(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142227
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】検知装置、検知システム、負荷システム、及び負荷制御システム
(51)【国際特許分類】
G01V 8/12 20060101AFI20241003BHJP
G01J 1/42 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
G01V8/12 A
G01J1/42 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054303
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】八手又 猛
(72)【発明者】
【氏名】薮 肇
【テーマコード(参考)】
2G065
2G105
【Fターム(参考)】
2G065AB02
2G065BA13
2G065BA34
2G065BA36
2G065BB09
2G065BC31
2G065BC35
2G105AA01
2G105BB16
2G105EE02
2G105EE06
2G105HH01
(57)【要約】
【課題】設定作業の作業性の改善を図ること。
【解決手段】検知装置1は、天井側の構造体C1に設置され床面F1側を検知範囲D1として動体M1を検知する。検知装置1は、無線通信部11と、設定部12と、出力部13と、を備える。無線通信部11は、設定端末T1と無線通信する。設定部12は、無線通信部11が設定端末T1から受信した情報に基づいて、検知装置1自体の動作に関する特定の設定を行う。出力部13は、設定部12における設定状態を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井側の構造体に設置され床面側を検知範囲として動体を検知する検知装置であって、
設定端末と無線通信する無線通信部と、
前記無線通信部が前記設定端末から受信した情報に基づいて、前記検知装置自体の動作に関する特定の設定を行う設定部と、
前記設定部における設定状態を出力する出力部と、
を備える、
検知装置。
【請求項2】
前記特定の設定は、前記検知範囲に対する前記検知装置の検知感度の設定を含む、
請求項1に記載の検知装置。
【請求項3】
前記設定部は、複数の感度レベルからの選択により前記検知感度を設定可能であり、
前記出力部は、前記複数の感度レベルのうち、前記検知感度として設定された感度レベルを示す情報を出力する、
請求項2に記載の検知装置。
【請求項4】
前記出力部は、前記設定状態に応じた報知を行う報知部を有する、
請求項1に記載の検知装置。
【請求項5】
前記報知部は、前記設定状態に応じた発光状態で発光する発光部を有する、
請求項4に記載の検知装置。
【請求項6】
前記発光部は、前記設定状態に応じた点滅回数で点滅する、
請求項5に記載の検知装置。
【請求項7】
前記無線通信部が前記設定端末から前記設定状態の出力要求を受信した場合、前記出力部は、前記出力要求に応じて前記設定状態を出力する、
請求項1に記載の検知装置。
【請求項8】
前記出力部は、前記設定端末に対して前記設定状態を送信する通信部を有する、
請求項1に記載の検知装置。
【請求項9】
前記検知装置は、前記検知範囲における照度をセンシングする機能を有し、前記照度が閾値未満で、かつ前記動体を検知した場合に、動作信号を出力して負荷装置に所定動作を開始又は継続させ、
前記特定の設定は、前記閾値に関する設定を含む、
請求項1に記載の検知装置。
【請求項10】
前記検知装置は、
前記動体を検知した場合に、動作信号を出力して負荷装置に所定動作を開始又は継続させ、
前記動体の検知後、前記動体が検知されない状態が所定時間の間継続した場合に、終了信号を出力して前記所定動作を終了させ、
前記特定の設定は、前記所定時間に関する設定を含む、
請求項1に記載の検知装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の検知装置を1又は複数と、
前記検知装置の検知結果に関する情報を受信する親機と、
を備える、
検知システム。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか1項に記載の検知装置を1又は複数と、
前記検知装置の検知結果に基づいて動作する負荷装置を1又は複数と、
を備える、
負荷システム。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか1項に記載の検知装置を1又は複数と、
前記検知装置の検知結果に関する情報を受信する親機と、
前記検知結果に基づいて動作する負荷装置を1又は複数と、
を備える、
負荷制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、検知装置、検知システム、負荷システム、及び負荷制御システムに関する。より詳細には、本開示は、動体を検知する検知装置、当該検知装置を備える検知システム、当該検知装置を備える負荷システム、及び当該検知装置を備える負荷制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、造営面である天井面に固定される熱線感知式自動スイッチが記載されている。この熱線感知式自動スイッチは、人体から放射される熱線を熱線センサで感知することによって負荷を自動的にオン・オフする。この熱線感知式自動スイッチによれば、熱線センサの受光面の前方に配置された受光レンズの前面に、領域制限用アタッチメントが着脱自在に取着されるため、検知領域の制限範囲を正確に設定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、熱線感知式自動スイッチ(検知装置)においては、検知装置自体の動作に関する設定(例えば、感度設定)を行いにくい可能性がある。そのため、検知装置自体の動作に関する設定作業の作業性の改善が望まれる。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされ、設定作業の作業性の改善が図れる検知装置、検知システム、負荷システム、及び負荷制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の検知装置は、天井側の構造体に設置され、床面側を検知範囲として動体を検知する。前記検知装置は、無線通信部と、設定部と、出力部と、を備える。前記無線通信部は、設定端末と無線通信する。前記設定部は、前記無線通信部が前記設定端末から受信した情報に基づいて、前記検知装置自体の動作に関する特定の設定を行う。前記出力部は、前記設定部における設定状態を出力する。
【0007】
本開示の一態様の検知システムは、上記の検知装置を1又は複数と、前記検知装置の検知結果に関する情報を受信する親機と、を備える。
【0008】
本開示の一態様の負荷システムは、上記の検知装置を1又は複数と、前記検知装置の検知結果に基づいて動作する負荷装置を1又は複数と、を備える。
【0009】
本開示の一態様の負荷制御システムは、上記の検知装置を1又は複数と、前記検知装置の検知結果に関する情報を受信する親機と、前記検知結果に基づいて動作する負荷装置を1又は複数と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、設定作業の作業性の改善を図れる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1Aは、一実施形態に係る検知装置を備える負荷制御システムの全体構成図である。
図1Bは、同上の検知装置(親機装置)のブロック構成図である。
【
図2】
図2は、同上の検知装置の下方から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3に示すI-I線に沿った検知装置の断面図である。
【
図5】
図5は、同上の検知装置の下方から見た分解斜視図である。
【
図6】
図6A、
図6Bは、同上の検知装置における検知範囲を説明するための概念図である。
【
図7】
図7は、同上の検知装置の感度設定に関する動作を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に説明する実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、実施形態及び変形例に限定されない。以下の実施形態及び変形例以外であっても、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下の実施形態及び変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。また、本開示において説明する
図1A~
図6Bは、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0013】
(実施形態)
以下、本実施形態に係る検知装置1、検知システム100、負荷システム200、及び負荷制御システム300について、
図1A~
図7を用いて説明する。
【0014】
(1)概要
以下、本実施形態に係る検知装置1の概要について説明する。
【0015】
検知装置1は、
図6A、
図6Bに示すように、施設G1における天井側の構造体C1に設置され床面F1側を検知範囲D1として動体M1を検知する。ここで言う「天井側の構造体C1」は、例えば、施設G1における吊りボルトに保持された天井材(天井板等)でもよいし、施設G1における天井付近の壁材でもよい。本実施形態では、検知範囲D1は、
図6A、
図6Bに示すように、移動検知範囲D11と滞在検知範囲D12とを含むが、移動検知範囲D11と滞在検知範囲D12のうちいずれか一方のみを含んでよい。
【0016】
本実施形態では一例として、施設G1は、工場、倉庫、体育館、公民館、博物館、美術館、水族館、屋内球技場、又は娯楽施設等のように床面F1から天井までの高さが比較的高い施設であることを想定する。つまり、本実施形態では一例として、検知装置1は、高天井用の検知装置であることを想定する。ここで言う「高天井」は、床面F1から例えば6m以上から12m程度までの高さを有した天井であることを想定する。
【0017】
ただし、施設G1は、オフィスビル等でもよい。検知装置1は、例えば、オフィス内における床面F1から2m以上で6m未満の天井側の構造体C1に設置されてもよい。
【0018】
本実施形態では、検知装置1の検知対象である動体M1は、
図6Aに示すように、人H1であることを想定する。ただし、動体M1は、
図6Bに示すように、工場又は倉庫内を移動し得るフォークリフト等の車両H2でもよい。
【0019】
また、本実施形態では、検知装置1は、一例として、赤外線式検知装置であり、検知範囲D1の熱源(例えば人H1)の検知を行う。ただし、検知装置1は、赤外線式検知装置に限定されない。検知装置1は、撮像部を有し、撮像部で撮像された検知範囲D1内の画像に基づき動体M1を検知する検知装置(画像センサ)でもよい。或いは、検知装置1は、赤外線による検知と画像による検知の両方の機能を備えた複合式の検知装置でもよい。
【0020】
検知装置1は、
図1Bに示すように、無線通信部11と、設定部12と、出力部13と、を備える。
【0021】
無線通信部11は、設定端末T1(
図1A参照)と無線通信する。設定端末T1は、設定器T11(専用リモコン)又は情報端末T12である。情報端末T12は、一例として、スマートフォンであることを想定するが、スマートフォン以外にタブレット端末又はノートパソコン等でもよい。以下では、設定器T11と情報端末T12の両方が、設定端末T1として用いられることを想定する。
【0022】
設定部12は、無線通信部11が設定端末T1から受信した情報に基づいて、検知装置1自体の動作に関する特定の設定を行う。特定の設定は、一例として、検知範囲D1に対する検知装置1の検知感度の設定を含む。出力部13は、設定部12における設定状態を出力する。ここで言う出力部13による設定状態の「出力」は、設定状態の情報を外部の装置(例えば設定端末T1)に有線又は無線で送信すること、及び/又は、発光部132(
図1B参照)等を通じて設定状態を周囲に報知すること、を含む。
【0023】
上記構成によれば、(例えば検知感度の設定等の)検知装置1自体の動作に関する特定の設定を行う者(以下、単に「ユーザ」という)は、設定端末T1を通じて特定の設定を容易に行うことができる。また、出力部13から設定中の設定状態が出力されるため、ユーザは設定状態を容易に知ることができる。結果的に、検知装置1には、設定作業の作業性の改善を図れる、という利点がある。
【0024】
(2)構成
(2-1)全体構成
以下、本実施形態に係る負荷制御システム300、及びその周辺構成について、詳細に説明する。
【0025】
負荷制御システム300は、一例として、工場又は倉庫等の施設G1に導入され得る。負荷制御システム300は、
図1Aに示すように、検知装置1を1又は複数(
図1Aでは2つ)と、検知装置1の検知結果に関する情報を受信する親機(伝送ユニットB1)と、検知結果に基づいて動作する負荷装置A1を1又は複数(
図1Aでは1つ)とを備える。また、負荷制御システム300は、調光器E1を更に備える。周辺構成は、
図1Aに示すように、設定端末T1の1つである設定器T11と、設定端末T1の1つである情報端末T12とを含む。周辺構成の少なくとも一部が、負荷制御システム300の構成として含まれてもよい。
【0026】
本実施形態では一例として、負荷制御システム300は、検知装置1を複数備えることを想定する。複数の検知装置1は、
図1Aに示すように、1つの親機装置1Aと、1つ以上の子機装置1B(図示例では1つのみ)とを含み得る。複数の検知装置1のうち親機装置1Aが、信号線L1(例えばいわゆるフル2線式の信号線;
図1Aでは1本の線で図示)を介して伝送ユニットB1と接続されている。
【0027】
親機装置1Aは、信号線L2(例えば無極性2線式の信号線;
図1Aでは便宜上、1本の線で図示)を介して、1台の子機装置1Bと接続されている。2台目以降の子機装置1Bは、子機装置1B同士で配線接続され、1台以上の子機装置1Bを介して、親機装置1Aと電気的に接続され得る。
【0028】
本実施形態では一例として、1つ以上の検知装置1(
図1Aの例では2つ)と親機(伝送ユニットB1)とが検知システム100(
図1A参照)を構成する構成要素である。言い換えると、本実施形態に係る検知システム100は、検知装置1を1又は複数と、検知装置1の検知結果に関する情報を受信する親機(伝送ユニットB1)と、を備える。
【0029】
また、本実施形態では一例として、1つ以上の検知装置1と1つ以上の負荷装置A1とが負荷システム200(
図1A参照)を構成する構成要素である。言い換えると、本実施形態に係る負荷システム200は、検知装置1を1又は複数と、検知装置1の検知結果に基づいて動作する負荷装置A1を1又は複数と、を備える。調光器E1は、負荷システム200に含まれてもよい。負荷装置A1は、例えば施設G1の天井側の構造体C1に設置される照明装置A10である。信号線L1には、施設G1の壁等に設置されて照明装置A10の点灯状態を直接操作するための壁スイッチ等も接続され得る。
【0030】
負荷装置A1の数は特に限定されず、負荷システム200は、1つ以上の負荷装置A1を備え得る。
図6A、
図6Bでは、一例として、2つの照明装置A10(負荷装置A1)が図示されている。負荷装置A1は、照明装置に限定されず、例えば、換気扇、空気調和機、又は空気清浄機等でもよい。
【0031】
本実施形態では、検知装置1は、一例として赤外線式検知装置である。検知装置1は、天井側の構造体C1に設置されて、床面F1の側を検知範囲D1(
図6A、
図6B参照)として、検知範囲D1内の動体M1を検知するように構成される。検知装置1は、動体M1に関する検知結果に基づく検知信号(電気信号)を伝送ユニットB1に送信する。
【0032】
伝送ユニットB1は、施設G1内の分電盤等に設置され得る。伝送ユニットB1は、調光器E1を介して、複数の照明装置A10の点灯制御及び監視等を行う。点灯制御は、例えば、アドレス個別制御、パターン制御、及びグループ制御を含む。伝送ユニットB1は、アドレス個別制御では、各照明装置A10について個別アドレスでオン/オフ制御、又は調光アップ/ダウン制御等を行う。伝送ユニットB1は、パターン制御では、複数の照明装置A10について予め設定されたパターンに対応するオン/オフ制御、又は調光アップ/ダウン制御等を行う。伝送ユニットB1は、グループ制御では、予め設定されたグループに属する1つ以上の照明装置A10をまとめてオン/オフ制御、又は調光アップ/ダウン制御を行う。
【0033】
伝送ユニットB1は、検知装置1から受信した検知信号に基づき、アドレス個別制御、パターン制御、及びグループ制御のいずれかに対応する制御信号を生成し、調光器E1に送信する。調光器E1は、受信した制御信号に応じて調光制御信号を生成し、制御対象となる1つ以上の照明装置A10に送信し、オン制御(調光率100%)、オフ制御(調光率0%)、又は調光制御(例えば調光率30%)を行う。
【0034】
(2-2)検知装置
以下、検知装置1の構成について詳細に説明する。以下では、
図2に示す実体を伴わない上下方向の矢印に基づき、検知装置1の方向を規定して説明することがあるが、検知装置1の使用方向を限定する趣旨ではない。
【0035】
検知装置1は、複数(例えば5個)の赤外線センサ2(
図5参照)と、複数(例えば5個)の赤外線透過部材3(
図2、
図3、
図5参照)と、ハウジング4(
図2~
図4参照)と、遮光板9(
図2、
図3、
図5参照)と、を備える。また、検知装置1は、
図1Bに示すように、制御部10と、無線通信部11と、設定部12と、出力部13と、記憶部14と、を備える。
【0036】
複数の赤外線透過部材3は、複数の赤外線センサ2それぞれの下方に1つずつ配置されている。ハウジング4は、複数の赤外線センサ2を収容し複数の赤外線透過部材3を保持している。遮光板9は、赤外線を遮光する。遮光板9は、複数の赤外線透過部材3のうち2つの赤外線透過部材3それぞれに(赤外線透過部材3の厚さ方向において)重なって配置されている。これにより、検知装置1の遮光板9を付けた状態での検知範囲D1は、検知装置1の遮光板9を外した状態での検知範囲D1よりも狭くなる。
【0037】
図6A、
図6Bでは、検知装置1の検知範囲D1を直感的に理解し易いように、実体を伴わない一点鎖線で検知範囲D1の移動検知範囲D11を示し、実体を伴わない点線で検知範囲D1の滞在検知範囲D12を示している。ただし、これらの図示は、検知範囲D1を厳密に規定する趣旨はない。
図6A、
図6Bの例では、検知範囲D1は、検知装置1の位置を頂点とする錐体の3次元エリアとして図示されている。なお、
図6A、
図6Bでは、遮光板9を外した状態での検知範囲D1を示す。
【0038】
検知範囲D1(検知エリア)に関して、移動検知範囲D11は、複数(5つ)の赤外線センサ2と複数(5つ)の赤外線透過部材3とを含む赤外線受光ユニットにより決まる。要するに、移動検知範囲D11は、5つの単独検知エリアの合成検知エリアである。単独検知エリアは、複数の赤外線センサ2と複数の赤外線透過部材3との組み合わせにおいて一対一に対応する赤外線センサ2と赤外線透過部材3とにより決まる。移動検知範囲D11は、遮光板9が外された状態において、四角錐状であり、遮光板9が取り付けられた状態では、斜四角錐状である。
【0039】
検知範囲D1(検知エリア)に関して、滞在検知範囲D12は、5つの赤外線センサ2のうちの中央の赤外線センサ2とこれに対応する赤外線透過部材3とにより決まる検知エリアである。滞在検知範囲D12は、円錐状である。なお、遮光板9は、中央の赤外線センサ2を塞がないように構成されている。そのため、遮光板9が取り付けられた状態でも遮光板9が外された状態でも、滞在検知範囲D12は、変わらない。
【0040】
また、検知装置1は、複数の赤外線センサ2及び回路基板111等を含むセンサモジュールS1(
図1B、
図4、
図5参照)を更に備える。センサモジュールS1は、ハウジング4に収容されている。
【0041】
親機装置1Aは、電源回路モジュールS2(
図1B参照)を更に備える。本実施形態では一例として、子機装置1Bは、電源回路モジュールS2を備えていない。電源回路モジュールS2は、ハウジング4に収容されている。電源回路モジュールS2は、ハウジング4内において、センサモジュールS1の回路基板111よりも上側(天井側)の領域に配置されている。電源回路モジュールS2は、外部電源(例えば、商用電源)から供給される交流電圧を所定の直流電圧に変換して自機の制御部10等へ供給する。また、親機装置1Aは、電源回路モジュールS2で生成された電力を、親機装置1Aに接続される1以上の子機装置1Bへ供給する。
【0042】
また、親機装置1Aは、明るさセンサS3(
図1B参照)を更に備える。本実施形態では一例として、子機装置1Bは、明るさセンサS3を備えていない。
【0043】
また、検知装置1は、例えば露出取付カバー等に取り付けるための取付装置20(
図5参照)を更に備える。露出取付カバーは、例えば、構造体C1の天井材、金属製の丸型露出ボックス、樹脂製の丸型露出ボックス、メタルモール、レースウェイ、埋込ボックス等に取り付けられる。
【0044】
以下、検知装置1の各構成について詳細に説明する。なお、以下で説明する構成について、特に断りの無い場合、親機装置1Aと子機装置1Bとで共通する。
【0045】
(赤外線センサ)
検知装置1の各赤外線センサ2は、焦電素子と、焦電素子が実装された実装基板と、焦電素子及び実装基板等を収容するパッケージ23(
図5参照)とを有する。焦電素子は、クワッドタイプの焦電素子であり、1枚の焦電体基板において4個の検出部が2×2のアレイ状(マトリクス状)に配列されている。4個の検出部の各々は、焦電体基板の第1面上に配置された第1電極と、第1面とは反対側の第2面上に配置された第2電極と、焦電体基板のうち第1電極と第2電極との間の部分と、を含むコンデンサである。第1電極は、赤外線を吸収する導電膜(例えば、NiCr膜)により構成されている。各赤外線センサ2の光軸は、焦電素子を厚さ方向の一方向から見て4個の検出部それぞれの受光面を包含する正方形の中心に立てた法線である。焦電素子は、赤外線を受光し、受光した赤外線量の変化に応じて電流信号を出力する。
【0046】
赤外線センサ2は、焦電素子の出力信号を信号処理する信号処理部を更に含む。信号処理部は、焦電素子と同様に実装基板に実装されている。信号処理部は、IC素子(IC:Integrated Circuit)を含む。信号処理部は、電流電圧変換回路と、電圧増幅回路と、判定回路と、出力回路と、を含む。電流電圧変換回路は、焦電素子から出力される出力信号である電流信号を電圧信号に変換して出力する回路である。電圧増幅回路は、電流電圧変換回路から出力された電圧信号のうち所定の周波数帯域(例えば、0.1Hz~10Hz)の電圧信号を増幅して出力する回路である。電圧増幅回路は、バンドパスフィルタとしての機能を有する。バンドパスフィルタとしての機能は、電流電圧変換回路から出力された電圧信号のうち上記所定の周波数帯域の成分を通過させ、かつ雑音となる不要な周波数成分を除去する機能である。判定回路は、電圧増幅回路から出力される電圧信号と予め設定された所定値とを比較し電圧信号の電圧レベルが所定値を超えたか否かを判定する回路である。判定回路は、例えば、ウィンドコンパレータである。ウィンドコンパレータは、電圧信号の電圧レベルが第1所定値を超えたとき(上回ったとき)又は第1所定値よりも小さな第2所定値を超えたとき(下回ったとき)に出力信号がLレベルとなるように構成される。また、ウィンドコンパレータは、第1所定値及び第2所定値のいずれも超えていないときに出力信号がHレベルとなるように構成される。出力回路は、判定回路において電圧信号の電圧レベルが所定値を超えたと判定されたときに動体M1の検知を示す出力信号を出す回路である。
【0047】
パッケージ23は、所謂キャンパッケージ(Can Package)である。キャンパッケージは、メタルパッケージ(Metal Package)とも呼ばれている。パッケージ23は、台座と、キャップ231(
図5参照)と、窓材232(
図5参照)と、複数のリード端子と、を含む。台座は、導電性を有し、例えば金属製である。台座は、円盤状であり、厚さ方向の一面側において実装基板を支持している。キャップ231は、導電性を有し、例えば金属製である。キャップ231は、有底円筒状であり、実装基板と焦電素子とを覆うように台座に固着されている。窓材232は、赤外線を透過する部材である。窓材232は、導電性を有する。窓材232は、例えば、シリコン基板を含む。窓材232は、シリコン基板に加えて、このシリコン基板に積層された赤外線光学フィルタを含む。赤外線光学フィルタは、検知装置1の検出対象の波長領域の赤外線を透過させる光学多層膜である。キャップ231の下壁には窓孔が形成されており、窓材232は、この窓孔を塞ぐように配置されている。窓材232は、キャップ231に対して導電性材料により接合されており、キャップ231と電気的に接続されている。窓材232は、焦電素子の受光面の下方に配置されている。複数のリード端子は、台座に保持されている。複数のリード端子の各々は、ピン状である。複数のリード端子の各々は、台座の厚さ方向において台座を貫通している。複数のリード端子は、給電用リード端子、信号出力用リード端子及びグラウンド用リード端子を含み得る。
【0048】
(センサモジュール)
センサモジュールS1は、複数の赤外線センサ2と、回路基板111とを含む。
【0049】
回路基板111は、プリント配線板である。回路基板111は、
図4に示すように、厚さ方向に交差する第1面1111(下面)と、第1面1111とは反対側の第2面1112(上面)と、を有する。センサモジュールS1では、回路基板111の第1面1111側において1個の赤外線センサ2(以下、第1赤外線センサ21と呼ぶことがある)を4個の赤外線センサ2(以下、第2赤外線センサ22と呼ぶことがある)が取り囲むように配置されている。より詳細には、4個の第2赤外線センサ22が、回路基板111の第1面1111側において、1つの仮想円上に略等間隔で並ぶように配置され、第1赤外線センサ21が、上記仮想円の中心に配置されている。言い換えれば、センサモジュールS1では、4個の第2赤外線センサ22が、回路基板111の第1面1111側において、仮想正方形の4つの角に1つずつ配置され、第1赤外線センサ21が、上記仮想正方形の中心に配置されている(
図5参照)。
【0050】
第1赤外線センサ21の光軸は、回路基板111の第1面1111に直交する。ここにおいて、「直交」とは、厳密に互いに直角に交わる場合のみに限定されず、略直交(互いに交わる角度が例えば90°±5°)でもよい。複数の第2赤外線センサ22の各々における光軸は、回路基板111の第1面1111に斜交する。複数の第2赤外線センサ22の各々の光軸は、第1赤外線センサ21の光軸とのなす角度が互いに同じである。また、複数の第2赤外線センサ22は、第1赤外線センサ21の光軸に対して第2赤外線センサ22それぞれの光軸が傾く方向が異なるように、回路基板111に実装されている。
【0051】
また、回路基板111の第1面1111には、無線通信部11の赤外線受光素子及び赤外線発光ダイオードY1、発光部132のLED(Light Emitting Diode)、並びに明るさセンサS3の受光素子等が更に実装されている。また、制御部10を構成する複数の電子部品は、回路基板111又は別の回路基板に実装され得る。
【0052】
センサモジュールS1は、制御部10により制御される。制御部10は、自機の複数の赤外線センサ2の各々の出力信号を受信する。親機装置1Aの制御部10は、自機の複数の赤外線センサ2の各々からの出力信号に基づいて、又は各子機装置1Bから受信する子機信号に基づいて、信号(後述する動作信号又は終了信号)を生成し、伝送ユニットB1に送信する。子機装置1Bの制御部10は、自機の複数の赤外線センサ2の各々の出力信号に基づいて子機信号を生成し、親機装置1Aに送信する。なお、制御部10の機能の詳細については、後述する。
【0053】
センサモジュールS1は、複数の赤外線センサ2にそれぞれ取り付けられている複数のセンサカバーを更に含み得る。センサカバーは、赤外線センサ2のパッケージ23のキャップ231の側面を囲んでいる。センサカバーは、キャップ231よりも熱伝導率の低い材料により形成されている。センサカバーの材料は、例えばABS樹脂である。
【0054】
(電源回路モジュール)
親機装置1A(検知装置1)の電源回路モジュールS2は、電源回路を構成する複数の電子部品と、これらの電子部品が実装されている回路基板と、端子台115(
図2参照)と、を含む。回路基板は、プリント配線板である。電源回路は、外部電源(例えば、商用電源)から供給される交流電圧を所定の直流電圧に変換し、自機の制御部10等へ供給し、さらに子機装置1Bへ供給する。端子台115は、外部からの電線を接続可能な6個の接続端子(例えば速結端子)を含む。6個の接続端子は、端子台本体の6つの電線挿通孔のうち一対一に対応する電線挿通孔を通して挿入される電線を接続可能である。6個の接続端子のうち2個の接続端子は、電源接続用の端子であり、別の2個の接続端子は負荷接続用の端子であり、残りの2個の接続端子は、子機接続用の端子である。外部電源からの電源線は、親機装置1Aの電源接続用の端子に接続され得る。
図1Aに示す信号線L1は、親機装置1Aの負荷接続用の端子に接続され得る。
図1Aに示す信号線L2は、親機装置1Aの子機接続用の端子に接続され得る。
【0055】
なお、子機装置1Bは、4個の接続端子を含む端子台を備えている。4個の接続端子のうち2個は、親機又は子機接続用の端子であり、残りの2個の接続端子は、子機接続用の端子である。
【0056】
(赤外線透過部材)
赤外線透過部材3は、合成樹脂成形品である。赤外線透過部材3の材料は、例えば、ポリエチレンである。より詳細には、赤外線透過部材3の材料は、白色顔料が添加されたポリエチレンである。白色顔料は、例えば、酸化チタンである。赤外線透過部材3は、成形法により形成されている。赤外線透過部材3は、電気絶縁性を有する。
【0057】
以下では、5個の赤外線透過部材3のうち第1赤外線センサ21に対応する赤外線透過部材3を第1赤外線透過部材31と呼び、4個の第2赤外線センサ22に一対一に対応する4個の赤外線透過部材3の各々を第2赤外線透過部材32と呼ぶこともある。
【0058】
第1赤外線透過部材31は、第1赤外線センサ21(の焦電素子)に第1赤外線透過部材31の外部からの赤外線を集光するマルチレンズを含む。マルチレンズは、複数のレンズを有する。複数のレンズの各々は、集光レンズであり、凸レンズ(非球面レンズ)により構成されている。第1赤外線透過部材31は、有底円筒状であり、その底壁(下壁)に上記のマルチレンズが形成されている。第1赤外線透過部材31の側壁には、第1赤外線透過部材31をハウジング4に取り付けるための4つのフック311(
図4参照:
図4では3つのみ図示)が形成されている。
【0059】
複数の第2赤外線透過部材32の各々は、対応する第2赤外線センサ22に第2赤外線透過部材32の外部からの赤外線を集光するマルチレンズを含む。各マルチレンズは、複数のレンズを有する。複数のレンズの各々は、集光レンズであり、凸レンズにより構成されている。ここで、複数のレンズの各々は、フレネルレンズである。第2赤外線透過部材32の各々は、有底箱状であり、その底壁(下壁)に上記のマルチレンズが形成されている。第2赤外線透過部材32の側壁には、第2赤外線透過部材32をハウジング4に取り付けるための複数の爪321(
図5参照)が周方向に離れて配置されている。4個の第2赤外線透過部材32は、第1赤外線透過部材31の中心線を中心として4回回転対称性を有するように配置されている(
図3参照)。
【0060】
(ハウジング)
ハウジング4は、
図2、及び
図4に示すように、ハウジング本体5と、化粧カバー8と、を含む。親機装置1Aのハウジング本体5は、センサモジュールS1及び電源回路モジュールS2等を収容し、子機装置1Bのハウジング本体5は、センサモジュールS1等を収容している。化粧カバー8は、複数の赤外線透過部材3をそれぞれ露出させる複数の窓孔83(
図5参照)を有する。化粧カバー8は、ハウジング本体5に取り付けられている。
【0061】
ハウジング本体5は、
図2、
図4、及び
図5に示すように、ボディ6と、カバー7と、を含む。ハウジング本体5は、ボディ6とカバー7とを結合して構成されている。
【0062】
ボディ6は、合成樹脂成形品である。ボディ6の材料は、例えば、ABS樹脂である。ボディ6は、電気絶縁性を有する。ボディ6は、有底筒状である。ボディ6には、センサモジュールS1等が(親機装置1Aの場合、電源回路モジュールS2も)収容される。ボディ6の側壁61には、カバー7と結合するための4つの結合用突起62(
図2、
図5参照)が設けられている。親機装置1Aのボディ6におけるカバー7とは反対の端部には、端子台115の6つの電線挿通孔を露出するための窓孔が形成されている。
【0063】
カバー7は、合成樹脂成形品である。カバー7の材料は、例えば、ABS樹脂である。カバー7は、電気絶縁性を有する。カバー7は、筒部71(
図4、
図5参照)と、4つの結合用ボス75(
図2、
図5参照;1つのみ図示)と、フランジ部72(
図4、
図5参照)と、筒状の隔壁74(
図4参照)と、を含む。また、カバー7は、第1取付部781(
図5参照)と、4つの第2取付部782(
図5参照)と、を更に含む。
【0064】
4つの結合用ボス75は、フランジ部72の裏面から筒部71の周面に沿うようにボディ6に向かって突出している。4つの結合用ボス75は、ボディ6の4つの結合用突起62と一対一に対応している。4つの結合用ボス75の各々の先端部には、ねじ孔が形成されている。一方、ボディ6の4つの結合用突起62の各々には挿通孔が形成されている。4本のねじJ1(
図5参照)を、4つの結合用突起62の挿通孔に通し、4つの結合用ボス75のねじ孔にねじ込むことで、ボディ6とカバー7とが組み付けられる。
【0065】
フランジ部72は、筒部71の下端部から外方へ突出している。フランジ部72の外周形状は略円形状である。
【0066】
隔壁74は、筒部71の内側において5個の赤外線センサ2を囲んでいる。隔壁74は、筒部71に支持されている。隔壁74の形状は、5個の赤外線センサ2と5個の赤外線透過部材3とで決まる移動検知範囲D11に干渉しないように決められている。隔壁74の端部は、センサモジュールS1の回路基板111の第1面1111に当たっている。
【0067】
第1取付部781は、第1赤外線透過部材31を取り付ける壁である。第1取付部781の形状は、第1赤外線透過部材31の側壁に沿った円環状である。より詳細には、第1取付部781は、その内側に第1赤外線透過部材31を収容した状態で第1赤外線透過部材31が取り付けられている。第1赤外線透過部材31の側壁には、4つのフック311が形成されている。第1取付部781には、第1赤外線透過部材31の4つのフック311が引っ掛けれる4つの凹部7811(
図4、
図5参照)が形成されている。第1取付部781は、第1赤外線透過部材31の4つのフック311が4つの凹部7811にそれぞれ引っ掛けられることによって、第1赤外線透過部材31を保持している。
【0068】
4つの第2取付部782の各々は、第2赤外線透過部材32を取り付ける壁である。より詳細には、第2取付部782は、第2赤外線透過部材32の側壁と略同形状の筒状である。第2取付部782の一部は、第1取付部781の一部と兼用されている。カバー7は、第2赤外線透過部材32の側壁の外面から突出している爪321に対応する突片79(
図5参照)を含む。突片79の各々には、対応する爪321を嵌合させる嵌合孔790(
図5参照)が形成されている。4つの第2取付部782の各々は、対応する第2赤外線透過部材32の爪321が嵌合孔790に篏合されることによって、第2赤外線透過部材32を保持している。
【0069】
また、カバー7は、
図4、
図5に示すように、第1貫通孔7Aと第2貫通孔7Bとを更に含む。第1貫通孔7A、及び第2貫通孔7Bは、カバー7を上下方向に貫通している。
【0070】
第1貫通孔7A、及び第2貫通孔7Bは、カバー7を下から見て、第1取付部781を中心に、互いに反対側に位置するように配置されている。第1貫通孔7Aは、4つの第2取付部782のうちの隣り合う2つの第2取付部782とフランジ部72の外周縁とで囲まれた領域に配置され、第2貫通孔7Bは、残りの隣り合う2つの第2取付部782とフランジ部72の外周縁とで囲まれた領域に配置される。すなわち、第1貫通孔7A、第2貫通孔7B、及び4つの第2取付部782は、第1取付部781の中心線を中心として2回回転対称性を有するように配置されている。第1貫通孔7A、及び第2貫通孔7Bは、カバー7を下から見て、それぞれ円形状の開口を有する。第1貫通孔7A及び第2貫通孔7Bのカバー7の下面側における開口径は、互いに略等しい。
【0071】
第1貫通孔7Aは、後述する化粧カバー8の第1貫通孔8A(
図4、
図5参照)と共に、第1導光孔X100(
図2~
図4参照)を構成する。また、第2貫通孔7Bは、後述する化粧カバー8の第2貫通孔8B(
図4、
図5参照)と共に、第2導光孔Y100(
図2~
図4参照)を構成する。
【0072】
より詳細には、筒部71の内側には、
図4に示すように、第1筒状突起711、及び第2筒状突起712が設けられている。
【0073】
第1筒状突起711は、回路基板111の第1面1111(下面)に実装されている光学レンズ部X1に向かって突出している。第1筒状突起711の先端部は、光学レンズ部X1から僅かに離れた位置にある。第1筒状突起711は、光学レンズ部X1に近づくほど径が小さくなるような円錐台形状に形成されている。第1筒状突起711は、上下方向の両端が開放されていて、カバー7を上下方向に貫通する上述した第1貫通孔7Aを有する。第1貫通孔7Aの内周面は、光学レンズ部X1に近づくほど径が小さくなるような円錐台形状に形成されている。
【0074】
第2筒状突起712は、回路基板111の第1面1111(下面)に実装されている砲弾型の赤外線発光ダイオードY1に向かって突出している。第2筒状突起712は、赤外線発光ダイオードY1に近づくほど径が小さくなるような円錐台形状に形成されている。第2筒状突起712の先端部は、赤外線発光ダイオードY1の先端が収まるような凹部7121(
図4参照)を有する。要するに、赤外線発光ダイオードY1の先端が凹部7121内に収まることで、リード端子の赤外線発光ダイオードY1が安定的に位置決めされている。第2筒状突起712は、上下方向の両端が開放されていて、カバー7を上下方向に貫通する上述した第2貫通孔7Bを有する。第2貫通孔7Bの内周面は、赤外線発光ダイオードY1に近づくほど径が小さくなるような円錐台形状に形成されている。
【0075】
(化粧カバー)
化粧カバー8は、合成樹脂成形品である。化粧カバー8の材料は、例えば、ABS樹脂である。化粧カバー8は、電気絶縁性を有する。化粧カバー8は、円盤状の下壁81と下壁81の周縁から上方に突出している側壁82と、を含む。化粧カバー8の外周形状は、円形状である。化粧カバー8の側壁82の内径は、フランジ部72の外径よりもやや大きい。
【0076】
化粧カバー8は、ハウジング本体5のフランジ部72に着脱可能に取り付けるための4つの係止爪85(
図5参照;1つのみ図示)を有している。4つの係止爪85は、化粧カバー8の上面に設けられている。化粧カバー8は、4つの係止爪85をフランジ部72の4つの取付孔725(
図5参照)にそれぞれ一対一で挿入して取付孔725の周縁に引っ掛けることによって、フランジ部72に対して着脱可能に取り付けられている。化粧カバー8は、フランジ部72に取り付けられた状態において、フランジ部72の外周面、ねじ17の頭部171(
図5参照)等を覆う。
【0077】
化粧カバー8では、
図5に示すように、5つの窓孔83が下壁81に形成されている。以下では、5つの窓孔83のうち第1赤外線透過部材31を露出させる窓孔83を第1窓孔831と呼び、第2赤外線透過部材32を1つずつ露出させる各窓孔83を第2窓孔832と呼ぶこともある。第1窓孔831は、化粧カバー8の下壁81の中央部に形成されている。第1窓孔831の開口形状は、円形状である。4つの第2窓孔832は、第1窓孔831を取り囲むように第1窓孔831に周方向において等間隔で並んでいる。4つの第2窓孔832の開口形状は、略六角形状である。
【0078】
また、化粧カバー8は、
図4、
図5に示すように、第1貫通孔8Aと第2貫通孔8Bとを更に含む。第1貫通孔8Aは、カバー7の第1貫通孔7Aと共に、第1導光孔X100(
図2~
図4参照)を構成する。第2貫通孔8Bは、カバー7の第2貫通孔7Bと共に、第2導光孔Y100(
図2~
図4参照)を構成する。
【0079】
第1貫通孔8A、及び第2貫通孔8Bは、下壁81を厚み方向に貫通している。第1貫通孔8A、及び第2貫通孔8Bは、化粧カバー8を下から見て、第1窓孔831を中心に、互いに反対側に位置するように配置されている。第1貫通孔8Aは、4つの第2窓孔832のうちの隣り合う2つの第2窓孔832と、下壁81の外周縁とで囲まれた領域に配置され、第2貫通孔8Bは、残りの隣り合う2つの第2窓孔832と、下壁81の外周縁とで囲まれた領域に配置される。すなわち、第1貫通孔8A、第2貫通孔8B、及び4つの第2窓孔832は、第1窓孔831の中心線を中心として2回回転対称性を有するように配置されている。第1貫通孔8A、及び第2貫通孔8Bは、化粧カバー8を下から見て、それぞれ円形状の開口を有する。第1貫通孔8A及び第2貫通孔8Bの開口径は、互いに略等しい。
【0080】
(取付装置)
取付装置20は、ハウジング本体5を例えば露出取付カバー等に取り付けるための装置である。露出取付カバーは、有底円筒状に形成されている。露出取付カバーは、検知装置1を収容可能な大きさである。露出取付カバーは、その側壁の内周面から径方向内向きに突出し一径方向において対向する一対の肩部を一体に有する。一対の肩部間の距離は、ハウジング4におけるフランジ部72の直径よりも小さくかつボディ6の短手方向の寸法よりも長い。露出取付カバーの底壁(天板部)の中央部には、電線を通すための電線挿通孔が形成されている。また、露出取付カバーの底壁には、電線挿通孔のまわりに、露出取付カバーを配線ダクト等に取り付けるためのねじを通すねじ挿通孔が形成されている。露出取付カバーは、各肩部の下面に、フランジ部72の上面に形成された凹部に嵌め合せ可能な突起部が設けられている。
【0081】
取付装置20は、
図5に示すように、2つのねじ17と、2つの挟み金具18と、2つのブッシュ19と、を含む。ねじ17は、頭部171と、雄ねじ部を含む長尺の軸部172と、を有している。2つのねじ17の軸部172は、フランジ部72の2つのねじ挿通孔727(
図5参照)にそれぞれ挿通され、ボディ6の側方に位置している。ブッシュ19は、ねじ17の頭部171の直上で軸部172を全周に亘って囲んでおり、ねじ17の軸部172とフランジ部72のねじ挿通孔727との間に介在している。挟み金具18は、ねじ17の軸部172の雄ねじ部に嵌め合される雌ねじ部を有しており、軸部172の雄ねじ部に嵌め合されている。
【0082】
ボディ6は、側壁61の互いに反対側の両側面から外方に突出し、2つのねじ17の軸部172をそれぞれ一対一で回転可能に収納する2つの収納部67(
図5参照;
図5では1つのみ図示)を有している。各収納部67の上端部には、対応するねじ17の軸部172の先端が挿入される挿通孔672を有した突起671(
図5参照)が形成されている。
【0083】
フランジ部72の凹部を露出取付カバーの突起部に嵌め合せた状態で、ねじ17を締め付けることにより、フランジ部72と2つの挟み金具18とによって露出取付カバーの肩部を挟持することができる。これにより、検知装置1は、露出取付カバーに対して着脱可能に取り付けられる。
【0084】
(遮光板)
遮光板9は、合成樹脂成形品である。遮光板9は、赤外線を遮光する材料により形成されている。遮光板9の材料は、例えば、ポリカーボネートである。遮光板9は、無色透明である。
【0085】
遮光板9は、複数の赤外線透過部材3のうち2つの赤外線透過部材3(のそれぞれの一部)に重なって配置されている。遮光板9は、2つの赤外線透過部材3それぞれに赤外線透過部材3の厚さ方向において重なっている。遮光板9は、複数の赤外線透過部材3のうち2つの赤外線透過部材3に跨ってハウジング4の化粧カバー8に着脱可能に取り付けられている。
【0086】
より詳細には、遮光板9は、
図5に示すように、遮光板本体91と、遮光板本体91から突出しており化粧カバー8の上面に引っ掛かっている2つの取付爪92と、を有する。遮光板本体91は、長尺の板状である。一方、化粧カバー8は、各第2窓孔832の内周縁に、遮光板9の2つの取付爪92のうちの1つの取付爪92を通すことが可能な2つの切欠84(
図3、
図5参照)が形成されている。遮光板9は、化粧カバー8の一径方向に平行な方向において隣り合う2つの第2窓孔832の一方の第2窓孔832の1つの切欠84に一方の取付爪92が通され、他方の第2窓孔832の1つの切欠84に他方の取付爪92が通されている。
【0087】
また、遮光板9は、化粧カバー8に取り付けられた状態で、第1導光孔X100、又は第2導光孔Y100を露出するための切欠93(
図5参照)を更に有する。切欠93は、遮光板9を下から見て、遮光板本体91の外縁において、半円状に凹むように形成されている。
【0088】
(明るさセンサ)
明るさセンサS3は、概ね検知範囲D1の空間の照度(明るさ)を検知する。明るさセンサS3は、上述の通り、例えば、親機装置1Aのみに設けられている。明るさセンサS3は、例えば、CdS又はフォトダイオード等の受光素子を含む。明るさセンサS3の受光素子は、例えば、回路基板111の第1面1111に実装されている。ただし、明るさセンサS3の受光素子の位置は、外光が導光される位置であれば、特に限定されない。明るさセンサS3の受光素子は、例えば、光学レンズ部X1で覆われるように第1面1111に配置されてもよいし、赤外線センサ2と一体的に配置されてもよい。明るさセンサS3の受光素子は、光を受光して電気信号(照度信号)に変換し、制御部10に出力する。制御部10では、入力された照度信号に基づき、照度(明るさ)が閾値以上か否かを判定する。
【0089】
(制御部)
制御部10は、例えばプロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータが制御部10として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではマイクロコンピュータのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0090】
先ず、親機装置1Aの制御部10の機能について説明する。
【0091】
親機装置1Aの制御部10は、センサモジュールS1、明るさセンサS3、無線通信部11、設定部12、及び出力部13等を制御する。また、親機装置1Aの制御部10は、接続される1つ以上の子機装置1Bを制御する。親機装置1Aの制御部10は、自機のメモリ又は記憶部14に、自機の識別情報(アドレス情報)、及び接続される1つ以上の子機装置1Bの識別情報(アドレス情報)を記憶している。各検知装置1に対するアドレス情報の設定は、設定器T11、及び/又は情報端末T12を用いて行われ得る。
【0092】
また、親機装置1Aの制御部10は、設定部12によって行われた設定(特定の設定)に基づき、第1処理~第3処理を実行する機能を有する。第1処理は、センサモジュールS1の検知感度を調整する処理である。第2処理は、明るさセンサS3の検知結果に応じて伝送ユニットB1に動作信号を出力するか否かを判断する処理である。第3処理は、動作保持時間の経過に応じて、伝送ユニットB1に終了信号を出力するか否かを判断する処理である。
【0093】
次に、子機装置1Bの制御部10の機能について説明する。
【0094】
子機装置1Bの制御部10は、センサモジュールS1、無線通信部11、設定部12、及び出力部13等を制御する。子機装置1Bの制御部10は、自機のメモリ又は記憶部14に、自機の識別情報(アドレス情報)を記憶している。
【0095】
子機装置1Bの制御部10は、親機装置1Aの制御部10と異なり、設定部12によって行われた設定(特定の設定)に基づき、第1処理~第3処理のうち第1処理のみを実行する機能を有する。
【0096】
(無線通信部)
無線通信部11は、設定端末T1と無線通信する通信インタフェースを含む。本実施形態では一例として、無線通信部11は、赤外線通信の規格を利用して、設定器T11(設定端末T1)と無線通信する。
【0097】
無線通信部11は、赤外線エミッタとして赤外線発光ダイオードY1を有する。赤外線発光ダイオードY1は、回路基板111の第1面1111に実装されている。赤外線発光ダイオードY1から出射された赤外光は、第2導光孔Y100を通って検知装置1の外部に導出される。すなわち、赤外線発光ダイオードY1を介して無線通信部11から送信された赤外線信号は、設定器T11にて受信され得る。
【0098】
また、無線通信部11は、赤外線受光素子を有する。赤外線受光素子は、発光部132のLEDと共に、光学レンズ部X1に覆われた態様で、回路基板111の第1面1111に実装されている。赤外線受光素子は、第1導光孔X100を通り、光学レンズ部X1で集光された赤外光を受光して電気信号に変換する。すなわち、設定器T11から送信された赤外線信号は、赤外線受光素子を介して無線通信部11にて受信され得る。
【0099】
設定器T11は、スマートフォン等の情報端末T12と、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)等の通信規格を利用して無線通信する。無線通信部11は、設定器T11を介して、情報端末T12と無線通信する。
【0100】
無線通信部11は、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)等の通信規格を利用して情報端末T12と直接通信してもよい。また、無線通信部11は、ルータ又は通信アダプタ等を介して、設定端末T1と通信してもよい。
【0101】
なお、通信機能に関して、親機装置1Aは、伝送ユニットB1や子機装置1Bと有線で通信するための通信モジュール(通信用回路、及び回路基板)を備えている。子機装置1Bは、親機装置1Aと有線で通信するための通信インタフェース(通信用回路、及び回路基板)を備えている。通信モジュールは、ボディ6内に収容されている。
【0102】
(設定部、及び記憶部)
設定部12は、例えばプロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータが設定部12として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではマイクロコンピュータのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0103】
設定部12は、無線通信部11が設定端末T1から受信した情報に基づいて、検知装置1自体の動作に関する特定の設定を行う(設定情報の生成)。設定部12は、設定情報を記憶部14に記憶する。記憶部14は、例えば、読み書き可能なメモリで構成されている。記憶部14は、例えば、フラッシュメモリである。
【0104】
特定の設定は、検知装置1自体の動作に関する設定であれば特に限定されないが、本実施形態では一例として、以下の第1設定~第3設定のうちの少なくとも1つを含む。なお、親機装置1Aの設定部12では、特定の設定は、第1設定~第3設定の全てを含む。子機装置1Bの設定部12では、特定の設定は、第1設定~第3設定のうち第1設定のみを含む。
【0105】
[第1設定]
特定の設定は、検知範囲D1に対する検知装置1(のセンサモジュールS1)の検知感度の設定(第1設定)を含み得る。第1設定に関して、具体的には、検知装置1(ここでは親機装置1A及び子機装置1Bの各々)は、センサモジュールS1の検知感度を調整する機能を有する。
【0106】
ここで先ず、検知装置1の検知範囲D1について具体的に説明する。検知装置1は、例えば、第1赤外線センサ21の受光面が鉛直下方に向くように配置して使用されることを想定している。各検知装置1の検知範囲D1は、検知装置1ごとに互いに重ならないように設定されてもよいし、検知範囲D1の一部が互いに重なり合うように設定されてもよい。
【0107】
移動検知範囲D11(検知エリア)は、
図6A、
図6Bに示すように、四角錐状の3次元エリアである。移動検知範囲D11は、動体M1の移動を検知する検知エリアである。移動検知範囲D11は、中心線に直交する水平面内では正方形状である。移動検知範囲D11の立体角は、例えば、5つの赤外線センサ2と5つの赤外線透過部材3とにより規定される。移動検知範囲D11は、床面F1から例えば70cm離れた位置(床上70cm)となるように規定されている。
【0108】
一方、移動検知範囲D11よりも小さい円錐形状の3次元エリアの滞在検知範囲D12は、動体M1の滞在を検知するための検知エリアである。滞在検知範囲D12の立体角は、例えば、中央にある第1赤外線センサ21と第1赤外線透過部材31とにより規定される。滞在検知範囲D12は、床面F1から例えば120cm離れた位置(床上120cm)となるように規定されている。
【0109】
検知装置1の制御部10は、複数の赤外線センサ2の各々からの出力信号に基づき、動体M1が、(滞在検知範囲D12外でかつ)移動検知範囲D11内か、滞在検知範囲D12内か、検知範囲D1外かを判断し、判断結果に基づく検知信号を出力する。その結果、照明装置A10(負荷装置A1)では、動体M1が、(滞在検知範囲D12外でかつ)移動検知範囲D11内か、滞在検知範囲D12内か、検知範囲D1外かに応じて点灯状態が変わり得る。
【0110】
本実施形態では、設定部12は、複数の感度レベルからの選択により検知感度を設定可能である。つまり、検知装置1は、床面F1から検知装置1が設置される構造体C1までの距離に応じて(例えば、床面F1から天井の高さに応じて)ユーザが感度レベルを設定可能となっている。ユーザは、設定端末T1を用いて、例えば、「低」、「中」、「高」の3段階の感度レベルのいずれかの感度レベルを選択することで、設定部12は、選択された感度レベルの情報を設定情報として記憶部14に記憶する。感度レベルは、3段階であることに限定されず、2段階又は4段階以上でもよい。また、検知感度は、複数段階のレベルから選択されるものではなく、無段階調整が可能でもよい。
【0111】
移動検知範囲D11、及び滞在検知範囲D12の少なくとも一方(例えば両方)について、3段階の感度レベルにそれぞれ対応する3種類の大きさの3次元エリアが予め規定されている。言い換えると、検知装置1は、3段階の感度レベルにそれぞれ対応した高さ、幅の異なる3種類の検知範囲D1を有する。「高」の感度レベルに対応する検知範囲D1は、高さが最も高く幅が最も広い。「低」の感度レベルに対応する検知範囲D1は、高さが最も低く幅が最も狭い。ユーザは、床面F1から天井の高さが高くなっていくほど、「低」、「中」、「高」の順で感度レベルを設定することが推奨される。
【0112】
例えば、制御部10は、記憶部14内の設定情報の感度レベルに基づき、第1処理として、センサモジュールS1の上述した判定回路で動体M1の検知を判定するために利用される所定値を調整する。結果的に、検知範囲D1は、3段階の感度レベルにそれぞれ対応する3種類の大きさの3次元エリアのいずれかに設定されることになる。
【0113】
[第2設定]
特定の設定は、下記の閾値に関する設定(第2設定)を含み得る。第2設定に関して、具体的には、検知装置1(ここでは親機装置1Aのみ)は、検知範囲D1における照度をセンシングする機能を有する。言い換えると、親機装置1Aは、明るさセンサS3を備える。検知装置1は、照度(明るさセンサS3の検知結果)が閾値未満で、かつ動体M1を検知した場合に、動作信号を出力して負荷装置A1に所定動作を開始又は継続させる。ここでは一例として、負荷装置A1が照明装置A10であり、所定動作は、調光率100%で点灯する動作とする。つまり、親機装置1Aの制御部10は、明るさセンサS3から出力される照度信号の示す照度が閾値以上であれば、自機の赤外線センサ2又は子機装置1Bの赤外線センサ2で検知範囲D1内に動体M1が検知されても動作信号を伝送ユニットB1に送らない。その結果、例えば昼間で施設G1の窓からの外光により検知範囲D1が十分に明るい場合、照明装置A10は消灯に維持されるか、100%未満の調光率(例えば30%)で点灯する状態に維持される。負荷装置A1が換気扇、空気調和機又は空気清浄機等であれば、所定動作は、例えば稼働(ON)動作であり得る。
【0114】
親機装置1Aの設定部12は、設定端末T1から受信した情報に基づいて、上記の閾値に関する設定を行う。すなわち、親機装置1Aの設定部12は、閾値の情報を設定情報として記憶部14に記憶する。
【0115】
ユーザは、設定端末T1を用いて、例えば、閾値として5ルクス(lx)、10ルクス(lx)、40ルクス(lx)、及び200ルクス(lx)から1つを選択可能となっている。閾値は、下限値(例えば5ルクス)から上限値(例えば200ルクス)までの間で、無段階で調整可能であってよい。また、ユーザは、設定端末T1を用いて、閾値を選択せずに明るさセンサの「切」という選択も可能となっている。
【0116】
例えば、親機装置1Aの制御部10は、自機の対応する検知範囲D1内で、又は子機装置1Bの対応する検知範囲D1内で動体M1が検知されると、記憶部14内の設定情報の閾値に基づき、第2処理を実行する。すなわち、親機装置1Aの制御部10は、明るさセンサS3の検知結果である照度と、設定中の閾値とを比較判定する。親機装置1Aの制御部10は、照度が閾値未満であれば、信号線L1を通じて、伝送ユニットB1に動作信号を出力する。その結果、照明装置A10は調光率100%の点灯を開始又は継続する。上述の通り、照度が閾値以上であれば、動作信号は出力されない。
【0117】
また、設定端末T1から明るさセンサの「切」を示す情報を受信した場合、親機装置1Aの設定部12は、明るさ無効フラグを設定情報として記憶部14に記憶する。親機装置1Aの制御部10は、自機の対応する検知範囲D1内で、又は子機装置1Bの対応する検知範囲D1内で動体M1が検知された場合、明るさ無効フラグが設定されていれば、第2処理をスキップする。すなわち、親機装置1Aの制御部10は、照度と閾値との比較判定を行わず、動体M1の検知に応じて伝送ユニットB1に動作信号を出力する。
【0118】
[第3設定]
特定の設定は、下記の所定時間(以下、「動作保持時間」と呼ぶこともある)に関する設定(第3設定)を含み得る。第3設定に関して、具体的には、検知装置1(ここでは親機装置1Aのみ)は、動体M1を検知した場合に、動作信号を出力して負荷装置A1に所定動作を開始又は継続させる。検知装置1(親機装置1A)は、動体M1の検知後、動体M1が検知されない状態が所定時間(動作保持時間)の間継続した場合に、終了信号を出力して所定動作を終了させる。ここでは一例として、負荷装置A1が照明装置A10であり、所定動作は、調光率100%で点灯する動作とする。負荷装置A1が換気扇、空気調和機又は空気清浄機等であれば、所定動作は、例えば稼働(ON)動作であり得る。
【0119】
親機装置1Aの設定部12は、設定端末T1から受信した情報に基づいて、上記の動作保持時間に関する設定を行う。すなわち、親機装置1Aの設定部12は、動作保持時間の情報を設定情報として記憶部14に記憶する。
【0120】
ユーザは、設定端末T1を用いて、例えば、動作保持時間として、10秒、30秒、1分、1分30秒、2分、・・・、6分、10分、15分、20分、25分、及び30分から1つを選択可能となっている。動作保持時間は、下限値(例えば10秒)から上限値(例えば30分)までの間で、無段階で調整可能であってよい。また、ユーザは、設定端末T1を用いて、動作保持時間を選択せずに「切」という選択も可能となっている。
【0121】
例えば、親機装置1Aの制御部10は、(自機又は子機装置1Bで)動体M1が検知されて伝送ユニットB1に動作信号を出力すると、第3処理として、動作保持時間の経過に応じて伝送ユニットB1に終了信号を出力するか否かを判断する。すなわち、親機装置1Aの制御部10は、内蔵されるタイマを用いて動作保持時間(例えば15分)の計時を開始する(例えばカウントダウンの開始)。親機装置1Aの制御部10は、動体M1を検知して動作信号を出力する度に、動作保持時間の計時をリセットする。親機装置1Aの制御部10は、直近の動体M1の検知から、動体M1が検知されることなく動作保持時間のカウントダウンがゼロになると、終了信号を伝送ユニットB1に出力して照明装置A10(負荷装置A1)の例えば調光率100%の点灯動作を終了させる。その結果、例えば、照明装置A10は、消灯、又は100%未満の調光率(例えば30%)で点灯する状態に切り替わる。
【0122】
また、設定端末T1から動作保持時間の「切」を示す情報を受信した場合、親機装置1Aの設定部12は、動作保持時間無効フラグを設定情報として記憶部14に記憶する。親機装置1Aの制御部10は、(自機又は子機装置1Bで)動体M1が検知された場合、動作保持時間無効フラグが設定されていれば、第3処理をスキップする。すなわち、親機装置1Aの制御部10は、動作保持時間の計時を行わず、動体M1が検知されなくなると直ちに伝送ユニットB1に終了信号を出力する。
【0123】
(出力部)
出力部13は、制御部10により制御されて、設定部12における(現在の)設定状態を出力する。言い換えると、出力部13は、設定部12により設定された、記憶部14に記憶されている設定情報(第1設定~第3設定のうちの少なくとも1つに関する情報)を出力する。例えば、出力部13は、複数の感度レベルのうち、検知感度として設定された感度レベル(上記の例で言えば、「低」、「中」、「高」の3段階の感度レベルのいずれか)を示す情報を出力し得る。また、出力部13は、設定された現在の閾値の情報を出力し得る。また、出力部13は、設定された現在の動作保持時間の情報を出力し得る。
【0124】
本実施形態では、無線通信部11が設定端末T1から設定状態の出力要求を受信した場合、出力部13は、出力要求に応じて設定状態を出力する。出力部13は、出力要求を受信する以外にも、例えば、所定のタイミング(例えば毎日9時に1回等)で設定情報を自動的に出力してもよい。
【0125】
「(1)概要」の欄で説明した通り、出力部13による設定状態の「出力」は、設定状態の情報を外部の装置(例えば設定端末T1)に有線又は無線で送信すること、及び/又は、発光部132(
図1B参照)等を通じて設定状態を周囲に報知することを含む。以下、「報知による出力」と「送信による出力」とに分けて説明する。
【0126】
[報知による出力]
出力部13は、
図1Bに示すように、設定状態に応じた報知を行う報知部131を有する。ここで言う「報知」は、自機(検知装置1)から光出力により、自機の周囲に居るユーザに現在の設定状態(設定情報)を知らせることを想定する。ただし、後述の通り、報知は、自機(検知装置1)以外の装置(例えば設定器T11)から行われてもよい。
【0127】
本実施形態では一例として、報知部131は、設定状態に応じた発光状態で発光する発光部132を有する。つまり、検知装置1は、現在の設定状態を、光出力により自機の周囲に居るユーザに知らせる。発光部132は、例えば、1又は複数のLEDを含む。発光部132は、回路基板111の第1面1111に実装されている。発光部132は、光学レンズ部X1で覆われている。すなわち、発光部132から出射された光は、光学レンズ部X1、及び第1導光孔X100を通って検知装置1の外部に導出される。
【0128】
一例として、発光部132は、設定状態に応じた点滅回数で点滅する。具体的には、発光部132は、複数の感度レベルのうち設定された感度レベルに応じた点滅回数で点滅する。現在の感度レベルが「低」であれば、制御部10は、例えば発光部132を1回点滅させる。現在の感度レベルが「中」であれば、制御部10は、例えば発光部132を2回点滅させる。現在の感度レベルが「高」であれば、制御部10は、発光部132を3回点滅させる。点滅回数は特に限定されない。また、感度レベルが低いほど点滅回数が増加してもよい。また、発光部132が複数の発光色のLEDを含む場合、制御部10は、現在の感度レベルに応じて発光部132の発光色を変えてもよい。なお、発光部132は、現在の閾値、及び現在の動作保持時間についても、点滅回数又は発光色を変える等の発光状態によって報知してもよい。
【0129】
[送信による出力]
出力部13は、
図1Bに示すように、設定端末T1に対して設定状態を送信する通信部133を有する。通信部133は、例えば、無線通信を行う通信インタフェースを含む。通信部133は、有線通信を行う通信インタフェースを含んでもよい。ここでは一例として、通信部133は、赤外線通信の規格を利用して、設定器T11(設定端末T1)と無線通信する。通信部133は、赤外線エミッタを含む。本実施形態では、通信部133の赤外線エミッタは、回路基板111の第1面1111に実装されている無線通信部11の赤外線発光ダイオードY1である。言い換えると、無線通信部11の赤外線発光ダイオードY1は、通信部133の赤外線エミッタの機能を兼ねている。通信部133の赤外線エミッタ(赤外線発光ダイオードY1)から出射された赤外光は、第2導光孔Y100を通って検知装置1の外部に導出される。ただし、通信部133の赤外線エミッタは、赤外線発光ダイオードY1とは別に設けられてよい。
【0130】
また、通信部133は、赤外線通信以外にも、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)等の通信規格を利用して設定端末T1と無線通信してもよい。例えば、通信部133は、Bluetooth(登録商標)の通信規格を利用して、スマートフォン等の情報端末T12と直接無線通信してもよい。また、通信部133は、ルータ又は通信アダプタ等を介して、設定端末T1と通信してもよい。
【0131】
(2-3)設定端末
設定端末T1は、例えばプロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータが設定端末T1として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではマイクロコンピュータのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0132】
設定端末T1の1つである設定器T11(専用リモコン)は、
図1Aに示すように細長い筒状の筐体T110を有する。設定器T11は、例えば電池駆動する。設定器T11は、送信ボタンT111(操作部)を有する。
【0133】
設定器T11は、上述の通り、赤外線通信の規格を利用して、検知装置1と無線通信する。
【0134】
また、設定器T11は、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)等の通信規格を利用して、もう1つの設定端末T1である情報端末T12と無線通信する。
【0135】
情報端末T12は、例えばユーザが携帯するスマートフォンである。情報端末T12には、設定器T11と通信するための専用のアプリケーションソフト(以下、単に「管理アプリ」と呼ぶ)が予めインストールされている。情報端末T12は、表示部T120を有する。表示部T120は、例えば液晶ディスプレイであり、タッチパネル式のディスプレイである。
【0136】
ユーザは、情報端末T12の表示部T120にタップ操作等を行って管理アプリを起動し、表示部T120上に表示される管理画面にて第1設定~第3設定の少なくとも1つの設定に関する操作入力を行う。例えば、第1設定に関して、「低」、「中」、「高」の3段階の感度レベルのいずれかを選択するための選択画面が表示される。ユーザは、選択画面上でタップ操作等を行って天井の高さに応じた感度レベルを選択し、管理画面上の確定ボタンのアイコンをタップすると、選択結果に基づくデータを含む設定指示信号が設定器T11に送信される。その結果、設定器T11の記憶部に、ユーザが選択した感度レベルの情報が保存(記憶)される。
【0137】
ユーザは、例えば設置されている複数の検知装置1のうち対象となる検知装置1に対して設定器T11の先端部を向けて送信ボタンT111を押す。すると、設定器T11の先端部に設けられている赤外線エミッタから、選択された感度レベル等の情報を含む赤外線信号が送出される。結果的に、対象となる検知装置1の設定部12は、設定器T11から受信した赤外線信号に基づき、感度レベルの設定を行う。
【0138】
詳細な説明は省略するが、第2設定及び第3設定についても、ユーザは、情報端末T12を利用して、所望の閾値及び動作保持時間を選択し、選択結果に基づくデータを含む設定指示信号を設定器T11に送信する。その結果、設定器T11の記憶部に、ユーザが選択した閾値及び動作保持時間の情報が記憶される。第2設定及び第3設定の機能は、親機装置1Aのみに設けられているため、ユーザは、対象となる親機装置1Aに対して設定器T11の先端部を向けて、送信ボタンT111を押すと、選択された閾値及び動作保持時間の情報を含む赤外線信号が送出される。結果的に、親機装置1Aの設定部12は、設定器T11から受信した赤外線信号に基づき、閾値及び動作保持時間の設定を行う。
【0139】
本実施形態では、設定器T11は、送信ボタンT111が押されると、選択された感度レベル等の情報だけでなく、設定状態の出力要求も含んだ赤外線信号が送出される。よって、対象となる検知装置1は、選択された感度レベル等の設定を行い、さらに設定後の(現在の)設定状態を、発光部132を通じて報知したり、通信部133を通じて送信されたりする。そのため、ユーザは、選択された感度レベル等が正しく検知装置1側で設定されたか否かを知ることができる。
【0140】
設定器T11は、対象となる検知装置1から(現在の)設定状態の情報を受信すると、その情報を情報端末T12に転送する。ユーザは、情報端末T12の表示部T120にて、対象となる検知装置1の設定状態を確認することができる。
【0141】
設定端末T1が、検知装置1の上述した発光部132の機能を有してもよい。例えば、設定器T11は、LEDを含む表示ランプ(発光部)を有し、対象となる検知装置1から(現在の)設定状態の情報を受信すると、設定器T11の表示ランプの点灯状態によって設定状態を報知してもよい。
【0142】
詳細な説明は省略するが、各検知装置1に対するアドレス情報等の設定についても、設定端末T1を用いて行える。ユーザは、情報端末T12を用いてアドレス情報の入力を行い、設定器T11を介して対象となる検知装置1にアドレス情報を送信することで、対象となる検知装置1は、自機のメモリや記憶部14に自機のアドレス情報を記憶する。
【0143】
(3)動作
以下、1つ以上の検知装置1を備える負荷制御システム300及び周辺構成における動作、特に、一例として感度レベルの設定についての動作に関する処理の一連の流れについて、
図7に示すシーケンス図を参照して説明する。
図7に示すシーケンス図は、感度レベルの設定についての動作に関する動作フローの一例に過ぎず、処理の順序が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は省略されてもよい。
【0144】
先ず、ユーザは、情報端末T12において管理アプリを起動する(ステップST1)。情報端末T12には、負荷制御システム300に関する管理情報(例えば各検知装置1のアドレス情報等)が予め登録されていることを想定する。
【0145】
ユーザは、管理アプリの管理画面にて例えばアドレス単位で設定対象となる検知装置1を選び、表示部T120に表示される選択画面上にて「低」、「中」、「高」の3段階の感度レベルのいずれかを選択する(ステップST2)。情報端末T12は、複数台の検知装置1について個別に又はグループ単位で感度レベルの選択が可能である。ここでは一例として、ユーザは、親機装置1A及びある1つの子機装置1Bに対して、「中」及び「低」の感度レベルをそれぞれ選択したとする。
【0146】
そして、ユーザは、管理画面上の確定ボタンのアイコンをタップすると(ステップST3)、情報端末T12は、選択結果に基づくデータを含む設定指示信号を設定器T11に送信する(ステップST4)。設定指示信号は、情報端末T12から直接検知装置1に無線で送信されてもよい。
【0147】
設定器T11は、受信した設定指示信号に基づき、対象となる検知装置1(ここでは2台分)のアドレス情報、及び選択された感度レベルの情報等を自機の記憶部に記憶する(ステップST5)。
【0148】
次に、ユーザは、設定器T11を持って親機装置1Aの真下まで行き、設定器T11の先端部を親機装置1Aに向け、送信ボタンT111を押す(ステップST6)。設定器T11は、アドレス情報や感度レベルの情報と設定状態の出力要求を含む赤外線信号を親機装置1Aに送信する(ステップST7)。
【0149】
親機装置1Aは、受信した赤外線信号において自機のアドレス情報が指定されていれば、「中」の感度レベルを設定する(ステップST8)。また、親機装置1Aは、出力要求に応じて、発光部132より、現在の設定状態を報知する(ステップST9)。ここでは、「中」の感度レベルに応じて、発光部132は2回点滅する。さらに親機装置1Aは、通信部133より、現在の設定状態の情報を赤外線信号として設定器T11に送信する(ステップST10)。検知装置1は、現在の設定状態の情報を直接検知装置1に無線で送信してもよい。
【0150】
設定器T11は、親機装置1Aから赤外線信号を受信すると、設定結果信号として情報端末T12に送信する(ステップST11)。情報端末T12は、受信した設定結果信号に基づき、親機装置1Aの現在の設定状態を管理情報として自機の記憶部に記憶し、親機装置1Aに「中」の感度レベルが設定されている旨を表示部T120から表示する(ステップST12)。
【0151】
図7では図示を省略するが、続いて、ユーザは、設定器T11を持って子機装置1Bの真下まで行き、設定器T11の先端部を子機装置1Bに向け、送信ボタンT111を押す。すると、子機装置1Bは、自機のアドレス情報が指定されていれば、「低」の感度レベルを設定する。また、子機装置1Bは、「低」の感度レベルに応じて発光部132を1回点滅させて現在の設定状態を報知し、通信部133より、現在の設定状態を赤外線信号として設定器T11に送信する。結果的に、情報端末T12は、子機装置1Bの現在の設定状態を管理情報として自機の記憶部に記憶し、子機装置1Bに「低」の感度レベルが設定されている旨を表示部T120から表示する。
【0152】
したがって、ユーザは、設定器T11及び情報端末T12を通じて、親機装置1A及び子機装置1Bの感度レベルの設定を容易に行うことができる。また、設定中の設定状態が、発光部132を通じて報知され、また情報端末T12の表示部T120から表示されるため、ユーザは設定状態を容易に知ることができる。結果的に、検知装置1には、設定作業の作業性の改善を図れる、という利点がある。
【0153】
(4)利点
以上説明した通り、検知装置1の設定部12は、無線通信部11が設定端末T1から受信した情報に基づいて、検知装置1自体の動作に関する特定の設定(例えば第1設定~第3設定)を行う。そして、検知装置1の出力部13は、設定部12における設定状態を出力する。そのため、ユーザは、設定端末T1を通じて特定の設定を容易に行うことができる。また、出力部13(報知部131、通信部133)から設定中の設定状態が出力されるため、ユーザは設定状態を容易に知ることができる。結果的に、検知装置1には、設定作業の作業性の改善を図れる、という利点がある。
【0154】
特に、検知装置1は、6m以上から12m程度までの高天井用の検知装置であることを想定している。仮に、上記の特定の設定を行うための操作部(操作摘み等)が検知装置1のハウジング4に設けられていると、ユーザは、そのような高い位置の検知装置1の操作部に対して設定を容易に行いにくい可能性がある。ユーザは、検知装置1を構造体C1に設置する前に感度レベル等の設定を済ませる必要があり得る。またユーザは、操作部を見て設定状態を確認することも容易ではない可能性がある。ユーザは、構造体C1に設置されている検知装置1を一旦取り外して、操作部を確認する作業が必要になり得る。このような観点からも、検知装置1は、高天井用の検知装置であっても設定作業の作業性の改善を図れる。
【0155】
(変形例)
本開示における検知装置1、及び設定端末T1等は、コンピュータシステムを含む。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における検知装置1、及び設定端末T1等としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0156】
また、検知装置1、及び設定端末T1等の各々における複数の機能が、1つのハウジング内に集約されていることは必須の構成ではない。検知装置1、及び設定端末T1等の各々の構成要素は、複数のハウジングに分散して設けられていてもよい。反対に、検知装置1、及び設定端末T1等の各々における複数の機能が、1つのハウジング内に集約されてもよい。さらに、検知装置1、及び設定端末T1等の各々の少なくとも一部の機能、例えば、検知装置1の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0157】
上記の本実施形態では、出力部13が発光部132と通信部133の両方を有しているが、発光部132と通信部133のうちのいずれか一方のみを有してもよい。
【0158】
上記の本実施形態では、報知部131は、自機(検知装置1)の発光部132から光出力により、自機の周囲に居るユーザに現在の設定状態(設定情報)を報知する。しかし、報知は、光出力に限定されない。例えば、報知部131は、発光部132の代わりに或いは加えて、スピーカを有した音出力部を含んでもよい。制御部10は、設定状態に応じた音(「ピッ」、「ピピッ」といった電子音でもよいし、音声メッセージでもよい)を音出力部から出力させて現在の設定状態(設定情報)を報知してもよい。
【0159】
また、報知部131の機能が設定端末T1に設けられてもよい。例えば、発光部132や音出力部の機能は、設定端末T1に設けられてもよい。また、報知部131の機能が、設定端末T1に設けられている場合、振動(バイブレーション)の出力により、現在の設定状態(設定情報)が(振動回数や振動の長さに応じて)報知されてもよい。
【0160】
上記の実施形態における動作例では、感度レベルが設定されたことをトリガーに、感度レベルの設定状態が、発光部132を通じて報知され、また情報端末T12の表示部T120から表示されている。しかし、この限りではなく、ユーザは、任意のタイミングで設定中の設定状態を知ることも可能である。例えば、ユーザは、検知装置1の稼働中において、検知装置1の現在の設定状態を知りたい場合もある。設定端末T1は、任意のタイミングで、現在の(第1設定~第3設定の少なくとも1つの)設定状態について、発光部132からの報知や表示部T120からの表示を要求するための操作を受付可能である。例えば、ユーザは、情報端末T12の管理画面上にて、検知装置1について個別に又はグループ単位で、現在の感度レベルの設定状態の出力要求を実行するための要求ボタンをタップすると、状態要求信号が設定器T11に送信され得る。ユーザは、設定器T11の先端部を検知装置1に向けて設定器T11の送信ボタンT111を押すことで、現在の感度レベルの設定状態について発光部132からの報知、及び/又は表示部T120からの表示が行われ得る。状態要求信号は、情報端末T12から直接検知装置1に無線で送信されてもよい。
【0161】
(5)まとめ
以上説明したように第1の態様に係る検知装置(1)は、天井側の構造体(C1)に設置され床面(F1)側を検知範囲(D1)として動体(M1)を検知する。検知装置(1)は、無線通信部(11)と、設定部(12)と、出力部(13)と、を備える。無線通信部(11)は、設定端末(T1)と無線通信する。設定部(12)は、無線通信部(11)が設定端末(T1)から受信した情報に基づいて、検知装置(1)自体の動作に関する特定の設定を行う。出力部(13)は、設定部(12)における設定状態を出力する。
【0162】
上記の態様によれば、設定作業の作業性の改善を図れる、という利点がある。
【0163】
第2の態様に係る検知装置(1)に関して、第1の態様において、特定の設定は、検知範囲(D1)に対する検知装置(1)の検知感度の設定を含む。
【0164】
上記の態様によれば、検知感度に関する設定作業の作業性が改善される。
【0165】
第3の態様に係る検知装置(1)に関して、第2の態様において、設定部(12)は、複数の感度レベルからの選択により検知感度を設定可能である。出力部(13)は、複数の感度レベルのうち、検知感度として設定された感度レベルを示す情報を出力する。
【0166】
上記の態様によれば、検知感度の設定に関する設定作業の作業性が改善される。
【0167】
第4の態様に係る検知装置(1)に関して、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、出力部(13)は、設定状態に応じた報知を行う報知部(131)を有する。
【0168】
上記の態様によれば、設定状態に応じた報知が行われるため、設定作業の作業性が更に改善される。
【0169】
第5の態様に係る検知装置(1)に関して、第4の態様において、報知部(131)は、設定状態に応じた発光状態で発光する発光部(132)を有する。
【0170】
上記の態様によれば、発光部(132)の発光により報知が行われるため、設定作業の作業性が更に改善される。
【0171】
第6の態様に係る検知装置(1)に関して、第5の態様において、発光部(132)は、設定状態に応じた点滅回数で点滅する。
【0172】
上記の態様によれば、設定状態に応じた点滅回数での点滅により報知が行われるため、設定作業の作業性が更に改善される。
【0173】
第7の態様に係る検知装置(1)に関して、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、無線通信部(11)が設定端末(T1)から設定状態の出力要求を受信した場合、出力部(13)は、出力要求に応じて設定状態を出力する。
【0174】
上記の態様によれば、設定端末(T1)からの出力要求に応じて設定状態が出力されるため、設定作業の作業性が更に改善される。
【0175】
第8の態様に係る検知装置(1)に関して、第1~第7の態様のいずれか1つにおいて、出力部(13)は、設定端末(T1)に対して設定状態を送信する通信部(133)を有する。
【0176】
上記の態様によれば、設定状態が設定端末(T1)に送信されるため、設定作業の作業性が更に改善される。
【0177】
第9の態様に係る検知装置(1)は、第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、検知範囲(D1)における照度をセンシングする機能を有する。検知装置(1)は、照度が閾値未満で、かつ動体(M1)を検知した場合に、動作信号を出力して負荷装置(A1)に所定動作を開始又は継続させる。特定の設定は、閾値に関する設定を含む。
【0178】
上記の態様によれば、照度センシング用の閾値に関する設定作業の作業性が改善される。
【0179】
第10の態様に係る検知装置(1)は、第1~第9の態様のいずれか1つにおいて、動体(M1)を検知した場合に、動作信号を出力して負荷装置(A1)に所定動作を開始又は継続させる。検知装置(1)は、動体(M1)の検知後、動体(M1)が検知されない状態が所定時間の間継続した場合に、終了信号を出力して所定動作を終了させる。特定の設定は、所定時間に関する設定を含む。
【0180】
上記の態様によれば、所定動作の継続保持用の所定時間に関する設定作業の作業性が改善される。
【0181】
第11の態様に係る検知システム(100)は、第1~第10の態様のいずれか1つにおける検知装置(1)を1又は複数と、検知装置(1)の検知結果に関する情報を受信する親機(伝送ユニットB1)と、を備える。
【0182】
上記の態様によれば、設定作業の作業性の改善を図れる検知システム(100)を提供できる。
【0183】
第12の態様に係る負荷システム(200)は、第1~第10の態様のいずれか1つにおける検知装置(1)を1又は複数と、検知装置(1)の検知結果に基づいて動作する負荷装置(A1)を1又は複数と、を備える。
【0184】
上記の態様によれば、設定作業の作業性の改善を図れる負荷システム(200)を提供できる。
【0185】
第13の態様に係る負荷制御システム(300)は、第1~第10の態様のいずれか1つにおける検知装置(1)を1又は複数と、親機(伝送ユニットB1)と、検知結果に基づいて動作する負荷装置(A1)を1又は複数と、を備える。親機(伝送ユニットB1)は、検知装置(1)の検知結果に関する情報を受信する。
【0186】
上記の態様によれば、設定作業の作業性の改善を図れる負荷制御システム(300)を提供できる。
【0187】
第2~第10の態様に係る構成については、第1の態様に係る検知装置(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0188】
100 検知システム
200 負荷システム
300 負荷制御システム
1 検知装置
11 無線通信部
12 設定部
13 出力部
131 報知部
132 発光部
133 通信部
A1 負荷装置
B1 伝送ユニット(親機)
C1 構造体
D1 検知範囲
F1 床面
M1 動体
T1 設定端末