第3PWM信号S3に基づいて、電源回路2から負荷M1への給電を制御する。
【0030】
無線制御デバイス3は、リセットIC(IC:Integrated Circuit)31と、電圧変換回路32と、無線回路33(処理回路)と、レベル反転回路35と、レベル変換回路34と、を備える。
【0031】
リセットIC31は、遅延機能付きのリセットICである。リセットIC31は、電圧変換回路32の起動及び停止を制御する。より詳細には、リセットIC31は、電源回路2から出力される第1直流電圧V1が閾値電圧Vsを超過すると、その超過時点から遅延時間経過した後に、起動信号S4を電圧変換回路32に出力して電圧変換回路32を起動させる。なお、閾値電圧Vsは、第1直流電圧V1の出力電圧が所定電圧(例えば定格電圧)に達したか否かを判定するための電圧である。以後、電圧変換回路32の起動を遅延させるこの処理を遅延処理と記載する場合がある。また、リセットIC31は、電源回路2から出力される第1直流電圧V1が閾値電圧Vs以下になると、停止信号S5を電圧変換回路32に出力して電圧変換回路32を停止させる。
【0032】
なお、起動信号S4は、電圧変換回路32を起動させるための信号であり、例えばHigh信号(例えば電圧がゼロでない信号)である。停止信号S5は、電圧変換回路32を停止させるための信号であり、例えばLow信号(例えば電圧がゼロである信号)である。 なお、本実施形態では、閾値電圧Vsは、第1直流電圧V1(例えば5V)よりも低い電圧である。このため、電源回路2から第1直流電圧V1が出力されると、第1直流電圧V1は閾値電圧Vsを超える。また、電源回路2からの第1直流電圧V1の出力が停止されると、第1直流電圧V1は、0(ゼロ)Vの電圧になって閾値電圧Vsを下回る。
【0033】
リセットIC31は、入力部31aと、信号出力部31bと、を有する。入力部31aは、電源回路2の出力部2bと接続されて、電源回路2からの第1直流電圧V1が入力される部分である。信号出力部31bは、起動信号S4及び停止信号S5を電圧変換回路32に出力する部分である。
【0034】
電圧変換回路32は、例えば、レギュレータを含む。電圧変換回路32は、電圧変換処理として、電源回路2から出力された第1直流電圧V1(例えば5V)を、第3直流電圧V3(例えば3V)に変圧して無線回路33に出力する。第3直流電圧V3は、無線回路33が要求する直流電圧であり、例えば、第1直流電圧V1よりも低い直流電圧(例えば3V)である。なお、第3直流電圧V3は、第1直流電圧V1よりも高い直流電圧であってもよい。
【0035】
電圧変換回路32は、リセットIC31からの起動信号S4及び停止信号S5の入力に応じて、起動及び停止する。電圧変換回路32は、起動信号S4が入力されると、起動して、上記の電圧変換処理を行い、停止信号S5が入力されると、上記の電圧変換処理を停止する。
【0036】
電圧変換回路32は、信号入力部32aと入力部32bと出力部32cとを有する。信号入力部32aは、リセットIC31の信号出力部31bと接続されて、リセットICからの起動信号S4及び停止信号S5が入力される部分である。出力部32cは、電圧変換回路32の電圧変換処理で生成された第3直流電圧V3を無線回路33に出力する部分である。
【0037】
無線回路33は、通信端末4との間で無線通信を行い、通信端末4から受信する無線信号に含まれる制御信号に基づいて、電源回路2から負荷M1への給電を制御するための第1PWM信号S1を生成する。無線回路33は、電圧変換回路32から入力される第3直流電圧V3を電源電圧として動作する。すなわち、無線回路33は、電圧変換回路32からの第3直流電圧V3の入力及び停止に応じて、起動及び停止する。無線回路33は、起動すると、無線通信及びPWM信号生成処理を行い、停止すると、無線通信及びPWM信号生成処理を停止する。
【0038】
無線回路33は、通信部331と、PWM信号生成部332と、を備える。通信部331は、通信端末4の通信部4bと無線通信(例えば無線LAN、Wi-Fi(登録商標)、赤外線通信など)を行う。PWM信号生成部332は、通信部331が受信した無線信号に含まれる制御信号に基づいて、第1オン電圧(例えば3V)を有する第1PWM信号S1を生成し、生成した第1PWM信号S1をレベル変換回路34に出力する。なお、オン電圧(第1オン電圧)とは、PWM信号を構成する矩形波の振幅電圧である。無線回路33は、第3直流電圧V3が入力されると、第1オン電圧を有する第1PWM信号S1を出力する無線用の処理回路の一例である。無線用の処理回路は、無線通信のための処理を行い、第3直流電圧V3で動作し、第1PWM信号S1を生成する処理回路であれば、どのような処理回路でもよい。
【0039】
無線回路33は、入力部33aと、信号出力部33bと、を有する。入力部33aは、電圧変換回路32の出力部32cと接続されて、電圧変換回路32から出力された第3直流電圧V3が入力される部分である。信号出力部33bは、PWM信号生成部332で生成された第1PWM信号S1をレベル反転回路35に出力する部分である。
【0040】
無線回路33は、POR(Power-on Reset)機能を有する。POR機能は、無線回路33の起動時に無線回路33を正しく初期状態にリセットさせる機能である。この場合は、無線回路33には、「起動時に無線回路33の入力電圧(第3直流電圧V3)が必ず一定の電圧(例えば0.3V)以下から立ち上がらないと、POR機能が正しく動作しない」という制約条件がある。このため、上記の制約条件を守るために、無線制御デバイス3は、上述の通り、遅延機能付きのリセットIC31を備える。リセットIC31は、上述の通り、電源回路2の出力電圧(第1直流電圧V1)が閾値電圧Vsを超えた時点から遅延時間が経過した後に、電圧変換回路32を起動させる。遅延時間を確保することで、遅延時間の間で電圧変換回路32内の残留電荷(例えば出力段のコンデンサに残留する電荷)が十分に放電される。これにより、電圧変換回路32の起動時に、電圧変換回路32から無線回路33に出力される第3直流電圧V3は、上記の一定の電圧(例えば0.3V)以下から立ち上がる。これにより、無線回路33が上記の制約条件を満たすようになる。
【0041】
レベル反転回路35は、無線回路33から出力された第1PWM信号S1のオン期間とオフ期間とを入れ替えたPWM信号を、第2PWM信号S2として出力する。なお、上記の「第1PWM信号S1のオン期間とオフ期間とを入れ替える」とは、第1PWM信号S1において、オン期間のオン電圧をオフ電圧に変圧することでオン期間をオフ期間に変換し、オフ期間のオフ電圧をオン電圧に変圧することでオフ期間をオン期間に変換することである。
【0042】
レベル反転回路35は、スイッチング素子Q3と、抵抗R1と、を備える。
【0043】
スイッチング素子Q3は、例えばNPN構造の半導体スイッチング素子である。なお、図1の例では、スイッチング素子Q3は、NPN型のバイポーラトランジスタであるが、Nチャネルのエンハンスメント形のMOSFETでもよい。スイッチング素子Q3のコレクタ35a(第1電極)は、抵抗R1を介して、電源回路2の出力部2bに接続されており、電源回路2の出力部2bからの直流電流(第1直流電圧V1の電圧を有する直流電流)が入力される。また、スイッチング素子Q3のコレクタ35aは、レベル変換回路34の後述の信号入力部34c(スイッチング素子Q2の制御電極)に接続されている。スイッチング素子Q3のエミッタ35b(第2電極)は、グランドに接続されている。このレベル変換回路34では、抵抗R1とスイッチング素子Q3のコレクタ35aとの間の接続点は、第2PWM信号S2をレベル変換回路34に出力する信号出力部35dとして機能する。スイッチング素子Q1のベース35c(制御電極)は、無線回路33の信号出力部33bに接続されており、無線回路33から出力された第1PWM信号S1が入力される。
【0044】
このレベル反転回路35では、スイッチング素子Q3は、無線回路33からの第1PWM信号S1によってオンオフ制御される。このとき、第1PWM信号S1によってスイッチング素子Q3がオンに制御されると、電源回路2の出力部2bからの直流電流は、抵抗R1及びスイッチング素子Q3を流れてグランドに放電される。この放電によって、電源回路2の出力部2bからの直流電流は、レベル変換回路34の後述のスイッチング素子Q2のベースには入力されない。これにより、レベル変換回路34のスイッチング素子Q2は、オフに制御される。換言すると、第1PWM信号S1のオン期間では、レベル反転回路35の信号出力部35dからスイッチング素子Q2のベースに、第2PWM信号としてオフ電圧(グランド電圧)が入力されて、スイッチング素子Q2がオフに制御される。
【0045】
また、第1PWM信号S1によってスイッチング素子Q3がオフに制御されると、電源回路2の出力部2bからの直流電流は、抵抗R1を流れて、信号出力部35dからレベル変換回路34の後述のスイッチング素子Q2のベースに入力される。これにより、レベル変換回路34の後述のスイッチング素子Q2は、オンに制御される。換言すると、第1PWM信号S1のオフ期間では、レベル反転回路35の信号出力部35dからスイッチング素子Q2のベースに、第2PWM信号S2としてオン電圧が入力されて、スイッチング素子Q2がオンに制御される。第2PWM信号S2は、第1PWM信号S1において、オン期間とオフ期間とを入れ替えたPWM信号になっている。
【0046】
このようにして、レベル反転回路35は、無線回路33からの第1PWM信号S1のオン期間とオフ期間とを入れ替える。そして、レベル反転回路35は、その入れ替え後の第1PWM信号S1を第2PWM信号S2として信号出力部35dからレベル変換回路34のスイッチング素子Q2のベースに出力する。そして、レベル反転回路35は、第2PWM信号S2によってレベル変換回路34のスイッチング素子Q2をオンオフ制御する。本実施形態では、後述のように、スイッチング素子Q2のベースは、レベル変換回路34における、レベル反転回路35からの第2PWM信号S2が入力される信号入力部34cである。
【0047】
レベル変換回路34は、レベル反転回路35から出力された第2PWM信号S2のオン電圧を、電源回路2が要求する第2オン電圧(例えば5V)に変圧し、変圧した第2PWM信号S2を第3PWM信号S3として電源回路2の信号入力部2dに出力する。第2オン電圧は、例えば、第1電圧よりも大きく、かつ、第2PWM信号S2のオン電圧よりも大きいオン電圧である。第2オン電圧は、例えば、電源回路2の出力部2bから出力される第1直流電圧V1と同じ電圧値の電圧である。より詳細には、レベル変換回路34は、電源回路2から出力された第1直流電圧V1を用いて、第2PWM信号S2のオン電圧を第2オン電圧(例えば5V)に変圧する。このとき、レベル変換回路34は、第1PWM信号S1のデューティ比は変化させない。このように変圧された第2PWM信号S2が第3PWM信号S3となる。
【0048】
レベル変換回路34は、スイッチング素子Q1,Q2を備える。
【0049】
スイッチング素子Q1は、電源回路2から出力された第1直流電圧V1をPWM制御することで、第1直流電圧V1から、第2オン電圧を有する第3PWM信号S3を生成する。スイッチング素子Q1は、例えばPNP構造の半導体スイッチング素子である。図1の例では、スイッチング素子Q1は、PNP型のバイポーラトランジスタであるが、Pチャネルのエンハンスメント形MOSTFETでもよい。スイッチング素子Q1のエミッタは、電源回路2の出力部2bに接続されており、電源回路2の出力部2bから出力された第1直流電圧V1が入力される。スイッチング素子Q1のコレクタは、電源回路2の信号入力部2dに接続されており、スイッチング素子Q1のコレクタ出力(すなわち第3PWM信号S3)を電源回路2の信号入力部2dに出力する。スイッチング素子Q1のベースは、スイッチング素子Q2のコレクタに接続されている。
【0050】
スイッチング素子Q2は、レベル反転回路35からの第2PWM信号S2のオンオフに基づいてスイッチング素子Q1のベース電流の通電を制御することで、スイッチング素子Q1をオンオフ制御する。スイッチング素子Q2は、例えばNPN構造の半導体スイッチング素子である。図1の例では、スイッチング素子Q2は、NPN型のバイポーラトランジスタであるが、Nチャネルのエンハンスメント形のMOSFETでもよい。スイッチング素子Q2のコレクタは、スイッチング素子Q1のベースに接続されている。スイッチング素子Q2のエミッタは、グランドに接続されている。スイッチング素子Q2のベースは、レベル反転回路35の信号出力部35dに接続されており、信号出力部35dから出力された第2PWM信号S2が入力される。
【0051】
レベル変換回路34では、スイッチング素子Q1のコレクタは、電源回路2の出力部2bの出力電圧を入力する入力部34aである。また、スイッチング素子Q1のコレクタは、第3PWM信号S3を出力する信号出力部34b(第2信号入力部)である。また、スイッチング素子Q2のベースは、レベル反転回路35からの第2PWM信号が入力される信号入力部34c(第2信号入力部)である。
【0052】
レベル変換回路34では、レベル反転回路35からの第2PWM信号S2のオンオフに基づいて、スイッチング素子Q2がオンオフ制御される。このオンオフ制御に同期して、スイッチング素子Q1がオンオフ制御される。スイッチング素子Q1のオンオフによって、電源回路2の出力部2bからスイッチング素子Q1のエミッタに入力された第1直流電圧V1は、第2オン電圧を有する第3PWM信号S3に変換されてスイッチング素子Q1のコレクタから出力される。そして、その出力された第3PWM信号S3は、電源回路2の信号入力部2dに入力される。スイッチング素子Q1,Q2は、レベル反転回路35からの第2PWM信号S2のオンオフに同期してオンオフ制御される。このため、スイッチング素子Q1のコレクタから出力される第3PWM信号S3は、レベル反転回路35からの第2PWM信号S2と同じデューティ比を有する。
【0053】
(1-3)動作説明
(1-3-1)比較例の説明
実施形態1の無線制御デバイス3の動作を説明する前に、図2及び図3を参照して、比較例に係る無線制御デバイス300の構成及び動作を説明する。
【0054】
図2に示すように、比較例の無線制御デバイス300は、実施形態1の無線制御デバイス3(図1)と比べて、レベル反転回路35が省略されている以外は、同様に構成されている。図2では、実施形態1と同じ構成には、実施形態1の構成と同じ符号を付している。比較例では、無線回路33から出力された第1PWM信号S1は、レベル変換回路34のスイッチング素子Q2のベースに入力される。比較例では、レベル変換回路34は、無線回路33からの第1PWM信号S1のオン電圧を第2オン電圧に変圧し、変圧したPWM信号を第3PWM信号S3として、電源回路2の信号入力部2dに出力する。
【0055】
図3は、比較例における、電源回路2の出力部2bの出力電圧(第1直流電圧V1)、電圧変換回路32の出力部32cの出力電圧(第3直流電圧V3)、及び、電源回路2の信号入力部2dの入力電圧V4の各々の時間変化を示すタイミングチャートである。
【0056】
図3に示すように、比較例では、電源回路2の出力電圧(第1直流電圧V1)がリセットIC31の閾値電圧Vsを超過すると(時点t1)、リセットIC31は、時点t1から遅延時間ΔT1が経過する時点t2までの間は、停止信号S5を出力する。これにより、電圧変換回路32は停止する。電圧変換回路32が停止している間(すなわち遅延時間ΔT1の間)は、電圧変換回路32は第3直流電圧V3を出力しない。このため、無線回路33は停止して、信号出力部33bの出力電圧は、0(ゼロ)Vになる。すなわち信号出力部33bは、デューティ比0%の第1PWM信号S1を出力する。このため、電源回路2の信号入力部2dの入力電圧V4は0(ゼロ)V(すなわちデューティ比0%の第3PWM信号S3)になる。電源回路2の信号入力部2dの入力電圧V4が0Vのときは、デフォルト設定に基づいて、電源回路2は、負荷M1を調光率100%で発光させる(すなわち負荷M1を最大電流で動作させる)。
【0057】
そして、時点t1から遅延時間ΔT1が経過すると、リセットIC31は、起動信号S4を出力して電圧変換回路32を起動させる(時点t2)。電圧変換回路32は、起動すると、第3直流電圧V3を出力して無線回路33を起動させる。無線回路33は、起動すると、通信端末4から受信する制御信号に基づいて第1PWM信号S1を生成し、生成した第1PWM信号S1をレベル変換回路34に出力する。出力された第1PWM信号S1は、レベル反転回路35によって第3PWM信号S3に変換される。そして、第3PWM信号は、電源回路2の信号入力部2dに入力される。すなわち、電源回路2の信号入力部2dの入力電圧V4が第3PWM信号S3の電圧になる。これにより、電源回路2は、負荷M1を、第3PWM信号S3で制御された調光率で発光させる。第3PWM信号S3で制御された調光率は、殆どの場合、調光率100%よりも低い調光率である。このため、電源回路2は、負荷M1を調光率100%よりも低い調光率で発光させる。すなわち、電源回路2は、負荷M1を第3PWM信号S3で制御された電流(すなわち最大電流よりも小さい電流)で動作させる。
【0058】
このように、比較例では、遅延機能付きのリセットIC31を備えかつ電源回路2の上記のデフォルト設定のために、負荷M1では、通称オンピカ現象が発生する。オンピカ現象とは、負荷M1が、遅延時間ΔT1の間は調光率100%で発光しその後、調光率が低下する現象である。換言すれば、オンピカ現象とは、遅延時間ΔT1の間は負荷M1には最大電流が供給され、その後は供給電流が低下する現象である。このため、照明システム1の使用者に不快を与える場合がある。
【0059】
(1-3-2)実施形態1の無線制御デバイス3の動作
図1及び図4を参照して、実施形態1に係る無線制御デバイス3の動作を説明する。
【0060】
図4は、実施形態1における、電源回路2の出力部2bの出力電圧(第1直流電圧V1)、電圧変換回路32の出力部32cの出力電圧(第3直流電圧V3)、及び、電源回路2の信号入力部2dの入力電圧V4の各々の時間変化を示すタイミングチャートである。
【0061】
図4に示すように、実施形態1に係る無線制御デバイス3では、電源回路2の出力電圧(第1直流電圧V1)がリセットIC31の閾値電圧Vsを超過すると(時点t1)、リセットIC31は、時点t1から遅延時間ΔT1が経過する時点t2までの間は、停止信号S5を出力する。これにより、電圧変換回路32は停止する。電圧変換回路32が停止している間(すなわち遅延時間ΔT1の間)は、電圧変換回路32は、第3直流電圧V3を出力しない。このため、無線回路33は、停止して、信号出力部33bの出力電圧は、0(ゼロ)Vになる。すなわち信号出力部33bは、デューティ比0%の第1PWM信号S1を出力する。
【0062】
そして、レベル反転回路35では、無線回路33から出力された第1PWM信号S1のオン期間とオフ期間とを入れ替える。これにより、その入れ替え後のPWM信号は、デューティ比100%のPWM信号となる。そして、レベル反転回路35は、その入れ替え後のPWM信号を、第2PWM信号S2として信号出力部35dからレベル変換回路34に出力する。そして、レベル変換回路34は、レベル反転回路35からの第2PWM信号S2のオン電圧を第2オン電圧(第1直流電圧V1)に変圧する。そして、レベル変換回路34は、変圧したPWM信号を、第3PWM信号S3(すなわちデューティ比100%の第3PWM信号S3)として、電源回路2の信号入力部2dに出力する。
【0063】
つまり、遅延時間ΔT1の間は、無線回路33の信号出力部33bから0(ゼロ)Vの電圧(すなわちデューティ比100%の第1PWM信号S1)が出力される。しかし、上述のようにレベル反転回路35及びレベル変換回路34の各々の処理によって、電源回路2の信号入力部2dには、第2オン電圧(すなわち第1直流電圧V1)の電圧が入力される。すなわち、電源回路2の信号入力部2dの入力電圧V4は、第1直流電圧V1になる。電源回路2は、信号入力部2dに第1直流電圧V1が入力されると、デフォルト設定に基づいて、負荷M1を調光率0%の輝度に制御して消灯させる(すなわち負荷M1を停止させる)。
【0064】
そして、遅延時間ΔT1が経過すると、リセットIC31は、信号出力部31bから起動信号S4を出力して電圧変換回路32を起動させる(時点t2)。電圧変換回路32は、起動すると、第3直流電圧V3を無線回路33に出力して無線回路33を起動させる。無線回路33は、起動すると、通信端末4から受信する制御信号に基づいて第1PWM信号S1を生成し、生成した第1PWM信号S1を信号出力部33bから出力する。出力された第1PWM信号S1は、レベル反転回路35によって第2PWM信号S2に変換されて、レベル変換回路34によって第3PWM信号S3に変換されて、第3PWM信号S3が電源回路2の信号入力部2dに入力される。これにより、電源回路2の信号入力部2dの入力電圧V4は、第3PWM信号S3の電圧になる。
【0065】
そして、電源回路2は、信号入力部2dに入力された第3PWM信号S3に基づいて、負荷M1への給電を制御する。すなわち、電源回路2は、第3PWM信号S3で制御された調光率で負荷M1を発光させる。このように、実施形態1に係る無線制御デバイス3では、負荷M1は、遅延時間ΔT1の間は消灯し(すなわち調光率100%で発光せず)、その後、第3PWM信号S3で制御された調光率(すなわち調光率100%よりも低い調光率)で発光する。すなわち、負荷M1は、遅延時間ΔT1の間は停止し(すなわち最大電流(すなわち大電流)は供給されず)、その後、第3PWM信号S3で制御された電流(すなわち最大電流よりも小さい電流)で動作する。特に、遅延時間ΔT1の間、負荷M1に最大電流(すなわち大電流)が供給されることが抑制される。このため、実施形態1では、比較例で説明した通称オンピカ現象の発生を抑制できる。この結果、照明システム1の使用者に不快を与えることを抑制できる。
【0066】
(1-4)効果
実施形態1に係る無線制御デバイス3は、電源回路2から負荷M1への給電を制御する。無線制御デバイス3は、リセットIC31と、電圧変換回路32と、無線回路33(無線用の処理回路)と、レベル反転回路35と、レベル変換回路34と、を備える。リセットIC31は、電源回路2から出力された第1直流電圧V1(第1電源電圧)が閾値電圧Vsを超えた時点t1から遅延時間ΔT1が経過した後に起動信号S4を出力する。電圧変換回路32は、リセットIC31から起動信号S4が入力されると、電源回路2から出力された第1直流電圧V1を第3直流電圧V3(第2電源電圧)に変圧して第3直流電圧V3を出力する。無線回路33は、電圧変換回路32から第3直流電圧V3が入力されると、負荷M1への給電を制御するための第1PWM信号S1を出力する。レベル反転回路35は、無線回路33から出力された第1PWM信号S1のオン期間とオフ期間とを入れ替えたPWM信号を、第2PWM信号S2として出力する。レベル変換回路34は、レベル反転回路35から出力された第2PWM信号S2のオン電圧を変圧し、変圧したPWM信号を第3PWM信号S3として電源回路2に出力する。
【0067】
この構成によれば、第1直流電圧V1が閾値電圧Vsを超えた時点t1から遅延時間ΔT1経過するまでの間(すなわち遅延時間ΔT1の間)は、無線回路33から出力されるオフ電圧(ゼロVの電圧)は、レベル反転回路35によってオン電圧に反転される。このため、遅延時間ΔT1の間は、レベル変換回路34から電源回路2には、オン電圧が入力される。これにより、遅延時間ΔT1の間、電源回路2から負荷M1に大電流が供給されることを抑制できる。特に、負荷M1が照明用の光源である場合は、光源(負荷M1)の調光率が遅延時間ΔT1の間100%となりその後急減する、通称オンピカ現象を抑制できる。
【0068】
実施形態1に係る照明器具5は、無線制御デバイス3と、電源回路2と、光源である負荷M1と、を備える。
【0069】
この構成によれば、無線制御デバイス3の効果を奏する照明器具5を提供できる。
【0070】
実施形態1に係る照明システム1は、照明器具5と、通信端末4(コントローラ)と、を備える。通信端末4は、無線制御デバイス3の無線回路33(処理回路)と無線通信を行って無線回路33を制御する。
【0071】
この構成によれば、無線制御デバイス3の効果を奏する照明システム1を提供できる。
【0072】
(2)実施形態2
(2-1)構成説明
図5に示すように、実施形態2は、実施形態1と比べて、レベル変換回路34が省略される点以外は同様に構成されている。以下の説明では、実施形態1と異なる部分を中心に説明し、実施形態1と同じ構成は同じ符号を付して図面及び説明を省略する場合がある。
【0073】
図5に示すように、実施形態2では、レベル反転回路35のスイッチング素子Q3のコレクタ(第1電極)は、電源回路2の出力部2bに抵抗R1を介して接続され、かつ、電源回路2の信号入力部2dに接続されている。すなわち、レベル反転回路35の信号出力部35dは、電源回路2の信号入力部2dに接続されている。スイッチング素子Q3のエミッタ(第2電極)は、グランドに接続されている。スイッチング素子Q3のベース(制御電極)は、無線回路33の信号出力部33bに接続されており、無線回路33からの第1PWM信号が入力される。
【0074】
実施形態2では、実施形態1の場合と同様に、スイッチング素子Q3は、無線回路33からの第1PWM信号S1によってオンオフ制御される。このとき、第1PWM信号S1によってスイッチング素子Q3がオンに制御されると、電源回路2の出力部2bからの直流電流は、抵抗R1及びスイッチング素子Q3を流れてグランドに放電される。これにより、第1PWM信号S1のオン期間では、レベル反転回路35の信号出力部35dから電源回路2の信号入力部2dには、グランド電圧と同じ電圧のオフ電圧(デューティ比100%のPWM信号に相当)が第2PWM信号S2として出力される。
【0075】
また、第1PWM信号S1によってスイッチング素子Q3がオフに制御されると、電源回路2の出力部2bからの直流電流は、抵抗R1を流れて、信号出力部35dから電源回路2の信号入力部2dに入力される。これにより、第1PWM信号S1のオフ期間では、レベル反転回路35の信号出力部35dから電源回路2の信号入力部2dには、第2PWM信号S2としてオン電圧(第1直流電圧V1から抵抗R1での電圧降下分の電圧を差し引いた電圧)が入力される。第2PWM信号S2は、第1PWM信号S1において、オン期間とオフ期間とを入れ替えたPWM信号になっている。
【0076】
このように、レベル反転回路35は、無線回路33からの第1PWM信号S1のオン期間とオフ期間とを入れ替え、その入れ替え後の第1PWM信号S1を第2PWM信号S2として電源回路2の信号入力部2dに出力する。
【0077】
そして、電源回路2は、信号入力部2dに入力された第2PWM信号S2に基づいて、負荷M1への給電を制御する。すなわち、電源回路2は、第2PWM信号S2で制御された調光率で負荷M1を発光させる。
【0078】
実施形態2では、レベル反転回路35の抵抗R1の値が大き過ぎる場合は、第3PWM信号S3のオン電圧(Highレベル信号)を確保することが困難になる。また、抵抗R1の値が小さ過ぎる場合は、電源回路2の出力部2bから抵抗R1及びスイッチング素子Q3を通ってブランドに放電される電流の電流量が増大して、消費電流が大きくなる。このため、抵抗R1の値は、大き過ぎずかつ小さ過ぎない適宜値に設定されることが望ましい。
【0079】
(2-2)動作説明
実施形態2でも、実施形態1の場合と同様に、リセットIC31の遅延時間の間は、無線回路33の信号出力部33bの出力電圧が0(ゼロ)Vになる。すなわち信号出力部33bは、デューティ比100%の第1PWM信号S1を出力する。そして、レベル反転回路35の処理によって、電源回路2の信号入力部2dには、おおよそ第1直流電圧V1(より正確には第1直流電圧V1から抵抗R1での電圧降下分の電圧を差し引いた電圧)が入力される。すなわち、電源回路2の信号入力部2dの入力電圧V4は、おおよそ第1直流電圧V1になる。実施形態1の場合と同様に、電源回路2は、信号入力部2dに第1直流電圧V1が入力されると、デフォルト設定に基づいて、負荷M1を調光率0%の輝度に制御して消灯させる(すなわち負荷M1を停止させる)。
【0080】
そして、実施形態1の場合と同様に、リセットIC31の遅延時間が経過すると、リセットIC31は、起動信号S4を出力して電圧変換回路32を起動させる。電圧変換回路32は、起動すると、第3直流電圧V3を無線回路33に出力して無線回路33を起動させる。無線回路33は、起動すると、通信端末4から受信する制御信号に基づいて第1PWM信号S1を生成し、生成した第1PWM信号S1を信号出力部33bから出力する。出力された第1PWM信号S1は、レベル反転回路35によって第2PWM信号S2に変換される。そして、第2PWM信号S2は、電源回路2の信号入力部2dに入力される。これにより、電源回路2の信号入力部2dの入力電圧V4は、第2PWM信号S2の電圧になる。
【0081】
そして、電源回路2は、信号入力部2dに入力された第2PWM信号S2に基づいて、負荷M1への給電を制御する。すなわち、電源回路2は、第2PWM信号S2で制御された調光率で負荷M1を発光させる。このように、実施形態1の場合と同様に、実施形態2に係る無線制御デバイス3では、負荷M1は、遅延時間の間は消灯し、その後、第2PWM信号S2で制御された調光率(すなわち調光率100%よりも低い調光率)で発光する。すなわち、負荷M1は、遅延時間の間は停止し、その後、第2PWM信号S2で制御された電流で動作する。特に、遅延時間の間、負荷M1に大電流が供給されることが抑制される。このため、実施形態2でも、実施形態1の場合と同様に、通称オンピカ現象の発生を抑制できる。
【0082】
(2-3)効果
実施形態2に係る無線制御デバイス3は、電源回路2から負荷M1への給電を制御する。無線制御デバイス3は、リセットIC31と、電圧変換回路32と、無線回路33(無線用の処理回路)と、レベル反転回路35と、を備える。リセットIC31は、電源回路2から出力された第1直流電圧V1(第1電源電圧)が閾値電圧を超えた時点から遅延時間が経過した後に起動信号S4を出力する。電圧変換回路32は、リセットIC31から起動信号S4が入力されると、電源回路2から出力された第1直流電圧V1を第3直流電圧V3(第2電源電圧)に変圧して第3直流電圧V3を出力する。無線回路33は、電圧変換回路32から第3直流電圧V3が入力されると、負荷M1への給電を制御するための第1PWM信号S1を出力する。レベル反転回路35は、無線回路33から出力された第1PWM信号S1のオン期間とオフ期間とを入れ替えたPWM信号を、第2PWM信号S2として電源回路2に出力する。
【0083】
この構成によれば、第1直流電圧V1が閾値電圧Vsを超えた時点から遅延時間経過するまでの間(すなわち遅延時間の間)は、無線回路33から出力されるオフ電圧(ゼロVの電圧)は、レベル反転回路35によってオン電圧に反転される。このため、遅延時間の間は、レベル反転回路35から電源回路2には、オン電圧が入力される。これにより、遅延時間の間、電源回路2から負荷M1に大電流が供給されることを抑制できる。特に、負荷M1が照明用の光源である場合は、光源(負荷M1)の調光率が遅延時間の間100%となりその後急減する、通称オンピカ現象を抑制できる。
【0084】
(3)実施形態3
(3-1)構成説明
実施形態3は、実施形態1と比べて、放電回路36を更に備える点以外は同様に構成されている。以下の説明では、実施形態1と異なる部分を中心に説明し、実施形態1と同じ部分は同じ符号を付して図面及び説明を省略する場合がある。
【0085】
図6に示すように、実施形態3に係る無線制御デバイス3は、放電回路36を備える。
【0086】
放電回路36は、電源回路2の出力部2bとグランドとの間に設けられている。放電回路36は、リセットIC31の信号出力部31bから出力される起動停止(High信号)及び停止信号S5(Low信号)に基づいて、電源回路2の出力部2bとグランドとの間の接続及び遮断を行う。
【0087】
より詳細には、放電回路36は、リセットIC31から停止信号S5が出力される間(すなわちリセットIC31で起動信号S4の出力が停止される間)は、電源回路2の出力部2bとグランドとを電気的に接続する。この接続によって、リセットIC31から停止信号S5が出力される間、電源回路2内において出力部2bに接続されたコンデンサ内の残留電荷がグランドに放電される。また、放電回路36は、リセットIC31から起動信号S4が出力される間は、電源回路2の出力部2bとグランドとを電気的に遮断する。この遮断によって上記の放電が停止される。
【0088】
放電回路36は、スイッチング素子Q4と、抵抗R2とを備える。
【0089】
スイッチング素子Q4は、リセットIC31の信号出力部31bから出力される起動信号S4(High信号)及び停止信号S5(Low信号)に基づいて、電源回路2の出力部2bとグランドとの間の接続及び遮断を切り替える。スイッチング素子Q4は、例えばPNP構造の半導体スイッチング素子である。図6の例では、スイッチング素子Q4は、PNP型のバイポーラトランジスタであるが、Pチャネルのエンハンス形のMOSFETでもよい。スイッチング素子Q4のエミッタ(第1電極)は、電源回路2の出力部2bに接続されている。スイッチング素子Q4のコレクタ(第2電極)は、抵抗R2を介してグランドに接続されている。スイッチング素子Q4のベース(制御電極)は、リセットIC31の信号出力部31bに接続されており、リセットIC31から出力される起動信号S4及び停止信号S5が入力される。
【0090】
この放電回路36では、スイッチング素子Q4のベースに起動信号S4(High信号)が入力されると、スイッチング素子Q4がオフになり、電源回路2の出力部2bとグランドとが電気的に遮断される。これにより、電源回路2の上記コンデンサ内の残留電荷は、グランドに放電されない。他方、スイッチング素子Q4のベースに停止信号S5(Low信号)が入力されると、スイッチング素子Q4がオンになり、スイッチング素子Q4によって、電源回路2の出力部2bとグランドとが電気的に接続される。これにより、電源回路2の上記コンデンサに残留した電荷が電源回路2の出力部2bからスイッチング素子Q4及び抵抗R1を介してグランドに放電される。
【0091】
実施形態3の無線制御デバイス3は、放電回路36を備えることで、電源回路2の出力部2bの出力電圧(第1直流電圧V1)のチャタリングを抑制することが可能である。第1直流電圧V1のチャタリングとは、例えば交流電源B1が切断されたときに、第1直流電圧V1が閾値電圧Vsを挟んで上下に振動する現象である。このチャタリングは、電源回路2内において出力部2bに設けられたコンデンサの残留電荷が全て放電されて、第1直流電圧V1がゼロになるまで継続する。第1直流電圧V1のチャタリングは、無線回路33の起動及び停止を繰り返す。このため、無線回路33の誤動作を引き起こす場合がある。また、第1直流電圧V1のチャタリングは、実施形態1の第1~第3PWM信号S1~S3の波形を歪ませる場合があるため、負荷M1の制御に影響する。
【0092】
(3-2)動作説明
図6を参照して、実施形態3の無線制御デバイス3の動作(より詳細には放電回路36の動作)を説明する。
【0093】
実施形態3では、交流電源B1が遮断すると、電源回路2の出力電圧(第1直流電圧V1)が低下し始める。そして、第1直流電圧V1がリセットIC31の閾値電圧Vsを下回ると、リセットIC31は、信号出力部31bから停止信号S5(Low信号)を出力して電圧変換回路32を停止させる。この停止によって無線回路33は停止する。
【0094】
他方、リセットIC31の信号出力部31bから出力された停止信号S5(Low信号)は、放電回路36のスイッチング素子Q4のゲートにも出力される。この出力によって、放電回路36のスイッチング素子Q4は、オンになって、電源回路2の出力部2bを、抵抗R1を介してグランドに接続する。すなわち、放電回路36は、リセットIC31が停止信号S5を出力している間、電源回路2の出力部2bを抵抗R1を介してグランドに接続する。これにより、電源回路2内において出力部2bに接続されたコンデンサの残留電荷は、スイッチング素子Q4及び抵抗R1を通ってグランドに放電されてゼロになる。これにより、電源回路2内の上記残留電荷がゼロになるため、第1直流電圧V1のチャタリングは発生しない。これにより、無線回路33は、第1直流電圧V1のチャタリングに伴う起動及び停止の繰り返しを行わない。
【0095】
なお、放電回路36の抵抗R2が大き過ぎると、電源回路2の上記コンデンサの残留電荷の放電が完了するまでの時間が長くなり、第1直流電圧V1にチャタリングが発生する場合がある。また、抵抗R1が小さ過ぎると、放電回路36を流れる放電電流が大きくなって、スイッチング素子Q4が破損する場合がある。このため、抵抗R1は適宜値に決定される。
【0096】
また、放電回路36はリセットIC31が停止信号S5を出力している間で動作し、無線回路33はリセットIC31が起動信号S4を出力している間で動作するため、放電回路36の動作と無線回路33の動作とは排他的である。このため、照明システム1の全体の電流(消費電流)が増加することを抑制できる。
【0097】
(3-3)効果
実施形態3に係る無線制御デバイス3は、実施形態1に係る無線制御デバイス3において、起動信号S4の出力が停止される間、電源回路2の出力部2bをグランドに接続する放電回路36を更に備える。
【0098】
この構成によれば、電源回路2に電力を供給する交流電源B1が切断(例えばオフ)されたときに、電源回路2から出力される第1直流電圧V1(第1電源電圧)にチャタリングが発生することを抑制できる。これにより、電源回路2から出力される第1電源電圧V1のチャタリングによって無線回路33(処理回路)が起動と停止を繰り返すことを抑制できる。この結果、無線回路33及び負荷M1の誤動作を抑制できる。
【0099】
以上、実施形態1~3について説明したが、実施形態1~3は、単独で実施されてもよいし、組み合わされて実施されてもよい。
【0100】
(4)態様
以上説明した実施形態及び変形例から明らかなように、本明細書には以下の態様が開示されている。
【0101】
第1の態様に係る無線制御デバイス(3)は、電源回路(2)から負荷(M1)への給電を制御する。無線制御デバイス(3)は、リセットIC(31)と、電圧変換回路(32)と、無線用の処理回路(33)と、レベル反転回路(35)と、レベル変換回路(34)と、を備える。リセットIC(31)は、電源回路(2)から出力された第1電源電圧(V1)が閾値電圧(Vs)を超えた時点(t1)から遅延時間(ΔT1)が経過した後に起動信号(S4)を出力する。電圧変換回路(32)は、リセットIC(31)から起動信号(S4)が入力されると、電源回路(2)から出力された第1電源電圧(V1)を第2電源電圧(V3)に変圧して第2電源電圧(V3)を出力する。処理回路(33)は、電圧変換回路(32)から第2電源電圧(V3)が入力されると、負荷(M1)への給電を制御するための第1PWM信号(S1)を出力する。レベル反転回路(35)は、処理回路(33)から出力された第1PWM信号(S1)のオン期間とオフ期間とを入れ替えたPWM信号を、第2PWM信号(S2)として出力する。レベル変換回路(34)は、レベル反転回路(35)から出力された第2PWM信号(S2)のオン電圧を変圧し、変圧したPWM信号を第3PWM信号(S3)として電源回路(2)に出力する。
【0102】
この構成によれば、第1電源電圧(V1)が閾値電圧(Vs)を超えた時点(t1)から遅延時間(ΔT1)が経過するまでの間(すなわち遅延時間(ΔT1)の間)は、処理回路(33)から出力されるオフ電圧(ゼロVの電圧)は、レベル反転回路(35)によってオン電圧に反転される。このため、遅延時間(ΔT1)の間は、レベル変換回路(34)から電源回路(2)には、オン電圧が入力される。これにより、遅延時間(ΔT1)の間、電源回路(2)から負荷(M1)に大電流が供給されることを抑制できる。特に、負荷(M1)が照明用の光源である場合は、光源(負荷(M1))の調光率が遅延時間(ΔT1)の間100%となりその後急減する、通称オンピカ現象を抑制できる。
【0103】
第2の態様に係る無線制御デバイス(3)では、第1の態様において、第1電源電圧(V1)が閾値電圧(Vs)を超えた時点(t1)から遅延時間(ΔT1)が経過するまでの間は、処理回路(33)は、第1PWM信号(S1)としてオフ電圧を常時出力し、レベル反転回路(35)は、第2PWM信号(S2)としてオン電圧を常時出力し、レベル変換回路(34)は、第3PWM信号(S3)としてオン電圧を電源回路(2)に常時出力する。
【0104】
この構成によれば、遅延時間(ΔT1)の間、負荷(M1)に対して大電流が供給されることを抑制できる。特に、負荷(M1)が照明用の光源である場合は、光源(負荷(M1)の調光率が遅延時間(ΔT1)の間100%となりその後急減する、通称オンピカ現象を抑制できる。
【0105】
第3の態様に係る無線制御デバイス(3)では、第1又は第2の態様において、電源回路(2)は、出力部(2b)と、第1信号入力部(2d)と、を有する。出力部(2b)は、第1電源電圧(V1)を出力する。第1信号入力部(2d)は、レベル変換回路(34)からの第3PWM信号(S3)が入力される。レベル変換回路(34)は、第2信号入力部(34c)と、信号出力部(34b)と、を有する。第2信号入力部(34c)は、レベル反転回路(35)からの第2PWM信号(S2)が入力される。信号出力部(34b)は、第3PWM信号(S3)を第1信号入力部(2d)に出力する。レベル反転回路(35)は、スイッチング素子(Q3)を備える。スイッチング素子(Q3)は、第1電極(35a)、第2電極(35b)、及び、制御電極(35c)を有する。第1電極(35a)は、出力部(2b)に抵抗(R1)を介して接続されかつ第2信号入力部(34c)に接続される。第2電極(35b)は、グランドに接続される。制御電極(35c)は、処理回路(33)からの第1PWM信号(S1)が入力される。
【0106】
この構成によれば、レベル反転回路(35)を簡単な構成で構成できる。
【0107】
第4の態様に係る無線制御デバイス(3)は、電源回路(2)から負荷(M1)への給電を制御する。無線制御デバイス(3)は、リセットIC(31)と、電圧変換回路(32)と、無線用の処理回路(33)と、レベル反転回路(35)と、を備える。リセットIC(31)は、電源回路(2)から出力された第1電源電圧(V1)が閾値電圧(Vs)を超えた時点から遅延時間が経過した後に起動信号(S4)を出力する。電圧変換回路(32)は、リセットIC(31)から起動信号(S4)が入力されると、電源回路(2)から出力された第1電源電圧(V1)を第2電源電圧(V3)に変圧して第2電源電圧(V3)を出力する。処理回路(33)は、電圧変換回路(32)から第2電源電圧(V3)が入力されると、負荷(M1)への給電を制御するための第1PWM信号(S1)を出力する。レベル反転回路(35)は、処理回路(33)から出力された第1PWM信号(S1)のオン期間とオフ期間とを入れ替えたPWM信号を、第2PWM信号(S2)として電源回路(2)に出力する。
【0108】
この構成によれば、第1電源電圧(V1)が閾値電圧(Vs)を超えた時点から遅延時間が経過するまでの間(すなわち遅延時間の間)は、処理回路(33)から出力されるオフ電圧(ゼロVの電圧)は、レベル反転回路(35)によってオン電圧に反転される。このため、遅延時間の間は、レベル反転回路(35)から電源回路(2)には、オン電圧が入力される。これにより、遅延時間の間、電源回路(2)から負荷(M1)に大電流が供給されることを抑制できる。特に、負荷(M1)が照明用の光源である場合は、光源(負荷(M1)の調光率が遅延時間の間100%となりその後急減する、通称オンピカ現象を抑制できる。
【0109】
第5の態様に係る無線制御デバイス(3)では、第4の態様において、電源回路(2)は、出力部(2b)と、信号入力部(2d)と、を有する。出力部(2b)は、第1電源電圧(V1)を出力する。信号入力部(2d)は、レベル反転回路(35)からの第2PWM信号(S2)が入力される。レベル反転回路(35)は、スイッチング素子(Q3)を備える。スイッチング素子(Q3)は、第1電極(35a)、第2電極(35b)、及び、制御電極(35c)を有する。第1電極(35a)は、出力部(2b)に抵抗(R1)を介して接続されかつ信号入力部(2d)に接続される。第2電極(35b)は、グランドに接続される。制御電極(35c)は、処理回路(33)からの第1PWM信号(S1)が入力される。
【0110】
この構成によれば、レベル反転回路(35)を簡単な構成で構成できる。
【0111】
第6の態様に係る無線制御デバイス(3)では、第1~第5の態様のいずれか1つにおいて、電源回路(2)は、出力部(2b)を有する。出力部(2b)は、第1電源電圧(V1)を出力する。無線制御デバイス(3)は、放電回路(36)を更に備える。放電回路(36)は、起動信号(S4)の出力が停止される間、電源回路(2)の出力部(2b)をグランドに接続する。
【0112】
この構成によれば、電源回路(2)に電力を供給する交流電源(B1)が切断(例えばオフ)されたときに、電源回路(2)から出力される第1電源電圧(V1)にチャタリングが発生することを抑制できる。これにより、電源回路(2)から出力される第1電源電圧(V1)のチャタリングによって処理回路(33)が起動と停止を繰り返すことを抑制できる。この結果、処理回路(33)及び負荷(M1)の誤動作を抑制できる。
【0113】
第7の態様に係る無線制御デバイス(3)では、第6の態様において、放電回路(36)は、リセットIC(31)から起動信号(S4)が出力される間は、電源回路(2)の出力部(2b)をグランドに接続しない。
【0114】
この構成によれば、リセットIC(31)から起動信号(S4)が出力される間は、電源回路(2)の出力部(2b)から出力された第1電源電圧(V1)を、電源回路(2)の後段以降(例えば電圧変換回路(32))に出力できる。この結果、無線制御デバイス(3)を通常通りに動作させることができる。
【0115】
第8の態様に係る照明器具(5)は、第1~7の態様のいずれか1つの無線制御デバイス(3)と、電源回路(2)と、光源である負荷(M1)と、を備える。
【0116】
この構成によれば、無線制御デバイス(3)の効果を奏する照明器具(5)を提供できる。
【0117】
第9の態様に係る照明システム(1)は、第8の態様の照明器具(5)と、コントローラ(4)と、を備える。コントローラ(4)は、無線制御デバイス(3)の処理回路(33)と無線通信を行って処理回路(33)を制御する。
【0118】
この構成によれば、無線制御デバイス(3)の効果を奏する照明システム(1)を提供できる。
【符号の説明】
【0119】
1 照明システム
2 電源回路
2b 出力部
2d 信号入力部(第1信号入力部)
3 無線制御デバイス
4 通信端末(コントローラ)
31 リセットIC
32 電圧変換回路
33 無線回路(処理回路)
34 レベル変換回路
34b 信号出力部
34c 信号入力部(第2信号入力部)
35 レベル反転回路
35a コレクタ(第1電極)
35b エミッタ(第2電極)
35c ベース(制御電極)
35d 信号出力部
36 放電回路
M1 負荷
S1 第1PWM信号
S2 第2PWM信号
S3 第3PWM信号
S4 起動信号
ΔT1 遅延時間
V1 第1直流電圧(第1電源電圧)
V3 第3直流電圧(第2電源電圧)
Vs 閾値電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6